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技術 鋳造加工方法及びその装置と、それによって得られる鋳造品

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 坂井知典今西大介向田行宏長尾和心
出願日 2014年9月12日 (6年2ヶ月経過) 出願番号 2014-186686
公開日 2016年4月25日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 2016-059922
状態 特許登録済
技術分野 鋳造前の予備処理と金属の鋳造 鋳型又は中子及びその造型方法
主要キーワード 連接箇所 側方端面 手段保持部材 保温ブロック 流動路 正五角形 鋳造加工 円環形
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重要な関連分野

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図面 (6)

課題

鋳造加工を行う際、押湯内溶湯を効率よく加熱する。

解決手段

鋳造加工装置40は、上型50と第1〜第4摺動型44a〜44dの各々との間に形成される押湯48を閉塞するとともに、該押湯48に挿入されるヒータ100a、100bを保持する保温ブロック体92を有する。押湯48内の溶湯Lは、ヒータ100a、100bの熱が伝達されて温度上昇した保温ブロック体92に接触することで保温される。なお、保温ブロック体92が溶湯Lの固相線温度よりも1〜100℃低い温度となるように、ヒータ100a、100bの発熱量を制御することが好ましい。

概要

背景

鋳造加工においては、引け巣の発生を防止して製品歩留まりを向上させるべく、製品外押湯方案を取り付けることが広汎に実施されている。溶湯は、液相から固相に相変態する(凝固する)際に体積収縮を起こすため、製品部で引け巣不良となる。この体積収縮分を補うべく、余剰の溶湯を押湯に供給し、押湯から溶湯を製品部に供給することで引け巣を解消して製品の健全性を確保している。

ここで、押湯内の溶湯がキャビティ(製品部)内の溶湯よりも早く凝固してしまうと、溶湯が移動できなくなるので体積収縮分を補うことができなくなる。このため、一般的には、押湯内に多量の溶湯を貯留することで、キャビティ内の溶湯よりも凝固速度を小さくしている。すなわち、キャビティ内の溶湯が先に凝固し、その後に押湯内の溶湯が凝固する、いわゆる指向性凝固を実現している。

しかしながら、このために多量の溶湯が必要となる。また、押湯内の溶湯が凝固して形成される押湯部が大形状・大体積となる。押湯部は製品部分から除去されるので、材料歩留まりが低下し、結局、コストが高騰するという不都合顕在化している。

しかも、押湯内に残留した多量の溶湯が凝固するまでは型開きができないので、型閉じを行ってから鋳造品を取り出すまでのサイクルタイムが長くなるため、生産性が低いという不都合も生じる。

そこで、特許文献1〜4をはじめとし、押湯内の溶湯を加熱することが種々提案されている。この場合、押湯内の溶湯が加熱されることで凝固し難くなるために指向性凝固させることが容易となるので、押湯分の溶湯の量を低減することができるからである。また、このためにサイクルタイムの短縮を図ることもできる。

概要

鋳造加工を行う際、押湯内の溶湯を効率よく加熱する。鋳造加工装置40は、上型50と第1〜第4摺動型44a〜44dの各々との間に形成される押湯48を閉塞するとともに、該押湯48に挿入されるヒータ100a、100bを保持する保温ブロック体92を有する。押湯48内の溶湯Lは、ヒータ100a、100bの熱が伝達されて温度上昇した保温ブロック体92に接触することで保温される。なお、保温ブロック体92が溶湯Lの固相線温度よりも1〜100℃低い温度となるように、ヒータ100a、100bの発熱量を制御することが好ましい。

目的

本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、押湯内の溶湯を効率よく保温することが可能であり、しかも、引け巣が形成されることを抑制し得る鋳造加工方法及びその装置と、それによって得られる鋳造品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下型上型の間に介在する複数個摺動型を互いに接近させるとともに、前記下型に対して前記上型を接近させることで、キャビティと、前記キャビティに連なる複数個の押湯を形成する工程と、前記上型及び前記複数個の摺動型中の1個に当接する保温手段保持部材で前記押湯を閉塞した状態で、前記押湯に供給された溶湯を、前記保温手段保持部材に保持された保温手段によって保温するとともに、前記キャビティに供給された溶湯を凝固させて固相とする工程と、を有し、前記押湯内の溶湯を、前記上型及び前記保温手段保持部材に接触させて保温することを特徴とする鋳造加工方法。

請求項2

請求項1記載の鋳造加工方法において、前記保温手段保持部材に、前記押湯に進入する2個の脚部を設け、且つ前記保温手段を、前記脚部に到達した保温手段保持孔に挿入して保持し、さらに、前記2個の脚部同士の間に、前記摺動型に当接するリブ部を突出形成し、該リブ部を前記押湯に進入させて該押湯内の溶湯に接触させることを特徴とする鋳造加工方法。

請求項3

請求項1又は2記載の鋳造加工方法において、前記保温手段保持部材にガスベントを形成し、該ガスベントを介して、前記押湯内のガス大気導出することを特徴とする鋳造加工方法。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳造加工方法において、前記保温手段保持部材を前記上型又は前記摺動型のいずれかに保持することを特徴とする鋳造加工方法。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋳造加工方法において、前記保温手段保持部材の温度を、前記押湯内の溶湯の固相線温度よりも1〜100℃低温に設定することを特徴とする鋳造加工方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋳造加工方法において、前記キャビティに、ディスク形状部を形成するディスク形状部形成部と、前記ディスク形状部を囲繞する円環部を形成する円環部形成部と、前記ディスク形状部及び前記円環部の双方に連なる複数個の連結部を形成する複数個の連結部形成部とを画成し、前記押湯を、前記連結部形成部の各々が前記円環部形成部に連なる箇所に形成することを特徴とする鋳造加工方法。

