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技術 蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置

出願人 三菱日立パワーシステムズ株式会社
発明者 成田健次郎瀬川清工藤健村田健一
出願日 2014年7月11日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2014-142886
公開日 2016年2月1日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2016-017509
状態 特許登録済
技術分野 タービンの細部・装置 タービンロータ・ノズル・シール 流体シール,非接触シール,油切り
主要キーワード シール基板 浸透材 回転部側 基部付近 複数固定 ラビリンスパッキン パッキン部材 ダイヤフラム内
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図面 (8)

課題

水滴の発生に抗して十分な耐久性を有すると共に、水滴によるシールフィン及びアブダブル材の浸食を抑えることができ、漏れ損失を低減するシール装置を提供する。

解決手段

ロータ及び前記ロータと一体に回転する部材とからなる回転部と、回転部を内包するケーシング及びケーシングに固定される部材とからなる固定部とを備える蒸気タービンに設けられ、回転部と固定部の両方またはいずれか一方に設けられた複数のシールフィンと、シールフィンと対向する回転部と固定部の両方またはいずれか一方に設けられたフィン対向部と、フィン対向部に設けた快削性材とを備えた蒸気タービンのシール装置において、フィン対向部またはシールフィンが設けられた固定部の蒸気入り側の外周部に配置された水滴除去機構を備え、水滴除去機構は、蒸気入り側の蒸気圧力より低い圧力の低圧室と連通していることを特徴とする。

概要

背景

一般に、発電プラントを構成する蒸気タービンは、蒸気の流れる順に配置された高圧タービン中圧タービン、及び低圧タービンを備えている。高圧タービンと中圧タービンと低圧タービンとを回転させた蒸気は、排気室を経由して復水器に導入され、復水器で凝縮されて給水となり蒸気発生器であるボイラ還流する。

蒸気タービンは、ケーシングの内側に固定される静翼が、ロータと一体に回転する動翼と動翼の間に配置され、静翼と動翼とからなる段落が形成されている。

ケーシングの内部に導入された蒸気は、ケーシングの内部を流れ、静翼と、ケーシングに回転自在に保持されるロータに固定される動翼との間を交互に通りながら膨張し、ロータを回転させる。ロータの最も下流に備わる動翼、すなわち最終段の動翼を通過した蒸気は、ケーシングの外に排気されるように構成されている。

このように蒸気タービンでは、蒸気により動翼が回転し、ロータが回転することから、蒸気を効率よく使用するために、例えば動翼とケーシング側静止部など、回転部と固定部との間の隙間からの蒸気の漏れをできるだけ少なくするように、回転部と固定部との間に、フィンシールフィン)を有するラビリンスシール装置を設けて、シ−ル性能を向上することが要求される。

このようなラビリンスシール装置において、蒸気の漏れを少なくするように隙間を極端に小さく設定すると、シールフィンが対向面と容易に接触するようになり、シールフィンの摩耗が早く進む。この結果、シールフィン先端の隙間が拡大して、漏れ量が増加し、シール性能が低下し、蒸気タービン効率が低下するという問題が生じる。

特に、蒸気タービン起動初期において、危険速度通過時やケーシングの急な熱変形を生じる場合には、接触が生じ易くなり、過大な振動が生じる要因になり得る。過大な振動が生じると、シールフィンが破損し、さらには運転停止を必要とする場合も起こり得る。

このような課題に対応するため、ロータなどの回転部と静翼などの固定部との間に、フィン(シールフィン)を有するラビリンスシール装置を備え、さらにフィンと対向する位置に切削性に優れる快削性材(アブダブル材)を用いたシール構造の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このシール構造によれば、シールフィンとアブレダブル材接触時にアブレダブル材の方が快削され、シールフィン摩耗や破損が防止でき、より少ない隙間を設定でき、シール部の漏れ量を少なくできる。

一方、ラビリンスシール装置の他の問題としては、例えば、湿り度の高い蒸気が流れる低圧段落において、水滴によるエロージョンの発生がある。ラビリンスパッキンを通過する漏れ蒸気はシールフィンの取付け基部付近に滞りやすく、シールフィンの損傷の原因となる。

このような課題を解決するため、ラビリンスシールの最入側部に削り出しシールフィンを設置し、水滴による浸食を入側部のみで防止し、下流側への影響を防止する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。

