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技術 立体造形用粉末材料、立体造形材料セット、及び立体造形物の製造方法

出願人 株式会社リコー
発明者 法兼義浩設楽泰禎草原輝樹山口剛男斉藤拓也
出願日 2015年6月1日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2015-111482
公開日 2016年3月22日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2016-037041
状態 特許登録済
技術分野 材料からの成形品の製造 ガラスの成形 粉末冶金 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし)
主要キーワード エアーブロー処理 粉体焼結法 カウンターローラー 用粉末材料 表面保護処理 筒状構造体 断熱性層 粉体特性測定装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月22日)のものです。
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課題

空隙が少なく高強度であり、かつ複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、金属等の粉末材料を用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造し得る立体造形用粉末材料の提供。

解決手段

樹脂により結着した所定形状の粉末材料層を複数積層して立体物造形する立体造形に用いる粉末材料であって、複数の芯材水溶性樹脂により固定化された粒子を含む立体造形用粉末材料である。

概要

背景

従来より、型を利用して金属成形体を製造することが行われている。型を利用する金属成形体の製造技術の場合、一般に、型が高額であり、複雑で微細成形物の製造には必ずしも適しておらず、低ロット生産には適していない等の問題がある。近時、複雑で微細な立体造形物の低ロット生産のニーズが高まってきている。このニーズに対応するための技術として、粉体焼結法粉体接着法などが提案されてきている(例えば、特許文献1〜3参照)。

前記粉体焼結法は、粉体の薄層を形成し、この薄層にレーザー光照射して薄い焼結体を形成し、この操作を繰り返すことにより、前記薄い焼結体の上に順次薄い焼結体を積層し、所望の立体造形物を得る方法である。また、前記粉体接着法は、前記粉体焼結法において、焼結を行う代わりに接着剤を用いて所望の立体造形物を得る方法である。

概要

空隙が少なく高強度であり、かつ複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、金属等の粉末材料を用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造し得る立体造形用粉末材料の提供。樹脂により結着した所定形状の粉末材料層を複数積層して立体物造形する立体造形に用いる粉末材料であって、複数の芯材水溶性樹脂により固定化された粒子を含む立体造形用粉末材料である。

目的

本発明は、空隙が少なく高強度であり、かつ複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、金属等の粉末材料を用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造し得る立体造形用粉末材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
4件

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請求項1

樹脂により結着した所定形状の粉末材料層を複数積層して立体物造形する立体造形に用いる粉末材料であって、複数の芯材水溶性樹脂により固定化された粒子を含むことを特徴とする立体造形用粉末材料

請求項2

前記立体造形用粉末材料の数平均粒子径Dnが、15μm以上50μm以下であり、前記数平均粒子径Dnと前記立体造形用粉末材料の体積平均粒子径Dvとの比(Dv/Dn)が、1.4以下である請求項1に記載の立体造形用粉末材料。

請求項3

前記芯材の数平均粒子径が、1μm以上10μm以下である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。

請求項4

前記水溶性樹脂の含有量が、前記芯材に対して0.5体積%以上15体積%以下である請求項1から3のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。

請求項5

前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂変性ポリビニルアルコール樹脂ポリアクリル酸樹脂セルロース樹脂デンプンゼラチン、及びポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種である請求項4に記載の立体造形用粉末材料。

請求項6

前記水溶性樹脂の重合度が、100以上2,000以下である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。

請求項7

噴射造粒法により製造される請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。

請求項8

前記芯材が、金属粒子及びセラミックス粒子の少なくともいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。

請求項9

前記セラミックス粒子が、ガラスである請求項8に記載の立体造形用粉末材料。

請求項10

請求項1から9のいずれかに記載の立体造形用粉末材料と、水系液体とを備えることを特徴とする立体造形材料セット。

請求項11

前記水系液体が、架橋剤を含む請求項10に記載の立体造形材料セット。

請求項12

支持体上に、請求項1から9のいずれかに記載の立体造形用粉末材料を用いて立体造形用粉末材料層を形成する立体造形用粉末材料層形成工程と、前記立体造形用粉末材料層の所定領域に、水系液体を付与し、前記立体造形用粉末材料層の硬化物を形成する硬化物形成工程と、を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法。

請求項13

前記水系液体が、架橋剤を含む請求項12に記載の立体造形物の製造方法。

請求項14

更に、前記硬化物形成工程で得られた硬化物を焼結する焼結工程を含む請求項12から13のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。

請求項15

前記硬化物形成工程における水系液体の付与が、インクジェット法により行われる請求項12から14のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。

請求項16

請求項12から15のいずれかに記載の立体造形物の製造方法により製造された立体造形物であって、前記立体造形物の空隙率が15%以下であることを特徴とする立体造形物。

技術分野

0001

本発明は、立体造形用粉末材料、立体造形材料セット、及び立体造形物の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来より、型を利用して金属成形体を製造することが行われている。型を利用する金属成形体の製造技術の場合、一般に、型が高額であり、複雑で微細成形物の製造には必ずしも適しておらず、低ロット生産には適していない等の問題がある。近時、複雑で微細な立体造形物の低ロット生産のニーズが高まってきている。このニーズに対応するための技術として、粉体焼結法粉体接着法などが提案されてきている(例えば、特許文献1〜3参照)。

0003

前記粉体焼結法は、粉体の薄層を形成し、この薄層にレーザー光照射して薄い焼結体を形成し、この操作を繰り返すことにより、前記薄い焼結体の上に順次薄い焼結体を積層し、所望の立体造形物を得る方法である。また、前記粉体接着法は、前記粉体焼結法において、焼結を行う代わりに接着剤を用いて所望の立体造形物を得る方法である。

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、前記粉体焼結法の場合、積層する毎にズレを確認し補正することが必要となり、積層物の強度が充分でないため、製造途中で型崩れが生じてしまう等の問題がある。また、前記粉体接着法の場合、粉末を積層する場合に空隙が残存した場合、レーザーのように粉体が溶融し空隙を埋め、密度を向上することができず、非常に空隙の多い焼結体となってしまう。

0005

また、粒子スキージで積層する際には、空隙が残留し、焼結時の接触点が少ないため、グリーン体(焼結用硬化物)及び焼結体の強度が弱くなる。一般的には粒子を小径化することで焼結体密度が向上するが、小粒径の粒子をコーターにより均一に、かつ密度高く敷き詰めることは困難であるという課題がある。

0006

本発明は、空隙が少なく高強度であり、かつ複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、金属等の粉末材料を用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造し得る立体造形用粉末材料を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形用粉末材料は、樹脂により結着した所定形状の粉末材料層を複数積層して立体物造形する立体造形に用いる粉末材料であって、
複数の芯材水溶性樹脂により固定化された粒子を含む。

発明の効果

0008

本発明によると、空隙が少なく高強度であり、かつ複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、金属等の粉末材料を用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造し得る立体造形用粉末材料を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

