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技術 タイヤのシミュレーション方法

出願人 住友ゴム工業株式会社
発明者 岩崎直明
出願日 2014年8月25日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2014-170830
公開日 2016年4月4日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 2016-045798
状態 特許登録済
技術分野 タイヤ一般 CAD 車両の試験
主要キーワード 緩和長 剛要素 質量マトリックス 数値解析法 剛性マトリックス 式試験機 初期時刻 時間増分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

イヤ過渡的なコーナリング特性を正確に評価することができるタイヤのシミュレーション方法を提供する。

解決手段

タイヤの過渡特性コンピュータを用いて評価するためのタイヤのシミュレーション方法は、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するタイヤモデル設定ステップ#1と、予め定められた境界条件に基づいて、タイヤモデルを仮想路面上で転動させる転動ステップ#3と、タイヤモデルのスリップ角を、漸増又は漸減させながら、それぞれのスリップ角でタイヤモデルが発生する横力を計算する横力計算ステップ#5と、横力に基づいて、遅れ伝達関数時定数を計算する時定数計算ステップ#7とを含む。

概要

背景

従来から、コンピュータを用いたシミュレーションによってタイヤ特性を評価する技術が、種々提案されている。

例えば、下記特許文献1では、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤモデル化したタイヤモデルを設定し、このタイヤモデルを予め定められた境界条件に基づいて仮想路面上で転動させて、タイヤモデルの物理量を計算する技術が開示されている。

概要

タイヤの過渡的なコーナリング特性を正確に評価することができるタイヤのシミュレーション方法を提供する。タイヤの過渡特性をコンピュータを用いて評価するためのタイヤのシミュレーション方法は、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するタイヤモデル設定ステップ#1と、予め定められた境界条件に基づいて、タイヤモデルを仮想路面上で転動させる転動ステップ#3と、タイヤモデルのスリップ角を、漸増又は漸減させながら、それぞれのスリップ角でタイヤモデルが発生する横力を計算する横力計算ステップ#5と、横力に基づいて、遅れ伝達関数時定数を計算する時定数計算ステップ#7とを含む。

目的

本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤの過渡的なコーナリング特性を短時間で正確に評価することができるタイヤのシミュレーション方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

イヤ過渡特性コンピュータを用いて評価するためのタイヤのシミュレーション方法であって、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するステップと、予め定められた境界条件に基づいて、前記タイヤモデルを仮想路面上で転動させるステップと、前記タイヤモデルの姿勢角を、漸増又は漸減させながら、それぞれの姿勢角で前記タイヤモデルが発生する横力を計算するステップと、前記横力に基づいて、遅れ伝達関数時定数を計算するステップとを含むことを特徴とするタイヤのシミュレーション方法。

請求項2

前記姿勢角を、予め定められた一定値で、漸減又は漸増させる請求項1記載のタイヤのシミュレーション方法。

請求項3

前記姿勢角は、スリップ角を含む請求項1又は2に記載のタイヤのシミュレーション方法。

請求項4

前記姿勢角は、キャンバー角を含む請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法。

請求項5

タイヤの過渡特性をコンピュータを用いて評価するためのタイヤのシミュレーション方法であって、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するステップと、予め定められた境界条件に基づいて、前記タイヤモデルを、予め定められたスリップ角及びキャンバー角で固定しながら、仮想路面上で転動させるステップと、前記タイヤモデルの軸荷重を、漸増又は漸減させながら、それぞれの軸荷重で前記タイヤモデルが発生する横力を計算するステップと、前記横力に基づいて、遅れの時定数を計算するステップとを含むことを特徴とするタイヤのシミュレーション方法。

請求項6

前記軸荷重を、予め定められた一定値で、漸減又は漸増させる請求項5記載のタイヤのシミュレーション方法。

請求項7

前記伝達関数は、1次遅れの伝達関数の時定数を含む請求項1乃至6のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法。

請求項8

前記伝達関数は、2次遅れの伝達関数を含む請求項7記載のタイヤのシミュレーション方法。

技術分野

0001

本発明は、タイヤ過渡特性コンピュータを用いて評価するためのタイヤのシミュレーション方法に関する。

背景技術

0002

従来から、コンピュータを用いたシミュレーションによってタイヤ特性を評価する技術が、種々提案されている。

0003

例えば、下記特許文献1では、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定し、このタイヤモデルを予め定められた境界条件に基づいて仮想路面上で転動させて、タイヤモデルの物理量を計算する技術が開示されている。

