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技術 ポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー及びその製造方法

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 相見順子
出願日 2014年8月19日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2014-166934
公開日 2016年4月4日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-044189
状態 特許登録済
技術分野 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード シールド環境 吸収極大ピーク レーザーパルス光 修士論文 フタロシアニン前駆体 金属フタロシアニン錯体 ATRP開始剤 マイクロ波強度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

本発明は、有機溶媒溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマー及びその製造方法を提供することを課題とする。

解決手段

金属フタロシアニン錯体からなるコアと、前記金属フタロシアニン錯体を構成するベンゼン環に接続されたアームAと、を備えたスターポリマーであって、アームAは、第1の接続部21と、第1の伸長部22と、第2の接続部23と、第2の伸長部24とからなり、第1の接続部21はSであり、第1の伸長部22が直鎖アルキル基であり、第2の接続部23は−O−C(=O)−C(CH3)2−であり、第2の伸長部24がポリスチレンであるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニンコア型スターポリマー10を用いることにより、前記課題を解決できる。

概要

背景

フタロシアニンは、巨大なπ平面を持ち、物理的・化学的特性に優れる。このため、有機半導体等の電子エレクトロニクス材料として広く利用されている。例えば、フタロシアニンを一次元的に並べることで、一次元方向の導電性飛躍的に向上する事ができる。このため、結晶液晶性フタロシアニンを利用して、薄膜上でフタロシアニンを配向させる技術が研究されている。

フタロシアニンをウェットプロセス成膜して、電子デバイスに応用する方法が検討されている。しかし、通常のフタロシアニンは難溶性であり、昇華温度液晶化温度が高いため、ウェットプロセスでの利用は比較的難しいとされている。それを解決する方法の一つとして、有機溶媒への溶解性が高く、製膜化のし易い、フタロシアニンを含む高分子材料の研究が盛んに行われている。

フタロシアニンを含む高分子材料の一つとして、例えば、フタロシアニンをコアにするスターポリマーがある。スターポリマーとは、ナノサイズの樹木状のデンドリマー(Dendrimer)の一つであって、コア(Core)、インテリア(interior)およびサーフェス(surface)とからなり、構造が正確にコントロールされた高分子である。特に、電子移動発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーが注目されている。

フタロシアニンをコアにするスターポリマーの合成方法は、いくつか報告されている。
例えば、コアファースト法と呼ばれる方法がある。この方法は、フタロシアニンに重合開始官能基を修飾して、そこからモノマー重合させる方法である(非特許文献1)。
非特許文献1では、ZnTAPcが合成され、TAPcClが合成され、TAPc−PAMが合成されている。具体的には、まず、原子移動ラジカルポリマリゼイション(atom transfer radical polymerization (ATRP))のためのイニシエーターとして亜鉛(II)テトラ(2−クロプロピオニルアミド)フタロシアニン(Zinc(II) tetra−(2−chloropropionylamido) phthalocyanine(TAPcCl))が合成された。触媒として、CuBr/tris(2−dimethylaminoethyl)amineが用いられ、N−isopropylacrylamide(NIPAM)のATRPが実行されて、スター型のTAPc−PAMが合成された。TAPc−PAMは、zinc phthalocyanineコアと、poly(N−isopropylacrylamide)PNIPAMアームを有する。

また、アームファースト法と呼ばれる方法もある。この方法は、フタロシアニン前駆体であるフタロニトリルを有するポリマーを先に合成し、金属塩と共に環化反応させてフタロシアニン・コアをつくる方法である(非特許文献2、3)。

非特許文献2では、poly(oxyethylene) monomethyl etherを用いて、4又は8の側鎖を有するPc−centered poly(oxyethylene)が合成されている。

非特許文献3では、6−(3,4−dicyanophenylthio)−hexyl−2−chloroacetateが合成され、6−(3,4−dicyanophenylthio)−hexyl−2−polytetrahydrofuranacetateが合成され、2,9,16,23−tetrakis−{6−(polytetrahydrofuran−2−carboxylate)−hexylthio−phthalocyaninatocobalt(II){Co[Pc(S−C6H13OCO−poly−THF)4]}(CoPcLC)が合成されている

更にまた、フタロシアニンとポリマーを別々に合成し、後からクリックケミストリーにより修飾する方法もある(非特許文献4)。
非特許文献4には、亜鉛錯体コバルト錯体およびフリーベースの2,9(10),16(17),23(24)−tetrakis(pent−4−yoxy)phthalocyanineが合成され、アジド基を有するポリスチレン、あるいはポリターシャリブチルアクリレートとの1,3—双極子付加環化反応により、フタロシアニン・コアのスターポリマーが合成されている。

スターポリマーとして、CuPc(PBA−b−PS)8が作製されている(非特許文献7)。 これは銅フタロシアニンをコアに持つ8armポリブチルアクリレート−ポリスチレンジブロックコポリマーである。

また、スターポリマーとして、4−PBA−arm Pc−core Star polymer(Pc−PBA)4や8−PBA−arm Pc−core Star polymer(Pc−PBA)8が作製されている(非特許文献8)。

しかし、これらのフタロシアニン・コアのスターポリマーは、ガラス転移温度が室温以下であり、これを有機溶剤に溶かしてスピンコートした場合、均質な薄膜を形成することができず、薄膜デバイスの作成もできなかった。

特許文献1は、原子移動ラジカル重合(ATRP)を使用して調製されるカルバメート官能性ポリマーを含む熱硬化性組成物に関するものであり、前記カルバメート官能性ポリマーにスターポリマーが含まれている。ATRPプロセスは、リビングラジカル重合であり、分子量および分子量分布を制御してポリマーを形成できる。

特許文献2は、置換フタロシアニンに関するものであり、フタロシアニンを構成するベンゼン環にOを介してアルキル鎖が接続され更にポリエーテルが接続された構造が開示されている。

