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技術 ダブルストリップ共振器の給電方法及び給電装置

出願人 国立大学法人山梨大学株式会社日本製鋼所
発明者 關谷尚人岸田和人佐藤庸夫寺尾勝廣北田典敬
出願日 2014年7月16日 (7年3ヶ月経過) 出願番号 2014-145743
公開日 2016年2月8日 (5年8ヶ月経過) 公開番号 2016-025363
状態 特許登録済
技術分野 導波管型周波数選択装置および共振器
主要キーワード 熱電導率 スプリアス共振 給電器 共振器周波数 マイクロ波共振器 共振器間隔 低損失材料 給電部分
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図面 (15)

課題

高い耐電力特性を実現しつつ、共振器放射損がないストリップライン構造を用いることで高いQ値を実現し、また,給電方法を改善することによってスプリアス共振が発生しない小型なダブルストリップ共振器への給電方法または給電装置を提供する。

解決手段

第一の誘電体の対向する外側面にそれぞれ導体層を設けて一対の接地導体20とし、第一の誘電体10の内面側に第二の誘電体11を介して所定の間隔で2枚のストリップ導体(共振器)14と(給電器)17を設けて、第二の誘電体11を介して接地導体20の平面と並行に配し、コネクタ18の円柱状の中心導体13が、当該上下平行に配置された2枚のストリップ導体の給電器17と線接触する。

概要

背景

マイクロストリップライン構造マイクロ波ミリ波共振器の中で最も単純な形状の一つは、共振器周波数において半波長もしくは半波長の整数倍電気長を有するストリップ導体と、誘電体基板及び導体接地導体からなる構造の共振器である。この共振器に流れる高周波電流は図1のように表皮効果超電導体の場合、磁場侵入長)によって導体表面に集中し、また、図2のように導体幅方向のエッジ部分に集中する。その傾向は周波数が高くなるほど顕著である。

前述のようなタイプの共振器を例えば1 W以上といった、大電力信号用のマイクロ波共振器として利用する場合、ストリップ線路のエッジ部分への電流集中耐電力特性障害となる。これは、エッジに集中した大きな電流密度導体材料許容電流密度を超えることで、導体材料の電気電導特性が破壊されるからである。例えば、超電導材料を用いてストリップ線路を形成している場合、エッジ部分に集中する高周波電流が臨界電流密度(超電導体に流せる電流限界値)を超えたときなどがこれに該当する。

一方、耐電力特性とは別に、共振器にとって重要な特性の一つは無負荷Q値(Qu)である。共振器のQuは、式(1)で表すことができ、Qcは導体損失によるQ値、Qdは誘電体基板による損失によるQ値、Qrは共振器からの放射損失によるQ値であり、各損失が小さいほどQuは高い。
1/Qu = (1/Qd)+ (1/Qc)+ (1/Qr) ・・・・・・ (1)

複数の共振器を用いて構成するローパスフィルタハイパスフィルタバンドパスフィルタなどの周波数フィルタでは、共振器のQuが高いほど、急峻な遮断特性や小さな挿入損失を実現できることから、高いQuをもつ共振器が求められる場合が多い。

前述のようなタイプの共振器のQuを決める支配的な損失要因が導体損失である場合には、例えば、超電導材料のように導体損失が極めて低い材料を用いることで高いQuを実現できる。

ストリップ線路を構成する導体材料の抵抗が低く、共振器のQuを決めている支配的な損失要因が導体損ではない場合がある。例えば、マイクロストリップライン構造の伝送線路導体部分(ストリップ線路と接地導体)が超電導体などのように導体損失の小さい材料で形成されており、誘電体基板もサファイアなどの誘電体損失が小さい材料である場合には、共振器のQuを決めている支配的な損失要因は放射損失である。このような場合には導体損失を低減してもQuの向上は少なく、放射損失を低減することができなければ、導体および誘電体材料が本来持っている低損失特性を活かすことができない。

放射損失がない構造としては、ストリップ線路の上下にGNDを配したストリップライン構造が知られており、特許文献1ではストリップライン構造を用いて放射損を低減し、なおかつストリップ線路のエッジ部分の電流集中を緩和する方法が提案されている。

