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技術 パワーシートスライド装置及び乗物用シート

出願人 株式会社デルタツーリング
発明者 藤田悦則井上勝博梅崎幾世紀
出願日 2014年12月12日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2014-252524
公開日 2016年4月11日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-049962
状態 特許登録済
技術分野 車両用座席 伝動装置
主要キーワード 調整用貫通孔 不規則振動 外側貫通孔 回転メカニズム 端部保持部材 スライドスクリュー 各補強フレーム 字状板
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

エネルギー損失を小さくして力の伝達効率を上げ、振れ回り振動要因とする異音の発生を抑制する。

解決手段

駆動力伝達機構20が、回転力を発生するモータから構成される駆動部220に加え、駆動部220と左右一対ギヤ機構210,210のうちの一方のギヤ機構210との間に、駆動部220の出力軸に連結され、各ギヤ機構210,210の回転部よりも大きな運動エネルギーを有する独立した回転機構230を備えている。駆動部220と回転機構230との間、回転機構230と一方のギヤ機構210との間、及び、駆動部220と他方のギヤ機構210との間が、それぞれ、駆動部220の運動エネルギー、回転機構230の運動エネルギー並びに各ギヤ機構210,210の回転部の摩擦力及び減衰力のいずれよりも小さな運動エネルギーで回転するフレキシブルシャフト233,234,235により接続されている。

概要

背景

特許文献1に示されているように、乗物用シートパワーシートスライド装置は、例えば各アッパーレールブラケットを介してスライドスクリューを設けると共に、このスライドスクリューに螺合するナット部材を例えば各ロアレールに設ける。左右のスライダ間モータを配置し、モータの出力軸に連結される回転伝達軸を各アッパーレールに設けたギヤ機構連係して、モータの回転駆動力によってスライドスクリューを回転させて各ナット部材との螺合位置を変化させ、それにより、スライドスクリューと共にアッパーレールをロアレールに対して前後動させる構成が採用されている。また、特許文献2及び3では、モータと各ギヤ機構との間の回転伝達軸として、フレキシブルシャフト鋼線多重に巻いたインナーシャフトとその外側を被覆するアウターチューブとからなり、撓み軸、又は、弾性トルクケーブル等と称される場合もある。)を用い、モータの出力軸と各ギヤ機構の入力軸との軸心ずれを吸収し、回転トルクの伝達を良好にする手段が開示されている。

概要

エネルギー損失を小さくして力の伝達効率を上げ、振れ回り振動要因とする異音の発生を抑制する。駆動力伝達機構20が、回転力を発生するモータから構成される駆動部220に加え、駆動部220と左右一対のギヤ機構210,210のうちの一方のギヤ機構210との間に、駆動部220の出力軸に連結され、各ギヤ機構210,210の回転部よりも大きな運動エネルギーを有する独立した回転機構230を備えている。駆動部220と回転機構230との間、回転機構230と一方のギヤ機構210との間、及び、駆動部220と他方のギヤ機構210との間が、それぞれ、駆動部220の運動エネルギー、回転機構230の運動エネルギー並びに各ギヤ機構210,210の回転部の摩擦力及び減衰力のいずれよりも小さな運動エネルギーで回転するフレキシブルシャフト233,234,235により接続されている。

目的

本発明は上記に鑑みなされたものであり、従来よりもエネルギー損失を小さくして力の伝達効率を上げ、また、補助的にエネルギー損失をカバーする機構を採用することにより、一定の力の伝達特性を維持することができ、さらに、回転伝達軸としてより短く軽量なフレキシブルシャフトを使用して、フレキシブルシャフトの本来の目的である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ロアレールに移動可能に設けられ、シートを支持するアッパーレールを有し、所定間隔をおいて左右一対配設されるスライダと、前記各アッパーレールの移動方向に沿って左右一対配設されるスライドスクリューと、前記各スライドスクリューに螺合するナット部材と、前記各スライドスクリュー及び前記各ナット部材のうち、前記アッパーレール側に連結される一方を前記ロアレール側に連結される他方に対して相対的に回転させる駆動力伝達機構とを有するパワーシートスライド装置であって、前記駆動力伝達機構が、前記各アッパーレール又は前記各ロアレールに設けられ、前記各スライドスクリュー及び前記各ナット部材を相対的に回転させる回転力を伝達する左右一対のギヤ機構と、前記左右一対のギヤ機構間に配置され、回転力を発生するモータから構成される駆動部と、前記駆動部と前記左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間に、前記駆動部の出力軸に連結されて配設され、前記駆動部の回転力のエネルギー損失補完する機能を有する回転機構とを有することを特徴とするパワーシートスライド装置。

請求項2

前記回転機構は、前記各ギヤ機構の回転部における摩擦力及び減衰力よりも大きな運動エネルギーを有する請求項1記載のパワーシートスライド装置。

請求項3

前記回転機構が、前記駆動部と前記左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間に、前記駆動部の出力軸に連結されて配設され、前記各ギヤ機構の回転部との質量の差を利用して、前記各ギヤ機構の回転部よりも大きな運動エネルギーを有するように設定されている請求項2記載のパワーシートスライド装置。

請求項4

前記回転機構が、前記駆動部と前記左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間に、前記駆動部の出力軸に連結されて配設され、前記駆動部とは別の電気エネルギーの利用により、前記各ギヤ機構の回転部よりも大きな運動エネルギーを有するように設定されている請求項2記載のパワーシートスライド装置。

請求項5

前記駆動部と前記回転機構との間、前記回転機構と前記左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間、及び、前記駆動部と前記左右一対のギヤ機構のうちの他方のギヤ機構との間が、それぞれ、前記駆動部の運動エネルギー、前記回転機構の運動エネルギー並びに前記各ギヤ機構の回転部の摩擦力及び減衰力のいずれよりも小さな運動エネルギーで回転するフレキシブルシャフトにより接続されている請求項1〜4のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項6

前記各フレキシブルシャフトが前記駆動部、前記回転機構及び前記各ギヤ機構の回転部のいずれにも、スラスト方向に可動に接続されている請求項5記載のパワーシートスライド装置。

請求項7

前記回転機構は、前記駆動部と前記一方のギヤ機構との間に、所定間隔をおいて配置される一対の軸受け部と、前記一対の軸受け部間に掛け渡され、前記駆動部の出力軸に連結される回転シャフトとを有し、前記駆動部と前記回転機構との間を接続する前記フレキシブルシャフトが、前記駆動部と前記回転シャフトとの間を接続して配設され、前記回転機構と前記一方のギヤ機構との間を接続する前記フレキシブルシャフトが、前記回転シャフトと前記一方のギヤ機構との間を接続して配設される請求項4〜6のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項8

前記回転機構は、前記駆動部と前記一方のギヤ機構との間に、所定間隔をおいて配置される一対の軸受け部と、前記一対の軸受け部間に掛け渡され、前記駆動部の出力軸に連結される回転シャフトとを有し、かつ、前記回転シャフトとして、その質量が、前記各ギヤ機構において前記フレキシブルシャフトに接続されるギヤよりも重いものが用いられている請求項4〜7のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項9

前記回転シャフトは、前記駆動部の1/10以上の質量を有する請求項8記載のパワーシートスライド装置。

請求項10

前記回転機構は、さらに、モータから構成される副駆動部を有し、前記回転シャフトが前記副駆動部の出力軸に連結されている請求項7〜9のいずれか1に記載のシートスライド装置

請求項11

前記一対の軸受け部が、弾性部材を用いて形成されている請求項7〜9のいずれか1に記載のシートスライド装置。

請求項12

前記一対の軸受け部の各軸受け孔は、前記回転シャフトの圧入ベル、又は、前記回転シャフトとのクリアランスが、一方と他方とで異なる設定となり、前記回転シャフトにいずれかを中心とする振れ回り運動を生じさせ、前記駆動部の出力軸の振れ回りを吸収可能である請求項11記載のシートスライド装置。

請求項13

前記一方のギヤ機構側に配置される一方の軸受け部の軸受け孔は、前記回転シャフトが圧入され、前記駆動部側に配置される他方の軸受け部の軸受け孔は、前記回転シャフトの外周面とのクリアランス0〜0.5mmとなる内径で形成されている請求項12記載のシートスライド装置。

請求項14

前記一対の軸受け部に形成される前記回転シャフトの軸受け孔が、前記各軸受け部の略中央部に設けられ、前記各軸受け孔を挟んだ両外側部位に、補強フレームがそれぞれ貫通配設される外側貫通孔が設けられており、前記各外側貫通孔に挿入される各補強フレームの各端部が、前記左右一対の各アッパーレールに固定される請求項7〜13のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項15

前記各ロアレールは、内側壁部の高さが、外側壁部の高さよりも低くなる断面略L字状に形成されており、前記回転シャフト及び前記各補強フレームの各軸心の配設位置が、外側壁部の高さよりも低い位置に設定されいる請求項1〜14のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項16

前記各アッパーレールは、所定間隔をおいて向かい合った内側板部及び外側板部を有すると共に、内側板部及び外側板部の下縁外向き折り返し部を、前記各ロアレールの上縁内向き折り返し部に対応するように形成されており、前記各補強フレームの各端部は、前記各アッパーレールにおける前記内側板部及び外側板部を貫通して固定されている請求項14又は15記載のパワーシートスライド装置。

請求項17

前記各アッパーレールに支持される各ギヤ機構を保持する各ギヤ機構用ブラケットが、前記各アッパーレールの前記各板状部材隣接配置され、前記各補強フレームが前記各ギヤ機構用ブラケットも貫通して設けられている請求項15又は16記載のパワーシートスライド装置。

請求項18

前記駆動力伝達機構が、前記各アッパーレールの前方寄りに配置され、前記各アッパーレールの後方寄りに、後方補強フレームが掛け渡されている請求項15〜17のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項19

前記駆動力伝達機構が、前記各アッパーレールの前方寄りに配置され、前記各アッパーレールの後方寄りに、前記各アッパーレールの内方に突出すると共に、前記各ロアレールの内側に位置する上壁部に沿って移動し、前記各アッパーレールの内倒れを抑制する上壁部移動体が設けられている請求項15〜18のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項20

前記各ギヤ機構は、下方に配置されるウォームとその上方で該ウォームに噛み合うウォームホイールとを有して構成され、スライドスクリューの一端が前記ウォームホイールに支持され、他端が前記アッパーレールに固定される端部保持部材により回転可能に支持され、前記スライドスクリューが螺合する雌ねじ部を備えたナット部材が、前記ロアレールに固定されている請求項15〜19のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項21

前記一対の軸受け部は、前記回転シャフトが挿通される各軸受け孔の周囲の領域は、相対的にばね定数の低い柔らかなばね領域として設定され、その外側の前記各補強フレームが挿通される各外側貫通孔の周囲の領域は、相対的にばね定数の高い硬いばね領域として設定されている請求項14〜20のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置。

