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技術 モデル動物、生活習慣病の予防、改善又は治療剤、摂食抑制剤、スクリーニング方法、生活習慣病の検出薬、及び生活習慣病の検出方法

出願人 国立大学法人東京大学株式会社RNA
発明者 高橋直樹小島拓哉小栗晶高橋正樹齋藤陽平
出願日 2014年8月25日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2014-171002
公開日 2016年4月4日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-042847
状態 特許登録済
技術分野 動物の育種及び生殖細胞操作による繁殖 生物学的材料の調査,分析 特有な方法による材料の調査、分析 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 動物,微生物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 比重量 核酸検出試薬 変異原性物質 クオリティー 感覚器官 核酸抽出試薬 肩甲骨間 高脂肪飼料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年4月4日)のものです。
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図面 (14)

課題

生活習慣病耐性、抑制又は改善モデル動物、生活習慣病の予防、改善又は治療剤等を提供する。

解決手段

1)Mab21l1遺伝子の発現能が抑制もしくは喪失している、または前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の機能が抑制もしくは喪失している非ヒト哺乳動物である生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。2)前記Mab21l1遺伝子又は前記Mab21l1遺伝子の発現調節領域に変異が導入されてなる前記生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。

概要

背景

がん糖尿病高血圧、脂質異常症など、生活習慣病といわれる疾患が近年の先進国において増加しており、成人、特に高齢者クオリティーオブライフの低下や、医療費の増加を引き起こしている。特に生活習慣病の要因として、肥満が世界的に問題となっている。

mab-21遺伝子は、線虫において細胞運命の決定に関与する因子として同定された(非特許文献1)。線虫にはrayと呼ばれる感覚器官が左右9対存在する。線虫のmab-21変異体では、ray 4がray 6へと転換し、rayの融合が生じることが知られている(非特許文献2)。
これまでの研究で、様々な動物種においてmab-21が高度に保存されていることが明らかとなっている。Drosophila、sebrafish、Xenopus、chicken、mouse及びhumanでは、mab-21のオーソログとして、Mab21l1とMab21l2の2つの遺伝子が存在する。
しかし、mab-21ファミリー既知の遺伝子と全く相同性が無く、既存のモチーフドメインも見出されない。したがって、アミノ酸配列一次構造からの機能予測は不可能である。
マウスではMab21L1とMab21L2の単独、あるいは両方の発現阻害により、神経管閉塞異常、脊索、眼、体節の形態異常が起こることが示されており(非特許文献3)、本発明者らによっても、Mab21l1ノックアウトマウスにおいて、水晶体包皮線、及び肋骨など器官の形態異常が見出されている(特許文献1)。これらの結果は、線虫のみならず脊椎動物においてもMab-21ファミリーが重要な役割を持つことを示唆している。
このように、従来mab-21は、細胞運命の決定や発生に関与する因子として解析が進められきた。しかし、これまでに、生活習慣病とmab-21遺伝子との関連を示したという報告はない。

概要

生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物、生活習慣病の予防、改善又は治療剤等を提供する。1)Mab21l1遺伝子の発現能が抑制もしくは喪失している、または前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の機能が抑制もしくは喪失している非ヒト哺乳動物である生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。2)前記Mab21l1遺伝子又は前記Mab21l1遺伝子の発現調節領域に変異が導入されてなる前記生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。なし

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物の提供、生活習慣病の予防、改善又は治療剤の提供、摂食抑制剤の提供、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質スクリーニング方法の提供、生活習慣病の検出薬の提供、及び生活習慣病の検出方法の提供、を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

Mab21l1遺伝子の発現能が抑制もしくは喪失している、または前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の機能が抑制もしくは喪失している非ヒト哺乳動物であることを特徴とする生活習慣病耐性、抑制又は改善モデル動物

請求項2

前記Mab21l1遺伝子又は前記Mab21l1遺伝子の発現調節領域に変異が導入されてなる請求項1に記載の生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。

請求項3

高脂肪飼料給餌を行って作製される請求項1又は2に記載の生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。

請求項4

前記生活習慣病が、肥満、脂質異常症、脂肪肝糖尿病又は耐糖能異常である請求項1〜3のいずれか一項に記載の生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。

請求項5

Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸アンチセンス核酸アプタマー若しくはリボザイム又はそれらの発現ベクターを有効成分として含有する生活習慣病の予防、改善又は治療剤

請求項6

前記生活習慣病が、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常である請求項5に記載の生活習慣病の予防、改善又は治療剤。

請求項7

Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、アプタマー若しくはリボザイム又はそれらの発現ベクターを有効成分として含有する摂食抑制剤

請求項8

生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質スクリーニング方法であって、細胞被験物質を接触させ、前記細胞におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定することを特徴とする、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。

請求項9

前記被験物質が接触されたときと接触されていないときとを比較して、前記被験物質が接触されたときの前記細胞における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が抑制されている場合に、前記被験物質を生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質の候補物質として選択する請求項8に記載の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。

請求項10

生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法であって、非ヒト哺乳動物に被験物質を投与し、前記非ヒト哺乳動物におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定することを特徴とする、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。