この共振器は、誘電体をはさんで所定の距離を隔てて対向位置せしめられた一対の接地導体間に、ストリップ導体を配した対向型ストリップ線路によって、共振回路を構成せしめて成る対向型ストリップ共振器において、上記ストリップ導体を、上記一対の接地導体間において、該接地導体と平行に複数枚、上記誘電体を介して互いに所定の間隔を隔てて積層状に配置せしめたことを特徴としている。
そして、当該例の共振器の開示した公報には次のことが開示されている。
(a)従来の共振器と同様にストリップ導体の開放端に対して、一つの信号が入力されることとなる。そして、それら二枚のストリップ導体はスルーホールによって互いに導通されていることから、かかる信号が、偶モード同位相)で有利に入力せしめられ得るのである。

しかしながら、上記(a)の構造を有しているが、抵抗値が小さく導体損失の小さい材料である超電導体を形成する誘電体基板(サファイアや酸化マグネシウム)はスルーホールの形成が困難であり、また、スルーホール部分に導体損が生じ、Quの劣化につながる。スルーホールを用いない場合、偶モードだけでなく奇モード逆位相)による共振帯域のすぐ近くにスプリアスとして存在し、帯域外周波数特性が著しく劣化するという問題点があった。

これら問題を解決する方法として、特許文献2では、ダブルストリップ共振器と奇モードが発生しない新しい同軸線路を用いた給電方法を提案している。図14に提案した構造を示す。

この給電方法を用いた共振器は、第一の誘電体10、12の対向する外側面に導体層を設けて一対の接地導体20、20とし、第一の誘電体の内面側の対向に第二の誘電体11を介して所定の間隔で2枚のストリップ導体14、14を設けて、第二の誘電体11を介して接地導体の平面と並行に配し、さらに入出力給電器として同軸線路15、15が2枚のストリップ導体の上下方向の中間位置に配されてなるダブルストリップ共振器である。

前述のようなタイプの給電方法は不要な奇モードが発生しないため、偶モードだけを出力することができる。しかしながら、上記方法のQuは同軸線路の材質によって大きく左右され、低損失材料である超電導体では3次元構造を持つ同軸線路を形成することが今の技術では困難であるため、高いQuを実現するのが困難であるという問題がある。

また、同軸線路15、15は2枚のストリップ導体の上下方向の中間位置に配される必要があり、2枚のストリップ導体の上下方向の中間位置からずれると、スプリアス共振である奇モードが励振される問題(図8右側ピーク参照)があるため、位置合わせが非常に困難であるという設置上の問題があった。

たとえば現実の問題として、同軸線路15、15の長さは設計時に正確に設計できないため、共振器及びフィルタを作製後に同軸線路15、15を微調整する必要がある。特に超電導体を用いる場合には−200℃近くまで冷却しなければ超電導状態転位しないため、冷却後でなければフィルタ特性を確認できず、また、常温まで温度を戻さなければ同軸線路の微調整を行えないため、作製と評価に多くの時間を要するという問題があった。

概要

高い耐電力特性を実現しつつ、共振器の放射損がないストリップライン構造を用いることで高いQ値を実現し、また,給電方法を改善することによってスプリアス共振が発生しない小型なダブルストリップ共振器への給電方法または給電装置を提供する。第一の誘電体の対向する外側面にそれぞれ導体層を設けて一対の接地導体20とし、第一の誘電体10の内面側に第二の誘電体11を介して所定の間隔で2枚のストリップ導体(共振器)14と(給電器)17を設けて、第二の誘電体11を介して接地導体20の平面と並行に配し、コネクタ18の円柱状の中心導体13が、当該上下平行に配置された2枚のストリップ導体の給電器17と線接触する。

目的

本発明者はダブルストリップ共振器における同軸線路に代わって、新たな給電方法、給電装置を工夫することで、偶モードの信号だけを優位に励振し、超電導体で給電部分を共振器と同時に作製することで、良好な特性を有する共振器及びフィルタを難しい調整をすることなく実現でき、しかも、共振器及び給電部分をすべて超電導体で作製することで高いQuを有する共振器及びフィルタを実現する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第一の誘電体の対向する外側面にそれぞれ導体層を設けて一対の接地導体とし、第一の誘電体の内面側に第二の誘電体を介して所定の間隔で2枚のストリップ導体共振器)とストリップ導体(給電器)を設けて、第二の誘電体を介して接地導体の平面と並行に配し、第一の誘電体上にあるストリップ導体(給電器)で上下方向からコネクタ中心導体を挟み込むように接触させることにより、円柱状のコネクタの中心導体が、当該上下平行に配置された2枚のストリップ導体の給電器と線接触することを特徴とするダブルストリップ共振器の給電方法

