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技術 ガラス固化体中の異物の検出方法

出願人 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明者 西澤代治猪瀬毅彦大山孝一宮内厚志永井崇之
出願日 2014年9月9日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-182856
公開日 2016年4月21日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2016-057137
状態 特許登録済
技術分野 蛍光または発光による材料の調査,分析 汚染除去及び汚染物処理
主要キーワード ビーム照射径 AES装置 線状照射 粉末試薬 硝酸廃液 塩酸廃液 電鋳レンガ モックアップ
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この項目の情報は公開日時点(2016年4月21日)のものです。
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図面 (6)

課題

簡単で迅速なガラス固化体中の異物検出方法を提供する。

解決手段

YAG−5ωレーザ光源として用いられるレーザアブレーション法誘導結合プラズマ発光分光分析法(LA法ICP−AES)によるガラス固化体中の異物の検出方法が、当該レーザ光線状照射により、(a)異物に特有元素局所的なICP発光強度又はICP発光強度の変化、若しくは(b)異物に特有な酸化物の局所的な濃度又は濃度変化が測定され、ガラス固化体中に混入又は偏在する異物が検出される工程を含む。

概要

背景

原子力発電所から搬出される使用済み核燃料再処理すると、高濃度放射性物質を含む廃液高レベル放射性廃液)が生ずる。高レベル放射性廃液は、再処理施設ガラス固化設備ガラス溶融炉にて溶融するホウケイ酸塩ガラスと混合され、キャニスタ中に流下され、次いで冷却されると、高レベルの放射性物質がガラス中に固定され、ガラス固化体が得られる。ガラス固化体は廃棄物管理施設保管され、最終的に地層中に処分される。

ガラス溶融炉の開発及びガラス固化体製造方法の確立は難しく、開発過程では、通常、モックアップガラス溶融炉(モックアップ溶融炉)を用いて、放射能を有しない模擬高レベル放射性廃液(模擬廃液)をガラス固化する試験方法が用いられる。モックアップ溶融炉により製造されるガラス固化体が模擬ガラス固化体である。

高レベル放射性廃液をガラス溶融炉実機でガラス固化させる時と同様に、模擬廃液をモックアップ溶融炉でガラス固化させる時も、模擬廃液中の白金族元素(Pd、Rh、Ru等)、溶融ガラス中に落下した溶融炉天井レンガ成分、溶融ガラス中に溶損した溶融炉接液レンガ成分等の異物は、比較的大きな固まりになって溶融ガラス中で偏在しやすく、モックアップ溶融炉の出口ノズル閉塞させるため、溶融ガラスキャニスタ内への流下の閉塞(流下不調)が生じやすい。
また、モリブデン酸塩クロム酸塩が主成分である水溶性イエローフェーズ(YP)が溶融ガラス(ガラス固化体)中に発生又は混入すると、地層処分後にガラス固化体が水分と接した時にガラス固化体中の放射性物質が溶出するおそれがある。
従って、白金族元素のみならず、溶融炉天井レンガ成分、溶融炉接液部レンガ成分、イエローフェーズ等の異物の検出又は元素濃度分析は、ガラス溶融炉の運転管理及びガラス固化体の製造品質管理にとって極めて重要である。

従来より、(1)溶液法誘導結合プラズマ発光分光分析法(溶液法ICP−AES)及び(2)蛍光X線分析法(XRF)が、ガラス固化体(以下、模擬ガラス固化体を含む総称として用いる)の元素濃度分析方法(異物の検出方法を含む)として用いられている。また、(3)目視確認も、レンガ成分やYP等の異物検出のために従来より用いられている。
しかし、従来技術(1)及び(2)は、ガラス固化体の元素濃度分析を行うまでの前処理に非常に多くの労力と時間、更にコストを要する。
(1)溶液法ICP−AESは、試料溶液の調製(ガラス固化体の一部を採取し、酸に溶解させ、測定用溶液を作製する)に多くの時間と労力を必要とする。更に、酸の使用は2次廃棄物(塩酸廃液硝酸廃液)を発生させ、その処理コストを要する。
(2)XRFは、ガラス固化体を粉砕微細化して測定用試料を作製する工程を要し、当該工程は多くの時間と労力を必要とする。
(3)目視確認は、流下ガラス(ガラス固化体)中のレンガ成分やYP等の異物の混入・発生の認定を可能とするが、異物の定量又は定性分析ができないという欠点を有する。

