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技術 肉盛用ティグ溶接ワイヤ

出願人 東海溶業株式会社
発明者 安井幸蔵瓜生守今井一平夏見栄成
出願日 2014年9月11日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2014-184925
公開日 2016年4月21日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2016-055328
状態 特許登録済
技術分野 溶接材料およびその製造
主要キーワード 摩耗個所 繰返し加熱 試験片ホルダ シェフラー 熱間金型 硬化肉盛り 硬化肉盛溶接 鋳鉄母材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年4月21日)のものです。
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図面 (3)

課題

肉盛ティグ溶接ワイヤであって、特にダイカスト金型などの熱間金型摩耗部や欠損部の補修に用いたときに溶接欠陥が無く、比較的高い靱性と硬さの溶接金属を得られると共に、使用中に溶損およびヒートチェックが生じ難く、Coを含むヒューム対策のための作業場局所排気等が不要なものを提供する。

解決手段

ティグ溶接により肉盛りを行なうためのソリッドワイヤであって、質量%で、C:0.2〜0.3%、Si:0.3〜1.6%、Mn:0.4〜1.6%、Cr:5.0〜6.0%、Mo:1.5〜2.5%、W:1.5〜4.0%、V:0.3〜0.7%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下で、残部はFeおよび不可避的不純物からなる。

概要

背景

コネクティングロッドギアなどの自動車部品アルミサッシなどの住宅用材料スプーンペットボトルなどの日用品、リードフレームプリント基板などの電子部品などを製造するときには金型が使用されている。金型には一般に合金工具鋼が使用され、状況に応じて冷間または熱間で使用される。しかし特に熱間金型摩耗溶損および大小の割れが生じやすく、肉盛溶接によって摩耗個所や溶損個所、割れ個所を補修する必要がある。

肉盛用の溶接材料として、特開平4−28497号公報(特許文献1)には鋳鉄母材への肉盛りを目的とする鋼ワイヤが開示されている。このワイヤは80%Ar−20%CO2をシールドガスとする消耗電極式アーク溶接MIG溶接)に使用するものであって、比較的大量のMnやCoを含有することによって母材からのCの移行による溶接金属脆化を防止している。

また特開平7−214376号公報(特許文献2)には、鋳鉄硬化肉盛溶接フラックス入りワイヤとして、比較的大量のMnやCoを含有することにより良好な耐摩耗性を有する肉盛溶接層を得られるワイヤが開示されている。溶接方法としては、100%CO2や80%Ar−20%CO2をシールドガスとする消耗電極式アーク溶接としている。

また特開平9−176798号公報(特許文献3)には、鋳鉄母材に溶接した後に過冷処理によって硬化させる、硬化肉盛り用溶接材料の組成に関する技術が開示されている。特許文献3の技術においては、シェフラー組織図のNi当量とCr当量に関して好ましい範囲を規定することにより、過冷処理前の機械加工性と過冷処理後の硬度両立させようというものであり、さらにCoを添加することにより硬度を向上できるとしている。なお特許文献3の技術においては溶接方法に関しては格別な限定をしていない。

上記の特許文献1〜3の溶接材料を金型の補修溶接などに使用した場合、溶接時に発生するヒュームや、溶接金属の表面を研削するさいの粉塵にCoが含まれることがある。しかし近年Coを含む粉塵の健康に対する悪影響が指摘されており、これらCoを含有するワイヤを使用する場合には局所排気などの作業の管理を十分にする必要がある。

一方、特開平11−33778号公報(特許文献4)には、熱間加工用冶具に対する肉盛溶接や補修溶接に使用するためのフラックス入りワイヤが開示されている。このワイヤにおいてはC、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Wを適量含有することによって溶接時に溶接金属が割れたり欠けたりしないというものであるが、Coは含有していない。なお溶接方法としては、80%Ar−20%CO2をシールドガスとする消耗電極式アーク溶接が示されている。

