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技術 レール頭部傷連続探傷方法及び装置

出願人 公益財団法人鉄道総合技術研究所東日本旅客鉄道株式会社日本ITeS株式会社
発明者 坂本博青木宣頼瀧川光伸小関昌信安藤洋介谷口義明
出願日 2015年12月14日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-243094
公開日 2016年3月17日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-035477
状態 特許登録済
技術分野 超音波による材料の調査、分析
主要キーワード 交換要否 照射角度α ローラ支承 凸状部材 パルス形式 移動距離測定 走査箇所 スライダ位置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月17日)のものです。
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図面 (18)

課題

下斜め方向の傷の深さを正確に測定でき、部品点数が少なくて構造が簡素で、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷装置及び下斜め方向の傷の深さを正確に測定でき、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷方法を提供する。

解決手段

第1の超音波振動子を複数配列した送信用フェイズドアレイ探触子50Tと第2の超音波振動子を複数配列した受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは、レール100の腹部100dを挟んで配置されるとともに、いずれも、曲面が101形成されているレールの上首部100c又はレールの頭部100aの下面に当てて配置され、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tからレール100の踏面100bに向けて超音波照射させ、受信用フェイズドアレイ探触子50Rでそのエコーを受信し、そのエコーからレール100を探傷する。

概要

背景

レールは、鉄道車両荷重を支持するとともに鉄道車両を走行方向に誘導する帯状鋼製品であり、特殊な断面形状をしている。
図16は鉄道車両と鉄道車両を支持するレールの概念縦断面図である。
図16で示すように、レール100は頭部100aを具えている。この頭部100aは、踏面100bと、踏面100bに連続する2つの側面100eとを具えている。一方の側面100eと踏面100bには、鉄道車両の車輪200が直接接触する。
また、レール100は、頭部100aを支持する腹部100dを具えている。この腹部100dは、2つの側面100e間の幅(レール幅)より狭い幅を有している。
また、レール100は、頭部100aと腹部100dとを連結する上首部100cを具えている。この連結は各側面100e又は頭部100aの下面と、腹部100dとを連結している。また、上首部100cはレール100の表面がアール状に凹む曲面101を有している。

レール100の頭部100aは鉄道車両の車輪200の荷重を支持するから、頭部100aには傷(亀裂)が生じることがある。
図17(a)〜図17(c)は、レールに発生する傷(亀裂)の状況を示す図である。
特に、図17(a)はレールの概念斜視図であり、図17(b)は図17(a)のレールの概念側面図、図17(c)は図17(a)のレールの概念正面図である。
図17(a)〜図17(c)の破線で示すように、レール100に発生する傷には、頭部100aの踏面100bの起点F1から踏面100bに略平行に進む傷(単に「略平行に進む傷」という。)F2と、頭部100aの内部を鉛直方向下斜め方向に進む傷(単に「斜め下方向に進む傷」という。)F3がある。このうち、下斜め方向に進む傷F3は、略平行に進む傷F2から派生して発生するか、もしくは起点F1から発生する。また、略平行に進む傷F2及び斜め下方向に進む傷F3は、いずれも鉄道車両の車輪200の進行方向Aに延びるように発生する。
なお、図17(a)〜図17(c)では図16と同一部分を同一符号で図示している。

略平行に進む傷F2は、その上方の踏面100bが黒ずんでくるので目視発見できる。この略平行に進む傷F2の先端部の深さ(踏面100bからの深さ)を正確に測定するには、超音波探傷装置によって超音波をレール100に照射し、そのエコーからレール100の内部の略平行に進む傷F2の先端部を発見するようにしている。
たとえば、この超音波探傷装置には、探触子を踏面100bに当てて、頭部100aの内部に向けて斜め方向に超音波を照射し、そのエコーを、該探触子を介して検出するタイプのものがある(例えば、特許文献1参照)。

従来のレール探傷方法及び装置では、傷の面に対して斜めに超音波を照射させて傷の先端部(端部)のエコーを検出し、このエコーの最大値が得られるときのビーム路程と探触子の屈折角(超音波の照射角度など)から傷の深さを測定する端部エコー法が適用されることが多い。
この端部エコー法は、傷の先端部までの超音波の伝播時間から深さ(位置)を特定するので、傷の深さの測定には走査箇所が傷の先端部であることの識別が必要である。
そのためには、傷の面からのエコーの連続性(あるいは関連性)が重要である。
一方、走査において傷の面からのエコーが支配的になると、先端部のエコーがこれに埋もれてしまい捉えにくい場合がある。

踏面100bに超音波の探触子を当てるタイプの従来の超音波探傷方法及び装置では、超音波が略平行に進む傷F2の断面で反射してしまって、下斜め方向に進む傷F3に達せず、そのため斜め下方向に進む傷F3の深さを測定できなかった。
なお、斜め下方向に進む傷F3の先端部の、踏面100bからの深さが約30mmに達すると、レール100が破断する可能性があるから、斜め下方向に進む傷F3の先端部の深さを正確に測定することは重要である。

また、探触子を踏面100bに当てるタイプの従来の超音波探傷方法及び装置では、踏面100bは図16で示したように常に鉄道車両の車輪200と接触しており、摩耗して形状が変化する。特に、カーブの部分では斜めに摩耗する。
踏面100bの摩耗が進むと、1つの探触子を用いて測定を行う一探触子法では探触子の位置がずれ、また、2つの探触子を用いて測定を行う二探触子法では超音波送信用の探触子と超音波受信用の探触子との位置関係がずれてしまう。そのため、一探触子法、二探触子法のいずれの方法であっても、略平行に進む傷F2、斜め下方向に進む傷3その他の傷の各先端部の深さの正確な測定ができなかった。

そこで、従来、頭部100aの2つの側面100e(図16)のうち一方に超音波送信用の探触子を当てるとともに他方に超音波受信用の探触子を当て、超音波送信用の探触子から照射され、そのエコーを、超音波受信用の探触子で検出するレールの探傷方法および装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。

また従来、斜め下方向の傷F3の深さを正確に検知するため、超音波送信用の探触子および超音波受信用の探触子をレール100の上首部100cに当てるとともに、超音波送信用の探触子から踏面100bに向けて超音波を照射させるレール探傷方法及び装置も提案されている(特許文献3参照)。

この従来のレール探傷装置では、レール100の長さ方向に移動可能なスライダと、該スライダを上方向に付勢する付勢機構と、スライダにレール100の長さ方向の軸を中心に回動可能に設けられた一対のアームと、 この各アームの先端に、それぞれレール100の長さ方向に移動可能に取り付けられた超音波送信用の探触子および超音波受信用の探触子と、各アームの先端に設けられ上首部100cに係合するレール係合部とを備えている。
各アームをレール100側に向けて回動させてレール係合部を上首部100cに係合させると、超音波送信用の探触子および超音波受信用の探触子をそれぞれ上首部100cに当てることができるので、 このとき超音波送信用の探触子から踏面100bに向けて超音波を照射させ、そのエコーからレール100を探傷する。

この従来のレール探傷方法及び装置によると、レール100の上首部100cから踏面100bに向けて超音波を照射するので、超音波が略平行に進む傷F2の断面で反射して下斜め方向に進む傷F3に達しないおそれは可及的に防止される。そのため、斜め下方向に進む傷F3に超音波を照射でき、そのエコーを測定することによって、斜め下方向に進む傷F3の深さを測定することができる。
さらに、上首部100cは鉄道車両の車輪200との接触による摩耗が生じないので、略平行に進む傷F2、斜め下方向に進む傷3その他の傷の深さを正確に測定することができ、特に、レール強度・交換要否判定の最も重要なファクターである、斜め下方向に進む傷F3の先端部の深さ測定の基準面として適している。

この従来のレール探傷装置では、上首部100cは曲面101を有するため、超音波送信用の探触子の送信角度と超音波受信用の探探傷子が、それぞれこの曲面101に沿って回動できるように、曲面101のアールの中心を中心にして回動可能に支持する探触子回転機構が設けられている。
そのため、この従来のレール探傷装置では、この超音波送信用の探触子に連結する探触子回転機構と、この超音波受信用の探探傷子に連結する探触子回転機構とを設ける分、部品点数が多くなり構造が複雑になるという問題があった。
また、レール100の長さ方向のある位置での探傷には、超音波送信用の探触子の送信角度と超音波受信用の探探傷子の受信角度とを、それぞれ設定する必要がある。従来のレール探傷方法及び装置では、超音波送信用の探触子の送信角度を設定するため該探触子に連結する探触子回転機構を手作業で操作し、さらに超音波受信用の探触子の受信角度を設定するため該探触子に連結する探触子回転機構を手作業で操作していた。
そのため、従来のレール探傷方法及び装置では、レールの探傷作業が煩雑で、しかも下斜め方向に進む傷F3の先端部の深さの測定に長時間を要するという問題があった。

概要

下斜め方向の傷の深さを正確に測定でき、部品点数が少なくて構造が簡素で、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷装置及び下斜め方向の傷の深さを正確に測定でき、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷方法を提供する。第1の超音波振動子を複数配列した送信用フェイズドアレイ探触子50Tと第2の超音波振動子を複数配列した受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは、レール100の腹部100dを挟んで配置されるとともに、いずれも、曲面が101形成されているレールの上首部100c又はレールの頭部100aの下面に当てて配置され、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tからレール100の踏面100bに向けて超音波を照射させ、受信用フェイズドアレイ探触子50Rでそのエコーを受信し、そのエコーからレール100を探傷する。

