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技術 海域環境改善材およびこれを用いた海域環境改善方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 宮田康人渡辺圭児
出願日 2014年7月22日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2014-148626
公開日 2016年2月8日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 2016-023472
状態 特許登録済
技術分野 水工一般、港湾設備 汚泥処理 固体収着剤及びろ過助剤
主要キーワード 全鉄含有量 海域環境 溶出性能 石炭灰造粒物 硫化水素ガス濃度 溶存硫化物 改善材 底質中
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

pH値を所定の範囲に制御し、透水性を確保し、さらには鉄分の溶出による効果を発揮できる海域環境改善材およびこれを用いた海域環境改善方法を提供する.

解決手段

本発明に係る海域環境改善材は、転炉型容器にて脱珪処理脱燐処理の両方を行なうプロセスにおいて生成される溶銑予備処理スラグを用いた海域環境改善材であって、気孔率10%以上、塩基度(CaO/SiO2)が0.5以上2.0以下、かつ全鉄10mass%以上となるように製造した溶銑予備処理スラグが50mass%より多く含まれていることを特徴とするものである。

概要

背景

環境保全のため、排水や土壌に関しての環境基準が設けられているが、水底底質に関しての環境基準は現状では設けられていない。しかしながら、近年の環境問題に対する関心は、湖沼海域などの環境水浄化や、海域などの環境における底質の改質に向けられている。
そして、従来から、様々な環境水の浄化方法や底質の改質方法が検討されてきた。環境水の浄化に関しては、一定の浄化方法が開発され、実用化がなされてはいるものの、底質の改質については、未だ種々の問題が残っている。

底質には、生活排水農薬などの流入により、硫化物等の硫黄(S)が含まれる場合が多いことが報告されているが、場合によっては、有毒でかつ悪臭を放つ硫化水素が発生する懸念がある。
上記した底質の改質方法としては、例えば、石灰散布したり、覆砂を施したりするなどの方法が挙げられる。しかしながら、石灰を散布した場合、その散布の直後には、一定の底質の改質効果が達成できるものの、長期間の持続性に問題がある。

一方、覆砂を施したとしても、例えば、粒度の小さい砂状スラグを用いた場合には、環境水の塩基度が高くなるとスラグ固化して、底質中の硫化物の固定効果が限定的になる。他方、粒度の大きいスラグを用いた場合では、生物の生息に好適で、硫化物の固定効果も期待されるが、比表面積が小さいため、所望の効果を得るためには、多量のスラグが必要となる。

これらの問題に対して、特許文献1には、リン溶出を、確実に抑制可能な海底底質からのリンの溶出抑制方法として、製鋼スラグを海域のヘドロ状底泥に覆砂する方法が開示されている。
また、透水性材料を用いた水域環境改善技術として、特許文献2に石炭灰造粒物などの透水性の材料を感潮河川河床堆積貫入させ、干満差を利用した堆積泥を浄化させる技術が開示されている。

概要

pH値を所定の範囲に制御し、透水性を確保し、さらには鉄分の溶出による効果を発揮できる海域環境改善材およびこれを用いた海域環境改善方法を提供する.本発明に係る海域環境改善材は、転炉型容器にて脱珪処理脱燐処理の両方を行なうプロセスにおいて生成される溶銑予備処理スラグを用いた海域環境改善材であって、気孔率10%以上、塩基度(CaO/SiO2)が0.5以上2.0以下、かつ全鉄10mass%以上となるように製造した溶銑予備処理スラグが50mass%より多く含まれていることを特徴とするものである。

目的

本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、pH値を所定の範囲に制御し、透水性を確保し、さらには鉄分の溶出による効果を発揮できる海域環境改善材およびこれを用いた海域環境改善方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

転炉型容器にて脱珪処理脱燐処理の両方を行なうプロセスにおいて生成される溶銑予備処理スラグを用いた海域環境改善材であって、気孔率10%以上、塩基度(CaO/SiO2)が0.5以上2.0以下、かつ全鉄10mass%以上となるように製造した溶銑予備処理スラグが50mass%より多く含まれていることを特徴とする海域環境改善材。