請求項2

第一の誘電体の対向する外側面にそれぞれ導体層を設けて一対の接地導体20とし、第一の誘電体の内面側に第二の誘電体11を介して所定の間隔で2枚のストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17を設けて、第二の誘電体11を介して接地導体20の平面と並行に配し、コネクタ18の中心導体13が、当該上下平行に配置された2枚のストリップ導体の給電器17と線接触させることを特徴とするダブルストリップ共振器の給電方法。

請求項3

ストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17が超電導体であり、コネクタ18とその中心導体13が常電導体である請求項2に記載したダブルストリップ共振器の給電方法。

請求項4

第一の誘電体の対向する外側面にそれぞれ導体層を設けた一対の接地導体20と、第一の誘電体の内面側に第二の誘電体11を介して所定の間隔で、第二の誘電体11を介して接地導体20の平面と並行に配し設けられた2枚のストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17、コネクタ18の中心導体13が、当該上下平行に配置された2枚のストリップ導体の給電器17と線接触させることを特徴とするダブルストリップ共振器の給電装置

請求項5

前記ストリップ導体の長さは、共振周波数波長の半分の長さとなることを特徴とした請求項4に記載のダブルストリップ共振器の給電装置。

請求項6

第二の誘電体が、気体液体固体から選ばれる請求項4又は請求項5に記載したダブルストリップ共振器の給電装置。

請求項7

2枚のストリップ導体の対を複数個設けてなる請求項4ないし請求項6のいずれかに記載したダブルストリップ共振器の給電装置。

請求項8

ストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17が超電導体であり、コネクタ18とその中心導体13が常電導体である請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のダブルストリップ共振器の給電装置。

請求項9

ストリップ導体(共振器)14が多段構造を有し、ストリップ導体(給電器)17の入力端が、ストリップ導体(共振器)14の初段に入力され、ストリップ導体(給電器)17の出力端がストリップ導体(共振器)14の最終段から出力される請求項4ないし請求項8のいずれかに記載のダブルストリップ共振器の給電装置。

請求項10

ストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17が極細スリットにより、切り離されている請求項4ないし請求項9のいずれかに記載のダブルストリップ共振器の給電装置。

請求項11

ストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17が切り離されていない請求項3ないし請求項9のいずれかに記載のダブルストリップ共振器の給電装置。

技術分野

0001

この発明は、高周波マイクロ波ミリ波を使った装置、例えば、移動体通信衛星通信、固定マイクロ波通信、その他の通信技術分野において信号の送受信に利用される共振器及びそれを使った帯域通過フィルタ給電方法及び給電装置、とくにダブルストリップ共振器の給電方法及び給電装置に関するものである。

背景技術

0002

マイクロストリップライン構造のマイクロ波やミリ波の共振器の中で最も単純な形状の一つは、共振器周波数において半波長もしくは半波長の整数倍電気長を有するストリップ導体と、誘電体基板及び導体接地導体からなる構造の共振器である。この共振器に流れる高周波電流は図1のように表皮効果超電導体の場合、磁場侵入長)によって導体表面に集中し、また、図2のように導体幅方向のエッジ部分に集中する。その傾向は周波数が高くなるほど顕著である。

前述のようなタイプの共振器を例えば1 W以上といった、大電力信号用のマイクロ波共振器として利用する場合、ストリップ線路のエッジ部分への電流集中耐電力特性障害となる。これは、エッジに集中した大きな電流密度導体材料許容電流密度を超えることで、導体材料の電気電導特性が破壊されるからである。例えば、超電導材料を用いてストリップ線路を形成している場合、エッジ部分に集中する高周波電流が臨界電流密度(超電導体に流せる電流限界値)を超えたときなどがこれに該当する。

0003

一方、耐電力特性とは別に、共振器にとって重要な特性の一つは無負荷Q値(Qu)である。共振器のQuは、式(1)で表すことができ、Qcは導体損失によるQ値、Qdは誘電体基板による損失によるQ値、Qrは共振器からの放射損失によるQ値であり、各損失が小さいほどQuは高い。
1/Qu = (1/Qd)+ (1/Qc)+ (1/Qr) ・・・・・・ (1)