電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有する分子構造として、液晶性ヘキサベンゾコロネンもある。特定のアームを有するヘキサベンゾコロネンは、ヘキサゴナカラムナー相を有し、長いフォトキャリア寿命を有することが報告されている(非特許文献5、6)。
例えば、非特許文献5は、Unusual Side−Chain Effects on Charge−Carrier Lifetime in Discotic Liquid Crystalsに関するものであり、hexa−peri−hexabenzocoronene(HBC)誘導体液晶は極めて長いフォトキャリア寿命を有することが報告されている。
非特許文献6は、Charge Recombination via Intercolumnar Electron Tunneling through the Lipid−like Mantle of Discotic Hexa−alkyl−hexa−peri−hexabenzocoronenesに関するものであり、hexa−アルキル置換のhexa−peri−hexabenzocoronenesでは、主に、ハイドロカーボンマントルを介する、カラム間の電子トンネル効果により移動チャージキャリア再結合が生じたことが報告されている。

概要

本発明は、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマー及びその製造方法を提供することを課題とする。金属フタロシアニン錯体からなるコアと、前記金属フタロシアニン錯体を構成するベンゼン環に接続されたアームAと、を備えたスターポリマーであって、アームAは、第1の接続部21と、第1の伸長部22と、第2の接続部23と、第2の伸長部24とからなり、第1の接続部21はSであり、第1の伸長部22が直鎖アルキル基であり、第2の接続部23は−O−C(=O)−C(CH3)2−であり、第2の伸長部24がポリスチレンであるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニンコア型スターポリマー10を用いることにより、前記課題を解決できる。

目的

本発明は、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマー及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

金属フタロシアニン錯体からなるコアと、前記金属フタロシアニン錯体を構成するベンゼン環に接続されたアームと、を備えたスターポリマーであって、前記アームは、前記ベンゼン環に接続する第1の接続部と、前記第1の接続部に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第1の伸長部と、前記第1の伸長部に接続する第2の接続部と、前記第2接続部に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第2の伸長部とからなり、前記第1の接続部はSであり、前記第1の伸長部が直鎖アルキル基であり、前記第2の接続部は−O−C(=O)−C(CH3)2−であり、前記第2の伸長部がポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)であることを特徴とするポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニンコア型スターポリマー。

請求項2

前記アームが、各ベンゼン環に1つずつ備えられていることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。

請求項3

前記アームが、各ベンゼン環に2つずつ備えられていることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。

請求項4

前記直鎖アルキル基が(CH2)pで表され、そのCの数pが2以上20以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。

請求項5

前記金属フタロシアニンの金属がZn、Cu、Ni、Co、Fe、Mnの群から選択されるいずれか一の金属であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。

請求項6

4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルに、HS−(CH2)p−OH(pは2以上20以下である。)を反応させてから、Br−C(=O)−C(CH3)2−Brを反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロニトリルATRイニシエーターという。)を合成する工程と、前記フタロニトリルATRPイニシエーターを開始剤として、CuBr/PMDETA触媒存在下、アニソール中、70℃で、ATRPにより、スチレンからポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)を合成して、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−スチレンn−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS)という。)を合成する工程と、高分子量ポリマー不純物ポリマー)を除去して、精製して、精製Pn−PSを作製する工程と、金属化合物/DBU存在下、ブタノールトルエン混合溶媒中で、精製Pn−PSを環化反応させて、スターポリマーを合成する工程と、を有することを特徴とするポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法。

請求項7

4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルが、ニトロフタロニトリル又はジクロロフタロニトリルであることを特徴とする請求項6に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法。

請求項8

前記金属化合物が、Zn、Cu、Ni、Co、Fe、Mnの群から選択されるいずれか一の金属のハロゲン化合物であることを特徴とする請求項6に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法。

請求項9

フタロニトリルATRPイニシエーターを合成する工程が、4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルに、HS−(CH2)p−OH(pは2以上20以下である。)を、K2CO3存在下、DMSO中で反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−OH}m(m=1又は2)を作製する工程と、Br−C(=O)−C(CH3)2−Brを、TEA存在下、THF中で反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1又は2)を合成する工程と、からなることを特徴とする請求項6に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニンコア型スターポリマー及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

フタロシアニンは、巨大なπ平面を持ち、物理的・化学的特性に優れる。このため、有機半導体等の電子エレクトロニクス材料として広く利用されている。例えば、フタロシアニンを一次元的に並べることで、一次元方向の導電性飛躍的に向上する事ができる。このため、結晶液晶性フタロシアニンを利用して、薄膜上でフタロシアニンを配向させる技術が研究されている。

0003

フタロシアニンをウェットプロセス成膜して、電子デバイスに応用する方法が検討されている。しかし、通常のフタロシアニンは難溶性であり、昇華温度液晶化温度が高いため、ウェットプロセスでの利用は比較的難しいとされている。それを解決する方法の一つとして、有機溶媒への溶解性が高く、製膜化のし易い、フタロシアニンを含む高分子材料の研究が盛んに行われている。

0004

フタロシアニンを含む高分子材料の一つとして、例えば、フタロシアニンをコアにするスターポリマーがある。スターポリマーとは、ナノサイズの樹木状のデンドリマー(Dendrimer)の一つであって、コア(Core)、インテリア(interior)およびサーフェス(surface)とからなり、構造が正確にコントロールされた高分子である。特に、電子移動発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーが注目されている。

0005

フタロシアニンをコアにするスターポリマーの合成方法は、いくつか報告されている。
例えば、コアファースト法と呼ばれる方法がある。この方法は、フタロシアニンに重合開始官能基を修飾して、そこからモノマー重合させる方法である(非特許文献1)。
非特許文献1では、ZnTAPcが合成され、TAPcClが合成され、TAPc−PAMが合成されている。具体的には、まず、原子移動ラジカルポリマリゼイション(atom transfer radical polymerization (ATRP))のためのイニシエーターとして亜鉛(II)テトラ(2−クロプロピオニルアミド)フタロシアニン(Zinc(II) tetra−(2−chloropropionylamido) phthalocyanine(TAPcCl))が合成された。触媒として、CuBr/tris(2−dimethylaminoethyl)amineが用いられ、N−isopropylacrylamide(NIPAM)のATRPが実行されて、スター型のTAPc−PAMが合成された。TAPc−PAMは、zinc phthalocyanineコアと、poly(N−isopropylacrylamide)PNIPAMアームを有する。

