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図面 (20)

課題

低酸素誘導因子(HIF)関連状態治療方法を提供すること。

解決手段

本発明は、低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療方法に関し、特に、トランスフェリンを含む組成物投与を含むHIF関連状態の治療方法に関する。

概要

背景

脳卒中、神経変性疾患外傷等を含むさまざまな要因によって起こる損傷から細胞、特に、ニューロンを保護することは細胞又はニューロンの機能の長期的な回復にとって重要である。損傷を受けた細胞又はニューロンの単剤による治療的処置は利点があるが、完全な機能を取り戻すのに有用な必要とされる複雑な分子を集めるには十分でない場合が多い。

低酸素性若しくは虚血性事象又は酸化からニューロン又はその他の細胞を保護するための生理的反応は、細胞傷害に反応する重要な調節経路である低酸素誘導因子(HIF)シグナル伝達経路を介してアップレギュレートされる遺伝子の発現によってもたらされると考えられることが多い。脳での神経保護分子のアップレギュレーション回復不能な損傷から細胞を保護する際の重大な要素であると考えられる。しかしながら、ニューロン及びその他の組織に対する損傷を十分に予防する、元に戻す又は低減することができる利用可能な薬物はほとんどない。更に、そうした薬物は、有毒であるか、半減期が短いか又はその両方である場合が多い。例えば、国際特許出願WO2006/20727は、再灌流の悪影響に対する神経保護薬としてデフェロキサミンの使用を提案している。しかしながら、デフェロキサミンの投与はその血漿中半減期が短いため問題を引き起こす。

トランスフェリンは、生体液中遊離鉄の量を制御する鉄結合血漿糖タンパク質である。トランスフェリンは、血液循環において鉄の主要な輸送体として機能し、鉄を含まないアポトランスフェリン(ApoTf)の形態で、一鉄トランスフェリン(monoferric transferrin)として又は二鉄ホロトランスフェリン(HoloTf)として存在する。一般に、鉄は、血液循環において全トランスフェリン結合部位のうちの30%に結合している。Chen-RoetlingらによってApoTfの神経保護機能は開示されているがHoloTfについては開示されていない(Chen-Roetling J.、Chen L.及びRegan R.F. Neuropharmacology、2011年; 60(2-3): 423〜431ページ)。これは、ApoTfが脳内出血後のヘモグロビン神経毒性を軽減する可能性があることを示唆している。

本発明者らは、トランスフェリンを他の鉄キレート剤又はアポラクトフェリン等の別の鉄結合血漿タンパク質と組み合わせることによって、患者におけるトランスフェリン投与の神経保護特性を増強することができる可能性があることを発見した。それが、一部の組織のHIF-1αタンパク質量を増加させ、血漿EPO量に影響を与えることが示された(Zakharova E.T.ら Biometals(2012年)25:1247〜1259ページ)。鉄キレート能をもつ分子は、プロリルヒドロキシラーゼの作用をブロックすることによるHIF経路活性化物質であることが示唆されている。

概要

低酸素誘導因子(HIF)関連状態治療方法を提供すること。本発明は、低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療方法に関し、特に、トランスフェリンを含む組成物の投与を含むHIF関連状態の治療方法に関する。なし

目的

本発明の実施を説明するのに役立ち、示される詳細は、本発明の好適な実施形態の例としてのものであり、その説明的解説のために過ぎず、本発明の構築手順の並びに原理及び概念上の態様の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

HIF関連の病的状態治療する方法であって、a.それを必要とする患者のHIF関連の病的状態を診断する工程、及びb.前記患者に治療有効量のトランスフェリンを含む組成物投与する工程を含む、方法。

請求項2

前記組成物は、治療的有効量のトランスフェリン及び鉄キレーター又はPHD2酵素阻害物質のいずれかを含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記HIF関連の病的状態は、移植レシピエント臓器移植と関連づけられる、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記臓器は、前記レシピエントへの移植に備えて、トランスフェリンを含む組成物により処置されている、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記臓器は、前記レシピエントへの移植に備えて、トランスフェリンを含む組成物及び鉄キレーター又はPHD2酵素阻害物質により処置されている、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記状態は、手術前の患者の虚血又は酸素欠乏と関連づけられる、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記状態は、心停止血栓塊又は外傷に起因する虚血である、請求項1に記載の方法。

請求項8

外科的処置の間に血流遮断が起こる、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記状態は、アルツハイマー病パーキンソン病ハンチントン病及び筋萎縮性側索硬化症からなる群から選択される神経変性疾患に起因する、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記トランスフェリンは組換え型である、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記トランスフェリンは、ペグ化、グリコシル化ポリシアリル化又は免疫グロブリンFcドメインアルブミングルカゴン様ペプチド-1、エキセンディン-4、XTEN等、血中半減期延長するドメインとの共有結合融合(covalent fusion)を含む、前記トランスフェリンの血漿半減期を延長するためのその他の物理的修飾によって修飾される、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記トランスフェリンは、完全長型トランスフェリン又はトランスフェリンのフラグメントと任意のその他のタンパク質タンパク質フラグメント又はペプチドとのタンパク質コンジュゲートである、請求項1に記載の方法。

請求項13

前記トランスフェリンは、金属結合親和性を高めるように修飾される、請求項1に記載の方法。

請求項14

前記トランスフェリンは、50%を超える類似性を含むトランスフェリンの誘導体である、請求項1に記載の方法。

請求項15

前記トランスフェリンは、ホロトランスフェリン単独である、請求項1に記載の方法。

請求項16

前記トランスフェリンは、アポトランスフェリン単独である、請求項1に記載の方法。

請求項17

前記トランスフェリンは、99% Apo-Tf:1% Holo-Tfから30% Apo-Tf:70% Holo-Tfの比率又は生体液から得られた若しくは精製された画分と最も類似した割合のアポトランスフェリン及びホロトランスフェリンの混合物である、請求項1に記載の方法。

