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技術 広帯域化高感度AEセンサー

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 王瑞平粕川和久菊地直人外岡和彦相浦義弘粟津浩一
出願日 2014年7月18日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2014-147819
公開日 2016年2月8日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-025193
状態 特許登録済
技術分野 超音波による材料の調査、分析 圧電、電歪、磁歪装置
主要キーワード 受信板 航空機機体 適用除外 逆位相成分 基礎組成 正圧電効果 ダンパ材 ソフト材
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

PZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスを用いたAEアコースティックエミッションセンサーと同程度かそれよりも検出性能の高い広帯域化AEセンサーを提供する。

解決手段

圧電素子でAE波を検出する広帯域化AEセンサーにおいて、圧電素子の圧電材料として密度が4.0〜6.5g/cm3の鉛フリー圧電セラミックスを用いる。圧電素子からの出力を増幅するプリアンプを内蔵するもの、防水シールされたケース具備するもの、乃至、鉛フリー圧電セラミックスが、一般式{Mx(NayLizK1-y-z)1-x}1-m{(Ti1-u-vZruHfv)x(Nb1-wTaw)1-x}O3で表される圧電固溶体組成物を含む。

概要

背景

アコースティックエミッションとは、材料が変形したり、亀裂の発生・進展等の破壊が生じたりする際に放出する音波(弾性波AE波)である。AE波は主にに聴こえない超音波領域(数10kHz〜数MHz)の高い周波数成分を持つ。

AE波の検出には圧電素子を使ったAEセンサーが用いられている。AEセンサーでは、電場方向と応力方向とがどちらも圧電素子の厚さ方向となる、いわゆる「たて効果」を主に利用している。
AE波は、材料が破壊に至る前の小さな変形や亀裂の発生に敏感に反応するので、AEセンサーによりAE波を検出することで、材料や構造物欠陥や破壊を比較的容易かつ低コスト発見予知することができる。

そのため、AEセンサーを用いたAE波の検出は、例えば、ガスタンク漏洩監視石油タンク腐食監視、疲労試験時の損傷発見検知、異常音検知による回転機器監視、コンクリート構造物破壊特性評価、金型工具損傷検知、航空機機体負荷試験時の損傷発生検知、複合材健全性検査圧力容器耐圧試験時の損傷発生検知など、様々な分野で既に応用されたり、今後の応用が検討されたりしている。

また、近年では、社会インフラとしての橋やトンネルなどの構造物の老朽化が問題となってきているので、AEセンサーによる構造物の健全性モニタリングは、構造物の安全性と保守性を向上させるためのツールとしても益々重要性が高まってきている。

AE波は非常に微弱であるため、その検出に用いられるAEセンサーは高感度でなければならない。また、AE波動再現するために、AEセンサーの感度は広い周波数帯において信号検出できることが求められている。
AEセンサーは、その特性より共振型広帯域型に大別できる。
共振型AEセンサーは、検出素子である圧電素子の共振を利用して高い感度を得る。検出面から入ったAE波は、圧電素子内で反射を繰り返し、圧電素子の共振周波数の成分がより強調されて残り、他の成分は早く減衰する。そのため、共振型AEセンサーは共振周波数付近で高い感度(例えば、共振周波数150kHzの共振型AEセンサーの共振周波数での感度は約70dB、0dB=1V/m/s)を有するが、周波数が高くなるにつれ、一般に感度が顕著に減少し、普通は狭帯域である。
これに対し、広帯域型AEセンサーは、圧電素子の周囲をダンパ材で覆う構造になっており、共振による周波数特性ピークを少なくすることを特徴とする。これによりAE波は圧電素子内での共振が抑えられ、平坦な感度−周波数特性が得られる。しかし、広帯域型AEセンサーの感度は普通約50dBであり、共振型より低い。以上でわかるように、AEセンサーは高感度化広帯域化機構が異なり、高感度化かつ広帯域化同時にすることが困難である。

加えて、このようなAEセンサーについては、従来、圧電性能の高い鉛系圧電セラミックスPZTが圧電素子の不可欠の圧電材料として用いられてきている。しかし、PZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスは、人体や環境に有害な鉛を含むため、望ましいものではないことが知られている。RoHS指令(EUの有害物質使用制限指令)などにおいても鉛を含む鉛系圧電セラミックスは規制対象となっているが、代替できる特性を持つ鉛フリー系圧電セラミックスがないため、同指令の適用除外となっている。現在、鉛系圧電セラミックスは、使用されている圧電セラミックス材料のほぼ9割を占めている。

