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技術 耐ギ酸性に優れたステンレス鋼

出願人 山陽特殊製鋼株式会社
発明者 妙瀬田真理中間一夫
出願日 2014年8月28日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2014-174619
公開日 2016年4月11日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-050320
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード 汎用ステンレス 腐食度 ポンプ部材 焼入焼戻し クロム炭化物 真空誘導溶解 焼なまし ギ酸溶液
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課題

劣化ガソリンのようなギ酸が存在する環境では、鋼料の腐食が懸念されるので、ギ酸に対する優れた耐食性を有するフェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を提供する。

解決手段

例えば、質量%で、C:0.003〜0.120%、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:11.0%〜24.00%、Ni:2.00%以下、Mo:3.00%以下、Cu:0.10〜2.00%、N:0.01〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。

概要

背景

従来技術とその問題点について説明する。従来の技術では、例えば、自動車燃料ポンプ部材には、高い強度と耐食性が求められることから、汎用マルテンサイト系ステンレス鋼が使用されている。さらに、燃焼供給系部品などにも耐食性が求められるため、汎用のフェライト系ステンレス鋼が使用されることがある。これらは良質なガソリンに対しては耐食性に問題はないものの、劣化ガソリンのようなギ酸が含まれる環境での耐食性に関しては考慮されていない。

その他の従来技術としては、自動車エンジン用燃料噴射装置の材料として、C量を低下させ、Moを添加することで耐食性を改善した鋼が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このものは、メタノールに対する耐食性は考慮されているが、ギ酸に対する耐食性は考慮されていない。

さらに、燃料噴射ノズル材や、内燃機関用オイルリング材として、NbやVやCuを添加することで耐カルボン酸性を向上した鋼が提案されている(例えば、燃料噴射ノズル材としては特許文献2参照、内燃機関用オイルリング材としては特許文献3参照。)。しかし、これらは、いずれも耐ギ酸性に及ぼすCr炭化物の影響が考慮されていない。

また、燃料タンク燃料パイプ用のフェライト系ステンレス鋼板として、MoやVを添加することで劣化ガソリンに対する耐食性向上させたフェライト系ステンレス鋼が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、このものは、MoやVが高価な元素であるため、コスト増を招く問題がある。

概要

劣化ガソリンのようなギ酸が存在する環境では、鋼料の腐食が懸念されるので、ギ酸に対する優れた耐食性を有するフェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼を提供する。 例えば、質量%で、C:0.003〜0.120%、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:11.0%〜24.00%、Ni:2.00%以下、Mo:3.00%以下、Cu:0.10〜2.00%、N:0.01〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。 なし

目的

本発明が解決しようとする課題は、劣化ガソリンのようなギ酸が存在する自動車燃料ポンプ部材や燃焼供給系の部品などにおける環境では、これらの部材や部品などの材料の腐食が懸念されるので、ギ酸に対する優れた耐食性を有するステンレス鋼を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

質量%で、C:0.003〜0.120%、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:11.0%〜24.00%、Ni:2.00%以下、Mo:3.00%以下、Cu:0.10〜2.00%、N:0.01〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼

請求項2

請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種または2種以上を0.10〜2.00%含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼。

請求項3

請求項1の化学成分に加えて、質量%で、質量%で、B:0.001〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼。

請求項4

請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種または2種以上を0.10〜2.00%含有し、さらに、B:0.001〜0.010%の化学成分を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。

請求項5

質量%で、C:0.010〜0.750%、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:11.0%〜18.00%、Ni:2.00%以下、Mo:3.00%以下、Cu:0.10〜2.00%、N:0.01〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼

請求項6

請求項5の化学成分に加えて、質量%で、Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種または2種以上を0.10〜2.00%含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼。

請求項7

請求項5の化学成分に加えて、質量%で、B:0.001〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れた耐食性のマルテンサイト系ステンレス鋼。

請求項8

請求項5の化学成分に加えて、質量%で、Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種または2種以上を0.10〜2.00%含有し、さらに、B:0.001〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れた耐食性のマルテンサイト系ステンレス鋼。

技術分野

0001

この発明は、例えば、自動車燃料ポンプ部材燃焼供給系部品などに使用される汎用ステンレス鋼材に関し、劣化ガソリンのようなギ酸が含まれる環境においても、優れた耐食性を有するステンレス鋼に関する。

背景技術

0002

従来技術とその問題点について説明する。従来の技術では、例えば、自動車燃料ポンプ部材には、高い強度と耐食性が求められることから、汎用マルテンサイト系ステンレス鋼が使用されている。さらに、燃焼供給系部品などにも耐食性が求められるため、汎用のフェライト系ステンレス鋼が使用されることがある。これらは良質なガソリンに対しては耐食性に問題はないものの、劣化ガソリンのようなギ酸が含まれる環境での耐食性に関しては考慮されていない。