請求項7

請求項6記載の鋳造加工方法において、前記ディスク形状部形成部から注湯を行い、その後、前記複数個の連結部形成部の各々から前記円環部形成部まで溶湯を流動させ、さらに、前記円環部形成部では、前記連結部形成部から流入した溶湯を、該連結部形成部に隣接する別の前記連結部形成部に向かって流動させ、前記円環部形成部内で、前記連結部形成部から、隣接する別の前記連結部形成部に向かって流動する溶湯同士が合流する合流点で、前記上型に形成された貯留用凹部にて、合流した溶湯を貯留することを特徴とする鋳造加工方法。

請求項8

請求項6又は7記載の鋳造加工方法において、鋳造品としてホイール鋳造素材を得ることを特徴とする鋳造加工方法。

請求項9

下型と、前記下型に対して接近又は離間する方向に変位する上型と、前記下型と前記上型の間に介装されるとともに互いに接近又は離間する方向に変位することが可能であり、且つ前記下型及び前記上型とともにキャビティ及び押湯を形成する複数個の摺動型と、前記摺動型及び前記上型に当接して前記押湯を閉塞するとともに、該押湯に挿入される保温手段を保持するための保温手段保持部材と、を備え、前記押湯内の溶湯を、前記上型及び前記保温手段保持部材に接触させて保温することを特徴とする鋳造加工装置。

請求項10

請求項9記載の鋳造加工装置において、前記保温手段保持部材は、前記押湯に進入する2個の脚部を有し、前記保温手段を挿入して保持するための保温手段保持孔が前記脚部に到達し、さらに、前記2個の脚部同士の間に、前記摺動型に当接するとともに前記押湯に進入して該押湯内の溶湯に接触するリブ部が突出形成されていることを特徴とする鋳造加工装置。

請求項11

請求項9又は10記載の鋳造加工装置において、前記保温手段保持部材に、前記押湯内のガスを大気に導出するためのガスベントが形成されていることを特徴とする鋳造加工装置。

請求項12

請求項9〜11のいずれか1項に記載の鋳造加工装置において、前記保温手段保持部材が前記上型又は前記摺動型のいずれかに保持されることを特徴とする鋳造加工装置。

請求項13

請求項9〜12のいずれか1項に記載の鋳造加工装置において、前記キャビティに、ディスク形状部を形成するディスク形状部形成部と、前記ディスク形状部を囲繞する円環部を形成する円環部形成部と、前記ディスク形状部及び前記円環部の双方に連なる複数個の連結部を形成する複数個の連結部形成部とが画成されるとともに、前記連結部形成部の各々が前記円環部形成部に連なる箇所に前記保温手段保持部材が配置されることを特徴とする鋳造加工装置。

請求項14

請求項13記載の鋳造加工装置において、前記ディスク形状部形成部が注湯口に連なり、前記連結部形成部の各々は、前記ディスク形状部形成部から前記円環部形成部に向かう溶湯の流動路となり、さらに、前記円環部形成部は、前記連結部形成部から、該連結部形成部に隣接する別の前記連結部形成部に向かう溶湯の流動路となり、前記上型に、前記円環部形成部中で前記連結部形成部から隣接する別の前記連結部形成部に向かって流動して合流した溶湯を貯留するための貯留用凹部が形成されていることを特徴とする鋳造加工装置。

請求項15

請求項13又は14記載の鋳造加工装置において、鋳造品としてホイールの鋳造素材を得ることを特徴とする鋳造加工装置。

請求項16

ディスク形状部と、前記ディスク形状部を囲繞する円環部と、前記ディスク形状部及び前記円環部の双方に連なる複数個の連結部と、を有し、前記ディスク形状部には、前記円環部の直径方向に対して直交する方向に延在する方案部が連なり、前記円環部には、連結部の各々が連なる箇所に、前記方案部と同一方向に突出した押湯部がそれぞれ形成されていることを特徴とする鋳造品。

請求項17

請求項16記載の鋳造品において、前記押湯部に2個の孔が形成されていることを特徴とする鋳造品。

請求項18

請求項16又は17記載の鋳造品において、隣接する前記押湯部同士の間に、前記押湯部と同一方向に突出した凸部が形成されていることを特徴とする鋳造品。

請求項19

請求項16〜18のいずれか1項に記載の鋳造品において、該鋳造品がホイールの鋳造素材であることを特徴とする鋳造品。

技術分野

0001

本発明は、押湯内溶湯保温して指向性凝固を行う鋳造加工方法及びその装置と、それによって得られる鋳造品に関する。

背景技術

0002

鋳造加工においては、引け巣の発生を防止して製品歩留まりを向上させるべく、製品外押湯方案を取り付けることが広汎に実施されている。溶湯は、液相から固相に相変態する(凝固する)際に体積収縮を起こすため、製品部で引け巣不良となる。この体積収縮分を補うべく、余剰の溶湯を押湯に供給し、押湯から溶湯を製品部に供給することで引け巣を解消して製品の健全性を確保している。

0003

ここで、押湯内の溶湯がキャビティ(製品部)内の溶湯よりも早く凝固してしまうと、溶湯が移動できなくなるので体積収縮分を補うことができなくなる。このため、一般的には、押湯内に多量の溶湯を貯留することで、キャビティ内の溶湯よりも凝固速度を小さくしている。すなわち、キャビティ内の溶湯が先に凝固し、その後に押湯内の溶湯が凝固する、いわゆる指向性凝固を実現している。

0004

しかしながら、このために多量の溶湯が必要となる。また、押湯内の溶湯が凝固して形成される押湯部が大形状・大体積となる。押湯部は製品部分から除去されるので、材料歩留まりが低下し、結局、コストが高騰するという不都合顕在化している。

