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技術 セルロース再生繊維、複合材及びセルロース再生繊維の製造方法

出願人 ヤマハ株式会社
発明者 能勢尚幸宮田智矢
出願日 2014年8月7日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2014-161933
公開日 2016年3月22日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2016-037677
状態 特許登録済
技術分野 合成繊維
主要キーワード 音響板 プロトン系有機溶媒 非プロトン系有機溶媒 意匠材 省資源性 セルロースII型 すい面 セルロース再生繊維
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月22日)のものです。
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図面 (5)

課題

環境負荷を抑えることができ、かつ弾性率を容易かつ確実に高めることができるセルロース再生繊維、このセルロース再生繊維を備える複合材及びこのセルロース再生繊維の製造方法の提供を目的とする。

解決手段

本発明のセルロース再生繊維は、マトリックス相と、このマトリックス相内に含まれる針状相とを備えるセルロース再生繊維であって、前記マトリックス相がセルロースII型結晶構造を有し、前記針状相がセルロースI型結晶構造を有し、前記針状相が軸方向に配向していることを特徴とする。前記針状相の平均長さとしては、2μm以上4μm以下が好ましく、前記針状相の平均径としては、3nm以上100nm以下が好ましい。固形分換算における前記針状相の前記マトリックス相100質量部に対する含有量としては、2質量部以上25質量部以下が好ましい。

概要

背景

従来、樹脂に含有されることでこの樹脂の強度、剛性等を向上することができる繊維状補強材が知られている。また、このような繊維状補強材としては、例えばガラス繊維が広く用いられている。しかしながら、ガラス繊維は比重が大きく軽量化の要請に反し、また焼却した場合の灰分が多く環境負荷が大きい等の問題を有する。

一方、カーボンニュートラルバイオマス原料としてセルロース繊維を用いた繊維状補強材も提案されている。セルロース植物体を構成する細胞壁の主成分で、このようなセルロースを用いて形成される繊維状補強材は、例えば木材の廃材原材料として製造することができるため、省資源化に貢献可能である。

このようなセルロース繊維を用いた繊維状補強材としては、例えばセルロース繊維及び単層カーボンナノチューブを含むコンポジット繊維が発案されている(特開2011−208327号公報参照)。この公報所載のコンポジット繊維は、前記単層カーボンナノチューブを含むことによって引張強度等の力学物性を大幅に向上することができるとされている。

しかしながら、カーボンナノチューブ疎水性であるため液体との親和性が低く分散性に劣るという問題を有する。それゆえ、この公報所載のコンポジット繊維は、セルロース繊維中に単層カーボンナノチューブを均一分散させ難く、引張強度等を容易かつ確実に向上させるのが困難であるという不都合を有する。

また、一般にカーボンナノチューブは直進性を有しない。そのため、このコンポジット繊維は、セルロース繊維の軸方向に単層カーボンナノチューブを的確に配向させ難く、この点からも引張強度等を容易かつ確実に向上することができないという不都合を有する。

概要

環境負荷を抑えることができ、かつ弾性率を容易かつ確実に高めることができるセルロース再生繊維、このセルロース再生繊維を備える複合材及びこのセルロース再生繊維の製造方法の提供を目的とする。本発明のセルロース再生繊維は、マトリックス相と、このマトリックス相内に含まれる針状相とを備えるセルロース再生繊維であって、前記マトリックス相がセルロースII型結晶構造を有し、前記針状相がセルロースI型結晶構造を有し、前記針状相が軸方向に配向していることを特徴とする。前記針状相の平均長さとしては、2μm以上4μm以下が好ましく、前記針状相の平均径としては、3nm以上100nm以下が好ましい。固形分換算における前記針状相の前記マトリックス相100質量部に対する含有量としては、2質量部以上25質量部以下が好ましい。

目的

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、環境負荷を抑えることができると共に、容易かつ確実に弾性率を高めることができるセルロース再生繊維、このセルロース再生繊維を備える複合材及びこのセルロース再生繊維の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

マトリックス相と、このマトリックス相内に含まれる針状相とを備えるセルロース再生繊維であって、前記マトリックス相がセルロースII型結晶構造を有し、前記針状相がセルロースI型結晶構造を有し、前記針状相が軸方向に配向していることを特徴とするセルロース再生繊維。

請求項2

前記針状相の平均長さが2μm以上4μm以下、平均径が3nm以上100nm以下である請求項1に記載のセルロース再生繊維。

請求項3

固形分換算における前記針状相の前記マトリックス相100質量部に対する含有量が2質量部以上25質量部以下である請求項1又は請求項2に記載のセルロース再生繊維。

請求項4

基材と、前記基材の少なくとも一つの面に配設される請求項1、請求項2又は請求項3に記載のセルロース再生繊維と、前記セルロース再生繊維を前記基材に固定するバインダーとを備える複合材

