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技術 電極およびその製造方法

出願人 株式会社コベルコ科研株式会社神戸製鋼所
発明者 奥野博行志田陽子後藤裕史越智元隆
出願日 2014年7月30日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2014-155459
公開日 2016年3月7日 (5年4ヶ月経過) 公開番号 2016-031748
状態 特許登録済
技術分野 位置入力装置 非絶縁導体 電線ケーブルの製造(1)
主要キーワード 窒素層 接触感度 基板上側 配線用膜 ものさし 酸化銅皮膜 円形プレート 合金窒化物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月7日)のものです。
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図面 (6)

課題

静電容量方式タッチパネルセンサーなどに代表される入力装置に好ましく用いられる電極であって、ブラックマトリックスとの色度反射率輝度)の差が小さく、電極が視認されず、反射率が低い新規な電極;およびその製造方法を提供する。

解決手段

基板上に形成される電極であって、基板側から順に、Al膜またはAl合金膜からなる第1層と、10〜13原子%のCuを含むAl−Cu合金の窒化膜ならなる第2層と、透明導電膜からなる第3層の積層構造を有する。上記電極は、Yxy表色系における色度座標(x、y)が、0.19≦x≦0.32、且つ0.19≦y≦0.32を満たし、刺激値Yが8以下を満足する。

概要

背景

タッチパネルセンサーは、液晶表示装置有機EL装置などの表示装置表示画面上に入力装置として貼り合わせて使用される。タッチパネルセンサーは、その使い勝手の良さから、銀行ATM券売機カーナビ、PDA(Personal Digital Assistants、個人用携帯情報端末)、コピー機の操作画面などに使用されており、近年では携帯電話タブレットPCに至るまで幅広く使用されている。その入力ポイント検出方式には、抵抗膜方式静電容量方式光学式超音波表面弾性波方式、圧電式等が挙げられる。これらのうち、携帯電話やタブレットPCには、静電容量方式が、応答性が良くコストがかからず構造が単純である等の理由から好適に用いられている。

静電容量方式のタッチパネルセンサーは、一例として、ガラス基板などの透明基板上に、二方向の透明電極が直交して配置され、その表面に保護ガラスなどのカバー絶縁体)が被覆された構造を有している。上記構成のタッチパネルセンサーの表面を指やペン等でタッチすると、両透明電極間の静電容量が変化するため、当該静電容量を介して流れる電流量の変化をセンサー感知することにより、タッチされた箇所を把握することができる。

上記構成のタッチパネルセンサーに用いられる透明基板として、タッチパネルセンサー専用の基板を用いても良いが、表示装置に用いられる透明基板を用いることもできる。具体的には、例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板や、有機EL装置に用いられるガラス基板などが挙げられる。このような表示装置用透明基板の使用により、タッチパネルセンサーに要求される特性(例えば、ディスプレイコントラスト比の向上、輝度の向上、スマートフォンなどの薄型化など)に対応可能となる。

最近では、上記透明電極を用いた場合の接触感度向上やノイズ低減のために、電極として、低抵抗金属電極の使用が検討されている。

しかし、金属は反射性、且つ遮光性である。そのため、金属からなる金属電極は反射率が高く、使用者肉眼見える(視認される)ため、コントラスト比が低下するという問題がある。そのため、金属電極を用いる場合には、金属膜黒色化処理を施して反射率を低減させるなどの方法が採用されている。

例えば特許文献1には、銅配線の視認される側に黒色酸化銅皮膜を有するタッチパネルが開示されている。ここでは、専用のアルカリ薬液を用いて針状結晶の酸化銅皮膜に変化させる黒化処理を行っているため、酸化の進行を均一且つ再現良く制御することが難しいという問題がある。

また、特許文献2には、従来の黒化処理とは異なり、金属配線部を酸化させることなく低反射処理を施すことができる技術として、金属配線部に黒色の有機顔料または無機顔料などの微粒子を含む低反射層を有する金属電極を備えたタッチパネルセンサーが開示されている。しかし、上記特許文献2では、金属電極膜形成プロセスに加え、インクジェット法を用いて上記低反射層を形成するため、プロセスが煩雑になるうえ、重ね合せ精度の問題や微細化が困難といった問題がある。