0006

また、アームファースト法と呼ばれる方法もある。この方法は、フタロシアニン前駆体であるフタロニトリルを有するポリマーを先に合成し、金属塩と共に環化反応させてフタロシアニン・コアをつくる方法である(非特許文献2、3)。

0007

非特許文献2では、poly(oxyethylene) monomethyl etherを用いて、4又は8の側鎖を有するPc−centered poly(oxyethylene)が合成されている。

0008

非特許文献3では、6−(3,4−dicyanophenylthio)−hexyl−2−chloroacetateが合成され、6−(3,4−dicyanophenylthio)−hexyl−2−polytetrahydrofuranacetateが合成され、2,9,16,23−tetrakis−{6−(polytetrahydrofuran−2−carboxylate)−hexylthio−phthalocyaninatocobalt(II){Co[Pc(S−C6H13OCO−poly−THF)4]}(CoPcLC)が合成されている

0009

更にまた、フタロシアニンとポリマーを別々に合成し、後からクリックケミストリーにより修飾する方法もある(非特許文献4)。
非特許文献4には、亜鉛錯体コバルト錯体およびフリーベースの2,9(10),16(17),23(24)−tetrakis(pent−4−yoxy)phthalocyanineが合成され、アジド基を有するポリスチレン、あるいはポリターシャリブチルアクリレートとの1,3—双極子付加環化反応により、フタロシアニン・コアのスターポリマーが合成されている。

0010

スターポリマーとして、CuPc(PBA−b−PS)8が作製されている(非特許文献7)。 これは銅フタロシアニンをコアに持つ8armポリブチルアクリレート−ポリスチレンジブロックコポリマーである。

0011

また、スターポリマーとして、4−PBA−arm Pc−core Star polymer(Pc−PBA)4や8−PBA−arm Pc−core Star polymer(Pc−PBA)8が作製されている(非特許文献8)。

0012

しかし、これらのフタロシアニン・コアのスターポリマーは、ガラス転移温度が室温以下であり、これを有機溶剤に溶かしてスピンコートした場合、均質な薄膜を形成することができず、薄膜デバイスの作成もできなかった。

0013

特許文献1は、原子移動ラジカル重合(ATRP)を使用して調製されるカルバメート官能性ポリマーを含む熱硬化性組成物に関するものであり、前記カルバメート官能性ポリマーにスターポリマーが含まれている。ATRPプロセスは、リビングラジカル重合であり、分子量および分子量分布を制御してポリマーを形成できる。

0014

特許文献2は、置換フタロシアニンに関するものであり、フタロシアニンを構成するベンゼン環にOを介してアルキル鎖が接続され更にポリエーテルが接続された構造が開示されている。

0015

電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有する分子構造として、液晶性ヘキサベンゾコロネンもある。特定のアームを有するヘキサベンゾコロネンは、ヘキサゴナカラムナー相を有し、長いフォトキャリア寿命を有することが報告されている(非特許文献5、6)。
例えば、非特許文献5は、Unusual Side−Chain Effects on Charge−Carrier Lifetime in Discotic Liquid Crystalsに関するものであり、hexa−peri−hexabenzocoronene(HBC)誘導体液晶は極めて長いフォトキャリア寿命を有することが報告されている。
非特許文献6は、Charge Recombination via Intercolumnar Electron Tunneling through the Lipid−like Mantle of Discotic Hexa−alkyl−hexa−peri−hexabenzocoronenesに関するものであり、hexa−アルキル置換のhexa−peri−hexabenzocoronenesでは、主に、ハイドロカーボンマントルを介する、カラム間の電子トンネル効果により移動チャージキャリア再結合が生じたことが報告されている。

0016

特表2002−523569号公報
特表平9−511001号公報

先行技術

0017

Gao et.al.,Macromolecular Research 2012,20,508.
Clarkson et.al., Macromolecules 1996,29,1854.
Gursel et.al., Polyhedron 2009, 28,1490.
Dincer et.al., Dyes and Pigments 2013,98,246.
J.Motoyanagi et.al.,Chem.Asian J.2009,4,876
Warman et al.,J.Am.Chem.Soc.2005,127,14257
荒川裕司(2010)東京大学大学院修士論文
J.Aimi et al.,The 13th Pacific Polymer Confence(2013)

発明が解決しようとする課題

0018

本発明は、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマー及びその製造方法を提供することを課題とする。

0019

記事情を鑑みて、様々な文献を検討し、本発明者は、PBAアームの代わりにPSアームを備える構成とすれば、高い溶解性と加工性をフタロシアニンに付加することができ、溶媒に溶かしたものの粘性を低くでき、スピンコート法などによる薄膜形成が容易になるとの考えに想到した。
試行錯誤を繰り返し、製造条件を検討することにより、フタロニトリルにATRP(原子移動ラジカル重合)イニシエーターを修飾し、モノマーを精密重合してフタロニトリルを末端に有するポリマーを合成してから、環化反応させて、スターポリマーであるPc−(PS)4やPc−(PS)8の粉末を効率よく、かつ、純度高く作製することができた。
ここで、ATRPを用いることにより、分子量・分子量分布を調節でき、アームの長さを正確に制御できた。また、この粉末を溶媒に溶かせば、粘性の低い分散溶液を調製することができ、スピンコート法により薄膜を容易に形成できた。
また、その薄膜の光誘キャリア寿命は長かった。絶縁性のPSポリマー中半導体性のフタロシアニンが孤立する構造において、フタロシアニンにトラップされたキャリアが絶縁性のシールド環境中で安定に保持されるためであると考えられ、この原理を利用して、キャリアをコアに一時的にトラップさせた有機トランジスタ有機メモリ等の有機電子デバイスを提供できることを見出して、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。

