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技術 デンプンから生分解性プラスチック原料のL型乳酸を高効率に生産可能な好熱菌資材、並びにL型乳酸の製造方法

出願人 日環科学株式会社株式会社三六九
発明者 酒井謙二田代幸寛プラマドポウデル宮本浩邦宮本久
出願日 2014年9月4日 (7年2ヶ月経過) 出願番号 2014-194405
公開日 2016年4月14日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2016-052297
状態 未査定
技術分野 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理
主要キーワード 温泉熱 常温条件 ギ酸濃度 グリーンプラスチック 微生物発酵物 硫酸鉄七水和物 特許申請 最大比増殖速度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年4月14日)のものです。
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図面 (4)

課題

高温、かつ低窒素源の条件下で高効率的に不溶性生デンプン、並びに加熱デンプンから高効率的に生分解性プラスチック原料L型乳酸生産する技術を提供する。

解決手段

本発明は、30−70℃の幅広発酵温度帯で、かつ0.001%以下の極めて低い有機窒素源においても、基質として生デンプン、並びに加熱デンプンを用いて、従来のアミラーゼ酵素剤を添加しなくとも、好熱性微生物を用いて高効率的に光学純度の高いL型乳酸を生産する技術である。これによって、L型乳酸の発酵時に発生する温度変化の影響を受けにくいためにエネルギーコストが低く、さらに不純物を生産しにくい製造工程において、生デンプン、並びに加熱デンプン、並びにそれらを含む廃棄物から、生分解性プラスチック原料となるポリ乳酸の前駆体であるL型乳酸を高効率的に生産することができる。

概要

背景

地球温暖化をはじめとした地球規模の自然破壊背景として、環境保全を目的としたバイオマス資源の有効利用に関する取り組みが世界中で必要とされている。これらの取り組みの中で、微生物が生み出す乳酸原材料として製造することが可能な化学製品として、いわゆるグリーンプラスチックが注目を集めている(非特許文献1、2)。乳酸を用いて製造できるグリーンプラスチックは、いわゆる生分解性プラスチックと呼ばれ、微生物により分解することが可能であり、石油系の原材料から生産されるプラスチックに比べると製造工程においても環境負荷が少ないと考えられている。このような生分解性プラスチックの原料となる乳酸はL型乳酸であり、L型乳酸を重合したポリL型乳酸によって生分解性プラスチックを製造することができる。したがって、廃棄物などからL型乳酸を効率よく生産可能な技術があれば、自然環境保全のためには極めて有効性が高いということになる。

このようなL型乳酸を生産する技術開発においては、発酵原料としてグルコース活用することが一般化している。一方で、多糖類であるデンプンスターチ、starch)はグルコースがグルコシド結合によって重合した天然高分子であるにも関わらず、直接的にデンプンから乳酸を生産することが困難であり、これまでの技術では、デンプンをアミラーゼによって液化糖化し、活用する技術開発が進められてきた。

例えば、Lactobacillus amylovorusATCC33620、Lactococcus lactis subsp.lactis B84、並びにStreptococcus.bovis 148は、L型乳酸の生産が可能であるが、いずれも40℃以下の常温条件下での生産技術であり、かつ酵母エキス1.0%以上に含まれる高濃度窒素が必要である(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献10、非特許文献12)。そのため、生産工程で発生する発酵熱下げる必要があり、温度を下げるためのエネルギーコストが必要となる。さらに、酵母エキスなどの高価な有機窒素を添加するためのコストも必要である。また、窒素濃度が高くなることによって、アンモニアなどが生産工程で生成する可能性があるため,L型乳酸を生成するためには不純物をとり除く生産工程が必要となる。

一方で、Lactobacillus amylophilus JCM 1125、Lactobacillus plantarum C5、Lactobacillus amylophilus GV6、Lactobacillus manihotivorans LMG 18010T、並びにEnterococcus faecium No.78で酵母エキス0.5%の高濃度の窒素でL型乳酸を生産可能であるが、いずれも前述の菌株同様に、40℃以下の常温条件下での結果である(非特許文献5、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献11)。そのため、前記と同様に生産工程で発生する発酵熱を下げ、高価な酵母エキスを添加する必要があり、温度を下げるためのエネルギーコストと有機窒素を使用するコストが必要となる。