請求項11

前記被験物質が投与されたときと投与されていないときとを比較して、前記被験物質が投与されたときの前記非ヒト哺乳動物における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が抑制されている場合に、前記被験物質を生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質の候補物質として選択する請求項10に記載の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。

請求項12

前記生活習慣病が、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常である請求項8〜11のいずれか一項に記載の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。

請求項13

Mab21l1遺伝子若しくはMab21l1遺伝子に由来する核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、又はMab21l1遺伝子若しくはMab21l1遺伝子に由来する核酸を増幅することができるプライマーセットを含むことを特徴とする生活習慣病の検出薬

請求項14

Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質に反応し得る抗体又はその断片を含むことを特徴とする生活習慣病の検出薬。

請求項15

生活習慣病を検出するために、被験者由来生体試料におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定することを特徴とする生活習慣病の検出方法

請求項16

健常者由来の生体試料と比較して、前記被験者由来の生体試料における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が促進されている場合に、生活習慣病の疑いを判断する請求項15に記載の生活習慣病の検出方法。

請求項17

前記生活習慣病が、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常である請求項15又は16に記載の生活習慣病の検出方法。

技術分野

0001

本発明はMab21l1遺伝子の発現能が抑制もしくは喪失している、又はMAB21L1タンパク質の機能が抑制もしくは喪失している非ヒト哺乳動物である生活習慣病耐性、抑制又は改善モデル動物に関する。また、本発明はMab21l1遺伝子の発現を制御し得る生活習慣病の予防、改善又は治療剤或いは摂食抑制剤に関する。また本発明は、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質スクリーニング方法、生活習慣病の検出薬、及び生活習慣病の検出方法に関する。

背景技術

0002

がん糖尿病高血圧、脂質異常症など、生活習慣病といわれる疾患が近年の先進国において増加しており、成人、特に高齢者クオリティーオブライフの低下や、医療費の増加を引き起こしている。特に生活習慣病の要因として、肥満が世界的に問題となっている。

0003

mab-21遺伝子は、線虫において細胞運命の決定に関与する因子として同定された(非特許文献1)。線虫にはrayと呼ばれる感覚器官が左右9対存在する。線虫のmab-21変異体では、ray 4がray 6へと転換し、rayの融合が生じることが知られている(非特許文献2)。
これまでの研究で、様々な動物種においてmab-21が高度に保存されていることが明らかとなっている。Drosophila、sebrafish、Xenopus、chicken、mouse及びhumanでは、mab-21のオーソログとして、Mab21l1とMab21l2の2つの遺伝子が存在する。
しかし、mab-21ファミリー既知の遺伝子と全く相同性が無く、既存のモチーフドメインも見出されない。したがって、アミノ酸配列一次構造からの機能予測は不可能である。
マウスではMab21L1とMab21L2の単独、あるいは両方の発現阻害により、神経管閉塞異常、脊索、眼、体節の形態異常が起こることが示されており(非特許文献3)、本発明者らによっても、Mab21l1ノックアウトマウスにおいて、水晶体包皮線、及び肋骨など器官の形態異常が見出されている(特許文献1)。これらの結果は、線虫のみならず脊椎動物においてもMab-21ファミリーが重要な役割を持つことを示唆している。
このように、従来mab-21は、細胞運命の決定や発生に関与する因子として解析が進められきた。しかし、これまでに、生活習慣病とmab-21遺伝子との関連を示したという報告はない。

0004

特開2004−345990号公報

先行技術

0005

Baird, S. E. et al., 1991. Pattern formation in the nematode epidermis: deteriminatin of the arrangement of peripheral sense organs in the C. elegans male tail. Development 113, 515-526.
Chow, K. L. et al., 1995. The mab-21 gene of Caenorhabditis elegans encodes a novel protein required for choice of alternate cell fates. Development 121, 3615-3626.
Wong, R. L. and Chow, K. L., 2002. Depletion of Mab21l1 and Mab21l2 messages in mouse embryo arrests axial turning, and impairs notochord and neural tube differentiation. Teratology 65, 70-7.

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物の提供、生活習慣病の予防、改善又は治療剤の提供、摂食抑制剤の提供、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法の提供、生活習慣病の検出薬の提供、及び生活習慣病の検出方法の提供、を課題とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、従来細胞運命の決定や発生に関与する因子として知られていたMab21l1のノックアウトマウスでは、生活習慣病に関わる様々な症状の発症に耐性を有しており、当該マウスは生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物として使用可能であることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。