請求項22

シートクッション及びシートバックを備えた乗物用シートであって、請求項1〜21のいずれか1に記載のパワーシートスライド装置を有することを特徴とする乗物用シート。

技術分野

0001

本発明は、パワーシートスライド装置及び乗物用シートに関する。

背景技術

0002

特許文献1に示されているように、乗物用シートのパワーシートスライド装置は、例えば各アッパーレールブラケットを介してスライドスクリューを設けると共に、このスライドスクリューに螺合するナット部材を例えば各ロアレールに設ける。左右のスライダ間モータを配置し、モータの出力軸に連結される回転伝達軸を各アッパーレールに設けたギヤ機構連係して、モータの回転駆動力によってスライドスクリューを回転させて各ナット部材との螺合位置を変化させ、それにより、スライドスクリューと共にアッパーレールをロアレールに対して前後動させる構成が採用されている。また、特許文献2及び3では、モータと各ギヤ機構との間の回転伝達軸として、フレキシブルシャフト鋼線多重に巻いたインナーシャフトとその外側を被覆するアウターチューブとからなり、撓み軸、又は、弾性トルクケーブル等と称される場合もある。)を用い、モータの出力軸と各ギヤ機構の入力軸との軸心ずれを吸収し、回転トルクの伝達を良好にする手段が開示されている。

先行技術

0003

特開平8−156658号公報
特開平9−86236号公報
特開2005−30448号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上記したパワーシートスライド装置は、いずれも、一つのモータの駆動エネルギーを、モータの出力軸の両側に接続したフレキシブルシャフト等の回転伝達軸を介して左右の各ギヤ機構に伝達してスライドスクリュー及びナット部材を相対回転させている。従って、モータは、両側のスライドスクリュー又はナット部材を回転させるために必要な運動エネルギーを有するものでなければならないが、モータからのエネルギー損失をより少なくするようにモータの力をアシストすることで、より小型・軽量のモータを使用することが可能となり、エネルギー効率を上げることができる。特に、回転伝達軸として、特許文献2及び3に示されたもののように、所定の長さと質量を有するフレキシブルシャフトを用いた場合には、回転の運動エネルギーが大きいため、その振れ回り運動が大きく、ギヤ機構を構成するギヤ同士ウォームウォームホイール)の接触音や、ギヤ間の摩擦熱によりギヤ機構の温度が上昇したりする場合がある。

0005

本発明は上記に鑑みなされたものであり、従来よりもエネルギー損失を小さくして力の伝達効率を上げ、また、補助的にエネルギー損失をカバーする機構を採用することにより、一定の力の伝達特性を維持することができ、さらに、回転伝達軸としてより短く軽量なフレキシブルシャフトを使用して、フレキシブルシャフトの本来の目的であるモータ(駆動部)の回転が停止することによる急激な力の立ち上げ緩和を図りつつ、エネルギー損失を抑制し、フレキシブルシャフト自体の振れ回り運動とスラスト方向の運動によって芯ずれを吸収し、ギヤ機構におけるギヤの振れ回りによる異音の発生や温度上昇を抑制することができるパワーシートスライド装置及び該パワーシートスライド装置を備えた乗物用シートを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するため、本発明のパワーシートスライド装置は、ロアレールに移動可能に設けられ、シートを支持するアッパーレールを有し、所定間隔をおいて左右一対配設されるスライダと、前記各アッパーレールの移動方向に沿って左右一対配設されるスライドスクリューと、前記各スライドスクリューに螺合するナット部材と、前記各スライドスクリュー及び前記各ナット部材のうち、前記アッパーレール側に連結される一方を前記ロアレール側に連結される他方に対して相対的に回転させる駆動力伝達機構とを有するパワーシートスライド装置であって、前記駆動力伝達機構が、前記各アッパーレール又は前記各ロアレールに設けられ、前記各スライドスクリュー及び前記各ナット部材を相対的に回転させる回転力を伝達する左右一対のギヤ機構と、前記左右一対のギヤ機構間に配置され、回転力を発生するモータから構成される駆動部と、前記駆動部と前記左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間に、前記駆動部の出力軸に連結されて配設され、前記駆動部の回転力のエネルギー損失を補完する機能を有する回転機構とを有することを特徴とする。

0007

前記回転機構は、前記各ギヤ機構の回転部における摩擦力及び減衰力よりも大きな運動エネルギーを有することが好ましい。
前記回転機構が、前記駆動部と前記左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間に、前記駆動部の出力軸に連結されて配設され、前記各ギヤ機構の回転部との質量の差を利用して、前記各ギヤ機構の回転部よりも大きな運動エネルギーを有するように設定されていることが好ましい。
前記回転機構が、前記駆動部と前記左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間に、前記駆動部の出力軸に連結されて配設され、前記駆動部とは別の電気エネルギーの利用により、前記各ギヤ機構の回転部よりも大きな運動エネルギーを有するように設定されていることが好ましい。

0008

前記駆動部と前記回転機構との間、前記回転機構と前記左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間、及び、前記駆動部と前記左右一対のギヤ機構のうちの他方のギヤ機構との間が、それぞれ、前記駆動部の運動エネルギー、前記回転機構の運動エネルギー並びに前記各ギヤ機構の回転部の摩擦力及び減衰力のいずれよりも小さな運動エネルギーで回転するフレキシブルシャフトにより接続されていることが好ましい。

0009

前記各フレキシブルシャフトが前記駆動部、前記回転機構及び前記各ギヤ機構の回転部のいずれにも、スラスト方向に可動に接続されていることが好ましい。
前記回転機構は、前記駆動部と前記一方のギヤ機構との間に、所定間隔をおいて配置される一対の軸受け部と、前記一対の軸受け部間に掛け渡され、前記駆動部の出力軸に連結される回転シャフトとを有し、前記駆動部と前記回転機構との間を接続する前記フレキシブルシャフトが、前記駆動部と前記回転シャフトとの間を接続して配設され、前記回転機構と前記一方のギヤ機構との間を接続する前記フレキシブルシャフトが、前記回転シャフトと前記一方のギヤ機構との間を接続して配設されることが好ましい。

0010

前記回転機構は、前記駆動部と前記一方のギヤ機構との間に、所定間隔をおいて配置される一対の軸受け部と、前記一対の軸受け部間に掛け渡され、前記駆動部の出力軸に連結される回転シャフトとを有し、かつ、前記回転シャフトとして、その質量が、前記各ギヤ機構において前記フレキシブルシャフトに接続されるギヤよりも重いものが用いられていることが好ましい。
前記回転シャフトは、前記駆動部の1/10以上の質量を有することが好ましい。
前記回転機構は、さらに、モータから構成される副駆動部を有し、前記回転シャフトが前記副駆動部の出力軸に連結されていることが好ましい。

0011

前記一対の軸受け部が、弾性部材を用いて形成されていることが好ましい。
前記一対の軸受け部の各軸受け孔は、前記回転シャフトの圧入ベル、又は、前記回転シャフトとのクリアランスが、一方と他方とで異なる設定となり、前記回転シャフトにいずれかを中心とする振れ回り運動を生じさせ、前記駆動部の出力軸の振れ回りを吸収可能であることが好ましい。

0012

前記一方のギヤ機構側に配置される一方の軸受け部の軸受け孔は、前記回転シャフトが圧入され、前記駆動部側に配置される他方の軸受け部の軸受け孔は、前記回転シャフトの外周面とのクリアランス0〜0.5mmとなる内径で形成されていることが好ましい。
前記一対の軸受け部に形成される前記回転シャフトの軸受け孔が、前記各軸受け部の略中央部に設けられ、前記各軸受け孔を挟んだ両外側部位に、補強フレームがそれぞれ貫通配設される外側貫通孔が設けられており、前記各外側貫通孔に挿入される各補強フレームの各端部が、前記左右一対の各アッパーレールに固定されることが好ましい。

0013

前記各ロアレールは、内側壁部の高さが、外側壁部の高さよりも低くなる断面略L字状に形成されており、前記回転シャフト及び前記各補強フレームの各軸心の配設位置が、外側壁部の高さよりも低い位置に設定されいることが好ましい。
前記各アッパーレールは、所定間隔をおいて向かい合った内側板部及び外側板部を有すると共に、内側板部及び外側板部の下縁外向き折り返し部を、前記各ロアレールの上縁内向き折り返し部に対応するように形成されており、前記各補強フレームの各端部は、前記各アッパーレールにおける前記内側板部及び外側板部を貫通して固定されていることが好ましい。
前記各アッパーレールに支持される各ギヤ機構を保持する各ギヤ機構用ブラケットが、前記各アッパーレールの前記各板状部材隣接配置され、前記各補強フレームが前記各ギヤ機構用ブラケットも貫通して設けられていることが好ましい。
前記駆動力伝達機構が、前記各アッパーレールの前方寄りに配置され、前記各アッパーレールの後方寄りに、後方補強フレームが掛け渡されていることが好ましい。

0014

前記駆動力伝達機構が、前記各アッパーレールの前方寄りに配置され、前記各アッパーレールの後方寄りに、前記各アッパーレールの内方に突出すると共に、前記各ロアレールの内側に位置する上壁部に沿って移動し、前記各アッパーレールの内倒れを抑制する上壁部移動体が設けられていることが好ましい。
前記各ギヤ機構は、下方に配置されるウォームとその上方で該ウォームに噛み合うウォームホイールとを有して構成され、スライドスクリューの一端が前記ウォームホイールに支持され、他端が前記アッパーレールに固定される端部保持部材により回転可能に支持され、前記スライドスクリューが螺合する雌ねじ部を備えたナット部材が、前記ロアレールに固定されていることが好ましい。
前記一対の軸受け部は、前記回転シャフトが挿通される各軸受け孔の周囲の領域は、相対的にばね定数の低い柔らかなばね領域として設定され、その外側の前記各補強フレームが挿通される各外側貫通孔の周囲の領域は、相対的にばね定数の高い硬いばね領域として設定されていることが好ましい。

0015

また、本発明の乗物用シートは、シートクッション及びシートバックを備えた乗物用シートであって、前記いずれかのパワーシートスライド装置を有することを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明によれば、駆動力伝達機構が、回転力を発生するモータから構成される駆動部に加え、駆動部と左右一対のギヤ機構のうちの一方のギヤ機構との間に、駆動部の出力軸に連結されて配設され、駆動部の回転力のエネルギー損失を補完する機能を有する回転機構を、好ましくは、各ギヤ機構の回転部よりも大きな運動エネルギーを有する回転機構を備えている。すなわち、ここでいう回転機構は、駆動力伝達機構の中で、回転力を発生するモータから構成される駆動部とほぼ同レベル、あるいは、この駆動部に次ぐレベルの回転の運動エネルギーを生じさせることができる。従って、駆動部の回転力がこの回転機構によって補われることになり、エネルギー伝達損失が小さくなる。その結果、駆動部としてより小型、軽量のモータを使用することが可能となる。