目的

本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、頭部の傷の深さを正確に測定でき、部品点数が少なくて構造が簡素で、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

第1の超音波振動子を複数配列し、超音波照射する送信用フェイズドアレイ探触子と、第2の超音波振動子を複数配列し、該送信用のフェイズドアレイ探触子からレールに照射された超音波のエコーを受信する、受信用のフェイズドアレイ探触子とを具え、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と、前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、互いに前記レールの腹部を挟んで配置されるとともに、いずれも、曲面が形成されている前記レールの上首部又は前記レールの頭部の下面に当てて配置され、前記送信用のフェイズドアレイ探触子から前記レールの踏面に向けて超音波を照射させ、前記受信用フェイズドアレイ探触子で前記エコーを受信し、前記エコーから前記レールの傷の先端部の位置を測定するものであり、レールの長さ方向に移動するスライダ本体と、レールの頭部の両側に配置され、前記スライダ本体に固定されるとともに、前記送信用のフェイズドアレイ探触子および前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定支持する固定部材と、レールの頭部の両側に配置された前記固定部材のぞれぞれに取り付けられ、ローラ面が、少なくともレールの側面の下部と接触している係合ローラと、前記スライド本体をレールの踏面から離れる上方向に向け付勢して、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子および前記各係合ローラを上方向に付勢する付勢手段とを含むスライダを具えたことを特徴とするレール探傷装置。

請求項2

前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子によってセクタ走査を実行して測定情報を得る測定情報取得手段と、前記測定情報に基づき端部エコー法により前記傷の先端部の位置を測定する測定手段とを具えたことを特徴とする請求項1に記載のレール探傷装置。

請求項3

前記スライダを前記レールの長さ方向に移動させる駆動手段を具え、該駆動手段は、前記セクタ走査が行われているときに前記スライダを前記レールの長さ方向に移動することを特徴とする請求項2に記載のレール探傷装置。

請求項4

前記スライダを前記レールの長さ方向に移動させる駆動手段とを具え、該駆動手段による前記スライダの移動と同期して前記セクタ走査が行われることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレール探傷装置。

請求項5

前記スライダを前記レールの長さ方向に移動させる駆動手段を具え、該駆動手段による前記スライダの移動は、前記セクタ走査とは独立して行われることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレール探傷装置。

請求項6

前記スライダを前記レールの長さ方向に移動させる駆動手段を具え、前記駆動手段は、前記セクタ走査の終了情報に基づき、前記スライダを移動することを特徴とする請求項2に記載のレール探傷装置。

請求項7

前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、前記傷の進行方向に対し、同じ側に配置されるようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のレール探傷装置。

請求項8

前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、いずれも前記傷の進行方向後方に配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のレール探傷装置。

請求項9

前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、いずれも前記傷の進行方向前方に配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のレール探傷装置。

請求項10

第1の超音波振動子を複数配列した送信用のフェイズドアレイ探触子から超音波をレールに照射させ、該超音波のエコーを、第2の超音波振動子を複数配列した受信用のフェイズドアレイ探触子で受信して前記レールを探傷する方法であって、レールの長さ方向に移動するスライダ本体と、レールの頭部の両側に配置され、前記スライダ本体に固定されるとともに、前記送信用のフェイズドアレイ探触子および前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定支持する固定部材と、レールの頭部の両側に配置された前記固定部材のぞれぞれに取り付けられ、ローラ面が、少なくともレールの側面の下部と接触している係合ローラと、前記スライド本体をレールの踏面から離れる上方向に向け付勢して、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子および前記各係合ローラを上方向に付勢する付勢手段とを含むスライダを用いて、 前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、互いに前記レールの腹部を挟んで配置されるとともに、いずれも、曲面が形成されている前記レールの上首部又は前記レールの頭部の下面に当てて配置される配置ステップと、該配置の後、前記送信用のフェイズドアレイ探触子が、前記レールの踏面に向けて超音波を照射する照射ステップと、該超音波のエコーを前記受信用のフェイズドアレイ探触子が受信する受信ステップと、該受信した情報に基づき前記レールの傷の先端部の位置を測定する測定ステップとを具えることを特徴とするレール探傷方法。

請求項11

前記照射ステップ及び前記受信ステップでは、それぞれ前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子によってセクタ走査が実行され、これにより測定情報が得られ、前記測定ステップでは、前記測定情報に基づき端部エコー法により前記レールの傷の先端部の位置が測定されることを特徴とする請求項10に記載のレール探傷方法。

請求項12

前記セクタ走査が行われているときに前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子は前記レールの長さ方向に移動することを特徴とするは請求項11に記載のレール探傷方法。

請求項13

前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定するスライダの移動と同期して前記セクタ走査が行われることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のレール探傷方法。

請求項14

前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定するスライダの移動は、前記セクタ走査とは独立して行われることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のレール探傷方法。

請求項15

前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を、前記セクタ走査の終了情報に基づき、前記レールの長さ方向に移動させることを具えたことを特徴とする請求項11に記載のレール探傷方法。

請求項16

前記配置ステップでは、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、前記傷の進行方向に対し、同じ側に配置されることを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項に記載のレール探傷方法。

請求項17

前記配置ステップでは、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、いずれも前記傷の進行方向後方に配置されることを特徴とする請求項10〜16のいずれか一項に記載のレール探傷方法。

請求項18

前記配置ステップでは、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、いずれも前記傷の進行方向前方に配置されることを特徴とする請求項10〜16のいずれか一項に記載のレール探傷方法。

請求項19

さらにレール踏面に接触するローラを回転自在に支承する枠状の部材としてのローラ支承部材を備え、前記スライダ本体は、前記ローラ支承部材をレール踏面に垂直な方向に支承する枠体であること特徴とする請求項1記載のレール探傷装置。

技術分野

0001

本願発明は、超音波パルスエコーを用いてレールを探傷する方法及び装置に関し、特にレールの頭部の傷を正確に検査することができるレール探傷方法及び装置に関する。

背景技術

0002

レールは、鉄道車両荷重を支持するとともに鉄道車両を走行方向に誘導する帯状鋼製品であり、特殊な断面形状をしている。
図16は鉄道車両と鉄道車両を支持するレールの概念縦断面図である。
図16で示すように、レール100は頭部100aを具えている。この頭部100aは、踏面100bと、踏面100bに連続する2つの側面100eとを具えている。一方の側面100eと踏面100bには、鉄道車両の車輪200が直接接触する。
また、レール100は、頭部100aを支持する腹部100dを具えている。この腹部100dは、2つの側面100e間の幅(レール幅)より狭い幅を有している。
また、レール100は、頭部100aと腹部100dとを連結する上首部100cを具えている。この連結は各側面100e又は頭部100aの下面と、腹部100dとを連結している。また、上首部100cはレール100の表面がアール状に凹む曲面101を有している。

0003

レール100の頭部100aは鉄道車両の車輪200の荷重を支持するから、頭部100aには傷(亀裂)が生じることがある。
図17(a)〜図17(c)は、レールに発生する傷(亀裂)の状況を示す図である。
特に、図17(a)はレールの概念斜視図であり、図17(b)は図17(a)のレールの概念側面図、図17(c)は図17(a)のレールの概念正面図である。
図17(a)〜図17(c)の破線で示すように、レール100に発生する傷には、頭部100aの踏面100bの起点F1から踏面100bに略平行に進む傷(単に「略平行に進む傷」という。)F2と、頭部100aの内部を鉛直方向下斜め方向に進む傷(単に「斜め下方向に進む傷」という。)F3がある。このうち、下斜め方向に進む傷F3は、略平行に進む傷F2から派生して発生するか、もしくは起点F1から発生する。また、略平行に進む傷F2及び斜め下方向に進む傷F3は、いずれも鉄道車両の車輪200の進行方向Aに延びるように発生する。
なお、図17(a)〜図17(c)では図16と同一部分を同一符号で図示している。

0004

略平行に進む傷F2は、その上方の踏面100bが黒ずんでくるので目視発見できる。この略平行に進む傷F2の先端部の深さ(踏面100bからの深さ)を正確に測定するには、超音波探傷装置によって超音波をレール100に照射し、そのエコーからレール100の内部の略平行に進む傷F2の先端部を発見するようにしている。
たとえば、この超音波探傷装置には、探触子を踏面100bに当てて、頭部100aの内部に向けて斜め方向に超音波を照射し、そのエコーを、該探触子を介して検出するタイプのものがある(例えば、特許文献1参照)。

0005

従来のレール探傷方法及び装置では、傷の面に対して斜めに超音波を照射させて傷の先端部(端部)のエコーを検出し、このエコーの最大値が得られるときのビーム路程と探触子の屈折角(超音波の照射角度など)から傷の深さを測定する端部エコー法が適用されることが多い。
この端部エコー法は、傷の先端部までの超音波の伝播時間から深さ(位置)を特定するので、傷の深さの測定には走査箇所が傷の先端部であることの識別が必要である。
そのためには、傷の面からのエコーの連続性(あるいは関連性)が重要である。
一方、走査において傷の面からのエコーが支配的になると、先端部のエコーがこれに埋もれてしまい捉えにくい場合がある。