概要

水滴の発生に抗して十分な耐久性を有すると共に、水滴によるシールフィン及びアブレダブル材の浸食を抑えることができ、漏れ損失を低減するシール装置を提供する。ロータ及び前記ロータと一体に回転する部材とからなる回転部と、回転部を内包するケーシング及びケーシングに固定される部材とからなる固定部とを備える蒸気タービンに設けられ、回転部と固定部の両方またはいずれか一方に設けられた複数のシールフィンと、シールフィンと対向する回転部と固定部の両方またはいずれか一方に設けられたフィン対向部と、フィン対向部に設けた快削性材とを備えた蒸気タービンのシール装置において、フィン対向部またはシールフィンが設けられた固定部の蒸気入り側の外周部に配置された水滴除去機構を備え、水滴除去機構は、蒸気入り側の蒸気圧力より低い圧力の低圧室と連通していることを特徴とする。

目的

本発明は上述した事柄に基づいてなされたものであって、その目的は、水滴の発生に抗して十分な耐久性を有すると共に、水滴によるシールフィン及びアブレダブル材の浸食を抑制でき、漏れ損失を低減するシール装置及び蒸気タービン装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ロータ及び前記ロータと一体に回転する部材とからなる回転部と、前記回転部を内包するケーシング及び前記ケーシングに固定される部材とからなる固定部とを備える蒸気タービンに設けられ、前記回転部と前記固定部の両方またはいずれか一方に設けられた複数のシールフィンと、前記シールフィンと対向する前記回転部と前記固定部の両方またはいずれか一方に設けられたフィン対向部と、前記フィン対向部に設けた快削性材とを備えた蒸気タービンのシール装置において、前記フィン対向部または前記シールフィンが設けられた固定部の蒸気入り側の外周部に配置された水滴除去機構を備え、前記水滴除去機構は、前記蒸気入り側の蒸気圧力より低い圧力の低圧室と連通していることを特徴とする蒸気タービンのシール装置。

請求項2

請求項1に記載の蒸気タービンのシール装置において、前記水滴除去機構は、前記フィン対向部または前記シールフィンが設けられた固定部の蒸気入り側の前面に環状の空間として形成されたスリット部と、前記フィン対向部または前記シールフィンが設けられた固定部の蒸気入り側の外周部に軸方向に設けた窪み部と、前記窪み部の底部に設けた排水孔と、前記排水孔と前記低圧室とを接続する排水路と、前記窪みに充填され、その表面に付着した水滴の水分をその内部に吸収する浸透材とを備えたことを特徴とする蒸気タービンのシール装置。

請求項3

請求項1又は2に記載の蒸気タービンのシール装置において、前記複数のシールフィンと前記フィン対向部と前記快削性材とを設けたシール部と、前記シール部の蒸気入り側部と、前記水滴除去機構が配置された前記固定部の蒸気入り側の外周部との間の部位に、軸方向に突出する突起を有する水滴ガードとを備えたことを特徴とする蒸気タービンのシール装置。

請求項4

請求項2に記載の蒸気タービンのシール装置において、前記窪みに充填された前記浸透材の表面の軸方向位置を、前記フィン対向部または前記シールフィンが設けられた固定部の蒸気入り側の面の軸方向位置より、蒸気の流れで下流側に配置したことを特徴とする蒸気タービンのシール装置。

請求項5

ロータ及び前記ロータと一体に回転する部材とからなる回転部と、前記回転部を内包するケーシング及び前記ケーシングに固定される部材とからなる固定部とを備え、前記回転部と前記固定部の両方またはいずれか一方に設けられた複数のシールフィンと、前記シールフィンと対向する前記回転部と前記固定部の両方またはいずれか一方に設けられたフィン対向部と、前記フィン対向部に設けた快削性材とを備えたシール装置を備える蒸気タービン装置において、前記フィン対向部または前記シールフィンが設けられた固定部の蒸気入り側の外周部に配置された水滴除去機構を備え、前記水滴除去機構は、前記蒸気入り側の蒸気圧力より低い圧力の低圧室と連通していることを特徴とする蒸気タービン装置。