0017

また、回転機構は、所定間隔離間した一対の軸受け部間に軸支した回転シャフトを用いて構成することができ、該回転シャフトはギヤ機構の回転部(ウォーム)との質量差により、駆動部からの回転の運動エネルギーが伝達されると自律的に回転し、かつ、軸受け部に支持されているため効率的に回転できる。さらに、この回転シャフトに連結されるモータから構成される副駆動部を設けると、副駆動部の電気エネルギーにより、ギヤ機構の回転部よりも大きな運動エネルギーを備えさせることができ、駆動部の回転のエネルギー損失をさらに小さくできる。回転シャフトは、駆動部の1/10以上の質量を有することが好ましく、この回転シャフトが駆動部にフレキシブルシャフトを介して接続されることで、駆動部が発生する振動に対してダイナミックダンパーの機能を果たし、振動吸収機能が高まる。

0018

そして、一対のスライダ間に、駆動部に加えてこのような回転機構を設けることで、フレキシブルシャフトを各部材間に掛け渡す場合、その長さは、従来の一対のスライダ間に1つのモータのみを配置していた構造と比較して短いもので済む。従来、特許文献2及び3に示されたように、モータと一方のギヤ機構との間では所定以上の長さのフレキシブルシャフトを用いざるを得なかったが、本発明ではその間に、回転の運動エネルギーのポテンシャルの高い回転機構が介在されるため、駆動部と回転機構との間、回転機構と一方のギヤ機構との間に用いられるフレキシブルシャフトは必然的に従来よりも短くなり、芯ずれによる二次慣性力も小さくなる。そして、駆動部と回転機構との間、回転機構と一方のギヤ機構との間、並びに、駆動部と他方のギヤ機構との間に配設される各フレキシブルシャフトは、それぞれに対して回転軸心に沿ったスラスト方向には可動に設けられる。従って、本発明において使用されるフレキシブルシャフトは長さが短く、駆動部、回転機構及び各ギヤ機構のいずれと比較しても、軽量であり、かつ、スラスト方向に可動であるため、フレキシブルシャフトの二次慣性力による運動エネルギーが、各ギヤ機構における回転部の摩擦力及び減衰力よりも小さく、駆動部と回転機構との間、回転機構と一方のギヤ機構との間、並びに、駆動部と他方のギヤ機構との間の芯ずれは、この二次慣性力による運動エネルギーの小さなフレキシブルシャフトの振れ回りを伴う回転運動とスラスト方向への運動によって吸収される。仮に、小さな運動エネルギーを発生するフレキシブルシャフトを介さず、大きな運動エネルギーを発生する駆動部及び回転機構の回転力がそのまま伝わる構成とすると、各ギヤ機構の回転部を構成するギヤ同士、例えばウォームとウォームホイールに振れ回り運動を生じさせ、異音の原因となるギヤ同士の接触音を生じさせたり、振れ回りによるこじりによって発生する摩擦抵抗によって摩擦熱が発生し、ギヤ機構部の温度上昇を生じさせたりするが、本発明によればこのような異音や温度上昇を抑制できる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、本発明の第1の実施形態に係るパワーシートスライド装置を示した前方から見た斜視図である。
図2は、図1のパワーシートスライド装置を後方から見た斜視図である。
図3は、図1のパワーシートスライド装置において、スライダから駆動部及び回転機構を取り外した状態の斜視図である。
図4は、図1のパワーシートスライド装置における駆動部及び回転機構の構造を説明するための分解斜視図である。
図5(a)は図1のパワーシートスライド装置の平面図であり、図5(b)は図5(a)の側面図であり、図5(c)は図5(a)の背面図であり、図5(d)は図5(a)のA−A線断面図であり、図5(e)は図5(a)のB−B線断面図であり、図5(f)は図5(a)のC−C線断面図であり、図5(g)は図5(a)のD−D線断面図である。
図6(a)は図1のパワーシートスライド装置のギヤ機構の構造を説明するための縦断面図であり、図6(b)は図1のパワーシートスライド装置のギヤ機構の構造を説明するための横断面図である。
図7は、実験例1におけるパワーシートスライド装置の前進時の振動に関する実験結果を示した図である。
図8は、実験例1におけるパワーシートスライド装置の後進時の振動に関する実験結果を示した図である。
図9は、図7のパワーシートスライド装置において、スライダから駆動部及び回転機構を取り外した状態の斜視図である。
図10は、図7のパワーシートスライド装置における駆動部及び回転機構の構造を説明するための分解斜視図である。
図11は、本発明の第3の実施形態に係るパワーシートスライド装置を示した前方から見た斜視図である。
図12は、図11のパワーシートスライド装置を後方から見た斜視図である。
図13は、図11のパワーシートスライド装置において、スライダから駆動部及び回転機構を取り外した状態の斜視図である。
図14は、図11のパワーシートスライド装置における駆動部及び回転機構の構造を説明するための分解斜視図である。
図15は、本発明の第4の実施形態に係るパワーシートスライド装置の一例における駆動部及び回転機構の構造を説明するための分解斜視図である。
図16は、上記第4の実施形態に係るパワーシートスライド装置の他の例における駆動部及び回転機構の構造を説明するための分解斜視図である。
図17(a)〜(g)は、第4の実施形態で採用される軸受け部の構造を説明するための図である。
図18は、実験例におけるパワーシートスライド装置の前進時の振動に関する実験結果を示した図である。
図19は、実験例におけるパワーシートスライド装置の後進時の振動に関する実験結果を示した図である。
図20(a),(b)は、振動センサの取り付け位置を示した図である。
図21(a)は、実験例2における後進時の振動の周波数解析の結果を示した図であり、図21(b)は、実施例2における後進時の騒音の周波数解析の結果を示した図である。
図22は、本発明の第5の実施形態に係るパワーシートスライド装置を示した前方から見た斜視図である。
図23は、図22のパワーシートスライド装置において、スライダから駆動部及び回転機構を取り外した状態の斜視図である。
図24は、図22のパワーシートスライド装置における駆動部及び回転機構の構造を説明するための分解斜視図である。
図25は、図22のパワーシートスライド装置の平面図である。
図26は、図25のA−A線断面図である。
図27は、本発明の第6の実施形態に係るパワーシートスライド装置を示した前方から見た斜視図である。
図28は、図27のパワーシートスライド装置において、スライダから駆動部及び回転機構を取り外した状態の斜視図である。
図29は、図27のパワーシートスライド装置における駆動部及び回転機構の構造を説明するための分解斜視図である。
図30は、図27のパワーシートスライド装置の平面図である。
図31(a)は、図27のB−B線断面図であり、図31(b)は、図27のC−C線断面図である。
図32(a)は、第5又は第6実施形態のパワーシートスライド装置にクッションフレームを取り付けた構造の概略構成を示した断面図であり、図32(b)は、幅方向において人との接触部位のない設計仕様の例を示した図である。

実施例

0020

以下、図面に示した実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
図1図5は、本発明の第1の実施形態に係るパワーシートスライド装置1を示した図であり、このパワーシートスライド装置1は、シートクッションの幅方向に所定間隔をおいて配設される左右一対のスライダ10,10、駆動力伝達機構20等を有して構成され、シートクッションのクッションフレーム100を支持し、シートクッションの位置を調整可能となっている。

0021

各スライダ10,10は、所定の長さを有し、シートクッション(クッションフレーム100)の前後方向に長手方向が沿うように固定されるロアレール11,11と、このロアレール11,11の長手方向に沿って移動可能に配設されるアッパーレール12,12とを有して構成され、アッパーレール12,12にシートクッション(クッションフレーム100)が取り付けられる。

0022

ロアレール11,11は、上側開口の断面略U字状に形成され、その内側にアッパーレール12,12が配置される。アッパーレール12,12は、下側開口の断面略逆U字状に形成されている。ロアレール11,11には、アッパーレール12,12の移動方向であるロアレール11,11の長手方向に沿ってスライドスクリュー11a,11aがブラケット11b,11bを介して回転可能に取り付けられている。アッパーレール12,12には、後述する一対のギヤ機構210,210が支持されているが、このギヤ機構210,210を構成するウォームホイール213には、図5(g)及び図6に示したように、軸心に沿って貫通され、スライドスクリュー11a,11aに螺合するねじ溝内周壁面に形成された雌ねじ部213a,213aを有している。この雌ねじ部213a,213aがスライドスクリュー11a,11aに螺合するナット部材に形成された雌ねじ部に相当する。すなわち、本実施形態では、ギヤ機構210,210を構成するウォームホイール213,213がナット部材を兼用している。但し、ギヤ機構210を構成するウォームホイール213,213とスライドスクリュー11a,11aに螺合するナット部材とは別々の部材としてもよいことはもちろんである。

0023

本実施形態では、スライドスクリュー11a,11aに対して、ナット部材に相当するウォームホイール213,213が相対回転すると、ウォームホイール213,213のスライドスクリュー11a,11aに対する螺合位置がスライドスクリュー11a,11aに沿って前後に変位する。ウォームホイール213,213を備えたギヤ機構210,210がアッパーレール12,12に支持されているため、ウォームホイール213,213がスライドスクリュー11a,11aに対して前後に変位すると、アッパーレール12,12も前後に移動する。

0024

駆動力伝達機構20は、左右一対のギヤ機構210,210、駆動部220及び回転機構230を有して構成される。左右一対のギヤ機構210,210は、アッパーレール12,12の上壁部に取り付けられるカバー部材211,211と、このカバー部材211,211に回転可能に支持され、アッパーレール12,12の上壁部に形成した開口部から内側に臨むウォーム212,212と、スライドスクリュー12a,12aに装着され、ウォーム212,212に噛合するウォームホイール213,213を有して構成される(図5(g)、図6参照)。上記のように、ウォームホイール213,213の雌ねじ部213aにスライドスクリュー11a,11aが螺合され、ウォーム212,212によってウォームホイール213,213が回転することにより、ウォームホイール213,213のスライドスクリュー11a,11aに対する螺合位置が変位する。

