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技術 光偏向装置

出願人 日本電信電話株式会社エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
発明者 豊田誠治小林潤也菅井栄一八木生剛
出願日 2014年8月25日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2014-170970
公開日 2016年4月4日 (5年2ヶ月経過) 公開番号 2016-045430
状態 特許登録済
技術分野 光偏向、復調、非線型光学、光学的論理素子
主要キーワード 世界最速 フィージビリティ 解像点数 歩留まり悪化 IRカメラ 凸レンズ効果 結晶破壊 偏向駆動
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図面 (10)

課題

チップのサイズが大きいKTN結晶を用いることなく、大きな偏向角が得られる光偏向器を提供すること。

解決手段

2つのKTN光偏向器1−1、1−2を直列に配置し、各KTN光偏向器1−1、1−2の前後に凹レンズ2−1、3−1、2−2、3−2をそれぞれ配置し、前段の光偏向器1−1と後段の光偏向器1−2の間にリレーレンズ4、5を配置している。前段の光偏向器1−1の偏向ピボットをリレーレンズ4、5により後段の光偏向器2−1内部に結像させ、光偏向器2−1の偏向ピボットに重ねる。KTN光偏向器1−1のKTN結晶から空気に出射される直前の偏向角で、かつ、KTN光偏向器1−2の入射端面へ収束するように入射する。そのため、KTN光偏向器1−2のKTN結晶内部の電極形成面衝突せずに、単一の大きなKTN結晶を用いた場合と同程度の大きな偏向角を得ることができる。

概要

背景

光の進行方向を変える光偏向器のうち、KTN(KTa1-xNbxO3)結晶ないしKLTN(K1-yLiyTa1-xNbxO3)結晶(以降KTN結晶)を用いた光偏向器は、ガルバノミラーポリゴンミラーMEMSミラー等と異なり、可動部を持たない固体素子である(特許文献1)。

KTN結晶は、低い電圧屈折率が大きく変わる電気光学効果が大きい物質として知られている。さらに、TiやCr電極を用いると結晶内に電荷注入することができ、その電荷で生じる内部電界を利用して高速広角な光偏向器を実現することができる。

したがって、KTNを用いると、レンズプリズムミラーといったごく一般的な部品を、それらが高速で動く必要がある用途において置き換えることができる(特許文献2)。その応用範囲は、レーザ加工顕微鏡プリンタディスプレイ光通信センシング医療計測などと幅広い分野におよぶと期待されている。

特に医療計測応用として、KTN高速光偏向器を用いたコヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography:OCT)が近年注目されている。OCTとは赤外近赤外を用いて、生体内部をin situで観察する可視化技術である。OCTはX線CTMRI、超音波断層と比較して、非侵襲・非接触・高分解能・高速に、生体情報を取得できその適用領域が急速に広がっている。

OCTの基本原理として、光源からの出射光を2経路に分け、一方を画像の取得対象に、もう一方を参照用にミラーで反射させ、これらの2つの干渉信号により対象物の情報を得る。中でも光源として広帯域高速波長掃引光源を用いたSS−OCT方式は現在最も高速・高精細OCT画像を得ることができる。この方式では、KTN光偏向器を用いてリットマン共振器を構成することで、世界最速となる周波数200kHzにおいて、OCTシステム要求条件を満たす波長掃引幅100nm、コヒーレンス長7mm(1.3μm)の波長掃引光源が実現されている。さらにOCTシステムを構築しヒト指の3次元OCT像が明瞭に観察されている(非特許文献1)。

このようにKTN光偏向器のフィージビリティが確認され、その実用化が着実に進んでいる。

概要

チップのサイズが大きいKTN結晶を用いることなく、大きな偏向角が得られる光偏向器を提供すること。2つのKTN光偏向器1−1、1−2を直列に配置し、各KTN光偏向器1−1、1−2の前後に凹レンズ2−1、3−1、2−2、3−2をそれぞれ配置し、前段の光偏向器1−1と後段の光偏向器1−2の間にリレーレンズ4、5を配置している。前段の光偏向器1−1の偏向ピボットをリレーレンズ4、5により後段の光偏向器2−1内部に結像させ、光偏向器2−1の偏向ピボットに重ねる。KTN光偏向器1−1のKTN結晶から空気に出射される直前の偏向角で、かつ、KTN光偏向器1−2の入射端面へ収束するように入射する。そのため、KTN光偏向器1−2のKTN結晶内部の電極形成面衝突せずに、単一の大きなKTN結晶を用いた場合と同程度の大きな偏向角を得ることができる。

