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技術 センシングシステム

出願人 株式会社デンソー
発明者 西原有哉中村拓也
出願日 2014年8月6日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-160340
公開日 2016年3月22日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-038241
状態 特許登録済
技術分野 超音波による材料の調査、分析
主要キーワード 設置環境条件 温度減少 仮定条件 伝搬経路長 対象温度 I信号 パッシブミキサ 弾性表面波センサ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

1つの信号源を用いて構成しつつ幅広い範囲で物理量を測定可能にできるようにしたセンシングシステムを提供する。

解決手段

位相角算出部は、SAWセンサ2の第1伝搬経路Aを通じて検出された第1検出信号及びバースト信号に応じて算出される第1位相角θAと、バースト信号がSAWセンサ2の第2伝搬経路Bを通じて検出された第2検出信号及びバースト信号に応じて算出される第2位相角θBと、の位相差演算し、演算された位相差θdiffに応じてSAWセンサ2に影響する物理量を検出する。

概要

背景

弾性表面波素子(以下、SAW(Surface Acoustic Wave)素子)は、圧電体基板上に形成された櫛型電極(以降IDT(Inter Digital Transducer)と称す)に信号を印加し、弾性表面波伝搬させることで知られている。遅延線タイプのSAWセンサは、入力信号出力信号とのSAWの遅延量に基づく位相差に応じて測定対象物理量を求める。

位相角は±180degの範囲となるが測定対象による位相角の変化量が激しい場合、真の位相角を検出しにくくなる。例えば、SAWセンサが温度に対して位相角の変化量の大きい特性を備えるときには繰り返し温度毎に同じ位相角が検出されることになる。位相角の温度依存特性が例えば8[deg/℃]であるときには45[deg]毎に同じ位相角が検出される。

このとき、測定対象の物理量の変化の範囲が位相角の検出範囲を超えないように、低感度のSAWセンサを使用する方法が一般に採用されている。低感度のSAWセンサは、例えばSAWの伝搬経路の長さを短くすることで物理量の変化に対し位相角の変化を小さくすることで構成できる。しかしながら、このような低感度のSAWセンサは分解能が低くなり、伝搬経路を短く設計するため遅延時間が短くなる。遅延時間が短いとバースト信号入力可能な時間が短くなる。

また、複数の測定対象(例えば温度と変形量)を測定するシステム構築する場合には複数のSAWセンサを用いることがあるが、このとき、低感度のSAWセンサを複数使用すると互いの遅延時間が近くなり、伝搬信号を受付ける時間がほぼ一致してしまう。このため、SAWセンサの判別が困難となる。

概要

1つの信号源を用いて構成しつつ幅広い範囲で物理量を測定可能にできるようにしたセンシングシステムを提供する。位相角算出部は、SAWセンサ2の第1伝搬経路Aを通じて検出された第1検出信号及びバースト信号に応じて算出される第1位相角θAと、バースト信号がSAWセンサ2の第2伝搬経路Bを通じて検出された第2検出信号及びバースト信号に応じて算出される第2位相角θBと、の位相差を演算し、演算された位相差θdiffに応じてSAWセンサ2に影響する物理量を検出する。

目的

本発明の目的は、1つの信号源を用いて構成しつつ、幅広い範囲で物理量を測定可能にできるようにしたセンシングシステムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第1伝搬経路長を備える第1伝搬経路、及び、第2伝搬経路長を備える第2伝搬経路を備える遅延線タイプの弾性表面波センサ(以下SAWセンサ)(2、102、202、302、402、502)と、信号源から所定周波数バースト信号を前記SAWセンサに伝搬させ伝搬信号を検出するセンシング装置(3、3a)と、前記センシング装置の検出信号に応じて前記SAWセンサに影響する物理量を算出する制御装置(4)と、を備え、前記制御装置は、前記センシング装置の検出信号に応じて位相角を算出する位相角算出部(19)を備え、前記位相角算出部は、前記SAWセンサの第1伝搬経路を通じて検出された第1検出信号及び前記バースト信号に応じて算出される第1位相角(θA)と、前記バースト信号が前記SAWセンサの第2伝搬経路を通じて検出された第2検出信号及び前記バースト信号に応じて算出される第2位相角(θB)と、の位相差(θdiff)を演算し、前記演算された位相差に応じて前記SAWセンサに影響する物理量を検出することを特徴とするセンシングシステム

請求項2

請求項1記載のセンシングシステムにおいて、1つの前記SAWセンサが、前記第1及び第2の伝搬経路を備えることを特徴とするセンシングシステム。

請求項3

請求項1記載のセンシングシステムにおいて、前記SAWセンサは、第1SAW素子(120、220、320、420)、及び、第2SAW素子(121、221、321、421)を備え、前記第1SAW素子が前記第1伝搬経路を備え、前記第2SAW素子が前記第2伝搬経路を備えることを特徴とするセンシングシステム。

請求項4

請求項1〜3の何れか一項に記載のセンシングシステムにおいて、前記第1位相角(θA)及び第2位相角(θB)は共に、前記SAWセンサ(2)に影響する物理量の変化に応じて位相特性中の第1象限〜第4象限内で変化し、且つ、当該第1象限〜第4象限内において−180[deg]≦θA≦180[deg]、且つ、−180[deg]≦θB≦180[deg]の範囲内の値を得る演算量であり、前記位相角算出部は、前記第1位相角(θA)及び前記第2位相角(θB)が時間経過に伴い変化したときに、前記第1位相角(θA)又は前記第2位相角(θB)が第2象限から第3象限に跨いだと判定したときには変化量の加減算と共に360[deg]加算して補正し、前記第1位相角(θA)又は前記第2位相角(θB)が第3象限から第2象限に跨いだと判定したときには変化量の加減算と共に360[deg]減算して補正することを特徴とするセンシングシステム。