0004

特開2013−216167号公報

0005

ところで、タイヤの定常的なコーナリング特性を示す指標として、単位スリップ角あたりで発生する横力がある。一方、タイヤの過渡的なコーナリング特性を評価するために、タイヤにスリップ角が付与されてから横力が発生するまでの遅れである時定数を指標とすることが提案されている。

先行技術

0006

しかしながら、シミュレーションによって時定数を計算する技術は、現在のところ十分に開拓されておらず、新たなシミュレーション方法の確立が求められている。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤの過渡的なコーナリング特性を短時間で正確に評価することができるタイヤのシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。

課題を解決するための手段

0008

本発明の第1発明は、タイヤの過渡特性をコンピュータを用いて評価するためのタイヤのシミュレーション方法であって、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するステップと、予め定められた境界条件に基づいて、前記タイヤモデルを仮想路面上で転動させるステップと、前記タイヤモデルの姿勢角を、漸増又は漸減させながら、それぞれの姿勢角で前記タイヤモデルが発生する横力を計算するステップと、前記横力に基づいて、遅れの伝達関数の時定数を計算するステップとを含むことを特徴とする。

0009

第1発明に係る前記シミュレーション方法において、前記姿勢角を、予め定められた一定値で、漸減又は漸増させることが望ましい。

0010

第1発明に係る前記シミュレーション方法において、前記姿勢角は、スリップ角を含むことが望ましい。

0011

第1発明に係る前記シミュレーション方法において、前記姿勢角は、キャンバー角を含むことが望ましい。

0012

本発明の第2発明は、タイヤの過渡特性をコンピュータを用いて評価するためのタイヤのシミュレーション方法であって、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するステップと、予め定められた境界条件に基づいて、前記タイヤモデルを、予め定められたスリップ角及びキャンバー角で固定しながら、仮想路面上で転動させるステップと、前記タイヤモデルの軸荷重を、漸増又は漸減させながら、それぞれの軸荷重で前記タイヤモデルが発生する横力を計算するステップと、前記横力に基づいて、遅れの時定数を計算するステップとを含むことを特徴とする。

0013

第1発明に係る前記シミュレーション方法において、前記軸荷重を、予め定められた一定値で、漸減又は漸増させることが望ましい。

0014

第1発明及び第2発明に係る前記シミュレーション方法において、前記伝達関数は、1次遅れの伝達関数の時定数を含むことが望ましい。

0015

第1発明及び第2発明に係る前記シミュレーション方法において、前記伝達関数は、2次遅れの伝達関数を含むことが望ましい。

発明の効果

0016

本発明の第1発明のシミュレーション方法は、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するステップと、予め定められた境界条件に基づいて、タイヤモデルを仮想路面上で転動させるステップとを含む。これにより、タイヤモデルの定常的な転動状態が得られる。

0017

さらに、第1発明のシミュレーション方法では、タイヤモデルの姿勢角を、漸増又は漸減させながら、それぞれの姿勢角でタイヤモデルが発生する横力を計算するステップを含む。これにより、タイヤモデルに入力される姿勢角の変化は、準静的なものとなり、タイヤモデルのトレッド部からビード部の間で、計算に影響を及ぼすような捻り振動は発生しない。従って、算出される横力に含まれるノイズ成分は小さくなり、時定数を正確かつ一義的に求めることが可能となる。

0018

さらに、第1発明のシミュレーション方法では、それぞれの姿勢角ごとに算出された横力に基づいて、遅れの伝達関数の時定数を計算するステップとを含む。これにより、姿勢角の変化率と横力の変化率とが同等とみなされた時点で、時定数を計算することが可能となり、容易かつ短時間で時定数を求めることが可能となる。

0019

本発明の第2発明のシミュレーション方法は、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するステップと、予め定められた境界条件に基づいて、タイヤモデルを、予め定められたスリップ角及びキャンバー角で固定しながら、仮想路面上で転動させるステップとを含む。これにより、タイヤモデルの定常的な転動状態が得られる。

