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技術 半導体装置の製造方法

出願人 日産自動車株式会社
発明者 宮本健二中川成幸南部俊和
出願日 2014年7月31日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-155766
公開日 2016年3月10日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-033938
状態 特許登録済
技術分野 圧接、拡散接合 半導体または固体装置のマウント ダイボンディング 半導体または固体装置の冷却等
主要キーワード 間接接合 JEITA規格 母材金属中 EIAJ 同種材 IEC規格 応力集中度 共晶溶融物
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図面 (7)

課題

高温下に保持されても、接合部に空隙が生じず、電気伝導性熱伝導性の低下を防止できる半導体装置の製造方法及び半導体装置の提供

解決手段

接合される接合面の両方又は一方に凹凸を形成すると共に、両方の接合部の表面又は内部に拡散防止層を形成し、上記接合部間インサート材を介在させ、加圧加熱して、一方の接合部を構成する母材金属と他方の金属接合部を構成する母材金属とを、接合界面の少なくとも一部で直接接合する。

概要

背景

近年の半導体装置、特に、大電流密度の所謂ハイパワーモジュールと称する半導体装置においては、高温環境下でも使用可能であることが要求されている。
そのため、半導体装置の実装構造においては、高温に保持されたり、高温熱サイクルを受けたりした場合にも、高温耐久性に優れる接合部を有することが強く望まれている。また、環境保全の観点からすると、Pb(鉛)フリー接合技術が必須となっている。

このような半導体装置を実装するため、現状では、Sn(錫)−Ag(銀)−Cu(銅)系のはんだが、接合に広く使われている。しかし、このようなはんだで接合すると、半導体装置の使用温度が、はんだの融点(例えば200℃程度)以下に制限される。
また、例えば、電極がCuである場合の接合部においては、接合界面にCu−Sn系の脆い金属間化合物層が生成し、高温耐久性に乏しいものとなる。
そのため、接合部の高温耐久性を確保するために、いろいろな試みがなされている。

例えば、金属ナノ粒子活性表面エネルギーを利用し、金属ナノ粒子を低温にて凝集させて接合する低温接合工法が提案されている。この接合工法を用いれば、金属ナノ粒子が凝集した後の接合界面は、バルク金属となるため、優れた高温耐久性を有する。
しかし、金属ナノ粒子としてはAu(金)のような貴金属が用いられ、コストが高くなるのに加えて、金属ナノ粒子は表面エネルギーが高く、表面に有機物が修飾したような構造をとるため、金属ナノ粒子が凝集した構造となっても接合プロセス時に有機物がガス化して残存することから、接合部にボイドが生じてしまうため、継手強度バラツキが大きくなる。

また、高温耐久性を有するはんだとしては、この他にAu−Ge(ゲルマニウム)系等のはんだがある。しかし、これらのはんだも、貴金属であるAuを用いているため、コスト的な問題ばかりでなく、接合界面に金属間化合物層が生成したり、相互拡散不均衡により発生した原子空孔集積し、カーケンダルボイドを生成したりするため、長期的な信頼性に問題がある。

一方、接合面に形成された酸化皮膜による障害を排除し、健全な接合部を形成する観点から、母材金属共晶を生ずる金属、例えば、亜鉛(Zn)を含むインサート材を用いることが知られている。これは、接合面間にインサート材を介在させた状態で加圧、加熱することにより、共晶反応させて接合するものである。すなわち、母材金属とインサート材との間で共晶反応させることによって、酸化皮膜を母材表面から除去し、生じた共晶反応溶融物と共に接合面から排出して接合するものである。

このとき、母材金属とインサート材との直接的な接触を促進し、共晶反応の起点を早期に形成して、上記接合プロセスをより円滑なものとするべく、接合面に酸化皮膜を破壊するための凹凸構造を形成することが提案されている(特許文献1参照)。

概要

高温下に保持されても、接合部に空隙が生じず、電気伝導性熱伝導性の低下を防止できる半導体装置の製造方法及び半導体装置の提供接合される接合面の両方又は一方に凹凸を形成すると共に、両方の接合部の表面又は内部に拡散防止層を形成し、上記接合部間にインサート材を介在させ、加圧加熱して、一方の接合部を構成する母材金属と他方の金属接合部を構成する母材金属とを、接合界面の少なくとも一部で直接接合する。

目的

本発明は、上記特許文献1に記載される接合方法を改良し、高温下に保持される半導体装置に適用しても、拡散に起因する電気伝導性や熱伝導性の低下を防止できる半導体装置の製造方法及び半導体装置の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

複数の半導体装置用部材接合して成る半導体装置の製造方法であって、上記半導体装置用部材が金属接合部を有し、接合される金属接合部がその接合面の両方又は一方に凹凸を有すると共に、両方の表面又は内部に拡散防止層が形成されたものであり、上記金属接合部間にインサート材を介在させ、加圧加熱し、一方の半導体装置用部材の金属接合部を構成する母材金属Aと他方の半導体装置用部材の金属接合部を構成する母材金属Bとを、接合界面の少なくとも一部で直接接合するものであり、上記金属接合部を構成する母材金属A、母材金属Bが、それぞれ独立して、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)及び金(Au)から成る群より選ばれた少なくとも1種を主成分とするものであり、上記インサート材が、上記金属A及び金属Bに含まれるそれぞれ1種以上の金属と共晶反応するものであることを特徴とする半導体装置の製造方法。

