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技術 ビームフォーミング方法、計測イメージング装置、及び、通信装置

出願人 学校法人上智学院
発明者 炭親良山崎直人
出願日 2014年8月14日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-165284
公開日 2016年3月31日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2016-042036
状態 特許登録済
技術分野 超音波診断装置 レーダ方式及びその細部 音波、超音波を用いた位置、速度等の測定
主要キーワード 専用開口 開口面形状 パッシブ装置 脱着不可 円形ベース 力学的振動 力学的波 データ取り込み装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月31日)のものです。
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課題

近似計算を行うことなく、ビームフォーミング高速且つ高精度に行う。

解決手段

この方法は、計測対象物から到来する波動受信開口素子によって受信して受信信号を生成するステップ(a)と、受信信号に対してフーリエ変換及び波数マッチングを行うことによってビームフォーミング処理を行うステップ(b)とを具備し、ステップ(b)が、受信信号を軸方向に関してフーリエ変換したものに波動の波数及び虚数単位を用いて表される複素指数関数掛けることにより横方向に関する波数マッチングを行い、その積を横方向に関してフーリエ変換し、得られた演算結果に第1の複素指数関数を掛けると同時に第2の複素指数関数を掛けることにより軸方向に関する波数マッチングを行い、補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む。

概要

背景

電磁波、光、力学的な振動音波、又は、熱波等の波動においては、その周波数帯域幅、強度、又は、モードにより、波動としての挙動が異なる。これまでに多くの各種波動のトランスデューサが開発され、それらの波動の透過波反射波屈折波、又は、散乱波前方散乱波又は後方散乱波等)等を用いるイメージングが行われている。

例えば、非破壊検査医療ソナーにおいて、音波の中でも高い周波数を有する超音波が使用されることは良く知られている。また、レーダーにおいても、計測対象に合わせて適切な周波数の電磁波(ラジオ波FM波マイクロ波テラヘルツ波赤外線可視光紫外線、又は、X線等の放射線等)が使用される。他の波動においても同様であり、各波動は周波数により振る舞いが異なるがため、名称を別とし、計測対象や媒体周波数帯域に合わせ、様々なセンシング通信が行われている(電磁波であれば、偏波も使用できる)。

それらの応用では、トランスデューサで計測対象を機械的に走査したり、同一のトランスデューサを複数回使用したり、予めアレイ状に並べられた複数のトランスデューサを使用してビームフォーミング処理が行われることが多い。地球や陸地海洋天候を、衛星や飛行機のレーダーによって観測する場合において、開口面合成処理が行われること等は良く知られている。ビームフォーミングは、特に、計測対象をイメージングする場合において、適切な指向性を持たせ、関心領域や関心点において、高い空間分解能と高いコントラストを得ることを目的とすることが多い。

結果として、計測対象から発生する波動に作用することにより、インピーダンスの空間的な変化により生じる反射や透過、各種散乱レーリー散乱ミー散乱、その他)、減衰、又は、それらの周波数分散等を観測でき、計測対象が何であるかは元より、計測対象の内部や表面の構造や組成を観測できる。計測対象が様々な空間分解能で観測されることもある。構造や組成のレベル(例えば、個体レベル、分子レベル原子レベル、核レベル等)で、特性評価(characterization)することができる。

高精度な高分解能イメージングを目的に、古くから信号の圧縮技術が使用され、代表的なものにチャープ波技術や符号化圧縮技術が使用されている。ISAR(inverse synthetic aperture radar:逆合成開口レーダー)等のように、観測された波動にビーム特性反転(inversion)を施して超解像を行うこともあるが(開口面合成時とは限らない)、積極的に分解能を低下させることもある。それらにおいて、特異値分解正則化(regularization)は有効である。

その他、符号化技術は、例えば、受信信号送信位置の異なる送信信号に対応する受信信号に分離する場合等のように、複数の信号を分離する場合においても使用される。異なる方向から到来する波動を分離することもあり、また、信号源を特定したり分離したりすることもある。そのような場合において、信号検出能の高いマッチドフィルタに頼るところは多大である。しかしながら、信号エネルギーを獲得できる反面、変形を伴う計測対象の動きや、変位、歪等を求める場合には、空間分解能が低くなり、それらの計測精度は低下する。波動や信号の分離においては、周波数や帯域、又は、多次元スペクトルの利用も有用である。

上記の波動を用いるイメージングにおいては、通常、直交検波包絡線検波、又は、二乗検波を通じて得られる振幅データ分布が、グレー画像カラー画像として、1次元、2次元、又は、3次元で表示され、形態学的な画像となることも多い。また、機能的な観測も可能であり、例えば、それらの波動を使用するドプラ計測においては、生のコヒーレント信号が処理される(超音波ドプラ、レーダードプラ、レーザードプラ等)。

その他、例えば、医用超音波の分野では、パワードプラのように、変位方向の情報は無いが、動きのある組織を検出できる有用な技術もある。また、マイクロ波や遠赤外線を使用した場合には、計測対象の温度分布を観測することもできる。それらの計測された物理量は、形態学的画像重畳して表示されることもある。画像計測の分野では、検波を通じてインコヒーレントにした信号を用いて動きの観測が行われることも良く知られている(相互相関処理オプティカルフロー等)。医用超音波やソナーにおいては、物理的に生成されるハーモニック和音差音を用いたイメージングも行われる。特に、計測対象が動的である場合には、ビームフォーミング処理に実時間性が求められる。

また、衛星通信、レーダー、ソナー等においても、ビームフォーミングを実施し、省エネの下で情報的に安全な環境を実現し、正確な通信が行われている。アドホック通信機器モバイル通信においても、ビームフォーミングが応用されるに至っている。特定者や特定の信号発生源特定位置との通信にも有効である。通信においては、送信側から受信側に情報を波動に載せて送り、それだけで目的を達することもあるし、受信側が送信側にその通信の結果を応答したり、また、その送信された情報に対して応答したりすることもあるが、無論、通信の例はこの限りではない。通信対象観察対象に応じて、情報の内容が動的である場合には実時間性が求められ、その場合におけるビームフォーミングは短時間に完了することが求められる。

この様な中で、本願の第1の発明者(願書に最初に記載されている発明者である炭親良)は、例えば、ヒト組織癌病変硬化症等の病変鑑別診断するための超音波イメージング技法の開発をしている。本願の第1の発明者は、エコーイメージングの高分解能化組織変位高精度計測イメージング等と共に、HIFU(High Intensity Focus Ultrasound:高強度焦点超音波)治療の高分解能化や高効率化を行っており、強力超音波放射時のエコーの受信に基づくそれらのイメージングも行っている。それらのイメージングは、高速で適切なビームフォーミングを行うことを基礎としており、高速で適切な検波方法や組織変位計測方法ずり伝搬計測法等を過去に報告している。

医用超音波画像診断装置は、デジタル化されてから20年以上経った。より古くには、単一開口変換素子を用いて機械走査をし、その後、複数の変換素子やそれらから成るアレイ型デバイスを用いた電子スキャンが行われ、信号処理を行う装置が、アナログ装置からデジタル装置へと推移した。実の所、古典的な開口面合成処理そのものは、衛星や飛行機に搭載されているレーダーにおいて使用される様になった当時より、デジタルビームフォーミングであったわけであるが、受信信号の強度が弱いことを理由に、医用超音波において使用されることは稀であった。

これに対し、近年、本願の第1の発明者は、多方向開口面合成法を発明し、開口面合成用の受信エコーデータから多方向にビームフォーミングを行うことを発明した。結果的に、通常の電子スキャンによるフレームレートと同一のフレームレートで多方向のステアリング(偏向)イメージ信号を得ることが可能となり、これをコヒーレント加算することにより、横方向変調イメージング(深さ方向とこれに直交する横方向のキャリア周波数を持ち、さらに、通常のイメージングに比べて高空間分解能)が可能となった。さらには、同じく本願の第1の発明者が発明した多次元自己相関法を併用することにより、変位ベクトル分布の実時間計測が可能となった。また、インコヒーレント加算した場合には、スペックルを低減することも可能である(通常は、異なる方向に送信ビームを生成してスペックルが低減されるが、多方向開口面合成法によれば、高フレームレートを実現できる)。超音波の分野以外においても、マイクロ波、テラヘルツ波、X線等の放射線、その他の電磁波、音を含む振動波、熱波等の波動を非破壊検査に使用するセンシング装置において、デジタル化が進められている。

例えば、それらのセンシング装置における開口面合成は、アクティブなビームフォーミングであり、処理対象となる波動は、トランスデューサによって生成されたそれらの波動の透過波や反射波、屈折波、又は、散乱波(前方散乱波又は後方散乱波等)である。一方、パッシブなビームフォーミングにおいては、例えば、上記のマイクロ波観測に基づく温度分布計測や生き物脳磁場による電気的な活動源を観測する場合がそうであるように、計測対象となる自己発散的(self-emanating)な信号源から発せられた波動を基とする透過波や反射波、屈折波、又は、散乱波(前方散乱波又は後方散乱波等)が対象となる。それらに該当する例は他に数多く存在するが、それらとは別の例として、最近では、生物を計測対象として、光音響(photoacoustic)と称し、計測対象にレーザー照射を行い、周波数依存性のある熱吸収によって体積変化を生じさせ、これを音源とする超音波を生じさせ、ビームフォーミングの結果として、末梢血管鑑別を行うことも行われている。

デジタル装置は、アナログ装置に比べ、処理時間を多く要するが、計算処理能力が格段に向上し、且つ、小型化されたことや、データ記憶媒体を含めて安価になったこと、高次計算処理を施すことが容易で自由度が高いこと等、利点が多い。実際のところ、デジタル装置といっても、センシング装置においては、特に、センサーによって信号を受信した後の高速なアナログ処理は極めて重要であり、比較的に近傍においてAD変換(Analogue-to-Digital conversion)された後のデジタル処理と合わせて、適切に実現されるものである。

アナログ装置においては、送信と受信のビームフォーミングはアナログ処理によって行われる。一方、デジタル装置においては、送信ビームフォーミングはアナログ処理又はデジタル処理によって行われ、受信ビームフォーミングはデジタル処理によって行われる。従って、本願において、デジタルビームフォーマーとは、受信ビームフォーミングを必ずデジタル処理によって行うものをいう。

計測対象からの波動を、複数の変換素子やそれらから成るアレイ型デバイス、又は、1つ以上の変換素子の機械走査を通じて受信した後、いわゆる開口面合成処理であるDAS(Delay and Summation:整相加算)処理が行われる。送信においては、複数の素子を駆動して送信ビームフォーミングが行われることがあるし、1素子送信に基づく古典的な開口面合成が行われることもあるが、受信ビームフォーミングにおいては、共通して、DAS処理が行われる。

つまり、送信ビームフォーミングは、アナログ処理又はデジタル処理により行われる。一方、受信ビームフォーミングにおいては、アレイ内の各素子又は異なる位置の素子により波動を受信して受信信号が生成され、アナログ的な増幅又は減衰によるレベル調整アナログフィルタリング等の後にアナログの受信信号がデジタルの受信信号にAD変換され、デジタルの受信信号がメモリに格納される。その後、汎用の計算処理能力を備えるデバイスや計算機PLD(Programmable Logic Device:プログラム可能論理デバイス)、FPGA(Field-Programmable Gate Array:書き換え可能ゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタル信号プロセッサー)、GPU(Graphical Processing Unit:グラフィック処理ユニット)、若しくは、マイクロプロセッサ等、又は、専用の計算機や専用のデジタル回路、若しくは、専用デバイス等を用いて、格納された受信信号に対してデジタル処理が施される。

これらのデジタル処理を行うデバイスが、それらのアナログデバイスAD変換器、メモリ等を備えていることもある。計算能力を持つデバイスや計算機がマルチコアである場合もある。これより、受信時において、アナログ装置ではほぼ不可能であるダイナミックフォーカシングを容易に実施できる様になった。並列処理も行われる。アナログ処理とデジタル処理とを高速化するに当たり、伝送線路(例えば、積層された回路等)や広帯域無線路は重要である。

ダイナミックフォーカシングは、生成されるイメージ信号のレンジ方向や計測対象の奥行き方向(深さ方向)の空間分解能を向上させる。一方、送信のダイナミックフォーカシングは、1素子送信による古典的な開口面合成のときのみにおいて可能である。送信波エネルギーを確保するべく、1素子送信による開口面合成ではなく、複数素子駆動による固定焦点位置の送信ビームフォーミングが行われることも多い。

本願の第1の発明者は、平面波等の波面が横方向に広く拡がる波を送波し、一度の送信において広い範囲の領域を調査(interrogate)する高フレームレートのエコーイメージングを発明した。さらに、本願の第1の発明者は、異なるステアリング(偏向)角度を持つこの種の波を複数個、コヒーレント加算(重ね合わせ)し、横方向変調や横方向の広帯域化(横方向の高分解能化)を実現しており、特に、上記の多次元自己相関法を実現した場合には、ずり波伝搬や血流の速い頸動脈内の血流、又は、複雑な流れをする心腔内の血流等を、多次元の変位ベクトルとして計測することを発明した。多方向開口面合成を行った場合も、送信ビームフォーミングを行った場合も、同様である。また、複数の異なる搬送周波数を持つ波動が生成されて重ね合わせされて、軸方向の広帯域化(軸方向の高分解能化)が実現されることがある。

アクティブビームフォーミングの場合にはこの様な処理が行われるが、パッシブビームフォーミングにおいては送信器を使用しない。この様に、デジタルビームフォーマーは、通常、送信器(アクティブビームフォーミングの場合)と、受信器と、DAS処理デバイスとから成り、それらのデバイスを組み上げて実現されるが、最近では、それらを小型にパッケージングしたものが安価に入手できる様になった。

このDAS処理には、整相のために、空間領域において補間近似処理を交えて受信信号に高速にディレイ掛けるものと、膨大な時間を要するが周波数領域において複素指数関数を乗ずる位相回転処理によりナイキスト(Nyquist)定理に基づいてディレイを高精度に掛けるもの(本願の第1の発明者の過去の発明)とがあり、整相後に空間領域において受信信号を加算する(整相加算)。デジタル装置においては、アナログ受信信号デジタルサンプリング(AD変換)のトリガー信号として、例えば、駆動する素子への送信信号を送信器が生成するために制御ユニットが発生する指令信号を使用することがある。

また、1つのビームフォーミングにおいて複数の素子を送信ディレイを掛けて駆動する場合に、予め送信ユニットに搭載され、操作者が選択できる送信フォーカス位置やステアリング方向等を実現するアナログ又はデジタルの送信ディレイパターンを使用することがある。さらに、受信デジタル処理においては、最初に駆動する素子のための指令信号、最後に駆動する素子のための指令信号、又は、別の素子を駆動するための指令信号をトリガー信号として使用し、それらの信号に対してサンプリングを開始してデジタルディレイを掛けることがある。それらの指令信号は、1フレーム分のビームフォーミングを開始するための指令信号を基に生成されることがある。

送信ディレイにおいてデジタルディレイを実施すると、アナログディレイと異なり、デジタル制御信号を発生するクロック周波数で決まる誤差を必ず生じるので、送信ディレイはアナログディレイの方が良い。また、受信ダイナミックフォーカシングを実現するべく受信においてデジタルディレイを掛けると、上記の補間近似処理によれば誤差を生じるので、コストをかけてAD変換器のサンプリング周波数を十分に高くするか、上記の高精度なデジタルディレイ(位相回転処理)を掛けて低速ビームフォーミングとするしかなかった。

整相加算は、補間近似処理を伴う前者の場合には、生成する信号値座標位置を含む位置からのエコー信号を単純に加算することもあるし、バイリニア(bi-linear)や多次元多項式等を用いる補間によって精度を向上させることもある。前者は、複素指数関数を使用する後者に比べて、格段に高速であるが、精度は低い。後者は、精度が高いが至極低速である。この整相加算は、波動の伝搬速度が既知であるか、又は、仮定の下で行われ、関心領域内で一定と仮定されることも多い。一方、伝搬速度を計測し、位相収差補正を行うことも行われており、ビームフォーミング前又は後において、例えば、隣接するビーム信号間や異なる角度のビーム信号間の相互相関関数を評価して位相収差を求めることができる(伝搬速度が均質であれば、干渉分析(interferometry)となる)。

開口素子が1次元空間において分布又はアレイを成している場合に比べ、開口素子が2次元又は3次元に分布している場合や、開口素子が2次元又は3次元のアレイを構成している場合には、ビームフォーミングにさらに多くの処理を行う必要があり、多数のプロセッサーを搭載して並列処理を行うこと等が行われている。干渉の少ない離れた位置におけるビームフォーミングや、ステアリング角度の異なる複数の方向への送信ビームフォーミング、単一の送信ビームフォーミングが、並列受信処理されることもある。

通信の制御の面においては、通信データの種類やデータ量、又は、媒体の特性を反映して、適切に波動が生成されることが必要であり、それらの観測の下で、最適化された通信が行われることが望ましい。アナログデバイスを用いるか、アナログ又はデジタル信号処理により、干渉の生じている波を分離することも行われる。伝搬方向、符号化、周波数、及び/又は、帯域幅の制御された波動は重要である。

上記の多方向開口面合成処理に類する本願の第1の発明者の別の発明として、1つの送信ビームフォーミングに対して多方向の受信ビームフォーミングを行い、フレームレートを向上させることが可能である。また、ビームフォーミングにおいて、アポダイゼーションが重要となる場合がある。例えば、サイドローブを低減するべく、送信と受信のアポダイゼーションの各々が実施されることがあるが、これは、横方向分解能トレードオフになる関係があり、適切に実施されるべきものである。一方、空間分解能を重視して、アポダイゼーションを行わないシンプルビームフォーマが使用されることも多い。しかしながら、ステアリング時にサイドローブを抑圧しつつ横方向分解能も得るためには、適切なアポダイゼーションが必要であることを本願の第1の発明者は報告している。また、本願の第1の発明者の過去の発明には、周波数領域においてサイドローブを除去するものもある。

その他、対象における波動の非線形特性を応用するべく、造影剤(例えば、医用超音波イメージングではマイクロバブル)が使用されることがあり、これらを応用することを含め、本願の第1の発明者は、積極的に高強度を有する波動や高調波を含む波動を照射すること(広帯域送信)や、受信コヒーレント信号や整相加算後のコヒーレント信号に対して非線形処理を施すことを実現し、高空間分解能且つサイドローブを抑圧することによる高コントラストのイメージングを発明した。本願の第1の発明者は、同非線形処理に基づく高精度な組織変位(ベクトル)計測も発明した。

また、仮想源を用いたイメージング信号の生成も可能である。仮想源については、過去に物理開口の手前に仮想源を設置するものや送信焦点位置に仮想源を設置するものが報告されている。さらに、本願の第1の発明者は、仮想源のみならず検出器焦点を使用せずに任意位置に設置することや、波動の物理的な源や検出器を適切な散乱体回析格子の任意位置に設置できること等を報告している。高分空間解能化や視野領域(FOV:Field of Vision)を広くすることが可能である。