技術分野

0001

本発明は、蒸気タービンシール装置及び蒸気タービン装置に関する。

背景技術

0002

一般に、発電プラントを構成する蒸気タービンは、蒸気の流れる順に配置された高圧タービン中圧タービン、及び低圧タービンを備えている。高圧タービンと中圧タービンと低圧タービンとを回転させた蒸気は、排気室を経由して復水器に導入され、復水器で凝縮されて給水となり蒸気発生器であるボイラ還流する。

0003

蒸気タービンは、ケーシングの内側に固定される静翼が、ロータと一体に回転する動翼と動翼の間に配置され、静翼と動翼とからなる段落が形成されている。

0004

ケーシングの内部に導入された蒸気は、ケーシングの内部を流れ、静翼と、ケーシングに回転自在に保持されるロータに固定される動翼との間を交互に通りながら膨張し、ロータを回転させる。ロータの最も下流に備わる動翼、すなわち最終段の動翼を通過した蒸気は、ケーシングの外に排気されるように構成されている。

0005

このように蒸気タービンでは、蒸気により動翼が回転し、ロータが回転することから、蒸気を効率よく使用するために、例えば動翼とケーシング側静止部など、回転部と固定部との間の隙間からの蒸気の漏れをできるだけ少なくするように、回転部と固定部との間に、フィンシールフィン)を有するラビリンスシール装置を設けて、シ−ル性能を向上することが要求される。

0006

このようなラビリンスシール装置において、蒸気の漏れを少なくするように隙間を極端に小さく設定すると、シールフィンが対向面と容易に接触するようになり、シールフィンの摩耗が早く進む。この結果、シールフィン先端の隙間が拡大して、漏れ量が増加し、シール性能が低下し、蒸気タービン効率が低下するという問題が生じる。

0007

特に、蒸気タービン起動初期において、危険速度通過時やケーシングの急な熱変形を生じる場合には、接触が生じ易くなり、過大な振動が生じる要因になり得る。過大な振動が生じると、シールフィンが破損し、さらには運転停止を必要とする場合も起こり得る。

0008

このような課題に対応するため、ロータなどの回転部と静翼などの固定部との間に、フィン(シールフィン)を有するラビリンスシール装置を備え、さらにフィンと対向する位置に切削性に優れる快削性材(アブダブル材)を用いたシール構造の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このシール構造によれば、シールフィンとアブレダブル材接触時にアブレダブル材の方が快削され、シールフィン摩耗や破損が防止でき、より少ない隙間を設定でき、シール部の漏れ量を少なくできる。

0009

一方、ラビリンスシール装置の他の問題としては、例えば、湿り度の高い蒸気が流れる低圧段落において、水滴によるエロージョンの発生がある。ラビリンスパッキンを通過する漏れ蒸気はシールフィンの取付け基部付近に滞りやすく、シールフィンの損傷の原因となる。

0010

このような課題を解決するため、ラビリンスシールの最入側部に削り出しシールフィンを設置し、水滴による浸食を入側部のみで防止し、下流側への影響を防止する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。

先行技術

0011

特開2002−228013号公報
特開平11−13409号公報

発明が解決しようとする課題

0012

上述した従来技術を組み合わせたラビリンスシール装置は、シールフィン摩耗や破損が防止でき、漏れ蒸気によるシールフィンの損傷を防止できる。しかし、低圧段落に発生した水滴による、アブレダブル材の侵食の防止については、特許文献1及び2のいずれも言及していない。

0013

例えば、低圧段落で発生した水滴は、外輪やケーシングなどの段落の外周方向の壁面に直接衝突し、反射した後の水滴のうち段落の内周側に落下するものも生じる。このような運動量の減少した水滴が、シールフィンとその対向面にアブレダブル材を配置したシール部に蒸気とともに侵入することが想定される。この水滴は、高速回転する動翼先端の蒸気により高い運動量が付与されるので、シール部内のアブレダブル材に衝突すればアブレダブル材が浸食され、シールフィンに衝突すればシールフィンが浸食されてしまう。このため、シールフィン先端の隙間が拡大して、漏れ量が増加し、シール性能が低下し、蒸気タービン効率が低下するという問題が生じる。

