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技術 車両の乗員保護装置

出願人 株式会社SUBARU
発明者 長澤勇長津久幸
出願日 2014年8月6日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-160703
公開日 2016年3月22日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2016-037130
状態 特許登録済
技術分野 エアバッグ
主要キーワード 布状部材 展開範囲 突出角度 突入位置 幅方向外向き 車内センサ ダミー人形 相対方向
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月22日)のものです。
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図面 (10)

課題

車両の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員に対する保護性能を向上させる。

解決手段

車両1の乗員保護装置10は、自動車1のシート7に着座する乗員Mの前で展開して、倒れる乗員Mの頭部から上体支えることが可能なメインバッグ24と、メインバッグ24に突入する乗員Mの頭部についての車両1の幅方向内側で展開するサブバッグ25と、メインバッグ24に対して乗員Mが幅方向内側に傾きながら突入する際にサブバッグ25を車両1の幅方向外側へ向けて変形させる構造と、を有する。車両1の幅方向外側へ向けて変形されるサブバッグ25は、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入する乗員Mの頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たる。

概要

背景

自動車乗員保護装置は、たとえば特許文献1に開示されている。特許文献1では、ダッシュボードの上部に設置された助手席用エアバッグ助手席の前で展開する。そして、自動車が他の自動車と正面衝突する場合、助手席に着座する乗員は前に倒れ、展開した助手席用のエアバッグへ突入する。助手席用のエアバッグは、前に倒れる乗員の頭部および上体支えることができる。

概要

車両の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員に対する保護性能を向上させる。車両1の乗員保護装置10は、自動車1のシート7に着座する乗員Mの前で展開して、倒れる乗員Mの頭部から上体を支えることが可能なメインバッグ24と、メインバッグ24に突入する乗員Mの頭部についての車両1の幅方向内側で展開するサブバッグ25と、メインバッグ24に対して乗員Mが幅方向内側に傾きながら突入する際にサブバッグ25を車両1の幅方向外側へ向けて変形させる構造と、を有する。車両1の幅方向外側へ向けて変形されるサブバッグ25は、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入する乗員Mの頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たる。

目的

その結果、幅方向内側へ傾きながら突入する乗員Mに対して、高い安全性を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

車両のシート着座する乗員の前で展開して、倒れる乗員の頭部から上体支えることが可能なメインバッグと、前記メインバッグに突入する乗員の頭部についての前記車両の幅方向内側で展開するサブバッグと、前記メインバッグに対して乗員が幅方向内側に傾きながら突入する際に前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造と、を有し、前記車両の幅方向外側へ向けて変形される前記サブバッグは、前記メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入する乗員の頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たる、車両の乗員保護装置

請求項2

前記サブバッグは、前記メインバッグから突出する基端部と、前記基端部から前記車両の後方へ向けて突出する先端部と、を有し、前記先端部が前記基端部より幅方向外側へ突出し、前記メインバッグについての前記基端部と隣り合う部分に対して頭部が突入することにより、前記基端部より幅方向外側へ突出している前記先端部が幅方向外側へ向けて回動する、請求項1記載の車両の乗員保護装置。

請求項3

前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、前記サブバッグを幅方向外側へ向けて変形させる構造は、前記隅部から浮かした状態で前記サブバッグと前記メインバッグとの間に橋渡すように布状部材または紐状部材を取り付けることにより実現される、請求項1または2記載の車両の乗員保護装置。

請求項4

前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造は、前記メインバッグについての前記隅部より幅方向外側となる部分に、前記メインバッグについての前記隅部となる部分より脆弱脆弱部が形成されることにより実現される、請求項1または2記載の車両の乗員保護装置。

請求項5

前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造は、前記隅部に、前記メインバッグからの前記サブバッグの突出角度を維持する形状補強部材を取り付けることにより実現される、請求項1または2記載の車両の乗員保護装置。

技術分野

0001

本発明は、自動車などの車両の乗員保護装置に関する。

背景技術

0002

自動車の乗員保護装置は、たとえば特許文献1に開示されている。特許文献1では、ダッシュボードの上部に設置された助手席用エアバッグ助手席の前で展開する。そして、自動車が他の自動車と正面衝突する場合、助手席に着座する乗員は前に倒れ、展開した助手席用のエアバッグへ突入する。助手席用のエアバッグは、前に倒れる乗員の頭部および上体支えることができる。

先行技術

0003

特開2000−247199号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、自動車は、他の自動車との間で、正面方向から衝突するとは限らない。たとえば、自動車に対して、他の自動車が斜め前方向から衝突する可能性もある。

0005

そして、たとえば運転席側の斜め前方向から他の自動車が衝突する場合、自動車の助手席に着座する乗員は、自動車の幅方向内側へ倒れながら前へ倒れることになる。この場合、倒れる乗員の頭部および上体は、展開した助手席用のエアバッグについての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
この対策として、たとえば助手席用のエアバッグの展開範囲を、幅方向内側へ広げたり、更に広げた部分から後方サブバッグを突出させたりすることが考えられる。
しかしながら、このように単に助手席用のエアバッグの展開範囲を幅方向内側に広げるだけでは、自動車の幅方向内側へ傾きながら突入する乗員を適切に支持することは難しい。
すなわち、助手席の乗員が幅方向内側へ傾きながら助手席用のエアバッグへ突入する場合、助手席用のエアバッグでは、その幅方向内側の端部に、乗員の荷重がかかる。また、乗員の荷重は、助手席用のエアバッグから離れるように幅方向内側の斜め前へ向かう力として作用する。このため、幅方向内側へ広がって展開した助手席用のエアバッグは、乗員の荷重により幅方向内側へ倒れやすい。そして、助手席用のエアバッグで一旦支えられた乗員の頭部および上体は、助手席用のエアバッグが幅方向内側へ傾くことにより、助手席用のエアバッグについての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。

