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技術 制振システム

出願人 株式会社大林組
発明者 西影武知北山宏貴佐藤朋成濱田征彦藤田政也吉田治佐野剛志
出願日 2014年8月8日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-162574
公開日 2016年3月22日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-038049
状態 特許登録済
技術分野 防振装置
主要キーワード リニアスライダー 振幅依存性 振り子型 ストローク変化 小ストローク 鉄骨フレーム 相対速 過大変位
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

倒立振り子を用いずに、周期の調整の容易な制振ステムを実現する。

解決手段

本発明は、制振対象物に固定された上部構造部と、前記上部構造部から吊られた第1質量体と、前記制振対象物に固定された下部構造部と、水平方向にスライド可能に前記下部構造部上に支持された第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体との鉛直方向の相対変位許容しつつ、前記第1質量体と前記第2質量体との水平方向の相対変位を拘束する連結部材とを備えることを特徴とする。

概要

背景

従来より、上部構造部から吊られた質量体を備えた振り子型制振ステムが知られている。特許文献1〜3には、上部構造部から吊られた質量体(第1質量体)で構成した振り子と、下部構造部から倒立支持した質量体(第2質量体)で構成した倒立振り子とを連結して構成した制振システムが記載されている。

概要

倒立振り子を用いずに、周期の調整の容易な制振システムを実現する。本発明は、制振対象物に固定された上部構造部と、前記上部構造部から吊られた第1質量体と、前記制振対象物に固定された下部構造部と、水平方向にスライド可能に前記下部構造部上に支持された第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体との鉛直方向の相対変位許容しつつ、前記第1質量体と前記第2質量体との水平方向の相対変位を拘束する連結部材とを備えることを特徴とする。

目的

本発明は、倒立振り子を用いない新たな構造の制振システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

制振対象物に固定された上部構造部と、前記上部構造部から吊られた第1質量体と、前記制振対象物に固定された下部構造部と、水平方向にスライド可能に前記下部構造部上に支持された第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体との鉛直方向の相対変位許容しつつ、前記第1質量体と前記第2質量体との水平方向の相対変位を拘束する連結部材とを備えることを特徴とする制振システム

請求項2

請求項1に記載の制振システムであって、前記第1質量体と前記第2質量体との間に前記鉛直方向に配置されたダンパーを備えることを特徴とする制振システム。

請求項3

請求項2に記載の制振システムであって、前記ダンパーは、前記第1質量体と前記第2質量体との前記鉛直方向の相対速度が小さいときに減衰係数が大きくなり、前記相対速度が大きいときに前記減衰係数が小さくなることを特徴とする制振システム。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載の制振システムであって、前記連結部材は、前記第1質量体と前記第2質量体との鉛直方向の相対変位に対して、復元力を生じさせることを特徴とする制振システム。

請求項5

請求項1に記載の制振システムであって、前記連結部材は、前記第1質量体と前記第2質量体との前記鉛直方向の相対移動に対して減衰力を生じさせることを特徴とする制振システム。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の制振システムであって、前記第1質量体は、前記第2質量体を囲繞することを特徴とする制振システム。

請求項7

請求項1〜5のいずれかに記載の制振システムであって、前記第2質量体は、前記第1質量体を囲繞することを特徴とする制振システム。

技術分野

0001

本発明は、制振ステムに関する。

背景技術

0002

従来より、上部構造部から吊られた質量体を備えた振り子型の制振システムが知られている。特許文献1〜3には、上部構造部から吊られた質量体(第1質量体)で構成した振り子と、下部構造部から倒立支持した質量体(第2質量体)で構成した倒立振り子とを連結して構成した制振システムが記載されている。

先行技術

0003

特開2011−12745号公報
特開2012−141005号公報
特開平11−37212号公報

発明が解決しようとする課題

0004

倒立振り子は不安定であるため、設置が容易でない。また、また、大質量の倒立振り子の安全性を確保しようとすると、制振システムの構造が複雑になる。

0005

本発明は、倒立振り子を用いない新たな構造の制振システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

かかる目的を達成するための本発明は、制振対象物に固定された上部構造部と、前記上部構造部から吊られた第1質量体と、前記制振対象物に固定された下部構造部と、水平方向にスライド可能に前記下部構造部上に支持された第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体との鉛直方向の相対変位許容しつつ、前記第1質量体と前記第2質量体との水平方向の相対変位を拘束する連結部材とを備えることを特徴とする制振システムである。