0014

本発明は上述した事柄に基づいてなされたものであって、その目的は、水滴の発生に抗して十分な耐久性を有すると共に、水滴によるシールフィン及びアブレダブル材の浸食を抑制でき、漏れ損失を低減するシール装置及び蒸気タービン装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ロータ及び前記ロータと一体に回転する部材とからなる回転部と、前記回転部を内包するケーシング及び前記ケーシングに固定される部材とからなる固定部と、前記回転部と前記固定部の両方またはいずれか一方に設けられた複数のシールフィンと、前記シールフィンと対向する前記回転部と前記固定部の両方またはいずれか一方に設けられたフィン対向部と、前記フィン対向部に設けた快削性材とを備えた蒸気タービンのシール装置において、前記フィン対向部が設けられた固定部の蒸気入り側の外周部に配置された水滴除去機構を備え、前記水滴除去機構は、前記蒸気入り側の蒸気圧力より低い圧力の低圧室と連通していることを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明によれば、水滴の発生に抗して十分な耐久性を有すると共に、水滴によるシールフィン及びアブレダブル材の浸食を抑えることができるので、長期間にわたる高いシール性能が保持できる蒸気タービンのシール装置を提供できる。この結果、長期の運転期間において、高い蒸気タービン効率を得ることができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第1の実施の形態を備えた蒸気タービンの段落を示す概略構成図である。
本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第1の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。
ダイヤフラム外輪の蒸気入側面の前面に環状の空間として形成されたスリット部を備えた蒸気タービンのシール装置と周辺部を拡大して示す概略構成図である。
本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第2の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。
本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第3の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。
本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第4の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。
本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第5の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。

0018

以下、本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の実施の形態を図面を用いて説明する。

0019

図1は本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第1の実施の形態を備えた蒸気タービンの段落を示す概略構成図である。
図1に示すように、蒸気タービン1は、ケーシング2と、ケーシング2内であって複数の動翼3Aが固定されたロータ3とを備えている。動翼3Aは、周方向に複数固定されて動翼翼列を構成し、この動翼翼列をロータ3の軸方向に複数段備えている。

0020

ケーシング2の内側には、ロータ3の軸方向に動翼3Aと交互になるようにダイヤフラム外輪4Aとダイヤフラム内輪4Bに支持された静翼2Aが配置されている。静翼2Aは、周方向に複数固定され静翼翼列を構成し、静翼翼列と直下流側に位置する動翼翼列とで、1つの段落を構成している。

0021

図示しないボイラで発生した蒸気Stは、ケーシング2に流入すると、静翼2Aと動翼3Aの間を交互に通過しながら膨張し、ロータ3を回転させる。ロータ3の最下流である最終段の動翼3Aを通過した蒸気Stは、排気室15から図示しない排気流路を介してケーシング2の外へ排気される。

0022

このように構成される蒸気タービン1においては、ケーシング2の内部を流れる蒸気Stで効率よく動翼3Aを回転させるため、回転部であるロータ3及び動翼3Aなどと、固定部であるケーシング2及び静翼2Aなどの間のシール性能を向上させて、回転部と固定部の間に形成されるクリアランスから漏れる蒸気(漏れ蒸気)の量を抑制することが要求される。

0023

この漏れ蒸気の量を抑制するため、動翼3A近傍のX部には、ラビリンスシール装置5などのシール装置を設け、動翼3Aとダイヤフラム外輪4Aの先端との間のクリアランスを小さくしてシール性能を向上させ、漏れ蒸気の量を抑制している。

0024

次に、本実施の形態のシール装置について図面を用いて説明する。図2は本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第1の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。図2において、図1に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。

0025

図2図1におけるX部の拡大図であって、ラビリンスシール装置5とその周辺を拡大して示している。
図2に示すように、ラビリンスシール装置5は、動翼3Aの先端のカバー3A1の外周面に軸方向に沿って複数個配置されたシールフィン6と、ダイヤフラム外輪4Aの内周面パッキン部材7Aを介して配置されるシール基板7と、シール基板7のシールフィン6と対向する面にロータ周方向に沿って凸状に形成した複数のハイ部71と、複数のハイ部71の軸方向に隣接し、ロータ周方向に沿ってハイ部71より凹状に形成した複数のロー部72と、複数のハイ部71の上面と複数のロー部72の上面のそれぞれに設けられた快削性材8と、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9に設けた水滴除去機構10とを備えている。