0006

このように自動車などの車両の乗員保護装置では、車両の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員に対する保護性能を向上させることが求められている。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係る車両の乗員保護装置は、車両のシートに着座する乗員の前で展開して、倒れる乗員の頭部から上体を支えることが可能なメインバッグと、前記メインバッグに突入する乗員の頭部についての前記車両の幅方向内側で展開するサブバッグと、前記メインバッグに対して乗員が幅方向内側に傾きながら突入する際に前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造と、を有し、前記車両の幅方向外側へ向けて変形される前記サブバッグは、前記メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入する乗員の頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たる。

0008

好適には、前記サブバッグは、前記メインバッグから突出する基端部と、前記基端部から前記車両の後方へ向けて突出する先端部と、を有し、前記先端部が前記基端部より幅方向外側へ突出し、前記メインバッグについての前記基端部と隣り合う部分に対して頭部が突入することにより、前記基端部より幅方向外側へ突出している前記先端部が幅方向外側へ向けて回動する、とよい。

0009

好適には、前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、前記サブバッグを幅方向外側へ向けて変形させる構造は、前記隅部から浮かした状態で前記サブバッグと前記メインバッグとの間に橋渡すように布状部材または紐状部材を取り付けることにより実現される、とよい。

0010

好適には、前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造は、前記メインバッグについての前記隅部より幅方向外側となる部分に、前記メインバッグについての前記隅部となる部分より脆弱脆弱部が形成されることにより実現される、とよい。

0011

好適には、前記サブバッグは、前記メインバッグから突出して隅部を形成し、前記サブバッグを前記車両の幅方向外側へ向けて変形させる構造は、前記隅部に、前記メインバッグからの前記サブバッグの突出角度を維持する形状補強部材を取り付けることにより実現される、とよい。

発明の効果

0012

本発明では、メインバッグに突入する乗員の頭部についての車両の幅方向内側においてサブバッグを突出するように展開させている。よって、幅方向内側に傾きながらメインバッグへ突入する乗員の頭部を、サブバッグとメインバッグとの間で受けて支えることができる。
しかも、サブバッグは、メインバッグに対して乗員が幅方向内側に傾きながら突入する際に幅方向外側へ向けて変形するので、メインバッグに突入した乗員の頭部を幅方向内側から幅方向外側へ向けて強く支えることができる。特に、車両の幅方向外側へ向けて変形されるサブバッグは、メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員の頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たるので、乗員の頭部の前から後までを包み込んで乗員を幅方向外側へ向けて強く支えることができる。
その結果、乗員による斜め前方向への荷重によりメインバッグおよびサブバッグが乗員とともに幅方向内側へ傾いたとしても、サブバッグにより強く支えられる乗員がサブバッグおよびメインバッグから脱落し難くなる。サブバッグおよびメインバッグにより強く支えられた乗員の頭部および上体は、サブバッグおよびメインバッグについての幅方向内側へ脱落し難い。

0013

しかも、本発明において、車両の幅方向外側へ向けて変形されるサブバッグは、メインバッグに対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員の頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たる。よって、メインバッグに突入した乗員の頭部が、突入後に回転し難い。乗員の頭部が上体よりも幅方向外側へ回転してしまうことによる乗員の首部分障害を抑制できる。
これ対して、仮にたとえば単にメインバッグからサブバッグを突出させただけの場合、メインバッグおよびサブバッグが乗員とともに幅方向内側へ傾く際に、メインバッグに突入した乗員が、メインバッグおよびサブバッグから脱落しやすい。また、脱落する乗員は、頭部のみがサブバッグにより支えられるので、頭部より上体が優先して脱落する。その結果、メインバッグに突入した乗員の頭部は、突入後に回転しやすい。そして、たとえば乗員の頭部が上体よりも回転して、乗員の首部分に障害が発生する可能性がある。

0014

このように、本発明では、幅方向内側に傾きながらメインバッグへ突入する乗員の頭部および上体を、乗員とともに幅方向内側へ傾いたとしても好適に支え続けることができる。しかも、その支えている乗員の頭部が上体よりも回転してしまうことを抑制し得る。その結果、車両の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員の障害を抑制し、該乗員の保護性能を向上できる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、本発明の第1実施形態に係る乗員保護装置を適用した自動車の説明図である。
図2は、図1の自動車の乗員保護装置の説明図である。
図3は、第1比較例に係る一般的な助手席用の乗員保護装置での展開状態の説明図である。
図4は、図2の助手席用の乗員保護装置の詳細な説明図である。
図5は、第2比較例に係る助手席用の乗員保護装置での展開状態の説明図である。
図6は、本発明の第2実施形態での、助手席用の乗員保護装置の詳細な説明図である。
図7は、本発明の第3実施形態での、助手席用の乗員保護装置の詳細な説明図である。
図8は、本発明の第4実施形態での、助手席用の乗員保護装置の詳細な説明図である。
図9は、本発明の第5実施形態での、助手席用の乗員保護装置の詳細な説明図である。

