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技術 超音波トランスデューサ及び超音波診断装置

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 鈴木謙次
出願日 2014年7月28日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-153018
公開日 2016年3月7日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2016-030019
状態 特許登録済
技術分野 超音波診断装置 超音波による材料の調査、分析 超音波変換器
主要キーワード 臨界減衰係数 圧電セル ダイアフラム径 周期的外力 集中質量 駆動振動数 反結合 増加度合い
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図面 (15)

課題

超音波トランスデューサ感度劣化させることなく、広帯域特性を得ることができる装置を提供する。

解決手段

圧電素子202は、圧電薄膜203と、圧電薄膜203の厚さ方向の一方の面に配設され、基板201上に接合された第1の電極204と、圧電薄膜203の厚さ方向の他方の面に配設され、第1の電極204とで一対となって圧電薄膜203に電圧印加する第2の電極205と、を有し、圧電セル200によって形成されるダイアフラムにおける駆動振動数比と位相との関係が複数の圧電セル200間において略同一となるように、ダイアフラムの構造を表す等価単減衰振動モデルにおけるばね定数粘性係数、質量のうち少なくとも2つ以上のパラメータには複数の圧電セル200間において異なる値が設定されている。

概要

背景

近年、超音波診断装置超音波トランスデューサ(超音波探触子又は超音波プローブと称されることもある)として、半導体微細加工技術MEMS:Micro Electro Mechanical System)によるpMUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasound Transducer)の開発が盛んに行われている(例えば、非特許文献1を参照)。

pMUTにおいて用いられる圧電セル振動子。以下、pMUTセルと称することもある)は、高周波数適性及び高感度性には優れているものの、狭帯域特性が課題とされている。これに対して、例えば、特許文献1に開示された超音波トランスデューサでは、各々が狭帯域特性を有する圧電セルであって、互いに異なる共振周波数を有する複数の圧電セルを配列して同時駆動させることにより、全体として広帯域化が実現されている。例えば、特許文献1では、各圧電セル振動膜ばね定数(例えば、振動膜の面積、厚さ、材料など)を異ならせることにより、異なる共振周波数を得ている。

概要

超音波トランスデューサの感度劣化させることなく、広帯域特性を得ることができる装置を提供する。圧電素子202は、圧電薄膜203と、圧電薄膜203の厚さ方向の一方の面に配設され、基板201上に接合された第1の電極204と、圧電薄膜203の厚さ方向の他方の面に配設され、第1の電極204とで一対となって圧電薄膜203に電圧印加する第2の電極205と、を有し、圧電セル200によって形成されるダイアフラムにおける駆動振動数比と位相との関係が複数の圧電セル200間において略同一となるように、ダイアフラムの構造を表す等価単減衰振動モデルにおけるばね定数、粘性係数、質量のうち少なくとも2つ以上のパラメータには複数の圧電セル200間において異なる値が設定されている。

目的

本発明の目的は、超音波トランスデューサの感度を劣化させることなく、広帯域特性を得ることができる超音波トランスデューサ及び超音波診断装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

互いに異なる共振周波数を有する複数の圧電セルが配列された超音波トランスデューサであって、前記複数の圧電セルの各々は、圧電素子と、前記圧電素子を支持する基板と、を有し、前記圧電素子は、圧電薄膜と、前記圧電薄膜の厚さ方向の一方の面に配設され、前記基板上に接合された第1の電極と、前記圧電薄膜の厚さ方向の他方の面に配設され、前記第1の電極とで一対となって前記圧電薄膜に電圧印加する第2の電極と、を有し、前記圧電セルによって形成されるダイアフラムにおける駆動振動数比と位相との関係が前記複数の圧電セル間において略同一となるように、前記ダイアフラムの構造を表す等価単減衰振動モデルにおけるばね定数粘性係数、質量のうち少なくとも2つ以上のパラメータには前記複数の圧電セル間において異なる値が設定されている、超音波トランスデューサ。

請求項2

前記基板の前記圧電素子に接する面において、前記圧電素子の外周部分に穴が部分的に形成され、前記複数の圧電セルでは、前記穴の大きさに応じて前記ばね定数がそれぞれ異なる、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。

請求項3

前記基板は、前記圧電素子の厚み方向に向かって前記圧電素子を前記基板へ投影した部分に中空部を有し、前記複数の圧電セルでは、前記中空部に充填材封入されるか否か又は前記充填材の材料に応じて、前記粘性係数がそれぞれ異なる、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。