0008

(1)Mab21l1遺伝子の発現能が抑制もしくは喪失している、または前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の機能が抑制もしくは喪失している非ヒト哺乳動物であることを特徴とする生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。
(2)前記Mab21l1遺伝子又は前記Mab21l1遺伝子の発現調節領域に変異が導入されてなる前記(1)に記載の生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。
(3)高脂肪飼料給餌を行って作製される前記(1)又は(2)に記載の生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。
(4)前記生活習慣病が、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常である前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物。
(5)Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸アンチセンス核酸アプタマー若しくはリボザイム又はそれらの発現ベクターを有効成分として含有する生活習慣病の予防、改善又は治療剤。
(6)前記生活習慣病が、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常である前記(5)に記載の生活習慣病の予防、改善又は治療剤。
(7)Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、アプタマー若しくはリボザイム又はそれらの発現ベクターを有効成分として含有する摂食抑制剤。
(8)生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法であって、
細胞被験物質を接触させ、前記細胞におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定することを特徴とする、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。
(9)前記被験物質が接触されたときと接触されていないときとを比較して、前記被験物質が接触されたときの前記細胞における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が抑制されている場合に、前記被験物質を生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質の候補物質として選択する前記(8)に記載の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。
(10)生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法であって、
非ヒト哺乳動物に被験物質を投与し、前記非ヒト哺乳動物におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定することを特徴とする、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。
(11)前記被験物質が投与されたときと投与されていないときとを比較して、前記被験物質が投与されたときの前記非ヒト哺乳動物における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が抑制されている場合に、前記被験物質を生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質の候補物質として選択する前記(10)に記載の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。
(12)前記生活習慣病が、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常である前記(8)〜(11)のいずれか一つに記載の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法。
(13)Mab21l1遺伝子若しくはMab21l1遺伝子に由来する核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、又はMab21l1遺伝子若しくはMab21l1遺伝子に由来する核酸を増幅することができるプライマーセットを含むことを特徴とする生活習慣病の検出薬。
(14)Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質に反応し得る抗体又はその断片を含むことを特徴とする生活習慣病の検出薬。
(15)生活習慣病を検出するために、被験者由来生体試料におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定することを特徴とする生活習慣病の検出方法。
(16)健常者由来の生体試料と比較して、前記被験者由来の生体試料における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が促進されている場合に、生活習慣病の疑いを判断する前記(15)に記載の生活習慣病の検出方法。
(17)前記生活習慣病が、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常である前記(15)又は(16)に記載の生活習慣病の検出方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物、生活習慣病の予防、改善又は治療剤、摂食抑制剤、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法、生活習慣病の検出薬、及び生活習慣病の検出方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

ターゲッティングベクターと、それに対応するマウスゲノムを示す模式図である。
野生型マウス(WT)とノックアウトマウス(KO)とで、体重変化を比較したグラフである。
野生型マウスとノックアウトマウスとで、体脂肪率を比較したグラフである。
野生型マウスとノックアウトマウスとで、脂肪組織の体重比重量を比較したグラフである。
野生型マウスとノックアウトマウスとで、血中インスリン濃度を比較したグラフである。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとで、体重変化を比較したグラフである。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとの外見を比較した写真である。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとで、体脂肪率を比較したグラフである。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとで、脂肪組織の体重比重量を比較したグラフである。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとで、鼠径部脂肪組織脂肪細胞を観察した結果を示す写真である。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとで、肝臓組織を観察した結果を示す写真である。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとで、血中グルコース濃度を比較したグラフである。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとで、血中グルコース濃度を比較したグラフである。
高脂肪食を与えた場合の、野生型マウスとノックアウトマウスとで、血中インスリン濃度を比較したグラフである。

0011

モデル動物
本発明の生活習慣病の耐性、抑制又は改善モデル動物は、Mab21l1遺伝子の発現能が抑制もしくは喪失している、または前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の機能が抑制もしくは喪失している非ヒト哺乳動物である。

0012

Mab21l1遺伝子は、線虫のmab−21のオーソログとして知られるMab21l1とMab21l2のうちの1つであり、これまでに様々な動物種において、Mab21l1遺伝子の塩基配列が公知となっている。配列番号1で表されるアミノ酸配列は、マウスのMAB21L1タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号2で表される塩基配列は、マウスのMab21l1遺伝子の塩基配列(コーディング領域の配列)である。また、ヒトのMab21l1遺伝子の配列は公知である(GeneBank accession number NM005584)。ラットのMab21l1遺伝子の配列は公知である(GeneBank accession number NM001109497)
本発明のモデル動物となる任意の非ヒト哺乳動物が有するMab21l1遺伝子が公知でない場合であっても、当業者であれば、本発明のモデル動物となる非ヒト哺乳動物のMab21l1遺伝子の配列を選択することができる。

0013

MAB21L1タンパク質の機能が喪失しているとは、MAB21L1タンパク質が本来有する機能が正常に発現されない状態のことをいう。MAB21L1タンパク質の機能が抑制しているとは、MAB21L1タンパク質が本来有する機能が部分的に抑制されている状態のことをいう。MAB21L1タンパク質が本来有する機能が部分的に抑制されている場合には、抑制の程度は、モデル動物となる動物の野生型と比較して、生活習慣病の耐性、抑制又は改善と認められる状態(野生型との差異)の少なくとも一つが表れる程度であればよい。

0014

ここで、生活習慣病としては、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常、高血圧、心疾患、脳卒中、骨粗鬆症関節リューマチ等が挙げられる。
生活習慣病の耐性、抑制又は改善の状態としては、例えば、肥満の改善、脂質異常症の耐性、脂肪肝の改善、糖尿病の抑制又は耐糖能異常の耐性等が挙げられる。肥満の耐性、抑制又は改善の指標としては、体重低下、体脂肪率低下等が挙げられる。脂質異常症の耐性、抑制又は改善の指標としては、血中の脂質(コレステロールトリグリセリドなど)の量の低下が挙げられる。脂肪肝の耐性、抑制又は改善の指標としては、肝臓に含まれる脂肪の割合の低下が挙げられる。糖尿病および耐糖能の耐性、抑制又は改善の異常の指標としては、血中グルコース濃度の低下、インスリン分泌量の改善、糖負荷試験数値改善等が挙げられる。

