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技術 液晶エラストマーの製造方法

出願人 学校法人東京工芸大学
発明者 平岡一幸
出願日 2014年8月27日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2014-172967
公開日 2016年4月7日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-047880
状態 特許登録済
技術分野 高分子物質の処理方法 マニプレータ 高分子成形体の処理
主要キーワード 可逆変形 材料候補 印加応力 一軸応力 液晶エラストマー 結晶相転移 物質状態 本加熱温度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

等方相‐液晶相転移の際に大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを得ることができていなかった。

解決手段

スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料と架橋剤を混合した混合物を5倍以上伸長可能な程度に予備架橋を行う予備架橋工程と、予備架橋された混合物を5倍以上伸長させて架橋を行う架橋工程と、からなる液晶エラストマーの製造方法を用いて液晶エラストマーを製造することにより、等方相‐液晶相転移の際に大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを提供する。

概要

背景

液晶」とは結晶液体の中間的な物質状態であり、構成分子である棒状の液晶分子が全体としてある方向に配向秩序を持っている(異方性)。液晶を示す物質としては、液晶分子の配置には秩序がないネマチック液晶(図1(a))や、液晶分子が層状構造を有するスメクチック液晶(図1(b))などがある。液晶状態の物質は電場などの外場に応じて液晶分子の配向状態を大きく変化させることができ、テレビスマートフォンディスプレイなどに応用されている。また、「エラストマー」とは一般的には架橋された高分子のことであり、弾性を有するために衝撃吸収材などに応用されている。「液晶エラストマー」とは「液晶」と「エラストマー」を組み合わせた物質であり、液晶高分子を架橋剤により架橋した物質である。液晶エラストマーは、液晶の持つ異方性とエラストマーの持つ弾性を併せ持つため、新奇材料として注目されている。

等方相‐液晶相転移」とは、液晶分子が配向秩序を持たない等方相(図1(c))と配向秩序を持つ液晶相(図1(a)、(b))の間の相転移であって、2つの相の間で液晶分子の配向が変化する。液晶エラストマーは液晶分子の配向変化に伴い、液晶分子の配向方向に伸縮する。液晶エラストマーの中でも、液晶分子を一軸配向させた液晶エラストマーは等方相‐液晶相転移の際に大きな可逆変形を生じることが報告されている。そこで、液晶分子を一軸配向させた液晶エラストマーを用いて、外部刺激により液晶エラストマーの相転移を引き起こすことにより、人工筋肉アクチュエータへの応用が期待されている。

非特許文献1には、一軸応力印加しながら材料の架橋反応を進めることにより、液晶分子が一軸配向した液晶エラストマーを作成する技術が開示されている。作成された液晶エラストマーは液晶相‐等方相転移の際に、液晶分子の配向方向に可逆的に140%伸縮することが実験によって明らかとなった。なお本文献に記載の液晶エラストマー内の液晶高分子は、液晶分子の剛直な部位であるメソゲンが液晶高分子の側鎖に設けられている側鎖型液晶高分子(図1(d))である。

また非特許文献2には、液晶エラストマーの液晶高分子の一部に、メソゲンが液晶高分子の主鎖に設けられている主鎖型液晶高分子(図1(e))を用いて液晶エラストマーを作成する技術が開示されている。非特許文献1と同様に一軸応力を印加しながら架橋反応を進めることにより、液晶分子が一軸配向した液晶エラストマーが得られ、作成された液晶エラストマーは液晶相‐等方相転移の際に可逆的に300%程度伸縮することが報告されている。

概要

等方相‐液晶相転移の際に大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを得ることができていなかった。スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料と架橋剤を混合した混合物を5倍以上伸長可能な程度に予備架橋を行う予備架橋工程と、予備架橋された混合物を5倍以上伸長させて架橋を行う架橋工程と、からなる液晶エラストマーの製造方法を用いて液晶エラストマーを製造することにより、等方相‐液晶相転移の際に大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを提供する。

目的

本発明は、スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料と架橋剤を混合した混合物を5倍以上伸長可能な程度に予備架橋を行う予備架橋工程と、予備架橋された混合物を5倍以上伸長させて架橋を行う架橋工程と、からなる液晶エラストマーの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料と架橋剤を混合した混合物を5倍以上伸長可能な程度に予備架橋を行う予備架橋工程と、予備架橋された混合物を5倍以上伸長させて架橋を行う架橋工程と、からなる液晶エラストマーの製造方法。