0026

水滴除去機構10は、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9の前面に環状の空間として形成されたスリット部9Aと、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9に、周方向に所定の幅を持ち、軸方向視で輪状に形成される軸方向の窪み10Aと、窪み10Aの底部に設けた排水孔10Bと、排水孔10Bとシール入側の蒸気圧より圧力の低い低圧室(例えば図1に示す排気室15)とを接続する排水路10Cと、窪み10Aの全体に充填され、表面13に付着した水滴12の水分を内部に吸収する性質を持つ浸透材11とを備えている。なお、本実施の形態においては、浸透材11を窪み10Aの全体に充填し、浸透材11の表面13の軸方向位置を、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9と同じに形成している。

0027

ここで、本実施の形態の理解を容易にするために、従来の技術と問題について図3を用いて説明する。図3は、ダイヤフラム外輪の蒸気入側面の前面に環状の空間として形成されたスリット部を備えた蒸気タービンのシール装置と周辺部を拡大して示す概略構成図である。図3において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。

0028

ここで、図3に示すラビリンスシール装置5’と本実施の形態のラビリンスシール装置5の相違点は、ダイヤフラム外輪の蒸気入側面の前面に環状の空間として形成されたスリット部9Aを除く他の構成要素を備えた水滴除去機構10の有無である。一般に、通常の火力用蒸気タービンにおいては、最終段落より1つ上流の段落において、蒸気Stの一部が凝縮して液化する。液化した蒸気の一部が例えば静翼2Aに付着して水膜を形成し、この水膜から吹き飛ばされたものが水滴12になる。

0029

この水滴12は、高速回転流により強い遠心力を受けて、段落の外周方向に高速飛行する。この水滴12は高い運動量を持つためダイヤフラム外輪4Aやケーシング2などの壁面に直接衝突する。強い衝撃力によりこれらの壁面が壊食されることもある。一旦壁面に衝突し反射した後の水滴12aは細かく粉砕されたり、再度結合したりするが運動量は減少する。このため、水滴12aのうち、段落の内周側に落下する水滴12bも生じる。

0030

この水滴12bが、シールフィン6とその対向面にアブレダブル材8を配置したシール部に蒸気Stとともに侵入すると、この水滴12bは、高速回転する動翼3Aの先端の蒸気Stにより高い運動量が付与されるので、シール部内のアブレダブル材8に衝突すればアブレダブル材8が浸食され、シールフィン6に衝突すればシールフィン6が浸食されてしまう。

0031

本実施の形態においては、図2に示すように、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9に水滴除去機構10を設けたので、上述した問題の発生を抑止できる。具体的には、ダイヤフラム外輪4Aやケーシング2などの壁面に反射した後の水滴12aの発生までは、上述した従来例と同様である。本実施の形態においては、反射した後の運動量の減少した水滴12aを、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9の軸方向の窪み10Aに充填された浸透材11の表面13に付着させ、水滴12の水分を浸透材11の内部へ浸透させて吸収する。

0032

浸透材11の充填された窪み10Aの底部には、シール入側の蒸気圧より圧力の低い低圧室(例えば図1に示す排気室15)と排水路10Cを介して接続する排水孔10Bが設けられているので、浸透材11で吸収された水滴12aの水分は、常に低圧室側吸引されて、排除される。このことにより、ダイヤフラム外輪4Aやケーシング2などの壁面に反射した後の水滴12aが、ラビリンスシール装置5へ侵入することを防止できる。

0033

この結果、水滴12aによるシールフィン6への浸食とアブレダブル材8への浸食を抑えることができるので、漏れ損失を最小にでき、高い蒸気タービン効率を得ることができる。

0034

さらに、浸透材11は排水路10Cを介して低圧室に接続されているので、除去した水滴12aの水分は常に排除される。このことにより、長期間の使用においても、浸透材11が水滴12aの水分で満たされて機能を停止することを防止できる。この結果、長期間の使用においても、水滴12aのラビリンスシール装置5への侵入を防止することができ、水滴12に抗して長期間のシールフィン6への浸食および快削性材8への浸食を抑制でき、安定したシール性能の確保が可能となる。

0035

上述した本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第1の実施の形態によれば、水滴12の発生に抗して十分な耐久性を有すると共に、水滴12によるシールフィン6及びアブレダブル材8の浸食を抑えることができるので、長期間にわたる高いシール性能が保持できる蒸気タービン1のシール装置5を提供できる。この結果、長期の運転期間において、高い蒸気タービン効率を得ることができる。

