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図面 (20)

課題

好中球活性化制御機能を有し、好中球活性化調節する機能を有する、好中球活性化調節剤を含む好中球活性化に起因する疾患の治療薬、更に好中球活性化に起因する疾患の検査方法の提供。

解決手段

ヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRG)を有効成分とする好中球活性化調節剤、及び該HRGを有効成分とする好中球血管内皮細胞相互作用抑制剤とする好中球活性化に伴う炎症疾患の治療薬。更に、血中HRG量を測定することによる好中球活性化を伴う炎症性疾患の検査方法。

概要

背景

液中には、細胞性成分として赤血球白血球血小板が存在する。そのうち白血球は、顆粒球好中球好酸球好塩基球)、リンパ球単球の5種類に分類される。好中球はヒトにおいては最も数の多い細胞種で、細菌感染組織障害等の生体防御最前線で機能することがよく知られている。好中球は、細菌菌体成分(例えば、Lipopolysaccharide:LPS)や細菌由来ペプチド補体C5a、IL-8等によって活性化される。好中球は白血球における顆粒球の主要成分の1つで、細菌等の異物生体内侵入すると、その箇所に遊走し、細菌等の異物を貪食し、活性酸素を生じさせる。さらに、リゾチームデフェンシン等の殺菌タンパクを放出(脱顆粒)させ、それらの作用及び更に種々の酸性加水分解酵素の作用等により異物を排除する重要な役割を果たしている。しかし、この活性酸素や殺菌タンパクが過度細胞外に放出されると組織障害をおこし、場合によっては異物の侵入により生じた急性炎症を更に悪化させる。また急性肺障害急性呼吸窮迫症候群、その他好中球関与の炎症等の特定の疾患等の場合にはこの好中球の作用が疾患に対して悪影響を及ぼしていることが知られている。

好中球エラスターゼ(elastase)は、分子量が約3万の中性プロテアーゼであり、アズール顆粒ライソゾーム)に存在する。好中球エラスターゼは、生理的状態では、好中球内で、貪食した細菌や異物を、消化、分解し、好中球外では、エラスチンコラーゲンIII型IV型)、フィブロネクチン免疫グロブリン血液凝固XIII因子などを分解し、組織生合成を調節する。好中球エラスターゼは、過剰に放出されたり、α1-AT(α1-antitrypsin)などのインヒビター欠乏していると、生体構成成分をも分解し、自己の組織障害を引き起こすおそれがある。炎症の際には、好中球が炎症浸潤するが、エラスターゼのように、白血球が産生する物質により、却って、炎症が引き起こされる側面がある。近年特に臨床の場で、好中球エラスターゼの動態と各種疾患が注目されている。好中球エラスターゼは、強力かつ広範なタンパク質分解能を有し、特に細胞外マトリクス成分であるコラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどを分解することから、組織障害因子の一つとして考えられていた。そのため、好中球エラスターゼの阻害作用に着目した医薬品の開発が進んでいる。例えばH2受容体拮抗剤塩酸ラニチジン(医薬品名:ザンタック)は、好中球の細胞内のCa2+濃度を低下させ、好中球エラスターゼの放出を、抑制することが報告されている。また、シベレスタットナトリウム(医薬品名:エラスポール)は、好中球から細胞外へ放出されたエラスターゼの特異的阻害剤であり、日本では呼吸切迫症候群や急性肺障害の適用が認められている治療薬である。これらの薬剤は、本質的には好中球の活性化を抑制する薬物ではなく、活性化された好中球が放出する因子の一つに対してだけ働きかけ、その酵素活性阻害することによって、抗炎症作用が期待されるものである。

上述の如く、活性化された好中球が放出する因子に対して働きかけ、その活性を阻害する物質については報告があるものの、好中球の抑制機構についてはほとんど知られていない。特に、循環血中における好中球の暴走的活性化を防止するために、好中球が非活性化状態に維持されている必要がある。しかしながら、好中球を非活性化状態に維持・制御しうる因子についての報告はない。

HRG(Histidine-rich glycoprotein)は、1972年にHeimburger et al (1972)によって同定された分子量約80kDaの血漿タンパク質である。合計507個のアミノ酸より構成され、そのうちヒスチジンが66存在する高ヒスチジン含有タンパク質であり、主として肝臓で合成され、約100〜150μg/mlという非常に高いと考えられる濃度でヒト血漿中に存在する。HRGは、凝固線溶系の調節や血管新生の制御に関与していることが知られている(非特許文献1)。さらに、HRGポリペプチド投与することによる血管形成を阻害する方法、HRGポリペプチド、HRGポリペプチドに結合する抗体及び受容体、HRG欠乏性血漿及びポリヌクレオチド、HRGポリペプチドをコードするベクター及び宿主細胞を含む、製薬的組成物及び製品が開示されている(特許文献1)。また、血管新生の分野に関し、HRGの中央領域に由来するサブフラグメントを含む抗血管新生活性のある実質的に純粋な連続ポリペプチドの使用に関する開示がある(特許文献2)。

しかしながら、HRGによる好中球の制御に及ぼす影響については、報告されていない。

概要

好中球活性化制御機能を有し、好中球活性化調節する機能を有する、好中球活性化調節剤を含む好中球活性化に起因する疾患の治療薬、更に好中球活性化に起因する疾患の検査方法の提供。ヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRG)を有効成分とする好中球活性化調節剤、及び該HRGを有効成分とする好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制剤とする好中球活性化に伴う炎症疾患の治療薬。更に、血中HRG量を測定することによる好中球活性化を伴う炎症性疾患の検査方法。