0015

MAB21L1タンパク質の機能の喪失は、Mab21l1遺伝子の発現能が抑制もしくは喪失することによっても生じ得る。Mab21l1遺伝子の発現能が喪失しているとは、モデル動物となる動物において、Mab21l1遺伝子産物が喪失していることをいう。Mab21l1遺伝子の発現能が抑制しているとは、モデル動物となる動物の野生型と比較して、Mab21l1遺伝子産物の量が抑制されていることをいう。Mab21l1遺伝子産物の量が抑制されている場合には、抑制の程度は、モデル動物となる動物の野生型と比較して、上記に示すような生活習慣病の耐性、抑制又は改善と認められる状態の少なくとも一つが表れる程度であればよい。Mab21l1遺伝子の発現能の抑制は、Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、アプタマー若しくはリボザイムなどの発現を生じさせる核酸配列をモデル動物に導入し、遺伝子ノックダウンにより生じさせることができる。

0016

本発明のモデル動物は、Mab21l1遺伝子又はMab21l1遺伝子の発現調節領域に変異が導入されてなることが好ましい。

0017

Mab21l1遺伝子の発現調節領域とは、Mab21l1遺伝子の発現を調節する領域であって、例えば、プロモーターサイレンサーエンハンサー応答配列である。

0018

MAB21L1タンパク質の機能の喪失は、例えば、Mab21l1遺伝子に変異を導入し、Mab21l1遺伝子を破壊することにより生じさせることができる。Mab21l1遺伝子の発現能の抑制又は喪失は、例えば、Mab21l1遺伝子の発現調節領域に変異を導入するすることにより生じさせることができる。
Mab21l1遺伝子又はMab21l1遺伝子の発現調節領域に変異を導入する方法は、公知の遺伝子工学的手法である遺伝子改変により行うことができる。変異は、Mab21l1遺伝子又はMab21l1遺伝子の発現調節領域における一部又は全部の欠失置換、任意の配列の挿入等により生じさせることができる。これらは、例えば、変異原性物質(Mutagen)による処理、紫外線照射相同組み換え技術等による遺伝子ターゲッティング、遺伝子ノックアウト、遺伝子ノックダウン、Cre-loxP系等による条件的ノックアウト等の手法を用いて行うことができる。

0019

非ヒト哺乳動物としては、特に制限されないが、げっ歯類分類される動物であることが好ましい。非ヒト哺乳動物としては、マウス、ラット、モルモットハムスターウサギヤギブタイヌネコが挙げあれる。

0020

本発明のモデル動物は、高脂肪飼料の給餌を行うことにより作製されてもよい。
例えば、本発明のモデル動物は、Mab21l1遺伝子又はMab21l1遺伝子の発現調節領域に変異が導入されてなり、Mab21l1遺伝子の発現能が抑制もしくは喪失している、または前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の機能が抑制もしくは喪失している非ヒト哺乳動物に、所定の期間高脂肪飼料の給餌を行うことにより、作製されてもよい。

0021

高脂肪飼料とは、飼料全体に含有される脂肪分の割合が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。高脂肪飼料の飼料全体に含有される脂肪分の割合の目安としては、10〜70質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましく、30〜40質量%であることがさらに好ましい。
高脂肪飼料の給餌を行う期間は、10日以上であることが好ましく、30日以上であることがより好ましく、50日以上であることがさらに好ましい。目安としては、10〜120日でことが好ましく、30〜100日であることがより好ましく、50〜80日であることがさらに好ましい。
高脂肪飼料の給餌を行う対象の動物は、離乳後の動物であることが好ましい。

0022

マウスの場合を例に挙げると、4週齢〜12週齢のマウスに、10日以上、10〜120日間高脂肪飼料の給餌を行うことが好ましく、5週齢〜11週齢のマウスに、30日以上、30〜100日間高脂肪飼料の給餌を行うことがより好ましく、6週齢〜10週齢のマウスに、50日以上、50〜80日間高脂肪飼料の給餌を行うことがさらに好ましい。

0023

本発明のモデル動物は、生活習慣病の耐性を有する又は生活習慣病の症状の抑制もしくは改善を示す。したがって、生活習慣病のメカニズム解明や、生活習慣病の治療に有用な物質の探索、生活習慣病の治療方法などの開発に用いることができる。

0024

≪予防、改善又は治療剤≫
発明者らは、後述する実施例において説明するように、Mab21l1のノックアウトマウスが、生活習慣病に関わる様々な症状の発症に耐性を有することを見出した。したがって、Mab21l1遺伝子の発現を部分的に又は完全に抑制する作用を有する物質は、生活習慣病の予防、改善又は治療剤となり得る。
また、発明者らは、Mab21l1のノックアウトマウスでは、飼料の摂食量が野生型マウスと比較して減少することを見出した。したがって、Mab21l1遺伝子の発現を部分的に又は完全に抑制する作用を有する物質は、摂食抑制剤となり得る。