また特開平11−197877号公報(特許文献5)には、コーンクラッシャジョークラッシャなどの破砕機パワーショベルなどの耐摩耗性と耐衝撃性が求められる部材に高硬度の金属を肉盛溶接するためフラックス入りワイヤが開示されている。このワイヤにおいては、C、Si、Mn、Cr、Mo、Nb、V、W、Bを適量含有するものであるが、特にBは結晶微細化すると共に硼化物の形成により溶接金属の硬度を高くするとしている。一方、特許文献5のワイヤもCoは含有していない。なお溶接方法としては、MIG溶接、MAG溶接ティグ溶接サブマージアーク溶接などいずれも適用可能であって、限定されないとしている。しかしながら特許文献4や特許文献5に示されているようなフラックス入りワイヤは、消耗電極として使用するのが本来の使用方法であって、ティグ溶接の溶加棒として使用した場合にはフラックスに含まれる弗化物酸化物スラグとなってアークが不安定になり、溶接作業性が不良となる問題がある。

また特開2013−39589号公報(特許文献6)には、連続鋳造用ロール胴部に肉盛溶接するための13Cr−4〜8Ni系を基本とするマルテンサイト系ステンレス鋼肉盛金属部材が開示されている。特許文献6の発明においては、C、Si、Mn、Ni、Cr、W、Oを適量含有することによって、溶接後に熱処理を施さずとも比較的高い靭性と硬さを併せ持つ肉盛溶接部が得られるとしている一方、Coは含有していない。なお溶接方法としては、80%Ar−20%CO2をシールドガスとする消耗電極式アーク溶接や、粉末プラズマ溶射する方法が示されている。しかしティグ溶接による肉盛りに使用した場合には、溶接入熱が低いので高温割れが生じ易く、また補修部分の溶接金属も、金型の使用時に表面に網目状の亀裂が生じるヒートチェックや、溶損が生じ易いという問題がある。

概要

肉盛用ティグ溶接ワイヤであって、特にダイカスト金型などの熱間金型の摩耗部や欠損部の補修に用いたときに溶接欠陥が無く、比較的高い靱性と硬さの溶接金属を得られると共に、使用中に溶損およびヒートチェックが生じ難く、Coを含むヒュームの対策のための作業場の局所排気等が不要なものを提供する。ティグ溶接により肉盛りを行なうためのソリッドワイヤであって、質量%で、C:0.2〜0.3%、Si:0.3〜1.6%、Mn:0.4〜1.6%、Cr:5.0〜6.0%、Mo:1.5〜2.5%、W:1.5〜4.0%、V:0.3〜0.7%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下で、残部はFeおよび不可避的不純物からなる。なし

目的

肉盛用の溶接材料として、特開平4−28497号公報(特許文献1)には鋳鉄母材への肉盛りを目的とする

効果

実績

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請求項1

ティグ溶接により肉盛りを行なうためのソリッドワイヤであって、質量%で、C:0.2〜0.3%、Si:0.3〜1.6%、Mn:0.4〜1.6%、Cr:5.0〜6.0%、Mo:1.5〜2.5%、W:1.5〜4.0%、V:0.3〜0.7%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下で、残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする肉盛用ティグ溶接ワイヤ

技術分野

0001

本発明は、肉盛ティグ(TIG)溶接ワイヤに関し、特にダイカスト金型などの熱間金型補修するための肉盛溶接に使用されるティグ溶接ワイヤに関する。

背景技術

0002

コネクティングロッドギアなどの自動車部品アルミサッシなどの住宅用材料スプーンペットボトルなどの日用品、リードフレームプリント基板などの電子部品などを製造するときには金型が使用されている。金型には一般に合金工具鋼が使用され、状況に応じて冷間または熱間で使用される。しかし特に熱間金型は摩耗溶損および大小の割れが生じやすく、肉盛溶接によって摩耗個所や溶損個所、割れ個所を補修する必要がある。

0003

肉盛用の溶接材料として、特開平4−28497号公報(特許文献1)には鋳鉄母材への肉盛りを目的とする鋼ワイヤが開示されている。このワイヤは80%Ar−20%CO2をシールドガスとする消耗電極式アーク溶接MIG溶接)に使用するものであって、比較的大量のMnやCoを含有することによって母材からのCの移行による溶接金属脆化を防止している。

