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技術 硬化性樹脂組成物およびそれを用いた補強構造物

出願人 積水化学工業株式会社
発明者 吉田博次中尾亮介安井香織有光晃二
出願日 2014年7月30日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-155075
公開日 2016年3月7日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-030821
状態 特許登録済
技術分野 ポリエーテル 重合方法(一般) 既存建築物への作業 型の被覆による成形、強化プラスチック成形 高分子組成物 エポキシ樹脂 プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし)
主要キーワード 表面温度測定器 丸ドット 硬化応力 車両構造部材 押抜き 補強設計 ポリパラフェニレンベンズオキサゾール ドロマイト石灰
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月7日)のものです。
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図面 (2)

課題

解決手段

ビスフェノールA型エポキシ化合物及びビスフェノールF型エポキシ化合物から選ばれる主成分と、脂環式エポキシ化合物ビニルエーテル化合物及びオキセタン化合物から選ばれる副成分とを含むカチオン重合性化合物と、式(I)で表されるスルホニウム化合物とを含む硬化性樹脂組成物。(R1はC1−4のアルキル;R2〜R’’2、R3は各々独立にH又はC1−4のアルキル;R4はC1−4のアルキル又はフェニル;X−は超強酸アニオン

概要

背景

エポキシ樹脂は、その硬化物が、機械的特性電気的特性熱的特性耐薬品性接着性等の性能に優れるため、非常に幅広い用途に利用されている。たとえば、電気電子用の絶縁材、接着剤土木建築用等の塗装剤パテ車両構造部材用等の強化繊維複合体のマトリックス樹脂等の用途が挙げられる。

たとえば、特開2006−274148号公報(特許文献1)には、特定構造オキセタン樹脂と、ルイス酸ヨードニウム塩および/またはルイス酸のスルホニウム塩と、エポキシ樹脂および/または他のオキセタン樹脂とを含む繊維強化複合材料用カチオン硬化性樹脂組成物が開示されている。

特開2006−70164号公報(特許文献2)には、カチオン重合性化合物と、特定構造のヨードニウム塩と、特定構造の増感剤とを含み、ヨードニウム塩の配合量がカチオン重合性化合物に対して0.01〜20重量%であり、ヨードニウム塩と増感剤とのモル比が5/1〜0.2/1の割合であることを特徴とする可視光硬化性繊維強化複合材料用樹脂組成物が開示されている。

特開2011−79989号公報(特許文献3)には、分子内に2個のシクロヘキセンオキシドを有する脂環式エポキシ化合物と、特定構造の変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂とを含み、脂環式エポキシ化合物の含有量が、脂環式エポキシ化合物と変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂との合計を100質量%とした際の25〜90質量%であることを特徴とする連鎖硬化性樹脂組成物が開示されている。

特開2006−232972号公報(特許文献4)には、オキセタン化合物を5〜100質量%含むカチオン重合性化合物と、カチオン重合開始剤と、特定構造の酸増殖剤とを含む硬化性樹脂組成物が開示されている。

特開2008−38082号公報(特許文献5)には、エポキシ樹脂、酸無水物、および、イミダゾール誘導体を含む引き抜き成型用エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂が、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を全エポキシ樹脂100重量部中に60〜100重量部含むエポキシ樹脂であり、イミダゾール誘導体が、1位に置換基を有するイミダゾール誘導体を含むイミダゾール誘導体であることを特徴とする引き抜き成形品用エポキシ樹脂組成物が開示されている。

概要

セメント構造物補強材料に有用な新規の硬化性樹脂組成物の提供。ビスフェノールA型エポキシ化合物及びビスフェノールF型エポキシ化合物から選ばれる主成分と、脂環式エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物及びオキセタン化合物から選ばれる副成分とを含むカチオン重合性化合物と、式(I)で表されるスルホニウム化合物とを含む硬化性樹脂組成物。(R1はC1−4のアルキル;R2〜R’’2、R3は各々独立にH又はC1−4のアルキル;R4はC1−4のアルキル又はフェニル;X−は超強酸アニオン

目的

本発明の目的は、セメント系構造物および管路の補強材料に有用な新規の硬化性樹脂組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ビスフェノールA型エポキシ化合物およびビスフェノールF型エポキシ化合物からなる群から選ばれる主成分と、脂環式エポキシ化合物ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物からなる群から選ばれる副成分とを含むカチオン重合性化合物と、下記一般式(I):(式中、R1は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R2,R2’,R2’’は、互いに同じまたは異なっていてよい、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R3は、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R4は、炭素数1以上4以下のアルキル基または置換されていてよいフェニル基を表し、X−は、ハメット酸度関数が−12以下の超強酸アニオンを表す。)で表される、熱酸発生剤またはエネルギー線酸発生剤であるスルホニウム化合物と、を含む硬化性樹脂組成物

請求項2

前記スルホニウム化合物の含有量が、前記カチオン重合性化合物100重量部に対して0.01重量部以上10重量部以下である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項3

前記カチオン重合性化合物に対して、前記主成分の含有量が50重量%以上90重量%以下であり、前記副成分の含有量が10重量%以上50重量%以下である、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項4

光酸発生剤をさらに含み、前記スルホニウム化合物が、前記光酸発生剤の活性化により誘導されるフロンタル重合系を構築可能である、請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。

請求項5

請求項1から4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化体

請求項6

請求項1から4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物と、補強材とを含む樹脂複合体

請求項7

前記補強材が炭素繊維である、請求項6に記載の樹脂複合体。

請求項8

請求項6または7に記載の樹脂複合体の硬化体と、前記硬化体が表面に固着されたセメント系構造物とを含む、補強セメント系構造物。

請求項9

請求項6または7に記載の樹脂複合体の硬化体と、前記硬化体が内表面に固着された配管とを含む、補強配管。

技術分野

0001

本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。より具体的には、本発明は、土木建築用途および管路更生用途に適した硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、当該硬化性樹脂組成物を用いた補強構造物に関する。より具体的には、本発明は、補強セメント系構造物及び補強配管に関する。

背景技術

0002

エポキシ樹脂は、その硬化物が、機械的特性電気的特性熱的特性耐薬品性接着性等の性能に優れるため、非常に幅広い用途に利用されている。たとえば、電気電子用の絶縁材、接着剤、土木建築用等の塗装剤パテ車両構造部材用等の強化繊維複合体のマトリックス樹脂等の用途が挙げられる。

0003

たとえば、特開2006−274148号公報(特許文献1)には、特定構造オキセタン樹脂と、ルイス酸ヨードニウム塩および/またはルイス酸のスルホニウム塩と、エポキシ樹脂および/または他のオキセタン樹脂とを含む繊維強化複合材料用カチオン硬化性樹脂組成物が開示されている。

0004

特開2006−70164号公報(特許文献2)には、カチオン重合性化合物と、特定構造のヨードニウム塩と、特定構造の増感剤とを含み、ヨードニウム塩の配合量がカチオン重合性化合物に対して0.01〜20重量%であり、ヨードニウム塩と増感剤とのモル比が5/1〜0.2/1の割合であることを特徴とする可視光硬化性繊維強化複合材料用樹脂組成物が開示されている。

0005

特開2011−79989号公報(特許文献3)には、分子内に2個のシクロヘキセンオキシドを有する脂環式エポキシ化合物と、特定構造の変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂とを含み、脂環式エポキシ化合物の含有量が、脂環式エポキシ化合物と変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂との合計を100質量%とした際の25〜90質量%であることを特徴とする連鎖硬化性樹脂組成物が開示されている。

