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技術 捕集材の製造方法、捕集材、及び被処理物質の処理方法

出願人 JFEスチール株式会社国立大学法人宇都宮大学
発明者 山口東洋司永野英樹藤本京子上原伸夫
出願日 2014年7月18日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2014-147660
公開日 2016年2月8日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 2016-022417
状態 特許登録済
技術分野 汚染除去及び汚染物処理 固体廃棄物の処理 固体収着剤及びろ過助剤
主要キーワード オケルマナイト アルカリ加熱処理 放射線汚染 鉄鋼スラグ中 加熱品 セシウム量 ケイ酸源 ケイ素量
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重要な関連分野

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図面 (11)

課題

鉄鋼スラグを有効利用してセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材を安価、且つ、容易に製造可能な捕集材の製造方法を提供すること。

解決手段

本発明に係る捕集材の製造方法は、鉄鋼スラグをアルカリ条件下ケイ素源を混合した溶液加熱処理し、加熱処理後の鉄鋼スラグをセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材として回収するステップを含むことを特徴とする。なお、ケイ素源中のケイ素の量が鉄鋼スラグ:ケイ素の重量比で50:1以上になるようにケイ素源を混合することが望ましい。また、溶液のpHは9以上、加熱処理の温度は60℃以上であること望ましい。

概要

背景

東日本大震災に伴う福島第一原子発電所事故によって放出された放射性元素は、福島県を中心とした広い範囲に放射線汚染を生じさせている。放射性元素の捕集材としては、ゼオライトフェロシアン化金属化合物、又はこれらを繊維等に織り込んだ材料等が多用されている。

ゼオライトは、結晶性含水アルミノケイ酸アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩によって形成され、一般にSiO4及びAlO4の四面体構造頂点にある酸素原子を互いに共有した網目構造結晶格子を有している。

放射性元素の捕集材として重要なゼオライトは、三次元網目構造を有するゼオライトであり、三次元網目構造を有するゼオライトは交換可能な陽イオンを有している。三次元網目構造を有するゼオライトの陽イオン交換優先順位は下記の通りであり、Cs(セシウム)の選択係数が極めて高く、Sr(ストロンチウム)の選択係数も比較的高い。

ゼオライトの陽イオン交換優先順位:
Cs>Rb>K>NH4>Ba>Sr>Na>Ca>Fe>Al>Mg>Li

ゼオライトを安価に製造する方法としては、原料鉄鋼スラグを用いる方法が知られている。具体的には、特許文献1には、鉄鋼スラグにリン酸又はリン酸塩及びアルカリを添加することによってハイドロキシアパタイトとゼオライトとを製造する方法が記載されている。

また、特許文献2には、CaO+MgOの含有量が30質量%以下になるように成分調整された鉄鋼スラグをアルカリ溶液中加熱攪拌することによってゼオライトを製造する方法が記載されている。

さらに、特許文献3には、高炉スラグギ酸又はクエン酸溶液中で攪拌処理することによってCa及びMgを選択除去して高炉スラグの成分を調整した後、高炉スラグをアルカリ溶液中で加熱攪拌することによってゼオライトを製造する方法が記載されている。

概要

鉄鋼スラグを有効利用してセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材を安価、且つ、容易に製造可能な捕集材の製造方法を提供すること。本発明に係る捕集材の製造方法は、鉄鋼スラグをアルカリ条件下ケイ素源を混合した溶液加熱処理し、加熱処理後の鉄鋼スラグをセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材として回収するステップを含むことを特徴とする。なお、ケイ素源中のケイ素の量が鉄鋼スラグ:ケイ素の重量比で50:1以上になるようにケイ素源を混合することが望ましい。また、溶液のpHは9以上、加熱処理の温度は60℃以上であること望ましい。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、鉄鋼スラグを有効利用してセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材を安価、且つ、容易に製造可能な捕集材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

鉄鋼スラグアルカリ条件下ケイ素源を混合した溶液加熱処理し、加熱処理後の鉄鋼スラグをセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材として回収するステップを含むことを特徴とする捕集材の製造方法。

請求項2

前記ケイ素源中のケイ素の量が、鉄鋼スラグ:ケイ素の重量比で50:1以上になるように該ケイ素源を混合するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の捕集材の製造方法。

請求項3

前記溶液のpHが9以上であり、加熱処理の温度が60℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の捕集材の製造方法。