請求項4

前記圧電素子を覆うように形成される絶縁層を、更に有し、前記複数の圧電セルでは、前記絶縁層の材料に応じて前記粘性係数がそれぞれ異なる、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。

請求項5

前記複数の圧電セルでは、前記第2の電極の厚みに応じて前記質量がそれぞれ異なる、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。

請求項6

前記複数の圧電セルでは、前記第2の電極の径に応じて前記質量がそれぞれ異なる、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。

請求項7

前記複数の圧電セルでは、前記第2の電極の材料に応じて前記質量がそれぞれ異なる、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。

請求項8

互いに異なる共振周波数を有する複数の圧電セルが配列された超音波トランスデューサと、前記超音波トランスデューサを駆動させて、被検体への第1の超音波信号を送信する送信部と、前記超音波トランスデューサを駆動させて、前記第1の超音波信号に対する前記被検体からの第2の超音波信号を受信する受信部と、前記第2の超音波信号を用いて、超音波診断用の画像を生成する画像処理部と、前記生成された画像を表示する表示部と、を具備し、前記複数の圧電セルの各々は、圧電素子と、前記圧電素子を支持する基板と、を有し、前記圧電素子は、圧電薄膜と、前記圧電薄膜の厚さ方向の一方の面に配設され、前記基板上に接合された第1の電極と、前記圧電薄膜の厚さ方向の他方の面に配設され、前記第1の電極とで一対となって前記圧電薄膜に電圧を印加する第2の電極と、を有し、前記圧電セルによって形成されるダイアフラムにおける駆動振動数比と位相との関係が前記複数の圧電セル間において略同一となるように、前記ダイアフラムの構造を表す等価単減衰振動モデルにおけるばね定数、粘性係数、質量のうち少なくとも2つ以上のパラメータには前記複数の圧電セル間において異なる値が設定されている、超音波診断装置

請求項9

前記超音波トランスデューサの駆動時における前記複数の圧電セルの各々の前記駆動振動比は同一である、請求項8に記載の超音波診断装置。

請求項10

前記駆動振動比の値は、1未満又は1より大きい、請求項9に記載の超音波診断装置。

請求項11

前記超音波トランスデューサの駆動時における前記複数の圧電セルの各々の前記駆動振動比は異なり、前記複数の圧電セルにおける最大位相最小位相との差が所定の閾値未満である、請求項8に記載の超音波診断装置。

技術分野

0001

本発明は、超音波トランスデューサ及び超音波診断装置に関する。

背景技術

0002

近年、超音波診断装置の超音波トランスデューサ(超音波探触子又は超音波プローブと称されることもある)として、半導体微細加工技術MEMS:Micro Electro Mechanical System)によるpMUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasound Transducer)の開発が盛んに行われている(例えば、非特許文献1を参照)。

0003

pMUTにおいて用いられる圧電セル振動子。以下、pMUTセルと称することもある)は、高周波数適性及び高感度性には優れているものの、狭帯域特性が課題とされている。これに対して、例えば、特許文献1に開示された超音波トランスデューサでは、各々が狭帯域特性を有する圧電セルであって、互いに異なる共振周波数を有する複数の圧電セルを配列して同時駆動させることにより、全体として広帯域化が実現されている。例えば、特許文献1では、各圧電セル振動膜ばね定数(例えば、振動膜の面積、厚さ、材料など)を異ならせることにより、異なる共振周波数を得ている。

0004

特開2014−017565号公報

先行技術

0005

D.E.Dausch et al., "Piezoelectric Micromachined Ultrasound Transducer (pMUT) Arrays for 3D Imaging Probes," Proceedings of theIEEE Ultrasonics Symposium, vol. 1(2006), pp.930-933

発明が解決しようとする課題

0006

上述したように、特許文献1では、圧電セルの振動膜のばね定数により、各圧電セルでの共振周波数に関する振幅特性を調整している。しかしながら、圧電セルは、振幅特性の他に、位相特性を有する。特許文献1のように振幅特性が調整されたとしても、位相特性の異なる複数の圧電セルが同時駆動すると、位相反転した場合には圧電セル同士の音圧が互いを打ち消し合ってしまう(反結合となる)。この結果、全体の出力音圧が低下するので、超音波トランスデューサの感度劣化してしまう。