請求項2

前記溶銑予備処理スラグを3ヶ月以上大気エージングして用いることを特徴とする請求項1に記載の海域環境改善材。

請求項3

前記溶銑予備処理スラグは、粒径が5mm以上のものが70mass%以上含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の海域環境改善材。

請求項4

請求項1乃至3のいずれか一項に記載の海域環境改善材を、干満差の影響を強く受ける沿岸域に設置することを特徴とする海域環境改善方法

技術分野

0001

本発明は、溶銑予備処理プロセスにおいて、特に、1つの転炉型容器にて脱珪処理脱燐処理の両方を行なうプロセスにおいて生成(排出)するスラグは表面および内部に気孔を多く有し、透水性が高いという物理的な特徴を有する。さらに低塩基度で鉄、マンガン豊富に有するという化学的特徴を有する。
本発明は、このようなスラグの特性を利用した海域環境改善材及び海域環境改善方法に関するものである。

背景技術

0002

環境保全のため、排水や土壌に関しての環境基準が設けられているが、水底底質に関しての環境基準は現状では設けられていない。しかしながら、近年の環境問題に対する関心は、湖沼海域などの環境水浄化や、海域などの環境における底質の改質に向けられている。
そして、従来から、様々な環境水の浄化方法や底質の改質方法が検討されてきた。環境水の浄化に関しては、一定の浄化方法が開発され、実用化がなされてはいるものの、底質の改質については、未だ種々の問題が残っている。

0003

底質には、生活排水農薬などの流入により、硫化物等の硫黄(S)が含まれる場合が多いことが報告されているが、場合によっては、有毒でかつ悪臭を放つ硫化水素が発生する懸念がある。
上記した底質の改質方法としては、例えば、石灰散布したり、覆砂を施したりするなどの方法が挙げられる。しかしながら、石灰を散布した場合、その散布の直後には、一定の底質の改質効果が達成できるものの、長期間の持続性に問題がある。

0004

一方、覆砂を施したとしても、例えば、粒度の小さい砂状スラグを用いた場合には、環境水の塩基度が高くなるとスラグが固化して、底質中の硫化物の固定効果が限定的になる。他方、粒度の大きいスラグを用いた場合では、生物の生息に好適で、硫化物の固定効果も期待されるが、比表面積が小さいため、所望の効果を得るためには、多量のスラグが必要となる。

0005

これらの問題に対して、特許文献1には、リン溶出を、確実に抑制可能な海底底質からのリンの溶出抑制方法として、製鋼スラグを海域のヘドロ状底泥に覆砂する方法が開示されている。
また、透水性材料を用いた水域環境改善技術として、特許文献2に石炭灰造粒物などの透水性の材料を感潮河川河床堆積貫入させ、干満差を利用した堆積泥を浄化させる技術が開示されている。

先行技術

0006

特開2008−175008号公報
特開2007−14872号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、上記の特許文献1は、対象となる底質を製鋼スラグで覆うだけなので、特に硫化物を含有する底質において効果を維持するためには、対象となる底質上の海域のpH値を、適宜監視する必要があった。
また、特許文献1にはスラグ粒子気孔率などの透水性に影響する要件については記載されていないが、一般的な製鋼スラグは製造条件にもよるが、気孔率は通常10%よりも低く、製鋼スラグを施工した後に十分な透水性が得られない。
さらに、スラグ粒子に含有する鉄分の溶出はスラグの比表面積に影響されるが、特許文献1には気孔率について規定されておらず、十分な比表面積を有しているかどうかは不明であり、鉄分溶出による効果を十分に期待することができない。

0008

また、特許文献2においては、鉄分溶出による硫化物などの無害化効果については記載されておらず、そもそも使用される石炭灰造粒物の鉄含有量は数%程度と多くないため、継続的な鉄分溶出は難しいと推測される。

0009

本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、pH値を所定の範囲に制御し、透水性を確保し、さらには鉄分の溶出による効果を発揮できる海域環境改善材およびこれを用いた海域環境改善方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0010