ところでタッチパネルセンサー基板には、遮光膜としてブラックマトリックスが形成されている。ブラックマトリックスは、センサー基板に対向するカバーガラスカバーフィルム上に形成されており、画素間の光漏れによるコントラストおよび色純度の低下を防止する役割を有している。具体的には、タッチパネルセンサーのブラックマトリックスと筐体の色調を合わせることが必要となり、ブラックマトリックスの反射色調が無彩色から青みの色調となるように調整することが求められている(例えば特許文献3および特許文献4)。

概要

静電容量方式のタッチパネルセンサーなどに代表される入力装置に好ましく用いられる電極であって、ブラックマトリックスとの色度や反射率(輝度)の差が小さく、電極が視認されず、反射率が低い新規な電極;およびその製造方法を提供する。基板上に形成される電極であって、基板側から順に、Al膜またはAl合金膜からなる第1層と、10〜13原子%のCuを含むAl−Cu合金の窒化膜ならなる第2層と、透明導電膜からなる第3層の積層構造を有する。上記電極は、Yxy表色系における色度座標(x、y)が、0.19≦x≦0.32、且つ0.19≦y≦0.32を満たし、刺激値Yが8以下を満足する。

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、好ましくは静電容量方式のタッチパネルセンサーなどに代表される入力装置に用いられる電極であって、ブラックマトリックスとの色度や反射率(輝度)の差が小さく、電極が視認されず、反射率が低い新規な電極;およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基板上に形成される電極であって、基板側から順に、Al膜またはAl合金膜からなる第1層と、10〜13原子%のCuを含むAl−Cu合金の窒化膜ならなる第2層と、透明導電膜からなる第3層の積層構造を有する電極。

請求項2

Yxy表色系における色度座標(x、y)が、0.19≦x≦0.32、且つ0.19≦y≦0.32を満たし、刺激値Yが8以下である請求項1に記載の電極。

請求項3

基板上に形成される電極であって、基板側から順に、Al膜またはAl合金膜からなる第1層と、10〜12原子%のCuを含むAl−Cu合金の窒化膜ならなる第2層と、透明導電膜からなる第3層の積層構造を有する電極。

請求項4

Yxy表色系における色度座標(x、y)が、0.22≦x≦0.32、且つ0.22≦y≦0.32を満たし、刺激値Yが8以下である請求項3に記載の電極。

請求項5

前記第3層は、InとSnを少なくとも含む酸化物からなる透明導電膜、またはInとZnを少なくとも含む酸化物からなる透明導電膜である請求項1〜4のいずれかに記載の電極。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の電極を有する入力装置

請求項7

請求項1〜5のいずれかに記載の電極を有するタッチパネルセンサー

請求項8

請求項1〜5のいずれかに記載の電極を構成する第2層の成膜に用いられるスパッタリングターゲットであって、10〜13原子%のCuを含み、残部:Alおよび不可避的不純物であるスパッタリングターゲット。

請求項9

請求項1〜5のいずれかに記載の電極を製造する方法であって、窒素ガスを含む反応性スパッタリング法によって前記第2層を成膜する電極の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、入力装置などに用いられる電極、およびその製造方法に関する。以下では、入力装置の代表例としてタッチパネルセンサーを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。

背景技術

0002

タッチパネルセンサーは、液晶表示装置有機EL装置などの表示装置表示画面上に入力装置として貼り合わせて使用される。タッチパネルセンサーは、その使い勝手の良さから、銀行ATM券売機カーナビ、PDA(Personal Digital Assistants、個人用携帯情報端末)、コピー機の操作画面などに使用されており、近年では携帯電話タブレットPCに至るまで幅広く使用されている。その入力ポイント検出方式には、抵抗膜方式静電容量方式光学式超音波表面弾性波方式、圧電式等が挙げられる。これらのうち、携帯電話やタブレットPCには、静電容量方式が、応答性が良くコストがかからず構造が単純である等の理由から好適に用いられている。

0003

静電容量方式のタッチパネルセンサーは、一例として、ガラス基板などの透明基板上に、二方向の透明電極が直交して配置され、その表面に保護ガラスなどのカバー絶縁体)が被覆された構造を有している。上記構成のタッチパネルセンサーの表面を指やペン等でタッチすると、両透明電極間の静電容量が変化するため、当該静電容量を介して流れる電流量の変化をセンサー感知することにより、タッチされた箇所を把握することができる。