請求項18

前記組成物は、鉄キレーターを更に含む、請求項1に記載の方法。

請求項19

前記鉄キレーターは、M30、デフェロキサミン(DFO)、デフェラシロクスデフェリプロンデフェリトリン、L1NAll、CP363、CP502又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、請求項1に記載の方法。

請求項20

前記PHD2酵素阻害物質は、IOX2、IOX3、ジメチルオキサリルグリシン又はその他の2-オキソグルタレート結合部位分子である、請求項1に記載の方法。

請求項21

血液濃度が少なくとも25uM及び最大250uM、最も好ましくは175uMに達するトランスフェリン及び500〜6000mg、最も好ましくは1000mgのデフェロキサミン(DFO)を含む医薬組成物

技術分野

0001

本発明は、低酸素誘導因子(HIF)関連状態治療方法に関し、特に、トランスフェリンを含む組成物投与を含むHIF関連状態の治療方法に関する。

背景技術

0002

脳卒中、神経変性疾患外傷等を含むさまざまな要因によって起こる損傷から細胞、特に、ニューロンを保護することは細胞又はニューロンの機能の長期的な回復にとって重要である。損傷を受けた細胞又はニューロンの単剤による治療的処置は利点があるが、完全な機能を取り戻すのに有用な必要とされる複雑な分子を集めるには十分でない場合が多い。

0003

低酸素性若しくは虚血性事象又は酸化からニューロン又はその他の細胞を保護するための生理的反応は、細胞傷害に反応する重要な調節経路である低酸素誘導因子(HIF)シグナル伝達経路を介してアップレギュレートされる遺伝子の発現によってもたらされると考えられることが多い。脳での神経保護分子のアップレギュレーション回復不能な損傷から細胞を保護する際の重大な要素であると考えられる。しかしながら、ニューロン及びその他の組織に対する損傷を十分に予防する、元に戻す又は低減することができる利用可能な薬物はほとんどない。更に、そうした薬物は、有毒であるか、半減期が短いか又はその両方である場合が多い。例えば、国際特許出願WO2006/20727は、再灌流の悪影響に対する神経保護薬としてデフェロキサミンの使用を提案している。しかしながら、デフェロキサミンの投与はその血漿中半減期が短いため問題を引き起こす。

0004

トランスフェリンは、生体液中遊離鉄の量を制御する鉄結合血漿糖タンパク質である。トランスフェリンは、血液循環において鉄の主要な輸送体として機能し、鉄を含まないアポトランスフェリン(ApoTf)の形態で、一鉄トランスフェリン(monoferric transferrin)として又は二鉄ホロトランスフェリン(HoloTf)として存在する。一般に、鉄は、血液循環において全トランスフェリン結合部位のうちの30%に結合している。Chen-RoetlingらによってApoTfの神経保護機能は開示されているがHoloTfについては開示されていない(Chen-Roetling J.、Chen L.及びRegan R.F. Neuropharmacology、2011年; 60(2-3): 423〜431ページ)。これは、ApoTfが脳内出血後のヘモグロビン神経毒性を軽減する可能性があることを示唆している。

0005

本発明者らは、トランスフェリンを他の鉄キレート剤又はアポラクトフェリン等の別の鉄結合血漿タンパク質と組み合わせることによって、患者におけるトランスフェリン投与の神経保護特性を増強することができる可能性があることを発見した。それが、一部の組織のHIF-1αタンパク質量を増加させ、血漿EPO量に影響を与えることが示された(Zakharova E.T.ら Biometals(2012年)25:1247〜1259ページ)。鉄キレート能をもつ分子は、プロリルヒドロキシラーゼの作用をブロックすることによるHIF経路活性化物質であることが示唆されている。

0006

国際特許出願WO 2006/20727

先行技術

0007

Chen-Roetling J.、Chen L.及びRegan R.F. Neuropharmacology、2011年; 60(2-3): 423〜431ページ
Zakharova E.T.ら Biometals(2012年)25:1247〜1259ページ

課題を解決するための手段

0008

したがって、本発明は、トランスフェリンを含む組成物の投与を含む低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療方法について言及する。本発明は、低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療方法であって、投与される組成物がトランスフェリン及び鉄キレーターの組み合わせを更に含む、方法についても言及する。