複数の共振器を用いて構成するローパスフィルタハイパスフィルタバンドパスフィルタなどの周波数フィルタでは、共振器のQuが高いほど、急峻な遮断特性や小さな挿入損失を実現できることから、高いQuをもつ共振器が求められる場合が多い。

前述のようなタイプの共振器のQuを決める支配的な損失要因が導体損失である場合には、例えば、超電導材料のように導体損失が極めて低い材料を用いることで高いQuを実現できる。

0004

ストリップ線路を構成する導体材料の抵抗が低く、共振器のQuを決めている支配的な損失要因が導体損ではない場合がある。例えば、マイクロストリップライン構造の伝送線路導体部分(ストリップ線路と接地導体)が超電導体などのように導体損失の小さい材料で形成されており、誘電体基板もサファイアなどの誘電体損失が小さい材料である場合には、共振器のQuを決めている支配的な損失要因は放射損失である。このような場合には導体損失を低減してもQuの向上は少なく、放射損失を低減することができなければ、導体および誘電体材料が本来持っている低損失特性を活かすことができない。

放射損失がない構造としては、ストリップ線路の上下にGNDを配したストリップライン構造が知られており、特許文献1ではストリップライン構造を用いて放射損を低減し、なおかつストリップ線路のエッジ部分の電流集中を緩和する方法が提案されている。

この共振器は、誘電体をはさんで所定の距離を隔てて対向位置せしめられた一対の接地導体間に、ストリップ導体を配した対向型ストリップ線路によって、共振回路を構成せしめて成る対向型ストリップ共振器において、上記ストリップ導体を、上記一対の接地導体間において、該接地導体と平行に複数枚、上記誘電体を介して互いに所定の間隔を隔てて積層状に配置せしめたことを特徴としている。
そして、当該例の共振器の開示した公報には次のことが開示されている。
(a)従来の共振器と同様にストリップ導体の開放端に対して、一つの信号が入力されることとなる。そして、それら二枚のストリップ導体はスルーホールによって互いに導通されていることから、かかる信号が、偶モード同位相)で有利に入力せしめられ得るのである。

0005

しかしながら、上記(a)の構造を有しているが、抵抗値が小さく導体損失の小さい材料である超電導体を形成する誘電体基板(サファイアや酸化マグネシウム)はスルーホールの形成が困難であり、また、スルーホール部分に導体損が生じ、Quの劣化につながる。スルーホールを用いない場合、偶モードだけでなく奇モード逆位相)による共振帯域のすぐ近くにスプリアスとして存在し、帯域外周波数特性が著しく劣化するという問題点があった。

0006

これら問題を解決する方法として、特許文献2では、ダブルストリップ共振器と奇モードが発生しない新しい同軸線路を用いた給電方法を提案している。図14に提案した構造を示す。

この給電方法を用いた共振器は、第一の誘電体10、12の対向する外側面に導体層を設けて一対の接地導体20、20とし、第一の誘電体の内面側の対向に第二の誘電体11を介して所定の間隔で2枚のストリップ導体14、14を設けて、第二の誘電体11を介して接地導体の平面と並行に配し、さらに入出力給電器として同軸線路15、15が2枚のストリップ導体の上下方向の中間位置に配されてなるダブルストリップ共振器である。

前述のようなタイプの給電方法は不要な奇モードが発生しないため、偶モードだけを出力することができる。しかしながら、上記方法のQuは同軸線路の材質によって大きく左右され、低損失材料である超電導体では3次元構造を持つ同軸線路を形成することが今の技術では困難であるため、高いQuを実現するのが困難であるという問題がある。

0007

また、同軸線路15、15は2枚のストリップ導体の上下方向の中間位置に配される必要があり、2枚のストリップ導体の上下方向の中間位置からずれると、スプリアス共振である奇モードが励振される問題(図8右側ピーク参照)があるため、位置合わせが非常に困難であるという設置上の問題があった。

たとえば現実の問題として、同軸線路15、15の長さは設計時に正確に設計できないため、共振器及びフィルタを作製後に同軸線路15、15を微調整する必要がある。特に超電導体を用いる場合には−200℃近くまで冷却しなければ超電導状態転位しないため、冷却後でなければフィルタ特性を確認できず、また、常温まで温度を戻さなければ同軸線路の微調整を行えないため、作製と評価に多くの時間を要するという問題があった。