AEセンサーは弾性波が圧電振動子内部を伝達するときその位相差により振動子を歪ませることにより電圧を発生させる。いわゆる、AEセンサーは圧電材料の正圧電効果を利用して、AE信号を検出する。圧電体分極方向Pと平行に弾性波振動による力Fが加わった時、圧電体に生じた電圧Vが式(1)で表す。
V = g33・l・(F/S) (1)
但し、g33:圧電定数;S:電極面積;l:圧電体の長さ。圧電体はコンデンサとみなせるので、容量をCとすると、電極面に発生する電荷Qは式(2)で表す。
Q = C・V= C・g33・l・(F/S) (2)
圧電体は平行平板型コンデンサと仮定する場合、容量Cと誘電率εT33及び寸法(S、l)間以下の式(3)が成り立つ。
C = εT33・(S/l) (3)
従って
Q = εT33・(S/l) ・g33・l・(F/S) = εT33・g33・F (4)
式(4)から、AEセンサーに要求される圧電材料の特性は、圧電g33定数が高いこと、及び、誘電率εT33が大きいことであることが分かる。

圧電セラミックスは、鉛を含む鉛系圧電セラミックスと鉛を含まない鉛フリー系圧電セラミックスに大別できる。一般的に、鉛系圧電セラミックスより、鉛フリー圧電セラミックス密度は低いことが特徴である。表1に、本発明者たちが開発した鉛フリー圧電セラミックス(組成1、組成2)の特性と市販の鉛系ソフト材圧電セラミックスPZT5A4(Morgan Technical Ceramic ElectroCeramics)の密度と代表的な特性を比較する。これらの値に示されるように、鉛フリー系圧電セラミックスの誘電率eT33が鉛系圧電材料と同程度である。しかし他の圧電特性、特にAEセンサーに重要とされた圧電定数g33が鉛系圧電セラミックスにまだ及ばず、式(4)からAEセンサーの圧電素子に用いられることは適していないと考えられる。表1から分かるように、発明者たちが開発した鉛フリー圧電セラミックス(組成1、組成2)の密度はPZTの6割未満で、かなり軽い。

特許文献4〜9には、鉛フリー系圧電セラミックスの多くの用途の1つとしてAEセンサー用も挙げられているものの、AEセンサーの圧電素子に実用上適していないと考えられ、実際試みさえなされてこなかった。

このように、AEセンサーに用いる圧電素子の圧電材料としては、圧電性能が鉛フリー系圧電セラミックスより大幅に高いPZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスが用いられるだけであり、鉛フリー系圧電セラミックス材料は、その低い圧電性能から、AEセンサーの圧電素子に用いようとすることは考えられてこなかった。

概要

PZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスを用いたAE(アコースティックエミッション)センサーと同程度かそれよりも検出性能の高い広帯域化AEセンサーを提供する。圧電素子でAE波を検出する広帯域化AEセンサーにおいて、圧電素子の圧電材料として密度が4.0〜6.5g/cm3の鉛フリー圧電セラミックスを用いる。圧電素子からの出力を増幅するプリアンプを内蔵するもの、防水シールされたケース具備するもの、乃至、鉛フリー圧電セラミックスが、一般式{Mx(NayLizK1-y-z)1-x}1-m{(Ti1-u-vZruHfv)x(Nb1-wTaw)1-x}O3で表される圧電固溶体組成物を含む。

目的

本発明は、上述のような従来技術を背景としたものであり、共振周波数近傍においてPZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスを用いたAEセンサーと同程度かそれよりも検出性能の高く、かつ、共振周波数より高い周波数領域において高感度が得られる密度の低い圧電セラミックスを用いた広帯域化AEセンサーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

圧電素子AE波を検出するAEセンサーにおいて、圧電素子の圧電材料として密度が4.0〜6.5g/cm3の圧電セラミックスを用いることを特徴とする広帯域化AEセンサー。

請求項2

圧電素子でAE波を検出するAEセンサーにおいて、圧電素子の圧電材料として密度が4.0〜6.5g/cm3の鉛フリー圧電セラミックスを用いることを特徴とする広帯域化AEセンサー。

請求項3

圧電定数g33が12×10-3V・m/N以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の広帯域化AEセンサー。

請求項4

圧電素子からの出力を増幅するプリアンプを内蔵することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。

請求項5

防水シールされたケース具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。

請求項6

鉛フリー圧電セラミックスが、一般式{Mx(NayLizK1-y-z)1-x}1-m{(Ti1-u-vZruHfv)x(Nb1-wTaw)1-x}O3で表される圧電固溶体組成物を含むものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。〔式中、Mは(Bi0.5K0.5)、(Bi0.5Na0.5)及び(Bi0.5Li0.5)からなる群から選ばれる少なくとも一種とBa、Sr、Ca及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種との組み合わせを示す;式中x,y,z,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.3、0<y≦1、0≦z≦0.3、0≦y+z≦1、0<u≦1、0≦v≦0.75、0≦w≦0.2、0<u+v≦1、-0.06≦m≦0.06である。〕