請求項4

請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の捕集材の製造方法によって製造され、カルシウム珪素、及びアルミニウムを含む化合物、及び/又は、カルシウム、珪素、アルミニウム、及び鉄を含む化合物を構成成分として含有することを特徴とする捕集材。

請求項5

請求項4に記載の捕集材又は該捕集材と鉄鋼スラグとの混合物をセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を含有する被処理物質に混合することによって、該被処理物質からのセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の溶出量を低減させるステップを含むことを特徴とする被処理物質の処理方法

請求項6

請求項4に記載の捕集材又は該捕集材と鉄鋼スラグとの混合物をセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を含有する被処理物質に混合することによって、該被処理物質中のセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の含有量を低減させるステップを含むことを特徴とする被処理物質の処理方法。

技術分野

0001

本発明は、水、土壌廃棄物等の処理対象物からセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を除去する捕集材の製造方法、及びこの捕集材とこれを用いた被処理物質処理方法とに関するものである。

背景技術

0002

東日本大震災に伴う福島第一原子発電所事故によって放出された放射性元素は、福島県を中心とした広い範囲に放射線汚染を生じさせている。放射性元素の捕集材としては、ゼオライトフェロシアン化金属化合物、又はこれらを繊維等に織り込んだ材料等が多用されている。

0003

ゼオライトは、結晶性含水アルミノケイ酸アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩によって形成され、一般にSiO4及びAlO4の四面体構造頂点にある酸素原子を互いに共有した網目構造結晶格子を有している。

0004

放射性元素の捕集材として重要なゼオライトは、三次元網目構造を有するゼオライトであり、三次元網目構造を有するゼオライトは交換可能な陽イオンを有している。三次元網目構造を有するゼオライトの陽イオン交換優先順位は下記の通りであり、Cs(セシウム)の選択係数が極めて高く、Sr(ストロンチウム)の選択係数も比較的高い。

0005

ゼオライトの陽イオン交換優先順位:
Cs>Rb>K>NH4>Ba>Sr>Na>Ca>Fe>Al>Mg>Li

0006

ゼオライトを安価に製造する方法としては、原料鉄鋼スラグを用いる方法が知られている。具体的には、特許文献1には、鉄鋼スラグにリン酸又はリン酸塩及びアルカリを添加することによってハイドロキシアパタイトとゼオライトとを製造する方法が記載されている。

0007

また、特許文献2には、CaO+MgOの含有量が30質量%以下になるように成分調整された鉄鋼スラグをアルカリ溶液中加熱攪拌することによってゼオライトを製造する方法が記載されている。

0008

さらに、特許文献3には、高炉スラグギ酸又はクエン酸溶液中で攪拌処理することによってCa及びMgを選択除去して高炉スラグの成分を調整した後、高炉スラグをアルカリ溶液中で加熱攪拌することによってゼオライトを製造する方法が記載されている。

先行技術

0009

特開2010−189241号公報
特開2005−239459号公報
特開2007−222713号公報

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、特許文献1記載のゼオライトの製造方法は、リン酸を添加してハイドロキシアパタイトとゼオライトとの複合体を合成しようとするものであり、リン酸添加後の混合物中性から酸性(pH3〜6)にするためにリン酸を多量に添加する必要がある。このため、特許文献1記載のゼオライトの製造方法によれば、ゼオライトを安価に製造することは困難である。

0011

また、特許文献2記載のゼオライトの製造方法では、CaO+MgOの含有量が30質量%以下となるように鉄鋼スラグの成分を調整しなければならず、鉄鋼製造過程で生成する鉄鋼スラグをそのまま用いることはできない。このため、特許文献2記載のゼオライトの製造方法によれば、ゼオライトを製造するために多くの労力を要する。

0012

さらに、特許文献3記載のゼオライトの製造方法は、ゼオライトを合成する際に不要なカルシウムマグネシウムを酸の添加によって溶解、除去しようとするものである。このため、特許文献3記載のゼオライトの製造方法によれば、鉄鋼スラグ中に多量に存在するカルシウムやマグネシウム等の資源を有効利用することができない。

0013

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、鉄鋼スラグを有効利用してセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材を安価、且つ、容易に製造可能な捕集材の製造方法を提供することにある。

0014

また、本発明の他の目的は、鉄鋼スラグを有効利用した安価な、セシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材を提供することにある。

0015

さらに、本発明の他の目的は、鉄鋼スラグを有効利用してセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を含有する被処理物質からのセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の溶出量又は被処理物質中のセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の含有量を安価、且つ、容易に低減可能な、被処理物質の処理方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0016