目的

本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

電気光学結晶の対向する面に形成した少なくとも2つの電極制御電圧印加して、前記電気光学結晶に入射する入射光を偏向させる複数の光偏向器と、前記光偏向器間の光路上に配置されたリレーレンズと、を備え、隣接する一方の前記光偏向器の偏向ピボットがリレーレンズにより、隣接する他方の前記光偏向器の内部に結像されていることを特徴とする光偏向装置

請求項2

前記隣接する一方の光偏向器の偏向ピボットがリレーレンズにより、前記隣接する他方の光偏向器の偏向ピボットの位置に結像されていることを特徴とする請求項1に記載の光偏向装置。

請求項3

前記光偏向器の制御電圧は、前記リレーレンズを介して隣接する他の前記光偏向器の制御電圧に対して逆位相であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光偏向装置。

請求項4

前記光偏向器の制御電圧は、前記リレーレンズを介して隣接する他の前記光偏向器の制御電圧に対して逆符号のDC電圧オフセットとして重畳されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光偏向装置。

請求項5

前記光偏向器に印加される電界の向きは、前記リレーレンズを介して隣接する他の前記光偏向器に印加される電界の向きに対して逆位相であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光偏向装置。

請求項6

前記隣接する一方の光偏向器と、前記隣接する他方の光偏向器とは、印加される電界の向きが互いに直交する向きに配置され、前記光偏向器間の光路上に半波長板を配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光偏向装置。

請求項7

前記電気光学結晶は、KTN(KTa1-xNbxO3(0<x<1))結晶、またはKTNにリチウムを添加したKLTN(K1-yLiyTa1-xNbxO3(0<x<1、0<y<1))結晶のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光偏向装置。

技術分野

0001

本発明は、電気光学結晶を用いた光偏向装置に関する。

背景技術

0002

光の進行方向を変える光偏向器のうち、KTN(KTa1-xNbxO3)結晶ないしKLTN(K1-yLiyTa1-xNbxO3)結晶(以降KTN結晶)を用いた光偏向器は、ガルバノミラーポリゴンミラーMEMSミラー等と異なり、可動部を持たない固体素子である(特許文献1)。

0003

KTN結晶は、低い電圧屈折率が大きく変わる電気光学効果が大きい物質として知られている。さらに、TiやCr電極を用いると結晶内に電荷注入することができ、その電荷で生じる内部電界を利用して高速広角な光偏向器を実現することができる。

0004

したがって、KTNを用いると、レンズプリズムミラーといったごく一般的な部品を、それらが高速で動く必要がある用途において置き換えることができる(特許文献2)。その応用範囲は、レーザ加工顕微鏡プリンタディスプレイ光通信センシング医療計測などと幅広い分野におよぶと期待されている。

0005

特に医療計測応用として、KTN高速光偏向器を用いたコヒーレンストモグラフィー(Optical Coherence Tomography:OCT)が近年注目されている。OCTとは赤外近赤外を用いて、生体内部をin situで観察する可視化技術である。OCTはX線CTMRI、超音波断層と比較して、非侵襲・非接触・高分解能・高速に、生体情報を取得できその適用領域が急速に広がっている。

0006

OCTの基本原理として、光源からの出射光を2経路に分け、一方を画像の取得対象に、もう一方を参照用にミラーで反射させ、これらの2つの干渉信号により対象物の情報を得る。中でも光源として広帯域高速波長掃引光源を用いたSS−OCT方式は現在最も高速・高精細OCT画像を得ることができる。この方式では、KTN光偏向器を用いてリットマン共振器を構成することで、世界最速となる周波数200kHzにおいて、OCTシステム要求条件を満たす波長掃引幅100nm、コヒーレンス長7mm(1.3μm)の波長掃引光源が実現されている。さらにOCTシステムを構築しヒト指の3次元OCT像が明瞭に観察されている(非特許文献1)。

0007

このようにKTN光偏向器のフィージビリティが確認され、その実用化が着実に進んでいる。

0008

国際公開WO2006/137408号公報
特開2012−074597号公報

先行技術

0009

岡部他: 「KTNスキャナを用いたOCT用200kHz波長掃引光源」, 信学総大D-7-17, p. 109, 2012
J. Miyazu et al.: “New beam scanning model for high-speed operation using KTa1-xNbxO3 Crystals”,APEX, Vol. 4, Issue 11, pp. 115101-1-111501-3, 2011.