0025

本発明の生活習慣病の予防、改善又は治療剤は、Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、アプタマー若しくはリボザイム又はそれらの発現ベクターを有効成分として含有するものである。前記生活習慣病は、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常であることが好ましい。
また、本発明の摂食抑制剤は、Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、アプタマー若しくはリボザイム又はそれらの発現ベクターを有効成分として含有するものである。

0026

Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、アプタマー若しくはリボザイムは、入手したMab21l1遺伝子の配列情報に基づいて容易に設計することができる。配列情報として用いるMab21l1遺伝子の配列は、投与対象の動物のMab21l1遺伝子の配列であることが好ましいが、これに制限されない。RNAi誘導性核酸とは、RNA干渉(RNAi)を誘導する核酸であり、shRNA、siRNA、miRNAを例示できる。これらの物質を細胞内に導入することにより、生活習慣病の予防、改善若しくは治療、又は摂食の抑制を行うことが挙げられる。

0027

生活習慣病の予防、改善又は治療剤を細胞内に導入する方法は、特に制限されず、レトロウイルスアデノウイルス等のウイルスベクターによる導入、リポソーム法、マイクロインジェクション法等が挙げられる。

0028

生活習慣病の予防、改善又は治療剤は、それ自体を投与してもよいし、適宜の薬理学的に許容される添加剤と混合した医薬組成物として、錠剤カプセル剤顆粒剤等の製剤として経口的に、又は、注射剤坐剤等の製剤として非経口的に投与してもよい。

0029

これらの製剤は、賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤乳化剤、安定剤、希釈剤注射剤用溶剤等の添加剤を用いて、周知の方法で製造することができる。

0030

賦形剤としては、有機系賦形剤、無機系賦形剤等が挙げられる。有機系賦形剤としては、乳糖白糖等の糖誘導体トウモロコシデンプン馬鈴薯デンプン等のデンプン誘導体結晶セルロース等のセルロース誘導体アラビアゴム等が挙げられる。無機系賦形剤としては、硫酸カルシウム等の硫酸塩が挙げられる。

0031

結合剤としては、上記の賦形剤、ゼラチンポリビニルピロリドンポリエチレングリコール等が挙げられる。

0033

滑沢剤としては、タルクステアリン酸コロイドシリカビーズワックスゲイロウ等のワックス類硫酸ナトリウム等の硫酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等のラウリル硫酸塩;上記の賦形剤におけるデンプン誘導体等が挙げられる。

0036

希釈剤としては、水、エタノールプロピレングリコール等が挙げられる。

0037

注射剤用溶剤としては、水、エタノール、グリセリン等が挙げられる。

0038

別の実施形態において、本発明は、生活習慣病の予防、改善又は治療剤の製造のための、Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、アプタマー若しくはリボザイム又はそれらの発現ベクターの使用を提供する。

0039

別の実施形態において、本発明は、Mab21l1遺伝子に対するRNAi誘導性核酸、アンチセンス核酸、アプタマー若しくはリボザイム又はそれらの発現ベクターの有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、生活習慣病の予防、改善又は治療方法を提供する。

0040

≪スクリーニング方法≫
本発明の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法は、細胞に被験物質を接触させ、前記細胞におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定するもの、或いは、非ヒト哺乳動物に被験物質を投与し、前記非ヒト哺乳動物におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定するものである。前記生活習慣病は、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常であることが好ましい。

0041

発明者らは、後述する実施例において説明するように、Mab21l1のノックアウトマウスでは、生活習慣病に関わる様々な症状の発症に耐性を有することを見出した。したがって、Mab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現は、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニングの指標となり得る。

0042

本発明の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法は、例えば、細胞に被験物質を接触させ、前記細胞におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定し、前記被験物質が接触されたときと接触されていないときとを比較して、前記被験物質が接触されたときの前記細胞における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が抑制されている場合に、前記被験物質を生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質の候補物質として選択することを行ってもよい。
また、例えば、非ヒト哺乳動物に被験物質を投与し、前記非ヒト哺乳動物におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定し、前記被験物質が投与されたときと投与されていないときとを比較して、前記被験物質が投与されたときの前記非ヒト哺乳動物における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が抑制されている場合に、前記被験物質を生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質の候補物質として選択することをおこなってもよい。

0043

被験物質としては、特に制限はなく、例えば、ペプチド、タンパク質、低分子化合物合成化合物発酵生産物細胞抽出液等が挙げられる。

0044

Mab21l1遺伝子の発現の測定は、通常の遺伝子発現解析に用いられる手法用いることができ、mRNAベルで行ってもよい。例えば、ノーザンブロット解析RTPCR法リアルタイムPCR法、in situハイブリダイゼーション法レポーターアッセイ等を利用できる。MAB21L1タンパク質の発現の測定は、通常のタンパク質検出に用いられる手法用いることができ、SDS−PAGE、ウエスタンブロット解析ELISA法免疫染色法等を利用できる。

0045

本発明の生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質のスクリーニング方法により選択された物質は、生活習慣病の予防、改善又は治療に有用な物質の候補物質として利用できる。