図1は、本発明で用いられる立体造形物製造装置の一例を示す概略図である。
図2は、本発明で用いられる立体造形物製造装置の他の一例を示す概略図である。
図3は、三点曲げ試験試験方法を示す図である。

0010

(立体造形用粉末材料)
本発明の立体造形用粉末材料は、複数の芯材が水溶性樹脂により固定化された粒子を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有し、樹脂により結着した所定形状の粉末材料層を複数積層して立体物を造形する立体造形に用いられる。

0011

本発明においては、前記立体造形用粉末材料は、複数の芯材が水溶性樹脂で結着して固定化された粒子を含有し、複数の前記芯材が凝集し水溶性樹脂により結着し、固定化された所定形状の立体造形用粉末材料層を複数積層して立体物を造形する立体造形に用いられる。これにより、空隙が少なく高強度であり、かつ寸法精度が高い、複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物が得られ、その結果、空隙のない、高密度のグリーン体(焼結用硬化物)を得ることができる。

0012

<芯材>
前記芯材としては、粉末乃至粒子の形態を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その材質としては、例えば、金属、セラミックス(ガラスを含む)、カーボンポリマー、木材、生体親和材料、などが挙げられるが、高強度な立体造形物を得る観点からは、最終的に焼結処理が可能な金属、セラミックスなどが好ましい。

0013

前記金属としては、例えば、ステンレス(SUS)鋼、鉄、銅、銀、チタンジルコニウム、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、ステンレス(SUS)鋼が好ましい。
前記ステンレス(SUS)鋼としては、例えば、SUS304、SUS316、SUS317、SUS329、SUS410、SUS430、SUS440、SUS630などが挙げられる。
前記ステンレス鋼としては、これらの材料で形成された市販品の粒子乃至粉末を使用することができ、例えば、SUS316L(山陽特殊製鋼株式会社製、PSS316L)などが挙げられる。

0014

前記セラミックスとしては、例えば、酸化物炭化物、窒化物水酸化物などが挙げられる。これらの中でも、金属酸化物ガラス転移現象を示す非晶質な無機物質が好ましい。
前記金属酸化物としては、例えば、シリカ(SiO2)、オルトケイ酸(H4SiO4)、メタケイ酸(H2SiO3)、メタケイ酸(H2Si2O5)等の珪酸酸化ホウ素(B2O3/B2O5)、リン酸(P2O5)、酸化ビスマス(Bi2O3)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、二酸化テルル(TeO2)、五酸化バナジウム(V2O5)、酸化アンチモン(Sb2O5)、酸化イットリウム(Y2O3)、二酸化ゲルマニウム(GeO2)、一酸化鉛(PbO)、酸化銅(II)(CuO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ガラス転移現象を示す非晶質な無機物質としては、例えば、ガラスなどが挙げられる。
前記セラミックスの中でも、ジルコニア、ガラスが好ましい。

0015

前記セラミックスには、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カルシウム(Ca2CO3)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、硝酸カリウム(KNO3)、塩化リチウム(LiCl)、塩化バリウム(BaCl)、塩化亜鉛(ZnCl2)、臭化亜鉛(ZnBr2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ベリリウム(BeF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化インジウム(InF3)、フッ化ジルコニウム(ZrF4)、フッ化ランタン(LaF3)、石黄(As2S3)、硫化ゲルマニウム(GeS2)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
更に、前記セラミックスに所望の機能を付与するため、圧縮熱処理急冷、着色、金属膜被覆等の処理を行うこともできる。

0016

前記セラミックスとしては、これらの材料で形成された市販品の粒子乃至粉末を使用することができ、例えば、SiO2(株式会社トクヤマ製、エクセリカSE−15)、AlO2(大明化学工業株式会社製、タイミクロンTM−5D)、ZrO2(東ソー株式会社製、TZ−B53)、ガラスビーズユニチカ株式会社製、SPL−30)、ガラスビーズ(ユニチカ株式会社製、SPM−30)、マイクロガラスビーズポッターズ・バロティーニ株式会社製、EMB−10)などが挙げられる。

0017

前記カーボンとしては、例えば、グラファイトグラフェンカーボンナノチューブカーボンナノホーンフラーレンなどが挙げられる。
前記ポリマーとしては、例えば、水に不溶な公知の樹脂などが挙げられる。

0018

前記木材としては、例えば、ウッドチップセルロースなどが挙げられる。
前記生体親和材料としては、例えば、ポリ乳酸リン酸カルシウムなどが挙げられる。

0019

前記芯材としては、前記水溶性樹脂との親和性を高める目的等で、公知の表面(改質)処理がされていてもよい。

0020

前記芯材の数平均粒子径は、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上5μm以下がより好ましい。
前記数平均粒子径が、1μm以上であると、立体造形物の製造効率が良好であり、取扱性やハンドリング性に優れるという利点があり、10μm以下であると、複数の芯材が水溶性樹脂により結着してなる立体造形用粉末材料のサイズが適切であり、かつ、粒度分布が狭いので、立体造形物の表面粗さが小さくなり、かつ、内部の空隙が小さいので、焼結する場合の接点数が多くなり、充分な焼結体強度が得られる。
前記芯材の数平均粒子径は、公知の粒径測定装置、例えば、マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)、などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
前記芯材の粒度分布としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
前記芯材の外形表面積円形度流動性濡れ性等については、目的に応じて適宜選択することができる。

0021

<水溶性樹脂>
前記水溶性樹脂としては、水に溶解可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明において、前記水溶性樹脂の水溶性は、例えば、30℃の水100gに前記水溶性樹脂を1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
また、前記水溶性樹脂としては、その4質量%(w/w%)水溶液の20℃における粘度が、40mPa・s以下が好ましく、1mPa・s以上35mPa・s以下がより好ましく、5mPa・s以上30mPa・s以下が更に好ましい。
前記粘度が、40mPa・s以下であると、前記立体造形用粉末材料に水系液体を付与した際に、複数の芯材粒子崩壊し、流動することにより空隙を埋めることが可能となる。更に、立体造形用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)の強度が充分であり、その後の焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じないという利点がある。また、前記立体造形用粉末材料に水系液体を付与して形成した立体造形用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)の寸法精度が良好である。
前記粘度は、例えば、JIS K7117に準拠して測定することができる。