発明の効果

0007

本発明によれば、倒立振り子を用いない新たな構造の制振システムを提供できる。

図面の簡単な説明

0008

図1Aは、第1実施形態の制振システム1を上から見た図である。図1Bは、図1Aで省略した上部構造部11を上から見た図である。
図2A〜図2Cは、図1Aの各部の断面説明図である。
図3Aは、第1実施形態の制振システム1の第1質量体M1及び第2質量体M2のモデル説明図である。図3Bは、第1質量体M1の水平方向及び鉛直方向の変位の説明図である。
図4A及び図4Bは、第1実施形態の制振システム1のダンパー32の動作説明図である。
図5A〜図5Dは、第1実施形態の制振システム1の時間変化グラフである。図5Eは、第2実施形態の制振システム1の時間変化のグラフであり、図6Bのダンパー32を用いた場合の減衰力Fの時間変化のグラフである。
図6Aは、ストローク変化速度Vが小さいときの減衰係数Cが大きく、鉛直方向のストローク変化速度Vが大きいときの減衰係数Cが小さいダンパー32の減衰力Fのグラフ(F−V線図)である。図6Bは、ストローク変化速度Vが小さいときの減衰係数Cが大きく、鉛直方向のストローク変化速度Vが大きいときの減衰係数Cが小さいダンパー32の減衰係数Cのグラフ(C−V線図)である。
図7A〜図7Cは、制振システム1の水平変位Dxに対するダンパー32の減衰力Fのグラフである。図7Aは第2参考例のグラフであり、図7Bは第1実施形態のグラフであり、図7Cは第2実施形態のグラフである。
図8A及び図8Bは、別のダンパー32の減衰力Fのグラフである。
図9は、第3実施形態の制振システム1の説明図である。
図10Aは、第1参考例の制振システム1のモデル説明図である。図10Bは、第2参考例の制振システム1のモデル説明図である。
図11A及び図11Bは、図10Bの第2参考例の制振システム1のダンパー32の動作説明図である。
図12は、減衰係数Cが一定のダンパー32の減衰力Fのグラフである。
図13A〜図13Dは、第2参考例の場合の時間変化のグラフである。
図14は、第3参考例の制振システム1のモデル説明図である。

実施例

0009

後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。

0010

制振対象物に固定された上部構造部と、前記上部構造部から吊られた第1質量体と、前記制振対象物に固定された下部構造部と、水平方向にスライド可能に前記下部構造部上に支持された第2質量体と、前記第1質量体と前記第2質量体との鉛直方向の相対変位を許容しつつ、前記第1質量体と前記第2質量体との水平方向の相対変位を拘束する連結部材とを備えることを特徴とする制振システムが明らかとなる。これにより、倒立振り子を用いない制振システムを実現可能である。

0011

前記第1質量体と前記第2質量体との間に前記鉛直方向に配置されたダンパーを備えることが望ましい。これにより、小ストロークのダンパーを用いることができる。

0012

前記ダンパーは、前記第1質量体と前記第2質量体との前記鉛直方向の相対速度が小さいときに減衰係数が大きくなり、前記相対速度が大きいときに前記減衰係数が小さくなることが望ましい。これにより、制振対象物の振幅が小さいときに、ダンパーの吸収エネルギー極端に低下することを抑制できる。

0013

前記連結部材は、前記第1質量体と前記第2質量体との鉛直方向の相対変位に対して、復元力を生じさせることが望ましい。これにより、第1質量体と第2質量体の過大な変位を抑制できる。

0014

前記連結部材は、前記第1質量体と前記第2質量体との前記鉛直方向の相対移動に対して減衰力を生じさせることが望ましい。これにより、ダンパーを省略可能である。

0015

前記第1質量体は、前記第2質量体を囲繞することが望ましい。若しくは、前記第2質量体は、前記第1質量体を囲繞することが望ましい。前記第2質量体が前記第1質量体を囲繞する場合には、吊り部材の間隔を狭くできる。

0016

===参考例===
<第1参考例>
図10Aは、第1参考例の制振システム1のモデル説明図である。第1参考例の制振システム1は、上部構造部11から吊られた質量体Mで構成された振り子型の制振システム1である。