0020

(1)金属フタロシアニン錯体からなるコアと、前記金属フタロシアニン錯体を構成するベンゼン環に接続されたアームと、を備えたスターポリマーであって、前記アームは、前記ベンゼン環に接続する第1の接続部と、前記第1の接続部に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第1の伸長部と、前記第1の伸長部に接続する第2の接続部と、前記第2接続部に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第2の伸長部とからなり、前記第1の接続部はSであり、前記第1の伸長部が直鎖アルキル基であり、前記第2の接続部は−O−C(=O)−C(CH3)2−であり、前記第2の伸長部がポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)であることを特徴とするポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。

0021

(2) 前記アームが、各ベンゼン環に1つずつ備えられていることを特徴とする(1)に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。
(3) 前記アームが、各ベンゼン環に2つずつ備えられていることを特徴とする(1)に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。
(4) 前記直鎖アルキル基が(CH2)pで表され、そのCの数pが2以上20以下であることを特徴とする(1)に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。
(5) 前記金属フタロシアニンの金属がZn、Cu、Ni、Co、Fe、Mnの群から選択されるいずれか一の金属であることを特徴とする(1)に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー。

0022

(6) 4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルに、HS−(CH2)p−OH(pは2以上20以下である。)を反応させてから、Br−C(=O)−C(CH3)2−Brを反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロニトリルATRPイニシエーターという。)を合成する工程と、前記フタロニトリルATRPイニシエーターを開始剤として、CuBr/PMDETA触媒存在下、アニソール中、70℃で、ATRPにより、スチレンからポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)を合成して、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−スチレンn−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS)という。)を合成する工程と、高分子量のポリマー(不純物ポリマー)を除去して、精製して、精製Pn−PSを作製する工程と、金属化合物/DBU存在下、ブタノールトルエン混合溶媒中で、精製Pn−PSを環化反応させて、スターポリマーを合成する工程と、を有することを特徴とするポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法。

0023

(7) 4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルが、ニトロフタロニトリル又はジクロロフタロニトリルであることを特徴とする(6)に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法。
(8) 前記金属化合物が、Zn、Cu、Ni、Co、Fe、Mnの群から選択されるいずれか一の金属のハロゲン化合物であることを特徴とする(6)に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法。
(9) フタロニトリルATRPイニシエーターを合成する工程が、4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルに、HS−(CH2)p−OH(pは2以上20以下である。)を、K2CO3存在下、DMSO中で反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−OH}m(m=1又は2)を作製する工程と、Br−C(=O)−C(CH3)2−Brを、TEA存在下、THF中で反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1又は2)を合成する工程と、からなることを特徴とする(6)に記載のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法。

発明の効果

0024

本発明のポリスチレンを有するアームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーは、金属フタロシアニン錯体からなるコアと前記金属フタロシアニン錯体を構成するベンゼン環に接続されたアームと、を備えたスターポリマーであって、前記アームは、前記ベンゼン環に接続する第1の接続部と、前記第1の接続部に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第1の伸長部と、前記第1の伸長部に接続する第2の接続部と、前記第2接続部に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第2の伸長部とからなり、前記第1の接続部はSであり、前記第1の伸長部が直鎖アルキル基であり、前記第2の接続部は−O−C(=O)−C(CH3)2−であり、前記第2の伸長部がポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)である構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーとして利用できる。

0025

本発明のポリスチレンを有するアームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法は、4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルに、HS−(CH2)p−OH(pは2以上200以下である。)を反応させてから、Br−C(=O)−C(CH3)2−Brを反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロニトリルATRPイニシエーターという。)を合成する工程と、前記フタロニトリルATRPイニシエーターを開始剤として、CuBr/PMDETA触媒存在下、アニソール中、70℃で、ATRPにより、スチレンからポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)を合成して、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−スチレンn−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS)という。)を合成する工程と、高分子量のポリマー(不純物ポリマー)を除去して、精製して、精製Pn−PSを作製する工程と、金属化合物/DBU存在下、ブタノール/トルエン混合溶媒中で、精製Pn−PSを環化反応させて、スターポリマーを合成する工程と、を有する構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーを容易に製造できる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの一例を示す図(a)及びアームAの一例を示す図(b)である。
ポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの一例を示す図である。
ポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの別の一例を示す図である。
本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法の一例を示すフローチャート図である。
フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(1))合成工程の反応式である(Scheme 1−1)。
フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(1))合成工程の反応式である(Scheme 1−2)。
スターポリマー合成工程の反応式である(Scheme 1−3)。
フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(2))合成工程の反応式である(Scheme 2−1)。
フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(2))合成工程の反応式である(Scheme 2−2)
重合中のGPC測定結果であって、反応開始後1.5h時、3.5h時、5h時におけるGPC測定結果である。
時間に伴う反応率の変化を示すグラフである。
反応率に伴う分子量変化を示すグラフである。
フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(2))のATRP直後のGPC分析結果(実線)と、GPCによる精製後のGPC分析結果(破線)である。
スターポリマー合成工程の反応式である(Scheme 2−3)。
スターポリマーPc−(PS)8のGPC分析結果である。
(Pc−(PS)4)試料溶液吸収スペクトル測定結果である。
混合溶媒体積比の異なる(Pc−(PS)4)試料溶液の吸収スペクトル測定結果である。
(Pc−(PS)4)のメタノール塩化メチレン混合溶液試料走査型顕微鏡(SEM観察写真である。
(Pc−(PS)4)試料薄膜の吸収スペクトル測定結果である。
(Pc−(PS)8)試料溶液の吸収スペクトル測定結果である。
FP−TRMCの説明図である。

0027

(本発明の実施形態)
(ポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー)
まず、本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーについて説明する。

0028

図1は、本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの一例を示す図(a)及びアームAの一例を示す図(b)である。
図1(a)に示すように、本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10は、金属フタロシアニン錯体からなるコア11と、金属フタロシアニン錯体11を構成するベンゼン環に接続された置換基R1〜R8を備えている。

0029

コア11は、金属フタロシアニン(M−Pc)である。金属フタロシアニンの金属Mは、Zn、Cu、Ni、Co、Fe、Mnの群から選択されるいずれか一の金属であることが好ましい。これにより、安定な金属錯体とすることができる。また、電子移動・発生機能を有するコアを構成できる。

