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技術 モータ制御装置及びモータ制御方法

出願人 国立大学法人大阪大学
発明者 杉原知道石川省吾
出願日 2014年8月8日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2014-163172
公開日 2016年3月22日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2016-039737
状態 未査定
技術分野 電動機の制御一般 マニプレータ
主要キーワード 計測トルク 静摩擦トルク 二次遅れ要素 補償程度 電圧換算値 出力節 電圧換 PIDゲイン
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月22日)のものです。
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図面 (12)

課題

柔軟かつ高精度な関節制御を実現する。

解決手段

モータ制御装置(1)は、回転速度センサ(4)により検出された回転速度信号と、予め定められた減速機(3)の動摩擦モデルとに基づいて動摩擦補償信号を生成してモータ(2)に供給する動摩擦補償器(6)と、トルクセンサ(5)により検出されたトルク信号に基づいて静止摩擦補償信号を生成してモータ(2)に供給する静止摩擦補償器(7)とを備える。

概要

背景

産業用途に代表される従来のロボットの多くは、精密な位置決めを必要とする作業の遂行を目的に設計されてきた。そのため、これらのロボットの関節は高ゲインフィードバック補償によって硬く制御され、事故を避けるために、人と隔離された空間に置く必要があった。

しかしながら、近年、人と環境を共有し相互に関わり合い、人の作業を支援するロボットが求められている。このようなロボットの関節は、作業の遂行に十分な位置決め精度を確保するための剛性、及び、接触時における柔軟性という相反する性質を兼ね備えている必要がある。

上記柔軟性を確保する方法としては、ばね・ダンパ等の機構的柔軟要素の利用にすぐに思い至る(非特許文献1)。しかし、このような機構的柔軟要素は制御精度の著しい低下を招く。剛性と柔軟性とを両立するためには、アクチュエータとその力の伝達機構バックドライバビリティを有していなければならない。

ここで、バックドライバビリティとは、出力節に力を加えたときに、当該出力節が可動し、且つ、当該出力節に加えられた力が入力節側に伝わり駆動機を逆駆動できることを意味するものとする。

従来のロボットでは回転型電磁モータ高減速比減速機を組み合わせた小型な構成で、高トルク低回転数の特性を得ている。しかしながら、高い減速比減速機内部の摩擦をも増幅するため、バックドライバビリティを損なう直接的原因となる。摩擦の発生を避けるために、ダイレクトドライブモータを利用した研究もあるが(非特許文献2)、関節の過度な大型化を招いた。電磁駆動によるリニアドライブアクチュエータを用いた研究もあるが(非特許文献3)、十分な推力が得られない。油圧駆動によるリニアドライブアクチュエータ(非特許文献4)も開発されているが、高価であり必ずしも広く利用できるものではない。

このように現時点においては、ハードウェアのみで、この剛性と柔軟性とを兼ね備えるという要求特性を実現することは難しい。一方、従来の回転型電磁モータと高減速比減速機との組み合わせにおいて、減速機内部で生じる摩擦力補償して剛性と柔軟性とを両立するという、問題をソフトウェア的に解決する方法が、近年いくつか報告されている(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)。

また、減速機内部で生じる動摩擦力フィードフォワード制御により補償する構成が開示されている(非特許文献8、特許文献1、特許文献2)。

概要

柔軟かつ高精度な関節制御を実現する。モータ制御装置(1)は、回転速度センサ(4)により検出された回転速度信号と、予め定められた減速機(3)の動摩擦モデルとに基づいて動摩擦補償信号を生成してモータ(2)に供給する動摩擦補償器(6)と、トルクセンサ(5)により検出されたトルク信号に基づいて静止摩擦補償信号を生成してモータ(2)に供給する静止摩擦補償器(7)とを備える。

目的

本発明は、回転型電磁モータと高減速比減速機との組み合わせにおいて、柔軟かつ高精度な関節制御を、安価なハードウェア構成とソフトウェアとにより実現することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

減速機を有するモータを制御するモータ制御装置であって、前記減速機の出力軸の回転速度を検出する回転速度センサと、前記減速機の出力軸のトルクを検出するトルクセンサと、前記回転速度センサにより検出された前記回転速度を表す回転速度信号と、予め定められた前記減速機の動摩擦モデルとに基づいて、前記減速機の動摩擦トルク補償する動摩擦補償信号を生成して前記モータに供給する動摩擦補償器と、前記トルクセンサにより検出された前記トルクを表すトルク信号と、前記減速機の出力軸の回転速度に対応する角加速度を表す角加速度信号に基づいて生成されるモータ慣性トルク信号とに基づいて、前記減速機の静止摩擦トルクを補償する静止摩擦補償信号を生成して前記モータに供給する静止摩擦補償器とを備えたことを特徴とするモータ制御装置。

請求項2

前記動摩擦モデルは、前記モータへの印加電圧を前記減速機の出力軸の回転速度についての関数として与えられる請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項3