0017

質量体Mを吊す吊り部材21の長さをLとすると、第1参考例の質量体Mの周期Tは、次式の通りである。

0018

T=2π√(L/g)

0019

つまり、第1参考例の制振システム1の場合、周期Tは吊り部材21の長さLにのみ依存することになる。このため、制振対象物となる建物固有周期が長い場合、第1参考例の制振システム1では、吊り部材21の長さLを長くする必要があり、制振システム1が大型化してしまう。

0020

加えて、制振システム1の周期Tを調整するときには、吊り部材21の長さLを調整するしかない。しかし、質量体Mは大質量であるため、安全性を確保しながら吊り部材21の長さLを調整するには、手間やコストがかかってしまう。

0021

<第2参考例>
図10Bは、第2参考例の制振システム1のモデル説明図である。第2参考例の制振システム1は、第1参考例の制振システム1に更にダンパー32を追加した構造である。
第2参考例のダンパー32は、質量体Mの水平方向の変位に対して減衰力を発生するように配置されている。但し、制振対象物となる建物の固有周期が長い場合、吊り部材21の長さLを長くする必要があるため、この結果、質量体Mの水平方向の変位が大きくなる。このため、第2参考例のダンパー32は、水平方向に大きく変位する質量体Mに追従する必要がある。しかし、大ストローク(例えば数メートルストローク)のダンパー32は、コストがかかってしまう。

0022

<第3参考例>
図14は、第3参考例の制振システム1のモデル説明図である。
第3参考例の制振システム1は、第1質量体M1及び吊り部材21による振り子と、第2質量体M2及び支持アーム22による倒立振り子とを連結部材31で連結して構成されている。なお、第1質量体M1及び第2質量体M2の振動を安定させるため、第2質量体M2は第1質量体M1よりも質量が小さくなるように構成されている。連結部材31は、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対変位を許容しつつ、第1質量体M1と第2質量体M2との水平方向の相対変位を拘束する。

0023

第1質量体M1の質量をm1、第2質量体M2の質量をm2、吊り部材21及び支持アーム22の長さをLとすると、このモデルの周期Tは、次式の通りである(なお、上記の通り、第2質量体M2は第1質量体M1よりも質量が小さく構成されているので、m1−m2>0である)。

0024

T=2π√{(L/g)×(m1+m2)/(m1−m2)}

0025

第3参考例の制振システム1の場合、周期Tは、吊り部材21の長さLだけでなく、第1質量体M1及び第2質量体M2の質量にも依存する。このため、第1質量体M1及び第2質量体M2の質量を調整すれば、吊り部材21の長さLを短縮可能である。また、第1質量体M1及び第2質量体M2の質量を調整すれば、吊り部材21等の長さLを調整しなくても、周期Tの調整が可能である。
但し、倒立振り子(第2質量体M2及び支持アーム22)が単体では不安定であるため、第3参考例の制振システム1の設置作業は容易でない。また、第2質量体M2が大質量であるため、不安定な倒立振り子の安全性を確保しようとすると、制振システム1の構造が複雑になってしまう。

0026

===第1実施形態===
基本構成
図1Aは、第1実施形態の制振システム1を上から見た図である。図1Bは、図1Aで省略した上部構造部11を上から見た図である。図2A〜図2Cは、図1Aの各部の断面説明図である。

0027

第1実施形態の制振システム1は、上部構造部11と、下部構造部12と、第1質量体M1と、吊り部材21と、第2質量体M2と、連結部材31と、ダンパー32とを有する。

0028

上部構造部11及び下部構造部12は、制振対象物となる建物に固定された構造部である。下部構造部12は例えば建物の床であり、上部構造部11は、例えば床に固定した鉄骨フレームである。

0029

第1質量体M1は、上部構造部11から吊り部材21により吊られた質量体である。吊り部材21は、第1質量体M1を上部構造部11から吊り下げる部材である。吊り部材21は、上端が上部構造部11に対して回動可能に連結されており、下端が第1質量体M1に対して回動可能に連結されている。第1質量体M1及び吊り部材21によって、振り子が構成されている。

0030

第2質量体M2は、下部構造部12に対して水平方向にスライド可能に支持された質量体である。第2質量体M2は、転がり支承などの支承部材23によって、水平方向にスライド可能に下部構造部12上に支持されている。支承部材23は、第2質量体M2を水平方向にスライド可能に下部構造部12上に支持する支持部材である。