請求項2

予備架橋工程は、予備架橋工程の終点が予備架橋物が所定溶媒に溶解しない最小反応時間にて定められる請求項1に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項3

前記架橋工程は、混合物の伸長が応力印加により行われる応力印加架橋工程である請求項1又は2に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項4

前記応力印加架橋工程は、製造する液晶エラストマーの等方相‐液晶相転移温度の上下15度以内の温度に混合物を加熱して行われる請求項3に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項5

前記応力印加架橋工程における混合物に対する印加応力は0.1mN/mm2から10mN/mm2である請求項3又は4に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項6

前記架橋工程の前に予備架橋された混合物を押圧によりフィルム化するフィルム化工程を含む請求項1から5のいずれか一に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項7

前記スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子はサーモトロピック液晶である請求項1から6のいずれか一に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項8

前記スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子のメソゲンはbibenzoateである請求項1から7のいずれか一に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項9

前記スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子のスペーサーは1,6-hexanediol、(S)-(-)-2-metyl-1,4,-butanediol、(S)-(+)-2-metyl-1,4,-butanediol、(R)-(+)-2-metyl-1,4,-butanediolのうちいずれか一以上である請求項1から8のいずれか一に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項10

前記架橋剤は3つ以上のヒドロキシ基を持つアルキル鎖で構成された有機物である請求項1から9のいずれか一に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項11

前記架橋剤は1,2,6,hexanetriolである請求項1から10のいずれか一に記載の液晶エラストマーの製造方法。

請求項12

請求項1から11のいずれか一に記載の液晶エラストマーの製造方法を用いて製造された液晶エラストマー。

請求項13

請求項12に記載の液晶エラストマーを用いた人工筋肉

請求項14

請求項12に記載の液晶エラストマーを用いたアクチュエータ

技術分野

0001

本発明は、等方相‐液晶相転移の際に大きな伸縮性を示す液晶エラストマーの製造方法に関する。

背景技術

0002

液晶」とは結晶液体の中間的な物質状態であり、構成分子である棒状の液晶分子が全体としてある方向に配向秩序を持っている(異方性)。液晶を示す物質としては、液晶分子の配置には秩序がないネマチック液晶図1(a))や、液晶分子が層状構造を有するスメクチック液晶図1(b))などがある。液晶状態の物質は電場などの外場に応じて液晶分子の配向状態を大きく変化させることができ、テレビスマートフォンディスプレイなどに応用されている。また、「エラストマー」とは一般的には架橋された高分子のことであり、弾性を有するために衝撃吸収材などに応用されている。「液晶エラストマー」とは「液晶」と「エラストマー」を組み合わせた物質であり、液晶高分子を架橋剤により架橋した物質である。液晶エラストマーは、液晶の持つ異方性とエラストマーの持つ弾性を併せ持つため、新奇材料として注目されている。

0003

「等方相‐液晶相転移」とは、液晶分子が配向秩序を持たない等方相(図1(c))と配向秩序を持つ液晶相(図1(a)、(b))の間の相転移であって、2つの相の間で液晶分子の配向が変化する。液晶エラストマーは液晶分子の配向変化に伴い、液晶分子の配向方向に伸縮する。液晶エラストマーの中でも、液晶分子を一軸配向させた液晶エラストマーは等方相‐液晶相転移の際に大きな可逆変形を生じることが報告されている。そこで、液晶分子を一軸配向させた液晶エラストマーを用いて、外部刺激により液晶エラストマーの相転移を引き起こすことにより、人工筋肉アクチュエータへの応用が期待されている。

0004

非特許文献1には、一軸応力印加しながら材料の架橋反応を進めることにより、液晶分子が一軸配向した液晶エラストマーを作成する技術が開示されている。作成された液晶エラストマーは液晶相‐等方相転移の際に、液晶分子の配向方向に可逆的に140%伸縮することが実験によって明らかとなった。なお本文献に記載の液晶エラストマー内の液晶高分子は、液晶分子の剛直な部位であるメソゲンが液晶高分子の側鎖に設けられている側鎖型液晶高分子(図1(d))である。