0004

また特開平7−214376号公報(特許文献2)には、鋳鉄硬化肉盛溶接フラックス入りワイヤとして、比較的大量のMnやCoを含有することにより良好な耐摩耗性を有する肉盛溶接層を得られるワイヤが開示されている。溶接方法としては、100%CO2や80%Ar−20%CO2をシールドガスとする消耗電極式アーク溶接としている。

0005

また特開平9−176798号公報(特許文献3)には、鋳鉄母材に溶接した後に過冷処理によって硬化させる、硬化肉盛り用溶接材料の組成に関する技術が開示されている。特許文献3の技術においては、シェフラー組織図のNi当量とCr当量に関して好ましい範囲を規定することにより、過冷処理前の機械加工性と過冷処理後の硬度両立させようというものであり、さらにCoを添加することにより硬度を向上できるとしている。なお特許文献3の技術においては溶接方法に関しては格別な限定をしていない。

0006

上記の特許文献1〜3の溶接材料を金型の補修溶接などに使用した場合、溶接時に発生するヒュームや、溶接金属の表面を研削するさいの粉塵にCoが含まれることがある。しかし近年Coを含む粉塵の健康に対する悪影響が指摘されており、これらCoを含有するワイヤを使用する場合には局所排気などの作業の管理を十分にする必要がある。

0007

一方、特開平11−33778号公報(特許文献4)には、熱間加工用冶具に対する肉盛溶接や補修溶接に使用するためのフラックス入りワイヤが開示されている。このワイヤにおいてはC、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Wを適量含有することによって溶接時に溶接金属が割れたり欠けたりしないというものであるが、Coは含有していない。なお溶接方法としては、80%Ar−20%CO2をシールドガスとする消耗電極式アーク溶接が示されている。

0008

また特開平11−197877号公報(特許文献5)には、コーンクラッシャジョークラッシャなどの破砕機パワーショベルなどの耐摩耗性と耐衝撃性が求められる部材に高硬度の金属を肉盛溶接するためフラックス入りワイヤが開示されている。このワイヤにおいては、C、Si、Mn、Cr、Mo、Nb、V、W、Bを適量含有するものであるが、特にBは結晶微細化すると共に硼化物の形成により溶接金属の硬度を高くするとしている。一方、特許文献5のワイヤもCoは含有していない。なお溶接方法としては、MIG溶接、MAG溶接、ティグ溶接、サブマージアーク溶接などいずれも適用可能であって、限定されないとしている。しかしながら特許文献4や特許文献5に示されているようなフラックス入りワイヤは、消耗電極として使用するのが本来の使用方法であって、ティグ溶接の溶加棒として使用した場合にはフラックスに含まれる弗化物酸化物スラグとなってアークが不安定になり、溶接作業性が不良となる問題がある。

0009

また特開2013−39589号公報(特許文献6)には、連続鋳造用ロール胴部に肉盛溶接するための13Cr−4〜8Ni系を基本とするマルテンサイト系ステンレス鋼肉盛金属部材が開示されている。特許文献6の発明においては、C、Si、Mn、Ni、Cr、W、Oを適量含有することによって、溶接後に熱処理を施さずとも比較的高い靭性と硬さを併せ持つ肉盛溶接部が得られるとしている一方、Coは含有していない。なお溶接方法としては、80%Ar−20%CO2をシールドガスとする消耗電極式アーク溶接や、粉末プラズマ溶射する方法が示されている。しかしティグ溶接による肉盛りに使用した場合には、溶接入熱が低いので高温割れが生じ易く、また補修部分の溶接金属も、金型の使用時に表面に網目状の亀裂が生じるヒートチェックや、溶損が生じ易いという問題がある。