0005

しかも、押湯内に残留した多量の溶湯が凝固するまでは型開きができないので、型閉じを行ってから鋳造品を取り出すまでのサイクルタイムが長くなるため、生産性が低いという不都合も生じる。

0006

そこで、特許文献1〜4をはじめとし、押湯内の溶湯を加熱することが種々提案されている。この場合、押湯内の溶湯が加熱されることで凝固し難くなるために指向性凝固させることが容易となるので、押湯分の溶湯の量を低減することができるからである。また、このためにサイクルタイムの短縮を図ることもできる。

先行技術

0007

特開2005−329450号公報
特開昭61−78553号公報
特開2013−49082号公報
特開2013−49083号公報

発明が解決しようとする課題

0008

このように、押湯内の溶湯を加熱することは周知技術であるが、押湯に供給する溶湯量をさらに低減することが可能となるように、該押湯内の溶湯を一層効率よく加熱することが要請されている。

0009

本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、押湯内の溶湯を効率よく保温することが可能であり、しかも、引け巣が形成されることを抑制し得る鋳造加工方法及びその装置と、それによって得られる鋳造品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

前記の目的を達成するために、本発明に係る鋳造加工方法は、下型上型の間に介在する複数個摺動型を互いに接近させるとともに、前記下型に対して前記上型を接近させることで、キャビティと、前記キャビティに連なる複数個の押湯を形成する工程と、
前記上型及び前記複数個の摺動型中の1個に当接する保温手段保持部材で前記押湯を閉塞した状態で、前記押湯に供給された溶湯を、前記保温手段保持部材に保持された保温手段によって保温するとともに、前記キャビティに供給された溶湯を凝固させて固相とする工程と、
を有し、
前記押湯内の溶湯を、前記上型及び前記保温手段保持部材に接触させて保温することを特徴とする。

0011

また、本発明に係る鋳造加工装置は、下型と、
前記下型に対して接近又は離間する方向に変位する上型と、
前記下型と前記上型の間に介装されるとともに互いに接近又は離間する方向に変位することが可能であり、且つ前記下型及び前記上型とともにキャビティ及び押湯を形成する複数個の摺動型と、
前記摺動型及び前記上型に当接して前記押湯を閉塞するとともに、該押湯に挿入される保温手段を保持するための保温手段保持部材と、
を備え、
前記押湯内の溶湯を、前記上型及び前記保温手段保持部材に接触させて保温することを特徴とする。

0012

すなわち、本発明においては、先ず、保温手段保持部材で押湯を閉塞するようにしている。このため、押湯内の溶湯の熱が大気放散されることがない。この分、溶湯の温度が低下し難くなる。加えて、押湯内の溶湯を保温手段保持部材に接触しているので、溶湯の熱が保温手段に移動し難い。このため、溶湯量が少量であっても温度低下が小さい。以上のことが相俟って、押湯内の溶湯が効率よく保温される。

0013

従って、押湯内では、溶湯が少量であっても、キャビティ内の溶湯に比して冷却速度を十分に小さくすることができる。その結果として、キャビティ内の溶湯が先に凝固し、その後、押湯内の溶湯が凝固する指向性凝固を実現することができる。すなわち、キャビティ内の溶湯が凝固して体積収縮を起こした際には押湯から製品部へ溶湯が供給される。これにより、鋳造品の製品部に鋳造不良が発生することが回避される。

0014

しかも、押湯への溶湯の供給量、換言すれば、溶湯の全使用量が低減する。従って、押湯内の溶湯が凝固して形成された押湯部の体積も低減する。このために材料歩留まりが向上するので、コストの低廉化を図ることができる。

0015

その上、押湯内に残留した溶湯が少量であるので、該溶湯の凝固が終了するまでの時間が短い。従って、型閉じを行ってから鋳造品を取り出すまでのサイクルタイムの短縮を図ることができる。

0016

保温手段保持部材には、2個の脚部を設けるとともに、前記2個の脚部同士の間に、前記摺動型に当接するリブ部を突出形成することが好ましい。なお、脚部には、保温手段を挿入して保持するための保温手段保持孔を形成する。すなわち、脚部は、保温手段を内包する。また、脚部及びリブ部の双方を、押湯に進入するようにする。

0017

この場合、保温手段保持部材の脚部及びリブ部が押湯内の溶湯に接触する。上記したように脚部には保温手段が内包されており、且つリブ部によって保温手段保持部材と溶湯との接触面積が大きくなるので、押湯内の溶湯に対する保温効果が一層向上する。

0018

ここで、押湯内にガス(一般的には大気)が残留した状態で該押湯に溶湯を供給すると、ガス背圧が生じて溶湯が押湯に流入し難くなる。これを回避するべく、保温手段保持部材にガスベントを形成することが好ましい。この場合、押湯内のガスを、前記ガスベントを介して大気に容易に導出することができるようになるからである。

0019

また、保温手段保持部材は、上型又は摺動型のいずれかに保持することが好ましい。この場合、保温手段保持部材は、上型又は摺動型と一体的に変位する。従って、保温手段保持部材を上型又は摺動型と別個に変位させるための変位機構等が不要となるので、鋳造加工装置の構成が簡素化するという利点が得られる。

0020

以上のような構成において鋳造加工を行う際、前記保温手段保持部材の温度を、前記押湯内の溶湯の固相線温度よりも1〜100℃低温に設定することが好ましい。具体的には、押湯内の溶湯の固相線温度が600℃である場合、前記保温手段保持部材の温度が500〜599℃となるように、保温手段の発熱量等を制御すればよい。