(1)本発明に係る海域環境改善材は、転炉型容器にて脱珪処理と脱燐処理の両方を行なうプロセスにおいて生成される溶銑予備処理スラグを用いた海域環境改善材であって、
気孔率10%以上、塩基度(CaO/SiO2)が0.5以上2.0以下、かつ全鉄10mass%以上となるように製造した溶銑予備処理スラグが50mass%より多く含まれていることを特徴とするものである。

0011

(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記溶銑予備処理スラグを3ヶ月以上大気エージングして用いることを特徴とするものである。

0012

(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記溶銑予備処理スラグは、粒径が5mm以上のものが70mass%以上含まれていることを特徴とするものである。

0013

(4)本発明に係る海域環境改善方法は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の海域環境改善材を、干満差の影響を強く受ける沿岸域に設置することを特徴とするものである。

発明の効果

0014

本発明に係る海域環境改善材は、転炉型容器にて脱珪処理と脱燐処理の両方を行なうプロセスにおいて生成される溶銑予備処理スラグを用いた海域環境改善材であって、気孔率10%以上、塩基度(CaO/SiO2)が0.5以上2.0以下、かつ全鉄10mass%以上となるように製造した溶銑予備処理スラグが50mass%より多く含まれているので、pH値を所定の範囲に制御し、透水性を確保し、さらには鉄分の溶出による効果を発揮でき、海域の環境改善効果に優れている。

図面の簡単な説明

0015

本発明の効果確認に用いた試験装置の説明図である。

0016

本発明の一実施の形態に係る海域環境改善材は、脱珪処理と脱燐処理の両方を行なうプロセスにおいて生成される溶銑予備処理スラグを用いたものであって、気孔率10%以上、塩基度(CaO/SiO2)が0.5以上2.0以下、かつ全鉄10mass%以上となるように製造した溶銑予備処理スラグが50mass%より多く含まれていることを特徴とするものである。
以下、本発明の海域環境改善材の要件について詳細に説明する。

0017

<気孔率>
溶銑予備処理スラグの気孔率を10%以上としたのは、気孔率が10%よりも小さい場合、スラグ粒の透水性が十分でなく、海水交換が十分に行われないからである。
逆に、気孔率を10%以上としているので、透水性を高めることができ、これにより以下の効果を奏することができる。
透水性が高まることで海域環境改善材による被覆層の鉛直方向の海水交換が活発に行われる。そのため被覆層内間隙水と直上水との交換が活発に行われる。これにより、底質を酸化雰囲気に保ち、硫化水素やリンなどの溶出を抑制することができる。また、ヘドロなどの有機物の分解が促進される。さらには、干満の影響により海底海水移流が生じている海域では、さらに鉛直方向の海水交換が確実に行われる。

0018

溶銑予備処理スラグを他の材料と意図的に混合したり、または施工時にヘドロ状底泥と混合された場合でも、本発明の溶銑予備処理スラグが50mass%以上存在する部位においてはスラグ同士が接触した状態が保たれることにより、混合状態においての透水性が保たれる。
また、比表面積が高いことによって、有機物分解性微生物などの付着基盤となる。これは上記のヘドロの有機物分解を助けることができる。
溶銑予備処理スラグの真比重が3以上と天然砂天然石に比べて高いため、水中比重が同粒径の材料と比較して優れる、そのため、透水性の確保と水中安定性を同時達成できる。

0019

なお、気孔率は、15%以上とするのがより望ましくは、さらに表面の気孔の比率開気孔率)を10%以上とするのがより望ましい。
気孔率、開気孔率が高いことにより、スラグ内部まで水が入るため、見かけ比重が大きくなり(真比重に近くなり)水中安定性の面で有利になる。
なお、気孔率の上限は特にないが、物理的な構造上から30%が上限である。

0020

<塩基度(CaO/SiO2)>
塩基度(CaO/SiO2)が0.5以上2.0以下としたのは、海域への施工時にpHの上昇を抑えて白濁などの問題を起こさず、かつカルシウム成分の溶出によりヘドロの改質やリンの固定などに寄与できるようにするためである。
なお、塩基度を0.5以上にすることで、ヘドロの改質やリンの固定などに寄与できる点は後述の実施例で実証している。また、塩基度を2.0以下とすることで、pH値を9.0以下に抑えることができる点も、同様に実証している。