本発明に係る捕集材の製造方法は、鉄鋼スラグをアルカリ条件下ケイ素源を混合した溶液加熱処理し、加熱処理後の鉄鋼スラグをセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材として回収するステップを含むことを特徴とする。

0017

本発明に係る捕集材の製造方法は、上記発明において、前記ケイ素源中のケイ素の量が、鉄鋼スラグ:ケイ素の重量比で50:1以上になるように該ケイ素源を混合するステップを含むことを特徴とする。

0018

本発明に係る捕集材の製造方法は、上記発明において、前記溶液のpHが9以上であり、加熱処理の温度が60℃以上であることを特徴とする。

0019

本発明に係る捕集材は、本発明に係る捕集材の製造方法によって製造され、カルシウム、珪素、及びアルミニウムを含む化合物、及び/又は、カルシウム、珪素、アルミニウム、及び鉄を含む化合物を構成成分として含有することを特徴とする。

0020

本発明に係る被処理物質の処理方法は、本発明に係る捕集材又は該捕集材と鉄鋼スラグとの混合物をセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を含有する被処理物質に混合することによって、該被処理物質からのセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の溶出量を低減させるステップを含むことを特徴とする。

0021

本発明に係る被処理物質の処理方法は、本発明に係る捕集材又は該捕集材と鉄鋼スラグとの混合物をセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を含有する被処理物質に混合することによって、該被処理物質中のセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の含有量を低減させるステップを含むことを特徴とする。

発明の効果

0022

本発明に係る捕集材の製造方法によれば、鉄鋼スラグを有効利用してセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材を安価、且つ、容易に製造することができる。

0023

本発明に係る捕集材によれば、鉄鋼スラグを有効利用した安価なセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材を提供することができる。

0024

本発明に係る被処理物質の処理方法によれば、鉄鋼スラグを有効利用してセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を含有する被処理物質からのセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の溶出量又は被処理物質中のセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の含有量を安価、且つ、容易に低減することができる。

図面の簡単な説明

0025

図1は、アルカリ加熱処理時のケイ酸ナトリウム濃度変化に伴う転炉スラグのセシウム捕集率の変化を示す図である。
図2は、アルカリ加熱処理時のケイ酸ナトリウムの濃度変化に伴う高炉徐冷スラグのセシウム捕集率の変化を示す図である。
図3は、アルカリ加熱処理時のケイ酸ナトリウムの濃度変化に伴う溶液のpHの変化を示す図である。
図4は、アルカリ加熱処理時の処理温度の変化に伴う高炉徐冷スラグのセシウム捕集率の変化を示す図である。
図5Aは、未改質転炉スラグのX線回折結果を示す図である。
図5Bは、ケイ酸ナトリウムと共にアルカリ溶液で加熱処理後の転炉スラグのX線回折結果を示す図である。
図6は、セシウム標準液通過液量に対する改質転炉スラグのセシウム捕集率の変化を示す図である。
図7は、セシウム標準液の通過液量に対する改質転炉スラグのセシウム積算捕集量の変化を示す図である。
図8Aは、改質転炉スラグ及び未改質転炉スラグのセシウム捕集率を示す図である。
図8Bは、改質転炉スラグ及び未改質転炉スラグのストロンチウム捕集率を示す図である。

実施例

0026

本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねてきた結果、鉄鋼スラグをアルカリ溶液でケイ酸源と共に加熱処理することによって、極めて高い効率でセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集可能な捕集材を製造できること、及びこの製造方法によって製造されたセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の捕集材が従来のゼオライトとは異なるカルシウム−ケイ素−アルミニウム系の化合物、及び/又は、カルシウム−ケイ素−アルミニウム−鉄系の化合物を構成成分として含有することを知見した。

0027

また、本発明の発明者らは、このようなセシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の捕集材を製造するためには、ケイ素源中のケイ素の量が鉄鋼スラグ:ケイ素の重量比で50:1以上になるようにケイ素源を混合することが好適であること、及び加熱処理に用いるアルカリ溶液(水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)のpHが9以上、且つ、加熱処理温度が60℃以上であることが有効であることを見出した。