0009

明細書中で使用される場合、「トランスフェリン」という用語及びその複数形は、ApoTf単独若しくはHoloTf単独又はそれらの混合物を指す。

0010

以下の図面を参照して本発明を更に説明する。

図面の簡単な説明

0011

大部分がApoTfのトランスフェリンの組成物及び大部分がHoloTfのトランスフェリンの組成物が、正常酸素及び低酸素条件における6時間の処理後にHIF-1αタンパク質を誘導することを示すグラフである。
大部分がApoTfのトランスフェリンの組成物及び大部分がHoloTfのトランスフェリンの組成物が、正常酸素条件下における24時間の処理後にHIF-1αタンパク質を誘導することを示すグラフである。
ApoTf及びHoloTfの混合物が6時間の処理後にHIF-1αタンパク質を誘導することを示すグラフである。
HSA、アポトランスフェリン又はホロトランスフェリンの存在下、正常酸素及び低酸素条件下におけるGlut1のmRNA発現量を示すグラフである。
HSA、アポトランスフェリン又はホロトランスフェリンの存在下、正常酸素及び低酸素条件下におけるVEGFのmRNA発現量を示すグラフである。
大部分がHoloTf又は大部分がApoTfのトランスフェリンのいずれかを含む組成物のインビトロ又はインビボ毒性を示すグラフである。
大部分がApoTf又はHoloTfのトランスフェリンを含む薬物により静脈を介して処置されたラットについての改変したBedersonスコア及び全般的行動スコアを示した表である。
一過性中大脳動脈閉塞(MCAo)ラットモデルのApoTf(385mg/kg、IV)又は生理的食塩水により処置した梗塞部の体積を示す散布図である。
代表的な対照ラット及びApoTfにより処置したラットのトリフェニルテトラゾリウムクロライド(TTC)により着色した状断面を示す画像である。
ApoTf及びHoloTfを主として含む混合物によるAβ(1-42)の毒の影響からの神経細胞の保護を示すグラフである。
4mg/mlの大部分がApoTfのトランスフェリン並びに大部分がApoTfのトランスフェリン及びDFO又はIOX2の組み合わせによるSH-SY5Y神経細胞の処理を示すグラフである。
4mg/mlの示したタンパク質並びに示したタンパク質及び10uMのM30を加えた組み合わせによるSH-SY5Y神経細胞の処理を示すグラフである。
4mg/mlの示したタンパク質並びに示したタンパク質及び200uMのDFOの組み合わせによるSH-SY5Y神経細胞の処理を示すグラフである。
大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン及びDFO又はIOX2の組み合わせに反応したGlut1のmRNA発現量を示すグラフである。
大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン及びDFO又はIOX2の組み合わせに反応したVEGFのmRNA発現量を示すグラフである。
ヒト初代腎臓近位尿細管上皮(RPTEC)細胞の4mg/mLの大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン、大部分がホロトランスフェリンのトランスフェリン又はそれぞれの各種混合物による正常酸素レベルにおける6時間の処理後のHIF-1α量を示すグラフである。
初代皮質上皮(HRCE)細胞の4mg/mLの大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン、大部分がホロトランスフェリンのトランスフェリン又はそれぞれの各種混合物による正常酸素レベルにおける6時間の処理後のHIF-1α量を示すグラフである。
大部分がApoTfのトランスフェリン又はDFOにより48時間処理した場合のヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)又は皮質上皮(HRCE)細胞の生存率を示すグラフである。
4mg/mLの大部分がApoTfのトランスフェリン、大部分がHoloTfのトランスフェリン、トランスフェリン混合物により72時間処理した場合のRPTEC又はHRCE細胞の生存率を示すグラフである。
大部分がApoTfのトランスフェリン又はDFOの存在下におけるヒト初代腎細胞内のカスパーゼ3/7の活性化を示すグラフである。
肺細胞NCI-H1650の4mg/mLの大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン、大部分がホロトランスフェリンのトランスフェリン又はpd-トランスフェリンによる正常酸素レベルにおける6時間の処理後のHIF-1α量を示すグラフである。
初代肝細胞の4mg/mLの大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン、大部分がホロトランスフェリンのトランスフェリン又はpd-トランスフェリンによる正常酸素レベルにおける6時間の処理後のHIF-1α量を示すグラフである。
4mg/mLの大部分がApoTfのトランスフェリン、大部分がHoloTfのトランスフェリン又はpd-トランスフェリンにより72時間処理した場合のヒト肺細胞株、NCI-H1650の生存率を示すグラフである。
4mg/mLの大部分がApoTfのトランスフェリン、大部分がHoloTfのトランスフェリン又はpd-トランスフェリンにより72時間処理した場合のヒト初代肝細胞の生存率を示すグラフである。

0012

一態様において、本発明は、トランスフェリンを含む組成物の投与を含む低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療方法について言及する。好ましくは、トランスフェリンは、組換え型血漿由来又は化学的に合成されたトランスフェリンである。

0013

トランスフェリンが組換え型である場合、タンパク質発現、産生及び精製の技術分野において既知の任意の技術によりトランスフェリンを入手することができる。例えば、選択した宿主細胞における発現に適した任意のベクターにトランスフェリンの核酸配列を挿入することができる。宿主細胞は、例えば、細菌(大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、シュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトミセス(Streptomyces)及びブドウ球菌(Staphylococcus))、酵母菌(サッカロマイセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia)若しくはクリベロマイセス(Kluyveromyces)属)、昆虫細胞(カイコ(Bombyx mori)、ヨトウ(Mamestra brassicae)、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)若しくはキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster))又は哺乳動物細胞(HeLa細胞ベビーハムスター腎細胞(BHK)、サル腎細胞(COS-1)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、ヒトアデノウイルス形質転換293細胞、マウスL-929細胞、HaKハムスター細胞株、Swiss、Balb-c若しくはNIHマウス由来のマウス3T3細胞、CV-1細胞株、初代組織若しくは初代外植片インビトロ培養由来の細胞株)である。

0014

血漿由来のトランスフェリンが血漿の適した画分から単離されることが意図される。好適な実施形態において、トランスフェリンはコーン分画法の画分IV、最も好ましくは、画分IV-I又は画分IV-IVから単離される。好適な別の実施形態において、トランスフェリンは、アルファ1-プロテイナーゼインヒビター(A1PI)を精製する方法の不用な画分に由来する。好ましくは、前記精製方法は以下のとおりである:
(a)A1PIを含む精製された溶液を得るために沈殿によって水溶液から夾雑タンパク質の部分を取り除く工程;
(b)精製された溶液をアニオン交換樹脂に通し、それによりA1PIがアニオン交換樹脂に結合する工程;
(c)アニオン交換樹脂からA1PIを溶出して、A1PIを含む溶出された溶液を得る工程;
(d)溶出された溶液をカチオン交換樹脂に通す工程;
(e)A1PIを含むカチオン交換樹脂からフロースルー画分を収集する工程;及び
(f)工程(c)の溶出された溶液又は工程(e)のフロースルー画分を少なくとも1つのHIC媒質疎水性吸着剤と接触させる工程。