先行技術

0008

特開平4−43703号公報
特開2014-36251号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明者はダブルストリップ共振器における同軸線路に代わって、新たな給電方法、給電装置を工夫することで、偶モードの信号だけを優位に励振し、超電導体で給電部分を共振器と同時に作製することで、良好な特性を有する共振器及びフィルタを難しい調整をすることなく実現でき、しかも、共振器及び給電部分をすべて超電導体で作製することで高いQuを有する共振器及びフィルタを実現する方法を提供する。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、ダブルストリップ共振器における同軸線路に代わる給電方法、給電装置を発明したものであって、難しい調整をすることなく高いQuを有するダブルストリップ共振器を提供するものである。
すなわち、本発明は、第一の誘電体の対向する外側面にそれぞれ導体層を設けて一対の接地導体とし、第一の誘電体の内面側に第二の誘電体を介して所定の間隔で2枚のストリップ導体(共振器)とストリップ導体(給電器)を設けて、第二の誘電体を介して接地導体の平面と並行に配し、さらにSMAコネクタ中心導体が2枚のストリップ導体の上下方向の中間位置に配されてなるダブルストリップ共振器において、第一の誘電体上にあるストリップ導体(給電器)で上下方向からコネクタの中心導体を挟み込むように接触させることにより、円柱状のコネクタの中心導体が、当該上下平行に配置された2枚のストリップ導体の給電器と線接触することを特徴とするダブルストリップ共振器の給電方法である。
また、本発明は、第一の誘電体の対向する外側面にそれぞれ導体層を設けて一対の接地導体20とし、第一の誘電体の内面側に第二の誘電体11を介して所定の間隔で2枚のストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17を設けて、第二の誘電体11を介して接地導体20の平面と並行に配し、SMAコネクタ18の円柱状の中心導体13が、当該上下平行に配置された2枚のストリップ導体の給電器17と線接触させることを特徴とするダブルストリップ共振器の給電方法である。
またさらに、本発明のダブルストリップ共振器の給電方法では、ストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17が超電導体であり、コネクタ18とその中心導体13が常電導体とすることができる。
さらに本発明は、第一の誘電体の対向する外側面にそれぞれ導体層を設けた一対の接地導体20と、第一の誘電体の内面側に第二の誘電体11を介して所定の間隔で、第二の誘電体11を介して接地導体20の平面と並行に配し設けられた2枚のストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17、コネクタ18の中心導体13が、当該上下平行に配置された2枚のストリップ導体の給電器17と線接触させることを特徴とするダブルストリップ共振器の給電装置である。
また、本発明のダブルストリップ共振器の給電装置においては、前記ストリップ導体(共振器)の長さは、共振周波数波長の半分の長さとすることができる。
さらに、本発明のダブルストリップ共振器の給電装置においては、第二の誘電体が、気体液体固体から選ぶことができる。
また、本発明のダブルストリップ共振器の給電装置においては、2枚のストリップ導体の対を複数個設けることができる。
さらに、本発明のダブルストリップ共振器の給電装置においては、ストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17が超電導体であり、コネクタ18とその中心導体13を常電導体とすることができる。
また、本発明のダブルストリップ共振器の給電装置においては、ストリップ導体(共振器)14を多段構造とし、ストリップ導体(給電器)17の入力端を、ストリップ導体(共振器)14の初段に入力し、ストリップ導体(給電器)17の出力端がストリップ導体(共振器)14の最終段から出力することができる。
さらに、本発明のダブルストリップ共振器の給電装置においては、ストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17が極細スリットにより、切り離すことができる。
さらに、本発明のダブルストリップ共振器の給電装置においては、ストリップ導体(共振器)14とストリップ導体(給電器)17を切り離すことなく繋いで直接給電することも出来る。