0006

踏面100bに超音波の探触子を当てるタイプの従来の超音波探傷方法及び装置では、超音波が略平行に進む傷F2の断面で反射してしまって、下斜め方向に進む傷F3に達せず、そのため斜め下方向に進む傷F3の深さを測定できなかった。
なお、斜め下方向に進む傷F3の先端部の、踏面100bからの深さが約30mmに達すると、レール100が破断する可能性があるから、斜め下方向に進む傷F3の先端部の深さを正確に測定することは重要である。

0007

また、探触子を踏面100bに当てるタイプの従来の超音波探傷方法及び装置では、踏面100bは図16で示したように常に鉄道車両の車輪200と接触しており、摩耗して形状が変化する。特に、カーブの部分では斜めに摩耗する。
踏面100bの摩耗が進むと、1つの探触子を用いて測定を行う一探触子法では探触子の位置がずれ、また、2つの探触子を用いて測定を行う二探触子法では超音波送信用の探触子と超音波受信用の探触子との位置関係がずれてしまう。そのため、一探触子法、二探触子法のいずれの方法であっても、略平行に進む傷F2、斜め下方向に進む傷3その他の傷の各先端部の深さの正確な測定ができなかった。

0008

そこで、従来、頭部100aの2つの側面100e(図16)のうち一方に超音波送信用の探触子を当てるとともに他方に超音波受信用の探触子を当て、超音波送信用の探触子から照射され、そのエコーを、超音波受信用の探触子で検出するレールの探傷方法および装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。

0009

また従来、斜め下方向の傷F3の深さを正確に検知するため、超音波送信用の探触子および超音波受信用の探触子をレール100の上首部100cに当てるとともに、超音波送信用の探触子から踏面100bに向けて超音波を照射させるレール探傷方法及び装置も提案されている(特許文献3参照)。

0010

この従来のレール探傷装置では、レール100の長さ方向に移動可能なスライダと、該スライダを上方向に付勢する付勢機構と、スライダにレール100の長さ方向の軸を中心に回動可能に設けられた一対のアームと、 この各アームの先端に、それぞれレール100の長さ方向に移動可能に取り付けられた超音波送信用の探触子および超音波受信用の探触子と、各アームの先端に設けられ上首部100cに係合するレール係合部とを備えている。
各アームをレール100側に向けて回動させてレール係合部を上首部100cに係合させると、超音波送信用の探触子および超音波受信用の探触子をそれぞれ上首部100cに当てることができるので、 このとき超音波送信用の探触子から踏面100bに向けて超音波を照射させ、そのエコーからレール100を探傷する。

0011

この従来のレール探傷方法及び装置によると、レール100の上首部100cから踏面100bに向けて超音波を照射するので、超音波が略平行に進む傷F2の断面で反射して下斜め方向に進む傷F3に達しないおそれは可及的に防止される。そのため、斜め下方向に進む傷F3に超音波を照射でき、そのエコーを測定することによって、斜め下方向に進む傷F3の深さを測定することができる。
さらに、上首部100cは鉄道車両の車輪200との接触による摩耗が生じないので、略平行に進む傷F2、斜め下方向に進む傷3その他の傷の深さを正確に測定することができ、特に、レール強度・交換要否判定の最も重要なファクターである、斜め下方向に進む傷F3の先端部の深さ測定の基準面として適している。

0012

この従来のレール探傷装置では、上首部100cは曲面101を有するため、超音波送信用の探触子の送信角度と超音波受信用の探探傷子が、それぞれこの曲面101に沿って回動できるように、曲面101のアールの中心を中心にして回動可能に支持する探触子回転機構が設けられている。
そのため、この従来のレール探傷装置では、この超音波送信用の探触子に連結する探触子回転機構と、この超音波受信用の探探傷子に連結する探触子回転機構とを設ける分、部品点数が多くなり構造が複雑になるという問題があった。
また、レール100の長さ方向のある位置での探傷には、超音波送信用の探触子の送信角度と超音波受信用の探探傷子の受信角度とを、それぞれ設定する必要がある。従来のレール探傷方法及び装置では、超音波送信用の探触子の送信角度を設定するため該探触子に連結する探触子回転機構を手作業で操作し、さらに超音波受信用の探触子の受信角度を設定するため該探触子に連結する探触子回転機構を手作業で操作していた。
そのため、従来のレール探傷方法及び装置では、レールの探傷作業が煩雑で、しかも下斜め方向に進む傷F3の先端部の深さの測定に長時間を要するという問題があった。

先行技術

0013

特開平9−304364
特開2000−9698
特開2009−236808

発明が解決しようとする課題

0014

本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、頭部の傷の深さを正確に測定でき、部品点数が少なくて構造が簡素で、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷装置を提供することを目的とする。また、本発明は、頭部の傷の深さを正確に測定でき、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷方法および装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

本願請求項1の発明のレール探傷装置は、第1の超音波振動子を複数配列し、超音波を照射する送信用フェイズドアレイ探触子と、第2の超音波振動子を複数配列し、該送信用のフェイズドアレイ探触子からレールに照射された超音波のエコーを受信する、受信用のフェイズドアレイ探触子とを具え、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と、前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、互いに前記レールの腹部を挟んで配置されるとともに、いずれも、曲面が形成されている前記レールの上首部又は前記レールの頭部の下面に当てて配置され、前記送信用のフェイズドアレイ探触子から前記レールの踏面に向けて超音波を照射させ、前記受信用フェイズドアレイ探触子で前記エコーを受信し、前記エコーから前記レールの傷の先端部の位置を測定することを特徴とする。
本願請求項2の発明は、本願請求項1に記載の発明のレール探傷装置において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子によってセクタ走査を実行して測定情報を得る測定情報取得手段と、前記測定情報に基づき端部エコー法により前記傷の先端部の位置を測定する測定手段とを具えたことを特徴とする。
本願請求項3の発明は、本願請求項2に記載の発明のレール探傷装置において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定するスライダと、該スライダを前記レールの長さ方向に移動させる駆動手段を具え、該駆動手段は、前記セクタ走査が行われているときに前記スライダを前記レールの長さ方向に移動することを特徴とする。
本願請求項4の発明は、本願請求項2または請求項3に記載の発明のレール探傷装置において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定するスライダと、該スライダを前記レールの長さ方向に移動させる駆動手段とを具え、該駆動手段による前記スライダの移動と同期して前記セクタ走査が行われることを特徴とする。
本願請求項5の発明は、本願請求項2または請求項3に記載のレール探傷装置において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定するスライダと、該スライダを前記レールの長さ方向に移動させる駆動手段を具え、該駆動手段による前記スライダの移動は、前記セクタ走査とは独立して行われることを特徴とする。
本願請求項6の発明は、本願請求項2に記載のレール探傷装置において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定するスライダと、該スライダを前記レールの長さ方向に移動させる駆動手段を具え、前記駆動手段は、前記セクタ走査の終了情報に基づき、前記スライダを移動することを特徴とする。
本願請求項7の発明は、本願請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明のレール探傷装置において、送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、前記傷の進行方向に対し、同じ側に配置されるようにしたことを特徴とする。
本願請求項8の発明は、本願請求項1〜7のいずれか一項に記載のレール探傷装置において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、いずれも前記傷の進行方向後方に配置されることを特徴とする。
本願請求項9の発明は、本願請求項1〜7のいずれか一項に記載のレール探傷装置において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、いずれも前記傷の進行方向前方に配置されることを特徴とする。

0016

本願請求項10の発明のレール探傷方法は、第1の超音波振動子を複数配列した送信用のフェイズドアレイ探触子から超音波をレールに照射させ、該超音波のエコーを、第2の超音波振動子を複数配列した受信用のフェイズドアレイ探触子で受信して前記レールを探傷する方法であって、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、互いに前記レールの腹部を挟んで配置されるとともに、いずれも、曲面が形成されている前記レールの上首部又は前記レールの頭部の下面に当てて配置される配置ステップと、該配置の後、前記送信用のフェイズドアレイ探触子が、前記レールの踏面に向けて超音波を照射する照射ステップと、該超音波のエコーを前記受信用のフェイズドアレイ探触子が受信する受信ステップと、該受信した情報に基づき前記レールの傷の先端部の位置を測定する測定ステップとを具えることを特徴とする。
本願請求項11の発明のレール探傷方法は、本願請求項10に記載のレール探傷方法において、前記照射ステップ及び前記受信ステップでは、それぞれ前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子によってセクタ走査が実行され、これにより測定情報が得られ、前記測定ステップでは、前記測定情報に基づき端部エコー法により前記レールの傷の先端部の位置が測定されることを特徴とする。
本願請求項12の発明のレール探傷方法は、本願請求項11に記載のレール探傷方法において、前記セクタ走査が行われているときに前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子は前記レールの長さ方向に移動することを特徴とする。
本願請求項13の発明のレール探傷方法は、本願請求項11又は請求項12に記載のレール探傷方法において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定するスライダの移動と同期して前記セクタ走査が行われることを特徴とする。
本願請求項14の発明のレール探傷方法は、本願請求項11又は請求項12に記載のレール探傷方法において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を固定するスライダの移動は、前記セクタ走査とは独立して行われることを特徴とする。
本願請求項15の発明のレール探傷方法は、本願請求項11に記載のレール探傷方法において、前記送信用のフェイズドアレイ探触子及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子を、前記セクタ走査の終了情報に基づき、前記レールの長さ方向に移動させることを具えたことを特徴とする。
本願請求項16の発明のレール探傷方法は、本願請求項10〜15のいずれか一項に記載のレール探傷方法において、前記配置ステップでは、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、前記傷の進行方向に対し、同じ側に配置されることを特徴とする。
本願請求項17の発明のレール探傷方法は、本願請求項10〜16のいずれか一項に記載のレール探傷方法において、前記配置ステップでは、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、いずれも前記傷の進行方向後方に配置されることを特徴とする。
本願請求項18の発明のレール探傷方法は、本願請求項10〜16のいずれか一項に記載のレール探傷方法の前記配置ステップにおいて、前記送信用のフェイズドアレイ探触子と前記受信用のフェイズドアレイ探触子は、いずれも前記傷の進行方向前方に配置されることを特徴とする。