0021

押湯内の溶湯を加熱する従来技術では、加熱体の温度を溶湯の固相線温度以上とし、押湯が不要となった時点で加熱体を押湯から取り出して加熱を停止するようにしているが、この場合、加熱体を変位させるための変位機構が必要であり、鋳造加工装置の構成が複雑となる。また、押湯内の溶湯は、加熱体が取り出された後から凝固し始めるので、その分、型開きが可能となるまでの待機時間が長くなる。

0022

これに対し、上記の場合、保温手段保持部材の温度が溶湯の固相線温度を下回っているので、押湯内の溶湯が、保温されながらも徐々に凝固する。このため、押湯内の溶湯の凝固を促進するために保温手段保持部材を取り出す必要がない。従って、保温手段保持部材を変位させるための変位機構が不要であるので、鋳造加工装置の構成の簡素化を図ることができる。また、押湯内の溶湯が少量であるため、凝固完了までの時間が短くなり、型開きが可能となるまでの待機時間の短縮を図ることが容易となる。結局、鋳造加工のサイクルタイムの短縮を図ることができる。

0023

鋳造加工を行うキャビティは、例えば、ディスク形状部を形成するディスク形状部形成部と、前記ディスク形状部を囲繞する円環部を形成する円環部形成部と、前記ディスク形状部及び前記円環部の双方に連なる複数個の連結部を形成する複数個の連結部形成部とが画成されるものである。この場合、押湯を、前記連結部形成部の各々が前記円環部形成部に連なる箇所に形成すればよい。この箇所が、押湯(溶湯の補充)が必要な部位であるからである。

0024

なお、この場合においては、前記ディスク形状部形成部から注湯を行うようにしてもよい。溶湯は、その後、前記複数個の連結部形成部の各々から前記円環部形成部に流動する。さらに、前記円環部形成部では、前記連結部形成部から流入した溶湯が、該連結部形成部に隣接する別の前記連結部形成部に向かって流動する。従って、前記円環部形成部内では、1個の前記連結部形成部から、隣接する別の前記連結部形成部に向かって流動する溶湯同士が合流することになる。

0025

前記上型には、この合流点に対応する部位に貯留用凹部を形成することが好ましい。そして、上記のように流動して合流した溶湯を、貯留用凹部で貯留するとよい。すなわち、合流した溶湯を貯留用凹部に流入させる。

0026

溶湯の合流点では、合流による欠陥酸化膜等)が発生し易い。これに対し、上記のようにして合流した溶湯を貯留用凹部に流入させた(捕捉した)場合、合流による欠陥が発生するときには、その発生箇所は、貯留用凹部に流入した溶湯が凝固して形成された凸部となる。すなわち、円環部形成部で形成される円環部、換言すれば、製品に、合流による欠陥が発生することを回避することが容易となる。

0027

さらに、本発明に係る鋳造品は、ディスク形状部と、
前記ディスク形状部を囲繞する円環部と、
前記ディスク形状部及び前記円環部の双方に連なる複数個の連結部と、
を有し、
前記ディスク形状部には、前記円環部の直径方向に対して直交する方向に延在する方案部が連なり
前記円環部には、連結部の各々が連なる箇所に、前記方案部と同一方向に突出した押湯部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。

0028

すなわち、この鋳造品は、ディスク形状部を形成するディスク形状部形成部と、前記ディスク形状部を囲繞する円環部を形成する円環部形成部と、前記ディスク形状部及び前記円環部の双方に連なる複数個の連結部を形成する複数個の連結部形成部とが画成されたキャビティに注湯を行うことによって得られる。

0029

保温手段保持部材に2個の脚部が設けられているときには、鋳造品の押湯部に、脚部に対応する孔が形成される。脚部が2個であるので、孔の個数も2個である。

0030

また、上型に貯留用凹部が形成されているとき、鋳造品には、隣接する前記押湯部同士の間に、前記押湯部と同一方向に突出した凸部が形成される。

0031

このような形状の鋳造品としては、ホイール鋳造素材が例示される。この場合、ハブがディスク形状部に相当し、また、スポーク及びリムの各々が、連結部、円環部に相当する。

発明の効果

0032

本発明によれば、保温手段保持部材で押湯を閉塞するとともに、この保温手段保持部材に押湯内の溶湯を接触させるようにしている。押湯が閉塞されているために該押湯内の溶湯の熱が大気に放散されることがないので、溶湯の温度が低下し難くなる。また、溶湯が保温手段保持部材に接触しているにも関わらず、溶湯からの熱移動が少ないために溶湯が少量であっても温度低下を起こし難い。以上により、押湯内の溶湯が効率よく保温される。

0033

このため、押湯内の溶湯が少量であっても、該溶湯の冷却速度を、キャビティ内の溶湯に比して十分に小さくすることができる。従って、キャビティ内の溶湯が凝固して体積収縮を起こした際には、押湯から溶湯が補充されて製品の健全性が確保される。これにより、鋳造品の製品部に鋳造不良が発生することが回避される。

0034

また、押湯への溶湯の供給量を低減することができるので、押湯部の体積も低減する。このために溶湯の歩留まりが向上するので、コストの低廉化を図ることが容易となる。

図面の簡単な説明

0035

本発明の実施の形態に係る鋳造品(自動二輪車用ホイールの鋳造素材)の全体概略斜視図である。
前記鋳造品を得るための鋳造加工装置の要部概略斜視図である。
図2中のIII−III線矢視断面図である。
前記鋳造加工装置を構成する上型の、キャビティを形成する面側を視点とした概略全体斜視図である。
前記鋳造加工装置を構成する保温ブロック体(保温手段保持部材)の概略全体正面図である。

実施例

0036

以下、本発明に係る鋳造加工方法につき、それを実施するための鋳造加工装置と、該鋳造加工方法によって得られる鋳造品との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。

