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技術 イオンガン及びイオンミリング装置、イオンミリング方法

出願人 株式会社日立ハイテクノロジーズ
発明者 浅井健吾志知広康高須久幸岩谷徹
出願日 2014年7月30日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2014-154423
公開日 2016年3月7日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2016-031869
状態 特許登録済
技術分野 電子源、イオン源 電子顕微鏡1 荷電粒子線装置
主要キーワード 真空度変化 放出ステップ マスク端面 傷加工 アノード放電 冷却範囲 リデポジション ペニング放電
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

低い加速電圧において低いイオンビーム電流でかつビームを細く絞ることができるペニング放電方式のイオンガン、およびそれを有するイオンミリング装置イオンミリング方法を提供すること。

解決手段

イオンガンから試料照射されるイオンビームビームプロファイル半値幅を200μmから350μmまでの範囲に制御するイオンミリング装置であって、外部から供給されたガスイオン化してイオンビームを放出する前記イオンガンと、前記イオンガンに供給される前記ガスの流量を可変させるガス流量可変部と、前記イオンガンから放出されるイオンビームの電流値を測定する電流測定部と、を有し、前記ガス流量可変部は、前記ガス流量可変部にて定められる前記ガスの流量と前記電流測定部にて測定される前記電流値とに基づき、前記イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量に設定されることを特徴とするイオンミリング装置。

概要

背景

イオンミリング法は、加速したイオン試料衝突させて、イオンが原子分子をはじき飛ばすスパッタ現象を利用して、試料を削る加工法である。また加工される試料は、上面にイオンビーム遮蔽板となるマスクを載せ、マスク端面からの突出部分がスパッタされることで平滑な断面が加工できる。この方法は、金属、ガラスセラミック電子部品複合材料などを対象に用いられる。例えば電子部品においては、内部構造や断面形状、膜厚評価結晶状態故障異物断面の解析といった用途に用いられる。また走査型電子顕微鏡をはじめとした各種測定装置による形態像、試料組成像、チャネリング像の取得やX線分析結晶方位解析など取得するための断面試料作成方法として利用されている。

前記のようなイオンミリング装置においては、イオンガンとして単純な構成で小型なペニング放電方式のイオンガンが用いられているものがある。ペニング放電方式のイオンガンは、イオンビームのエネルギーが大きいことに起因する高いミリング速度が特長である。特許文献1には高いミリング速度を維持するためにイオンガンから放出されるイオンビームの電流値を常に最大値に保つ方式が記載されている。

概要

低い加速電圧において低いイオンビーム電流でかつビームを細く絞ることができるペニング放電方式のイオンガン、およびそれを有するイオンミリング装置・イオンミリング方法を提供すること。イオンガンから試料へ照射されるイオンビームのビームプロファイル半値幅を200μmから350μmまでの範囲に制御するイオンミリング装置であって、外部から供給されたガスイオン化してイオンビームを放出する前記イオンガンと、前記イオンガンに供給される前記ガスの流量を可変させるガス流量可変部と、前記イオンガンから放出されるイオンビームの電流値を測定する電流測定部と、を有し、前記ガス流量可変部は、前記ガス流量可変部にて定められる前記ガスの流量と前記電流測定部にて測定される前記電流値とに基づき、前記イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量に設定されることを特徴とするイオンミリング装置。

目的

本願発明はこれらにより得られた知見からなされたものであり、その目的は特に、低い加速電圧において簡便な方法でビームのスポット径を小さくすることが可能となることを特徴とするペニング放電方式もしくはそれに準ずる形状のイオンガン、およびそれを有するイオンミリング装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

イオンガンから試料照射されるイオンビームビームプロファイル半値幅を200μmから350μmまでの範囲に制御するイオンミリング装置であって、外部から供給されたガスイオン化してイオンビームを放出する前記イオンガンと、前記イオンガンに供給される前記ガスの流量を可変させるガス流量可変部と、前記イオンガンから放出されるイオンビームの電流値を測定する電流測定部と、を有し、前記ガス流量可変部は、前記ガス流量可変部にて定められる前記ガスの流量と前記電流測定部にて測定される前記電流値とに基づき、前記イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量に設定されることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項2