0006

特開2006−232972号公報(特許文献4)には、オキセタン化合物を5〜100質量%含むカチオン重合性化合物と、カチオン重合開始剤と、特定構造の酸増殖剤とを含む硬化性樹脂組成物が開示されている。

0007

特開2008−38082号公報(特許文献5)には、エポキシ樹脂、酸無水物、および、イミダゾール誘導体を含む引き抜き成型用エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂が、25℃における粘度が3000mPa・s以下の2官能エポキシ樹脂を全エポキシ樹脂100重量部中に60〜100重量部含むエポキシ樹脂であり、イミダゾール誘導体が、1位に置換基を有するイミダゾール誘導体を含むイミダゾール誘導体であることを特徴とする引き抜き成形品用エポキシ樹脂組成物が開示されている。

先行技術

0008

特開2006−274148号公報
特開2006−70164号公報
特開2011−79989号公報
特開2006−232972号公報
特開2008−38082号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の目的は、セメント系構造物および管路の補強材料に有用な新規の硬化性樹脂組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、以下の発明を含む。
(1)
本発明の硬化性樹脂組成物は、ビスフェノールA型エポキシ化合物およびビスフェノールF型エポキシ化合物からなる群から選ばれる主成分と、脂環式エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物からなる群から選ばれる副成分とを含むカチオン重合性化合物と、下記一般式(I):

0011

0012

(式中、R1は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R2,R2’,R2’’は、互いに同じまたは異なっていてよい、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R3は、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R4は、炭素数1以上4以下のアルキル基または置換されていてよいフェニル基を表し、X−は、ハメット酸度関数が−12以下の超強酸アニオンを表す。)
で表される、熱酸発生剤またはエネルギー線酸発生剤であるスルホニウム化合物とを含む。

0013

上記式(I)で表されるスルホニウム化合物は、熱またはエネルギー線により高効率で酸を発生させることができるため、セメント系構造物および管路の補強材料に有用な硬化性樹脂組成物となる。
なお、上記(1)において主成分とは、カチオン重合性化合物の50重量%超を占める成分をいう。また、上記(1)において熱酸発生剤またはエネルギー線酸発生剤とは、熱またはエネルギー線をトリガとして超強酸を発生させる物質であり、酸をトリガとして自己触媒的に分解し、酸濃度非線形的に増大させる酸増殖剤とは異なる。

0014

上記式(I)において、R4は、置換されていてよいフェニル基であってよく、この場合、当該置換されていてよいフェニル基の置換基は、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルキル基、水酸基、または炭素数1以上4以下のアルキルカルボロキシ基であってよい。
この場合、スルホニル化合物活性エネルギー線による酸発生剤として特に有用である。

0015

(2)
スルホニウム化合物の含有量は、前記カチオン重合性化合物100重量部に対して0.01重量部以上10重量部以下であることが好ましい。
この場合、スルホニウム化合物による酸発生効率向上の効果を好ましく享受することができる。つまり、0.01重量部以上であることによって、適切な硬化速度を得ることができ、10重量部以下であることによって、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性に優れ、硬化速度の過剰促進による残留応力の発生および過加熱による樹脂劣化を好ましく防ぐことができる。

0016

(3)
カチオン重合性化合物に対して、主成分の含有量が50重量%超90重量%以下であり、副成分の含有量が10重量%以上50重量%未満であることが好ましい。

0017

主成分の含有量が50%超、副成分の含有量が50重量%未満であることによって、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性に優れ、硬化速度の過剰促進による残留応力の発生および過加熱による樹脂劣化を好ましく防ぐことができる。主成分の含有量が90重量%以下、副成分の含有量が10重量%以上であることにより、適切な硬化速度を得ることができる。

0018

(4)
本発明の硬化性樹脂組成物は、光酸発生剤をさらに含むことができる。この場合、スルホニウム化合物は、光酸発生剤の活性化により誘導されるフロンタル重合系を構築可能である。

0019

これによって、光重合開始剤の作用によって発生する重合熱が上記式(I)で表されるスルホニウム化合物から酸を発生させ、さらに当該スルホニウム化合物の酸発生効率が良いため、酸を発生させるための光エネルギーを外部から与え続けることなく、かつ、熱エネルギーを外部から与えることなく、重合反応樹脂組成物深部に至るまで継続させることができる。

0020

(5)
本発明の硬化体は、(1)から(4)に記載の硬化性樹脂組成物の硬化体である。
(6)
本発明の樹脂複合体は、(1)から(4)に記載の硬化性樹脂組成物と、補強材とを含む。
この構成によって、強度、弾性率などの機械特性が優れるため、土木建築用途および管路更生用途に適した補強材となる。なお、補強材は、硬化性樹脂組成物を保持するものである。

0021

(7)
補強材は、炭素繊維であることが好ましい。
これによって、強度の観点で土木建築用途により適した補強材となる。

0022

(8)
本発明のセメント構造物は、(6)または(7)に記載の樹脂複合体の硬化体と、硬化体が表面に固着されたセメント系構造物とを含む。

0023

(9)
本発明の補強配管は、(6)または(7)に記載の樹脂複合体の硬化体と、硬化体が内表面に固着された配管とを含む。
これによって、配管の補強を容易に行うことができる。

図面の簡単な説明

0024

本発明において用いられるスルホニウム化合物の熱分解モニターしたグラフである。

0025

[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物と、硬化剤として特定の構造を有するスルホニウム化合物とを含む。

0026

[カチオン重合性化合物主成分]
カチオン重合性化合物は、主成分として、ビスフェノールA型エポキシ化合物およびビスフェノールF型エポキシ化合物からなる群から選ばれる化合物を含む。つまり、ビスフェノールA型エポキシ化合物およびビスフェノールF型エポキシ化合物の少なくともいずれかの化合物が単独または2種以上の組み合わせで用いられる。

0027

ビスフェノールA型エポキシ化合物は、ビスフェノールAを前駆体とするエポキシ化合物であればよい。具体例として、下記式で表される構造を有する樹脂が挙げられる。

0028

0029

上記式中、nは、正の数を示す。なお、本発明においては、前駆体の繰り返し単位数が1である低分子化合物モノマー化合物)も含む。したがって、下記式で示されるビスフェノールAグリシジルエーテルも挙げられる。

0030

0031

さらに、上記したビスフェノールAを前駆体とするエポキシ化合物の臭素化タイプ(臭化ビスフェノールA型エポキシ化合物)も挙げられる。

0032

ビスフェノールF型エポキシ化合物は、ビスフェノールFを前駆体とするエポキシ化合物であればよい。具体例として、下記式で表される構造を有する樹脂が挙げられる。

0033

上記式中、nは、正の数を示す。なお、本発明においては、前駆体の繰り返し単位数が1である低分子化合物(モノマー化合物)も含む。したがって、下記式で示されるビスフェノールFグリシジルエーテルも挙げられる。

0034

0035

さらに、上記したビスフェノールFを前駆体とするエポキシ化合物の臭素化タイプ(臭化ビスフェノールF型エポキシ化合物)も挙げられる。

0036

上述の主成分は、カチオン重合性化合物中、たとえば50重量%超90重量%以下、好ましくは60重量%以上80重量%以下である。上記下限値以上であることによって、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性に優れ、硬化速度の過剰促進による残留応力の発生および残留応力の発生および過加熱による樹脂劣化を好ましく防ぐことができ、上記上限値以下であることによって、遅すぎない適切な硬化速度を得ることができる。