前記静止摩擦補償信号は、前記モータ慣性トルク信号と、前記トルク信号に基づいて前記トルクを推定するトルク推定信号と、前記モータへの印加電圧を表す印加電圧信号とに基づいて生成される請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項4

前記減速機は、歯車減速機である請求項1に記載のモータ制御装置。

請求項5

前記歯車減速機は、波動歯車減速機である請求項4に記載のモータ制御装置。

請求項6

減速機を有するモータを制御するモータ制御方法であって、前記減速機の出力軸の回転速度を検出する回転速度検出工程と、前記減速機の出力軸のトルクを検出するトルク検出工程と、前記回転速度検出工程により検出された前記回転速度を表す回転速度信号と、予め定められた前記減速機の動摩擦モデルとに基づいて、前記減速機の動摩擦トルクを補償する動摩擦補償信号を生成して前記モータに供給する動摩擦補償工程と、前記トルク検出工程により検出された前記トルクを表すトルク信号と、前記減速機の出力軸の回転速度に対応する角加速度を表す角加速度信号に基づいて生成されるモータ慣性トルク信号とに基づいて、前記減速機の静止摩擦トルクを補償する静止摩擦補償信号を生成して前記モータに供給する静止摩擦補償工程とを包含することを特徴とするモータ制御方法。

技術分野

0001

本発明は、減速機を有するモータを制御するモータ制御装置及びモータ制御方法に関する。

背景技術

0002

産業用途に代表される従来のロボットの多くは、精密な位置決めを必要とする作業の遂行を目的に設計されてきた。そのため、これらのロボットの関節は高ゲインフィードバック補償によって硬く制御され、事故を避けるために、人と隔離された空間に置く必要があった。

0003

しかしながら、近年、人と環境を共有し相互に関わり合い、人の作業を支援するロボットが求められている。このようなロボットの関節は、作業の遂行に十分な位置決め精度を確保するための剛性、及び、接触時における柔軟性という相反する性質を兼ね備えている必要がある。

0004

上記柔軟性を確保する方法としては、ばね・ダンパ等の機構的柔軟要素の利用にすぐに思い至る(非特許文献1)。しかし、このような機構的柔軟要素は制御精度の著しい低下を招く。剛性と柔軟性とを両立するためには、アクチュエータとその力の伝達機構バックドライバビリティを有していなければならない。

0005

ここで、バックドライバビリティとは、出力節に力を加えたときに、当該出力節が可動し、且つ、当該出力節に加えられた力が入力節側に伝わり駆動機を逆駆動できることを意味するものとする。

0006

従来のロボットでは回転型電磁モータ高減速比減速機を組み合わせた小型な構成で、高トルク低回転数の特性を得ている。しかしながら、高い減速比減速機内部の摩擦をも増幅するため、バックドライバビリティを損なう直接的原因となる。摩擦の発生を避けるために、ダイレクトドライブモータを利用した研究もあるが(非特許文献2)、関節の過度な大型化を招いた。電磁駆動によるリニアドライブアクチュエータを用いた研究もあるが(非特許文献3)、十分な推力が得られない。油圧駆動によるリニアドライブアクチュエータ(非特許文献4)も開発されているが、高価であり必ずしも広く利用できるものではない。

0007

このように現時点においては、ハードウェアのみで、この剛性と柔軟性とを兼ね備えるという要求特性を実現することは難しい。一方、従来の回転型電磁モータと高減速比減速機との組み合わせにおいて、減速機内部で生じる摩擦力補償して剛性と柔軟性とを両立するという、問題をソフトウェア的に解決する方法が、近年いくつか報告されている(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)。

0008

また、減速機内部で生じる動摩擦力フィードフォワード制御により補償する構成が開示されている(非特許文献8、特許文献1、特許文献2)。

0009

特許第4985659号明細書(2012年5月11日登録
特許第3752758号明細書(2005年12月22日登録)