技術分野

0001

本発明は、弾性表面波素子を用いたセンシングシステムに関する。

背景技術

0002

弾性表面波素子(以下、SAW(Surface Acoustic Wave)素子)は、圧電体基板上に形成された櫛型電極(以降IDT(Inter Digital Transducer)と称す)に信号を印加し、弾性表面波伝搬させることで知られている。遅延線タイプのSAWセンサは、入力信号出力信号とのSAWの遅延量に基づく位相差に応じて測定対象物理量を求める。

0003

位相角は±180degの範囲となるが測定対象による位相角の変化量が激しい場合、真の位相角を検出しにくくなる。例えば、SAWセンサが温度に対して位相角の変化量の大きい特性を備えるときには繰り返し温度毎に同じ位相角が検出されることになる。位相角の温度依存特性が例えば8[deg/℃]であるときには45[deg]毎に同じ位相角が検出される。

0004

このとき、測定対象の物理量の変化の範囲が位相角の検出範囲を超えないように、低感度のSAWセンサを使用する方法が一般に採用されている。低感度のSAWセンサは、例えばSAWの伝搬経路の長さを短くすることで物理量の変化に対し位相角の変化を小さくすることで構成できる。しかしながら、このような低感度のSAWセンサは分解能が低くなり、伝搬経路を短く設計するため遅延時間が短くなる。遅延時間が短いとバースト信号入力可能な時間が短くなる。

0005

また、複数の測定対象(例えば温度と変形量)を測定するシステム構築する場合には複数のSAWセンサを用いることがあるが、このとき、低感度のSAWセンサを複数使用すると互いの遅延時間が近くなり、伝搬信号を受付ける時間がほぼ一致してしまう。このため、SAWセンサの判別が困難となる。

先行技術

0006

特開2014−20841号公報

発明が解決しようとする課題

0007

例えば、特許文献1記載の技術が提供されている。特許文献1記載の技術は、遅延線タイプのSAWセンサにおいて、互いに異なる駆動周波数の信号により得られる2つの位相角の差分を処理することで測定可能な物理量の範囲を拡張している。

0008

しかしながら、2つ以上の駆動周波数に応じてSAWセンサを判別する方法を使用すると、互いに異なる駆動周波数の信号源を複数使用しなければならず、分解能、遅延時間の制約の面で不利となる。しかも、特許文献1記載の技術によれば、2つの信号源を使用している形態もあり、この場合、バースト信号を送信して反射波を受信した後、バースト信号を再度送信して反射波を受信しなければならず、位相差を算出するために送信及び受信を2回繰り返さなければならない。

0009

本発明の目的は、1つの信号源を用いて構成しつつ、幅広い範囲で物理量を測定可能にできるようにしたセンシングシステムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

請求項1記載の発明によれば、遅延線タイプの弾性表面波センサは、第1伝搬経路長の第1伝搬経路、及び、第2伝搬経路長の第2伝搬経路を備える。センシング装置は、信号源から所定周波数のバースト信号をSAWセンサに伝搬させ伝搬信号を検出する。これにより信号源を1つとすることができる。制御装置は、センシング装置の検出信号に応じてSAWセンサに影響する物理量を算出する。位相角算出部は、SAWセンサの第1伝搬経路を通じて検出された第1検出信号及びバースト信号に応じて算出される第1位相角と、バースト信号がSAWセンサの第2伝搬経路を通じて検出された第2検出信号及びバースト信号に応じて算出される第2位相角と、の位相差を演算し、演算された位相差に応じてSAWセンサに影響する物理量を検出する。

0011

この請求項1記載の発明によれば、位相差算出部が、第1位相角と第2位相角の位相差を演算し、この演算された位相差に応じてSAWセンサに影響する物理量を検出しているため、たとえ位相角の感度の大きなSAWセンサを用いて分解能良く処理できるようにしたとしても、物理量に対する位相差の依存特性を低感度化でき、幅広い範囲で物理量を測定可能にできる。

図面の簡単な説明

0012

第1実施形態に係るセンシングシステムを概略的に示す電気的構成
センシング装置の処理を概略的に示すタイミングチャート
第1及び第2の伝搬経路に応じた位相角の温度依存特性とその位相差の算出内容を概略的に示す説明図
位相角の補正処理を概略的に示すフローチャート(その1)
位相角の補正処理を概略的に示すフローチャート(その2)
位相角の補正処理を概略的に示すフローチャート(その3)
位相角の補正処理を概略的に示すフローチャート(その4)
位相角の補正処理を概略的に示すフローチャート(その5)
位相角の補正処理を概略的に示すフローチャート(その6)
第2実施形態に係るセンシングシステムを概略的に示す電気的構成図
第3実施形態に係るセンシングシステムを概略的に示す電気的構成図
第4実施形態に係るセンシングシステムを概略的に示す電気的構成図
第5実施形態に係るセンシングシステムを概略的に示す電気的構成図
第6実施形態に係るセンシングシステムを概略的に示す電気的構成図
他の実施形態に係るセンシングシステムを概略的に示す電気的構成図