発明の効果

0017

本発明のレール探傷方法及び装置では、レールの上首部の曲面又は頭部の下面に送信用のフェイズドアレイ探触子および受信用のフェイズドアレイ探触子を当てて、送信用のフェイズドアレイ探触子から踏面に向けて超音波を照射させるので、略平行に進む傷、下斜め方向に進む傷その他の傷に超音波を照射でき、そのエコーを測定することによって、該傷の先端部の深さを測定することができる。
さらに、レールの頭部の下面又は上首部は、鉄道車両の車輪との摩擦が起こらず摩耗しないので、略平行に進む傷、斜め下方向に進む傷その他の傷の深さを正確に測定することができ、特に、レール強度・交換要否判定の最も重要なファクターである、斜め下方向に進む傷の先端部の深さ測定の基準面として適している。
また、本願発明のレール探傷装置では、従来のように、送信用のフェイズドアレイ探触子に連結する探触子回転機構および受信用のフェイズドアレイ探触子に連結する探触子回転機構を設けない分、部品点数が少なくなり、構造が簡素になる。
また、本願発明のレール探傷方法及び装置では、送信用のフェイズドアレイ探触子に連結する探触子回転機構が不要となるので、レールのある地点での探傷の際、送信用のフェイズドアレイ探触子の送信角度を設定するための手作業での操作が不要となり、さらに受信用のフェイズドアレイ探触子に連結する探触子回転機構も不要となるので、レールのある地点での探傷の際、受信用のフェイズドアレイ探触子の受信角度を設定するための手作業での操作も不要となる。そのため、このレール探傷方法及び装置では、レールの探傷作業が簡単で、しかも下斜め方向に進む傷などの傷の先端部の深さの測定(探傷時間)を従来に比べ短時間で行うこと、すなわち探傷時間の短縮ができる。
なお、本発明のレール探傷方法及び装置では、二探触子V走査方法、かつ、後方探傷が適している。
二探触子V走査方法が適しているのは、ノイズエコーが低く傷のエコーの識別性が高いためである。また、後方探傷が適しているのは、下斜め方向に進む傷の面からのエコーと傷の先端部のエコーとの連続性をみることができ、その傷の先端部の深さ(位置)を正確に特定しやすいからである。なお、下斜め方向に進む傷の面からのエコーが支配的になって該傷の先端部のエコーがこれに埋もれてしまい捉えにくい場合には、前方探傷を行うことが好ましい。

図面の簡単な説明

0018

図1(a)〜(d)は、本発明の第一実施例のレール探傷装置及びレールの探傷方法を示す要部概念斜視図であって、特に二探触子V走査法で、かつ後方探傷でのレール探傷装置及びレールの探傷方法の様子を示す図である。
図2は、図1のレール探傷装置の要部概念正面図である。
図3(a)及び(b)は、図1のレール探傷装置及びレール探傷方法での、レール及びレール探傷装置の配置関係を示す図である。
図4は、図2の要部拡大図である。
図5は、図1のレール探傷装置の構成(ハードウェア)の構成を示す概念図である。
図6は、図1のレール探傷装置の機能ブロック図である。
図7は、図2のスライダの概念拡大斜視図である。
図8図7のスライダを一部分解した様子を示すスライダの要部概念斜視図である。
図9は、図1のレール探傷装置の要部概念断面図である。
図10(a)及び図10(b)は情報取得手段でのセクタ走査の処理を示す概念図である。
図11は、図2の要部拡大図であり、セクタ走査での超音波の送信範囲及びエコー(反射する超音波)の受信範囲を示している。
図12(a)は、第一実施例、第二実施例及び第四実施例の各レール探傷方法及び装置での、スライダの移動距離横軸)とスライダの移動速度(縦軸)との関係を示す図であり、図12(b)は第一及び第二実施例、図12(c)は第四実施例の各レール探傷方法および装置において、図3(a)のスライダを用いてレールに対しセクタ走査が行われた様子を示すレールの概念平面図である。
図13(a)〜(d)は、第二実施例のレール探傷装置及びレールの探傷方法を示す要部概念斜視図であって、特に二探触子V走査法で、かつ前方探傷でのレール探傷装置及びレールの探傷方法の様子を示す図である。
図14(a)及び(b)は、第二実施例のレール探傷装置及びレール探傷方法での、レール及びレール探傷装置の配置関係を示す図である。
図15(a)は、第三実施例のレール探傷方法及び装置での、スライダの移動距離(横軸)とスライダの移動速度(縦軸)との関係を示す図であり、図15(b)は、図15(a)のスライダを用いてレールに対しセクタ走査が行われた様子を示すレールの概念平面図である。
図16は、鉄道車両と鉄道車両を支持するレールの概念断面図である。
図17(a)〜(c)は、レールに発生する傷(亀裂)の状況を示す図である。

実施例

0019

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

0020

図1(a)〜図1(d)は、本発明の第一実施例のレール探傷方法及び装置を示す要部概念斜視図であって、特に二探触子V走査法で、かつ後方探傷でのレール探傷方法及び装置の様子を示す図である。このうち図1(a)はレール100の探傷前の様子を示す図である。
図1(a)で示すように、レール探傷装置1は、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rとを具えている。なお、図1(a)〜図1(d)では、レール100の正面側からの様子を示している。

0021

図2は、図1のレール探傷装置の要部概念正面図である。
図2で示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは、互いにレール100の腹部100dを挟んで配置されるとともに、いずれも上首部100cの曲面101または頭部100aの下面に当てて配置されている。 なお、図2図15(a)及び図15(b)では、図1図16及び図17(a)〜(c)と同一部分を同一符号で図示している。

0022

図3(a)及び(b)は、図1のレール探傷装置及びレール探傷方法での、レール及びレール探傷装置の配置関係を示す図である。特に図3(a)はレール及びレール探傷装置の概念平面図(図の左部分)とその概念背面図(図の右部分)を示し、図3(b)はレール及びレール探傷装置の概念右側面図(図の左部分)と概念正面図(図の右部分)を示している。
レール探傷装置1は、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rが、略平行に進む傷F2又は斜め下方向に進む傷F3その他の傷(以下、「傷」という。)の進行方向に対し同じ側に配置されている。
その一例であるレール探傷装置1では、図3(a)及び(b)に示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rがいずれも斜め下方向に進むF3の進行方向後方に配置されている。

0023

なお、このように送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを、傷の進行方向後方に配置し、後述するように傷の進行方向後方から傷の進行方向前方に向かって斜め上に踏面100bに向けて傷を探傷・走査する方法を後方探傷という。
また、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを、互いにレール100の腹部100dを挟んで配置するとともに、いずれも傷の進行方向に対し同じ側に配置して走査する方法を、二探触子V走査方法という。

0024

このレール探傷装置1では、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tからレール100の踏面100bに向けて超音波を照射させ(送信させ)、受信用フェイズドアレイ探触子50Rでそのエコーを受信し、そのエコーからレール100を探傷して傷の先端部Faの位置を測定する。この測定される位置には、傷の先端部Faの、踏面100bからの深さMが含まれる。

0025

図4は、図2の要部概念図である。
図4で示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tは、第1の超音波振動子T−nが複数配列された探触子である。なお、nは2以上の任意の自然数である。
また、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは、第2の超音波振動子R−nが複数配列された探触子である。なお、nは2以上の任意の自然数である。
各第1の超音波振動子T−n(T−1、T−2、…、T−n−1、T−n)と各第2の超音波振動子R−n(R−1、T−2、…、R−n−1、R−n)は、その各構造は互いに同じであり、これら各超音波振動子T−n、R−nには図示せぬパルサーレシーバーが接続されている。

0026

図4で示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは、いずれも筐体51と、筐体51の、レール100側に設けられた探傷シュー52を具えている。
送信用のフェイズドアレイ探触子50Tの筐体51は各第1の超音波振動子T−nを収容し、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rの筐体51は各第2の超音波振動子R−nを収容している。
また、探傷シュー52は、レール100の上首部100cに形成された曲面101の曲率半径に沿う部分、若しくはややその曲率半径より小さい曲率半径で形成された部分、または頭部の下面に沿う部分を有する凸状部材である。また、探傷シュー52は、超音波伝播速度を有する材質製作されている。
なお、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tの探傷シュー52および受信用のフェイズドアレイ探触子50Rの探傷シュー52は、いずれも上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面と、グリセリン又は水等の媒質を介して接触する。