0037

[カチオン重合性化合物副成分]
カチオン重合性化合物は、副成分として、脂環式エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物からなる群から選ばれる化合物を含む。つまり、脂環式エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物の少なくともいずれかの化合物が単独または2種以上の組み合わせで用いられる。

0038

これら副成分は、上述の主成分のカチオン硬化性生長反応速度)を向上させ、樹脂複合体の硬化速度を速める目的で使用することができる。

0039

脂環式エポキシ化合物は、脂肪族環エポキシ基とを有する化合物であり、より具体的には、脂環エポキシ基(脂環を構成する隣接する2つの炭素原子酸素原子とで構成されるエポキシ基)を有する化合物、および脂肪族環に直接的または間接的に単結合したエポキシ基を有する化合物が挙げられる。

0040

脂環エポキシ基を有する化合物は、2個の脂環エポキシ基が単結合または2価の連結基によって連結された化合物であることが好ましい。脂環エポキシ基としては、シクロヘキセンオキシド基が挙げられる。2価の連結基としては、2価の炭化水素基カルボニル基エーテル結合エステル結合カーボネート基アミド基、及びこれらが複数個連結した基が挙げられる。たとえば、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(たとえば(株)ダイセルセロサイド2021P)、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(たとえば(株)ダイセル製セロキサイド2081)が好ましい。その他、脂環エポキシ基を有する化合物しては、1個の脂環エポキシ基を有する、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(たとえば(株)ダイセル製セロキサイド2000)、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイドが挙げられる。

0041

脂肪族環に直接的または間接的に単結合したエポキシ基を有する化合物としては、上記した主成分化合物水素添加タイプ(水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物)、エポキシノルボルネン(たとえば(株)ダイセル製セロキサイド3000)、2,2−ビスヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニルシクロヘキサン付加物(たとえば(株)ダイセル製EHPE3150)などが挙げられる。

0042

ビニルエーテル化合物は、カチオン硬化性が比較的高く生産性の面でのパフォーマンスに優れる。さらに、完全硬化物に柔軟性を付与することができる。

0043

ビニルエーテル化合物は、ビニルエーテル基を有する化合物であればよく、たとえば、ヒドロキシブチルビニルエーテル(例えば、ISP社HBVE)、1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル(例えば、ISP社製CHVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(例えば、ISP社製DVE−3)、ドデシルビニルエーテル(例えば、ISP社製DDVE)、及びシクロヘキシルビニルエーテル(例えば、ISP社製CVE)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。

0044

オキセタニル化合物は、カチオン硬化性が高く生産性の面でのパフォーマンスにより優れる。さらに、完全硬化物において、優れた物理的強度を得ることができる。

0045

オキセタニル化合物は、オキセタニル基を有する化合物であればよく、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(オキセタンアルコール)(例えば、東亜合成社製OXT−101)、2−エチルヘキシルオキセタン(例えば、東亜合成社製OXT−212)、キシリレンビスオキセタン(XDO:例えば、東亜合成社製OXT−121)、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イルメトキシ]メチル}オキセタン(例えば、東亜合成社製OXT−221)、オキセタニルシルセスキオキセタン(例えば、東亜合成社製OXT−191)、フェノールノボラックオキセタン(例えば、東亜合成社製PHOX)及び3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン(POX:例えば、東亜合成社製OXT−211)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。

0046

上述の副成分は、カチオン重合性化合物中、たとえば10重量%以上50重量%以下、好ましくは20重量%以上40重量%以下である。上記下限値以上であることによって、遅すぎない適切な硬化速度を得ることができ、上記上限値以下であることによって、硬化速度の過剰促進による残留応力の発生および残留応力の発生および過加熱による樹脂劣化を好ましく防ぐことができる。

0047

[熱酸発生剤またはエネルギー線酸発生剤]
本発明の硬化性樹脂組成物には、硬化剤として、下記式(I)に示すスルホニウム化合物を必須成分として含む。当該スルホニウム化合物は、カチオン重合開始剤かつ熱酸発生剤またはエネルギー線酸発生剤として作用する。カチオン重合開始剤を硬化剤として用いることにより、硬化時において、酸素阻害を受けないカチオン重合系を構築することができ、屋内外環境(空気環境)下での表面硬化性に優れるとともに、硬化収縮が小さいため貼付対象への密着性に優れ、さらに、硬化効率に優れるため作業効率が良い。したがって、土木建築用途および管路更生用途としての機能性に優れる。

0048

0049

上記式(I)中、R1は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。R2,R2’,R2’’は、互いに同じまたは異なっていてよい、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。R3は、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。
R4は、炭素数1以上4以下のアルキル基または置換されていてよいフェニル基を表す。置換されていてよいフェニル基における置換基は、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルキル基、水酸基、または炭素数1以上4以下のアルキルカルボニロキシ基(炭素数には、カルボニル基の炭素を含まない)であってよい。

0050

さらに、X−は、ハメット酸度関数が−12以下の超強酸のアニオンを表す。より具体的には、Xは、B(C6F5)4、SbF6、AsF6、PF6、BF4のいずれかを示す。

0051

上記式(I)で示される本発明のスルホニウム化合物は、相当する3−ハロゲノプロピオフェノンチオールとから合成することができるスルフィド化合物に、R1−L(Lは、塩素臭素ヨウ素などのハロゲン原子、またはトシレートトリフレート、メシチレートなどの脱離基を示す。)を作用させてL−をカウンターアニオンとするスルホニウム塩へ変換した後、ハメット酸度関数が−12以下の超強酸のアルカリ金属塩陰イオン交換反応を行うことによって合成することができる。

0052

上記式(I)で示されるスルホニウム化合物は、具体的には、下記式で示される化合物が挙げられる。

0053

0054

0055

0056

0057

上記式(I)で表される芳香族スルホニウム塩は、硫黄原子とカルボニル基との間の炭素数が2であることにより、カルボニル基のα位のプロトンの脱離が促進される。これにより、酸の発生が促進される。つまり、以下に示すメカニズムによる反応が生じやすいと推測される。

0058

0059

上記式(I)で示されるスルホニウム化合物は、貯蔵安定性に優れ、いわゆる潜在性硬化剤として機能する。光(特に紫外線)、電磁波(特にX線)および電子線などの活性エネルギー線の作用によって活性化される(つまりプロトンの脱離および酸の発生が生じる)化合物であってもよいし、熱の作用によって活性化される化合物であってもよい。特に活性エネルギー線の作用によって活性化される化合物である場合、置換基R4は、置換されていてよいフェニル基であることが好ましい。

0060

上記式(I)で示されるスルホニウム化合物の含有量は、上述のカチオン重合性化合物100重量部に対し、たとえば0.01重量部以上12重量部以下、好ましくは0.01重量部以上10重量部以下、より好ましくは0.1重量部以上5重量部以下である。上記下限値以上であることにより、適切な硬化速度を得ることができ、上記上限値以下であることにより、硬化速度の過剰促進による残留応力の発生および過加熱による樹脂劣化を防ぎやすい。