0025

駆動部220はモータから構成され、上記した左右一対のギヤ機構210,210間に配設される。但し、ギヤ機構210,210間の中央ではなく、いずれか(本実施形態では、図1の右側)のギヤ機構210寄りに配置される。スライダ10,10間の略中央付近では、足入れスペースの確保等のために、いずれかのギヤ機構210寄りに配置される。この点は、従来のパワーシートスライド装置においても同様であるが、従来のパワーシートスライド装置の場合、駆動部であるモータをこのように偏った位置に配置する必要があるため、一方のギヤ機構側に延びるフレキシブルシャフトは相対的に短く、他方のギヤ機構側に延びるフレキシブルシャフトは相対的に長いものが用いられている。相対的に長いフレキシブルシャフトは相対的に短いフレキシブルシャフトと比較して質量もあり回転動作時に振動モードが変化して、なわとび現象が生じ、さらに振れ回りによる運動エネルギーが大きいため、各ギヤ機構210,210の回転部であるウォーム212,212及びウォームホイール213,213がスラストあるいはラジアル方向に振動しながら回転する運動(振れ回り運動)を引き起こし、ウォーム212,212及びウォームホイール213,213間での衝突振動による異音や摩擦熱による温度上昇を生じさせる原因となる場合があった。しかし、本実施形態では、後述する回転機構230を介在させ、駆動部220及び回転機構230間、回転機構230及び一方のギヤ機構210間、駆動部220及び他方のギヤ機構210間に従来の長いフレキシブルシャフトよりも短く軽量なフレキシブルシャフト233,234,235を採用しており、ウォーム212,212及びウォームホイール213,213間での衝突振動による異音や摩擦熱による温度上昇を抑制できる。この点の詳細については後述する。

0026

回転機構230は、回転力を発生する駆動部220とほぼ同レベル、あるいは、駆動力伝達機構20の中で、駆動部220に次ぐレベルの回転の運動エネルギーを有する機構である。すなわち、各ギヤ機構210,210の回転部であるウォーム212,212及びウォームホイール213,213の回転運動を外部から制御して振れ回りの慣性モーメントを小さくするために、回転機構230は各ギヤ機構210,210の回転部が作り出す運動エネルギーよりも大きな回転の運動エネルギーを有する。本実施形態の回転機構230は、駆動部220と一方(図1の左側)のギヤ機構210との間に配置される。駆動部220は他方(図1の右側)のギヤ機構210寄りに配置されるため、従来の相対的に長いフレキシブルシャフトが配設されていた部位に回転機構230が設けられることになる。そして、この回転機構230は、所定間隔をおいて配置される一対の軸受け部231,231と、この一対の軸受け部231,231間に掛け渡される回転シャフト232とを有して構成される。

0027

一対の軸受け部231,231は、弾性部材からなり、後述の第1及び第2フレキシブルシャフト233,234から回転シャフト232に入力される第1及び第2フレキシブルシャフト233,234の振れ回りによる軸直角方向の分力、及び、二次慣性力による振動を吸収すると共に、各構成部品の寸法のばらつきを該弾性部材のばね特性減衰特性により吸収し、さらに回転シャフト232の回転による運動エネルギーにより各フレキシブルシャフト233,234の二次慣性力による運動エネルギーを吸収し、回転位置を自動的に安定させる調芯機能を発揮する。弾性部材としてはゴム合成樹脂等を用いることが可能であるが、ゴムを用いて成形することが、その機能(振動減衰機能自動調芯機能等)やコスト等を考慮すると好ましい。一対の軸受け部231,231は、図4及び図5に示したように、略直方体状に形成され、その略中央部に形成した回転シャフト用貫通孔231a,231aに、筒状に形成された耐摩耗性摺動性に優れた合成樹脂製の軸受け部品231b,231bが装填され、その中空部が軸受け孔231c,231cとして機能する。各軸受け部231,231はまた、軸受け部品231b,231bが装填される回転シャフト用貫通孔231a,231aを挟んだ両外側部位に外側貫通孔231d,231dが形成されている。本実施形態では、回転シャフト用貫通孔231a,231aに軸受け部品231b,231bを装填し、その中空部を軸受け孔231c,231cとしているが、軸受け部品231b,231bを装填せずに、回転シャフト用貫通孔231a,231a自体を軸受け孔として利用することもできる。

0028

各軸受け部231,231に形成された各軸受け孔231c,231cに、回転シャフト232の各端部が挿通されて軸受けされている。回転シャフト232は、所定の質量を有する鋼管、すなわちギヤ機構210,210を構成し、後述の第1フレキシブルシャフト233及び第3フレキシブルシャフト235に接続されるギヤであるウォーム212,212より重い鋼管からなり、これが軸受け孔231c,231cに挿通されているため、ウォーム212との質量差により小さな抵抗で回転可能であり、各軸受け部231,231と回転シャフト232との組み合わせからなる回転機構230は、回転力を受けることにより、その回転力をあまり減衰させることなく伝達することができる。すなわち、本実施形態の回転機構230は、回転力を発生する機能はないが、駆動部220の駆動力によって一旦回転し始めると、ウォーム212,212との質量差によって自律的に回転し、その結果、駆動部220や各スライダ10,10から実質的に独立した回転メカニズムとして機能することになる。それにより、駆動部220を構成するモータに対して高い効率で回転して駆動部220のエネルギー損失を補う機能を果たし、各ギヤ機構210,210の回転部であるウォーム212,212及びウォームホイール213,213よりも大きい回転の運動エネルギーを有している。回転シャフト232は、駆動部220の1/10以上の質量を有することが好ましい。回転シャフト232は、後述するように第2フレキシブルシャフト234を介して駆動部220の出力軸(回転子)221に接続される。そのため、回転シャフト232がこの程度の質量を有すると、駆動部220がその駆動時に発生する振動に対してダイナミックダンパーの機能を果たし、振動吸収機能が高まる。

0029

各軸受け部231,231の各軸受け孔231c,231c(上記のとおり、本実施形態では、軸受け部品231b,231bの中空部であるが、回転シャフト用貫通孔231a,231a自体が軸受け孔となる場合もある)は、回転シャフト232の各端部をそれぞれ挿入配設した際における回転シャフト232の挿入状態が一方の軸受け部231と他方の軸受け部231とで同じ設定とすることももちろん可能であるが、異なる設定とすることが好ましい。すなわち、回転シャフト232の外径と軸受け孔231c,231cの内径との関係で、圧入になる場合には、その圧入の程度を異ならせたり、両者間で僅かなクリアランスが形成される場合にはそのクリアランスを異ならせたりすることにより設定できる。もちろん、これには、一方の軸受け孔231cには回転シャフト232の一方の端部が圧入状態で挿入され、他方の軸受け孔231cには回転シャフト232の他方の端部が僅かなクリアランスをもって挿入される場合も含まれる。回転シャフト232の挿入状態を一方の軸受け部231と他方の軸受け部231とで異ならせることにより、回転シャフト232の各端部のうち、圧入レベルのより高い方の端部、あるいは、クリアランスがより小さい方の端部、すなわち、外周面からの支持圧がより高い方の端部を中心として、その反対側の端部が振れ回り運動を行いやすくなる。このため、駆動部220の駆動時における出力軸221の振れ回りに代わる動きを生じやすくなり、上記のダイナミックダンパーの機能をより発揮しやすくなる。

0030

なお、回転シャフト232は、各軸受け部231b,231bに回転可能に保持されるものであるため、「圧入」といっても、回転シャフト232をその外周面から僅かに押圧してガタつきがないように支持しつつ、その回転力を阻害しない程度であることはもちろんである。

0031

回転シャフト232の一方の端部には第1フレキシブルシャフト233が、他方の端部には第2フレキシブルシャフト234が、それぞれ接続される。第1フレキシブルシャフト233は、一方(図1の左側)のギヤ機構210のウォーム212の回転中心に、スラスト方向に可動に、好ましくはスラスト方向に1〜5mm程度可動に連結され、より好ましくは、ラジアル方向に0.5mm以下のクリアランスをもって連結される。第2フレキシブルシャフト234は、駆動部220の一端側に位置する出力軸221に、スラスト方向に可動に、好ましくはスラスト方向に1〜5mm程度可動に連結され、より好ましくは、ラジアル方向に0.5mm以下のクリアランスをもって連結される。駆動部220の他端側に位置する出力軸(回転子)222は第3フレキシブルシャフト235にその一端が連結され、他端が他方(図1の右側)のギヤ機構210のウォーム212の回転中心に連結される。

0032

回転機構230は、ウォーム212,212との質量差によって自律的に回転し、ギヤ機構210,210の振れ回りによる二次慣性力をパッシブ制御するものであるが、回転機構230及び一方のウォーム212間、駆動部220及び他方のウォーム212間、並びに、回転機構230及び駆動部220間の回転軸心の芯ずれを吸収して回転機構230及び駆動部220の回転力を、ギヤ機構210,210の噛み合い部における衝突振動による影響を軽減して伝達する必要がある。また、駆動部220とその駆動力を利用するために連結される他の部材とのCW,CCWの回転方向が変わるときのショックを吸収し、ギヤの歯欠け等を防止する必要がある。このため、上記の各フレキシブルシャフト233,234,235が設けられる。これらは長くなるほどエネルギーの吸収性はよくなるが、質量が重くなり振動モードが変わりやすく、振れ回りの影響が大きくなってウォーム212,212をばたつかせて異音や発熱の原因になる。しかし、本実施形態では、長いフレキシブルシャフトを配設せざるを得なかった駆動部220と一方(図1の左側)のギヤ機構210との間に、上記した回転エネルギーの大きな回転機構230を介在させているため、駆動部220及び他方のウォーム212間を接続する第3フレキシブルシャフト235と同様、第1及び第2フレキシブルシャフト233,234も長さの短いもので済む。同じ素材で形成した場合、当然、長さが短い方が軽量となり、それにより、各フレキシブルシャフト233,234,235の運動エネルギーは、回転機構230及び駆動部220の運動エネルギーよりも小さくなる。また、各ギヤ機構210,210の回転部であるウォーム212,212及びウォームホイール213,213間の摩擦力、減衰力と比較すると、各フレキシブルシャフト233,234,235の運動エネルギーはそれらよりも小さくなる。

0033

ギヤ機構における異音や温度上昇は、従来の長いフレキシブルシャフトを用いていた側で影響が大きいが、本実施形態は、長いフレキシブルシャフトに代えて回転機構230を設け、該回転機構230を有さない構造よりも、ラジアル方向及びスラスト方向の運動が小さくなって二次慣性力による振れ回り運動が生じにくく、振れ回りを矯正する反力による慣性力が小さい構造である。しかしながら、該回転機構230は小さいながらも振れ回り運動を生じる。そのため、そのままその回転力をウォーム212に伝達したのではウォーム212をばたつかせる要因となる。ところが、本実施形態によれば、第3フレキシブルシャフト235だけでなく、第1及び第2フレキシブルシャフト233,234も運動エネルギーの小さなものを用いているため、それらによって振れ回り運動が吸収され、各ギヤ機構210,210のウォーム212,212をばたつかせることが抑制される。