0022

前記水溶性樹脂の重合度は、100以上2,000以下が好ましく、100以上1,000以下がより好ましい。前記重合度が100以上であると、立体造形後の成形乾燥物(グリーン体)が、自立することが可能な強度を有し、2,000以下であると、インクジェットにより塗布された液体により速やかに溶解可能となるという利点がある。
前記水溶性樹脂の重合度は、前記水溶性樹脂がポリビニルアルコール樹脂である場合には、ビニルアルコールの重合度を意味する。前記水溶性樹脂の重合度は、前記水溶性樹脂がブタンジオールビニルアルコール共重合体である場合には、ブタンジオールの重合度とビニルアルコールの重合度の合計を意味する。前記水溶性樹脂の重合度は、前記水溶性樹脂がデンプンである場合には、グルコースの重合度を意味する。前記水溶性樹脂の重合度は、前記水溶性樹脂がポリアクリル酸ナトリウムである場合には、アクリル酸の重合度を意味する。前記水溶性樹脂の重合度は、前記水溶性樹脂がカルボキシメチルセルロースナトリウムである場合には、グルコースの重合度を意味する。前記水溶性樹脂がゼラチンである場合には、アミノ酸の重合度を意味する。

0023

前記水溶性や前記粘度を有する前記水溶性樹脂としては、例えば、水溶性樹脂、水溶性プレポリマー、などが挙げられる。
前記水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂ポリアクリル酸樹脂セルロース樹脂、デンプン、ゼラチン、ビニル樹脂アミド樹脂イミド樹脂アクリル樹脂ポリエチレングリコール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、セルロース樹脂、デンプン、ゼラチン、ポリエチレングリコールが好ましく、ポリビニルアルコール樹脂がより好ましい。
これらは、前記水溶性を示す限りにおいて、ホモポリマー単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよい。
したがって、例えば、前記ポリビニルアルコール樹脂であれば、ポリビニルアルコールであってもよいし、アセトアセチル基アセチル基シリコーン等による変性ポリビニルアルコールアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセチル基変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコールなど)であってもよく、また、ブタンジオール・ビニルアルコール共重合体等であってもよい。また、前記ポリアクリル酸樹脂であれば、ポリアクリル酸であってもよいし、ポリアクリル酸ナトリウム等の塩であってもよい。前記セルロース樹脂であれば、例えば、セルロースであってもよいし、カルボキシメチルセルロースCMC)等であってもよい。また、前記アクリル樹脂であれば、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・無水マレイン酸共重合体などであってもよい。
前記水溶性プレポリマーとしては、例えば、止水剤等に含まれる接着性の水溶性イソシアネートプレポリマー、などが挙げられる。

0024

前記水溶性樹脂としては、上記例示したものを、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。
前記市販品としては、例えば、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−205C、PVA−220C)、ポリアクリル酸(東亞合成株式会社製、ジュリマーAC−10)、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製、ジュリマーAC−103P)、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、ゴーセネックスZ−300、ゴーセネックスZ−100、ゴーセネックスZ−200、ゴーセネックスZ−205、ゴーセネックスZ−210、ゴーセネックスZ−220)、カルボキシ基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、ゴーセネックスT−330、ゴーセネックスT-350、ゴーセネックスT-330T)、ブタンジオール・ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業株式会社製、ニチゴーG−ポリマーOKS−8041)、カルボキシメチルセルロース(第一工業株式会社製、セロゲン5A)、デンプン(三和澱粉工業株式会社製、ハイスタードPSS−5)、ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製、ビーマトリックスゼラチン)などが挙げられる。

0025

前記水溶性樹脂の含有量は、前記芯材に対して、0.5体積%以上15体積%以下が好ましく、1体積%以上2体積%以下がより好ましい。前記含有量が、0.5体積%以上であると、前記芯材同士に結着力があるので、搬送時や積層工程において芯材同士に摩擦が生じず、凝集体が崩壊することがないという利点がある。また、前記含有量が15体積%以下であると、溶解液への溶解が十分であるという利点がある。

0026

前記立体造形用粉末材料が含み得る公知のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、流動化剤フィラーレベリング剤焼結助剤、などが挙げられる。前記立体造形用粉末材料が、前記流動化剤を含むと前記立体造形用粉末材料による層等を容易にかつ効率よく形成し得る点で好ましく、前記フィラーを含むと得られる硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)に空隙等が生じ難くなる点で好ましく、前記レベリング剤を含むと前記立体造形用粉末材料の濡れ性が向上し、ハンドリング等が容易になる点で好ましく、前記焼結助剤を含むと、得られた硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)につき焼結処理を行う場合において、より低温での焼結が可能となる点で好ましい。

0027

<立体造形用粉末材料の製造方法>
前記立体造形用粉末材料の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記水溶性樹脂を前記基材上に公知の被覆方法に従って被覆する方法などが好適に挙げられる。
前記芯材を凝集し前記水溶性樹脂で結着する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜採用することができ、かかる凝集体形成方法としては、例えば、転動流動コーティング法スプレードライ法撹拌混合加法ディッピング法ニーダーコート法、などが挙げられる。また、これらの被覆方法は、公知の市販の各種コーティング装置、造粒装置などを用いて実施することができる。
これらの中でも、噴霧造粒法や特開2011−212668号公報に記載の粒子の製造方法(精密噴射造粒法)において前記芯材と前記水溶性樹脂を噴霧造粒することで、非常に均一な粒子が製造可能となり、立体造形用粉末材料の粒子制御性飛躍的に向上する。

0028

−立体造形用粉末材料の物性等−
前記立体造形用粉末材料の数平均粒子径Dnとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、15μm以上50μm以下が好ましく、15μm以上30μm以下がより好ましい。
前記数平均粒子径Dnが、15μm以上であると、立体造形物の製造効率が良好であり、取扱性やハンドリング性に優れるという利点があり、50μm以下であると、前記立体造形用粉末材料を用いて薄層を形成した際に、該薄層における前記立体造形用粉末材料の充填率が良好であり、空隙が生じにくいので、充分な強度の立体造形物が得られる。

0029

前記立体造形用粉末材料の体積平均粒径Dvと数平均粒子径Dnとの比である粒度分布Dv/Dnは、1.4以下が好ましく、1.1以上1.4以下がより好ましい。前記粒度分布Dv/Dnが、1.1以上であると、前記立体造形用粉末材料を用いて薄層を形成した際に、前記薄層における前記立体造形用粉末材料の充填率が充分であり、空隙が生じにくいので、充分な強度の立体造形物が得られる。一方、前記粒度分布Dv/Dnが、1.4以下であると、粗大粒子が少なく、薄い立体造形用粉末材料層を形成することができ、微細粉も発生せず、自己凝集も生じないという利点がある。
前記立体造形用粉末材料の数平均粒子径Dn及び粒度分布Dv/Dnは、公知の粒径測定装置、例えば、マイクロトラックHRAMT−3300EXII(日機装株式会社製)、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。

0030

前記立体造形用粉末材料の特性としては、その安息角を測定した場合において、40度以下が好ましく、30度以上34度以下がより好ましく、32度が特に好ましい。
前記安息角が40度以下であると、立体造形用粉末材料を支持体上の所望の場所に効率よく安定に配置することができるという利点がある。
なお、前記安息角は、例えば、粉体特性測定装置パウダテスタPT−N型ホソカワミクロン株式会社製)などを用いて測定することができる。