目的

本発明は、好中球活性化に起因する疾患の治療薬及び検査方法を提供することを課題とする。さらには、好中球活性化調節剤を含む好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制剤や、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患治療薬を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

請求項2

好中球活性化調節が、好中球活性化阻害である請求項1に記載の好中球活性化調節剤。

請求項3

請求項1又は2に記載の好中球活性化調節剤を含む、好中球血管内皮細胞相互作用抑制剤

請求項4

請求項1又は2に記載の好中球活性化調節剤を含む、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患治療薬

請求項5

請求項6

好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患が、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、急性膵炎、急性肺障害から選択される疾患である、請求項4又は5に記載の治療薬。

請求項7

血中ヒスチジンリッチ糖タンパク質量を測定することを特徴とする、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の検査方法

請求項8

血中ヒスチジンリッチ糖タンパク質量の測定が、免疫学的手法により測定することによる、請求項7に記載の検査方法。

請求項9

好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患が、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患が、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、急性膵炎、急性肺障害、出血性ショックによる肺障害、多臓器不全、火傷、多発外傷、特発性間質性肺線維症、脳外傷、脊髄損傷、神経因性疼痛、脳梗塞、クモ膜下出血後の脳血管攣縮、てんかん症、けいれん重積病、ウイルス脳炎、インフルエンザ脳症、炎症性腸疾患、川崎病、多発性硬化症、糖尿病性血管合併症、肝炎、動脈硬化症、気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、外科手術後臓器障害、放射線治療後臓器障害、腎炎、ネフローゼ症候群、急性腎障害、血液透析、体外循環、人工呼吸、臓器移植後急性・慢性拒絶反応、SLE、関節リウマチ、DIC、自己免疫疾患群、ベーチェット病、心筋炎、心内膜炎、虚血再灌流障害、心筋梗塞、うっ血性心不全、脂肪組織炎症、好中球性皮膚症、スウィート病、スティーブン・ジョンソン症候群、ライ症候群、悪液質、慢性疲労症候群、線維筋痛症から選択される一種又は複数種の疾患である、請求項7に記載の検査方法。

技術分野

0001

本発明は、好中球活性化に起因する疾患の治療薬及び検査方法に関する。より詳しくはヒスチジンリッチ糖タンパク質(Histidine-rich glycoprotein:以下、単に「HRG」という場合がある。)を有効成分とする好中球活性化調節剤に関し、好中球活性化調節剤を含む好中球活性化に起因する疾患の治療薬、さらにはHRGを測定する好中球活性化に起因する疾患の検査方法に関する。

0002

本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願、特願2012−129232号優先権を請求する。

背景技術

0003

液中には、細胞性成分として赤血球白血球血小板が存在する。そのうち白血球は、顆粒球好中球好酸球好塩基球)、リンパ球単球の5種類に分類される。好中球はヒトにおいては最も数の多い細胞種で、細菌感染組織障害等の生体防御最前線で機能することがよく知られている。好中球は、細菌菌体成分(例えば、Lipopolysaccharide:LPS)や細菌由来ペプチド補体C5a、IL-8等によって活性化される。好中球は白血球における顆粒球の主要成分の1つで、細菌等の異物生体内侵入すると、その箇所に遊走し、細菌等の異物を貪食し、活性酸素を生じさせる。さらに、リゾチームデフェンシン等の殺菌タンパクを放出(脱顆粒)させ、それらの作用及び更に種々の酸性加水分解酵素の作用等により異物を排除する重要な役割を果たしている。しかし、この活性酸素や殺菌タンパクが過度細胞外に放出されると組織障害をおこし、場合によっては異物の侵入により生じた急性炎症を更に悪化させる。また急性肺障害急性呼吸窮迫症候群、その他好中球関与の炎症等の特定の疾患等の場合にはこの好中球の作用が疾患に対して悪影響を及ぼしていることが知られている。

0004

好中球エラスターゼ(elastase)は、分子量が約3万の中性プロテアーゼであり、アズール顆粒ライソゾーム)に存在する。好中球エラスターゼは、生理的状態では、好中球内で、貪食した細菌や異物を、消化、分解し、好中球外では、エラスチンコラーゲンIII型IV型)、フィブロネクチン免疫グロブリン血液凝固XIII因子などを分解し、組織生合成を調節する。好中球エラスターゼは、過剰に放出されたり、α1-AT(α1-antitrypsin)などのインヒビター欠乏していると、生体構成成分をも分解し、自己の組織障害を引き起こすおそれがある。炎症の際には、好中球が炎症浸潤するが、エラスターゼのように、白血球が産生する物質により、却って、炎症が引き起こされる側面がある。近年特に臨床の場で、好中球エラスターゼの動態と各種疾患が注目されている。好中球エラスターゼは、強力かつ広範なタンパク質分解能を有し、特に細胞外マトリクス成分であるコラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンなどを分解することから、組織障害因子の一つとして考えられていた。そのため、好中球エラスターゼの阻害作用に着目した医薬品の開発が進んでいる。例えばH2受容体拮抗剤塩酸ラニチジン(医薬品名:ザンタック)は、好中球の細胞内のCa2+濃度を低下させ、好中球エラスターゼの放出を、抑制することが報告されている。また、シベレスタットナトリウム(医薬品名:エラスポール)は、好中球から細胞外へ放出されたエラスターゼの特異的阻害剤であり、日本では呼吸切迫症候群や急性肺障害の適用が認められている治療薬である。これらの薬剤は、本質的には好中球の活性化を抑制する薬物ではなく、活性化された好中球が放出する因子の一つに対してだけ働きかけ、その酵素活性阻害することによって、抗炎症作用が期待されるものである。