イメージング形態としては、直交検波や包絡線検波、自乗検波したものが使用されるが、本願の第1の発明者は、波打ちそのものをカラー画像又はグレー画像として表示することも積極的に行っており、位相情報を含む表示を重視している。このように、様々な目的の下で、様々な波動を用いた多次元装置の開発が進められている。

これまでに開示されている高速フーリエ変換を用いたデジタルビームフォーミングが幾つかあるが、その内の1つは、古典的なモノスタティック型開口面合成の解析解であるフーリエ変換を通じて行うアナログ処理(非特許文献1を参照)をデジタル化し、まさに、古典的な開口面合成を高速フーリエ変換を通じて高速に且つ高精度に実施するものである(非特許文献2を参照)。この処理においては、補間近似を要さないが、ステアリング(偏向)する場合や、マルチスタティック型開口面合成(一般的には、1素子送信においてその素子や周辺の複数素子を用いた受信)のデジタル処理は開示されていない。

その他に開示されているデジタルビームフォーミングは、全て補間近似処理を要するものであり、精度が低い。例えば、平面波送波においてステアリングを行う場合を含み、高速フーリエ変換を通じた波数マッチングを行う方法が開示されているが(非特許文献3−5を参照)、その場合とアレイの開口形状フラットでない場合とにおいて計算や画像表示する際(アレイ開口が円弧である場合(非特許文献6を参照))には、補間近似処理を要し、精度が低い。平面波送波時の高速フーリエ変換を用いたものは、特許文献1−4にも開示されているが、いずれも、波数マッチングを補間近似を通じて行うものである。それらの補間近似による波数マッチングにより、角(Angular)スペクトルの波数ベクトル座標系を等間隔にして多次元スペクトルを求め、高速逆フーリエ変換を実施することにより、高速にビームフォーミングを完了できる。

最近の非特許文献5には、波数マッチングを非等間隔サンプリング信号に対してフーリエ変換することが開示されているが、やはり、これも補間近似処理に基づく。上記の通り、デジタルビームフォーミングは既に長い歴史を持つが、画像を表示するまでの実時間性(計算速度)を最も重視する場合には、補間近似を行うことが多く、最良の精度を提供しているわけではない。その他、DAS処理を行うことで知られる最も一般的(popular)な固定フォーカス処理及びその際のステアリング等に関しては、デジタル高速フーリエ変換を通じて行う処理方法すら開示されていない。

また、マイグレーション法の報告もあるが(例えば、非特許文献7を参照)、これも波数マッチングにおいて補間近似を要する。これらの補間近似を伴う処理において精度を得るためには、通常、AD変換器のサンプリング周波数を高くして十二分にオーバーサンプリングする必要がある。

概要

近似計算を行うことなく、ビームフォーミングを高速且つ高精度に行う。この方法は、計測対象物から到来する波動を受信開口素子によって受信して受信信号を生成するステップ(a)と、受信信号に対してフーリエ変換及び波数マッチングを行うことによってビームフォーミング処理を行うステップ(b)とを具備し、ステップ(b)が、受信信号を軸方向に関してフーリエ変換したものに波動の波数及び虚数単位を用いて表される複素指数関数を掛けることにより横方向に関する波数マッチングを行い、その積を横方向に関してフーリエ変換し、得られた演算結果に第1の複素指数関数を掛けると同時に第2の複素指数関数を掛けることにより軸方向に関する波数マッチングを行い、補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む。

目的

ビームフォーミングは、特に、計測対象をイメージングする場合において、適切な指向性を持たせ、関心領域や関心点において、高い空間分解能と高いコントラストを得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

平坦受信開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向xの座標を用いるデカルト直交座標系において、任意方向に位置する波動源から計測対象物に向けて任意の波動が送信され、計測対象物から到来する波動を平面波として受信する方向と軸方向とが成す零度又は非零度の偏向角度偏角θで表される場合において、前記計測対象物から到来する波動を少なくとも1つの受信開口素子によって受信して、受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換及び波数マッチングを行うことによって、ビームフォーミング処理を行うステップ(b)と、を具備し、ステップ(b)が、前記受信信号に対して波数領域又は周波数領域における補間近似処理を含む波数マッチングを行わずに、前記受信信号を軸方向yに関してフーリエ変換したものに波動の波数k及び虚数単位iを用いて表される複素指数関数(101)を掛けることにより横方向xに関する波数マッチングを行い、さらに、その積を、軸方向yに関して分解能を持たせるべく横方向xに関してフーリエ変換し、得られた演算結果に、横方向xに行われた波数マッチングの効果を除いて実施できる複素指数関数(102)を掛けると同時に、複素指数関数(103)を掛けることにより軸方向に関する波数マッチングを行い、ここで、横方向の波数がkxと表され、補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法

請求項2

平坦な受信開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向x及びzの座標を用いるデカルト直交座標系において、任意方向に位置する波動源から計測対象物に向けて任意の波動が送信され、計測対象物から到来する波動を平面波として受信する方向と軸方向とが成す零度又は非零度の偏向角度が仰角θ及び方位角ψを用いて表される場合において、前記計測対象物から到来する波動を少なくとも1つの受信開口素子によって受信して、受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換及び波数マッチングを行うことによって、ビームフォーミング処理を行うステップ(b)と、を具備し、ステップ(b)が、前記受信信号に対して波数領域又は周波数領域における補間近似処理を含む波数マッチングを行わずに、前記受信信号を軸方向yに関してフーリエ変換したものに波動の波数k及び虚数単位iを用いて表される複素指数関数(201)を掛けることにより横方向x及びzに関する波数マッチングを行い、さらに、その積を、軸方向yに関して分解能を持たせるべく横方向x及びzに関してフーリエ変換し、得られた演算結果に、横方向x及びzに行われた波数マッチングの効果を除いて実施できる複素指数関数(202)を掛けると同時に、複素指数関数(203)を掛けることにより軸方向に関する波数マッチングを行い、ここで、横方向の波数がkx及びkzで表され、補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項3

ステップ(a)に先立って、少なくとも1つの送信開口素子から前記計測対象物に向けて零度又は非零度の偏角θ又は仰角θ及び方位角ψを有する平面波を送信するステップ(a')をさらに具備する、請求項1又は2に記載のビームフォーミング方法。

請求項4

前記少なくとも1つの送信開口素子及び前記少なくとも1つの受信開口素子として、波動を送信及び受信する複数の開口素子が共通に使用される、請求項3に記載のビームフォーミング方法。

請求項5

機械走査又は電子走査を行う平坦な受信有効開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向xの座標を用い、前記受信有効開口素子アレイの位置にのy座標を有するデカルト直交座標系において、送信及び受信のダイナミックフォーカシングが施されたビームを生成するモノスタティック開口面合成を行うビームフォーミング方法であって、軸方向と其のビーム方向とが成す零度又は非零度の偏向角度が偏角θで表される場合において、送信開口素子から計測対象物に向けて波動を送信するステップ(a')と、前記計測対象物から到来する波動を、異なる位置における複数の受信開口素子の1つずつによって受信して、受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換を行うことによって、零度又は非零度の偏角θを有するモノスタティック型の開口面合成処理を行うステップ(b)と、を具備し、ステップ(a')が、前記波動が、前記計測対象物における少なくとも反射若しくは後方散乱によって生成されたもの、又は、前記計測対象物における少なくとも透過、前方散乱、若しくは、屈折により生成されたものとなる様に、前記受信信号を生成する受信開口素子と同一のx座標を有し、さらに、零のy座標を有する、前記複数の受信開口素子を兼ねる複数の送信開口素子の1つずつ、又は、非零の一定のy座標を有する、前記複数の受信開口素子と対向する位置にある複数の送信開口素子の1つずつから波動を送信することを含み、ステップ(b)が、軸方向y及び横方向xの波数をそれぞれky及びkxとする波数領域(kx,ky)において、前記受信信号に対して波数領域又は周波数領域における補間近似処理を含む波数マッチングを行わずに、波動の搬送周波数ω0を用いて表される波数k0(=ω0/c)を有する波数ベクトル(0,k0)に対し、波数ベクトル(sk0sinθ,sk0cosθ)を多次元スペクトルの重心又は瞬時周波数とするイメージ信号を生成するべくスペクトルのシフティングを伴う送信及び受信のダイナミックフォーカシングを行うために、前記受信信号を軸方向yに関してフーリエ変換したものに、送信開口素子のy座標が零のときに値が2であり送信開口素子のy座標が非零のときに値が1であるパラメータs、波動の重心周波数k0、及び、虚数単位iを用いて表される複素指数関数(301)を掛けることにより、横方向xに関する波数マッチングを行い、さらに、その積を、軸方向yに関して分解能を持たせるべく横方向xに関してフーリエ変換し、得られた演算結果に、横方向xに行われた波数マッチングの効果を除いて実施できる複素指数関数(302)を掛けると同時に、複素指数関数(303)を掛けることにより軸方向に関する波数マッチングを行い、補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項6

機械走査又は電子走査を行う平坦な受信有効開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向x及びzの座標を用い、前記受信有効開口素子アレイの位置に零のy座標を有するデカルト直交座標系において、送信及び受信のダイナミックフォーカシングが施されたビームを生成するモノスタティックな開口面合成を行うビームフォーミング方法であって、軸方向と其のビーム方向とが成す零度又は非零度の偏向角度が仰角θ及び方位角ψを用いて表される場合において、送信開口素子から計測対象物に向けて波動を送信するステップ(a')と、前記計測対象物から到来する波動を、異なる位置における複数の受信開口素子の1つずつによって受信して、受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換を行うことによって、零度又は非零度の仰角θ及び方位角ψを有するモノスタティック型の開口面合成処理を行うステップ(b)と、を具備し、ステップ(a')が、前記波動が、前記計測対象物における少なくとも反射若しくは後方散乱によって生成されたもの、又は、前記計測対象物における少なくとも透過、前方散乱、若しくは、屈折により生成されたものとなる様に、前記受信信号を生成する受信開口素子と同一のx座標及びz座標を有し、さらに、零のy座標を有する、前記複数の受信開口素子を兼ねる複数の送信開口素子の1つずつ、又は、非零の一定のy座標を有する、前記複数の受信開口素子と対向する位置にある複数の送信開口素子の1つずつから波動を送信することを含み、ステップ(b)が、軸方向y及び横方向x及びzの波数をそれぞれky、kx、及び、kzとする波数領域(kx,ky,kz)において、前記受信信号に対して波数領域又は周波数領域における補間近似処理を含む波数マッチングを行わずに、波動の搬送周波数ω0を用いて表される波数k0(=ω0/c)を有する波数ベクトル(0,0,k0)に対し、波数ベクトル(sk0sinθcosψ,sk0cosθ,sk0sinθsinψ)を多次元スペクトルの重心又は瞬時周波数とするイメージ信号を生成するべくスペクトルのシフティングを伴う送信及び受信のダイナミックフォーカシングを行うために、前記受信信号を軸方向yに関してフーリエ変換したものに、送信開口素子のy座標が零のときに値が2であり送信開口素子のy座標が非零のときに値が1であるパラメータs、波動の重心周波数k0、及び、虚数単位iを用いて表される複素指数関数(401)を掛けることにより、横方向x及びzに関する波数マッチングを行い、さらに、その積を、軸方向yに関して分解能を持たせるべく横方向x及びzに関してフーリエ変換し、得られた演算結果に、横方向x及びzに行われた波数マッチングの効果を除いて実施できる複素指数関数(402)を掛けると同時に、複素指数関数(403)を掛けることにより軸方向に関する波数マッチングを行い、補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項7

機械走査又は電子走査を行う平坦な受信有効開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向xの座標を用いるデカルト直交座標系において、少なくとも受信のダイナミックフォーカシングが施されたビームを生成するマルチスタティックな開口面合成を行うビームフォーミング方法であって、軸方向と其のビーム方向とが成す零度又は非零度の偏向角度が偏角θで表される場合において、送信開口素子から計測対象物内に向けて波動を送信するステップ(a')と、前記計測対象物から到来する波動を、異なる位置における複数の受信開口素子の少なくとも1つによって受信して、受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換を行うことによって、零度又は非零度の偏角θを有するマルチスタティック型の開口面合成処理を行うステップ(b)と、を具備し、ステップ(a')が、前記波動が、前記計測対象物における少なくとも反射若しくは後方散乱によって生成されたもの、又は、前記計測対象物における少なくとも透過、前方散乱、若しくは、屈折により生成されたものとなる様に、前記受信信号を生成する受信開口素子のx座標に寄らずに任意のx座標を有し、さらに、零のy座標を有する、前記受信有効開口素子アレイ内のいずれかの受信開口素子を兼ねるか、又は、いずれの受信開口素子とも異なる複数の送信開口素子の1つずつ、又は、非零の一定のy座標を有する、前記受信有効開口素子アレイと対向する位置にある送信有効開口素子アレイ内の複数の送信開口素子の1つずつから波動を送信することを含み、ステップ(b)が、送信位置受信位置との間の横方向座標における距離Δxが等しい受信信号を並べて得られる受信信号群の各々に対して、送信開口素子のy座標が零のときに、偏角θと送信開口の位置を含む関心点のy座標と距離Δxとを用いて表される送信開口素子と前記関心点と受信開口素子との間を結ぶ直線距離の半分の距離、又は、送信開口素子のy座標が非零のときに、偏角θと前記関心点のy座標と送信開口素子のy座標と距離Δxとを用いて表される送信開口素子と前記関心点と受信開口素子との間の距離を用いて、請求項5に記載のビームフォーミング方法におけるモノスタティック開口面合成において偏向角度を0°として実施して得られるイメージ信号の各々を周波数領域において横方向の位置に関して補正し、それらを重ね合わせて補間近似処理を行うことなくイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項8

機械走査又は電子走査を行う平坦な受信有効開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向x及びzの座標を用いるデカルト直交座標系において、少なくとも受信のダイナミックフォーカシングが施されたビームを生成するマルチスタティックな開口面合成を行うビームフォーミング方法であって、軸方向と其のビーム方向とが成す零度又は非零度の偏向角度が仰角θ及び方位角ψを用いて表される場合において、送信開口素子から計測対象物内に向けて波動を送信するステップ(a')と、前記計測対象物から到来する波動を、異なる位置における複数の受信開口素子の少なくとも1つによって受信して、受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換を行うことによって、零度又は非零度の偏向角度である仰角θ及び方位角ψを有するマルチスタティック型の開口面合成処理を行うステップ(b)と、を具備し、ステップ(a')が、前記波動が、前記計測対象物における少なくとも反射若しくは後方散乱によって生成されたもの、又は、前記計測対象物における少なくとも透過、前方散乱、若しくは、屈折により生成されたものとなる様に、前記受信信号を生成する受信開口素子のx座標及びz座標に寄らずに任意のx座標及びz座標を有し、さらに、零のy座標を有する、前記受信有効開口素子アレイ内のいずれかの受信開口素子を兼ねるか、又は、いずれの受信開口素子とも異なる複数の送信開口素子の1つずつ、又は、非零の一定のy座標を有する、前記受信有効開口素子アレイと対向する位置にある送信有効開口素子アレイ内の複数の送信開口素子の1つずつから波動を送信することを含み、ステップ(b)が、送信位置と受信位置との間の横方向のx座標及びz座標における距離Δx及びΔzが等しい受信信号を並べて得られる受信信号群の各々に対して、送信開口素子のy座標が零のときに、仰角θ及び方位角ψと送信開口位置を含む関心点のy座標と距離Δx及びΔzとを用いて表される送信開口素子と前記関心点と受信開口素子との間を結ぶ直線距離の半分の距離、又は、送信開口素子のy座標が非零のときに、仰角θ及び方位角ψと前記関心点のy座標と送信開口素子のy座標と距離Δx及びΔzとを用いて表される送信開口素子と前記関心点と受信開口素子との間の距離を用いて、請求項6に記載のビームフォーミング方法におけるモノスタティック開口面合成において偏向角度を0°として実施して得られるイメージ信号の各々を周波数領域において横方向の位置に関して補正し、それらを重ね合わせて補間近似処理を行うことなくイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項9

未知の波動源又はそれが生成する波動の伝搬を表すイメージ信号を生成するべく、ステップ(a')が、推定される未知波動源のy座標を送信開口素子のy座標に設定して、ビームフォーミングを行うことを含む、請求項7又は8に記載のビームフォーミング方法。

請求項10

平坦な受信開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向xの座標を用いるデカルト直交座標系において、任意の波動源によって固定の送信フォーカシングの施されたビームを生成し、軸方向と其のビーム方向とが成す零度又は非零度の偏向角度が偏角θで表される場合において、計測対象物から到来する波動を、物理開口の中に設定される異なる位置の複数の受信開口素子からなる複数の受信有効開口アレイによって受信して、各々の受信有効開口アレイによって受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換を行うことによって、零度又は非零度の偏角θを有するビームを形成する固定フォーカシング・ビームフォーミング処理を行うステップ(b)と、を具備し、ステップ(b)が、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、(i)前記複数の受信有効開口素子アレイの同一位置における受信開口素子によって生成される受信信号を重ね合わせることにより、それらの受信開口素子によって生成される受信信号の重ね合わせから成る1つの受信信号群を得て、請求項1又は7に記載のビームフォーミング方法を用いて1回のイメージ信号生成処理を行うことと、(ii)1回の固定フォーカスビームが送信される毎に前記複数の受信有効開口素子アレイによって生成される受信信号の各々に対して、前記ビームフォーミング方法を用いて低分解能イメージ信号を生成して、それらを重ね合わせることと、(iii)有効送信開口素子アレイ内の各送信開口素子と受信有効開口素子アレイ内の各受信開口素子との距離が等しいもののエコー群として前記ビームフォーミング方法を用いてイメージ信号を生成して、それらを重ね合わせることと、の内のいずれか1つの処理に基づいて、補間近似処理を行うことなくイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項11

平坦な受信開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向x及びzの座標を用いるデカルト直交座標系において、任意の波動源によって固定の送信フォーカシングの施されたビームを生成し、軸方向と其のビーム方向とが成す零度又は非零度の偏向角度が仰角θ及び方位角ψを用いて表される場合において、計測対象物から到来する波動を、物理開口の中に設定される異なる位置の複数の受信開口素子からなる複数の受信有効開口アレイによって受信して、各々の受信有効開口アレイによって受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換を行うことによって、零度又は非零度の仰角θ及び方位角ψを有するビームを形成する固定フォーカシング・ビームフォーミング処理を行うステップ(b)と、を具備し、ステップ(b)が、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、(i)前記複数の受信有効開口素子アレイの同一位置における受信開口素子によって生成される受信信号を重ね合わせることにより、それらの受信開口素子によって生成される受信信号の重ね合わせから成る1つの受信信号群を得て、請求項2又は8に記載のビームフォーミング方法を用いて1回のイメージ信号生成処理を行うことと、(ii)1回の固定フォーカスビームが送信される毎に前記複数の受信有効開口素子アレイによって生成される受信信号の各々に対して、前記ビームフォーミング方法を用いて低分解能イメージ信号を生成して、それらを重ね合わせることと、(iii)送信有効開口素子アレイ内の各送信開口素子と受信有効開口素子アレイ内の各受信開口素子との距離が等しいもののエコー群として前記ビームフォーミング方法を用いてイメージ信号を生成して、それらを重ね合わせることと、の内のいずれか1つの処理に基づいて、補間近似処理を行うことなくイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項12