0015

最も好適な実施形態において、上記の精製方法(A1PI)で使用される水溶液は、血液、血漿又は血漿由来の画分である。

0016

別の実施形態において、トランスフェリンは、少なくとも1つの翻訳後修飾、好ましくは、ペグ化、グリコシル化ポリシアリル化又はそれらの組み合わせを含む。

0017

一実施形態において、本発明の治療方法に使用されるトランスフェリンは、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を有する完全長型トランスフェリンである。別の実施形態は、野生型トランスフェリンの鉄キレート作用の70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%が保存される限り、配列番号1と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の相同性又は類似性を有するトランスフェリン誘導体の本発明の治療方法への使用を包含する。トランスフェリン及びアミノ酸配列の配列番号1の間の相同性の差は、鉄キレート機能に影響を及ぼさない保存的及び/又は非保存的アミノ酸置換に起因してもよいことを当業者は容易に認識するであろう。

0018

別の実施形態において、野生型トランスフェリン(配列番号1)のフラグメントが本発明の治療方法に使用されることが意図される。当業者は、野生型トランスフェリンの鉄キレート作用を維持するよう野生型トランスフェリンの適したフラグメントを容易に選択するであろう。

0019

別の実施形態において、トランスフェリンは、鉄結合親和性を高めるように修飾される。当業者は、修飾されるべき残基又は領域を、例えば、部位特異的突然変異誘発アラニンスクリーニング(alanine screening)、結晶学又は欠失及び/若しくは挿入の分析等の当該技術分野において既知のいくつかの技術によって確認することができることを認識するであろう。

0020

本発明の治療方法に使用されるトランスフェリンは、例えば、その血中半減期延長するためにタンパク質コンジュゲート又は融合タンパク質の形態であることが意図され、トランスフェリンを、任意の他のタンパク質、タンパク質フラグメントタンパク質ドメイン若しくはペプチドコンジュゲート又は融合させる。好適な実施形態において、トランスフェリンを、血清アルブミン(例えば、ウシウサギ若しくはヒト由来等)完全長型、フラグメント、ドメイン若しくはペプチド、キーホールリンペットヘモシアニン免疫グロブリン分子(免疫グロブリンFcドメイン等)、チログロブリンオボアルブミン破傷風トキソイド又は例えば、ジフテリア、大腸菌(E.coli)、コレラ若しくはH.ピロリ(pylori)等の他の病原菌トキソイド、又は弱毒化されたトキシン誘導体、サイトカインケモカイングルカゴン様ペプチド-1、エキセンディン-4或いはXTENとコンジュゲート又は融合させる。

0021

本発明の方法に使用されるトランスフェリンは、Holo-Tf単独、Apo-Tf単独又はApoTf及びHoloTfの混合物が可能である。好適な実施形態において、本発明の方法に使用されるトランスフェリンは、ApoTf及びHoloTfの混合物であり、好ましくは、前記混合物は、99:1から70:30の間の百分率比(ApoTf:HoloTf)を有し、更により好ましくは、前記混合物は、生体液から得られた又は精製された画分の割合又は百分率比と同等の割合又は百分率比を有する。最も好適な実施形態において、本発明の方法に使用されるApoTf及びHoloTfの混合物は、ヒトの血液又は血漿中に存在するApoTfとHoloTfの割合又は百分率比のようなApoTfとHoloTfの割合又は百分率比を有する。

0022

本発明の方法において、本組成物は、鉄キレーターを更に含んでもよい。好適な実施形態において、鉄キレーターは、M30、デフェロキサミン(DFO)、デフェラシロクスデフェリプロンデフェリトリン、L1NAll、CP363、CP502、IOX2、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はそれらの組み合わせを含む群から選択される。最も好適な実施形態において、鉄キレーターは、デフェロキサミン(DFO)である。

0023

本発明の方法において、低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療は、ヒトへの移植に備えての、トランスフェリンを含む組成物による臓器の処置を含む。好適な実施形態において、臓器は、腎臓、肝臓及び心臓を含む群から選択される。

0024

更に、本発明の方法において、低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療は、移植前又は後における臓器移植レシピエントへのトランスフェリンを含む組成物の投与を含む。好適な実施形態において、本発明の方法は、移植前又は後における臓器移植レシピエントへのトランスフェリンを含む組成物の投与を含み、この場合、ヒトへの移植に備えて移植臓器がトランスフェリンを含む組成物により予め処置されている。

0025

別の態様において、本発明は、低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療方法について言及し、前記状態は、ヒトへのトランスフェリンを含む組成物の投与を含む前記ヒトにおける虚血の治療を含む。好適な実施形態において、前記虚血は、心停止血栓塊(thrombotic clot)、外傷又は脳卒中に起因する。

0026

更に別の態様において、本発明は、低酸素誘導因子(HIF)関連状態の治療方法について言及し、前記治療は、組織/臓器の虚血又は酸素欠乏が観察されるか又は予想される症例におけるヒト患者への前外科的投与である。

0027

ここで、本発明の態様をより完全に理解し、認識できるよう本発明を以下の実施例の特定の好適な実施形態に関連して記載するが、本発明をこうした特定の実施形態に限定する意図はない。反対に、添付の特許請求の範囲によって定義されるとおりの本発明の範囲内に含まれてもよいあらゆる代替物、改変物及び等価物を対象として含むことを意図する。したがって、好適な実施形態を含む以下の実施例は本発明の実施を説明するのに役立ち、示される詳細は、本発明の好適な実施形態の例としてのものであり、その説明的解説のために過ぎず、本発明の構築手順の並びに原理及び概念上の態様の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示したものであることが理解されるであろう。