実施例

0013

以下、センシングシステムの幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。各実施形態において同一又は類似の動作を行う構成については、同一又は類似の符号を付して必要に応じて説明を省略する。

0014

(第1実施形態)
まず図1を参照し、センシングシステムの概略構成について説明する。図1に示すセンシングシステム1は、遅延線タイプの弾性表面波センサ(以下SAWセンサと称す)2と、SAWセンサ2により検出されるSAWの位相角を検出するセンシング装置3と、センシング装置3の検出信号を入力し物理量(例えば温度T)を検出する制御装置4と、を備える。図1には模式的に示しているが、SAWセンサ2は反射型のものを用いている。SAWセンサ2は、バースト信号の入力に応じて弾性表面波を生じさせる櫛型電極(以下IDTと称す: Inter Digital Transducer)5と、SAWを反射する反射器6a、6bと、を圧電体基板7に設けて構成される。

0015

圧電体基板7は、例えばニオブ酸リチウムにより構成されており、IDT5は例えばアルミニウムにより構成される。IDT5は、例えば櫛歯の数がそれぞれ数十本(例えば40本)の2つの電極所定ピッチ(例えば9.6μm)で一対にして構成されている。IDT5は一つの電極が接地されており、もう一つの電極はセンシング装置3に入力されている。反射器6a、6bは、IDT5と同一材料であるアルミニウムからなっており、SAWの進行方向と垂直な方向に延びた数十本(例えば40本)の電極が所定ピッチ(例えば9.6μm)で並設して構成され、IDT5と反射器6a、6bとの間の距離は概ね数mm(例えば3mm)程度に設定されている。本実施形態では、IDT5が反射器6a及び6b間に設置されている形態を示す。このとき、IDT5と反射器6aとの間の伝搬経路Aの第1伝搬経路長L1は、IDT5と反射器6bとの間の第2伝搬経路Bの第2伝搬経路長L2に比較して短くなっている。

0016

他方、センシング装置3は、バースト信号を出力する信号源8と、移相器8aと、送信用増幅器9と、送受信切換用のスイッチ10と、受信用増幅器11と、ミキサ12、13と、フィルタ14、15と、を備え、フィルタ14、15の出力に制御装置4を接続して構成されている。信号源8は、例えば200MHz程度に設定された所定周波数のバースト信号を出力する。

0017

送信用増幅器9は、信号源8からバースト信号を入力すると、このバースト信号を増幅し、スイッチ10に出力する。スイッチ10は制御装置4から与えられる制御信号に応じて送信側/受信側に切換可能に構成されている。スイッチ10は、送信用増幅器9側に切換えられていると、送信用増幅器9の増幅信号をSAWセンサ2に出力する。このスイッチ10は、初期状態において制御装置4により送信用増幅器9側に切換えられており、この場合、送信用増幅器9とSAWセンサ2とを接続し信号を入出力可能とする。すると、増幅されたバースト信号は、スイッチ10を通じてSAWセンサ2に出力される。バースト信号がSAWセンサ2に入力されると、圧電体基板7に横波の弾性表面波が発生し、この波がIDT5から反射器6a及び6bに向かって進行する。波は反射器6a及び6bに反射されIDT5に戻る。IDT5に戻った波は電気信号に変換されセンシング装置3に入力される。

0018

センシング装置3は、通常、波がIDT5を伝搬している間に制御装置4がスイッチ10を送信側から受信側に切換える。すると、センシング装置3はIDT5から入力される電気信号を検出できる。この電気信号は受信側増幅器11に出力される。受信側増幅器11はこの電気信号を増幅し2つのミキサ12、13に出力する。一のミキサ12は、例えばパッシブミキサにより構成され、信号源8による出力信号を直接入力し受信側増幅器11の出力信号と混合し、一のフィルタ14に出力する。

0019

また、移相器8aは、信号源8による出力信号を例えば90[deg]進相又は遅相し、もう一つのミキサ12に出力する。このもう一つのミキサ13は、例えばパッシブミキサにより構成され、移相器8aの出力信号と受信側増幅器11の出力信号とを混合し、もう一つのフィルタ15に出力する。フィルタ14、15は、それぞれ例えば所定周波数以上の波の成分をカットする低域通過フィルタにより構成される。制御装置4は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成される。この制御装置4は、制御部16、A/D変換器17、及び記憶部18を備える。制御部16が、記憶部18に記憶されたプログラムに基づいて演算処理することで、信号源8が移相器8aを通じて出力するバースト信号とミキサ12、13を介して受信された検出信号とから位相角θA、θBを算出する位相角算出部19としての機能を備える。この位相角算出部19は、2つの位相角θA、θBに基づいて、これらの位相角θA、θBの差分を計算する差分処理手段としての機能を含む。

0020

位相角算出部19の差分処理手段は、2つの位相角θA、θBの位相差(θA−θB)を演算する。ここで2つの位相角θA、θBとは、信号源8から出力された所定周波数のバースト信号が、2つの伝搬経路長L1、L2を介してセンシング装置3に戻ってきたときにそれぞれ得られる位相角である。制御部16は位相角θA、θBを記憶部18に記憶させ、位相角θA、θBの位相差θdiff(=θA−θB)を記憶部18に記憶させる。