請求項7

鉛フリー圧電セラミックスが、一般式{(BaeSrfCagMgh)x(NayK1-y)1-x}{(Ti1-z-wZrzHfw)x(Nb1-u-vTauSbv)1-x}O3で表される圧電固溶体組成物を含むものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。〔式中e,f,g,h,x,y,z,u,v,wの範囲がそれぞれ0≦e≦1、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、e+f+g+h=1、0<f+g+h<0.05或いは0.2<f+g+h≦1、0<x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦u≦0.5、0≦v≦0.4、0≦w≦1、z+w≦1であり、かつ(1-e)(1-f)(1-g)(1-h)+u+v+w+z>0である。〕

技術分野

0001

本発明は、アコースティックエミッション(Acoustic Emission)センサー(以下、「AEセンサー」という。)に関する。特に、鉛を含まないで広い周波数領域に高感度を有するAEセンサーに関する。

背景技術

0002

アコースティックエミッションとは、材料が変形したり、亀裂の発生・進展等の破壊が生じたりする際に放出する音波(弾性波、AE波)である。AE波は主にに聴こえない超音波領域(数10kHz〜数MHz)の高い周波数成分を持つ。

0003

AE波の検出には圧電素子を使ったAEセンサーが用いられている。AEセンサーでは、電場方向と応力方向とがどちらも圧電素子の厚さ方向となる、いわゆる「たて効果」を主に利用している。
AE波は、材料が破壊に至る前の小さな変形や亀裂の発生に敏感に反応するので、AEセンサーによりAE波を検出することで、材料や構造物欠陥や破壊を比較的容易かつ低コスト発見予知することができる。

0004

そのため、AEセンサーを用いたAE波の検出は、例えば、ガスタンク漏洩監視石油タンク腐食監視、疲労試験時の損傷発見検知、異常音検知による回転機器監視、コンクリート構造物破壊特性評価、金型工具損傷検知、航空機機体負荷試験時の損傷発生検知、複合材健全性検査圧力容器耐圧試験時の損傷発生検知など、様々な分野で既に応用されたり、今後の応用が検討されたりしている。

0005

また、近年では、社会インフラとしての橋やトンネルなどの構造物の老朽化が問題となってきているので、AEセンサーによる構造物の健全性モニタリングは、構造物の安全性と保守性を向上させるためのツールとしても益々重要性が高まってきている。

0006

AE波は非常に微弱であるため、その検出に用いられるAEセンサーは高感度でなければならない。また、AE波動再現するために、AEセンサーの感度は広い周波数帯において信号検出できることが求められている。
AEセンサーは、その特性より共振型広帯域型に大別できる。
共振型AEセンサーは、検出素子である圧電素子の共振を利用して高い感度を得る。検出面から入ったAE波は、圧電素子内で反射を繰り返し、圧電素子の共振周波数の成分がより強調されて残り、他の成分は早く減衰する。そのため、共振型AEセンサーは共振周波数付近で高い感度(例えば、共振周波数150kHzの共振型AEセンサーの共振周波数での感度は約70dB、0dB=1V/m/s)を有するが、周波数が高くなるにつれ、一般に感度が顕著に減少し、普通は狭帯域である。
これに対し、広帯域型AEセンサーは、圧電素子の周囲をダンパ材で覆う構造になっており、共振による周波数特性ピークを少なくすることを特徴とする。これによりAE波は圧電素子内での共振が抑えられ、平坦な感度−周波数特性が得られる。しかし、広帯域型AEセンサーの感度は普通約50dBであり、共振型より低い。以上でわかるように、AEセンサーは高感度化広帯域化機構が異なり、高感度化かつ広帯域化同時にすることが困難である。

0007

加えて、このようなAEセンサーについては、従来、圧電性能の高い鉛系圧電セラミックスPZTが圧電素子の不可欠の圧電材料として用いられてきている。しかし、PZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスは、人体や環境に有害な鉛を含むため、望ましいものではないことが知られている。RoHS指令(EUの有害物質使用制限指令)などにおいても鉛を含む鉛系圧電セラミックスは規制対象となっているが、代替できる特性を持つ鉛フリー系圧電セラミックスがないため、同指令の適用除外となっている。現在、鉛系圧電セラミックスは、使用されている圧電セラミックス材料のほぼ9割を占めている。

0008

AEセンサーは弾性波が圧電振動子内部を伝達するときその位相差により振動子を歪ませることにより電圧を発生させる。いわゆる、AEセンサーは圧電材料の正圧電効果を利用して、AE信号を検出する。圧電体分極方向Pと平行に弾性波振動による力Fが加わった時、圧電体に生じた電圧Vが式(1)で表す。
V = g33・l・(F/S) (1)
但し、g33:圧電定数;S:電極面積;l:圧電体の長さ。圧電体はコンデンサとみなせるので、容量をCとすると、電極面に発生する電荷Qは式(2)で表す。
Q = C・V= C・g33・l・(F/S) (2)
圧電体は平行平板型コンデンサと仮定する場合、容量Cと誘電率εT33及び寸法(S、l)間以下の式(3)が成り立つ。
C = εT33・(S/l) (3)
従って
Q = εT33・(S/l) ・g33・l・(F/S) = εT33・g33・F (4)
式(4)から、AEセンサーに要求される圧電材料の特性は、圧電g33定数が高いこと、及び、誘電率εT33が大きいことであることが分かる。