送信及び受信のビーム又は波動が、送信と受信とにおいて異なる偏向角度を有する、請求項1、2、5〜8、10、11のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項13

前記平坦な開口素子アレイが使用され、波動の受信が、前記受信開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向x又はyの座標を用いる2次元デカルト座標系(x,y)又は3次元デカルト座標系(x,y,z)において行われ、受信された波動の受信信号がr(x,y)又はr(x,y,z)と表されるときに、請求項1、2、5〜8、10〜12のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を実施するべく、ステップ(b)が、所定のマイグレーション法に基づき、前記受信信号に対して波数領域又は周波数領域における補間近似処理を含む波数マッチングを行わずに、2次元又は3次元フーリエ変換により求まる、前記デカルト座標系の波数領域又は周波数領域の(kx,ky)又は(kx,ky,kz)において波動の波数kを用いて表される角スペクトルR"(kx,k)又はR"(kx,ky,k)に対し、式(501)によって表される型の積分を計算するべく、前記角スペクトルの波数k成分又は周波数成分を足し合わせた上で、横方向の波数kx又はkzに関する逆フーリエ変換を行うことにより高速に計算し、補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項14

ステップ(b)が、軸方向yの任意の座標について、各々の波数kに対して、前記の波数マッチングを行った後に、それらの結果を全て加算したものを横方向に関して逆フーリエ変換することによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む、請求項1、2、5〜8、10〜12のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項15

ステップ(b)が、軸方向yの任意の座標について、前記の横方向に関する逆フーリエ変換を、横方向xの座標を任意の座標又は任意の範囲に限定して計算することを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項16

請求項1〜15のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を実施するに当たり、波動の受信が直交曲線座標系で行われた場合に、その座標系座標軸を用いて、同様にビームフォーミングが行われる、ビームフォーミング方法。

請求項17

請求項1〜16のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を実施するに当たり、ヤコビ(Jacobi)演算により、補間近似処理を行うことなく、波動の受信が行われた直交座標系とは異なる直交座標系において直接的にイメージ信号が生成される、ビームフォーミング方法。

請求項18

前記受信開口素子アレイが円形形状を有する場合に、波動の受信が、2次元極座標系(r,θ)において行われ、受信された波動の受信信号がf(r,θ)と表されるときに、請求項1〜17のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を実施するに当たり、ステップ(b)が、受信された波動をデカルト座標系(x,y)において平面波に分解するべく受信信号f(r,θ)に対して行う2次元フーリエ変換により、デカルト座標系(x,y)の波数領域又は周波数領域(kx,ky)において表される式(601)を、x=rsinθ及びy=rcosθを用いたヤコビ(Jacobi)演算により、式(602)のように計算し、補間近似処理を行うことなく直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項19

前記受信開口素子アレイが球形形状を有する場合に、波動の受信が、球座標系(r,θ,ψ)において行われ、受信された波動の受信信号がf(r,θ,ψ)と表されるときに、請求項1〜17のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を実施するに当たり、ステップ(b)が、受信された波動をデカルト座標系(x,y,z)において平面波に分解するべく受信信号f(r,θ,ψ)に対して行う3次元フーリエ変換により、デカルト座標系(x,y,z)の波数領域又は周波数領域(kx,ky,kz)において表される式(701)を、x=rsinθcosψ、y=rcosθ及びz=rsinθsinψを用いたヤコビ(Jacobi)演算により、式(702)のように計算し、補間近似処理を行うことなく直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む、ビームフォーミング方法。

請求項20

波動源位置又は送信開口素子に関する情報として、受信開口素子に対する位置、存在する位置の方向若しくは距離、開口の方向、又は、生成される波動の伝搬方向が与えられ、該信号に従ってビームフォーミングが行われる、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項21

任意の波動源によって波動が生成された時刻が与えられ、該信号に従ってビームフォーミングが行われる、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項22

受信信号が異なる複数の波動源から生成された波動の複数の受信信号を含む場合に、観測したい波動の伝搬方向の偏向角度を有するビームフォーミングを行う、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項23

受信信号が複数の異なる波動源から生成された波動の複数の受信信号を含む場合に、多次元スペクトルの重心周波数や瞬時周波数、帯域MIMO(Multiple-input and Multiple-output)、SIMO(Single-input and Multiple-output)、MUSIC(Multiple Signal Classification)、独立成分分析、符号、又は、各種パラメトリックな方法に基づいて信号を分離し、ビームフォーミングが行われる、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項24

受信信号が複数の異なる波動源から生成された波動の複数の受信信号を含む場合に、前記ビームフォーミング方法を使用して得られるイメージ信号に対し、多次元スペクトルの重心周波数や瞬時周波数、帯域、MIMO(Multiple-input and Multiple-output)、SIMO(Single-input and Multiple-output)、MUSIC(Multiple Signal Classification)、独立成分分析、符号、又は、各種パラメトリックな方法に基づいて信号を分離し、ビームフォーミングが行われる、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項25

受信信号に対して、多次元スペクトルの重心又は瞬時周波数を求め、こりより、波動源の存在する方向又は波動の伝搬方向を求め、送信又は受信の偏向角度を調整して、ビームフォーミングが行われる、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項26

ビームフォーミングされて生成されたイメージ信号に対して、多次元スペクトルの重心又は瞬時周波数を求め、これより、波動源の存在する方向又は波動の伝搬方向を求め、送信又は受信の偏向角度を調整して、ビームフォーミングが行われる、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項27

請求項25又は26に記載のビームフォーミング方法における処理を複数の受信開口又は受信有効開口について実施し、幾何学的に波動源の存在する位置又は方向を求める、ビームフォーミング方法。

請求項28

受信信号より得られる、波数マッチング前の角スペクトル又は波数マッチング後のスペクトルに対して、所望する点拡がり関数の角スペクトル若しくはスペクトル又は受信信号の角スペクトル若しくはスペクトルを用いて、超解像を施す、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビームフォーミング法。

請求項29

任意の波動源によって、波動が、受信開口素子アレイで決まる座標系を任意位置を中心として回転させたり、空間的にシフティングして表される座標系において生成される場合に、受信信号に座標の補正をかけた上で、ビームフォーミングが行われる、請求項1〜28のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項30

任意の波動源によって、波動が、受信開口素子アレイで決まる座標系を任意位置を中心として回転させたり、空間的にシフティングして表される座標系において生成される場合に、前記受信開口素子アレイで決まる座標系への変換を伴う送信ビームフォーミングを行た上で、受信ビームフォーミングが行われる、請求項1〜29のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項31

波動が、任意の電磁波、任意の力学的波、及び、任意の熱波の内の少なくとも1つである、請求項1〜30のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項32

受信される波動が、前記計測対象物に送信される波動とは物理的に異なる種類の波動である、請求項1〜31のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項33

送信又は受信される波動の伝搬速度の不均質性を補正するべく、受信信号に位相収差補正が施される、請求項1〜32のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項34

物理的な波動源、送信開口素子、又は、受信開口素子とは別に設定される仮想的な波動源又は仮想的な受信開口素子に関して受信信号が処理される、請求項1〜33のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項35

同一の時相同一時刻、又は、異なる時刻、又は、略同一の時相において複数の波動が受信された場合に、それらが、フーリエ変換前に空間領域で重ね合わされているか、又は、重ね合わせるか、又は、逆フーリエ変換を行う前に、各々の波動の多次元スペクトルが波数領域又は周波数領域において重ね合わされているか、又は、重ね合わされることを特徴とする、請求項1〜34のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項36

波数領域又は周波数領域の所定の帯域のスペクトルのみが処理されることを特徴とする、請求項1〜35のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項37

所定の線形演算処理非線形の演算処理に置き換えられて処理されることを特徴とする、請求項1〜36のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項38

前記フーリエ変換が、高速フーリエ変換を含む、請求項1〜37のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法。

請求項39

受信信号の時間に関するフーリエ変換に複素指数関数(101)又は(201)を掛けて得られる結果を直接に生成する高速フーリエ変換を実施することを含む、請求項1又は2に記載のビームフォーミング方法。

請求項40

計算時間を短縮するために、並列処理を行うことを含む、請求項1〜39のいずれか1項に記載のビームフォーミング法。

請求項41

計測対象物から到来する波動を受信して、受信信号を生成する少なくとも1つの受信開口と、生成された受信信号に対し、請求項1〜40のいずれか1項に記載のビームフォーミング方法を施してイメージ信号を生成する演算を行うデジタル信号処理部と、を具備する装置。

請求項42

前記計測対象物に向けて波動を送信する少なくとも1つの送信開口をさらに具備する、請求項41に記載の装置。

請求項43

送信される波動の伝搬速度の不均質性を補正する位相収差補正部をさらに具備する、請求項41又は42に記載の装置。

技術分野

0001

本発明は、計測対象から到来する任意波動を用いてビームフォーミングを行うビームフォーミング方法に関する。さらに、本発明は、そのようなビームフォーミング方法を使用する計測イメージング装置及び通信装置に関する。

0002

特に、本発明は、計測対象から到来する電磁波、光、力学的な振動音波、又は、熱波等の任意波動に基づいて、計測対象を撮像したり、又は、計測対象における温度や変位等の物理量や組成、又は、構造等を非破壊で計測するイメージング装置におけるデジタルビームフォーミング方法に関する。計測対象は、有機物無機物固体液体気体レオロジーに従うもの、生き物天体、地球、環境等、様々であり、応用範囲は極めて広い。

0003

本発明は、非破壊的検査診断資源探査、材料や構造物の生成や製造、物理的又は化学的な様々な修復治療モニタリング、明らかにした機能や物性等を応用すること等に関連し、それらにおいては、計測対象に大きな擾乱を来さず、非侵襲的、低侵襲的、非観血的である条件等が課された中で、精度が求められることがある。理想的には、計測対象は原位置でのありのままの状態(in situ)において観測されることが望ましい。

0004

また、波動そのものの作用により計測対象に治療や修復を実施することもあり、その際の計測対象からの応答に対してビームフォーミングを実施してその状況が観測されることもある。また、衛星通信レーダーソナー等においてビームフォーミングを実施し、省エネの下で情報的に安全な環境を実現し、正確な通信が行われている。アドホック通信機器モバイル通信においても、ビームフォーミングが応用されるに至っている。計測対象が動的である場合には実時間性が求められ、ビームフォーミングを短時間に完了することが求められる。

背景技術

0005

電磁波、光、力学的な振動、音波、又は、熱波等の波動においては、その周波数帯域幅、強度、又は、モードにより、波動としての挙動が異なる。これまでに多くの各種波動のトランスデューサが開発され、それらの波動の透過波反射波屈折波、又は、散乱波前方散乱波又は後方散乱波等)等を用いるイメージングが行われている。

0006

例えば、非破壊検査医療やソナーにおいて、音波の中でも高い周波数を有する超音波が使用されることは良く知られている。また、レーダーにおいても、計測対象に合わせて適切な周波数の電磁波(ラジオ波FM波マイクロ波テラヘルツ波赤外線可視光紫外線、又は、X線等の放射線等)が使用される。他の波動においても同様であり、各波動は周波数により振る舞いが異なるがため、名称を別とし、計測対象や媒体周波数帯域に合わせ、様々なセンシングや通信が行われている(電磁波であれば、偏波も使用できる)。

0007

それらの応用では、トランスデューサで計測対象を機械的に走査したり、同一のトランスデューサを複数回使用したり、予めアレイ状に並べられた複数のトランスデューサを使用してビームフォーミング処理が行われることが多い。地球や陸地海洋天候を、衛星や飛行機のレーダーによって観測する場合において、開口面合成処理が行われること等は良く知られている。ビームフォーミングは、特に、計測対象をイメージングする場合において、適切な指向性を持たせ、関心領域や関心点において、高い空間分解能と高いコントラストを得ることを目的とすることが多い。

0008

結果として、計測対象から発生する波動に作用することにより、インピーダンスの空間的な変化により生じる反射や透過、各種散乱レーリー散乱ミー散乱、その他)、減衰、又は、それらの周波数分散等を観測でき、計測対象が何であるかは元より、計測対象の内部や表面の構造や組成を観測できる。計測対象が様々な空間分解能で観測されることもある。構造や組成のレベル(例えば、個体レベル、分子レベル原子レベル、核レベル等)で、特性評価(characterization)することができる。

0009

高精度な高分解能イメージングを目的に、古くから信号の圧縮技術が使用され、代表的なものにチャープ波技術や符号化圧縮技術が使用されている。ISAR(inverse synthetic aperture radar:逆合成開口レーダー)等のように、観測された波動にビーム特性反転(inversion)を施して超解像を行うこともあるが(開口面合成時とは限らない)、積極的に分解能を低下させることもある。それらにおいて、特異値分解正則化(regularization)は有効である。

0010

その他、符号化技術は、例えば、受信信号送信位置の異なる送信信号に対応する受信信号に分離する場合等のように、複数の信号を分離する場合においても使用される。異なる方向から到来する波動を分離することもあり、また、信号源を特定したり分離したりすることもある。そのような場合において、信号検出能の高いマッチドフィルタに頼るところは多大である。しかしながら、信号エネルギーを獲得できる反面、変形を伴う計測対象の動きや、変位、歪等を求める場合には、空間分解能が低くなり、それらの計測精度は低下する。波動や信号の分離においては、周波数や帯域、又は、多次元スペクトルの利用も有用である。

0011

上記の波動を用いるイメージングにおいては、通常、直交検波包絡線検波、又は、二乗検波を通じて得られる振幅データ分布が、グレー画像カラー画像として、1次元、2次元、又は、3次元で表示され、形態学的な画像となることも多い。また、機能的な観測も可能であり、例えば、それらの波動を使用するドプラ計測においては、生のコヒーレント信号が処理される(超音波ドプラ、レーダードプラ、レーザードプラ等)。

0012

その他、例えば、医用超音波の分野では、パワードプラのように、変位方向の情報は無いが、動きのある組織を検出できる有用な技術もある。また、マイクロ波や遠赤外線を使用した場合には、計測対象の温度分布を観測することもできる。それらの計測された物理量は、形態学的画像重畳して表示されることもある。画像計測の分野では、検波を通じてインコヒーレントにした信号を用いて動きの観測が行われることも良く知られている(相互相関処理オプティカルフロー等)。医用超音波やソナーにおいては、物理的に生成されるハーモニック和音差音を用いたイメージングも行われる。特に、計測対象が動的である場合には、ビームフォーミング処理に実時間性が求められる。

0013

また、衛星通信、レーダー、ソナー等においても、ビームフォーミングを実施し、省エネの下で情報的に安全な環境を実現し、正確な通信が行われている。アドホックな通信機器やモバイル通信においても、ビームフォーミングが応用されるに至っている。特定者や特定の信号発生源特定位置との通信にも有効である。通信においては、送信側から受信側に情報を波動に載せて送り、それだけで目的を達することもあるし、受信側が送信側にその通信の結果を応答したり、また、その送信された情報に対して応答したりすることもあるが、無論、通信の例はこの限りではない。通信対象観察対象に応じて、情報の内容が動的である場合には実時間性が求められ、その場合におけるビームフォーミングは短時間に完了することが求められる。

0014

この様な中で、本願の第1の発明者(願書に最初に記載されている発明者である炭親良)は、例えば、ヒト組織癌病変硬化症等の病変鑑別診断するための超音波イメージング技法の開発をしている。本願の第1の発明者は、エコーイメージングの高分解能化組織変位高精度計測イメージング等と共に、HIFU(High Intensity Focus Ultrasound:高強度焦点超音波)治療の高分解能化や高効率化を行っており、強力超音波放射時のエコーの受信に基づくそれらのイメージングも行っている。それらのイメージングは、高速で適切なビームフォーミングを行うことを基礎としており、高速で適切な検波方法や組織変位計測方法ずり伝搬計測法等を過去に報告している。

0015

医用超音波画像診断装置は、デジタル化されてから20年以上経った。より古くには、単一開口変換素子を用いて機械走査をし、その後、複数の変換素子やそれらから成るアレイ型デバイスを用いた電子スキャンが行われ、信号処理を行う装置が、アナログ装置からデジタル装置へと推移した。実の所、古典的な開口面合成処理そのものは、衛星や飛行機に搭載されているレーダーにおいて使用される様になった当時より、デジタルビームフォーミングであったわけであるが、受信信号の強度が弱いことを理由に、医用超音波において使用されることは稀であった。

0016

これに対し、近年、本願の第1の発明者は、多方向開口面合成法を発明し、開口面合成用の受信エコーデータから多方向にビームフォーミングを行うことを発明した。結果的に、通常の電子スキャンによるフレームレートと同一のフレームレートで多方向のステアリング(偏向)イメージ信号を得ることが可能となり、これをコヒーレント加算することにより、横方向変調イメージング(深さ方向とこれに直交する横方向のキャリア周波数を持ち、さらに、通常のイメージングに比べて高空間分解能)が可能となった。さらには、同じく本願の第1の発明者が発明した多次元自己相関法を併用することにより、変位ベクトル分布の実時間計測が可能となった。また、インコヒーレント加算した場合には、スペックルを低減することも可能である(通常は、異なる方向に送信ビームを生成してスペックルが低減されるが、多方向開口面合成法によれば、高フレームレートを実現できる)。超音波の分野以外においても、マイクロ波、テラヘルツ波、X線等の放射線、その他の電磁波、音を含む振動波、熱波等の波動を非破壊検査に使用するセンシング装置において、デジタル化が進められている。

0017

例えば、それらのセンシング装置における開口面合成は、アクティブなビームフォーミングであり、処理対象となる波動は、トランスデューサによって生成されたそれらの波動の透過波や反射波、屈折波、又は、散乱波(前方散乱波又は後方散乱波等)である。一方、パッシブなビームフォーミングにおいては、例えば、上記のマイクロ波観測に基づく温度分布計測や生き物の脳磁場による電気的な活動源を観測する場合がそうであるように、計測対象となる自己発散的(self-emanating)な信号源から発せられた波動を基とする透過波や反射波、屈折波、又は、散乱波(前方散乱波又は後方散乱波等)が対象となる。それらに該当する例は他に数多く存在するが、それらとは別の例として、最近では、生物を計測対象として、光音響(photoacoustic)と称し、計測対象にレーザー照射を行い、周波数依存性のある熱吸収によって体積変化を生じさせ、これを音源とする超音波を生じさせ、ビームフォーミングの結果として、末梢血管鑑別を行うことも行われている。