また、既知特許申請技術をみると、例えば、リゾプスオリザエ(Rhizopus oryzae NRRL395)を用いた技術では、発酵装置として気泡塔バイオリアクター(底部から空気を供給する発酵装置)を用いて、35℃で発酵させ、乳酸の生成率としては、68−76%であった(特許文献1)。また、バチルスコアグランスSIM−7DSM14043(Bacillus coagulans SIM−7 DSM14043)を用いた技術では、α−アミラーゼによる部分加水分解物として液化デンプンを発酵原料として用いて、57℃の発酵温度で乳酸収率は、95.5%だった(特許文献2)。次に、バチルス・コアギュランスNBRC12583またはNBRC12714(Bacillus coagulans NBRC12583またはNBRC12714)を用いた技術においては、トウモロコシデンプンを、液化および糖化工程により得られたD−グルコースまたはマルトースまたはマルトオリゴ糖またはこれらの2種以上の生産物の形として、連続式の発酵によって、45℃の発酵温度において、光学純度99.5%であった(特許文献3)。混合微生物を用いた技術としては、汚泥種菌として、加熱したデンプンである米飯パン、めん類を原材料として、55℃で光学純度が91.0−93.5%で乳酸収拾率としては、34.6−100%でバラつきがあった(特許文献4)。バチルス・セレウス(Bacillus cereus JCM 2152)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis subsp.kurustakiATCC33679)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans JCM 2257),バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)JCM 1465を用いた技術としては、いずれもグルコースを用いて、34℃で、それぞれ、98.8%、96.8%、67.9%、94.4%の光学純度で、乳酸収率が、98.5%、85.0%、31.8%、49.3%であった(特許文献5)。

しかしながら、これらの技術は、いずれもデンプンから直接、L型乳酸を生産できないか、あるいは微生物による発酵温度の上昇に耐えられないか、あるいは当該微生物の培養原料として窒素源が少なくても高純度のL型乳酸を生産可能な技術ではなかった。

一方で、本明細書の発明者らは、海産資源残渣を原材料として高温下で発酵させた微生物発酵物に関する研究を進めてきており、L型乳酸の生成が可能であることについては示していた(非特許文献3、4参照)。しかしながら、いずれも高温下でかつ低窒素濃度の培養条件下で、デンプンから直接、高純度のL型乳酸を生産する技術ではなかった。

概要

高温、かつ低窒素源の条件下で高効率的に不溶性生デンプン、並びに加熱デンプンから高効率的に生分解性プラスチック原料のL型乳酸を生産する技術を提供する。 本発明は、30−70℃の幅広い発酵温度帯で、かつ0.001%以下の極めて低い有機窒素源においても、基質として生デンプン、並びに加熱デンプンを用いて、従来のアミラーゼ酵素剤を添加しなくとも、好熱性微生物を用いて高効率的に光学純度の高いL型乳酸を生産する技術である。これによって、L型乳酸の発酵時に発生する温度変化の影響を受けにくいためにエネルギーコストが低く、さらに不純物を生産しにくい製造工程において、生デンプン、並びに加熱デンプン、並びにそれらを含む廃棄物から、生分解性プラスチック原料となるポリ乳酸の前駆体であるL型乳酸を高効率的に生産することができる。

目的

地球温暖化をはじめとした地球規模の自然破壊を背景として、環境保全を目的とした

効果

実績

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請求項1

30〜70℃の温度帯、並びに有機窒素源が0.001%以下の低濃度の条件下において、不溶性生デンプン、又は加熱デンプンから直接的にL型乳酸を高効率で生産可能な好熱菌資材、並びに当該好熱菌資材を用いたL型乳酸の製造方法。