0031

第1実施形態では、第2質量体M2が下部構造部12に直接支持されているため、第3参考例の支持アーム22が不要になり、不安定な倒立振り子の設置と比べると、第2質量体M2の設置が容易になる。

0032

連結部材31は、第1質量体M1と第2質量体M2とを連結する部材である。連結部材31は、第1質量体M1と第2質量体M2との水平方向の相対変位を拘束する。これにより、第1質量体M1及び第2質量体M2の水平方向の変位は同じになる。第1質量体M1及び第2質量体M2が水平方向に変位すると、第1質量体M1が鉛直方向上側に変位するため、連結部材31は、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対変位を許容しつつ、第1質量体M1と第2質量体M2との水平方向の相対変位を拘束する。なお、第1実施形態では、第2質量体M2は、鉛直方向には変位しない。
連結部材31として、ここでは積層ゴムが用いられている。但し、連結部材31は、積層ゴムに限られるものではなく、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対変位を許容しつつ、第1質量体M1と第2質量体M2との水平方向の相対変位を拘束する部材であれば、他の部材でも良い。例えば、連結部材31は、鉛プラグ入り天然積層ゴム(LRB)や高減衰積層ゴムなどのように、減衰機能を備えたものでも良い。この場合、ダンパー32を省略することも可能である。また、連結部材31は、リニアスライダーのような転がり型のものでも良い。

0033

連結部材31に積層ゴムを用いた場合、積層ゴムがバネのように機能し、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対変位に対して、鉛直方向の抵抗力(復元力)を生じさせる。第1質量体M1及び第2質量体M2の水平方向の移動量が小さい場合、第1質量体M1と第2質量体M2との相対変位が小さいため、バネの抵抗力が小さいが、第1質量体M1及び第2質量体M2の水平方向の移動量が大きい場合には、第1質量体M1と第2質量体M2との相対変位が大きくなるため、バネの抵抗力が大きくなる。このため、積層ゴムのようにバネとして機能する連結部材31を採用した場合には、第1質量体M1及び第2質量体M2の過大な変位を抑制でき、フェールセーフ機能を備えた制振システム1を構成できるという効果がある。

0034

ダンパー32は、第1質量体M1と第2質量体M2との間に鉛直方向に配置されている。第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対変位が変化すると、ダンパー32のストロークが伸縮することになる。これにより、ダンパー32は、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対速度に対して減衰力を発生することになる。第1質量体M1及び第2質量体M2が水平方向に大きく変位しても、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対変位が小さいため、小ストロークのダンパー32を用いることができ、制振システム1が安価になる。
ダンパー32として、ここではオイルダンパーが用いられている。但し、ダンパー32は、オイルダンパーに限られるものではなく、減衰こま(RDT)などでも良い。

0035

図3Aは、第1実施形態の制振システム1の第1質量体M1及び第2質量体M2のモデル説明図である。
第1質量体M1の質量をm1、第2質量体M2の質量をm2、吊り部材21の長さをLとすると、このモデルの周期Tは、次式の通りである。

0036

T=2π√{(L/g)×(m1+m2)/m1}

0037

つまり、第1実施形態の制振システム1の場合、第3参考例と同様に、周期Tは、吊り部材21の長さLだけでなく、第1質量体M1及び第2質量体M2の質量にも依存する。このため、第1質量体M1及び第2質量体M2の質量を調整すれば、吊り部材21の長さLを短縮可能であり、制振システム1の高さを抑えて制振システム1の小型化を図ることができる。また、第1質量体M1及び第2質量体M2の質量を調整すれば、吊り部材21の長さLを調整しなくても、周期Tの調整が可能であるため、調整作業が容易になる。

0038

また、第1実施形態では、第2質量体M2が鉛直方向に変位しないため、第3参考例と比べると、第1質量体M1及び第2質量体M2の鉛直方向の相対変位が小さくなる。なお、仮に第3参考例の第1質量体M1と第2質量体M2との間にダンパーを配置した場合、吊り部材21及び支持アーム22の長さLを3mとし、第1質量体M1及び第2質量体M2の水平方向の変位を2mとすると、ダンパー32のストロークは約160cm(±80cm)となる。これに対し、第1実施形態では、吊り部材21の長さLを3mとし、第1質量体M1及び第2質量体M2の水平方向の変位を2mとした場合、ダンパー32のストロークは約80cm(±40cm)となる。このように、第1実施形態のダンパー32は、小ストロークにすることが可能である。