0018

デジタル装置は、アナログ装置に比べ、処理時間を多く要するが、計算処理能力が格段に向上し、且つ、小型化されたことや、データ記憶媒体を含めて安価になったこと、高次計算処理を施すことが容易で自由度が高いこと等、利点が多い。実際のところ、デジタル装置といっても、センシング装置においては、特に、センサーによって信号を受信した後の高速なアナログ処理は極めて重要であり、比較的に近傍においてAD変換(Analogue-to-Digital conversion)された後のデジタル処理と合わせて、適切に実現されるものである。

0019

アナログ装置においては、送信と受信のビームフォーミングはアナログ処理によって行われる。一方、デジタル装置においては、送信ビームフォーミングはアナログ処理又はデジタル処理によって行われ、受信ビームフォーミングはデジタル処理によって行われる。従って、本願において、デジタルビームフォーマーとは、受信ビームフォーミングを必ずデジタル処理によって行うものをいう。

0020

計測対象からの波動を、複数の変換素子やそれらから成るアレイ型デバイス、又は、1つ以上の変換素子の機械走査を通じて受信した後、いわゆる開口面合成処理であるDAS(Delay and Summation:整相加算)処理が行われる。送信においては、複数の素子を駆動して送信ビームフォーミングが行われることがあるし、1素子送信に基づく古典的な開口面合成が行われることもあるが、受信ビームフォーミングにおいては、共通して、DAS処理が行われる。

0021

つまり、送信ビームフォーミングは、アナログ処理又はデジタル処理により行われる。一方、受信ビームフォーミングにおいては、アレイ内の各素子又は異なる位置の素子により波動を受信して受信信号が生成され、アナログ的な増幅又は減衰によるレベル調整アナログフィルタリング等の後にアナログの受信信号がデジタルの受信信号にAD変換され、デジタルの受信信号がメモリに格納される。その後、汎用の計算処理能力を備えるデバイスや計算機PLD(Programmable Logic Device:プログラム可能論理デバイス)、FPGA(Field-Programmable Gate Array:書き換え可能ゲートアレイ)、DSP(Digital Signal Processor:デジタル信号プロセッサー)、GPU(Graphical Processing Unit:グラフィック処理ユニット)、若しくは、マイクロプロセッサ等、又は、専用の計算機や専用のデジタル回路、若しくは、専用デバイス等を用いて、格納された受信信号に対してデジタル処理が施される。

0022

これらのデジタル処理を行うデバイスが、それらのアナログデバイスAD変換器、メモリ等を備えていることもある。計算能力を持つデバイスや計算機がマルチコアである場合もある。これより、受信時において、アナログ装置ではほぼ不可能であるダイナミックフォーカシングを容易に実施できる様になった。並列処理も行われる。アナログ処理とデジタル処理とを高速化するに当たり、伝送線路(例えば、積層された回路等)や広帯域無線路は重要である。

0023

ダイナミックフォーカシングは、生成されるイメージ信号のレンジ方向や計測対象の奥行き方向(深さ方向)の空間分解能を向上させる。一方、送信のダイナミックフォーカシングは、1素子送信による古典的な開口面合成のときのみにおいて可能である。送信波エネルギーを確保するべく、1素子送信による開口面合成ではなく、複数素子駆動による固定焦点位置の送信ビームフォーミングが行われることも多い。

0024

本願の第1の発明者は、平面波等の波面が横方向に広く拡がる波を送波し、一度の送信において広い範囲の領域を調査(interrogate)する高フレームレートのエコーイメージングを発明した。さらに、本願の第1の発明者は、異なるステアリング(偏向)角度を持つこの種の波を複数個、コヒーレント加算(重ね合わせ)し、横方向変調や横方向の広帯域化(横方向の高分解能化)を実現しており、特に、上記の多次元自己相関法を実現した場合には、ずり波伝搬や血流の速い頸動脈内の血流、又は、複雑な流れをする心腔内の血流等を、多次元の変位ベクトルとして計測することを発明した。多方向開口面合成を行った場合も、送信ビームフォーミングを行った場合も、同様である。また、複数の異なる搬送周波数を持つ波動が生成されて重ね合わせされて、軸方向の広帯域化(軸方向の高分解能化)が実現されることがある。

0025

アクティブビームフォーミングの場合にはこの様な処理が行われるが、パッシブビームフォーミングにおいては送信器を使用しない。この様に、デジタルビームフォーマーは、通常、送信器(アクティブビームフォーミングの場合)と、受信器と、DAS処理デバイスとから成り、それらのデバイスを組み上げて実現されるが、最近では、それらを小型にパッケージングしたものが安価に入手できる様になった。

0026

このDAS処理には、整相のために、空間領域において補間近似処理を交えて受信信号に高速にディレイ掛けるものと、膨大な時間を要するが周波数領域において複素指数関数を乗ずる位相回転処理によりナイキスト(Nyquist)定理に基づいてディレイを高精度に掛けるもの(本願の第1の発明者の過去の発明)とがあり、整相後に空間領域において受信信号を加算する(整相加算)。デジタル装置においては、アナログ受信信号デジタルサンプリング(AD変換)のトリガー信号として、例えば、駆動する素子への送信信号を送信器が生成するために制御ユニットが発生する指令信号を使用することがある。

0027

また、1つのビームフォーミングにおいて複数の素子を送信ディレイを掛けて駆動する場合に、予め送信ユニットに搭載され、操作者が選択できる送信フォーカス位置やステアリング方向等を実現するアナログ又はデジタルの送信ディレイパターンを使用することがある。さらに、受信デジタル処理においては、最初に駆動する素子のための指令信号、最後に駆動する素子のための指令信号、又は、別の素子を駆動するための指令信号をトリガー信号として使用し、それらの信号に対してサンプリングを開始してデジタルディレイを掛けることがある。それらの指令信号は、1フレーム分のビームフォーミングを開始するための指令信号を基に生成されることがある。

0028

送信ディレイにおいてデジタルディレイを実施すると、アナログディレイと異なり、デジタル制御信号を発生するクロック周波数で決まる誤差を必ず生じるので、送信ディレイはアナログディレイの方が良い。また、受信ダイナミックフォーカシングを実現するべく受信においてデジタルディレイを掛けると、上記の補間近似処理によれば誤差を生じるので、コストをかけてAD変換器のサンプリング周波数を十分に高くするか、上記の高精度なデジタルディレイ(位相回転処理)を掛けて低速ビームフォーミングとするしかなかった。

0029

整相加算は、補間近似処理を伴う前者の場合には、生成する信号値座標位置を含む位置からのエコー信号を単純に加算することもあるし、バイリニア(bi-linear)や多次元多項式等を用いる補間によって精度を向上させることもある。前者は、複素指数関数を使用する後者に比べて、格段に高速であるが、精度は低い。後者は、精度が高いが至極低速である。この整相加算は、波動の伝搬速度が既知であるか、又は、仮定の下で行われ、関心領域内で一定と仮定されることも多い。一方、伝搬速度を計測し、位相収差補正を行うことも行われており、ビームフォーミング前又は後において、例えば、隣接するビーム信号間や異なる角度のビーム信号間の相互相関関数を評価して位相収差を求めることができる(伝搬速度が均質であれば、干渉分析(interferometry)となる)。

0030

開口素子が1次元空間において分布又はアレイを成している場合に比べ、開口素子が2次元又は3次元に分布している場合や、開口素子が2次元又は3次元のアレイを構成している場合には、ビームフォーミングにさらに多くの処理を行う必要があり、多数のプロセッサーを搭載して並列処理を行うこと等が行われている。干渉の少ない離れた位置におけるビームフォーミングや、ステアリング角度の異なる複数の方向への送信ビームフォーミング、単一の送信ビームフォーミングが、並列受信処理されることもある。

0031

通信の制御の面においては、通信データの種類やデータ量、又は、媒体の特性を反映して、適切に波動が生成されることが必要であり、それらの観測の下で、最適化された通信が行われることが望ましい。アナログデバイスを用いるか、アナログ又はデジタル信号処理により、干渉の生じている波を分離することも行われる。伝搬方向、符号化、周波数、及び/又は、帯域幅の制御された波動は重要である。

0032

上記の多方向開口面合成処理に類する本願の第1の発明者の別の発明として、1つの送信ビームフォーミングに対して多方向の受信ビームフォーミングを行い、フレームレートを向上させることが可能である。また、ビームフォーミングにおいて、アポダイゼーションが重要となる場合がある。例えば、サイドローブを低減するべく、送信と受信のアポダイゼーションの各々が実施されることがあるが、これは、横方向分解能トレードオフになる関係があり、適切に実施されるべきものである。一方、空間分解能を重視して、アポダイゼーションを行わないシンプルビームフォーマが使用されることも多い。しかしながら、ステアリング時にサイドローブを抑圧しつつ横方向分解能も得るためには、適切なアポダイゼーションが必要であることを本願の第1の発明者は報告している。また、本願の第1の発明者の過去の発明には、周波数領域においてサイドローブを除去するものもある。

0033

その他、対象における波動の非線形特性を応用するべく、造影剤(例えば、医用超音波イメージングではマイクロバブル)が使用されることがあり、これらを応用することを含め、本願の第1の発明者は、積極的に高強度を有する波動や高調波を含む波動を照射すること(広帯域送信)や、受信コヒーレント信号や整相加算後のコヒーレント信号に対して非線形処理を施すことを実現し、高空間分解能且つサイドローブを抑圧することによる高コントラストのイメージングを発明した。本願の第1の発明者は、同非線形処理に基づく高精度な組織変位(ベクトル)計測も発明した。

0034

また、仮想源を用いたイメージング信号の生成も可能である。仮想源については、過去に物理開口の手前に仮想源を設置するものや送信焦点位置に仮想源を設置するものが報告されている。さらに、本願の第1の発明者は、仮想源のみならず検出器焦点を使用せずに任意位置に設置することや、波動の物理的な源や検出器を適切な散乱体回析格子の任意位置に設置できること等を報告している。高分空間解能化や視野領域(FOV:Field of Vision)を広くすることが可能である。

0035

イメージング形態としては、直交検波や包絡線検波、自乗検波したものが使用されるが、本願の第1の発明者は、波打ちそのものをカラー画像又はグレー画像として表示することも積極的に行っており、位相情報を含む表示を重視している。このように、様々な目的の下で、様々な波動を用いた多次元装置の開発が進められている。

0036

これまでに開示されている高速フーリエ変換を用いたデジタルビームフォーミングが幾つかあるが、その内の1つは、古典的なモノスタティック型開口面合成の解析解であるフーリエ変換を通じて行うアナログ処理(非特許文献1を参照)をデジタル化し、まさに、古典的な開口面合成を高速フーリエ変換を通じて高速に且つ高精度に実施するものである(非特許文献2を参照)。この処理においては、補間近似を要さないが、ステアリング(偏向)する場合や、マルチスタティック型開口面合成(一般的には、1素子送信においてその素子や周辺の複数素子を用いた受信)のデジタル処理は開示されていない。

0037

その他に開示されているデジタルビームフォーミングは、全て補間近似処理を要するものであり、精度が低い。例えば、平面波送波においてステアリングを行う場合を含み、高速フーリエ変換を通じた波数マッチングを行う方法が開示されているが(非特許文献3−5を参照)、その場合とアレイの開口形状フラットでない場合とにおいて計算や画像表示する際(アレイ開口が円弧である場合(非特許文献6を参照))には、補間近似処理を要し、精度が低い。平面波送波時の高速フーリエ変換を用いたものは、特許文献1−4にも開示されているが、いずれも、波数マッチングを補間近似を通じて行うものである。それらの補間近似による波数マッチングにより、角(Angular)スペクトルの波数ベクトル座標系を等間隔にして多次元スペクトルを求め、高速逆フーリエ変換を実施することにより、高速にビームフォーミングを完了できる。

0038

最近の非特許文献5には、波数マッチングを非等間隔サンプリング信号に対してフーリエ変換することが開示されているが、やはり、これも補間近似処理に基づく。上記の通り、デジタルビームフォーミングは既に長い歴史を持つが、画像を表示するまでの実時間性(計算速度)を最も重視する場合には、補間近似を行うことが多く、最良の精度を提供しているわけではない。その他、DAS処理を行うことで知られる最も一般的(popular)な固定フォーカス処理及びその際のステアリング等に関しては、デジタル高速フーリエ変換を通じて行う処理方法すら開示されていない。

0039

また、マイグレーション法の報告もあるが(例えば、非特許文献7を参照)、これも波数マッチングにおいて補間近似を要する。これらの補間近似を伴う処理において精度を得るためには、通常、AD変換器のサンプリング周波数を高くして十二分にオーバーサンプリングする必要がある。

0040

米国特許第5,720,708号明細書
米国特許第6,685,641号明細書
米国特許第7,957,609号明細書
米国特許出願公開第2009/0036772号明細書

先行技術

0041

J. W. Goodman, "Introduction to Fourier Optics" 2nd ed., McGraw-Hill Co, Inc., 1996
L. J. Busse,IEEE Trans. UFFC, vol. 39, no. 2, pp. 174-179, 1992
J. Cheng, J.-y. Lu, IEEE Trans UFFC, vol. 53, no. 5, pp. 880-899, 2006
H. Peng, J.-y. Lu, X. Han, Ultrasonics, 44, e97-e99, 2006.
P. Kruizinga et al, IEEE Trans. UFFC, vol. 59, no. 12, pp. 2684-2691, 2012
M. A. Haun, D. L. Jones, W. D. O'Brien, Jr., IEEE Trans. UFFC, vol. 49, pp. 861-870, 2002
D. Garcia, L. L. Tarnec, S. Muth, E. Montagnon, J. Poree, G. Cloutier, IEEE Trans. UFFC , vol. 60, no. 9, pp. 1853-1867, 2013
J. A. Jensen, "Field: A program for simulating ultrasound system." Med, Biol, Eng, Comp, 10th Nordic-Baltic Conference on Biomedical Imaging, Vol. 4, Supplemental, Part 1: 351-353, 1996

発明が解決しようとする課題

0042

先に説明したように、受信ダイナミックフォーカシングを実現するべく受信においてデジタルディレイを掛けると、上記の補間近似処理によれば誤差を生じるので、コストをかけてAD変換器のサンプリング周波数を十分に高くするか、上記の高精度なデジタルディレイ(位相回転処理)を掛けて低速ビームフォーミングとするしかなかった。

0043

これまでに、電磁波や、音波(圧縮波)やずり波、表面波等を含む振動波(力学的波)、又は、熱波等の波動を対象として、反射波や透過波、散乱波(前方散乱波又は後方散乱波等)、屈折波、表面波、衝撃波、又は、自己発散的(self-emanating)な波動源から発生するそれらの波動に関するデジタルビームフォーミングの方法が開示されているのは、上記の通り、ステアリングを含まないモノスタティック型開口面合成とステアリングを含む平面波送波、及び、マイグレーション法のみに限られる。また、そのモノスタティック型開口面合成以外は、補間近似を必要とせずにはデジタルビームフォーミングを実施できなかった。従って、その精度が低かった。

0044

これに対し、任意開口形状を有する送信又は受信トランスデューサアレイデバイス(送信と受信の両方に使用されることもあるし、送信と受信が異なる波動に関するものであることもある)を用いる場合や、パッシブなビームフォーミングにおいて受信トランスデューサのみを用いる場合においては、送信又は受信のフォーカシングやステアリングの有無に依らず、送受信ビームの座標系と画像表示する座標系が異なる場合においても、補間近似を一切要さずに、任意のビームフォーミングを高速に且つ高精度に実施することが望まれる。

0045

アクティブなビームフォーミングの場合には、任意開口形状を有する送信と受信トランスデューサアレイデバイス(トランスデューサは送信と受信の両方に使用されることもある)が使用される。また、パッシブなビームフォーミングの場合には、任意開口形状を有する受信トランスデューサアレイデバイスのみが使用される。それらの場合に、デジタル処理によって、任意のビームフォーミングを高速に且つ高精度に実現することが望まれる。実質的に、任意のフォーカシング及び任意のステアリング(偏向)を、任意開口形状を有するトランスデューサアレイデバイスを用いて実施することが望まれる。

0046

整相加算を行ったビームフォーミングの後に、各方向の周波数、帯域幅、パルス形状、ビーム形状等の波動パラメータの内の少なくとも1つが異なる複数のビーム線形又は非線形の信号処理が施されて、それらの波動パラメータの内の少なくとも1つに関して新たに別の値を持つビームが生成される(周波数変調や広帯域化されたもの、マルチフォーカス等様々)こともあり、この様なビームフォーミングにおいて、フォーカシングとステアリング(偏向)、アポダイゼーションは、DAS処理に基づいて、任意開口形状を有するトランスデューサアレイデバイスを用いて実施される。

0047

波動の伝搬速度は物理的な条件下における媒体の物性で決まるため、開口素子が2次元又は3次元分布多次元アレイを構成して多次元空間のイメージングを行う場合には、1次元の場合に比べ、数多くのビームフォーミングを実施することとなり、また、1つのビームフォーミングに使用する処理データ数も増加するので、膨大な時間を要することとなるが、ビームフォーミングの高速性を獲得して、これらのビームフォーミングをいわゆる実時間で処理する装置や短時間で結果表示できる装置を使用することが望まれる。

0048

また、これまで、フーリエ変換を通じたデジタルビームフォーミングに関しては、主として1次元又は2次元のリニアアレイ型トランスデューサを用いた際のデカルト座標系において補間近似を通じて行われるものが開示されているが、送信時や受信時と結果(画像)表示との座標系が異なる場合においても、一切の補間近似を行うことなく、デジタルビームフォーミングを行うことが望まれる。

0049

アレイの開口形状がフラットでない場合に関して開示されている方法(例えば、アレイ開口が円弧である場合)も、補間近似を行うものである。典型的な例として、コンベックス型トランスデューサを使用する場合や、電子又はメカニカルセクタスキャンやIVUS(intravascular ultrasound:血管内超音波検査)のスキャンを行う場合には、極座標系等の任意座標系において送受信した波動から得られたデジタル信号を処理し、補間近似することなく、デカルト座標系等の任意の画像表示系(任意座標系)において直接的にビームフォーミングされた信号を得ることが望まれる。

0050

近年、メモリやAD変換器は非常に安価なものになったが、オーバーサンプリングすることもなく、ナイキスト定理に基づいて波動をサンプリングすることにより、補間近似を行わない場合の時間を要するDAS処理に該当するビームフォーミングを高速に行えることが望まれる。アポダイゼーションを適切に実施することも重要になることがある。

0051

これらの課題を解決した結果として、実時間又は短時間に得られるイメージ信号の空間分解能やコントラスト(サイドローブが抑圧される効果を含む)が高く、また、得られた信号から対象の動き(変位)や変形、又は、温度等を計測するに至っては、高精度な計測を実現することが望まれる。例えば、医用超音波の分野では、近年、エコー信号にドプラ法を適用して組織変位や速さを計測した後、これに時空間微分を施して加速度や歪等を求めて画像化する様になった。時空間微分は、高周波数計測誤差を増幅してSN比(SNR:Signal−to−Noise Ratio)を劣化させる処理であるため、位相を用いた高精度な変位計測を実現する必要があり、従来において、これを実現する高精度なビームフォーミングは、いわゆるDAS処理に基づくダイナミックフォーカシングであった。2次元アレイや3次元アレイを用いた3次元イメージング装置も普及していく傾向にある。この様に、ダイナミックフォーカシングを含む任意のビームフォーミングを、補間近似することなく、高速に且つ高精度に成し遂げることが望まれる。