0009

圧電セラミックスは、鉛を含む鉛系圧電セラミックスと鉛を含まない鉛フリー系圧電セラミックスに大別できる。一般的に、鉛系圧電セラミックスより、鉛フリー圧電セラミックス密度は低いことが特徴である。表1に、本発明者たちが開発した鉛フリー圧電セラミックス(組成1、組成2)の特性と市販の鉛系ソフト材圧電セラミックスPZT5A4(Morgan Technical Ceramic ElectroCeramics)の密度と代表的な特性を比較する。これらの値に示されるように、鉛フリー系圧電セラミックスの誘電率eT33が鉛系圧電材料と同程度である。しかし他の圧電特性、特にAEセンサーに重要とされた圧電定数g33が鉛系圧電セラミックスにまだ及ばず、式(4)からAEセンサーの圧電素子に用いられることは適していないと考えられる。表1から分かるように、発明者たちが開発した鉛フリー圧電セラミックス(組成1、組成2)の密度はPZTの6割未満で、かなり軽い。

0010

0011

特許文献4〜9には、鉛フリー系圧電セラミックスの多くの用途の1つとしてAEセンサー用も挙げられているものの、AEセンサーの圧電素子に実用上適していないと考えられ、実際試みさえなされてこなかった。

0012

このように、AEセンサーに用いる圧電素子の圧電材料としては、圧電性能が鉛フリー系圧電セラミックスより大幅に高いPZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスが用いられるだけであり、鉛フリー系圧電セラミックス材料は、その低い圧電性能から、AEセンサーの圧電素子に用いようとすることは考えられてこなかった。

先行技術

0013

特開平3−111755号公報
特開2000−97682号公報
特開2000−193519号公報
特開2002−193664号公報
特開2007−3443号公報
特開2007−19302号公報
特開2008−179532号公報
特開2008−184336号公報
特開2010−30814号公報
WO2008/143160
特開2006−206429号公報

発明が解決しようとする課題

0014

本発明は、上述のような従来技術を背景としたものであり、共振周波数近傍においてPZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスを用いたAEセンサーと同程度かそれよりも検出性能の高く、かつ、共振周波数より高い周波数領域において高感度が得られる密度の低い圧電セラミックスを用いた広帯域化AEセンサーを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0015

前述のとおり、AE波は極めて微弱な弾性波であるため、そのような微弱な弾性波を検出するAEセンサーの圧電素子に用いる圧電材料としては、圧電性能が他のものより高レベルのPZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスが用いられるだけであり、他の圧電材料は、低い圧電性能から、AEセンサーに用いようとすることは想定されていなかった。

0016

本発明者は、前述の課題を解決するための試験・研究の過程で、AEセンサーにおける圧電材料を含む圧電素子は、極めて微弱なAE波(弾性波)を受けてそれに対応するAE信号を生成することから、圧電材料の密度の低さがAE波の検出に良影響を及ぼす可能性があるとの着想を得た。そして、該着想に基づき、さらなる試験・研究を進める過程で、AEセンサーの検出性能は、圧電材料の良好な圧電性能だけでなく、圧電材料の低密度も大きな影響を及ぼすことを発見した。
前述のように、一般的に、鉛フリー系圧電セラミックスの密度は鉛系圧電セラミックスより低い。例えば、ペロブスカイト構造を有する鉛フリー系圧電材料の密度は4.0〜6.5g/cm3程度で、一般に、PZTをはじめとした鉛系圧電セラミックスの密度(7.6〜8.1g/cm3程度)よりも約20〜50%程度も低いため、圧電性能が鉛系圧電セラミックスと比肩し得るものを選択することにより、鉛系圧電セラミックスを用いたAEセンサーよりも高感度になり得るとの従来の常識と全く懸隔した知見を得た。また、鉛は添加物不純物あるいは助剤等として含まれる完全な鉛フリー系ではない場合も、密度はPZTより低ければよい、密度は4.0〜6.5g/cm3程度であればより好ましい。