請求項2

30〜70℃の温度帯、並びに窒素源が0.001%以下の低濃度の条件下において、不溶性の生デンプン、又は加熱デンプンから直接的にL型乳酸を高効率で生産可能な好熱菌P−01920を含む微生物資材、並びに当該微生物資材を用いたL型乳酸の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、不溶性生デンプン、並びにデンプン加熱処理した有機原材料から生分解性プラスチック原料であるL型乳酸を高効率的に生産可能な好熱性微生物を含む微生物資材、及び当該微生物資材を用いたL型乳酸の製造方法に関する。

背景技術

0002

地球温暖化をはじめとした地球規模の自然破壊背景として、環境保全を目的としたバイオマス資源の有効利用に関する取り組みが世界中で必要とされている。これらの取り組みの中で、微生物が生み出す乳酸を原材料として製造することが可能な化学製品として、いわゆるグリーンプラスチックが注目を集めている(非特許文献1、2)。乳酸を用いて製造できるグリーンプラスチックは、いわゆる生分解性プラスチックと呼ばれ、微生物により分解することが可能であり、石油系の原材料から生産されるプラスチックに比べると製造工程においても環境負荷が少ないと考えられている。このような生分解性プラスチックの原料となる乳酸はL型乳酸であり、L型乳酸を重合したポリL型乳酸によって生分解性プラスチックを製造することができる。したがって、廃棄物などからL型乳酸を効率よく生産可能な技術があれば、自然環境保全のためには極めて有効性が高いということになる。

0003

このようなL型乳酸を生産する技術開発においては、発酵原料としてグルコース活用することが一般化している。一方で、多糖類であるデンプン(スターチ、starch)はグルコースがグルコシド結合によって重合した天然高分子であるにも関わらず、直接的にデンプンから乳酸を生産することが困難であり、これまでの技術では、デンプンをアミラーゼによって液化糖化し、活用する技術開発が進められてきた。

0004

例えば、Lactobacillus amylovorusATCC33620、Lactococcus lactis subsp.lactis B84、並びにStreptococcus.bovis 148は、L型乳酸の生産が可能であるが、いずれも40℃以下の常温条件下での生産技術であり、かつ酵母エキス1.0%以上に含まれる高濃度窒素が必要である(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献10、非特許文献12)。そのため、生産工程で発生する発酵熱下げる必要があり、温度を下げるためのエネルギーコストが必要となる。さらに、酵母エキスなどの高価な有機窒素を添加するためのコストも必要である。また、窒素濃度が高くなることによって、アンモニアなどが生産工程で生成する可能性があるため,L型乳酸を生成するためには不純物をとり除く生産工程が必要となる。

0005

一方で、Lactobacillus amylophilus JCM 1125、Lactobacillus plantarum C5、Lactobacillus amylophilus GV6、Lactobacillus manihotivorans LMG 18010T、並びにEnterococcus faecium No.78で酵母エキス0.5%の高濃度の窒素でL型乳酸を生産可能であるが、いずれも前述の菌株同様に、40℃以下の常温条件下での結果である(非特許文献5、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献11)。そのため、前記と同様に生産工程で発生する発酵熱を下げ、高価な酵母エキスを添加する必要があり、温度を下げるためのエネルギーコストと有機窒素を使用するコストが必要となる。

0006

また、既知特許申請技術をみると、例えば、リゾプスオリザエ(Rhizopus oryzae NRRL395)を用いた技術では、発酵装置として気泡塔バイオリアクター(底部から空気を供給する発酵装置)を用いて、35℃で発酵させ、乳酸の生成率としては、68−76%であった(特許文献1)。また、バチルスコアグランスSIM−7DSM14043(Bacillus coagulans SIM−7 DSM14043)を用いた技術では、α−アミラーゼによる部分加水分解物として液化デンプンを発酵原料として用いて、57℃の発酵温度で乳酸収率は、95.5%だった(特許文献2)。次に、バチルス・コアギュランスNBRC12583またはNBRC12714(Bacillus coagulans NBRC12583またはNBRC12714)を用いた技術においては、トウモロコシデンプンを、液化および糖化工程により得られたD−グルコースまたはマルトースまたはマルトオリゴ糖またはこれらの2種以上の生産物の形として、連続式の発酵によって、45℃の発酵温度において、光学純度99.5%であった(特許文献3)。混合微生物を用いた技術としては、汚泥種菌として、加熱したデンプンである米飯パン、めん類を原材料として、55℃で光学純度が91.0−93.5%で乳酸収拾率としては、34.6−100%でバラつきがあった(特許文献4)。バチルス・セレウス(Bacillus cereus JCM 2152)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis subsp.kurustakiATCC33679)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans JCM 2257),バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)JCM 1465を用いた技術としては、いずれもグルコースを用いて、34℃で、それぞれ、98.8%、96.8%、67.9%、94.4%の光学純度で、乳酸収率が、98.5%、85.0%、31.8%、49.3%であった(特許文献5)。