0052

本願の第1の発明者は、最近において、偏向平面波送波による高速ビームフォーミング(関心領域内の送受信が高速)に基づいて、比較的に早い動きをする組織変位やずり波伝搬の高精度な計測法を実現したが、この様なフォーカシングを行わない場合においても、高速に且つ補間近似を要さずに高精度にビームフォーミングを行うことが望まれる。ステアリング角度を変えながら高速ビームフォーミングを行ってコヒーレント加算することにより、通常のフォーカシングビームを用いた走査と比べ、ほぼ同程度の高画質(空間分解能とコントラスト)を高速で得ることが可能にもなる。高速ビームフォーミングは、多次元アレイを用いた多次元イメージングにも有効である。

0053

また、これまでに開示されていない、1素子ずつの駆動による走査に基づく古典的な開口面合成(モノスタティック型)におけるステアリングやマルチスタティック型開口面合成を、高速に且つ補間近似を要さずに高精度に実施することが望まれる。また、いわゆるマイグレーション処理を用いた場合でも、同様に任意座標系において補間近似を施さずに任意ビームフォーミングを高速に且つ高精度に処理することが望まれる。その他に実現が望まれるビームフォーミングの具体的な例は、本明細書の他の部分に記載されている通りであり、それらのビームフォーミングも、同様に、高速に且つ高精度に実施できることが望まれる。

0054

そこで、本発明の1つの目的は、デジタルビームフォーマーとしてデジタル演算機能を備えるものを使用し、近似計算を行うことなく、任意のビームフォーミングを高速且つ高精度に行うことである。

課題を解決するための手段

0055

本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものである。本発明の第1の観点に係るビームフォーミング方法は、平坦受信開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向xの座標を用いるデカルト直交座標系において、任意方向に位置する波動源から計測対象物に向けて任意の波動が送信され、計測対象物から到来する波動を平面波として受信する方向と軸方向とが成す零度又は非零度の偏向角度偏角θで表される場合において、前記計測対象物から到来する波動を少なくとも1つの受信開口素子によって受信して、受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換及び波数マッチングを行うことによって、ビームフォーミング処理を行うステップ(b)とを具備し、ステップ(b)が、前記受信信号に対して波数領域又は周波数領域における補間近似処理を含む波数マッチングを行わずに、前記受信信号を軸方向yに関してフーリエ変換したものに波動の波数k及び虚数単位iを用いて表される複素指数関数(101)を掛けることにより横方向xに関する波数マッチングを行い、



さらに、その積を、軸方向yに関して分解能を持たせるべく横方向xに関してフーリエ変換し、得られた演算結果に、横方向xに行われた波数マッチングの効果を除いて実施できる複素指数関数(102)を掛けると同時に、複素指数関数(103)を掛けることにより軸方向に関する波数マッチングを行い、ここで、横方向の波数がkxと表され、






補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む。

0056

また、本発明の第2の観点に係るビームフォーミング方法は、機械走査又は電子走査を行う平坦な受信有効開口素子アレイの開口の向きによって定まる軸方向y及びこれに直交する横方向xの座標を用い、前記受信有効開口素子アレイの位置にのy座標を有するデカルト直交座標系において、送信及び受信のダイナミックフォーカシングが施されたビームを生成するモノスタティックな開口面合成を行うビームフォーミング方法であって、軸方向と其のビーム方向とが成す零度又は非零度の偏向角度が偏角θで表される場合において、送信開口素子から計測対象物に向けて波動を送信するステップ(a')と、前記計測対象物から到来する波動を、異なる位置における複数の受信開口素子の1つずつによって受信して、受信信号を生成するステップ(a)と、ステップ(a)において生成される受信信号に対して、少なくともフーリエ変換を行うことによって、零度又は非零度の偏角θを有するモノスタティック型の開口面合成処理を行うステップ(b)とを具備し、ステップ(a')が、前記波動が、前記計測対象物における少なくとも反射若しくは後方散乱によって生成されたもの、又は、前記計測対象物における少なくとも透過、前方散乱、若しくは、屈折により生成されたものとなる様に、前記受信信号を生成する受信開口素子と同一のx座標を有し、さらに、零のy座標を有する、前記複数の受信開口素子を兼ねる複数の送信開口素子の1つずつ、又は、非零の一定のy座標を有する、前記複数の受信開口素子と対向する位置にある複数の送信開口素子の1つずつから波動を送信することを含み、ステップ(b)が、軸方向y及び横方向xの波数をそれぞれky及びkxとする波数領域(kx,ky)において、前記受信信号に対して波数領域又は周波数領域における補間近似処理を含む波数マッチングを行わずに、波動の搬送周波数ω0を用いて表される波数k0(=ω0/c)を有する波数ベクトル(0,k0)に対し、波数ベクトル(sk0sinθ,sk0cosθ)を多次元スペクトルの重心又は瞬時周波数とするイメージ信号を生成するべくスペクトルのシフティングを伴う送信及び受信のダイナミックフォーカシングを行うために、前記受信信号を軸方向yに関してフーリエ変換したものに、送信開口素子のy座標が零のときに値が2であり送信開口素子のy座標が非零のときに値が1であるパラメータs、波動の重心周波数k0、及び、虚数単位iを用いて表される複素指数関数(301)を掛けることにより、横方向xに関する波数マッチングを行い、



さらに、その積を、軸方向yに関して分解能を持たせるべく横方向xに関してフーリエ変換し、得られた演算結果に、横方向xに行われた波数マッチングの効果を除いて実施できる複素指数関数(302)を掛けると同時に、複素指数関数(303)を掛けることにより軸方向に関する波数マッチングを行い、






補間近似処理を行うことなく波数マッチングを行うことによって、直接的にデカルト座標系においてイメージ信号を生成することを含む。

0057

以上のビームフォーミング方法は、3次元の場合にも容易に適用できる。さらに、本発明の1つの観点に係る装置は、計測対象物から到来する波動を受信して、受信信号を生成する少なくとも1つの受信開口と、生成された受信信号に対し、本発明のいずれかの観点に係るビームフォーミング方法を施してイメージ信号を生成する演算を行うデジタル信号処理部とを具備する

0058

本発明は、高速フーリエ変換や複素指数関数の乗算、及び、ヤコビ(Jacobi)演算を適切に実施することを基礎として、通常のデジタル処理を行う場合において必要とされる近似計算を行うことなく、任意の直交座標系において任意のビームフォーミングを高速に且つ高精度に行う装置及び方法を含む。課題を解決するために、電磁波や、音波(圧縮波)やずり波、表面波等を含む振動波(力学的波)、又は、熱波等の波動を対象として、反射波や透過波、散乱波(前方散乱波又は後方散乱波等)、屈折波、表面波、衝撃波、自己発散的(self-emanating)な波動源から発生するそれらの波動、移動体から発せられる波動、又は、未知波源から到来する波動等の観測される波動に対し、適切に設定されたデジタル信号処理アルゴリズム実装されるデジタル回路又はソフトウェアにおける)及びアナログやデジタルのハードウェアが用いられる。

0059

ハードウェアウェアの構成は、各波動装置の通常のデジタルビームフォーマーの整相加算デバイスを搭載したものに、さらに、デジタル波動信号処理を実施するための演算機能を備える装置を含んでも良く、本発明のソフトウェアを実装するか、又は、その演算を実現するデジタル回路を構成して使用しても良い。その他に必要なデバイスとしては、最低限、通常に使用されるトランスデューサや送信器、受信器、及び、受信信号の格納デバイス等を設ければ良く、後に詳述する通りである。高調波の波動も処理される。仮想源や仮想受信器を用いたビームフォーミングも行われる。同時に複数のビームを生成するべく、並列処理も行われる。

0060

また、本発明において、高速且つ高精度な処理を実現するためには、上記のアナログ的な増幅又は減衰によるレベル調整やアナログフィルタリング等のアナログデバイスの他、アナログ信号処理デバイス(駆動信号波形の特徴を強調したり減弱させたり等、波形を変えるための線形素子や特に非線形素子)の有効的な応用、また、上記の如く、汎用の計算処理能力を備えるデバイスや計算機、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)、又は、マイクロプロセッサ等が使用されることもあるが、専用の計算機や専用のデジタル回路、又は、専用デバイスを用いて、格納された信号に対してデジタル処理が施されることもある。

0061

それらのアナログデバイスや、AD変換器、メモリ、及び、デジタル信号処理(マルチコア等)を行うデバイスが高性能であることは重要であるが、デバイス間の通信回数通信線路容量、配線、若しくは、広帯域な無線通信も重要である。特に、本発明においては、それらの機能デバイスが1つのチップ基板に適切に装着される場合(脱着可能な場合)の他に、1つのチップや基板にそれらの機能デバイスが直接的に実装されること(積層を含む)が望ましい。並列処理も重要である。デバイスが脱着不可能なものであると、計算機が制御ユニットも兼ねる場合に、通常のプログラム制御の下で得られるセキュリティに比べて格段に高いセキュリティ性能を獲得することができる。その反面、現行法律では処理内容の開示が求められることが増えるであろう。

発明の効果

0062

本発明の1つの観点によれば、デジタルビームフォーマーとしてデジタル演算機能を備えるものを使用し、高速フーリエ変換を通じて、近似計算を行うことなく、任意のビームフォーミングを高速且つ高精度に行うことが可能となる。後に詳細に説明する通り、本発明は、複素指数関数の乗算とヤコビ(Jacobi)演算を適切に使用することを基礎として、曲座標系を含む任意の直交座標系において任意のビームフォーミングを高速に且つ補間近似なしに高精度に実現するものである。

0063

従来のビームフォーミングを含む如何なるビームフォーミングもDAS(Delay and Summation)処理を用いて実現できるが、本発明によれば、物理開口が1次元アレイを構成している場合に、汎用のPC(パーソナルコンピュータ)を使用したときに計算速度は100倍以上にも優位に高速になる。開口素子が2次元又は3次元分布や多次元のアレイを構成している場合には、多くの処理時間を要するという問題をさらに効果的に解決し、ビームフォーミングの高速性はさらに有効となる。

0064

即ち、本発明によれば、任意開口形状を有する送信又は受信トランスデューサアレイデバイス(送信と受信の両方に使用されることもある)又はセンサーアレイデバイスを用い、任意のビームフォーミングを高速に補間近似を行わずに高精度にデジタル処理によって実現できる。実質的に、任意のフォーカシングと任意のステアリング(偏向)、任意のアポダイゼーションを、任意開口形状を有するアレイデバイスを用いて実施できる。

0065

例えば、医用超音波画像の分野では、リニア型トランスデューサによるデカルト座標系の他、コンベ型やセクタスキャン、又は、IVUS(intravascular ultrasound)において、極座標系を用いて物理的に送信と受信とデジタル化を行うものが一般的(popular)であり、観測対象によって使い分けられる。例えば、胸骨の隙間から心臓動態を観測する場合においては、通常、セクタスキャンが行われる。また、アレイ型開口形状やそうでなくPVDF(polyvinylidene fluoride:ポリフッ化ビニリデンベースのトランスデューサにおいては、開口が変形可能である場合もある。つまり、本発明によれば、任意座標系において送受信した波動から得られたデジタル信号を処理し、補間近似することなく、画像表示系等の任意座標系において直接的にビームフォーミングされた信号を得ることができる。

0066

マルチスタティック開口面合成においては、送信位置に対して複数個存在する受信位置の内の同一位置において受信したエコー信号から成るエコーデータフレームを受信素子の数だけ生成し、周波数領域において、各々のエコーデータフレームに本発明によるモノスタティック型の開口面合成処理を施し、それらの処理結果を重ね合わせたものを逆フーリエ変換する。それにより、受信開口のチャンネル数と等しい回数の開口面合成処理でエコーデータを生成できるので、マルチスタティック型の処理方法として知られるDASにより低空間分解能イメージ信号を生成して重ね合わせて高空間分解能イメージ信号を生成する方法よりも高速である。

0067

また、本発明によるこのマルチスタティック処理を基礎とし、一般的(popular)な送信固定フォーカス時におけるダイナミック受信やステアリングを高速に且つ高精度に実施できる。いずれも、複素指数関数の乗算を用いた適切な位相回転処理を実施することにより、成し遂げることができる。

0068

また、座標系に関してであるが、本発明ではフーリエ変換においてヤコビ(Jacobi)演算を行うことを基礎とし、例えば、コンベックスやセクタスキャン、又は、IVUSの信号処理において、極座標系において送受信したエコーデータに基づいて、補間近似なしに高精度に且つ高速に、表示系のデカルト座標系において直接的にエコーデータを生成することができる。

0069

本発明によれば、いわゆるマイグレーション処理を用いた場合でも、同様に任意座標系において補間近似を施さずに任意ビームフォーミングを高速に且つ高精度に処理できる。また、本発明によれば、仮想源を用いた高SN比且つ高分解能なイメージングも高速に行える。さらに、本発明によれば、線形処理や非線形処理の下で行われるビームの周波数変調や広帯域化、マルチフォーカス、並列処理、仮想源や仮想受信器等も、デジタル処理の下、高速に高精度に実現できる。本発明は、計算量を必要とするビームフォーミングの最適化においても有用である。

0070

以上述べたように、本発明によれば、電磁波や、音波(圧縮波)やずり波、衝撃波、表面波等を含む振動波(力学的波)、又は、熱波等の波動を対象として、送信又は受信のフォーカシングや送信又は受信のステアリング、及び、送信又は受信のアポダイゼーションの有無に依らず、送受信の座標系とビームフォーミングされた信号を生成する座標系が異なる場合においても、任意のビームフォーミングをデジタル処理に基づいて補間近似を行うことなく高精度に且つ高速に実施することができる。

0071

それにより、ビームフォーミングされた信号を画像表示する際のフレームレートが向上するだけでなく、画質に関して高い空間分解能と高いコントラストを得ることができ、さらに、ビームフォーミングされた信号を用いて変位や変形、又は、温度等を計測すれば、計測精度も向上する。処理の高速性は、多次元アレイを用いた多次元イメージングにおいて絶大な効果を奏する。本発明は、波動伝搬に関する数理的なアルゴリズムに関するものであり、デジタル演算を通じ、しかし、近似計算を含まない解を導出した成果そのものであり、容易に想到できるものではない。

図面の簡単な説明

0072

本発明の第1の実施形態に係る計測イメージング装置及び通信装置の構成例を示す代表的なブロック図。
図1に示す装置本体の構成例を詳しく示す代表的なブロック図。
送信トランスデューサにおける複数の送信開口素子の配置例を示す模式図。
整相加算器を搭載する受信ユニット又は受信装置の構成とその周辺装置を示すブロック図。
偏向平面波の送波の模式図。
偏向平面波送波時のデジタル信号処理を示すフローチャート
極座標(r,θ)において角度θ方向に広い波を半径r方向に送波する場合(円筒波送波)の模式図。
任意の開口形状の物理開口の後方に設置された仮想源を用いて極座標系(r,θ)の角度θ方向に広い波を半径r方向に送波する場合(円筒波送波)の模式図。
モノスタティック型開口面合成の模式図。
モノスタティック型開口面合成におけるステアリングにより生成されるスペクトルの模式図(θはステアリング角度)。
マルチスタティック型開口面合成の模式図。
リニア型アレイを用いた固定フォーカシングの模式図。
円筒波送波時のデジタル信号処理を示すフローチャート。
コンベックス型アレイを用いた固定フォーカシングの模式図。
偏向平面波を送信した場合のマイグレーション処理を示すフローチャート。
シミュレーションにおいて用いられた数値ファントムを示す図。
シミュレーションにおいて用いられた送信パルス音圧波形を示す図。
偏向平面波送波において方法(1)を用いて得られた画像を示す図。
偏向平面波送波において方法(1)を用いて得られた偏向角度と誤差を設定角度に対して示す図。
偏向平面波送波において方法(1)を用いて得られた偏向角度の誤差を示す図。
偏向平面波送波において方法(1)をコンパウンド法と共に用いて得られた画像を示す図。
偏向平面波送波において方法(1)を用いて実現された点拡がり関数を示す図。
偏向平面波送波において方法(6)のマイグレーション法を用いて得られた画像を示す図。
方法(2)のモノスタティック型開口面合成により得られた画像を示す図。
方法(3)のマルチスタティック型開口面合成により得られた画像を示す図。
方法(3)のマルチスタティック型開口面合成により実現された点拡がり関数を示す図。
方法(4)の固定フォーカシング送信により得られた画像を示す図。
コンベックス型アレイを用いた円筒波送波において方法(5−1)により得られた画像を示す図。
コンベックス型アレイと方法(5−2)の固定フォーカシング送信により得られた画像を示す図。

実施例

0073

以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を用いて、重複する説明を省略する。本発明に係る装置は、計測イメージング装置として使用することもできるし、通信装置として使用することもできる。以下においては、主として、波動が超音波等の音波であるときには音圧又は粒子速度、力学的な波として圧縮波(縦波)又はずり波、衝撃波、表面波等を対象とするときには応力波又は歪波、電磁波を対象とするときには電界又は磁場、熱波を対象とするときには温度又は熱束の透過波や屈折波、反射波、散乱波(前方散乱波又は後方散乱波等)のイメージ信号を生成する場合について説明する。

0074

<<第1の実施形態>>
まず、本発明の第1の実施形態に係る計測イメージング装置及び通信装置の構成を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る計測イメージング装置及び通信装置の構成例を示す代表的なブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る計測イメージング装置及び通信装置は、送信トランスデューサ(又はアプリケータ)10と、受信トランスデューサ(又は受信センサー)20と、装置本体30と、入力装置40と、出力装置(又は表示装置)50と、外部記憶装置60とを備えている。

0075

図2は、図1に示す装置本体の構成例を詳しく示す代表的なブロック図である。装置本体30は、主として、送信ユニット31と、受信ユニット32と、デジタル信号処理ユニット33と、制御ユニット34とを備えている。ここで、受信ユニット32がデジタル信号処理ユニット33を含んでも良い。なお、図1及び図2は、適度に簡略したブロック図であり、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の詳細は以下の通りである。一例として、上記の装置間や装置本体30内のユニット間や各ユニット内においては、有線技術又は無線技術を基礎として適切に通信が行われるものであり、離れた場所に設置されても良い。装置本体30とは、それらの様な複数のユニットから構成されるものであり、便宜上、その様に呼ぶ。

0076

送信トランスデユーサ
図2に示す送信トランスデューサ(又はアプリケータ)10は、装置本体30内の送信ユニット31から供給される駆動信号により波動を発生して送信する。本実施形態においては、送信トランスデューサ10の複数の送信開口素子10aがアレイを構成している。