先行技術

0010

G. Pratt, M. Williamson, P. Dillworth, J. Pratt, K. Ullandand A. Wright,“Stiffness Isn’t Everything,” Preprintsof the Fourth International Symposium on ExperimentalRobotics, 1995.
H. Asada, T. Kanade, I. Takeyama, “Control of a Direct-Drive Arm,” Journal of Dynamic Systems, Measurement, and Control, Vol.105, 1983, pp.136-242.
YoshihiroNAKATA, Tianyi YU, Hiroshi ISHIGURO, Katsuhiro HIRATA “Small Size Linear Vernier Motor for Artificial Muscle Applications” The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics, Vol. 20, No.1, 2012, pp.113-118.
Hiroshi Kaminaga, Tomoya Amari, Yukihiro Katayama, Junya Ono, Yuto Shimoyama, and Yoshihiro Nakayama, “Backdrivability Analysis of Electro-Hydrostatic Actuator and Series Dissipative Actuation Model” 2010IEEE International Conference on Robotics and Automation, Anchorage, Alaska, USA, May 3-8, 2010, pp.4204-4211.
G. Hirzinger, N. Sporner, A.Albu-Schaffer, M. Hahnle, R. Krenn, A. Pascucci, M. Schedl “DLR’s torque-controlled light weight robot III: Are we reaching the technological limits now?”Proceedings of the 2002 IEEE International Conference on Robotics and Automation Washington, DC, USA,・May 2002, pp.1710-1716.
T. Kawakami, K. Ayusawa, H. Kaminaga and YoshihikoNakamura, “High-Fidelity Joint Drive System by Torque Feedback Control Using High Precision Linear Encoder,”Proceedings of 2010 IEEE International Conference on Robotics and Automation, Anchorage, Alaska, USA, May 3-8, 2010, pp.3904-3909.
Kenichiro Nagasaki, Yasunori Kawanami, Satoru Shimizu, Takashi Kito, Toshimitsu Tsuboi, Atsushi Miyamoto, Tetsuharu Fukushima and Hideki Shimomura(Sony Corporation) “Whole-body Cooperative Force Control for a Two-Wheeled Mobile Robot Using Generalized Inverse Dynamics and Idealized Joint Units” 2010 IEEE International Conference on Robotics and Automation, Anchorage, Alaska, USA, May 3-8, 2010, pp.3377-3383.
Oussama Khatib, Peter Thaulad, Taizo Yoshizawa, and Jachcung Park (Stanford University, Artificial Intelligence Laboratory) (Honda Research Institute USA, Inc.) “Torque-Position Transformer for Task Control of Position Controlled Robots” 2008 IEEE International Conference on Robotics and Automation Pasadena, CA, USA, May 19-23, 2008, pp.1729-1734.

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、上記非特許文献3〜5に開示された構成は、いずれもトルク計測加速度レベルでの制御を行うもので、高精度な(従って高価な)トルクセンサの使用を前提としており、やはり広く利用できるものではない。

0012

また、非特許文献6、特許文献1〜2に教示された構成では、減速機内部で生じる静止摩擦力を補償することができない。

0013

本発明は、回転型電磁モータと高減速比減速機との組み合わせにおいて、柔軟かつ高精度な関節制御を、安価なハードウェア構成とソフトウェアとにより実現することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

上記の課題を解決するために、本発明に係るモータ制御装置は、減速機を有するモータを制御するモータ制御装置であって、前記減速機の出力軸の回転速度を検出する回転速度センサと、前記減速機の出力軸のトルクを検出するトルクセンサと、前記回転速度センサにより検出された前記回転速度を表す回転速度信号と、予め定められた前記減速機の動摩擦モデルとに基づいて、前記減速機の動摩擦トルクを補償する動摩擦補償信号を生成して前記モータに供給する動摩擦補償器と、前記トルクセンサにより検出された前記トルクを表すトルク信号と、前記減速機の出力軸の回転速度に対応する角加速度を表す角加速度信号に基づいて生成されるモータ慣性トルク信号とに基づいて、前記減速機の静止摩擦トルクを補償する静止摩擦補償信号を生成して前記モータに供給する静止摩擦補償器とを備えたことを特徴とする。

0015

この特徴によれば、減速機の動摩擦トルクは動摩擦補償器により補償する。このため、減速機の静止摩擦トルクを補償する静止摩擦補償器のためのトルクセンサは、バンド幅の小さい安価なトルクセンサを採用することが可能になる。この結果、安価なハードウェア構成とソフトウェアとにより、柔軟かつ高精度な関節制御を実現することができる。

0016

本発明に係るモータ制御装置は、前記動摩擦モデルは、前記モータへの印加電圧を前記減速機の出力軸の回転速度についての関数として与えられることが好ましい。

0017

上記構成によれば、回転速度センサに基づく減速機の出力軸の回転速度と予め定められた減速機の動摩擦モデルとに基づいて、減速機の動摩擦トルクを補償する動摩擦補償信号を、モータへの入力信号に予め印加することができる。

0018

本発明に係るモータ制御装置は、前記静止摩擦補償信号は、前記モータ慣性トルク信号と、前記トルク信号に基づいて前記トルクを推定するトルク推定信号と、前記モータへの印加電圧を表す印加電圧信号とに基づいて生成されることが好ましい。

0019

上記構成によれば、減速機の静止摩擦トルクを補償する静止摩擦補償信号を、モータへの入力信号にフィードバックすることができる。

0020

本発明に係るモータ制御装置では、前記減速機は、歯車減速機であることが好ましい。

0021

上記構成によれば、簡単な構成により、モータの回転を高減速比で減速することができる。

0022

本発明に係るモータ制御装置では、前記歯車減速機は、波動歯車減速機であることが好ましい。

0023

上記構成によれば、簡単な構成により、モータの回転を高減速比で減速することができる。

0024

本発明に係るモータ制御方法は、減速機を有するモータを制御するモータ制御方法であって、前記減速機の出力軸の回転速度を検出する回転速度検出工程と、前記減速機の出力軸のトルクを検出するトルク検出工程と、前記回転速度検出工程により検出された前記回転速度を表す回転速度信号と、予め定められた前記減速機の動摩擦モデルとに基づいて、前記減速機の動摩擦トルクを補償する動摩擦補償信号を生成して前記モータに供給する動摩擦補償工程と、前記トルク検出工程により検出された前記トルクを表すトルク信号と、前記減速機の出力軸の回転速度に対応する角加速度を表す角加速度信号に基づいて生成されるモータ慣性トルク信号とに基づいて、前記減速機の静止摩擦トルクを補償する静止摩擦補償信号を生成して前記モータに供給する静止摩擦補償工程とを包含することを特徴とする。