0007

しかしながら、これらの技術は、いずれもデンプンから直接、L型乳酸を生産できないか、あるいは微生物による発酵温度の上昇に耐えられないか、あるいは当該微生物の培養原料として窒素源が少なくても高純度のL型乳酸を生産可能な技術ではなかった。

0008

一方で、本明細書の発明者らは、海産資源残渣を原材料として高温下で発酵させた微生物発酵物に関する研究を進めてきており、L型乳酸の生成が可能であることについては示していた(非特許文献3、4参照)。しかしながら、いずれも高温下でかつ低窒素濃度の培養条件下で、デンプンから直接、高純度のL型乳酸を生産する技術ではなかった。

0009

酒井謙二、谷口正之「循環型社会支えラクテートインダストリーの新たな研究潮流生物工学会誌 第86巻 第7号 p.333−351(2008)Sakai,K.et.al,J.Indust.Ecol.,7,63(2004)Sakai,K.,Ezaki,Y.,2006.Open L−lactic acid fermentation of food refuse using thermophilic Bacillus coagulans and fluorescence in situ hybridization analysis of microflora.J.Biosci.Bioeng.101,457−463.Tashiro,Y.,Matsumoto,H.,Miyamoto,Hirokuni,Okugawa,Y.,Pramod,P.,Miyamoto,Hisashi,Sakai,K.,2013.A novel production process for optically pure L−lactic acid from kitchen refuse using a bacterial consortium at high temperatures.Bioresour.Technol.146,672−681.Yumoto,I.,Ikeda,K.,1995.Direct fermentation of starch to L(+)−lactic acid using Lactobacillus amylophilus.Biotechnol.Lett.17,543−546.Xiaodong,W.,Xuan,G.,Rakshit,S.K.,1997.Direct fermentative production of lactic acid on cassava andotherstarch substrates.Biotechnol.lett.19,841−843.Sanni,A I.,Morlon−Guyot,J.,Guyot,J.P.,2002.New efficient amylase−producing strains of Lactobacillus plantarum and L.fermentum isolated from different Nigerian traditional fermented foods.Int.J.Food Microbiol.72,53−62.Vishnu,V.C.,Seenayya,G.,Reddy,G.,2002.Direct fermentation of various pure and crude starchy substrates to L(+)−lactic acid using Lactobacillus amylophilus GV6,World J.Microbiol.Biotechnol.18,429−433.
Petrov,K.,Urshev,Z.,Petrova,P.,2008.L(+)−lactic acid production from starch by a novel amylolytic Lactococcus lactis subsp.lactis B84.Food Microbiol.25,550−557.Shibata,K.,Flores,D.M.,Kobayashi,G,Sonomoto,K.,2007.Direct L−lactic acid fermentation with sago starch by a novel amylolytic lactic acid bacterium,Enterococcus faecium.Enzyme Microb.Technol.41,149−155.Narita,J.,Nakahara,S.,Fukuda,H.,Kondo,A.,2004.Efficient production of L−(+)−lactic acid from raw starch by Streptococcus bovis 148.J.Biosci.Bioeng.97,423−425.Niisawa C,Oka S,Kodama H.,Hirai M,Kumagai Y,Mori K,Matsumoto J,Miyamoto H,Miyamoto H(2008)Microbial analysis of composted product of marine animal resources and isolation of antagonistic bacteria to plant pathogen from the compost.J Gen Appl Microbibiol 54:149−158Miyamoto H,Seta M,Horiuchi S,Iwasawa Y,Naito T,Nishida A,Miyamoto H,Matsushita T,Itoh K,Kodama H(2013)Potential probiotic thermophiles isolated from mice after compost ingestion.Journal of Applied Microbiology,114(4):1147−1157

