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技術 太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法

出願人 大日本印刷株式会社
発明者 赤澤徳俊小保内直博横地英一郎
出願日 2014年7月11日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2014-143547
公開日 2016年2月4日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-021431
状態 特許登録済
技術分野 発光性組成物 高分子組成物 光起電力装置
主要キーワード 製造後初期 多層シート構造 初期ガラス 樹脂メッシュ モジュール構成部材 適量範囲 製造初期 剥離試験装置
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

ポリエチレン系樹脂ベース樹脂とした封止材シートであって、優れた長期耐候性を有する、波長変換型の封止材シートを提供すること。

解決手段

波長変換機能を有する太陽電池モジュール用の封止材シート1において、中間層11及び最外層12に、ヒンダードアミン光安定剤として、下記の光安定剤(A)を使用するか、或いは、光安定剤(A)を下記の光安定剤(B)と併用する。光安定剤(A):モノマーユニットの側鎖中に、ピペリジン環を三つ以上持つ分子量1000以上10000以下のヒンダードアミン系光安定剤光安定剤(B):モノマーユニットの主鎖中にピペリジン環を一つだけ持つ分子量1000以上5000以下のヒンダードアミン系光安定剤

概要

背景

近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に太陽電池モジュールは、ガラス等からなる透明前面基板太陽電池素子裏面保護シートとが、封止材シートを介して積層された構成である。

太陽電池モジュール用の封止材シートとして、透明性、密着性等に優れるEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)をベース樹脂としたものが従来広く用いられてきた。しかし、近年においては、EVA同等の透明性を有し、EVAに比して耐加水分解性等に優れるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートの開発が進んでいる。

ここで、一般に太陽電池素子は、可視光から近赤外線波長領域の光に対して高い分光感度を有している。そこで、太陽電池モジュール内に紫外線を可視光に変換させる波長変換剤を含有する波長変換層を配することにより、太陽電池素子における太陽光利用効率を高め、発電効率を向上させることを企図した太陽電池モジュールが提案されている(特許文献1参照)。

又、波長変換機能の発揮と、封止材シート元来の保護機能等をバランスよく発現させるために、波長変換層の両面に保護層等、その他の機能層を積層してなる多層型の封止材シートも提案されている(特許文献2参照)

又、太陽電池モジュール用の封止材シートに添加して用いる波長変換剤としては、従来、例えばMgF2:Eu2+等の無機蛍光体からなる波長変換剤が広く用いられてきた(特許文献3参照)。

しかしながら、上記のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートに波長変換剤を添加する場合においては、上記のような無機系の波長変換剤は、オレフィンとの相溶性が悪く、封止材シートの光学特性の低化を招き易いという問題があった。この点、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートに添加する波長変換剤としては、例えば、トリアゾール等からなる有機系の波長変換剤を選択することが望ましいことが明らかになっていた。

概要

ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートであって、優れた長期耐候性を有する、波長変換型の封止材シートを提供すること。波長変換機能を有する太陽電池モジュール用の封止材シート1において、中間層11及び最外層12に、ヒンダードアミン光安定剤として、下記の光安定剤(A)を使用するか、或いは、光安定剤(A)を下記の光安定剤(B)と併用する。光安定剤(A):モノマーユニットの側鎖中に、ピペリジン環を三つ以上持つ分子量1000以上10000以下のヒンダードアミン系光安定剤光安定剤(B):モノマーユニットの主鎖中にピペリジン環を一つだけ持つ分子量1000以上5000以下のヒンダードアミン系光安定剤

目的

本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、耐加水分解性等に優れるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、波長変換機能を有する封止材シート(以下、「波長変換型の封止材シート」とも言う)であって、高温多湿の環境下での長期使用後においても、良好な光学特性と波長変換機能を維持することができる、即ち、優れた耐候性と耐久性を有する、波長変換型の封止材シートを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

太陽電池モジュール用の封止材シートであって、前記封止材シートは、中間層と、その両面に配置される最外層と、を含んでなる多層シートであり、前記中間層及び前記最外層は、密度0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下の低密度ポリエチレンベース樹脂とし、前記中間層は、有機波長変換剤を含有し、前記最外層は、前記有機系波長変換剤が含まれる場合、その含有量比は、前記中間層における前記有機系波長変換剤の含有量比よりも小さく、前記中間層及び前記最外層には、ヒンダードアミン光安定剤が含有されており、前記ヒンダードアミン系光安定剤として、下記の光安定剤(A)が使用されている太陽電池モジュール用の封止材シート。光安定剤(A):モノマーユニットの側鎖中に、ピペリジン環を三つ以上持つ分子量1000以上10000以下のヒンダードアミン系光安定剤

請求項2

前記ヒンダードアミン系光安定剤として、前記光安定剤(A)と下記の光安定剤(B)とが、併用されている請求項1に記載の封止材シート。光安定剤(B):モノマーユニットの主鎖中にピペリジン環を一つだけ持つ分子量1000以上5000以下のヒンダードアミン系光安定剤

請求項3

光安定剤(A)が、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミン重縮合物であり、光安定剤(B)が、ブタン二酸1−[2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノエチル]、である請求項1又は2に記載の封止材シート。

請求項4

前記中間層及び前記最外層における、前記光安定剤(A)及び(B)の含有量が以下の通りである請求項1から3のいずれかに記載の封止材シート。光安定剤(A):0.01質量%以上1.0質量%以下含有光安定剤(B):0.01質量%以上1.0質量%以下含有

請求項5

前記有機系波長変換剤が数平均分子量100以上1000以下の波長変換剤である請求項1から4のいずれかに記載の封止材シート。

請求項6

前記有機系波長変換剤が、ピラジンピリジントリアゾールのうちいずれか一の誘導体又はそれらの混合物である請求項1から5のいずれかに記載の封止材シート。

請求項7

前記最外層中の前記有機系波長変換剤の含有量比が、前記中間層中の前記有機系波長変換剤の含有量比の1/2以下である請求項1から6いずれかに記載の封止材シート。

請求項8

前記最外層は、シラン変性ポリエチレン系樹脂を更に含有する請求項1から7のいずれかに記載の封止材シート。

請求項9

請求項1から8のいずれかに記載の封止材シートと、太陽電池素子と、を備える太陽電池モジュールであって、前記封止材シートが前記太陽電池素子の受光面側に配置されている太陽電池モジュール。