発明の効果

0011

本発明の効果について以下(イ)〜(ニ)を挙げることが出来る。
(イ)給電器によるコネクタの中心導体の挟み込み給電による逆位相の電流によるスプリアス共振の抑圧方法
ダブルストリップ共振器の給電器をダブルストリップ共振器と同一平面上に作製することで、図8に示すように、不要な逆位相の電流による共振が励振されず、同位相の電流だけの良好な周波数特性を得ることができる。
(ロ)給電器によるコネクタの中心導体の挟み込み給電による効果
一般的にこのような共振器にあっては、入出力を得るために給電が必要である。図5に示すように本発明による給電方法は共振器と同一平面上に作製した給電器であるストリップ導体でSMAコネクタの中心導体を挟み込むように接触させることで入出力を得る。このような構造にすることで、給電器であるストリップ導体と共振器であるストリップ導体を同一平面上に低損失材料の超電導体で一般的なフォトリソグラフィを用いて同時に作製できることから、特許文献2で問題であった給電器部分の調整を作製、測定時に行う必要がなくなり容易に共振器及びフィルタを実現でき、なおかつ給電器を低損失材料である超電導体で作製できることから高いQuを実現できる利点を有する。
(ハ)ダブルストリップ共振器と挟み込み給電を用いた3段超電導バンドパスフィルタ(BPF)の設計
図10、12より、本発明を用いて構成したフィルタとダブルストリップ共振器と同軸給電を用いたフィルタではほぼ同等のサイズであることがわかる。また、図13(a)より、本発明を用いて構成したフィルタとダブルストリップ共振器と同軸給電を用いたフィルタではほぼ同等の周波数特性を示すことがわかる。しかし、図13(b)の帯域内の挿入損失の拡大図を見ると、本発明を用いて構成したフィルタはダブルストリップ共振器と同軸給電を用いたフィルタと比較して、低損失である利点を有する。

図面の簡単な説明

0012

高周波電流の表皮効果(超電導体の場合、磁場侵入長)
高周波電流の導体幅方向への集中
1/2波長型のダブルストリップ共振器の一実施例の透視斜視図
1/2波長型のダブルストリップ共振器の一実施例の断面図
ダブルストリップ共振器を実装した場合の断面図
ダブルストリップ共振器の磁界分布
給電器が片側の誘電体の上に配置されている場合の断面図である。
同軸線路を挟み込んで給電した場合の周波数特性と給電位置が片側の誘電体の上に配置されている場合の周波数特性の比較
1/2波長型のダブルストリップ共振器を用いた3段フィルタの一実施例の断面図
1/2波長型のダブルストリップ共振器を用いた3段フィルタの一実施例の平面図
1/2波長型のダブルストリップ共振器と同軸給電を用いて構成された3段フィルタの一実施例の断面図
1/2波長型のダブルストリップ共振器と同軸給電を用いて構成された3段フィルタの一実施例の平面図
(a)本発明によって構成されたダブルストリップ共振器フィルタと図12に示す従来のダブルストリップ共振器と同軸線路で構成されたフィルタの周波数特性。(b) (a)の特性の帯域内の拡大図
従来のダブルストリップ共振器と同軸給電の断面図

0013

本発明において用いる第一の誘電体は、固体で誘電性があればどのようなものでも用いることが出来る。成形性に優れたものが好ましい。誘電体損を抑えるために、誘電正接の小さい材料が望ましい。また、温度上昇を抑えるために熱電導率の高い材料が望ましい。
本発明において用いる第二の誘電体は、固体でも、液体でも、気体でもよいが、共に絶縁性(誘電性)を要求される。
誘電体が空気層の場合、二枚のストリップ導体はスルーホールを介さず互いに容易に導通をとることができるため、給電の位置に関わらず偶モード(同位相)だけを容易に得ることができる。
ストリップ導体に用いる常電導体や超電導体についても、知られているどのようなものでも用いることが出来る。