0030

置換基R1〜R8は、R1/R2、R3/R4、R5/R6、R7/R8のうちのどちらか一方がアームAであり、他方がアームAまたは水素(H)である。
置換基R1〜R8は、ベンゼン環の4位、5位に接続されているが、これに限られるものではなく、3位、6位に接続されていてもよい。

0031

図1(b)に示すように、アームAは、金属フタロシアニン錯体11を構成するベンゼン環に接続する第1の接続部21と、第1の接続部21に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第1の伸長部22と、第1の伸長部22に接続する第2の接続部23と、第2接続部23に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第2の伸長部24とから構成されている。

0032

第1の接続部21はSとされている。これにより、アームAをベンゼン環に強固に接続できる。

0033

第1の伸長部22は直鎖アルキル基とされている。アームAを構成する直鎖アルキル基としては、(CH2)pで表され、そのCの数pが2以上20以下であるものを挙げることができる。これにより、金属フタロシアニン錯体11の溶解性を向上させることができる。

0034

第2の接続部23は2−メチルプロピオン酸エステル{−(C(CH3)2−C(=O)−O−)−}とされている。これにより、直鎖アルキル基に第2の伸長部24を強固に接続できる。

0035

第2の伸長部24は最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下のポリスチレンである。これにより、絶縁機能を有するアームを構成でき、スターポリマー10の絶縁性をより高めることができる。これにより、アームAは、ポリスチレン含有アームとされている。

0036

図2は、ポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの一例を示す図である。置換基R2、R4(またはR3)、R6(またはR5)、R8(またはR7)を水素(H)とし、アームAは各ベンゼン環に1つずつ備えられた一例を示している。
これは2,9,16,23−tetrakis(2−polystyrene−2−methylpropionate−alkylthio)phthalocyanininato metalであり、M−Pc−(S−(CH2)p−(C(CH3)2−C(=O)−O−)−PS(n))4 と略記する。

0037

図3は、ポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの別の一例を示す図である。置換基R2、R4、R6、R8もアームAとし、アームAは各ベンゼン環に2つずつ備えられた一例である。
これは2,3,9,10,16,17,23,24−octakis(2−polystyrene−2−methylpropionate−alkylthio)phthalocyanininato metalであり、M−Pc−(S−(CH2)p−(C(CH3)2−C(=O)−O−)−PS(n))8 と略記する。
各ベンゼン環にアームAを2つずつ備えることにより、スターポリマー10の絶縁性を高めることができる。

0038

(ポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法)
図4は、本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーの製造方法の一例を示すフローチャート図である。
本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10の製造方法は、フタロニトリルATRPイニシエーター合成工程S1、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS)合成工程S2、精製Pn−PS作製工程S3、スターポリマー(M−Pc−(S−(CH2)p−(C(CH3)2−C(=O)−O−)−PS(n))m)合成工程S4の4つの工程を有する。

0039

(フタロニトリルATRPイニシエーター合成工程S1)
まず、4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルに、HS−(CH2)p−OH(pは2以上20以下である。)を、K2CO3存在下、DMSO中で反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−OH}m(m=1又は2)を作製する。
次に、Br−C(=O)−C(CH3)2−Br(2-ブロモイソブチリルブロミド)を、TEA(トリエチルアミン)存在下、テトラヒドロフラン(THF)中で反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1又は2)(Pn−(S−(CH2)p−(C(CH3)2−C(=O)−O−)−PS)、以下、フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i)と略記する。)を合成する。
これにより、容易にPn−iを合成できる。

0040

4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルとして、4−ニトロフタロニトリル又は4、5−ジクロロフタロニトリルを挙げることができる。

0041

(フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS)合成工程S2)
Pn−iをATRP開始剤として、CuBr/PMDETA触媒存在下、アニソール中、70℃に加熱して、ポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)を合成し、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−スチレンn−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS)と略記する。)を合成する。

0042

ATRPを利用することが好ましい。ATRPは制御ラジカル重合法(Controlled radical polymerization,CRP)の一つであり、目的の分子量のポリマーを狭い分子量分布で合成でき、また、多様な機能性部位を持つポリマーを作ることもできるので、スチレン分子量を高精度に制御することができ、フタロシアニンのコア間距離を調整することができるためである。

0043

(精製Pn−PS作製工程S3)
Pn−PSから、高分子量のポリマー(不純物ポリマー)を除去して、精製して、精製Pn−PSを作製する。

0044

(スターポリマー合成工程S4)
金属化合物/DBU存在下、ブタノール/トルエン混合溶媒中で、精製Pn−PSを環化反応させる。
前記金属化合物が、Zn、Cu、Ni、Co、Fe、Mnの群から選択されるいずれか一の金属のハロゲン化合物であることが好ましい。効率よく、環化できる。例えば、CuCl2である。
この工程では混合溶媒を用いることが好ましい。Pn−PSはアルコール溶媒溶けない。Pn−PSの溶解性を上げるため、ブタノール(沸点117℃)にトルエン(沸点110℃)を加えて混合溶媒とする。
混合溶媒としては、ブタノール/トルエンの他、プロパノール/トルエン、ペンタノール/トルエン、ヘキサノール/アニソールとしてもよい。
これにより、スターポリマー(M−Pc−(S−(CH2)p−(C(CH3)2−C(=O)−O−)−PS(n))m)を容易に合成できる。

0045

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマーは、金属フタロシアニン錯体からなるコアと、前記金属フタロシアニン錯体を構成するベンゼン環に接続されたアームAと、を備えたスターポリマー10であって、アームAは、前記ベンゼン環に接続する第1の接続部21と、第1の接続部21に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第1の伸長部22と、第1の伸長部22に接続する第2の接続部23と、第2接続部23に接続し、前記ベンゼン環と反対側に伸長する第2の伸長部24とからなり、第1の接続部21はSであり、第1の伸長部22が直鎖アルキル基であり、第2の接続部23は−O−C(=O)−C(CH3)2−であり、第2の伸長部24がポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)である構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーとして利用できる。