0004

上記構成のタッチパネルセンサーに用いられる透明基板として、タッチパネルセンサー専用の基板を用いても良いが、表示装置に用いられる透明基板を用いることもできる。具体的には、例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板や、有機EL装置に用いられるガラス基板などが挙げられる。このような表示装置用透明基板の使用により、タッチパネルセンサーに要求される特性(例えば、ディスプレイコントラスト比の向上、輝度の向上、スマートフォンなどの薄型化など)に対応可能となる。

0005

最近では、上記透明電極を用いた場合の接触感度向上やノイズ低減のために、電極として、低抵抗金属電極の使用が検討されている。

0006

しかし、金属は反射性、且つ遮光性である。そのため、金属からなる金属電極は反射率が高く、使用者肉眼見える(視認される)ため、コントラスト比が低下するという問題がある。そのため、金属電極を用いる場合には、金属膜黒色化処理を施して反射率を低減させるなどの方法が採用されている。

0007

例えば特許文献1には、銅配線の視認される側に黒色酸化銅皮膜を有するタッチパネルが開示されている。ここでは、専用のアルカリ薬液を用いて針状結晶の酸化銅皮膜に変化させる黒化処理を行っているため、酸化の進行を均一且つ再現良く制御することが難しいという問題がある。

0008

また、特許文献2には、従来の黒化処理とは異なり、金属配線部を酸化させることなく低反射処理を施すことができる技術として、金属配線部に黒色の有機顔料または無機顔料などの微粒子を含む低反射層を有する金属電極を備えたタッチパネルセンサーが開示されている。しかし、上記特許文献2では、金属電極膜形成プロセスに加え、インクジェット法を用いて上記低反射層を形成するため、プロセスが煩雑になるうえ、重ね合せ精度の問題や微細化が困難といった問題がある。

0009

ところでタッチパネルセンサー基板には、遮光膜としてブラックマトリックスが形成されている。ブラックマトリックスは、センサー基板に対向するカバーガラスカバーフィルム上に形成されており、画素間の光漏れによるコントラストおよび色純度の低下を防止する役割を有している。具体的には、タッチパネルセンサーのブラックマトリックスと筐体の色調を合わせることが必要となり、ブラックマトリックスの反射色調が無彩色から青みの色調となるように調整することが求められている(例えば特許文献3および特許文献4)。

先行技術

0010

特開2013−206315号公報
特開2013−235315号公報
特開2013−205474号公報
特許第5099094号公報

発明が解決しようとする課題

0011

タッチパネルセンサーの電極には、従来、ITOなどの透明導電膜が使用されていたため、当該電極とブラックマトリックスとの色度の差は問題にならなかった。ところが透明導電膜は抵抗が高いため、タッチパネルの大型化や感度向上に対するニーズ応えるためには不十分であった。そこで透明導電膜の替わりに、抵抗の低い金属膜を電極として用いることが考えられる。しかし、金属膜をそのまま電極として使用すると、上述したように金属は反射率が高く、色度も制御されていないため、周囲のブラックマトリックスとの色度や反射率(輝度)の差が大きく、電極が視認されてディスプレイの表示性能を低下させるという問題があった。

0012

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、好ましくは静電容量方式のタッチパネルセンサーなどに代表される入力装置に用いられる電極であって、ブラックマトリックスとの色度や反射率(輝度)の差が小さく、電極が視認されず、反射率が低い新規な電極;およびその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

上記課題を解決し得た本発明の電極は、基板上に形成される電極であって、基板側から順に、Al膜またはAl合金膜からなる第1層と、10〜13原子%のCuを含むAl−Cu合金の窒化膜ならなる第2層と、透明導電膜からなる第3層の積層構造を有するところに要旨を有する。

0014

本発明の好ましい実施形態において、上記電極は、Yxy表色系における色度座標(x、y)が、0.19≦x≦0.32、且つ0.19≦y≦0.32を満たし、刺激値Yが8以下である。

0015

上記課題を解決し得た本発明の他の電極は、基板上に形成される電極であって、基板側から順に、Al膜またはAl合金膜からなる第1層と、10〜12原子%のCuを含むAl−Cu合金の窒化膜ならなる第2層と、透明導電膜からなる第3層の積層構造を有するところに要旨を有する。