0031

本発明の立体造形用粉末材料は、各種の成形体構造体の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、後述する本発明の立体造形材料セット、本発明の立体造形物の製造方法、及び本発明で得られる焼結用硬化物に特に好適に用いることができる。
前記立体造形用粉末材料は、前記立体造形用粉末材料に前記水系液体を付与するだけで、複雑な立体形状を有する立体造形物を簡便かつ効率よくしかも寸法精度良く製造することができる。こうして得られた立体造形物は、充分な硬度を有する。
前記立体造形物は、硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)であり、手で持ったり、型に出し入れしたり、エアーブロー処理を行って余分な前記立体造形用粉末材料を除去したりしても、型崩れを生じることがなく、取扱性、ハンドリング性に優れる。前記硬化物は、そのまま使用してもよいし、焼結用硬化物として更に焼結処理を施して成形体としてもよい。そして、前記焼結処理を施した場合において、焼結後の該成形体において不要な空隙等が生じることがなく、美麗な外観の成形体が容易に得られる。

0032

(立体造形材料セット)
本発明の立体造形材料セットは、本発明の前記立体造形用粉末材料と、水系液体とを備え、更に必要に応じてその他の成分等を備えている。

0033

<水系液体>
前記水系液体は、水性媒体、及び架橋剤を少なくとも含有し、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。

0034

−水性媒体−
前記水性媒体としては、例えば、水、エタノール等のアルコールエーテルケトン、などが挙げられる。なお、前記水性媒体は、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を含有する有機溶剤であってもよい。

0035

−架橋剤−
前記架橋剤としては、前記水溶性樹脂を架橋可能な性質を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属塩金属錯体有機ジルコニウム化合物有機チタン化合物キレート剤などが挙げられる。
前記有機ジルコニウム化合物としては、例えば、酸塩化ジルコニウム炭酸ジルコニウムアンモニウム乳酸ジルコニウムアンモニウムなどが挙げられる。
前記有機チタン化合物としては、例えば、チタンアシレートチタンアルコキシドなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、金属塩がより好適である。

0036

前記金属塩としては、例えば、2価以上の陽イオン金属を水中で電離するものなどが好適に挙げられ、その具体例としては、オキシ塩化ジルコニウム水和物(4価)、水酸化アルミニウム(3価)、水酸化マグネシウム(2価)、チタンラクテートアンモニウム塩(4価)、塩基性酢酸アルミニウム(3価)、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(4価)、チタントリエタノールアミネート(4価)、などが好適に挙げられる。
前記金属塩としては、市販品を使用することができ、該市販品としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム八水和物(第一稀元素化学工業株式会社製、酸塩化ジルコニウム)、水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)、水酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)、チタンラクテートアンモニウム塩(マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスTC−300)、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩(マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスZC−300)、塩基性酢酸アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)、ビスビニルスルホン化合物(富士ファインケミカル株式会社製、VS−B(K−FJC))、炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(第一稀元素化学工業株式会社製、ジルコゾールAC−20)、チタントリエタノールアミネート(マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスTC−400)、グリオキシル酸塩(Safelink SPM−01、日本合成化学工業株式会社製)、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学株式会社製)などが挙げられる。前記金属塩における金属の価数が2以上であると、架橋強度を向上させることができ、得られる前記立体造形物(焼結用硬化物)が良好な強度を有する点で好ましい。

0037

なお、本発明における前記「架橋剤」とは、架橋対象(ポリマー等の有機材料)の官能基と架橋反応可能な部位を有する化合物であり、架橋反応することで、自ら架橋対象間の架橋結合結合部位の構成要素となるものである。したがって、例えば、パーオキサイド有機過酸化物)や還元性物質のように、熱や光によって自らが分解することでフリーラジカルを発生し、不飽和単量体に付加し、二重結合を開くと同時に、新たなラジカル反応を発生しその工程を繰り返すことで高分子化を促進させたり、飽和化合物炭素に結合している水素を引き抜いて、新たなラジカルを生成し生成したラジカル同士が再結合することで、この飽和化合物間の橋かけが形成されるといった、自らは架橋結合部位の構成要素にはならない、ラジカル反応を開始乃至促進させるための、所謂「開始剤」とは異なる概念であり、本発明における「架橋剤」とは明確に区別される。

0038

前記水系液体における前記架橋剤の含有量(濃度)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記水溶性樹脂100質量部に対し、該架橋剤量が、0.1質量部(質量%)以上50質量部(質量%)以下となる濃度が好ましく、0.5質量部(質量%)以上40質量部(質量%)以下となる濃度がより好ましく、1質量部(質量%)以上35質量部(質量%)以下となる濃度が特に好ましい。
前記濃度が、0.1質量%以上であると、前記立体造形用粉末材料に前記水系液体を付与して形成した立体造形用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の強度が充分であり、50質量%以下であると、前記立体造形用粉末材料に前記水系液体を付与して形成した立体造形用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物)の寸法精度が良好である。

0039

−水溶性有機溶剤−
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクタムエチレングリコール、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテルエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルグリセリンジエチレングリコール、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテルジエチレングリコールモノエチルエーテルジエチレングリコールモノブチルエーテルジエチレングリコールモノメチルエーテルジグリセリンジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルジメチルスルホキシドスルホランチオジグリコールテトラエチレングリコールトリエチレングリコール、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルトリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリメチロールエタントリメチロールプロパン、プロピルプロピレンジグリコールプロピレングリコール、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルプロピレングリコールモノエチルエーテルヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0040

前記水溶性有機溶剤の含有量は、水系液体の全量に対して、20質量%以上60質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましい。前記水溶性有機溶剤の含有量が、20質量%以上であると、水系液体の水分保持力が良好であり、保管時の乾燥が進みにくく、また検査時のノズル面での乾燥が進まず、吐出定性が良好であり、正常な検査を行えるという利点がある。一方、前記水溶性有機溶剤の含有量が60質量%以下であると、水系液体の粘度が適正であり、ヘッドへの充填性が向上し、水系液体の可燃性が低下するという利点がある。

0041

−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤ノニオン性界面活性剤両性界面活性剤アセチレングリコール系界面活性剤フッ素系界面活性剤シリコーン界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0042

−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、保存剤防腐剤安定化剤pH調整剤などが挙げられる。
前記その他の成分としては、前記水系液体を付与する手段の種類、使用頻度や量などの諸条件を考慮して適宜選択することができ、例えば、インクジェット法によって前記水系液体を付与する場合には、インクジェットプリンター等におけるノズルヘッドへの目詰り等の影響を考慮して選択することができる。

0043

前記水系液体の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記水性媒体中に前記架橋剤、前記水溶性有機溶剤、前記界面活性剤、更に必要に応じて前記その他の成分を添加し、混合する方法などが挙げられる。