0027

図5は、図1のレール探傷装置の構成(ハードウェア)の構成を示す概念図である。
また図6は、図1のレール探傷装置の機能ブロック図である。
図5で示すように、レール探傷装置1では、上述した送信用の超音波アレイ探触子50T及び受信用の超音波アレイ探触子50Rに加え、スライダ10と、エンコーダスライダ位置検出手段)35と、モーションコントロールドライブユニット110と、コンピュータ120と、超音波探傷器130と、図示せぬ検出器を具えている。

0028

このうちのスライダ10は、図6で示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rをレール100の長さ方向に移動自在にする移動手段として機能する。このスライダ10は、図2で示すように、レール100の踏面100bの上に配置されるローラ12を具えている。

0029

図7図2のスライダの概念拡大斜視図であり、図8図7のスライダを一部分解した様子を示すスライダの要部概念斜視図である。
図7及び図8で示すように、スライダ10は、さらに、ローラ12を回転自在にするローラ支承部材13と、該ローラ支承部材13とともにレール100の長さ方向に移動するスライダ本体14とを具えている。
このうち、ローラ支承部材13は、図8で示すようにローラ12を回転自在に支承する軸13aを具えた枠状の部材である。この軸13aにはプーリ13bが設けられ、このプーリ13bには図示せぬモータが連結されている。また、ローラ支承部材13にはスライダ本体14に向け突出するガイド軸13cが設けられている。

0030

また、スライダ本体14は、図2で示すように、ローラ支承部材13をスライダ本体14に対し、踏面100bに垂直な方向、いいかえると上下方向に移動自在に支承する枠体である。このスライダ本体14には、ローラ支承部材13のガイド軸13c(図8)を案内するガイド溝14aと、ローラ支承部材13へ向け突出する2つの軸14b(図8)が設けられている。

0031

また、スライダ本体14には固定部材17が固定される。この固定部材17は、レール100の頭部100aの両側に配置される。
各固定部材17は、スライダ本体14に固定される固定部17aと、固定部17aにいずれも固定される探触子固定部17bと係合ローラ支承部17cを具えている。
このうち、固定部17aは、固定部17aの孔19(図8)とスライダ本体14の孔(図示しない)に螺合するねじ20によってスライダ本体14に固定される。
また、各固定部材17のうち一方の固定部材17の探触子固定部17bには、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tが固定され、他方の固定部材17の探触子固定部17bには、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rが固定されている。
また、係合ローラ支承部17cは、各探触子固定部17bに対しレール100の長さ方向の両側に配置されている。各係合ローラ支承部17cは係合ローラ18を回動自在に支承する軸であり、この軸を中心に係合ローラ18は回動する。また、この係合ローラ18は凹部を形成する2つの面18aを具えている。

0032

また、図8で示すように、スライド本体14は付勢手段15によって踏面100bから離れる上方向に向け付勢されている。この付勢手段15は、その略中央が、ローラ支承部13のガイド軸13cに連結する板ばねからなり、この板ばねの両端はスライド本体14の各軸14bにそれぞれ連結される。

0033

固定部材17のスライド本体14に対する固定が取り外されたスライダ10を用意し、そのスライダ10のローラ12を踏面100b上に配置するとともに、スライド本体14に対し各固定部材17を固定すると、図2で示すようにスライダ10をレール100に取り付けることができる。

0034

レール100に取り付けられたスライダ10では、図2で示すように送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは、いずれもその各探傷シュー52が上記媒質を介し上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に係合する。
また、この係合が行われているとき、送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは付勢手段15(図8)によって上方向に付勢されている。
図9は、図1のレール探傷装置の要部概念断面図である。なお、図9では、レール及びレール探傷装置の断面を示す斜線の図示を省略している。
また、レール100に取り付けられたスライダでは、図9で示すように、係合ローラ18の2つの面18aのうちの一方がレール100の側面101eの下部と接触し、他方が上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に接触する。
また、この接触がおこなわれているとき、係合ローラ18は付勢手段15(図8)によって上方向に付勢されている。

0035

レール100に取り付けられたスライダ10では、図示せぬモータの駆動により軸13aを介しローラ12が回転すると、スライダ本体14がローラ支承部13とともにレール100の長さ方向に沿って移動し、これにより送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rがレール100の長さ方向に沿って移動する。
このスライダ10の移動に伴い係合ローラ18が回動する。この係合ローラ18が回動している場合にも、付勢手段15(図8)の付勢力によって、2つの面18aのうちの一方がレール100の側面101eの下部と接触し、他方が上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に接触する状態が維持される。そのため、この係合ローラ18によって、スライダ10はより可及的にレール長手方向に沿って案内される。

0036

また、係合ローラ18が接触する上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面は、鉄道車両の車輪200との接触による摩耗が生じないので、スライダ本体14は係合ローラ18を介しレール100に対し確実に位置決めされ、フェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rとの位置関係がずれて傷の先端部Faの深さの正確な測定が妨げられることはない。

0037

なお、未使用のレール100(初期状態)が使用されて踏面100bが摩耗すると、ローラ12およびローラ支承部13はそれらの初期状態の位置から下方に移動する一方、固定部材17およびスライド本体14は付勢手段15の付勢力によって初期状態の位置を保持する。そのため、送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rが上首部100c又は頭部100aの下面に係合した状態は維持され、また係合ローラ18aの2つの面18aが、レール100の側面101eの下部と、上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に接触した状態が維持される。
上記図示せぬ検出器は、ローラ支承部材13が初期状態の位置から、スライド本体14に対し上下方向に移動した位置までの移動距離を検出する手段である。検出した移動距離は、レール100の磨耗量である。傷の先端部Faの深さ(位置)を測定する場合に、踏面100bからの傷の先端部Faの深さM(後述)にこの摩耗量をさらに加算すると、初期状態のレール100の踏面100bからの傷の深さを、より正確に測定することができる。

0038

また、エンコーダ35(図5及び図6)はスライダ10に連結され、スライダ10の位置を検出するスライダ位置検出手段である。エンコーダ35で検出したスライダ10の位置情報は、コンピュータ120の移動距離測定手段121に送信される。なお、スライダ10の位置(移動距離K)の基準は、レール100の正面D(図3(a)参照)である。

0039

また、本発明のレール探傷装置1では、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを、上首部100cの曲面101のアールに沿うように軸を中心に回転させる探触子回転機構(先行技術文献3参照)は設けられていない。

0040

また、図5のモーションコントロールドライブユニット110は、超音波の送信と受信についての制御を行う装置である。
このモーションコントールドライブユニット110は、図6で示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rによりセクタ走査(扇状走査)を実行して、傷に関し、エコーの測定情報を得る測定情報取得手段111を具えている。

0041

この測定情報取得手段111は、遅延時間制御手段112aと、印加電圧発生手段112bと、受信信号処理手段113aと、受信信号合成手段113bを具えている。

0042

図10(a)は情報取得手段でのセクタ走査の処理を示す概念図で、特にセクタ走査での遅延時間制御手段での時間遅延(図の下段)、印加電圧発生手段での電圧発生(図の中段)、及びこの電圧によって発生する各振動子の超音波を合成した超音波Stの様子(図の上段)を示している。
図10(a)で示すように、遅延時間制御手段112aは、各第1の超音波振動子T−1、T−2、…、T−n−1、T−nに対し電圧の印加を行わせる駆動信号St−nを印加電圧手段112bに送信するとともに、その各駆動信号T−nの送信について遅延制御を行う。この遅延制御は、たとえば第一の超音波振動子T−1、T−2、…、T−n−1、T−nの一端に配置された第一の超音波振動子T−1から順次、各駆動信号T−nの送信を遅延させるものである。
駆動信号St−nを受信した印加電圧発生手段112bは、駆動信号St−nを受信した順に、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tの各第1の超音波振動子に電圧を印加してパルス形式の超音波を発生させる。
このように各第一の超音波振動子T−1、T−2、…、T−n−1、T−nからパルス形式の超音波が発生すると、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tでは、この各パルス形式の超音波が合成されることによって、各第一の超音波振動子T−1、T−2、…、T−n−1、T−nの配置表面に対し傾斜をもつ超音波Stが照射されることとなる。
また、第一の超音波振動子T−1、T−2、…、T−n−1、T−nに対する遅延の時間の長短により、照射される合成の超音波Stの、各第一の超音波振動子T−1、T−2、…、T−n−1、T−nの表面に対する傾斜の角度は変更され、これにより扇状に走査(セクタ走査)の照射作業が行われる。

