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技術 偏光板、これを含む液晶表示装置、および偏光板の製造方法

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 大平詩野野尻真裕美下重直也吉田愛子深川伸隆
出願日 2014年8月25日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-171023
公開日 2016年4月4日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2016-045434
状態 特許登録済
技術分野 偏光要素 液晶4(光学部材との組合せ) 流動性材料の適用方法、塗布方法
主要キーワード 固化接着剤 耐圧試験管 相対変化量 熱活性接着剤 色味付 錯体量 アルカリ滴定法 発泡型接着剤
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

優れた耐久性を有する偏光板を提供すること。

解決手段

少なくとも、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子層を有する偏光板であって、解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物を含む偏光板。偏光板の製造方法。液晶表示装置

概要

背景

液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペース画像表示装置として普及しており、年々その用途が広がっている。
液晶表示装置の一般的な構成は液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通す役割を担っており、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板は、一般にヨウ素を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子(以下において、偏光子層とも記載する。)を少なくとも含み、任意に、保護フィルム等の他の層を有する構成となっている(例えば特許文献1、2参照)。

概要

優れた耐久性を有する偏光板を提供すること。少なくとも、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子層を有する偏光板であって、解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物を含む偏光板。偏光板の製造方法。液晶表示装置。なし

目的

本発明の目的は、優れた耐久性を有する偏光板を提供することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

少なくとも、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子層を有する偏光板であって、解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物を含む偏光板。

請求項2

前記化合物を、前記偏光子層に含む請求項1に記載の偏光板。

請求項3

前記化合物が、少なくとも、前記偏光子層の表面または表面を含む表層領域に存在している請求項2に記載の偏光板。

請求項4

前記偏光子層の一方または両方の表面上に保護フィルムを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法であって、解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物を含む層を少なくとも一層形成する工程を含む、前記製造方法。

請求項6

ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素染色する染色工程を少なくとも含み、前記染色工程の前、染色工程中、および染色工程後の少なくともいずれかにおいて、前記化合物を、ポリビニルアルコール系フィルムに適用することにより、前記化合物を含む偏光子層を形成する工程を含む、請求項5に記載の製造方法。

請求項7

前記適用することは、前記化合物を含む溶液を、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも一方の表面に塗布することである請求項6に記載の製造方法。

請求項8

請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板を含む液晶表示装置

技術分野

0001

本発明は、偏光板、この偏光板を含む液晶表示装置、およびこの偏光板の製造方法に関する。

背景技術

0002

液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペース画像表示装置として普及しており、年々その用途が広がっている。
液晶表示装置の一般的な構成は液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通す役割を担っており、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板は、一般にヨウ素を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子(以下において、偏光子層とも記載する。)を少なくとも含み、任意に、保護フィルム等の他の層を有する構成となっている(例えば特許文献1、2参照)。

先行技術

0003

特開2011−118135号公報
特開2013−174861号公報

発明が解決しようとする課題

0004

近年、液晶表示装置は、屋内での使用のほかに、屋外で使用される機会(例えば、屋外に設置される大画面ディスプレイ携帯デバイス等)が増加している。そのため、液晶表示装置を構成する偏光板には、屋外をはじめとして様々な環境下での使用に耐え得る耐久性を有することが求められる。偏光板が耐久性に劣るものであると、この偏光板を備えた液晶表示装置の表示面に表示される画像品質が低下してしまうからである。

0005

そこで本発明の目的は、優れた耐久性を有する偏光板を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

偏光板の耐久性に関して、上記特許文献1、2の実施例では、直交透過率により偏光板の耐久性を評価している。直交透過率とは、2枚の偏光板の透過軸を直交するように配置(クロスニコル配置)した状態で測定される透過率である。直交透過率が低いほど、黒表示における光漏れが少ないことを意味する。黒表示における光漏れが少ないことは、液晶表示装置に表示される画像品質向上(より詳しくはコントラスト比および色再現力の向上)に有効である。
ところで、画像品質は、黒表示における光漏れを低減することによって向上することができるが、黒表示における光漏れが少ないことと白表示色味付きが少ないこととを両立することによっても向上することができる。黒表示における光漏れが少なく、かつ白表示の色味付きが少ないことにより、「最大輝度(白表示における輝度)/最小輝度(黒表示における輝度)」により算出されるコントラスト比を高めることが可能となり、また、色表現力を向上することもできるからである。特許文献1、2には、偏光板の耐久性を白表示の色味付きの観点から評価することについて何ら開示がないが、本発明者らは、以上の点に着目し、偏光板の耐久性を、黒表示における光漏れ(具体的には経時的な直交透過率変化)、白表示の色味付き(具体的には経時的な色相変化)、をそれぞれ低減するという新たな技術思想に基づき検討した。その結果、本発明者らは、以下の偏光板:
少なくとも、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子層を有する偏光板であって、
解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能(以下、単に「ポリヨウ化物イオンI5−形成能」とも記載する。)が1.0以下である化合物を含む偏光板、
を新たに見出し、本発明を完成させた。上記化合物により偏光板の耐久性向上が可能になることに関する本発明者らによる推察は、後述する。

0007

ここで、上記の解離エネルギーE1は、化合物(RHと表記する;Rは、化合物の、水素原子H以外の構造部分である。)の下記反応式1による反応の反応エネルギー(化合物RHからH・が解離する反応の反応エネルギー)である。
RH→R・+H・ (反応式1)

0008

また、上記の過酸化物ラジカル形成エネルギーE2は、化合物RHの反応式1による反応により生成されたR・(ラジカル)の、下記反応式2による反応の反応エネルギー(過酸化物ラジカルROO・が形成される反応の反応エネルギー)である。
R・+O2→ROO・ (反応式2)

0009

E1、E2は、以下の方法により求められる値である。
化合物RHについて、RH、ラジカルR・、RHから解離したH・、過酸化物ラジカルROO・の各構造の基底状態の最安定構造のエネルギーERH、ER・、EH・、EROO・を、密度汎関数法DFT)、好ましくはB3LYP法に基づく量子計算化学ソフトウェアにより、基底関数(6-311++G(d,p))を用いて計算する。電子多重度は、RHの状態を一重項、ラジカルR・、過酸化物ラジカルR−OO・の状態を二重項と規定し、酸素については、三重項と規定した。同様に、O2の基底状態の最安定構造のエネルギーEO2も計算する。求められたエネルギーから、下記式1、式2により、E1、E2を求める。
E1=(ER・+EH・)−ERH (式1)
E2=EROO・−(ER・+EO2) (式2)
量子計算化学ソフトウェアとしては、Gaussian社製量子化学計算ソフトウェアGaussianシリーズ等の公知のソフトウェアを用いることができる。後述の実施例では、Gaussian社製量子計算ソフトGaussian09 (Revision D.01) を用い、基底状態の最安定構造のエネルギーをDFT (B3LYP/6-311++G(d,p)) レベルで計算した。
なお、上述した反応式1および反応式2の反応を経て過酸化物ラジカルROO・が形成される反応経路が、量子計算化学上、複数考えられる場合、E1、E2は、以下のように算出するものとする。
量子計算化学上、化合物RHからH・が解離する箇所として特定されるすべての箇所について、解離エネルギーE1を計算し、計算されたE1の中で、E1が最も低い値となる反応経路(反応経路a)の解離エネルギーE1a、および反応経路aにおいて反応式1の反応により生成されたR・(ラジカル)から反応式2により過酸化物ラジカルROO・が形成される反応の反応エネルギーE2aを算出する。
反応経路aの解離エネルギーE1aと解離エネルギーE1が最も近い値E1bを取る反応経路(反応経路b)における反応式2の反応エネルギーをE2bとする。
E1a<E1bかつE2a>E2bの場合を除き、反応経路aの解離エネルギーE1aおよび過酸化物ラジカル形成エネルギーE2aを、化合物RHのE1およびE2として採用する。
これに対し、E1a<E1bかつE2a>E2bであって、E1b−E1a≦15kcal/molを満たす場合には、反応経路bの解離エネルギーE1bおよび過酸化物ラジカル形成エネルギーE2bを、化合物RHのE1およびE2として採用する。
一方、E1a<E1bかつE2a>E2bであって、E1b−E1a≦15kcal/molを満たさない場合には、反応式1および反応式2の反応を経て過酸化物ラジカルROO・が形成される反応経路が、量子計算化学上、存在しないものとする。即ち、そのような化合物は、E1およびE2は存在しないものとして、上記化合物には該当しないものとする。