0017

本発明は、そのような本発明者独自の着想や知見に基づいて完成させたものであり、本願では、次のような発明が提供される。
<1>圧電素子でAE波を検出するAEセンサーにおいて、圧電素子の圧電材料として密度が4.0〜6.5g/cm3の圧電セラミックスを用いることを特徴とする広帯域化AEセンサー。
<2>圧電素子でAE波を検出するAEセンサーにおいて、圧電素子の圧電材料として密度が4.0〜6.5g/cm3の鉛フリー圧電セラミックスを用いることを特徴とする広帯域化AEセンサー。
<3>圧電定数g33が12×10-3V・m/N以上であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の広帯域化AEセンサー。
<4>圧電素子からの出力を増幅するプリアンプを内蔵することを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。
<5>防水シールされたケース具備することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。
<6>鉛フリー圧電セラミックスが、一般式{Mx(NayLizK1-y-z)1-x}1-m{(Ti1-u-vZruHfv)x(Nb1-wTaw)1-x}O3で表される圧電固溶体組成物を含むものであることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。〔式中、Mは(Bi0.5K0.5)、(Bi0.5Na0.5)及び(Bi0.5Li0.5)からなる群から選ばれる少なくとも一種とBa、Sr、Ca及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種との組み合わせを示す;式中x,y,z,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.3、0<y≦1、0≦z≦0.3、0≦y+z≦1、0<u≦1、0≦v≦0.75、0≦w≦0.2、0<u+v≦1、-0.06≦m≦0.06である。〕
<7>鉛フリー圧電セラミックスが、一般式{(BaeSrfCagMgh)x(NayK1-y)1-x}{(Ti1-z-wZrzHfw)x(Nb1-u-vTauSbv)1-x}O3で表される圧電固溶体組成物を含むものであることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。〔式中e,f,g,h,x,y,z,u,v,wの範囲がそれぞれ0≦e≦1、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、e+f+g+h=1、0<f+g+h<0.05或いは0.2<f+g+h≦1、0<x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦u≦0.5、0≦v≦0.4、0≦w≦1、z+w≦1であり、かつ(1-e)(1-f)(1-g)(1-h)+u+v+w+z>0である。〕

0018

本発明は、次のような態様を含むことができる。
<8>x,y,z,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.20、0.3≦y≦0.7、0≦z≦0.1、0.4≦y+z≦0.7、0<u≦0.75、0≦v≦0.75、0≦w≦0.1、0<u+v≦0.75、-0.03≦m≦0.03である<6>に記載の広帯域化AEセンサー。
<9>x,y,z,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.15、0.4≦y≦0.6、0≦z≦0.1、0≦y+z≦0.6、0<u≦0.75、0≦v≦0.75、0≦w≦0.1、0<u+v≦0.75、-0.03≦m≦0.03である<8>に記載の広帯域化AEセンサー。
<10>e,f,g,h,x,y,z,u,v,wの範囲がそれぞれ0≦e≦1、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、e+f+g+h=1、0<f+g+h<0.05或いは0.2<f+g+h≦1、0<x≦0.2、0≦y≦0.8、0≦z≦0.75、0≦u≦0.5、0≦v≦0.4、0≦w≦0.75、z+w≦1である<7>に記載の広帯域化AEセンサー。
<11>e,f,g,h,x,y,z,u,v,wの範囲がそれぞれ0≦e≦1、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、e+f+g+h=1、0<f+g+h<0.05或いは0.2<f+g+h≦1、0<x≦0.15、0≦y≦0.6、0≦z≦0.75、0≦u≦0.5、0≦v≦0.4、0≦w≦0.75、z+w≦1である<10>に記載の広帯域化AEセンサー。
<12>圧電定数g33が15×10-3V・m/N以上である<3>〜<11>のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。
<13>共振型である<1>〜<12>のいずれか1項に記載の広帯域化AEセンサー。

発明の効果

0019

圧電素子の圧電材料として密度約4.0〜6.5g/cm3の圧電セラミックスを用いた本発明のAEセンサーは、共振周波数近傍において従来において通常使用されているPZTを用いた鉛系AEセンサーと同等程度かそれ以上の高い検出性能を示すとともに、かつ、鉛系AEセンサーよりも広帯域で高感度を示し得る。特に、主成分がペロブスカイト構造を有する鉛フリー系圧電セラミックスを選択した場合や、さらに、そのうち密度が4.3〜5.0g/cm3で、(Na,K)NbO3を含有する組成物を主成分とするペロブスカイト構造の鉛フリー圧電セラミックスを選択した場合には、より広い周波数範囲において鉛系AEセンサーよりも優れた検出感度を示すことができる。