請求項10

太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法であって、密度0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする中間層用封止材組成物からなる中間層に、密度0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下のポリエチレン系樹脂からなる最外層用の封止材組成物からなる最外層を、積層して、多層シートを成形するシート化工程を含み、前記中間層用の封止材組成物には、有機系波長変換剤が、0.05質量%以上0.5質量%以下含有されており、前記最外層用の封止材組成物には、波長変換剤が含有されておらず、前記中間層及び前記最外層には、ヒンダードアミン系光安定剤が含有されており、前記ヒンダードアミン系光安定剤として、下記の光安定剤(A)を使用する太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。光安定剤(A):モノマーユニットの側鎖中に、ピペリジン環を三つ以上持つ分子量1000以上10000以下のヒンダードアミン系光安定剤

請求項11

前記ヒンダードアミン系光安定剤として、前記光安定剤(A)と下記の光安定剤(B)とを、併用する請求項10に記載の封止材シートの製造方法。光安定剤(B):モノマーユニットの主鎖中にピペリジン環を一つだけ持つ分子量1000以上5000以下のヒンダードアミン系光安定剤

請求項12

前記有機系波長変換剤が数平均分子量100以上1000以下の波長変換剤である請求項10又は11に記載の封止材シートの製造方法。

請求項13

前記有機系波長変換剤が、ピラジン、ピリジン、トリアゾールのうちいずれか一の誘導体又はそれらの混合物である請求項10から12のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。

請求項14

前記多層シートに電離放射線照射によって架橋処理を行う架橋工程と、を更に含んでなる請求項10から13のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に太陽電池モジュールは、ガラス等からなる透明前面基板太陽電池素子裏面保護シートとが、封止材シートを介して積層された構成である。

0003

太陽電池モジュール用の封止材シートとして、透明性、密着性等に優れるEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)をベース樹脂としたものが従来広く用いられてきた。しかし、近年においては、EVA同等の透明性を有し、EVAに比して耐加水分解性等に優れるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートの開発が進んでいる。

0004

ここで、一般に太陽電池素子は、可視光から近赤外線波長領域の光に対して高い分光感度を有している。そこで、太陽電池モジュール内に紫外線を可視光に変換させる波長変換剤を含有する波長変換層を配することにより、太陽電池素子における太陽光利用効率を高め、発電効率を向上させることを企図した太陽電池モジュールが提案されている(特許文献1参照)。

0005

又、波長変換機能の発揮と、封止材シート元来の保護機能等をバランスよく発現させるために、波長変換層の両面に保護層等、その他の機能層を積層してなる多層型の封止材シートも提案されている(特許文献2参照)

0006

又、太陽電池モジュール用の封止材シートに添加して用いる波長変換剤としては、従来、例えばMgF2:Eu2+等の無機蛍光体からなる波長変換剤が広く用いられてきた(特許文献3参照)。

0007

しかしながら、上記のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートに波長変換剤を添加する場合においては、上記のような無機系の波長変換剤は、オレフィンとの相溶性が悪く、封止材シートの光学特性の低化を招き易いという問題があった。この点、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートに添加する波長変換剤としては、例えば、トリアゾール等からなる有機系の波長変換剤を選択することが望ましいことが明らかになっていた。

先行技術

0008

特開2007−27271号公報
特開2012−15205号公報
特開2012−15205号公報
特開2012−044153号公報

発明が解決しようとする課題

0009

近年EVA封止材に代わって需要を伸ばしつつあるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートに波長変換剤を添加する場合、上記の通り、有機系の波長変換剤を選択することにより、製造後初期における光学特性は無機系の波長変換剤を選択した場合よりも良好に保持することができる。

0010

しかしながら、有機系の波長変換剤は、太陽電池モジュールの実使用環境として想定される高温多湿の環境下での長期使用時における耐候性に問題があり、上記の過酷な環境における長期使用後においては、波長変換剤の量子収率が低下して波長変換機能が著しく劣化する場合があることが、更なる問題として認識されるようになった。

0011

ここで、太陽電池モジュール用の封止材シートには、耐候性向上の観点から、ラジカル吸収剤が適宜用いられる。上記の波長変換剤の劣化についても、ラジカル吸収剤の添加が有効であることが推測される。ラジカル吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤HALS)が知られており、例えば、特許文献4には、HALSとしていわゆる高分子量タイプのヒンダードアミン系光安定化剤を用いることが記載されている。

0012

分子量1000以上の高分子量タイプのヒンダードアミン系光安定化剤は、一般に耐移行性耐溶出性に優れるものであるが、その種類によって長期間の移行性が異なり、結果としてヘーズ低下、特にガラス間に挟んで測定されるヘーズの上昇に繋がるので、このヘーズ上昇が抑制できるHALSを選択することが重要である。一方、封止材シートはガラス基板への密着性においても長期の耐久性が必要とされるが、やはりHALSの種類によって長期ガラス密着性の効果が異なるという現実がある。このように、封止材シートとしてはヘーズ上昇抑制と長期ガラス密着性の両立が求められるが、HALSの存在は両者を共に低下させる要因ともなる。

0013

本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、耐加水分解性等に優れるポリエチレン系樹脂をベース樹脂とし、波長変換機能を有する封止材シート(以下、「波長変換型の封止材シート」とも言う)であって、高温多湿の環境下での長期使用後においても、良好な光学特性と波長変換機能を維持することができる、即ち、優れた耐候性と耐久性を有する、波長変換型の封止材シートを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らは、鋭意検討を行った結果、封止材シートを多層シートとし、その中間層にのみ、分子量が特定値よりも大きい有機系の波長変換剤を添加することにより、波長変換剤の経時変化に伴うブリードアウトを十分に防ぐことができること。又、そのような封止材シートにおいて、ラジカル吸収がより効果的なHALSを、選択的に使用し、各層に適量添加することで、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。

0015

(1)太陽電池モジュール用の封止材シートであって、前記封止材シートは、中間層と、その両面に配置される最外層と、を含んでなる多層シートであり、前記中間層及び前記最外層は、密度0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下の低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、前記中間層は、有機系波長変換剤を含有し、前記最外層は、前記有機系波長変換剤が含まれる場合、その含有量比は、前記中間層における前記有機系波長変換剤の含有量比よりも小さく、前記中間層及び前記最外層には、ヒンダードアミン系光安定剤が含有されており、前記ヒンダードアミン系光安定剤として、下記の光安定剤(A)が使用されている太陽電池モジュール用の封止材シート。
光安定剤(A):モノマーユニットの側鎖中に、ピペリジン環を三つ以上持つ分子量1000以上10000以下のヒンダードアミン系光安定剤

0016

(2) 前記ヒンダードアミン系光安定剤として、前記光安定剤(A)と下記の光安定剤(B)とが、併用されている(1)に記載の封止材シート。
光安定剤(B):モノマーユニットの主鎖中にピペリジン環を一つだけ持つ分子量1000以上5000以下のヒンダードアミン系光安定剤

0017

(3)光安定剤(A)が、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミン重縮合物であり、光安定剤(B)が、ブタン二酸1−[2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノエチル]、である(1)又は(2)に記載の封止材シート。