0077

図3は、送信トランスデューサにおける複数の送信開口素子の配置例を示す模式図である。図3(a1)は、1次元アレイ状に密に配列化された複数の送信開口素子10aを示しており、図3(b1)は、1次元状に疎に存在する複数の送信開口素子10aを示している。図3(a2)は、2次元アレイ状に密に配列化された複数の送信開口素子10aを示しており、図3(b2)は、2次元状に疎に存在する複数の送信開口素子10aを示している。図3(a3)は、3次元アレイ状に密に配列化された複数の送信開口素子10aを示しており、図3(b3)は、3次元状に疎に存在する複数の送信開口素子10aを示している。

0078

各々の送信開口素子10aは、矩形円形六角形、又は、その他の開口形状を有しており、また、フラット、凹型凸型と様々であり、アレイは、1次元、2次元、又は、3次元状のものがある。1つの送信開口素子10aの指向性は、生成する波動の周波数や帯域幅、及び、その送信開口素子10aの開口の形状で決まり、通常、2次元以上の空間で表されるが、少なくとも直交する2方向に指向性を持つ様にいわゆる開口が直交する2方向を向いているものを1素子と勘定することがあるし、直交する3方向に指向性を持つ様にいわゆる開口が直交する3方向に向いているものを1素子と勘定することもある。独立した3方向より多くの方向に指向性を持つ様に開口が3方向より多くの方向を向いている開口をもつ素子も存在する。それらが位置により異なり、混在することもある。

0079

送信開口素子10aは、空間的に密又は疎(離れた位置)に存在する場合があるが、特段、1次元〜3次元のアレイ型と区別することなく、本実施形態を説明する。開口素子アレイは、リニア型(素子の並びがフラット)、コンベックス(凸型の円弧状の並び)、フォーカス型(凹型の円弧状の並び)、円形型(例えば、医用超音波等でIVUSに使用される)、球状、凸型又は凹型の球殻状、その他の形状で凸型又は凹型に並ぶもの等、波動を伝搬させる対象(通信対象)や観察対象に対して、様々な様態が取られ、これらに限られるものではない。これらの開口素子アレイを適切に駆動して、上記の平面波等の波面が横方向に広く拡がる波の送波やステアリング、開口面合成や固定送信フォーカス等が行われ、1つのビームや生成された波面を持つ送信波が実現される。

0080

電子走査に関しては、後に詳述する通り、1つの送信ビーム又は波面を持つ送信波を生成するべく、図2に示す送信ユニット31が備える複数の送信チャンネルが生成する独立した駆動信号により、その駆動信号の数と同じ数の送信開口素子10aを独立に駆動できる。1つの送信ビーム又は波面を持つ送信波を生成するために使用される送信開口素子アレイを、送信有効開口とも称する。また、全開口素子を纏めて称する物理開口素子アレイと区別し、この同時に駆動される送信開口素子10aにより実現される送信開口を、送信サブ開口素子アレイ、又は、単に送信サブ開口とも称することがある。

0081

波動を伝搬させる対象(通信対象)が広い場合や関心領域全体を一度に観察するべく、物理開口素子アレイにある全開口素子数の送信チャンネル数を備え、常時、それらの全てを使用することもあるが、装置を安価にするべく、電子的に送信チャンネルをスイッチングして送信サブ開口素子アレイを推移させたり(電子走査)、又は、物理開口素子アレイを機械走査すること(機械的走査)により、最小限の送信チャンネル数を用いて関心領域全体に波動が送信されることもある。波動を伝搬させる対象(通信対象)が広い場合や観察対象のサイズが大きい場合には、電子走査と機械走査とが共に実施されることもある。

0082

セクタスキャンが行われる場合には、空間的に固定された上記の様な型の開口素子アレイが電子的に駆動されて走査される(電子走査)、又は、開口素子アレイそのものが機械的に走査される(機械走査)、又は、両者が共に実施されることがある。古典的な開口面合成では、開口素子アレイの1素子毎に電子的に駆動する電子走査、又は、1開口素子の機械走査を通じ、異なる位置において送信して送信開口アレイを構成するため、電子走査においては、送信ユニット31が、物理開口アレイの素子数だけの送信チャンネル数を備えることがあるが、スイッチングデバイスを使用するとその送信チャンネル数を減じることができ、機械走査と同様に必ず少なくとも1チャンネルを必要とする。偏波を送信する場合には、少なくとも、一度に駆動する素子数に偏波の数だけ乗じたチャンネル数が、送信ユニット31に必要である。

0083

<受信トランスデューサ>
図2に示す受信トランスデューサ(又は受信センサー)20は、送信トランスデューサ10を兼ねることもあるが、送信トランスデューサ10とは別に使用されて受信専用アレイ型センサーであっても良い。従って、受信トランスデューサ20は、送信トランスデューサ10とは別の位置に設定されることもある。また、受信トランスデューサ20が送信トランスデューサ10の生成する波動とは異なる波動を感知するものであることもある。その様な受信トランスデューサ20が送信トランスデューサ10と同一の位置に設置されたり、一体を成している場合もある。

0084

本実施形態における受信トランスデューサ20は、送信トランスデューサ10と同様に、少なくとも1つ以上の受信開口素子20aがアレイを構成しており、各素子が受信した信号は、独立な状態で、装置本体30内の受信ユニット32(図2)に伝送される。送信開口素子10aと同様に、受信開口素子20aは、矩形、円形、六角形、又は、その他の開口形状を有しており、また、フラット、凹型、凸型と様々であり、アレイは、1次元、2次元、又は、3次元状のものがある。1つの受信開口素子20aの指向性は、受信する波動の周波数や帯域幅、及び、その受信開口素子20aの開口の形状で決まり、複数の開口を備えるものを1素子と勘定することもある。1素子における開口の数が位置により異なり、混在することもある。また、受信開口素子20aが空間的に密又は疎(離れた位置)に存在する場合もあり、ここでは、アレイ型と区別しない(図3送信アレイの例を参照)。

0085

開口素子アレイは、送信トランスデューサ10のそれと同様に、リニア型(素子の並びがフラット)、コンベックス(凸型の円弧状の並び)、フォーカス型(凹型の円弧状の並び)、円形型(例えば、医用超音波等でIVUSに使用される)、球状、凸型又は凹型の球殻状、その他の形で凸型又は凹型に並ぶもの等、波動を伝搬させる対象(通信対象)や観察対象に対して、様々な様態が取られ、これらに限られるものではない。これらの開口素子アレイを用いて波動を受信して、上記の平面波等の波面が横方向に広く拡がる波の受波やステアリング、開口面合成や固定受信フォーカスやダイナミックフォーカス等が行われ、1つのビームや生成された波面を持つ受信波が実現される。

0086

トランスデューサ開口(素子)は、空間的に密でなく、疎(離れた位置)に存在する場合もあり、また、計測対象を機械的に走査して送信又は受信を行うこともあり、一般的にアレイ型と称さないトランスデューサを用いる場合においても同様に受信信号が処理されることがあるが、本願においては、それらを特段に区別することなく、アレイ型デバイスを使用する場合について重点的に述べながら本発明を説明する。例えば、陸地の離れた位置に、レーダー開口がある場合に、各レーダーがアレイを構成している場合もあれば、そうでない場合もある。

0087

衛星や飛行機に搭載のレーダーのみならず、トランスデューサで計測対象を機械走査することがあり、そのような場合においても、トランスデューサがアレイを構成している場合もあれば、そうでない場合もあり、空間的に連続的に高密度に、若しくは、離れた位置において空間的に疎に、信号を送信又は受信することもある。従って、古典的な開口面合成(1開口素子による送信)だけでなく、送信ビームフォーミングを行いながら、信号を受信することもある。開口素子が1次元状に存在することもあるし、2次元又は3次元空間において存在することもある。また、電子的な走査を行いながら機械的な走査を行うこともある。

0088

電子走査に関しては、後に詳述する通り、1つの受信ビーム又は生成された波面を持つ受信波を実現するべく、受信ユニット32が備える受信チャンネル数の独立した受信信号を開口素子において一度に受信することができる(受信有効開口が決まる)。受信有効開口は、送信有効開口と異なることもある。全開口素子を纏めて称する物理開口素子アレイと区別し、この同時に使用される受信開口素子20aにより実現される受信開口を受信サブ開口素子アレイ、又は、単に受信サブ開口とも称することがある。

0089

波動を伝搬させる対象(通信対象)が広い場合や関心領域全体を一度に観察するべく、物理開口素子アレイに設けられた全開口素子数の受信チャンネル数を受信ユニット32が備え、常時、それらの全てを使用することもあるが、装置を安価にするべく、電子的に受信チャンネルをスイッチングして受信サブ開口素子アレイを推移させたり(電子走査)、又は、物理開口素子アレイを機械走査すること(機械的走査)により、最小限の受信チャンネル数を用いて関心領域全体から到来する波動が受信されることもある。

0090

波動を伝搬させる対象(通信対象)が広い場合や観察対象のサイズが大きい場合には、電子走査と機械走査とが共に実施されることもある。セクタスキャンが行われる場合には、空間的に固定された上記の様な型の開口素子アレイが電子的に駆動されて、送信と受信を交互に繰り返しながら走査されたり(電子走査)、又は、開口素子アレイそのものが機械的に走査されたり(機械走査)、又は、両者が共に実施されることがある。また、古典的な開口面合成においては、送信に関し、上記の通り、開口素子アレイの1素子毎に電子的に駆動する電子走査、又は、1開口素子の機械走査を通じて、異なる位置において送信して送信開口アレイを構成するため、電子走査においては物理開口アレイの素子数だけの送信チャンネル数を送信ユニット31が備えることがあるが、スイッチングデバイスを使用することにより機械走査と同様に必ず少なくとも1チャンネルを必要とする。

0091

一方、その際の受信に関しては、アクティブな送信素子と同一の素子のみで受信する型のモノスタティック型では、受信ユニット32が受信チャンネルを送信チャンネルと同様に備えれば良い。また、アクティブな送信素子を含む周囲の複数の素子で受信を行うことの多いマルチスタティック型では、電子走査では物理開口アレイの素子数だけの受信チャンネル数を受信ユニット32が備えることがあるが、スイッチングデバイスを使用することにより、電子走査と機械走査の両者において、少なくとも受信有効開口の素子数だけの受信チャンネル数を受信ユニット32が備えれば良い。偏波を受信する場合には、少なくとも、受信素子数に偏波の数だけ乗じたチャンネル数が受信ユニット32に必要である。

0092

<トランスデューサの具体例>
トランスデューサ10又は20としては、電磁波、光、力学的な振動、音波、又は、熱波等の任意波動を生成又は受信できる様々なものがある。例えば、トランスデューサ10は、任意波動を計測対象に送信すると共に、計測対象内において反射された反射波や後方散乱された散乱波等を受信できることがある(トランスデューサ20を兼ねる)。例えば、任意波動が超音波である場合に、駆動信号に従って超音波を送信すると共に、超音波を受信して受信信号を生成する超音波トランスデューサを用いることができる。応用に合わせて、超音波素子(PZT高分子圧電素子等)は異なり、トランスデューサの構造が異なることは良く知られている。

0093

医療応用において、血流計測では歴史的に狭帯域の超音波を使用することが行われてきたが、本願の第一の発明者は、近年において実用化された軟組織の変位や歪(静的な場合を含む)、ずり波伝搬(速度)の計測の場合を含め、(エコー)イメージング用の広帯域トランスデューサを使用することを世界に先駆けて実現してきた。HIFU治療も然りで、連続波が使用されることもあるが、本願の第一の発明者は、高分解能な治療を実現すべく、広帯域型のデバイスを用いたアプリケータの開発も行っている。強力超音波を使用する場合には、加熱効果を来さない範囲で組織を刺激し、前記の如く計測対象内に力源を生成することもあり、(エコー)イメージング用のトランスデューサが使用されることもある。加熱治療や力源生成、そして、(エコー)イメージングが同時に行われることもある。その他の波動源やトランスデューサにおいても然りである。

0094

トランスデューサには接触型非接触型があり、その都度、整合材を介す(超音波の場合には、ジェルや水等)、又は、予め整合材がトランスデューサに組み込んであるもの(超音波の場合には、整合層)を使用し、計測体対象に対して各波動のインピーダンスマッチングが適切に行われている状態で使用される。パワーや搬送周波数、帯域(広帯域又は狭帯域化、軸方向の空間分解能を決める)、波形の形状、素子の大きさ(横方向の空間分解能を決める)、指向性等が、開口素子レベルとアレイ性能の両面において設計されたものが使用される(詳細は略)。超音波トランスデューサとして、PZTやPVDFが積層されて、送信音響パワーと広帯域性の両者を兼ね備えたもの等、複合的なものもある。

0095

駆動信号によって強制振動させる場合においては、その駆動信号により、生成される超音波の周波数や帯域が調整されたり、符号化されることもある(受信に関しては、トランスデューサの帯域内の信号に対して、アナログ又はデジタルのフィルタを用いて帯域を選択することもある)。周波数や感度等の特性の異なる開口素子が並べられている場合もある。医療用超音波トランスデューサは、元より、それらは、ハンディーであり、使い勝手がよいものであったが、最近では、ノンケーブル型のトランスデューサが、ハンディーサイズの装置本体と共に使用される様になった。周波数の低い音(例えば、可聴音)であれば、スピーカーマイクロフォンがある。他の波動のトランスデューサも同様な観点で実現されることがあるが、その限りではない。

0096

あるいは、トランスデューサ10として、任意波動を生成する送信用トランスデューサと、トランスデューサ20として、任意波動を受信する受信用トランスデューサ(センサー)とが用いられても良い。その場合に、送信用トランスデューサは、任意波動を計測対象に送信すると共に、センサーは、計測対象内において反射された反射波又は後方散乱された散乱波、又は、計測対象内を透過した透過波や屈折波、前方散乱等を受信することができる。

0097

例えば、任意波動が熱波である場合に、太陽光照明生体内の代謝等の故意に生じさせることのない熱源が使用されることもあるが、赤外加温器ヒータ—等の比較的定常なものや、また、駆動信号に従って制御されることが多い加熱用の超音波を送信する超音波トランスデューサ(計測対象内に力源を生成することもある)や電磁波トランスデューサ、レーザー等も使用される。また、熱波を受信して受信信号を生成する赤外線センサー焦電センサー、マイクロ波やテラヘルツ波の検出器、光ファイバー等の温度センサー、超音波トランスデューサ(超音波の音速や体積変化等の温度依存性を用いて温度変化を検出)、又は、核磁気共鳴信号検出器(核磁気共鳴ケミカルシフトを用いて温度を検出)を用いることができる。各波動に関し、適切に受信できるトランスデューサが使用される。

0098

光学デジタルカメラマンモグラフィーには、CCD(電荷結合素子)技術が使用されており、集積回路とセンサー本体とが一体となっている場合がある。また、超音波2次元アレイにおいても、同技術が応用されており、実時間の3次元イメージングが可能になっている。X線の検出には、シンチレータフォトカプラの組み合わせが使用されるが、波動として観測できる様になって久しい。高周波信号をデジタル信号として取り込むに当たり、前処理にアナログ的に検波又は変調を行い、低周波数にしてAD変換してメモリや記憶装置記憶媒体)に格納することは有効である。時には、デジタル検波されることもある。これらが、送信器や受信器と共に、チップや基板によって一体化されることがある。

0099

その他、例えば、陸地の離れた位置にレーダーがある場合等の様に、各開口がアレイを構成している場合もあるし、その限りではない場合もある。開口が機械的に走査されて、広い指向性が得られることもある。開口が、空間的に連続的に高密度に、また、離れた位置において空間的に疎に、また、等間隔に等の、ある規則性の下に、また、物理的な制約下において変則的に、設置されることもある。その他、海洋中や建物、又は、屋内等のように、波動を伝搬させる対象(通信対象)や観察位置に対して位置が固定されている場合もある。それらは波動の送信又は受信の専用開口であることがある。また、各開口が両者を兼ねることもあるが、自ら送信した波動の応答を受信するのみとは限らず、他の開口の送信した波動を受信することもある。医療や生物の観察においては、光音響(Photoacoustic)と称されて、レーザー照射により生成される超音波が観測されることもある(複数の波動のトランスデューサが一体化されていることもある)し、病変に親和性のある磁性体を造影剤として静脈注射し、患部に超音波等の振動を与え、電磁波を観測することもある(本願の第一の発明者の過去の発明)。電波を使用して様々な移動体と通信することもある。

0100

地震波地震計)や脳磁(SQUIDアレイ)、脳波神経回路網電極アレイ)、電波(アンテナ)、レーダー等のパッシブな観測に使用されるトランスデューサ(アレイ)にも、様々なものがあり、波動源の観測に使用されることがある。到来する波動の伝搬方向を多次元スペクトル解析に基づいて求めたり(本願の第一の発明者の過去の業績)、さらに、本願発明の装置においては、異なる位置に備えられた複数のトランスデューサ又は受信有効開口を使用して、伝搬時間に関する情報が得られない場合(通常、複数位置において波動が観測された時間から波動源の位置等を割り出す)においても、幾何学的に波動源の位置等を割り出すことが可能である。波動がパルス波バースト波ではなく、連続波でも観測できる。如何なる処理を通じてでも、波動の到来方向がわかった場合において、その方向に、各種ビームをステアリング及びフォーカシングを行い、詳細に観測することも行える。それらの処理において、常に、可能性の高い方向を重点的に、ステアリング角度を変えながら受信ビームフォーミングを行って、得られる像又は結像、空間分解能、コントラスト、信号強度等を観測する、又は、多次元スペクトル解析を通じ、波源の方向を特定することもできる。従って、本願発明の装置で使用されるトランスデューサには、ステアリングにも使用され、電子走査、機械走査、又は、両走査を行う機構が備えられている場合もある。

0101

本願発明の有効性を実証できるトランスデューサとして、比較的に身近である典型的なトランスデューサや、特殊なものを幾つか列挙したが、本願発明において使用されるものとしては、応用を含めて、それらに限られるものではなく、電磁波、光、力学的な振動、音波、又は、熱波等の任意波動を生成又は受信できる様々なものを使用できる。

0102

<ビームフォーミング>
同時、又は、波動を伝搬させる対象(通信対象)や観察対象の状態が同一又は略同一である同時相、又は、別の時刻若しくは別の時相において、各開口において、1つ以上のビームフォーミング、又は、送信若しくは受信が行われることもある。また、同様にして、開口の1つの組み合わせで、1つ以上のビームフォーミング、又は、送信若しくは受信が行われることもある。また、同様にして、開口の複数の組み合わせの各々が、1つ以上のビームフォーミング、又は、送信若しくは受信を行うこともある。また、それらにおいて、ビームフォーミングや受信の結果が複数得られる場合を含め、それらを用いた線形又は非線形の演算を通じて新たなデータが生成されることもある。