0020

この理由は現時点では明らかとなっていないが、次に述べるように、主に弾性波は、密度の高い媒質より、密度の低い媒質中伝播する時の減衰が少ないことによるものと推定している。
媒質は厚さが波長に比べて十分薄い無限大板と仮定し、その面密度(単位面積あたりの質量)はm、入射波角周波数ω=2πfの平面波垂直入射するものとすると、超音波の透過損失(TL)は、理論的には式(5)によって定まる質量則目安にされる。
TL = 18・log(f・m)-44 (5)
実際媒質は無限大板ではなく、式(5)は厳密的に成り立たないが、密度の高い媒質ほど、透過損失が大きく、いわゆる減衰が大きい傾向は変わらない。
よく研究されているペロブスカイト型鉛フリー系圧電セラミックスの母材であるBaTiO3、(Na0.5K0.5)NbO3、(Bi0.5Na0.5)TiO3の密度ρはそれぞれ約6.05、4.50、5.96g/cm3で、PZTの約8g/cm3より小さい。元素添加などにより圧電特性が高性能化されたBaTiO3、(Na0.5K0.5)NbO3、(Bi0.5Na0.5)TiO3を基礎組成とする鉛フリー圧電セラミックスも、その密度は4.0〜6.5g/cm3範囲であり、PZTより小さい。従って、弾性波はPZTより、鉛フリー圧電セラミックスを伝播する時の減衰が少ない。
外部から伝えられてきた弾性波がAEセンサーの圧電振動子内で減衰が少なくなることは、圧電振動子を歪ませる能力がより長距離においても維持できることと同等であると言える。これは、密度の小さい鉛フリー圧電セラミックスを用いた鉛フリーAEセンサーは広い周波数範囲で高感度を示すことに繋がっていると考えられる。

0021

本発明のAEセンサーは、圧電素子に鉛を含まない圧電材料を用いることが可能のため、橋やトンネル等の屋外の構造物に使用しても、環境が鉛に汚染される恐れが無いので、環境負荷低減の観点からも望ましいものである。

図面の簡単な説明

0022

(A)は、AEセンサー使用例の概要を示す模式図。(B)は、AEセンサーの一例を示す模式的断面図。
AEセンサーの模式的構造例。(a)は不平衡型、(b)は平衡型(差動型)、(c)はプリアンプ内蔵型をそれぞれ示す。
各種鉛系圧電セラミックスと各種非鉛系圧電セラミックスの圧電定数d33とキュリー温度とを示すグラフ
実施例1・実施例2と比較例1のそれぞれのAEセンサーのAE波検出性能を示すグラフ。
実施例3・実施例4と比較例2のそれぞれのAEセンサーのAE波検出性能を示すグラフ。
実施例5と比較例3のそれぞれのAEセンサーのAE波検出性能を示すグラフ。
実施例3と比較例2のAEセンサーを同時に使用し、時間経過(横軸)の際に実際に測定したAE信号(縦軸)のグラフ。

0023

AEセンサーは、例えば図1(A)のように、AE波の検出対象である構造物等に取り付けられ、構造物等の亀裂の発生や進展に伴い生起するAE波(弾性波)を検出する。
一般のAEセンサーは、例えば図1(B)のように、構造物等に接し、AE波を受信するアルミナ等の絶縁物(例えば、絶縁性セラミックス)からなる受信板と、受信板表面に取り付けられる圧電素子と、受信板の周囲に結合し、圧電体を保護したり、内部をシールドしたりするアルミステンレス等からなるケースを含む。圧電素子を構成する圧電材料からなる圧電体は、一方の電極となる銀蒸着等を介して受信板表面に取り付けられる。前記ケースには、AE波により圧電素子に生じた検出信号ケース外に取り出すコネクタやケースを適宜開閉し得るフタを備えることができる。

0024

AEセンサーには、図2(a)〜(c)に示されるように、圧電素子の負極側がシステムコモンに接続され、正極側からの信号を利用する、最も一般的な不平衡型〔図2(a)参照〕、二つのコネクタを用い、それらの同相成分を除去し逆位相成分を増幅し、センサー・プリアンプ間に混入する雑音原理的にはキャンセルできる平衡型〔又は差動型;図2(b)参照〕、圧電体とプリアンプ間の雑音をほぼ完全に遮断できるとともに、センサーから最大数百m離れた計測装置直接接続できる、プリアンプ内蔵型〔図2(c)参照〕が存在する。
その他にも、図示しないが、防水型、防油型高温型、2重ケース絶縁型耐圧型などのものも存在する。

0025

本発明のAEセンサーは、それらのいずれの種類であっても良く、AEセンサーの圧電素子に用いる圧電材料を、本発明において規定する特定のものとする点に特徴を有している。
本発明のAEセンサーは、下記の実施例に記載するように、共振型(圧電素子の周囲を覆うダンパ材を有しないもの)としたときに市販のものよりも広帯域(例えば、30〜700kHz、100〜850kHz、30〜1000kHz等の範囲)で高い感度を有する。また、本発明のAEセンサーの圧電素子に用いられる密度の低い圧電材料は広帯域型(圧電素子の周囲を覆うダンパ材を有するもの)構造AEセンサーの圧電素子としても利用することができる。