請求項2

上記インサート材が、Znを主成分とする金属であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

請求項3

上記インサート材が、Al、Mg、Cu、Ag及びSnから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属と、Znとの合金であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

請求項4

上記インサート材が、ZnとAlとの合計含有量が80質量%以上の合金であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。

請求項5

上記インサート材が、Znと、Alと、Mgとの合計含有量が80質量%以上の合金であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。

請求項6

上記インサート材が、Znと、Alと、Cuとの合計含有量が80質量%以上の合金であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。

請求項7

上記拡散防止層がニッケル(Ni)、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化チタンタングステン(TiWN)、白金イリジウム(PtIr)から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項8

上記インサート材の厚さが20〜200μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項9

上記金属Aと金属Bとが同種材であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項10

上記半導体装置用部材が、半導体チップ配線金属であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項11

上記配線金属が絶縁性セラミックス基板上に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。

請求項12

上記半導体装置用部材が、配線金属が配置された絶縁性セラミックス基板と冷却体であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の半導体装置の製造方法。

請求項13

複数の半導体装置用部材が接合して成る半導体装置であって、上記半導体装置用部材が金属接合部を有し、接合される金属接合部がその接合面の両方又は一方に凹凸を有すると共に、両方の表面又は内部に拡散防止層が形成されたものであり、上記金属接合部間にインサート材を介在させて加圧加熱し、一方の半導体装置用部材の金属接合部を構成する母材金属Aと他方の半導体装置用部材の金属接合部を構成する母材金属Bとが、接合界面の少なくとも一部で直接接合されたものであり、上記金属接合部を構成する母材金属A、母材金属Bが、それぞれ独立して、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)及び金(Au)から成る群より選ばれた少なくとも1種を主成分とするものであり、上記インサート材が、上記金属A及び金属Bに含まれるそれぞれ1種以上の金属と共晶反応するものであることを特徴とする半導体装置。

請求項14

複数の半導体装置用部材が接合して成る半導体装置であって、一方の半導体装置用部材の金属接合部の母材金属Aと、他方の半導体装置用部材の金属接合部の母材金属Bとが、接合界面の少なくとも一部において直接接合し、該直接接合部の周囲に、拡散防止層に囲まれた共晶反応物を有するものであり、上記母材金属Aと母材金属Bとが、それぞれ独立して、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)及び金(Au)から成る群より選ばれた少なくとも1種を主成分とするものであり、上記共晶反応物が、上記金属A及び金属Bに含まれる、それぞれ1種以上の金属と共晶反応したものであることを特徴とする半導体装置。

請求項15

上記半導体装置用部材が、半導体チップと配線金属であることを特徴とする請求項13又は14に記載の半導体装置。

請求項16

上記配線金属が絶縁性セラミックス基板上に配置されていることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。

請求項17

上記半導体装置用部材が、配線金属が配置された絶縁性セラミックス基板と冷却体であることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1つの項に記載の半導体装置。

技術分野

0001

本発明は、複数の半導体装置用部材接合して成る半導体装置の製造方法及び半導体製造装置に関するものである。

背景技術

0002

近年の半導体装置、特に、大電流密度の所謂ハイパワーモジュールと称する半導体装置においては、高温環境下でも使用可能であることが要求されている。
そのため、半導体装置の実装構造においては、高温に保持されたり、高温熱サイクルを受けたりした場合にも、高温耐久性に優れる接合部を有することが強く望まれている。また、環境保全の観点からすると、Pb(鉛)フリー接合技術が必須となっている。

0003

このような半導体装置を実装するため、現状では、Sn(錫)−Ag(銀)−Cu(銅)系のはんだが、接合に広く使われている。しかし、このようなはんだで接合すると、半導体装置の使用温度が、はんだの融点(例えば200℃程度)以下に制限される。
また、例えば、電極がCuである場合の接合部においては、接合界面にCu−Sn系の脆い金属間化合物層が生成し、高温耐久性に乏しいものとなる。
そのため、接合部の高温耐久性を確保するために、いろいろな試みがなされている。

0004

例えば、金属ナノ粒子活性表面エネルギーを利用し、金属ナノ粒子を低温にて凝集させて接合する低温接合工法が提案されている。この接合工法を用いれば、金属ナノ粒子が凝集した後の接合界面は、バルク金属となるため、優れた高温耐久性を有する。
しかし、金属ナノ粒子としてはAu(金)のような貴金属が用いられ、コストが高くなるのに加えて、金属ナノ粒子は表面エネルギーが高く、表面に有機物が修飾したような構造をとるため、金属ナノ粒子が凝集した構造となっても接合プロセス時に有機物がガス化して残存することから、接合部にボイドが生じてしまうため、継手強度バラツキが大きくなる。

0005

また、高温耐久性を有するはんだとしては、この他にAu−Ge(ゲルマニウム)系等のはんだがある。しかし、これらのはんだも、貴金属であるAuを用いているため、コスト的な問題ばかりでなく、接合界面に金属間化合物層が生成したり、相互拡散不均衡により発生した原子空孔集積し、カーケンダルボイドを生成したりするため、長期的な信頼性に問題がある。