0034

また、各フレキシブルシャフト233,234,235によって、回転機構230及び駆動部220のラジアル方向及びスラスト方向の振動をより効率的に吸収するために、各フレキシブルシャフト233,234,235自体は、回転機構230及び駆動部220のいずれにも固着されずに、上記のように、スラスト方向に可動に、好ましくはスラスト方向に1〜5mm程度可動に連結され、より好ましくは、ラジアル方向に0.5mm以下のクリアランスをもって接続されること、つまり、回転機構230を構成する回転シャフト232及び駆動部220の出力軸222と共に回転するためラジアル方向にはほぼ一体に回転するものの、ラジアル方向に若干の遊びがあってかつスラスト方向に数mm可動に接続されることが好ましい。すなわち、第1フレキシブルシャフト233の各端部は、一方のギヤ機構210のウォーム212と回転シャフト232の一方の端部とに、第2フレキシブルシャフト234の各端部は、駆動部220と回転シャフト232の他方の端部とに、第3フレキシブルシャフト235の各端部は、駆動部220と他方のギヤ機構210のウォーム212とに、それぞれかしめなどによって固着されずに、いずれかに形成した接続用角穴に0.5mm以下のクリアランスをもって挿通されて配設された構成とすることが好ましい。回転機構230及び駆動部220の振動が、運動エネルギーの小さなこれらのフレキシブルシャフト233,234,235のラジアル方向及びスラスト方向の動きによりさらに効率よく吸収される。また、各軸受け部231,231の弾性により、各フレキシブルシャフト233,234,235の振れ回りによる軸直角方向の分力が吸収される。

0035

ここで、駆動部220は、その周面の少なくとも一部が弾性部材225により被覆されていることが好ましい。弾性部材225は、本実施形態では、図4及び図5(d)に示したように、略菱形ないしは略楕円形に形成され、モータからなる駆動部220が挿通される挿通孔225aを有し、この挿通孔225a内に駆動部220を挿入して配設される。弾性部材225は、挿通孔225aを挟んだ両外側部位に外側貫通孔225b,225bがそれぞれ形成されている。弾性部材225は、上記軸受け部231,231と同様に、ゴム又は合成樹脂を用いて、好ましくはゴムを用いて形成される。駆動部220の周面を弾性部材225により被覆することにより、駆動部220を構成するモータの振動が減衰されて伝わりにくくなり、異音も抑制される。また、この弾性部材225により、回転シャフト232、各フレキシブルシャフト233,234,235が自律的に同芯に近づくように調整され、振れ回りによる振動も抑制され、駆動部220の運動エネルギーの減衰を抑制する。

0036

弾性部材225の両外側部位に形成した外側貫通孔225b,225b及び各軸受け部231,231に形成した外側貫通孔231d,231dには、それぞれ、パイプ材から形成される補強フレーム240,240が挿通されて配設されている。補強フレーム240,240は、一対のスライダ10,10間を跨る長さを有し、各端部240a,240aは、それぞれアッパーレール12,12に取り付け用管部材241,241を介して固定される。なお、取り付け用管部材241,241は、ギヤ機構210,210のカバー部材211,211の両側におけるアッパーレール12の上壁部にねじ止めにより固定される。従って、駆動部220及び一対の軸受け部231,231は、2本の補強フレーム240,240によってアッパーレール12,12間に安定して支持される。

0037

各軸受け部231,231は、上記のように、略中央部に軸受け部品231b,231bが装填される回転シャフト用貫通孔231a,231aが形成され、それぞれにおいて、回転シャフト用貫通孔231aを挟んだ両外側部位に外側貫通孔231d,231dが形成され、各軸受け部231,231同士で対応する外側貫通孔231d,231d間に補強フレーム240,240が掛け渡されている。この結果、各軸受け部231,231において、回転シャフト232が配設される回転シャフト用貫通孔231a,231aの周囲の領域(図17(a)のX領域に相当)は、その外側の各補強フレーム240,240が挿通される各外側貫通孔231d,231dの周囲の領域(図17(a)のY領域に相当)と比較して、相対的にばね定数の低い柔らかなばね領域として設定されることになる。これにより、回転シャフト232に伝達される振れ回り振動は、回転シャフト用貫通孔231a,231aの周囲の領域と、外側貫通孔231d,231dの周囲の領域との間で位相制御されて減衰される。

0038

本実施形態によれば、駆動部220を構成するモータが回転すると、その回転の運動エネルギーによって回転機構230を構成する回転シャフト232が回転する。回転シャフト232は、上記のように、一対の軸受け部231,231に支持されており、自律的に調芯され、スラスト・ラジアルの各方向の二次慣性力が小さくなり、駆動部220の回転力をあまり減衰させない構成となっており、回転機構230は、駆動部220や各スライダ10,10等から独立した回転メカニズムとして作用するものと把握できる。従って、駆動部220から一方(図1の左側)のギヤ機構210までの距離が、駆動部220から他方(図1の右側)のギヤ機構210までの距離よりも長いにも拘わらず、駆動部220の回転力は、該駆動部220に準じて高い回転の運動エネルギーを有する回転シャフト232を介して伝達されるため、回転シャフト232の各端部に第1及び第2フレキシブルシャフト233,234が配設されていても、ウォーム212には僅かなエネルギー損失で回転力が伝達される。すなわち、各ギヤ機構210,210は、駆動部220及び回転機構230との2つの回転メカニズムの作用によって回転運動エネルギーを与えられるものであり、同期をとる、あるいは、CW,CCWに回転方向を変える際に生じるショックを吸収する各フレキシブルシャフトからの音の発生や摩擦の発生によるエネルギー伝達の損失が小さくなる。さらに言えば、一方側のギヤ機構210に伝達される回転エネルギーと、駆動部220の出力軸に直接連結された第3フレキシブルシャフト235を介して他方側のギヤ機構210に伝達される回転エネルギーとの間に大きな差がなく、駆動部220の回転力の伝達効率が極めて高い。従って、駆動部220から他方(図1の右側)のギヤ機構210までの距離に相当する長いフレキシブルシャフトを用いざるを得なかった従来の構造と比較した場合、駆動部220を構成するモータとしてより小型、軽量のものを使用することが可能である。なお、ウォーム212,212に伝達された回転力は、ウォームホイール213,213を回転させる。このウォームホイール213,213のスライドスクリュー11a,11aに対する相対回転により、ギヤ機構210,210が連結されたアッパーレール12,12が前後動する。

0039

また、従来の構造のように長いフレキシブルシャフトを用いる必要がない一方で、運動エネルギーの小さな各フレキシブルシャフト233,234,235によって芯ずれに伴う二次慣性力による振れ回り運動を吸収し、各ギヤ機構210,210に回転力を伝達する構成であるため、ギヤ機構210,210のウォーム212,212及びウォームホイール213,213間の接触による異音や発熱を抑制できる。また、駆動部220は周面の一部が弾性部材225により被覆されて配設され、回転シャフト232を支持する軸受け部231,231も弾性部材から構成される。従って、駆動部220の各出力軸221,222が自律的に調芯され、各出力軸221,222の同軸度上がり、駆動部220に発生する振動も弾性部材225によって吸収され、かつ、回転シャフト232の振れ回りによる振動も弾性部材からなる軸受け部231,231により吸収されやすくなっており、それらを原因とする異音の発生も抑制される。

0040

図7図10は本発明の第2の実施形態に係るパワーシートスライド装置1’を示した図である。なお、第1の実施形態のパワーシートスライド装置1と同じ部材は同じ符号で示す。本実施形態では、回転機構230’として、第1の実施形態における一対の軸受け部231,231間にモータから構成される副駆動部236を配置し、この副駆動部236の出力軸236aに回転シャフト232を連結している。

0041

副駆動部236の周面の少なくとも一部は、略楕円形の弾性部材237により被覆されている。具体的には、弾性部材237は、中央部に挿通孔237aが形成され、挿通孔237aを挟んだ両外側部位に外側貫通孔237b,237bが形成されている。回転シャフト232に連結された副駆動部236を挿通孔237a内に挿通させて弾性部材237を配置する。そして、モータから構成される駆動部220の周面に配置される弾性部材225の外側貫通孔225b,225b、一対の軸受け部231,231の外側貫通孔231d,231dにそれぞれ挿通される補強フレーム240,240を、モータから構成される副駆動部236の周面に配置される弾性部材237の外側貫通孔237b,237bにも挿通して配置する。

0042

副駆動部236を被覆する弾性部材237も、上記した駆動部220を被覆する弾性部材225と同様に、ゴム、合成樹脂等を用いて、好ましくはゴムを用いて形成される。この弾性部材237を設けることにより、副駆動部236を安定した位置に配置できると共に、モータから構成される副駆動部236の駆動時の振動の抑制、回転シャフト232の振動の抑制、各フレキシブルシャフト233,234,235の二次慣性力による振れ回り振動の抑制に貢献でき、これらの振動を要因とする異音の発生を抑制する。従って、この副駆動部236を被覆する弾性部材237も、駆動部220を被覆する弾性部材225と同様に、駆動部220、副駆動部236の運動エネルギーの伝達損失を抑制する機能を果たす。

0043

本実施形態によれば、回転機構230’がモータから構成される副駆動部236を有するため、回転機構230’には副駆動部236が発生する電気エネルギーによる回転力が機能し、その回転力によって回転シャフト232が回転する。上記した第1の実施形態の回転機構230は、回転しやすい構成であるものの、あくまでメインのモータである駆動部220により生じた回転力に従動することで回転シャフト232が回転するものである。これに対し、本実施形態では、回転力が、メインのモータである駆動部220だけでなく、回転シャフト232を直接回転させる別のモータから構成される副駆動部236によっても発生し、その両方のモータの電気エネルギーによる回転力を利用できる。従って、回転機構230’のもつ回転の運動エネルギーは、第1の実施形態の回転機構230よりも大きくなり、駆動部220の有する回転の運動エネルギーとほぼ同等となる。このため、ギヤ機構210,210に、上記第1の実施形態のものと同等の回転力を伝達しようとする場合、駆動部220を構成するモータは、上記した第1の実施形態よりもさらに小型、軽量のものを用いることが可能となる。すなわち、駆動部220、副駆動部236の2つのモータを併用した構成であるため、より小型、軽量化したものを用いて第1の実施形態と同等の回転力を伝達することが可能となる。