先行技術

0010

特開平9−173090特表2004−519244特開2012−16290特開2006−345732特開平9−121877

発明が解決しようとする課題

0011

これまでの技術では、デンプンからL型乳酸を生産する技術において、アミラーゼを用いる技術が主体であった。一部においてアミラーゼを用いない技術も開発されつつあるものの、それらは、発酵温度帯の許容範囲とその上限温度、乳酸の生産効率、L型乳酸の光学純度、培地における窒素源の影響による精製工程のロス率などが問題であった。

0012

具体的に、これまで主として用いられてきた糸状菌等の生産するアミラーゼ酵素添加による糖化と乳酸菌による発酵を同時進行させる、同時糖化発酵SSF)の工程を簡略化する必要がある。

0013

また、微生物の培養に関わるコストとして、発酵工程で生ずる発酵熱にコントロールするための冷却ユニットを設置と、冷却に際して必要になるエネルギーコストを下げる技術が必要である。

0014

さらに、生デンプンから、アミラーゼを用いることなく、かつ低窒素源培地で、直接、高純度のL型乳酸を生産することはできなかったため、生産培地におけるコストがかかっている。

課題を解決するための手段

0015

上記の課題を解決するために、本発明では、発酵工程で生ずる発酵熱に耐えられ、かつL型乳酸の生産効率の高い好熱菌を用いている。さらに培地における窒素源を最小限の濃度として、培地におけるコストも削減しつつ、L型乳酸を高効率に生産できる微生物資材を提供できる点が特徴である。

発明の効果

0016

既知の報告では、高温下でデンプンから直接L型乳酸を報告した事例はない。また、オートクレーブや加熱(蒸煮)処理を受けてない生デンプンからの無蒸煮乳酸発酵の報告例はない。一方、本発明で見い出された好熱菌は、45℃を超える温度条件下において、加熱処理デンプンのみならず、生デンプンについても高純度のL型乳酸を生産できる。また、不溶性デンプンからの直接発酵が可能であることから、加熱による溶解プロセス、溶解による粘度上昇、利用される基質、発酵原料の濃度の上限限界などの諸問題が解決できる。

図面の簡単な説明

0017

P−01920と標準菌株Bacillus thermoamylovoranceを用いたデンプン発酵時におけるL型乳酸濃度経時変化P−01920の微生物学分類上の分子系統樹

0018

本発明の機能性資材としては、MC−07株が好ましい。MC−07株は、製品評価技術基盤機構(NITE)において、2014年9月2日に受託番号:NITE P−01920として寄託された。NITE P−01920(以下、P−01920とする)は、16SrDNA配列は、Bacillus thermoamylovoransの標準菌株LMG 18084Tと相同性が99.2%であるため、Bacillus thermoamylovoransの近縁種であった。

0019

表1は、NITEに寄託したP−01920の16SrDNAの塩基配列を示す。尚、当該配列は、DNA Data Bank of Japan(DDBJ)に公開登録番号:AB849116)されている。

0020

0021

尚、P−01920は、株式会社三六九(大分県築市大字岩谷706−27)の工場内の好熱菌発酵プラントで培養されたコンポストの一つから分離された。当該コンポストについては、その一部の性状について論文報告されている(非特許文献13)。また、当該コンポストをさらに高温下で水溶性に加工した菌体溶液無菌マウス投与し、盲腸内で生着能を有する好熱菌が分離され(非特許文献14)、製品評価技術基盤機構(NITE)に寄託されているBP−863という寄託番号を付与された。P−01920は、このBP−863とも99.4%の相同性であった。