0046

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10は、アームAが、各ベンゼン環に1つずつ備えられている構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーとして利用できる。

0047

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10は、アームAが、各ベンゼン環に2つずつ備えられている構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーとして利用できる。

0048

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10は、前記直鎖アルキル基が(CH2)pで表され、そのCの数pが2以上20以下である構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーとして利用できる。

0049

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10は、前記金属フタロシアニンの金属がZn、Cu、Ni、Co、Fe、Mnの群から選択されるいずれか一の金属である構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーとして利用できる。

0050

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10の製造方法は、4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルに、HS−(CH2)p−OH(pは2以上20以下である。)を反応させてから、2−ブロモイソブチリルブロミド(Br−C(=O)−C(CH3)2−Br)を反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロシアニンATRPイニシエーターという。)を合成する工程S1と、前記フタロニトリルATRPイニシエーターを開始剤として、CuBr/PMDETA触媒存在下、アニソール中、70℃で、ATRPにより、スチレンからポリスチレン(最小の繰り返し構造単位nが5以上200以下である。)を合成して、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−スチレンn−Br}m(m=1又は2)(以下、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS)という。)を合成する工程S2と、高分子量のポリマー(不純物ポリマー)を除去して、精製して、精製Pn−PSを作製する工程S3と、金属化合物/DBU存在下、ブタノール/トルエン混合溶媒中で、精製Pn−PSを環化反応させて、スターポリマーを合成する工程S4と、を有する構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーを容易に製造できる。

0051

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10の製造方法は、4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルが、4−ニトロフタロニトリル又は4,5-ジクロロフタロニトリルである構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーを容易に製造できる。

0052

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10の製造方法は、前記金属化合物が、Zn、Cu、Ni、Co、Fe、Mnの群から選択されるいずれか一の金属のハロゲン化合物である構成なので、効率よく、環化できる。

0053

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー10の製造方法は、フタロニトリルATRPイニシエーターを合成する工程S1が、4位又は/及び5位にハロゲン又はニトロ基を有するフタロニトリルに、HS−(CH2)p−OH(pは2以上20以下である。)を、K2CO3存在下、DMSO中で反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−OH}m(m=1又は2)を作製する工程と、Br−C(=O)−C(CH3)2−Brを、TEA存在下、THF中で反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1又は2)を合成する工程と、からなる構成なので、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマーを容易に製造できる。

0054

本発明の実施形態であるポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0055

(実施例1)
(合成)
<フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(1))合成工程>
図5は、フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(1))合成工程の反応式である(Scheme 1−1)。この工程は、公知の方法である。
まず、メルカプトウンデセノール(HS−(CH2)11−OH)と、4−ニトロフタロニトリル(4−Nitrophthalonitrile)をDMSO中炭酸カリウムとともに反応させて、OHを末端に有するアルキルチオフタロニトリル(フタロニトリル−{S−(CH2)p−OH}m(m=1))を合成した。
次に、それを2−ブロモイソブチリルブロミド(Br−C(=O)−C(CH3)2−Br)と反応させて、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−Br}m(m=1)、で表記するフタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(1))を合成した。

0056

<フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(1))合成工程>
図6は、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(1))合成工程の反応式である(Scheme 1−2)。
次に、アニソール(Anisole)中70℃で、フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(1))を開始剤、CuBr/PMDETAを触媒系として用い、ATRP法により、スチレンからポリスチレンを合成し、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−ポリスチレン(n)−Br}m(m=1)で表記するフタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(1))を合成した。

0057

次に、ポリスチレンスタンダードを用いたGPCにより、重合度見積もったところ、重合度は41となった。
また、重クロロホルム中1H NMRにより、重合度を見積もった。重合度は42となった。

0058

なお、このフタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(1))のラジカル重合反応過程において、再結合による停止反応により、両末端にフタロニトリルを有するポリマーも生成した。この高分子量のポリマーは、次に続く環化反応の際にネットワーク構造を形成させる可能性があるため、取り除く必要があり、次の精製工程を行った。

0059

<フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(1))精製工程>
リサイクル分取GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(JAIGEL 2H/2.5H、溶離液:テトラヒドロフラン)を用いて、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(1))から高分子量のポリマーを取り除く精製を行い、精製フタロニトリル−ポリスチレン(精製Pn−PS(1))を作製した。

0060

<スターポリマー合成工程>
図7は、スターポリマー合成工程の反応式である(Scheme 1−3)。
まず、ブタノール(沸点117℃)にトルエン(沸点110℃)を加えた混合溶媒を用意した。精製Pn−PSはアルコール溶媒に溶けないため、Pn−PSの溶解性を上げるためである。
次に、前記混合溶媒に精製Pn−PSを、CuCl2、DBUとともに添加した。
次に、前記混合溶媒を加熱して、130℃として、この状態を12時間維持して、反応溶液を得た。このようにして、精製Pn−PS(1)を、CuCl2、DBU存在下、ブタノール(BuOH)/トルエン(Toluene)中で反応させた。

0061

次に、反応溶液を室温に戻した。
次に、反応溶液をアルミナに通して触媒を取り除いた。
次に、メタノール中で再沈殿して、反応混合物固体を得た。
次に、分取GPC(JAIGEL 2.5H/3H、溶離液:THF)を用いて、緑色粉末のPcのスターポリマーと、原料である白色粉末のPnのポリマーを分離した。
以上により、銅フタロシアニンをコアに持つスターポリマー(Cu−Pc−(S−(CH2)p−(C(CH3)2−C(=O)=O−)−PS(n))4 、更にPc−(PS)4と略記する。)を合成した。