実施例

0016

以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。

0017

[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る乗員保護装置10を適用した自動車1の説明図である。
自動車1は、車両の一例である。自動車1は、燃料燃焼させるエンジンを有するものでも、蓄電電力で駆動されるモータを有するものでも、または、双方を有するものでもよい。
図1の自動車1は、車体2の前後方向の中央部に乗員室3が形成される。乗員室3の前部には、ダッシュボード4が配置される。ダッシュボード4についての車体2の幅方向の中央部には、センタコンソール5が配置される。センタコンソール5から車体2の後方へ向けて、センタトンネル6が形成される。ダッシュボード4およびセンタコンソール5には、たとえばインストルメントパネルグローボックス、各種機器操作パネルが設置される。
センタトンネル6についての幅方向の左側には、運転者が着座するシート7が設置される。運転席用のシート7の前には、ハンドル8が配置される。ハンドル8は、ダッシュボード4から伸びボス後端に取り付けられる。
センタトンネル6についての幅方向の右側には、乗員Mが着座する助手席用のシート7が設置される。なお、助手席用のシート7と運転席用のシート7とは、幅方向左右入れ替えられてもよい。
運転席用のシート7および助手席用のシート7の前後方向後側には、後部乗員用のシート7が設置される。後部乗員用のシート7は、幅方向に長い形状のシート7である。

0018

このような自動車1は、車道などを走行する。そして、走行中に他の自動車などと衝突する可能性がある。このため、自動車1では、追突の際の衝撃から、運転者などの乗員Mを保護するための乗員保護装置10が用いられる。たとえば助手席用のシート7に乗員Mが着座している状態で、自動車1の車体2の正面に対して他の自動車が正面衝突すると、助手席用のシート7に着座した乗員Mの上体が前へ倒れる。この際、前側に倒れる乗員Mの上体や頭部が、ダッシュボード4に打ち付けられる可能性がある。

0019

図2は、図1の自動車1の乗員保護装置10の説明図である。図2には、助手席用の乗員保護装置10が図示されている。
図2の助手席用の乗員保護装置10は、シートベルトモジュール11、エアバッグモジュール12、車外撮像センサ13、車内撮像センサ14、ECU(Engine Control Unit)15、を有する。

0020

シートベルトモジュール11は、3点式のシートベルトを有する。3点式のシートベルトは、図1に示すように、シート7に着座した乗員Mのについての幅方向両側と、乗員Mの幅方向外側の肩部分とを支える。シートベルトモジュール11によりシート7に着座した乗員Mを支えることにより、衝突の際の衝撃により乗員Mがシート7から出てしまいにくくなる。

0021

エアバッグモジュール12は、ハウジング21、インフレータ22、エアバッグ23、を有する。
ハウジング21は、ダッシュボード4内で、助手席用のシート7の前方の位置に配置される。ハウジング21は、左右方向に延在するビーム9に取り付けられる。ビーム9は、たとえばハンドル8が取り付けられるものでよい。
インフレータ22は、高圧ガスを収容する。高圧ガスは、火薬などによる点火により膨張し得る。
エアバッグ23は、布材を袋状に縫製したものである。エアバッグ23は、インフレータ22に取り付けられる。エアバッグ23およびインフレータ22は、ハウジング21に収容される。
このようにシート7の前方に設置されたエアバッグモジュール12では、インフレータ22がECU15からの点火信号により高圧ガスを膨張させる。これにより、エアバッグ23は、シート7に着座する乗員Mの前で展開する。エアバッグモジュール12は、乗員Mとダッシュボード4との間に展開する。これにより、衝突の際の衝撃により前に倒れる乗員Mは、展開したエアバッグ23により支えられる。

0022

車外撮像センサ13は、自動車1の車体2の周囲を撮像するセンサである。車外撮像センサ13は、図1に示すように、乗員室3の上部に設置されるバッグミラーの前面に設けられる。車外撮像センサ13は、撮像画像から、自動車1の車体2の周囲に存在する他の自動車、構造物などを検出する。車外撮像センサ13は、衝突前に、衝突しそうな他の自動車を検出し得る。車外撮像センサ13は、検出した物体相対方向および相対距離をECU15へ出力する。

0023

車内撮像センサ14は、自動車1の乗員室3を撮像するセンサである。車外撮像センサ13は、図1に示すように、ダッシュボード4についての助手席用のシート7の前方の位置に配置される。車内撮像センサ14は、撮像画像から、シート7に着座する乗員Mを検出する。車内撮像センサ14は、衝突直前に、シート7に着座する乗員Mの乗車姿勢を検出し得る。車内撮像センサ14は、検出した乗員Mの上体および頭部の位置をECU15へ出力する。