0028

以下の実施例で行った実験は、Apo又はHolo形態のいずれかを含むトランスフェリンにより処理した。さまざまなトランスフェリン混合物を試験した。大部分がApoTfのトランスフェリン、大部分がHoloTfのトランスフェリン、pdTf及び具体的に定義されたトランスフェリン混合物を含むApoTfとHoloTfの相対的百分率を以下のTable 1(表1)において強調する。

0029

0030

(実施例1)
大部分がApoTfのトランスフェリンを含む組成物及び大部分がHoloTfのトランスフェリンを含む組成物は、正常酸素及び低酸素条件下における6時間の処理後にHIF-1αタンパク質を誘導する。

0031

血清を含まない培地で培養したヒト神経芽腫SH-SY5Y細胞株の細胞を、(ともに1mg/mL及び4mg/mLの濃度で)血漿由来のApoTf及びHoloTfにより正常酸素(21%酸素)及び低酸素(1%酸素)条件下において6時間処理した。対照として、未処理の細胞又は1mg/mL若しくは4mg/mLの濃度のヒト血清アルブミン(HSA)により処理した細胞を使用する。6時間後に細胞内タンパク質回収し、ELISAによってHIF-1αタンパク質量を試験した。

0032

図1に示されるとおり、正常酸素及び低酸素両条件下において、ApoTfの2つ試験濃度についてHIF-1α細胞タンパク質量が著しく増加した。HoloTfに関しては、細胞を1mg/mLの濃度で処理した場合の正常酸素及び低酸素両条件及び細胞を4mg/mLの濃度で処理した場合の正常酸素条件においてHIF-1αの細胞タンパク質量の著しい増加が観察された。細胞を4mg/mLの濃度のHoloTfで処理した場合、HIF-1αの細胞タンパク質量が増加する傾向が見られた。

0033

(実施例2)
大部分がApoTfのトランスフェリンを含む組成物及び大部分がHoloTfのトランスフェリンを含む組成物は、正常酸素条件下における24時間の処理後にHIF-1αタンパク質を誘導する。

0034

実施例1で行われた実験を繰り返したが、処理を24時間、正常酸素条件下においてのみで行った。24時間後に細胞内タンパク質を回収し、ELISAによってHIF-1αタンパク質量について試験した。図2は、この実験で得られた結果について示している。前記図からわかるとおり、両試験濃度においてApoTfがHIF-1αの細胞タンパク質量を増加させた。HoloTfに関しては、4mg/mLの濃度を使用して処理を行った場合に、HIF-1αの細胞タンパク質量の著しい増加が観察され、1mg/mLの濃度を使用した場合に、前記タンパク質が増加する傾向が見られた。

0035

(実施例3)
ApoTf及びHoloTfの混合物は、6時間の処理後にHIF-1αタンパク質を誘導する。

0036

6時間後、細胞内タンパク質を回収し、ELISAによってHIF-1αタンパク質量について試験した。図3に示されるとおり、正常酸素条件における血漿由来の大部分がApoTfのトランスフェリン、大部分がHoloTfのトランスフェリン又はそれらの混合物による6時間の処理後にHIF-1α細胞タンパク質量の増加が観察された。前記図からもわかるとおり、ApoTf及びHoloTfの混合物のすべてがSH-SY5Y神経細胞のHIF-1αタンパク質をアップレギュレートしている。

0037

(実施例4)
HSA、アポトランスフェリン又はホロトランスフェリンの存在下、正常酸素及び低酸素条件におけるGlut1及びVEGFのmRNA発現量。

0038

HIF-1αタンパク質の安定化及びその増加は、一般にHIF関連遺伝子(HIFによって標的とされる遺伝子の転写の増加)、すなわち、それらの転写調節因子にHIF結合部位を有する遺伝子のアップレギュレーションにつながる。HIF-1αタンパク質によって活性化されるよく特徴づけられた2つの遺伝子はGlut1レセプター及びVEGFである。したがって、これらのHIFターゲット遺伝子のそれぞれのmRNA発現の変化を分析するために、SH-SY5Y細胞株の細胞を培養し、1mg/mL及び4mg/mLの濃度の大部分がApoTf又は大部分がHoloTfのトランスフェリンにより正常酸素(21%酸素)又は低酸素(1%酸素)条件下において6時間処理した。陰性対照として、細胞をHSA(1mg/mL若しくは4mg/mL)により処理するか、又は未処理のままとした。6時間後に、細胞内のmRNAを回収し、qPCRによってGlut1及びVEGF発現量について試験した。発現の結果を、未処理の細胞で見られる対応する転写の発現と比較して算出した。図4A及び図4Bは、それぞれGlut1レセプター及びVEGFに対して得られた発現の結果を示している。図の値は、ハウスキーパー(ベータ-アクチン)の発現に関して正規化したターゲット遺伝子(Glut1又はVEGF)に関する相対的な遺伝子発現として示した。前記図から直接導き出せるとおり、アポトランスフェリンにより処理した場合に、低酸素性条件下におけるGlut1(図4A)及びVEGF(図4B)の両方の発現が、HSA対照と比較して著しく増加した。興味深いことに、正常酸素条件下において、ホロトランスフェリンはGlut1の発現だけ増加させたが、アポトランスフェリンは増加させなかった。