請求項1に記載のイオンミリング装置において、 前記イオンガンの加速電極には2kVから4kVまでの範囲の電圧印加されることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項3

請求項1に記載のイオンミリング装置において、加速電極の出口径が2mmφであることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項4

請求項1に記載のイオンミリング装置において、前記試料および試料台からの熱を冷却源に伝達する熱伝達部を備えることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項5

請求項1に記載のイオンミリング装置において、 前記ガスは不活性ガス及び反応性ガスから成る群から選択されることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項6

請求項1に記載のイオンミリング装置において、 前記ガスは、アルゴンであることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項7

請求項6に記載のイオンミリング装置において、前記アルゴンガスは、毎分0.3〜0.5立方センチメートルの流量で前記イオンガンに供給されることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項8

請求項6に記載のイオンミリング装置において、前記アルゴンガスは、毎分0.3立方センチメートル以上の流量で前記イオンガンに供給されることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項9

請求項1に記載のイオンミリング装置において、前記イオンガンはペニング放電方式であることを特徴とするイオンミリング装置。

請求項10

イオンビームによるビームプロファイルの半値幅を200μmから350μmまでの範囲に制御し試料を加工するイオンミリング方法であって、外部から供給されたガスをイオン化してイオンビームを放出する放出ステップと、イオンガンの加速電極に2kVから4kVまでの範囲の電圧が印加される印加ステップと、前記イオンガンに供給される前記ガスの流量を可変させる流量可変テップと、前記イオンガンから放出されるイオンビームの電流値を測定する測定ステップと、前記流量可変ステップにて定められる前記ガスの流量と前記測定ステップにて測定される前記電流値とに基づき、前記イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量に設定する設定ステップと、前記設定ステップにて設定された前記イオンビームを前記試料に照射する照射ステップと、を有するイオンミリング方法。

請求項11

請求項10に記載のイオンミリング方法において、 前記試料はCu-Zn系合金または鉛フリー半田、もしくは前記Cu-Zn系合金または鉛フリー半田よりも融点の低い材料であることを特徴とするイオンミリング方法。

請求項12

外部から供給されたガスをイオン化してイオンビームを放出するイオンガンと、前記外部から供給されたガスを前記イオンガンに供給されるガスの流量を変化させるガス流量可変部と、前記イオンガンから放出されるイオンビームの電流値を測定する電流測定部と、前記電流測定部と電気的に接続されたイオンビーム電流制御部と、前記ガス流量可変部と電気的に接続されたガス流量制御部と、を有するイオンミリング装置であって、前記イオンミリング装置は、前記電流測定部により計測されたイオンビーム電流値の測定データに基づき、前記ガス流量制御部へ前記イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量よりも多い流量を設定させ、前記イオンガンから試料へ照射されるイオンビームのビームプロファイルの半値幅を200μmから350μmまでの範囲に制御することを特徴とするイオンミリング装置。

技術分野

0001

本発明は、試料を作成するためのイオンガンおよびそれを有するイオンミリング装置イオンミリング方法に関する。

背景技術

0002

イオンミリング法は、加速したイオンを試料へ衝突させて、イオンが原子分子をはじき飛ばすスパッタ現象を利用して、試料を削る加工法である。また加工される試料は、上面にイオンビーム遮蔽板となるマスクを載せ、マスク端面からの突出部分がスパッタされることで平滑な断面が加工できる。この方法は、金属、ガラスセラミック電子部品複合材料などを対象に用いられる。例えば電子部品においては、内部構造や断面形状、膜厚評価結晶状態故障異物断面の解析といった用途に用いられる。また走査型電子顕微鏡をはじめとした各種測定装置による形態像、試料組成像、チャネリング像の取得やX線分析結晶方位解析など取得するための断面試料作成方法として利用されている。