0003

その他の従来技術としては、自動車エンジン用燃料噴射装置の材料として、C量を低下させ、Moを添加することで耐食性を改善した鋼が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このものは、メタノールに対する耐食性は考慮されているが、ギ酸に対する耐食性は考慮されていない。

0004

さらに、燃料噴射ノズル材や、内燃機関用オイルリング材として、NbやVやCuを添加することで耐カルボン酸性を向上した鋼が提案されている(例えば、燃料噴射ノズル材としては特許文献2参照、内燃機関用オイルリング材としては特許文献3参照。)。しかし、これらは、いずれも耐ギ酸性に及ぼすCr炭化物の影響が考慮されていない。

0005

また、燃料タンク燃料パイプ用のフェライト系ステンレス鋼板として、MoやVを添加することで劣化ガソリンに対する耐食性向上させたフェライト系ステンレス鋼が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、このものは、MoやVが高価な元素であるため、コスト増を招く問題がある。

先行技術

0006

特開平6−058218号公報
特開平6−128696号公報
特開平6−137430号公報
特開2002−363712号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明が解決しようとする課題は、劣化ガソリンのようなギ酸が存在する自動車燃料ポンプ部材や燃焼供給系の部品などにおける環境では、これらの部材や部品などの材料の腐食が懸念されるので、ギ酸に対する優れた耐食性を有するステンレス鋼を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の手段では、質量%で、C:0.003〜0.120%、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:11.0%〜24.00%、Ni:2.00%以下、Mo:3.00%以下、Cu:0.10〜2.00%、N:0.01〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。

0009

請求項2の手段では、請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種または2種以上を0.10〜2.00%含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。

0010

請求項3の手段では、請求項1の化学成分に加えて、質量%で、B:0.001〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。

0011

請求項4の手段では、請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種または2種以上を0.10〜2.00%含有し、さらに、B:0.001〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。

0012

請求項5の手段では、質量%で、C:0.010〜0.750%、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.10〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:11.0%〜18.00%、Ni:2.00%以下、Mo:3.00%以下、Cu:0.10〜2.00%、N:0.01〜0.10%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼である。

0013

請求項6の手段では、請求項5の化学成分に加えて、質量%で、Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種または2種以上を0.10〜2.00%含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼である。

0014

請求項7の手段では、請求項5の化学成分に加えて、質量%で、B:0.001〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼である。

0015

請求項8の手段では、請求項5の化学成分に加えて、質量%で、Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種または2種以上を0.10〜2.00%含有し、さらに、B:0.001〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下、および58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とすることを特徴とする耐ギ酸性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼である。

発明の効果

0016

本願の請求項1〜4の手段のフェライト系ステンレス鋼および請求項5〜8の手段のマルテンサイト系ステンレス鋼は、いずれのステンレス鋼も、MoやVなどの高価な元素の含有量を抑制しているにもかかわらず、自動車の燃料ポンプ部材や燃焼の供給系部品などの鋼材として使用されるとき、劣化ガソリンのようなギ酸が含まれる環境下において優れた耐食性を有する。

実施例

0017

本発明の実施するための形態に先立って、本願の請求項に係る発明の化学成分の限定理由について説明する。なお、以下の各化学成分における%は、質量%である。

0018

C:0.003〜0.120%
Cは、請求項1〜4の発明に係るフェライト系ステンレス鋼において、強度を上げる元素であり、その効果を得るには0.003%以上の添加が必要である。ところで、この請求項1〜4の鋼はフェライト系ステンレス鋼であるので、Cの含有量は比較的に低く、Cが0.120%を超えて含有されると、ギ酸が含まれる環境下では、耐食性が低下する。そこで、請求項1〜4のフェライト系ステンレス鋼では、Cは0.003〜0.120%以下とする。

0019

C:0.010〜0.750%
Cは、請求項5〜8の発明に係るマルテンサイト系ステンレス鋼において、焼入焼戻し硬さおよび強度を確保して、自動車の燃料ポンプの部材や燃料の供給系の部品などの硬さと強度を保持するために必要な元素である。このために、Cは0.010%以上を必要とする。ところで、この請求項5〜8の鋼はマルテンサイト系ステンレス鋼であるので、Cの含有量はフェライト系ステンレス鋼よりも高いが、Cが0.750%を超えて鋼中に含有されると、ギ酸が含まれる環境下における耐食性が低下する。そこで、請求項5〜8のマルテンサイト系ステンレス鋼では、Cは0.010〜0.750%とする。

0020

Si:0.10〜1.00%
Siは、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼にかかわらず、脱酸元素であり、その効果を得るにはSiは0.10%以上を必要とする。しかし、Siが1.00%を超えて含有されると、靱性が低下する。そこで、Siは0.10〜1.00%とする。