0016

本発明の好ましい実施形態において、上記電極は、Yxy表色系における色度座標(x、y)が、0.22≦x≦0.32、且つ0.22≦y≦0.32を満たし、刺激値Yが8以下である。

0017

本発明の好ましい実施形態において、上記第3層は、InとSnを少なくとも含む酸化物からなる透明導電膜、またはInとZnを少なくとも含む酸化物からなる透明導電膜である。

0018

本発明には、上記のいずれかに記載の電極を有する入力装置も含まれる。

0019

本発明には、上記のいずれかに記載の電極を有するタッチパネルセンサーも含まれる。

0020

本発明には、上記のいずれかに記載の電極を構成する第2層の成膜に用いられるスパッタリングターゲットであって、10〜13原子%のCuを含み、残部:Alおよび不可避的不純物であるスパッタリングターゲットも含まれる。

0021

本発明には、上記のいずれかに記載の電極を製造する方法であって、窒素ガスを含む反応性スパッタリング法によって上記第2層を成膜するところに要旨を有する。

発明の効果

0022

本発明に係る積層構造の電極は、第2層が所定量のCuを含むAl−Cu合金の窒化膜で構成されているため、ブラックマトリックスとの色度や反射率(輝度)の差が小さく、電極が視認されず、反射率が低い新規な電極を提供することができる。よって、上記積層構造の本発明電極を、入力装置用電極として用いれば、金属膜単独では不可能であった低反射率と、所定の色度を兼ね備えた電極を備えた入力装置が得られる。

図面の簡単な説明

0023

図1は、一般的な液晶表示装置の構成を模式的に示す概略断面図である。
図2は、静電容量型のタッチパネルにおける入力装置の一例を示す概略平面図である。
図3は、前記図2点線A1−A1における断面構造の一例を示す概略断面図である。
図4は、本発明の電極の一実施態様に係る電極を示す概略断面図である。
図5は、色度座標x、yと色調との関係を示す図である。

0024

まずタッチパネル構造における液晶表示装置部分について説明する。尚、以下ではディスプレイ、即ち表示装置として液晶表示装置を例に挙げるが、本発明はこれに限定されず、その他の表示装置として例えば有機EL装置等にも適用できる。

0025

図1は、一般的な液晶表示装置の構成を模式的に示す概略断面図である。図1に示す液晶表示装置は、TFT基板を有している。TFT基板は、例えば、アレイ基板である。TFT基板には、対向基板が対向して配置されている。対向基板は、例えば、透明基板であり、視認される側に配置される。対向基板には、カラーフィルタ、ブラックマトリックス(BM)、透明基板が形成される。TFT基板と対向基板との間には液晶が導入された液晶層が狭持され、液晶層は封止材によって封止される。更に、対向基板の外側の面には、図示しないが偏光板及び位相差板等が設けられる。また、液晶表示パネルの反視認側には、図示しないがバックライトユニット等が配設される。

0026

本発明の電極を含む入力装置、特にタッチパネルセンサーは、上記液晶表示装置の透明基板の上方、即ち、操作面側に配置される。

0027

図2は、静電容量型のタッチパネルにおける入力装置の好ましい一実施形態を示す概略平面図である。図2に示す入力装置は、配線格子形状となっている。詳細には、透明基板の上部に、行ごとにX方向に配される駆動用の複数の金属電極と;列ごとにY方向に配される検出用の複数の金属電極と;が設けられる。検出用電極駆動用電極は、それぞれ異なる層に設けられており、絶縁層により互いに絶縁される。

0028

図2の構成では、駆動用電極への電圧印加により、駆動用電極と検出用電極の間に生じるキャパシタンスの変化によって、ユーザのタッチ位置を検出する。

0029

本構成は、抵抗の小さい金属電極を検出用電極および駆動用電極として用いることから、それぞれの電極を幅の狭い配線として形成することが可能である。そのためアクティブエリア透過率を十分高くすることができる特徴を有する。

0030

前記図2の点線A1−A1における断面構造の好ましい一実施形態として、図3の構造が挙げられる。図3は、図2の入力装置を、図1に示す液晶表示装置の透明基板に搭載した構造の一例を示す概略断面図である。