0044

なお、副駆動部236の取り付け位置は図7図10に示したものに限定されるものではない。例えば、図11図14に示した本発明の第3の実施形態に係るパワーシートスライド装置1’’のような構成とすることができる。すなわち、第2の実施形態において一対の軸受け部231,231間に配設していた副駆動部236を、一方(図11の左側)の軸受け部231と一方(図11の左側)のギヤ機構210との間に配置している。補強フレーム240,240を、副駆動部236の周面に配置される弾性部材237の外側貫通孔237b,237bに挿通して配置し、図11の左側に位置する第1フレキシブルシャフト233を副駆動部236の出力軸に連結している。また、副駆動部236における一方(図11の左側)のギヤ機構210には第4フレキシブルシャフト238が配置され、第4フレキシブルシャフト238により、副駆動部236の出力軸と一方(図11の左側)のギヤ機構210とが連結されている。

0045

本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、駆動部220及び副駆動部236という2つの回転力を発生する機構を有しており、小型、軽量のモータを用いて回転力の伝達損失が少なく、かつ、振動を抑制し、振動を要因とする異音やギヤ機構210,210における摩擦や衝突振動による発熱の発生の少ない構成とすることができる。

0046

図15図17は、本発明の第4の実施形態を示す。なお、上記各実施形態と同じ機能を果たす部材は同じ記号で示す。上記したように、各軸受け部231,231は、ゴム等の弾性部材から形成され、その略中央部に回転シャフト用貫通孔231a,231aが形成されて回転シャフト232が配設されている。このため、回転シャフト232を支持する回転シャフト用貫通孔231aの周囲の所定の領域は、相対的にばね定数の低い柔らかなばね領域Xで構成され、その外側の補強フレーム240,240が挿通される外側貫通孔231d,231dの周囲の所定の領域は、相対的にばね定数の高い、硬いばね領域Yで構成され(図17(a)参照)、回転シャフト232の振動を2つの領域間で位相制御して減衰できる構造である。本実施形態は、その機能をより顕著に発揮し得る態様を例示したものである。

0047

具体的には、柔らかなばね領域Xにおいて、回転シャフト用貫通孔231aの周囲の所定領域に、該回転シャフト用貫通孔231aの内周面から所定深さの切り欠きや切り込みを1以上形成する構造である。図17(a)〜(g)は、その例を示したものであり、図17(a)〜(c)及び(e)〜(g)は、いずれも回転シャフト用貫通孔231aの内周面から断面略三角錐状の切り欠き231eを放射状に形成した例であり、図17(d)は、回転シャフト用貫通孔231aの内周面から放射状に延びる切り込み231fを形成した例である。切り欠きや切り込みの形成数、深さ、形成位置等は、柔らかなばね領域Xにおいて必要とされる所望のばね定数とするために種々に設定が可能である。また、図17(f)は、図の右側の外側貫通孔231dとの間に、調整用貫通孔231gを形成したものである。これにより、回転シャフト用貫通孔231aの内周面に同数同形状の切り欠き231eを形成した図17(e)と比較して、回転シャフト用貫通孔231a内に挿通される回転シャフト232方向に柔らかなばね領域Xの復元力が作用しやすくなり、貫通孔231eの周囲の変形による減衰力も高めることができる。この復元力、減衰力の調整のため、図17(g)に示したように、調整用貫通孔231gを回転シャフト用貫通孔231aの両側に形成することもできる。調整用貫通孔231gは、復元力、減衰力を適宜に調整できればよいため、その形状、形成数、形成位置、大きさ等は全く限定されるものではない。

0048

回転シャフト用貫通孔231aには、軸受け部品231b’が装填されるが、軸受け部品231b’としては、耐摩耗性に優れ、摩擦係数が小さく、かつ、径方向拡縮可能な金属製、合成樹脂製等のブッシュを用いることができる。径方向に拡縮可能な構造としては、例えば、ブッシュの長手方向にスリット231b’1が形成されたものを用いることができる。回転シャフト用貫通孔231aは、このような構造の軸受け部品231b’が圧入により装填されるような内径に形成される。回転シャフト用貫通孔231a内に圧入された軸受け部品231b’には、その外方から、柔らかなばね領域Xの復元力が作用する。そのため、軸受け部品231b’は、常に、スリット231b’1の対向縁同士が円周方向に近接する方向にすなわちスリット231b’1の幅が狭くなる方向に弾性的に付勢される。

0049

従って、軸受け部品231b’内に挿通される回転シャフト232は、摩擦係数の小さいブッシュからなる該軸受け部品231b’内で支持されることで大きな摩擦抵抗を受けることなく円滑に回転する一方、回転シャフト232の外周面が、軸受け部品231b’に作用する柔らかなばね領域Xの復元力によって弾性的に支持され、この復元力に応じた摩擦力により速度・変位依存型の減衰力が機能する。このため、駆動部220を構成するモータの回転に伴う回転シャフト232の振動は軸受け部231において減衰されることになる。また、回転シャフト232の回転によって軸受け部品231bの内面摩耗した場合でも、軸受け部品231b’は常に回転シャフト用貫通孔231aの内周面の復元力により、スリット231b’1の対向縁同士が円周方向に近接するように弾性的に付勢されているため、その摩耗に追随して常に縮径し、摩耗によって両者間にクリアランスが生じることなく、クリアランスを要因とするガタつきも防止される。

0050

なお、軸受け部231,231は、左右一対設けられるが、回転シャフト232を支持する回転シャフト用貫通孔231aを含む領域を柔らかなばね領域Xとする軸受け部品231b’を備えた本実施形態の構造は、図15に示したように、一方(図の右側)の軸受け部231にのみ設け、他方(図の左側)の軸受け部231は、上記各実施形態と同様の合成樹脂製の円筒の軸受け部品231bを挿入して軸受けとすることもできるし、図16に示したように本実施形態の軸受け部品231b’を備えた構造を両方に設けることもできる。

0051

(実験例1)
図18及び図19は、従来構造のパワーシートスライド装置(比較例1)と、本発明のパワーシートスライド装置1のいくつかの態様(実施例1〜4)について、それぞれ振動センサを取り付け、該振動センサの検出信号を周波数解析することにより、異音の発生原因となる振動レベルを測定したもので、図18が前進時の結果を、図19が後進時の結果を示している。

0052

「比較例1」は、回転シャフト232を採用せず、アッパーレール12,12間に補強フレーム240,240に代わる支持用の鋼板中央プレート)を掛け渡し、この中央プレートに、駆動部220と、駆動部220から他方(図1の右側)のギヤ機構210までの距離に相当する長いフレキシブルシャフトとを固定支持した従来構造のパワーシートスライド装置である。

0053

「実施例1」は、図1図6に示した第1の実施形態に係るパワーシートスライド装置1と基本的には同じであるが、各軸受け部231,231に、軸受け部品231b,231bを装填せずに、回転シャフト用貫通孔231a,231a自体を軸受け孔として回転シャフト232の各端部を回転可能に支持している。なお、回転シャフト用貫通孔231a,231aの内周面と回転シャフト232の外周面とのクリアランスは、左右とも0〜0.5mmの範囲で、対向する2つの周面が押圧されることなく接触し合う設定となっている。また、使用した回転シャフト232は、外径9.0mm、板厚1.0mmで、質量56gであった。回転シャフト232の各端部と、第1及び第2フレキシブルシャフト233,234の回転シャフト232側の各端部とはかしめ固定している。第1及び第2フレキシブルシャフト233,234の反対側の端部、及び、第3フレキシブルシャフト235の両端部は、各ギヤ機構210,210又は駆動部220にかしめずに連結している。

0054

「実施例2」は、図16に示した第4の実施形態に係るパワーシートスライド装置1と基本的に同じ構造であり、各軸受け部231,231の回転シャフト用貫通孔231a,231aの内周面に、図17(d)と同様の形状の切り込み231fを形成している。また、回転シャフト用貫通孔231a,231aには、いずれも、スリット231b’1が形成された金属製の軸受け部品231b’,231b’を装填し、回転シャフト232の各端部を、いずれにも若干圧入されるように挿入している。また、使用した回転シャフト232は、外径6.35mm、板厚1.6mmで、質量40gであった。回転シャフト232の各端部と、第1及び第2フレキシブルシャフト233,234の回転シャフト232側の各端部とはかしめ固定している。第1及び第2フレキシブルシャフト233,234の反対側の端部、及び、第3フレキシブルシャフト235の両端部は、各ギヤ機構210,210又は駆動部220にかしめずに連結している。

0055

「実施例3」は、図1図6に示した第1の実施形態に係るパワーシートスライド装置1と基本的には同じであるが、各軸受け部231,231には、いずれも、スリットが形成された金属製の軸受け部品231b’,231b’を装填している。但し、一方のギヤ機構210側の軸受け部231では、回転シャフト232の一方のギヤ側の端部を該軸受け部品231b’内に若干圧入されるように挿入し、駆動部220側の軸受け部231では、回転シャフト232の駆動部220側の端部の外周面と、該軸受け部品231b’の内周面との間に0〜0.5mmのクリアランスで、対向する2つの周面が押圧されることなく接触し合う設定となっている。従って、実施例3の回転シャフト232は、一方のギヤ210側の端部を中心として、駆動部220側の端部が振れ回り振動を生じやすいように支持されている。また、使用した回転シャフト232は、外径8.0mm、板厚1.0mmで、質量72gであった。また、「実施例3」では、「実施例1」及び「実施例2」と異なり、回転シャフト232の各端部と、第1及び第2フレキシブルシャフト233,234の回転シャフト232側の各端部とはかしめずに挿入連結し、スラスト方向に5mm可動になっている。第1及び第2フレキシブルシャフト233,234の反対側の端部、及び、第3フレキシブルシャフト235の両端部も、各ギヤ機構210,210又は駆動部220にかしめずに連結している。

0056

「実施例4」は、「実施例3」とほぼ同じ構成であるが、軸受け部品231b,231bとしては、いずれも合成樹脂製のブッシュを用いており、また、いずれも、回転シャフト232の外周面とのクリアランスが0〜0.5mmの範囲で、対向する2つの周面が押圧されることなく接触し合う設定となっている。使用した回転シャフト232及び各フレキシブルシャフト233,234,235の連結方法も「実施例3」と同様である。但し、「実施例4」では、駆動部220として、「比較例1」及び「実施例1〜3」で用いたモータよりも、回転子の振れ回り振動の小さなモータを用いている。

0057

図18及び図19に示したように、「比較例1」の振動スペクトルが、「実施例1」、「実施例2」、「実施例3」及び「実施例4」のいずれと比較しても、約250〜850Hzの範囲の周波数帯域で高くなっている。シートクッションに着座している人に音として可聴され、対策が必要となるパワーシートスライド装置における振動は、特に約250〜850Hzの範囲の振動周波数である。その範囲よりも低い場合には、音として伝わりにくく、高い場合には振動スペクトルの強度が低くなっているため空気中で減衰してやはり可聴し難い。