発明の効果

0025

本発明は、回転型電磁モータと高減速比減速機との組み合わせにおいて、柔軟かつ高精度な関節制御を、安価なハードウェア構成とソフトウェアとにより実現することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0026

実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
上記モータ制御装置に設けられた動摩擦補償器による摩擦補償を説明するためのブロック線図である。
上記モータ制御装置に設けられた静止摩擦補償器による摩擦補償及び上記動摩擦補償器による摩擦補償を説明するためのブロック線図である。
(a)(b)は上記モータ制御装置の実験装置に設けられたモータ及び減速機の構成を示す斜視図である。
上記モータ制御装置の実験装置に設けられたトルクセンサの構成を示す斜視図である。
(a)(b)は上記トルクセンサの動作を説明するための図である。
上記モータ制御装置に設けられた減速機の出力軸の角速度と上記出力軸のトルクを表すPWMデューティ比との関係を示すグラフである。
上記トルクセンサの出力電圧と上記出力軸のトルクとの間の関係を示すグラフである。
上記モータ制御装置の実験装置に設けられたフィードバック(PID)制御器フィードフォワード制御器からなる制御システムのブロック線図である。
(a)〜(d)は上記制御システムにより計測されたトルク値と減速機の出力回転角の値を示す波形図である。
(a)は図10(d)に対応するシミュレーション結果を示す波形図であり、(b)は図10(d)においてトルク推定の精度向上を仮定したシミュレーション結果を示す波形図である。

実施例

0027

以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。

0028

概要
まず、波動歯車減速機(ハーモニックドライブ(登録商標))の動摩擦トルク同定を行い、この動摩擦トルクを補償するトルクをフィードフォワードにより与えることで、大部分の摩擦トルクを補償する。これによって、残留摩擦を補償するために必要なトルクセンサの要求バンド幅を低減することができる。その上で、フォトインタラプタを用いた安価なトルクセンサを構成し、較正を行う。静止摩擦トルク等の補償には、このトルクセンサを使用した外乱オブザーバを構成する。以上の摩擦補償されたモータに2自由度制御を施し、位置制御されたモータに対して外乱を印加した結果、良好な特性が得られることを確認した。

0029

(実施形態)
(モータ制御装置1の構成)
図1は、実施形態に係るモータ制御装置1の構成を示すブロック図である。モータ制御装置1は、減速機3を有するモータ2を制御する。モータ2は、例えば、回転型電磁モータである。減速機3は、例えば、機械的な噛み合いを利用して高減速比で減速する歯車減速機である。歯車減速機は、歯車が所定の回転数により回転しているときに、歯車の歯先同士の接触により摩擦力が生じる。この歯車の接触による摩擦力を予め補償する電圧信号を、モータ2へ供給される電圧信号に加算することにより、減速機3の歯車による摩擦力を打ち消すことができる。

0030

モータ制御装置1は、駆動回路8、回転速度センサ4、及び、トルクセンサ5を備えている。駆動回路8は、モータ2を駆動するための電圧信号をモータに供給する。回転速度センサ4は、減速機3の出力軸の回転速度を検出する。トルクセンサ5は、減速機3の出力軸のトルクを検出する。

0031

モータ制御装置1には、動摩擦補償器6及び静止摩擦補償器7が設けられている。動摩擦補償器6は、回転速度センサ4により検出された減速機3の出力軸の回転速度を表す回転速度信号と、予め定められた減速機3の動摩擦モデルとに基づいて、減速機3の動摩擦トルクを補償する動摩擦補償信号を生成してモータ2に供給する。静止摩擦補償器7は、トルクセンサ5により検出された上記出力軸のトルクを表すトルク信号と、減速機3の出力軸の回転速度に対応する角加速度を表す角加速度信号に基づいて生成されるモータ慣性トルク信号とに基づいて、減速機3の静止摩擦トルクを補償する静止摩擦補償信号を生成してモータ2に供給する。

0032

(フィードフォワード摩擦補償制御
図2は、モータ制御装置1に設けられた動摩擦補償器6による摩擦補償を説明するためのブロック線図である。

0033

(動摩擦特性の同定)
粘性摩擦や動摩擦は、速度の関数として比較的容易に同定することができる。減速機3の内部の動摩擦トルクを減速機3に設けられた出力軸の回転速度の関数として同定し、モータ2への入力電圧信号重畳することで、減速機3の内部で発生する摩擦トルクの大部分を補償することができると考えられる。