0010

また、ヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能は、以下の方法により測定される値とする。以下に記載の操作は、特記しない限り、大気中、室温下(25℃相対湿度40%RH)で行うこととする。
以下では、ヨウ化化合物としてヨウ化カリウムを用いる方法を例にとり説明する。ただし、ヨウ化化合物としては、ヨウ化カリウム以外のヨウ化化合物、例えば、ヨウ化リチウムヨウ化ナトリウムヨウ化亜鉛ヨウ化アルミニウムヨウ化鉛ヨウ化銅ヨウ化バリウムヨウ化カルシウムヨウ化錫、ヨウ化チタン等を用いてもよい。ヨウ化化合物含有溶液には、ヨウ化化合物から電離したモノヨウ化物イオンI−が少なくとも含まれる。
(1)混合溶媒(水:メタノール=1:1(体積比))にヨウ化カリウム(KI)を添加し十分に撹拌して濃度0.05Mのヨウ化カリウム溶液を調製する。
調製したヨウ化カリウム溶液の一部を、以下の対象化合物溶液の調製に使用し、他の一部を以下の参照溶液として用いる。
(2)ヨウ化カリウム溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能を測定する対象化合物を、上記ヨウ化カリウム溶液5mLに0.025mmol添加し十分に撹拌し混合する。ここでの撹拌混合により、対象化合物は、ヨウ化カリウム溶液に完溶する場合と、微量(例えば添加した対象化合物全量に対して5質量%以下)が不溶物として存在している場合とがある。または、不溶物が多く吸光度測定において不溶物による散乱光等によって吸光度の正確な読み取りが難しい場合(即ち、対象化合物が水およびメタノールへの溶解性に乏しい場合)には、メタノールの半量を、対象化合物が高い溶解性を示す溶媒(以下、第三溶媒と記載する。)に置き換えて測定を行ってもよい。したがってこの場合、混合溶媒としては、水:メタノール:第三溶媒=1:0.5:0.5(体積比)の混合溶媒が使用される。第三溶媒としては、水との相溶性が高い点やヨウ化物イオンやヨウ素分子との反応性に乏しい点から、エタノールジメチルホルムアミドDMF)、アセトニトリルアセトン等が好ましいが、これらに限定されるものではない。また第三溶媒として、二種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
こうして調製された対象化合物溶液を含む耐圧試験管を、参照溶液を含む耐圧試験管とともに、液温60℃の湯浴に浸漬した状態で2時間放置する。
(3)その後、湯浴から取り出した耐圧試験管から対象化合物溶液の一部を採取し、幅(透過光透過距離)1mmのセルを用いて分光光度計により波長355nmにおける吸光度を測定する。
(4)参照溶液についても、対象化合物溶液を含む耐圧試験管と同じ時間湯浴に浸漬した状態で放置した耐圧試験管から参照溶液の一部を採取し、対象化合物溶液と同様に吸光度測定を行う。
(5)こうして対象化合物溶液について測定される吸光度を、ヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能とする。
ただし、湯浴に浸漬する前の対象化合物溶液が、波長355nmに吸収を有する場合には、湯浴に浸漬する前の対象化合物溶液の波長355nmにおける吸光度を、上記測定で求めた吸光度から差し引いた値を、ポリヨウ化物イオンI5−形成能とする。また、参照溶液の波長355nmにおける吸光度が0.0超である場合には、対象化合物溶液について得られた吸光度から、参照溶液について得られた吸光度を差し引いた値を、対象化合物のヨウ化カリウム溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能とする。
なお、分光光度計による吸光度測定は、測定対象溶液測定結果ブランク溶液の測定結果との対比により行われる。ブランク溶液の測定(以下、ブランク試験という。)は、セルの影響を排除ないし低減するため、対象化合物溶液の吸光度測定に用いたセルと同じセルを用いて行うこととする。ブランク溶液としては、対象化合物溶液の調製に用いた混合溶媒(対象化合物およびヨウ化カリウム未含有)を用いる。

0011

偏光板とは、少なくとも偏光子層を含む部材であり、偏光子層が自己支持性を持つ場合には、偏光子層単層で偏光板が構成されていてもよい。また、偏光子層の一方または両方の表面上に保護フィルム(偏光板保護フィルム)を有する積層体も、偏光板の好ましい一態様として挙げられる。なお偏光板保護フィルムは、偏光子層表面に直接隣接する層として設けられていてもよく、一層以上の他の層を介して間接的に設けられていてもよい。そのような他の層としては、接着剤層等を例示できる。なお本発明における接着剤は、接着剤および粘着剤の両方を意味するものである。

0012

一態様では、上記化合物は、偏光子層に含まれる。

0013

一態様では、上記化合物は、少なくとも、偏光子層の表面または表面を含む表層領域に存在している。

0014

本発明の更なる態様は、
解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物を含む層を少なくとも一層形成する工程を含む、上記偏光板の製造方法、
に関する。

0015

一態様では、上記製造方法は、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素染色する染色工程を少なくとも含み、染色工程の前、染色工程中、および染色工程後の少なくともいずれかにおいて、ヨウ化化合物含有溶液中で上記化合物を、ポリビニルアルコール系フィルムに適用することにより、上記化合物を含む偏光子層を形成する工程を含む。

0016

一態様では、上記適用することは、ヨウ化化合物含有溶液中で上記化合物を含む溶液を、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも一方の表面に塗布することである。

0017

本発明の更なる態様は、上述の偏光板を含む液晶表示装置に関する。

発明の効果

0018

本発明によれば、経時後の直交透過率および色相変化が少ない偏光板、およびこの偏光板を備えた液晶表示装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の一態様にかかる液晶表示装置の例を示す概略図である。

0020

以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明および本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、およびその関係(例えば「直交」、「平行」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。

0021

[1.偏光板]
本発明の一態様にかかる偏光板は、少なくとも、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子層を有し、解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物(以下、「耐久性改良剤」とも記載する。)を含むものである。

0022

以下は、本発明を何ら限定するものではないが、上記耐久性改良剤によって優れた耐久性を有する偏光板の提供が可能となる理由を、本発明者らは次のように考えている
ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムには、通常、少なくとも、ヨウ素染色溶液中に含まれていたモノヨウ化物イオンI−およびヨウ素分子I2が含まれている。加えて、通常、モノヨウ化物イオンとヨウ素分子とにより形成されたポリヨウ化物イオンI3−、このポリヨウ化物イオンI3−とヨウ素分子とにより形成されたポリヨウ化物イオンI5−が含まれる。更に、より高次のポリヨウ化物イオンが含まれる可能性もある。加えて、いずれか1つ以上のポリヨウ化物イオンがポリビニルアルコール系樹脂(以下、単に「ポリビニルアルコール」または「PVA」とも記載する。)と形成した錯体も通常含まれると言われている。本発明者らは、上記錯体が直交透過率を低く抑え黒表示における光漏れを防ぐことに寄与すると考えている。したがって、上記錯体量が減少することは、直交透過率の増加をもたらすと考えられる。
以上の点に関し本発明者らは、上記化合物RHが過酸化物ROOHとなり、この過酸化物ROOHが下記スキームのようにモノヨウ化物イオンI−をヨウ素分子I2へと酸化することが、偏光子層における上記錯体の分解を抑制することに寄与しているのではいかと考えている。そして、解離エネルギーE1および過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が低いほど多くのROOHが生成されるため、下記スキームの酸化を促進することができ、結果的に、上記錯体の分解を抑え経時的な直交透過率の低下を抑制することができるのではないかと、本発明者らは推察している。

0023

0024

他方、白表示の経時的な色味付きについては、モノヨウ化物イオンからポリヨウ化物イオンI3−が形成される反応、I3−からI5−が形成される反応といった各種ポリヨウ化物イオンの形成反応を穏やかに進行させることが、白表示の経時的な色味付低減に寄与するのではないかと、本発明者らは考えている。そして先に記載したヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能は、値が低いほど各種ポリヨウ化物イオンの形成反応が穏やかに進行することを意味している。ここではポリヨウ化物イオンとしてI5−の形成能を指標としているが、I5−の形成が穏やかに進行することは、ヨウ素分子I2とともにI5−をもたらすI3−の形成も穏やかに進行することや、I5−を経て形成されるより高次のポリヨウ化物イオンの形成反応も穏やかに進行することを意味する。なおヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能は、あくまでもポリヨウ化物イオンI5−形成の反応の進行の程度を相対的に評価するためのモデル実験系で得られる値であり、この値が0.0の化合物であっても、偏光子層におけるポリヨウ化物イオンの形成を妨げるものではない。