0024

ECU15は、自動車1に搭載されるコンピュータ装置である。ECU15は、たとえばマイクロコンピュータである。ECU15は、エアバッグモジュール12、車外撮像センサ13、車内撮像センサ14に接続される。また、ECU15は、加速度センサ、シートベルトモジュール11などに接続されてよい。ECU15は、加速度センサまたは車外撮像センサ13からの検出信号に基づいて衝突を検出し、シートベルトモジュール11へテンション信号を出力し、インフレータ22へ点火信号を出力する。また、ECU15は、車外撮像センサ13からの検出信号に基づいて衝突を予測し、シートベルトモジュール11へテンション信号を出力し、インフレータ22へ点火信号を出力してよい。

0025

このような乗員保護装置10を用いることにより、衝突の際に乗員Mがシート7から外れたり、シート7に着座する乗員Mの上体や頭部がダッシュボード4などに直接的に打ち付けられたりすることを抑制できる。たとえば、自動車1が他の自動車と正面衝突する場合、助手席に着座する乗員Mは前に倒れ、展開した助手席用のエアバッグ23へ突入する。助手席用のエアバッグ23は、前に倒れる乗員Mの頭部および上体を支えることができる。

0026

しかしながら、自動車1は、他の自動車との間で、正面方向から衝突するとは限らない。たとえば、自動車1に対して、他の自動車が車体幅方向外側オフセットした状態で斜め前方向から衝突する可能性もある。

0027

図3は、第1比較例に係る一般的な助手席用の乗員保護装置10での展開状態の説明図である。図3のシート7には、乗員Mとして、たとえば衝突安全基準で使用するダミー人形が着座している。以下の説明では、このダミー人形を乗員Mとして説明する。
図3のエアバッグ23は、図1および図2に示す本実施形態のエアバッグ23と異なり、乗員Mの前方のみで展開する。このようなエアバッグ23は、乗員Mの正面方向にのみ展開する。

0028

図3(A)に示すように、自動車1に対して、他の自動車が車体幅方向外側へオフセットした状態で斜め前方向から衝突する場合、乗員Mの上体および頭部は、前方向へ倒れるのではなく、車体2の幅方向内側へ倒れながら前方向へ倒れる。乗員Mの上体および頭部は、内側斜め前方向へ倒れる。
倒れ始めた上体および頭部は、図3(B)に示すように、展開したエアバッグ23の内側部分に対して斜めに当たる。乗員Mが斜め方向の入力で当たることにより、図3(C)に示すように、展開したエアバッグ23は、乗員Mとともに内側に倒れる。その結果、極端な場合には、倒れる乗員Mの上体および頭部は、図3(D)に示すように、展開したエアバッグ23についての幅方向内側に外れ、エアバッグ23についての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
また、図3(D)と図3(C)とを比較すればわかるように、乗員Mの頭部は、上体に対して大きく回転している。上体の回転に対して頭部の回転が大きくなるほど、乗員Mの首に対して負担がかかる可能性が高くなる。

0029

このように、乗員保護装置10で用いられる一般的なエアバッグ23では、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mを好適に保護しきれない可能性がある。オフセット斜め衝突時に、乗員保護効果が高まり難い可能性がある。

0030

このように自動車1の乗員保護装置10では、自動車1の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員Mに対する保護性能を向上させることが求められている。オフセット斜め衝突時の乗員保護能力を高めることが求められている。
そこで、本実施形態では、エアバッグ23の形状を工夫し、さらに衝突の際に幅方向内側へ倒れようとする乗員Mを内側から支持することで、自動車1の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員Mに対する保護性能を向上させる。以下、詳しく説明する。

0031

図4は、図2の助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。図4(A)は、乗員Mが倒れる前の状態を示す。図4(B)は、乗員Mが自動車1の幅方向内側へ倒れながら前へ倒れた場合の状態を示す。
図4(A)の乗員保護装置10は、エアバッグ23として、メインバッグ24、サブバッグ25、を有する。

0032

メインバッグ24は、布材を袋状に縫製したものである。メインバッグ24は、インフレータ22に取り付けられる。メインバッグ24は、図4(A)に示すように、シート7に着座する乗員Mの前で展開する。メインバッグ24は、乗員Mとダッシュボード4との間に展開する。これにより、メインバッグ24は、たとえば正面衝突の際に正面方向へ倒れる乗員Mの頭部から上体を支えることができる。

0033

サブバッグ25は、布材を袋状に縫製したものである。サブバッグ25は、メインバッグ24の乗員Mが突入する面についての、幅方向内側に取り付けられる。サブバッグ25は、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部より縦長に形成される。
サブバッグ25は、メインバッグ24と連通し、メインバッグ24とともに1つの内部空間を形成する。サブバッグ25は、インフレータ22の点火された高圧ガスの圧力により、メインバッグ24とともに展開される。これにより、サブバッグ25は、メインバッグ24に突入する乗員Mの頭部についての、幅方向内側で展開する。サブバッグ25は、メインバッグ24において乗員Mが突入する部分についての、幅方向内側の部分から後方へ突出するように、展開する。メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部の内横に展開する。
サブバッグ25は、メインバッグ24から突出する基端部27と、先端部28と、を有する。先端部28は、基端部27から、自動車1の後方向へ突出する。先端部28は、基端部27より幅方向外側へ斜めに突出する。幅方向外側へ向かって斜めに突出する先端部28は、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部の後頭部の後側に回り込んで当たる。先端部28は、メインバッグ24に突入した乗員Mの後頭部を、幅方向内側から外向きに支える。