0007

本発明の目的は、超音波トランスデューサの感度を劣化させることなく、広帯域特性を得ることができる超音波トランスデューサ及び超音波診断装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明の一態様に係る超音波トランスデューサは、互いに異なる共振周波数を有する複数の圧電セルが配列された超音波トランスデューサであって、前記複数の圧電セルの各々は、圧電素子と、前記圧電素子を支持する基板と、を有し、前記圧電素子は、圧電薄膜と、前記圧電薄膜の厚さ方向の一方の面に配設され、前記基板上に接合された第1の電極と、前記圧電薄膜の厚さ方向の他方の面に配設され、前記第1の電極とで一対となって前記圧電薄膜に電圧印加する第2の電極と、を有し、前記圧電セルによって形成されるダイアフラムにおける駆動振動数比と位相との関係が前記複数の圧電セル間において略同一となるように、前記ダイアフラムの構造を表す等価単減衰振動モデルにおけるばね定数、粘性係数、質量のうち少なくとも2つ以上のパラメータには前記複数の圧電セル間において異なる値が設定されている。

0009

本発明の一態様に係る超音波診断装置は、互いに異なる共振周波数を有する複数の圧電セルが配列された超音波トランスデューサと、前記超音波トランスデューサを駆動させて、被検体への第1の超音波信号を送信する送信部と、前記超音波トランスデューサを駆動させて、前記第1の超音波信号に対する前記被検体からの第2の超音波信号を受信する受信部と、前記第2の超音波信号を用いて、超音波診断用の画像を生成する画像処理部と、前記生成された画像を表示する表示部と、を具備し、前記複数の圧電セルの各々は、圧電素子と、前記圧電素子を支持する基板と、を有し、前記圧電素子は、圧電薄膜と、前記圧電薄膜の厚さ方向の一方の面に配設され、前記基板上に接合された第1の電極と、前記圧電薄膜の厚さ方向の他方の面に配設され、前記第1の電極とで一対となって前記圧電薄膜に電圧を印加する第2の電極と、を有し、前記圧電セルによって形成されるダイアフラムにおける駆動振動数比と位相との関係が前記複数の圧電セル間において略同一となるように、前記ダイアフラムの構造を表す等価単減衰振動モデルにおけるばね定数、粘性係数、質量のうち少なくとも2つ以上のパラメータには前記複数の圧電セル間において異なる値が設定されている。

発明の効果

0010

本発明によれば、超音波トランスデューサの感度を劣化させることなく、広帯域特性を得ることができる。

図面の簡単な説明

0011

本開示に係る超音波診断装置の概観構成を示す図
本開示に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図
本開示に係る超音波トランスデューサの内部構成を示す図
本開示に係るpMUTセルの配列の一例を示す図
本開示に係るpMUTセルの構造を示す図
本開示に係るκと位相βとの関係を示す図
本開示に係るばね定数を調整する場合におけるpMUTセルの構造を示す図
本開示に係るばね定数を調整する場合におけるpMUTセルの構造の拡大図
本開示に係る粘性係数を調整する場合におけるpMUTセルの構造を示す図
本開示に係る質量を調整する場合におけるpMUTセルの構造を示す図
本開示に係る位相特性の調整に用いるパラメータの評価の説明に供する図
本開示に係る位相特性の調整前後におけるκと位相βとの関係を示す図
本開示に係る各pMUTセルにおけるκを同一にした場合の説明に供する図
本開示に係る各pMUTセルにおけるκを異ならせた場合の説明に供する図

実施例

0012

以下、本開示の実施の形態に係る超音波トランスデューサ及び超音波診断装置について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素(同一の動作を行うシーケンス)には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。

0013

[超音波診断装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る超音波トランスデューサを有する超音波診断装置の概観構成を示す図である。図2は、本実施の形態に係る超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。

0014

超音波診断装置1は、超音波診断装置本体10と、超音波トランスデューサ20と、ケーブル30とを有する構成を採る。

0015

超音波トランスデューサ20は、被検体である人体(図示せず)に対して超音波信号を送信し、送信した超音波に基づく人体から来た超音波信号を受信する。超音波トランスデューサ20には、互いに異なる共振周波数を有する複数のpMUTセル(後述する)が配列されている。

0016

超音波診断装置本体10は、超音波トランスデューサ20とケーブル30を介して接続され、超音波トランスデューサ20へケーブル30を介して電気信号送信信号を送信することによって超音波トランスデューサ20に対して超音波信号を送信させる。また、超音波診断装置本体10は、超音波トランスデューサ20が受信した超音波信号に基づいて超音波トランスデューサ20において生成された電気信号を用いて、人体の内部状態超音波画像として画像化する。

0017

具体的には、超音波診断装置本体10は、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像処理部14と、表示部15と、制御部16と、を含む構成を採る。