0044

本発明の立体造形材料セットは、各種の成形体、構造体の製造に好適に用いることができ、後述する本発明の立体造形物の製造方法、及び本発明で得られる焼結用硬化物に特に好適に用いることができる。
本発明の立体造形材料セットを用いて立体造形物を製造すると、前記立体造形用粉末材料に前記架橋剤を含有する前記水系液体を作用させるだけで、複雑な立体形状を有する立体造形物を簡便かつ効率良くしかも寸法精度良く製造することができる。こうして得られた立体造形物は、充分な硬度を有する硬化物(立体造形物)であり、手で持ったり、型に出し入れしたり、エアーブロー処理を行って余分な前記立体造形用粉末材料を除去したりしても、型崩れを生じることがなく、取扱性及びハンドリング性に優れる。この硬化物(立体造形物)は、そのまま使用してもよいし、焼結用硬化物として更に焼結処理を施して成形体(立体造形物)としてもよい。そして、前記焼結処理を施した場合において、焼結後の該成形体において不要な空隙等が生じることがなく、美麗な外観の成形体が容易に得られる。

0045

<焼結用硬化物>
本発明で得られる焼結用硬化物は、上述した本発明の前記立体造形用粉末材料に前記水系液体を付与させて得られた硬化物、であって、焼結を行って成形体を製造するのに用いられる。

0046

前記焼結用硬化物は、前記立体造形用粉末材料に前記水系液体を付与しただけで得られたものであるが、充分な強度を有する。該焼結用硬化物においては、前記基材が密に(高充填率で)存在し、前記水溶性樹脂は該基材どうしの周囲に極僅かだけ存在するため、その後に焼結等して成形体(立体造形物)を得たとき、接着剤等を用いた従来の粉末乃至粒子の硬化物とは異なり、有機物成分揮発脱脂)量が少なくできるため、得られた成形体に不要な空隙(脱脂痕)等は存在せず、外観の美麗な成形体(立体造形物)が得られる。

0047

前記焼結用硬化物の強度としては、例えば、表面を擦っても型崩れ等が生ずることがない程度であり、ノズル口径2mm、エアー圧力0.3MPaのエアーガンを用いて、距離5cmよりエアーブロー処理をしても割れ等が生ずることがない程度である。

0048

前記焼結用硬化物は、前記立体造形用粉末材料に前記架橋剤を含有する水を付与するだけで得られ、しかも充分な硬度を有し、手で持ったり、型に出し入れしたり、エアーブロー処理を行って余分な前記立体造形用粉末材料を除去したりしても、型崩れを生じることがなく、取扱性、ハンドリング性に優れる。この焼結用硬化物に焼結処理を施した場合、焼結後の該成形体において不要な空隙等が生じることがなく、美麗な外観の成形体が容易に得られる。

0049

(立体造形物の製造方法及び立体造形物製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、立体造形用粉末材料層形成工程と、硬化物形成工程とを含み、更に必要に応じて焼結工程等のその他の工程を含む。
本発明で用いられる立体造形物製造装置は、立体造形用粉末材料層形成手段と、硬化物形成手段とを有し、更に必要に応じて焼結手段等のその他の手段を有してなる。

0050

<立体造形用粉末材料層形成工程及び立体造形用粉末材料層形成手段>
前記立体造形用粉末材料層形成工程は、支持体上に、本発明の前記立体造形用粉末材料を用いて立体造形用粉末材料層を形成する工程であり、立体造形用粉末材料層形成手段により好適に実施される。

0051

−支持体−
前記支持体としては、前記立体造形用粉末材料を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該立体造形用粉末材料の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。
前記支持体の表面、即ち、前記立体造形用粉末材料を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよいが、前記立体造形用粉末材料における前記水溶性樹脂が水に溶解し、前記架橋剤の作用によって架橋した際に、該水溶性樹脂との親和性が低いことが好ましい。
記載置面と、溶解し架橋した前記水溶性樹脂との親和性が、芯材と、溶解し架橋した前記水系液体との親和性よりも低いと、得られた立体造形物(焼結用硬化物)を該載置面から取り外すことが容易である点で好ましい。

0052

−立体造形用粉末材料層の形成−
前記立体造形用粉末材料を前記支持体上に載置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、薄層に載置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構カウンターローラー)などを用いる方法、前記立体造形用粉末材料をブラシやローラブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記立体造形用粉末材料の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の立体造形物製造装置を用いる方法、などが好適に挙げられる。

0053

前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記立体造形用粉末材料を薄層に載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。即ち、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、該外枠の内壁摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記立体造形用粉末材料を、前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち前記立体造形用粉末材料層の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記立体造形用粉末材料を載置させる。以上により、前記立体造形用粉末材料を前記支持体上に薄層に載置させることができる。

0054

なお、このようにして薄層に載置させた前記立体造形用粉末材料に対し、前記水系液体を作用させると、硬化(該立体造形用粉末材料における前記水溶性樹脂を溶解し架橋)が生ずる。
ここで得られた薄層の硬化物上に、上記と同様にして、前記立体造形用粉末材料を薄層に載置させ、この薄層に載置された該立体造形用粉末材料(層)に対し、前記架橋剤を含有する水系液体を作用させると、硬化(該立体造形用粉末材料における前記水溶性樹脂を溶解し架橋)が生ずる。このときの硬化は、該薄層に載置された前記立体造形用粉末材料(層)においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた前記薄層の硬化物との間でも生ずる。その結果、前記薄層に載置された前記立体造形用粉末材料(層)の約2層分の厚みを有する硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)が得られる。

0055

また、前記立体造形用粉末材料を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の立体造形物製造装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記立体造形物製造装置は、一般に、前記立体造形用粉末材料を積層するためのリコーターと、前記立体造形用粉末材料を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記立体造形用粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。前記立体造形物製造装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができ、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記立体造形用粉末材料を薄層に配置させることができ、該リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の前記立体造形用粉末材料を積層させることができる。

0056

前記立体造形用粉末材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、30μm以上500μm以下が好ましく、60μm以上300μm以下がより好ましい。
前記厚みが、30μm以上であると、前記立体造形用粉末材料に前記水系液体を付与して形成した立体造形用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)の強度が充分であり、500μm以下であると、前記立体造形用粉末材料に前記水系液体を付与して形成した立体造形用粉末材料(層)による硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)の寸法精度が良好である。
なお、前記平均厚みは、特に制限はなく、公知の方法に従って測定することができる。

0057

<硬化物形成工程及び硬化物形成手段>
前記硬化物形成工程は、前記立体造形用粉末材料層の所定領域に、前記水系液体を付与し、前記立体造形用粉末材料層の硬化物を形成する工程であり、硬化物形成手段により好適に実施される。