0031

図3に示されるように、透明基板の上部には、行ごとにX方向に配される複数の第1の金属電極が、同一の層に配置される。さらに列ごとにY方向に配される複数の第2の金属電極が、第1の金属電極とは異なる層に配置される。この複数の第1の金属電極と第2の金属電極は、表示装置の視認性を低下させないために、ブラックマトリックスの直上に配置することが好ましい。複数の第1の金属電極の間、複数の第2の金属電極の間、および、第1の金属電極と第2の金属電極との間には、第1の絶縁層、第2の絶縁層が配置される。絶縁層には、例えば公知の透光性絶縁樹脂などを用いることができる。

0032

前記図3において、第1の金属電極や第2の金属電極として、本発明の電極を好適に用いることができる。以下では、前記図3の第1の金属電極を例として、その好ましい具体例を図4に示しながら、本発明の電極の好ましい実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の電極はこれらの図に限定されない。尚、図4では、基板を透明基板としている。基板は特に限定されない意図である。液晶表示装置に適用する場合は、透明基板としてCF基板を用いるが、本発明の電極を有機EL表示装置に用いる場合は、CF基板は不要な場合が多く、カバーガラスのようなガラス基板等の透明基板を用いることができる。本発明に用いられる基板の種類は後に詳述する。

0033

図4は、本発明の電極の好ましい一実施形態を示す概略断面図である。図4において電極は、基板上側から順に、Al膜またはAl合金膜からなる第1層、一部が窒化しているAl−(10〜13原子%)Cu合金からなる第2層、そして透明導電膜からなる第3層が少なくとも形成されている。上記積層構造において、第1層は電極に用いられる配線用膜として作用し、第2層および第3層は光学調整層として作用する。

0034

以下では、前記の第1層、第2層および第3層の各層について詳述する。まずは第1層について説明する。

0035

本発明に用いられる第1層は、Al膜またはAl合金膜(以下、Al/Al合金膜と略記する場合がある。)で構成される。

0036

電極層として用いられる上記第1層のAl合金膜は、合金成分として、高融点金属元素希土類金属元素の少なくとも一種以上を含有することが好ましい。これにより、熱凝集抑制効果が発揮される。ここで、高融点金属元素は、Mo、Ti、Ta、W、Cr、Mnなどの融点が1200℃以上の金属を意味する。また、希土類金属元素とは、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)およびSc(スカンジウム)とY(イットリウム)を含む意味である。

0037

上記第1層の膜厚は、積層構造としたときのシート抵抗値所定範囲まで下げるため、50nm以上であることが好ましい。第1層の膜厚が50nmを下回ると、所望とするシート抵抗値を得ることが難しい。より好ましくは100nm以上である。しかし、上記第1層の膜厚が400nmを超えると、リン酢酸エッチング液によるウェットエッチング加工性や製造性が低下する虞があるため、第1層の膜厚を400nm以下とすることが好ましい。より好ましくは300nm以下である。

0038

本発明に用いられる第2層は、Alと、10〜13原子%または10〜12原子%のCuを含むAl合金の一部が窒化(以下、Al−Cu合金−N層と略記する場合がある)している層である。本発明のように所定量のCuを含むAl−Cu合金は、電極の色度を適切に制御できるため、非常に有用である。特に上記第2層は、色度座標x、yの制御に有効であり、これにより、ブラックマトリックスの式目とほぼ同等の式目が得られる。これに対し、Cu量が本発明の範囲を外れるAl−Cu合金−N層を第2層として用いた積層構造では、後記する実施例の欄に示すように色度座標x、yの少なくとも一方が適切でなく、入力装置用電極として適切でない。

0039

本明細書において「その一部が窒化されている」とは、所望の効果が有効に発揮されるよう、上記Al合金中に少なくとも窒素を含有していれば良く、必ずしも、化学量論組成満足する窒化物である必要はない。例えば、上記Al−Cu合金の窒化物をAl−Cu−Nyで表した場合、yは約0.1〜0.95であっても良い。

0040

また、上記第2層中の窒素含有量やAl合金中のCu含有量は、第2層内の膜厚方向において、一定であっても良いし、変化しても良い(すなわち、濃度分布を有していても良い)。本発明において、上記第2層は積層構造の光学調整としての役割を担っており、所望とする色度座標(x、y)および刺激値Yを有する限り、第2層中の窒素含有量や合金元素分布は問わない。