0058

「実施例1」、「実施例2」、「実施例3」及び「実施例4」を比較すると、「実施例1」では250〜270Hz付近、「実施例2」では370〜380Hz付近において振動スペクトルの強度が高く現れている。しかし、回転シャフトとフレキシブルシャフトをかしめ固定していない「実施例3」及び「実施例4」は、約250〜850Hzの範囲では顕著なピークがなく、振動を要因とする異音の発生頻度の点で最も優れている。「実施例3」は、約220Hz付近で若干高いピークが現れているが、これは音として知覚しにくい領域である。なお、「実施例3」が「実施例4」よりも回転子の振れ回り振動の大きなモータを用いているにも拘わらず両者間にあまり差がないのでは、回転シャフト232の一方のギヤ210側の端部を中心とした振れ回り振動が生じやすい構造であるため、ダイナミックダンパーとしての機能が大きく貢献しているものと考えられる。但し、回転子の振れ回り振動の小さなモータを採用した「実施例4」の場合には、「実施例3」のような対策をとるまでもなく、また、合成樹脂製のブッシュであっても、「実施例3」と同等以上の結果であった。

0059

(実験例2)
実験例1における比較例1と同じ従来構造で製作された他のパワーシートスライド装置(比較例2)と、実験例1における実施例4とについて、実験例1と同様に振動測定を改めて行うと同時に、その際の騒音レベルの測定も行って比較した。実験の詳細は以下のとおりである。

0060

実験方法
(1)「実施例4」及び「比較例2」で採用したモータはほぼ同様の仕様のものであり、具体的には次のとおりである。

0061

・実施例4:直流モータネオジム磁石使用)、定格電圧端子電圧):13V、定格負荷時回転速度(負荷:9.8±0.9N・cm):2600rpm
・比較例2:直流モータ(フェライト磁石使用)、定格電圧(端子電圧):12V、定格負荷時回転速度(負荷:9.8±0.9N・cm):2850rpm

0062

(2)測定は、車両に取り付けた状態の角度を再現するため、いずれのパワーシートスライド装置も、前部が高くなるように設置し、さらに784Nの負荷を載置して、前進及び後進の2方向にフルストロークで作動させ、振動測定と騒音測定を行った。また、784Nの負荷に代えて被験者(14名)を着座させ、騒音に関する官能評価も行った。

0063

振動測定は、振動センサとして、圧電型加速度ピックアップリオン製PV−85)を、比較例2は図20(a)に、実施例4は図20(b)に示した「振動測定位置」に取り付けて行った。なお、「振動測定位置」は、本出願人による国際公開番号:WO2014/092032に開示された技術に基づき設定したものであり、パワーシートスライド装置の異音評価において、良品不良品の区別をしやすい300〜400Hzの振動スペクトルの差が生じやすい位置である。この点は、上記の他の比較例及び実施例の測定でも同様であり、比較例1は図20(a)の位置に、実施例1〜3は図20(b)の位置に、それぞれ振動センサを取り付けて測定している。騒音計(リオン製NL−14)は、スライダ10のロアレール11の上面から約40cmの高さに設置した。官能評価は、SD法により5段階6項目で行い、平均点を算出した。なお、いずれの測定も、約28dB(A)の暗騒音環境下である防音室内で行った。

0064

(実験結果)
騒音測定の結果、音圧(dB(A))は、実施例4では、前進が38.0dB、後進が37.9dB、比較例2では、前進が42.4dB、後進が44.3dBであった。

0065

官能評価は次表のとおりであった。

0066

実施例4は、比較例2と比べて音圧が低くなっていると共に、官能評価も比較例2よりも良好であった。特に「騒々しい・静かな」の項目に関して実施例4は、比較例2よりも大きく改善されていた。

0067

図21(a)は、後進時における振動の周波数解析を行った結果を示した図である。実施例4及び比較例2共に、1次の周波数スペクトルのピークが50Hz付近に認められ、2次、3次、及びさらに高次の成分が発生していることがわかる。しかし、比較例4では、基本周波数に様々な不規則振動重畳され、特に300Hz〜900Hzの間で振動が大きく、乱れが大きくなっている。これは、長いフレキシブルシャフトの振れ回りによる振動であり、この振動が長いフレキシブルシャフトを支持している中央プレートを通じて空気へ伝播し、異音を発生させていると考えられる。実施例4では、倍音成分が多くみられるが、比較例2でみられた振れ回り運動に伴う振動が小さくなっている。これは、回転エネルギーの大きい中空パイプからなる回転シャフト232を使用していることで、ラジアル方向の運動が小さくなり、振れ回り運動が小さくなっているためと考えられ、その結果、ギヤ機構210におけるたたき音も軽減されている。

0068

図21(b)は、後進時における騒音の周波数解析を行った結果を示した図である。図21(a)及び図21(b)を比較すると、振動と騒音の周波数解析結果には相関性がみられ、騒音を不規則振動の有無によって判定できることがわかる。なお、実施例4においても低周波域の騒音・振動が発生しているが、音圧が低く聞こえにくいことから、官能評価では良好であったと考えられる。

0069

ここで、上記各実施形態では、スライドスクリュー11a,11aをロアレール11,11に連結し、ナット部材を兼用しているウォームホイール213,213を、ギヤ機構210,210のカバー部材211,211を介してアッパーレール12,12に連結しているが、スライドスクリューをアッパーレールに連結し、ナット部材をロアレールに連結して、各ギヤ機構210,210をアッパーレールに支持させ、スライドスクリューを変位させてアッパーレールを前後動させるタイプのパワーシートスライド装置にも適用可能であることはもちろんである。図22図26及び図27図31はその実施形態を示したものである。

0070

まず、図22図26で示した第5の実施形態に係るパワーシートスライド装置1000は、アッパーレール1200,1200として、それぞれ、内側板部1210及び外側板部1220同士が所定間隔をおいて向かい合った全体として断面略コ字状に形成されたものを用いている。内側板部1210及び外側板部1220の下部には、それぞれが対向する外側板部1220又は内側板部1210に接近する方向とは反対の外向きに略U字状に曲成した下縁外向き折り返し部1211,1221が形成されている。

0071

具体的には、図26に示したように、各アッパーレール1200,1200の内側に位置する内側板部1210,1210は、下縁外向き折り返し部1211,1211を除いた部分が、断面略L字状板部1212,1212からなり、その横壁部の外側端縁からさらに上方に折り返され、上方折り返し部1213,1213が形成されている。外側に位置する外側板部1220,1220は、下縁外向き折り返し部1221,1221を除いた部分が上下に略垂直に延びる垂直壁部1222,1222として形成され、この垂直壁部1222,1222の上方突出部1223,1223に、内側板部1210,1210の上方折り返し部1213,1213が重ね合わせられて一体化されている。これにより、アッパーレール1200,1200は、上記のように全体として断面略コ字状に形成されているが、外側板部1220,1220の上方突出部1223,1223及びそれに重ね合わせられる内側板部1210,1210の上方折り返し部1213,1213は、アッパーレール1200,1200において外側に位置することになる。それにより、シートクッションのクッションフレーム100のサイドフレーム101,101は、図32(b)に示したように、アッパーレール1200,1200の外側に位置する上方突出部1223,1223及び上方折り返し部1213,1213に取り付けられることになり、ヒップポイントからサイドフレーム101,101及びアッパーレール1200,1200の内側板部1210,1210までの距離をより長く確保することが可能になる。その結果、ヒップポイントから所定半径Xの範囲で人に接触する部位を設けないという設計条件を満たしやすい構成となる。なお、この点については、さらに後述する。

0072

一方、ロアレール1100,1100は、断面略L字状に形成され、所定間隔をおいて対向する内側壁部1110,1110及び外側壁部1120,1120を有している。また、内側壁部1110,1110は、外側壁部1120,1120よりも低い高さで形成されている。内側壁部1110,1110及び外側壁部1120,1120の各上部は、それぞれ、内方に折り曲げられた後、さらに下向きに、かつ外側壁部1120,1120及び内側壁部1110,1110の内面に向かって折り返されることにより断面略逆U字状に形成された上縁内向き折り返し部1111,1121が形成されている。そして、内側壁部1110側の上縁内向き折り返し部1111と外側壁部1120側の上縁内向き折り返し部1121との間に、各アッパーレール1200,1200の対向する一対の内側板部1210及び外側板部1220が位置するように配設される。その際、各上縁内向き折り返し部1111,1121に、各アッパーレール1200の内側板部1210及び外側板部1220の下縁外向き折り返し部1211,1221がそれぞれ対応するように、すなわち、上縁内向き折り返し部1111,1121における断面略逆U字状の内周側の面の一部と、下縁外向き折り返し部1211,1221における断面略U字状の内周側の面の一部とが対向するように配設される。それにより、アッパーレール1200,1200は、ロアレール1100,1100の長手方向に沿ってガイドされることになる。

0073

左右一対のアッパーレール1200,1200間には、上記実施形態と同様に、左右一対のギヤ機構2100,2100、駆動部2200及び回転機構2300を有する駆動力伝達機構2000が配設される。回転機構2300は、所定間隔をおいて配置される一対の軸受け部2310,2310と、この一対の軸受け部2310,2310間に掛け渡される回転シャフト2320とを有し、回転シャフト2320を挟んで、2本の補強フレーム2400,2400が掛け渡されている。この点も上記実施形態と同様である。

0074

但し、補強フレーム2400,2400の構成が上記実施形態とは異なる。すなわち、本実施形態の補強フレーム2400,2400は、それぞれ、パイプフレーム2410,2410と、各パイプフレーム2410,2410の各端部にかしめなどにより連結される中実の端部シャフト2411,2411を有して構成される。端部シャフト2411,2411は、アッパーレール1200,1200の対向する内側板部1210及び外側板部1220を貫通し、内側板部1210及び外側板部1220に跨るように配設される。本実施形態では、図26に示したように、外側に配置される側板部1210の下縁外向き折り返し部1211は、ロアレール1100,1100の外側壁部1120側の上縁内向き折り返し部1121の形成位置が、内側壁部1110側の上縁内向き折り返し部1111の形成位置よりも高い位置であるため、折り返し部分の面積すなわち側面視で外側板部1220と重なり合っている面積が大きい。そこで、端部シャフト2411,2411は、外側板部1220の下縁外向き折り返し部1221も貫通するように配設されている。端部シャフト2411,2411をこのように配設することで、ベルトアンカー等から入力される大荷重によって、内側板部1210及び外側板部1220間の間隔が開くような変形が抑制され、アッパーレール1200,1200のロアレール1100,1100からの離脱を抑制する効果が高くなる。