0028

ここで、鉄鋼スラグとは、鉄鋼の製造過程で発生するスラグであり、高炉スラグと製鋼スラグとに大別される。

0029

高炉スラグとは、高炉鉄鉱石溶融還元する際に発生するスラグであり、鉄鉱石に含まれるシリカ等の鉄以外の成分や還元剤として使われるコークスの灰分が副原料の石灰石と結合したものである。高炉スラグは冷却方法によって徐冷スラグ水砕スラグとに大別されるが、本発明に用いるスラグとしては高炉徐冷スラグが好適である。高炉徐冷スラグの主要鉱物相は、ゲーレナイト(2CaO・Al2O3・SiO2)とオケルマナイト(2CaO・MgO・2SiO2)とを端成分とする固溶体であるメリライト及びダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)である。

0030

製鋼スラグとは、溶銑スクラップ等を精錬して鉄鋼を製造する際に同時に製造される転炉スラグ、電気炉スラグ、及びその他の製鋼工程で製造される溶銑予備処理スラグ(溶銑を転炉装入する前に溶銑の脱硫脱珪脱燐等の処理をする際に生成されるスラグ。予備処理の内容に応じて生成されるスラグを脱硫スラグ脱珪スラグ脱燐スラグ等と称する)、二次精錬スラグ(転炉等から出鋼した溶鋼に脱硫、脱燐、脱ガス等の処理をする際に生成されるスラグ)、スロッピングスラグ(転炉吹錬中に炉内から飛び出し、炉下に落下したスラグ)、鋳造スラグ(溶鋼を鋳型又は連続鋳造機注入した後、溶鋼鍋残留したスラグ)、及び混銑炉スラグ(混銑炉から排出されたスラグ)を意味する。

0031

より具体的には、製鋼スラグは、鉄鋼の製造過程で生成されるものであり、CaO、SiO2、FeO、Fe2O3、MgO、MnO、P2O5を主成分、Al2O3、S等を副成分として含有するものである。代表的な鉱物相としては、ダイカルシウムシリケート(β−Ca2(SiO4、PO4))、トリカルシウムシリケート((Mg、Ca、Mn、Fe)3SiO5)、ウスタイト(FeO)、マグネタイト((Mn、Fe)3O4)、ライム(CaO)、ダイカルシウムフェライトチタネート(Ca2(Al、Fe)2O5−Ca(Si、Ti)O)等が存在する。これらの製鋼スラグはスラグの種類や製造条件によって様々な成分組成を有する。

0032

セシウム及びストロンチウムの少なくとも一方を捕集する捕集材の製造にあたっては、鉄鋼スラグを数mm程度以下の粒径粉砕し、アルカリ水溶液を加えてケイ酸源と共に加熱処理する。鉄鋼スラグは、単独又は複数の鉄鋼スラグを混合して用いることができ、好ましくはケイ素源中のケイ素の量が鉄鋼スラグ:ケイ素の重量比で50:1以上になるようにケイ素源の量を調整する。

0033

なお、鉄鋼スラグ中にもケイ素は含有されており、高炉スラグはケイ素含有率が高い(代表組成:CaO1.7%、SiO233.8%、T−Fe0.4%、MgO7.4%、Al2O313.4%)(ここで%は質量%を表す)。これに対して、製鋼スラグは、高炉スラグと比較するとケイ素含有率が低い(代表組成:CaO45.8%、SiO210.0%、T−Fe17.4%、MgO6.5%、Al2O31.9%)(ここで%は質量%を表す)。

0034

しかしながら、本発明の発明者らによれば、鉄鋼スラグ中に含有されているケイ素源は、アルカリ加熱処理時に全てが改質に利用されておらず、ケイ素量として十分ではないことが確認された。このため、ケイ素の不足分を補うために外部からケイ素源を別途混合することによって、セシウム及びストロンチウムの少なくとも一方の捕集効率がより高い捕集材を調製することができる。

0035

この時のケイ素源としては、ケイ酸ナトリウム等の試薬を用いることが考えられるが、ケイ砂水ガラスケイ酸ナトリウム水溶液加熱品)等のケイ酸塩を用いてもよく、特に限定されるものではない。

0036

加熱処理に用いるアルカリ溶液のpHは9以上、且つ、加熱処理の温度が60℃以上であることが好ましく、さらに加熱処理の温度を100℃以上にして還流状態で反応を進めるとより好適であり、より低いアルカリ溶液濃度でも反応が迅速に進行する。