0021

上記構成の作用について説明する。SAWセンサ2を用いて測定する物理量を温度とした場合の処理について順を追って説明する。まず、SAWセンサ2が所定温度下に置かれた状況において、制御部16は、スイッチ10を送信側に切換え、信号源8から所定周波数のバースト信号を出力させる。この場合、バースト信号はSAWセンサ2と移相器8aと一つのミキサ12とに直接入力される。移相器8aに入力されたバースト信号は位相が例えば90度進相されミキサ13に入力される。SAWセンサ2は、このバースト信号をIDT5に入力すると、IDT5から2つの反射器6a、6bに向けて圧電体基板7にSAWを発生させる。反射器6a、6bにSAWが伝わると反射器6a、6bはSAWを反射する。

0022

制御部16は、SAWが反射器6a、6bを介してIDT5に戻る前またはスイッチ10に到達する前に、スイッチ10を受信側に切換える。すなわちSAWセンサ2とミキサ12及び13とを接続する。反射器6a、6bで反射されたSAWはIDT5を振動させる。このときIDT5の一対の電極間電位差を生じる。検出信号はスイッチ10を経由しミキサ12、13に入力される。ここで検出信号は、それぞれの反射器6a、6bを通じて伝達された伝搬信号毎にその位相の遅相量が異なるものとなるが、SAWセンサ2の構成状態及び設置環境条件などに応じて、何れの検出信号の位相角(遅相量)θA、θBも信号源8が発するバースト信号の位相より遅れることになる。

0023

ミキサ12はバースト信号及び検出信号を混合し、ミキサ13は移相器8aにより90度移相されたバースト信号及び検出信号を混合し低域通過フィルタ14、15にそれぞれ出力する。低域通過フィルタ14、15は、入力された信号を積分処理して制御装置4に出力する。このとき、例えば位相角θAについて、互いに直交するI信号SI=cosθA、Q信号SQ=sinθAが得られ、位相角θBについて、互いに直交するI信号SI=cosθB、Q信号SQ=sinθBが得られる。

0024

I信号SI、Q信号SQは、位相角が同一で互いに直交する信号であるため、制御部16内の位相角算出部19はarctan(SQ/SI)を算出する。個々の位相角θA、θBについてこの算出処理が行われる。このとき算出された位相角θA及びθBは記憶部18に記憶される。位相角θA、θBは、それぞれ−180[deg]≦θA≦180[deg]、−180[deg]≦θB≦180[deg]の範囲で算出される。換言すれば、−180[deg]≦θA≦180[deg]、−180[deg]≦θB≦180[deg]、を超える範囲では温度Tを算出できない。そこで、本実施形態の位相角算出部19は、差分処理手段としての機能を備えており、位相角θAとθBの位相差θdiff(=θB−θA)を算出している。そして、制御部16は算出された位相差に基づいて温度Tを特定する。

0025

各位相角θA、θBは、SAWの波長λと、SAWセンサ2内の伝搬経路長L1及びL2と、に応じて決定される。伝搬経路長L1、L2が長ければ長いほど、信号の伝搬距離が長くなり、温度変化に応じた位相角θA、θBの変化量が大きくなる。逆に言えば、伝搬経路長L1、L2を変化させることは、感度θK_L1(伝搬経路Aの感度)、θK_L2(伝搬経路Bの感度)を変化させることに直結する。なお、波長λが一定の場合、感度θK_L1、θK_L2は、θK_L1:θK_L2 = L1 : L2の関係となる。これらの感度θK_L1、θK_L2は、例えば予めシミュレーション又は実験などに応じて求められるパラメータであり、記憶部18内に記憶される。

0026

本実施形態に示すように、制御部16内の位相角算出部19が差分処理手段により位相角θAとθBの位相差θdiff(=θB−θA)を算出することで、低感度と見做すことが可能な伝搬経路を見た目生成できる。この見た目低感度となる伝搬経路は、その感度がθK_L2−θK_L1となり、この伝搬経路の感度が伝搬経路長(L2−L1)に比例する。

0027

図2はこの処理に係るタイミングチャートを示している。伝搬経路長L1、L2が互いに異なるため、期間TZ1中において信号源8が1回バースト信号を出力しても(送信信号TX参照)、その後、SAWセンサ2を介して検出される検出信号は、そのSAWセンサ2の伝搬経路長L1、L2の差に基づいて遅延時間τ1、τ2が互いに異なることになる(受信信号RX参照)。この結果、位相角θAとθBを算出するための信号検出イミングが互いに異なる(期間TZ1、TZ2参照)。このとき、制御装置4が、それぞれのI信号SI(又はQ信号SQ)を検出することで、制御部16がそれぞれの遅延時間τ1、τ2に対応した検出信号について、位相角θA、θBを算出できる。

0028

図3(a)は温度変化に応じた位相角θA、θBの温度依存性の一部を示しており、図3(b)は差分処理手段によりこれらの位相角θA及びθB間の位相差θdiffを求めた結果の一部を示している。これらの図3(a)、図3(b)の内容について、対象温度範囲を拡張した場合の位相角θA、θBの温度依存性を示しており、図3(d)はこれらの位相角θA及びθB間の位相差θdiffを算出した結果を示している。

0029

これらの図3(a)〜図3(d)に示すように、たとえ位相角θA、θBの変化範囲が±180[deg]以内であったとしても、位相差θdiffはその最大幅を±360[deg]に拡張できる。この位相差θdiffは、第1伝搬経路長L1の感度θK_L1の(L2−L1)/L1倍の位相角とみなすことができる。