0005

上述の如く、活性化された好中球が放出する因子に対して働きかけ、その活性を阻害する物質については報告があるものの、好中球の抑制機構についてはほとんど知られていない。特に、循環血中における好中球の暴走的活性化を防止するために、好中球が非活性化状態に維持されている必要がある。しかしながら、好中球を非活性化状態に維持・制御しうる因子についての報告はない。

0006

HRG(Histidine-rich glycoprotein)は、1972年にHeimburger et al (1972)によって同定された分子量約80kDaの血漿タンパク質である。合計507個のアミノ酸より構成され、そのうちヒスチジンが66存在する高ヒスチジン含有タンパク質であり、主として肝臓で合成され、約100〜150μg/mlという非常に高いと考えられる濃度でヒト血漿中に存在する。HRGは、凝固線溶系の調節や血管新生の制御に関与していることが知られている(非特許文献1)。さらに、HRGポリペプチド投与することによる血管形成を阻害する方法、HRGポリペプチド、HRGポリペプチドに結合する抗体及び受容体、HRG欠乏性血漿及びポリヌクレオチド、HRGポリペプチドをコードするベクター及び宿主細胞を含む、製薬的組成物及び製品が開示されている(特許文献1)。また、血管新生の分野に関し、HRGの中央領域に由来するサブフラグメントを含む抗血管新生活性のある実質的に純粋な連続ポリペプチドの使用に関する開示がある(特許文献2)。

0007

しかしながら、HRGによる好中球の制御に及ぼす影響については、報告されていない。

0008

Blood, Vol.117, No.7, 2093-2101 (2011)

先行技術

0009

特表2004−527242号公報
特表2007−528710号公報

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、好中球活性化に起因する疾患の治療薬及び検査方法を提供することを課題とする。さらには、好中球活性化調節剤を含む好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制剤や、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患治療薬を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、HRGが好中球活性の制御機能を有することを見出し、HRGを有効成分とする好中球活性化調節剤に係る本発明を完成した。本発明は、HRGを有効成分とする好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制剤や、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患治療薬に及び、血中HRG量を測定することによる好中球活性化を伴う炎症性疾患の検査方法にも及ぶ。

0012

すなわち本発明は、以下よりなる。
1.ヒスチジンリッチ糖タンパク質を有効成分として含有する好中球活性化調節剤。
2.好中球活性化調節が、好中球活性化阻害である前項1に記載の好中球活性化調節剤。
3.前項1又は2に記載の好中球活性化調節剤を含む、好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制剤。
4.前項1又は2に記載の好中球活性化調節剤を含む、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の治療薬。
5.好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患が、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、急性膵炎、急性肺障害、出血性ショックによる肺障害多臓器不全火傷、多発外傷特発性間質性肺線維症脳外傷脊髄損傷神経因性疼痛脳梗塞クモ膜下出血後脳血管攣縮てんかん症、けいれん重積病、ウイルス脳炎インフルエンザ脳症炎症性腸疾患川崎病多発性硬化症糖尿病性血管合併症肝炎動脈硬化症気管支喘息慢性気管支炎肺気腫外科手術後臓器障害放射線治療後臓器障害、腎炎ネフローゼ症候群急性腎障害血液透析体外循環人工呼吸臓器移植後急性慢性拒絶反応SLE関節リウマチDIC自己免疫疾患群、ベーチェット病心筋炎心内膜炎虚血再灌流障害心筋梗塞うっ血性心不全脂肪組織炎症、好中球性皮膚症、スウィート病スティーブン・ジョンソン症候群ライ症候群、悪液質慢性疲労症候群線維筋痛症から選択される一種又は複数種の疾患である、前項4に記載の治療薬。
6.好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患が、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、急性膵炎、急性肺障害から選択される疾患である、前項4又は5に記載の治療薬。
7.血中ヒスチジンリッチ糖タンパク質量を測定することを特徴とする、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の検査方法。
8.血中ヒスチジンリッチ糖タンパク質量の測定が、免疫学的手法により測定することによる、前項7に記載の検査方法。
9.好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患が、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患が、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、急性膵炎、急性肺障害、出血性ショックによる肺障害、多臓器不全、火傷、多発外傷、特発性間質性肺線維症、脳外傷、脊髄損傷、神経因性疼痛、脳梗塞、クモ膜下出血後の脳血管攣縮、てんかん症、けいれん重積病、ウイルス脳炎、インフルエンザ脳症、炎症性腸疾患、川崎病、多発性硬化症、糖尿病性血管合併症、肝炎、動脈硬化症、気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、外科手術後臓器障害、放射線治療後臓器障害、腎炎、ネフローゼ症候群、急性腎障害、血液透析、体外循環、人工呼吸、臓器移植後急性・慢性拒絶反応、SLE、関節リウマチ、DIC、自己免疫疾患群、ベーチェット病、心筋炎、心内膜炎、虚血再灌流障害、心筋梗塞、うっ血性心不全、脂肪組織炎症、好中球性皮膚症、スウィート病、スティーブン・ジョンソン症候群、ライ症候群、悪液質、慢性疲労症候群、線維筋痛症から選択される一種又は複数種の疾患である、前項7に記載の検査方法。

発明の効果

0013

本発明のHRGを有効成分として含有する好中球活性化調節剤によれば、好中球‐血管内皮細胞相互作用を抑制することができ、例えば好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の治療薬として利用することができる。さらに、血中HRG量を測定することで、好中球活性化に起因する疾患の検査方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0014