0018

(4) 前記中間層及び前記最外層における、前記光安定剤(A)及び(B)の含有量が以下の通りである(1)から(3)のいずれかに記載の封止材シート。
光安定剤(A):0.01質量%以上1.0質量%以下含有
光安定剤(B):0.01質量%以上1.0質量%以下含有
(5) 前記有機系波長変換剤が数平均分子量100以上1000以下の波長変換剤である(1)から(4)のいずれかに記載の封止材シート。

0019

(6) 前記有機系波長変換剤が、ピラジンピリジン、トリアゾールのうちいずれか一の誘導体又はそれらの混合物である(1)から(5)のいずれかに記載の封止材シート。

0020

(7) 前記最外層中の前記有機系波長変換剤の含有量比が、前記中間層中の前記有機系波長変換剤の含有量比の1/2以下である(1)から(6)いずれかに記載の封止材シート。

0021

(8) 前記最外層は、シラン変性ポリエチレン系樹脂を更に含有する(1)から(7)のいずれかに記載の封止材シート。

0022

(9) (1)から(8)のいずれかに記載の封止材シートと、太陽電池素子と、を備える太陽電池モジュールであって、前記封止材シートが前記太陽電池素子の受光面側に配置されている太陽電池モジュール。

0023

(10)太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法であって、密度0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする中間層用封止材組成物からなる中間層に、密度0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下のポリエチレン系樹脂からなる最外層用の封止材組成物からなる最外層を、積層して、多層シートを成形するシート化工程を含み、前記中間層用の封止材組成物には、有機系波長変換剤が、0.05質量%以上0.5質量%以下含有されており、前記最外層用の封止材組成物には、波長変換剤が含有されておらず、前記中間層及び前記最外層には、ヒンダードアミン系光安定剤が含有されており、前記ヒンダードアミン系光安定剤として、下記の光安定剤(A)を使用する太陽電池モジュール用の封止材シートの製造方法。
光安定剤(A):モノマーユニットの側鎖中に、ピペリジン環を三つ以上持つ分子量1000以上10000以下のヒンダードアミン系光安定剤

0024

(11) 前記ヒンダードアミン系光安定剤として、前記光安定剤(A)と下記の光安定剤(B)とを、併用する(10)に記載の封止材シートの製造方法。
光安定剤(B):モノマーユニットの主鎖中にピペリジン環を一つだけ持つ分子量1000以上5000以下のヒンダードアミン系光安定剤

0025

(12) 前記有機系波長変換剤が数平均分子量100以上1000以下の波長変換剤である請求項(10)又は(11)に記載の封止材シートの製造方法。

0026

(13) 前記有機系波長変換剤が、ピラジン、ピリジン、トリアゾールのうちいずれか一の誘導体又はそれらの混合物である(10)から(12)のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。

0027

(14) 前記多層シートに電離放射線照射によって架橋処理を行う架橋工程と、を更に含んでなる(10)から(13)のいずれかに記載の封止材シートの製造方法。

発明の効果

0028

本発明によれば、ポリエチレン系樹脂をベース樹脂とした封止材シートであって、優れた長期耐候性を有する、波長変換型の封止材シートを提供することができる。

図面の簡単な説明

0029

本発明の封止材シートの層構成の一例を示す断面模式図である。
本発明の封止材シートと、それを用いた太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面模式図である。

0030

以下、先ずは、本発明の太陽電池モジュール用の封止材シートに好ましく用いることができる封止材組成物(以下、単に「封止材組成物」とも言う)、太陽電池モジュール用の封止材シート(以下、単に「封止材シート」とも言う)とその製造方法、及び、本発明の封止材シートを用いた太陽電池モジュールとその製造方法について順次説明する。尚、本明細書において、多層の封止材シートとは、封止材シートの両面に成形される最外層と、最外層以外の層である中間層と、からなる多層構造を有する封止材シートのことを言う。中間層とは、最外層以外の層のことを言い、単層構造であってもよく、或いは、中間層それ自体が複数の層からなる多層構造を有するものであってもよい。

0031

<封止材組成物>
本発明の封止材シートは、中間層と最外層を含んでなる多層の封止材シートである。そして、多層の封止材シートの中間層を形成するための中間層用の封止材組成物は、波長変換剤を必須の成分として含有する。又、最外層を形成するための最外層用の封止材組成物も低密度ポリエチレン樹脂をベース樹脂とするが、中間層用の封止材組成物とは異なり、波長変換剤は含有しない。そして、中間層用の封止材組成物及び最外層用の封止材組成物は、ラジカル吸収能力への着目により選択された特定のHALSを必須成分とする。

0032

[中間層用の封止材組成物]
中間層用の封止材組成物は、本発明の多層の封止材シートの中間層を成形するために用いる封止材組成物である。中間層用の封止材組成物は、ポリエチレン系樹脂からなる中間層用ベース樹脂と、有機系波長変換剤と、を必須の成分として含有する。

0033

(ベース樹脂)
中間層用の封止材組成物のベース樹脂(以下「中間層用ベース樹脂」とも言う)として用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレンLLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を好ましく用いることができる。

0034

中間層用ベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下、好ましくは、0.870g/cm3以上0.930g/cm3以下である。中間層用ベース樹脂の密度は、後に詳述する最外層用ベース樹脂より高密度であることが好ましい。中間層用ベース樹脂の密度を上記範囲とすることにより、モールディング特性や太陽電池素子の保護性能を保持しながら、封止材シートの耐熱性を十分に向上させることができる。

0035

又、中間層用のベース樹脂は、組成物段階で残存する全二重結合数が、相対的に最外層用のベース樹脂の全二重結合数よりも多いポリエチレン系の樹脂であることが好ましい。又、中間層用のベース樹脂の全二重結合数は、0.5個以上4.0個以下であることが好ましく、1.0個以上4.0個以下であることがより好ましい。中間層用の封止材組成物の全二重結合数を、上記範囲とすることにより、電離放射線の照射による架橋を行う場合に、架橋を十分に進行させて封止材シートの耐熱性を十分に向上させることができる。一方、電離放射線の照射による中間層の架橋を十分に進行させたとしても、最外層用の封止材組成物の全二重結合数を中間層用の封止材組成物のそれとは異なる範囲に限定することにより、最外層の架橋進行が中間層とは異なる態様で抑制されることになり、この結果、封止材シート全体として好ましいモールディング特性を保持することができる。尚、中間層用の封止材組成物の全二重結合数が0.5個未満であると、封止材シートの耐熱性が、十分に向上しない。又、4.0個を超えると、過剰な架橋の進行により、モールディング特性や密着性が低下するため好ましくない。