0006

一方、接合面に形成された酸化皮膜による障害を排除し、健全な接合部を形成する観点から、母材金属共晶を生ずる金属、例えば、亜鉛(Zn)を含むインサート材を用いることが知られている。これは、接合面間にインサート材を介在させた状態で加圧、加熱することにより、共晶反応させて接合するものである。すなわち、母材金属とインサート材との間で共晶反応させることによって、酸化皮膜を母材表面から除去し、生じた共晶反応溶融物と共に接合面から排出して接合するものである。

0007

このとき、母材金属とインサート材との直接的な接触を促進し、共晶反応の起点を早期に形成して、上記接合プロセスをより円滑なものとするべく、接合面に酸化皮膜を破壊するための凹凸構造を形成することが提案されている(特許文献1参照)。

先行技術

0008

特開2013−78793号公報

発明が解決しようとする課題

0009

上記特許文献1は、本願出願人の出願に係るものであり、接合時の加圧による被接合材ダメージがなく、被接合材同士を直接接合できるものである。
しかし、上記接合方法を高温下に保持される半導体装置に適用した場合、初期には良好である電気伝導性熱伝導性が、時間の経過と共に低下することがその後判明した。
この電気伝導性や熱伝導性の低下の原因について調べた結果、上記接合面の凹凸構造の形状によっては、インサート材に由来する共晶反応物が上記接合部の上記凹部に相当する箇所に残留することがある。そして、半導体装置の使用環境使用状態によっては、この共晶反応物中の金属が母材金属内部に拡散する。すると、共晶反応物中の金属部に微細な空隙が生じ、電気伝導性や熱伝導性の低下の原因となっていることがわかった。

0010

したがって、本発明は、上記特許文献1に記載される接合方法を改良し、高温下に保持される半導体装置に適用しても、拡散に起因する電気伝導性や熱伝導性の低下を防止できる半導体装置の製造方法及び半導体装置の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、半導体装置用部材の両接合面に拡散防止層を形成することで、インサート材由来の金属が母材金属中に拡散することを防止でき、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0012

すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の半導体装置の製造方法は、接合する半導体装置用部材の接合面の少なくともいずれか一方の面に凹凸を形成すると共に、両接合部に拡散防止層を形成し、該半導体装置用部材同士間に、インサート材を介在させて加圧加熱し、接合界面の少なくとも一部で半導体装置用部材の両接合部中の母材金属Aと母材金属Bとを直接接合するものであり、
一方の半導体装置用部材の金属接合部を構成する母材金属Aと他方の半導体装置用部材の金属接合部を構成する母材金属Bが、それぞれ独立して、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)及び金(Au)から成る群より選ばれた少なくとも1種を主成分とするものであり、
上記インサート材が、上記母材金属A及び母材金属Bに含まれる、それぞれ1種以上の金属と共晶反応するものであることを特徴とする。

0013

また、本発明の半導体装置は、上記接合方法で接合された半導体装置であることを特徴とする。

0014

さらに、本発明の半導体装置は、一方の半導体装置用部材の金属接合部の母材金属Aと、他方の半導体装置用部材の金属接合部の母材金属Bとが、接合界面の少なくとも一部において直接接合され、該直接接合部の周囲に拡散防止層に囲まれた共晶反応物を有するものであることを特徴とする。

発明の効果

0015

本発明によれば、接合する半導体装置用部材の両接合部に拡散防止層を形成し、接合後には、共晶反応物を拡散防止層で囲むこととしたため、電気伝導性や熱伝導性の低下を防止できる。
即ち、共晶反応物が接合部に残留しても、残留する共晶反応物が拡散防止層で囲まれるため、上記共晶反応物中の金属が母材金属中に拡散することが防止され、該拡散に伴って生じる空隙による電気伝導性や熱伝導性の低下を防止できる。

図面の簡単な説明

0016

本発明の半導体装置の製造方法において接合部に形成する凹凸構造の形状例を示す斜視図である。
本発明で用いる半導体チップの一例を示す概略断面図である。
本発明の半導体装置の製造方法による半導体装置用部材の接合方法の一例を概略的に示す工程図である。
本発明の半導体装置の製造方法によって接合された接合部の一例を示す断面図である。
本発明の製造方法による半導体装置の実施形態例を示す概略断面図である。
本発明の実施例に用いた半導体装置の構成を説明する概略断面図である。

0017

以下に、本発明の半導体装置の製造方法について、さらに詳細、かつ具体的に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り、質量百分率を意味するものとする。

0018

本発明の半導体装置の製造方法は、接合される半導体装置用部材の接合面の両方又は一方に凹凸を形成すると共に、両接合部の表面又は内部に拡散防止層を形成し、この接合部間にインサート材を介在させて加圧加熱するものである。そして、接合界面の少なくとも一部で両接合部の母材金属Aと母材金属Bとが直接接合される。

0019

<半導体装置用部材>
本発明における半導体装置用部材は、母材金属上に拡散防止層が形成された金属接合部を有し、一方の半導体装置用部材の母材金属が金属Aで構成され、他方の半導体装置用部材の母材金属が金属Bで構成される。
また、接合される半導体用形成部材は、金属接合部表面の両方又は一方に凹凸を有するものである。