0014

図3は本発明に従って構成された1/2波長型のダブルストリップ共振器と給電器の一実施例の透視斜視図であり、図4は図3の断面図である。また、図5は図3の構造を用いて実際に実装するときの入出力コネクタを含めた断面図である。これらの図中10、11、12は所定の厚さの誘電体で、第一の誘電体10の外側面と第一の誘電体12の外側面に接地導体20が配置されている。かかる誘電体10、11、12は誘電体損を抑えるために、誘電正接の小さい材料を用いて形成することが望ましい。また、温度上昇を抑えるために熱電導率の高い材料を用いて形成することが望ましい。接地導体20は導体損の小さい材料で特に超電導材料が望ましい。
これら接地導体20、20間には、第二の誘電体を介して、二枚のストリップ導体14、14とストリップ導体17、17、17、17が配置されている。ストリップ導体14、14はそれぞれ誘電体10、11、12の比誘電率や厚さ等を考慮して幅(W)が決定されるとともに、その長さ(l)が、目的とする共振周波数の波長の約1/2となるように設定されている。また、ストリップ導体17、17、17、17はストリップ導体14、14の入出力を得るための給電線(給電器)である。
二枚のストリップ導体14、14及び、ストリップ導体17、17、17、17は互いに所定の間隔を隔てて位置し、接地導体20、20に対して平行に延びるようにして位置している。これらのストリップ導体14、14及び、ストリップ導体17、17、17、17の材質としては、導体損の小さい材料で特に超電導材料が望ましい。また、二枚のストリップ導体14、14及び四枚のストリップ導体17、17、17、17を誘電体10の上面と誘電体12の下面に形成し、誘電体11を介して、積層状に積み重ねて配置されている。
図3の構造で実際にSMAコネクタ18を用いて実装した際の断面図を図5に示す。図5に示すように、接地導体20を包み込む導体の筺体19の側面に設置したSMAコネクタ18の中心導体13部分を誘電体10の上面と誘電体12の下面に形成したストリップ導体17、17、17、17で挟み込むように接触させることで、信号の入出力を得る。この際、誘電体11を用いなくてもよいことから、誘電体11は空気層(真空)でも良い。
このような構造にすることで、給電線(給電器)であるストリップ導体17、17、17、17と共振器であるストリップ導体14、14を同一平面上に低損失材料の超電導体で一般的なフォトリソグラフィを用いて同時に作製できることから、特許文献2で問題であった同軸給電の調整を作製、測定時に行う必要がなくなり容易に共振器及びフィルタを実現でき、なおかつ給電線(給電器)を低損失材料である超電導体で作製できることを高いQuを実現できる利点を有する。したがって、本発明は特許文献2で問題となっていた、同軸線路部分の材質によるQuの劣化、測定時の同軸線路の調整の煩雑さなどの問題をすべて解決することができる。

0015

ダブルストリップ共振器は互いに平行に延びる二枚のストリップ導体14、14に同位相の電流が流れるため、その磁界分布は図6のようになる。要するに、かかる共振器においては、ストリップ導体14、14間の磁界が同位相の電流によって打ち消され、一体化した導体のように振る舞う。つまり、実効的に導体厚みが増えたことで、高周波電流が流れる表皮部分を増大し、ストリップ導体における実効断面積を有利に確保することが可能となり集中する高周波電流を低減できることから印加できる電力を有利に向上させることができる。
ダブルストリップ共振器の電流は図6の磁界分布から接地導体側の二枚のストリップ導体14、14の表面にそのほとんどの高周波電流が流れる。周波数が高いミリ波では、ストリップ導体14、14の表面の凹凸が導体損失の増加につながりQuの劣化つながる。しかし、高周波電流は図6に示すようにストリップ導体の接地導体側に流れることから、ストリップ導体加工時の導体表面の劣化の影響を受けないため、高いQuを実現できる。
また、二枚のストリップ導体14、14を誘電体10の上面と誘電体12の下面にエピタキシャル成長させた超電導体を加工して形成する場合には、超電導体が誘電体10、12にエピタキシャル成長する初期の最も良好に結晶が配列している表面抵抗が小さい部分に図1に示す最大の高周波電流を流すことが可能となることから、ストリップ導体14、14の厚さ(t)は特に表面抵抗を下げるために表皮深さ(超電導体の場合、磁場侵入長)の3倍かあるいはそれよりも大きな厚さをもって形成しても、膜表面の表面抵抗が高い部分の影響を少なくでき、印加できる電力を有利に向上させることができる。

0016

(比較例1)
図7の断面図は、図6のストリップ導体(給電器)17、17、17、17が誘電体10の上にだけストリップ導体(給電器)17、17として配置されている場合である。図8は本発明に従って構成された図6の2枚のストリップ導体14、14とストリップ導体(給電器)17、17、17、17が誘電体12の下面と誘電体10の上面に配置した場合の周波数特性と図7の誘電体10の上にだけストリップ導体(給電器)17、17として配置されている場合の周波数特性の比較である。図8より、図7の給電方法の場合、目的の同位相の電流による共振(5.0GHz)と不要な逆位相の電流による共振(5.3 GHz)が同時に励振され同位相の電流による共振の高周波側にスプリアスとして存在し帯域外遮断特性を著しく劣化させる。一方、本発明である図6のストリップ導体(給電器)17、17、17、17によって中心導体13を挟み込んで給電する場合、逆位相の電流による共振が励振されず、同位相の電流だけの良好な周波数特性を示すことが判明した。したがって、同位相の電流による共振だけを得るためには、共振器と同一平面上にそれぞれストリップ導体(給電器)17、17、17、17を設けなければならない。