0021

塩基度が上記の範囲にあれば鉄成分の溶出は十分に行われるが、溶銑予備処理スラグを供用前に3ヶ月以上大気エージングすることが鉄成分の溶出の観点からより好ましい。すなわち、大気エージングを行うことにより、スラグ表面のカルシウム成分の一部が炭酸化することにより海水中でのスラグ間隙水のpHが下がることにより鉄成分が溶出しやすくなるからである。

0022

全鉄含有量
スラグ中の鉄の含有量を10mass%以上としたのは、鉄成分の溶出が確実に行われるようにするためである。これよりも鉄成分が少ない場合、鉄の溶出が十分に行われない。
全鉄の含有量を10mass%以上とすることで、気孔率を10%以上としていることと相俟って、鉄の溶出性能に優れる。他の微粒を多く含む材料と混合した場合でも粒子内部の空隙が確保されるため、目詰まりなどにより閉塞することなく鉄成分を溶出させることができる。
全鉄含有量の上限は特にないが、製鋼スラグの資源化の観点からは、全鉄含有量が高すぎると不経済であるため、30mass%程度を上限とするのが合理的である。

0023

<溶銑予備処理スラグの含有量>
溶銑予備処理スラグの含有量を海域環境改善材全体の50mass%以上としたのは、海水交換、鉄成分溶出およびカルシウム成分の溶出を確実に行うためである。
溶銑予備処理スラグの含有量が50mass%未満であるとこれらの効果が十分発現されない。なお、海域環境改善材における溶銑予備処理スラグ以外の材料は天然材(たとえば海砂砕石浚渫土残土)および副産物(他の鉄鋼スラグなど)を利用することができる。
溶銑予備処理スラグの含有量の上限はなく、全量が予備処理スラグであっても良い。

0024

前記溶銑予備処理スラグは破砕地金処理後の成り行きの粒度でも使用可能であるが、海水の移流の影響が小さい場所に施工する場合においては5mm以上を70mass%以上とすることが適切である。5mm以上が70mass%未満であると、微粒が多くなり、高い気孔率が得にくくなり、特に、海水の移流の影響が小さい場所ではpHが上昇しやすくなる恐れがある。

0025

本実施の形態の海域環境改善材においては、製鋼スラグの1種である溶銑予備処理スラグの気孔率を従来の製鋼スラグなどと比較して高く制御し、かつ含有成分を適切に制御することにより、従来技術では難しい、海水交換が起こりやすく、かつ鉄分の溶出性状に優れ、pHの上昇を引き起こさない海域環境改善材が得られるようになった。
また、スラグに特別な処理を加えることなく、通常の工程により得られる材料であるので、他材料に比べ、上記の効果が低いコストで得られるという効果もある。

0026

本実施の形態の海域環境改善材は閉鎖性海域などに施工しても効果を発現するが、干満差の影響などにより海水の移流が生じる海域に施工するのがより効果的である。

0027

なお、溶銑予備処理スラグとは、溶銑脱硫脱珪脱燐、DRP処理をする際に生成するスラグの総称であり、本発明が規定する気孔率10%以上、塩基度(CaO/SiO2)が0.5以上2.0以下、かつ全鉄10mass%以上の要件を満たすものであればその種類は特に問わない。DRP処理とは、溶銑予備処理において脱燐スラグの存在下で脱珪処理を行うプロセスを指し、この処理後に発生したスラグ(DRPスラグ)が特に好ましい。

0028

なお、溶銑予備処理スラグの、各特性を制御する方法としては例えば、下記が考えられる。
(1)気孔率
溶銑予備処理時には炭素酸素が反応して発生するCOガスによって膨張するスラグフォーミング現象を起こし、このスラグフォーミングの程度によりスラグ密度が異なるので、これにより気孔率を調整することができる。特に脱珪スラグ粘性が高く、スラグフォーミングを起こし易いため、制御が容易である。
(2)塩基度、全鉄
塩基度(気孔率も)は、スラグの種類により決まってしまうと考えられるので、どの種類のスラグを選択するかで調整できる。全鉄の含有量も同様であるが、磁選などによる地金(金属鉄)の分離プロセスにより全鉄含有量を制御することができる。