0034

そして、図4(A)の状態にメインバッグ24およびサブバッグ25が展開する場合、シート7に着座している乗員Mの幅方向内側の斜め前方向には、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26が位置する。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、たとえば図4(B)に示すように、乗員Mの頭部は、メインバッグ24についての隅部26となる部分に突入する。メインバッグ24についての、サブバッグ25の基端部27と隣り合う部分に、頭部が突入する。
メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重により押されると、該部分に隣接して突出するサブバッグ25は、幅方向外側に向かって回転しようとする。サブバッグ25は、メインバッグ24に対して、幅方向外側へ向けて変形しようとする。その結果、メインバッグ24に突入した際に乗員Mの後頭部と当たっていたサブバッグ25の先端部28は、乗員Mの後頭部に対して幅方向外向きの力を作用させる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から支えて押される。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ちなくなる。また、サブバッグ25により支えられて且つ後頭部が押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。

0035

また、図4(B)と図3(D)とを比較すればわかるように、サブバッグ25が後頭部を幅方向外向きに押すことにより、乗員Mの頭部が上体に対して大きく回転し難くなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。

0036

なお、サブバッグ25は、幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する乗員Mの頭部に対して、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たることにより、同様の効果を期待できる。

0037

図5は、第2比較例に係る助手席用の乗員保護装置10での展開状態の説明図である。
図5において、サブバッグ25は、図4と同様に、メインバッグ24の幅方向内側の部分から、後ろ向きに突出している。ただし、サブバッグ25は、後ろ向きに真っ直ぐに突出するのみである。サブバッグ25は、乗員Mの後頭部を覆わない。

0038

この場合、図5(A)に示すように乗員Mが幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとすると、乗員Mの頭部は、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26に突入する。その結果、図5(B)に示すように、メインバッグ24およびサブバッグ25は、乗員Mとともに、幅方向内側へ傾く。
その後、乗員Mがさらに幅方向内側へ傾いて倒れようとすると、図5(C)に示すように、隅部26に突入した乗員Mの頭部が幅方向内側へずれる。サブバッグ25は、幅方向内側へずれる頭部に押されて、倒れる。サブバッグ25は、メインバッグ24についての乗員突入面に対して、幅方向内側へ倒れる。その結果、一旦、メインバッグ24およびサブバッグ25に突入した乗員Mの頭部および上体は、サブバッグ25を超えて、メインバッグ24およびサブバッグ25について幅方向内側へ落ち得る。

0039

このように、単に助手席用のエアバッグ23の展開範囲を幅方向内側へ広げたり、更に広げた部分から後方へサブバッグ25を突出させたりするだけでは、幅方向内側へ傾きながら突入する乗員Mを適切に支持することができない。その結果、幅方向内側へ傾きながら突入する乗員Mに対して、高い安全性を提供することは困難である。
すなわち、助手席の乗員Mが幅方向内側へ傾きながら助手席用のエアバッグ23へ突入する場合、エアバッグ23では、その幅方向内側の端部に、乗員Mの荷重がかかる。また、乗員Mの荷重は、助手席用のエアバッグ23から離れるように幅方向内側の斜め前へ向かう力として作用する。このため、幅方向内側へ広がって展開した助手席用のエアバッグ23は、乗員Mの荷重により幅方向内側へ倒れやすい。そして、一旦助手席用のエアバッグ23で支えられた乗員Mの頭部および上体は、助手席用のエアバッグ23が幅方向内側へ傾くことにより、助手席用のエアバッグ23についての幅方向内側へ落ちてしまう可能性がある。
また、図5の第2比較例では、図3(D)の第1比較例の場合と同様に、乗員Mの頭部は、突入位置からずれることにより、上体に対して大きく回転する。上体の回転に対して頭部の回転が大きくなるほど、乗員Mの首に対して負担がかかる可能性が高くなる。
また、図5の第2比較例では、図3(D)の第1比較例の場合と同様に、助手席用のエアバッグ23は、乗員Mの荷重のままに、幅方向内側へ倒れる。
なお、以上の説明では、幅方向内側へ傾きながら突入する乗員Mは、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26に対して突入するものとして説明している。しかしながら、乗員Mがエアバッグ23へ斜めに突入する位置は、隅部26に限られない。図5のように単にサブバッグ25を突出させる場合には、頭部を幅方向内側から支える機能が無いので、突入位置が隅部26からずれるほど、サブバッグ25が頭部に対して機能し難くなる。頭部の近くでサブバッグ25が展開しないと、サブバッグ25が頭部を支える機能を発揮し得ない。