ところで、LA法ICP−AESによる貴金属(白金族元素、金及び銀)の分析法が検討された(例えば、特許文献1参照)。また、赤外線レーザ光源として用いられるLA法ICP−AESによる金属やガラス等の固体試料の元素濃度分析方法が検討された(例えば、特許文献2参照)。しかし、上記のLA法ICP−AESによりガラス固化体の元素濃度分析、及びガラス固化体中の異物の検出はできない。

なお、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、略称ICP)は、気体高電圧印加されて発生するプラズマの内部に、高周波変動磁場によって渦電流によるジュール熱を発生させて得られる高温のプラズマである。
発光分光分析(Atomic Emission Spectrometry、略称AES)は、原子化・熱励起された試料基底状態に戻る際の発光スペクトルを測定する、元素定性定量分析法であり、原子吸光法と異なり、一度に複数の元素が分析される。

概要

簡単で迅速なガラス固化体中の異物の検出方法を提供する。 YAG−5ωレーザが光源として用いられるレーザアブレーション法誘導結合プラズマ発光分光分析法(LA法ICP−AES)によるガラス固化体中の異物の検出方法が、当該レーザ光線状照射により、(a)異物に特有な元素の局所的なICP発光強度又はICP発光強度の変化、若しくは(b)異物に特有な酸化物の局所的な濃度又は濃度変化が測定され、ガラス固化体中に混入又は偏在する異物が検出される工程を含む。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

YAGレーザ第5高調波光光源として用いられるレーザアブレーション法誘導結合プラズマ発光分光分析法によるガラス固化体中の異物検出方法であって、当該レーザ光線状照射により、異物に特有元素局所的なICP(誘導結合プラズマ発光強度又はICP発光強度の変化が測定され、ガラス固化体中に混入又は偏在する異物が検出される工程を含む、ガラス固化体中の異物の検出方法

請求項2

YAGレーザ第5高調波光が光源として用いられるレーザアブレーション法誘導結合プラズマ発光分光分析法によるガラス固化体中の異物の検出方法であって、当該レーザ光の線状照射により、異物に特有な酸化物の局所的な濃度又は濃度変化が測定され、ガラス固化体中に混入又は偏在する異物が検出される工程を含む、ガラス固化体中の異物の検出方法

請求項3

ガラス固化体中の異物がガラス溶融炉天井レンガ成分、ガラス溶融炉接液レンガ成分及び/又はイエローフェーズである、請求項1又は2に記載されているガラス固化体中の異物の検出方法

請求項4

ガラス溶融炉天井レンガがアルミナジルコニア質焼成レンガ、ガラス溶融炉接液部レンガがクロミア・アルミナ系電鋳レンガである、請求項3に記載されているガラス固化体中の異物の検出方法

技術分野

0001

本発明は、YAGレーザ第5高調波光(YAG−5ωレーザ波長λ≒213nm)を光源として用いるレーザアブレーション法誘導結合プラズマ発光分光分析法(LA法ICP−AES)による、ガラス固化体中の異物検出方法に関する。

背景技術

0002

原子力発電所から搬出される使用済み核燃料再処理すると、高濃度放射性物質を含む廃液高レベル放射性廃液)が生ずる。高レベル放射性廃液は、再処理施設ガラス固化設備ガラス溶融炉にて溶融するホウケイ酸塩ガラスと混合され、キャニスタ中に流下され、次いで冷却されると、高レベルの放射性物質がガラス中に固定され、ガラス固化体が得られる。ガラス固化体は廃棄物管理施設保管され、最終的に地層中に処分される。

0003

ガラス溶融炉の開発及びガラス固化体製造方法の確立は難しく、開発過程では、通常、モックアップガラス溶融炉(モックアップ溶融炉)を用いて、放射能を有しない模擬高レベル放射性廃液(模擬廃液)をガラス固化する試験方法が用いられる。モックアップ溶融炉により製造されるガラス固化体が模擬ガラス固化体である。

0004

高レベル放射性廃液をガラス溶融炉実機でガラス固化させる時と同様に、模擬廃液をモックアップ溶融炉でガラス固化させる時も、模擬廃液中の白金族元素(Pd、Rh、Ru等)、溶融ガラス中に落下した溶融炉天井レンガ成分、溶融ガラス中に溶損した溶融炉接液レンガ成分等の異物は、比較的大きな固まりになって溶融ガラス中で偏在しやすく、モックアップ溶融炉の出口ノズル閉塞させるため、溶融ガラスキャニスタ内への流下の閉塞(流下不調)が生じやすい。
また、モリブデン酸塩クロム酸塩が主成分である水溶性イエローフェーズ(YP)が溶融ガラス(ガラス固化体)中に発生又は混入すると、地層処分後にガラス固化体が水分と接した時にガラス固化体中の放射性物質が溶出するおそれがある。
従って、白金族元素のみならず、溶融炉天井レンガ成分、溶融炉接液部レンガ成分、イエローフェーズ等の異物の検出又は元素濃度分析は、ガラス溶融炉の運転管理及びガラス固化体の製造品質管理にとって極めて重要である。