0061

[他の硬化剤]
上記式(I)で示されるスルホニウム化合物は、他の硬化剤と併用されることができる。他の硬化剤としては、潜在性硬化剤かつカチオン重合開始剤として機能するものであれば特に限定されない。たとえば、ジシアンジアミド、BF3−アミン錯体変性イミダゾール化合物、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物以外のオニウム塩(以下、他のオニウム塩系重合開始剤表記する、それら化合物およびその他の硬化剤をマイクロカプセル化または有機高分子包接化合物化したものが挙げられる。貯蔵安定性および速硬化性能の観点からは、他のオニウム塩系重合開始剤およびマイクロカプセル化された重合開始剤であることが好ましい。

0062

他のオニウム塩系重合開始剤としては、たとえば、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨ−ドニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩、ルイス酸のセレノニウム塩、アルミニウムキレート化合物などのオニウム塩、スルホン酸エステル、鉄−アレーン化合物シラノールアルミニウム錯体等の各種化合物が挙げられる。貯蔵安定性と速硬化性能の観点からより好ましいカチオン重合開始剤としては、ルイス酸の芳香族ヨードニウム塩化合物およびルイス酸の芳香族スルホニウム塩化合物が挙げられる。

0063

ルイス酸の芳香族ヨードニウム塩化合物としては、たとえば下記式(II−1)で表される化合物が挙げられる。

0064

上記式(II−1)中、R5、R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基のいずれかを示し、それぞれのR5、R6は互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R7、R8、R9、R10は水素原子、アルキル基のいずれかを示し、R7、R8、R9、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。さらに、XはB(C6F5)4、SbF6、AsF6、PF6、BF4、CF3SO3、FSO3、ClO4、F2PO2のいずれかを示す。
これらのヨードニウム塩としては、たとえば、和光純薬工業社WPI−113、WPI−116、ローディアジパン社製PHOTOINITIATOR 2074、チバジャパン社製IRGACURE 250、日本曹達CI−5102などが挙げられる。

0065

ルイス酸の芳香族スルホニウム塩化合物としては、たとえば、下記式(II−2),(II−3)で表される化合物が挙げられる。

0066

0067

上記式(II−2)中、R11、R12、R13は、炭素数1以上12以下のアルキル基、水酸基、または炭素数1以上4以下のアルキルカルボニロキシ基(炭素数には、カルボニル基の炭素を含まない)を表す。R11、R12、R13は、互いに同一であっても異なっていてもよい。さらに、XはB(C6F5)4、SbF6、AsF6、PF6、BF4、CF3SO3、FSO3、ClO4、F2PO2のいずれかを示す。
これらのスルホニウム塩としては、たとえば、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(いずれも三新化学工業社製)などが例示される。

0068

0069

上記式(II−3)中、XはB(C6F5)4、SbF6、AsF6、PF6、BF4、CF3SO3、FSO3、ClO4、F2PO2、(CF3CF2)3PF3のいずれかを示す。
これらのスルホニウム塩としては、サンアプロ株式会社製CPI−101A、CPI−100P、CPI−210S、CPI−200K、みどり化学社製のDTS−102、DTS−103などが挙げられる。

0070

上記のほか、ルイス酸の芳香族スルホニウム塩化合物として、アデカ社製SP−150、SP−170などが挙げられる。

0071

他の硬化剤が併用される場合、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物と、他の硬化剤としては、活性化条件が異なるものが適宜組み合わされる。たとえば、一方を活性エネルギー線の作用によって活性化される化合物として、他方を熱の作用によって活性化される化合物として構成することができる。また、いずれも活性化エネルギー線および熱のいずれかの作用によって活性化される化合物であって、他の硬化剤のほうがより緩和な条件で活性化するように構成してもよい。

0072

他の硬化剤が併用される場合、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物が熱の作用によって活性化される化合物であり、かつ、他の硬化剤が活性エネルギー線の作用によって活性化される化合物であることが好ましい。この場合、下記スキームに例示するフロンタル重合系を容易に構築することができる。このため、先に活性エネルギー線によって他の硬化剤から酸が発生し、カチオン重合性化合物が重合し、その反応熱により、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物の熱分解および酸の発生が誘導され、自己促進的に重合反応を伝播させることができる。したがって、酸を発生させるためのエネルギー(つまり活性エネルギー線および熱のいずれも)を外部から与え続けることなく、かつ、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物単体では必要となる熱エネルギーを外部から与えることなく、樹脂組成物を深部に至るまで効率的に硬化させることができる。

0073

0074

他の硬化剤が併用される場合、他の硬化剤の含有量は特に限定されず、他の硬化剤の目的などに応じて当業者が適宜決定することができる。たとえば、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物に対し、モル基準でたとえば0.01倍以上100倍以下、好ましくは0.1倍以上10倍以下である。上記下限値以上であることにより、適切な硬化速度を得ることができ、上記上限値以下であることにより、硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性に優れ、硬化速度の過剰促進による残留応力の発生および過加熱による樹脂劣化を防ぎやすい。

0075

[その他添加剤
本発明においては、後述の樹脂複合体の用途、または硬化収縮による硬化応力を低減させる観点で、充填材が添加されていてもよい。充填剤としては、たとえば炭酸カルシウム炭酸マグネシウム硫酸バリウムマイカタルクカオリンクレーセライトバーライトバライタ、シリカ珪砂ドロマイト石灰石、石膏中空バルーンアルミナガラス粉水酸化アルミニウム酸化ジルコニウム三酸化アンチモン酸化チタン二酸化モリブデン鉄粉などが挙げられる。

0076

なお、本発明においては、増粘剤を含んでもよい。増粘剤としては、コアシェル型熱可塑性樹脂粒子、および塩化ビニル系樹脂の粒子が挙げられる。

0077

コアシェル型熱可塑性樹脂粒子コア成分としては特に限定されないが、たとえば(メタアクリル酸エステルジエンおよびこれらと共重合可能単量体の中から選ばれる1種以上を単量体成分とする樹脂であってよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチル(メタ)アクリレートn−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシルメタクリレートイソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
ジエンとしては、ブタジエンイソプレン、1,3−ペンタジエンシクロペンタジエンジシクロペンタジエンなどの共役ジエン系化合物、1,4−ヘキサジエンエチリデンノルボルネンなどの非共役ジエン系化合物などが挙げられる。
これらと共重合可能な単量体としては、スチレンα−メチルスチレンビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物アクリルアミドN−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系化合物メタアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、などのメタクリルアミド系化合物およびグリシジルアクリレートグリシジルメタクリレートアリルグリシジルアクリレートなどが挙げられる。

0078

コアシェル型熱可塑性樹脂のシェル成分としては特に限定されないが、上記の単量体から選ばれる2種以上を単量体成分とする樹脂であってよい。シェル層には、N−置換アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル系ラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2つ以上有する架橋性単量体遊離カルボキシル基を有する単量体を共重合させることができる。これによって、エポキシ樹脂に対し加温により溶解性発現する構造となりやすい。
N−置換アクリルアミドとしては、例えば、N−アクリロイルピロリジン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体とラジカル重合可能な二重結合を少なくとも2つ以上有する架橋性単量体としては、エチレングリコールジアクリレートブチレングリコールジアクリレートトリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートヘキサンジオールジアクリレート、オリゴエチレンジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オリゴエチレンジメタクリレートジビニルベンゼンなどの芳香族ジビニル単量体トリメリット酸トリアリルトリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
遊離カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸クロトン酸ケイヒ酸などの不飽和モノカルボン酸マレイン酸イタコン酸フマル酸シトラコン酸クロロマレイン酸などのジカルボン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルマレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステルなどが挙げられる。