0046

≪検出薬≫
本発明の生活習慣病の検出薬は、Mab21l1遺伝子若しくはMab21l1遺伝子に由来する核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、Mab21l1遺伝子若しくはMab21l1遺伝子に由来する核酸を増幅することができるプライマーセット、又はMab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質に反応し得る抗体若しくはその断片を含むものである。

0047

発明者らは、後述する実施例において説明するように、Mab21l1のノックアウトマウスでは、生活習慣病に関わる様々な症状の発症に耐性を有することを見出した。したがって、Mab21l1遺伝子の存在、発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を検出することで、生活習慣病が検出され得る。

0048

Mab21l1遺伝子に由来する核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、Mab21l1遺伝子に由来する核酸を増幅することができるプライマーセットは、入手したMab21l1遺伝子の配列情報に基づいて容易に設計することができる。配列情報として用いるMab21l1遺伝子の配列は、投与対象の動物のMab21l1遺伝子の配列であることが好ましいが、これに制限されない。

0049

Mab21l1遺伝子に由来する核酸とは、Mab21l1遺伝子の例えば、Mab21l1遺伝子から転写されたmRNA、該mRNAから合成されたcDNA、およびそれらの断片が挙げられる。

0050

前記オリゴヌクレオチド及び前記プライマーセットの核酸は、Mab21l1遺伝子に由来する核酸にハイブリダイズし得る配列の他に、任意の物質や配列を有していてもよい。当該物質としては、発光物質蛍光物質放射性物質等の標識物質ペルオキシターゼアルカリホスファターゼ等の酵素が挙げられる。

0051

Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質に反応し得る抗体は、本分野において一般的な手法により得ることができる。例えば、MAB21L1タンパク質のアミノ酸配列に基づいて得られたポリペプチド抗原として使用し、任意の非ヒト動物へと免疫して、当該抗体が得られる。抗体は、目的の抗体を生産するハイブリドーマを作成する等して得てもよい。
MAB21L1タンパク質に反応し得る抗体はMAB21L1タンパク質に対する特異的抗体であることが好ましい。特異的抗体とは、MAB21L1には結合するが、類似のタンパク質等の他の分子に対しては結合しない抗体か、又は、他の分子に結合する場合であってもMAB21L1タンパク質としての検出が可能な程度の極めて低い程度でしか他のタンパク質に対しては結合しない抗体を意味する。

0052

また、本発明によれば、本発明の生活習慣病の検査薬を含むキットを提供することができる。当該キットは、Mab21l1遺伝子に由来する核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、Mab21l1遺伝子に由来する核酸を増幅することができるプライマーセット、及びMab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質に反応し得る抗体又はその断片からなる群から選ばれるすくなくとも一つを備える。キットには、遺伝子発現解析、タンパク質検出に使用される試薬類器具等を備えていてもよい。これらの試薬類は、例えば、核酸抽出試薬核酸増幅試薬核酸検出試薬、タンパク質抽出試薬、タンパク質検出試薬が挙げられる。

0053

≪検出方法≫
本発明の生活習慣病の検出方法は、生活習慣病を検出するために、被験者由来の生体試料におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定するものである。前記生活習慣病は、肥満、脂質異常症、脂肪肝、糖尿病又は耐糖能異常であることが好ましい。
Mab21l1遺伝子の発現、又はMAB21L1タンパク質の発現の測定は、上述した本発明の生活習慣病の検出薬を用いて行うことができる。

0054

Mab21l1遺伝子の発現の測定は、通常の遺伝子発現解析に用いられる手法用いることができ、mRNAレベルで行ってもよい。例えば、ノーザンブロット解析、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、in situハイブリダイゼーション法、レポーターアッセイ等を利用できる。MAB21L1タンパク質の発現の測定は、通常のタンパク質検出に用いられる手法用いることができ、SDS−PAGE、ウエスタンブロット解析、ELISA法、免疫染色法等を利用できる。

0055

本発明の生活習慣病の検出方法では、例えば、被験者由来の生体試料におけるMab21l1遺伝子の発現又は前記Mab21l1遺伝子がコードするMAB21L1タンパク質の発現を測定し、健常者由来の生体試料と比較して、前記被験者由来の生体試料における前記Mab21l1遺伝子の発現又は前記MAB21L1タンパク質の発現が促進されている場合に、生活習慣病の疑いを判断することを行ってもよい。

0056

被験者由来の生体試料としては、特に制限されないが、被験者から採取した血液、血漿血清、尿、精液、細胞滲出液等の体液、細胞、組織、及びそれらの調整物が挙げられる。

0057

次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0058

<Mab21L1遺伝子欠損マウス作出
基本的な実験手法はSambrook (Sambrook et al., 1989) らの方法に従って行った。
生体内でのMab21L1の役割を明らかにするために、特許文献1に記載の方法に沿って、Mab21L1遺伝子欠損マウスの作出を行った。まず、129系統マウスゲノムライブラリーから、Mab21L1cDNAをプローブとして、Mab21L1ゲノミッククローンを得た。このクローンを用いて、図1に示したMab21L1 ORFの上流約 5kbと下流 2kbを含むターゲッティングベクターを作製した。