0062

ポリスチレンスタンダードを用いたGPCにより、重合度を見積もった結果、4−armの分子量(PcPS4)は、Pnのポリマーの分子量の約4倍から20%程度小さく見積もられた。
(実施例2)
(合成)
<フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(2))合成工程>
4−ニトロフタロニトリルの代わりに市販品(ジクロロフタロニトリル)を用いた他は、実施例1と同様にして、合成を行った。
図8は、フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(2))合成工程の反応式である(Scheme 2−1)。
まず、メルカプトウンデセノールと、(4,5—ジクロロフタロニトリル)をDMSO中炭酸カリウムとともに反応させ、OHを末端に有するアルキルチオフタロニトリルを合成した。
次に、それを2−ブロモイソブチリルブロミドと反応させて、フタロニトリル含有bifunctional initator(Pn−i(2))を合成した。

0063

<フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(2))合成工程>
図9は、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(2))合成工程の反応式である(Scheme 2−2)。
次に、アニソール(Anisole)中70℃で、フタロニトリルATRPイニシエーター(Pn−i(2))を開始剤、CuBr/PMDETAを触媒系として用い、ATRP法により、スチレンからポリスチレンを合成し、フタロニトリル−{S−(CH2)p−O−C(=O)−C(CH3)2−ポリスチレン(n)−Br}m(m=2)で表記する2分岐のフタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(2))を合成した。

0064

ポリスチレンスタンダードを用いたGPCと、重クロロホルム中1H NMRにより、重合度を見積もった。重合度はそれぞれ、45と58と見積もった。

0065

上記重合反応は、分析GPCにより追跡した。
図10は、重合中のGPC測定結果であって、反応開始後1.5h時、3.5h時、5h時におけるGPC測定結果である。ピークが9.2分ぐらいから、9.7分ぐらいに移動した。

0066

図11は、時間に伴う反応率の変化を示す一次速度プロットである。conversionはスチレンの反応率を示し、Ln(M0/M)はその対数を示す。共にプロットは線形を示し、重合がリビングで進行することが分かった。

0067

図12は、反応率に伴う分子量変化を示すグラフである。
PDIは、分子量分布を示し、Mnは数平均分子量を示し、Mn(theor)は開始剤とモノマー比から計算した分子量の理論値を示す。

0068

<フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(2))精製工程>
リサイクル分取GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(JAIGEL 2H/2.5H、溶離液:テトラヒドロフラン)を用いて、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(2))から高分子量のポリマーを取り除く精製を行い、精製フタロニトリル−ポリスチレン(精製Pn−PS(2))を作製した。

0069

図13は、フタロニトリル−ポリスチレン(Pn−PS(2))のATRP直後のGPC分析結果(実線)と、GPCによる精製後のGPC分析結果(破線)である。
ピーク位置は変わらなかったが、8.75分近傍のショルダーが、after GPCではなくなった。
これにより、GPCを行うことにより精製できたことを確認した。

0070

<スターポリマー合成工程>
図14は、スターポリマー合成工程の反応式である(Scheme 2−3)。
まず、ブタノール(沸点117℃)にトルエン(沸点110℃)を加えた混合溶媒を用意した。
次に、前記混合溶媒に精製Pn−PS(2)を、CuCl2、DBUとともに添加した。
次に、前記混合溶媒を加熱して、130℃として、この状態を12時間維持して、反応溶液を得た。このようにして、精製Pn−PS(2)を、CuCl2、DBU存在下、ブタノール(BuOH)/トルエン(Toluene)中で反応させた。

0071

次に、反応溶液を室温に戻した。
次に、反応溶液をアルミナに通して触媒を取り除いた。
次に、メタノール中で再沈殿して、反応混合物固体を得た。
次に、分取GPC(JAIGEL 2.5H/3H、溶離液:THF)を用いて、緑色粉末のPcのスターポリマーと、原料である白色粉末のPnのポリマーを分離した。
以上により、銅フタロシアニンをコアに持つスターポリマー(Cu−Pc−(S−(CH2)p−(C(CH3)2−C(=O)=O−)−PS(n))8 、更にPc−(PS)8と略記する。)を合成した。

0072

図15はPc—(PS)8のGPC分析結果である。比較のために、Pn−PS(2)のAfter GPCのGPC分析結果も示している。

0073

ポリスチレンスタンダードを用いたGPC測定結果より、8−armの分子量(Pc−(PS)8)は4倍よりも約25%小さく見積もられた。

0074

表1にフタロニトリル−ポリスチレンの合成条件をまとめた。
また、表2にスターポリマーの合成条件をまとめた。
ここで、MWは(重量平均分子量)である。

0075

0076

0077

物性評価
(吸収スペクトル測定)
まず、(Pc−(PS)4)を塩化メチレン溶媒に溶解して、(Pc−(PS)4)試料溶液を作製した。
次に、(Pc−(PS)4)試料溶液の吸収スペクトル測定を行った。

0078

図16は、(Pc−(PS)4)試料溶液の吸収スペクトル測定結果である。
(Pc−(PS)4)試料塩化メチレン溶液は、693nmに吸収極大ピークがあった。チオアルキルフタロシアニンの文献値693nmと一致した。
また、630nm付近に第2ピーク、660nm付近にショルダーが見られた。
以上の吸収ピークは、フタロシアニンのQバンド吸収帯由来すると考察した。

0079

次に、塩化メチレン/メタノール混合溶媒を6種類作成した。塩化メチレン:メタノール体積比が100:0、90:10、80:20、70:30、65:35、60:40である。
次に、各混合溶媒に(Pc−(PS)4)を溶解して、混合溶媒体積比の異なる(Pc−(PS)4)試料溶液を作製した。

0080

次に、混合溶媒体積比の異なる(Pc−(PS)4)試料溶液の吸収スペクトル測定を行った。
図17は、混合溶媒体積比の異なる(Pc−(PS)4)試料溶液の吸収スペクトル測定結果である。
塩化メチレン:メタノール体積比が100:0の(Pc−(PS)4)試料溶液の698nm吸収ピークが極大となり、MeOH量の増加とともに、693nmの吸収ピーク値が減少した。
一方、短波長側の642nmの吸収ピークは、塩化メチレン:メタノール体積比が100:0の(Pc−(PS)4)試料溶液が極小となり、MeOH量の増加とともに、642nmの吸収ピーク値が増加した。これは、フタロシアニンが凝集するときに特徴的なスペクトルであるので、MeOH量の増加とともに、フタロシアニンが凝集したためと考察した。