0079

コアシェル型熱可塑性樹脂の含量は特に限定されないが、上記のカチオン重合性樹脂100重量部に対して、たとえば5重量部以上150重量部以下、好ましくは20重量部以上50重量部以下である。上記下限値以上であることにより、好ましい増粘効果を得ることができ、上記上限値以下であることにより、カチオン重合性樹脂への混合性に優れる。

0080

塩化ビニル系樹脂としては特に限定されず、塩化ビニル単量体単独重合体の他、例えば、塩化ビニル単量体と塩化ビニル単量体以外の重合性単量体との共重合体、塩化ビニル系樹脂以外の重合体に塩化ビニル単量体または塩化ビニル系樹脂をグラフトさせたグラフト共重合体等が挙げられる。さらに、これらの塩化ビニル系樹脂を塩素化した塩素化塩化ビニル系樹脂も挙げられる。これら塩化ビニル系樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。

0081

塩化ビニル単量体と塩化ビニル単量体以外の重合性単量体との共重合体における重合性単量体としては特に限定されないが、炭素数2以上16以下のα−オレフィン(たとえば、エチレン、プロピレン、およびブチレン);炭素数2以上16以下の脂肪族カルボン酸ビニルエステル(たとえば、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル);炭素数2以上16以下のアルキルビニルエーテル(たとえば、ブチルビニルエーテルおよびセチルビニルエーテル);炭素数1以上16以下のアルキル(メタ)アクリレート(たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートおよびブチルアクリレート);アリール(メタ)アクリレート(たとえば、フェニルメタクリレート);芳香族ビニル(たとえば、スチレンおよびα−置換スチレン(たとえば、α−メチルスチレン));ハロゲン化ビニル(たとえば、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン);およびN−置換マレイミド(N−フェニルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミド)が挙げられる。

0082

塩化ビニル単量体または塩化ビニル系樹脂とともにグラフト共重合体を与える重合体としては、塩化ビニルモノマーグラフト重合可能な重合体であれば単独重合体および共重合体を問わず、いかなるものも含まれる。たとえば、α−オレフィンとビニルエステルとの共重合体(たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体);α−オレフィンとビニルエステルと一酸化炭素との共重合体(たとえば、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体);α−オレフィンとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体(たとえば、エチレン−メチルメタクリレート共重合体およびエチレン−エチルアクリレート共重合体);α−オレフィンとアルキル(メタ)アクリレートと一酸化炭素との共重合体(たとえば、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体);異なる2種以上のα−オレフィンの共重合体(たとえば、エチレン−プロピレン共重合体);不飽和ニトリルとジエンとの共重合体(たとえば、アクリロニトリルブタジエン共重合体);ポリウレタン;および塩素化ポリオレフィン(たとえば、塩素化ポリエチレンおよび塩素化ポリプロピレン)が挙げられる。

0083

塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定されるものではないが、たとえば400以上1500以下、好ましくは600以上1300以下である。平均重合度が上記下限値以上であることにより、塩化ビニル系樹脂による好ましい物性(たとえば強靭性)を得やすく、適切な添加量で用途に適した粘着性を得やすい。平均重合度が上記上限値以下であることにより、カチオン重合性化合物に対し、相溶または膨潤の態様を少量の添加量にて容易に得ることができる。上述の特性はカチオン重合性化合物の組成に影響されるため、上記の範囲を超える平均重合度であっても、当業者によって適宜選択されてよい。

0084

塩化ビニル系樹脂の含有量は特に限定されないが、カチオン性重合化合物に対して、たとえば1重量部以上70重量部以下、好ましくは5重量部以上30重量部以下である。上記下限値以上の含有量であることにより、強靭性および低コスト性が得やすくなるとともに、取り扱いに適した強すぎない粘着性を得やすい。また、カチオン性重合化合物の滲出も抑制することができる。上記上限値以下の含有量であることにより、用途に適した弱すぎない粘着性を得やすい。また、強化繊維に含浸させる場合、許容される高温状態においても粘度が高くなりすぎず、含浸不足を引き起こしにくい。このように塩化ビニル系樹脂の量を適切量とすることによって、速硬化性能、到達重合転化率、重合反応の暴発抑制性、および貯蔵安定性を良好に得ることができる。
上述の特性はカチオン性重合化合物の組成に影響されるため、上記の範囲を超える含有量であっても、当業者によって適宜選択されてよい。

0085

カチオン性重合化合物と塩化ビニル系樹脂とが分子レベルで完全に混ざり合っている(相溶している)か、または、塩化ビニル系樹脂の分子間にカチオン重合性化合物が入りこみ、分子間距離を広げている(膨潤している)。これによって、強化繊維樹脂複合体の表面が粘着性を有することができる。

0086

[樹脂複合体]
本発明の樹脂複合体は、上記の硬化性樹脂組成物と、補強材とを含む。補強材は、硬化性樹脂組成物を保持可能なものであればよい。たとえば、補強材は、シートであってもよいし、樹脂強化用繊維(以下、強化繊維)であってもよい。したがって、本発明の樹脂複合体は、シート状補強材と、その表面に層状に設けられた硬化性樹脂組成物とから構成されてもよいし、強化繊維と、それに含浸された硬化性樹脂組成物とから構成されてもよい。さらに、本発明の樹脂複合体の表面の一方または両方に、離型シートが設けられていてもよい。

0087

保持された硬化性樹脂組成物は、カチオン重合性化合物が未硬化の状態であってもよいし、一部が硬化された状態(半硬化の状態)であってもよい。樹脂複合体の表面状態は、樹脂組成物によるタック状態であってもよいし、タックフリー状態であってもよい。タック状態である場合は、対象物に対して貼付が容易である点で好ましい。

0088

樹脂複合体の表面にタック状態をもたらす樹脂組成物は、30℃において500Pa・s以上8000Pa・s以下、好ましくは800Pa・s以上8000Pa・s以下、80℃において1Pa・s以上500Pa・s以下の粘度を有するものであってよい。上記下限値以上の樹脂粘度であることによって、該複合体からの液成分の滲出を抑制し、また、該複合体の表面に離型シートが積層されている場合に、離型シートの良好な剥離性を得ることもできる。上記上限値以下の樹脂粘度であることによって、用途に適した弱すぎない粘着性を得ることができる。したがって、対象物への貼付時に好ましい貼付状態が維持される。また、取り扱いに適した強すぎない粘着性も得ることができる。

0089

樹脂強化用繊維としては特に限定されないが、ガラス繊維セラミックス繊維ボロン繊維バサルト繊維などの無機繊維;PAN (ポリアクリロニトリル) 系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維などの炭素繊維;ならびに、アラミドポリエステルポリエチレンナイロンビニロンポリアセタール、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)、高強度ポリプロピレンポリアミドポリアリレート、ポリエステルなどの合成有機繊維ケナフなどの天然繊維が挙げられる。これらの繊維は、単独で、または複数種を組み合わせたハイブリッド繊維として用いることができる。

0090

本発明では、硬化性樹脂組成物をカチオン重合により硬化させるため、耐酸性を有する繊維であることが好ましい。
強化繊維樹脂複合体の強度を重要視する場合は、炭素繊維であることが好ましい。本発明においては、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物として、活性化に光を不要とする化合物を用いることによって、このように不透明な補強材を用いることもできる。
強化繊維樹脂複合体の透明性を重要視する場合は、透明性を有する無機繊維または合成有機繊維であることが好ましい。この場合、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物および他の硬化剤として、光により活性化される化合物を用いることができる。