0103

また、例えば、衛星や飛行機に搭載のレーダー等の様に空間的に移動するものにおいては、搭載される開口がアレイを構成している場合もあれば、そうでない場合もあり、また、機械走査されて広い指向性が得られることもあり、また、空間的に連続的に高密度に、若しくは、離れた位置において空間的に疎に、若しくは、等間隔である等のとある規則性の下、若しくは、必要に応じて変則的に、送信と受信が行われることもある。移動物体は、その他に、車や電車潜水艦移動ロボット等、様々である。その他、流通されるもの等、生き物等、規則的又は無作為に移動するものである場合もある。そのような場合には、移動可能な通信機が使用される。RFID(Radio Frequency Identification)タグやICカード等が使用されることもある。

0104

その際には、古典的な開口面合成(1開口素子毎の送信に基づく開口面合成)が行われるだけでなく、送信ビームフォーミングを生成しながら、受信ビームフォーミングが行われることもある。また、電子走査を行いながら機械走査が規則的に又は変則的に行われることもあり、空間的に広い範囲に適切に波動を伝搬させたり(通信)、空間的に広い範囲が適切に観察されることもある。無論、多次元アレイを使用することにより、電子走査のみで、空間的に広い範囲に適切に波動を伝搬させたり(通信)、空間的に広い範囲が適切に観察されることもある(物理開口が大きくなるだけでなく、多方向のステアリングも可能になる)。

0105

搭載される開口は、波動の送信と受信のための両開口を兼ねることもあるが、自ら送信した波動の応答を受信するのみとは限らず、他の任意の開口の送信した波動を受信することもある。また、複数の移動物体が開口を備えている場合もあり、同時、又は、波動を伝搬させる対象(通信対象)や観察対象の状態が同一又は略同一である同時相、又は、別の時刻若しくは別の時相において、各開口において1つ以上のビームフォーミング、又は、送信若しくは受信が行われることもある。

0106

また、同様にして、開口の1つの組み合わせで1つ以上のビームフォーミング、又は、送信若しくは受信が行われることもある。さらに、同様にして、開口の複数の組み合わせの各々が1つ以上のビームフォーミング、又は、送信若しくは受信を行うこともある。また、それらにおいて、ビームフォーミングや受信の結果が、複数得られる場合を含め、それらを用いた線形又は非線形の演算を通じて新たなデータが生成されることもある。上記において、波動を伝搬させる対象(通信対象)や観察対象に対して、移動物体の開口と固定された開口の組み合わせが使用されることもある。

0107

この様に、本実施形態では、複数の送信開口素子10aと複数の受信開口素子20aとが存在し(1つの開口素子が、送信開口素子10aと受信開口素子20aとを兼ねることもある)、アクティブにビームフォーミングが行われる。このアクティブビームフォーミングにおいて、高速フーリエ変換を通じて任意のビームフォーミングを高速に補間近似を行わずにデジタル処理によって実現することができる。また、実質的に、任意のフォーカシングと任意のステアリングとを、任意開口形状を有するトランスデューサアレイデバイスを用いて実施することができる。

0108

送信は、各開口素子の方向を重視するために、一般的に、物理開口素子アレイの形状で決まる直交座標系において行われるが(仮想音源別途説明する)、本発明の特徴は、最終的な表示座標系において直接的に波動を表す信号を生成するべく、補間近似処理を行うことなく受信デジタルビームフォーミングを行うことが中心であり、派生的に、送信ビームフォーミングにおける座標系において受信デジタルビームフォーミングを行うことにもある。

0109

<送信ユニット>
次に、装置本体30が備える送信ユニット31(図2)について説明する。送信ユニット31は、複数の送信チャンネルの送信器31aを含んでいる。1つのビームフォーミングを行うに当たり使用する開口素子に異なる駆動信号を送るための回線数が送信チャンネル数である。例えば、下記の如く、この送信チャンネルの形態は様々なものがある。各送信開口素子10aにおいて生成される波動の周波数、帯域幅、波形、及び、指向性は、送信開口素子10aと送信ユニット31とで決まる。

0110

インパルス信号を送信開口素子10aに印加すると、送信開口素子10aの形状(厚みや開口の大きさや形)と材料(超音波素子の代表的なものにシングルクリスタル)とで決まる波動が生成されるが、送信ユニット31において生成されて周波数と帯域幅、波形(符号化されていることもある)を持つ駆動信号で送信開口素子10aを強制的に励起することにより、生成される波動の周波数、帯域幅、波形、指向性が調整される。その生成される駆動信号の特性は、制御ユニット34による制御の下でパラメータとして設定される。使用されるトランスデューサを制御ユニット34が認識して、推奨する設定が自動的に行われることもあるが、入力装置40を用いた設定又は調整も可能である。

0111

通常、1つのビームフォーミングを行うに当たり、異なるディレイを掛けた駆動信号により複数の開口素子を駆動するために、送信ユニット31はアナログ又はデジタルのディレイパターンを搭載しており、操作者が入力装置40を用いて選択できる送信フォーカス位置やステアリング方向等を実現するディレイパターンが使用されることがある。それらのパターンがプログラマブルであり、目的に応じて、使用するパターンや選択可能なパターンがCD−ROMフロッピー登録商標ディスク、又は、MO等の様々な媒体を通じてインストールされることもある。プログラム起動して入力装置40よりインターラクティブにパターンを選択できる場合もあるし、ディレイ(パターン)値を直接に入力したり、その他、データの記録されたファイルを読み込ませて設定する場合等、様々な場合がある。特に、アナログディレイの場合に、使用するディレイ値がアナログ的又はデジタル的に変更される場合もあるし、ディレイ回路又はパターンそのものが別のものに付け替えられるか別に切り替えられることもある。

0112

装置本体30(図2)において、制御ユニット34から複数チャンネルの送信器31aに、対応する送信開口素子10aを駆動する駆動信号(符号化されている場合がある)を生成させる指令信号が伝送される。それらの指令信号は、1フレーム分のビームフォーミングを開始するための指令信号を基に生成されることがある。送信ディレイがデジタルである場合に、例えば、最初に駆動する送信開口素子のための送信器31aに送られる指令信号をトリガーとしてデジタルディレイが掛けられ、各送信器31aに指令信号が送られることがある。デジタルディレイにはデジタル回路のディレイデバイスが使用されることもある。

0113

また、最初に駆動する素子のために送信器31aにおいて生成された駆動信号そのものにアナログディレイが掛けられ、各開口素子に伝送されることもある。同期を必要としないアナログディレイが使用されるこの場合においては、送信器31aは少なくとも1機で複数の送信開口素子10aを駆動できる。従って、送信アナログディレイは、送信器31aの前後又は内部、又は、制御ユニット34内に設けられ、一方、送信デジタルディレイは、送信器31aの内部又は前、又は、制御ユニット34内に設けられることがある。

0114

アナログ回路若しくはアナログデバイス、又は、デジタル回路若しくはデジタルデバイスの切り替えにより、パターンが選択されることもあるが、それらのディレイデバイスのディレイが、制御ユニット34による制御の下で変更される場合もあるし、インストールや入力設定等を通じてプログラマブルであることもある。また、制御ユニット34内にディレイデバイスが設けられていることもある。さらに、制御ユニット34が以下の如く計算機等により構成されている場合には、ソフト制御の下でディレイの掛けられた指令信号が制御ユニット34から直接に出力されることもある。

0115

制御ユニット34やデジタルディレイは、汎用の計算処理能力を備えるデバイスや計算機、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)、若しくは、マイクロプロセッサ等、又は、専用のデジタル回路、若しくは、専用デバイスであっても良い。それらは高性能(マルチコア等)であることが望ましく、アナログデバイスや、AD変換器32b、メモリ32c、及び/又は、送信又は受信ビームフォーミング処理を行うデジタル信号処理ユニット33をも担うことがある。

0116

また、デバイス間の通信回数や通信線路容量、配線、若しくは、広帯域な無線通信は重要であり、特に、本発明においては、それらの機能デバイスが1つのチップや基板に適切に装着される場合(脱着可能な場合)がある。その他に、1つのチップや基板にそれらが直接的に実装されること(積層を含む)もある。並列処理が行われることもある。デバイスが脱着不可能なものであると、計算機が制御ユニット34も兼ねるときにおいて、通常のプログラム制御の下で得られるセキュリティに比べて格段に高いセキュリティ性能を獲得することもできる。その反面、現行の法律では処理内容の開示が求められることが増えるであろう。

0117

制御ソフトウェアやディレイ値が直接にコーディング又は入力されるものやインストールされるものもある。デジタルディレイの掛け方はこれらに限られない。送信ディレイにおいてこのデジタルディレイを実施すると、アナログディレイとは異なり、デジタル制御信号を発生するためのクロック周波数で決まる誤差を必ず生じるので、精度の点では送信ディレイはアナログディレイの方が良い。基本的には、コストをかけて高クロック周波数を使用して誤差を低減する。一方、アナログディレイはアナログ的に変更可能であるし、デジタル制御可能なプログラマブルにすることも可能である。しかしながら、デジタルディレイに比べて自由度が低く、コストを下げる場合においては、アナログ回路として搭載されたディレイパターンを切り替えて使用することもある。

0118

尚、送信アポダイゼーションは、開口素子の駆動信号のエネルギーや時間的に変化する波形(符号化されていることもある)の振幅時間変化によって行われる。開口素子の駆動信号の波動への変換効率(変換能)の校正データに基づいて、駆動信号が調節される。別の目的で、校正することだけを目的に駆動信号の調節が実施されることもある。制御ユニット34から送信器31aに送られる指令信号は、送信器31aが生成する駆動信号の波形や位相の情報を時系列として表すものであっても良いし、送信器31aが認識して所定の駆動信号を生成できる符号化されたものであっても良いし、有効開口内の駆動する各開口素子の位置に対して所定の駆動信号を生成する送信器31aに単に送信の指令を下すものであっても良い。

0119

また、ディレイと同様に、有効開口内の駆動する各開口素子の位置に対して所定の駆動信号を生成する様に送信器31aがプログラマブルであることがあり、様々な形態を取り得る。駆動信号の生成には、電源増幅器が使用されるが、電力又はエネルギー供給量の異なる電源や増幅度の異なる増幅器が、切り換えられて使用されたり、1つの駆動信号を生成するために同時に使用されたり、また、送信ディレイパターンと同様に上記の如く直接的に設定されたりプログラマブルであることがある。ディレイとアポダーゼーションは、送信ユニット内において、同じか異なる階層レベルにおいて同じか異なる形態で実現されたものが実施されうるものである。

0120

送信有効開口内の開口素子を駆動するための送信チャンネルは、シフトレジスタマルチプレクサ等のスイッチングデバイスを通じて切り替えられ、別の位置の有効開口が使用されてビームフォーミングを行いながら関心領域が走査されることがある。また、ディレイ素子のディレイ値が可変であるものがあるし、ディレイパターン(ディレイ素子群)が切り換えられることもある。さらに、1つの有効開口において複数方向へのステアリングが行われることもあるし、適宜、開口位置や有効開口幅を変えながら、さらには、複数方向にステアリングが行われることもある。

0121

高圧信号をスイッチングする場合においては、専用のスイッチングデバイスが使用される。また、アポダイゼーション素子のアポダイゼーション値が送信時間方向や開口素子のアレイ方向に可変であるものがあるし、アポダイゼーションパターン(アポダイゼーション素子群)が切り換えられることもあり、開口位置やレンジ方向、又は、ステアリング方向に依存してビーム形状が調整されることがある。詳細には、アポダイゼーション値が零の送信素子はアクティブではなくオフであることを意味し、アポダイゼーションは有効素子のスイッチをも担い、有効開口幅をも決め得るものである(開口素子アレイ方向のアポダイゼーションの関数が矩形(rectangular)窓であればスイッチはオンであり、一定値でないときは重みの掛かったオンである)。

0122

また、ディレイパターンやアポダイゼーションパターンに関し、装置本体30が複数のパターンを備える場合や、プログラマブルである場合があり、送信対象からの応答や次に説明する受信ユニット32によるビームフォーミングの結果に基づいて、後に説明する装置本体30内のデジタル信号処理ユニット33(図2)において、伝搬過程の媒体における波動の減衰や散乱(前方散乱又は後方散乱等)、透過、反射、屈折、又は、音速の周波数分散や空間分布等が計算され、各開口から送信する波動のディレイや強度、ビームや波面のステアリング方向、アポダイゼーションパターン等が最適化されることがある。

0123

尚、古典的な開口面合成には、1開口素子による送信において行われるモノスタティック型とマルチスタティック型とがあり、アクティブな送信開口素子10aが、上記の如くして、スイッチング又はアポダイゼーションの下で切り替えられる。全送信素子が送信器31aを含む送信チャンネルを備えている場合もある。開口面合成においては、十分な強度又はエネルギーの波動を生成する必要があり、送信アポダイゼーション関数そのものが必ずしも重要であるとは限らない。実質的には、通常、開口面合成は、整相加算器において受信アポダイゼーションと同時に実施されるし、本発明においては、デジタル信号処理ユニット33において、受信アポダイゼーションと同時に実施されることが多い。以上、本実施形態の代表的な送信ユニットについて説明したが、送信ビームフォーミングの可能なものであれば、任意のものを使用でき、記載されている限りではない。

0124

<受信ユニット及びデジタル信号処理ユニット>
次に、装置本体30が備える受信ユニット32及びデジタル信号処理ユニット33(図2)について説明する。受信ユニット32は、複数の受信チャンネルの受信器32aと、AD変換器32bと、メモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32cとを含んでいる。各受信開口素子において生成される受信信号の周波数、帯域幅、波形、指向性は、受信開口素子20aと受信ユニット32で決まる。波動が受信開口に到来すると、受信開口素子20aの形状(厚みや開口の大きさや形)と材料(超音波素子の代表的なものにシングルクリスタル)とで決まる受信信号が生成されるが、受信ユニット32におけるフィルタリング処理アナログ増幅器が兼ねることもある)により生成される受信信号の周波数と帯域幅、指向性が調整される。その生成される受信信号は、制御ユニット34による制御の下で設定されるフィルタのパラメータ(周波数や帯域幅等の周波数特性)に基づいて実質的に調整される。使用されるトランスデューサを制御ユニット34が認識して、推奨する設定が自動的に行われることもあるが、入力装置40を用いた設定又は調整も可能である。

0125

通常のデジタル受信ユニット又はデジタル受信装置は、この様な機能を備え、さらに、整相加算機能を備える。即ち、デジタル受信ユニット又はデジタル受信装置におけるDAS処理は、複数の受信信号に整相処理を施して、整相処理が施された複数の受信信号を加算するものである。整相処理としては、複数の受信開口の受信チャンネルにおいて受信信号をAD変換して、基本的には読み書きを高速に行えるメモリ、記憶装置、又は、記憶媒体等に格納し、関心領域内の各関心位置に関して整相するべく、格納先から読み出した受信信号に空間領域において補間近似処理を交えて高速にディレイを掛けるものと、多くの時間を要するが、格納先から読み出した受信信号に周波数領域において複素指数関数を乗ずる位相回転によりナイキスト(Nyquist)定理に基づいてディレイを高精度に掛けるもの(本願の第1の発明者の過去の発明)とがある。また、格納先においては、各受信開口の受信信号が受信ディレイに応じた位置に格納される場合もあり、それらの受信信号を読み出して加算したり、又は、それらに上記の処理をさらに施して加算することもある。

0126

図4は、整相加算処理を実現する整相加算器を搭載する受信ユニット又は受信装置の典型的な構成とその周辺装置を示すブロック図である。図4に示す受信ユニット(又は受信装置)35は、複数の受信チャンネルの受信器35aと、AD変換器35bと、メモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)35cとに加えて、整相加算処理を行う整相加算器35dと、生成されたイメージ信号をデジタル信号処理する他データ生成部35eとを備えている。例えば、他データ生成部35eは、画像表示データを生成したり、高次の計算により、例えば、ドプラ(Doppler)法に基づいて変位を計算したり、温度を計算したり等、対象に対して解析を行う。

0127

この整相加算処理を関心領域内の各位置において実施することにより、ダイナミックフォーカシングが行われる。本来、ダイナミックフォーカシングは、有効開口において受信したレンジ方向において使う用語(term)であったが、実のところ、本発明によって実施される受信デジタルビームフォーミングにおいては、その限りではない。図2に示す本発明の実施形態における受信ユニット32は、整相加算(DAS)処理を行う演算過程がその名称の表す上記の演算処理とは異なる高速且つ近似処理を必要としない高精度なデジタルビームフォーミングを行うものである。従って、本発明の実施形態においては、図4に示す整相加算器35dの代わりに、図2に示すデジタル信号処理ユニット33が用いられる。デジタル信号処理ユニット33においては、イメージ信号を基に上記の様な他のデータが生成されることもある。

0128

通常の整相加算器も本発明の実施形態におけるデジタル信号処理ユニット33によって同様に実現することが可能であるが、特に、本発明の実施形態における受信ユニット32の特徴は、高速且つ高精度な処理を実現するべく、通常は受信開口素子20aにおいて生成される受信信号をアナログ的な増幅又は減衰によるレベル調整やアナログフィルタリング(プグラマブルであり、制御ユニット34を通じて設定される周波数特性やパラメータ下で動作する)等のアナログデバイスを使用して信号強度の確保やノイズの低減を行うことに加え、アナログ信号処理がデジタル信号処理よりも高速である利点を生かして、必要に応じて線形又は特に非線形のアナログ信号処理を行うデバイスを有効的に使用することを含み、それらの処理を通じて得られた信号をAD変換し、その結果として得られるデジタル信号を読み書きの高速なメモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32cに格納する。

0129

また、搭載されるデジタル信号処理ユニット33として、汎用の計算処理能力を備えるデバイスや計算機、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)、若しくは、マイクロプロセッサ等が使用され、又は、専用の計算機や専用のデジタル回路、若しくは、専用デバイスが使用されて、格納されているデジタル信号に対して本発明のデジタルの波動信号処理が施される。

0130

それらのアナログデバイスや、AD変換器32b、メモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32c、及び、デジタル信号処理ユニット33(マルチコア等)を担うデバイスが高性能であることは重要であるが、デバイス間の通信回数や通信線路容量、配線、若しくは、広帯域な無線通信は重要であり、特に、本発明においては、それらの機能デバイスが1つのチップや基板に適切に装着される場合(脱着可能な場合)があり、その他に、1つのチップや基板にそれらが直接的に実装されること(積層を含む)もある。並列処理が行われることもある。

0131

デバイスが脱着不可能なものであると、計算機が制御ユニット34も兼ねるときにおいて通常のプログラム制御の下で得られるセキュリティに比べて格段に高いセキュリティ性能を獲得することもできる。その反面、現行の法律では処理内容の開示が求められることが増えるであろう。また、そのデジタル信号処理ユニット33が、他ユニットに指令信号を送りそれらを制御する制御ユニット34を兼ねることもある。