発明が解決しようとする課題

0010

光偏向器の重要な性能指数の1つに解像点数が挙げられる。プリンタ、ディスプレイなど表示装置では他産業分野より大きな解像点数、例えば数百〜数千点を要求される。また、前述した波長掃引光源の重要な特性として、表面からどの内部深さまで観測できるかを決める光の深達度が挙げられるが、これも解像点数が支配的なパラメータである。

0011

しかしながら、従来のKTN光偏向器の解像点数は百点程度にとどまっていた。光偏向器の解像点数は一般的に偏向角出射ビーム径の積で決まる。従って、解像点数を増加させる1つの方策として光偏向器の偏向角を増加させることが考えられる。

0012

ところで、KTN光偏向器の高速動作原理としては、最初DC電圧印加して注入された電荷が形成する残留屈折率分布に対しAC電圧を印加することによってその偏向動作が実現されている(非特許文献2)。電界に平行な偏波入射したときのKTN光偏向器の偏向角θ下式となる。

0013

0014

(n0:電圧印加前屈折率、L:光路長、g11:電気光学定数、ε:誘電率、ρ:残留電荷、V:印加電圧、d:結晶厚)

0015

数1に示すように、光偏向器から出射される光線を外部から見たときに色々な偏向角θで出射した光線が、光偏向器の内で交わる位置を偏向ピボット、もしくは、偏向原点とする。KTN光偏向器の偏向角は印加電圧や光路長に比例するため、KTN結晶のチップサイズを大きくして光路長Lを大きくすることが有効な手段と考えられる。

0016

しかし、KTN結晶のチップサイズを大きくすると容量がより大きくなり、結果としてKTN結晶からの発熱の影響が大きくなるという課題がある。また、そもそも大きなサイズのKTN結晶を作製することには、製造での歩留まり悪化や、動作中の高周波電圧印加に伴う結晶破壊などの課題がある。このように、KTN光偏向器を高周波駆動させる場合、1チップのKTN結晶のサイズを大きくして大きな偏向角を得ることには限界がある。

0017

また、2つのKTN光偏向器を、偏向方向が直交するように隣接して構成した2次元偏向器においても次のような課題がある。2つの偏向器光軸方向に連結することにより2次元偏向器を構成すると、1段目の光偏向器からのビームは偏向されて出てくるので、ビームの軌跡発散した状態となり、2段目の光偏向器の開口において、開口の大きさで偏向角が制限されてしまう。偏向角を大きくするためにはチップサイズを大きくする必要があるが、同じ方向に偏向駆動させる場合と同様、チップサイズを大きくして大きな偏向角を得ることには限界があった。

0018

本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、1チップのサイズが大きいKTN結晶を用いることなく、大きな偏向角が得られる光偏向器を提供することにある。

課題を解決するための手段

0019

上記の課題を解決するために、本発明は、光偏向装置であって、電気光学結晶の対向する面に形成した少なくとも2つの電極制御電圧を印加して、前記電気光学結晶に入射する入射光を偏向させる複数の光偏向器と、前記光偏向器間の光路上に配置されたリレーレンズと、を備え、隣接する一方の前記光偏向器の偏向ピボットがリレーレンズにより、隣接する他方の前記光偏向器の内部に結像されていることを特徴とする。

0020

請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光偏向装置において、前記隣接する一方の光偏向器の偏向ピボットがリレーレンズにより、前記隣接する他方の光偏向器の偏向ピボットの位置に結像されていることを特徴とする。

0021

請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光偏向装置において、前記光偏向器の制御電圧は、前記リレーレンズを介して隣接する他の前記光偏向器の制御電圧に対して逆位相であることを特徴とする。

0022

請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光偏向装置において、前記光偏向器の制御電圧は、前記リレーレンズを介して隣接する他の前記光偏向器の制御電圧に対して逆符号のDC電圧をオフセットとして重畳されたものであることを特徴とする。

0023

請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光偏向装置において、前記光偏向器に印加される電界の向きは、前記リレーレンズを介して隣接する他の前記光偏向器に印加される電界の向きに対して逆位相であることを特徴とする。

0024

請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光偏向装置において、前記隣接する一方の光偏向器と、前記隣接する他方の光偏向器とは、印加される電界の向きが互いに直交する向きに配置され、前記光偏向器間の光路上に半波長板を配置したことを特徴とする。