0037

先ず、鋳造品について説明する。図1は、本実施の形態に係る鋳造品である自動二輪車用ホイールの鋳造素材10の全体概略斜視図である。この鋳造素材10は、アルミニウム合金、例えば、日本工業規格(JIS)で規定されるAC4CHからなり、鋳造加工によって得られる。

0038

該鋳造素材10は、ハブ12(ディスク形状部)と、円環形状をなすリム14(円環部)と、ハブ12及びリム14の双方に連なる5個のスポーク16(連結部)とを有する。なお、各スポーク16には、軽量化のための薄肉部18が貫通形成されている。

0039

ハブ12には、方案部20が連なる。この方案部20の延在方向は、ハブ12及びリム14の直径方向と略直交する。従って、鋳造素材10を、ハブ12及びリム14の直径が水平方向に沿って延在するような姿勢としたとき、方案部20は鉛直方向に沿って延在する。

0040

リム14には、内周端面22、外周端面24、側方端面26a、26bが存在する。ハブ12は、リム14の内周端面22側に位置しており、このため、リム14はハブ12を囲繞している。また、スポーク16は、リム14の内周端面22に対して連なっている。

0041

また、リム14の側方端面26bには、各スポーク16が連なる箇所に押湯部28が突出形成されている。押湯部28の内周端面22側の壁の高さは、外周端面24に比して大きく立ち上がっている。すなわち、押湯部28には、内周端面22から外周端面24に向かうにつれて段差が生じている。

0042

この場合、スポーク16が5個であるので、押湯部28も5個存在する。押湯部28同士は略等間隔で離間しており、このため、各押湯部28は、仮想的な正五角形頂点に位置する。また、押湯部28は方案部20と同一方向に突出しており、その延在方向も方案部20と同一である。

0043

各押湯部28には、2個の孔29が形成されている。この孔29については、後述する。

0044

リム14の側方端面26aには、さらに、隣接する押湯部28、28同士の間に凸部30が突出形成されている。すなわち、凸部30は、隣接する押湯部28同士に挟まれた位置となるように5個が設けられている。一方の押湯部28から凸部30に至るまでの距離L1と、残余の一方の押湯部28から凸部30に至るまでの距離L2は略同等である。従って、凸部30同士は略等間隔で離間しており、このため、各凸部30は、仮想的な正五角形の頂点に位置する。また、凸部30は、方案部20及び押湯部28と同一方向に突出しており、その延在方向も方案部20及び押湯部28と同一である。

0045

鋳造素材10の以上の形状は、鋳造加工を行うときの溶湯の流動方向に関係する。この点については、後述する。

0046

次に、鋳造加工装置につき説明する。図2は、本実施の形態に係る鋳造加工装置40の要部概略斜視図であり、図3は、図2中のIII−III線矢視断面図である。この鋳造加工装置40は、略円盤形状をなす下型42と、該下型42上を摺動する複数個(本実施の形態では4個)の摺動型、すなわち、第1摺動型44a、第2摺動型44b、第3摺動型44c及び第4摺動型44dと、これら下型42及び第1〜第4摺動型44a〜44dとともに、図3に示すキャビティ46及び押湯48を形成する上型50とを有する。なお、第1〜第4摺動型44a〜44dは互いに略同一形状であるが、説明の便宜上、相違する参照符号を付している。また、理解を容易にするべく、キャビティ46と押湯48の間に境界線Mを引いている。

0047

下型42は略円盤形状をなし、図示しない基盤位置決め固定された、いわゆる固定型である。この下型42の中心には、ハブ12を形成するための中子52(図3参照)が設けられる。また、下型42には、第1〜第4摺動型44a〜44dの各々を案内するための案内レール54が突出形成される(図2参照)。案内レール54は、第1〜第4摺動型44a〜44dが互いに接近又は離間する方向に沿って延在する。

0048

一方、第1〜第4摺動型44a〜44dには、それぞれ、係合凹部56が陥没形成される。各係合凹部56が案内レール54に係合されることで、第1〜第4摺動型44a〜44dが案内レール54に沿って所定方向に変位する。なお、第1〜第4摺動型44a〜44dには、図示しない第1〜第4変位機構(例えば、油圧シリンダ)等が個別に設けられる。第1〜第4摺動型44a〜44dは、これら第1〜第4変位機構の作用下に個別に変位する。これら第1〜第4変位機構は、基本的には同期して付勢される。勿論、この場合、第1〜第4摺動型44a〜44dは同時に変位する。

0049

図3に示すように、第1〜第4摺動型44a〜44dには、それぞれ、ヒータ58を挿入するためのヒータ保持孔60が形成される。ヒータ保持孔60は、鉛直方向に対して傾斜するように延在している。なお、ヒータ保持孔60は、第1摺動型44a、第3摺動型44c及び第4摺動型44dには1個のみ形成され、第2摺動型44bには2個が形成されている。

0050

上型50は、円筒形状部62と、該円筒形状部62に比して大径なフランジ部64とからなり、図示しない第5変位機構(例えば、油圧シリンダ)の作用下に、下型42に対して接近又は離間する方向に変位する。換言すれば、上型50は、昇降動作する可動型である。

0051

上型50が下降して、互いに接近した第1〜第4摺動型44a〜44dの上端面にフランジ部64が当接することに伴い(図2参照)、円筒形状部62の底面がキャビティ46を形成する。

0052

図3に示すように、キャビティ46には、ハブ12を形成するハブ形成部66(ディスク形状部形成部)、リム14を形成するリム形成部68(円環部形成部)、スポーク16を形成するスポーク形成部70(連結部形成部)が画成される。勿論、スポーク形成部70は、ハブ形成部66及びリム形成部68の双方に連なり、スポーク16の個数に対応して5個が形成される。