0132

本発明に実施される受信ユニット32において、受信トランスデューサ(又は受信センサー)20において生成される受信信号のサンプリング(AD変換)をAD変換器32bに開始させるトリガー信号(即ち、AD変換を開始してメモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32cにデジタル信号を格納することを開始する取り込み開始の指令信号)は、通常の受信ユニットにおいて用いられるトリガー信号と同様である。例えば、駆動する送信開口素子10aへの送信信号を送信器31aが生成する様に制御ユニット34が発生するいずれかの指令信号が使用されることがあり、有効開口の複数の受信開口素子20aにおいて受波する場合においては、最初に駆動する素子のための指令信号か、最後に駆動する素子のための指令信号か、又は、別の素子を駆動するための指令信号が使用され、適宜、所定のデジタルディレイを掛けてAD変換が開始されることもある。

0133

それらの指令信号は、1フレーム分のビームフォーミングを開始するための指令信号を基に生成されることがある。つまり、送信トリガー信号の発生回数カウントし、所定の数、又は、適宜、入力装置40等から入力されて設定される等のプログラマブルなパラメータであることのある数に達したことがハードウェア又は制御プログラムにおいて確認されると、新しいフレームの生成を開始する指令信号が発生されることがある。その数は、他パラメータと同様に、CD−ROMやフロッピー(登録商標)ディスク、又は、MO等の様々な媒体を通じてインストールされることもある。プログラムを起動して入力装置40からインターラクティブに選択できる場合もあるし、数値を直接に入力したり、その他、データの記録されたファイルを読み込ませて設定する場合等、様々な場合がある。その数は、ディップスイッチ等を使用して定めることも可能である。受信ディレイのパターンの数が大きいことが必要とされない場合には、受信信号に対して搭載されたアナログディレイパターンを掛けたものがAD変換されることもある。

0134

高速に受信ダイナミックフォーカシングを実現するべく、本願の第1の発明者の過去の発明である周波数領域において信号に複素指数関数の積を施してナイキスト(Nyquist)定理に基づく方法を使用せずに通常の高速な受信デジタルディレイを掛けると、AD変換のサンプリング間隔で決まる誤差を生じるため、コストをかけてAD変換器32bのサンプリング周波数を十分に高くするか、又は、高精度なデジタルディレイ(位相回転処理)による低速ビームフォーミングを行うしかなかった。これに対し、本発明によれば、上記の如く、受信信号を同期してデジタルサンプリングすれば、その種の近似誤差を生じることなく、しかも、高速な受信デジタルビームフォーミングを実施することができる。そのような受信デジタルビームフォーミングは、本願の第1の発明者の過去の発明である周波数領域において複素指数関数の積を演算する方法に比べ、格段に高速でもある。

0135

本発明においても、通常においても、1つのビームフォーミングを行うに当たり使用する受信開口素子20aにおいて受波した信号を受信ユニット32に送るための回線数が受信チャンネル数である。その点で、受信ユニット32は以下の通りであり、受信チャンネルの形態も様々なものがある。即ち、通常のビームフォーミングを1回行うに当たり、複数の受信開口素子20aにおいて生成される信号に異なるディレイを掛けるべく、受信ユニット32は、上記の如くアナログ又はデジタルのディレイパターンを搭載しており、操作者が入力装置40を用いて選択できる受信フォーカス位置やステアリング方向等を実現するディレイパターンが使用されることがある。

0136

それらのパターンがプログラマブルであり、目的に応じて、使用するパターンや選択可能なパターンがCD−ROMやフロッピー(登録商標)ディスク、又は、MO等の様々な媒体を通じてインストールされることもある。プログラムを起動して入力装置40よりインターラクティブにパターンを選択できる場合もあるし、ディレイ(パターン)値を直接に入力したり、その他、データの記録されたファイルを読み込ませて設定する場合等、様々な場合がある。特に、アナログディレイの場合には、使用するディレイ値がアナログ的に、又は、デジタル的に変更される場合もあるし、ディレイ回路又はパターンそのものが別のものに付け替えられるか、又は、別に切り替えられることもある。

0137

また、受信ディレイがデジタルである場合には、各受信チャンネルのメモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32cに格納されている受信信号が読み出されて整相(加算)される。本実施形態の装置においては、デジタル信号処理ユニット33においてデジタル受信信号にディレイを掛けるか、デジタル回路のディレイデバイスにデジタル受信信号を通過させるか、又は、AD変換器32b及びメモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32cをオンにするための制御ユニット34からの取り込み開始の指令信号にディレイを掛けることができる。従って、デジタルディレイは、AD変換器32bの内部以降であれば任意位置において、又は、制御ユニット34において掛けることができる。

0138

また、アナログディレイの場合には、受信開口素子20aにおいて受信信号を生成した後であれば任意の位置において、又は、制御ユニット34においてディレイを掛けることができる。アナログディレイパターンが使用される場合には、受信器32aは少なくとも1機で複数の開口素子の受信信号を受信できる。従って、受信信号の格納先には、各受信開口の受信信号が受信ディレイに応じた位置に格納されている場合があるし、受信ディレイが全く掛けられていないこともあり、それらを読み出して、デジタル信号処理ユニット33において後述のデジタル波動信号処理が実施されることがある(デジタル信号処理ユニット33は、通常の整相加算処理も実施できることがある)。

0139

アナログ回路若しくはアナログデバイス、又は、デジタル回路若しくはデジタルデバイスの切り替えにより、パターンが選択されることもある。また、それらのディレイデバイスのディレイが、制御ユニット34による制御の下で変更される場合や、インストールや入力設定等を通じてプログラマブルであることもある。さらに、制御ユニット34内にディレイデバイスが設けられていることもあり、制御ユニット34が上記の如く計算機等により構成されている場合には、ソフト制御の下でディレイの掛けられた指令信号が制御ユニット34より直接に出力されることもある。

0140

制御ユニット34やデジタルディレイは、汎用の計算処理能力を備えるデバイスや計算機、PLD、FPGA、DSP、GPU、若しくは、マイクロプロセッサ等、又は、専用のデジタル回路、若しくは、専用デバイスであっても良い。それらは高性能(マルチコア等)であることが望ましく、アナログデバイスや、AD変換器32b、メモリ32c、及び/又は、送信又は受信ビームフォーミング処理を行うデジタル信号処理ユニット33をも担うことがある。

0141

また、デバイス間の通信回数や通信線路容量、配線、若しくは、広帯域な無線通信は重要であり、特に、本発明においては、それらの機能デバイスが1つのチップや基板に適切に装着される場合(脱着可能な場合)がある。その他に、1つのチップや基板にそれらが直接的に実装されること(積層を含む)もある。並列処理が行われることもある。デバイスが脱着不可能なものであると、計算機が制御ユニット34も兼ねるときにおいて、通常のプログラム制御の下で得られるセキュリティに比べて格段に高いセキュリティ性能を獲得することもできる。その反面、現行の法律では処理内容の開示が求められることが増えるであろう。制御ソフトウェアやディレイ値が、直接にコーディング又は入力されるものや、インストールされるものもある。デジタルディレイの掛け方はこれらに限られない。

0142

本実施形態においては、装置本体30の制御ユニット34(図2)から送られてくる上記のトリガー信号を基に、AD変換の開始を指令するトリガー信号(指令信号)が、各受信チャンネルのAD変換器32bに供給される。この指令信号に従って、各チャンネルの受信アナログ信号のAD変換及びデジタル化された信号のメモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32cへの格納が開始される。送信ユニット31、受信ユニット32、及び、デジタル信号処理ユニット33は、1フレーム分の受信信号が全て格納されるまで、制御ユニット34による制御の下で、送信開口位置や送信有効開口幅、又は、送信ステアリング方向等を変えながら、さらに、波動やビームを送信する毎に受信開口位置や受信有効開口幅、又は、受信ステアリング方向等を変えながら、送信からデジタル信号を格納するまでの処理を繰り返し行い、1フレーム分の受信信号が格納される毎に、その受信信号群に対して本発明において使用されるデジタルの波動信号処理方法、即ち、デジタルビームフォーミング方法を施してコヒーレントな信号を生成する。

0143

従って、本発明における装置が上記のアナログやデジタルのディレイを搭載しているとしても、必ずしも、ビームフォーミングのためのディレイとして使用されるとは限らず、メモリ、記憶装置、又は、記憶媒体を節約して有効に利用すると共にアクセス時間を短縮するべく、受信信号のAD変換及びそれらのメモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32cへの格納を開始するタイミングを遅らせるために使用される場合もある。ビームフォーミングにおける受信ディレイは、必ず、デジタル信号処理ユニット33で実施されるデジタル波動信号処理が主であり、本発明において、その節約とアクセス時間の短縮化の意味は大きい。また、送信時に物理的なビームフォーミングを行わない古典的な開口面合成を行う場合には、送信ディレイは、デジタル波動信号処理において受信ディレイと同一のタイミングで掛けられる。

0144

以上のことから、本発明において、受信ユニット32は、必ず、各受信チャンネルにおいて、独立した、アナログ又はデジタルのディレイ、受信器32a、AD変換器32b、及び、メモリ(又は記憶装置又は記憶媒体)32cを備え、必要に応じて、アナログ的な増幅又は減衰によるレベル調整やアナログフィルタ、その他のアナログ演算デバイスを備えるものである。即ち、本発明の装置において、受信ディレイによってこのデジタルディレイを実施するに当たり、ビームフォーミングのためのディレイを掛けない限りは、アナログディレイと同じく、クロック周波数に依存する様な誤差は生じない。

0145

つまり、送信のデジタルディレイではクロック周波数で決まる誤差を必ず生じるため、コストをかけて高クロック周波数を使用して誤差を低減する必要があるが、受信のデジタルディレイではその様なことは必要がない。受信ディレイにデジタルディレイを使用すると、精度を低下させることなく、また、ディレイパターンの設定の自由度も高く、送信ディレイにアナログディレイを使用すると、精度が良く、クロック周波数を低くできる。アナログディレイは、アナログ的に変更可能であるし、デジタル制御可能なプログラマブルにすることも可能である。しかしながら、アナログディレイは、デジタルディレイに比べて自由度が低く、コストを下げる場合においては、アナログ回路として搭載されたディレイパターンを切り替えて使用するか、適切なものに付け替えて使用することもある。送信ディレイパターンの設定に高い自由度を要する場合には、高クロックでデジタルディレイを稼働させることが必要となる。

0146

以下において、本発明のビームフォーミングそのものにより生成されるコヒーレント信号をイメージ信号と称する。受信有効開口素子やそれらの位置は、送信有効開口素子と同様に制御される(後述)。尚、このデジタルビームフォーミングは、1フレーム分の受信信号が格納される毎に行われるとは限らず、例えば、有効開口幅やそれ以外の所定数、又は、適宜、入力装置40等から入力されて設定される等のハードウェアのチャンネル数かプログラマブルなパラメータであることのある数の受信信号が格納されたタイミング毎に行われることもある(上記の様に様々な入力手段がある)。また、部分的にビームフォーミングされて生成されるイメージ信号を合成して、1フレームのイメージ信号とすることもある。

0147

その場合に、走査方向に連続した位置において処理される受信信号がオーバーラップしたものであることがあり、それらの受信信号を合成する際には、単なる重ね合わせが行われる場合(周波数領域で重ね合わせされて逆フーリエ変換されることもある)や、適切に重み付けされて重ね合わせされる場合もあれば、単に接続される場合もある。格納された受信信号の数は、受信信号の取り込みのためのトリガー信号(制御ユニット34から届く指令信号)をカウントしてハードウェア又は制御プログラム内で確認することができるし、上記の通り、1フレーム毎に制御ユニット34が生成する1フレームのデジタル波動信号処理を開始させる指令信号を同様にして確認することができ、適切に1フレームのイメージ信号が連続的に生成される。

0148

実現できる最高のフレームレートは、実施するビームフォーミング形態に依存し、基本的に、波動の伝搬速度で決まるが、実際の応用上においては、1フレームのイメージ信号をデジタル計算するのに要する時間で決まる。従って、上記の部分的にイメージ信号を生成する処理を並列処理により実施することは有用である。また、上記の如く、本願の第1の発明者が過去に開発した多方向開口面合成や、1つの送信ビームに対して複数位置における受信ビームや複数方向の受信ビームを生成すること、また、マルチフォーカスを実施することは有用であり、それらを高速に実施するために、並列処理を行うことは有用である。いずれも、上記の送信と受信を行うことを基礎として、1フレーム分又は部分的にビームフォーミングするための受信信号を格納し、後に詳述する本発明におけるデジタル波動信号処理を実施すれば良い。また、実時間でイメージ信号を生成できない場合には、フレームレートを下げる場合もあるし、オフラインで処理されることもある。

0149

尚、受信アポダイゼーションは、各開口素子の受信チャンネルにおいて受信信号に対して重み付けを行うものであり、レンジ方向に関して可変であることがある。アナログ的に可変にすることも不可能ではないが、デジタル的に可変にすることは容易である。通常の受信ユニットにおいては、整相加算を行う際に、各位置や各レンジ位置等において実施され、可変であることが多いが、本発明における装置では、デジタル信号処理ユニット33において実施されることになる。一方、可変でないアポダイゼーションが実施されることは稀であるが、その場合には、開口素子によって生成した受信信号にアナログ的な増幅又は減衰によるレベル調整を行う際にアポダイゼーションが行われる。

0150

アポダイゼーションとは別の意味であるが、開口素子の駆動信号の波動への変換効率(変換能)の校正データに基づいて、少なくともレベル校正が行われることもあるし、レベル校正と同時にアポダイゼーションも行われることがある。それらの処理を目的にすることもあるし、受信アナログ信号の波形のダイナミックレンジ非線形的に拡大したり圧縮することもあり、各受信チャンネルにおいて、非線形素子等、他のアナログデバイスが使用されることもある。それらの増幅器等を含み、使用されるアナログデバイスがプログラマブルであることもあり、その設定方法は、様々な形態を取り得る。他のパラメータと同様に、各種入力装置を使用して直接的に設定されることもある。通常、ディレイとアポダーゼーションは、受信ユニット32内において、同じか異なる階層レベルにおいて同じか異なる形態で実現されたものが実施されるものであるが、通常は整相加算器において、本発明においてはデジタル信号処理ユニット33において、自由度高く実施され得るものである。

0151

受信有効開口内の各開口素子の受信チャンネルは、シフトレジスタやマルチプレクサ等のスイッチングデバイスを通じて切り替えられ、別の位置の有効開口が使用されてビームフォーミングを行いながら関心領域が走査されることがある。また、ディレイ素子のディレイ値が可変であることがあるし、ディレイパターン(ディレイ素子群)が切り換えられることもある。さらに、1つの有効開口において複数方向へのステアリングが行われることもあるし、適宜、開口位置や有効開口幅を変えながら、さらには、複数方向へステアリングも行われることもあり、単にメモリ、記憶装置、又は、記憶媒体を節約してアクセス時間を短縮することもある。頻繁に使用するデータを、適宜、読み書きの容易な小規模なメモリに格納する効果も大きい。

0152

本発明において、その節約とアクセス時間の短縮化の意味は大きい。アポダイゼーションパターンを構成するアポダイゼーション素子群が切り換えられることもある。開口位置やレンジ方向、ステアリング方向に依存してビーム形状が調整されることもある。詳細には、アポダイゼーション値が零の受信素子はアクティブではなくオフであることを意味し、アポダイゼーションは有効素子のスイッチをも担い、有効開口幅をも決め得るものである(開口素子アレイ方向のアポダイゼーションの関数が矩形(rectangular)窓であればスイッチはオンであり、一定値でないときは重みの掛かったオンである)。従って、アポダイゼーション素子は、スイッチと同レベルのものである。

0153

また、ディレイパターンやアポダイゼーションパターンが、複数のパターンを備える場合や、プログラマブルである場合に、送信対象からの応答やビームフォーミングの結果に基づいて、装置本体30内のデジタル信号処理ユニット33において、伝搬過程の媒体における波動の減衰や散乱(前方散乱や後方散乱等)、透過、反射、屈折、又は、音速の周波数分散や空間分布等が計算され、各開口から送信して各開口において受信する波動のディレイや強度、ビームや波面のステアリング方向、又は、アポダイゼーションパターン等が、最適化されることがある。

0154

尚、古典的な開口面合成においては、全受信素子が受信器32aを含む受信チャンネルを備えている場合もある。通常、開口面合成は、整相加算器において受信アポダイゼーションと同時に実施されるし、本発明においては、デジタル信号処理ユニット33において、開口面合成が受信アポダイゼーションと同時に実施されることもある。

0155

また、上記の送信ユニット31や受信ユニット32においてパラメータとなる超音波周波数や帯域幅、符号、ディレイパターン、アポダイゼーションパターン、信号処理を目的としたアナログデバイス、有効開口幅、フォーカス位置、ステアリング方向、及び、ビームフォーミングを実施する上で必要とする送信と受信の各々の回数等は、ユニット内の各機能デバイスにCD−ROMやDVD、フロッピー(登録商標)ディスク、又は、MO等の様々な媒体を通じてインストールされることもある。

0156

プログラムを起動して入力装置40からインターラクティブにそれらを選択できる場合もあるし、数値を直接に入力したり、入力装置40の操作パネルでそれらを選択したり、その他、データが記録されたファイルを読み込ませて設定する場合等、様々な場合がある。ディップスイッチ等を使用してそれらを定めることも可能である。ユニットの取り換えや切り替えによる場合もある。また、計測対象を選択したり、使用するトランスデューサを装置に装着すると、それらを認識して、推奨されたパラメータの下で装置が自動的に動作することもある。その後の調整も可能である。また、通常の受信ユニットの機能デバイスを搭載しておくと、適宜、本発明の装置を使用して得られるイメージ画像と、通常の整相加算を通じた特に補間近似を含む処理により得られるイメージ画像とを比較することが可能である。

0157

<入力装置>
入力装置40は、例えば、上記の如く各種パラメータ値を設定するために使用される。入力装置40そのものとしては、キーボードマウス、ボタンパネルスイッチタッチコマンドスクリーンフットスイッチ、又は、トラックボール等の様々なものがあり、それらに限られるものではない。汎用メモリUSBメモリハードディスクフレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、又は、MO等の記憶媒体からオペレーションシステム(OS)やデバイスソフトウェアをインストールしたり、バージョンアップしたり、各種パラメータ値を設定したり、更新したりすることもある。記憶媒体からデータを読み取れる各種デバイスを入力装置40が備えているか、又は、入力装置40がインターフェースを備えて、各種デバイスが必要に応じて装着して使用される。

0158

入力装置40は、本実施形態に係る装置の各種動作モードのパラメータを設定するだけでなく、動作モードの制御や切り替えにも使用される。操作者がヒトである場合には、それらの入力装置40は、いわゆる、マンマシン・インターフェースにもなるが、必ずしもヒトにより制御されるとは限らない。上記の如く、パラメータ値やデータ、又は、制御信号を、他装置から各種規格及びコネクタを通じて受信して、あるいは、有線又は無線通信(即ち、少なくとも受信機能を持つ通信機器)を通じて受信して、同効果が得られること等もあり、上記の例に限られるものでもない。専用か通常のネットワークが使用されることもある。

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