0025

以上に、解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物により、偏光板の耐久性向上が可能になることに関する本発明者らによる推察を記載した。ただし上記はあくまでも推察であり、本発明を何ら限定するものではない。

0026

以下、上記偏光板について、更に詳細に説明する。

0027

<1−1.偏光板の構成>
上記偏光板は、少なくとも、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子層を有する。その他に任意の層として、一層以上の偏光板保護フィルム、接着剤層等を有することができる。任意に設けられる層については、後述する。

0028

上記偏光板に含まれる偏光子層は、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムからなる。ここでヨウ素染色とは、通常、ヨウ素I2およびヨウ化化合物(例えばモノヨウ化物イオンI−を含むヨウ化カリウムKIやI3−やI5−等のポリヨウ化物イオンを含む化合物)を含有する水溶液とポリビニルアルコール系フィルムを接触(例えば上記水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬)させることにより行われる。詳細は後述する。偏光子層の作製工程は、通常、ヨウ素染色、架橋工程、延伸工程を含む。これらの詳細も後述する。または、上記の各種工程を、樹脂基材上に形成したポリビニルアルコール系フィルムに対して行った後、樹脂基材からポリビニルアルコール系フィルムを剥離することにより、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムを作製してもよい。ポリビニルアルコール系樹脂を含む組成物樹脂基材表面に塗布することにより、樹脂基材上にポリビニルアルコール系フィルムを形成することができる。
こうして得られる偏光子層の厚みは、例えば、0.1〜100μmの範囲であり、偏光性能の観点からは、好ましくは1〜25μmの範囲である。

0029

<1−2.耐久性改良剤>
上記偏光板は、一態様では、解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物(耐久性改良剤)を、偏光子層に含むことができる。また、他の一態様では、耐久性改良剤を、偏光子層以外に設けられる層の一層以上に含むことができる。また他の一態様では、耐久性改良剤を、偏光子層および偏光子層以外の一層以上に含むことができる。なお耐久性改良剤は、水和物、溶媒和物および塩のいずれかの形態であってもよい。

0030

(1−2−1.解離エネルギーE1、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2)
耐久性改良剤は、先に記載した方法により求められる解離エネルギーが90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下である。先に記載したように、本発明者らは、E1、E2が低い化合物は前述の錯体の分解を抑えることができると考えており、E1、E2がそれぞれ上記範囲である化合物によれば、前述の錯体の分解を抑えることにより偏光板の経時的な直交透過率の低下を抑制することができると推察している。以上の観点から、耐久性改良剤のE1は、好ましくは85.0kcal/mol以下であり、より好ましくは83.0kcal/mol以下であり、更に好ましくは82.0kcal/mol以下である。耐久性改良剤のE1は、例えば入手容易性の観点からは、50.0kcal/mol以上であるが、経時的な直交透過率の低下を抑制する観点からは、E1は低いほど好ましいため下限値は特に限定されるものではない。また、同様の観点から、耐久性改良剤のE2は、負の値を取ることが好ましく、−1.0kcal/mol以下であることがより好ましく、−5.0kcal/mol以下であることが更に好ましく、−6.0kcal/mol以下であることが一層好ましく、−7.0kcal/mol以下であることがより一層好ましい。耐久性改良剤のE2は、例えば入手容易性の観点からは、−50.0kcal/mol以上であるが、E1と同様に、低いほど好ましいため下限値は特に限定されるものではない。

0031

(1−2−2.ポリヨウ化物イオンI5−形成能)
先に記載した通り、耐久性改良剤のポリヨウ化物イオンI5−形成能は、1.0以下である。好ましくは0.5以下であり、0.0であってもよい。なお前述の通り、ヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が0.0の化合物が偏光子層におけるポリヨウ化物イオンの形成を妨げるものではない。

0032

耐久性改良剤として使用する化合物は、上記範囲のE1、E2およびポリヨウ化物イオンI5−形成能を有する化合物である限り、構造は特に限定されるものではない。市販の化合物の中から、または公知の方法で合成された化合物の中から、上記範囲のE1、E2およびポリヨウ化物イオンI5−形成能を有する化合物を選択して、耐久性改良剤として用いることができる。

0033

一態様では、耐久性改良剤としては、ポリヨウ化物イオンを低減する作用が少ないか、またはそのような作用を示さない化合物を用いることが好ましい。ポリヨウ化物イオンを低減しないか、または低減する程度が低いことは、前述の錯体量の減少を抑制することに寄与すると考えられるためである。
また、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA)との反応性の高い化合物は、ポリヨウ化物イオンに優先してPVAと結合することによりポリヨウ化物イオンとPVAから形成される錯体量を低減する可能性が考えられるため、一態様では、耐久性改良剤として、PVAとの反応性の低い化合物が好ましい。同様の観点から、一態様では、ポリヨウ化物イオンとの反応性の低い化合物が、耐久性改良剤として好ましい。

0034

以上の点から耐久性改良剤として好ましい化合物の一態様としては、共役酸酸解離定数pKaが6.0以下である化合物を挙げることができる。酸性弱塩基性の化合物は、ポリヨウ化物イオンを低減する作用が少ないか、またはそのような作用を示さないと考えられるためである。この点から、例えば、化合物の構造中にアミノ基(例えばアルキルアミノ基アリールアミノ基等)を含まない化合物は、耐久性改良剤として好ましい。
上記の酸解離定数pKaは、化学便覧基礎編II(改訂4版、日本化学会編、丸善株式会社発行)等の公知の文献に記載の酸解離定数(文献値)を利用することができる。または、例えば、アルカリ滴定法により測定した値を用いてもよい。
アルカリ滴定法による測定は、電位自動滴定測定装置(京都電子工業(株)製AT−610)を用い、テトラヒドロフラン(THF)/H2O(水)=6/4(体積比)の混合溶媒中(液温25℃)で行うことができる。対象化合物の微量(例えば添加した対象化合物全量に対して5質量%以下)が不溶物として存在している場合、または、不溶物が多く正確な測定が難しい場合(即ち、対象化合物が上記混合溶媒への溶解性に乏しい場合)には、テトラヒドロフランの半量を、対象化合物が高い溶解性を示す溶媒(以下、第三溶媒と記載する。)に置き換えて測定を行ってもよい。第三溶媒としては、水との相溶性が高い点から、ジメチルスルホキシドDMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール(MeOH)などを用いることもできるが、これらに限定されるものではなく、2種以上の溶媒を混合してもよい。

0035

また、他の一態様では、耐久性改良剤としては、偏光板に含まれる層間の密着性を維持する観点から、後述するホウ酸架橋を切断する作用が少ないか、またはそのような作用を示さない化合物を用いることが好ましい。

0036

以下に、耐久性改良剤として好ましい化合物の一態様を説明する。ただし前述の通り、耐久性改良剤は、先に記載した範囲のE1、E2およびポリヨウ化物イオンI5−形成能を有する化合物であればよく、下記態様に限定されるものではない。
なお、本発明において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、下記置換基Sを挙げることができる。また、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。

0037

耐久性改良剤として好ましい化合物の一態様は、下記一般式Iで表される化合物である。

0038

0039

一般式Iにおいて、R1、R2、R31、R32およびR33は各々独立に水素原子または置換基を表す。また、R1、R2、R31、R32およびR33は互いに連結して環構造を形成してもよい。

0040

R1で表される置換基としては、後述の置換基Sが挙げられ、アルケニル基シクロアルケニル基アリール基が好ましい。また置換基は、電子吸引性基であっても電子供与性基であってもよい。一態様では、R1で表される置換基はアシル基ではないことが好ましい。

0041

R2で表される置換基としては、後述の置換基Sが挙げられ、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましい。R2は水素原子であることも好ましい。

0042

R31、R32またはR33で表される置換基としては、後述の置換基Sが挙げられる。R31とR32は互いに連結して環構造を形成することも好ましい。この場合、芳香環構造を形成することが好ましい。また、互いに連結して環構造を形成しない場合には、R31は水素原子であることも好ましく、さらに、R32またはR33のいずれか一つは水素原子であることも好ましい。