0053

円筒形状部62の底面の略中心には、注湯口72が形成される。この注湯口72に注湯管74が設けられ、さらに、該注湯管74に案内樋76が連結される。本実施の形態において、キャビティ46及び押湯48に到達する溶湯Lは、案内樋76及び注湯管74を介して注湯口72から注湯されたものである。すなわち、注湯口72以外に溶湯Lが導入される箇所はない。

0054

また、円筒形状部62の底面には、図4に示すように、ハブ12の略上半分の形状に対応する形状の第1凹部78、スポーク16の略上半分の形状に対応する形状の第2凹部80、リム14の略上半分の形状に対応する形状の第3凹部82が陥没形成される。これら第1凹部78、第2凹部80、第3凹部82は、下型42及び第1〜第4摺動型44a〜44dとともに、ハブ形成部66、スポーク形成部70、リム形成部68を形成する。

0055

ここで、円筒形状部62には、その側周壁の一部が切り欠かれたような形状の押湯形成部84が5個形成される。すなわち、押湯形成部84は、円筒形状部62の外周壁側から内周壁側に指向する陥没からなる。各押湯形成部84は、第2凹部80(スポーク形成部70)の各々が第3凹部82(リム形成部68)に連なる箇所に位置している。また、押湯形成部84は、第3凹部82に連なり且つフランジ部64で開口している。

0056

また、互いに隣接する押湯形成部84、84の略中間には、円筒形状部62の外周壁の一部が内周壁側に向かって若干切り欠かれたような形状の貯留用凹部86が形成される。このため、貯留用凹部86は、第3凹部82の一部をさらにフランジ部64側に陥没させたような形状をなす。押湯形成部84が5個存在するため、貯留用凹部86も5個存在する。

0057

フランジ部64では、上記したように押湯形成部84が開口する。また、各押湯形成部84の近傍には、図2に示すように、ヒータ88(図3参照)を保持するためのヒータ保持孔90が形成される。

0058

各押湯形成部84には、保温手段保持部材としての保温ブロック体92が挿入される。図5に示すように、保温ブロック体92は、2個の脚部94a、94b、本体部96、及び幅広の頭部98を有する。押湯形成部84の開口に形成された段部99が頭部98に比して幅狭であるため、保温ブロック体92が押湯形成部84に挿入される際、頭部98が段部99に止される。この堰止により、保温ブロック体92が位置決め固定される。

0059

説明の便宜上、本体部96の、上型50に臨む側の端面を前面、第1摺動型44aに臨む側の端面を後面とすると、前面は上型50に当接し、一方、後面は第1摺動型44aに当接する。すなわち、保温ブロック体92は、上型50と第1摺動型44aとの間に介装される。なお、後面の一部は、第1摺動型44aの形状に合わせて傾斜した傾斜面となっている。以上は第1摺動型44aを例示して説明したが、第2〜第4摺動型44b〜44dのいずれかにおいても同様である。

0060

以上から諒解されるように、上型50と第1〜第4摺動型44a〜44dとの間のクリアランスは、保温ブロック体92の本体部96によって充填される(図3参照)。従って、溶湯Lが、本体部96の下端面を超えて上昇することはない。すなわち、押湯48は、上型50(押湯形成部84)、第1〜第4摺動型44a〜44dのいずれか、本体部96の下端面によって形成される空間であり、保温ブロック体92は、押湯48を閉空間とする蓋部材として機能する。

0061

一方、本体部96から下型42側に向かうように突出した2個の脚部94a、94bは、押湯48に進入する。従って、脚部94a、94bは、押湯48内の溶湯Lに接触する。脚部94a、94bは、上型50及び第1摺動型44a(又は第2〜第4摺動型44b〜44dのいずれか)の傾斜に合わせて傾斜している。

0062

保温ブロック体92には、頭部98から各脚部94a、94bの略先端に至るまで、保温手段であるヒータ100a、100bを保持するための2本のヒータ保持孔102a、102bが形成されている。上記したように脚部94a、94bが押湯48内の溶湯Lに接触するので、該溶湯Lが、ヒータ100a、100bの作用下に温度上昇した保温ブロック体92によって保温される。

0063

脚部94a、94b同士の間には、薄板形状のリブ部104が設けられる。具体的には、リブ部104は、本体部96の後面に連設されて傾斜しており、このため、リブ部104の後面は、第1〜第4摺動型44a〜44dのいずれかに当接する。一方、リブ部104の前面は、ヒータ保持孔102a、102bよりも後面側に偏倚した位置にある。すなわち、リブ部104は、脚部94a、94bよりも肉薄である。なお、リブ部104の本体部96からの突出長さは、脚部94a、94bに比して小さく設定される。従って、押湯48内の溶湯Lは脚部94a、94b同士の間に進入し、リブ部104によって堰止される。

0064

さらに、本体部96において、ヒータ保持孔102a、102b同士の間にはガスベント106が貫通形成される。ガスベント106の一端は、本体部96の前面の、上型50で閉塞されない箇所で開口しており、他端は、頭部98で開口している。

0065

本実施の形態に係る鋳造加工装置40は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき、本実施の形態に係る鋳造加工方法との関係で説明する。

0066

ホイールの鋳造素材10(図1参照)を得るには、先ず、型閉じを行って図2に示す状態とする。このためには、前記第1〜第4変位機構を付勢し、第1〜第4摺動型44a〜44dを互いに接近させる。この際、第1〜第4摺動型44a〜44dは、案内レール54に案内されながら円滑に変位する。該案内レール54に係合凹部56が係合されているからである。