0034

モータ2と減速機3とから成る駆動ユニットを考える。モータ2の回路方程式は、

0035

0036

で表される。但し、θはモータ2の回転角、eはモータ2への印加電圧(印加電圧信号)、iはモータ2に流れる電流KEはモータ2の逆起電力定数、Rはモータ2の端子間抵抗、Lはモータ2の自己インダクタンスである。モータ2の運動方程式は、

0037

0038

である。但し、Jはモータ2の軸から見た減速機3の出力軸までのイナーシャ、γは減速機3の減速比、τmはモータ2の発生トルク、τfは減速機3の内部で生じる動摩擦トルク、τeは外部からの負荷トルクである。また、モータ2がDCブラシモータの場合、τmとiはトルク定数KTを用いて、

0039

0040

のように関連付けられる。自己インダクタンスLは十分に小さいとし、さらに無負荷かつ定常状態を考えると、式(1)〜(3)は、

0041

0042

のように整理できる。動摩擦トルクτfにおいて乾性及び粘性の影響が支配的であると仮定すると、モータ2の逆起電力と合わせ、モータ2への印加電圧eは回転速度dθ/dtについての関数として与えられる。このモータ2への印加電圧eと回転速度dθ/dtとの関係を実験的に求め、減速機3の動摩擦モデルを同定する。

0043

(動摩擦トルクのフィードフォワード補償
同定された動摩擦モデルを用いて、図2に示すようなフィードフォワード補償を試みる。回転速度センサ4を構成するエンコーダの値から減速機3の出力軸の回転速度を求め、前述の動摩擦モデルから動摩擦トルクの補償に必要な電圧eff(動摩擦補償信号)を計算する。これを制御電圧ecに重畳することで、減速機3の動摩擦トルクとモータ逆起電力とを併せて相殺できる。

0044

(外乱オブザーバ9による残留摩擦補償)
図3は、モータ制御装置1に設けられた静止摩擦補償器7による摩擦補償及び動摩擦補償器6による摩擦補償を説明するためのブロック線図である。

0045

(外乱オブザーバ9の設計)
ゼロ速度近傍における摩擦トルクは、静止摩擦トルクとして区別される。これは動摩擦トルクと異なり、何らかの値の関数とした摩擦モデルを仮定することが難しい。そこでトルクセンサ5を使用した外乱オブザーバ9を構成し、静止摩擦トルクを補償することを考える。

0046

仮に、図1及び図2で説明した動摩擦補償器6により、すべての摩擦トルクが補償されたとすると、粘性抵抗が補償された減速機3付きモータ2の振る舞いは、理論モデル

0047

0048

に従うはずである。ここで、入力電圧をeuとしている。

0049

しかしながら、実際には非線形摩擦トルクやモデル化誤差が残り、理論通りに減速機3付きモータ2が振る舞うことは無い。

0050

これらの非線形摩擦トルク、モデル化誤差を含む外乱の電圧換算値を、

0051

0052

で表すと、減速機3付きモータ2の運動方程式は、

0053

0054

となる。そこで、図3に示すような外乱オブザーバ9を用い、応答理想化を試みる。但し、トルクセンサ5の出力電圧特性をh(τ)、その逆関数をh−1(e)とし、各添字nはノミナル値であることを表す。

0055

外乱オブザーバ9は、外乱に対応するトルク信号が入力される外乱トルク推定器10が与える負荷トルク推定値(トルク推定信号)τeeと、回転速度センサ4により検出された減速機3の出力軸の回転速度から計算される回転角加速度dθM/dt(角加速度信号)に基づいて生成されるモータ慣性トルク信号とから、減速機3付きモータ2の出力トルクを計算する。そして、この出力トルクを外乱オブザーバ9の換算要素16が電圧に換算し、入力電圧euに対応する印加電圧信号との差分を取ることで、残留摩擦トルクの推定電圧換算値を表す信号

0056

0057

を得る。次に、この残留摩擦トルクの推定電圧換算値を表す信号Δeff(静止摩擦補償信号)を二次遅れ要素17を通して安定化し、制御電圧ecに加算して入力電圧euにフィードバックすることで、

0058

0059

とし、式(5)のモデルにより近い応答を実現できる。

0060

(安価なトルク計測システム)
従来開発されてきたシステムの多くは、外乱オブザーバ9を用いた加速度ベースの制御により理想的な応答を実現している。しかしながら、すべての外乱を外乱オブザーバ9により補償しようとすると、バンド幅の大きいトルクセンサが必要となり、システムが高価になる。そこで、図2では、速度参照によるモデル化可能な動摩擦トルクのフィードフォワード補償について述べた。図1及び図3に示すように、動摩擦補償器6による動摩擦トルクのフィードフォワード補償を、静摩擦補償器7による静摩擦トルクのフィードバック補償と併用することにより、バンド幅の小さい安価なトルクセンサ5でも比較的精度よく外乱補償を行うことが可能である。

0061

図4(a)(b)はモータ制御装置1の実験装置に設けられたモータ2及び減速機3の構成を示す斜視図である。図5は、モータ制御装置1の実験装置に設けられたトルクセンサ5の構成を示す斜視図である。図6(a)(b)はトルクセンサ5の動作を説明するための図である。