0025

請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の光偏向装置において、前記電気光学結晶は、KTN(KTa1-xNbxO3(0<x<1))結晶、またはKTNにリチウムを添加したKLTN(K1-yLiyTa1-xNbxO3(0<x<1、0<y<1))結晶のいずれかであることを特徴とする。

発明の効果

0026

本発明の光偏向器は、チップを連結しても偏向特性を損なうことなく高効率な光偏向装置を実現することができ、光偏向器の適用領域を増大させるものである。

図面の簡単な説明

0027

本発明の構成を示す図である。
本発明の実施形態1に係るKTN光偏向装置の形態を示す図である。
典型的なリレーレンズの使用例を示す図である。
(a)は、KTN光偏向器間の空間の屈折率がKTN結晶と同じ屈折率である場合の偏向ビームの軌跡を示す図であり、(b)は、KTN光偏向器間の空間が空気で満たされている場合の偏向ビームの軌跡を示す図であり、(c)は、KTN光偏向器間の空間にリレーレンズを配置した場合の偏向ビームの軌跡を示す図である。
KTN光偏向器をDCバイアスモードで駆動する際の電圧パターンを示す図である。
KTN光偏向器をDCバイアスモードで駆動した場合の偏向ビームの軌跡を示す図である。
隣接するKTN光偏向器に逆位相の電圧を印加するKTN光偏向装置の構造を示す図である。
本発明の実施形態2に係るKTN光偏向器をn段連結させたKTN光偏向装置の構造を示す図である。
本発明の実施形態3に係る隣接するKTN光偏向器を直交する向きに配置し、中間に半波長板を配置して2次元光偏向装置を構成した形態を示す図である。

実施例

0028

以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。

0029

(実施形態1)
図1に、本発明の構成を示す。2つのKTN光偏向器の間にリレーレンズ4、5を配置している。KTN光偏向器1−1にコリメート光を入射し、電圧を印加すると光は偏向し、実線点線との間でビームは偏向される。このとき、このKTN光偏向器1−1の偏向ピボット6はリレーレンズ4、5によってKTN光偏向器1−2内部に結像され、偏向ピボット7と重なるため、より大きな偏向角が得られる。

0030

図2に、本発明の実施形態1に係るKTN光偏向装置の形態を示す。2つのKTN光偏向器1−1、1−2を直列に配置し、各KTN光偏向器1−1、1−2の前後にシリンドリカル凹レンズ2−1、3−1、2−2、3−2をそれぞれ配置し、前段の光偏向器1−1と後段の光偏向器1−2の間にリレーレンズ4、5としてシリンドリカル凸レンズを配置した。

0031

特に記載は省略するが、2つのKTN光偏向器1−1、1−2は立方晶を保つように温度制御され所望の誘電率を保つようにしてある。これはこれから説明する図4のKTNについても同様である。

0032

リレーレンズ4、5は、物体集光光学系よりも遠方にある場合、物体の大きさはそのままで焦点距離を移動することができるレンズ群であって、長焦点顕微鏡などでよく使用されている。

0033

図3に、典型的なリレーレンズの使用例を示す。顕微鏡系23だけで物体の像をIに形成するためには、顕微鏡系23の対物レンズ焦点位置O’に物体を置く必要があるが、リレーレンズ21、22を用いることにより、位置Oにある物体の像を顕微鏡系23の対物レンズの焦点位置O’に作ることができる。焦点位置O’に物体を置く代わりに物体の像を作ることによってもIに物体の像ができるので、位置Oに物体を置いていても、あたかも焦点位置O’に物体があるかのようにして観察ができる。このように使われるのがリレー光学である。このリレーレンズを用いれば一方の光偏向器の偏向ピボットOをO’に結像させることが可能となる。

0034

図3では焦点距離が同じ一対のレンズを用いているが、収差を小さくするために3枚以上の組み合わせレンズを使用してもよい。なおリレー光学では位置Oの物体の像が上下さかさまになってO’へと移されるが、像のサイズは物体の大きさと変わらない。

0035

また、凹レンズ2−1、3−1、2−2、3−2は、KTN結晶の凸レンズ効果打ち消すためのもので、KTN光偏向器1−1、1−2を通過してもコリメート光を維持することができる。

0036

図2に示すKTN光偏向装置を動作させたところ、光偏向器1−1、1−2の偏向角をほぼ足し合わせたものであり、KTN結晶のチップを連結しても高効率な光偏向装置を実現することができる。