先行技術

0010

特開平4−28497号公報
特開平7−214376号公報
特開平9−176798号公報
特開平11−33778号公報
特開平11−197877号公報
特開2013−39589号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、ティグ溶接用のワイヤであって、特に熱間金型の摩耗部や欠損部の補修に用いたときに溶接欠陥が無く、比較的高い靱性と硬さの、研削性が良好な溶接金属を得られると共に、Coを含むヒュームの対策のための作業場の局所排気等が不要なものを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明の要旨は、ティグ溶接により肉盛りを行なうためのソリッドワイヤであって、質量%で、C:0.2〜0.3%、Si:0.3〜1.6%、Mn:0.4〜1.6%、Cr:5.0〜6.0%、Mo:1.5〜2.5%、W:1.5〜4.0%、V:0.3〜0.7%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下で、残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする肉盛用ティグ溶接ワイヤにある。

発明の効果

0013

本発明の肉盛用ティグ溶接ワイヤによれば、熱間金型の摩耗部や欠損部の補修に用いたときに溶接欠陥が無く、比較的高い靱性と硬さの溶接金属を得られると共に、使用中に溶損およびヒートチェックが生じ難く金型寿命を向上させることができる。また溶接金属の表面を研削やサンディング等で成形する場合においても成形性が良く、作業場を局所排気するといった厳重な管理が不要となる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施例に用いた溶接試験体の開先形状を示す図である。
本発明の実施例に用いた溶接金属の耐ヒートチェック性試験する装置を説明する図である。
本発明の実施例に用いた溶接金属の耐溶損性を試験する装置を説明する図である。

0015

以下、本発明の肉盛用ティグ溶接ワイヤについて詳細に説明する。
本発明のワイヤはティグ溶接で使用することを前提としているが、これは消耗電極式の溶接に比べて溶け込みを浅くでき、また溶け込み量の調節が容易だからである。したがってティグ溶接を採用することにより、溶接金属成分の母材による希釈濃化について容易に抑制ないし管理することができる。

0016

またワイヤの形態としてはソリッドワイヤとすることを前提としているが、フラックス入りワイヤをティグ溶接の溶加棒に使用した場合、フラックスに含まれる弗化物や酸化物がスラグとなってアークが不安定になるおそれがあるからである。一方、フラックス入りワイヤの場合には、鋼中に含まれると材料を著しく硬化させるような成分元素については、外皮の鋼には含有させずにフラックスに含有させることにより伸線が容易になるという利点がある。しかし本発明の成分の場合には、ソリッドワイヤとしても伸線が困難になる程に硬化することはない。

0017

本発明者らは前記の課題を解決するため、種々の成分を変化させた肉盛用ティグ溶接ワイヤを試作して、溶接金属の耐ヒートチェック性、耐溶損性、靭性および成形性を調査し、以下に示す知見を得た。
溶接金属の耐ヒートチェック性は、C、Mn、Cr、Mo、WおよびV量の調整とPおよびS量の低減により効果を得ることができることを知見した。
また溶接金属の耐溶損性は、Si、MnおよびW量の調整により効果を得ることができることを知見した。
また溶接金属の靭性は、Si、Mn、MoおよびV量の調整とPおよびS量の低減により効果を得ることができることを知見した。
さらに、溶接金属の成形性は、、C、Cr、Mo、WおよびVの調整により目的とする硬さが得られることを知見した。

0018

本発明の肉盛用ティグ溶接ワイヤは、各成分組成それぞれの単独の効果、また共存による相乗効果によりなし得るものであるが、以下にそれぞれの成分の添加理由および限定理由を述べる。なお以下において、ワイヤの化学成分はワイヤ質量に対する質量%で表すものとし、以下の説明においては質量%を単に%と表記する。

0019

[C:0.2〜0.3%]
Cは、Cr、Mo、WおよびVと炭化物を生成し、溶接金属の硬さの向上に寄与する。しかしCが0.2%未満であると、目標とする溶接金属の硬さが得られない。一方、Cが0.3%を超えると、溶接金属にヒートチェックが生じ易くなる。また硬さが高くなり過ぎて溶接後の成形加工が困難になると共に耐溶損性が低下する。したがってCは0.2〜0.3%とする。

0020

[Si:0.3〜1.6%]
Siは、脱酸剤として作用して溶接金属を清浄にする。しかしSiが0.3%未満であると溶接金属が脱酸不足になりブローホールが生じ易くなる。一方、Siが1.6%を超えると溶接金属中の濃度が過度に高くなり靭性が低下し、また耐溶損性が低下する。したがって、Siは0.3〜1.6%とする。