0091

強化繊維の形態(たとえば織り方束ね方など)としても特に限定されるものではなく、強化繊維樹脂複合体が土木建築用途のプリプレグである場合、補強設計におけるロスを最小限にとする観点から、通常、一方向材である織物であることが好ましい。また、押抜き強度を持たせる必要がある剥落防止性能を付与する場合や、製品表面の意匠性優先させる場合などは2方向材である織物を用いてもよい。さらに、繊維目付樹脂含有量も、強化繊維樹脂複合体の用途に応じて当業者が適宜決定することができる。

0092

[樹脂複合体の製造方法]
樹脂複合体は、たとえば、加熱混合工程、硬化剤添加工程および担持工程によって製造することができる。
加熱混合工程においては、カチオン重合性化合物と、必要に応じ採用された増粘剤とを加熱混合し、加熱混合樹脂を得る。加熱混合によって、増粘剤がカチオン重合性化合物と相溶した状態、またはカチオン重合性化合物に膨潤された状態となる。相溶した状態は、目視によって透明を確認することができる。膨潤された状態は、白濁を確認することができる。

0093

増粘剤が粒子状であることにより、上記の相溶状態または膨潤状態を得やすく、ハンドリング性にも優れる。これらの状態をより好ましく得る観点からは、増粘剤粒子の平均粒子径は、0.2μm以上200μm以下であってよい。なお、平均粒子径とは、レーザー光を用いた動的散乱法により測定された体積基準の50%累積分布径をいう。

0094

加熱温度としては、相溶または膨潤の状態が得られる温度であればよい。たとえば、120℃以上、好ましくは150℃以上である。これによって、少なくとも膨潤された状態を容易に得ることができる。一方、高温となるほど、相溶の状態が得られやすい。さらに、加熱温度は、たとえば220℃以下、好ましくは180℃以下である。加熱温度として相溶状態および膨潤状態のいずれの状態を達成可能な温度にするかについては、カチオン重合性化合物の沸点、増粘剤の耐熱性などを考慮して、温度の上限を当業者が適宜調整することができる。

0095

なお、加熱混合樹脂の粘度調整のために、低沸点溶媒希釈剤として加えることも許容する。低沸点溶媒としては、テトラヒドロフランアセトンなどの有機溶媒が挙げられる。たとえば、カチオン重合性化合物として低分子量のエポキシ化合物(たとえばモノマーオリゴマー)の使用割合が小さい場合または使用しない場合、増粘剤として重合度の高いものを使用する場合または使用割合を大きくする場合は、加熱混合樹脂の粘度が高くなる傾向がある。このため、カチオン重合性化合物および増粘剤の分子構造および使用割合を考慮し、希釈剤の使用の有無または使用量を、当業者が適宜決定することができる。
また、希釈剤を使用する場合、増粘剤を予め希釈剤に溶解させてペースト状としたものをカチオン重合性化合物と混合してもよい。

0096

硬化剤添加工程では、加熱混合樹脂に、上記式(I)で示されるスルホニウム化合物と、必要に応じ採用された他のオニウム塩系重合開始剤(以下、単に硬化剤と記載する)とが添加された、流動性硬化性樹脂組成物を得る。この工程は、いずれの硬化剤も不活性に維持する条件下で行われることができる。この場合、硬化剤に熱重合開示剤を含む場合、当該熱重合開示剤の活性化温度を下回るまで加熱混合樹脂を一旦冷却する。この場合、具体的にどの程度の温度まで冷却するかは、当該熱重合開示剤の活性化温度に依存するが、樹脂組成物の流動性が損なわれない(後の担持工程に支障がない程度の流動性は担保する)程度であることが好ましい。

0097

一方、硬化剤に熱重合開始剤が含まれない場合(いずれも活性エネルギー線重合開始剤である場合)は、必ずしも上記の冷却を要しない。したがってこの場合、加熱混合工程と硬化剤添加工程とが同時に行われてもよいし、別々に行われてもよい。別々に行われる場合、本工程の温度条件は、カチオン系重合開始剤の沸点、増粘剤の耐熱性、硬化剤の耐熱性などを考慮する限り、上述の加熱混合工程温度を超えてもよいし、加熱混合工程温度と同等であってもよいし、加熱混合工程温度を下回り且つ熱重合開始剤の活性温度より高い温度であってもよい。無論、硬化剤に熱重合開始剤が含まれる場合と同等の温度条件としてもよい。ただしこれらの場合、本工程は硬化剤を活性化しうる活性エネルギー線の条件を排除した条件下で行われる。

0098

このように、硬化剤添加工程は硬化剤を不活性に維持する条件下で行われることができるため、硬化反応を生じさせることなく、流動性硬化性樹脂組成物を得る。流動性樹脂組成物の粘度は、80℃条件下においてたとえば1Pa・s以上500Pa・s以下、好ましくは1Pa・s以上300Pa・s以下である。当該粘度が上記下限値以上であることは、たとえば強化繊維樹脂複合体の表面の適切な粘着性を得やすい点で好ましく、上記上限値以下であることによって、後の担持工程を行い易い点で好ましい。

0099

担持工程では、流動性硬化性樹脂組成物を補強材に担持させ、樹脂複合体を得る。補強材がシートである場合、シート表面に流動性硬化性樹脂組成物を塗布し、樹脂複合体を得ることができる。補強材が強化繊維の場合、流動性硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させ、強化繊維樹脂複合体を得ることができる。担持工程で許容される温度条件は、前記の硬化剤添加工程で許容される温度条件と同じである。流動性樹脂組成物の強化樹脂への含浸性を向上させるために、硬化剤にとっての許容温度範囲内で、流動性樹脂組成物の温度を上昇させてもよい。反対に、シート表面への塗布性を向上させるために、流動性樹脂組成物を冷却し、流動性を下げてもよいし、補強材の熱変形などを防止するために、流動性樹脂組成物を冷却し、当該補強材の耐熱温度を下回る温度まで下げてもよい。好ましくは、流動性硬化性樹脂組成物の温度は、60℃以上90℃以下に調整される。

0100

含浸の手法としては特に限定されず、当業者によって適宜選択される。たとえば、粘性の高い樹脂組成物を含浸可能な方法が好ましく選択される。具体的には、繊維の扱き処理加圧真空といった圧変化処理などの手法を用い、効率的に含浸させることができる。なお、含浸時には、離型シート上で含浸させてもよい。
なお、流動性硬化性樹脂組成物が低沸点溶媒を希釈剤として含む場合は、補強材への担持後、当該低沸点溶媒を除去する。低沸点溶媒の除去は、乾燥または減圧処理などによって行うことができる。

0101

担持工程後、硬化性樹脂組成物が未硬化の状態で樹脂複合体として完成させてもよいし、さらに、硬化性樹脂組成物を一部硬化させた後に完成させてもよい。一部硬化を行う場合、硬化の程度としては、樹脂組成物の表面に所望のタック性が残る程度であってもよいしタックフリーとなる程度であってもよい。
得られた樹脂複合体は、必要に応じ、少なくとも一方の面に離型シートを設けることができる。また、所定の寸法および大きさに分割されてもよいし、巻き取られてロール形状にされてもよい。