0003

前記のようなイオンミリング装置においては、イオンガンとして単純な構成で小型なペニング放電方式のイオンガンが用いられているものがある。ペニング放電方式のイオンガンは、イオンビームのエネルギーが大きいことに起因する高いミリング速度が特長である。特許文献1には高いミリング速度を維持するためにイオンガンから放出されるイオンビームの電流値を常に最大値に保つ方式が記載されている。

先行技術

0004

特開2007−48588号
特表2013−524467号
特開2012−156077号

発明が解決しようとする課題

0005

ペニング放電方式のイオンガンを搭載したイオンミリング装置はイオンビームのエネルギーが比較的大きい。このため高い加速電圧の条件下では大きなミリング速度を実現するため非常に有用である。そのため特許文献1のように、イオンガンから放出されるイオンビームの電流値は常に最大値に保つことが望ましく、イオンビーム電流値が加工中に低下する原因が、加工中の真空度変化に起因するものであることを開示し、加工中に電流値が最大となるガス圧が得られるように真空度変化を想定したガス流量を予め設定する加工方法が開示されている。このようにペニング放電方式のイオンガンでは従来から高いイオンビーム電流が要求されている。

0006

なお、特許文献2の図3には、ガス流量とイオンビーム電流値の関係が開示されており、ガス流量を想定値から増加させていくと、次第にイオンビーム電流値が低下することが開示されている。しかしながら、特許文献2の目的は高いイオンビーム電流値を確保することであるので、この低いイオンビーム電流値の領域を利用することに関する一切の言及はない。

0007

一方で、融点が低い材料を加工する場合には、イオンビームのエネルギーによる熱の蓄積が原因となって、試料断面ダメージが発生することが懸念されている。近年、有機ELなどの電子デバイス分野においても有機高分子材料活用が進んでおり、試料の熱ダメージを抑えるのに有効な低加速電圧での加工のニーズが高まっている。また、電子電気機器端子コネクタなどに使用されるCu-Zn系合金や、鉛フリー半田など、またはこれらの材料よりも融点の低い材料の加工においても熱ダメージにより試料損傷が課題となっている。

0008

特許文献2には低い加速電圧を使用することにより試料損傷を最小限に抑えることができることが開示されているが、ペニング放電方式のイオンガンにおいて低い加速電圧では、試料上のスポットサイズが増大することも開示されている。

0009

発明者が本点を検討した結果、ペニング放電方式のイオンガンでは、カソード加速電極出口孔の間には電位差が生じているため、その空間にはレンズが構成されている。レンズの強度はカソードと加速電極出口孔の電位差に比例するため、加速電圧が高いほどレンズ強度が大きくなり、ビームが小さく絞られることになる。しかしながら、低い加速電圧ではレンズ効果が弱いため、イオンビームは広がり、試料上のスポット径が大きくなるという課題があることが判明した。

0010

特許文献3では低加速電圧でのイオンビーム電流の制御が容易なイオンガンとしてホローアノード放電方式のイオンガンが開示されている。しかしながら、ホローアノード放電方式のイオンガンでは高い加速電圧においてペニング放電方式のイオンガンに比べて加工速度が著しく低いことが特許文献3にも示されている。低い加速電圧の硬においてホローアノード放電方式のイオンガンを適用した場合には、高いミリング速度との両立ができないという課題がある。

0011

このような点を課題として認識し、本願発明者は実験を繰り返し行った。本願発明はこれらにより得られた知見からなされたものであり、その目的は特に、低い加速電圧において簡便な方法でビームのスポット径を小さくすることが可能となることを特徴とするペニング放電方式もしくはそれに準ずる形状のイオンガン、およびそれを有するイオンミリング装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明に掛かるイオンガンおよびそれを有するイオンミリング装置、イオンミリング方法は、前記目的を達成するため、具体的な一態様として、イオンガンから試料へ照射されるイオンビームのビームプロファイル半値幅を200μmから350μmまでの範囲に制御するイオンミリング装置であって、外部から供給されたガスイオン化してイオンビームを放出する前記イオンガンと、前記イオンガンに供給される前記ガスの流量を可変させるガス流量可変部と、前記イオンガンから放出されるイオンビームの電流値を測定する電流測定部と、を有し、前記ガス流量可変部は、前記ガス流量可変部にて定められる前記ガスの流量と前記電流測定部にて測定される前記電流値とに基づき、前記イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量に設定されることを特徴とする。