0043

以下に、置換基Sについて説明する。 置換基Sは、下記置換基群から選ばれる置換基である。
〔置換基S〕
置換基Sとしては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、例えばメチル基エチル基イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基ヘプチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、2−エトキシエチル基、1−カルボキシメチル基等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル基アリル基オレイル基等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20アルキニル基、例えば、エチニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、フェニルエチニル基等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20のアリール基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、4−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数0〜20のヘテロ環基で、環を構成するヘテロ原子酸素原子窒素原子硫黄原子であるものが好ましく、5員環または6員環でベンゼン環ヘテロ環縮環していてもよく、飽和環不飽和環芳香環であってもよく、例えば、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−イミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、2−チアゾリル基、2−オキサゾリル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ基エトキシ基イソプロピルオキシ基、ベンジルオキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基イソプロピルチオ基ベンジルチオ基等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、3−メチルフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基等)、アシル基(アシル基には、アルキルカルボニル基アルケニルカルボニル基アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基包含され、炭素数は20以下であることが好ましく、例えば、アセチル基、ピバロイル基アクリロイル基メタクロリイル基、ベンゾイル基ニコチノイル基等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、アミノ基(アミノ基には、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基が包含され、好ましくは炭素数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−エチルアミノ基アニリノ基、1−ピロリジニル基、ピペリジノ基モルニル基等)、アルキルスルホンアミド基もしくはアリールスルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20のアルキルスルホンアミド基もしくはアリールスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド基、N−フェニルスルホンアミド基等)、アルキルスルファモイル基もしくはアリールスルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20のアルキルスルファモイル基もしくはアリールスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルキルカルバモイル基もしくはアリールカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基もしくはアリールカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基アクリロイルアミノ基ベンゾイルアミノ基、ニコチンアミド基等)、シアノ基ヒドロキシル基メルカプト基スルホ基もしくはその塩、カルボキシ基もしくはその塩、リン酸基もしくはその塩、オニオ基(例えば、スルホニウム塩スルホニオ基、アンモニウム塩アンモニオ基、ヨードニウム塩ヨードニオ基、ホスホニウム塩ホスホニオ基)、チオアシル基、アルコキシチオカルボニル基アリールオキシチオカルボニル基アルキルチオカルバモイル基もしくはアリールチオカルバモイル基(これらの好ましい範囲および具体例は、対応するアシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基もしくはアリールカルバモイル基のC(=O)部分を(C=S)に置き換えたのみ異なるものが挙げられる)、またはハロゲン原子(例えばフッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子等)が挙げられる。

0044

上記置換基は置換基で更に置換されていてもよく、更に置換する置換基としては上記置換基Sが挙げられる。具体例としては、例えば、アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基、アルキル基にアルコキシカルボニル基やシアノ基が置換した基などが挙げられる。

0045

一般式Iで表される化合物の好ましい一態様としては、下記一般式I−2で表される化合物を挙げることができる。

0046

0047

一般式I−2において、R2、R31、R32およびR33は一般式Iと同義であり、各々独立に水素原子または置換基を表す。R11、R12およびR13は、各々独立に水素原子または置換基を表す。R11、R12、R13、R2、R31、R32、およびR33は互いに連結して環構造を形成してもよい。
R2、R31、R32およびR33の具体例および好ましい例は一般式Iと同じである。R11、R12およびR13の具体例および好ましい例はそれぞれR31、R32およびR33の具体例および好ましい例と同じである。

0048

一般式Iで表される化合物の好ましい一態様としては、下記一般式IIで表される化合物を挙げることもできる。

0049

0050

一般式IIにおいて、R1、R2、R33およびR4は各々独立に水素原子または置換基を表し、nは0または1〜4の範囲の整数を表す。R1、R2、R33およびR4は互いに連結して環構造を形成してもよい。
R1、R2の具体例および好ましい例は一般式Iと同じである。
R33、R4で表される置換基としては置換基Sが挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等が好ましい。また、R33、R4は、水素原子であることも好ましい。
R1、R2、R33およびR4からなる群から選択される2つ以上が連結して環構造を形成する場合、2つ以上が連結して形成する部分構造(以下、「連結部分」と記載する。)は、単結合または、−CRaRb−、アルキレン基アルケニレン基アリーレン基、−O−、−S−、−NRc−、−(C=O)−、−(S=O)−、−(S=O)2−(RaおよびRbは水素原子または置換基を表し、Rcは水素原子または置換基を表す;置換基としては置換基Sを例示できる。)の単独またはこれらの2つ以上の組み合わせからなる二価連結基であることが好ましい。

0051

一般式IIで表される化合物の好ましい一態様としては、下記一般式II−2で表される化合物を挙げることができる。

0052

0053

一般式II−2において、R2、R4、R5、R13およびR33は、各々独立に水素原子または置換基を表し、nおよびmはそれぞれ独立に0または1〜4の範囲の整数を表す。
R2、R4、R5、R13およびR33からなる群から選択される2つ以上が連結して環構造を形成してもよい。連結部分の構造の具体例は一般式IIと同じである。

0054

R2、R4、R5、R13、R33で表される置換基としては、置換基Sが挙げられる。R2の具体例および好ましい例は一般式IIと同じである。R4およびR33の具体例および好ましい例は一般式IIと同じである。R5およびR13の具体例および好ましい例はそれぞれR4およびR33の具体例および好ましい例と同じである。
R2、R4、R5、R13およびR33からなる群から選択される2つ以上が連結して環構造を形成することも好ましい。特に、R13とR33が互いに連結して環構造を形成することが好ましい。この場合の連結部分の原子数は、0〜3つであることが好ましく、連結部分は単結合または、−CRaRb−、アルキレン、−O−、−S−、−NRc−、−(C=O)−の単独またはこれらの2つ以上の組み合わせからなる二価の連結基であることが好ましい。Ra、Rb、Rcは、上記と同義である。

0055

一般式IIで表される化合物の好ましい一態様としては、下記一般式II−3で表される化合物を挙げることができる。

0056

0057

一般式II−3中、R4、R5、R13およびR33は、各々独立に水素原子または置換基を表し、nおよびmはそれぞれ独立に0または1〜4の範囲の整数を表す。これらの詳細は、一般式II−2と同様である。

0058

一般式II−3中、X1は、−(CRaRb)a−またはヘテロ原子を表し、Ra、Rbは、上記と同義である。aは0〜3の範囲の整数を表す。X1が、−(CRaRb)a−である場合、aは1であることが好ましく、Ra、Rbは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。ヘテロ原子としては酸素原子が好ましい。

0059

一般式II−3中、X2は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、前述の置換基Sを挙げることができる。

0060

一般式II−3で表される化合物の具体例として、キサンテンキサンヒドロール、9,10−ジヒドロアントラセン等が挙げられる。

0061

なお以上記載した一般式で表される化合物に包含される化合物の中にも、E1、E2、ポリヨウ化物イオンI5−形成能の1つ以上が前述の範囲を外れるものはある。耐久性改良剤としては、E1、E2およびポリヨウ化物イオンI5−形成能が前述の範囲内の化合物を選択して用いるものとする。

0062

耐久性改良剤の偏光板への添加量については、後述する。

0063

<1−3.耐久性改良剤を含む層>
以上説明した耐久性改良剤は、偏光板を構成する層のいずれか一層以上に含まれる。耐久性改良剤としては、一種の化合物のみ用いてもよく、異なる二種以上の化合物を併用してもよい。なお耐久性改良剤を二種以上併用する場合、耐久性改良剤の含有量とは、併用される化合物の合計量をいうものとする。
耐久性改良剤が偏光子層以外の層に含まれる場合には、耐久性改良剤は、かかる層から偏光子層へ経時的に移行することにより、偏光子層において耐久性向上に寄与しているのではないかと、本発明者らは推察している。
また、耐久性改良剤が偏光子層に含まれる場合、偏光子層全体に均一に含まれる態様であってもよく、偏光子層の一部領域に偏在している態様であってもよい。先に記載した通り、本発明者らによる推察によれば、耐久性改良剤は、酸素と反応し過酸化物となることにより、前述の錯体の分解抑制に寄与すると考えられる。空気中から偏光板へ取り込まれた酸素と耐久性改良剤との反応は、偏光子層の表面や表面から偏光子層の厚み方向に向かう一部領域(表層領域)において、他の領域よりも、より進行しやすいと考えられる。表面や表層領域は、偏光子層に隣接する層を通過して偏光子層に到達した酸素と耐久性改良剤との反応が起こりやすい部分だからである。したがって、偏光子層の表面または表面を含む表層領域に、耐久性改良剤が存在することも、好ましい。一例として、表層領域は、偏光子層の表面から、例えば偏光子層の厚みの1/10〜1/3程度の厚さの領域であることができる。ただし表層領域の厚みは特に限定されるものではない。また、偏光子層においては、耐久性改良剤の濃度が、例えば内部から表面に向かって連続的または段階的に変化する濃度勾配があってもよい。