0017

本発明を用いて3段フィルタを構成した場合と、図14を用いてフィルタを構成した場合のQuの比較を、電磁界シミュレータを用いて行った。図9の断面図と図10の平面図は本発明に従って構成された1/2波長型のダブルストリップ共振器を用いた3段フィルタの一実施例である。誘電体10の下面と誘電体12の上面に接地導体20が配置されている。二枚のストリップ導体36、36、37、37、38、38がそれぞれダブルストリップ共振器を形成し、ストリップ導体35、35が入出力の給電器を形成する。ダブルストリップ共振器36、36、37、37、38、38はフィルタの設計条件に合わせて所定の共振器間隔を隔てて位置する。ストリップ導体36、36、37、37、38、38及びストリップ導体35、35は超電導体を想定して設計した。

実施例

0018

一方、図11の断面図と図12の平面図は特許文献2の1/2波長型のダブルストリップ共振器と同軸給電によって構成された3段フィルタの一実施例である。ダブルストリップ共振器はストリップ導体26、26、27、27、28、28で構成され、設計条件に合わせて所定の共振器間隔を隔てて位置する。第一の誘電体22の下面と第一の誘電体23の上面に接地導体20が配置されている。入出力を得るために同軸線路25、25が配置されている。ストリップ導体26、26、27、27、28、28は図9と同様に超電導体を想定して設計した。また、同軸線路25、25は超電導体で形成することが困難であることから、真鍮を想定した。図9と図11は同一設計条件で設計されており、すべての誘電体の厚さは同じである。
図10と図12を比較すると、入出力の給電器部分が違うだけでほぼ同等のサイズであることがわかる。図13(a)に、図10に示す本発明によって構成されたダブルストリップ共振器フィルタと図12に示す従来のダブルストリップ共振器と同軸線路で構成されたフィルタの周波数特性を示す。ここで図13(a)の「Filter A」とは従来のダブルストリップ共振器と同軸線路で構成されたフィルタであり、「Filter B」とは本発明によって構成されたダブルストリップ共振器フィルタである。図13(a)より、二つのフィルタはほぼ同等の周波数特性を示すことがわかり、また、不要な逆位相の電流による共振も抑圧できていることがわかる。帯域内の挿入損失の拡大図を図13(b)に示す.ここで図13(b)の「Filter A」とは従来のダブルストリップ共振器と同軸線路で構成されたフィルタであり、「Filter B」とは本発明によって構成されたダブルストリップ共振器フィルタである。図13(b)より最少挿入損失は従来のダブルストリップ共振器フィルタが0.075 dBで,本発明によって構成したダブルストリップ共振器フィルタが0.008 dBである。このときの挿入損失からQuを計算すると従来のダブルストリップ共振器フィルタのQuが約12,000であり、本発明のダブルストリップ共振器フィルタのQuが約120,000であった。本発明のダブルストリップ共振器フィルタのQuが従来のダブルストリップ共振器フィルタの約10倍のQuを実現できたのは,給電器部分も低損失の超電導体で実現できるためである。したがって、本発明を用いることで大幅なQuの向上を実現できることを明らかにした。

0019

本発明のダブルストリップ共振器の給電方法及び給電装置は、共振器のみならず、その他の電子部品のみならず、とくにエピタキシャル成長させて作成される超電導部材を搭載する電子部品の接続に広く適用できるので、産業上きわめて利用可能性が高いものである。

0020

1ストリップ線路
10 第一の誘電体
11 第二の誘電体
12 第一の誘電体
13中心導体
14ストリップ導体(共振器)
17 ストリップ導体(給電器)
18SMAコネクタ
19導体の筺体
20接地導体
25同軸給電線路
26 共振器
27 共振器
28 共振器
35 ストリップ導体(給電器)
36 共振器
37 共振器
38 共振器

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