請求項5

セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相溶液中にセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散した溶液を調製する工程と、前記溶液を紡糸ノズルから押し出し、凝固させる工程とを備えるセルロース再生繊維の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、セルロース再生繊維複合材及びセルロース再生繊維の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、樹脂に含有されることでこの樹脂の強度、剛性等を向上することができる繊維状補強材が知られている。また、このような繊維状補強材としては、例えばガラス繊維が広く用いられている。しかしながら、ガラス繊維は比重が大きく軽量化の要請に反し、また焼却した場合の灰分が多く環境負荷が大きい等の問題を有する。

0003

一方、カーボンニュートラルバイオマス原料としてセルロース繊維を用いた繊維状補強材も提案されている。セルロース植物体を構成する細胞壁の主成分で、このようなセルロースを用いて形成される繊維状補強材は、例えば木材の廃材原材料として製造することができるため、省資源化に貢献可能である。

0004

このようなセルロース繊維を用いた繊維状補強材としては、例えばセルロース繊維及び単層カーボンナノチューブを含むコンポジット繊維が発案されている(特開2011−208327号公報参照)。この公報所載のコンポジット繊維は、前記単層カーボンナノチューブを含むことによって引張強度等の力学物性を大幅に向上することができるとされている。

0005

しかしながら、カーボンナノチューブ疎水性であるため液体との親和性が低く分散性に劣るという問題を有する。それゆえ、この公報所載のコンポジット繊維は、セルロース繊維中に単層カーボンナノチューブを均一分散させ難く、引張強度等を容易かつ確実に向上させるのが困難であるという不都合を有する。

0006

また、一般にカーボンナノチューブは直進性を有しない。そのため、このコンポジット繊維は、セルロース繊維の軸方向に単層カーボンナノチューブを的確に配向させ難く、この点からも引張強度等を容易かつ確実に向上することができないという不都合を有する。

先行技術

0007

特開2011−208327号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、環境負荷を抑えることができると共に、容易かつ確実に弾性率を高めることができるセルロース再生繊維、このセルロース再生繊維を備える複合材及びこのセルロース再生繊維の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

前記課題を解決するためになされた本発明は、マトリックス相と、このマトリックス相内に含まれる針状相とを備えるセルロース再生繊維であって、前記マトリックス相がセルロースII型結晶構造を有し、前記針状相がセルロースI型結晶構造を有し、前記針状相が軸方向に配向していることを特徴とする。

0010

当該セルロース再生繊維は、マトリックス相と、このマトリックス相内に含まれる針状相とを備え、マトリックス相及び針状相が共にセルロースから形成されるので、両者の親和性が高い。それゆえ、当該セルロース再生繊維は、針状相のマトリックス相内における均一分散性が向上される。また、当該セルロース再生繊維は、針状相がセルロースI型結晶構造を有するので針状相の直進性が高い。従って、当該セルロース再生繊維は、マトリックス相内に略均一に分散された針状相が軸方向に配向されることによって、弾性率を容易かつ確実に高めることができる。さらに、当該セルロース再生繊維は、マトリックス相及び針状相が共にセルロースから形成されるため、環境負荷を抑制することができる。

0011

前記針状相の平均長さとしては2μm以上4μm以下が好ましく、前記針状相の平均径としては3nm以上100nm以下が好ましい。このように、前記針状相の平均長さ及び平均径が前記範囲とされることによって、弾性率をさらに好適に高めることができる。

0012

固形分換算における前記針状相の前記マトリックス相100質量部に対する含有量としては2質量部以上25質量部以下が好ましい。このように、前記マトリックス相に対する前記針状相の含有量が前記範囲とされることによって、弾性率をさらに好適に高めることができる。

0013

また、前記課題を解決するためになされた本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一つの面に配設される当該セルロース再生繊維と、当該セルロース再生繊維を前記基材に固定するバインダーとを備える複合材である。

0014

当該複合材は、弾性率に優れる当該セルロース再生繊維が少なくとも一つの面に配設されているので、容易かつ確実に強度を向上することができる。

0015

さらに、前記課題を解決するためになされた本発明は、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相溶液中にセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散した溶液を調製する工程と、前記溶液を紡糸ノズルから押し出し、凝固させる工程とを備えるセルロース再生繊維の製造方法である。