0018

操作入力部11は、例えば、診断開始などを指示するコマンド又は被検体に関する情報を入力する。操作入力部11は、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネル又はキーボードなどである。

0019

送信部12は、制御部16から受け取る制御信号をケーブル30を介して超音波トランスデューサ20へ送信する。すなわち、送信部12は、超音波トランスデューサ20を駆動させて、被検体への超音波信号を送信する。

0020

受信部13は、超音波トランスデューサ20からケーブル30を介して送信される受信信号を受信する。すなわち、受信部13は、超音波トランスデューサ20を駆動させて、送信した超音波信号に対する被検体からの超音波信号を受信する。そして、受信部13は、受信した超音波信号を画像処理部14へ出力する。

0021

画像処理部14は、制御部16の指示に従って、受信部13から受け取る超音波信号を用いて被検体内の内部状態を表す超音波診断用の画像(超音波画像)を生成する。

0022

表示部15は、制御部16の指示に従って、画像処理部14において生成された超音波画像を表示する。

0023

制御部16は、操作入力部11、送信部12、受信部13、画像処理部14、表示部15をそれぞれの機能に応じて制御することによって、超音波診断装置1の全体制御を行う。

0024

[超音波トランスデューサの構成]
図3は、本実施の形態に係る超音波トランスデューサ20の基本構成の一例を示す図である。図3に示す超音波トランスデューサ20は、保護層21と、超音波送受信部22と、バッキング材23と、信号処理回路24と、を含む構成を採る。

0025

保護層21は、例えば、人体に接触させる際に不快感を与えることがないように、超音波送受信部22を覆うようにしてシリコーンゴムなどから形成される。

0026

超音波送受信部22は、保護層21とバッキング材23との間に配設され、超音波の送受信を行う。超音波送受信部22は、複数のpMUTセル(後述する)を備える。

0027

バッキング材23は、超音波送受信部22において発生する不要振動減衰させる。

0028

信号処理回路24は、ケーブル30を介して超音波診断装置本体10と接続されており、超音波送信用パルス信号の生成、又は、受信パルス信号の処理を行う。

0029

[pMUTセルの構成]
以下、図3に示す超音波送受信部22が備えるpMUTセルの構成について詳細に説明する。

0030

超音波送受信部22は、基板と、基板上に形成された複数のpMUTセルとを含む構成を採る。例えば、図4A又は図4Bに示すように、複数のpMUTセル200は基板上に配列され、又は、電気的に並列接続されている。なお、図4Aは2chの1Dアレイの構成例を示し、図4Bは、2ch×2chの2Dアレイの構成例を示す。ただし、複数のpMUTセル200の配列は、図4A又は図4Bに示す配列に限定されるものではない。

0031

図5は、pMUTセル200の基本的な構造を示す。図5AはpMUTセル200の平面図を示し、図5Bは、図5AのA−A’線断面図を示す。なお、図5A及び図5Bでは、電極配線を省略している。

0032

pMUTセル200は、圧電素子202と、圧電素子202を支持する基板201とから構成される。

0033

また、圧電素子202は、圧電薄膜(圧電部材)203と、圧電薄膜203の後面(厚さ方向の一方の面)に配設され基板201上に接合された下部電極204と、圧電薄膜203の前面(厚さ方向の他方の面)に配設され、下部電極204とで一対となって圧電薄膜203に電圧を印加する上部電極205とから構成される。

0034

上部電極205及び下部電極204の電極材料としては、例えば、プラチナ、金、アルミニウムなどが挙げられる。

0035

図5Bに示すpMUTセル200は、基板201を支持体とし、圧電素子202によって形成されるダイアフラムを太鼓状に振動させて超音波の送受信を行うダイアフラム構造である。

0036

図5Cは、図5Bに示すpMUTセル200によって形成されるダイアフラムの構造を表す等価単減衰振動モデルを示す。図5Cにおいて、kはダイアフラム構造における振動のばね定数を示し、cは粘性係数(減衰係数と称することもある)を示し、mは集中質量(以下、単に質量と称することもある)を示し、xは基準位置からの変位(ばねの伸び縮み)を示し、F0は周期的外力(すなわち、駆動信号の強度)を示す。

0037

図5Cに示すダイアフラム構造(振動モデル)には、次式に示す関係が成立する。

0038

式(1)においてωはpMUTセル200の駆動振動数(つまり駆動周波数に対応)を示す。また、図5Cに示すダイアフラム構造における変位速度応答v(出力音圧に比例)は、次式で表される。