0039

===第2実施形態===
<参考説明1:第2参考例のダンパーの減衰力について>
図11A及び図11Bは、図10Bの第2参考例の制振システム1のダンパー32の動作説明図である。図11Aは、制振システム1の水平変位Dxの説明図である。以下の説明では、制振対象物の振動による制振システム1の水平変位をDxとする。図11Bは、図10Bの第2参考例のダンパー32の動作の説明図である。ここでは、ダンパー32の水平方向のストローク量をdxとし、ダンパー32の水平方向のストロークの変化速度をVxとし、ダンパー32の減衰力(抵抗力)をFとする。

0040

図12は、減衰係数Cが一定のダンパー32の減衰力Fのグラフである。グラフの横軸は、ダンパー32のストロークの変化速度Vを示しており、グラフの縦軸は、減衰力F(抵抗力)を示している。減衰力Fは、減衰係数Cと速度Vとの積となる(F=C×V)。言い換えると、図12のグラフの傾きが減衰係数Cとなり、ここではグラフの傾きが一定になっている(減衰係数Cが一定である)。

0041

図13A〜図13Dは、第2参考例の場合の時間変化のグラフである。図13Aは、制振システム1の水平変位Dxの時間変化のグラフである。図13Bは、ダンパー32の水平方向のストローク量dxの時間変化のグラフである。第2参考例の場合、ダンパー32の水平方向のストローク量dxは、制振システム1の水平変位Dxと一致する。図13Cは、ダンパー32の水平方向のストローク変化速度Vxの時間変化のグラフである。ダンパー32の水平方向のストローク変化速度Vxは、ダンパー32の水平方向のストローク量dxの一次微分になる。図13Dは、第2参考例のダンパー32の減衰力Fの時間変化のグラフである。図13Dの減衰力Fは、図13Cの速度Vxと一定の減衰係数C(図12のグラフの傾き)との積として算出できる。

0042

図7Aは、第2参考例の制振システム1の水平変位Dxに対するダンパー32の減衰力Fのグラフである。図に示すように、第2参考例の制振システム1では、水平変位Dxがゼロ近傍であっても、所定の減衰力Fを得ることができる。また、制振対象物の振幅の小さい場合にも、水平変位Dxに応じた減衰力Fを得ることができる(但し、既に述べた通り、第2参考例のダンパー32は、大ストロークになり、コストがかかる)。

0043

<参考説明2:第1実施形態のダンパー32の減衰係数Cが一定の場合>
図3Bは、第1質量体M1の水平方向及び鉛直方向の変位の説明図である。第1質量体M1は、水平方向に変位する際に鉛直方向にも変位する。このとき、鉛直方向の相対変位は、水平方向の変位に対して、非線形の関係になる。また、第1質量体M1と第2質量体M2との間に鉛直方向に配置されたダンパー32のストロークの変化も、第1質量体M1及び第2質量体M2の水平方向の変位に対して非線形の関係になる。この結果、第1質量体M1及び第2質量体M2が水平方向に変位しても、第1質量体M1及び第2質量体M2の鉛直方向の相対変位がほとんど変化せず、ダンパー32の減衰力がほとんど生じないことがある。

0044

図4A及び図4Bは、第1実施形態の制振システム1のダンパー32の動作説明図である。上記と同様に、図4Aに示すように、制振対象物の振動による制振システム1の水平変位をDxとする。図4Bは、第1実施形態のダンパー32の動作の説明図である。ここでは、ダンパー32の鉛直方向のストローク量をdzとし、ダンパー32の鉛直方向のストロークの変化速度をVzとし、ダンパー32の減衰力(抵抗力)をFとする。なお、ダンパー32の鉛直方向のストローク量dzは、第1質量体M1及び第2質量体M2が基準位置にあるときに最大となり、第1質量体M1及び第2質量体M2が水平方向に最大変位したときに最小となる。また、ダンパー32の鉛直方向のストローク変化速度Vzは、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対速度に相当する。