0029

本発明に係る透水性海域環境改善材の効果を確認する実験を行ったので、以下これについて説明する。
実験装置1は、図1に示すように、大型水槽3内に容量が30Lの水槽5を設置し、この水槽5内に実海域から採取したヘドロ状底泥7を約15cmの高さに装入し、このヘドロ状底泥7の表面に種々のスラグや天然砂などの材料からなる被覆材9を高さ約3cmで上置きし、ヘドロ状底泥7の上部と被覆材9が入り混じるような状態をつくった。
上置きした被覆材9の上に海水を入れ、蓋11をして気密性を保持した。そして、5日ごとにろ過海水をかけ流して海水が交換される状態をつくった。
実験装置1は、閉鎖性海域を模擬しており、硫化水素の原因となる硫酸還元菌の活動が起きうる状態を作っている。なお、硫酸還元菌は、海水に含まれる硫酸イオンを使って硫化水素を作る。
上置きした被覆材9(種々のスラグ、天然砂)とヘドロ状底泥7を混合し、一定期間ごとに、被覆材9とヘドロ状底泥7が入り混ざった状態の間隙水を採取し、その水質を測定した。測定した水質は間隙水中のpH、溶存硫化物濃度溶存酸素濃度リン酸態リン濃度、および気相中の硫化水素濃度である。
ヘドロ状底泥の成分を表1に示し、各材料の仕様を表2に示す。

0030

0031

0032

表2におけるグループ1は、発明例1〜3及び比較例1,2からなり、鉄含有量(14.8mass%)と塩基度(1.3)を一定にして、気孔率を変化させたものである。
また、グループ2は、発明例4,5及び比較例3,4からなり、気孔率(全気孔率15.4%)と塩基度(1.3)を一定にして鉄含有量を変化させたものである。
さらに、グループ3は、発明例6〜10及び比較例5〜7からなり、気孔率(全気孔率15.4%)と鉄含有量(14.8mass%)を一定にして塩基度を変化させたものである。

0033

間隙水中のpHの測定結果を表3に示す。

0034

0035

グループ1の測定結果をみると、間隙水中のpHは、スラグの気孔率が高いほど低くなっており、気孔率が本発明範囲内である発明例1〜3では200日経過後においてもpH8.4〜pH8.6の間にある。
他方、全気孔率が7.2の比較例1ではpH8.9であり、また全気孔率が9.0の比較例2ではpH8.8であり、高い値を示している。
したがって、気孔率が本発明範囲内(全気孔率10%以上)にあることが、pH上昇を抑えることに効果的であると実証された。

0036

グループ2の測定結果をみると、発明例4,5、比較例3,4でpH値に大きな差異はない。

0037

グループ3の測定結果をみると、塩基度が高くなるほど間隙水中のpHは高くなっている。
しかし、塩基度が本発明範囲内である発明例6〜10では200日経過後においてもpH8.2〜pH8.9の間にある。
他方、塩基度が本発明範囲(0.5〜2.0)より小さい、比較例5(塩基度0.21)の比ではpH7.8であり、塩基度が0.45の比較例6ではpH8.2となっている。
また、塩基度が発明の範囲より大きい、比較例7(塩基度2.1)ではpH9.2となっている。
したがって、塩基度が本発明範囲内(0.5〜2.0)にあることが、pHを所定の範囲内に制御するために効果的であると実証された。
なお、pHが高すぎると鉄が溶出しにくくなるため硫化物抑制効果が低下する。好適なpHの範囲は8.0〜9.0程度である。なお、リンの抑制はpHが高いほうが有利であるが、本例では、硫化物抑制効果を優先している。