0013

また、他の具体的な一態様として、本発明に掛かるイオンガンおよびそれを有するイオンミリング装置、イオンミリング方法は、イオンビームによるビームプロファイルの半値幅を200μmから350μmまでの範囲に制御し試料を加工するイオンミリング方法であって、外部から供給されたガスをイオン化してイオンビームを放出する放出ステップと、イオンガンの加速電極に2kVから4kVまでの範囲の電圧印加される印加ステップと、前記イオンガンに供給される前記ガスの流量を可変させる流量可変テップと、前記イオンガンから放出されるイオンビームの電流値を測定する測定ステップと、前記流量可変ステップにて定められる前記ガスの流量と前記測定ステップにて測定される前記電流値とに基づき、前記イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量に設定する設定ステップと、前記設定ステップにて設定された前記イオンビームを前記試料に照射する照射ステップと、を有する。

0014

また、他の具体的な一態様として、本発明に掛かるイオンガンおよびそれを有するイオンミリング装置、イオンミリング方法は、外部から供給されたガスをイオン化してイオンビームを放出するイオンガンと、前記外部から供給されたガスを前記イオンガンに供給されるガスの流量を変化させるガス流量可変部と、前記イオンガンから放出されるイオンビームの電流値を測定する電流測定部と、前記電流測定部と電気的に接続されたイオンビーム電流制御部と、前記ガス流量可変部と電気的に接続されたガス流量制御部と、を有するイオンミリング装置であって、前記イオンミリング装置は、前記電流測定部により計測されたイオンビーム電流値の測定データに基づき、前記ガス流量制御部へ前記イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量よりも多い流量を設定させ、前記イオンガンから試料へ照射されるイオンビームのビームプロファイルの半値幅を200μmから350μmまでの範囲に制御することを特徴とする。

発明の効果

0015

本発明においては、低加速電圧において簡便な方法でイオンビームを細く絞ることができる。これにより、試料に対する熱ダメージを低減することができる。

図面の簡単な説明

0016

本発明のイオンミリング加工装置の構成を示す説明図である。
本発明のイオンガンと関連する周辺部の構成を示す断面図の一例である。
イオンビーム電流が最大値となるように設定する従来条件のペニング放電方式のイオンガンの加速電圧とスポット深さの関係を示す説明図の一例である。
本発明のイオンミリング加工装置における動作を説明するガス流量とイオンビーム電流の関係を示す説明図の一例である。
本発明の効果を示す説明図の一例である。
本発明の別の効果を示す説明図の一例である。
本発明のスポット深さを示す説明図の一例である。
本発明の別の動作を説明するガス流量とイオンビーム電流の関係を示す説明図の一例である。
本発明の別のスポット深さを示す説明図の一例である。
本発明のイオンミリング加工装置の構成を示す説明図の他の一例である。
本発明のイオンミリング加工装置の構成を示す説明図の他の一例である。

実施例

0017

本願発明者は実験を繰り返し行うことにより、イオンガンのイオン化室内に供給されるガス流量を制御することでイオンビームのビームプロファイルが制御可能なことを見出した。特にイオンビーム電流が最大値となるガス流量を計測し、ガス流量をイオンビーム電流が最大値となる流量値よりも多い流量に設定することにより、イオンビームによるビームプロファイルを制御し、ビームプロファイルの半値幅を200μmから350μmの範囲まで小径化することを可能であることを見出した。また本発明によれば、イオンビームのプロファイルが小径化するにしたがって、イオンビーム電流値も低減されるため、熱ダメージの低減に大きく寄与できることも確認された。