0062

モータ2及び減速機3は、基板上に平行に設けられている。モータ2の軸と減速機3の入力軸とは、タイミングベルト11によって結合されている。減速機3の出力軸にはアーム12が取り付けられている。アーム12と減速機3との間に、リング14が固定されている。リング14にはスリット15が形成されている。アーム12のスリット15に対応する位置に、トルクセンサ5を構成するフォトインタラプタ13が配置されている。

0063

本実施形態では,フォトインタラプタ13を備えたトルクセンサ5を採用する。フォトインタラプタ13は、発光ダイオードフォトトランジスタとの間を物体が遮ることで生じる光量変化を、出力電圧の変化として検出する。

0064

図5及び図6に示すように、アーム12にフォトインタラプタ13を設け、リング14にスリット15を形成する。アーム12にトルクを負荷すると曲げ変形によりフォトインタラプタ13とスリット15との間に相対的な変位が生じ、スリット15を通過する光量が変化するため、フォトインタラプタ13の原理をトルク計測に応用できる。

0065

フォトインタラプタ13を用いたトルクセンサ5は、出力が非線形であり、温度に高感度であるという点を除けば、小型軽量であり、なおかつ安価であるというメリットを有する。前述した外乱オブザーバ9で精度よく外乱を補償するためには、このトルクセンサ5の特性を実験によって同定し、トルクセンサ5から出力された電圧に基づいて、実際に負荷されたトルクを正しく推定するための較正が重要となる。

0066

(実験)
(動摩擦トルク・粘性抵抗の同定実験
モータ2(maxon RE-max 29)と減速機3(ハーモニックドライブ(登録商標)減速機(SHG-14-80-2UH-SP)、波動歯車減速機)から成る図4(a)(b)に示す駆動ユニットを用いて、式(4)に基づきモータ2が回転する時に減速機3に発生する動摩擦トルクを計測する実験を行った。

0067

モータ2はマイコンを含む駆動回路8から制御するため、電圧はPWM(Pulse Width Modulation)で与え、デューティ比で調整した。実験はデューティ比の増減による回転速度の変化を計測することで行い、デューティ比は静止状態では1.0%、回転状態では0.2%ずつ、最大±64.0%まで増減させた。但し、デューティ比の符号はモータ2への印加電圧の正負に対応する。回転速度は、デューティ比を1%ないし0.2%増減させるごとに、周期2[ms]で1000サンプル計測し、これらの平均を取った。このときの結果を図7に示す。

0068

図7は、モータ制御装置1に設けられた減速機3の出力軸の角速度と上記出力軸のトルクを表すPWMデューティ比との関係を示すグラフである。スイッチング素子であるMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)のオン抵抗温度特性により温度ドリフトが生じているが、回転速度について粘性特性符号関数である乾性特性の和となっていることが図から読み取れる。

0069

(トルクセンサ5の特性確認
図8は、トルクセンサ5の出力電圧と減速機3の出力軸のトルクとの間の関係を示すグラフである。図4(a)に示す実験機に着脱可能なアーム12を図4(b)に示すように取り付け、アーム12へ負荷するトルクとトルクセンサ5の出力電圧との間の関係を実験によって計測した、この結果が図8に示すグラフであり、無視できない大きさのヒステリシスを有する曲線Cが確認された。このヒステリシスはアーム12の材料の粘性と塑性変形とが大きな原因であると考えられる。また、温度変化等による大きなドリフトも確認された。本来ならば、これらのヒステリシスやドリフトは適当なモデルとパラメータの同定とにより補償される方が望ましい。しかしながら、本実施形態ではトルクセンサ5を構成するフォトインタラプタ13の出力電圧と減速機3の出力軸のトルクとの間に図8に示す直線Lのような比例関係が成り立つことを仮定し、精度の低いトルク推定下での制御性能を評価する。

0070

(制御実験)
図3に示したモータ制御装置1に対して位置制御実験を行った。実機のパラメータは、
Rn=2.36〔Ω〕、
KTn=2.58×10−2〔N・m/A〕、
Jn=7.01×10−6〔kg・m2〕、
γ=120、
ωL=250〔rad/s〕、
である。

0071

図7に示すように同定されたハーモニックドライブ(登録商標)式の減速機3の動摩擦トルクに対して、フィードフォワード摩擦補償を施す場合は、制御が不安定にならないように、この動摩擦トルクよりも5〜10%小さめの補償トルク電圧換算して重畳した。上記同定された動摩擦トルクと上記小さめの補償トルクとの間の差分のトルクは、静止摩擦補償器7によるフィードバック制御により補償される。

0072

このフィードフォワード摩擦補償で補償できなかった摩擦トルクは、外乱オブザーバ9により補償される。摩擦トルクが完全に補償された理想的なモータの入力電圧euから出力回転角θまでの伝達関数は、