0005

従来より、(1)溶液法誘導結合プラズマ発光分光分析法(溶液法ICP−AES)及び(2)蛍光X線分析法(XRF)が、ガラス固化体(以下、模擬ガラス固化体を含む総称として用いる)の元素濃度分析方法(異物の検出方法を含む)として用いられている。また、(3)目視確認も、レンガ成分やYP等の異物検出のために従来より用いられている。
しかし、従来技術(1)及び(2)は、ガラス固化体の元素濃度分析を行うまでの前処理に非常に多くの労力と時間、更にコストを要する。
(1)溶液法ICP−AESは、試料溶液の調製(ガラス固化体の一部を採取し、酸に溶解させ、測定用溶液を作製する)に多くの時間と労力を必要とする。更に、酸の使用は2次廃棄物(塩酸廃液硝酸廃液)を発生させ、その処理コストを要する。
(2)XRFは、ガラス固化体を粉砕微細化して測定用試料を作製する工程を要し、当該工程は多くの時間と労力を必要とする。
(3)目視確認は、流下ガラス(ガラス固化体)中のレンガ成分やYP等の異物の混入・発生の認定を可能とするが、異物の定量又は定性分析ができないという欠点を有する。

0006

ところで、LA法ICP−AESによる貴金属(白金族元素、金及び銀)の分析法が検討された(例えば、特許文献1参照)。また、赤外線レーザが光源として用いられるLA法ICP−AESによる金属やガラス等の固体試料の元素濃度分析方法が検討された(例えば、特許文献2参照)。しかし、上記のLA法ICP−AESによりガラス固化体の元素濃度分析、及びガラス固化体中の異物の検出はできない。

0007

なお、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、略称ICP)は、気体高電圧印加されて発生するプラズマの内部に、高周波変動磁場によって渦電流によるジュール熱を発生させて得られる高温のプラズマである。
発光分光分析(Atomic Emission Spectrometry、略称AES)は、原子化・熱励起された試料基底状態に戻る際の発光スペクトルを測定する、元素定性定量分析法であり、原子吸光法と異なり、一度に複数の元素が分析される。

先行技術

0008

特開2011−106961号公報
特開平5−107186号公報

発明が解決しようとする課題

0009

近年、簡単、迅速、正確なガラス固化体の元素濃度分析方法と同時にガラス固化体中の異物の検出方法が求められていたが、このような異物の検出方法は実現されていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、簡単で迅速なガラス固化体中の異物の検出方法の提供である。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、YAG−5ωレーザが光源として用いられるLA法ICP−AESによるガラス固化体中の異物の検出方法であって、当該レーザ光線状照射により、異物に特有な元素の局所的なICP発光強度又はICP発光強度の変化が測定され、ガラス固化体中に混入又は偏在する異物が検出される工程を含む、ガラス固化体中の異物の検出方法である。

0011

更に、本発明は、YAG−5ωレーザが光源として用いられるLA法ICP−AESによるガラス固化体中の異物の検出方法であって、レーザ光の線状照射により、異物に特有な酸化物の局所的な濃度又は濃度変化が測定され、ガラス固化体中に混入又は偏在する異物が検出される工程を含む、ガラス固化体中の異物の検出方法である。

0012

ガラス固化体中の上記異物の具体例は、ガラス溶融炉天井レンガ成分、ガラス溶融炉接液部レンガ成分及び/又はイエローフェーズである。上記ガラス溶融炉天井レンガの具体例はアルミナジルコニア質焼成レンガであり、上記ガラス溶融炉接液部レンガの具体例はクロミア・アルミナ系電鋳レンガである。

発明の効果

0013

本発明のガラス固化体中の異物の検出方法は、簡単で迅速な異物検出を可能にする。

図面の簡単な説明

0014

図1は、ガラス固化体の元素濃度分析装置(=ガラス固化体中の異物の検出装置)の模式図である。
図2は、YP析出付近のMo、Cr、Fe及びZrのICP発光強度の変化を示す図(ガラス試料におけるレーザ照射部の位置とICP発光強度のデータを組み合わせた図)である。
図3は、YP析出部付近のMoO3、Cr2O3、Fe2O3及びZrO2の濃度変化を示す図(ガラス試料におけるレーザ照射部の位置と酸化物濃度のデータを組み合わせた図)である。
図4は、ガラス試料2中のガラス/クロミア・アルミナ系電鋳レンガ片境界付近のMgO、Cr2O3及びFe2O3の濃度変化を示す図(ガラス試料におけるレーザ照射部の位置と酸化物濃度のデータを組み合わせた図)である。
図5は、ガラス試料3中のアルミナ・ジルコニア質焼成レンガ成分に由来するZr及びFeのICP発光強度の変化を示す図(実測データ)である。