0039

式(2)において、x0は最大変位を示し、外力F0とバネ定数kの比で求まり、tは時間を示す。また、βは位相角を示し、次式で表される。

0040

式(3)に示されるκ(駆動振動数比)及びζ(粘性係数比)は次式(4)、(5)でそれぞれ表される。

0041

式(4)、(5)において、ω0は固有振動数(つまり共振周波数に対応)を示し、ccは臨界粘性係数(臨界減衰係数と称することもある)を示す。式(3)より、κ=1の場合(ω=ω0、つまり、共振周波数にて駆動時)、変位速度v(出力音圧)が最大となることが分かる。

0042

また、上述した、k、m、ccは、次の関係がそれぞれ成立する。なお、ρは電極の材料密度を示し、tは電極の厚みを示し、Aは電極の面積を示す。

0043

ここで、図6は、変数ζが異なる場合における、変数κと位相角βとの関係(位相特性)を示す。図6に示すように、κ=1(ω=ω0)では、ζが何れの値であっても位相βが一致することが分かる。ただし、κが1以外の場合、すなわち、κ<1(ω<ω0)又はκ>1(ω>ω0)の場合には、ζの値によって位相βが異なる。特に、κ=1付近での位相βの変動は、κ=0又は2付近(つまり、κ=1から十分離れた値)での位相βの変動と比較して急であることが分かる。

0044

このように、超音波送受信部22に含まれる複数のpMUTセル200の各々のダイアフラム構造において、ζの値が異なる場合には、各pMUTセル200における位相特性が異なってしまう。上述したように、複数のpMUTセル200での位相特性が異なると、pMUTセル200同士の音圧が互いを打ち消し合ってしまい、超音波トランスデューサ20の感度が劣化してしまう。

0045

そこで、本実施の形態では、pMUTセル200のダイアフラム構造を調整することによって、複数のpMUTセルにおける位相特性を同程度に揃える。ここでは、式(5)に示すζの関係式に着目する。

0046

式(6)に示すように、臨界粘性係数ccは、ばね定数k及び質量mによって表される。すなわち、式(5)に示すζは、ばね定数k、粘性係数c、及び、質量mによって決定される。換言すると、ζは、ばね定数k、粘性係数c、又は、質量mを変化させることによって調整可能である。

0047

ここで、ばね定数kは、pMUTセル200のダイアフラムの支持体(つまり、基板201)の構造に応じて変化する。また、粘性係数cは、pMUTセル200のダイアフラム全面又は背面の摩擦粘性に応じて変化する。また、質量mは、pMUTセル200の上部電極205の構成(面積、厚み、又は密度)に応じて変化する。

0048

本実施の形態では、例えば、上述したばね定数k、粘性係数c、及び質量mのうち少なくとも2つのパラメータを変化させて位相特性(β)を調整することにより、各pMUTセル200の位相特性(つまり、ζ)を同程度に揃える。つまり、本実施の形態では、図5Cに示すpMUTセル200によって形成されるダイアフラムにおけるκと位相βとの関係(位相特性)が複数のpMUTセル200間において略同一となるように、ダイアフラムの構造を表す等価単減衰振動モデルにおけるばね定数k、粘性係数c、質量mのうち少なくとも2つ以上のパラメータには複数のpMUTセル200間において異なる値が設定されている。

0049

以下、ばね定数k、粘性係数c、及び質量mの各々における位相特性の調整方法について詳細に説明する。

0050

[ばね定数k]
図7は、本実施の形態に係るばね定数kを調整する場合のpMUTセル200の構造を示す。図7AはpMUTセル200の平面図を示し、図7Bは、図7AのB−B’線断面図を示す。なお、図7A及び図7Bでは、電極配線を省略している。

0051

図7Aに示すように、pMUTセル200の基板201aの圧電素子202に接する面には、圧電素子202の外周部分に部分的に穴が形成される。このように、複数のpMUTセル200毎にダイアフラムの支持構造を変化させて、断面二次モーメントを変えることにより、バネ係数kが調整される。図7A及び図7Bに示すように、基板201aに形成される穴を調整することにより、圧電素子202の径(ダイアフラム径と称することもある)を変えることなくばね係数kが調整され、結果として、粘性係数比ζが調整される。すなわち、複数のpMUTセル200では、図7A及び図7Bに示す穴の大きさに応じてばね定数がそれぞれ異なる。