0064

上記のように偏光子の表面や表層領域に耐久性改良剤を存在させるための手段としては、偏光子層表面に、耐久性改良剤をそのまま、または溶液として塗布する方法を挙げることができる。
また、偏光子層等の各層を作製するための組成物に、耐久性改良剤を添加する方法、各層の作製工程において耐久性改良剤を添加する方法等を用いることにより、偏光子層等の偏光板を構成する層の少なくとも一層に、耐久性改良剤を含む偏光板を得ることもできる。
また、偏光子層の内部に耐久性改良剤を存在させるための手段としては、偏光子層および偏光子層以外の偏光板を構成する層のいずれか一層以上の作製工程において延伸操作を行う場合、延伸操作において耐久性改良剤を含有させた溶液を用いる方法等を挙げることができる。
以上の詳細については、後述する。

0065

[2.偏光板の製造方法]
本発明の更なる態様は、上述の偏光板の製造方法に関する。
上記製造方法は、ヨウ化化合物含有溶液中で耐久性改良剤を含む層を少なくとも一層形成する工程を含む。
以下、上記製造方法の詳細について説明する。

0066

<2−1.ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムの準備>
ポリビニルアルコール系フィルムは、市販品を用いてもよく、公知の方法で製膜したものを用いてもよい。ポリビニルアルコール系フィルムの製膜方法としては、例えば、特開2007−86748号公報の段落0213〜0237に記載の方法を用いることができる。また、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして、ポリビニルアルコール系フィルムを製膜することもできる。なおポリビニルアルコール系フィルムとは、フィルムを構成する樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂を含むフィルムを意味する。フィルムを構成する樹脂の最も多くを、例えば80質量%以上を、ポリビニルアルコール系樹脂が占めることが好ましい。フィルムを構成する樹脂のすべてがポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニルケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸不飽和スルホン酸オレフィン類ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含んでいてもよい。また、アセトアセチル基スルホン酸基カルボキシル基オキシアルキレン基等を含有する変性ポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。

0067

ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子(偏光子層)の製造工程は、通常、染色工程(ヨウ素染色)、架橋工程、延伸工程を含む。更に任意に、膨潤工程、洗浄工程等を含むこともできる。以上の工程は、任意の順序で、同時または順次、実施することができる。

0068

延伸工程は、通常、一軸延伸を施すことにより行うことができる。延伸工程は、例えば、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、または特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式により、実施することができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、更に好ましくは3倍〜10倍である。延伸工程は、通常、湿潤式延伸により行うことができる。膨潤工程後に行ってもよい。また、延伸工程は、複数回実施することもできる。例えば、染色工程前に延伸したフィルムを、染色工程、架橋工程、またはこれらの両工程中に更に延伸することができる。

0069

湿潤式延伸に用いる処理液(以下、延伸浴とも記載する。)にヨウ化化合物を含有させることもできる。処理液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は、例えば0.1〜10質量%とすることができ、0.2〜5質量%とすることが好ましい。湿潤式延伸における延伸浴の液温度は、通常、25℃以上であり、好ましくは30〜85℃、更に好ましくは50〜70℃の範囲である。浸漬時間は、通常、10〜800秒間であり、好ましくは30〜500秒間である。

0070

染色工程(ヨウ素染色)は、気相または液相において行うことができる。液相で行う染色方法の一例としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液(以下、染色浴とも記載する。)にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬させる方法を挙げることができる。上記ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液としては、ヨウ素濃度は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウム濃度は1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、染色時の染色浴の液温度は5〜60℃が好ましい。染色手段としては浸漬だけでなく、染色液の塗布または噴霧等、任意の手段を用いることができる。染色工程は、延伸工程前、延伸工程後のいずれで行ってもよい。また、液相での染色中に延伸を行うこともできる。フィルムが適度に膨潤され延伸が容易になることから、延伸工程前または延伸しながら液相で染色することが好ましい。フィルムを複数回延伸する場合において、延伸工程とは、延伸を行う複数の工程の中で、延伸倍率が最も大きい工程をいうものとする。

0071

架橋工程は、通常、架橋剤としてホウ素化合物を用いて行われる。架橋工程の順序は特に制限されない。架橋工程は、染色工程、延伸工程とともに行うことができる。また、架橋工程は1回または複数回行ってもよい。ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。ホウ素化合物は、水溶液または水と有機溶媒との混合溶媒を溶媒として含む溶液の形態で、一般に用いられる。通常は、ホウ酸水溶液が用いられる。ホウ酸水溶液のホウ酸濃度は、溶媒100質量部に対して、例えば1〜10質量部、好ましくは2〜7質量部の範囲である。また、ホウ酸水溶液等(以下、架橋浴とも記載する。)には、ヨウ化カリウム等のヨウ化化合物を含有させることができる。ホウ酸水溶液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は、溶媒100質量部に対して、例えば0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部の範囲である。架橋工程を実施することでポリビニルアルコールを架橋し安定化することができるため、偏光性能向上の観点から好ましい。

0072

架橋工程を、ポリビニルアルコール系フィルムを架橋浴へ浸漬することにより行う場合、通常、架橋浴の液温度は、25℃以上、好ましくは30〜85℃、更に好ましくは30〜60℃の範囲である。浸漬時間は、通常、5〜800秒間、好ましくは8〜500秒間程度である。

0073

膨潤工程は、染色工程前または後のポリビニルアルコール系フィルムを処理液に浸漬することにより行うことができる。処理液としては、通常、水、蒸留水、純水が用いられる。処理液は、最も多くを占める成分が水であることが好ましい。処理液には、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加剤アルコール等の有機溶媒が少量入っていてもよい。また、処理液にヨウ化化合物を含有させる場合、ヨウ化化合物濃度は、例えば0.1〜10質量%であり、0.2〜5質量%であることが好ましい。

0074

膨潤工程における処理液の液温度は、通常、20〜45℃程度に調整することが好ましい。さらには、25〜40℃であることが好ましい。処理液への浸漬時間は、通常10〜300秒間、好ましくは20〜240秒間の範囲である。

0075

洗浄工程は、洗浄液として、ヨウ化カリウム溶液を用いて行うことができる。ヨウ化カリウム溶液におけるヨウ化カリウム濃度は、通常、0.5〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%の範囲である。

0076

洗浄液の液温度は、通常15〜60℃、好ましくは25〜40℃である。洗浄液への浸漬時間は、通常1〜120秒間、好ましくは3〜90秒間の範囲である。

0077

また、洗浄工程としては、水洗を行ってもよい。水洗は、通常、イオン交換水、蒸留水などの純水にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行うことができる。水洗に用いる水の液温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃、更に好ましくは15〜40℃の範囲である。水への浸漬時間は、通常、5〜300秒間、好ましくは10〜240秒間程度である。

0078

上記各工程を施した後には、最終的に、乾燥工程を施すことができる。乾燥工程は、例えば、30℃〜100℃の雰囲気において30秒〜60分程度行うことができる。

0079

なお偏光子の製造工程については、特開2011−237580号公報の段落0039〜0050も参照できる。

0080

<2−2.耐久性改良剤を含む層を少なくとも一層形成する工程>
先に記載した偏光板は、耐久性改良剤を含む層を、少なくとも一層有する。耐久性改良剤を含む層は、一態様では、偏光子層であり、他の一態様では偏光板保護フィルムであり、また他の一態様では、接着剤層である。