0073

0074

で表される。これに対し、PID制御器

0075

0076

と、目標値応答を改善するためのフィードフォワード制御器

0077

0078

から成る2自由度制御器を設計し、図9に示すような制御システムを構成した。

0079

但し、KPはPID制御比例ゲインであり、KIはその積分ゲインであり、KDはその微分ゲインである。ωn、αωnはフィードバック系固有振動数であり、ζ減衰係数であり、これらには、

0080

0081

の関係がある。ω′n、αω′nは目標値応答に関する固有振動数であり、大きめにとることで速応性の高い目標値応答を可能にする。

0082

以上のシステムに対して、外乱応答を考慮した小さめのPIDゲインを設定し、制御周期2〔ms〕の2自由度制御実験を行った。各パラメータは、
ωn=4.50〔rad/s〕、
ω′n=50.0〔rad/s〕、
ζ=0.60、
α=0.80、
とした。

0083

実験は、
実験(a)補償なし、
実験(b)フィードフォワード補償のみ、
実験(c)外乱オブザーバのみ、
実験(d)フィードフォワード補償と外乱オブザーバとの併用
の4通りを実施した。各実験において、下記の4つの操作を与えた。
1.減速機3の出力軸の角度が10.0°となる目標値を設定する。
2.ゆっくりと外乱トルクを負荷する。
3.外乱トルクを除荷する。
4.素早く瞬間的に外乱トルクを負荷する。

0084

計測トルクの値と減速機3の出力回転角(ジョイント回転角)の値をグラフにしたものを図10(a)〜(d)に示す。計測トルクには、PWM周波数電源商用周波数由来ノイズが多く載っており、ヒステリシスやドリフトも見られる。目標値や外乱トルクに対する出力角度の応答を比較する。

0085

図10(a)を参照すると、補償なしでは摩擦トルクが非常に大きく、ジョイント回転角は、目標値にも外乱トルクにも全く応答できていない。本実施形態で設定されたPIDゲインが非常に小さいということは、この条件における目標値応答がよく表している。

0086

図10(b)を参照すると、フィードフォワード補償(動摩擦補償器6)のみの場合は、ある程度応答が改善されているが、残留摩擦により停止してしまい、これによるフィードバック制御の積分器発散によりジョイント回転角の挙動振動的となっている。

0087

図10(c)を参照すると、外乱オブザーバ9(静止摩擦補償器7)のみの場合は、目標値応答、外乱応答ともに大きく改善されている。しかしながら、目標値近傍で振動的となっていることが分かる。これは、外乱オブザーバ9の安定化のために挿入している2次遅れ要素17により、補償に遅延が生じるためと考えられる。

0088

図10(d)を参照すると、フィードフォワード補償(動摩擦補償器6)と外乱オブザーバ9(静止摩擦補償器7)との併用によって、外乱オブザーバ9の補償量を低減することができ、図10(c)で現れていた遅延を解消することができる。しかしながら、この場合でも目標値近傍で振動が生じ、完全に収束させることはできていない。

0089

この原因について、シミュレーションを用いて考察した。考えられる原因としては、タイミングベルト11の粘弾性を無視した制御器を構成していること、トルクセンサ5のトルク推定精度が低いこと、制御周期が十分でなく、外乱オブザーバ9の残留摩擦補償が遅れること等が考えられる。これらを検証するため、タイミングベルト11の粘弾性を考慮した2慣性系

0090

0091

として実機のモデル化を行った。但し、
Jmはモータ2の出力軸のイナーシャ、
θmはモータ2の回転角、
Jgは減速機3の入力軸のイナーシャ、
θgは減速機3の入力軸の回転角、
である。
また、
τgは減速機3の入力軸に作用するトルクであり、
タイミングベルト11の弾性係数をKb、粘性係数Cbとすると、

0092

0093

と表される。予備実験より、Kb≒10〔N・m/rad〕、Cb≒0.01〔N・m・s/rad〕であることが分かっているが、これよりも弾性を大きくし、1慣性系近似できる場合でもシミュレーション結果は変わらなかった。従って、振動はタイミングベルト11に起因するものではないといえる。

0094

一方、本実施形態において制御周期は2〔ms〕としたが、この制御周期をより小さく設定することで、外乱オブザーバ9の安定化のためのLPF(Low Pass Filter)のカットオフ周波数ωLを大きく取れることが分かった。即ち、これにより補償の遅れを低減し残留摩擦の影響を小さくすることで、滑らかな制御を実現することができると考えられる。さらに、微小な振動を除去するためには、今後ヒステリシスやドリフトの対策を含めたトルク推定精度の向上を図る必要があると分かった。

0095

以上を示したものが図11である。図11(a)は図10(d)に対応するシミュレーション結果を示す波形図であり、(b)は図10(d)においてトルク推定の精度向上を仮定したシミュレーション結果を示す波形図である。実験(d)のシミュレーションを示す波形図を示すのが図11(a)であり、実験(d)において制御周期を500〔μs〕、LPFのカットオフ周波数をωL=500〔rad/s〕とし、トルク推定の精度向上(ここではノイズの軽減)を仮定したシミュレーション結果を表す波形図を示すのが図11(b)である。