0036

ここで、本明細書における「全二重結合数」とは、シート状態の封止材組成物のシート密度d(g/cm3)とシート厚みt(cm)と赤外吸収スペクトル吸収バンド吸光度Aとから、下記式により求めた値である。尚、赤外吸収スペクトルの吸収バンドの吸光度Aの測定については、Thermo Scientific製 NICOLET6700によって行った。
末端ビニル基数=0.231/(d×t)×A(910cm−1)
ビニリデン基数=0.271/(d×t)×A(888cm−1)
トランスビニレン基数=0.328/(d×t)×A(965cm−1)
全二重結合数=末端ビニル基数+ビニリデン基数+トランスビニレン基数上記方法による2000炭素当たりの全二重結合数のことを言うものとする。

0037

中間層用の封止材組成物に含まれる上記ベース樹脂の含有量は、中間層用の封止材組成物中の全樹脂成分の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上99質量部以下、より好ましくは50質量部以上99質量部以下であり、更に好ましくは90質量部以上99質量部以下である。中間層用の封止材組成物は、上記範囲内において他の樹脂を含んでいてもよい。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用してもよい。尚、本明細書において全樹脂成分という場合は、上記の他の樹脂を含む。

0038

(有機系波長変換剤)
波長変換剤とは、太陽電池素子において吸収感度の低い波長領域の光を吸収感度の高い波長領域に波長変換して太陽池素子入射させることによって、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与するもののことを言う。無機系、有機系、或いは、それらのハイブリッド系の各種の波長変換剤が知られている。

0039

これらのうち、本発明の封止材シートの中間層用の封止材組成物には、有機系波長変換剤を用いる。又、この有機系波長変換剤のうちでも、特に、数平均分子量が100以上1000以下のものを好ましく用いることができる。有機系の波長変換剤を、多層シートにおける中間層のみに添加することによっても、有機系波長変換剤の封止材シートの最外層側への浸出を抑制し、封止材シートの製造初期の光学特性を十分に好ましいものとすることができる。但し、有機系の波長変換剤については、比較的分子量が大きい数平均分子量100以上の剤のみを選択することにより、高温多湿の過酷な条件下における長期使用期間の経過後においても、有機系波長変換剤の最外層側への浸出を極めて良く抑制し、波長変換剤のブリードアウトによる封止材シートの光学特性や密着性の劣化を回避することができる。

0040

有機系波長変換剤は、従来公知の剤を特に限定なく用いることができる。但し、上記分子量範囲にあるものを選択することがより好ましい。具体的には、ピラジン誘導体ピリジン誘導体トリアゾール誘導体ベンゾキサゾイル誘導体、クマリン誘導体スチレンビフェニル誘導体ピラゾロン誘導体、ビス(トリアジニルアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、ビススチリルビフェニル誘導体、ビスベンゾオキサゾリルチオフェン誘導体ペリレン誘導体ピレン誘導体ペンタセン誘導体フルオレセン誘導体、ローダミン誘導体アクリジン誘導体ベンズイミダゾール誘導体フラボン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特に、ピラジン、ピリジン、トリアゾールのうちいずれか一の誘導体又はそれらの混合物を好ましく用いることができる。例えば、トリアゾールの単体からなる波長変換剤等、数平均分子量が100未満である低分子の有機系波長変換剤も十分に使用可能でああるが、同誘導体からなる高分子タイプの剤の方が、高温多湿の過酷な環境下における長期耐候性においてより有利である。

0041

これらの有機系波長変換剤の中間層用の封止材組成物への添加量は、0.05質量%以上0.5質量%以下、好ましくは、0.1質量%以上0.4質量%以下であればよい。この範囲で、各材料の発光強度や量子収率、又、封止材シートの各層の厚み等に応じて適宜最適な量を添加すればよい。有機系波長変換剤の添加量が0.05質量%より少ないと、十分に波長変換することができないため、太陽電池モジュールの発電効率を十分に増大させることはできない。一方、有機系波長変換剤の添加量が、0.5質量%より多いと、波長変換剤の最外層への浸出とブリードアウトによる封止材シートの光学特性の劣化を十分に回避することができなくなる場合があるため好ましくない。

0042

以上の通り、中間層用の封止材組成物に添加する有機系波長変換剤を、一定以上の分子量を有するものに限定した上で、このように、中間層用の組成物のみに、適量範囲で添加することにより、封止材シートの製膜後における波長変換剤の中間層から最外層側への浸出を、十分に抑制することができる。そして、最外層の流動性の低下による密着性の低下や、波長変換剤のブリードアウトによる光学特性の劣化を防ぎつつ、好ましい波長変換機能を発揮することができる波長変換型の封止材シートとすることができる。

0043

(ヒンダードアミン系光安定剤(HALS))
本発明の封止材シートの中間層用の封止材組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤として、下記の光安定剤(A)が用いられているか、或いは、光安定剤(A)と下記の光安定剤(B)とを併用されていることを特徴とする。光安定剤(A)及び光安定剤(B)は、いずれも分子量1000以上の高分子量タイプである。これらの光安定剤((A)及び(B))は、最外層用の封止材組成物にも、中間層用の組成物と同様に添加されていることが好ましい。
光安定剤(A):モノマーユニットの側鎖中に、ピペリジン環を三つ以上持つ分子量1000以上10000以下のヒンダードアミン系光安定剤
光安定剤(B):モノマーユニットの主鎖中にピペリジン環を一つだけ持つ分子量1000以上5000以下のヒンダードアミン系光安定剤

0044

光安定剤(A)は、モノマーユニット中にピペリジン環を三つ以上持つ分子量1000以上10000以下のヒンダードアミン系光安定剤であり、好ましくは、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン−N−(2,2,6,6−テトラメメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物である。この化合物はChimassorb2020として市販されており、CAS番号192268−64−7の化合物である。分子量は2600から3400であり、融点130℃から136℃である。

0045

光安定剤(B)は、KEMISTAB62として市販されている化合物であり、ブタン二酸1−[2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ)エチル]であり、CAS番号65447−77−0の化合物である。モノマーユニットの主鎖中にピペリジン環を一つだけ持ち、分子量は3100から4000であり、融点55℃から70℃、ポリオレフィン用途のHALSとして知られている。

0046

通常のHALSは、高分子量タイプであっても多量に配合するとガラス密着性に劣る特性があり初期ガラス密着強度が低下する。このため、初期ガラス密着強度を向上させるためには配合量をかなり少なく、具体的には封止材シート中に1%以下、より好ましくは0.5%以下とする必要がある。しかし、この配合量ではラジカル吸収能が不十分となってしまう。