0039

(実施例5)
ApoTf及びHoloTfの混合物は、インビトロ又はインビボにおいて毒性を示さない。

0040

インビボ及びインビトロにおいてHoloTfが細胞にとって有毒であると報告されているため、大部分がApoTfのトランスフェリン、大部分がHoloTfのトランスフェリン又はApoTf + HoloTfの混合物を含むさまざまな組成物の毒性についてSH-SY5Y細胞で試験した。SH-SY5Y細胞を示した濃度の4mg/mLのTf(図5Aで示すとおり)、M30又はDFOにより72時間処理した。72時間後に、細胞をCell Titer Glo生存率アッセイに供した。対照細胞である未処理の細胞を100%生存可能の値とした。各処理条件についての平均生存率及び標準偏差を示す。大部分がApoTfのトランスフェリンを含むどの組成物に関しても毒性の影響は見られず、驚くべきことに、大部分がHoloTfのトランスフェリンの毒性又は有害な影響も観察されなかった。

0041

興味深いことに、これらの挙動基準において、大部分がApoTf又は大部分がHoloTfのトランスフェリンの組成物のいずれも有意差を示さなかった。これは、インビボではHoloTfの有害な影響がないことを示唆する。図5Bは、大部分がApoTf又はHoloTfのトランスフェリンを含む薬物により静脈を介して処置したラットについての改変したBedersonスコア及び全般的行動スコアを示している。以下の定義を使用して改変したBedersonスコア(Bedersonら、1986b; Crumrineら、2011年)により、インビボにおける神経学的機能を評価した。
スコア0:明白な神経学的異常なし;
スコア1:体のねじれあり;
スコア2:体のねじれ、右側の脱力;
スコア3:体のねじれ、右側の脱力、旋回行動;及び
スコア4:発作活動。

0042

ラットの全般的行動スコアは、CALS職員によって外科手技後の動物の回復を観察する目的で開発された(標準CALS術後看護)。数値を所定の行動所見割り当てた。

0043

スコア0:正常な未処置のラットと一致した行動(すなわち、同側性欠陥なし);
スコア1:元気/活動的/反応を示す;ラットは自発的に動きケージを見て回る、外的刺激に反応する、ケージの上部を見て回る;
スコア2:静か/警戒/反応を示す;行動は控えめであるが外的刺激には反応する、後ろ足で立ったり、ケージの上部を見て回ったりすることはほとんどない;
スコア3:元気のない行動:つつかれない限りほとんど動かない、傾眠状態にすぐに戻る、外的刺激への関心がほとんどないから全くない;
スコア4:無反応:つつかれた際にも横たわった姿勢のまま;及び
スコア5:安楽死が必要な発作活動。

0044

(実施例6)
インビボにおけるトランスフェリンによる細胞保護。

0045

トランスフェリンによる細胞保護を評価するために脳卒中のMCAo(中大脳動脈閉塞)ラットモデルを使用した。MCAo技術を使用することによって16匹のラットに外科的に脳卒中を引き起こした。8匹のラットを脳に生理食塩水注入することによって処置し、残りの8匹を脳にApoTfを注入することによって処置した。図6A及び図6Bは、対照ラット(生理食塩水で処置した)と比較した場合に、大部分がApoTfのトランスフェリンを含む混合物により処置したラットの梗塞を起こした領域の体積が著しく縮小したことを示している。図6Aは、一過性MCAoのApoTf(385mg/kg、IV)又は生理的食塩水により処置した梗塞部の体積の散布図を示し、図6Bは、代表的な対照ラット及びApoTfで処置したラットのTTCにより着色した冠状断面を示す。

0046

(実施例7)
ApoTf及びHoloTfはAβ 1-42の毒性からSH-SY5Yを保護する。

0047

神経細胞及びニューロンの破壊をもたらす病状を伴う多数の神経変性疾患においてHIF経路のアップレギュレーションが保護的役割を果たすことが知られている。SH-SY5Yの処理がHIFをアップレギュレートするため、アポトランスフェリン又はホロトランスフェリンによる細胞の処理により、神経変性を引き起こすと知られている物質にさらされる細胞に対して保護効果がもたらされるはずである。図7は、大部分がアポトランスフェリン及びホロトランスフェリンのトランスフェリンは、既知の神経変性の毒素であるオリゴマー化されたAβ 1-42ペプチドの毒の影響からSH-SY5Y細胞を保護できるかどうか評価したデータを強調するものである(図7)。増殖培地で培養したSH-SY5Y神経細胞を4mg/mLのアポトランスフェリン又はホロトランスフェリンにより正常酸素レベルにおいて24時間処理した。24時間後に、オリゴマー化されたAβ 1-42ペプチドにより細胞を更に72時間処理した。オリゴマー化されたAβ 1-42による処理に続いて、細胞をApoGloカスパーゼ3/7活性化アッセイに供した。対照細胞である未処理の細胞を正規化した値の1とした。各処理条件についての対照細胞と比較した平均カスパーゼ誘導及び標準偏差を示す。興味深いことに、これらのデータは、大部分がApoTf及びHoloTfのトランスフェリンの両方が、Aβが引き起こす毒性からSH-SY5Y細胞を保護することを示している。これらのデータにより、ApoTf又はHoloTfのいずれももともと毒性がないことも更に確認された。