0020

上記金属接合部を形成する金属A及び金属Bは、電気伝導性に優れるものを使用することができ、それぞれ独立して、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)及び金(Au)から成る群より選ばれた少なくとも1種を主成分とするものであり、これらは同一でも異なってもよい。上記金属A及び金属Bとしては、上記金属の純金属や、これらの金属を含む合金等、種々の組合せを採用することができる。

0021

上記金属Aと金属Bとは、同種材で形成されることが好ましい。同種材同士の接合とすることで、界面の劣化反応の起点がなくなるため、さらに耐久信頼性が高い接合が可能となる。
ここで、「同種材」とは、金属組織や成分系が同じであることを意味し、必ずしも合金成分の含有量が一致する必要はない。

0022

また、上記母材金属には、後述するインサート材を構成する金属の少なくとも1種含むことが好ましく、亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。
インサート材を構成する金属を含有することで、母材金属中のインサート材を構成する金属量が飽和量に近くなり、共晶反応残留物中の金属が母材金属中に拡散することを抑制できる。

0023

上記拡散防止層としては、上記金属A、金属B及び後述するインサート材と相互拡散しないもの又は相互拡散し難いものを使用することができ、例えば、ニッケル(Ni)、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化チタンタングステン(TiWN)、白金イリジウム(PtIr)が挙げられ、これは一種以上を混合して用いてもよい。

0024

拡散防止層の膜厚は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。1μm未満では、共晶反応物を十分囲むことができず、共晶反応物が母材金属中に拡散することがあり、10μmを超えると上記金属Aと金属Bとが直接接合し難くなることがある。

0025

上記拡散防止層は、CVD,スパッタリングパウダーデポジションメッキ等、公知の成膜法により形成できる。
なお、金属は空気中に置いた瞬間に表面が酸化されるので、接合面を純粋な金属にすることは困難であり、拡散防止層表面が酸化されたときは、接合部の内部に拡散防止層を有することになる。

0026

上記接合面の表面凹凸は、金属接合部の母材金属とインサート材との直接的な接触を促進し、共晶反応の起点となると共に、拡散防止層表面に酸化皮膜が形成されていたとしても、該酸化皮膜を破壊し、金属A及び金属Bとインサート材との共晶反応を生じさせる。
そして、加圧加熱により、共晶反応物の溶融物と破壊された酸化皮膜とが、上記凹部に排斥され、接合界面の少なくとも一部において、金属接合部の母材金属Aと母材金属Bとが直接接合されて、電気伝導性及び熱伝導性が向上する。

0027

上記凹凸の形状としては、応力を集中させて、インサート材や酸化皮膜の破壊を促進させる機能さえあれば、その形状や数に制限はなく、例えば、図1(a)〜(c)に示すようなものの他、波形やかまぼこ形、半球状など凸部先端曲面とすることも可能である。 なお、当該曲面の曲率半径は、小さいほど応力集中が顕著なものとなって、インサート材や酸化皮膜が破壊し易くなることは言うまでもない。

0028

図1(a)は、断面が台形状の凹凸構造のものであり、凸部先端を略平面とすれば、応力集中度は若干低下するとしても、応力集中手段の形成が容易となり、加工費を削減することができる。

0029

また、図1(b)に示すように、三角柱並列させたような凹凸構造を採用することも可能であり、これによって、凹凸構造の凸部先端が線状のものとなり、応力集中度を高めて、酸化皮膜の破断効果を向上させることができる。

0030

さらに、図1(c)に示すように、四角錐を縦横方向に並列させた凹凸構造を採用することもでき、凹凸構造の凸部先端が点状となることから、さらに応力集中度を高めて、インサート材や酸化皮膜の破断性能を向上させることができる。

0031

金属接合部の凹凸の寸法、形状としては、アスペクト比(高さ/幅):0.001以上、ピッチ:1μm以上で、望ましくはアスペクト比0.1以上、ピッチ:10μm以上である。

0032

このような凹凸は、例えば、切削加工研削加工塑性加工ローラ加工)、レーザ加工放電加工エッチング加工リソグラフィーなどによって形成することができ、その形成方法としては、特に限定されるものではない。これら加工方法のうち、塑性加工によれば、非常に低コストで形成が可能である。

0033

上記半導体装置用部材としては、従来公知の半導体装置に用いられる部材を挙げることができ、例えば、半導体チップ、絶縁性セラミック基板ベースプレート冷却体)等が挙げられる。

0034

なお、半導体装置用部材が半導体チップである場合には、上記したように接合面側に、母材金属3c上に拡散防止層3fを有する金属接合部を有するが、図2に示すように、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素(Si)、窒化ガリウム(GaN)等から成る半導体チップ3と母材金属3cの間に、Ti(チタン)、Cr(クロム)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)等から成る密着層3a及びバリヤ層3bを設けることができる。
バリヤ層3bは、金属層3cの成分がチップ体内に拡散するのを防止する機能を有し、Ni(ニッケル)やPt−Ir(白金−イリジウム)などを適用することができる。
一方、密着層3aは、上記バリヤ層3bと半導体チップ3との密着性を向上させる機能を有し、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)などを用いることができる。