0016

当該セルロース再生繊維の製造方法は、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相及びセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散された溶液を調製する工程と、この溶液を紡糸ノズルから押し出し、凝固させる工程とを備えるので、製造されたセルロース再生繊維において針状相を軸方向に容易かつ的確に配向することができる。それゆえ、当該セルロース再生繊維の製造方法は、マトリックス相及び針状相の親和性が高く、針状相がマトリックス相内で均一に分散されやすいこと、及び針状相の直進性が高いことと相俟って、セルロース再生繊維の弾性率を容易かつ確実に高めることができる。さらに、当該セルロース再生繊維の製造方法は、マトリックス相及び針状相が共にセルロースから形成されるものを用いるため、環境負荷を抑制することができる。

0017

なお、本発明において、「平均長さ」及び「平均径」とは、ランダム採取した40本の繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した値の平均値をいう。また、「径」とは、真円に換算した場合の繊維径を意味する。

発明の効果

0018

以上説明したように、本発明のセルロース再生繊維及びこのセルロース再生繊維を備える複合材は、弾性率が容易かつ確実に高められると共に環境負荷を抑えることができる。また、本発明のセルロース再生繊維の製造方法は、弾性率が高められると共に環境負荷が抑えられる当該セルロース再生繊維を容易かつ確実に製造することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の第一実施形態に係るセルロース再生繊維を示す繊維の軸を含む面での模式的断面図である。
図1のセルロース再生繊維の製造装置を示す模式図である。
針状相の含有量と引張弾性率との関係を示すグラフである。
延伸倍率と引張弾性率との関係を示すグラフである。

0020

以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。

0021

[第一実施形態]
<セルロース再生繊維>
図1のセルロース再生繊維は、マトリックス相1と、マトリックス相1内に含まれる針状相2とを備える。

0022

当該セルロース再生繊維に用いられる原料セルロースとしては、例えば木材、コットン、綿、ケナフジュートバナナココナッツ海草茶葉等の植物繊維から分離したセルロース、ホヤが産生する動物繊維から分離したセルロース、酢酸菌より産生させたバクテリアセルロース等が挙げられる。

0023

当該セルロース再生繊維の平均径の下限としては、35μmが好ましく、38μmがより好ましく、40μmがさらに好ましい。一方、当該セルロース再生繊維の平均径の上限としては、70μmが好ましく、67μmがより好ましく、65μmがさらに好ましい。当該セルロース再生繊維の平均径が前記下限未満の場合、マトリックス相1内に針状相2を十分に含有させることができないおそれがある。逆に、当該セルロース再生繊維の平均径が前記上限を超える場合、当該セルロース再生繊維の分散性が低下するおそれがある。

0024

(マトリックス相)
マトリックス相1は、セルロースII型結晶構造を有する。セルロースII型結晶構造は、分子分散した溶解状態を経て再生して得られたセルロースの結晶構造で、結晶中において隣接する分子鎖非還元末端の向きが異なる逆平行鎖構造を有する。

0025

(針状相)
針状相2は、セルロースI型結晶構造を有する。セルロースI型結晶構造は、天然セルロース特有な結晶構造で、結晶中において還元末端の向きが全て等しい平行鎖構造を有する。

0026

針状相2の平均長さの下限としては、2μmが好ましく、2.3μmがより好ましく、2.5μmがさらに好ましい。一方、針状相2の平均長さの上限としては、4μmが好ましく、3.7μmがより好ましく、3.5μmがさらに好ましい。針状相2の平均長さが前記下限未満の場合、当該セルロース再生繊維の弾性率が十分に向上されないおそれがある。逆に、針状相2の平均長さが前記上限を超える場合、マトリックス相1内に含有される針状相2同士が絡み合うおそれが高くなる。

0027

針状相2の平均径の下限としては、3nmが好ましく、3.5nmがより好ましく、4nmがさらに好ましい。一方、針状相2の平均径の上限としては、100nmが好ましく、50nmがより好ましく、30nmがさらに好ましい。針状相2の平均径が前記下限未満の場合、針状相2の製造が著しく困難になるおそれがある。逆に、針状相2の平均径が前記上限を超える場合、針状相2のアスペクト比が小さくなり、当該セルロース再生繊維の弾性率が十分に向上されないおそれがある。

0028

なお、当該セルロース再生繊維は、針状相2の平均長さ及び平均径が共に前記範囲であることによって、弾性率を効果的に向上させることができる。

0029

針状相2のアスペクト比の下限としては、20が好ましく、100がより好ましく、200がさらに好ましい。一方、針状相2のアスペクト比の上限としては、1300が好ましく、1000がより好ましく、800がさらに好ましい。針状相2のアスペクト比が前記下限未満の場合、当該セルロース再生繊維の弾性率が十分に向上されないおそれがある。逆に、針状相2のアスペクト比が前記上限を超える場合、マトリックス相1内に含有される針状相2同士が絡み合うおそれが高くなる。