0047

ここで、種々の高分子量タイプのHALSのなかで、本発明者らが新たに得た知見によると、光安定剤(A)は、モノマーユニットの側鎖中に、ピペリジン環を3個以上持ち、ラジカルトラップ吸収能に極めて優れたものである。よって、ヘーズの経時劣化抑制及び長期ガラス密着の観点において極めて優れている。よって本発明の製造方法においては、この光安定剤(A)を主たる光安定剤として選択的に用いる。

0048

一方、光安定剤(B)は、初期ガラス密着強度の含有量依存性が小さく、封止材シート中に0.5質量%以上程度の含有量でも初期ガラス密着強度の低化が生じないという特徴がある。しかしながら、光安定剤(B)の単独使用では、経時的なヘーズ上昇が見られるという問題があり、たとえ含有量を下げても経時的なヘーズ上昇が発生することも分っている。この理由はHALSの凝集若しくはブルーミングのためであると考えられる。また、他に長期ガラス密着もやや低下する傾向がある。

0049

このように、光安定剤(B)には一長一短があるが、本発明においては、光安定剤(A)と光安定剤(B)との併用によって、ヘーズ上昇抑制と長期ガラス密着性についてより高い水準での両立を可能とした。尚、本発明におけるヘーズとは、実施例における測定方法によって測定された値を意味し、ガラス接着した状態で測定される片側外部ヘーズ込みのものを意味する。

0050

光安定剤(A)及び光安定剤(B)の好ましい含有量は、封止材シート中に、両剤の合計で、0.01質量%以上1.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。両者を併用する場合の配合比は特に限定されないが1:1程度であることが好ましい。

0051

架橋助剤
中間層用の封止材組成物には、更には、架橋助剤が含有されることが好ましい。架橋助剤として、炭素−炭素二重結合及びエポキシ基を有する多官能モノマーを好ましく用いることができる。架橋助剤としてより好ましくは、多官能モノマーの官能基アリル基、(メタアクリレート基ビニル基であるものを用いることができる。このような架橋助剤の添加により、低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ、低温柔軟性に優れる封止材シートを得ることができる。

0052

具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレートジアリルフタレートジアリルフマレートジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレートエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。これらは単独でもよく、二種以上を組合わせてもよい。

0053

上記のなかでも、ガラス面との密着性向上の効果が特に高く、又、低密度ポリエチレンに対する相溶性が良好で、耐熱性の向上が期待できるトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを特に好ましく使用できる。架橋助剤の含有量としては、外層用の封止材組成物の全樹脂成分の合計100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量部以上2.0質量部以下の範囲である。架橋助剤が中間層にのみ含有する多層シート構造とすることにより、封止材シートの密着性及びモールディング特性を好ましい範囲に保持したまま、同時に、封止材シートに十分な耐熱性を付与することができる。

0054

尚、本発明の製造方法においては、最外層用の封止材組成物には、上記架橋助剤は添加しないことが好ましい。最外層用の封止材組成物に架橋助剤を添加した場合には、流動性の低下による密着性の低下や架橋助剤の所謂ブリードアウトのリスクが高くなるからである。

0055

[最外層用の封止材組成物]
最外層用の封止材組成物は、本発明の多層の封止材シートの両方の最外面に成形される最外層を成形するために用いる封止材組成物である。最外層用の封止材組成物は、ポリエチレン系樹脂からなるベース樹脂とし、好ましくは、シラン変性ポリエチレン系樹脂等の密着性共重合体樹脂を含有する。

0056

(ベース樹脂)
最外層用の封止材組成物のベース樹脂(以下「最外層用のベース樹脂」とも言う)として用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE)を適宜好ましく用いることができる。

0057

最外層用のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.870g/cm3以上0.970g/cm3以下、好ましくは、0.870g/cm3以上0.930g/cm3以下である。そして、最外層用のベース樹脂の密度は、中間層用の封止材組成物のベース樹脂よりも低密度であることが好ましい。より詳しくは、最外層用ベース樹脂の密度は、中間層用ベース樹脂の密度の93%以上99%以下の大きさであることが好ましい。最外層用のベース樹脂の密度を上記範囲とすることにより、太陽電池素子の保護性能を保持しつつ、十分な密着性及びモールディング特性を付与することができる。モールディング特性を付与する観点からは、最外層の密度は低密度であるほどよいが、中間層の密度の93%以上に保持することにより、中間層から最外層への有機系波長変換剤の過剰な浸出を抑制することができる。

0058

最外層用のベース樹脂としては、組成物段階で残存する全二重結合数が、中間層用のベース樹脂の全二重結合数よりも相対的に少ないポリエチレン系の樹脂を用いることが好ましい。又、最外層用のベース樹脂であるポリエチレン系樹脂の全二重結合数は、0個以上1.0個以下であることが好ましく、0個以上0.5個以下であることがより好ましい。

0059

(シラン変性ポリエチレン系樹脂)
最外層用の封止材組成物には、ベース樹脂に加えて、シラン変性ポリエチレン系樹脂が含有されることが好ましい。シラン変性ポリエチレン系樹脂は、主鎖となる低密度ポリエチレン、好ましくは直鎖低密度ポリエチレンに、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合してなる樹脂である。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける封止材シートの他の部材への密着性を向上することができる。尚、本明細書におけるシラン変性ポリエチレン系樹脂とは、例えば、下記の製造方法によって製造することができるシラン変性ポリエチレン系樹脂のことを言い、主鎖となる直鎖低密度ポリエチレン樹脂の少なくとも一部が、エチレン性不飽和シラン化合物とグラフト重合してなる樹脂のことを示す概念である。尚、上記の主鎖となる樹脂は、上記ベース樹脂と同様、密度0.870g/cm3以上0.900g/cm3以下のポリエチレン系樹脂であることが好ましい。

0060

シラン変性ポリエチレン系樹脂は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されている通り、以下の方法で製造できる。例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマ−の1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500kg/cm2以上4000kg/cm2以下位、好ましくは、1000kg/cm2以上4000kg/cm2以下位、温度、100℃以上400℃以下位、好ましくは、150℃以上350℃以下位の条件下で、ラジカル重合開始剤、及び、必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に、或いは、段階的にランダム共重合させ、更には、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、シラン変性ポリエチレン系樹脂を製造することができる。

0061

主鎖のポリエチレン系樹脂としては、エチレン−αオレフィン共重合体である直鎖低密度ポリエチレンを用いることが好ましく、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンを用いることがより好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマー分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能であり封止材シートに対して柔軟性を付与できる。封止材シートに柔軟性が付与される結果、封止材シートとガラス等の透明前面基板との密着性を高めることができる。

0062

直鎖低密度ポリエチレンのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、封止材シートに良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、封止材シートとガラス等の透明前面基板との密着性が更に高まる。

0063

直鎖低密度ポリエチレンとグラフト重合させるエチレン性不飽和シラン化合物として、例えば、ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシランビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。