0075

ギヤ機構2100,2100は、一対の補強フレーム2400,2400の間に位置する回転シャフト2320及び駆動部2200に連結される各フレキシブルシャフト2330,2340,2350の軸心延長上に配置されるため、各アッパーレール1200,1200において、前後に隣接する端部シャフト2411,2411間に配設されることになる。そこで、この端部シャフト2411,2411間には、各側板部1210,1210に隣接させて、本実施形態では各側板部1210,1210の対向面側に重ね合わせるように、鋼材からなる板状のギヤ機構用ブラケット2101,2101が取り付けられている(図26参照)。

0076

ギヤ機構用ブラケット2101,2101は、図24に示したように、アッパーレール1200,1200の長手方向に所定の長さを有し、その両端部付近には、端部シャフト2411,2411の挿通孔2101a,2101aが形成され、端部シャフト2411,2411が該挿通孔2101a,2101aに挿通支持される。これにより、ギヤ機構2100,2100に大荷重が入力された場合、ギヤ機構用ブラケット2101,2101を介して端部シャフト2411,2411で受けることができ、パワーシートスライド装置1000の強度、剛性の向上に貢献できる。

0077

ギヤ機構2100,2100は、第1フレキシブルシャフト2330及び第3フレキシブルシャフト2350が連結されるウォーム2120,2120と、ウォーム2120,2120の上側に配置され、該ウォーム2120,2120と噛合するウォームホイール2130,2130を有し、ウォーム2120及びウォームホイール2130の組が、保持ブラケット2140,2140によって保持され、この保持ブラケット2140,2140が上記ギヤ機構用ブラケット2101,2101によって支持されて配設される。

0078

ウォームホイール2130,2130は、ウォーム2120,2120の回転によって回転可能に保持ブラケット2140,2140に保持されているが、ウォームホイール2130,2130には、スライドスクリュー2600,2600が連結されており、該ウォームホイール2130,2130と共に回転するようになっている。

0079

スライドスクリュー2600,2600は、アッパーレール1200,1200の長手方向に沿って配設され、一端が上記のようにウォームホイール2130,2130に連結され、他端は、アッパーレール1200,1200の側板部1210,1210の後方寄りに配設された端部保持部材2610により回転可能に支持される。

0080

ロアレール1100,1100の長手方向の中途部であって、内側壁部1110,1110と外側壁部1120,1120との間には、上部に、スライドスクリュー2600,2600に螺合する雌ねじ部2710が貫通形成されたナット部材2700,2700が設けられている。

0081

ここで、駆動力伝達機構2000を構成する左右一対のギヤ機構2100,2100、駆動部2200、回転機構2300及び2本の補強フレーム2400,2400は、アッパーレール1200,1200の前方寄りに配置されており、ウォームホイール2130,2130に連結されるスライドスクリュー2600,2600の一端は、アッパーレール1200,1200の前方寄りに位置し、他端が上記したようにアッパーレール1200,1200の後方寄りの端部保持部材2610に回転可能に支持されている。左右のアッパーレール1200,1200の前方寄り同士は、上記した補強フレーム2400,2400によって連結されているが、後方寄り同士も、後方補強フレーム2500によって連結することが好ましい。後方補強フレーム2500は、左右のアッパーレール1200,1200のそれぞれにおいて側板部1210,1210間を貫通する端部シャフト2511,2511を有し、左右の端部シャフト2511,2511間にパイプフレーム2510が掛け渡されて構成されている。左右のアッパーレール1200,1200、前方寄りの補強フレーム2400,2400及び後方寄りの後方補強フレーム2500によって方形枠が形成され、パワーシートスライド装置1000の強度、剛性の向上に貢献できる。これにより、左右のアッパーレール1200,1200の作動時における方形枠のバランス崩れることが抑制され、各フレキシブルシャフト2330,2340,2350の芯ずれも減少するため、作動音の低減に寄与できる。

0082

本実施形態によれば、駆動部2200が駆動すると、回転シャフト2320、各フレキシブルシャフト2330,2340,2350を介して、ギヤ機構2100,2100のウォーム2120,2120を回転させる。ウォーム2120,2120が回転することにより、ウォームホイール2130,2130が回転し、ウォームホイール2130,2130に連結されたしてスライドスクリュー2600,2600が回転する。スライドスクリュー2600,2600が回転すると、ナット部材2700,2700がロアレール1100,1100に固定されているため、スライドスクリュー2600,2600は前後に移動する。これにより、アッパーレール1200,1200が前後に移動することになる。

0083

なお、回転シャフト2320を有し、短いフレキシブルシャフト2330,2340,2350を用いることにより、異音が低減される作用、効果は、スライドスクリュー11a,11aをロアレール11,11に連結した構造の上記各実施形態と全く同様である。

0084

ここで、本実施形態では、ロアレール1100,1100は、上記のように内側壁部1110,1110の高さが、外側壁部1120,1120の高さよりも低くなる断面略L字状に形成されている。そのため、内側壁部1110,1110の上縁内向き折り返し部1111,1111は、外側壁部1120,1120の上縁内向き折り返し部1121,1121よりも高さが低くなっており、アッパーレール1200,1200の下縁外向き折り返し部1211,1221がそれらに対向する部位の高さは、内側に位置するものの方が外側に位置するものよりも低くなる(図26参照)。

0085

ロアレール1100,1100及びアッパーレール1200,1200が上記した構成を有することにより、ロアレール1100,1100の内側壁部1110,1110の上縁内向き折り返し部1111,1111の頂部に位置する上壁部1131,1131の高さが、外側壁部1120,1120の上壁部よりも低くなる。それにより、図32(b)に示したヒップポイントを中心とした所定半径Xの範囲で人に接触する部位を設けないという設計条件を満たしやすい構成となる。

0086

また、上記したように、アッパーレール1200,1200の外側に位置する上方突出部1223,1223及び上方折り返し部1213,1213にクッションフレーム100のサイドフレーム101,101が取り付けられることになり、ヒップポイントからサイドフレーム101,101及びアッパーレール1200,1200の内側板部1210,1210までの距離をより長く確保することが可能となり、この点においても、ヒップポイントから所定半径Xの範囲で人に接触する部位を設けないという設計条件を満たしやすい構成となる。

0087

また、ロアレール1100,1100が断面略L字状に形成され、内側壁部1110,1110の高さが、外側壁部1120,1120の高さよりも低いため、左右一対のギヤ機構2100,2100のウォーム2120のうち、第1及び第3フレキシブルシャフト2330,2350の接続位置は、内側壁部1110,1110の上壁部1131,1131の若干上方で、該上壁部1131,1131に干渉しない程度であればよく、外側壁部1120,1120の上壁部の高さよりも低い位置に設定される。これに伴って、一対のギヤ機構2100,2100間に位置し、第1及び第3フレキシブルシャフト2330,2350に軸心が一致する回転シャフト2320、第2フレキシブルシャフト2340、並びに、回転シャフト2320を挟んで配設される2本の補強フレーム2400の各軸心の高さも、ロアレール1100,1100の内側壁部1110,1110及び外側壁部1120,1120を同じ高さで設定した構造(図1の実施形態のような構造)と比較すると、低い位置となる。すなわち、外側壁部1120,1120の高さよりも低くなる。回転シャフト2320及び2本の補強フレーム2400等の配設高さが低くなることによって、ヒップポイントを中心とした前後方向の所定半径Yの範囲の範囲で人に接触する部位を設けないという設計条件を満たしやすい構成となる。

0088

この結果、アッパーレール1200,1200に支持されるクッションフレーム100を備えたシートクッションは、ヒップポイントが低い位置となる構造とすることができる。また、本実施形態によれば、アッパーレール1200,1200の前方寄りに2本の補強フレーム2400,2400が低い位置で配設されているため、低ヒップポイントの着座姿勢を実現できるシートクッション構造とすることができると共に、これらの補強フレーム2400,2400が、所定以上の衝撃を受けることによって着座者が下方に潜り込むいわゆるサブマリン現象の抑制に役立つ。

0089

図27図31は、第6の実施形態に係るパワーシートスライド装置1000を示す。第6の実施形態に係るパワーシートスライド装置1000の構成は、第5の実施形態に係るパワーシートスライド装置1000の構成とほぼ同様であるが、アッパーレール1200,1200の後方寄りに、各アッパーレール1200,1200内方に突出する上壁部移動体としてのローラー1230,1230が設けられている。ローラー1230,1230は、各アッパーレール1200,1200の内側板部1210,1210に取り付けられる取り付けブラケット1231,1231に、軸部材1232,1232を介して回転可能に支持されている(図29及び図31(a)参照)。

0090

各ローラー1230,1230は、ロアレール1100,1100の内側壁部1110,1110の略逆U字状に形成される上縁内向き折り返し部1111,1111の頂部に位置する上壁部1131,1131に沿って転動する(図31(a)参照)。この結果、左右のアッパーレール1200,1200が大荷重入力によって内倒れ方向に変形しようとしても、ローラー1230,1230が上壁部1131,1131に接しているため、その変形が抑制される。なお、取り付けブラケット1231,1231のそれぞれは、図29に示したように、それぞれ2枚のブラケット1231a,1231bから構成し、それらの間に、ローラ1230を配置して、軸部材1232を2枚のブラケット1231a,1231bに掛け渡し、該ローラを1230を両持ち支持することが好ましい。これにより、大荷重入力時の変形に対する強度が向上する。

0091

なお、本実施形態においても、アッパーレール1200,1200の後方寄りにおいて、第5の実施形態で採用した後方補強フレーム2500を構成するパイプフレーム2510を掛け渡して方形枠を形成してもよい。しかしながら、低ヒップポイントのシートクッション構造の場合には、図32(a)に示したような所定半径Yの範囲での接触部位をなくす設計仕様において邪魔になる場合もある。その場合には、後方補強フレーム2500を設けることができないが、上壁部移動体であるローラー1230,1230がその代わりの機能を果たすことになる。但し、後方補強フレーム2500を構成するパイプフレーム2510を配設しない場合でも、アッパーレール1200,1200の後方寄りにおいては、それぞれの内側板部1210及び外側板部1220間を貫通して連結する補強用連結シャフト2512,2512を配設しておくことが強度、剛性の向上の点から好ましい(図31(b)参照)。

0092

1,1’,1’’,1000パワーシートスライド装置
10スライダ
11,1100ロアレール
11aスライドスクリュー
12,1200アッパーレール
20,2000駆動力伝達機構
210,2100ギヤ機構
211カバー部材
212,2120ウォーム
213,2130ウォームホイール
220,2200 駆動部
225弾性部材
230,230’,2300回転機構
231軸受け部
232,2320回転シャフト
233,2330 第1フレキシブルシャフト
234,2340 第2フレキシブルシャフト
235,2350 第3フレキシブルシャフト
236 副駆動部
237 弾性部材
238 第4フレキシブルシャフト
240,2400 補強フレーム

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