0058

前記水系液体の前記立体造形用粉末材料への付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式インクジェット方式などが挙げられる。なお、これらの方式を実施するには公知の装置を前記硬化物形成手段として好適に使用することができる。
これらの中でも、前記ディスペンサ方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなり、前記スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による粉末の飛散が発生する。このため、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良好であり、前記ディスペンサ方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。

0059

前記インクジェット法による場合、前記硬化物形成手段は、該インクジェット法により前記水系液体を前記立体造形物粉末材料層に付与可能なノズルを有する。なお、該ノズルとしては、公知のインクジェットプリンターにおけるノズルを好適に使用することができ、また、前記インクジェットプリンターを前記硬化物形成手段として好適に使用することができる。なお、前記インクジェットプリンターとしては、例えば、株式会社リコー製のSG7100、などが好適に挙げられる。このインクジェットプリンターは、ヘッド部から一度に滴下できる水系液体の量が多く、塗布面積が広いため、塗布の高速化を図ることができる点で好ましい。

0060

本発明においては、前記水系液体を精度良くしかも高効率に付与可能な前記インクジェットプリンターを用いた場合においても、前記水系液体が、粒子等の固形物や、樹脂等の高分子の高粘度材料を含有しないため、前記ノズル乃至そのヘッドにおいて目詰り等が発生せず、腐食等を生じさせることもなく、また、前記立体造形用粉末材料層に付与(吐出)された際、該立体造形用粉末材料における前記水溶性樹脂に効率良く浸透可能であるため、立体造形物の製造効率に優れ、しかも樹脂等の高分子成分が付与されることがないため、予定外体積増加等を生ずることがなく、寸法精度の良い造形物が容易にかつ短時間で効率よく得られる点で有利である。

0061

なお、前記水系液体において前記架橋剤はpH調整剤としても機能し得る。前記水系液体のpHとしては、前記インクジェット法で該水系液体を前記立体造形用粉末材料層に付与する場合には、用いるノズルのノズルヘッド部分の腐食や目詰り防止の観点からは、5(弱酸性)〜12(塩基性)が好ましく、8〜10(弱塩基性)がより好ましい。このpHの調整のために公知のpH調整剤を使用してもよい。

0062

<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、乾燥工程、焼結工程、表面保護処理工程、塗装工程、などが挙げられる。

0063

前記乾燥工程は、前記硬化物形成工程において得られた硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)を乾燥させる工程である。前記乾燥工程において、前記硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)中に含まれる水分や有機溶媒のみならず、有機物を除去(脱脂)してもよい。前記乾燥手段としては、公知の乾燥機などが挙げられる。

0064

前記焼結工程は、前記硬化物形成工程において形成した硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)を焼結する工程である。この焼結工程を行うことにより、前記硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)を一体化された金属乃至セラミックスの成形体(立体造形物)とすることができる。前記焼結手段としては、公知の焼結炉などが挙げられる。

0065

前記表面保護処理工程は、前記硬化物形成工程において形成した硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)に保護層を形成等する工程である。前記表面保護処理工程を行うことにより、前記硬化物(立体造形物)を例えばそのまま使用等することができる耐久性等を該硬化物(立体造形物)の表面に与えることができる。前記保護層の具体例としては、耐水性層耐候性層耐光性層、断熱性層光沢層、などが挙げられる。前記表面保護処理手段としては、公知の表面保護処理装置、例えば、スプレー装置コーティング装置などが挙げられる。

0066

前記塗装工程は、前記硬化物形成工程において形成した硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)に塗装を行う工程である。前記塗装工程を行うことにより、前記硬化物(立体造形物)を所望の色に着色させることができる。前記塗装手段としては、公知の塗装装置、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。

0067

ここで、図1に本発明で用いられる立体造形物製造装置の一例を示す。この図1の立体造形物製造装置は、造形側粉末貯留槽1と供給側粉末貯留槽2とを有し、これらの粉末貯留槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ3上に立体造形用粉末材料を載置し、立体造形用粉末材料からなる層を形成する。
造形側粉末貯留槽1の上には、前記粉末貯留槽内の立体造形用粉末材料に向けて水系液体4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側粉末貯留槽2から造形側粉末貯留槽1に立体造形用粉末材料を供給すると共に、造形側粉末貯留槽1の立体造形用粉末材料(層)表面を均す、均し機構6(以下、リコーターということがある)を有する。

0068

造形側粉末貯留槽1の立体造形用粉末材料上にインクジェットヘッド5から水系液体4を滴下する。このとき、水系液体4を滴下する位置は、最終的に造形したい立体形状を複数の平面層スライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
一層分の描画が終了した後、供給側粉末貯留槽2のステージ3を上げ、造形側粉末貯留槽1のステージ3を下げる。その差分の立体造形用粉末材料を、前記均し機構6によって、造形側粉末貯留槽1へと移動させる。

0069

このようにして、先に描画した立体造形用粉末材料層表面上に、新たな立体造形用粉末材料層が一層形成される。このときの立体造形用粉末材料層一層の厚みは、数十μm以上100μm以下程度である。
前記新たに形成された立体造形用粉末材料層上に、更に二層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して立体造形物を得、図示しない加熱手段で加熱乾燥させることで造形物が得られる。

0070

図2に、本発明の立体造形物製造装置の他の一例を示す。図2の立体造形物製造装置は、原理的には図1と同じものであるが、立体造形用粉末材料の供給機構が異なる。即ち、供給側粉末貯留槽2は、造形側粉末貯留槽1の上方に配されている。一層目の描画が終了すると、造形側粉末貯留槽1のステージ3が所定量降下し、供給側粉末貯留槽2が移動しながら、所定量の立体造形用粉末材料を造形側粉末貯留槽1に落下させ、新たな立体造形用粉末材料層を形成する。その後、均し機構6で、立体造形用粉末材料を圧縮し、かさ密度を上げると共に、立体造形用粉末材料層の高さを均一に均す。
図2に示す構成の立体造形物製造装置によれば、2つの粉末貯留槽を平面的に並べる図1の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。

0071

以上の本発明の立体造形物の製造方法により、複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物(焼結用硬化物)を、簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造することができる。
こうして得られた立体造形物は、充分な強度を有し、寸法精度に優れ、微細な凹凸、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用することができる。

0072

(立体造形物)
本発明の立体造形物は、本発明の前記立体造形物の製造方法により製造される。
前記立体造形物の空隙率は、15%以下であり、10%以下が好ましい。前記空隙率が15%以下であると、空隙が少ない立体造形物(焼結用硬化物)が得られる。
前記空隙率は、例えば、アルキメデス法などにより求めることができる。

0073

以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。

0074

<芯材の数平均粒子径の測定>
前記芯材の数平均粒子径は、粒径測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)を用いて測定した。