0030

このようにして、2つの伝搬経路A、Bを備えたSAWセンサ2を用いて温度依存性を低感度化することができ、この信号を用いて位相差θdiffが何回転しているか算出できる。この結果、位相角θA、θBの変化量が大きい高感度なSAWセンサ2を用いたとしても、低感度のSAWセンサのごとく挙動させることができる。

0031

以下、具体的な演算処理について場合に分けて説明する。基本的に、位相角θA、θBの位相変化量が360度(1周)を超えてしまうと、位相角θA、θBが何回転しているか算出できないため、この算出された位相角θA、θBに対して補正を加える。算出された位相角θA,θBは、−180[deg]≦θA≦180[deg]、−180≦θB≦180[deg]の条件を満たすため、位相角θA、θBは、その位相特性上、第1象限〜第4象限内の何れかの象限内又はその境界に存在することになる。ここで、第1象限は0[deg]〜90[deg]、第2象限は90[deg]〜180[deg]、第3象限は180[deg]〜270[deg]、第4象限は270[deg]〜360[deg]を表す。

0032

そこで、制御部16は、後述する演算処理を行うことで、位相角θA、θBが、時刻t−1から時刻tになるときに第1象限〜第4象限内の何れの象限内の移動であるか、または、第2から第3象限、第3から第2象限への移動であるかを判定し、この判定結果に応じて360[deg]を加減算処理して、補正後の位相角をθcorrectA_t、θcorrectB_tとして求める。

0033

まず、制御部16は、SAWセンサ2を伝搬した伝搬信号に応じて、位相角算出部19により位相角θA、θBを算出し(図4のS1)、これらの位相角θA、θBの位相差θdiffを、次の(1)式に応じて算出する(図4のS2)。

0034

θdiff = θB − θA …(1)
これらの位相角θA、θB、及び位相差θdiffは、SAWセンサ2から伝搬信号をセンシング装置3に入力したときに周期的に算出される。そこで、ある時刻tにおける位相角θA、θBをそれぞれ位相角θA_t、θB_tとし、その時刻tにおける位相差θdiffをθdiff_tとする。

0035

制御部16は、位相差θdiffの時間変化分θΔdiffを、時刻tの位相差θdiff_tから時刻t−1の位相差θdiff_t-1を減算することで、次の(2)式に応じて算出する(図4のS3)。

0036

θΔdiff = θdiff_t − θdiff_t-1 …(2)
この後、制御部16は、θΔdiff=0[deg]、0[deg]<θΔdiff<180[deg]、−180[deg]<θΔdiff<0[deg]、θΔdiff<−180[deg]、θΔdiff>+180[deg]、の場合に分けて処理を行う(図4のS4)。制御部16は、ステップS4においてθΔdiff=0[deg]と判定した場合、位相差θdiffが変化しないことを表す。この場合、例えば位相角θA、θBは共に時間変化しない。このため、時刻tにおける補正後位角θcorrectA_t、補正後位相角θcorrectB_tは、時刻t−1における補正後の位相角を補正後位相角θcorrectA_t-1、補正後位相角θcorrectB_t-1とした場合、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 … (3A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 … (3B)
とし、補正することなくそのまま維持する(図5のTA1、TA2)。

0037

また、制御部16は、ステップS4において0[deg]<θΔdiff<180[deg]と判定した場合、位相角θA、θBの変化量を算出し(図6のTB1)、位相角θA、θBが共に単調増加したか否かを判定する(図6のTB2)。

0038

具体的な処理例としては、時刻tの位相角θAから時刻t−1の位相角θAを減算して位相差θA_t−θA_t-1を算出し、時刻tの位相角θBから時刻t−1の位相角θBを減算して位相差θB_t−θB_t-1を算出し、これらの算出値が0を超えるか否かを判定する方法がある。
制御部16は、位相角θA、θBが共に単調増加したと判定したときには、位相角θA、θBが共に特異点を跨がない増加であると判定する(図6のTB3)。この場合、例えば、図3(c)及び図3(d)の時刻tx1→ty1に示すように、図3(d)に示す右矢印方向Z1に位相差θdiffが単調増加することになる。ここで「特異点を跨がない」とは、これらの2つの時刻tx1→ty1の間に第2象限から第3象限又は第3象限から第2象限に移動していない、ことを意味する。このとき、補正後位相角θcorrectA_t、補正後位相角θcorrectB_tは、単調増加分のみを加算し、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 +(θA_t − θA_t-1)
… (4A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 +(θB_t − θB_t-1)
… (4B)
として補正する(図6のTB4、TB5)。

0039

また、制御部16は、ステップTB2においてNOと判定した場合には、位相角θA、θBが共に第2象限から第3象限に移動した特異点を跨ぐ増加であると判定する(図6のTB6)。すなわち、位相角θA、θBが共に180[deg]を超えたときにステップTB2においてNOと判定される。この場合、例えば、図3(c)及び図3(d)の時刻ta→tbに示すように、図3(d)の右矢印方向Z1に位相差θdiffが変化するものの、これらの2つの時刻ta→tbの間に位相角θA、θBが共に第2象限から第3象限に移動したことで急激な位相変化を生じている。

0040

このため、時刻tにおける本来の位相角θA_t、θB_tは、時刻t−1における位相角θA_t-1、θB_t-1を基準として考慮すれば、共に360[deg]加算して補正すると良い。そこで、制御部16は、補正後位相角θcorrectA_t、θcorrectB_tとして、単調増加分に1周分の補正値を加算し、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 +(θA_t − θA_t-1 +360)
… (5A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 +(θB_t − θB_t-1 +360)
… (5B)
とする(図6のTB7、TB8)。このようにして補正処理が行われる。