0035

<インサート材>
本発明の半導体装置の製造方法においては、半導体装置用部材の金属接合部間にインサート材を介在させる。
インサート材としては、上記金属A及び金属Bと共晶反応するものを使用することができ、例えば、Znを主成分とする金属(純亜鉛、亜鉛合金)が好ましく用いられる。
Znを主成分とする金属の他、Al、Mg、Cu、Ag及びSnから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属と、Znとの合金を使用することができる。

0036

Znを含む合金としては、例えば、ZnとAlとの合計含有量が80質量%以上の合金、Zn、Al及びMgの合計含有量が80質量%以上の合金、及び、Zn、Al及びCuの合計含有量が80質量%以上の合金を好ましく使用できる。
すなわち、ZnとAlを含む合金系の共晶温度は低く(Zn−Al系合金では382℃、Zn−Al−Mg系合金では330℃、Zn−Al−Cu系合金では379℃)、このような低い温度で接合することで、母材軟化や変形を惹起することなく、接合を阻害する酸化皮膜を接合界面から除去して、両部材を接合することができる。
なお、本発明において「主成分」とは、80質量%以上含有する成分をいう。

0037

インサート材4は、箔の形態で両材料の間に挟み込んだり、めっきやパウダーデポジション法によって、半導体装置用部材の金属接合部の拡散防止層を被覆したりして用いられる。組成や形状(厚さ)などに関する選択の自由度が高いことから、箔の形態で用いることが好ましい。また、上記箔には半導体装置用部材と同様、表面凹凸を形成してもよい。

0038

インサート材の厚さは、使用する接合する金属や接合部の表面凹凸にもよるが、20μm〜200μmであることが好ましい。
20μmに満たない場合、酸化皮膜の排出が不十分となったり、接合部のシール性が低下し、接合中に酸化が進み接合部の強度特性を低下させたりすることがある。また、200μmを超えると、余剰部分の排出のために高い加圧力が必要となったり、界面への残存が多くなり、継ぎ手性能を低下させたりすることがある。

0039

<接合方法>
次に半導体装置用部材の接合方法について説明する。
本発明においては、半導体装置用部材の金属接合部間にインサート材を介在させ、加圧加熱して接合する。

0040

接合する半導体用形成部材同士は、金属接合部表面の両方又は一方には凹凸を有するものである。接合部に凹凸を有することで、金属接合部の母材金属とインサート材との直接的な接触を促進し、共晶反応の起点となると共に、拡散防止層表面に酸化皮膜が形成されていたとしても、該酸化皮膜が破壊され、金属A及び金属Bとインサート材との共晶反応が生じる。
そして、この共晶反応物と破壊された酸化皮膜が上記凹部に排斥され、接合界面の少なくとも一部において、金属接合部の母材金属Aと母材金属Bとが直接接合され、電気伝導性及び熱伝導性が向上する。

0041

加えて、本発明においては、接合面の両方に拡散防止層が形成されているため、凹部に排斥された共晶反応物や酸化皮膜片等が接合部に残留したとしても、該残留物は拡散防止層で囲まれ、母材金属から隔離される。したがって、これらが母材金属A及び母材金属B中に拡散することがなく、接合部に空隙が生じることによる電気伝導性の低下や熱伝導性の低下が防止される。
なお、拡散防止層は残留物の全方位を囲む必要はなく、残留物と母材金属との相互拡散を防止できればよい。

0042

上記共晶反応は、2種以上の金属が相互拡散して生じた相互拡散域の組成が共晶組成となり、温度が共晶温度以上であるときに共晶反応により溶融して液相を形成する。
例えば、Zn−Al系合金の場合、Alの融点は660℃であり、Znの融点は419.5℃であるが、これらの共晶金属は、それぞれの融点より低い382℃にて溶融する。
したがって、酸化物層等を排斥し両金属同士を接触させ、382℃以上に加熱保持することで共晶溶融が生じ、共晶組成が5%Al−95%Znの合金となる。

0043

なお、共晶反応自体は合金成分に無関係な変化であり、インサート材の組成は共晶反応物の量を増減するに過ぎない。すなわち、共晶組成は相互拡散によって自発的に達成されるため、組成のコントロールは必要なく、母材金属A、Bと、インサート材に含まれる金属との間に、低融点の共晶反応が生じればよい。
したがって、金属Aとインサート材との間、及び、金属Bとインサート材との間の両方に、共晶反応生じさせるため、両共晶温度の高い方の温度に加熱する必要がある。

0044

また、一般的な金属材料の表面には酸化皮膜が存在する。しかし、本発明においては、接合面に凹凸が形成されているため、接合過程の加圧によって、凹凸の先端に応力が集中し、比較的低い加圧力によって、酸化皮膜を破壊すると共に、インサート材を突き破ることができる。したがって、半導体チップ等の半導体装置用部材へのダメージを与えることがない。

0045

また、共晶反応による液相が生じると、酸化皮膜が近傍の液相に取り込まれ、さらに酸化皮膜の破壊・分解が促進される。そして、共晶溶融が拡がっていくことによって、酸化皮膜の破壊が拡大・促進され、接合面の酸化皮膜が低温度(共晶温度)で除去されるので、ろう材層を介することなく、金属Aと金属Bとのダイレクトな接合が可能となる。したがって、融点の低いPbを含むはんだを用いずに、金属Aと金属Bとが直接接合され、強度が確保され、優れたPbフリーの接合部を備えた半導体装置を製造することができる。