0081

<2−3.耐久性改良剤を含む偏光子層を形成する方法>
耐久性改良剤を偏光子層に含めるための方法の一例としては、ポリビニルアルコール系フィルムを製膜するために用いる製膜用組成物に、耐久性改良剤を添加する方法を挙げることができる。
また他の一例としては、染色工程前、染色工程中、染色工程後の少なくともいずれかにおいて、耐久性改良剤をポリビニルアルコール系フィルムに適用する方法を挙げることができる。ここで適用とは、塗布、浸漬、噴霧等の任意の手段によりポリビニルアルコール系フィルムと耐久性改良剤を接触させ、好ましくは吸着ないし浸透させることをいう。そのためには、例えば、先に記載した延伸浴、染色浴、架橋浴、処理液、洗浄液等の液相に、耐久性改良剤を添加する方法を用いることができる。また、他の一例としては、ヨウ素染色後のポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも一方の表面に、耐久性改良剤を含む溶液を塗布する方法を挙げることができる。なお上記のように塗布により適用することは、表面または表面を含む表層領域に耐久性改良剤が存在する偏光子層を得る方法として、好ましい。
以上の方法は、1つのみ実施してもよく、2つ以上を組み合わせて実施してもよい。上記いずれの方法を用いる場合にも、偏光子層に耐久性改良剤を所望量含めることができるように製造条件を設定することが好ましい。偏光子層における耐久性改良剤の含有量は、耐久性改良剤とポリビニルアルコール系樹脂との相溶性も考慮すると、ポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲とすることが好ましく、0.01〜10質量部の範囲とすることがより好ましく、1〜10質量部の範囲とすることが更に好ましい。

0082

ヨウ素染色後のポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも一方の表面に、耐久性改良剤を含む溶液を塗布する方法を用いる場合、塗布液の溶媒としては、特に限定されるものではない。1種または2種以上の溶媒を任意の割合で混合して用いることができる。溶媒としては、耐久性改良剤が高い溶解性を示す溶媒が好ましく、耐久性改良剤に応じて適宜選択すればよい。一例として、メチルエチルケトンメチレンクロライド、メタノール、酢酸メチル、テトラヒドロフラン(THF)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、塗布液における耐久性改良剤濃度は、例えば、0.0005〜50mol/L程度とすることができる。塗布液の塗布量は、例えば、1〜60ml/m2程度とすることができる。

0083

<2−4.耐久性改良剤を含む接着剤層を形成する方法>
偏光板には、偏光子層と他の層との密着性、または偏光板と他の部材との密着性を高めるために、偏光子層に隣接する層として、接着剤層が設けられることがある。そのような場合、粘着剤層に、耐久性改良剤を含めることもできる。接着剤層における耐久性改良剤の含有量は、樹脂との相溶性も考慮すると、接着剤層を構成する樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲であることが好ましく、0.01〜10質量部の範囲であることがより好ましく、1〜10質量部の範囲であることが更に好ましい。

0084

接着剤層に用いられる樹脂としては、特に限定されず、接着剤を有する公知の樹脂を何ら制限なく用いることができる。接着剤として、粘性を有するもの(粘着剤)を用いてもよく、乾燥や反応により接着性発現する接着剤を用いてもよい。本発明における接着剤は、接着剤および粘着剤の両方を意味するものである。
接着剤層は、通常、樹脂が最も多くを占める成分(主成分)として含む。樹脂は、通常は、接着剤層の30質量%以上、例えば90質量%以下、を占める。好ましくは接着剤層の70質量%以上を占める。樹脂は、複数の樹脂を混合させた混合物であってもよい。混合物としては、例えば、樹脂の一部を変性したポリマーの混合物、または異なるモノマーを反応させて合成した樹脂などのように、主骨格の構造がほぼ同一の成分の混合体などが挙げられる。なお樹脂が混合物の場合には、混合物の総量が上記範囲であることをいう。

0085

接着剤層は例えば、接着剤を所定の割合で含有する塗布液を、偏光子層、任意に設けられる他の層(例えば偏光板保護フィルム)等の少なくとも一方の表面に塗布し、乾燥させることで形成される。塗布液の調製方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。塗布液としては、例えば、市販の溶液または分散液を用いてもよく、市販の溶液または分散液にさらに溶剤を添加して用いてもよく、固形分を各種溶剤に溶解または分散して用いてもよい。

0086

接着剤としては、目的に応じて任意の適切な性質、形態および接着機構を有する接着剤が用いられ得る。具体的には、接着剤として、例えば、水溶性接着剤紫外線硬化型接着剤エマルジョン型接着剤ラテックス型接着剤マスチック接着剤複層接着剤、ペースト状接着剤発泡型接着剤、およびサポテッドフィルム接着剤熱可塑型接着剤熱溶融型接着剤、熱固化接着剤ホットメルト接着剤熱活性接着剤ヒートシール接着剤熱硬化型接着剤コンタクト型接着剤感圧性接着剤重合型接着剤、溶剤型接着剤、溶剤活性接着剤等が挙げられ、水溶性接着剤および紫外線硬化型接着剤が好ましい。特に、偏光子層に隣接する接着剤層には、ポリビニルアルコール系樹脂との親和性の観点から、水溶性接着剤、紫外線硬化型接着剤が好ましく用いられる。

0087

水溶性接着剤は、例えば、水に可溶な天然高分子および合成高分子の少なくとも一方を含有してもよい。天然高分子としては、例えば、たんぱく質澱粉等が挙げられる。合成高分子としては、例えば、レゾール樹脂尿素樹脂メラミン樹脂ポリエチレンオキシドポリアクリルアミドポリビニルピロリドンアクリル酸エステルメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶性接着剤が好ましく用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶性接着剤は、ポリビニルアルコール系フィルム(偏光子層)との密着性に優れるため、偏光子層に隣接する接着剤層に用いることが好ましい。

0088

なお、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶性接着剤から形成した接着剤層が偏光子層に隣接する場合、接着剤層と偏光子層が一体化し一層とみなし得る状態になる場合がある。

0089

また、接着剤層は、金属化合物、好ましくは金属化合物コロイドを含むことができる。その詳細については、特開2012−014148号公報段落0079〜0083を参照できる。

0090

その他の添加剤としては、例えば、連鎖移動剤増感剤粘着付与剤熱可塑性樹脂充填剤流動調整剤可塑剤消泡剤などの、通常、偏光板の接着剤層に用いられる各種添加剤の一種または二種以上を用いてもよい。添加剤を配合する場合、その量は、樹脂(接着剤)に対し、40質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%であることがより好ましい。

0091

また、接着剤層は、ホウ酸などの架橋剤を含んでもよい。ホウ酸については、接着剤層中に含有させることで、接着剤層を構成する樹脂中のヒドロキシル基の結合と架橋構造(ホウ酸架橋)を形成することにより、偏光子層と接着剤層との層間や、任意に設けられる偏光板保護フィルムと接着剤層との層間において、層間の密着性を向上させることができると考えられる。例えば、偏光板保護フィルムは、通常、鹸化処理等が行われるが行われるため、表面にヒドロキシル基を有する。セルロースエステル系樹脂から形成された偏光板保護フィルムは、鹸化処理により表面に多数のヒドロキシル基を有するものとなる。また、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂シクロオレフィン系樹脂から形成された偏光板保護フィルムも、鹸化などの表面処理等により表面にヒドロキシル基を有するものとなり得る。このように鹸化処理等により表面にヒドロキシル基を有するものとなった偏光板保護フィルムと隣接する接着剤層に、耐久性改良剤、中でも一般式(I)で表される化合物とホウ酸とを含めることにより、接着剤層と偏光子層との間、および接着剤層と偏光板保護フィルムとの間のホウ酸架橋を促進することができる。これにより、偏光子層と偏光板保護フィルムとの密着性を、より向上することができる。
耐久性改良剤を含む接着剤層においては、ホウ酸を配合する場合、その量は、耐久性改良剤100質量部に対し、0.1質量部以上10000質量部以下とすることが好ましく、1質量部以上1000質量部以下とすることがより好ましい。上記のような架橋剤と耐久性改良剤を含む接着剤層は、ヒドロキシル基を多数有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂やセルロースエステル系樹脂から形成された層と隣接する層として設けることがいっそう好ましい。