0048

(実施例8)
小分子HIF活性化物質及びApoTf/HoloTf混合物に関する相乗効果

0049

トランスフェリンは、その他の鉄キレーター又は酵素阻害物質等の他のHIF活性化小分子と相乗的に作用する可能性がある。これにより、投与されるこれらの小分子の量を低減することができ、副作用の誘発を少なくするが高い治療レベルを保持することができるであろう。アポトランスフェリンが鉄キレーター、DFO及びphd2阻害物質IOX2の効能を高めるかどうかを確認するために、血清を含まない培地で培養したSH-SY5Y神経細胞を、小分子薬物の存在下又は不在下、正常酸素レベルにおいて4mg/mLの示したタンパク質により処理した。この実験の結果を図8A、図8B及び図8Cに示す。図8Aに示したデータは、示した濃度のDFO又はIOX2と4mg/mLのタンパク質の組み合わせによる細胞の処理に関する。CoCl2を実験用陽性対照として使用した。図8Bに示したデータは、10uMのM30プラス/マイナス4mg/mLのタンパク質の組み合わせによる細胞の処理に関する。図8Cに示したデータは、200uMのDFOプラス/マイナス4mg/mLのタンパク質の組み合わせによる細胞の処理に関する。6時間後に細胞内タンパク質を回収し、ELISAによってHIF-1αタンパク質量を試験した。データをpg/mLで標準偏差とともに示す。

0050

(実施例9)
大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン及びDFO又はIOX2の組み合わせに反応したGlut1及びVEGFのmRNA発現量。

0051

更に、大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン及びDFO又はIOX2の組み合わせに反応したGlut1及びVEGFのmRNA発現量を求めた。血清を含まない培地で培養したSH-SY5Y神経細胞を、4mg/mLのヒト血清アルブミン又は大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリンにより正常酸素レベル下において処理した。記載がある場合は、200uMのDFO又は1uMのIOX2のいずれかをHSA及び大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリンとともに処理した。6時間の処理後に、細胞内のmRNAを回収し、qPCRによってGlut1及びVEGFの発現量について試験した。ハウスキーパー(ベータ-アクチン)の発現に対して正規化したターゲット遺伝子(Glut1又はVEGF)に関する相対的な遺伝子発現として値を示す。標準偏差を示す。図9A及び図9Bは、アポトランスフェリン及びHIF経路の小分子活性化物質の両方の添加によりGlut1及びVEGFのmRNA量が相乗的及び相加的に増加することを示している。

0052

(実施例10)
大部分がApoTfのトランスフェリンの組成物及び大部分がHoloTfのトランスフェリンの組成物がヒト初代腎細胞においてHIF-1αタンパク質を誘導する。

0053

例えばDFO等、低酸素が関連する又はそれによって引き起こされる状態の治療に使用される小分子の多くが有毒であり、数々の副作用があることは当該技術分野において周知である。前記小分子の最も明白な副作用の1つが腎毒性である。したがって、トランスフェリン及び/又は混合物が初代腎細胞中のHIF-1α量を増加させるかどうかを評価するために、ヒト初代腎細胞であるヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)及び皮質上皮細胞(HRCE)の両方を入手した。血清を含まない培地で培養したヒト初代腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)又は初代皮質上皮(HRCE)細胞を、4mg/mLの大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン、大部分がホロトランスフェリンのトランスフェリン又はそれぞれの各種混合物により正常酸素レベルにおいて6時間処理した。6時間後に細胞内タンパク質を回収し、ELISAによってHIF-1αタンパク質量を試験した。図10A及び図10Bは、それぞれRPTEC及びHRCEのHIF-1α量がアポトランスフェリン及びホロトランスフェリンの混合物からなるトランスフェリンにより誘導されることを明らかにしている。

0054

(実施例11)
大部分がApoTfのトランスフェリン又はDFOの存在下におけるヒト初代腎細胞内のカスパーゼ3/7の活性化を伴う、トランスフェリン又はDFOの存在下におけるヒト初代腎細胞の生存率。

0055

ヒト血漿タンパク質予期される安全性プロフィールを考慮して、ヒト初代腎細胞におけるDFO及びトランスフェリン(大部分がApoのトランスフェリン、大部分がHoloのトランスフェリン及び混合物)の毒性を評価した。腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC)又は皮質上皮(HRCE)細胞を、示した濃度の大部分がApoTfのトランスフェリン又はDFOにより48時間処理し(図11A)、RPTEC細胞又はHRCE細胞を、4mg/mLの大部分がApoTfのトランスフェリン、大部分がHoloTfのトランスフェリン、トランスフェリン混合物により72時間処理した(図11B)。48時間又は72時間後に、細胞をCell Titer Glo生存率アッセイに供した。対照細胞である未処理の細胞を100%生存可能の値とした。各処理条件についての平均生存率及び標準偏差を示す。図11A及び図11Bは、DFOには著しい毒性があったが、トランスフェリン分子は、これらの初代腎細胞に対していかなる不利益な影響ももたらさなかったことを示している。

0056

ApoTf又はDFOの存在下でヒト初代腎細胞内のカスパーゼ3/7の活性化を評価するために、示した濃度のApoTf又はDFOによりRPTE又はHRC細胞を48時間処理した。48時間後に、細胞をApoGloカスパーゼ3/7活性化アッセイに供した。対照細胞である未処理の細胞を正規化した値の1とした。各処理条件についての対照細胞と比較した平均カスパーゼ活性及び標準偏差を図12に示す。

0057

(実施例12)
ヒト初代肝細胞又は肺細胞株NCI-H1650では、HIFのアップレギュレーションは観察されなかった。

0058

上述のとおり、血漿由来のアポトランスフェリン及びホロトランスフェリンの両方がヒト神経細胞株SH-SY5Yの細胞のHIF-1αの量を増加させる。神経細胞に加えて、肝臓及び肺の臓器移植もHIFシグナル伝達の誘導から利益を受ける可能性もある。したがって、それを評価するために、初代肝細胞及び肺細胞株(NCI-H1650)のHIF-1α量に対するトランスフェリンの効果を確認した。血清を含まない培地で培養した肺細胞株NCI-H1650又は初代肝細胞を、4mg/mLの大部分がアポトランスフェリンのトランスフェリン、大部分がホロトランスフェリンのトランスフェリン又はpd-トランスフェリンにより正常酸素レベルにおいて6時間処理した。6時間後に細胞内タンパク質を回収し、ELISAによってHIF-1αタンパク質量を試験した。図13A及び図13Bに強調されるとおり、このデータは、NCIH1650又は初代肝細胞のHIF-1α量が、トランスフェリン又はアポトランスフェリン及びホロトランスフェリンの混合物により誘導されないことを示している。