0052

図8Aは、穴の大きさに応じたばね係数kの変化の説明に供する図である。具体的には、図8Aは、図7Aに示す領域Cにおける基板201aを拡大した斜視図である。図8Aに示すように、長さLは、圧電素子202の外周部に形成される穴の径方向の長さに相当し、Lが大きいほど穴の径方向の長さが長くなる。また、幅bは、形成される穴の円周方向の長さに対応し、bが大きいほど穴の円周方向の長さが短くなる。また、厚みhは、穴が形成される円周部における基板201aの厚みに相当する。つまり、図8Aに示すL、b、hの長さを調整することにより、穴の大きさが調整される。

0053

このように、図8A及び図8Bに示すpMUTセル200では、ダイアフラムの支持体の形状を変化させることにより、ばね定数kが調整される。

0054

ここで、式(6)に示す臨界粘性係数ccは、変数L、b、hを用いると次式のように表される。

0055

式(7)において、mは質量を示し、Eはヤング率を示す。よって、ばね定数kは、変数L、b、hを用いて次式で表される。

0056

そして、変数b、h、Lの各々を変化させてダイアフラム支持構造を調整した場合におけるζの変化量は次式(9)−(11)でそれぞれ表される。

0057

式(9)−(11)より、図8Bに示すように、幅bの増加はζの負方向への変化に寄与し、厚みhの増加はζの負方向への変化に寄与し、長さLの増加は、ζの正方向への変化に寄与する。

0058

このようにして、複数のpMUTセル200毎にダイアフラム支持構造を調整することにより、各pMUTセル200の位相特性(ζ)をpMUTセル200間において同程度に揃えることができる。

0059

[粘性係数c]
図9A及び図9Bは、本実施の形態に係る粘性係数cを調整する場合のpMUTセル200の構造を示す。なお、図9A及び図9Bでは、電極配線を省略している。

0060

図9Aに示すpMUTセル200の基板201は、圧電素子202の厚み方向に向かって圧電素子202を基板201へ投影した部分(つまり、ダイアフラムの背面側)に中空部(内部空間)を有する。本実施の形態では、ダイアフラムの背面側である基板201の内部空間に、流体又は樹脂などの充填材206が封入される。充填材206としては、例えば、可撓性エポキシ樹脂シリコンオイル類、フルオロエーテル類フルオロカーボン類、純水などが挙げられる。

0061

一方、図9Bに示すpMUTセル200では、タイヤフラムの前面側に、圧電素子202を覆うようにして、樹脂材207から成る絶縁層が形成される。樹脂材207としては、例えば、可撓性エポキシ樹脂などが挙げられる。

0062

すなわち、図9A及び図9Bに示すpMUTセル200では、ダイアフラムの前面又は背面に絶縁層の形成又は充填材206の封入により、粘性係数cが調整される。すなわち、図9Aに示す複数のpMUTセル200では、基板201の内部空間に充填材206が封入されるか否か又は充填材206の材料に応じて、粘性係数cがそれぞれ異なる。また、図9Bに示す複数のpMUTセル200では、絶縁層の材料(樹脂材207)に応じて粘性係数cがそれぞれ異なる。

0063

ここで、式(5)(式(7))において粘性係数cを変化させた場合におけるζの変化量は次式で表される。

0064

式(12)より、図9Cに示すように、充填材206又樹脂材207による粘性係数cの増加はζの正方向への変化に寄与する。なお、充填材206又樹脂材207の種別によって粘性係数cの増加度合いは異なる。

0065

このようにして、複数のpMUTセル200毎に充填材206又樹脂材207の有り/無、及び、種別を調整することにより、各pMUTセル200の位相特性(ζ)を同程度に揃えることができる。

0066

[質量m]
図10A及び図10Bは、本実施の形態に係る質量mを調整する場合のpMUTセル200の構造を示す。なお、図10A及び図10Bでは、電極配線を省略している。

0067

式(6)に示すように、質量mは、電極材料の密度ρ、厚みt、面積Aによって表される。そこで、本実施の形態では、電極材料の密度ρ、厚みt、面積Aを変化させて、複数のpMUTセル200間での質量mを調整する。

0068

例えば、図10Aに示すpMUTセル200では、例えば、図5Bに示す上部電極205と比較して、上部電極205aの厚みが大きくなっている。

0069

また、図10Bに示すpMUTセル200では、例えば、図5Bに示す上部電極205と比較して、上部電極205bの径が短くなっている。つまり、図10Bでは、図5Bと比較して、上部電極205bの面積が小さくなっている。