ヒト血漿からNickel-nitrilotriacetic acid (Ni-NTA)アフィニティクロマトグラフィによりHRGを精製した結果を示す図である。(実施例1)
ヒト血漿から陰イオン交換クロマトグラフィによりHRGを精製した結果を示す図である。(実施例1)
アガロース平板プレートによる好中球遊走能のアッセイ方法を示す図である。(実験例1−1)
アガロース平板プレートによるHRGの好中球遊走能を確認した写真図である。(実験例1−1)
アガロース平板プレートによるfMLP陽性コントロール)の好中球遊走能を確認した写真図である。(実験例1−1)
アガロース平板プレートによるBSA(ウシ血清アルブミン陰性コントロール)の好中球遊走能を確認した写真図である。(実験例1−1)
好中球の形態を確認するための好中球処理方法を示すフローチャートである。(実験例1−2)
HRGで処理したときの好中球の形態を、電子顕微鏡で観察したときの写真図である。陽性コントロールはfMLPであり、陰性コントロールはBSAである。(実験例1−2)
HRGで処理したときの、F-actin及びG-actinの好中球細胞内分布を確認した図である。陽性コントロールはfMLPであり、陰性コントロールはBSAである。(実験例1−2)
好中球を各濃度のHRGで処理したときの形態を、細胞蛍光染色で観察したときの写真図である。(実験例1−2)
HRGで処理したときの、好中球浮遊液流動性をMC-FANで確認した結果を示す図である。陽性コントロールはfMLPであり、陰性コントロールはBSAとHSAである。(実験例1−3)
好中球を各濃度のHRGで処理したときのマイクロプレートへの好中球接着を観察したときの接着細胞数の結果である。(実験例1−4)
HRGで処理したときの好中球の血管内皮細胞への接着能を観察したときのグラフ概念図である。陽性コントロールはfMLPであり、陰性コントロールはHBSSである。(実験例1−4)
CLP敗血症モデルマウスでのHRG動態を確認した結果図である。(実施例2)
CLP敗血症モデルマウスにHRGを投与したときの効果を生存率で確認した結果図である。コントロールはHSA(ヒト血清アルブミン)である。(実施例2)
抗体サンドイッチELISA法による標準品ネイティブヒトHRGタンパク標準液)の測定結果を示す図である。(実施例3)
抗体とNiNTA-HRPプローブサンドイッチELISA法よる 標準品(ネイティブヒトHRGタンパク標準液)の測定結果を示す図である。(実施例4)
ヒト敗血症患者食道癌手術患者、及び健常人における血中HRG量のウエスタンブロット結果とELISAによる測定結果を示す図である。(実施例6)
急性膵炎-ARDSモデルマウスにおける血中HRG経時変化及び各時間経過後の膵臓、肝臓の組織像を示す図である。(実施例7)
敗血症-ARDSモデルマウスの肺組織における5種類の炎症関連遺伝子の発現結果を示す図である。(実施例8)
各濃度の組換えヒトHRG又はヒト血漿由来HRGを作用させたときの好中球の形態を蛍光顕微鏡で観察し、好中球正球化度を確認した結果を示す図である。(実施例9)

0015

本発明は、HRG(Histidine-rich glycoprotein)を有効成分として含む好中球活性化調節剤に関する。本明細書において、有効成分としての「HRG」は、生体成分から単離・精製、遺伝子組換え技術、又は合成などの方法により調製することができる。

0016

本明細書においてHRGは、例えば血漿や血清等の血液、脊髄液リンパ液等の生体成分から単離・精製して調製することができる。特に好適な生体成分は、血漿や血清等の血液成分である。生体成分からHRGを単離・精製する方法は、自体公知の方法又は今後開発されるあらゆる方法を適用することができる。例えば、Ni-NTA(nickel-nitrilotriacetic acid)アガロース樹脂を用いて調製したアフィニティカラムに血漿を通すことによってHRGを単離・精製することができる。

0017

本明細書においてHRGは、遺伝子組換え技術を用いて調製することもできる。遺伝子組換え技術による方法も自体公知又は今後開発されるあらゆる方法を適用することができる。HRGをコードする全長cDNA、又はHRGの活性を有する部分をコードするcDNA、例えば、成熟HRGのアミノ酸配列(配列番号1)をコードする全長cDNA、又は部分をコードするcDNAを、発現ベクタークローニングし、調製することもできる。例えば、GenBankAccession No.NM000412で特定されるヌクレオチドの全体又は部分から、遺伝子組換え技術を用いて調製することもできる。本発明の有効成分としてのHRGは、成熟HRGの全体であっても良いし、成熟HRGのうちHRG活性を有する部分タンパク質又はペプチドであっても良い。さらに、糖鎖を含むものであってもよいし糖鎖がなくても良い。

0018

成熟HRGのアミノ酸配列(配列番号1)
VSPTDCSAVEPEAEKALDLINKRRRDGYLFQLLRIADAHLDRVENTTVYYLVLDVQESDCSVLSRKYWNDCEPPDSRRPSEIVIGQCKVIATRHSHESQDLRVIDFNCTTSSVSSALANTKDSPVLIDFFEDTERYRKQANKALEKYKEENDDFASFRVDRIERVARVRGGEGTGYFVDFSVRNCPRHHFPRHPNVFGFCRADLFYDVEALDLESPKNLVINCEVFDPQEHENINGVPPHLGHPFHWGGHERSSTTKPPFKPHGSRDHHHPHKPHEHGPPPPPDERDHSHGPPLPQGPPPLLPMSCSSCQHATFGTNGAQRHSHNNNSSDLHPHKHHSHEQHPHGHHPHAHHPHEHDTHRQHPHGHHPHGHHPHGHHPHGHHPHGHHPHCHDFQDYGPCDPPPHNQGHCCHGHGPPPGHLRRRGPGKGPRPFHCRQIGSVYRLPPLRKGEVLPLPEANFPSFPLPHHKHPLKPDNQPFPQSVSESCPGKFKSGFPQVSMFFTHTFPK