0015

本発明のガラス固化体中の異物の検出方法には、大別して以下の2つの方法がある。
(1)ガラス固化体中の異物に特有な元素のICP発光強度又はICP発光強度の変化を測定する。
(2)ガラス固化体中の異物に特有な酸化物の濃度又は濃度変化を測定する。
以下、(2)について、本発明のガラス固化体中の異物の検出方法の原理図1を用いて説明する。LA装置により、YAG−5ωレーザ(非線形光学効果を用いて発生させるYAGレーザ第5高調波光)が固体試料である検量線作成用標準ガラス試料に照射され、エアロゾルが発生する。当該エアロゾルがICP−AES装置トーチに送られ、検量線作成用の標準ガラス試料を構成する酸化物(元素)の濃度が分析される。

0016

次に、測定対象の酸化物(元素)の濃度が異なる残りの検量線作成用の標準ガラス試料について、この作業を繰り返す。

0017

同様に、YAG−5ωレーザが異物検出対象のガラス固化体に照射され、エアロゾルが発生する。当該エアロゾルが、ICP−AES装置のトーチに送られ、異物を含むガラス固化体を構成する酸化物(元素)濃度が分析される。好ましいYAG−5ωレーザの試料スキャン速度は100μm/s以上、パルス繰返し数は20Hz以上、レーザパルスエネルギー強度は5J/cm2程度である。

0018

異物検出対象のガラス固化体が、ガラス固化体中で偏在し易いレンガ成分及び/又はYP等の異物を含む場合、試料スキャン速度が100μm/s以上にて、パルス繰返し数が20Hz以上、レーザパルスエネルギー強度が5J/cm2程度のYAG−5ωレーザが照射され、ガラス固化体中に偏在する異物に特有な酸化物の平均濃度が定量される。

0019

LA装置及びICP−AES装置は市販されている。市販されているLA装置の具体例はesi社製NWR213である。市販されているICP−AES装置の具体例は、PerkinElmer社製Optima 7300DVである。

0020

LA法ICP−AESは、ICPの発光強度はトーチに届くエアロゾル量に比例し、測定対象元素のエアロゾル量は試料(ガラス固化体)中の元素濃度に比例する、という原理を用いる元素濃度分析方法である。従って、レーザ出力レーザエネルギー)はアブレーションだけに消費される(エネルギー熱変形破砕片の発生等に消費されない)ことが理想的である。よって、レーザのエネルギーが非熱プロセスで専ら照射対象固体化学結合切断に消費され易い、短波長パルスUVレーザがLAの光源として適しているとされる。現状、YAG−5ωレーザは、扱いが容易で且つハロゲンガス等の2次廃棄物を発生させない固体レーザにて、実効的なパルスUVレーザ出力を取り出せる最短波長のレーザである。

0021

本発明の発明者らは、YAG−5ωレーザが光源として用いられるLA法ICP−AESによりガラス固化体の元素濃度が分析される方法であって、検量線作成用標準ガラス試料が、分析対象のガラス固化体の化学組成に類似させられて作製され検量線が作成される工程、上記検量線が使用され、分析対象のガラス固化体の元素濃度が分析される工程を含むガラス固化体の元素濃度分析方法を出願した(特願2014−29623号)。

0022

測定対象となる元素の検量線は、検量線作成用標準ガラス試料(例えば、低模擬標準ガラス試料)により作成される。その後、分析対象のガラス固化体中の測定対象元素の発光スペクトルがLA法ICP−AESにより測定され、検量線が利用されて、ガラス固化体中の当該元素濃度が求められる。YAG−5ωレーザを用いるLA法ICP−AESによるガラス固化体の元素濃度分析の測定対象元素(濃度定量対象元素)の具体例は、Ce、Nd、Si、B、Ca、Al、Zn、Li、Na、P、Cr、Fe、Ni、K、Mn、Mg、Mo、Co、Cs、Ba、La、Pr、Sm、Ru、Rh、Pd、Zr等である。