0070

また、上部電極205の電極材料の種別によって電極材料の密度は異なる。

0071

このように、pMUTセル200では、圧電素子202の上部電極のサイズ又は材料を変化させることにより、質量mが調整される。すなわち、複数のpMUTセル200では、圧電素子202の上部電極の電極材料の密度ρ(図示せず)、厚みt(図10A参照)又は面積A(図10B参照)に応じて質量mがそれぞれ異なる。

0072

ここで、式(5)(式(7))において質量mを変化させた場合におけるζの変化量は次式で表される。

0073

式(13)より、図10Cに示すように、圧電素子202の上部電極による質量mの増加はζの正方向への変化に寄与する。

0074

このようにして、複数のpMUTセル200毎に圧電素子202の上部電極205の形状又は種別を調整することにより、各pMUTセル200の位相特性(ζ)を同程度に揃えることができる。

0075

以上、ばね定数k、粘性係数c、及び質量mの各々における位相特性の調整方法について説明した。

0076

例えば、pMUTセル200の製造時に、ばね定数k、粘性係数c、及び質量mのうち少なくとも2つのパラメータを調整することにより、複数のpMUTセル200の位相特性を同程度に揃えればよい。例えば、ばね定数k、粘性係数c、及び質量mのうち何れか2つを調整してもよく、すべてのパラメータを調整してもよい。

0077

図11は、一例として、位相特性の調整に際して、所定の評価基準における各パラメータの評価を示す。ただし、位相特性の調整において用いるパラメータの決定方法図11に示すものに限定されるものではない。

0078

例えば、図11では、ばね定数kを決定するパラメータとして、図8に示す長さL、厚みh、幅bを用いて、質量mを決定するパラメータとして、上部電極205の面積A、厚みt、電極材料密度ρを用いる場合について説明する。また、図11では、各パラメータの評価基準として、(1)pMUTセル200の構造(形状、厚みなど)を調整する際の精度管理容易性、(2)製造時におけるフォトマスク数又はリソグラフィプロセス数に影響する、圧電素子202の厚み方向の構造の少なさ、(3)pMUTセル200を構成する構成材料の少なさ、について考慮している。

0079

図11では、評価基準に対する各パラメータの評価を「○(優れている)」と「×(劣っている)」とで決定し、総合点(「○」の数)が決定される。そして、総合点の最も高いパラメータを複数のpMUTセル200において異なるように調整することにより、各pMUTセル200での位相特性を同程度に揃えればよい。例えば、図11では、長さL及び幅bによってばね定数kが調整され、上部電極205の面積Aによって質量mが調整されることにより、pMUTセル200での位相特性を同程度に揃える。これにより、製造プロセスが複雑になることを防ぎ、製造されるpMUTセル200の品質の劣化を防ぎつつ、複数のpMUTセル200の位相特性を同程度に揃えることが可能となる。

0080

このようにして、pMUTセル200の各々において複数のパラメータ(ばね定数k、粘性係数c、又は、質量m)を用いることにより、例えば、1つのパラメータのみを用いる場合と比較して、位相特性(ζの値)の調整精度をより向上させることが可能となる。

0081

図12は、調整前と調整後における各pMUTセル200(図12ではセル1〜3)での位相特性の一例を示す。図12に示すように調整前にはセル1〜3の位相特性がそれぞれ異なっていたのに対して、調整後にはセル1〜3の位相特性がほぼ一致している。

0082

この際、超音波トランスデューサ20の駆動時における複数のpMUTセル200の各々のκ(駆動振動比)を同一にすればよい。例えば、図12において、各pMUTセル200(セル1〜3)は、κの値が同一になるような駆動周波数によって駆動されればよい。こうすることで、各pMUTセル200での位相はほぼ同一となる。

0083

例えば、図13Aのように、pMUTセル200であるセル1〜3の共振周波数(fr1,fr2,fr3)がそれぞれ異なる8MHz、10MHz、12MHzである場合について説明する。また、図13Bに示すようにセル1〜3の位相特性が同程度に調整されているものとする。また、ここでは、図13Bに示すように、セル1〜3がκ=0.8の同一の値で駆動される。この場合、図13Aに示すように、セル1〜3は、それぞれ6.4MHz、8MHz、9.6MHzの駆動周波数によって駆動することになる。

0084

つまり、図13Bに示すように、異なる共振周波数を有するpMUTセル200に対して、同一の位相特性かつ同一のκの値を用いることにより、同一の位相βが得られる。つすなわち、複数のpMUTセル200において共振周波数(つまり、ω0)が異なる場合でも、同程度の位相特性においてκ(式(4)を参照)が同一となるような駆動周波数(つまり、ω)で各pMUTセル200を同時駆動させることにより、複数のpMUTセル200における位相特性(位相β)を揃えることができる。