0005

また非特許文献2には、液晶エラストマーの液晶高分子の一部に、メソゲンが液晶高分子の主鎖に設けられている主鎖型液晶高分子(図1(e))を用いて液晶エラストマーを作成する技術が開示されている。非特許文献1と同様に一軸応力を印加しながら架橋反応を進めることにより、液晶分子が一軸配向した液晶エラストマーが得られ、作成された液晶エラストマーは液晶相‐等方相転移の際に可逆的に300%程度伸縮することが報告されている。

先行技術

0006

J. Kupfer, H. finkelmann, Makromolekulare Chemie, Rapid Communications, 1991, 12, p.717-726
H. Wermter, H. Finkelmann, e-Polymer, 2001, 013
K. Hiraoka, T. Tashiro, M. Tokita, J. Watanabe, Liquid Crystals, February 2009, Vol. 36, No. 2, p.115-122
T. Tashiro, Y. Kondo, K. Hiraoka, Macromolecular Rapid Communications, 2010, 31, p.1948-1953

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら非特許文献1において、液晶エラストマーの液晶高分子として側鎖型液晶高分子を、非特許文献2においても一部のみ主鎖型液晶高分子を用いて液晶エラストマーを構成しているため、液晶分子の配向が変化しても得られる液晶エラストマーの伸縮率は小さい。また、非特許文献1、2において、液晶エラストマーの材料として液晶分子の配置に秩序がないネマチック液晶を用いているため、液晶エラストマー内の液晶分子の配向秩序があまり良くない。液晶分子の配向秩序は液晶エラストマーの伸縮率に影響する。よって、非特許文献1、2において、等方相‐液晶相転移において大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを得ることができていなかった。

0008

本発明者は、等方相‐液晶相転移の際に従来以上の大きな可逆変形を引き起こす液晶エラストマーの開発を試みて、非特許文献3、4に記載された実験を実施した。すなわち、dimetyl-4,4'-biphenyldicarboxylate(bibenzoate)をメソゲン基とする液晶高分子を用い、一軸応力を印加しながら架橋を行うことにより、液晶分子を一軸配向させた液晶エラストマーを作成した。作成に用いた液晶高分子は主鎖型であるため、液晶分子の配向の変化による液晶エラストマーの変形は大きい。また本液晶高分子により構成される液晶は、液晶分子が層状構造を有するスメクチック液晶であるために、液晶分子を一軸配向させやすく、等方相‐液晶相転移の際に大きな可逆変形を引き起こすことが期待できたが、実験の結果作成した液晶エラストマーは等方相‐液晶相転移の際に200%程度の伸縮性を示すに過ぎなかった。

課題を解決するための手段

0009

本発明者は、非特許文献3、4に記載の液晶エラストマーの伸縮性の更なる向上を試みて、下記に示す液晶エラストマーの製造方法を発明した。

0010

すなわち本発明は、スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料と架橋剤を混合した混合物を5倍以上伸長可能な程度に予備架橋を行う予備架橋工程と、予備架橋された混合物を5倍以上伸長させて架橋を行う架橋工程と、からなる液晶エラストマーの製造方法を提供する。

発明の効果

0011

本発明の液晶エラストマーの製造方法により製造された液晶エラストマーは、液晶エラストマー内の液晶分子の配向秩序が良い。また、液晶高分子が真っ直ぐに伸長した状態で架橋されており、等方相‐液晶相転移の際に大きな伸縮性を示すことから、人工筋肉やアクチュエータなどへの応用が期待される。

図面の簡単な説明

0012

液晶の各形態を示す概念
液晶エラストマーの製造方法の一例
予備架橋工程における液晶エラストマーの構造の概要
予備架橋工程と架橋工程の区別方法の一例
実施例1において使用した液晶エラストマーの材料
実施例1における液晶エラストマーの製造方法の概要
実施例1において作成したBB-4*2(Me)/6エラストマーの構造の概要
実施例1において作成した液晶エラストマーの示差走査型熱量測定(DSC)の測定結果
実施例1において作成した液晶エラストマーのX線回折の測定結果
実施例1において作成した液晶エラストマーのX線回折の回折パターン温度変化
実施例1において作成した液晶エラストマーの伸縮率の温度依存性