0038

間隙水中の溶存硫化物の測定結果を表4に示す。

0039

0040

グループ1の測定結果をみると、スラグの全気孔率が高いほど間隙水中の溶存硫化物濃度は低下し、全気孔率が本発明範囲内(全気孔率10%以上)である発明例1〜3では200日経過後においても0.2mg/L以下である。特に、発明例2,3(全気孔率15%以上、開気孔率10%以上)ではいずれの日数経過後の測定においても0.1mg/L以下であった。
他方、全気孔率が本発明範囲外(全気孔率10%以下)である比較例1,2では1.7mg/L〜2.5mg/Lといずれの日数経過後の測定においても高い値を推移している。
したがって、気孔率が本発明範囲内(全気孔率10%以上)であることが、溶存硫化物を抑制することに効果的であると実証された。
なお、開気孔率が高い方が比表面積が大きくなり、(同じ粒度では)水との接触面積が増加し、鉄が溶出大となり硫化物を抑制する。単純に粒子を細かくしても比表面積は大きくなるが、スラグ粒子間の隙間が埋まるため、実質的に鉄の溶出は起こりにくくなるので、気孔率を高めることが必要である。

0041

グループ2の測定結果をみると、鉄含有量が高いほど鉄が硫化物とより多く反応するため、間隙水中の溶存硫化物濃度は低下し、鉄含有量が本発明範囲内(鉄含有量10mass%以上)である発明例4,5では200日経過後においても0.2mg/L以下である。
他方、鉄含有量が本発明範囲外(鉄含有量10mass%未満)である比較例3,4では0.8mg/L〜2.8mg/Lといずれの日数経過後の測定においても高い値で推移している。
したがって、スラグの鉄含有量が本発明範囲内(鉄含有量10mass%以上)にあることが、溶存硫化物を抑制することに効果的であると実証された。

0042

グループ3の測定結果をみると、間隙水中の溶存硫化物濃度は、スラグの塩基度が本発明範囲内(0.5〜2.0)である発明例6〜10では200日経過後においても0.3mg/L以下である。
他方、塩基度が本発明範囲外(0.5以下、または2.0以上)である比較例5〜7では1.5mg/L〜3.6mg/Lといずれの日数経過後の測定においても高い値を推移している。
したがって、塩基度が本発明範囲内(0.5〜2.0)であることが、溶存硫化物を抑制することに効果的であることが実証された。
特に発明例6(塩基度0.5)と比較例6(塩基度0.45)を比較すると、発明例6では0.1mg/L〜0.2mg/Lであるのに対して、塩基度が0.05低い比較例6では1.5mg/L〜2.0mg/Lであり、塩基度を0.5以上にすることで、溶存硫化物の抑制効果が顕著によくなることが分かる。
pHが低いほうが鉄の溶解度が上がる(水に溶けやすくなる)ことが知られており、水中では鉄はFe2+の形態をとるため、塩基度が低いほうが、鉄の溶解性の面で有利となる。

0043

間隙水中のリン酸態リンの測定結果を表5に示す。

0044

0045

グループ1の測定結果をみると、スラグの全気孔率が高いほど、間隙水中のリン酸態リン濃度は低下し、全気孔率が本発明範囲内(全気孔率10%以上)である発明例1〜3では3.0mg/L以下である。
他方、全気孔率が本発明範囲外(全気孔率10%以下)である比較例1,2では、200日経過後において3.4mg/L〜4.0mg/Lであり、さらに、いずれの日数経過後の測定においても高い値を推移している。
したがって、気孔率が本発明範囲内(全気孔率10%以上)であることが、海底に蓄積したリン酸態リンを固定することに効果的であると実証された。

0046

グループ2の測定結果をみると、スラグの鉄含有量が高いほど、間隙水中のリン酸態リン濃度は低下し、鉄含有量が本発明範囲内(鉄含有量10%mass以上)である発明例4,5では1.8 mg/L〜2.9 mg/Lを推移している。
他方、鉄含有量が本発明範囲外(鉄含有量10%mass未満)である比較例3,4では2.4 mg/L〜4.0mg/Lといずれの日数経過後の測定においても高い値を推移している。
したがって、鉄含有量が本発明範囲内(鉄含有量10mass%以上)であることがリン酸態リンの溶出の抑制に効果的だと実証された。