0030

固形分換算におけるマトリックス相1の100質量部に対する針状相2の含有量の下限としては、2質量部が好ましく、3質量部がより好ましく、4質量部がさらに好ましい。一方、固形分換算におけるマトリックス相1の100質量部に対する針状相2の含有量の上限としては、25質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。マトリックス相1に対する針状相2の含有量が前記下限未満の場合、針状相2の含有割合が少なくなり、当該セルロース再生繊維の弾性率が好適に向上されないおそれがある。逆に、マトリックス相1に対する針状相2の含有量が前記上限を超える場合、針状相2の含有割合が多くなり、マトリックス相1及び針状相2の接着性が低下して当該セルロース再生繊維の弾性率が低下するおそれがある。また、マトリックス相1に対する針状相2の含有量が前記上限を超える場合、当該セルロース再生繊維の透明性が低下するおそれがある。これに対し、当該セルロース再生繊維は、マトリックス相1に対する針状相2の含有量を前記範囲とすることによって、弾性率及び透明性を向上することができる。

0031

針状相2は当該セルロース再生繊維の軸方向に配向している。針状相2の当該セルロース再生繊維の軸方向に対する平均配向角の絶対値の下限としては、0°が好ましい。一方、針状相2の当該セルロース再生繊維の軸方向に対する平均配向角の絶対値の上限としては、15°が好ましく、10°がより好ましく、5°がさらに好ましい。針状相2の当該セルロース再生繊維の軸方向に対する平均配向角の絶対値が前記上限を超える場合、当該セルロース再生繊維の弾性率が十分に向上されないおそれがある。なお、「セルロース再生繊維の軸方向に対する平均配向角の絶対値」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して一方向側から観察した40本の針状相の中心軸のセルロース再生繊維の中心軸に対する配向角を測定した平均値を意味する。

0032

<セルロース再生繊維の製造方法>
次に、当該セルロース再生繊維の製造方法について説明する。当該セルロース再生繊維の製造方法は、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相溶液中にセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散した溶液を調製する工程(調製工程)と、前記溶液を紡糸ノズルから押し出し、凝固させる工程(紡糸工程)とを備える。

0033

(調製工程)
前記調製工程は、当該セルロース再生繊維の出発原料となる原料セルロースをイオン液体及び非プロトン系有機溶媒を含む溶液に含有させ、混合することで行われる。

0034

前記調製工程で用いられる原料セルロースとしては、例えば木材、コットン、麻、綿、竹、ケナフ、ジュート、バナナ、ココナッツ、海草、茶葉等の植物繊維から分離したセルロース、ホヤが産生する動物繊維から分離したセルロース、酢酸菌より産生させたバクテリアセルロース等が挙げられる。なお、前記原料セルロースとしては、予めリグニン等の不純物が除去されたものが好的に用いられる。

0035

前記イオン液体としては、カチオン及びアニオンを含む化合物が挙げられ、室温において液体状態を保ち、主として室温以下で溶解する塩又は塩の混合物が用いられる。前記カチオンとしては、例えばイミダゾリウムイオン等の環状アミジンイオンピリジニウムイオンアンモニウムイオンスルホニウムイオンホスホニウムイオン等の有機カチオン等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、前記アニオンとしては、例えばハロゲン、NO2−、NO3−、SO4−、SbF6−、AsF6−、AlCl4−、Al2Cl7−、BF4−、PF4−、PF6−、CH3COO−、CF3SO3−、(CF3SO2)2N−、(CF3SO2)3C−等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を混合して用いることができる。なかでも、前記イオン液体としては、1−ブチル—3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムホルメート等のイミダゾリウム塩が好ましく、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドが特に好ましい。

0036

また、前記非プロトン系有機溶媒としては、前記イオン液体の粘度を下げて溶液の流動性を高められるものである限り特に限定されず、例えばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル2−ピロリドンピリジンアセトニトリルジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を混合して用いることができる。なかでも、前記イオン液体の粘度を好適に下げることができるN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。

0037

前記調製工程としては、(1)セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相溶液及びセルロースI型結晶構造を有する針状相溶液を別個に準備した上でこれらを混合する方法と、(2)セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相及びセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散された溶液を単一ラインで調製する方法とが挙げられる。