0041

また、制御部16は、ステップS4において−180[deg]<θΔdiff<0[deg]と判定した場合、位相角θA、θBの変化量を算出し(図7のTC1)、位相角θA、θBが共に単調減少したかを判定する(図7のTC2)。

0042

具体的な処理例としては、時刻tの位相角θAから時刻t−1の位相角θAを減算して位相差θA_t−θA_t-1を算出し、時刻tの位相角θBから時刻t−1の位相角θBを減算して位相差θB_t−θB_t-1を算出し、これらの双方の算出値が0未満となるか否かを判定する方法がある。

0043

制御部16は、位相角θA、θBが共に単調減少したと判定したときには、位相角θA、θBが共に特異点を跨がない減少であると判定する(図7のTB3)。この場合、例えば図3(c)及び図3(d)の時刻tx2→ty2に示すように、図3(d)に示す左矢印方向Z2に位相差θdiffが単調減少することになる。ここでいう「特異点を跨がない」とは、これらの2つの時刻tx2→ty2の間に第2象限から第3象限又は第3象限から第2象限に移動していない、ことを意味するものである。このときには、補正後位相角θcorrectA_t、補正後位相角θcorrectB_tは、単調減少分のみを加算し、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 +(θA_t − θA_t-1)
… (6A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 +(θB_t − θB_t-1)
… (6B)
として補正する(図7のTC4、TC5)。

0044

また、制御部は、ステップTC2においてNOと判定した場合には、位相角θA、θBが共に第3象限から第2象限に移動した特異点を跨ぐ増加であると判定する(図7のTC6)。すなわち、−180[deg]を下回るときにステップTC2においてNOと判定される。この場合、例えば、図3(c)及び図3(d)の時刻tc→tdに示すように、位相差θdiffが左矢印方向Z2に変化するものの、これらの2つの時刻tc→tdの間に位相角θA、θBが共に第3象限から第2象限に移動したことで急激な位相変化を生じている。このため、時刻tにおける位相角θA_t、θB_tは、時刻t−1における位相角θA_t-1、θB_t-1を基準として考慮すれば、共に360[deg]減算して補正すると良い。そこで制御部16は、補正後位相角θcorrectA_t、θcorrectB_tとして、単調増加分に1周分の補正値を減算し、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 +(θA_t − θA_t-1 −360)
… (7A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 +(θB_t − θB_t-1 −360)
… (7B)
とする(図7のTC7、TC8)。このようにして補正処理が行われる。

0045

また、制御部16は、ステップS4においてθΔdiff<−180[deg]と判定した場合には、まず時刻t−1から時刻tまでの位相差θdiffの増加方向判定処理する(図8のTD1)。すなわち、位相差θdiffが図3(d)の左右矢印方向Z1、Z2の何れに移動したか(温度増加温度減少)を判定処理する。具体的には(θdiff_t+360[deg])−θdiff_t-1を算出処理し、0を上回っているか下回っているか判定する方法が挙げられる。このように、360[deg]を加算している理由は、ステップS4においてθΔdiff<−180[deg]と判定したことから、時刻t−1から時刻tまでの間にθΔdiffが急激な位相減少を経ていることが確定しているため、この内容を考慮しているものである。

0046

ここで、(θdiff_t+360[deg])−θdiff_t-1が0を上回っているときには(TD1:>0)、位相差θdiffが図3(d)の右矢印方向Z1に移動したと判定し、この場合、位相角θBが第2象限から第3象限内に移動するように特異点を跨いだ減少をしたと判定する(図8のTD2)。例えば、図3(c)及び図3(d)の時刻te→tfの位相変化を参照。このとき、制御部16は、補正後位相角θcorrectA_t、補正後位相角θcorrectB_tについて、位相角θcorrectB_t-1にのみ単調減少分と共に一周分の位相角を加算し、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 +(θA_t − θA_t-1)
… (8A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 +(θB_t − θB_t-1 + 360)
… (8B)
として補正する(図8のTD3、TD4)。また、制御部16は、(θdiff_t+360[deg])−θdiff_t-1が0を下回っているときには(TD1:<0)、位相差θdiffが図3(d)の左矢印方向Z2に移動したと判定し、この場合、位相角θAが第3象限から第2象限内に移動するように特異点を跨いだ増加をしたと判定する(図8のTD5)。例えば、図3(c)及び図3(d)の時刻tg→thの位相変化を参照。このとき、制御部16は、補正後位相角θcorrectA_t、補正後位相角θcorrectB_tについて、位相角θcorrectA_t-1にのみ単調減少分と共に一周分の位相角を減算し、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 +(θA_t − θA_t-1 − 360)
… (9A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 +(θB_t − θB_t-1)
… (9B)
として補正する(図8のTD6、TD7)。このようにして補正処理が行われる。

0047

また、制御部16は、ステップS4においてθΔdiff>+180[deg]と判定した場合にも同様に、時刻t−1から時刻tまでの位相差θdiffの増加方向を判定処理する(図9のTE1)。すなわち、位相差θdiffが図3(d)の左右矢印方向Z1、Z2の何れに移動したか、を判定処理する。具体的な方法としては、(θdiff_t−360[deg])−θdiff_t-1を算出処理し、0を上回っているか下回っているか判定する方法が挙げられる。このように360[deg]を減算している理由は、ステップS4においてθΔdiff>−180[deg]と判定したことから、時刻t−1から時刻tまでの間にθΔdiffが急激な位相増加を経ていることが確定しているため、この内容を考慮しているものである。