0075

(実施例1)
−立体造形用粉末材料1の作製−
まず、数平均粒子径が1.2μmのステンレス鋼(SUS316L)(山陽特殊製鋼株式会社製、PSS316L)30質量部、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−205C、重合度1,700、重量平均分子量22,000)0.3質量部、及びイオン交換水70質量部を含む立体造形用粒子液を調製した。
前記立体造形用粒子液の粘度は、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)用いて25℃の環境下で測定したところ、25℃で3.2mPa・sであった。
次に、特開2011−212668号公報に記載の粒子製造装置を用いて、前記調製した立体造形用粒子液を、ノズル数4、駆動周波数340kHz、風量40L/minの条件で噴射し、液滴を乾燥固化して、サイクロン補集することで、立体造形用粉末材料1を作製した。
得られた前記立体造形用粉末材料1における前記水溶性樹脂の含有量は、前記芯材に対して、2体積%であった。
ここで、前記水溶性樹脂の含有量(体積%)は、示差熱熱量測定装置(ThermoPlus、リガク株式会社製)を用いて、窒素ガス送風下にて、前記立体造形用粉末材料1を500℃で30分間昇温して水溶性樹脂を熱分解し、揮発させることで芯材の重量を測定し、熱履歴を与える前の粉末の重量との重量差を測定することで重量%を測定した。芯材の材質が変われば密度が異なるため、体積%濃度に換算して記載している。

0076

得られた立体造形用粉末材料1について、以下のようにして測定した、数平均粒子径Dnは15μm、粒度分布Dv/Dnは1.21であった。

0077

<数平均粒子径Dn、及び体積平均粒子径DvとDnとの比Dv/Dnの測定>
測定装置として市販の粒径測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRAMT−3300EXII)を用い、数平均粒子径Dn、及び体積平均粒子径DvとDnとの比Dv/Dnを求めた。

0078

<流動性(安息角)の評価>
前記立体造形用粉末材料1の流動性として安息角を市販の安息角測定装置(ホソカワミクロン株式会社製、パウダテスタPT−N型)を用いて測定したところ、35度であった。なお、前記安息角の測定値が大きい程、流動性が悪くなる傾向にある。

0079

<水系液体1の調製>
水70質量部と、水溶性有機溶剤として3−メチル−1,3−ブタンジオール(東京化成工業株式会社製)30質量部と、架橋剤として炭酸ジルコニウムアンモニウム塩(第一稀元素化学工業株式会社製、ジルコゾールAC−20)2質量部、及び界面活性剤としてエマルゲンLS106(花王株式会社製)0.2質量部とを、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、水系液体1を調製した。

0080

次に、得られた前記立体造形用粉末材料1と、前記水系液体1とを用い、サイズ(長さ5mm×12mm)の形状印刷パターンにより、インクジェット方式の立体造形物製造装置を用いて、立体造形物1を以下のようにして製造した。

0081

(1)まず、図1に示したような公知の立体造形物製造装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に前記立体造形用粉末材料1を移送させ、前記支持体上に平均厚みが100μmの立体造形用粉末材料1による薄層を形成した。

0082

(2)次に、形成した立体造形用粉末材料1による薄層の表面に、前記水系液体1を、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、SG7100)を用いてノズルから付与(吐出)し、前記ポリビニルアルコールを該水系液体1に含まれる水に溶かし、前記水系液体1に含まれる前記架橋剤(炭酸ジルコニウムアンモニウム塩)の作用により、前記ポリビニルアルコールを架橋させた。

0083

(3)次に、前記(1)及び(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した前記立体造形用粉末材料1による薄層を順次積層していき、立体造形物1を製造した。前記立体造形物1について、乾燥機を用いて、50℃まで1時間かけて昇温し、次いで、100℃に4時間維持した後、1時間かけて30℃まで降温させて、乾燥工程を行い、高さ3mm、幅12mm、長さ50mmの立体造形物1を得た。
得られた立体造形物1に対し、エアーブローにより余分な前記立体造形用粉末材料1を除去したところ、型崩れを生ずることはなかった。立体造形物1は強度、寸法精度に優れていた。

0084

得られた立体造形物1について、以下のようにして、空隙率の測定、及び3点曲げ試験を行い、寸法精度を以下の基準にて評価した。結果を表2に示した。

0085

<空隙率>
前記空隙率は、アルキメデス法(メトラートレド社製、MS403S/02、密度測定キット0.1mg、1mg天秤用)を用いて、立体造形物の空気中及び水中での質量の相関関係から算出した。

0086

<3点曲げ試験>
上記と同じ条件で、幅10mm×長さ60mm×厚み3mmの大きさの試験サンプルを作製した。この試験サンプルを株式会社島津製作所製のオートグラフAGS−Jと3点曲げ試験治具を用い、図3に示すように試験サンプルの中心点を厚み方向に図3中矢印方向に押し込む3点曲げ試験を実施し、3点曲げ応力(MPa)を測定し、下記基準で評価した。なお、支点間の距離は24mmであった。
評価基準
◎:8.0MPa以上
○:5.0MPa以上8.0MPa未満
△:3.0MPa以上5.0MPa未満
×:3.0MPa未満

0087

<寸法精度>
◎:立体造形物の表面が滑らかで美麗であり、反りも生じていない状態
○:立体造形物の表面状態は良好であるが、僅かに反りが生じている状態
△:立体造形物の表面に若干の歪みと凹凸が生じている状態
×:立体造形物の表面に歪みが生じており、表面を観察すると、前記芯材と前記水溶性樹脂との偏在が認められる状態

0088

(4)前記(3)で得られた立体造形物1について、乾燥機を用いて、窒素雰囲気下、500℃まで3時間58分間をかけて昇温した。次いで、400℃に4時間維持した後、4時間かけて30℃まで昇温させて、脱脂工程を行い、更に焼結炉内で真空条件、1,400℃で焼結処理を行った。その結果、表面が美麗な立体造形物(焼結体)1が得られた。この立体造形物(焼結体)1は完全に一体化されたステンレス構造体(金属塊)であり、硬質の床に叩きつけても全く破損等が生じなかった。

0089

(実施例2)
実施例1において、芯材をステンレス鋼(SUS316L)(PSS316L、数平均粒子径4.7μm、山陽特殊製鋼株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物2を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0090

(実施例3)
実施例1において、芯材をステンレス鋼(SUS316L)(PSS316L、数平均粒子径9.5μm、山陽特殊製鋼株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物3を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0091

(実施例4)
実施例2において、水溶性樹脂をアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、ゴーセネックス Z100、重合度500)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物4を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0092

(実施例5)
実施例2において、水溶性樹脂をポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品番号:1,100、重合度200)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物5を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0093

(実施例6)
実施例2において、水溶性樹脂をアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、ゴーセネックス Z200、重合度1,000)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物6を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0094

(実施例7)
実施例2において、水溶性樹脂をブタンジオール・ビニルアルコール共重合体(ニチゴー G−ポリマーOKS−8041、重合度500、日本合成化学工業株式会社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物7を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0095