0019

成熟HRGは、タンパク質分解酵素によってシグナルペプチドが切断されたのち、(1)シスタチン様領域1、(2)シスタチン様領域2、(3)His/Pro領域、及び(4)C末端領域、の主要な4つの領域から構成されている。His/Pro領域は、プロリン残基及びヒスチジン残基に非常に富んでおり、配列番号1で特定されるアミノ酸配列の第330位〜第389位に示すアミノ酸配列で特定することができる。別の態様では、例えばヒト型ではペンタペプチドGHHPH(配列番号2)が保存されたタンデム反復を約12回含むアミノ酸配列で特定することもできる。

0020

本発明の「好中球活性化調節剤」は、上記説明したHRGを有効成分として含む。本発明の「好中球活性化調節剤」には、生体成分から単離・精製して得たHRG又は遺伝子組換えにより得られたHRGを有効成分として含むほか、薬理学的に許容しうる担体を含ませることができる。該薬理学的に許容しうる担体としては、例えば、賦形剤崩壊剤若しくは崩壊補助剤結合剤滑沢剤コーティング剤色素希釈剤基剤溶解剤若しくは溶解補助剤等張化剤pH調節剤安定化剤噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができる。本発明の好中球活性化調節剤として、生体成分から単離・精製して得た粗製物そのものであってもよい。

0021

本発明の好中球活性化調節剤は、好中球の活性を抑制する作用を有するほか、好中球‐血管内皮細胞相互作用を抑制する作用を有する。また、好中球の活性を抑制したり、好中球‐血管内皮細胞相互作用を抑制したりする作用を利用する好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患治療薬に用いることができる。従って、本発明は、好中球活性化調節剤を含む好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制剤や、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の治療薬にも及ぶ。

0022

本発明は、HRGを有効成分として含有する好中球活性化調節剤を使用することを特徴とする、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の治療方法にも及ぶ。

0023

本明細書の「好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患」は、文言通り好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患であればよく、特に限定されないが、例えば敗血症、急性呼吸窮迫症候群、急性膵炎、急性肺障害、出血性ショックによる肺障害、多臓器不全、火傷、多発外傷、特発性間質性肺線維症、脳外傷、脊髄損傷、神経因性疼痛、脳梗塞、クモ膜下出血後の脳血管攣縮、てんかん症、けいれん重積病、ウイルス脳炎、インフルエンザ脳症、炎症性腸疾患、川崎病、多発性硬化症、糖尿病性血管合併症、肝炎、動脈硬化症、気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、外科手術後臓器障害、放射線治療後臓器障害、腎炎、ネフローゼ症候群、急性腎障害、血液透析、体外循環、人工呼吸、臓器移植後急性・慢性拒絶反応、SLE、関節リウマチ、DIC、自己免疫疾患群、ベーチェット病、心筋炎、心内膜炎、虚血再灌流障害、心筋梗塞、うっ血性心不全、脂肪組織炎症、好中球性皮膚症、スウィート病、スティーブン・ジョンソン症候群、ライ症候群、悪液質、慢性疲労症候群、線維筋痛症から選択される一種又は複数種の疾患が挙げられる。特に好適には、敗血症、急性呼吸窮迫症候群、急性膵炎のいずれかから選択される疾患が挙げられる。

0024

本発明の「好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制剤」あるいは「好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患治療薬」は、局所的に投与してもよいし、全身的に投与してもよい。非経口投与用の製剤は、滅菌した水性の、又は非水性の溶液、懸濁液及び乳濁液を含んでいてもよい。非水性希釈剤の例として、プロピレングリコールポリエチレングリコール植物油、例えば、オリーブ油及び有機エステル組成物、例えば、エチルオレエートであり、これらは注射用に適している。水性担体には、水、アルコール性水性溶液、乳濁液、懸濁液、食塩水及び緩衝化媒体が含まれていてもよい。非経口的担体には、塩化ナトリウム溶液リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、リンゲル乳酸及び結合油が含まれていてもよい。静脈内担体には、例えば、液体用補充物、栄養及び電解質(例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)が含まれていてもよい。本発明の好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患治療薬はさらに、保存剤及び他の添加剤、例えば抗微生物化合物抗酸化剤キレート剤及び不活性ガスなどを含むことができる。

0025

本発明の「好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制剤」あるいは「好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患治療薬」は、他の薬剤と共に併用して使用してもよい。例えば、国際公開WO/2012/074043号パンフレットに記載の抗HMGB1モノクローナル抗体を併用して使用することもできる。

0026

本発明は、更に血中HRG量を測定することを特徴とする、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の検査方法に及ぶ。好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の場合は、健常時と比較して血中HRG量が低い傾向が認められる。好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患の具体例は上述の如くである。

0027

血中HRG量の測定方法は定量的に測定可能な方法であればよく、特に限定されないが、例えば免疫学的手法により測定することができる。免疫学的手法としては、抗HRG抗体を用いた測定方法が挙げられ、より具体的には抗体サンドイッチELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法、抗体とNiNTA-HRPプローブサンドイッチELISA法、検出に化学発光を用いるELISA法、ラテックス凝集法やウェスタンブロッティング法等が挙げられる。これらの測定方法に供する検査用試料は、自体公知の方法により採血した検体を通常の臨床検査用試料調製方法により調製した試料を使用することができる。より具体的には、例えば通常の臨床検査用試料の調製方法により調製された血漿試料を検査用試料として使用することができる。