0048

ここで、(θdiff_t−360[deg])−θdiff_t-1が0を上回っているときには(図9のTE1:>0)、位相差θdiffが図3(d)の右矢印方向Z1に移動したと判定し、この場合、位相角θAが第2象限から第3象限内に移動するように特異点を跨いだ減少をしたと判定する(図9のTE2)。図3(c)及び図3(d)の時刻ti→tjの位相変化を参照。このとき、制御部16は、補正後位相角θcorrectA_t、補正後位相角θcorrectB_tについて、位相角θcorrectA_t-1にのみ単調減少分と共に一周分の位相角を加算し、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 +(θA_t − θA_t-1 + 360)
… (10A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 +(θB_t − θB_t-1)
… (10B)
として補正する(図9のTE3、TE4)。また制御部16は、(θdiff_t−360[deg])−θdiff_t-1が0を下回っているときには、位相差θdiffが図3(d)の左矢印方向Z2に移動したと判定し、この場合、位相角θBが第3象限から第2象限内に移動するように特異点を跨いだ増加をしたと判定する(図9のTE5)。:図3(c)及び図3(d)の時刻tk→tlの位相変化を参照。このときには、補正後位相角θcorrectA_t、補正後位相角θcorrectB_tは、位相角θcorrectA_t-1にのみ単調減少分と共に一周分の位相角を減算し、
θcorrectA_t = θcorrectA_t-1 +(θA_t − θA_t-1)
… (11A)
θcorrectB_t = θcorrectB_t-1 +(θB_t − θB_t-1 − 360)
… (11B)
として補正する(図9のTE6、TE7)。このようにして補正処理が行われる。このようにして処理された補正後位相角θcorrectA_t、θcorrectB_tを用いて温度を特定することができる。SAWセンサ2の伝搬信号に応じて求められる位相角θが、温度Tによる物理量のみで変化するという仮定条件下では、温度Tは補正後の位相角θcorrectA_tを用いて、
T = (θcorrectA_t − θcorrect_t=0) / θK_L1 … (12)
として算出することができる。ここで、θK_L1は前述したように感度を示しており、温度Tが1[°C]変化するときの例えば位相角θAの変化度を示している。なお、補正後位相角θcorrectA_t、感度θK_L1(伝搬経路Aの感度)に替えて、補正後位相角θcorrectB_t、感度θK_L2(伝搬経路Bの感度)を用いても良い。

0049

<まとめ>
高感度で高分解能なSAWセンサの位相角が何回転しているのかを調べる為に、低感度な素子を使用する方法が考えられる。しかし、この方式を用いると遅延時間によるバースト信号の入力時間の制約の問題は解決されない。

0050

本実施形態によれば、位相角算出部19は、SAWセンサ2を伝搬する伝搬信号の第1位相角θAと第2位相角θBとの位相差θdiffを演算し、この演算された位相差θdiffに応じて物理量となる温度Tを算出している。このため、たとえ位相角θA、θBの感度の大きなSAWセンサ2を用いて分解能良く処理できるようにしたとしても、温度Tに対する位相差θdiffの依存特性を低感度化することができ、幅広い範囲で温度Tを測定可能にできる。

0051

1つのSAWセンサ2が2つの伝搬経路A及びBを備えているため、SAWセンサ2をコンパクト化できる。
また、第1位相角θA及び第2位相角θBは共に、SAWセンサ2に影響する物理量の変化に応じて位相特性中の第1象限〜第4象限内で変化し、且つ、当該第1象限〜第4象限内において−180[deg]≦θA≦180[deg]、且つ、−180[deg]≦θB≦180[deg]の範囲内の値を得る演算量であるが、位相角算出部19は、第1及び第2の位相角θA及びθBが時間経過に伴い変化したときに、第1又は第2の位相角θA又はθBが第2象限から第3象限に跨いだと判定したときには、変化量の加減算と共に360[deg]加算して補正している。この結果、第1又は第2の位相角θA又はθBが第2象限から第3象限に跨いだときに位相角θA又はθBを補正できる。

0052

位相角算出部19は、第1及び第2の位相角θA及びθBが時間経過に伴い変化したときに、第1又は第2の位相角θA又はθBが第3象限から第2象限に跨いだと判定したときには、変化量の加減算と共に360[deg]減算して補正している。この結果、第1又は第2の位相角θA又はθBが第3象限から第2象限に跨いだときにも位相角θA又はθBを補正できる。

0053

(第2実施形態)
図10は第2実施形態を示す。第1実施形態ではSAWセンサ2とセンシング装置3とが有線接続された形態を示したが、有線接続に限定されるものではなく、図10に示すように、SAWセンサ2のIDT5とセンシング装置3のスイッチ10との間に信号送受信用のアンテナ20を備える形態を適用しても良い。すなわち、無線接続する構成を採用しても良い。

0054

(第3実施形態)
第3実施形態ではSAWセンサ102の他の構成を例示する。第1実施形態では反射器6a、6bを設けた反射型のSAWセンサ2を採用したが、第3実施形態を示す図11に示すように、非反射型のSAWセンサ102を採用して構成しても良い。このSAWセンサ102は、第1及び第2のSAW素子120及び121が複数併設されることで構成される。これらの第1及び第2のSAW素子120及び121は、それぞれ、圧電体基板7上に入力用のIDT105aと出力用のIDT105bとが対向配置されることで構成される。各IDT105a、105bの詳細構造は、第1実施形態におけるIDT5と同様の構造となっている。