0037

このような製造方法によって得られる改質スラグは、カルシウムと珪素及びアルミニウムとの化合物(例えばCa5Si5Al(OH)O17・5H2O等)及び/又はカルシウムと珪素とアルミニウム及び鉄との化合物(例えばCa3AlFe(SiO4)(OH)8等)を構成成分として含有しており、これらがイオン交換作用及び/又は吸着分子ふるい等の作用によってセシウムやストロンチウムを捕集するものと推察される。

0038

この捕集効果はセシウム及びストロンチウムに対して有効であり、セシウムと並んで放射性物質として汚染の原因となっているストロンチウムの捕集材としても有用である。

0039

アルカリ溶液での加熱処理によって生成された改質スラグは、セシウムやストロンチウムの保持容量が大きく(スラグ1gあたり1mg以上の高いセシウム保持容量を有しており)、セシウム含有物質ストロンチウム含有物質が水等の媒体に含有されている場合には処理対象物に直接改質スラグを添加、攪拌するだけで処理対象物中のセシウムやストロンチウムは改質スラグに捕集される。

0040

また、処理対象物ががれきや焼却灰のような固体である場合には、処理対象物に改質スラグ又は改質スラグを少量添加した鉄鋼スラグを混ぜて塊状に造粒することにより、これらの物質からのセシウムやストロンチウムの溶出が抑制できると共に、スラグの放射線遮蔽効果によって放射線量も低減できる。また、鉄鋼スラグは、セシウムやストロンチウム以外の鉛やヒ素カドミウム等の環境有害元素の捕集効果にも優れており、東日本大震災による津波堆積土壌のように、セシウムやストロンチウムと同時にこれらの環境有害元素を多く含む物質の処理にも効果を発現する。

0041

実験例1〕
2mm目のふるいを通過するように粉砕した転炉スラグ(Ca26.5%、Si4.55%、Fe22.7%、Mg2.9%、Al2.1%)(ここで%は質量%を表す)2.5gにケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)を0〜2.5gまで段階的に混合し、濃度3.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を40ml添加して、120℃で24時間加熱処理した。遠心分離処理液を除き、水洗、乾燥した。得られた改質転炉スラグ0.25gに濃度1×10−5mol/Lのセシウム標準液を10ml添加して1時間攪拌後、溶液中に残存したセシウム量ICP質量分析装置で定量し、セシウム捕集率を算出した。算出結果を図1及び以下の表1に示す。また、ケイ酸ナトリウムを混合せず、加熱処理も行なわない転炉スラグ(非改質転炉スラグ)についても同様にしてセシウム捕集率を算出し、以下の表1に合わせて記載した。

0042

0043

図1に示すように、ケイ酸源を混合せず、アルカリ条件での加熱処理のみを行った転炉スラグ(図1中のケイ酸ナトリウム濃度0mol/Lとして記載)では、セシウム捕集率が30%程度で止まった。しかしながら、ケイ酸ナトリウムを混合してアルカリ加熱処理することにより、セシウム捕集率が30%から上昇し、転炉スラグはセシウムを高効率に捕集する材料へと改質された。なお、混合したケイ酸ナトリウムの濃度が0.1mol/Lである時には、セシウム捕集率が60%近くまで改善されていることから、アルカリ加熱処理の際には0.1mol/L以上の濃度のケイ酸ナトリウムを混合することが有効であることが知見された。

0044

表1に示すように、単独では全くセシウム捕集効果を示さなかった転炉スラグが、アルカリ条件での加熱処理を施すことによってセシウム捕集能を有するようになり、さらにアルカリ加熱処理時にケイ素源を混合することによってそのセシウム捕集率が向上することが知見された。また、転炉スラグに本来含有されているケイ素量は、別途混合したケイ素源の量に匹敵するが、ケイ素源を新たに混合しなければセシウム捕集率の大幅な向上は見られなかった。これは、アルカリ加熱処理による改質に対する転炉スラグ中のケイ素源の寄与には限界があるためと考えられる。また、新たに混合するケイ素源の量が転炉スラグ:混合ケイ素の重量比で50:1程度以上になる混合量において、セシウム捕集率に大きな改善がみられることが知見された。また、アルカリ加熱処理時のpHはいずれも11以上であった。

0045

〔実験例2〕
2mm目のふるいを通過するように粉砕した高炉徐冷スラグ(Ca28.4%、Si15.8%、Fe0.3%、Mg4.1%、Al7.2%)(ここで、%は質量%を表す)2.5gにケイ酸ナトリウムを0〜2.5gまで段階的に混合し、濃度0.2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を40ml添加して、120℃で24時間加熱処理した。遠心分離で処理液を除き、水洗、乾燥した。得られた改質高炉徐冷スラグ0.25gに濃度1×10−5mol/Lのセシウム標準液を10ml添加して1時間攪拌後、溶液中に残存したセシウム量をICP質量分析装置で定量し、セシウム捕集率を算出した。算出結果を図2に示す。