0064

シラン変性ポリエチレン系樹脂におけるエチレン性不飽和シラン化合物の含量であるグラフト量は、シラン変性ポリエチレン系樹脂のベース樹脂中の含有量で0.001質量%以上15質量%以下、好ましくは、0.01質量%以上5質量%以下、特に好ましくは、0.05質量%以上2質量%以下となるように適宜調整すればよい。本発明において、エチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。

0065

本発明の封止材シートの最外層用の封止材組成物に用いるシラン変性ポリエチレン系樹脂の最外層用の封止材組成物における含有量は、8質量%以上45質量%以下であることが好ましい。本発明において、シラン変性ポリエチレン系樹脂の上記含有量が8質量%以上であれば、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。

0066

以上説明したシラン変性ポリエチレン系樹脂を太陽電池モジュール用の封止材組成物のうち特に最外層用の封止材組成物の成分として使用することにより、密着性、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性耐光性耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れる封止材シートとすることができる。シラン変性ポリエチレン系樹脂を用いることによって、このように様々な効用を得ることができるが、とりわけ、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく、封止材シートに極めて優れた熱融着性、即ち、太陽電池モジュールを構成するガラス基材等との優れた密着性を付与しうる点を一般的な利点としてあげることができる。

0067

又、シラン変性ポリエチレン系樹脂を本発明の封止材シートの最外層に添加することによれば、上記の一般的な利点のみならず、波長変換剤の(ブリードアウト)を、更に抑制するという本発明特有の効果も発現する。このブリードアウトの抑制は、シラン変性ポリエチレン系樹脂が、最外層の内部に留まるのではなく、透明前面基板を構成するガラスや太陽電池素子との界面で凝集して、Si−O−Si結合することにより、波長変換剤が、封止材シートの表面に移行するのが遅延されることによる効果であると推測される。このような本発明特有の効果に係る観点からも、シラン変性ポリエチレン系樹脂の最外層への添加は好ましいものである。

0068

(ヒンダードアミン系光安定剤(HALS))
最外層用の封止材組成物にも、ベース樹脂に加えて、ヒンダードアミン系光安定剤として、光安定剤(A)を単独で、或いは、光安定剤(A)及び光安定剤(B)を併用で、上述した中間層への添加時と同様の配合で含有させることが好ましい。

0069

[その他の添加物
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、必要に応じて、適宜、以下の添加物を含有させることができる。

0070

(架橋剤)
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、必要最小限度の架橋剤を含有させてもよいが、架橋剤はいずれの層にも添加しないことがより好ましい。上記の中間層への架橋助剤の添加によって、十分に適切な架橋を進行させることができる一方で、有機過酸化物等の架橋剤を別途添加したには、太陽電池モジュールとの一体化のための熱ラミネート処理時に、デガスによる発泡等の問題が生じるリスクが高まるからである。架橋剤を添加する場合、公知のものが使用でき特に限定されず、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。

0071

架橋剤を添加する場合、その含有量としては、中間層用及び最外層用の封止材組成物に0質量%以上0.5質量%以下の含有量であることが好ましく、より好ましくは0.02質量%以上0.5質量%以下の範囲である。架橋剤の添加量が0.5質量%を超えると、架橋工程における架橋の進行が過剰となり、モールディング特性が不十分となり好ましくない。

0072

密着性向上剤
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、いずれについても、適宜、密着性向上剤を添加することにより、更に、他基材との密着耐久性を高めることができる。密着性向上剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は特に限定されないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤等を好ましく用いることができる。尚、これらは単独で又は二種以上を混合して使用することもできる。

0073

密着性向上剤として、シランカップリング剤を添加する場合、その含有量は、封止材組成物に0.1質量%以上10.0質量%以下であり、上限は好ましくは5.0質量%以下である。シランカップリング剤の含有量が上記範囲にあり、且つ、封止材組成物を構成するポリオレフィン系の樹脂に適量のエチレン性不飽和シラン化合物の含量されているときには、密着性がより好ましい範囲へと向上する。尚、この範囲を超えると、製膜性が低下したり、又、シランカップリング剤がブリードアウトする場合があり好ましくない。

0074

(その他の成分)
中間層用及び最外層用の各封止材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、各種フィラー紫外線吸収剤熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれの封止材組成物に対して0.001質量%以上5質量%以下の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、封止材シートに対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変ひび割れ等の防止効果等を付与することができる。

0075

<封止材シート>
本発明の封止材シートは、中間層と、中間層の両面に配置される最外層によって構成される多層の封止材シートである。そして、中間層のみに、好ましくは特定分子量範囲にある、上述の有機系波長変換剤を添加し、更に、中間層及び最外層に、上記の特定の1種又は2種類HALSを選択し、各層に適量添加して、製造したものである。

0076

尚、成膜後における最外層中の波長変換剤の含有量比は、中間層中の波長変換剤の含有量比よりは小さく、少なくとも、製膜直後においては、中間層中の波長変換剤の含有量比の1/2以下に抑制されている。より具体的には、成膜後の封止材シートにおける中間層中の波長変換剤の含有量は、0.05質量%以上0.5質量%以下の範囲にあり、最外層中の波長変換剤の含有量は、0質量%以上0.25質量%以下の範囲にある。

0077

最外層中の波長変換剤の含有量は、0%であってもよく、或いは、上記範囲内であれば、中間層から浸出した有機系波長変換剤の一部が含まれていてもよい。上記範囲内の含有量であれば、波長変換剤が最外層中に浸入していたとしても、封止材シートの初期の光学特性や密着性を十分に好ましい範囲に保持することができる。以下、本発明の好ましい実施形態として、単層である中間層の表裏に各1層計2層の最外層が積層されてなる3層構造の封止材シート1について図1を参照しながら説明する。

0078

封止材シート1は、中間層11を有し、中間層11の両面に最外層12が配置されている。但し、中間層自体が多層構造を有し当該中間層内にその他の機能層が配置されている封止材シートであっても、本発明の構成要件を備える中間層と最外層を備え、且つ、本発明のその他の構成要件を備える封止材シートである限り本発明の範囲内である。

0079

中間層11は、封止材シート1において、基板層として、主たる部分を構成する層である。更に、中間層11は、波長変換剤を含有することにより封止材シート1に波長変換機能を付与する波長変換層でもある。尚、中間層11は、架橋助剤の適量添加と電離放射線の照射を組合せた処理等、耐熱性向上を目的とした架橋処理が行われているものであることが好ましい。これにより、太陽電池モジュールの耐候性、耐久性を更に向上させることができる。

0080

最外層12は、封止材シート1において、封止材シートの最外面に配置され、表面材料として従たる部分を構成する層である。最外層12は、太陽電池モジュールとしての密着性や、一体化工程時におけるモールディング特性を向上させる効果を主として発揮する層である。