0041

本発明に用いられる第3層は透明導電膜で構成される。上記第3層は、前述した第2層と合わせて、本願発明に係る積層構造の光学調整層として有効に作用する層である。特に第3層は、刺激値Yの制御に有効であり、第3層の設置により、Y値を低く制御し得、低反射率を実現することができる。上記透明導電膜としては、本発明の技術分野において通常用いられるものであれば特に限定されないが、InとSnを少なくとも含む酸化物からなる透明導電膜、またはInとZnを少なくとも含む酸化物からなる透明導電膜、例えば、ITO(In−Sn−O)、IZO(In−Zn−O)などが、好ましく用いられる。

0042

本発明に用いられる基板は、本発明の技術分野に通常用いられ、透明性を有するものであれば特に限定されず、例えば、カラーフィルタ基板やカバーガラスを構成する、ガラス基板、フィルム基板プラスチック基板石英基板などが挙げられる。

0043

上述した積層構造を有する本発明の電極は、電極とブラックマトリックスとの色度や反射率(輝度)の差が小さくなるように適切に制御されている。具体的には、上記第2層がAl−(10〜13原子%)Cu合金−N層からなる場合、Yxy表色系における色度座標(x、y)は0.19≦x≦0.32、且つ0.19≦y≦0.32を満たし、刺激値Yは8以下を満足する。また、上記第2層がAl−(10〜12原子%)Cu合金−N層からなる場合、Yxy表色系における色度座標(x、y)は0.22≦x≦0.32、且つ0.22≦y≦0.32を満たし、刺激値Yは8以下を満足する。

0044

Yxy表色系は、標準表色系として承認された色のものさしであり、JIS Z8110の参考図で示されるxy色度図と、原刺激混色量(刺激値とも呼ばれる)Yを組み合わせたYxyの三要素で表される。xyで色相彩度の情報、Yが明度情報Yに対応する。参考のため、図5に上記色度座標x、yと色調との関係を示す。x軸は数値が大きくなる程、赤みの比率増し、数値が小さくなる程、青みの比率が増す。一方、色度座標のy軸は数値が大きくなる程、緑みの比率が増し、数値が小さくなる程、青みの比率が増す。

0045

ここで上記色度座標(x、y)の範囲は、前述した特許文献3に記載の「無彩色から青みの色調」、および特許文献4に記載の「無彩色或いは準無彩色の色調」を考慮し、樹脂系ブラックマトリックスと同等の色目とするとの観点から、決定されたものである。無彩色および準無彩色の定義は前述した特許文献4に記載されており、無彩色とは、標準C光源からの光がブラックマトリックスを透過あるいは反射した後に有する色度座標x、yがJIS Z8110の参考図で示される色度図上での白色の範囲;主に、[x=0.27、y=0.27]〜[x=0.37、y=0.37]の略楕円状の領域にあるものをいう。また、準無彩色とは、上記色度座標x、yがJIS Z8110の参考図で示される色度図上での紫みの白、青みの白、緑みのあるいは黄みの白の範囲;主に、[x=0.22、y=0.22]〜[x=0.42、y=0.42]の略楕円状の領域からピンクを除いた領域)にあることをいう。本発明では、前述した特許文献3におけるタッチパネル用基板のブラックマトリックスにおいて、青みの反射色特性が規定されていることも案して、色度座標x、yの下限を0.19まで広げることにした。また、色度座標x、yの上限は、一般的な樹脂系ブラックマトリックスと同等の色目とするとの観点から、0.32に制限した。

0046

色度座標x、yの下限および上限を、一般的な樹脂系ブラックマトリックスと同等の色目とするとの観点からすると、色度座標x、yは0.22≦x≦0.32、且つ0.22≦y≦0.32を満たすことが好ましい。これに対し、色度座標x、yが0.19≦x≦0.22、且つ0.19≦y≦0.22を満たすものは、一般的な樹脂系ブラックマトリックスより青みを帯びているが、色差色度差)が小さいため、本発明で許容される範囲である。

0047

また、刺激値Yは、上述したように明度に関する指標であり、反射率を考慮して決定されたものである。好ましくはYは5以下である。

0048

本発明の電極は、所望とする低反射率の更なる向上、および色度の制御を目的として、或いは、他の特性向上を目的として、公知の膜を介在させることもできる。以下に、五層構造からなる本発明電極の、好ましい実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されない。