0037

図4(a)〜(c)を用いて、本発明のKTN光偏向装置の動作原理を簡単に説明する。

0038

先ず、1チップの大きなサイズのKTN結晶を用いることなく、それと同等の偏向角を得るため、例えば同じサイズのKTN結晶10−1、10−2を用いた2つのKTN光偏向器1−1、1−2を、光路上に直列に配置することが考えられる(図4(a))。KTN結晶10−1、10−2の上面と下面には、それぞれ電極11−1、12−1、11−2、12−2が形成されている。

0039

もし、KTN光偏向器1−1とKTN光偏向器1−2との間の空間の屈折率が、KTN結晶10−1、10−2と同じ屈折率であれば、KTN光偏向器1−2からの出力は、光偏向器1−1、1−2に対し2倍の長さのKTN結晶を備えた光偏向器と同じ偏向角が得られる。

0040

しかし、実際には、両KTN光偏向器1−1、1−2の間の空間は空気(屈折率≒1)で満たされているため、スネルの法則に従い、KTN光偏向器1−1の出射端面で出射角屈折してしまう。KTN光偏向器1−2の出射端面では、KTN光偏向器1−1の出射端面直前に比べて約2倍の偏向角となってしまう(図4(b))。その結果、偏向された光が光偏向器1−2の入射端面の広い領域に照射されるので、電極11−2、12−2に近い領域から入射した光はKTN結晶10−2内部で電極形成面衝突してしまい、結果として大きな偏向角を変えることができない。

0041

そこで、本発明のようにKTN光偏向器1−1とKTN光偏向器1−2との間にリレーレンズ4、5を光路上に設置する場合を考える。KTN光偏向器1−1から出射された光は、図4(c)における実線の軌跡のように、KTN光偏向器1−1のKTN結晶10−1から空気に出射される直前の偏向角で、かつ、KTN光偏向器1−2の入射端面に収束するように入射する。そして、KTN光偏向器1−1の偏向ピボット6は、リレーレンズ4、5によりKTN光偏向器1−2の内部で結像される。そのため、KTN光偏向器1−2のKTN結晶10−2内部の電極形成面に衝突せずに、単一の大きなKTN結晶を用いた場合と同程度の大きな偏向角を得ることができる。

0042

KTN光偏向器1−1の偏向ピボット6が結像される位置は、隣接する他方のKTN光偏向器1−2内部で良いが、隣接する他方のKTN光偏向器1−2の偏向ピボット7に合わせることが望ましい。これにより、ビームに歪みがない、より品質の高い光偏向器を形成することができる。

0043

次に、本発明のKTN光偏向装置の駆動方法について説明する。

0044

KTN光偏向器1−1、1−2は、印加プロファイルとしてDCバイアスモード信号を印加することで駆動される。図5に、KTN光偏向器をDCバイアスモードで駆動する際の電圧パターンを示す。横軸は経過時間を示し、縦軸電圧値を示している。最初に所定の時間(トラップ充填時間)でトラップ充填を行った後に、DCバイアスを重畳したAC電圧を印加して偏向器として動作さる。DCバイアスを印加し続けると熱再放出される電子を補うように電子が負電極から供給されるため、長時間経過しても一定の電子が結晶内に残留することになる。従って、長時間経過しても偏向角が減少しないKTN偏向器を実現することができる。

0045

しかし、KTN光偏向器に入射した光は、DCバイアスを印加して偏向させると、DCバイアス分だけ偏向したオフセットを中心に重畳した交流電圧に応じて偏向される。図6に、KTN光偏向器をDCバイアスモードで駆動した場合の偏向ビームの軌跡を示す。図6に示すように、DCバイアスモードで駆動した場合、オフセットがあるために偏向ビームが偏り、内部で電極形成面に衝突し易くなるという欠点があった。

0046

これを克服するため、KTN光偏光器1−1、1−2に逆符号の直流電圧を印加し、さらに、KTN光偏向器1−1、1−2に逆相の交流電圧を重畳して印加することとした。

0047

図7に、隣接するKTN光偏向器に逆位相の電圧を印加するKTN光偏向装置の構造を示す。まず入射光は、KTN光偏向器1−1に印加したDCバイアスの負電極12−1側を中心に偏向されることになる。KTN光偏向器1−1から出射された光は、凹レンズ3−1、リレーレンズ4、5、凹レンズ2−2を介してKTN光偏向器1−2に入射すると、DCバイアスの負電極12−2側を中心に偏向される。KTN光偏向器1−1、1−2が互いに逆方向にDCバイアスが印加されているため、KTN光偏向器1−2ではKTN結晶10−2の中央位置を中心に偏向することできる。これにより、理想的には出射端の結晶中央を中心に偏向するため、内部の電極に衝突し難くなり、最大限効率的な偏向器を実現することができる。