0038

前記(1)の方法としては、原料セルロースを前記イオン液体及び前記プロトン系有機溶媒を含む溶液に溶解させ、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相を主に含む溶液を製造する工程(第一溶液製造工程)と、原料セルロースを第一溶液製造工程とは異なる条件で前記イオン液体及び前記プロトン系有機溶媒を含む溶液に溶解させ、セルロースI型結晶構造を有する針状相を主に含む溶液を製造する工程(第二溶液製造工程)と、第一溶液製造工程及び第二溶液製造工程で得られた溶液を混合する工程(混合工程)とを有する。

0039

前記第一溶液製造工程における前記イオン液体の前記プロトン系有機溶媒に対する混合比の下限としては、1/4が好ましく、3/10がより好ましく、8/25がさらに好ましい。一方、前記第一溶液製造工程における前記イオン液体の前記プロトン系有機溶媒に対する混合比の上限としては、2/5が好ましく、19/50がより好ましく、7/20がさらに好ましい。前記第一溶液製造工程における前記イオン液体の前記プロトン系有機溶媒に対する混合比が前記下限未満の場合、溶液中のイオン液体の含有量が低下してセルロースII型結晶構造を有するマトリックス相が的確に得られないおそれがある。逆に、前記第一溶液製造工程における前記イオン液体の前記プロトン系有機溶媒に対する混合比が前記上限を超える場合、セルロースI型結晶構造を有する針状相が生成されやすくなるおそれがある。

0040

前記第一溶液製造工程における溶解温度の下限としては、70℃が好ましく、75℃がより好ましく、78℃がさらに好ましい。一方、前記第一溶液製造工程における溶解温度の上限としては、100℃が好ましく、90℃がより好ましく、85℃がさらに好ましい。前記第一溶液製造工程における溶解温度が前記下限未満の場合、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相が的確に生成されないおそれがある。逆に、前記第一溶液製造工程における溶解温度が前記上限を超える場合、イオン液体やセルロースの分解が生じるおそれがある。

0041

前記第一溶液製造工程における溶解時間の下限としては、6時間が好ましく、7時間がより好ましく、7.5時間がさらに好ましい。一方、前記第一溶液製造工程における溶解時間の上限としては、10時間が好ましく、9時間がより好ましく、8.5時間がさらに好ましい。前記第一溶液製造工程における溶解時間が前記下限未満の場合、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相が十分に生成されないおそれがある。逆に、前記第一溶液製造工程における溶解時間が前記上限を超える場合、生産性が低下するおそれがある。

0042

前記第二溶液製造工程における前記イオン液体の前記プロトン系有機溶媒に対する混合比の下限としては、21/50が好ましく、9/20がより好ましく、12/25がさらに好ましい。一方、前記第二溶液製造工程における前記イオン液体の前記プロトン系有機溶媒に対する混合比の上限としては、3/5が好ましく、11/20がより好ましく、26/50がさらに好ましい。前記第二溶液製造工程における前記イオン液体の前記プロトン系有機溶媒に対する混合比が前記下限未満の場合、溶液中のイオン液体の含有量が低下してセルロースI型結晶構造を有する針状相が的確に得られないおそれがある。逆に、前記第二溶液製造工程における前記イオン液体の前記プロトン系有機溶媒に対する混合比が前記上限を超える場合、溶液の粘度が高くなるためイオン液体が原料セルロースに浸透し難く、原料セルロースの溶解の進行が遅くなるおそれがある。

0043

前記第二溶液製造工程における溶解温度の下限としては、50℃が好ましく、55℃がより好ましく、57℃がさらに好ましい。一方、前記第二溶液製造工程における溶解温度の上限としては、65℃が好ましく、62℃がより好ましく、60℃がさらに好ましい。前記第二溶液製造工程における溶解温度が前記下限未満の場合、セルロースI型結晶構造を有する針状相が的確に生成されないおそれがある。逆に、前記第二溶液製造工程における溶解温度が前記上限を超える場合、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相の生成が促進され、セルロースI型結晶構造を有する針状相が的確に生成されないおそれがある。

0044

前記第二溶液製造工程における溶解時間の下限としては、6時間が好ましく、7時間がより好ましく、7.5時間がさらに好ましい。一方、前記第二溶液製造工程における溶解時間の上限としては、10時間が好ましく、9時間がより好ましく、8.5時間がさらに好ましい。前記第二溶液製造工程における溶解時間が前記下限未満の場合、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相が十分に生成されないおそれがある。逆に、前記第二溶液製造工程における溶解時間が前記上限を超える場合、生産性が低下するおそれがある。