0049

以上、本発明の電極について詳述した。

0050

本明細書において「電極」は電極形状に加工する前の配線も含む。上述したように本発明の電極は、低いシート抵抗と低い反射率を兼ね備えているため、入力装置の入力領域に用いられる電極のみならず、当該電極を延長してパネル外周部の配線領域にも適用可能である。

0051

前述した図4では、検出用電極および駆動電極を金属電極により形成し、入力装置を液晶のカラーフィルタとカバーガラスの間に形成する、いわゆるオンセル型構造に適用する例を示し、その構成を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。

0052

本発明の電極は、例えば液晶表示装置内、例えばTFT基板と透明基板の間に入力装置の電極を組み込んだいわゆるインセル型構造に適用することも可能である。

0053

また本発明の電極が適用される入力装置には、タッチパネルなどのように表示装置に入力手段を備えた入力装置;タッチパッドのような表示装置を有さない入力装置の両方が含まれる。具体的には上記各種表示装置と位置入力手段を組み合わせ、画面上の表示を押すことで機器を操作する入力装置や、位置入力手段上の入力位置に対応して別途設置されている表示装置を操作する入力装置の電極にも本発明の電極を用いることができる。上記入力装置には、本発明の電極に加えて、上記に例示した通り、透明基板、透明電極、接着層、絶縁膜等が含まれうるが、これらは、タッチパネルやタッチパッド等で用いられているものを採用することができる。

0054

次に、本発明の電極を製造する方法について説明する。以下では前述した図4の積層構造を例に製造方法を説明する。

0055

上述した積層構造を有する電極を製造するに当たっては、細線化膜内の合金成分の均一化、更には添加元素量の制御のし易さなどの観点から、スパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法にて成膜することが好ましい。

0056

特に本発明の電極を特徴付ける第2層を構成するAl−Cu合金−N層を成膜するには、例えば、Alスパッタリングターゲットと所望の添加元素を含むスパッタリングターゲットのコスパッタ法;Alスパッタリングターゲット上に所望の元素を含む金属チップチップオンして成膜する方法などが挙げられる。或いは、所望の組成になるよう合金ターゲットを用いてもよい。

0057

生産性および膜質制御などの観点を考慮すると、窒素ガスを含む反応性スパッタリング法を採用することが好ましい。すなわち、本発明に係る電極の製造方法は、窒素ガスを含む反応性スパッタリング法によって上記第2層を構成するAl−Cu合金−N層を成膜するところに特徴がある。

0058

上記第2層を成膜するための反応性スパッタリング法の条件は、例えば、導入したい窒素層などに応じて適切に制御すれば良いが、以下のように制御することが好ましい。
基板温度:室温〜400℃
成膜温度:室温〜400℃
雰囲気ガス:窒素ガス、Arガス
・成膜時の窒素ガス流量:Arガスの5〜50%
スパッタパワー:100〜500W
到達真空度:1×10-6Torr以下

0059

使用するスパッタリングターゲットは、成膜したい第2層に対応するAlまたはAl合金のスパッタリングターゲットを用いれば良い。Al−X合金−N層を成膜する場合、使用するスパッタリングターゲットとして、成膜したい第2層を構成する金属元素を含む複数のスパッタリングターゲットを用いてもよい。スパッタリングターゲットの形状は特に限定されず、スパッタリング装置の形状や構造に応じて任意の形状(角型プレート状、円形プレート状、ドーナツプレート状、円筒状など)に加工したものを用いることができる。

0060

但し、第2層の成膜方法は上記方法に限定されない。例えば、予め窒化処理された、Al窒化物またはAl合金窒化物のスパッタリングターゲットを用い、Ar等の希ガス元素のみを含む雰囲気(窒素ガスの導入なし)でスパッタリングし、所望とする第2層を成膜しても良い。

0061

本発明は上記第2層の成膜方法に特徴があり、それ以外の各層の成膜方法は、本発明の技術分野において通常用いられる方法を適宜採用することができる。

0062

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。

0063

本実施例では、透明基板側から順に、表1に記載の第1層、第2層(Al−Cu合金−N層)および第3層を積層させた三層構造積層膜試料を作製した後、CIE国際照明委員会:Commission Internationale d‘Eclairage)のCIEYxy表色系にて色度x、y、Yを測定した。