(実施例8)
実施例2において、前記立体造形用粉末材料における水溶性樹脂の含有量を0.5体積%に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物8を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0096

(実施例9)
実施例2において、前記立体造形用粉末材料における水溶性樹脂の含有量を8体積%に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物9を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0097

(実施例10)
実施例2において、前記立体造形用粉末材料における水溶性樹脂の含有量を15体積%に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物10を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0098

(実施例11)
実施例1において、芯材をZrO2(東ソー株式会社製、TZ−B53、数平均粒子径2.4μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形物11を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0099

(実施例12)
実施例2において、水溶性樹脂をポリアクリル酸ナトリウム(ジュリマーAC−10LHP、東亜合成株式会社製、重合度1,700)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物12を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0100

(実施例13)
実施例2において、水溶性樹脂をデンプン(ハイスタードPSS0−5、重合度1,700、三和澱粉工業株式会社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物13を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0101

(実施例14)
実施例2において、水溶性樹脂をカルボキシメチルセルロースナトリウム(セロゲン5A、重合度1,700、第一工業製薬株式会社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物14を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0102

(実施例15)
実施例2において、水溶性樹脂をゼラチン(ビーマトリックスゼラチン、重合度1,700、新田ゼラチン株式会社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物15を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0103

(実施例16)
実施例2において、水溶性樹脂をポリエチレングリコール(PEG−1000、和光純薬工業株式会社製、重合度4,000)に変更した以外は、実施例2と同様にして、立体造形物16を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0104

(実施例17)
実施例1において、前記立体造形用粒子液を、スプレードライヤー(装置名:ADL311−A、ヤマト科学株式会社製)を用いて、造粒した以外は、実施例1と同様にして、立体造形用粉末材料17を作製した。なお、スプレードライ法の詳細については、特開2008−304901号公報に記載されている。
得られた前記立体造形用粉末材料17における前記水溶性樹脂の含有量は、前記芯材に対して、2体積%であった。
得られた立体造形用粉末材料17について、実施例1と同様にして測定した、数平均粒子径Dnは28μm、粒度分布Dv/Dnは1.4、安息角は37度であった。
次に、得られた前記立体造形用粉末材料17と、前記水系液体1とを用いて、実施例1と同様にして、立体造形物17を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0105

(実施例18)
実施例17において、芯材をガラスビーズ(ユニチカ株式会社製、SPL−30、数平均粒子径28.8μm)に変更した以外は、実施例17と同様にして、立体造形物18を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0106

(実施例19)
実施例17において、芯材をガラスビーズ(ユニチカ株式会社製、SPM−30、数平均粒子径28.3μm)に変更した以外は、実施例17と同様にして、立体造形物19を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0107

(実施例20)
実施例17において、芯材をマイクロガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製、EMB−10、数平均粒子径4.5μm)に変更した以外は、実施例17と同様にして、立体造形物20を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。

0108

(比較例1)
実施例3において、前記立体造形用粉末材料における水溶性樹脂被覆工法として、転動流動槽を用いて、芯材に対して均一にコーティングし、単一の芯材に均一な薄膜を形成した以外は、実施例3と同様にして、立体造形物21を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
表2の結果から、単一の芯材に均一にコーティングした粒子は、積層された際の立体造形物の空隙率には大きな変動はなかった。

0109

0110

0111

本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1>樹脂により結着した所定形状の粉末材料層を複数積層して立体物を造形する立体造形に用いる粉末材料であって、
複数の芯材が水溶性樹脂により固定化された粒子を含むことを特徴とする立体造形用粉末材料である。
<2> 前記立体造形用粉末材料の数平均粒子径Dnが、15μm以上50μm以下であり、
前記数平均粒子径Dnと前記立体造形用粉末材料の体積平均粒子径Dvとの比(Dv/Dn)が、1.4以下である前記<1>に記載の立体造形用粉末材料である。
<3> 前記芯材の数平均粒子径が、1μm以上10μm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料である。
<4> 前記水溶性樹脂の含有量が、前記芯材に対して0.5体積%以上15体積%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料である。
<5> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、セルロース樹脂、デンプン、ゼラチン、及びポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種である前記<4>に記載の立体造形用粉末材料である。
<6> 前記水溶性樹脂の重合度が、100以上2,000以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料である。
<7>噴射造粒法により製造される前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料である。
<8> 前記芯材が、金属粒子及びセラミックス粒子の少なくともいずれかである前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料である。
<9> 前記セラミックス粒子が、ガラスである前記<8>に記載の立体造形用粉末材料である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料と、水系液体とを備えることを特徴とする立体造形材料セットである。
<11> 前記水系液体が、架橋剤を含む前記<10>に記載の立体造形材料セットである。
<12>支持体上に、前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料を用いて立体造形用粉末材料層を形成する立体造形用粉末材料層形成工程と、
前記立体造形用粉末材料層の所定領域に、水系液体を付与し、前記立体造形用粉末材料層の硬化物を形成する硬化物形成工程と、を含むことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<13> 前記水系液体が、架橋剤を含む前記<12>に記載の立体造形物の製造方法である。
<14> 更に、前記硬化物形成工程で得られた硬化物を焼結する焼結工程を含む前記<12>から<13>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<15> 前記硬化物形成工程における水系液体の付与が、インクジェット法により行われる前記<12>から<14>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<16> 前記<12>から<15>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法により製造された立体造形物であって、
前記立体造形物の空隙率が15%以下であることを特徴とする立体造形物である。
<17> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂又は変性ポリビニルアルコール樹脂である前記<4>から<9>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料である。
<18>スプレードライ法により製造される前記<9>及び<17>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料である。
<19> 前記架橋剤が、金属塩である前記<11>に記載の立体造形材料セットである。
<20> 前記架橋剤が、金属塩である前記<13>に記載の立体造形物の製造方法である。

実施例

0112

前記<1>から<9>及び<17>から<18>のいずれかに記載の立体造形用粉末材料、前記<10>から<11>及び<19>のいずれかに記載の立体造形材料セット、前記<12>から<15>及び<20>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、及び前記<16>に記載の立体造形物は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記立体造形用粉末材料、前記立体造形材料セット、前記立体造形物の製造方法、及び前記立体造形物は、空隙が少なく高強度であり、かつ複雑な立体(三次元(3D))形状の立体造形物を、金属等の粉末材料を用いて簡便かつ効率良く、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く製造し得る立体造形用粉末材料、立体造形材料セット、立体造形物の製造方法、及び前記立体造形物を提供することを目的とする。

0113

1造形側粉末貯留槽
2 供給側粉末貯留槽
3ステージ
4水系液体
5インクジェットヘッド
6 均し機構

先行技術

0114

特開2000−328106号公報
特開2006−200030号公報
特開2003−48253号公報

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