0055

ここで、入力用のIDT105aは、2つの電極が一対にして構成されているが、この一対のうち一つの電極は接地されており、もう一つの電極はセンシング装置3aの信号源8に接続されている。出力用のIDT105bもまた、2つの電極が一対にして構成されているが、この一対のうち一つの電極は接地されており、もう一つの電極はセンシング装置3a内のミキサ12及び13に接続されている。

0056

本実施形態では、入力用のIDT105aと出力用のIDT105bとが別々に構成されており、センシング装置3aは、信号源8から入力用IDT105aに信号を出力すると、出力用IDT105b及びミキサ12、13を通じてSAWセンサ102を伝搬した信号を取得できる。したがって、センシング装置3aには、第1実施形態に示した入出力切換用のスイッチ10を設ける必要がなくなる。このようなSAWセンサ102を用いても良い。

0057

(第4実施形態)
図12に示す第4実施形態でもSAWセンサ202の他の構成を例示する。図12に示すSAWセンサ202は、IDT205a及び反射器206aによる第1SAW素子220、及び、IDT205b及び反射器206bによる第2SAW素子221、を同一の圧電体基板7に併設して備える。IDT205aと反射器206aとが圧電体基板7の上の第1所定領域に第1伝搬経路長L1の第1伝搬経路Aを備える。IDT205bと反射器206bとが圧電体基板7の上の第2所定領域に第2伝搬経路長L2の第2伝搬経路Bを備える。このような場合、IDT205aと反射器206aとが第1伝搬経路Aを通じてSAWを伝達し、IDT205bと反射器206bとが第2伝搬経路Bを通じてSAWを伝達する。そして、これらのIDT205a、205bと反射器206a、206bとが互いに並列してセンシング装置3に接続されている。このようなSAWセンサ202を用いても同様に適用できる。

0058

(第5実施形態)
図13に示す第5実施形態でもSAWセンサ302の他の構成を例示する。第1実施形態ではIDT5が2つの反射器6a、6bに挟まれることで第1及び第2伝搬経路A、Bを備える形態を示したが、図13に示すSAWセンサ302は、この構成要素5、6a、6bによる第1SAW素子320に加えて、他のIDT305及び反射器306による第2SAW素子321を別途備え、この第2SAW素子321が第3伝搬経路長L3の第3伝搬経路Cを通じてSAWを伝達する形態としても良い。第1〜第3の伝搬経路A〜Cの伝搬経路長L1〜L3は互いに異なる距離とすると良い。センシング装置3はこれらの第1〜第3の伝搬経路A〜Cのうち何れか2つのSAWを選択的に受信する。このようなSAWセンサ302を用いても同様に適用できる。

0059

(第6実施形態)
図14に示す第6実施形態でもSAWセンサ402の他の構成を例示する。図14に示すSAWセンサ402は、短絡タイプの入力用IDT405a及び出力用IDT406aによる第1SAW素子420と、反射型のIDT405b及び反射器406bによる第2SAW素子421とを同一の圧電体基板7の上に搭載して構成される。ここで、短絡タイプの入力用IDT405aと出力用IDT406aとの一方の電極は短絡して構成されており、他方の電極は接地されている。IDT405b及び反射器406bは、IDT5及び反射器6と同様の構造とされている。

0060

本実施形態では、信号源8がバースト信号をSAWセンサ402に入力させるときには、制御装置4の制御部16がスイッチ10を切換えることによりSAWセンサ402と信号源とを接続してSAWセンサ402に入力させ、SAWがSAWセンサ402を伝搬している最中にスイッチ10をミキサ12及び13側に切換えることでセンシング装置3が検出信号を入力する。このようなSAWセンサ402を用いても同様に適用できる。

0061

(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形または拡張が可能である。
SAWセンサの種類は、前述実施形態に挙げた例に限定されるものではなく、前述実施形態に挙げた例以外にも種々の形態のものを採用することができる。遅延線タイプのSAWセンサであり少なくとも2つ以上の伝搬経路A、B(、C)を備える形態であれば、どのようなタイプのSAWセンサでも適用できる。例えば、図15にSAWセンサ502を示すように、共通の圧電体基板7の上にIDT505が一方に形成されると共に、反射器506a、506bが他方に2つ離間して形成されている形態に適用しても良い。

0062

前述実施形態では、SAWセンサ2、102、202、302、402、502の測定対象となる物理量について、温度を対象として説明したが、この測定対象は前述説明に限定されるものではなく、位相角θが変化することに応じて変化する物理量であれば測定対象として適用できる。例えば、このSAWセンサ2、102、202、302、402、502を取り付けた対象物の歪みを測定することも可能となる。

0063

なお、特許請求の範囲に付した括弧付き符号は本願明細書の構成要素に対応する符号を付したものであり構成要素の一例を挙げたものである。したがって、本願に係る発明は当該特許請求の範囲の構成要素に付した符号の要素に限られるわけではなく、特許請求の範囲内の用語又はその均等の範囲で様々な拡張が可能である。

0064

図面中、2、102、202、302、402、502は弾性表面波センサ(SAWセンサ)、120、220、320、420は第1SAW素子、121、221、321、421は第2SAW素子、3、3aはセンシング装置、4は制御装置、19は位相角算出部、θAは第1位相角、θBは第2位相角、θdiffは位相差、を示す。

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