0045

図5A〜図5Dは、第1実施形態の制振システム1の時間変化のグラフである。図5Aは、制振システム1の水平変位Dxの時間変化のグラフである。
図5Bは、ダンパー32の鉛直方向のストローク量dzの時間変化のグラフである。前述の第2参考例では、ダンパー32の水平方向のストローク量dxは制振システム1の水平変位Dxと一致しているのに対し、第1実施形態のダンパー32の鉛直方向のストローク量dz(図5B)は、制振システム1の水平変位Dx(図5A)に対して非線形の関係になっている。これは、第2参考例ではダンパー32が水平方向に配置されているのに対し、第1実施形態のダンパー32は鉛直方向に配置されているためである。
図5Cは、ダンパー32の鉛直方向のストローク変化速度Vzの時間変化のグラフである。ダンパー32の鉛直方向のストローク変化速度Vzは、ダンパー32の鉛直方向のストローク量dzの一次微分になる。また、ダンパー32の鉛直方向のストローク変化速度Vzは、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対速度に相当する。図5Dは、ダンパー32の減衰力Fの時間変化のグラフである。ここでは、ダンパー32の減衰係数Cを一定とし、図5Dの減衰力Fは、図5Cの速度Vzと一定の減衰係数C(図12のグラフの傾き)との積として算出できる。

0046

図7Bは、ダンパー32の減衰係数Cを一定としたときの第1実施形態の制振システム1の水平変位Dxに対するダンパー32の減衰力Fのグラフである。図に示すように、第1実施形態では、水平変位Dxがゼロ近傍のときには減衰力Fがほとんど得られない。また、ダンパー32の鉛直方向のストローク量dzが制振システム1の水平変位Dxに対して非線形であることに起因して、ダンパー32の減衰力Fに振幅依存性が生じ、水平変位Dxが小さいときの減衰力Fが低下し、この結果、制振対象物の振幅が小さくなるとダンパー32の吸収エネルギーが極端に低下してしまう(図7Aの場合と比べて、減衰力Fの低下が著しい)。このように振幅に対するダンパー32の吸収エネルギーが極端に変化してしまうと、振幅に応じた減衰力Fを制振システム1が得にくくなるという問題が生じる。

0047

このため、制振対象物の振幅が小さくなっても、ダンパー32の吸収エネルギーが極端に低下しないことが望ましい。そこで、第2実施形態では、次に説明する特性のダンパー32を用いて、ダンパー32の初期動作時の減衰力Fを確保している。

0048

<第2実施形態>
図6Aは、ストローク変化速度Vが小さいときの減衰係数Cが大きく、鉛直方向のストローク変化速度Vが大きいときの減衰係数Cが小さいダンパー32の減衰力Fのグラフ(F−V線図)である。図6Aのグラフの横軸は、ダンパー32のストロークの変化速度Vを示しており、グラフの縦軸は、減衰力F(抵抗力)を示している。ここでは、変化速度Vの低速領域(変化速度VがV1以下の領域)では減衰力Fが変化速度Vに比例して増加し、変化速度VがV1を越えると、減衰力Fが一定になっている。
図6Bは、ストローク変化速度Vが小さいときの減衰係数Cが大きく、鉛直方向のストローク変化速度Vが大きいときの減衰係数Cが小さいダンパー32の減衰係数Cのグラフ(C−V線図)である。図6Bのグラフの横軸は、ダンパー32のストロークの変化速度Vを示しており、グラフの縦軸は、減衰係数Cを示している。減衰力Fは、減衰係数Cと速度Vとの積となるため(F=C×V)、図6Aのグラフ(F−V線図)の各点と原点とを結ぶ線の傾きが、このダンパー32の減衰係数Cとなる。図6Bに示すように、ダンパー32の減衰係数Cは、変化速度Vの低速領域(変化速度VがV1以下の領域)では一定値C1となり、変化速度VがV1を越えると変化速度Vの増加に伴って減少する特性を有する。このため、ダンパー32のストローク変化速度Vが小さいときに減衰係数Cが大きく、ストローク変化速度Vが大きいときに減衰係数Cが小さくなる。ダンパー32は、第1質量体M1と第2質量体M2との間に鉛直方向に配置されているため、ダンパー32は、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対速度が小さいときに減衰係数Cが大きく、第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対速度が大きいときに減衰係数Cが小さくなる。