0021

[Mn:0.4〜1.6%]
MnもSiと同様に脱酸剤として作用し、溶接金属の靭性を向上させる。Mnが0.4%未満であると、溶接金属が脱酸不足となりブローホールが生じ易くなるとともにヒートチェックが生じ易くなる。また靭性も低下する。一方、Mnが1.6%を超えると、溶接金属の強度が過度に高くなり、靭性が低下する。また耐溶損性が低下する。したがって、Mnは0.4〜1.6%とする。

0022

[Cr:5.0〜6.0%]
Crは炭化物を生成して溶接金属の硬さを向上させる。しかしCrが5.0%未満であると、目標とする溶接金属の硬さが得られない。一方、Crが6.0%を超えると、溶接金属にヒートチェックが生じ易くなる。また硬さが高くなり過ぎて溶接後の成形加工が困難になる。したがって、Crは5.0〜6.0%とする。

0023

[Mo:1.5〜2.5%]
Moは繰返し加熱に対する耐ヒートチェック性を向上する。Moが1.5%未満であると溶接金属の目標とする硬さが得られず、耐ヒートチェック性も不十分である。一方、Moが2.5%を超えると溶接金属の靭性が低下すると共に、硬さが高くなり過ぎて成形性が低下する。したがって、Moは1.5〜2.5%とする。

0024

[W:1.5〜4.0%]
Wは溶接金属の耐溶損性を大幅に向上する。しかしWが1.5%未満では溶接金属の耐溶損性向上の効果は不十分である。一方、Wが4.0%を超えると溶接金属に微小なヒートチェックが生じ易くなると共に、硬さが高くなり過ぎて成形性が低下する。したがって、Wは1.5〜4.0%とする。

0025

[V:0.3〜0.7%]
Vは溶接金属の組織を微細にして靭性を向上させると共に、炭化物を生成して硬さを向上させる。しかしVが0.3%未満であると溶接金属の靭性が低く、また目標とする硬さが得られない。一方、Vが0.7%を超えると、溶接金属にヒートチェックが生じ易くなる。また硬さが高くなり過ぎて溶接後の成形加工が困難になる。したがって、Vは0.3〜0.7%とする。

0026

[P:0.02%以下、S:0.02%以下]
PおよびSは、溶接金属のヒートチェック感受性を高くすると共に、靭性を低下させる。したがってPおよびSはそれぞれ0.02%以下とする。

0027

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
まず原料鋼を真空溶解して鋳塊とし、鍛造圧延、伸線、焼鈍を順次した後、1.6mm径まで伸線して長さ1000mmのティグ溶接ワイヤを試作した。試作したティグ溶接ワイヤの化学成分を表1に示す。

0028

0029

溶接試験は、JIS G4404に規定される合金工具鋼SKD61の厚さ40mmの鋼板に、図1に示す溝付き開先を形成して、上記ワイヤを溶加棒としてティグ溶接により多層盛溶接を行なって試験体を作成した。溶接条件は、溶接電流は120〜160A、シールドガスはAr:100%で流量:10〜20L/minである。またワイヤの送給量は2.5〜3.5g/minである。

0030

各試験体についてX線透過試験によりブローホールの有無を調査した。また溶接金属の硬さは各試験体の最上層部の固さをJIS Z2245に準拠してロックウェル硬さスケール(HRC)で測定した。溶接金属の硬さについては、39〜44HRCの範囲にあれば良好と評価した。

0031

溶接金属の耐ヒートチェック性の試験は、溶接金属の中央部から外径15mm、内径4mm、高さ5mmのリング状の試験片採取して、図2に示す装置により加熱・冷却のヒートサイクルを繰り返す試験を行なった。図2において1は耐ヒートチェック性試験片であり、2は加熱コイル、3は加熱コイルの内周に沿って複数個設けられた冷却水ノズルである。この装置により耐ヒートチェック性試験片の外周面高周波加熱し、所定温度に達したのち冷却水噴射して急冷する。ヒートサイクルの条件は、4秒で700℃まで加熱後ただちに水冷して3秒で常温にするというもので、これを1000回繰り返した。試験後、耐ヒートチェック性試験片の外周面において、90度ごとの4個所で割れの長さを顕微鏡を使用して測定した。その結果、1cm2当たりに換算して割れの長さの総計が4mm以下であれば良好と評価した。