0059

(実施例13)
トランスフェリンの存在下におけるNCI-H1650及びヒト初代肝細胞の生存率。

0060

ヒト血漿タンパク質の予期される安全性プロフィールを考慮にいれて、NCI-H1650及びヒト初代肝細胞におけるトランスフェリン(大部分がApoのトランスフェリン、大部分がHoloのトランスフェリン及びpd-トランスフェリン)の毒性を評価した。ヒト肺細胞株NCI-H1650及びヒト初代肝細胞を4mg/mLの大部分がApoTfのトランスフェリン、大部分がHoloTfのトランスフェリン又はpd-トランスフェリンにより72時間処理した。72時間後に、細胞をCell Titer Glo生存率アッセイに供した。対照細胞である未処理の細胞を100%生存可能の値とした。各処理条件についての平均生存率及び標準偏差を図14A及び図14Bに示す。このデータは、肺細胞NCI-H1650又は初代肝細胞に対する、大部分がHoloTf又は大部分がApoTfのトランスフェリンのいずれかを含む組成物の毒性が観察されなかったことを示している。

0061

結論:
ヒト神経細胞株SH-SY5Yで行われた実験から、血漿由来のアポトランスフェリン及びホロトランスフェリンの両方が細胞のHIF-1αの量を増加させることが示された。正常酸素及び低酸素両条件下においてHIF-1α量が増加した。正常な酸素条件においてアポトランスフェリンを細胞へ投与すると、細胞が低酸素環境曝露された場合に見られる量と同様のレベルにまでHIF-1αの量が引き上げられた。正常酸素条件においてSH-SY5Y細胞をアポトランスフェリンに長期間曝露すると、HIF-1αの量が短時間の場合よりも大幅に増加した。陰性対照のヒト血清アルブミンは、HIF-1α量に何の影響ももたらさなかった。

0062

ApoTf及びHoloTfの各種混合物はすべて、SH-SY5Y神経細胞及び初代腎細胞のHIF-1αタンパク質をアップレギュレートした。

0063

ヒト初代肝細胞又は肺細胞株NCI-H1650ではHIF-1αのアップレギュレーションは観察されなかった。

0064

ApoTf及びHoloTfの各種混合物はすべて、SH-SY5Y神経細胞のHIF-1αターゲット遺伝子をアップレギュレートした。

0065

いかなる細胞種(ニューロン、肺、腎臓若しくは肝細胞)又はインビボでも、大部分がHoloTf又は大部分がApoTfのトランスフェリンのいずれかを含む組成物に毒性は観察されなかった。

0066

虚血-再灌流の神経学的ストレスモデルのラットのインビボにおける処置は、トランスフェリン(主としてApoTfからなる)が梗塞からラット細胞を保護することを示した。

0067

主としてApoTf又はHoloTfを含む混合物は、Aβ(1-42)オリゴマーの毒の影響から神経細胞を保護した。

0068

大部分がApoTfのトランスフェリンからなる混合物のみ、M30又はDFOと相乗効果があり、こうした相乗作用は、SH-SY5Y神経細胞でのみ起こった。

実施例

0069

Human Transferrin - 698 amino acids

1MRLAVGALLV CAVLGLCLAV PDKTVRWCAV SEHEATKCQS FRDHMKSVIP SDGPSVACVK
61 KASYLDCIRA IAANEADAVTLDAGLVYDAYLAPNNLKPVVAEFYGSKEDPQTFYYAVAVV
121 KKDSGFQMNQ LRGKKSCHTG LGRSAGWNIP IGLLYCDLPE PRKPLEKAVA NFFSGSCAPC
181 ADGTDFPQLC QLCPGCGCST LNQYFGYSGA FKCLKDGAGDVAFVKHSTIF ENLANKADRD
241 QYELLCLDNTRKPVDEYKDCHLAQVPSHTV VARSMGGKED LIWELLNQAQEHFGKDKSKE
301 FQLFSSPHGK DLLFKDSAHGFLKVPPRMDA KMYLGYEYVTAIRNLREGTC PEAPTDECKP
361 VKWCALSHHE RLKCDEWSVN SVGKIECVSA ETTEDCIAKI MNGEADAMSL DGGFVYIAGK
421 CGLVPVLAEN YNKSDNCEDT PEAGYFAVAV VKKSASDLTW DNLKGKKSCH TAVGRTAGWN
481IPMGLLYNKI NHCRFDEFFS EGCAPGSKKD SSLCKLCMGS GLNLCEPNNK EGYYGYTGAF
541 RCLVEKGDVA FVKHQTVPQN TGGKNPDPWA KNLNEKDYEL LCLDGTRKPV EEYANCHLAR
601APNHAVVTRK DKEACVHKILRQQQHLFGSN VTDCSGNFCL FRSETKDLLF RDDTVCLAKL
661HDRNTYEKYL GEEYVKAVGN LRKCSTSSLL EACTFRRP

Sequence Reference:
GENBANKACCESSION AAB22049
AUTHORS Hershberger,C.L., Larson,J.L., Arnold,B., Rosteck,P.R. Jr.,
Williams,P., DeHoff,B., Dunn,P., O'Neal,K.L., Riemen,M.W.,
Tice,P.A. et al.
TITLE A cloned gene for human transferrin
JOURNALAnn. N. Y. Acad. Sci. 646, 140-154 (1991)

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