0046

さらに、凹凸先端部の拡散防止層は、加圧力によって、インサート材中にめり込み相手側の拡散防止層を破ると共に凹部に押しやられ、凹凸先端に母材金属が現れ、金属A及び金属Bとインサート材とが接触する。そして、これらの金属が共晶反応する温度に加熱されることで、溶融し液相が生じる。また、凹凸底部の拡散防止層はそのまま残存し、相手側の残存する拡散防止層と共に、共晶反応生成物を囲んで母材金属中への拡散を防止する。
したがって、本発明の半導体装置の製造方法によれば、母材金属同士の直接接合部と、拡散防止層に囲まれた共晶反応物等を含む残留物から成る間接接合部とが、接合界面に断続的に存在している接合面が形成される。このような接合部を有する半導体装置は、高温下に保持した場合にも、脆い金属間化合物層やカーケンダルボイドを生成せず、高温耐久性を備える。

0047

本発明の半導体装置の製造方法を半導体装置用部材が半導体チップと絶縁性セラミック基板である場合を例にさらに詳細に説明する。
まず、図3に示すように、絶縁性セラミック基板2の配線金属2cと、半導体チップ3の金属接合部3cとの間にインサート材4を配置する。
このとき、配線金属2cの表面には、予め微細な凹凸Rが形成してあり、配線金属2cと金属接合部3cの表面には、拡散防止層2f、3fが形成されている。

0048

そして、半導体チップ3と絶縁性セラミック基板2を相対的に加圧し、インサート材4を介して密着させ、さらに加圧しながら加熱を開始する。
すると、インサート材と接触した凹凸の先端部とに局所的な応力がかかり、加圧力をさほど増すことなく、絶縁性セラミック基板の拡散防止層2fの先端部や、該拡散防止層表面に生じた酸化皮膜が機械的に破壊され、金属接合部2cの母材金属Bの新生面露出する。

0049

さらに、加圧加熱すると、凹凸の先端部はインサート材を突き破り、半導体チップ3の拡散防止層3fに達し、半導体チップ3の拡散防止層3fや拡散防止層表面に生じた酸化皮膜が破壊され、金属Aの新生面が露出する。

0050

そして、凹凸の先端部近傍から、金属接合部3cの金属Aとインサート材4との間、及び、金属接合部2cの金属Bとインサート材4との間で拡散が生じる。そして、共晶反応が発生する温度に到達することで、インサート材中の金属と、金属A及び金属Bとの間にそれぞれ共晶反応が生じ、共晶溶融相が発生する。
さらに、この共晶溶融範囲が接合界面に拡がっていくことにより、拡散防止層上に酸化皮膜が生じている場合は、酸化皮膜の欠片が共晶溶融相中に分散する。

0051

続く加圧によって、接合面に形成された凹凸に沿って、共晶反応溶融物が接合界面から排斥され、この液相中に分散されていた酸化皮膜の欠片もその大部分が共晶溶融物と共に接合界面から押し出され、金属A及び金属Bの新生面同士が接触して拡散反応が生じ、金属Aと金属Bが直接接合される。

0052

このとき、共晶反応生成物や酸化皮膜、インサート材に由来する金属などを含む微量の混合物等の残留物が、金属Aと金属Bとが直接接合された周囲の接合界面に残存することがある。すなわち、図4に示すように、母材金属Aと母材金属Bとが、接合界面の少なくとも一部において直接接合し、該直接接合部の周囲に、拡散防止層に囲まれた共晶反応物等を含む残留物を有する接合部が形成される。
しかし、本発明においては、上記残留物は拡散防止層によって囲まれるため、金属A及び金属B中に拡散することが防止される。そして、このような残存物は、電気伝導熱伝導に寄与することになる。
また、金属Aと金属Bとが直接接部が形成されている限り、強度上の問題となることはない。

0053

なお、図3においては、凹凸Rを絶縁性セラミック基板2の配線金属2cの側に形成した例を示したが、これに限定されることはなく、凹凸の形成位置については、半導体チップ3の接合面に形成する他、接合面の両方に設けることもできる。両面に凹凸Rを形成することによって、母材金属の新生面が露出し易くなると共に、共晶溶融物等を含む残留物を拡散防止層で囲みやすくなる。

0054

本発明の製造方法における半導体装置用部材の接合は、不活性ガス雰囲気で行うこともできるが、大気中でも何ら支障なく行うことができる。
もちろん、真空中で行うことも可能であるが、真空設備が必要となるばかりでなく、インサート材の溶融により真空計ゲートバルブを損傷する可能性があるので、大気中で行うことが設備面からもコスト的にも有利である。

0055

また、接合部を所定の温度範囲に加熱したり維持したりするための手段としては、特に限定されることはなく、例えば、高周波加熱赤外線加熱ヒータ加熱あるいはこれらを組み合わせた方法を採用することができる。また、治具によって加圧状態に固定し、治具と共にろう付け炉内に保持するといった方法を用いることも可能である。