0026

圧電材料としては、鉛系圧電セラミックスと鉛フリー系圧電セラミックスが存在し、それぞれ各種のものが存在するが、圧電定数d33、g33等の圧電性能は、例えば図3や表1に示されるように、鉛系圧電セラミックスの方が鉛フリー系よりも高いことが知られている。PZTの中でもソフト系のものは、より高い圧電性能を示す。一方、密度については、鉛フリー系セラミックスの方が鉛系よりも相当に低い(表1参照)。なお、本明細書において、「密度」は、「見かけ密度」を意味するが、鉛フリー系セラミックスの相対密度は通常95%以上であるので、真密度数値との差異は通常5%以下であると考えられる。

0027

本発明者は、AEセンサーの圧電素子に用いる圧電材料として、圧電性能が高く、かつ、密度が低いものがAE波の検出性能において望ましいことを発見した。
本発明で用いる、(Na,K)NbO3を含有する組成物を主成分とするペロブスカイト構造のような鉛フリー系圧電セラミックスは、圧電性能がソフトPZTよりもやや劣るものの、ソフトPZTよりも40%程度密度が低いため、ソフトPZTと同様かそれ以上のAE波検出性能を示す。

0028

そのような鉛フリー系圧電セラミックスとしては、次の一般式(6)や一般式(7)で表される圧電固溶体組成物などが挙げられる(特許文献10、11参照)。
{Mx(NayLizK1-y-z)1-x}1-m{(Ti1-u-vZruHfv)x(Nb1-wTaw)1-x}O3 (6)
〔式中、Mは(Bi0.5K0.5)、(Bi0.5Na0.5)及び(Bi0.5Li0.5)からなる群から選ばれる少なくとも一種とBa、Sr、Ca及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種との組み合わせを示す;式中x,y,z,u,v,w及びmの範囲がそれぞれ0.06<x≦0.3、0<y≦1、0≦z≦0.3、0≦y+z≦1、0<u≦1、0≦v≦0.75、0≦w≦0.2、0<u+v≦1、-0.06≦m≦0.06である。〕
これらのもののうち、特に、0.06<x≦0.20、0.3≦y≦0.7、0≦z≦0.1、0.3≦y+z≦0.7、0<u≦0.75、0≦v≦0.75、0≦w≦0.1、0<u+v≦0.75、-0.03≦m≦0.03等が好ましく、より好ましくは、0.06<x≦0.15、0.4≦y≦0.6、0≦z≦0.1、0.4≦y+z≦0.6、0<u≦0.75、0≦v≦0.75、0≦w≦0.1、0<u+v≦0.75、-0.03≦m≦0.03等である。
{(BaeSrfCagMgh)x(NayK1-y)1-x}{(Ti1-z-wZrzHfw)x(Nb1-u-vTauSbv)1-x}O3 (7)
〔式中e,f,g,h,x,y,z,u,v,wの範囲がそれぞれ0≦e≦1、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、e+f+g+h=1、0<f+g+h<0.05或いは0.2<f+g+h≦1、0<x≦0.2、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦u≦0.5、0≦v≦0.4、0≦w≦1、z+w≦1であり、かつ(1-e)(1-f)(1-g)(1-h)+u+v+w+z>0である。〕
これらのもののうち、特に、0≦e≦1、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、e+f+g+h=1、0<f+g+h<0.05或いは0.2<f+g+h≦1、0<x≦0.2、0≦y≦0.8、0≦z≦0.75、0≦u≦0.5、0≦v≦0.4、0≦w≦0.75、z+w≦1等が好ましく、より好ましくは、0≦e≦1、0≦f≦1、0≦g≦1、0≦h≦1、e+f+g+h=1、0<f+g+h<0.05或いは0.2<f+g+h≦1、0<x≦0.15、0≦y≦0.6、0≦z≦0.75、0≦u≦0.5、0≦v≦0.4、0≦w≦0.75、z+w≦1等である。
本発明の広帯域化AEセンサーにおける鉛フリー圧電セラミックスとして前記式(6)や式(7)からなるものを用いる場合、そのいずれかの成分量が100重量%であることが好ましいが、他の鉛フリー圧電セラミックスや添加元素(例えば、金属元素もしくは金属化合物)を少量(例えば、30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下)含ませることもできる。

0029

以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。

0030

(実施例1)
一般式{Mx(NayLizK1-y-z)1-x}1-m{(Ti1-u-vZruHfv)x(Nb1-wTaw)1-x}O3において、Mとして(Bi0.5Li0.5)とBaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0としつつ、uの値を0.06とした鉛フリー圧電セラミックス(表1の組成1)を用いて、図2(a)に示すような、不平衡型で、プリアンプを含まない、共振周波数約150kHzの実施例1の共振型AEセンサーを作製した。100〜1000kHz周波数範囲における縦波の検出感度を調べ、図4(A)に示す。