0040

以上のように、本実施形態では、メインバッグ24に突入する乗員Mの頭部についての自動車1の幅方向内側においてサブバッグ25を突出するように展開させている。よって、幅方向内側に傾きながらメインバッグ24へ突入する乗員Mの頭部を、サブバッグ25とメインバッグ24との間で受けて支えることができる。
しかも、サブバッグ25は、メインバッグ24に対して乗員Mが幅方向内側に傾きながら突入する際に幅方向外側へ向けて回動する。よって、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部は、サブバッグ25による幅方向内側から幅方向外側へ向けた変形により、強く支えられ得る。特に、自動車1の幅方向外側へ向けて変形されるサブバッグ25は、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員Mの頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たる。よって、乗員Mの頭部の前から後までを包み込んで、乗員Mを幅方向外側へ向けて強く支えることができる。
その結果、乗員Mによる斜め前方向への荷重によりメインバッグ24およびサブバッグ25が乗員Mとともに幅方向内側へ傾くとしても、サブバッグ25により頭部がずれないように強く支えられる乗員Mは、サブバッグ25およびメインバッグ24から脱落し難くなる。サブバッグ25およびメインバッグ24により強く支えられた乗員Mは、サブバッグ25およびメインバッグ24についての幅方向内側へ脱落し難い。

0041

しかも、本実施形態において、自動車1の幅方向外側へ向けて回動するサブバッグ25は、メインバッグ24に対して幅方向内側に傾きながら突入した乗員Mの頭部についての、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たる。よって、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部は、後頭部が支えられることにより、突入後に回転し難い。乗員Mの頭部が上体よりも幅方向外側へ回転してしまうことによる乗員Mの首部分の障害を抑制できる。
これ対して、仮にたとえば図5の第2比較例のように単にメインバッグ24からサブバッグ25を突出させただけの場合、メインバッグ24およびサブバッグ25が乗員Mとともに幅方向内側へ傾くことにより、メインバッグ24に突入した乗員Mはメインバッグ24およびサブバッグ25から脱落しやすい。また、脱落する乗員Mは、頭部のみがサブバッグ25により支えられるので、頭部より上体が優先して脱落し易い。その結果、メインバッグ24に突入した乗員Mの頭部は、突入後に回転しやすい。そして、たとえば乗員Mの頭部が上体よりも回転して、乗員Mの首部分に大きな負担がかかる可能性がある。

0042

このように、本実施形態では、幅方向内側に傾きながらメインバッグ24へ突入する乗員Mの頭部および上体を、乗員Mとともに幅方向内側へ傾いたメインバッグ24およびサブバッグ25により好適に支え続けることができる。しかも、その支えている乗員Mの頭部が上体よりも回転してしまうことを抑制し得る。その結果、自動車1の幅方向内側に傾きながら前へ倒れる乗員Mの障害を抑制し、該乗員Mの保護性能を向上できる。

0043

本実施形態では、サブバッグ25は、メインバッグ24から突出している。しかも、サブバッグ25についての後方側の先端部28は、サブバッグ25の基端部27より幅方向外側へ突出する。サブバッグ25は、全体としては幅方向外側へ湾曲している。この突出形状により、サブバッグ25の先端部28は、メインバッグ24に突入している頭部についての側頭部から後頭部までの範囲内に当たりやすい。また、サブバッグ25が幅方向外側へ向けて回転する際に、サブバッグ25の基端部27が頭部の前面部と当たり難くなり、サブバッグ25の回転が遮られてしまうことを抑制できる。サブバッグ25の回動によりサブバッグ25の先端部28を幅方向外側へ移動させて、後頭部を幅方向外側へ向けて押すことができる。

0044

[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図6は、本発明の第2実施形態での、助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。図6(A)は、乗員Mが倒れる前の状態を示す。図6(B)は、乗員Mが自動車1の幅方向内側へ倒れながら前へ倒れた場合の状態を示す。

0045

図6(A)に示すように、エアバッグモジュール12は、ハウジング21、インフレータ22、エアバッグ23、布状部材31、を有する。エアバッグ23は、メインバッグ24、サブバッグ25、を有する。

0046

布状部材31は、たとえば圧力により容易に撓むことができるナイロン布などでよい。布状部材31は、たとえば頭部より一回り大きいサイズの長方形に形成される。
そして、布状部材31は、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26から浮かした状態で、サブバッグ25とメインバッグ24との間に橋渡すように取り付けられる。長方形の布状部材31の場合、その一辺がサブバッグ25の基端部27に取り付けられ、対向する他辺がメインバッグ24に取り付けられる。

0047

そして、図6(A)の状態にメインバッグ24およびサブバッグ25が展開する場合、シート7に着座している乗員Mの幅方向内側の斜め前方向には、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26が位置する。隅部26についての乗員M側には、隅部26から浮かして取り付けられた布状部材31が位置する。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、たとえば図6(B)に示すように、乗員Mの頭部は、布状部材31に突入した後、さらに隅部26に突入する。布状部材31は、乗員Mの頭部により、メインバッグ24についての、サブバッグ25の基端部27と隣り合う部分に押し付けられる。このため、布状部材31により引かれるサブバッグ25は幅方向外側へ向かって回転する。サブバッグ25は、メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重が作用することに加えて、布状部材31により引かれることにより、後頭部についての幅方向内側を強く押す。その結果、メインバッグ24に頭部が突入した際に、該頭部の後頭部に対して強い力を作用させることができる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から強く支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ち難くなる。サブバッグ25により後頭部が強く押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。

0048

また、図6(B)と図3(D)とを比較すればわかるように、サブバッグ25が後頭部を幅方向外向きに押すことにより、乗員Mの頭部が上体に対して大きく回転し難くなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。