0056

上記接合温度への昇温速度については、遅い場合には、界面が酸化されて溶融物の排出性が低下して、強度が低下する原因となることがあるため、速い方が望ましい。特に大気中の接合の場合には、この傾向がある。

0057

また、本発明の製造方法においては、接合部に凹凸Rが形成され、接合時の加圧力を低減することができることから、接合時の加圧力については、1MPa以上、30MPa以下とすることが好ましい。
1MPaに満たない場合は、酸化皮膜の破壊や、共晶反応物や酸化皮膜欠片を、接合面から十分排出できないことがあり、30MPaを超えると半導体装置用部材が損傷する可能性がある。

0058

また、接合条件、すなわち、加圧力、接合温度、微細凹凸形状、インサート材の成分、量などの調整により、凹凸構造の底部に残留する残存物を可及的に減らすことができ、断続的な接合を全面的な直接接合に近づけることもできる。

0059

<半導体装置>
本発明の半導体装置は、複数の半導体装置用部材が上記接合方法によって接合されたものであり、本発明の製造方法により製造された半導体装置の例の概略断面図を図5に示す。

0060

第1の実施形態として、図5(a)に示す半導体装置1は、冷却体(ヒートシンク)6上に、絶縁性セラミックス基板2の片面側に金属接合部(配線金属2c)を配置したバスバーが固定され、その配線金属2cに半導体チップ3が接合された構造を備えている。そして、上記半導体チップ3は、その接合面に金属接合部3cを備えており、金属接合部3cの母材金属と配線金属2cの母材金属とが上記した方法により直接接合された構造となっている。

0061

図5(b)に示す半導体装置1は、絶縁性セラミックス基板2の図中上側に半導体チップ3を有し、図中下面側に冷却体6を備える。
そして、絶縁性セラミックス基板2の上側では、絶縁性セラミックス基板2上に配置された金属接合部(配線金属2c)の母材金属と、半導体チップ3の金属接合部3cの母材金属とが上記した方法により直接接合された構造となっている。
また、絶縁性セラミックス基板2の下側では、絶縁性セラミックス基板2の裏面に配置された金属接合部(裏面金属5)の母材金属と、冷却体6の母材金属とが上記した方法により直接接合された構造となっている。

0062

図5(c)に示す半導体装置1は、図5(a)及び(b)が片側実装であったのに対し、両面実装タイプの半導体装置の例を示すものである。
両面に金属接合部3cを備えた半導体チップ3の上下に、絶縁性セラミックス基板2の片面側に金属接合部(配線金属2)を備えたバスバーが冷却体6と共に配置されている。
そして半導体チップ3の上下両面に備える金属接合部3cの母材金属とバスバーから成る金属接合部(配線金属2)の母材金属とが上記した方法により直接接合された構造となっている。

0063

第4の実施形態として、図5(d)に示す半導体装置1は、絶縁性セラミックス基板2の両面に配線金属2と、裏面金属5を備えたセラミックス基板2を用いた両面実装タイプのものである。
すなわち、セラミックス基板2の裏面側に配置した金属接合部(裏面金属5)と冷却体6とが本発明の方法によって接合されていること以外は、図5(c)に示した形態と実質的に同様の構造となっている。

0064

図6は、本発明の半導体装置の接合前の状態を示す概略断面図(但し、インサート材4は省略)であって、図に示す半導体チップ3は接合面に金属Aから成る金属層3cを備えている。なお、上記金属接合部3cは、図2に示したように、密着層3aやバリヤ層3bを介して形成することもできる。
一方、絶縁性セラミックス基板2は、図中上面側に金属Bから成る配線金属2cを備え、図中下面側に裏面金属5を備えており、これら配線金属2c及び裏面金属5の表面(半導体チップ3及び後述するベースプレート6との接合面)には凹凸Rが形成されている。

0065

ベースプレート(冷却体)6は、母材金属から成り、その裏面金属5との接合面には、同様に凹凸Rが形成されている。このとき、凹凸Rの形成は、裏面金属5及びベースプレート6のいずれか一方だけでもよい。
なお、上金属接合部記3c、配線金属2c、裏面金属5及びベースプレート6を構成する母材金属には、これらの間に介在させるインサート材4に含まれる金属の少なくとも1種、例えばZnが飽和するまで添加されることが好ましい。

0066

そして、上記半導体チップ3と絶縁性セラミック基板2の配線金属2cの間と、絶縁性セラミック基板2の裏面金属5とベースプレート6の間に、Znを含有するインサート材(図示せず)を介在させた状態で、これらを加圧すると共に、加熱することによって、これらの間が接合される。
こうして接合された半導体装置は、接合面に共晶反応物等の残留物が残存したとしても、また、高温環境に曝されたとしても、上記残留物は拡散防止層によって囲まれているため、残留物中に含まれる金属が母材金属中に拡散し、空隙が生じることによって、電気伝導性や熱伝導性が損なわれるという不具合を回避することができる。

0067

以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、文中の符号については、図に対応するものである。

0068

[実施例1]
<半導体チップ>
1.66×1.52×0.36mmのサイズのSiCダイオード(半導体チップ3)の裏面に、厚さ100nmのTi(密着層)、厚さ600nmのNi(バリア層)、厚さ400nmのAg(密着層)を蒸着により成膜した後、この成膜面上にアルミニウム(Al)をスパッタリングし厚さ6μmの金属接合部3cを形成した。
さらに、スパッタリングにより、厚さ5μmのニッケル(Ni)層を製膜し、拡散防止層3fを形成した。