0020

さらに、第2発明のシミュレーション方法では、タイヤモデルの軸荷重を、漸増又は漸減させながら、それぞれの軸荷重でタイヤモデルが発生する横力を計算するステップを含む。これにより、タイヤモデルに入力される軸荷重の変化は、準静的なものとなり、タイヤモデルのトレッド部からビード部の間で、計算に影響を及ぼすような捻り振動は発生しない。従って、算出される横力に含まれるノイズ成分は小さくなり、時定数を正確かつ一義的に求めることが可能となる。

0021

さらに、第2発明のシミュレーション方法では、それぞれの軸荷重ごとに算出された横力に基づいて、遅れの伝達関数の時定数を計算するステップとを含む。これにより、軸荷重の変化率と横力の変化率とが同等とみなされた時点で、時定数を計算することが可能となり、容易かつ短時間で時定数を求めることが可能となる。

図面の簡単な説明

0022

本実施形態で用いたコンピュータの一例を示す斜視図である。
本発明の第1発明の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
タイヤモデルを視覚化して示す斜視図である。
タイヤモデルに入力されるスリップ角と、タイヤモデルで算出される横力との推移を示すグラフである。
本発明の第1発明の別の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
本発明の第2発明の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
本発明の第1発明のシミュレーション方法を経て算出されたタイヤモデルの緩和長と、実測から得られたタイヤの緩和長との相関を示すグラフである。

0023

図1には、本発明のシミュレーション方法を実施するためのコンピュータ1が示されている。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成される。本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクのような大容量記憶装置(いずれも図示せず。)、CD−ROMなどのドライブ装置1a1、1a2が設けられる。そして、大容量記憶装置には後述するシミュレーション方法を実行するために必要な処理手順(プログラム)が記憶される。

0024

図2には、コンピュータ1を用いて行われる本発明の第1発明のシミュレーション方法の処理手順の一実施形態が示される。先ず、本実施形態では、数値解析が可能な有限個の要素でタイヤをモデル化したタイヤモデルを設定するタイヤモデル設定ステップ(#1)が行われる。ここで、数値解析が可能とは、例えば有限要素法有限体積法差分法又は境界要素法といった数値解析法にて取り扱い可能なことを意味し、本例では有限要素法及び有限体積法が採用される。

0025

図3には、コンピュータ1を用いて作成されるタイヤモデル2の一例が3次元上に視覚化して表されている。タイヤモデル2は、解析しようとするタイヤを有限個の小さな要素2a、2b、2c…を用いて表すことによりモデル化される。このようなタイヤモデル2の実体は、コンピュータ1で取り扱いが可能な数値データである。具体的には、各要素2a、2b、2c…の節点座標値要素番号及び節点番号等が定義される。本実施形態のタイヤモデル2には、タイヤを構成するトレッドゴムサイドウォールゴムビードエイペックスゴム等の各種ゴムの他、カーカスベルト層及びビードコア等がモデリングされている。

0026

各要素2a、2b、2c…としては、例えば、複雑な形状を表現するのに適した4面体ソリッド要素が好ましいが、これ以外にも5面体又は6面体ソリッド要素などが用いられてもよい。

0027

各要素2a、2b、2c…には、要素番号、節点番号、節点座標値、及び材料特性(例えば密度ヤング率及び/又は減衰係数等)などの数値データが定義され、コンピュータ1に記憶される。

0028

図2に示されるように、境界条件設定ステップ(#2)では、後述のステップを行うに際して必要な条件が定義される。設定される条件としては、例えばタイヤモデル2が装着されるリム内圧、仮想路面とタイヤモデル2との間の摩擦係数、タイヤモデル2の初期スリップ角、初期キャンバー角、転動速度、タイヤモデル2の変形計算時の初期の時間増分及びタイヤモデル2の初期位置などの条件が含まれる。本実施形態では、タイヤモデル2の初期スリップ角及び初期キャンバー角は、ともにであるが、予め定められた角度に設定されていてもよい。

0029

仮想路面とは、タイヤが走行する路面がモデル化されたもので、本実施形態では水平に配置された平面の剛要素でモデル化されている。

0030

次に、上記境界条件に基づいて、タイヤモデル2を仮想路面上で転動させる転動ステップ(#3)が実行される。この転動ステップ(#3)では、コンピュータ1が、予め定めた走行速度、内圧及び荷重の条件に基づいて、タイヤモデル2が仮想路面上を転動する状態を計算(以下、「転動計算」という)する。