0021

Mn:0.10〜1.00%
Mnは、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼にかかわらず、脱酸元素であり、その効果を得るにはMnは0.10%以上を必要とする。しかし、Mnが1.00%より多く含有されると、耐食性が低下する。そこで、Mnは0.10〜1.00%とする。

0022

P:0.040%以下
Pは、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼にかかわらず、不要な元素で、多く含有されると耐食性、熱間加工性を劣化させるため上限を0.040%とする。

0023

S:0.030%以下
Sは、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼にかかわらず、不要な元素で、多く含有されると硫化物を形成して熱間加工性を低下させるため上限を0.030%とする。

0024

Cr:11.00〜24.00%
Crは、請求項1〜4の発明に係るフェライト系ステンレス鋼において、自動車の燃料ポンプの部材や燃料の供給系の部品などの耐食性を確保するために必要である。このために、Crは11.00%以上を必要とする。しかし、Crが24.00%より多く含有されると、靱性および加工性が低下する。請求項1〜4のフェライト系ステンレス鋼では、Crは11.00〜24.00%とする。

0025

Cr:11.00〜18.00%
Crは、請求項5〜8の発明に係るマルテンサイト系ステンレス鋼において、C量がフェライト系ステンレス鋼に比して多いので、焼入によりマルテンサイト組織となるものであるが、自動車の燃料ポンプの部材や燃料の供給系の部品などの耐食性を確保するために必要である。このために、Crは11.00%以上を必要とする。しかし、Crが18.00%より多く含有されると、靱性および加工性が低下する。請求項5〜8のマルテンサイト系ステンレス鋼では、Crは11.00〜18.00%とする。

0026

Ni:2.00%以下
Niは、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼にかかわらず、耐ギ酸性を改善する効果を有する。しかし、Niが2.00%より多いと熱間加工性を低下させる。そこで、Niは2.00%以下とする。

0027

Mo:3.00%以下
Moは、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼にかかわらず、耐ギ酸性を改善する効果を有する。しかし、Moは高価な元素であり、Moが3.00%より多く含有されるとコスト増となる。そこで、Moは3.00%以下とする。

0028

Cu:0.10〜2.00%
Cuは、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼にかかわらず、耐ギ酸性の耐食性の確保に必要な元素である。そのためには、Cuは0.10%以上を必要とする。しかし、Cuが2.00%より多く含有されると熱間加工性が低下する。そこで、Cuは0.10〜2.00%とする。

0029

N:0.01〜0.10%
Nは、フェライト系ステンレス鋼またはマルテンサイト系ステンレス鋼にかかわらず、強度を上げる元素である。そのためには、Nは0.01%以上を必要とする。しかし、Nが0.10%を超えて含有されると窒化物を多量に生じ靭性が低下する。そこで、Nは0.01〜0.10%とする。

0030

Ti:0.10〜2.00%、Nb:0.10〜2.00%、V:0.10〜2.00%、Ta:0.10〜2.00%、Zr:0.10〜2.00%のうちのいずれか1種は0.10〜2.00%または2種以上は0.10〜2.00%
Ti、Nb、V、Ta、Zrの元素は、1種または2種以上が選択的に含有される元素である。ところで、これらの元素の1種の量が0.10%以上あるいはこれらの元素の2種以上の量が0.10%以上含有されると、それらの元素の炭化物が形成されて耐食性が改善される。しかし、これらの元素の1種の量が2.00%を超えるとあるいはこれらの元素の2種以上の量が2.00%を超えると熱間加工性が低下する。そこで、Tiが0.10〜2.00%、Nbが0.10〜2.00%、Vが0.10〜2.00%、Taが0.10〜2.00%、Zrが0.10〜2.00%で、これらのうちのいずれか1種は0.10〜2.00%または2種以上は0.10〜2.00%とする。

0031

B:0.001〜0.010%
Bは、熱間加工性に必要な元素である。このためには、Bは0.001%以上を必要とする。Bが0.010%を超えると熱間加工性は逆に低下する。そこで、Bは0.001〜0.010%とする。

0032

(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下
請求項1〜4の発明に係るフェライト系ステンレス鋼において、Cuを添加し、耐ギ酸性を向上させた場合においても、クロム炭化物が多量に存在するとギ酸環境ではクロム炭化物を起点として腐食が進行することがある。そこで、Cr、MoおよびC量を適正化させ、クロム炭化物の析出を制限する必要がある。すなわち、(Cr+1.5Mo)×3.0Cは8.50以下とする。

0033

(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下
請求項5〜8の発明に係るマルテンサイト系ステンレス鋼において、Cuを添加し、耐ギ酸性を向上させた場合においても、クロム炭化物が多量に存在するとギ酸環境ではクロム炭化物を起点として腐食が進行することがあり、Cr、MoおよびC量を適正化させ、クロム炭化物の析出を制限する必要がある。すなわち、(Cr+1.5Mo)×Cは8.50以下とする。