0092

接着剤層の厚みは、適宜、設定することができる。具体的には、接着剤層に粘着剤を用いる場合、接着剤層の厚みは、好ましくは、0.1〜50μmの範囲であり、より好ましくは、0.5〜20μmの範囲であり、更に好ましくは、1〜15μmの範囲であり、特に好ましくは、5〜10μmの範囲である。一方、接着剤層に接着剤を用いる場合、接着剤層の厚みは、好ましくは、10〜500nmの範囲であり、より好ましくは、10〜400nmの範囲であり、更に好ましくは、20〜350nmの範囲である。接着剤層は、接着剤や粘着剤を、スピンコート法ロールコート法フローコート法、ディップコート法バーコート法等の公知の塗布方法により、偏光子層や任意に設けられる偏光板保護フィルムの表面に塗布することにより、形成することができる。

0093

接着剤層は、使用する形態に応じて偏光子層の一方の表面上に直接またはプライマー層易接着層とも称する)等の他の層を介して間接的に設けてもよく、両方の表面上に設けてもよい。なお接着剤層は、偏光子層に隣接しない層としても形成することができ、その場合の接着剤層に耐久性改良剤が含まれていてもよい。別態様では、耐久性改良剤は、偏光子層に隣接する接着剤層に含めることができる。

0094

<2−5.耐久性改良剤を含む偏光板保護フィルムを形成する方法>
偏光板は、任意に、一層以上の偏光板保護フィルムを有することもできる。耐久性改良剤は、偏光板保護フィルムに含まれていてもよい。

0095

偏光板保護フィルムにおける耐久性改良剤の含有量は、樹脂との相溶性も考慮すると、偏光板保護フィルムを構成する樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲であることが好ましく、0.01〜10質量部の範囲であることがより好ましく、1.0〜10質量部の範囲であることが更に好ましい。

0096

偏光板保護フィルムの原料として、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂ポリエステルカーボネート系樹樹脂、ポリアリレート系樹脂ポリスルホン系樹脂ポリエーテルスルホン系樹脂ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂ポリアクリレート系樹脂ポリメタクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィンマレイミド系樹脂グルタルイミド系樹脂などのイミド系樹脂を挙げることができ、これらを単独または混合して用いることができる。上記樹脂のなかでも、分子の配向による複屈折、および、光弾性係数の比較的小さい、セルロースエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂、イミド系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂を好ましく用いることができる。偏光板保護フィルムにおいて、樹脂は5〜99質量%を占めることができ、20〜99質量%を占めることが好ましく、50〜95質量%を占めることがより好ましい。

0097

偏光板保護フィルムに耐久性改良剤を含めるためには、偏光板保護フィルム製膜用組成物(ドープ)に、耐久性改良剤を添加して製膜を行う方法や、前述の塗布方法によりフィルムの表面に吸着または表層領域に浸透させる方法などを用いることができる。偏光板保護フィルム製膜用組成物中の耐久性改良剤の含有量は、偏光板保護フィルムを構成する樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましく、1.0〜10質量部であることが更に好ましい。

0098

耐久性改良剤を含む偏光板保護フィルムは、偏光板保護フィルム製膜用組成物に耐久性改良剤を添加する点を除けば、偏光板保護フィルムの製膜方法として公知の方法を、何ら制限なく用いることができる。例えば、溶融製膜法または溶液製膜法ソルベントキャスト法)により、耐久性改良剤を含む偏光板保護フィルムを製膜することができる。

0099

偏光板保護フィルムを構成する樹脂や添加剤とその製造方法については、特開2005−104149号公報や、特開2012−014148号公報の段落0034〜0040も参照できる。

0100

なお耐久性改良剤を含まない偏光板保護フィルムとして、市販の、または公知の偏光板保護フィルムを用いることもできる。一例としては、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)、特開2006−58322号公報に記載の脂環式構造含有重合体樹脂フィルム、特開2009−122644号公報に記載のアクリル系樹脂フィルムなどを挙げることができる。

0101

偏光板保護フィルムは、偏光子層表面上に直接、または接着剤層等の他の層を一層以上介して間接的に設けることができる。また、偏光子層の片面または両面に、偏光板保護フィルムを設けることができる。

0102

本発明の一態様にかかる偏光板が2枚の偏光板保護フィルムを含む場合は、ともに同じ偏光板保護フィルムであっても、異なる偏光板保護フィルムであってもよい。偏光板保護フィルムの厚さは、通常、5〜300μmであり、好ましくは10〜200μm、更に好ましくは15〜100μmである。

0103

<2−6.偏光板に設けられ得る他の層>
本発明の一態様にかかる偏光板は、ディスプレイ視認性や機械特性向上のために、位相差層反射防止層ハードコート層前方散乱層アンチグレア(防眩)層等の機能層を有することもできる。そのような機能層を、偏光板保護フィルムに積層する形態や、機能層を有するフィルムや光学補償フィルム輝度向上フィルムなどの光学フィルム複合した機能化偏光板であってもよい。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の段落0257〜0276を参照できる。

0104

本発明の一態様にかかる偏光板は、さらに、ガスバリア層滑り層帯電防止層下塗り層や保護層等の機能層を設けた機能性光学フィルムとして使用することもできる。これらの機能層は、偏光子層側および偏光子層と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、または両面に設けて使用できる。これらの偏光板保護フィルムに複合化できる機能については、特開2005−104149号公報や、特開2012−014148号公報段落0139〜0160などを参照することができる。

0105

<2−7.偏光板の形状>
偏光板の形状としては、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用偏光板とするためには、偏光板の幅は1000mm以上とすることが好ましい。

0106

<2−8.偏光板の性能>
偏光板が有することが好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の段落0238〜0255に記載されている。本発明の一態様にかかる偏光板は、これらの特性を満たすことが好ましい。

0107

<2−9.偏光板の製造工程>
偏光板は、偏光子層等の各層を、必要に応じて接着剤層を介して、貼り合わせることにより製造することができる。

0108

偏光子層と偏光板保護フィルムを貼り合わせる際には、偏光子層の透過軸と偏光板保護フィルムの遅相軸が平行、直交または45°となるように貼り合せることも好ましい。
なお先に記載した通り、平行、直交、45°については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、平行、直交に関する厳密な角度から±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。偏光子層の透過軸と偏光板保護フィルムの遅相軸についての平行とは、偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とのずれが5°以内であることが好ましく、より好ましくは1°以内、更に好ましくは0.5°以内である。ずれが1°以内であれば、偏光板クロスニコル下での偏光性能が低下しにくく、光漏れが特に生じにくく好ましい。

0109

偏光板の構成部材としては上記の各層に加えて、液晶セルや有機ELパネル等の表示デバイスの透明基板や、表示装置の保護のために配置される前面板などの部材を挙げることもできる。

0110

[3.液晶表示装置]
次に本発明の一態様にかかる液晶表示装置について説明する。

0111

図1は、本発明の一態様にかかる液晶表示装置の例を示す概略図の一例である。
図1において、液晶表示装置10は、液晶層5とこの上下に配置された液晶セル上電極基板3および液晶セル下電極基板6とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板8からなる。液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板8の吸収軸9は直交に積層する。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極もしくは熱陰極蛍光管、または発光ダイオードフィールドエミッション素子エレクトロルミネッセント素子光源とするバックライトを背面に配置する。

0112

上側偏光板1および下側偏光板8は、それぞれ2枚の偏光板保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成で用いられることが多いが、液晶表示装置10は、偏光板の液晶セル側の保護フィルムに光学補償フィルムを用いてもよい。または、保護フィルムを有さずに偏光子層と電極基板3や6と接着剤層で直接貼り合わされていてもよい。
液晶表示装置10は、画像直視型、画像投影型、光変調型であってもよい。液晶層5の駆動モードとしては、TNモード、VAモード、IPSモードを含む横電界モード、OCBモード、ECBモード等の既知のいかなるモードを用いることができる。

0113

なお、例示していないが、他の構成として、反射型半透過型の液晶表示装置や有機EL等の自発光素子反射防止用途として配置される円偏光版の一部として、本発明の一態様にかかる偏光板を用いることもできる。

0114

以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。

0115

1.偏光板の作製

0116

[1−A.偏光板1〜3、5〜9の作製]
<1−A−1.偏光子(偏光子層)の作製>
原反フィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムクラレ製VF−PS7500;厚さ75μm)を用いた。このポリビニルアルコールフィルムに、下記の順番にて、下記各工程を施した。