0048

図7に示すような偏光器モジュールの出射ビームをIRカメラで測定したところ、図4(c)に示すように出射端の中央部を中心として偏向することを確認し、本発明の効果が確認できた。また、長時間偏向動作させても偏向角が劣化することなく安定に動作することを確認した。

0049

(実施形態2)
図8に、本発明の実施形態2に係るKTN光偏向器をn段連結させたKTN光偏向装置の構造を示す。このKTN光偏向装置は、凹レンズ2、3を備えた光偏向器1がリレーレンズ4、5を介してn段連結されたものである。偏向ビームが途中の光偏向器1の電極形成面にぶつからないまでは、連結する光偏向器1の数nを増やすことができる。

0050

また、本実施形態は、図7に示すKTN光偏向装置のように、奇数番目偶数番目位相が逆位相になるよう、隣あう奇数番目の光偏向器の上面の電極と偶数番目の光偏向器の下面の電極、および隣あう奇数番目の光偏向器の下面の電極と偶数番目の光偏向器の上面の電極をそれぞれ接続して所望の交流電圧を印加することができる。これによりさらなる高効率な偏向器を実現することができる。

0051

(実施形態3)
図9に、本発明の実施形態3に係る隣接するKTN光偏向器を直交する向きに配置し、中間に半波長板を配置して2次元光偏向装置を構成した形態を示す。KTN光偏向器1−1にコリメート光を入射し、電圧を印加すると、印加された電圧の向きに光は偏向する。偏向されたビームはリレーレンズ4、5を介して半波長板8によって偏波が90°回転され、KTN光偏向器2−1に入射される。そして、KTN光偏向器2−1から出射されたビームは2次元偏向され、2次元偏向されたビームの軌跡9をたどる。

0052

このとき、KTN光偏向器1−1の偏向ピボットはリレーレンズ4、5によってKTN光偏向器1−2の偏向ピボットへ重ねることが可能となる。これにより、後段のKTN光偏向器の電極形成面に衝突させることなく、2次元偏向器を構成できる他、水平と垂直方向の偏向ピボットを一致させておくことが可能となる。

0053

(実施例)
図7に示す構造のKTN光偏向装置の実施例について説明する。本実施例では、入射波長は1.3μm(ビーム径0.8mm)、入射光進行方向の物理長は4mm、結晶厚は光偏向器1−1、光偏向器1−2ともに1.2mmとした。また、KTNが立方晶で、誘電率が17500になるようにペルチェ素子を用いて、両KTN結晶を温度コントロールした。

0054

KTN結晶の凸レンズ効果を打ち消すために、光偏向器1−1と光偏向器1−2の前後に凹レンズ2−1、3−1、2−2、3−2を配置し、各々の光偏向器を通過してもコリメート光が維持するようにした。ここでは、用いた凹レンズ2−1、3−1、2−2、3−2のf値は、全て−19mmとした。

0055

また、リレーレンズ4、5としてシリンドリカル凸レンズを用い、f値(焦点距離)はどちらも7.7mmとした。また、光偏向器1−1の上面の電極と光偏向器1−2電極の下面電極、光偏向器1−1の下面の電極と光偏向器1−2の上面の電極を、外部ラインを用いてそれぞれ接続して両結晶に逆位相の電圧を印加するようにした。

0056

実際は、ここでは200kHzまでの周波数において、DCで±300Vでプレチャージ後、AC電圧をVpp=720Vを印加した。これにより、約250mradの偏向特性が得られた。これはほぼ光偏向器1−1と光偏向器1−2の偏向角を足し合わせたものであることが確認でき、KTN結晶チップを連結しても高効率な光偏向装置を実現することができた。さらに、数日連続動作させても偏向角は劣化せず安定な光偏向器として動作しDCバイアス印加の効果を確認した。

0057

なお、KTN結晶の物理サイズ、印加電圧、凹レンズのf値、リレーレンズのf値、入射波長、ビーム径はここに記載された数値に限定されたものではなく、適用先に応じて変更しても同様にその効果を奏する。また、KTN結晶は、KLTN結晶に置き換え可能である。

0058

1 KTN光偏向器
2、3凹レンズ
4、5、21、22リレーレンズ
6、7 偏向ピボット
8半波長板
9 2次元で偏向されたビームの軌跡
10KTN結晶
11、12電極
23顕微鏡系

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