0018

これにより、低加速電圧において簡便な方法でイオンビームを細く絞ることができるペニング放電方式のイオンガンおよびそれを有するイオンミリング装置、イオンミリング方法を提供することができる。特に本発明によれば、加速電圧とアルゴンガス流量の設定により所望のイオンビーム電流値とイオンビーム形状とミリング速度を任意に選択することができるため、冷却機構と組み合わせたミリング装置において冷却源冷却性能を有効に活用できるため、熱ダメージの小さなミリング加工として効果が高い。これは特に、Cu-Zn合金や、鉛フリー半田、有機高分子材料のイオンミリング加工において非常に有用である。

0019

以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。

0020

図1は本発明のイオンミリング加工装置の構成を示す説明図である。ペニング放電方式、もしくはそれに準ずる形状のイオンガン1は、その内部にイオンを発生するために必要な構成要素が配置され、イオンビーム2を試料6に照射するための照射系を形成する。ガス源41はガス流量可変部40を介してイオンガン1に接続され、ガス流量可変部40により制御されたガス流量がイオンガン1のイオン化室内に供給される。イオンビーム2の照射とそのイオンビーム電流は、イオンガン制御部3によって制御される。イオンビーム2のイオンビーム電流は、電流測定部50によって測定される。

0021

電流測定子52はイオンビームのシャッタ役割も兼ねており、電流測定子駆動部51により稼動する機構を有する。真空チャンバー4は、真空排気系5によって大気圧または真空に制御される。試料6は試料台7の上に保持され、試料台7は試料ステージ8によって保持されている。試料ステージ8は、真空チャンバー4が大気開放したときに真空チャンバー4の外へ引き出すことができ、また試料6をイオンビーム2の光軸に対して任意の角度に傾斜させることができるための機構要素をすべて含んでいる。試料ステージ駆動部9は、試料ステージ8を左右へスイングすることができ、その速度を制御することができる。

0022

図2は、本発明のイオンガンと関連する周辺部の構成を示す断面図の一例である。イオンガン1はイオンガン内部にガスを供給するガス流量可変部40と、アノード13と、カソード11とカソード12と、永久磁石14と、加速電極15と、インシュレータ16により構成され、イオンガンベース17に固定される。イオンガン制御部3は放電電源21と加速電源22に電気的に接続されており、放電電圧と加速電圧を制御している。

0023

このようなペニング放電方式のイオンガンでは、カソード12と加速電極出口孔33の間には電位差が生じるため、その空間にはレンズが構成される。レンズの強度はカソード12と加速電極出口孔33の電位差に比例するため、加速電圧が高いほどレンズ強度が大きくなり、ビームが絞られる。ただし、低い加速電圧ではレンズ効果が弱くなるため、ビームの広がりが顕著になり、試料上のスポット径が大きくなる。

0024

図3は、イオンビーム電流が最大値となるように設定する従来条件のペニング放電方式のイオンガンの加速電圧とスポット深さの関係を示す説明図の一例である。加速電圧6kVで加工した場合のビームプロファイルに比べて、加速電圧4kVで加工したビームプロファイルはビーム痕の深さが浅くなる一方、イオンビームのスポットサイズが増大する。このため低損傷加工を目的に低加速電圧を選択したにもかかわらず、試料上の熱拡散の影響は大きくなることがわかる。

0025

本願発明者は、ペニング放電方式のイオンガンにおいて低い加速電圧であってもイオンビームのスポットサイズが増大せず、ビームスポットの小径化が可能なイオンミリング加工を目的として実験を繰り返し行い、イオンガン1のイオン化室内18に供給されるガス流量を制御することでイオンビームプロファイルが制御できることを見出した。特にイオンビーム電流の最大値が得られるガス流量を計測し、イオンビーム電流が最大となるガス流量よりも多いガス流量に設定することで、ビームプロファイルの半値幅が200μmから350μmまでの範囲にイオンビームを小径化することが可能であることを見出した。

0026

図4は、本発明のイオンミリング加工装置における動作を説明するガス流量とイオンビーム電流の関係を示す説明図の一例である。ここで実験に適用したイオンガン1の構成は、アノード内径31が8mmφ、アノード出口孔32は4mmφ、カソード出口孔33は4mmφ、加速電極出口孔34は2mmφである。放電電源21の印加電圧は1.5kV、加速電源22の印加電圧は4kVとし、イオンガン1のイオン化室18内に供給されるガス源41はアルゴンである。被加工材にはシリコンを用い、ミリング時間は1時間に設定した。