0117

(膨潤工程)
膨潤浴の処理液としては、純水を用いた。上記ポリビニルアルコールフィルムを膨潤浴に搬送し、30℃に調整した純水中に1分間浸漬して膨潤させつつ、2.2倍に延伸し、膨潤させた。

0118

(染色工程)
染色浴の処理液としては、ヨウ素0.045質量%およびヨウ化カリウム0.315質量%を含む30℃のヨウ素染色溶液を用いた。上記膨潤処理されたポリビニルアルコールフィルムを染色浴に搬送し、30℃に調整したヨウ素染色溶液に、30秒間浸漬しながら、元長に対して延伸倍率3.3倍になるように延伸して染色した。

0119

(架橋工程)
架橋浴の処理液としては、ホウ酸を3質量%、ヨウ化カリウムを3質量%含有する混合水溶液(1)を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを架橋浴に搬送し、30℃に調整した混合水溶液(1)に、30秒間浸漬しながら、元長に対して延伸倍率3.6倍になるように延伸した。

0120

(延伸工程)
延伸浴の処理液としては、ホウ酸を4質量%、ヨウ化カリウムを5質量%含有する混合水溶液(2)を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを延伸浴に搬送し、60℃に調整した混合水溶液(2)に、60秒間浸漬しながら、元長に対して延伸倍率6.0倍になるように延伸した。

0121

(洗浄工程)
洗浄浴の処理液としては、ヨウ化カリウムを3質量%含有する水溶液を用いた。上記処理されたポリビニルアルコールフィルムを洗浄浴に搬送し、30℃に調整した上記水溶液に、10秒間浸漬した。

0122

(乾燥工程)
次いで、上記処理されたポリビニルアルコール系フィルムを水切りし、収縮を抑制するように保持した状態で60℃のオーブンで4分間乾燥して、偏光子を得た。

0123

<1−A−2.偏光板保護フィルムの貼り付け>
富士フイルム製セルロースアセテートフィルム商品名フジタックTD80UF)を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、偏光板保護フィルムについて表面の鹸化処理を行った。
鹸化処理した偏光板保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記にて作製した偏光子層の片側の表面に貼り付けた。この際、偏光子の透過軸と偏光板保護フィルムの遅相軸とが平行になるように配置した。

0124

<1−A−3.偏光子層への化合物の適用>
偏光板1〜3、5〜9については、表1に示した各化合物を表1に記載の溶媒に溶解し、0.085mol/Lの溶液とした。この溶液を偏光子層の偏光板保護フィルムを貼付した面と反対側の表面に塗布量が表1に示す値となるようにバーコーター#30にて塗布し、80℃で90秒間乾燥させた。
こうして、少なくとも表面または表面を含む表層領域に各化化合物を含む偏光板を作製した。

0125

[1−B.偏光板4の作製]
偏光子層への化合物の適用を行わなかった点以外、上記と同様に偏光板を作製した。

0126

2.直交透過率および直交透過率変化量の測定
偏光板1〜3、5〜9を、上記各化合物を適用した表面を粘着剤(綜研化学SK−2057)を介してガラス板と貼り付けることにより偏光板試料(約5cm×5cm)を作製した。
偏光板4については、偏光板保護フィルムと貼り合せた面と反対の表面を粘着剤を介してガラス板と貼り付けた点以外は、上記と同様として偏光板試料を作製した。
こうして準備した偏光板試料の透過率を、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて380nm〜780nmの範囲で測定し、10回の測定の平均値として、波長410nmにおける透過率(直交透過率)を求めた。その他測定の詳細は、先に記載した通りとした。
その後、60℃、相対湿度95%RHの環境下で各偏光板試料を500時間経時保存した後に同様の方法で、10回の測定の平均値として、波長410nmにおける直交透過率を測定した。
経時前、経時後の直交透過率測定は、25℃相対湿度60%RHの環境下で行った。
上記で得られた値から、経時後の直交透過率変化量を求めた。
なお偏光板としては、波長410nmの直交透過率CTが、CT≦2.0であることが好ましく、より好ましい範囲としてはCT≦1.3であり、更に好ましくはCT≦0.6(単位はいずれも%)、いっそう好ましくはCT≦0.05である。波長410nmの直交透過率が低いほど、波長410nm付近での光漏れは少ない。これに対し、波長410nmの直交透過率が高いほど波長410nm付近での光漏れが多くディスプレイの黒表示が青みを呈するようになる。液晶表示装置におけるコントラスト比向上の観点からは、そのような光漏れを低減することが好ましく、経時後も光漏れが低減されていることが好ましい。

0127

3.色相変化量の測定
偏光板1〜9について、上述の方法で作製した各偏光板と同じものをそれぞれ10枚ずつ作製し、60℃、相対湿度95%RHの環境下(湿熱条件下)で各偏光板試料を500時間経時保存した後に、偏光板1枚の透過率(単板透過率)を測定器(日本分光社製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070)によりそれぞれ測定した。測定された単板透過率から、CIE国際照明委員会)による1976年L*a*b*色空間における下記式により算出される色差ΔE*abを求め、偏光板1〜9について、それぞれΔE*ab値の偏光板10枚の平均値(算術平均)を算出した。なお、単板透過率の測定は、25℃相対湿度60%RHの環境下で行った。
ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
下記式により、偏光板4(偏光子層への化合物添加なしのブランク試料)の色差ΔE*abに対する色相相対変化量として色相変化量を求めた。
色相相対変化量=各偏光板の色差ΔE*ab/偏光板4の色差ΔE*ab

0128

4.偏光子層へ適用した化合物のE1、E2の算出
表1に記載の各化合物のE1、E2を、先に記載した方法により、Gaussian社製量子計算ソフトGaussian09 (Revision D.01) を用い、基底状態の最安定構造のエネルギーをDFT(B3LYP/6-311++G(d,p)) レベルで計算して求めた。

0129

5.偏光子層へ適用した化合物のヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能の測定
表1に記載の各化合物について、先に記載した方法(湯浴中での耐圧試験管の放置時間:2時間)によりヨウ化化合物(ヨウ化カリウム)溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能を求めた。分光光度計としては、島津製作所社製、UV3100PCを用いた。
各測定において、参照溶液の波長355nmにおける吸光度は0.0であったため、対象化合物溶液の波長355nmにおける吸光度をヨウ化化合物(ヨウ化カリウム)溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能とした。

0130

以上の結果を、表1に示す。

0131

実施例

0132

偏光板1〜3は、解離エネルギーE1が90.0kcal/mol以下であり、過酸化物ラジカル形成エネルギーE2が0.0kcal/mol以下であり、かつヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が1.0以下である化合物(耐久性改良剤)を偏光子層へ適用して作製された偏光板である。表1に示すように、偏光板1〜3は、偏光板4(ブランク試料)に対して、経時後の直交透過率変化量および色相変化量がともに小さいことから、経時後の直交透過率変化、色相変化がともに抑制されていることが確認できる。かかる偏光板を組み込むことにより、長期にわたり、黒表示における光漏れおよび白表示の色味付きが少ないことによって優れた画像品質を維持することができる液晶表示装置を作製することができる。
これに対し、偏光板5〜8は、E1またはE2が先に記載した範囲外の化合物を偏光子層に適用して作製された偏光板である。表1に示すように、偏光板5〜8では、偏光板4(ブランク試料)に対して、経時後の直交透過率変化、色相変化とも大きな変化は確認されなかった。
一方、偏光板9は、ヨウ化化合物含有溶液中でのポリヨウ化物イオンI5−形成能が先に記載した範囲外の化合物を偏光子層に適用して作製された偏光板である。表1に示すように、偏光板9は、偏光板4(ブランク試料)に対して、経時後の色相変化に大きな違いは見られないが、経時後の直交透過率変化について大きな改善が確認された。液晶表示装置において、長期にわたり優れた画像品質を維持するための一手段としては、偏光板9のように経時的な黒表示における光漏れを大きく低減する手段と、偏光板1〜3のように経時的な黒表示における光漏れ、白表示の色味付きをバランスよく低減する手段とが考えられる。いずれの手段によっても、液晶表示装置において長期にわたり優れた画像品質を維持することが実現することができる。本発明の一態様にかかる偏光板によれば、後者の手段によって長期にわたり優れた画像品質を維持することができることが、以上の結果により実証された。

0133

1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
3液晶セル上電極基板
5液晶層
6 液晶セル下電極基板
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置

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