0028

以下、実施例及び実験例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明はもとより下記実施例等により制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。

0029

(実施例1)好中球活性化調節剤の調製
本実施例では、HRGを有効成分とする好中球活性化調節剤の調製について説明する。
本実施例では、ヒト血漿(240ml)を出発原料とし、Ni-NTA(nickel-nitrilotriacetic acid)アフィニティクロマトグラフィ及び高性能液体クロマトグラフィ陰イオン交換カラム(単分散系親水性ポリマービーズ:Mono Q))により、HRGを精製した。ヒト血漿からの精製パターンを、図1及び図2に示した。これにより、分子量約80kDa画分に得られたHRG精製試料が得られた。精製試料はリン酸緩衝液(Phosphate Buffered Saline:1×PBS(-))で透析し、HRGを500〜1000μg/ml(5ml)含む調製物を本発明の好中球活性化調節剤とし、保存した。実験にはHRGの濃度をハンク緩衝液(Hanks' Balanced Salt Solutions:HBSS)を用いて調整して使用した。

0030

(実験例1−1)アガロース平板プレートによる走化能の確認
実施例1で調製した好中球活性化調節剤(HRG:1μM)による水平状態での好中球の走化性を確認した。本実験例では、ヒト末梢血から調製した好中球を5×106 cell/ml含むHBSSを好中球浮遊液とした。陰性コントロールとして、ウシ血清アルブミン(BSA)を1μM含むHBSSを用い、陽性コントロールとしてfMLP(細菌由来の遊走因子:N-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine)を1μM含むHBSSを用いた。

0031

アガロース平板プレートに図3に示すように径3 mmの3つの孔を設け、一方にHBSSを、他方に好中球活性化調節剤などの試料液(sample)を、中央に好中球浮遊液を各々10μl加えた。37℃で3時間培養し、細胞の移動を確認した。その結果、図4Aに示すように、好中球活性化調節剤(HRG)を加えた系では陰性コントロール(BSA)の系(図4C)と同様に好中球の移動を認めなかった。

0032

(実験例1−2)好中球の形態
図5に示すフローチャートに従い実施例1で調製した好中球活性化調節剤(HRG:2μM、最終濃度1μM)50μlを実験例1と同手法により調製した好中球浮遊液(5×105 cell/ml)50μlに加えた系での好中球の形態を電子顕微鏡で観察した。実験例1と同様に、陰性コントロールとしてBSAを、陽性コントロールとしてfMLPを用いた。その結果、図6に示すように、陽性コントロール(fMLP)では多様な形態変化を起こし、接着形態を示したのに対し、好中球活性化調節剤(HRG)を加えた系では、陰性コントロール(BSA)よりも正球状形態を示すことが観察された。陰性コントロールの場合でも細胞表面に多数の微絨毛突起出現しているのは、細胞処理による刺激によって生じたものと思われるが、好中球活性化調節剤を加えた系では、このような刺激がある場合でも、好中球の活性化を制御し、微絨毛突起の極めて少ない低活性状態を維持しうるものと考えられた。

0033

次に、細胞に存在する重合アクチン(F-actin)及び球形アクチン(G-actin)の分布を観察した。F-actinはAlexa Fluor 568標識ファロイジンで赤に染色し、G-actinはAlexa Fluor 488 標識デオキシリボヌクレアーゼIで緑に染色した。この結果、図7に示すように、好中球活性化調節剤は細胞の形質膜直下にF-actinを配置させることが観察された。

0034

次にイメージングサイトメーターを用いて、各濃度のHRGを含む好中球活性化調節剤を加えた系での細胞の形状を蛍光標識下に確認した。その結果、HRG濃度依存的に細胞が球状を維持しうることが観察された(図8)。

0035

(実験例1−3)好中球の人工キャピラリー透過性
本実験例では、実施例1で調製した好中球活性化調節剤(HRG:最終濃度1μM)による好中球浮遊液の通過性をMC-FAN(Micro Channel array Flow Analyzer)で測定した。実施例1で調製した好中球活性化調節剤を好中球浮遊液に加えた系で、37℃で60分インキュベートした後、MC-FANシリコンチップを用いて通過流動性を測定確認した。陰性コントロールとしてHBSS、BSA(Bovine serum albumin)及びHSA(Human serum albumin)を、陽性コントロールとしてfMLPを用いた。その結果、図9に示すように、好中球活性化調節剤の系では陰性コントロールと比較しても、スムーズな通過性を示した。

0036

(実験例1−4)好中球の接着能
本実験例では、実施例1で調製した各濃度のHRGを含む好中球活性化調節剤を好中球浮遊液に加えて37℃で60分インキュベートした後の、マイクロプレートにおける好中球の接着能をイメージングサイトメーターを用いて測定した。その結果、図10に示すように、好中球活性化調節剤の系ではHRGの濃度依存的に細胞接着性を低下させることが確認された。

0037

次に好中球のヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)への接着能をイメージングサイトメーターを用いて測定した。その結果、図11に示すように、好中球活性化調節剤を加えた系では陰性コントロールの系と比較しても細胞接着性は低く維持されていることが確認された。

0038

(実施例2)CLP敗血症モデルマウスに及ぼすHRGの効果
1.CLPモデルマウスでの血中HRG量の変化
本実験例では、盲腸結紮腹膜炎(cecal ligation and puncture: CLP)敗血症モデルでHRG動態を調べた。マウス腹腔内より盲腸を取り出して、盲腸根部縫合糸により結紮し、18ゲージ注射針を用いて盲腸壁層穿刺してCLP敗血症モデルを作製した。単開腹(sham)マウスをコントロールとした。血中生体内のHRGレベルは、血漿をSDS-PAGE電気泳動後、ナイロン膜上に転写し、ウエスタンブロットにより検出し、測定した。
その結果、CLP敗血症モデル群のほうがsham群に比べて、HRGが有意に低下していることが観察された(図12)。