0081

MeOH:CH2Cl2=40:60を超えて、MeOH量を増加させると、散乱が大きくなり、吸収スペクトルのベースラインが上昇した。これは、ポリスチレンが貧溶媒であるメタノール中で凝集したためと考察した。

0082

次に、MeOH:CH2Cl2=50:50の塩化メチレン/メタノール混合溶媒を作成した。次に、この混合溶媒に(Pc−(PS)4)を溶解して、MeOH:CH2Cl2=50:50の(Pc−(PS)4)試料溶液を作製した。

0083

次に、MeOH:CH2Cl2=50:50の(Pc−(PS)4)試料溶液の動的光散乱(Dynamic Light Scattering)測定を行った。測定結果より算出した平均粒子径は813nmであった。

0084

次に、MeOH:CH2Cl2=50:50の(Pc−(PS)4)試料溶液をシリコンウェーハ上にドロップキャストしてから、乾燥して、(Pc−(PS)4)薄膜を形成した。
次に、この(Pc−(PS)4)薄膜の表面の走査型顕微鏡(SEM)観察を行った。
図18は、(Pc−(PS)4)のメタノール、塩化メチレン混合溶液中試料の走査型顕微鏡(SEM)観察写真である。
直径0.5〜1μmの球状のオブジェクトが複数見られた。球状のオブジェクトはメタノール溶媒を加えることにより形成されたフタロシアニンを含むポリスチレン粒子である。

0085

これらの結果をまとめると、CH2Cl2/MeOH混合溶媒中で、貧溶媒であるMeOHを増加させると、Pcスターポリスチレンはフタロシアニンが凝集した状態で球状構造を形成することが分かった。

0086

次に、前記試料溶液を石英基板上にキャストした後、乾燥して、(Pc−(PS)4)試料薄膜を作製した。
次に、(Pc−(PS)4)試料薄膜の吸収スペクトル測定を行った。

0087

図19は、(Pc−(PS)4)試料薄膜の吸収スペクトル測定結果である。
(Pc−(PS)4)試料薄膜でも、フタロシアニンのQバンド吸収帯に由来する630nm付近の吸収ピーク、690nm付近のショルダーが見られた。これらは、MeOH含有量を増やした混合溶媒を用いた試料混合溶液のスペクトルと同様であった。よって、薄膜中では、フタロシアニンが凝集していることが示唆された。

0088

次に、Pc−(PS)4,Pc−(PS)8の粉末サンプル小角X線散乱(Small Angle X−ray Scattering:SAXS)測定を行った。しかし、明瞭な散乱ピークは得られなかった。

0089

これから、Pc−PSからなるスターポリマーは結晶ではなく、明確な秩序構造のないアモルファス材料であることがわかった。

0090

まず、(Pc−(PS)8)を塩化メチレン溶媒に溶解して、(Pc−(PS)8)試料溶液を作製した。
次に、(Pc−(PS)8)試料溶液の吸収スペクトル測定を行った。

0091

図20は、(Pc−(PS)8)試料溶液の吸収スペクトル測定結果である。
塩化メチレン溶媒中でPcPS8は711nmに極大を持つ吸収スペクトルがあった。これは、チオアルキルフタロシアニンの文献値と一致した。

0092

次に、(Pc−(PS)4)試料薄膜及び(Pc−(PS)8)試料薄膜のフラッシュフォトリシス時間分解マイクロ波伝導度(Flash−photolysis time resolved microwave conductivity:FP−TRMC)を測定した。

0093

図21は、FP−TRMCの説明図である。
具体的には、355nm、20mW(1.8×1016 photons/cm2)のレーザーパルス励起して、Pcスターポリスチレンの最大TRMC信号(φΣμ)を測定した。
最大TRMC信号(φΣμ)は非常に小さく、PcPS4が1.1×10−6(cm2/Vs)、PcPS8が2.7×10−6(cm2/Vs)であった。

0094

一方、TRMC信号の半減期Tは非常に長く、PcPS4が1.0×10−4s、PcPS8が1.6×10−3sであった。

0095

この現象は、液晶性有機半導体であるヘキサベンゾコロネン誘導体でもみられた現象であることから(非特許文献5、6)、同様の原理が働いていると類推した。
ヘキサベンゾコロネン誘導体は、ヘキサゴナルカラムナー相を形成し、電子移動・発生機能を有するコアのπ空間が、絶縁機能を有するアルキルアームで覆われているので、光励起によって生成したキャリアが再結合により消滅せずにカラム内で長寿命化したと考えられている。
Pc−PSのスターポリマーにおいても、フタロシアニン・コアのπ空間が、絶縁体であるポリマーに囲まれた構造を形成しているため、光励起によって生成したキャリアが再結合により消滅せずに長寿命化していると考えられる。
さらに、8アームの方が4アームのものより一桁寿命が長いことから、アームの数を増やす事で、フタロシアニンのπ空間を取り囲む層の絶縁性を高めて、π空間のキャリア閉じ込め効果が高められていると考えられる。

実施例

0096

なお、「φΣμ」はレーザーパルス光照射時とレーザーパルス光の非照射時におけるマイクロ波強度の差を物理量(cm2/Vs)に変換したものであり、φは光照射による電荷キャリア発生効率、Σμは電荷キャリア移動度の和である。

0097

本発明のポリスチレン含有アームを備えた金属フタロシアニン・コア型スターポリマー及びその製造方法は、有機溶媒に溶解性高く均一に溶解させて、粘性の低い溶液を形成でき、スピンコート法等の湿式成膜法により薄膜形成でき、電子移動・発生機能を有するコアと、絶縁機能を有するアームを有するスターポリマー及びその製造方法に関するものであり、有機エレクトロクス産業機能材料産業等において利用可能性がある。

0098

10…金属フタロシアニン・コア型スターポリマー、11…金属フタロシアニン(コア)、21…第1の接続部、22…第1の伸長部、23…第2の接続部、24…第2の伸長部。

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