0013

以下、本発明の各実施形態について図面と共に説明する。なお、本発明は本明細書や図面の記載に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施しうる。

0014

図2に本件発明の液晶エラストマーの製造方法の一例を示す。例えば本件発明の液晶エラストマーの製造方法は、予備架橋工程S0201と、架橋工程S0202と、から構成される。

0015

「予備架橋工程」S0201とは、スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料と架橋剤を混合した混合物を5倍以上伸長可能な程度に予備架橋を行う工程である。具体的には、例えば試験管の中にスメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料と架橋剤を混合し、ヒーターで加熱して重合と予備架橋を行う。

0016

予備架橋工程S0201において、主鎖型液晶高分子を必要最低限に架橋する。本工程において材料を予備架橋しすぎると、後の架橋工程S0202において液晶高分子を伸長して架橋することができず、大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを得ることができない。しかしながら予備架橋が足りないと、後の架橋工程にて自重により液晶高分子同士の結合が破断してしまい、液晶エラストマーを得ることができない。よって、スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料と架橋剤を混合した混合物が、後の架橋工程において自重により破断しないぎりぎりの状態まで架橋を行うことが望ましい。

0017

図3に予備架橋工程S0201における液晶エラストマーの構造の概要を示す。液晶エラストマーはメソゲン0301、スペーサー0302、架橋剤0303により構成されている。(a)は予備架橋前の液晶高分子を示しており、架橋剤によって液晶高分子同士が架橋される。従来は架橋工程S0202前に液晶高分子が架橋されすぎていたため(a)、液晶高分子が複雑に絡み合ってしまい十分に伸長させた状態で架橋することができない。その結果、大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを得ることができなかった。しかし、本願発明の液晶エラストマーは、架橋工程前に液晶高分子の架橋が必要最低限で行われているために、液晶高分子を十分に伸長させた状態で架橋することができ、すなわち液晶分子を直線上に架橋した液晶エラストマーを作成することができる(b)。液晶エラストマーの伸縮量は直線上に連なる液晶分子の数に比例するため、本願発明の液晶エラストマーは大きな伸縮性を示す。

0018

「主鎖型液晶高分子を必要最低限に架橋する」には予備架橋の進度が重要であり、予備架橋の進度は例えば予備架橋を行う温度や時間により制御することが可能である。予備架橋は時間とともに進行していき、高温で行う方が進度が速い。材料の予備架橋の進度は、ゲル分率などを用いて測定することができ、ゲル分率は例えば予備架橋した混合物を所定溶媒に溶かし、溶媒への溶解前と溶解後の混合物の質量を測定して、数式1のような表式によりゲル分率を算出することができる。なお、主鎖型液晶高分子が必要最低限に架橋された状態は、予備架橋物が所定溶媒に溶解しなくなる最小反応時間にて定めることもできる。「所定溶媒」は、例えばクロロホルムトルエンなどを用いることができる。予備架橋を行う温度や時間は、液晶エラストマーとして用いる材料や実験装置の条件に応じて、適宜変更することができる。

0019

0020

本願発明の液晶エラストマーの材料としては、材料の重合により得られる液晶高分子が主鎖型であり、なおかつスメクチック相を示すものであれば良い。後述する実施例1にて用いたBB-4*2(Me)/6ポリマーの材料だけではなく、例えばポリエステルポリアミドポリイミドポリ尿素の材料なども用いることができる。液晶高分子が主鎖型であると、液晶分子の配向の変化による液晶エラストマーの伸縮が大きい。また、液晶高分子がスメクチック相を有することにより、液晶分子を一軸配向させやすい。よって本構成を取る液晶エラストマーは大きな伸縮性を示す。

0021

また、液晶高分子のスペーサーとしての機能を持たせる材料として、アルキルジオールを用いると、アルキル鎖が柔軟性を持つために、作成する液晶エラストマーの伸縮性を向上させることができ好ましい。なお、柔軟性を持つ材料であれば、他の材料を用いることもできる。