0081

封止材シート1は、このようにそれぞれ異なる優位な物性や特段の機能を備える各層用樹脂シートを、最適な配置で積層して多層シート化したものでもある。高い水蒸気バリア性を有するポリエチレン系樹脂によるものであり、且つ、耐熱性と密着性及びモールディング特性のバランスに優れる波長変換型の封止材シートである。

0082

中間層11と最外層12を含む封止材シート1の総厚さは100μm以上1000μm以下であることが好ましく、200μm以上600μm以下であることがより好ましい。100μm未満であると充分に衝撃を緩和することができず、1000μmを超えてもそれ以上の効果が得られず不経済であるので好ましくない。又、本発明の封止材シートは、最外層に柔軟性を、中間層に耐熱性を持たせる事で、ラミネート工程中の流れ出しや膜厚変化を抑えたものとすることにより、500μm以下程度に薄膜化した場合においても十分に好ましいモールディング性と耐熱性、太陽電池素子の保護性能を備えるものとすることができる。

0083

封止材シート1における各層の厚さの比率については、最外層12:中間層11:最外層12との厚さ比が、1:2:1〜1:30:1の範囲であることが好ましい。各層の厚さ比をこの範囲とすることによって、封止材シート1の耐熱性とモールディング特性を良好な範囲に保持することができる。

0084

<封止材シートの製造方法>
[シート化工程]
上記においてそれぞれその詳細を説明した中間層用及び最外層用の各組成物溶融成形は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、即ち、射出成形押出成形中空成形圧縮成形回転成形等の各種成形法により行われる。多層シートとしての成形方法としては、一例として、二種以上の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。

0085

成形時の成形温度の下限は各封止材組成物の融点を超える温度であればよい。成形温度の上限は、架橋剤を使用する場合には、使用する架橋剤の1分間半減期温度に応じて、製膜中に架橋が開始しない温度、即ち、封止材組成物のゲル分率を0%に維持できる温度であればよい。ここで、本発明の封止材シートの製造方法においては、封止材組成物中において架橋剤が必須ではなく、架橋剤を添加する場合であってもその含有量は0.5質量%未満に限定されている。このため、通常の低密度ポリエチレン樹脂の成形温度、例えば、120℃程度の加熱条件下では、ゲル分率の変化は現れず、樹脂の物性に実質的な影響を与えるような架橋は進行しない。又、電離放射線の照射によって架橋処理を行う場合には、モジュール化工程での加熱条件の制約から解放されて、従来よりも1分間半減期温度の高い架橋剤を使用することもできる。この場合、成形温度を従来よりも高温に設定しても、封止材組成物のゲル分率を0%に維持することができる。製膜中の封止材組成物のゲル分率を0%に維持する製造方法によれば、製膜時に押出機等にかかる負荷を低減し、封止材シートの生産性を高めることが可能である。

0086

[架橋工程]
上記のシート化工程後の未架橋の封止材シートに対して、電離放射線による架橋処理を施す架橋工程を、シート化工程の終了後、且つ、封止材シートを他の部材と一体化する太陽電池モジュール一体化工程の開始前に行うことが好ましい。この架橋処理によってゲル分率が2%以上80%以下となる封止材シートとする。

0087

電離放射線の照射による架橋処理については、個別の架橋条件は特に限定されない。大凡の具体的な照射量目安としては、架橋処理後の中間層のゲル分率が、10%程度以上の範囲となるように適宜設定すればよい。具体的には、電子線(EB)、α線β線γ線中性子線等の電離放射線によって行うことができるが、なかでも電子線を用いることが好ましい。又、電離放射線の照射は、尚、電離放射線の照射は、片面側から或いは両面側からの照射いずれであってもよい。生産性向上の観点から、一方の最外層面側からのみの照射である片面照射が好ましい。

0088

電離放射線の照射を上記片面照射によって行う場合、加速電圧は、被照射体であるシート厚みによって決まり、厚いシートほど大きな加速電圧を必要とする。例えば、0.6mm厚みのシートでは、200kV以上1000kV以下、好ましくは250kV以上1000kV以下で照射する。加速電圧が200kV未満であると、非照射面側の最外層まで電子が透過せず、封止材シート1の耐熱性が不十分となる。一方、加速電圧が1000kVを超えると、多層シートの全層に均一に電子が透過し、本発明の特有の構造である貯蔵弾性率傾斜構造を形成することができなくなってしまう。尚、照射線量は5kGy以上800kGy以下、好ましくは100kGy以上500kGy以下の範囲である。又、照射は大気雰囲気下でもよく窒素雰囲気下であってもよい。

0089

ここで、ゲル分率(%)とは、封止材シート0.1gを樹脂メッシュに入れ、60℃トルエンにて4時間抽出したのち、樹脂メッシュごと取出乾燥処理量し、抽出前後の質量比較を行い、残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率としたものである。

0090

尚、この架橋処理はシート化工程に続いて連続的にインラインで行われてもよく、オフラインで行われてもよい。又、架橋処理が一般的な加熱処理である場合は、一般的に、架橋剤の含有量として封止材シートの全成分100質量部に対して0.5質量部以上1.5質量部以下が必要とされているが、本願発明の封止材シートにおいては、架橋剤の含有量が0であってもよく、含有する場合であっても0.5質量部未満であることが好ましい。これにより、封止材組成物のシート化工程における封止材組成物のゲル化による生産性低下のリスクが低減できる。

0091

<太陽電池モジュール>
次に、本発明の太陽電池モジュールの好ましい一実施形態について、図2を参照しながら説明する。図2は、波長変換機能を備える本発明の封止材シート1を太陽電池素子3の受光面側に配置した太陽電池モジュール10について、その層構成の一例を示す断面図である。太陽電池モジュール10は、入射光の受光面側から、透明前面基板4、受光面側用の封止材シート1、太陽電池素子3、非受光面側用の封止材シート2、及び裏面保護シート5が順に積層されている。

0092

太陽電池モジュール10において、受光面側に配置される封止材シート1は、太陽電池素子の受光面側に配置されることにより、波長変換機能を発揮して太陽電池モジュール10の発電効率を向上させる。又、その最外層の優れたモールディング特性により、太陽電池素子3の電極等の凹凸面とも強固に密着することができる。

0093

太陽電池モジュール10において、非受光面側に配置される封止材シート2は、封止材シート1と同一のシートであってもよいが、波長変換機能を有しないその他のポリエチレン系封止材シートを適宜選択することができる。