0067

第1〜第4摺動型44a〜44dが前進端まで変位した後、次に、前記第5変位機構を付勢し、上型50を下側に指向して下降させる。上型50のフランジ部64が第1〜第4摺動型44a〜44dの上端面に当接することにより、型閉じがなされてキャビティ46が形成される。同時に、上型50の押湯形成部84(図4参照)が第1〜第4摺動型44a〜44dによって囲繞される。押湯形成部84の開口に保温ブロック体92が予め挿入されているので、上型50、第1〜第4摺動型44a〜44d、保温ブロック体92によって囲繞された閉空間としての押湯48がキャビティ46に連なって形成される。

0068

このように、本実施の形態においては、保温ブロック体92を上型50と一体的に変位させることが可能である。このため、保温ブロック体92を上型50とは別個に変位させるための機構を設ける必要がない。従って、鋳造加工装置40の構成を簡素化することができる。

0069

なお、型閉じに先んじてヒータ保持孔60、90、102a、102bにヒータ58、88、100a、100bを予め挿入しておくことは勿論である。ヒータ58、88、100a、100bは、型閉じの前に付勢しておくことが好ましい。この場合、型閉じされた時点で、第1〜第4摺動型44a〜44d、保温ブロック体92、上型50の温度が十分に上昇しているので、型閉じの後に迅速に注湯を行うことができるからである。

0070

次に、図示しないラドル等から案内樋76に溶湯Lを移す。溶湯Lとしては、例えば、アルミニウム合金の1種であるAC4CHを選定すればよい。

0071

溶湯Lは、案内樋76に案内されて流動し、注湯管74を伝って注湯口72からキャビティ46に流入する。溶湯Lは、第1凹部78を含むハブ形成部66に先ず導入され、中子52に接触することで、第2凹部80を含む各スポーク形成部70に分配される。溶湯Lは、さらに、各スポーク形成部70を流動した後、第3凹部82を含むリム形成部68に流入する。

0072

リム形成部68は、スポーク形成部70との連接箇所から二股分岐して円弧形状に湾曲した形状となっている。このため、スポーク形成部70からリム形成部68に流入した溶湯Lは、スポーク形成部70とリム形成部68の連接箇所で分岐し、図4中に矢印で示すように、リム形成部68中を、1個のスポーク形成部70から、該スポーク形成部70に隣接するスポーク形成部70に向かうように流動する。従って、リム形成部68には、互いに相反する方向に流動する溶湯Lの流れが生じる。

0073

リム形成部68を互いに相反する方向から流動してきた溶湯Lは、隣接するスポーク形成部70同士の略中間点で合流する。ここで、上型50には、該中間点に対応する箇所に貯留用凹部86が形成されている。このため、合流した溶湯Lは貯留用凹部86内を上昇する。すなわち、合流した溶湯Lが貯留用凹部86に貯留され、最終的に、貯留用凹部86が溶湯Lで充填される。

0074

溶湯Lの合流点では、酸化物が発生し易くなる。しかしながら、本実施の形態では、上記したように合流した溶湯Lを貯留用凹部86に押し出すようにしている。すなわち、合流した溶湯Lは、貯留用凹部86で凝固して前記凸部30(図1参照)となる。このため、酸化物が発生するときには、その発生箇所は凸部30である。結局、貯留用凹部86を形成することで、リム14に酸化物が発生することを回避することができる。

0075

リム形成部68を含め、キャビティ46の全体に溶湯Lが充填されると、余剰の溶湯Lが押湯48内に流入する。溶湯Lは、保温ブロック体92の2個の脚部94a、94b同士の間に進入し、水平方向ではリブ部104の前面で堰止され、鉛直方向では保温ブロック体92の本体部96の下端面で堰止される。すなわち、脚部94a、94b、リブ部104の前面、本体部96の下端面が溶湯Lに接触する。

0076

溶湯Lが押湯48内に流動する間、押湯48内のガス(一般的には大気)は、保温ブロック体92に形成されたガスベント106を経由して外部に排出される。従って、押湯48内にガスが残留することや、このことに起因して発生するガス背圧によって溶湯Lの押湯48内への流入が妨げられることが回避される。

0077

押湯48の開口が保温ブロック体92で閉塞されているために押湯48が閉空間となっているので、押湯48内の溶湯Lの熱が大気に放散されることがない。しかも、保温ブロック体92の2個の脚部94a、94b、本体部96及びリブ部104は、ヒータ保持孔102a、102bに挿入されたヒータ100a、100bによって所定温度に予め昇温されている。さらに、ヒータ58、88が押湯48の近傍に配設されている。以上のことが相俟って、押湯48内の溶湯Lが効率よく保温される。

0078

なお、保温ブロック体92の温度は、溶湯Lの固相線温度よりも1〜100℃低温に設定することが好ましく、5〜55℃低温に設定することが一層好ましい。具体的には、溶湯LがAC4CHであるとき、その固相線温度は555℃である。従って、この場合、保温ブロック体92の温度が455〜554℃、一層好ましくは500〜550℃の範囲内となるように、ヒータ100a、100bの発熱量等を制御するとよい。

0079

一方、キャビティ46内の溶湯Lの熱は、下型42や第1〜第4摺動型44a〜44d、上型50によって奪取される。このためにキャビティ46内の溶湯Lの温度が低下することに伴って、該溶湯Lが比較的速やかに凝固し始める。

0080

これに対し、保温ブロック体92に接触した押湯48内の溶湯Lは、緩慢に凝固する。押湯48内の溶湯Lが、上記したように保温されているからである。すなわち、キャビティ46内の溶湯Lの冷却速度を大きく、且つ押湯48内の溶湯Lの冷却速度を小さくすることができる。これにより、指向性凝固が実現される。

0081

従って、キャビティ46内の溶湯Lが凝固に伴って体積収縮を起こしたときには、押湯48内で未だ液相状態である溶湯Lがキャビティ46に流動する。結局、押湯48からキャビティ46に溶湯Lが補充されるので、製品(ホイール)となる部位に引け巣等が発生することを回避することができる。