0064

(1)試料の作製
(1−1)第1層の成膜
まず、透明基板として無アルカリ硝子板板厚0.7mm、直径4インチ)を用い、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、表1に示す第1層を成膜した。成膜に当たっては、成膜前にチャンバー内の雰囲気を一旦、到達真空度:3×10-6Torrに調整してから、上記金属膜と同一の成分組成を有する直径4インチの円盤型スパッタリングターゲットを用い、下記条件でスパッタリングを行った。
スパッタリング条件
・Arガス圧:2mTorr
・Arガス流量:30sccm
・スパッタパワー:500W
・基板温度:室温
・成膜温度:室温
・第1層の膜厚:250nm

0065

(1−2)第2層の成膜
第2層が表1に記載の組成となるよう、所望組成のAl−Cu合金ターゲットを用い、以下の条件で、窒素との反応性スパッタリング法による成膜を行なった。
反応性スパッタリング条件)
・Ar+N2ガス圧:2mTorr
・Arガス流量:10sccm
・N2ガス流量:5sccm
・スパッタパワー:500W
・基板温度:室温
・成膜温度:室温
・第2層の膜厚:50nm

0066

(1−3)第3層の成膜
上記のようにして第2層のAl−Cu合金−N層を成膜した後、引き続き、その表面に、DCマグネトロンスパッタリング法により、下記のスパッタリング条件で、透明導電膜としてIZO膜またはITO膜(第3層)を成膜した。透明導電膜の成膜に当たっては、成膜前にチャンバー内の雰囲気を一旦、到達真空度:3×10-6Torrに調整してから、透明導電膜と同一組成IZOスパッタリングターゲットまたはITOスパッタリングターゲット(直径4インチの円盤型)を用いた。
(スパッタリング条件)
・ガス圧:2mTorr
・Arガス流量:18sccm
・O2ガス流量:1sccm
・スパッタパワー:250W
・基板温度:室温
・成膜温度:室温
・第3層の膜厚:50nm

0067

このようにして得られた積層膜の色度を以下のようにして測定した。

0068

(1)積層膜の色度x、y、Yの測定
上記の方法で得られた積層膜の反射率について、日本分光社製V−570分光光度計を用い、360〜800nmの可視光領域での絶対反射率を測定して求めた。このようにして得られた絶対反射率をもとに、前述したCIEYxy表色系にて、色度x、yと刺激値Yを算出した。本実施例では、下記◎または〇を合格(色度が適切に制御されている)と評価した。
・◎:色度(x,y)が0.22≦x≦0.32、且つ0.22≦y≦0.32を満たし、刺激値Yが8以下であるもの
・〇:色度(x,y)が0.19≦x≦0.22、且つ0.19≦y≦0.22を満たし、刺激値Yが8以下であるもの

0069

これらの結果を表1に併記する。

0070

0071

No.3〜5、8〜11はいずれも、本発明の要件を満足する本発明例であり、色度(x,y)および刺激値Yの両方が適切な範囲を満たしている。

0072

これに対し、以下の例は本発明の要件を満足しない比較例であり、本発明の電極としては適さない。

0073

まず、No.1は第2層中のCu含有量が7原子%と少ない例、No.6は第2層中のCu含有量が14原子%と多い例であり、いずれもyが適切な下限値を下回り、青色が強くなった。

0074

また、No.2は第2層中のCu含有量が9原子%と少ない例、No.7は第2層中のCu含有量が17原子%と多い例であり、いずれも、x、y共に適切な下限を下回り、やはり青色が強くなった。

0075

また、No.12は、第2層中のCu含有量が7原子%と少なく、且つ、第3層を有しない比較例である。色度x、yは適切な範囲に制御されているが、刺激値Yが適切な上限(8以下)を大きく外れてしまい、反射率が高く、本発明の電極としては適さないことがわかる。

実施例

0076

No.13は、第3層を有しない比較例である。色度x、yは適切な範囲に制御されているが、刺激値Yが適切な上限(8以下)を大きく外れてしまい、反射率が高く、本発明の電極としては適さないことがわかる。

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