0096

(変形例)
上述した実施形態では、機械的な噛み合いを利用して高減速比で減速する歯車減速機によりモータ2の回転を減速する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、油圧機構によりモータ2の回転を減速するように構成しても良い。この場合、動摩擦補償器6は、配管の壁面と油との間で生じる粘性摩擦を補償する。

0097

また、実施形態では、モータ2が、回転型電磁モータである例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、モータ2はリニアモータであってもよい。

0098

さらに、実施形態では、減速機3が波動歯車減速機である例を示したが、本発明はこれに限定されない。減速機3は、遊星歯車減速機等の、波動歯車減速機以外の歯車減速機であってもよい。

0099

(実施形態のまとめ)
本実施形態では、回転型電磁方式のモータ2と高減速比の減速機3との組み合わせにおいて、ソフトウェア的に柔軟かつ高精度な関節制御を、安価なハードウェア構成で実現した。その上で、外乱オブザーバ9とフィードフォワード摩擦補償とを併用することでトルクセンサ5の要求バンド幅を低減し、安価に比較的精度よく外乱補償を行う方法を提案した。また、外乱存在下で位置制御実験を実施することで、提案方法により、大きな摩擦を持つ駆動システムでも応答の改善が可能であることを示した。

0100

ロボットの柔らかな制御を阻む原因は、主に、減速機3の内部で生じる摩擦トルクである。従来の構成において外乱を計測してフィードバックすることは、結局、この減速機3の内部で生じる摩擦トルクを推定して補償していることと同義である。本実施形態は、事前に、減速機3の内部で生じる摩擦トルクを同定しておき、フィードフォワードに上記摩擦トルクを補償することにより、フィードバックによって補償しなければならない摩擦トルクを減少させる。この結果、外乱を測定するトルクセンサ5に要求される精度が低減する。

0101

具体的には、従来の構成において必要とされるトルクセンサの単価が数十万円から百万円程度であったが、本実施形態によって数百円程度に減少する。また、本実施形態によれば、制御精度を著しく低下させるバネ等の柔軟な機械要素空気圧アクチュエータ等の使用が不要になる上に、ソフトウェアにより摩擦トルクの補償程度を調節することができる。従って、作業中に自由に位置決め精度を回復することが可能になる。

0102

歯車式の減速機3のような回転型減速機の内部摩擦は、回転速度のみの関数となり、負荷慣性回転角度に依存しない。従って、ロボットに組み込む前のモータ2、減速機3を含むユニット単体の段階で、減速機3の内部で生じる摩擦トルクの特性を同定することが可能である。減速機3の回転速度はエンコーダによる回転速度センサ4により比較的容易に計測することができる。このため、計測した回転速度に基づいて、減速機3の内部摩擦を打ち消すフィードフォワード信号を予めモータ2への入力電圧信号に重畳することが可能である。

0103

停動トルクが減速機3に作用した時に発生する静止摩擦トルクは推定することができないので、上記静止摩擦トルクを補償するためには、これをトルクセンサ5によって計測する必要があるが、要求される計測精度はそれほど高くないので、トルクセンサ5は安価なセンサで十分実用に足りる。

0104

以上のように本実施形態によれば、フィードバック制御とフィードフォワード制御との組み合わせによって、柔らかさと硬さとを兼ね備えたモータ制御を極めて安価に実現することができる。本実施形態は、従来のロボットが苦手としてきた作業、即ち、物や人との頻繁且つ不規則衝突・接触を伴う作業の自動化を大きく促進し、新産業創出にもつながる可能性が高い。

0105

〔ソフトウェアによる実現例〕
モータ制御装置1の制御ブロック(特に動摩擦補償器6及び静止摩擦補償器7)は、集積回路ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。

0106

後者の場合、動摩擦補償器6及び静止摩擦補償器7は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラム命令を実行するCPU、上記プログラム及び各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(又はCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形媒体」、例えば、テープディスクカード半導体メモリプログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体通信ネットワーク放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

0107

本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

0108

本発明は、減速機を有するモータを制御するモータ制御装置及びモータ制御方法に利用することができる。

0109

また、本発明に係るモータ制御装置及びモータ制御方法は、工作機械、ロボットに利用することができ、特に、対象とぶつかることによってはじめて任務が遂行される作業をするロボット、例えば、介護ロボット被災地復興支援ロボット災害救助ロボット等に利用することができる。

0110

さらに本発明は、セルベース生産システムにおける多種の複雑形状部品のロボットによる組立作業に利用することができる。

0111

さらに本発明は、高齢者、障碍者の生活支援、福祉介護支援に利用することができる。

0112

さらに本発明は、原子力発電所のような超複雑環境内での高度な機器操作を含む遠隔ロボット作業に利用することができる。

0113

1モータ制御装置
2モータ
3減速機
4回転速度センサ
5トルクセンサ
6動摩擦補償器
7静止摩擦補償器
8駆動回路
9外乱オブザーバ
10トルク推定器
11タイミングベルト
12アーム
13フォトインタラプタ
14リング
15 スリット

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