0085

よって、本実施の形態によれば、複数のpMUTセル200が同時駆動しても、互いの位相が反転して各pMUTセル200での出力音圧が互いを打ち消し合うことが無いので、超音波送受信部22全体の出力音圧の低下を防ぐことができる。すなわち、超音波トランスデューサ20の感度の劣化を防ぐことができる。

0086

なお、本実施の形態では、図13Bに示すように、各pMUTセル200がκ=0.8を用いる場合について説明した。しかし、各pMUTセル200が用いるκの値は0.8に限らず、例えば、κ>1の値でもよい。

0087

一般に、κと位相βとの間の特性(例えば、図6を参照)において、κ=1(ω=ω0)ではζの値によらず位相βは一定の値を採るものの、κ=1付近での位相βの変動は急である。つまり、κ=1付近では、κの値の変動に対する位相βの変動量は大きい。一方、図6に示すように、κがより小さいほど(ω<<ω0)、又は、κが大きいほど(ω>>ω0)、κの値の変動に対する位相βの変動量はより小さくなる。

0088

また、pMUTセル200の構成を調整したとしても、例えば、製造プロセスでの誤差などに起因して、各pMUTセル200の位相特性が完全には揃わないことも想定される。この場合、各pMUTセル200においてκ=1付近の値を用いたのでは、各pMUTセル200の位相βが異なってしまい、出力音圧が互いを打ち消し合うことを回避できなくなってしまう。そこで、本実施の形態では、各pMUTセル200において用いるκの値として、κ=1よりも十分に小さい値(例えば、図6ではκ=0付近)、又は、κ=1よりも十分に大きい値(例えば、図6ではκ=2付近)を用いてもよい。こうすることで、各pMUTセル200の位相βの調整精度をより向上させることができる。これにより、各pMUTセル200でのζを調整して位相特性を揃えた結果にずれが生じる場合であっても、当該ずれに起因して各pMUTセル200の位相差が大きくなることを抑えることができる。

0089

また、本実施の形態では、図13Bに示すように、各pMUTセル200がκとして同一の値を用いる場合について説明した。しかし、各pMUTセル200が用いるκの値は異なってもよい。例えば、図14Aのように、pMUTセル200であるセル1〜3の共振周波数(fr1,fr2,fr3)がそれぞれ異なる8MHz、10MHz、12MHzである場合について説明する。ここでは、図14Bに示すように、各pMUTセル200(セル1〜3)での位相βの差(最大値最小値との差)が所定の閾値(例えば20度)未満となるように、各pMUTセル200において用いられるκの値が決定されてもよい。例えば、図14Bでは、セル1〜3はκ=0.625、0.5、0.416でそれぞれ駆動される。この場合、図13Aに示すように、セル1〜3の各々は5MHzの駆動周波数によって駆動することになる。こうすることで、例えば、各pMUTセル200でのζを調整して位相特性を揃えた結果にずれが生じる場合であっても、当該ずれに起因する、各pMUTセル200の位相差が大きくなることを抑えることが可能となる。

0090

また、上述したように、κの値として、κ=1よりも十分に小さい値(例えば、図6ではκ=0付近)、又は、κ=1よりも十分に大きい値(例えば、図6ではκ=2付近)では、位相βの変動量は小さい(つまり、位相差は小さいので)。そこで、図13Bに示すκ=0.8の代わりに、κ=0付近の値又はκ=2付近の異なる値が各pMUTセル200に対して使用されてもよい。こうすることで、各pMUTセル200における位相差が大きくなることを抑えつつ、駆動周波数(ω)を柔軟に設定することができる。

0091

なお、上記では、各pMUTセル200に対するκの設定例について説明したが、上記κの設定例については、所定数のpMUTセル200によって構成されるセルグループ毎に適用してもよい。

0092

本開示は、複数のpMUTを備えた超音波トランスデューサに対して有用である。

0093

1超音波診断装置
10超音波診断装置本体
11操作入力部
12 送信部
13 受信部
14画像処理部
15 表示部
16 制御部
20超音波トランスデューサ
21 保護層
22超音波送受信部
23バッキング材
24信号処理回路24
30ケーブル
200 pMUTセル
201,201a基板
202圧電素子
203圧電薄膜
204 下部電極
205,205a,205b 上部電極
206充填材
207 樹脂材

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