0045

前記混合工程におけるマトリックス相100質量部に対する針状相の含有量の下限としては、2質量部が好ましく、3質量部がより好ましく、4質量部がさらに好ましい。一方、前記混合工程におけるマトリックス相100質量部に対する針状相の含有量の上限としては、25質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。前記混合工程における針状相の含有量が前記下限未満の場合、当該セルロース再生繊維における針状相の含有割合が少なくなり、当該セルロース再生繊維の弾性率が好適に向上されないおそれがある。逆に、前記混合工程における針状相の含有量が前記上限を超える場合、当該セルロース再生繊維における針状相の含有割合が多くなり、マトリックス相及び針状相の接着性が低下するおそれがある。

0046

また、前記第一溶液製造工程及び前記第二溶液製造工程において用いられるイオン液体及びプロトン系有機溶媒としては、同一のものであることが好ましい。このように、前記第一溶液製造工程及び前記第二溶液製造工程において用いられるイオン液体及びプロトン系有機溶媒を同一にすることによって、後述の凝固浴における溶解性を向上することができる。

0047

一方、前記(2)の方法としては、原料セルロースを前記イオン液体及び前記プロトン系有機溶媒を含む溶液に溶解させセルロースII型結晶構造を有するマトリックス相を製造した上で、さらに連続してセルロースI型結晶構造を有する針状相を製造する方法が挙げられる。具体的には、まず原料セルロースを前記第一溶液製造工程と同様の割合で混合された前記イオン液体及び前記プロトン系有機溶媒を含む溶液に溶解させ、この原料セルロースを前記第一溶液製造工程と同様の溶解温度及び溶解時間で溶解させてセルロースII型結晶構造を有するマトリックス相を得る。続いて、同じ溶液で前記第二溶液製造工程と同様の溶解温度及び溶解時間で溶解させてセルロースI型結晶構造を有する針状相を得ることでセルロースII型結晶構造を有するマトリックス相及びセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散された溶液を調製することができる。また、前記(2)の方法では、この溶液におけるセルロースII型結晶構造を有するマトリックス相100質量部に対するセルロースI型結晶構造を有する針状相の含有量を前記混合工程と同様の割合に調節するのが好ましい。また、前記(2)の方法では、セルロースI型結晶構造を有する針状相を製造する際に、前記イオン液体及び前記プロトン系有機溶媒の混合比を前記第二溶液製造工程と同様の割合に調整することも好ましい。

0048

なお、前記調製工程において原料セルロースを溶解する場合、原料セルロース、イオン液体及びプロトン系有機溶媒を一度に投入してもよく、また各成分を段階的に追加しながら投入して溶液の濃度等を調整してもよい。

0049

当該セルロース再生繊維の製造方法は、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相を製造した上、溶液の温度を前記第二溶液製造工程と同様の溶解温度に保つことによって、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相がさらに生成されるのを防止すると共にセルロースI型結晶構造を有する針状相の生成を促進することができる。それゆえ、当該セルロース再生繊維の製造方法は、前記(1)セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相溶液及びセルロースI型結晶構造を有する針状相溶液を別個に準備した上でこれらを混合する方法の他、前記(2)セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相及びセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散された溶液を単一ラインで調製する方法によっても、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相溶液中にセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散した溶液を好適に調製することができる。なかでも、当該セルロース再生繊維の製造方法としては、溶液の粘度が向上されるのを好適に抑制できる点から、前記(1)の方法が好適に用いられる。

0050

(紡糸工程)
前記紡糸工程は、例えば図2紡糸装置11を用いて行われる。紡糸装置11は、紡糸ノズル12と、凝固浴13と、複数のガイドロール14、15、16、17とを有する。凝固浴13は、エタノール、水等の極性を有する液体で満たされている。さらに、紡糸装置11において、紡糸ノズル12の先端(下端)から凝固浴13内の液体に至るまではエアギャップdが形成されている。

0051

前記紡糸工程は、例えば前記調製工程で調製された溶液を紡糸ノズル12からエアギャップdを通して凝固浴13内に押し出し、凝固させ、複数のガイドロール14、15、16、17を介して引き出すことで行われる。

0052

また、前記紡糸工程は、前記調製工程で調製された溶液を凝固浴13内に押し出して凝固させた上、延伸する工程を有してもよい。かかる延伸方法としては、例えば紡糸ノズル12の吐出速度に対して凝固浴13で凝固して得られた繊維の巻取速度を大きくする方法が挙げられる。