0022

材料の重合により得られる液晶高分子がサーモトロピック液晶であっても良い。「サーモトロピック液晶」とは、熱や電場など外的刺激により相変化を引き起こす物質である。液晶エラストマーがサーモトロピック液晶により構成されることにより、外的刺激により人為的に液晶エラストマーの相変化を引き起こすことができ、その結果液晶エラストマーを伸縮させ、人工筋肉やアクチュエータなどとして機能させることができる。

0023

架橋剤0303としては、3つ以上のヒドロキシ基を持つ柔軟なアルキル鎖で構成された有機物が好ましい。架橋剤が柔軟性を持つことにより、液晶エラストマーの伸縮性を向上させることができる。なおその他の材料候補として、柔軟性を持つシロキサンなども、架橋剤として用いることができる。

0024

「架橋工程」S0202とは、予備架橋された混合物を5倍以上伸長させて架橋を行う工程である。「伸長させて架橋を行う工程」とは、混合物を伸長させながら架橋を行う工程としても良いし、混合物を伸長した後に架橋を行う工程としても良い。また、混合物の架橋は、例えば混合物を一定温度に加熱して行われる。混合物を伸長して架橋を行うことにより、液晶分子を混合物の伸長方向に一軸配向させることができ、さらに液晶高分子が伸長した状態で架橋される。なお、液晶高分子の伸長量としては5倍から10倍程度が好ましい。また、混合物が自重により5倍以上伸長することがあっても良い。

0025

架橋工程S0202は、混合物の伸長が応力印加により行われる応力印加架橋工程であっても良い。具体的には、例えば予備架橋された混合物を一定温度に加熱した状態で応力を印加し、5倍以上伸長させながら架橋を行う。

0026

応力印加架橋工程における混合物に対する印加応力は0.1mN/mm2から10mN/mm2であることが好ましい。0.1mN/mm2以下の印加応力の場合、予備架橋工程における液晶高分子の架橋が不十分であり、応力印加架橋工程において材料に印加する応力が小さいために、液晶分子を一軸配向させることができない。また10mN/mm2以上の場合は、逆に予備架橋工程における液晶高分子の架橋が進み過ぎており、液晶高分子を十分に伸長することができず、大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを得られない。従来は予備架橋工程において架橋をしすぎていたため、応力印加架橋工程において50mN/mm2程度の応力を印加した状態でも2倍強程度しか伸長させることができていなかった。

0027

応力印加架橋工程は、製造する液晶エラストマーの等方相‐液晶相転移温度の上下15度以内の温度に混合物を加熱して行われることが好ましい。本加熱温度を用いることにより、作成される液晶エラストマーの等方相と液晶相が共存した状態で応力を印加して架橋を行うこととなり、液晶分子を一軸配向させやすいと考えられる。

0028

図4は予備架橋工程S0201と架橋工程S0202の区別方法の一例を示す。予備架橋工程と架橋工程は連続して行うことが可能であるが、その際に2つの工程は例えば次のように区別することもできる。すなわち、架橋工程が応力印加架橋工程である場合には、混合物への印加応力の違いにより区別する場合(a)、混合物の加熱温度の違いにより区別する場合(b)、混合物の印加応力と加熱温度の両方の違いにより区別する場合(c)を用いて区別することが考えられる。なお図面に記載の数値はあくまで例として記載したものであり、本実施形態の内容を限定するものではない。

0029

架橋工程S0202の前に予備架橋された混合物を押圧によりフィルム化するフィルム化工程S0203を含んでも良い。混合物をフィルム化することによって、液晶分子を一軸配向させやすくすることができる。混合物の押圧は、例えば2枚の板の間に混合物を挟んで荷重を加えることにより行うことが考えられる。なお、通常作成した液晶エラストマーの形状はワイヤー状となるが、フィルム化工程を含んで作成した液晶エラストマーはプレート状となる。

0030

なお、上述した液晶高分子の製造は、窒素雰囲気下で行われることが好ましい。大気中で行うと、大気中のガスとの化学反応によって、副生成物の生成やエラストマーの性質劣化を招く恐れがあるためである。

0031

混合物の伸長は応力ではなく電場、磁界表面力などの外場を用いて行うことも可能である。混合物が伸長して架橋される際に液晶分子が一軸配向し、さらに液晶高分子が伸長した状態で架橋されれば、大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを得ることができる。