0059

直線化ターゲッティングベクター(30μg)をES細胞中にエレクトロポレーションした。400 G418−耐性クローン由来のゲノムDNAをKpnIおよびSalIで消化し、5’および3’プローブを用いサザンブロットした。8つの相同組換え体が得られ、これらのうち、2クローンから8細胞期集合法(Wood S. A. et al. (1993))によりキメラマウスを作出した。キメラの雄をC57BL/6の雌と交配させ、そして標的対立遺伝子送達は、妊娠したマウスのテールチップDNAをサザンブロッティングすることにより確認した。ヘテロ接合型マウスを交配させ、ホモ接合型マウスを作出した。2つの系統が同じ表現型を示した。子および胎仔遺伝子型を、5’プローブを用いるサザンブロッティングによるか、または特定のプライマー
m1F、5’−CAGTGCCAAGCAAGCTCATC−3’
m1R、5’−GCAGATAGGGCTGTTGCTG−3’、および
neoR、5’−GCATCTGCGTGTTCGAATTC−3’
を用いるPCRによるか、何れかにより決定した。

0060

得られたヘテロ接合型マウスは正常であった。ヘテロマウスを交配し、得られたこの遺伝子型を生後週間目で確認した。野生型、ヘテロ接合型、ホモ接合型マウスの出現頻度はそれぞれ約25%、50%、25%であり、メンデル比合致した。このことから、Mab21L1は生存には不要であることが判明した。ホモ接合型マウスにおいてMab21L1転写産物が検出されないことから、このマウスがnull mutantであることを確認した。
以下、ホモ接合型のMab21L1遺伝子欠損マウスをノックアウトマウスという。

0061

<Mab21L1遺伝子欠損マウスの表現型(Control Diet-Fed)>
まず、野生型マウスとノックアウトマウスとで、両者の体重の比較を行った。体重測定は、離乳後〜8週齢の期間、通常のノーマルダイエット(cE2,日本クレア社)を与え、その後8〜20週齢の期間、脂肪分を抑えたコントロールダイエット(Control Diet-Fed)(D12450B、Research Diets社製)を与えて飼育したマウス(n = 4)について、生後8〜17週にかけて行った。上記ノーマルダイエット(cE-2, 日本クレア社)の脂肪含有量は5.1質量%である。上記コントロールダイエットの脂肪含有量は4.3質量%である。

0062

図2は、野生型マウス(WT)とノックアウトマウス(KO)とで、両者の体重を比較したグラフである。測定を行った全ての時点において、ノックアウトマウスのほうが野生型マウスと比べて体重が軽いことが判明した。また、マウスの体格も、野生型マウスと比べて、ノックアウトマウスでは小さかった。

0063

次に、野生型マウスとノックアウトマウスとで、両者の体脂肪率の比較を行った。体脂肪率の測定は、離乳後〜8週齢の期間、上記ノーマルダイエットを与え、その後8〜20週齢の期間上記コントロールダイエット(Control Diet-Fed)を与えて飼育した20週齢のマウス(n = 4)に対して行った。体脂肪率はCTスキャン(Latheta LCT-200、日立アロカメディカル社製)を用いて、CT画像解析により計測した。
図3は、野生型マウスとノックアウトマウスとで、両者の体脂肪率を比較したグラフである。ノックアウトマウスは、野生型マウスと比べて体脂肪率が低いことが判明した。

0064

また、体脂肪率の測定を行った上記マウス(20週齢)から、解剖によって各部位の脂肪組織を取り出し、体重比重量を測定した(n = 4)。測定対象の脂肪組織は、鼠径部(Inguinal)、精巣上体周囲(Epididymal)、腸間膜(Mesenteric)、後腹膜(Retropreitoneal)、周囲(Perinepheric)、肩甲骨間褐色(Interscapular brown)脂肪組織(Adipose tissue : AT)である。
図4に、野生型マウスとノックアウトマウスの、上記各部位の脂肪組織の体重比重量を比較したグラフを示す。測定対象とした全ての部位において、ノックアウトマウス脂肪組織の体重比重量値は、野生型マウスと比べて低いことが判明した。

0065

次に、野生型マウスとノックアウトマウスの、血中インスリン濃度の比較を行った。血中インスリン濃度の測定は、離乳後〜8週齢の期間、上記ノーマルダイエットを与え、その後8〜20週齢の期間上記コントロールダイエット(Control Diet-Fed)を与えて飼育した20週齢のマウス(n = 4)に対して行った。
結果を図5に示す。ノックアウトマウスの血中インスリン濃度は野生型マウスと比べて低い傾向にあったため、ノックアウトマウスのインスリン感受性が向上していることが示唆された。

0066

<Mab21L1遺伝子欠損マウスの表現型(High-Fat Diet-Fed)>
ノックアウトマウスで確認された体脂肪率低下の表現型を顕在化させるために、マウスにハイファットダイエット(High-Fat Diet-Fed)(D12492、Research Diets社製)を与えて飼育し、表現型の差異を調べた。上記ハイファットダイエットの脂肪含有量は34.9質量%である。
まず、野生型マウスとノックアウトマウスのそれぞれに対し、コントロールダイエット(D12450B、Research Diets社製)を与えた場合、又はハイファットダイエットを与えた場合について、両者の体重の比較を行った。ハイファットダイエットを与えた場合の測定は、マウスに離乳後〜8週齢までノーマルダイエットを与えた後、8〜17週齢までハイファットダイエットを与えて行った。コントロールダイエットを与えた場合の測定は、マウスに離乳後〜8週齢までノーマルダイエットを与えた後、8〜17週齢までコントロールダイエットを与えて行った。