0031

転動計算では、主に、タイヤモデル2の変形計算が行われる。この変形計算は、各要素の形状及び材料特性などをもとに、各要素の質量マトリックス剛性マトリックス及び減衰マトリックスがそれぞれ作成され、これらの各マトリックスを組み合わせて全体の系のマトリックスが作成される。

0032

そして、上記各種の条件を当てはめて運動方程式が作成され、これらを微小な時間増分Δt(例えば、1μ秒)きざみでコンピュータ1にて逐次計算・記憶される。これにより、転動するタイヤモデル2の各要素の座標値応力、歪といった物理量を時系列的に計算することができる。

0033

上述の転動計算は、例えば有限要素法を用いたエンジニアリング系の解析アプリケーションソフトウエア(例えば米国リバモアソフトウェアテクノロジー社で開発・改良されたLS−DYNA等)を用いて行うことができる。

0034

上記転動ステップ(#3)で実行される転動計算によって、コンピュータ1上でタイヤモデル2の定常的な転動状態が得られる。この後、転動中のタイヤモデル2のスリップ角が入力され、遅れの時定数が計算される。

0035

スリップ角の入力例として、例えば、sin波で表される関数を用いる手法や、スリップ角の増加勾配無限大として、スリップ角の目標値まで1ステップで離散的に変動させるステップ入力を用いる手法が考えられる。しかしながら、sin波で表される関数を用いる手法では、時定数を算出するまでの計算時間が非常に長くなり、多数のタイヤモデルについて、シミュレーションを実行するのが困難となる。一方、ステップ入力を用いる手法では、タイヤモデルのトレッド部からビード部の間で捻り振動が発生し、算出された横力には、大きなノイズ成分が含まれることとなるため、上記時定数を一義的かつ正確に求めるのが困難となる。

0036

そこで、本実施形態では、タイヤモデル2のスリップ角を目標値まで所定の時間で達するように、複数ステップに分けて漸増又は漸減させるスリップ角ランプ入力ステップ(#4)が実行され、さらには、それぞれのスリップ角でタイヤモデル2が発生する横力を計算する横力計算ステップ(#5)が実行される。

0037

タイヤモデル2のスリップ角が漸増される場合、スリップ角ランプ入力ステップ(#4)で入力されるスリップ角の増分値ΔSAは、小さい方が望ましいが、コンピュータ1の計算能力及び記憶容量等を考慮して設定される。上記スリップ角の増分値ΔSAが十分に小さく設定されることにより、タイヤモデル2に入力されるスリップ角の変化は、準静的なものとなり、タイヤモデル2のトレッド部からビード部の間で、計算に影響を及ぼすような捻り振動は発生しない。従って、横力計算ステップ(#5)で算出される横力に含まれるノイズ成分は小さくなり、後述する時定数計算ステップ(#7)で、時定数を正確かつ一義的に求めることが可能となる。タイヤモデル2のスリップ角が漸減される場合も、上記と同様である。

0038

スリップ角ランプ入力ステップ(#4)及び横力計算ステップ(#5)は、後述する時刻判定ステップ(#6)で、予め設定された時刻到来したと判定されるまで、繰り返し実行される(#6においてNO)。

0039

図4には、スリップ角ランプ入力ステップ(#4)で入力されるスリップ角SAと、横力計算ステップ(#5)で算出される横力Fyとの推移が示されている。図4で、横軸には、スリップ角が零である時刻を初期時刻T0とする転動計算上の時間(現実の時間とは異なる)が、縦軸には、タイヤモデル2のスリップ角SA及び横力Fyが表されている。タイヤモデル2のスリップ角SAは破線で示され、横力Fyは実線で示されている。

0040

本実施形態では、スリップ角SAは、予め定められた一定値で漸増して入力され、線形に増加する。すなわち、スリップ角SAの傾きdSA/dtは一定であり、図4では、直線で表される。スリップ角SAの傾きdSA/dtは、例えば、6゜/秒以下が望ましい。

0041

これに対して、タイヤの過渡特性によって、横力Fyは、遅延しながら立上がり、その傾きdFy/dtは、徐々に増加する。やがて、横力Fyの傾きdFy/dtは、時刻T1以降で、スリップ角SAの傾きdSA/dtと同等となる。この後、傾きdFy/dtは、計算誤差の範囲内で一定を維持し、横力Fyは、スリップ角SAから時定数Tだけ遅れて増加する。