0022

図2は、16SrDNA配列解析から得られたP−01920の微生物学分類上の系統樹を示している。

0023

P−01920は、株式会社三六九(大分県杵築市)においても保存されており、本菌株と共存し、本菌株の機能を損なわない複合微生物群としては、ATCCに受託している受託番号PTA−1773が挙げられる。

0024

本発明で用いられるP−01920の発酵原料としては、デンプン加工工場におけるデンプン残渣、並びに生ゴミなどの食品残渣等の安価な原料を用いることができる。具体的には、非加熱デンプン、加熱デンプン、米飯、パン、めん類、米糠、麦焼酎粕果実搾り粕等が挙げられる。

0025

前培養培地(Tryptone soy agar)として、15g/Lカゼイン消化物,5g/L大豆ミール消化物,5g/L塩化ナトリウム,20g/L可溶性デンプン,15g/L寒天を準備し、本培養培地として、以下の2種類を準備した。デンプンを唯一炭素源とする1)Mineral Salt Medium(MSM):3.06g/L塩化アンモニウム,3.15g/Lリン酸二水素カリウム,0.47g/L塩化マグネシウム六水和物,0.3g/L 塩化ナトリウム,5mg/L硫酸鉄七水和物,0.4mg/L塩化カルシウム二水和物,0.01g/L酵母エキス[DifcoTM;Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ,USA]。また、生ゴミ培地である2)Model Kitchen refuge(MKR)medium:野菜類(66.7g/Lニンジン皮,66.7g/Lキャベツ,66.7g/Lジャガイモ皮),果物類(50g/Lバナナ皮,50g/Lリンゴ皮,50g/L オレンジ皮),70g/L焼き魚,50g/L 飯,30g/L茶殻。これらの培地条件で糖化、液化処理を行わずに乳酸発酵を嫌気培養にて実施したところ、NITE寄託番号P−01920と16SrDNA配列上において近縁種のBacillus thermoamylovoransの標準菌株と比較した結果、P−01920の方が標準菌株よりも発酵効率が高かった。培地としてMSMを用いた場合の結果を図1に示す。P−01920は、培養後24時間で乳酸生産量が最大量となった。一方、標準菌株は、培養後60時間後に最大となった。さらに、この時の吸光度OD660)、最大比増殖速度(μmax)、乳酸濃度(CLA)、乳酸収率(YLA)、乳酸選択性(SLA)、L型乳酸光学純度(OPL−LA)、単位時間当り乳酸生産性(PLA)、酢酸濃度(CAA)、ギ酸濃度(CFA)について測定し、表2にまとめた。

0026

0027

表2に示したように、P−01920は、吸光度が高いことから、標準菌株に比べて、高い増殖能を有していた。また、最大比増殖速度も高く、L型乳酸の純度の100%で高く、その生産濃度と収量が効率的であることが明らかとなった。

0028

さらに、P−01920がL型乳酸の生産する温度帯を調べたところ、30−70℃の間の幅広い範囲で認められた。すなわち、乳酸発酵による培養液中の発酵温度が上昇しても、生産量への悪影響を与えにくいと言えた。

0029

また、P−01920が30〜70℃の高温下を含む幅広い温度帯で乳酸発酵が可能である点を活用して、乳酸発酵を阻害する雑菌が増殖しない効果を期待することができる。実際、生ゴミ培地であるMKRを用いた発酵試験を実施すると、滅菌した条件下でも、非滅菌の条件下でも、同様にL型乳酸を効率的に生産することが可能であった。また、非滅菌の生のデンプン、非滅菌の加熱デンプンを発酵原料としても、高純度のL型乳酸を生産することができた。尚、高温条件に維持するためには、エネルギーの有効利用するために、各種工場の廃熱温泉熱なども適用可能であることが推察される。

0030

培地としてMSMを用いた場合の結果を表3に示す。

0031

その結果、P−01920の酵母エキス濃度を調節し、全窒素濃度0.001%であり、全窒素として極めて少ない濃度においても、50℃の培養条件下で、光学純度の高いL型乳酸を100%製造できることが明らかになっている。

実施例

0032

これらの結果をまとめると図3に示したように、従来技術に対して、本発明技術新規性を持っていると言えた。

0033

NITEP−01920

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