0043

図10(b)は情報取得手段でのセクタ走査の処理を示す概念図で、特にセクタ走査で受信されたエコーSrの様子(図の上段)、受信信号処理手段でのエコーSrを各第2の超音波振動子の受信波の分割(図の中段)、受信信号処理手段での時間的遅延に対する補正(図の下段)を示している。
図10(b)で示すように、受信信号処理手段113aは、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rから照射された超音波が傷などで反射された超音波、すなわちエコーSr(図10(b))を受信する。
このエコーSrは、各第2の超音波振動子で受信すべき受信信号が合成された受信信号である。また、このエコーSrは、遅延時間制御手段112aによって時間的に遅延制御された超音波Stのエコーである。
そこで、受信信号処理手段113aは、このエコーSrを、第2の超音波振動子R−1、R−2、…、R−n−1、R−nで各パルス形式の超音波に分割するとともに、この各超音波Pr−nを、補正信号Sr−nを用いて時間的遅延を解消する補正を行う。補正された第2の超音波振動子の各超音波(受信信号)は、受信信号合成手段113bに送信される。
受信信号合成手段113b(図6)は、補正された各第2の超音波振動子の超音波Pr−n(受信信号)を受信し、この各受信信号を合成する。この合成された信号は、エコーの発生位置に関する測定情報である。受信信号合成手段113bは、この測定情報を取得し、取得された測定情報は、コンピュータ120の測定手段122に記憶手段123を介し送信される。

0044

図11は、図2の要部拡大図であり、セクタ走査における送信用フェイズドアレイ探触子の照射範囲(送信範囲)W1、セクタ走査における受信用のフェイズドアレイ探触子の受信範囲W2を図示している。
図11で示すように、上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に送信用フェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rとを配置すると、超音波の照射範囲W1と受信範囲W2とが互いに重なる範囲と、超音波の照射範囲W1と受信範囲W2とが重ならない範囲とが形成される。このうち重なる範囲がエコーの検出範囲である。
仮に、送信用と受信用を兼ねた1つのフェイズドアレイ探触子を上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に配置してレール100に対しセクタ走査行った場合、従来の一つの超音波振動素子からなる探触子での走査に比べて、膨大な測定情報を得ることができるので、より正確な傷の先端部Faの位置検出ができるかもしれない。
しかし、膨大な測定情報を得ることができるため、傷の先端部Faの深さ(位置)の測定に時間を要することとなる。
これに対し、本願発明の実施例のレール探傷方法及び装置1では、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを、互いにレール100の腹部100dを挟んで配置するとともに、いずれも上首部100cの曲面101または頭部100aの下面に当てて配置している。そのため、送信用と受信用を兼ねた1つのフェイズドアレイ探触子を用いたセクタ走査を行う場合に比べてエコーの検出範囲が狭くなり、しかも、レール100に発生する傷は、ほとんどこのエコーの検出範囲内に発生するので、エコーの検出範囲内に通常存在する傷を、短時間にかつ確実に検出できる。
なお、レール100内の照射範囲W1と受信範囲W2とが互いに重ならない範囲には、レール100の傷はほとんど発生しない。
なお、図11の符号Oaは照射範囲W1の基準点を概念的に図示したものであり、符号Obは受信範囲の基準点を概念的に図示したものである。

0045

また、図6に示すコンピュータ120は、移動距離測定手段121、測定手段122、記憶手段123と、走査指示手段124と、駆動手段125を具えている。

0046

このうち、移動距離測定手段121は、エンコーダ35からのスライダ10の位置情報を受信し、スライダ10の初期位置からの移動距離Kを連続して算出する。
この受信及び算出は、スライダ10がレール100の長さ方向に移動を開始してから、移動距離Kがレール長さLに達するまで連続して行われる(0≦K≦L)。また、移動距離測定手段121は、スライダ10がレール100の長さ方向に移動を開始してからの経過時間を測定し、この測定は、スライダ10の移動距離Kがレール長さLに達するまで連続して行われる。

0047

測定手段122は、受信信号合成手段113bによって測定されたエコーの発生位置に関する測定情報、及び超音波探傷器130から入力された測定条件(たとえば照射角度(送信角度)α1、受信角度α2)その他の記憶手段123で記憶された情報を受信する。
なお、上記したエコーの発生位置に関する測定情報とは、具体的には、照射した超音波又はそのエコーの各ビーム路程に関する情報であり、さらにより具体的には、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tでの超音波の照射時刻送信時刻)及びエコーの受信時刻、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rでのエコーの受信時刻などである。
測定手段122は、上記したエコーの発生位置に関する測定情報および超音波探傷器130から入力された測定条件(たとえば送信角度α1、受信角度α2)などから、端部エコー法により傷の先端部の深さ(位置)Mを求める。なお、端部エコー法は従前の技術である。

0048

記憶手段123は、端部エコー法の演算式等を記憶する。
また記憶手段123は、超音波探傷器130の入力手段131(後述)から送出された駆動信号(駆動手段125のスライダ駆動指示信号およびスライダ停止指示信号、走査指示信号)、超音波の送信角度α1、受信角度α2、受信した超音波のエコー等を記録(記憶)する。
また、記憶手段123は、受信信号合成手段113bからのエコーの発生位置に関する測定情報、測定手段122により測定されたレール100の傷の深さM(M≧0)、および移動情報測定手段121から送信されたスライダ10の移動距離情報を記憶する。
また、記憶手段123に記憶された情報は、適宜、測定手段122と、走査指示手段124、駆動手段125、超音波探傷器130又はモーションコントロールドライブユニット110などからの要求信号により読みだされる。

0049

走査指示手段124は、超音波探傷器130の入力手段131(後述)から送出された走査指示信号に基づき、フェイズドアレイ探触子50Tおよび受信用のフェイズドアレイ探触子50Rにより、セクタ走査を行わせる。
より具体的には、走査指示手段124は、入力信号131からの走査指示信号を記憶手段123を介して受信すると、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tによる超音波の照射指示送信指示)を行うとともに受信用のフェイズドアレイ探触子50Rによるエコーの受信指示を送信する。
なお、上記送信指示は記憶手段123を介し遅延時間制御手段112aに対して送信される。また、上記受信指示は記憶手段123を介し受信信号処理手段113aに対して送信される。
超音波の送信指示を受信した遅延時間制御手段112aにより、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tは超音波の照射を行い、またエコーの受信指示を受信した受信信号処理手段113aにより、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rはエコーを受信し、これにより上述したセクタ走査が行われる。

0050

駆動手段125は、スライダ10をレール100の長さ方向に移動させる手段である。
図12(a)は、第一実施例、第二実施例及び第四実施例の各レール探傷方法及び装置での、スライダの移動距離(横軸)とスライダの移動速度(縦軸)との関係を示す図である。
駆動手段125は、スライダ10の上記モータに、スライダ駆動指示信号を送信し、図12(a)で示すように、スライダ駆動指示信号を受信した上記モータは、スライダ10をある一定の速度に達するまで加速する。スライダ10がある一定の速度に達した状態が、ある一定時間継続した後、駆動手段125は、スライダ停止指示信号を送出する。このスライダ停止信号を受信したスライダ10の上記モータは減速して最終的に停止する。

0051

図12(b)は、第一実施例及び第二実施例のレール探傷方法および装置において、図3(a)のスライダ10を用いてレール100に対しセクタ走査が行われた様子を示すレールの概念平面図である。
図12(a)および図12(b)のセクタ走査の走査ラインB(破線)で示すように、この駆動手段125は、超音波の照射(送信)及びエコーの受信によるセクタ走査が行われているときに、スライダ10をレール100の長さ方向に移動する。

0052

また、図12(a)および図12(b)で示すように、セクタ走査はスライダ10の移動距離Kが初期位置(移動距離K=0)からレール長さLに達するまで連続して行われる。
また、セクタ走査は、駆動手段125によるスライダ10の移動と同期して行われる。
たとえば、図12(a)および図12(b)の走査ラインBで示すように、セクタ走査は、スライダ10の移動速度の高低にかかわらず、スライダ10の移動距離Kが、ある一定距離に達するごとに、レール100の幅方向にセクタ走査が1回行われる。これによりセクタ走査は、レール100に対しレール100の長さ方向に可及的に均一に行われる。
なお、走査指示手段124は、スライダ10の移動距離Kの移動距離情報を、移動距離測定手段121から記憶手段123を介して受信する。
なお、セクタ走査が行われていないときは、駆動手段125は、スライダ停止指示信号を図示せぬモータに送信し、これによりスライダ10のレール100の長さ方向の移動を停止させる。

0053

また、図6の超音波探傷器120は、入力手段131と、表示手段132を具えている。
このうち、入力手段131には、駆動手段125のスライダ駆動指示信号およびスライダ停止指示信号、走査指示信号、超音波の照射角度α1、エコーの受信角度α2、受信した超音波のエコー等が入力される。
また、表示手段132には、記憶手段123から読み出された情報、たとえば測定手段122から測定された深さMの測定情報、移動情報測定手段121からのスライダ10の位置情報、走査指示手段124の駆動情報などを表示する。なお、表示手段132は、超音波探傷器130ではなく、コンピュータ120に設けるようにしてもよい。

0054

次に、このレール探傷装置1において、レールを探傷する方法について説明するとともに、レール探傷装置1の詳細な構造について併せて説明する。

0055

まず、図1(a)、図3(a)及び図3(b)に示す、検査対象となるレール100の頭部100aの下面または上首部100cとを清掃し、付着していたや油、錆を除去しておく。