0042

図4では、スリップ角SAが予め定められた一定値で漸増して入力される場合が示されたが、スリップ角SAが予め定められた一定値で漸減して入力される場合も同様である。

0043

図2に示されるように、時刻判定ステップ(#6)では、予め設定された時刻T2が到来したか否かが判定される。この時刻T2は、上記時刻T1よりも十分に後の時刻であり、スリップ角ランプ入力ステップ(#4)及び横力計算ステップ(#5)が繰り返し実行された結果、スリップ角SAの傾きdSA/dtと、横力Fyの傾きdFy/dtとが同等とみなされるのに十分な時刻である。時刻T2は、種々のタイヤモデル2にてスリップ角SAをランプ入力して横力Fyを計算することにより、経験的に定めることができる。

0044

時刻判定ステップ(#6)で、時刻T2が到来していないと判定された場合(#6においてNO)、スリップ角ランプ入力ステップ(#4)に戻って、スリップ角SAのランプ入力が継続される。一方、時刻T2が到来したと判定された場合(#6においてYES)、時定数計算ステップ(#7)に移行する。

0045

時定数計算ステップ(#7)では、横力Fyに基づいて遅れの伝達関数の時定数Tが計算される。

0046

図4において、スリップ角SAが微小な領域では、横力Fyは、タイヤモデル2が発生するコーナリングフォース近似できる。この場合、コーナリングパワーCPは、スリップ角SAの傾きdSA/dtに対する横力Fyの傾きdFy/dtの比dFy/dSAで近似できる。

0047

図2に示される時定数計算ステップ(#7)で計算される遅れの伝達関数の時定数Tには、例えば、1次遅れの伝達関数G(s)の時定数τが含まれる。1次遅れの伝達関数G(s)の時定数τは、下記の式(1)乃至(3)によって示される。

0048

0049

1次遅れの伝達関数G(s)の時定数τは、フィッティングにより求めることができる。フィッティングでは、例えば、最小二乗法等の手法を適用できる。

0050

遅れの伝達関数の時定数Tとして、さらに、2次遅れの伝達関数G(s)の時定数ωnが含まれていてもよい。2次遅れの伝達関数G(s)の時定数ωnは、下記の式(4)乃至(8)によって示される。

0051

0052

1次遅れの伝達関数G(s)の時定数τと同様に、2次遅れの伝達関数G(s)の時定数ωnは、フィッティングにより求めることができる。フィッティングでは、例えば、最小二乗法等の手法を適用できる。

0053

第1発明では、直進又はコーナリング中に、タイヤのスリップ角SAが変化した場合の過渡特性が評価されうる。

0054

既に述べたように、本実施形態では、タイヤモデル2のトレッド部からビード部の間で、計算に影響を及ぼすような捻り振動は発生しないので、時定数τ及びωn等の計算に用いられる横力Fyに含まれるノイズ成分は小さい。従って、時定数τ及びωn等を正確かつ一義的に求めることが可能となる。

0055

さらに、時刻T2が到来したと判定された場合(#6においてYES)、時定数計算ステップ(#7)に移行して、横力Fyに基づいて遅れの伝達関数の時定数τ及びωn等が計算される。従って、容易かつ短時間で時定数τ及びωn等を求めることが可能となる。

0056

時刻判定ステップ(#6)に替えて、スリップ角SAの傾きdSA/dtと横力Fyの傾きdFy/dtとを比較するステップが実行されてもよい。この場合、スリップ角SAの傾きdSA/dtと横力Fyの傾きdFy/dtとが同等とみなされた時点、すなわち、スリップ角SAの変化率と横力Fyの変化率とが同等とみなされた時点で、時定数計算ステップ(#7)に移行して、時定数τ及びωn等を計算することが可能となり、より一層容易かつ短時間で時定数τ及びωn等を求めることが可能となる。

0057

本実施形態では、スリップ角ランプ入力ステップ(#4)でスリップ角SAを線形で漸増又は漸減させながら、横力計算ステップ(#5)で横力Fyの計算を実行しているが、スリップ角ランプ入力ステップ(#4)で、タイヤモデル2に入力されるスリップ角SAは、非線形で漸増又は漸減されていてもよい。

0058

また、スリップ角ランプ入力ステップ(#4)で入力されるスリップ角SAの増分値又は減分値は、一定値に限られず、タイヤモデル2のトレッド部からビード部の間で、計算に影響を及ぼすような捻り振動は発生しない範囲で、可変値であってもよい。