0102

[補強されたセメント系構造物の製造方法]
本発明の樹脂複合体は、セメント系構造物の補強に用いることができる。これによって、補強されたセメント系構造物が製造される。
セメント系構造物は、セメントを含む材料で構成される、建造物および建材などの構造物である。セメントに混合される材料としては、砂などの細骨材砂利砕石などの粗骨材、および混和材であり、セメントを含む材料としては、一般的に、モルタルおよびコンクリートが挙げられる。したがって、セメント系構造物としては、コンクリート建造物上下水道既設配管などが挙げられる。

0103

セメント系構造物の補強は貼付工程と、硬化工程とを含む。
貼付工程においては、たとえば、セメント系構造物の修繕のため、セメント系構造物に発生した異常箇所(ひび割れ劣化など)を覆うように、樹脂複合体を貼付する。または、セメント系構造物に生じうる異常の発生を防ぐ予防補強として、補強効果が期待される部分を覆うように、樹脂複合体を貼付する。貼付後の樹脂複合体は、適宜、金型などを用いて適切な形状に拘束されてもよい。
なお、貼付すべき表面は、予め、表面削去して平滑化してもよいし、プライマー処理してもよい。また、樹脂複合体の表面がタックフリーである場合、およびタック性が弱い場合などには、樹脂複合体とセメント系構造物との間に接着剤を介在させることができる。

0104

硬化工程においては、貼付された状態の樹脂複合体を、硬化剤の活性条件下に供する。これによって、樹脂複合体に担持された硬化性樹脂複合体が完全硬化する。したがって、セメント系構造物は、表面にエポキシ樹脂の完全硬化体が強固に固着した状態で補強される。
[補強された配管の製造方法]
本発明の樹脂複合体は、配管の補強に用いることができる。配管は、更生を必要とする既設配管であってよい。たとえば、老朽化した下水道管上水導管、農水管などが挙げられる。配管の材質としては、コンクリート、金属および樹脂を問わない。
配管の補強においては、流体圧を利用して管状の樹脂複合体を管路の内周面押圧し、硬化剤の活性条件下で樹脂複合体に担持された硬化性樹脂複合体が完全硬化することにより、管路の内面ライニング層を形成する方法などが挙げられる。

0105

以下に、本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、「重量部」によって表される量は、特に断りがない限りカチオン重合性化合物に対する量である。

0106

<参考例1>
(PRTAG−PF6の合成)
まず、下記スキームに示す反応を行い、中間体を合成した。

0107

0108

4−メトキシベンゼンチオール(化合物a)7.5g(53.6mmol)をテトラヒドロフラン20mLに溶解させ、トリエチルアミン10.8g(107mmol)を加え、氷冷下で24時間攪拌した。ここに3−クロロプロピオフェノン(化合物b)10.2g(53.9mmol)をテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液を加え、攪拌しながら室温で24時間反応させた。反応液中に白色固体析出を確認したため、この固体をろ過によって取り除いた。得られたろ液溶媒蒸発させ、固体を析出させた。この固体をクロロホルムに溶解させ、5wt%塩酸水溶液飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和塩化ナトリウム水溶液の順に分液操作し、硫酸マグネシウムを用いて溶液中の水を除去した。硫酸マグネシウムをろ過し、溶媒を蒸発させた後、ヘキサン洗浄を行って、固体を回収および減圧乾燥させた。これにより、白色固体である中間体化合物2を6.8g(収率55%)得た。

0109

中間体化合物を1H−NMR測定した。同定データは以下のとおりである。
MR(δ値)
3.2−3.3ppm(m、4H、−CCH2−)
3.80(s、3H、−OCH3)
6.84(d、2H、Ar−H)
7.4−7.6(m、5H、Ar−H)
7.89(d、2H、Ar−H)

0110

次に、下記スキームに示す反応を行い、PRTAG−Tfを合成した。

0111

中間体化合物の4.0g(14mmol)をジクロロメタン40mLに溶解させ、氷冷下で攪拌した。ここに、トリフルオロメタンスルホン酸メチル2.4g(14mmol)をジクロロメタン10mLに溶解させたものを加え、氷冷下で5時間反応させた。その後、ヘキサン洗浄を行って、固体を回収および減圧乾燥させた。これによって、PRTAG−Tf 4.3g(収率68%)を得た。

0112

PRTAG−Tfを1H−NMR測定およびESI−MS測定した。同定データは以下のとおりである。
NMR(σ値)
3.41(s、3H,S−CH3)
3.52(m、2H、S−CH2−)
3.84(m、1H、S−CH2−)
3.86(s、3H,O−CH3)
3.99(m、1H、S−CH2−)
7.25(d、2H、Ar−H)
7.53(t、2H、Ar−H)
7.67(t、2H、Ar−H)
7.93−8.01(m、4H、Ar−H)
ESI−MS
{C17H19O2S+}287.1093(理論値287.1100)
{CF3SO3—}148.9526(理論値148.9533)

0113

最後に、下記スキームに示す反応を行い、PRTAG−PF6を合成した。

0114

PRTAG−Tf0.57g(1.3mmol)をイオン交換水700mLに溶解させ、室温で10分間攪拌した。ここにヘキサフルオロリン酸ナトリウム0.33g(2.0mmol)をイオン交換水10mLに溶解させたものを加え、室温で30分攪拌したところ、白色固体が析出した。析出した固体をろ過し、ヘキサン洗浄後減圧乾燥させ、目的物PRTAG−PF60.4g(収率70%)を得た。

0115

PRTAG−PF6を1H−NMR測定およびESI−MS測定した。同定データは以下のとおりである。
NMR(δ値)
3.47(s、3H、S−CH3)
3.52(m、2H、S−CH2−)
3.84(m、1H、S−CH2−)
3.86(s、3H、O−CH3)
3.99(m、1H、S−CH2−)
7.25(d、2H、Ar−H)
7.53(t、2H、Ar−H)
7.67(t、2H、Ar−H)
7.93−8.01(m、4H、Ar−H)
ESI−MS
{C17H19O2S+}287.1078(理論値287.1100)
{PF6—}148.9533(理論値144.9642)

0116

<参考例2>
陰イオン交換反応時、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム0.33g(2.0mmol)の代わりにヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム0.52g(2.0mmol)を用いたことを除いて、実施例1と同様に合成を行った。その結果、下記式に示すPRTAG−SbF60.40g(収率59%)を得た。

0117

0118

PRTAG−SbF6を1H−NMR測定およびESI−MS測定した。同定データは以下のとおりである。
NMR(δ値)
3.35 (s、3H、S−CH3)
3.53 (m、2H、S−CH2−)
3.86 (m、1H、S−CH2−)
3.87 (s、3H、O−CH3)
3.99 (m、1H、S−CH2−)
7.26 (d、2H、Ar−H)
7.54 (t、2H、Ar−H)
7.68 (t、2H、Ar−H)
7.94−8.02 (m、4H、Ar−H)
ESI−MS
{C17H19O2S+} 287.1100(理論値287.1100)
{SbF6—} 234.8947(理論値234.8948)

0119

<参考例3>
参考例2で得られたPRTAG−SbF6が7.6mMの濃度となるようにDMSO−d6溶液(内部標準メシチレン)を調製し、得られた溶液をNMRチューブに入れて封管した。NMRチューブをオーブン中で120℃に加熱し、1H−NMRスペクトル経時変化を追跡した。

0120

追跡の結果を図1に示す。図1においては、横軸に加熱時間(分)を示し、縦軸に、PRTAG−SbF6の正規化されたピーク強度および分解物への変換率(%)を示す。図1に示すように、120℃加熱条件下において、PRTAG−SbF6が60分以内で速やかに分解する(図中丸ドット参照)と同時に、下記式に示す分解物D1の生成(図中四角ドット参照)および分解物D2の生成(図中三角ドット参照)が確認された。