0067

図6に、体重測定の結果を示す。図6中、
CD:WTは、野生型マウスにコントロールダイエットを与えた場合、
CD:KOは、ノックアウトマウスにコントロールダイエットを与えた場合、
FD:WTは、野生型マウスにハイファットダイエットを与えた場合、
HFD:KOは、ノックアウトマウスにハイファットダイエットを与えた場合、を示す。
コントロールダイエットを与えた場合、又はハイファットダイエットを与えた場合の測定結果の比較は、同週齢のマウスに対して実施した。グラフの横軸は、コントロールダイエット又はハイファットダイエットを与えた期間のマウスの週齢を示す。

0068

HFD:WTのマウスでは、CD:WTのマウスに比べて顕著な体重の増加がみられた。一方でHFD:KOのマウスでは、CD:KOのマウスと比べて、体重の増加はみられなかった。図7は、HFD:WT、HFD:KOのマウス(図5:20週齢時点)を示す写真である。
このことから、ノックアウトマウスは、高脂肪食を摂取しても太りにくいことが判明した。

0069

次に、野生型マウスとノックアウトマウスとで、両者の体脂肪率の比較を行った。体脂肪率の測定は、離乳後〜8週齢までノーマルダイエットを与えた後、8〜20週齢の期間ハイファットダイエット(High-Fat Diet-Fed)を与えて飼育した20週齢のマウス(n = 4)に対して行った。体脂肪率はCTスキャン(上記)を用いて、CT画像解析により計測した。
図8は、野生型マウスとノックアウトマウスとで、両者の体脂肪率を比較したグラフである。ノックアウトマウスは、野生型マウスと比べて体脂肪率が有意に低いことが判明した(図8中*は、p<0.05を表す)。

0070

また、体脂肪率の測定を行った上記マウス(20週齢)から、解剖によって各部位の脂肪組織を取り出し、体重比重量を測定した(n = 4)。測定対象の脂肪組織は、鼠径部(Inguinal)、精巣上体周囲(Epididymal)、腸間膜(Mesenteric)、後腹膜(Retropreitoneal)、腎周囲(Perinepheric)、肩甲骨間褐色(Interscapular brown)脂肪組織(Adipose tissue : AT)である。
図9に、野生型マウスとノックアウトマウスの、上記各部位の脂肪組織の体重比重量を比較したグラフを示す。測定対象とした全ての部位において、ノックアウトマウスの脂肪組織の体重比重量値は、野生型マウスと比べて低いことが判明した。特に、鼠径部(Inguinal)、腸間膜(Mesenteric)、及び肩甲骨間褐色(Interscapular brown)脂肪組織(Adipose tissue : AT)において、ノックアウトマウスの脂肪組織の体重比重量値が、野生型マウスと比べて有意に低いことが判明した(図9中*は、p<0.05を表す)。

0071

次に、体重比重量において有意差のあった鼠径部脂肪組織について、HE染色によって細胞の形態を観察した。
結果を図10に示す。観察は体脂肪率の測定を行った上記マウス(20週齢)に対して行った。野生型マウスの脂肪細胞はノックアウトマウスと比べて大きく、肥大化していた。

0072

同じくHE染色によって、肝臓の形態を観察した。観察は体脂肪率の測定を行った上記マウス(20週齢)に対して行った。
結果を図11に示す。野生型マウスの肝臓は脂肪肝となっており、ノックアウトマウスの肝臓は脂肪肝となっていないことがわかった。

0073

次に、野生型マウスとノックアウトマウスとで糖負荷試験を行い、両者の耐糖能の比較を行った。糖負荷試験は、離乳後〜8週齢までノーマルダイエットを与えた後、8〜18週齢の期間ハイファットダイエット(High-Fat Diet-Fed)を与えて飼育した18週齢のマウス(n = 4)に対して、グルコース2gを生理食塩水20mLにとかしたものを、マウスの体重1gあたり10μL経口投与して行った。
結果を図12〜13に示す。図12は、グルコース投与後の各経過時間でのマウス血中グルコース濃度の値である。図13は、グルコース投与後の経過時間0〜2時間における血中グルコース濃度の平均値である。野生型マウスはノックアウトマウスよりも血中グルコース濃度が有意に高い傾向が見られ(図12〜13中、各*はそれぞれp<0.05を表す。)、ノックアウトマウスでは耐糖能が向上していることが示された。

0074

次に、野生型マウスとノックアウトマウスの、血中インスリン濃度の比較を行った。血中インスリン濃度の測定は、離乳後〜8週齢までノーマルダイエットを与えた後、8〜20週齢の期間ハイファットダイエット(High Fat Diet-Fed)を与えて飼育した20週齢のマウス(n = 4)に対して行った。
結果を図14に示す。ノックアウトマウスの血中インスリン濃度は野生型マウスと比べて低い傾向にあったため、ノックアウトマウスのインスリン感受性が向上していることが示唆された。

実施例

0075

以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。

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