0039

2.CLP敗血症モデルマウスに及ぼすHRGの効果
本実施例では、上記と同手法で作製したCLP敗血症モデルマウスに、実施例1で調製した好中球活性化調節剤を投与したときのマウスの生存率に及ぼす効果を確認した。術後5分、24時間及び48時間目に、調製した好中球活性化調節剤(HRG:400μg/マウス)を尾静脈内投与した(n=10)。HSAをコントロールとした(n=10)。
その結果、カプラマイヤー法で解析した結果、好中球活性化調節剤投与群のほうが、有意に高い累積生存率が確認された(図13)。

0040

(実施例3)HRGの測定方法(抗体サンドイッチELISA法)
本実施例では、抗体サンドイッチELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法による血中HRGの測定方法について説明する。
常法によりヒトHRGにて免疫処理したウサギ免疫血清をProtein Aを用いて精製し、抗ヒトHRGウサギポリクローナル抗体を得た。ウサギ免疫処理に使用したHRGは、実施例1に記載と同手法により調製したものを使用した。0.05M Na2CO3(pH9.6)で調整した抗体溶液10μg/ml(100μl)をELISA用プレートに加え、4℃、16時間固相化した。その後3%BSAでブロッキング処理を行った。
本実施例では、実施例1と同手法により作製した自家製のヒトHRGタンパク標準液(ネイティブヒトHRGタンパク標準液)を試料として確認した。トリス緩衝生理食塩水(Tris-Buffered Saline:TBS)を用いて200-500倍に希釈した各濃度のネイティブヒトHRGタンパク標準液を100μl加え、37℃、2時間インキュベートした。ELISA用プレートをTBSで洗浄後、HRP標識の抗HRGラット単クローン抗体クローン#75-14)(0.25μg/ml)を100μlを加え、37℃、1.5時間インキュベートした。ELISA用プレートをTBSで洗浄後、オルトフタレンアミンとH2O2を基質として加え、30分発色反応を行なった後、3M H2S04 50μlで反応を停止させて波長492nmでの吸光度を測定した。

0041

上記方法により測定したネイティブヒトHRGタンパク標準液の測定結果を図14に示した。

0042

(実施例4)HRGの測定方法(抗体とNiNTA-HRPプローブサンドイッチELISA法)
本実施例では、抗体とNiNTA-HRPプローブサンドイッチELISA法による血中HRGの測定方法について説明する。
本方法では、ラット単クローン抗体(クローン#75-14)を抗原キャプチャー用抗体として用いた。0.05M Na2CO3(pH9.6)で調整した単クローン抗体溶液10μg/ml(100μl)をELISA用プレートに加え、固相化した。その後3%BSAでブロッキング後、実施例3と同様にTBSを用いて200-500倍に希釈した各濃度のネイティブヒトHRGタンパク標準液100μl加え、37℃、2時間インキュベートした。プレートを洗浄後、NiNTA-HRPプローブ(QUIAGEN Cat no. 34530, Tokyo, Japan )(0.25μg/ml)を100μl添加し、37℃、1.5時間インキュベートした。プレートを洗浄後、オルトフタレンヂアミンとH2O2を基質として加え、30分発色反応を行なった後、3M H2S04 50μlで反応を停止させ波長492nmでの吸光度を測定した。

0043

上記方法により測定したネイティブヒトHRGタンパク標準液の測定結果を図15に示した。

0044

(実施例5)HRGの測定方法(ウエスタンブロット法
本実施例では、ウエスタンブロット法による血中HRGの測定方法について説明する。血中HRGは、EDTA入り試験管に採血したヒト血液を加え、遠心分離により得た血漿にプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma, P8340)を添加した後、電気泳動用試料として測定した。前記調製した血漿を、常法に従いSDS-PAGEを行い、ニトロセルロース膜に転写した。3%スキムミルクでニトロセルロース膜をブロッキング処理後、一次抗体として実施例3と同同手法で調製した抗ヒトHRGウサギポリクローナル抗体(2μg/ml)で4℃、16時間反応させた。ニトロセルロース膜を洗浄後、二次抗体としてHRP標識抗ウサギIgGヤギIgGを1μg/ml添加し、37℃、1時間インキュベートした。ニトロセルロース膜を洗浄後、Super Signal(R) West Dura Extended Duration Substrate (Thermo Scientific) を基質として発光反応を行ない、ルミノ・イメージアナライザー(Image Quant Las 4000 mini、GEヘルスケア) で検出した。

0045

(実施例6)ヒト敗血症患者、食道癌手術後患者、及び健常人における血中HRG量
ヒト敗血症患者(3人)、食道癌手術後患者(4人)ならびに健常人(4人)より得た血漿について、実施例4に示すELISA法及び実施例5に示すウエスタンブロット法により血中HRGを測定した。各血漿は、実施例5に記載の方法に従って調製した。

0046

測定結果を図16に示した。ELISA法による測定結果を棒グラフで示し、棒グラフのバーの上部に、ウエスタンブロット法により得られたバンドの画像を示した。その結果、ウエスタンブロットとELISA法による測定結果は略同じ結果を示し、敗血症患者では、健常人と比較し有意に血中HRGが低下していることが確認された。