0049

なお、サブバッグ25は、幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する乗員Mの頭部に対して、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たることにより、同様の効果を期待できる。

0050

以上のように、本実施形態では、サブバッグ25は、メインバッグ24から突出する。しかも、サブバッグ25とメインバッグ24との間には、布状部材31が、隅部26から浮かした状態で橋渡すように取り付けられる。よって、幅方向内側に傾きながら前に倒れる乗員Mが、サブバッグ25とメインバッグ24とによる隅部26に対して突入することにより、布状部材31が隅部26の奥へ入り込み、その結果として、メインバッグ24に対して近づくようにサブバッグ25が幅方向外側へ向けて回動する。布状部材31により引き込まれるサブバッグ25は、幅方向外側へ回動し、後頭部を幅方向外側へ向けて押すことができる。

0051

なお、本実施形態では、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26に、布状部材31を設けている。この他にもたとえば、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26には、たとえばテザーによる紐状部材を設けてもよい。この場合でも、紐状部材を、隅部26から浮かした状態でメインバッグ24とサブバッグ25との間に橋渡すように取り付けることにより、サブバッグ25を引き込んで幅方向外側へ回動させる効果を期待できる。

0052

[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図7は、本発明の第3実施形態での、助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。図7(A)は、乗員Mが倒れる前の状態を示す。図7(B)は、エアバッグ23の展開状態を示す模式的な断面図である。図7(B)では、乗員Mが自動車1の幅方向内側へ倒れながら前へ倒れている。

0053

図7(A)に示すように、エアバッグモジュール12は、ハウジング21、インフレータ22、エアバッグ23、を有する。エアバッグ23は、メインバッグ24、サブバッグ25、を有する。メインバッグ24とサブバッグ25とにより隅部26が形成される。
メインバッグ24には、脆弱部32が形成される。脆弱部32は、図7(B)に示すように、たとえばメインバッグ24についての他の部分より薄肉に形成した部分である。脆弱部32は、メインバッグ24についての隅部26より幅方向外側となる部分に形成される。

0054

そして、図7(A)の状態にメインバッグ24およびサブバッグ25が展開する場合、シート7に着座している乗員Mの幅方向内側の斜め前方向には、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26が位置する。隅部26についての幅方向外側には、脆弱部32が形成される。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、たとえば図7(B)に示すように、乗員Mの頭部は、メインバッグ24についての隅部26となる部分に突入する。メインバッグ24は、脆弱部32が変形する。サブバッグ25は、メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重が作用することに加えて、脆弱部32によりメインバッグ24の変形が促進されることにより、後頭部についての幅方向内側を強く押す。その結果、メインバッグ24に頭部が突入した際に、該頭部の後頭部に対して強い力を作用させることができる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から強く支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ち難くなる。サブバッグ25により後頭部が強く押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。

0055

また、サブバッグ25が後頭部を幅方向外向きに押すことにより、乗員Mの頭部が上体に対して大きく回転し難くなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。

0056

なお、サブバッグ25は、幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する乗員Mの頭部に対して、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たることにより、同様の効果を期待できる。
以上のように、本実施形態では、サブバッグ25は、メインバッグ24から突出する。しかも、メインバッグ24についての、サブバッグ25との隅部26についての幅方向外側となる部分には、該隅部26となる部分より脆弱な脆弱部32が形成される。サブバッグ25および隅部26は、脆弱部32についての幅方向内側において揺動し得る。よって、幅方向内側に傾きながら前に倒れる乗員Mが、メインバッグ24についての隅部26となる部分に対して突入することにより、サブバッグ25が幅方向外側へ向けて移動する。サブバッグ25は、頭部の後側を幅方向外側へ向けて押すことができる。

0057

[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図8は、本発明の第4実施形態での、助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。図8には、エアバッグ23の展開状態が模式的に図示されている。

0058

図8に示すように、エアバッグモジュール12は、ハウジング21、インフレータ22、エアバッグ23、を有する。エアバッグ23は、メインバッグ24、サブバッグ25、形状補強部材33、を有する。メインバッグ24とサブバッグ25とにより隅部26が形成される。
形状補強部材33は、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26に取り付けられる。形状補強部材33は、たとえばメインバッグ24用の布材を樹脂材料により所望の形状に硬化させたものでよい。形状補強部材33は、メインバッグ24についての隅部26となる部分から、サブバッグ25の基端部27の部分までに貼着される。形状補強部材33を貼り付けることにより、隅部26の剛性が向上する。隅部26は、図8における断面略字形状の断面を維持し易くなる。メインバッグ24からのサブバッグ25の突出角度は、維持し易くなる。

0059

そして、図8の状態にメインバッグ24およびサブバッグ25が展開する場合、シート7に着座している乗員Mの幅方向内側の斜め前方向には、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26が位置する。隅部26の剛性は、形状補強部材33により向上している。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、たとえば図8に示すように、乗員Mの頭部は、メインバッグ24についての隅部26となる部分に突入する。メインバッグ24は、形状補強部材33で補強された隅部26となる部分の周囲で変形しやすい。サブバッグ25は、メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重が作用することに加えて、形状補強部材33により隅部26の変形が抑制されることにより、後頭部についての幅方向内側を強く押す。その結果、メインバッグ24に頭部が突入した際に、該頭部の後頭部に対して強い力を作用させることができる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から強く支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ち難くなる。サブバッグ25により後頭部が強く押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。