0056

次に、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tから超音波をレール100に照射(送信)させ、該超音波のエコーを受信用のフェイズドアレイ探触子50Rで受信してレール100を探傷する。
具体的には、まず、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを配置する(配置ステップ)。
この配置では、スライダ10をレール100に取り付ける。この取付方法については上述したとおりである。
また、この配置では、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rが、互いにレール100の腹部100dを挟んで配置され、いずれも上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に当てて配置されるようにする。
すると、図2で示すように送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは、それぞれ、その各探傷シュー52が上記媒質を介し上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に係合し、また図9で示すように、係合ローラ18の2つの面18aのうちの一方がレール100の側面101eの下部と接触し、他方が上首部100cの曲面101又は頭部100aの下面に接触する。

0057

また、この配置ステップでは、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは下斜め方向に進む傷F3の進行方向(レール長さ方向に沿って鉄道車両の進行方向でもある)に対し、同じ側に配置される。その配置として、たとえば、図1(a)、図3(a)及び図3(b)で示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rが、いずれも下斜め方向に進む傷F3の進行方向後方に配置されるようにする。

0058

この送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び送信用のフェイズドアレイ探触子50Rが配置された後、超音波探傷器130の入力手段131からのスライダ駆動指示信号により、駆動手段125は、スライダ10がレール100の基準面である正面D(図3(a))、すなわち初期位置にあるときから(K=0)、移動距離Kがレール100の長さLに達するまで連続してスライダ10の上記モータを駆動する。

0059

また、送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び送信用のフェイズドアレイ探触子50Rが配置された後、入力手段131から、スライダ駆動指示信号と同時に送信される走査指示信号により、図1(b)の超音波U1で示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tが、下斜め方向に進む傷F3の進行方向後方から該進行方向前方に向かって斜め上にレール100の踏面100bに向けて、超音波を照射し(照射ステップ)、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tからレール100に照射された超音波のエコーU2を受信用フェイズドアレイ探触子50Rが受信し(受信ステップ)、該受信した情報等に基づき下斜め方向に進む傷F3の先端位置(深さM)を測定する(測定ステップ)。

0060

上述した照射ステップ及び受信ステップでは、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tによって超音波を、下斜め方向に進む傷F3の進行方向後方から該進行方向前方に向かって斜め上に踏面100bに向けて斜め上に照射させる。
この場合に、図1(b)の超音波U1で示すように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tによって、超音波が下斜め方向に進む傷F3の面と踏面110bとが交差する部分(コーナー部)に照射されると、エコーU2で示すように、受信用フェイズドアレイ探触子50Rによって非常に高いエコーが検出される。

0061

さらに、図1(c)で示すように、駆動手段125により送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを移動させて、下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方に移動させていき、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tによって、下斜め方向に進む傷F3の進行方向後方から前方に向かって斜め上に踏面100bに向けて照射された超音波U3が該傷F3の面に照射されると、エコーU4で示すように、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rによって、下斜め方向に進む傷F3の面についての非常に高いエコーが検出される。

0062

またさらに図1(d)で示すように、駆動手段125により送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを傷F3の進行方向前方に移動させていくと、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tによって、下斜め方向に進む傷F3の進行方向後方から前方に向かって斜め上に踏面100bに向けて照射された超音波U5が該傷F3の面の先端部Fa付近に照射されるまで、受信用フェイズドアレイ探触子50Rによって高いエコー(エコーU6参照)が検出される。

0063

そして、さらに駆動手段125により送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを前進させて、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tによって、下斜め方向に進む傷F3の進行方向後方から前方に向かって斜め上に踏面100bに向けて照射された超音波が下斜め方向に進む傷F3の先端部Faに達すると、下斜め方向に進む傷F3の面のエコーは低下し、これにより、図3(a)及び図3(b)で示すように、端部エコーU(図11)が検出される。
またこの端部エコーの検出により端部エコー法を用いると、下斜め方向に進む傷F3の先端部Faの位置(深さM)が測定できる。

0064

また、上述した照射ステップ及び受信ステップでは、それぞれ送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rによってセクタ走査が実行され、これによりエコーの発生位置に関する測定情報が得られ、測定ステップでは、該エコーの発生位置に関する測定情報等に基づき端部エコー法により、上述のように、傷の先端部Faの位置(深さM)が測定される。

0065

また、駆動手段125によるスライダ10のレール100の長さ方向の移動は、超音波の照射(送信)及びエコーの受信によるセクタ走査が行われているときに行われる。
また、セクタ走査はスライダ10の移動距離Kが初期位置(移動距離K=0)からレール長さLに達するまで連続して行われる。
また、このセクタ走査は、駆動手段125によるスライダ10の移動と同期して行われる。たとえば、スライダ10の移動距離Kが、ある一定距離に達するごとに、レールの幅方向にセクタ走査が1回行われる。このセクタ走査は、スライダ10の移動と同期して繰り返し行われ、これによりレール100の長さ方向の走査を、レール100に対し可及的に均一に行うことができる。
また上述したように、駆動手段125は、超音波の照射及びエコーの受信によるセクタ走査を行っているときにスライダ10のレール100の長さ方向の移動を連続して行うから、レール100全体の長さ方向の走査を短時間で行うことができる。

0066

また、上述した後方探傷の方法は、傷F3の面とエコーと傷F3の先端部Faのエコーの両方を捕らえやすい利点(連続性あるいは関連性)がある。

0067

また、下斜め方向に進む傷F3は、その傷の面の方向によっては先端Faに対するエコーが、下斜め方向に進む傷F3の面のエコーに紛れ、先端部Faのエコーの抽出しにくい場合には、前方探傷を行ってもよい。この前方探傷とは、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方に配置し、下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方から該進行方向後方に向かって斜め上に踏面100bに向けて下斜め方向に進む傷F3を探傷・走査する方法である。

0068

図13(a)〜図13(d)は、第二実施例のレール探傷装置及びレールの探傷方法を示す要部概念斜視図であって、特に二探触子V走査法で、かつ前方探傷でのレール探傷装置及びレールの探傷方法の様子を示す図である。
図14(a)及び図14(b)は、第二実施例のレール探傷方法及び装置での、レール及びレール探傷装置の配置関係を示す図である。特に図14(a)はレール及びレール探傷装置の概念平面図(図の左部分)と概念背面図(図の右部分)を示し、図14(b)はその概念右側面図(図の左部分)と概念正面図(図の右部分)を示している。

0069

図13(a)〜図13(d)及び図14(a)及び図14(b)で示すように、この実施例のレール探傷方法及び装置201の配置ステップでは、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rは、傷F3の進行方向に対し、同じ側に配置されている例として、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを、いずれも下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方に配置している(前方探傷での配置ステップ)。なお、図13(a)〜図13(d)は、レール100の背面側からレール探傷装置及びレールの探傷方法をみた様子を示す斜視図である。

0070

次に、入力手段131による走査指示信号により、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tから超音波をレール100に照射させ(照射ステップ)、該超音波のエコーを受信用のフェイズドアレイ探触子50Rで受信して(受信ステップ)、レール100を探傷する(測定ステップ)。
前方探傷では、送信用フェイズドアレイ探触子50Tおよび受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを傷F3の進行方向に対して前方に位置させ、超音波を、下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方から該進行方向後方に向かって斜め上に踏面100bに向けて照射された踏面100bに向けて照射させる。この場合、図13(b)で示すように、下斜め方向に進む傷F3と踏面100bとが交差する部(コーナー部)の先端に照射され、非常に高い端部エコーが検出される。
さらに、駆動手段125により送信用のフェイズドアレイ探触子50Tおよび受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを、駆動手段125により下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方に移動させていくと、図13(c)に示すように、下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方から後方に向かって斜め上に踏面100bに向けて照射された超音波は踏面100bで反射した後、略水平方向の傷F2の面に照射され、下斜め方向に進む傷F3には達しにくく、下斜め方向の傷F3のエコーは検出されにくい。
そして、図13(d)に示すように、さらに駆動手段125により、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tおよび受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを、駆動手段125により前進させると、下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方から後方に向かって斜め上に踏面100bに向けて照射された超音波U7は踏面100bで反射した後、下斜め方向に進む傷F3の面に照射され、エコーU8で示すように、高いエコーが得られる(検出しやすい)。
なお、照射ステップ及び受信ステップでは、それぞれ送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び前記受信用のフェイズドアレイ探触子50Rによってセクタ走査が実行され、これによりエコーの発生位置に関する測定情報が得られる。また、測定ステップでは、エコーの発生位置に関する測定情報等に基づき端部エコー法によりレール100の斜め下方向に進む傷F3の先端部Faの位置(深さM)が測定される。
なお、第二実施例のレール探傷方法及び装置201では、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方に配置し、下斜め方向に進む傷F3の進行方向前方から後方に向かって斜め上に踏面に向けて下斜め方向に進む傷F3を探傷・走査する方法(前方探傷)を行う点をのぞき、第一実施例のレール探傷方法及び装置1の構造・構成と同様である。

0071

第二実施例のレール探傷方法及び装置201では、第一実施例の各レール探傷方法及び装置1と同様に、駆動手段125によるスライダの移動と同期してセクタ走査が行われるものとし、その同期は、スライダの移動距離が所定距離に達するごとに、レールの幅方向の走査が1回行われるものとしている。
しかし、この発明のレール探傷方法および装置での、スライダ10の移動とセクタ走査との同期はこれに限定されず、セクタ走査の終了情報に基づき、駆動手段125がスライダ10を移動するものであってもよい。