0094

非受光面側に配置される封止材シート2としては、ベース樹脂とするポリエチレン系樹脂に白色の着色剤を添加し白色に着色した、ポリエチレン系の白色封止材シートを特に好ましく用いることができる。封止材シート2を白色封止材シートとするための着色剤としては、無機化合物からなる白色着色剤を好ましく用いることができる。そのような白色着色剤を含有させた白色封止材シートは、太陽電池モジュール10における非受光面側の封止材シート2として配置された場合に、太陽電池モジュール10内への入射光のうち、太陽電池素子3に入射せずに非受光面側に達した太陽光を、再度、太陽電池素子3の受光面側へと導くことにより、太陽電池モジュール10の発電効率を更に向上させることができる。

0095

上記の白色着色剤としては、特に限定はされないが、例えば、炭酸カルシウム硫酸バリウム酸化亜鉛及び酸化チタン等の白色顔料を好ましく用いることができる。それらの中でも汎用性の観点から酸化チタンを特に好ましく用いることができる。

0096

上記白色顔料は、粒径が0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。白色顔料の粒径が上記範囲にあれば、それからなる白色層可視光線の領域に加えて近赤外線をも効率よく反射するため、太陽電池モジュールの発電効率向上に更に大きく寄与することができる粒径が0.5μm以上1.5μm以下の白色顔料の代表例は酸化チタンであり、太陽光線反射性能を高めるためにも、白色顔料として、酸化チタンを用いることが好ましい。

0097

尚、このような発電効率の向上という点については、太陽電池モジュールにおける非受光面側の封止材層を上記のように白色化するのが望ましいが、白色以外に、光反射性が得られるような色調であれば、例えば、黄色、緑色、薄青色等に着色させてもよい。

0098

又、封止材シート2が封止材シート1と同様の多層シートである場合には、着色材料が中間層のみに含有される構成とされていることがより好ましい。このような構成とすることにより、最外層の密着性が、着色材料の影響によって低下することを回避できる。

0099

尚、本発明の太陽電池モジュールの層構成は、上記実施形態に限られない。本発明の封止材シート1は、ガラスと金属の両方に対して密着性を有するため、その特性を生かして、ガラス基材と金属性の太陽電池モジュールを含む様々な構成の太陽電池モジュールに汎用的に使用することができる。例えば、太陽電池モジュールにおいて、封止材シートの一方の面が金属面と対向し、もう一方の面がガラス層と対向する構成となる場合においても、本発明の封止材シートを好適に用いることができる。

0100

太陽電池モジュール10は、封止材シート1、2や太陽電池素子3等を含む上記のモジュール構成部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。

0101

尚、本発明の太陽電池モジュール10において、封止材シート1以外の部材である透明前面基板4、太陽電池素子3及び裏面保護シート5は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。又、本発明の太陽電池モジュール10は、上記部材以外の部材を含んでもよい。

0102

以上、実施形態を示して本発明を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において、適宜変更を加えて実施することができる。

0103

以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。

0104

太陽電池モジュール用封止材シートの製造>
以下において説明する封止材組成物の原料を、封止材組成物中の含有量が、それぞれ下記表1の割合になるように混合し、それぞれ実施例、比較例、参考例の封止材シートの内層用及び外層用封止材シートを作成するための封止材組成物とした。それぞれの封止材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで内層用及び外層用封止材シートを作製し、これらの内層用及び外層用封止材シートを積層して、1層又は3層の太陽電池モジュール用封止材シート(実施例、比較例及び参考例)とした。これらの封止材シートは、いずれも、厚さ600μm、外層内層:外層の厚さの比を1:5:1とした。尚、封止材組成物の原料としては、以下の原料を使用した。

0105

[ポリエチレン系樹脂]
メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン(M−LLDPE):密度0.880g/cm3、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンをベース樹脂として用いた(表1中「PE」と記載)。

0106

[シラン変性ポリエチレン系樹脂]
シラン架橋性樹脂:密度0.881g/cm3であり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とからなるシラン架橋性樹脂をベース樹脂に混合するシラン変性ポリエチレン樹脂として用いた。この樹脂の密度は0.884g/cm3、190℃でのMFRが1.8g/10分である(表1中「S−PE」と記載)。

0107

[光安定剤A]
ヒンダードアミン系光安定剤として、密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレン粉砕したパウダー100質量部に対して、ヒンダードアミン系光安定化剤(BASF製:Chimassorb2020)2.28質量部を混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを作成した。(表1中「HALS1」と記載)

0108

[光安定剤B]
ヒンダードアミン系光安定剤として、密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ヒンダードアミン系光安定化剤(ケミプロ化成株式会社製:KEMISTAB62)2.28質量部を混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを作成した。(表1中「HALS2」と記載)

0109

[波長変換剤]
波長変換剤として、密度0.880g/cm3のチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、トリアゾール誘導体(数平均分子量:3233)1質量部を混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチ(MB)を作成した。

0110

0111

<評価例1>
実施例、比較例の封止材シートについて、保存安定試験(温度40℃、湿度90%RH、3月間)を行い、保存安定試験前後の光学特性(HAZE)(JIS K7136、株式会社色彩研究所、ヘーズ・透過率系HM150により測定)及びガラス密着性を評価した。光学特性は、ヘーズが5.0%以下を“○”とし、ヘーズが5.0%超を“×”とした。ガラス密着性は、剥離試験装置(「株式会社エー・アンド・デイ」社製、商品名「TENSILONRTA-1150−H」)を用いて、180度ピールにて剥離条件50mm/minで23℃にて測定を行い、剥離で、30N/15mmを“◎”とし、20N/15mm以上を“○”、20N/15mm未満を“×”とした。その結果を表2に示す。

0112

<評価例2>
ガラス基板上(白板フロート半強化ガラスJPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)に、15mm幅にカットした実施例、比較例の封止材シートを積層し、150℃、18分で、真空加熱ラミネータで処理を行い、それぞれについて太陽電池モジュール評価用サンプルを得た。

0113

実施例、比較例の封止材シートについて、スガ試験機株式会社製スーパーキセノンウェザーメーターを用い、放射照度180W/m2、ブラックパネル温度(BPT)63℃、湿度50%の条件で、165時間照射試験した。試験前後の封止シートの量子収率を測定した。初期と比較して、量子収率維持率が50%超のものを“○”とし、20%以上50%以下のものを“△”、20%以下を“×”とした。結果を表2に示す。

0114

実施例

0115

表2から、本発明の実施例は、光学特性、ガラス密着性、波長変換機能、が、ともに、保存安定試験後においても、好ましい範囲に維持できていることが分かる。以上より、本発明の波長変換型の封止材シートは、光学特性、ガラス密着性、波長変換機能、及びそれらの物性や機能に係る優れた耐候性、耐久性を有する封止材シートであることが分かる。

0116

1封止材シート
11 中間層
12最外層
2 非受光面側用の封止材シート
3太陽電池素子
4 透明前面基板
5裏面保護シート
10 太陽電池モジュール

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