0053

前記紡糸工程における延伸倍率の下限としては、2倍が好ましく、6.5倍がより好ましく、9.8倍がさらに好ましい。前記紡糸工程の延伸倍率を前記下限以上とすることによって、針状相が軸方向により的確に配向され当該セルロース再生繊維の弾性率をさらに向上することができる。なお、前記紡糸工程における延伸倍率の上限としては、特に限定されるものではなく、例えば30倍とすることができる。

0054

<当該セルロース再生繊維の品質
当該セルロース再生繊維の引張弾性率の下限としては、20GPaが好ましく、25GPaがより好ましく、30GPaがさらに好ましく、40GPaが特に好ましい。当該セルロース再生繊維の引張弾性率が前記下限未満の場合、板材等の補強材として用いた場合に十分な補強効果が得られないおそれがある。また、当該セルロース再生繊維の引張弾性率の上限としては、特に限定されるものではないが、例えば200GPaとすることができる。なお、「引張弾性率」とは、JIS−R−7606(2000)に準拠した値である。

0055

<利点>
当該セルロース再生繊維は、マトリックス相1と、マトリックス相1内に含まれる針状相2とを備え、マトリックス相1及び針状相2が共にセルロースから形成されるので、両者の親和性が高い。それゆえ、当該セルロース再生繊維は、針状相2のマトリックス相1内における均一分散性が向上される。また、当該セルロース再生繊維は、針状相2がセルロースI型結晶構造を有するので針状相2の直進性が高い。従って、当該セルロース再生繊維は、マトリックス相1内に略均一に分散された針状相2が軸方向に配向されることによって、弾性率を容易かつ確実に高めることができる。さらに、当該セルロース再生繊維は、マトリックス相1及び針状相2が共にセルロースから形成されるため、環境負荷を抑制することができる。

0056

当該セルロース再生繊維の製造方法は、セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相及びセルロースI型結晶構造を有する針状相が分散された溶液を調製する工程と、この溶液を紡糸ノズルから押し出し、凝固させる工程とを備えるので、製造されたセルロース再生繊維において針状相を軸方向に容易かつ的確に配向することができる。つまり、当該セルロース再生繊維の製造方法は、調製工程によって調製された溶液を紡糸ノズルから押し出した上、凝固させることで当該セルロース再生繊維を製造するので、紡糸の際に繊維が軸方向に伸ばされることで軸方向に配向されやすくなる。それゆえ、当該セルロース再生繊維の製造方法は、マトリックス相及び針状相の親和性が高く、針状相がマトリックス相内で均一に分散されやすいこと、及び針状相の直進性が高いことと相俟って、セルロース再生繊維の弾性率を好適に高めることができる。さらに、当該セルロース再生繊維の製造方法は、マトリックス相及び針状相が共にセルロースから形成されるものを用いるため、環境負荷を抑制することができる。加えて、当該セルロース再生繊維の製造方法は、調製工程で用いられるイオン液体の回収及び再利用が容易であることから省資源性に優れている。

0057

[第二実施形態]
<複合材>
本発明の複合材は、基材と、この基材の少なくとも一つの面に配設される複数の当該セルロース再生繊維と、当該セルロース再生繊維を前記基材に固定するバインダーとを備える。当該複合材の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば平板状、円柱状、円錐状等が挙げられる。

0058

当該複合材が平板状である場合、当該セルロース再生繊維は、例えば当該複合材の厚み方向と垂直な表面又は裏面に配設される。前記表面及び前記裏面は互いに平行に配置され、平板状の基材において最も広い面を形成する。当該複合材が平板状の場合、当該複合材の強度を高めるためには最も面積が大きく撓みやすい表面又は裏面に当該セルロース再生繊維を配設することが好ましい。当該セルロース再生繊維は、前記表面及び前記裏面の両方に配設されてもよいし、どちらか一方の面のみに配設されてもよい。当該セルロース再生繊維は木質の色をしているので、意匠材としての効果を利用したい場合は、視認者の目に触れる側に配設することが好ましい。

0059

一方、当該複合材が曲面を有する場合、当該セルロース再生繊維は、例えば湾曲軸方向と略平行に配設される。また、当該複合材が音響板である場合、当該セルロース再生繊維は、例えば固有振動数を変化させるために必要な面の必要な部分に配設される。具体的には、当該セルロース再生繊維は前記基材の撓みやすい面の任意の場所に配設され、これにより特定の振動モードを強調したり抑制したりすることができる。このように、当該セルロース再生繊維は、当該複合材の全ての面に配設される必要はなく、上述のように、形状や用途等に応じて必要な面の必要な部分にのみ配設されればよい。

0060

前記バインダーとしては熱可塑性樹脂紫外線硬化型樹脂等の合成樹脂が挙げられる。

0061

前記熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体ポリオレフィンポリアミド合成ゴム等が挙げられる。