0027

図4からイオンガン1に導入されるガス流量を増加させることによりイオンビーム電流が変化し、実験に適用したイオンガン構成においては、アルゴンガス流量が0から0.2cm3/分までの範囲ではイオンビーム電流が増大する傾向を示し、アルゴンガス流量が0.2から1.0cm3/分までの範囲ではイオンビーム電流が減少していく傾向を示す。またアルゴンガス流量が0から0.3cm3/分までの範囲ではイオンビーム電流値が大きくばらつき非常に不安定な領域となる。このイオンビーム電流が不安定となる領域は、加速電圧4kVで放出されるイオンビームが、カソード出口孔33と加速電極出口孔34の間に生じる電位差が小さいため、レンズ効果が弱くイオンビームが広がり、加速電極出口孔34の2mmφを通過できず加速電極出口孔34の周辺部分に衝突している影響である。

0028

この現象はイオンビーム電流の不安定化ばかりでなく、加速電極に付着するリポジションや加速電極出口孔の変形、リデポジションによる汚染などの悪影響が生じることになる。図4の結果からアルゴンガス流量を増加させることにより、イオンビームが加速電極出口孔34の周辺部分に衝突する影響が排除され、安定したイオンビーム電流値が得られていることが分かる。

0029

図5に本発明におけるアルゴンガス流量とイオンビームプロファイルの半値幅の関係の一例を示す。図5は、アルゴンガス流量が0.3cm3/分の条件ではビームプロファイルの半値幅が350μm、アルゴンガス流量が0.5cm3/分の条件ではビームプロファイルの半値幅が250μm、アルゴンガス流量が0.65cm3/分の条件でビームプロファイルの半値幅が200μm以下と、アルゴンガス流量を増大させることでイオンビームが小径化していくことを示している。

0030

また、図6に本発明におけるアルゴンガス流量とイオンミリング速度の関係の一例を示す。図6は、アルゴンガス流量が0.3cm3/分の条件ではイオンミリング速度が毎時90μm、アルゴンガス流量が0.9cm3/分の条件ではイオンミリング速度が毎時70μmと低下する傾向は見られるがその減少率はそれほど大きくはなく、ミリング対象物によっては実用十分なミリング速度を有することを示している。

0031

図7は本発明におけるスポット深さを示す説明図の一例である。ここでは加速電圧条件は4kVであり、被加工材料にはシリコンを用い、ミリング時間を1時間に設定した場合のビームプロファイルである。従来例として示したものはアルゴンガス流量が0.07cm3/分の場合であり、実施例として示したものはアルゴンガス流量が0.9cm3/分の場合である。本発明によれば従来例と比較してイオンビームプロファイルの半値幅が約40%に低減されている。イオンビームの深さ、すなわちミリング速度はほぼ同等である。

0032

0033

表1に、加速電圧4kVの条件でシリコンを1時間ミリング加工した場合の好ましいパラメータ範囲、より好ましいパラメータ範囲及び設定例の一覧を示す。好ましい範囲としては、ガス流量は0.3cm3/分以上とし、このとき真空チャンバー4内の圧力は6.0×10−2Pa以上となり、得られるイオンビーム電流値は85μA以下、イオンビームスポットの半値幅は370μm以下、ビームスポット深さは90μm以下である。

0034

より好ましい範囲としては、ガス流量は0.6cm3/分以上とし、このときの真空チャンバー4内の圧力は1.4×10−1Pa以上となり、得られるイオンビーム電流値は55μA以下、イオンビームスポットの半値幅は230μm以下、ビームスポット深さは75μm以下である。設定例として抽出したのは、ガス流量は0.9cm3/分とし、このときの真空チャンバー4内の圧力は2.0×10−1Paとなり、得られるイオンビーム電流値は45μA、イオンビームスポットの半値幅は190μm、ビームスポット深さは75μmである。表1に示したように加速電圧とアルゴンガス流量の設定によりイオンビーム電流値とイオンビーム形状とミリング速度を任意に選択することができることがわかる。