0032

スメクチック相を示す主鎖型液晶高分子の材料の重合は予備架橋工程S0201、架橋工程S0202のいずれにおいても行われていても良いし、行われていなくとも良い。例えば材料の重合が予備架橋工程S0201や架橋工程S0202において架橋と同時に行われていても良いし、予備架橋工程S0201で終了していても良い。混合物の架橋は上記のように温度により進行させるだけでなく、紫外線照射などにより進行させることもでき、例えばその場合は材料の重合の後予備架橋し、予備架橋した混合物を伸長させて架橋を行うことも可能である。本願発明の特徴はあくまで液晶高分子が伸長した状態で架橋される点であり、その点が実現できれば大きな伸縮性を示す液晶エラストマーを得ることができる。

0033

本実施例において、本願発明の液晶エラストマーの製造方法を用いて製造された液晶エラストマーとその物性について詳細に説明する。なお、本願発明は下記に示す説明に何ら限定されるものではなく、当業者が想到しうる範囲で実施される。

0034

図5に本実施例にて準備した液晶エラストマーの材料を示す。本実施例において、主鎖型液晶高分子の材料として(A)dimetyl-4,4'-biphenyldicarboxylate、(B)1,6-hexanediol、(C)(S)-(-)-2-methyl-1,4-butanediolを用いた。作成する液晶エラストマーにおいて、材料(A)はメソゲンとして、材料(B)、(C)はスペーサーとして構成される。また、架橋剤として(D)1,2,6-hexanetriolを用いた。4種の材料の分量はモル比で(A):(B):(C):(D)=1:0.7:0.9:0.2とした。また、材料の重合を促進する触媒としてtitanium tetraisopropoxide(E)を用いた。なお、スペーサーとして(C)の代わりに(S)-(+)-2-metyl-1,4,-butanediolや(R)-(+)-2-metyl-1,4,-butanediolを用いることもできる。

0035

図6は、本実施例における液晶エラストマーの製造方法の概要を示す。本実施例において、液晶エラストマーは予備架橋工程S0201、フィルム化工程S0203、架橋工程S0202の工程を経て作成した。各工程の詳細について下記において説明する。

0036

まず予備架橋工程S0201において、試験管中0601に(A)から(E)の材料を所定の分量で配合し、試験管をヒーター0602内で加熱温度230℃で1時間加熱し、重合と予備架橋を行った。なお予備架橋工程は窒素雰囲気下で行った。

0037

次にフィルム化工程S0203において、200℃に加熱したホットプレート0604上で、金属板0603の間に予備架橋した液晶エラストマーを挟み、上から荷重をかけて液晶エラストマーをフィルム状にした。なおフィルム化工程も窒素雰囲気下で行った。

0038

次に架橋工程S0202において、フィルム状にした試料を一方向に伸長させ、応力を印加した状態で重合と架橋を行った。印加した応力は初期0.21mN/mm2から最終的に1.8mN/mm2程度であった。なお架橋工程は炉の中で窒素雰囲気下、温度200℃のもと24時間かけて行った。最終的に作成した試料は架橋工程前から8.5倍程度伸長した。

0039

図7(a)に、作成したBB-4*2(Me)/6エラストマー0701の構造の概要を示す。作成したエラストマーは、BB-4*2(Me)基0702とBB-6基0703がつながっている。また、BB-4*2(Me)基とBB-6基は、その一部が架橋剤0704により架橋されている。なお、図7(b)はBB-4*2(Me)基の構造を、図7(c)はBB-6基の構造を表している。

0040

図8は、示差走査型熱量測定(DSC)の測定結果を示す。(a)は架橋剤(D)を用いず単純に(A)、(B)、(C)を重合させて作成した液晶ポリマー(BB-4*2(Me)/6ポリマー)の測定結果を、(b)は上述した手順で作成した液晶エラストマー(BB-4*2(Me)/6エラストマー)の測定結果を示す。示差走査型熱量測定(DSC)から試料の結晶相転移の際の吸熱発熱を測定し、結晶相転移温度などを明らかにすることができる。横軸は温度を、縦軸は吸熱・発熱量を表している。測定は矢印に示す方向で30℃から270℃まで加熱し、その後30℃へと冷却することにより行った。