0121

0122

<参考例4>
常温環境下単官能脂環式エポキシ化合物(1,2−エポキシシクロヘキサン)および2官能脂環式エポキシ化合物(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)とを、1:3(重量比)で混合し、得られた混合樹脂に対し、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモナートを2重量%と、参考例2で得られたPRTAG−SbF63重量%とを添加し、硬化性樹脂組成物を得た。

0123

上記で得られた硬化性樹脂組成物をマイクロチューブ(深さ4cm、直径0.5cm)に入れ、チューブ上方からHg−Xeランプフィルター無)で所定量の光を照射した。時間経過に伴う重合挙動を目視で観察した。

0124

目視観察の結果、露光直後に露光表面黄変を確認した。露光開始1分後、黄変領域が顕著に拡大した。露光1分後に露光を止めたが、黄変領域はその後も徐々に下方に広がり、約6分後に、マイクロチューブの最深部まで到達した。
また、目視観察と同時に、黄変領域の最深部の接触式表面温度測定器計測した結果、最高温度は102℃であった。

0125

露光による樹脂の黄変は、表面部で光により重合が開始され、PRTAG−SbF6が分解したためであると考えられる。露光を止めた後も黄変領域の下方への拡大が進行したことから、重合熱による連鎖的な重合が進んだことが示唆される。さらに、重合中に気泡は確認されなかった。これは、モノマーの沸点(130℃)以下の温度で重合が進行したためであると考えられる。

0126

さらに、硬化物を粉砕してトリクロロメタン溶出し、1H−NMRにより構造を調べ、低分子量残存物の有無を確認した。その結果。モノマー由来ピークは確認されなかった。したがって、樹脂が完全に硬化したことが示された。
このように、熱酸発生剤であるPRTAG−SbF6が組み込まれたフロンタル重合系を構築し、外部から加熱を行うことなく、深部の樹脂の硬化が確認された。

0127

<参考例5>
3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製セロキサイド2021P)1g、1,2−エポキシシクロヘキサン1g、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモナート0.024g、および参考例2で得られたPRTAG−SbF60.040gを均一になるまで攪拌し、硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物を直径5mm、長さ40mmの試験管に入れ、254nmの光を100秒照射した後、照射を停止した。照射停止後も効果反応は進行し、およそ露光開始から280秒で試験管内の樹脂の全硬化が完了した。

0128

<実施例1>
ビスフェノールA型エポキシ化合物:4,4’−イソプロピリデンジフェノールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物(三菱化学株式会社製jER828)80重量部、脂環式エポキシ化合物:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製セロキサイド2021P)20重量部を混合し、さらに参考例1で得られたPRTAG−PF63重量部をγ−ブチロラクトンに溶解させたものを加え、均一になるまで撹拌し、硬化性樹脂組成物を得た。

0129

得られた硬化性樹脂組成物のゲル化時間測定を行った。ゲル化時間測定には安田精機製作所のゲルタイムテスターを用いた。直径12mm、長さ90mmの試験管に2gの硬化性樹脂組成物を加え、190℃に温度設定したゲルタイムテスターにセットし、トルクが3.7g/cmになるまでの時間をゲル化時間として測定した。

0130

また別途、本実施例で得られた硬化性樹脂組成物を、23℃で7日間保存し、貯蔵安定性を調べた。貯蔵安定性の評価については、全く変化が見られなかった場合を○、増粘が確認された場合を△、流動性を失った場合を×として評価した。なお、増粘が確認される程度であれば、本発明の用途に適用可能である。

0131

<実施例2>
スルホニウム化合物として、参考例2で得られたPRTAG−SbF6を用い、ゲル化時間測定における温度条件を160℃としたことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。

0132

<実施例3>
硬化性樹脂組成物の組成を、ビスフェノールA型エポキシ化合物:4,4’−イソプロピリデンジフェノールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物(三菱化学株式会社製jER828)70重量部、脂環式エポキシ化合物:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製セロキサイド2021P)20重量部、ビニルエーテル化合物:ジエチレングリコールジビニルエーテル(日本カーバイド工業株式会社製DEGDVE)10重量部、および参考例2で得られたPRTAG−SbF61重量部とし、ゲル化時間測定における温度条件を160℃としたことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。

0133

<実施例4>
硬化性樹脂組成物の組成を、ビスフェノールA型エポキシ化合物:4,4’−イソプロピリデンジフェノールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物(三菱化学株式会社製jER828)60重量部、脂環式エポキシ化合物:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製セロキサイド2021P)20重量部、オキセタン化合物:3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亜合成株式会社製OXT-221)20重量部、および参考例2で得られたPRTAG−SbF60.5重量部とし、ゲル化時間測定における温度条件を160℃としたことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。

0134

<実施例5>
硬化性樹脂組成物の組成を、ビスフェノールA型エポキシ化合物:4,4’−イソプロピリデンジフェノールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物(三菱化学株式会社製jER828)60重量部、脂環式エポキシ化合物:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製セロキサイド2021P)20重量部、オキセタン化合物:3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亜合成株式会社製OXT-221)20重量部、および参考例1で得られたPRTAG−PF61.5重量部とし、ゲル化時間測定における温度条件を160℃としたことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。

0135

<実施例6>
硬化性樹脂組成物の組成を、ビスフェノールA型エポキシ化合物:4,4’−イソプロピリデンジフェノールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物(三菱化学株式会社製jER828)60重量部、脂環式エポキシ化合物:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製セロキサイド2021P)40重量部、および参考例2で得られたPRTAG−SbF612重量部とし、ゲル化時間測定における温度条件を160℃としたことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。

0136

<比較例1>
硬化性樹脂組成物の組成を、ビスフェノールA型エポキシ化合物:4,4’−イソプロピリデンジフェノールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンとの重縮合物(三菱化学株式会社製jER828)40重量部、脂環式エポキシ化合物:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製セロキサイド2021P)30重量部、オキセタン(東亜合成株式会社製OXT-221)30重量部、および参考例2で得られたPRTAG−SbF61重量部とし、ゲル化時間測定における温度条件を160℃としたことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。

0137

実施例1から6および比較例1について、硬化性樹脂組成物の組成および測定されたゲル化時間を下記表1に示す。表1に示すように、実施例1から6の樹脂組成物は、貯蔵安定性が優れることが確認された。

0138

0139

<実施例7>
ビスフェノールA型エポキシ化合物(三菱化学株式会社製jER828)15g、脂環式エポキシ化合物(株式会社ダイセル製セロキサイド2021P)5g、オキセタン化合物(東亜合成株式会社製OXT-221)5gを混合した樹脂組成物100重量部に対し、光酸発生剤(みどり化学株式会社製DTS−103)1重量部、参考例2で得られたPRTAG−SbF61部を配合し、光硬化性樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を炭素繊維に含浸させ、強化繊維樹脂複合体を作成した。得られた強化繊維樹脂複合体の片面のみから紫外線を照射したところ、逆側の面にいたるまで樹脂組成物の硬化が確認できた。なお、紫外線照射条件は、紫外線強度140mW/cm2、空気雰囲気、室温、大気圧照射距離20cm、であった。

実施例

0140

本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨と範囲とから逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。さらに、本実施形態において述べられる作用および効果は一例であり、本発明を限定するものではない。

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