0034

58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上
Ni、Cr、Mo、Cuは、添加量を適正化することでギ酸環境における腐食速度を抑制し、耐ギ酸性を向上させる。そこで、このためには、58Ni+Cr+92Mo+259Cuは136以上とする。

0035

本願の発明の実施の形態について以下に記載する。
先ず、本願の発明の各請求項の化学成分を有する鋼を溶製する。この場合、表1に記載するNo.1〜20のフェライト系ステンレス鋼である発明鋼およびNo.21〜23のフェライト系ステンレス鋼である比較鋼について、それぞれ100kgを真空誘導溶解法(VIM法)により溶製した鋼を1050℃に加熱して直径20mmの棒鋼鍛伸し、次いで800℃に焼なまし徐冷を行った。

0036

さらに、表2に記載するNo.24〜46のマルテンサイト系ステンレス鋼である発明鋼およびNo.47〜49のマルテンサイト系ステンレス鋼である比較鋼について、それぞれ100kgを真空誘導溶解法(VIM法)により溶製した鋼を1150℃に加熱して直径20mmの棒鋼に鍛伸し、次いで1030℃から油冷により焼入し、180℃に焼戻し空冷した。

0037

0038

0039

No.1〜20のフェライト系ステンレス鋼である発明鋼およびNo.21〜23のフェライト系ステンレス鋼である比較鋼、並びにNo.24〜46のマルテンサイト系ステンレス鋼である発明鋼およびNo.47〜49のマルテンサイト系ステンレス鋼である比較鋼について、これらを25℃の5%ギ酸溶液に24時間浸漬してその腐食度試験し、その結果を表3に示す。ギ酸に対する腐食度が1時間当たり7.00g/mm2以下であれば、評価を良好であることを示して○とした。一方、ギ酸に対する腐食度が1時間当たり7.00g/mm2を超えるものは、評価を不可であることを示す×とした。

0040

0041

上記の耐ギ酸浸漬試験の結果、本願の各請求項に係る発明鋼である、フェライト系ステンレス鋼であるNo.1〜20において、表1における(Cr+1.5Mo)×3.0Cの耐ギ酸性の低下を示す上限値は8.50以下であり、また、マルテンサイト系ステンレス鋼であるNo.24〜46において、表2における(Cr+1.5Mo)×Cの耐ギ酸性の低下を示す上限値は8.50以下であり、58Ni+Cr+92Mo+259Cuの耐ギ酸性を確保する値は136以上であった。したがって、これらの本願の発明鋼であるNo.1〜20のフェライト系ステンレス鋼およびNo.24〜46のマルテンサイト系ステンレス鋼は、いずれも耐ギ酸性である耐食性が良好であった。すなわち、これらの発明鋼は、劣化ガソリンが存在する自動車の燃料ポンプ部材や燃焼供給系の部品などとして使用されるとき、優れた耐食性が示された。

0042

これに対して、フェライト系ステンレス鋼である比較鋼のNo.21〜22は、表1における(Cr+1.5Mo)×3.0Cの耐ギ酸性の低下を示す上限値の8.50以下であったが、58Ni+Cr+92Mo+259Cuの耐ギ酸性を確保する値は、No.21では20、No.22では132で共に136未満であり、耐ギ酸性が確保できず腐食度が7.00g/mm2を超え不合格となった。また、No.23では58Ni+Cr+92Mo+259Cuの耐ギ酸性を確保する下限値の136以上であったが、(Cr+1.5Mo)×3.0Cの耐ギ酸性の低下を示す値は、8.75と上限値の8.50を超えており、耐ギ酸性が低下し腐食度が7.00g/mm2を超え不合格となった。

0043

さらに、マルテンサイト系ステンレス鋼である比較鋼のNo.47〜48は、表2における(Cr+1.5Mo)×Cの耐ギ酸性の低下を示す上限値の8.50以下であったが、58Ni+Cr+92Mo+259Cuの耐ギ酸性を確保する値は、No.47では16、No.22では131で共に136未満であり、耐ギ酸性が確保できず腐食度が7.00g/mm2を超え不合格となった。また、No.49では58Ni+Cr+92Mo+259Cuの耐ギ酸性を確保する下限値の136以上であったが、(Cr+1.5Mo)×3.0Cの耐ギ酸性の低下を示す値は、8.79と上限値の8.50を超えており、耐ギ酸性が低下し腐食度が7.00g/mm2を超え不合格となった。

0044

結局、比較鋼は、フェライト系ステンレス鋼であってもマルテンサイト系ステンレス鋼であっても、表1と表2に示す全てのNo.21〜23、No.47〜49が、耐ギ酸性の低下または耐ギ酸性の確保のいずれかで、本願の請求項に係る発明を満足するものではなかった。

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