0047

(実施例7)急性膵炎-ARDSモデルマウスにおける血中HRG経時変化
本実施例では、セルレインによる急性膵炎及び引き続き起こるARDS(急性呼吸窮迫症候群: acute respiratory distress syndrome)のモデルマウスにおける血中HRG経時変化を確認した。マウス(体重 25-30g)にセルレイン100μg/回を1時間間隔で7回静脈注射し、急性膵炎及びARDSを惹起させ、モデルマウスを作製した。セルレイン投与後に経時的に採血し、実施例5の手法で作製した血漿についてHRGをウエスタンブロット法で測定した。

0048

測定結果を図17に示した。実施例2のマウスの敗血症モデル、及び実施例6のヒト敗血症患者と同様に、マウスの急性膵炎-ARDSモデルにおいても、血中HRGが有意に低下することが確認された。さらに各時間経過後の膵臓、肺、肝臓の組織像についても確認した。血中HRGレベルは、セルレイン7回投与直後(7時間後)に有意に低下し、24時間で回復した。膵臓の組織間質の浮腫を伴う炎症は、7時間後に最も強く48時間までで回復に向かった。肺の炎症は、膵炎から続発するARDSと考えられ、7時間後から48時間後まで持続した。肝臓は、24時間後に空胞変性著明となったが、48時間で部分的に回復した。

0049

(実施例8)敗血症-ARDSモデルマウスにおける肺炎症の評価とHRG治療の効果
本実施例では、実施例2に記載と同手法によりCLPで作製したモデルマウスについて、術後24時間で、実施例1で調製した好中球活性化調節剤(HRG)を投与したときの各ARDS病態の評価を行った。

0050

ペントバルビタール腹腔内投与で深麻酔したマウスを経心臓的に脱血し、生食による全身灌流を行なった後、肺組織を摘出し、全RNA抽出を行なった。逆転写酵素でcDNAを合成した後、これを鋳型として下記の5種類の炎症関連遺伝子(TNF-a, PAI-1,Neutrophil elastase,IL-6,iNOS)とGAPDH のmRNA発現をReal-timePCRで定量・評価した。

0051

測定結果を図18に示した。敗血症-ARDSモデルマウスの肺組織における5種類の遺伝子発現は、いずれも著明に上昇していたが、HRG 1.6 mg/kg静脈内投与によって、それらの上昇はすべて有意に抑制されたことが確認された。この結果は、敗血症性ARDSに対し、HRG投与が極めて有効であることを示している。

0052

(実施例9)組換え体ヒトHRGで処理したときの好中球の形態について
本実施例では、遺伝子組換えの手法により作製した組換え体ヒトHRGを有効成分とする好中球活性化調節剤で処理した場合の好中球の形態に及ぼす効果について説明する。

0053

1.組換えヒトHRGを有効成分とする好中球活性化調節剤の調製
組換えヒトHRGは、以下のように作製した。ヒトHRGコーディング領域をコードするDNA(GenBankAccession No.NM000412で特定される塩基配列からなるDNA)を、CMVプロモーターを持つプラスミドベクターライゲーションし、組換え体ヒトHRG作製用ベクターを調製した。HEK293細胞(ヒト胎児腎細胞由来、アデノウイルス5型による形質転換株)を3.5×106cells/10cm 径の細胞培養用ディシュ播種し培養した。培養したHEK293細胞をスクレーパーはがし、浮遊化させたのち、上記組換えヒトHRG作製用ベクターを25μg/OPTI-MEM500μl+FuGENE-HD 50μl/OPTI-MEM 500μl 混合したものを添加し、室温で15分間反応させることでトランスフェクションを行なった。その後、HEK293細胞を37℃で5%CO2下、48時間培養し、組換えヒトHRGを作製した。

0054

組換えヒトHRGを含む培養上清回収し、孔径0.22μmのフィルターでろ過した。1×PBS(-) 30mlで予め洗浄したQIAGEN(R) Ni-NTAアガロースゲル(Sepharose CL-6B支持体にNi-NTAを結合したゲル)を前記ろ過した培養上清に加え、4℃で回転インキュベーションを1時間行ない、組換えヒトHRGをQIAGEN(R) Ni-NTAアガロースゲルに結合させた。QIAGEN(R) Ni-NTAアガロースゲルを精製用カラムに移した後、洗浄液1(30mM Imidazoleを含むPBS (pH7.4)、洗浄液2(1M NaCl +10mM PBS (pH7.4))、洗浄液3(1×PBS (pH7.4))で順次カラムを洗浄した。組換えヒトHRG は、500mM Imidazoleを含むPBS (pH7.4)で、4℃で1時間反応させ溶出を行なった。精製品は、ウエスタンブロットとSDS-PAGE 後のタンパク染色でHRGを確認した。

実施例

0055

2.好中球の形態
上記組換えヒトHRG精製品をHBSS置換してタンパク濃度を調整し、上記実験例1−2に記載と同手法により、各濃度の組換えヒトHRGを作用させたときのヒト好中球正球化活性のアッセイを行なった。比較のため、実施例1で作製したヒト血漿由来HRGについても確認した。その結果を、図19に示した。ヒト血漿由来HRGに比べて組換えヒトHRGは活性が低いものの、HRG濃度依存的に細胞が球状を維持しうることが観察された。

0056

以上詳述したように、本発明のHRGを有効成分として含有する好中球活性化調節剤を使用することで、好中球‐血管内皮細胞相互作用抑制することができ、例えば好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患を治療することができる。また、好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患は、血中HRG量が低下することから、HRGを測定することで好中球活性化に起因する疾患及び/又は好中球活性化を伴う炎症性疾患を検査することができる。

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