0031

(実施例2)
一般式{Mx(NayLizK1-y-z)1-x}1-m{(Ti1-u-vZruHfv)x(Nb1-wTaw)1-x}O3において、Mとして(Bi0.5K0.5)とCaとを組み合わせ、x=0.08,y=0.50,z=v=w=0,m=0としつつ、uの値を0.04とした鉛フリー圧電セラミックス(表1の組成2)を用いて、図2(b)に示すような、不平衡型で、プリアンプを含まない、共振周波数約150kHzの実施例2の共振型AEセンサーを作製した。30〜1000kHz周波数範囲における縦波の検出感度を調べ、図4(B)に示す。

0032

(比較例1との比較)
一方、比較例1として、市販のPZT製AEセンサー(Physical Acoustics Corporation製、型番:R15-Alpha、共振型でかつ不平衡型)の検出感度を図4(C)に示す。
実施例1の共振周波数での感度は約70dBで、比較例1のPZT製AEセンサーとほぼ同様である。実施例2の共振周波数での感度は約60dBで、比較例1のPZT製AEセンサーよりやや低い。しかし、比較例1のPZT製AEセンサーの感度は周波数が高くなるにつれ顕著に低下し、500kHz(0.5MHz)より高い周波数範囲で30dB以下であるのに対して、実施例1・実施例2の感度は約700kHzまで30dB以上で、比較例1より広い周波数帯において優れた検出感度を示す。特に実施例2は、30〜1000kHz周波数範囲でほぼ30dB以上の感度を示し、周波数応答性は特に優れている。

0033

(実施例3)
実施例1と同じ組成の鉛フリー圧電セラミックス(表1の組成1)を用いて、図2(c)に示すような、プリアンプ内蔵の防水型である、共振周波数は約150kHzの実施例3の共振型AEセンサーを作製した。プリアンプの利得は40dBである。30〜1000kHz周波数範囲における縦波の検出感度を調べ、図5(A)に示す。

0034

(実施例4)
実施例2と同じ組成の鉛フリー圧電セラミックス(表1の組成2)を用いて、図2(c)に示すような、プリアンプ内蔵の防水型である、共振周波数は約150kHzの実施例4の共振型AEセンサーを作製した。プリアンプの利得は40dBである。30〜1000kHz周波数範囲における縦波の検出感度を調べ、図5(B)に示す。

0035

(比較例2との比較)
一方、比較例2として、市販のPZT製AEセンサー(Physical Acoustics Corporation製、型番:R15I-AST、共振型、不平衡型でかつ利得40dBのプリアンプ内蔵型)の検出感度を図5(C)に示す。
実施例3・実施例4の共振周波数での感度は約110dBで、比較例2のPZT製AEセンサーとほぼ同様である。しかし、比較例2のPZT製AEセンサーの感度は周波数が高くなるにつれ顕著に低下し、約450kHz(0.45MHz)より高い周波数範囲で70dB以下であるのに対して、実施例3・実施例4の感度は30〜1000kHzまでの全周波数範囲で70dB以上で、比較例2より広い周波数帯において優れた検出感度を示す。
また、図7に、実施例3の鉛フリーAEセンサーと比較例2のAEセンサーの両方を橋につけて、時間経過(横軸)の際に車や振動による発生するAE信号(縦軸)を同時に実測した結果を示す。実施例3は比較例2より広帯域に微弱信号測定能力が高いことが明らかである。

0036

(実施例5)
実施例1と同じ組成の鉛フリー圧電セラミックス(組成1)を用いて、図2(c)に示すような、プリアンプ内蔵の防水型である、共振周波数は約600kHzの実施例5の共振型AEセンサーを作製した。100〜1000kHz周波数範囲における縦波の検出感度を調べ、図6(A)に示す。

実施例

0037

(比較例3との比較)
一方、比較例3として、市販のPZT製ワイドバンド型AEセンサー(Physical Acoustics Corporation製、型番:WDI、不平衡型、利得40dBのプリアンプ内蔵型)の検出感度を図6(B)に示す。
100〜1000kHzの周波数範囲で、比較例3のPZT製AEセンサーの感度の最大値は約96dBで、最小値は約60dBで、感度の差は36dBである。同じ周波数範囲で、実施例5の感度の最大値は約99dBで、最小値は約71dBで、感度の差は約28dBで、比較例3より小さい。特に実施例5の感度は、100kHzから約850kHzまでの広い周波数範囲で99dBと80dB間の値を示し、変化が少なく、周波数応答性は特に優れている。

0038

本発明の広帯域化AEセンサーは、AE波検出性能が高く、しかも、圧電材料として鉛を含まないものを使用することが可能であるから、ガスタンク漏洩監視、石油タンクの腐食監視、疲労試験時の損傷発見検知、異常音検知による回転機器監視、コンクリート構造物の破壊特性評価、金型・工具損傷検知、航空機機体負荷試験時の損傷発生検知、複合材健全性検査、圧力容器耐圧試験時の損傷発生検知、橋やトンネルなどの構造物の健全性モニタリングなどに環境汚染の恐れなく安心して使用することができる。

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