0069

<絶縁性セラミックス基板>
AlNから成る厚さ0.64mmのセラミック基板2の両面に、純度99.99%の高純度アルミニウム(Al)から成る厚さ0.5mmの金属接合部(配線金属2c)と、
同じく高純度アルミニウム(Al)から成る厚さ0.5mmの金属接合部(裏面金属5)をそれぞれ形成した。
ダイヤモンド工具を用い、配線金属及び裏面金属の表面に切削加工を行い、ピッチ0.1mm、深さ0.1mmの一方向溝を形成した。
さらに、スパッタリングにより、厚さ5μmのニッケル(Ni)層を製膜し、配線金属と裏面金属の表面に拡散防止層を形成した。

0070

<ベースプレート>
工業用純アルミニウム(A1070)から成る板材(ベースプレート6)に、ダイヤモンド工具を用いて切削加工を行い、ピッチ0.1mm、深さ0.1mmの一方向溝を形成した。
さらに、スパッタリングにより、厚さ5μmのニッケル(Ni)層を製膜し、拡散防止層を形成した。

0071

<接合>
次に、半導体チップ3と絶縁性セラミックス基板2との接合面間、及び、絶縁性セラミックス基板2とベースプレート6との接合面間に、インサート材として、急冷単ロール法によって作製したZn−Al−Mg合金(Zn−Al(4.1%)−Mg(2.5%)、融点:352℃)から成る厚さ0.1mmの箔帯を、それぞれ挟んだ。
そして、赤外線加熱方式の拡散接合装置により、5MPaの加圧力の下で、400℃に1分間保持することによって、配線金属2と半導体チップ3の金属接合部3c及び裏面金属5とベースプレート6をそれぞれ接合して、実施例1の半導体装置を得た。

0072

[実施例2]
絶縁性セラミック基板の配線金属を厚さ0.5mmの無酸素銅(Cu)に替え、インサート材を急冷単ロール法によって作製したZn−Al−Cu合金(Zn−Al(4%)−Cu(2%)、融点:389℃)から成る厚さ0.1mmの箔帯に替え、さらに、加熱温度を420℃にする他は実施例1と同様にして、実施例2の半導体装置を得た。

0073

[実施例3]
絶縁性セラミック基板を以下のものに替え、加熱温度を460℃にする他は実施例1と同様にして、実施例3の半導体装置を得た。

0074

<絶縁性セラミックス基板>
SiNから成る厚さ0.64mmのセラミック基板2の一方の面に、厚さ0.5mmの無酸素銅(Cu)から成る配線金属2と、
同じく他方の面に厚さ0.5mmの無酸素銅(Cu)厚さ0.5mmの裏面金属5をそれぞれ形成した。
ダイヤモンド工具を用いて切削加工を行い、ピッチ0.1mm、深さ0.1mmの一方向溝を、配線金属及び裏面金属の表面に形成した。

0075

[実施例4]
拡散防止層を窒化タングステン(WN)に替える他は実施例1と同様にして、実施例4の半導体装置を得た。

0076

[比較例1]
拡散防止層を形成しない他は、実施例と同様にして、比較例1の半導体装置を得た。

0077

評価試験
上記実施例1〜4及び比較例1の半導体装置を、300℃に保持した恒温槽中に、それぞれ3000時間保持した後、下記方法によって、接合強度電気抵抗率及び熱伝導率を測定し、高温保持特性を評価した。

0078

<接合強度>
接合強度は、ダイシェア試験にて評価した。試験方法JEITA規格EIAJED−4703)に準じた方法で行い、目標強度は、IEC規格IEC60749−19)に基づき30MPa以上を接合強度(1)とした。

0079

<電気抵抗率>
接合界面から局所的に試験片切り出し、接合界面上下間の電気抵抗率を4端子法にて測定した。測定針を一方はチップ側の接合金属に、他方は接合を行った配線金属側に落とし、その間の電気抵抗を測定した。

0080

<熱伝導率>
接合界面から局所的に試験片を切り出し、レーザフラッシュ法にて熱伝導率を測定した。

実施例

0081

(a)電気抵抗率
比較例の場合、バリヤ層がないため恒温槽中での保持によりZnが配線金属のAl中に拡散し、その結果、凹部に空隙が増加するため、電気抵抗率は大きく増加しているが、実施例の場合は拡散が防止されるため、初期状態が保たれ、高純度アルミの高い電気伝導率が維持された。
(b)熱伝導率
比較例の場合、バリヤ層がないため恒温槽中での保持によりZnが配線金属のAl中に拡散し、その結果、凹部に空隙が増加するため、熱伝導率は大幅に低下しているが、実施例の場合は拡散が抑制されるため、初期状態が保たれ、高純度アルミの高い熱伝導率が維持された。

0082

1半導体装置
絶縁性セラミックス基材
2c金属接合部(配線金属)
2f拡散防止層
R凹凸
3半導体チップ
3a密着層
3bバリア層
3c 金属接合部
3f 拡散防止層
4インサート材
5裏面金属
6ベースプレート(冷却体)

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