0046

図2に示すように、ケイ酸源を混合せず、アルカリ条件での加熱処理のみを行った高炉徐冷スラグ(図1中のケイ酸ナトリウム濃度0mol/Lとして記載)では、セシウム捕集率は40%程度で止まった。これに対して、ケイ酸ナトリウムを混合してアルカリ加熱処理することにより、高炉徐冷スラグはセシウムを高効率に捕集する材料へと改質された。また、混合したケイ酸ナトリウムの濃度が0.1mol/L以上の時には、セシウム捕集率が80%を超える値に改善されていることから、アルカリ加熱処理には0.1mol/L以上の濃度のケイ酸ナトリウムを混合することが有効であることが知見された。すなわち、図3に示すように、溶液のpHが9以上になるケイ酸ナトリウムの添加量であれば、有効な改質ができることが知見された。

0047

また、上記と同じ高炉徐冷スラグに対して、上記と同様の実験においてアルカリ加熱処理時の水酸化ナトリウム水溶液の濃度を2.5mol/Lとし、処理温度を25〜140℃の範囲内で変化させて24時間加熱処理し、同様にセシウム捕集率を評価した。評価結果を図4に示す。図4に示すように、セシウム捕集率50%以上の高炉徐冷スラグを得るためには、加熱処理温度が60℃以上である必要があることが知見された。さらに、加熱処理温度を100℃以上とすることにより、セシウム捕集率を80%以上にできることもわかった。

0048

未改質転炉スラグ及び実験例1で得られた改質転炉スラグ(ケイ酸ナトリウム混合量2.5gの転炉スラグ)について、その成分をXRD(X線回折による結晶構造解析)を用いて分析した結果をそれぞれ図5A,5Bに示す。図5A図5Bの比較から明らかなように、ケイ素源を混合してアルカリ加熱処理を施した改質転炉スラグのX線回折結果のみに、カルシウム、珪素、及びアルミニウムを含有する化合物、及びカルシウム、珪素、アルミニウム、及び鉄を含有する化合物に由来するX線回折ピークが確認できる。このことから、改質転炉スラグにはゼオライト様構造を示唆する化合物が生成、含有されていることが知見された。

0049

〔実験例3〕
実験例1で得られた改質転炉スラグ(ケイ酸ナトリウム混合量2.5gの転炉スラグ)を用いて、カラム法によりセシウム捕集量を測定した。具体的には、改質転炉スラグ0.5gを高さ5mmのカラムとして充填し、そこに濃度1×10−4mol/Lのセシウム標準液を通過させ、通過した液量とセシウム捕集率及びセシウム積算捕集量との関係を測定した。測定結果図6図7に示す。図6,7に示すように、セシウム標準液の通過液量が増加するにつれてセシウム捕集率は低下したが、最終的に改質転炉スラグ(g-スラグ)1gあたり1.5mgを超えるセシウム積算捕集量が得られた。

0050

〔実験例4〕
実験例1で得られた改質転炉スラグ(ケイ酸ナトリウム混合量2.5gの転炉スラグ)0.25gに濃度1mg/Lのセシウム標準液及びストロンチウム標準液をそれぞれ30〜50ml段階的に添加して1時間攪拌後、溶液中に残存したセシウム及びストロンチウムをICP質量分析装置で定量し、各条件におけるそれぞれの捕集率を算出した。算出結果を図8A,8Bに示す。図8A,8Bに示すように、改質転炉スラグは、セシウム及びストロンチウムのいずれに対しても非常に高い捕集率を示した。

0051

また、比較のため、2mm目のふるいを通過するように粉砕した未改質転炉スラグ0.25gに濃度1mg/Lのセシウム標準液及びストロンチウム標準液をそれぞれ30〜50ml段階的に添加して1時間攪拌後、溶液中に残存したセシウム及びストロンチウムをICP質量分析装置で定量し、各条件におけるそれぞれの捕集率を算出した。算出結果を図8A,8Bに合わせて示す。図8A,8Bに示すように、未改質転炉スラグでは、セシウムやストロンチウムはほとんど捕集されないことが知見された。

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