0023

前記のYPはMoO3及びCr2O3、ガラス溶融炉天井レンガ成分はZrO2及びFe2O3、ガラス溶融炉接液部レンガ成分はMgO、Cr2O3及びFe2O3の各酸化物をそれぞれ特異的に含有している。そこで、YAG−5ωレーザが、YP、ガラス溶融炉天井レンガ成分、ガラス溶融炉接液部レンガ成分等の異物を含むガラス固化体に線状照射され、(a)これら5つの金属元素のICP発光強度又はICP発光強度の変化、若しくは(b)これら5つの金属酸化物の濃度又は濃度変化がLA法ICP−AESにより測定されると、ガラス固化体中のYP、ガラス溶融炉天井レンガ成分、ガラス溶融炉接液部レンガ成分等の異物が検出される。

0024

ガラス溶融炉天井レンガ及びガラス溶融炉接液部レンガは市販されている。ガラス溶融炉天井レンガの具体例はアルミナ・ジルコニア質焼成レンガであり、例えば、商品名AZ-GSレンガが市販されている。ガラス溶融炉接液部レンガの具体例はクロミア・アルミナ系電鋳レンガであり、例えば、商品名K−3レンガが市販されている。

0025

以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。

0026

実施例1
ガラスビーズ、模擬廃液構成成分の各酸化物等の粉末試薬、YPの起源となる酸化クロム(Cr2O3)及びモリブデン酸ナトリウム(Na2Mo4・2H2O)の粉末試薬をるつぼ内に入れ、当該るつぼを電気炉にて1200℃以上に加熱した。その後、当該るつぼを1200℃以上の高温雰囲気で2時間維持した後、電気炉から取り出して徐冷炉に移した。徐冷終了後、当該るつぼを徐冷炉から取り出し、るつぼ内のガラスを切断・粗研磨してガラス試料1を作製した。
YPの析出と推定される変色部(以下、YP析出部という)を当該ガラス試料1に視認したので、YAG−5ωレーザ(レーザ強度8.5J/cm2、パルス繰返し数20Hz、ビーム照射径φ110μm、試料スキャン速度100μm/s)を当該YP析出部を横切るように線状照射してゆき、YPを構成する各元素のICP発光強度を測定していった。そして、YAG−5ωレーザのYP析出部への照射時に、YPに特有な元素であるMo及びCrのICP発光強度がその前後に比べて急激に高くなることを確認した。更に、この時、YP析出部でFe及びZrのICP発光強度が急低下していることを確認した(図2)。この結果、ICP発光強度を元素又は酸化物の濃度に換算するまでもなく、ガラス固化体中の異物であるYPを検出できた。

0027

図2に示されるMo、Cr、Fe及びZr各元素のICP発光強度を基に、別途作製された標準ガラス試料のICP発光強度を測定し、検量線法によりYPに特有な酸化物の濃度を求めた(図3)。
ICP発光強度同様に、YP析出部において、YPに特有な酸化物であるMoO3、Cr2O3の濃度が急激に高くなっていることが分かる。この時、YPとは無関係の酸化物であるFe2O3及びZrO2の濃度は、YP析出部において急激に低くなっていることが分かった。

0028

実施例2
表1に示される組成の、ガラス溶融炉接液部レンガとして使用されるクロミア・アルミナ系電鋳レンガであるK−3レンガの立方体と、別途実施した試験終了後に取り出した模擬ガラス固化体の破砕片をるつぼに入れ、実施例1と同様の方法で加熱・徐冷して、異物としてのガラス溶融炉接液部レンガ片(成分)を含むガラス試料2が作製された。実施例1と同一条件のYAG−5ωレーザが、当該ガラス試料2に線状照射され、MgO、Cr2O3及びFe2O3濃度が検量線法により測定され(図4)、これら3つの金属酸化物濃度が、ガラス/K−3レンガ境界で上昇していることが確認された。

0029

0030

実施例3
表1に示される組成の、ガラス溶融炉天井レンガとして使用されるアルミナ・ジルコニア質焼成レンガであるAZ−GSレンガの粉末と、上記模擬ガラス固化体の破砕片をるつぼに入れ、実施例1と同様の方法で加熱・徐冷して、異物としてのガラス溶融炉天井レンガ成分を含むガラス試料3が作製された。実施例1と同一条件のYAG−5ωレーザが当該ガラス試料3に線状照射され、AZ−GSに特有な元素であるZr、FeのICP発光強度が測定され(図5)、AZ−GS成分がガラス中に概ね均一に存在していることが確認された。

0031

本発明のガラス固化体中の異物の検出方法は、ガラス固化体中のガラス溶融炉天井レンガ成分、ガラス溶融炉接液部レンガ成分、YP等の異物を実用的な精度で簡単、迅速に検出し、溶融炉運転管理及びガラス固化体品質管理に寄与する。

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