0059

図5には、本発明の第1発明のシミュレーション方法の処理手順の別の実施形態が示される。この実施形態は、図2に示されるスリップ角ランプ入力ステップ(#4)に替えて、キャンバー角をランプ入力するキャンバー角ランプ入力ステップ(#14)が実行される点で、図2に示される実施形態とは異なる。キャンバー角ランプ入力ステップ(#14)では、タイヤモデル2のキャンバー角が、漸増又は漸減され、さらには、それぞれのキャンバー角でタイヤモデル2が発生する横力を計算する横力計算ステップ(#15)が実行される。

0060

上記変更に伴い、境界条件設定ステップ(#12)で設定されるタイヤモデル2のスリップ角が零である場合、横力計算ステップ(#15)では、キャンバースラストによる横力が計算される。タイヤモデル2にスリップ角が付与されている場合は、コーナリングフォースとキャンバースラストの合力が計算される。その他の説明は、図2に示される実施形態を準用できる。

0061

本実施形態では、直進又はコーナリング中に、タイヤのキャンバー角が変化した場合の過渡特性が評価されうる。

0062

図6には、本発明の第2発明のシミュレーション方法の処理手順の一実施形態が示される。第2発明は、図2のスリップ角ランプ入力ステップ(#4)に替えて、軸荷重をランプ入力する軸荷重ランプ入力ステップ(#24)が実行される点で、第1発明とは異なる。第2発明では、転動ステップ(#23)から時定数計算ステップ(#27)に至るまで、タイヤモデル2に設定されるスリップ角及びキャンバー角は、予め定められた角度で固定される。

0063

軸荷重ランプ入力ステップ(#24)では、タイヤモデル2の軸荷重が、漸増又は漸減され、さらには、それぞれの軸荷重でタイヤモデル2が発生する横力を計算する横力計算ステップ(#25)が実行される。その他の説明は、第1発明を準用できる。

0064

第2発明では、直進又はコーナリング中に、タイヤの軸荷重が変化した場合の過渡特性が評価されうる。

0065

以上、本発明のタイヤのシミュレーション方法が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。

0066

例えば、ランプ入力されるパラメーターは、スリップ角、キャンバー角又は軸荷重のうち、いずれか2種か、又はスリップ角、キャンバー角及び軸荷重の全てであってもよい。この場合、各パラメーターを関連させながら漸増又は漸減させることができ、より実走行に近い条件で、タイヤの過渡特性を評価できるようになる。

0067

図3に示されるサイズ195/65R15で、構造が相違する4種のタイヤモデルが作成された。各タイヤモデルには、内圧230kpPa、軸荷重4.1kN及び速度50km/hの境界条件が設定され、実施例として、図2に示される第1発明のシミュレーション方法によりタイヤモデルごとに時定数が計算され、緩和長σcが算出された。緩和長σcは、時定数と速度との積によって算出される。スリップ角SAの傾きdSA/dtは、1.5゜/秒である。また、比較例として、各タイヤモデルにスリップ角がステップ入力され、横力が定常時の飽和値の63.2%に達するのに要した時間から、緩和長σcが算出された。

0068

一方、各構造のタイヤが試作され、フラットベルト式試験機によって上記内圧、軸荷重及び速度で、コーナリングパワーが測定され、緩和長σmが算出された。緩和長σmは、コーナリングパワーを横ばね定数で除することにより算出される。

0069

実施例及び比較例のシミュレーション方法を経て算出されたタイヤモデルの緩和長σcは、タイヤの実測から得られた緩和長σmと比較され、それらの相関が検証された。

0070

図7では、シミュレーション方法を経て算出されたタイヤモデルの緩和長σcと、実測から得られたタイヤの緩和長σmとの関係が示されている。実施例は、黒丸プロット及び実線で表され、比較例は、四角のプロット及び破線で表されている。

実施例

0071

図7から明らかなように、第1発明のシミュレーション方法を経て算出されたタイヤモデルの緩和長σcと、実測から得られたタイヤの緩和長σmとの間では、決定係数R2が0.98の極めて強い相関が得られることが確認できた。一方、比較例の方法から算出された緩和長σcと実測から得られたタイヤの緩和長σmとの間では、決定係数R2が0.54の弱い相関に留まった。

0072

1コンピュータ
2タイヤモデル
SAスリップ角
Fy横力
τ時定数
ωn 時定数

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