0041

作成した液晶ポリマーの測定結果(a)において、BB-4*2(Me)/6ポリマーは加熱時に低温から順に液晶相、SmC*相、SmA相、等方相へと結晶相が変化していることがわかった。なお、冷却時には等方相から液晶相へと変化し、SmC*相、SmA相は観測されなかった。一方作成した液晶エラストマーの測定結果(b)においては、BB-4*2(Me)/6エラストマーは低温で液晶相(スメクチック相)、高温で等方相を示した。スメクチック相から等方相への相転移(加熱時)の転移温度は213℃、また等方相からスメクチック相への相転移(冷却時)の転移温度は206℃であった。

0042

図9‐1は作成した液晶エラストマーのX線回折の測定結果を示す。図9‐1における実験は室温で行っており、作成した液晶エラストマーがスメクチック相の状態で測定した。(a)は作成した液晶エラストマーのX線回折像であり、矢印の示す方向に液晶分子が一軸配向している。中央付近に見られるパターンは、液晶分子が液晶エラストマー内で形成する層状構造の反射を、また液晶分子の配向方向と垂直方向に見られる2つのパターンは液晶高分子中のメソゲンの散乱を示している。また、(b)は作成した液晶エラストマーの散乱角プロファイルを示し、(a)の図と対応する形で層状構造の反射やメソゲンの散乱を確認することができる。

0043

図9‐2(A)は作成した液晶エラストマーのX線回折の回折パターンの温度変化を示す。液晶エラストマーがスメクチック相を示す室温(a)から、昇温により等方相を示す220℃へと加熱し(b)、再度室温(c)へと温度変化をさせて、各点でのX線回折のパターンを測定した。作成した液晶エラストマーがスメクチック相を示す室温において、液晶高分子中のメソゲンの散乱ピークはっきりと確認することができるが、等方相を示す220℃においては、散乱は全方位分布しており、ピークをはっきりと確認することができない。これは、等方相において液晶分子の配向が失われてしまうためである。なお、(b)において確認できるリングのパターンは、X線回折において液晶エラストマーを固定するために用いたカプトンテープによる散乱である。

0044

図9‐2(B)は図9‐2(A)にて得られたX線回折の回折パターンの方位角プロファイルを示す。横軸は方位角を示し、図9‐2(A)の(a)図に示す矢印と対応する。室温で測定した場合、液晶エラストマーの層状構造のピークとメソゲンのピークをそれぞれ観測することができたが、220℃で測定した(b)においては、ピークを観測することができなかった。この結果は、図9‐2(A)の(b)図においてメソゲンの散乱が確認できなかったことと対応している。

0045

図9‐2(B)より得られたメソゲンの散乱方位角プロファイルをもとにして、各温度における液晶エラストマー内の液晶分子の配向秩序度を算出した。液晶分子の配向秩序度は数式2で算出され、数式2の値が0であると液晶分子が全く配向してない状態を、また1であると完全に液晶分子が一方向に配向している状態を表す。数式2において、θはメソゲンの散乱方位角であり、配向秩序度Sは散乱方位角プロファイルにおけるメソゲンのピークの半値幅をもとにして算出される。作成された液晶エラストマーは、室温において液晶分子の配向秩序度0.74を示し、良い配向性を示す。一方220℃においてはメソゲンの散乱ピークは観測されないため、配向秩序度は0となり、配向が失われている。これは、220℃において液晶エラストマーが、液晶分子が配向していない等方相を示すためである。

0046

実施例

0047

図10は作成した液晶エラストマーの伸縮率の温度依存性を示す。横軸は温度を、縦軸は250℃の液晶エラストマーの長さを100とした時の各温度点における伸縮率を表している。作成した液晶エラストマーを初めて室温状態から加熱し、スメクチック相から等方相へと相転移させた際、液晶エラストマーの長さは1/7以下に縮んだ。その後250℃から室温へと冷却すると、等方相からスメクチック相への相転移の際に5倍以上伸長した。その後2度目の加熱−冷却を行ったところ、スメクチック相−等方相間で5倍以上の可逆変形を得られた。

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