0035

図8は本発明における動作を説明するためのガス流量とイオンビーム電流の関係を示す説明図の一例である。ここで実験に適用したイオンガン1の構成は、アノード内径31が8mmφ、アノード出口孔32は4mmφ、カソード出口孔33は4mmφ、加速電極出口孔34は2mmφである。放電電源21の印加電圧は1.5kV、加速電源22の印加電圧は3kVとし、イオンガン1のイオン化室18内に供給されるガス源41はアルゴンである。被加工材にはシリコンを用い、ミリング時間は1時間に設定した。

0036

図6からイオンガン1に導入されるガス流量を増加させることによりイオンビーム電流が変化し、実験に適用したイオンガン構成においては、アルゴンガス流量が0から0.35cm3/分までの範囲ではイオンビーム電流が増大する傾向を示し、アルゴンガス流量が0.35から1.0cm3/分までの範囲ではイオンビーム電流が減少していく傾向を示す。またアルゴンガス流量が0から0.35cm3/分までの範囲ではイオンビーム電流値が大きくばらつき非常に不安定な領域となる。

0037

このイオンビーム電流が不安定となる領域は、加速電圧3kVで放出されるイオンビームが、カソード出口孔33と加速電極出口孔34の間に生じる電位差がより小さいため、レンズ効果が弱くイオンビームがさらに広がり、加速電極出口孔34の2mmφを通過できず加速電極出口孔34の周辺部分に衝突している影響である。この現象はイオンビーム電流の不安定化ばかりでなく、加速電極に付着するリポジションや加速電極出口孔の変形、リデポジションによる汚染などの悪影響が生じることになる。図8の結果からアルゴンガス流量を増加させることにより、イオンビームが加速電極出口孔34の周辺部分に衝突する影響が排除され、安定したイオンビーム電流値が得られていることが分かる。

0038

図9は本発明におけるスポット深さを示す説明図の一例である。ここでは加速電圧条件は3kVであり、被加工材料にはシリコンを用い、ミリング時間を1時間に設定した場合のビームプロファイルである。従来例として示したものはアルゴンガス流量が0.07cm3/分の場合であり、実施例として示したものはアルゴンガス流量が0.9cm3/分の場合である。本発明によれば従来例と比較してイオンビームプロファイルの半値幅が約30%に低減されている。イオンビームの深さ、すなわちミリング速度はほぼ同等である。

0039

0040

表2に、加速電圧3kVの条件でシリコンを1時間ミリング加工した場合の好ましいパラメータ範囲、より好ましいパラメータ範囲及び設定例の一覧を示す。好ましい範囲としては、ガス流量は0.3cm3/分以上とし、このとき真空チャンバー4内の圧力は6.0×10−2Pa以上となり、得られるイオンビーム電流値は65μA以下、イオンビームスポットの半値幅は330μm以下、ビームスポット深さは40μm以下である。

0041

より好ましい範囲としては、ガス流量は0.6cm3/分以上とし、このときの真空チャンバー4内の圧力は1.4×10−1Pa以上となり、得られるイオンビーム電流値は45μA以下、イオンビームスポットの半値幅は300μm以下、ビームスポット深さは30μm以下である。設定例として抽出したのは、ガス流量は0.9cm3/分とし、このときの真空チャンバー4内の圧力は2.0×10−1Paとなり、得られるイオンビーム電流値は35μA、イオンビームスポットの半値幅は195μm、ビームスポット深さは30μmである。

0042

表2に示したように加速電圧とアルゴンガス流量の設定によりイオンビーム電流値とイオンビーム形状とミリング速度を任意に選択することができることがわかる。上記のような構成によれば、イオンビームプロファイルが任意に制御できるため、ミリング対象物の材料特性に合わせて条件を選定することで低い加速電圧の条件でのイオン電流の安定した制御が容易であり、加速電極に付着するリデポジションや加速電極出口孔の変形、リデポジションによる加速電極の汚染を抑えて、安定したイオン電流を得ることができるイオンガンを備えたイオンミリング装置を実現できる。