0047

グループ3の測定結果をみると、スラグの塩基度が高いほど、間隙水中のリン酸態リン濃度は低くなり、本発明範囲内(0.5〜2.0)である発明例6〜10では200日経過後においても2.9mg/L以下である。
他方、塩基度が本発明範囲よりも小さい(0.5以下)である比較例5,6では、200日経過後4.3mg/L以上高い値を示した。
したがって、塩基度が本発明範囲内(0.5〜2.0)であることが、海底に蓄積したリン酸態リンを固定することに効果的であると実証された。

0048

間隙水中の溶存酸素の測定結果を表6に示す。

0049

0050

グループ1の測定結果をみると、スラグの全気孔率が高いほど、間隙水中の溶存酸素濃度は高くなる。特に、発明例2,3(全気孔率15%以上、開気孔率10%以上)ではいずれのいずれの日数経過後の測定においても1.0mg/L以上であった。
他方、全気孔率が本発明範囲外(全気孔率10%以下)である比較例1,2では、いずれの日数経過後の測定において0.1mg/L以下を推移している。
したがって、気孔率が本発明範囲内(全気孔率10%以上)であることが、溶存酸素濃度を高く保つために効果的であると実証された。

0051

グループ2の測定結果をみると、スラグの鉄含有量が高いほど、間隙水中の溶存酸素濃度は上昇し、鉄含有量が本発明範囲内(鉄含有量10mass%以上)である発明例4では0.4 mg/L、発明例5では3.2mg/Lまで上昇した。
他方、鉄含有量が本発明範囲外(鉄含有量10mass%以下)である比較例3,4ではいずれも日数経過後も0.1mg/Lであり、変化は見られなかった。
したがって、鉄含有量が本発明範囲内(鉄含有量10mass%以上)であることが、溶存酸素濃度を高く保つために効果的であると実証された。

0052

溶存硫化物は溶存酸素を消費して硫黄単体(や硫酸イオン)になる(反応1)。酸素が溶存硫化物を酸化する。
2H2S + O2→2H2O+2S (反応1)
従って、鉄により溶存硫化物が低減された分、上記の反応が起こらなくて済むので結果的に酸素は消費されない。

0053

グループ3の測定結果をみると、間隙水中の溶存酸素濃度は、塩基度が本発明範囲内であり、かつ塩基度0.81である発明例7では1.2mg/L、塩基度1.4である発明例8では1.1mg/Lまで上昇した。

0054

間隙水中の硫化水素ガスの測定結果を表7に示す。

0055

0056

グループ1の測定結果をみると、間隙水中の硫化水素ガス濃度は、全気孔率が本発明範囲内(全気孔率10%以上)である発明例1〜3では0.1ppm以下である。
他方、全気孔率が本発明範囲外(全気孔率10%以下)である比較例1,2ではスラグの全気孔率が低いほど上昇し、200日経過後において0.3以上であり、さらに、いずれの日数経過後の測定においても高い値を推移している。したがって、気孔率が本発明範囲内にあることが効果的であることが実証された。

0057

グループ2の測定結果をみると、間隙水中の硫化水素ガス濃度は、鉄含有量が本発明範囲内(鉄含有量10mass%以上)の発明例4,5では0.1ppm以下である。
他方、鉄含有量が本発明範囲外(鉄含有量10mass%以下)である比較例3,4ではスラグの鉄含有量が低いほど上昇し、高い値を推移している。したがって、鉄含有量が本発明範囲内にあることが効果的であることが実証された。

実施例

0058

グループ3の測定結果をみると、間隙水中の硫化水素ガス濃度は、本発明範囲内(塩基度0.5〜2.0)である発明例6〜10ではすべての経過日数後の測定で0.1mg/L以下である。
他方、塩基度が本発明範囲外(0.5以下、または2.0以上)である比較例5〜7では0.2ppm以上といずれの日数経過後の測定においても高い値を示した。したがって、塩基度が本発明範囲内であると、pHを所定の範囲に制御可能であるため、硫化水素ガス発生を抑制する効果があると実証された。

0059

1実験装置
3 大型水槽
5 水槽
7ヘドロ状底泥
9被覆材
11 蓋

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