0072

図15(a)は、第三実施例のレール探傷方法及び装置での、スライダの移動距離(横軸)とスライダの移動速度(縦軸)との関係を示す図であり、図15(b)は、図15(a)のスライダを用いてレールに対しセクタ走査が行われた様子を示すレールの概念平面図である。

0073

図15(a)および図15(b)のセクタ走査の走査ラインB(破線)で示すように、第三のレール探傷方法が行われる第三のレール探傷装置301では、送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを固定するスライダ10(図2参照)と、該スライダ10をレール100の長さ方向に移動させる駆動手段125(図6参照)を具え、駆動手段125が、セクタ走査の終了情報に基づきスライダ10をレールの長さ方向にするようにしている。
このセクタ走査の終了情報とは、走査ラインB(破線)で示すように、レール100の幅方向の走査が1回終了したことを検出した情報である。
このセクタ走査の終了情報は走査指示手段124によって検出され、その検出信号が駆動手段125に送信される。このセクタ走査の終了情報の検出信号を受信した駆動手段125は、スライダ10の図示せぬモータを駆動する。
なお、走査指示手段124がセクタ走査の実行を指示し、これによりセクタ走査が実行されている間は、駆動手段125は、スライダ10の図示せぬモータの駆動を停止させている。

0074

なお、第一乃至第三の実施例の各レール探傷方法及び装置1、201、301では、駆動手段125によるスライダ10の移動と同期してセクタ走査が行われるものとしたが、この発明のレール探傷方法及び装置は、駆動手段125によるスライダ10の移動は、セクタ走査とは独立して行われるもの、すなわちセクタ走査がスライダ10の移動に非同期するものとしてもよい。

0075

図12(c)は、第四の実施例のレール探傷方法及び装置において、図12(a)のスライダを用いてレールに対しセクタ走査が行われた様子を示すレールの概念平面図である。
図12(a)および図12(c)のセクタ走査の走査ラインB(破線)で示すように、第四のレール探傷方法が行われる第四のレール探傷装置401では、送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを固定するスライダ10(図2参照)と、該スライダ10をレール100の長さ方向に移動させる駆動手段125(図6参照)を具え、駆動手段125によるスライダ10の移動はセクタ走査とは独立して行われる。
たとえば、図12(a)および図12(c)の走査ラインB(破線)で示すように、セクタ走査は、スライダ10の移動距離Kにかかわらず、スライダ100のレール長さ方向の移動開始からある一定時間経過ごとに、実行される。
このようにすると、スライダ10の移動速度がある一定の速度未満である場合、スライダの移動速度が該一定の速度との差が大きければ大きいほど、スライダの移動速度が、上記一定の速度になった際のセクタ走査での走査密度に比べて、セクタ走査の走査密度が高くなる。したがって、スライダ10の移動の速度を調整することにより、セクタ走査の走査密度を調整することができる。
なお、図12(a)及び図12(c)では、超音波の照射(送信)及びエコーの受信によるセクタ走査を行っているときに、駆動手段125がスライダ10をレール100の長さ方向に移動する様子、およびセクタ走査はスライダ10の移動距離Kが初期位置(移動距離K=0)にあるときからレール長さLに達するまで連続して行われている様子も図示している。

0076

このように本願発明の上記各実施例のレール探傷方法1、201、301、401では、従来のように、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tに連結する探触子回転機構および受信用のフェイズドアレイ探触子50Rに連結する探触子回転機構を設けない分、部品点数が少なくなり、構造が簡素になる。

0077

また、本願発明の上記各実施例のレール探傷方法及び装置1、201、301、401では、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tに連結する探触子回転機構が不要となるので、レール100のある地点での探傷の際、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tの送信角度を設定するため、手作業での操作(該探触子回転機構の操作)が不要となる。さらに、本願発明の上記各実施例のレール探傷方法及び装置1、201、301、401では、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rに連結する探触子回転機構が不要となるので、レール100のある地点での探傷の際、受信用のフェイズドアレイ探触子50Rの受信角度を設定するため、手作業での操作(該探触子回転機構の操作)も不要となる。そのため、この上記各実施例のレール探傷装置1、201、301、401及びレール探傷方法では、レールの探傷作業が簡単で、しかも下斜め方向に進む傷F3の先端部Faの深さの測定を従来に比べ短時間で行うことができる。

0078

また、本発明の上記各実施例のレール探傷方法及び装置1、201、301、401では、レール100の頭部100aの下面又は上首部100cに形成された曲面101に送信用のフェイズドアレイ探触子50Tおよび受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを当てて、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tから踏面100bに向けて超音波を照射させるので、略平行に進む傷F2、下斜め方向に進む傷F3その他の傷に超音波を照射でき、そのエコーを測定することによって、該傷の先端部の位置(深さ)を測定することができる。
なお、超音波はレール100の上首部100cから踏面100bに向けて照射されるので、超音波が略平行に進む傷F2の断面で反射して下斜め方向に進む傷F3に達しないおそれは可及的に防止される。そのため、上述するように斜め下方向に進む傷F3に超音波を照射でき、そのエコーを測定することによって、斜め下方向に進む傷F3の位置(深さ)を測定することができる。
さらに、頭部100aの下面または上首部100cの曲面101は、鉄道車両の車輪200(図16)との摩擦が起こらず摩耗しないので、略平行に進む傷F2、下斜め方向に進む傷F3その他の傷の各先端部Faの深さを正確に測定することができ、特に、レール強度・交換要否判定の最も重要なファクターである、斜め下方向に進む傷の先端部の深さ測定の基準面として適している。

0079

したがって、本願発明の上記各実施例のレール探傷装置1、201、301、401は、頭部に発生する略平行に進む傷F2、下斜め方向に進む傷F3その他の傷の深さを正確に測定でき、部品点数が少なくて構造が簡素で、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷装置として適している。また、本願発明の上記各実施例のレール探傷方法は、頭部に発生する略平行に進む傷F2、下斜め方向に進む傷F3その他の傷の深さを正確に測定でき、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷方法として適している。

0080

また、本発明の上記各実施例のレール探傷方法及び装置1、201、301、401では、送信用のフェイズドアレイ探触子50Tと受信用のフェイズドアレイ探触子50Rを、互いにレール100の腹部100dを挟んで配置するとともに、いずれも上首部100cの曲面101または頭部100aの下面に当てて配置し、送信用のフェイズドアレイ探触子50T及び受信用のフェイズドアレイ探触子50Rによってセクタ走査を実行して測定情報を得て、該測定情報に基づき端部エコー法により傷の先端部の位置を測定するようにしている。そのため、送信用と受信用を兼ねた1つのフェイズドアレイ探触子を用いてレールに対しセクタ走査行う場合に比べて、略平行に進む傷F2、下斜め方向に進む傷F3その他の傷を短時間にかつ確実に検出できる。

0081

また、第一乃至第三実施例のレール探傷方法及び装置1、201、301では、超音波の照射(送信)及びエコーの受信を行っているときにスライダ10をレール100の長さ方向に移動するから、従来のように超音波の照射及びエコーの受信を行っているときに駆動手段125がスライダ10の移動を停止する場合に比べて、レール100の長さ方向の走査を短時間で行うことができる。

0082

また、第一乃至第三実施例のレール探傷方法及び装置1、201、301では、駆動手段125によるスライダ10の移動と同期してセクタ走査が行われるため、レール100の長さ方向の走査が、レール100に対し可及的に均一に行われることとなる。

0083

なお、第四実施例のレール探傷方法及び装置401のように、スライダの移動がセクタ走査とは独立して行われるようにすると、スライダ10の移動の速度を調整することによりセクタ走査の走査密度を調整することができる。

0084

なお、上記した第一乃至第四の実施例のレール探傷方法及び装置1、201、301、401では、レール100の傷が下斜め方向に進む傷F3であることとして説明したが、レール100の傷が略水平方向に進む傷F2である場合にも本願発明のレール探傷方法及び装置が適用されることはいうまでもない。

0085

また、第二乃至第四実施例のレール探傷装置201、301、401では、第一実施例のレール探傷装置101と同様に、エンコーダ35、モーションコントロールドライブユニット110と、コンピュータ120と、超音波探傷器130と、図示せぬ検出器を具えていることはいうまでもない。

0086

本願発明のレール探傷装置は、頭部に発生する略平行に進む傷および下斜め方向に進む傷の深さを正確に測定でき、部品点数が少なくて構造が簡素で、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷装置として適している。また、本願発明のレール探傷方法は、頭部に発生する略平行に進む傷および下斜め方向に進む傷の深さを正確に測定でき、しかもレールの探傷作業が簡単で、探傷時間を短縮できるレール探傷方法として適している。

0087

1、201、301、401…レール探傷装置
10…スライダ
50T…送信用のフェイズドアレイ探触子
50R…受信用のフェイズドアレイ探触子
100…レール
100a…頭部
100b…踏面
100c…上首部
101…曲面
111…情報取得手段
122…測定手段
125…駆動手段
F2、F3…傷
F2…略平行に進む傷
F3…下斜め方向に進む傷

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