0032

溶接金属の耐溶損性の試験は、直径10mm、長さ30mmの試験部と、直径8mm、長さ30mmの掴み部とを有する段付き円柱状の試験片を溶接金属の中央部から採取し、アルミニウムダイカスト鋳型における溶損の条件を模した試験装置により行なった。図3は耐溶損性の試験装置を説明する図であって、回転軸13が下向きになるように保持されたモータ12の回転軸に試験片ホルダ14が取り付けられている。耐溶損性試験片11は前記の掴み部を試験片ホルダに挿入することにより、モータの回転軸13から15mm偏心した位置に取り付けられている。これらの下方には溶解炉15が設けられ、昇降装置16により耐溶損性試験片11を溶融アルミニウム17に浸漬させることができる。なお図3中18は試験片の掴み部を保護するための保護カバー、19は溶解炉のヒータである。試験の条件は溶融アルミニウムの温度は750℃、モータの回転速度は200rpmで、20分間の浸漬による試験片の重量の減少を測定し、溶損減量が8g以下を良好とした。

0033

また溶接金属の靭性の調査は、溶接金属表面から7mm下を中心にシャルピー衝撃試験片(JIS Z2202 4号)を採取して評価した。衝撃試験は温度0℃で繰返し3本行ない吸収エネルギー平均値が50J以上を合格とした。

0034

これらの試験の結果を表2にまとめて示す。表1および表2中、ワイヤ記号W1〜W9は本発明例、ワイヤ記号W10〜W18は比較例である。本発明例であるワイヤW1〜W9は、C、Si、Mn、Cr、Mo、WおよびVの含有量が適正であるので、溶接部にブローホールが無く、溶接金属の硬さが適正で、耐ヒートチェック性試験後の割れ長さの総計が短く、さらに溶損減量が少なく、吸収エネルギーも良好で極めて満足な結果であった。

0035

0036

比較例中ワイヤ記号W10は、Cが少ないので溶接金属の硬さが低かった。また、Wが少ないので、溶接金属の溶損減量が多かった。
ワイヤ記号W11は、Cが多いので溶接金属の硬さが高かった。また溶接金属の溶損減量が多かった。

0037

ワイヤ記号W12は、Siが少ないので溶接部にブローホールが生じた。また、Wが多いので溶接金属の硬さが高過ぎ、ヒートチェック試験後の割れ長さの総計が長かった。
ワイヤ記号W13は、Siが多いので溶接金属の溶損減量が多く、吸収エネルギーが低値であった。また、Crが多いので溶接金属の硬さが高過ぎ、ヒートチェック試験後の割れ長さの総計が長かった。

0038

ワイヤ記号W14は、Mnが少ないので溶接部にブローホールが生じた。また、溶接金属のヒートチェック試験後の割れ長さの総計が長く、吸収エネルギーも低値であった。さらに、Crが少ないので溶接金属の硬さが低かった。
ワイヤ記号W15は、Mnが多いので溶接金属の溶損減量が多く、吸収エネルギーが低値であった。また、Vが多いので溶接金属の硬さが高過ぎ、ヒートチェック試験後の割れ長さの総計が長かった。

実施例

0039

ワイヤ記号W16は、Moが少ないので溶接金属の硬さが低く、吸収エネルギーも低値であった。
ワイヤ記号W17はMoが多いので溶接金属の硬さが高過ぎ、吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W18は、Vが少ないので溶接金属の硬さが低く、吸収エネルギーも低値であった。

0040

1耐ヒートチェック性試験片
2加熱コイル
3冷却水ノズル
11耐溶損性試験片
12モータ
13回転軸
14試験片ホルダ
15溶解炉
16昇降装置
17溶融アルミニウム
18保護カバー
19 溶解炉のヒータ

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