0063

当該複合材は、例えば当該セルロース再生繊維及び前記バインダーを基材の表面に塗布して乾燥することによって形成することができる。

0064

<利点>
当該セルロース再生繊維は、複合材の表面に備えられることでこの複合材の強度を向上することができる。また、当該セルロース再生繊維は、例えば音響板等の表面に配設することによって固有振動数を的確に調整することができる。

0065

当該複合材は、弾性率に優れる当該セルロース再生繊維が表面に配設されているので、容易かつ確実に強度を向上することができる。また、当該複合材が音響板等である場合、強度の向上効果に加え、固有振動数を的確に調整することができる。

0066

[第三実施形態]
合成樹脂板
本発明の合成樹脂板は、合成樹脂製のシート本体と、このシート本体に含有される複数の当該セルロース再生繊維とを備える。

0067

前記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。また、この熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンポリプロピレンポリスチレンポリ塩化ビニルポリエチレンテレフタレートポリ酢酸ビニルABS樹脂ポリアクリルフッ素樹脂、ポリアミド、ポリウレタンポリアセタールポリカーボネート等が挙げられる。

0068

当該合成樹脂板の製造方法は、例えば前記合成樹脂及び当該セルロース再生繊維を含む合成樹脂板形成材料を調製する工程と、合成樹脂板形成材料を用いた溶液流延法溶融押出法等により当該合成樹脂板を成形する工程とを備える。

0069

<利点>
当該合成樹脂板は、当該セルロース再生繊維を含むので、優れた強度を有する。

0070

以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0071

[実施例1]
セルロースII型結晶構造を有するマトリックス相と、セルロースI型結晶構造を有する針状相とを含む混合溶液を、図2の紡糸装置11を用いて紡糸して実施例1のセルロース再生繊維を製造した。なお、紡糸装置11を用いて紡糸するに当たり、延伸倍率は1倍(未延伸)とした。また、実施例1のセルロース再生繊維における針状相の含有量は5質量%とした。

0072

[実施例2]
セルロース再生繊維における針状相の含有量を20質量%とした以外は実施例1と同様にして実施例2のセルロース再生繊維を製造した。

0073

[比較例1]
針状相を含有させなかった(針状相の含有量を0質量%とした)以外は実施例1と同様にして比較例1のセルロース再生繊維を製造した。

0074

[引張弾性率の評価]
前記実施例及び比較例において引張弾性率(GPa)を、JIS−R−7606(2000)に準拠して測定した。その結果を表1及び図3に示す。

0075

0076

表1及び図3に示すように、実施例1のセルロース再生繊維は26.1GPaという優れた引張弾性率を有することが分かった。また、実施例2のセルロース再生繊維も20GPaという高い引張弾性率を有することが分かった。これに対し、比較例1のセルロース再生繊維の引張弾性率は12.6GPaで、マトリックス相及び針状相を含む当該セルロース再生繊維に比べて引張弾性率が劣ることが分かった。

0077

[実施例3]
実施例1と同様の混合溶液を図2の紡糸装置11を用いて紡糸するに当たり、紡糸ノズル12の吐出速度に対する凝固浴13で凝固した繊維の巻取速度を大きくすることで延伸倍率6.5倍のセルロース再生繊維を製造した。

0078

[実施例4、5]
延伸倍率を表2の値とした以外は実施例3と同様にして実施例4及び実施例5のセルロース再生繊維を製造した。

0079

[引張弾性率の評価]
JIS−R−7606(2000)に準拠して測定した前記実施例の引張弾性率の結果を表2及び図4に示す。

0080

実施例

0081

表2及び図4に示すように、実施例3のセルロース再生繊維は31.8GPaの引張弾性率を有し、延伸によって引張弾性率が向上することが分かった。また、実施例4及び実施例5によって、延伸倍率を大きくすることで引張弾性率が向上すること及び延伸倍率を1倍より小さくした場合に引張弾性率が低下することが分かった。

0082

以上説明したように、本発明のセルロース再生繊維は、弾性率が容易かつ確実に高められると共に環境負荷を抑えることができ、基材や合成樹脂製シート等の補強材として好適に用いられる。本発明の複合材は、効果的に強度を向上することができると共に固有振動数を調整可能な音響板等として好適に用いられる。また、本発明のセルロース再生繊維の製造方法は、本発明のセルロース再生繊維を容易かつ確実に製造することができる。

0083

1マトリックス相
2針状相
11紡糸装置
12紡糸ノズル
13凝固浴
14、15、16、17 ガイドロール

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