0060

また、サブバッグ25が後頭部を幅方向外向きに押すことにより、乗員Mの頭部が上体に対して大きく回転し難くなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。

0061

なお、サブバッグ25は、幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する乗員Mの頭部に対して、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たることにより、同様の効果を期待できる。

0062

以上のように、本実施形態では、サブバッグ25は、メインバッグ24から突出する。しかも、サブバッグ25とメインバッグ24とになる隅部26には、メインバッグ24からのサブバッグ25の突出角度を維持する形状補強部材33が取り付けられる。メインバッグ24についての隅部26となる部分とサブバッグ25とがなす角度は、維持されやすい。よって、幅方向内側に傾きながら前に倒れる乗員Mが、メインバッグ24についての隅部26となる部分に対して突入することにより、サブバッグ25が幅方向外側へ向けて移動する。サブバッグ25は、頭部の後側を幅方向外側へ向けて押すことができる。

0063

[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る自動車1の乗員保護装置10について説明する。以下において、主に第1実施形態との相違点について説明する。第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を使用して、説明を省略する。
図9は、本発明の第5実施形態での、助手席用の乗員保護装置10の詳細な説明図である。

0064

図9に示すように、エアバッグモジュール12は、ハウジング21、インフレータ22、エアバッグ23、を有する。エアバッグ23は、メインバッグ24、サブバッグ25、を有する。サブバッグ25は、基端部27、先端部28を有する。
サブバッグ25の基端部27は、メインバッグ24の幅方向内側の側面から突出する。基端部27は、メインバッグ24の幅方向内側の側面に沿って、後方へ向かって伸びている。基端部27は、メインバッグ24についての乗員Mが突入する面より後側へ伸びる。
サブバッグ25の先端部28は、基端部27より幅方向外側へ斜めに突出する。

0065

そして、図9の状態にメインバッグ24およびサブバッグ25が展開する場合、シート7に着座している乗員Mの幅方向内側の斜め前方向には、メインバッグ24とサブバッグ25とによる隅部26が位置する。
このため、オフセットした斜め衝突の際に、乗員Mが幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する場合、乗員Mの頭部は、隅部26に突入する。サブバッグ25は、メインバッグ24についての隅部26となる部分が乗員Mの荷重が作用することにより、後頭部についての幅方向内側を押す。その結果、メインバッグ24に頭部が突入した際に、該頭部の後頭部に対して力を作用させることができる。
よって、メインバッグ24に突入した頭部は、メインバッグ24に突入した後、サブバッグ25により幅方向内側から支えられる。幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mの頭部および上体は、メインバッグ24の内側へ落ち難くなる。サブバッグ25により後頭部が押されている頭部は、メインバッグ24に突入した状態を維持し、メインバッグ24の上で滑って回転することが起き難くなる。乗員Mの頭部が上体と比べて大きく回転してしまうことが起きにくくなる。

0066

また、サブバッグ25が後頭部を幅方向外向きに押しているので、乗員Mの頭部が上体に対して大きく回転し難くなる。
その結果、幅方向内側に傾いた斜め前方向へ移動しようとする乗員Mは、メインバッグ24およびサブバッグ25により一旦支持された後に、メインバッグ24およびサブバッグ25についての幅方向内側へ落ちにくくなる。オフセットした斜め衝突の際の乗員保護効果が高まる。

0067

なお、サブバッグ25は、幅方向内側に倒れながらメインバッグ24に対して斜めに突入する乗員Mの頭部に対して、少なくとも側頭部から後頭部までの範囲内に当たることにより、同様の効果を期待できる。

0068

以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。

0069

上記実施形態では、たとえば布状部材31、脆弱部32、形状補強部材33を用いて、サブバッグ25についての幅方向外側へ向かう回動を強めている。
この他にもたとえば、サブバッグ25は、回動以外の動きで幅方向外側へ向けて変形すればよい。また、布状部材31、脆弱部32、形状補強部材33以外の部材を用いて、サブバッグ25についての幅方向外側への変形を促進してもよい。

0070

上記実施形態において、メインバッグ24は、乗員Mが突入する面が、自動車1の上下方向に沿った略平面に形成されている。
この他にもたとえば、乗員Mが突入する面は、自動車1の前後方向に沿った面であっても、曲面であってもよい。これらの場合でも、本発明により乗員Mの保護性能が向上することを期待できる。

0071

上記実施形態は、本発明を自動車1の助手席用の乗員保護装置10に適用した例である。
この他にもたとえば、本発明は、自動車1の運転席用の乗員保護装置10、後部座席用の乗員保護装置10に適用してよい。

0072

1…自動車(車両)、2…車体、3…乗員室、4…ダッシュボード、7…シート、10…乗員保護装置、12…エアバッグモジュール、13…車外撮像センサ(車外センサ)、14…車内撮像センサ(車内センサ)、15…ECU(制御部)、21…ハウジング、22…インフレータ、23…エアバッグ、24…メインバッグ、25…サブバッグ、26…隅部、27…基端部、28…先端部、31…布状部材、32…脆弱部、33…形状補強部材

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