0043

図10は本発明のイオンミリング加工装置の構成を示す説明図の他の一例である。図1で示した装置構成に、試料冷却を目的とした試料ステージ冷却部70を付加したイオンミリング装置であって、真空チャンバー4の大気側に冷却源72と冷却制御部73とを配置して、真空チャンバー4内の発熱源である試料6および試料台7とを、熱伝達部71にて接続した試料ステージ冷却部70を備えたイオンミリング装置である。

0044

熱伝達部71に樹脂チューブの内部にイオン液体充填した金属性網線を、冷却源72に液体窒素デュワーを適用し、試料6および試料台7に接続された場合には、試料の冷却範囲は装置の構成上700μmφが限界となる。このため、図3に示したようにイオンビーム電流が最大値となるように設定する従来条件のペニング放電方式のイオンガンのビームプロファイルではビームスポット領域が大きくなりすぎるため、試料6を十分に冷却することができず、試料の熱破損(熱ダメージ)が回避できない。

0045

本発明によれば、表1及び表2に示したように加速電圧とアルゴンガス流量の設定により所望のイオンビーム電流値とイオンビーム形状とミリング速度を任意に選択することができる。このため、装置の冷却性能とミリング対象物の材料特性を考慮して最適なイオンビーム電流とイオンビームプロファイルを有するイオンミリング加工との組み合わせの選択が可能となる。ここでは試料ステージ冷却部70の代表例として前記の構成を例示したが、試料ステージ冷却部70が他の構成による場合であっても、本発明を適用することができる。

0046

このように冷却源の冷却性能を有効に活用できるイオンビームを任意に形成できることを示し、イオンビーム電流値の増減も含めた選択をすることが可能となり、より大きな冷却効果が期待できる。イオンミリング速度が大きく低下しないことから、特に今まで熱ダメージ低減のためミリング速度を落とさざるを得なかったミリング対象物に対して、実用十分なミリング速度を実現できることを示している。このように本発明は、試料の冷却を目的として試料ステージ冷却部を備えたイオンミリング装置と組み合わせることにより、低熱ダメージミリング装置として、より大きな効果を得ることができる。

0047

図11は本発明のイオンミリング加工装置の構成を示す説明図の他の一例である。中央制御部80は少なくともガス流量制御部81とイオンビーム電流制御部82を備え、少なくとも電流測定部50とガス流量可変部40に電気的に接続されている。電流測定部50に配置されている電流測定子52は電流測定子駆動部51によりイオンビーム2の軸上へ配置、及びイオンビーム2の軸上から退避する機構を有する。電流測定子52が電流測定子駆動部51によりイオンビーム2の軸上への配置されている場合に、電流測定部50の出力が中央制御部80に送られ、中央制御部80はイオンビーム電流制御部82によりイオンビーム電流値をモニターする。さらに中央制御部80はガス流量制御部81によりガス流量可変部40を駆動させ、イオンガン1のイオン化室18に供給するガス流量を変動させる。このとき中央制御部80は電流測定部50による計測されたイオンビーム電流値のばらつきをモニターし、図4図8に示した測定データを自動的に取得する。中央制御部80は測定データからばらつきのない安定したイオンビームが取得できるガス流量を自動的に設定することで安定したイオンミリング加工を行うことができる。

0048

1イオンガン
2イオンビーム
3 イオンガン制御部
4真空チャンバー
5真空排気系
6試料
7試料台
8試料ステージ
9 試料ステージ駆動部
11カソード
12 カソード
13アノード
14永久磁石
15加速電極
16インシュレータ
17 イオンガンベース
18イオン化室
21放電電源
22加速電源
31アノード内径
32アノード出口孔
33カソード出口孔
34 加速電極出口孔
40ガス流量可変部
41ガス源
50電流測定部
51電流測定子駆動部
52 電流測定子
70 試料ステージ冷却部
71熱伝達部
72冷却源
73冷却制御部
80中央制御部
81ガス流量制御部
82イオンビーム電流制御部

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