0082

このように、本実施の形態によれば、押湯48を閉空間としたり、保温ブロック体92の脚部94a、94bやリブ部104を押湯48内の溶湯Lに接触させたりすることにより、押湯48内の溶湯Lを効率よく保温するようにしている。このため、押湯48内の溶湯Lが少量であっても、キャビティ46内の溶湯Lよりも凝固速度を小さくすることができる。従って、鋳造不良の発生を抑制するために多量の溶湯Lを用いる必要がないので、溶湯Lの歩留まりが向上する。

0083

押湯48内の溶湯Lを加熱する従来技術(例えば、前記特許文献1〜4参照)では、加熱体の温度を溶湯Lの固相線以上とし、押湯が不要となった後、加熱体を押湯48から取り出すことで加熱を停止するとともに、これにより押湯48内の溶湯Lの凝固を開始させるようにしている。従って、加熱体を変位させて押湯48から取り出すための変位機構が必要となる。また、押湯48内の溶湯Lの凝固開始イミングが比較的遅いので、型開きが可能となるまでの時間、ひいては、型閉じを開始してから型開きを行うまでのサイクルタイムを短縮することが容易ではない。

0084

これに対し、本実施の形態では、保温ブロック体92の温度が溶湯Lの固相線温度を下回るようにしているので、押湯48内の溶湯Lが長時間にわたって液相状態を維持することはない。換言すれば、保温ブロック体92の温度を、溶湯Lの固相線温度を下回るように設定することにより、押湯を行っている最中に、押湯48内の溶湯Lを緩慢な速度で凝固させることができる。従って、押湯が不要となった後に保温ブロック体92を押湯48から離脱させる必要がない。このことも、保温ブロック体92を上型50とは個別に変位させるための変位機構を不要として鋳造加工装置40を簡素化することに寄与する。なお、押湯が不要となった後に押湯48内の溶湯Lの冷却速度を上昇させるときには、ヒータ58、88、100a、100bの発熱を停止すればよい。

0085

その上、押湯48内の溶湯Lの凝固開始タイミングが比較的早いので、型閉じを開始してから型開きを行うまでのサイクルタイムの短縮を図ることも容易である。

0086

前記第5変位機構の作用下に上型50を下型42から離間する方向に変位させる(上昇させる)とともに、前記第1〜第4変位機構の作用下に第1〜第4摺動型44a〜44dを互いに離間する方向に変位させることにより、型開きがなされて鋳造品が露呈する。リブ部104の後面が第1〜第4摺動型44a〜44dに当接しているので、この分、鋳造品と第1〜第4摺動型44a〜44dの接触面積が小さい。従って、鋳造品が第1〜第4摺動型44a〜44dに溶着を起こすことが回避されるので、第1〜第4摺動型44a〜44dが鋳造品から比較的容易に離脱する。

0087

図1に示すように、この鋳造品は、ハブ形成部66によって形成されたハブ12、スポーク形成部70によって形成されたスポーク16、リム形成部68によって形成されたリム14を有する自動二輪車用ホイールの鋳造素材10である。該鋳造素材10において、ハブ12には、注湯口72の溶湯Lが凝固した方案部20が連なる。また、リム14には、押湯48の溶湯Lが凝固した押湯部28が突出形成されるとともに、隣接する押湯部28同士の間に、貯留用凹部86の溶湯Lが凝固した凸部30が突出形成される。

0088

なお、押湯部28の孔29は、脚部94a、94bが離脱した跡である。すなわち、孔29は、脚部94a、94bによって形成される。

0089

鋳造加工の最中、リム形成部68を相反する方向から流動して合流した溶湯Lが貯留用凹部86(図4参照)に貯留されているので、リム14に湯境が発生することが回避されている。さらに、押湯48から溶湯Lが補充されているので、鋳造素材10の製品部(ハブ12、スポーク16及びリム14)に引け巣が発生することが回避されている。なお、鋳造不良が発生する場合、その発生箇所は、押湯部28や凸部30である。すなわち、本実施の形態によれば、鋳造素材10の製品部に鋳造不良が発生することを回避することが容易である。

0090

次に、鋳造素材10から方案部20、押湯部28及び凸部30等を除去する。これにより、ホイールが得られるに至る。上記したように、ハブ12、スポーク16及びリム14に鋳造不良が発生することが回避されているので、ホイールとして、高品質且つ高強度のものを得ることができる。

0091

また、押湯部28及び凸部30の体積が小さいので、リム14からの除去作業が容易である。しかも、これらが小体積であることから、溶湯Lの歩留まりが向上する。

0092

本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

0093

例えば、本発明における押湯48の構成は、鋳造品として自動二輪車用ホイールの鋳造素材10を得るための上記鋳造加工装置40にのみ採用されるものではなく、その他の鋳造品を得る鋳造加工装置に採用することも可能である。

0094

また、保温ブロック体92を、摺動型に保持するようにしてもよい。

0095

10…鋳造素材12…ハブ
14…リム16…スポーク
20…方案部 28…押湯部
30…凸部 40…鋳造加工装置
42…下型44a〜44d…第1〜第4摺動型
46…キャビティ48…押湯
50…上型58、88、100a、100b…ヒータ
60、90、102a、102b…ヒータ保持孔
62…円筒形状部 64…フランジ部
66…ハブ形成部 68…リム形成部
70…スポーク形成部 72…注湯口
78…第1凹部 80…第2凹部
82…第3凹部 84…押湯形成部
86…貯留用凹部 92…保温ブロック体
94a、94b…脚部 96…本体部
98…頭部 104…リブ部
106…ガスベント

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