0049

図5Eは、図6Bのダンパー32を用いた場合の減衰力Fの時間変化のグラフである。図5Eの減衰力Fは、図5Cの変化速度Vzと、減衰係数C(図6B参照)との積として算出できる。
図7Cは、第2実施形態のダンパー32(図6A及び図6B参照)を用いた場合の制振システム1の水平変位Dxに対するダンパー32の減衰力Fのグラフである。水平変位Dxがゼロ近傍のときに減衰力Fがほとんど得られないものの、ダンパー32の減衰係数Cが一定の場合と比べると(図7B参照)、制振対象物の振幅が小さくなっても、減衰力Fが確保されている。これは、鉛直方向の変化速度Vzが小さいときの減衰係数Cが大きいためである。これにより、ダンパー32の減衰係数Cが一定の場合と比べると、制振対象物の振幅が小さくてもダンパー32の吸収エネルギーの極端な低下を抑制でき、振幅に応じた減衰力Fが得やすくなる。

0050

なお、ダンパー32は、図6A及び図6Bに示す特性のダンパー32に限られるものではない。図8Aは、別のダンパー32の減衰力F及び減衰係数Cのグラフである。このダンパーの減衰係数C(図8Aの右のグラフ)は、図8Aの左のグラフの各点と原点とを結ぶ線の傾きとなる。このダンパー32も、鉛直方向の変化速度Vzが小さいときの減衰係数Cが大きく、鉛直方向の変化速度Vzが大きいときの減衰係数Cが小さい。このような特性のダンパー32を用いた場合にも、ダンパー32の初期動作時の減衰力Fが確保されるため、制振対象物の振幅が小さくてもダンパー32の吸収エネルギーの極端な低下を抑制できる。

0051

上記の図6B及び図8Aに示すダンパー32は、変化速度Vzの低速領域で減衰係数Cが一定である。但し、図8Bに示すように、変化速度Vの低速領域においてもダンパー32の減衰係数Cが徐々に小さくなっても良い(図8Bの左のグラフの各点と原点とを結ぶ線の傾きが徐々に小さくなっても良い)。このような特性のダンパー32を用いた場合にも、ダンパー32の初期動作時の減衰力Fが確保されるため、制振対象物の振幅が小さくてもダンパー32の吸収エネルギーの極端な低下を抑制できる。

0052

なお、既に説明した通り、積層ゴムのようにバネとして機能する連結部材31を採用した場合には、バネの抵抗力(復元力)によって第1質量体M1及び第2質量体M2の過大な変位を抑制できる。このため、鉛直方向のストローク変化速度Vが大きいときの減衰係数Cが小さいダンパー32と、第1質量体M1及び第2質量体M2の水平変位の増加に伴いバネの抵抗力(復元力)の大きくなる連結部材31とを併用することによって、質量体の過大変位防止機能を備えながら、低振幅から大振幅まで幅広い領域で制振効果を発揮できる制振システム1を構成することが可能になる。

0053

===第3実施形態===
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、第1質量体M1が第2質量体M2を囲繞していた。但し、第2質量体M2が第1質量体M1を囲繞しても良い。
図9は、第3実施形態の制振システム1の説明図である。第3実施形態では、第2質量体M2が第1質量体M1を囲繞している。これにより、第1質量体M1が第2質量体M2の内側に位置するため、吊り部材21の間隔を狭くできる。したがって、上部構造部1の内部空間の上側を更に狭くすることが可能になる。

0054

この第3実施形態においても、図6A及び図6Bに示す特性のダンパー32を用いると良い。すなわち、ストローク変化速度V(第1質量体M1と第2質量体M2との鉛直方向の相対速度)が小さいときの減衰係数Cが大きく、鉛直方向のストローク変化速度Vが大きいときの減衰係数Cが小さいダンパー32を用いると良い。これにより、ダンパー32の減衰係数Cが一定の場合と比べると、制振対象物の振幅が小さくてもダンパー32の吸収エネルギーの極端な低下を抑制でき、振幅に応じた減衰力Fが得やすくなる。

0055

なお、第1質量体M1と第2質量体M2との間に配置するダンパー32を省略しても良い。この場合、連結部材31は、鉛プラグ入り天然積層ゴム(LRB)や高減衰積層ゴムなどのように、減衰機能(復元機能)を備えたものを用いると良い。

0056

===その他の実施の形態===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。

0057

1制振システム、
11上部構造部、
12下部構造部、
21 吊り部材、
22支持アーム、
23 支承部材、
31連結部材、
32ダンパー、
M1 第1質量体、
M2 第2質量体

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