0036

なお、本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第1の実施の形態は、水滴の発生量が多い低圧タービンへの適用が望ましい。特に、最終段落に適用することが望ましい。

0037

以下、本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。図4は本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第2の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。図4において、図1乃至図3に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。

0038

図4に示す本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第2の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、以下の構成が異なる。本実施の形態においては、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9であって、浸透材11を充填した窪み10Aの下端部とラビリンスシール装置5の蒸気入り側部との間の部位に軸方向に突出した突起を有する水滴ガード14を設けた点が異なっている。

0039

上述したように、蒸気Stの一部から形成された水滴12は、高速回転流により強い遠心力を受けて高い運動量を有している。このため、段落の外周方向に高速で飛行する水滴12の一部が、水滴除去機構10の浸透材11に直接衝突すると、強い衝撃力により浸透材11の表面が壊食されることも想定される。そこで、本実施の形態においては、水滴ガード14をダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9に設けた。このことにより、高い運動量を持つ水滴12の一部は、浸透材11の表面に直接衝突する前に水滴ガード14の突起に衝突する。この結果、浸透材11の損傷を防止でき、長期間の安定したシール性能の確保が可能になる。

0040

上述した本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。

0041

また、上述した本発明の蒸気タービンのシール装置の第2の実施の形態によれば、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9に水滴ガード14を設けたので、水滴除去機構10の浸透材11に、高い運動量を持つ水滴12の一部が直接衝突することを防止できる。このことにより、浸透材11の損傷を防止でき、長期間の安定したシール性能の確保が可能になる。

0042

以下、本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第3の実施の形態を図面を用いて説明する。図5は本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第3の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。図5において、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。

0043

図5に示す本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第3の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、以下の構成が異なる。本実施の形態においては、浸透材11の表面13の軸方向位置を、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9の軸方向位置より、蒸気の流れで下流側に形成した点が異なっている。

0044

上述したように、蒸気Stの一部から形成された水滴12は、高速回転流により強い遠心力を受けて高い運動量を有している。このため、段落の外周方向に高速で飛行する水滴12の一部が、水滴除去機構10の浸透材11に直接衝突すると、強い衝撃力により浸透材11の表面が壊食されることも想定される。そこで、本実施の形態においては、浸透材11の表面13の軸方向位置を、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9の軸方向位置より、蒸気の流れで下流側に形成した。このことにより、高い運動量を持つ水滴12の一部が、浸透材11の表面に直接衝突することを防止できる。この結果、浸透材11の損傷を防止でき、長期間の安定したシール性能の確保が可能になる。

0045

上述した本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。

0046

また、上述した本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第3の実施の形態によれば、浸透材11の表面13の軸方向位置を、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9の軸方向位置より、蒸気の流れで下流側に形成したので、水滴除去機構10の浸透材11に、高い運動量を持つ水滴12の一部が直接衝突することを防止できる。このことにより、浸透材11の損傷を防止でき、長期間の安定したシール性能の確保が可能になる。

0047

以下、本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第4の実施の形態を図面を用いて説明する。図6は本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第4の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。図6において、図1乃至図5に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。

0048

図6に示す本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第4の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、以下の構成が異なる。本実施の形態においては、シール基板7のハイ部71とロー部72を省略すると共に、シール基板7側にもシールフィン6Bを設けた点が異なっている。

0049

図6に示すように、本実施の形態におけるラビリンスシール装置5は、動翼3Aの先端のカバー3A1の外周面に軸方向に沿って複数個配置された第1シールフィン6Aと、ダイヤフラム外輪4Aの内周面にパッキン部材7Aを介して配置されるシール基板7と、シール基板7の第1シールフィン6Aの先端と対向する面に軸方向に沿って複数個配置された第2シールフィン6Bとを備えている。ここで、第2シールフィン6Bの先端は、動翼3Aの先端のカバー3A1の外周面に対向していて、第1シールフィン6Aの先端と第2シールフィン6Bの先端とは、軸方向に互い違いに対向するように配置されている。

0050

また、第1シールフィン6Aの先端部が対向するシール基板7の部位と、第2シールフィン6Bの先端部が対向するカバー3A1の外周面の部位には、それぞれ快削性材8が設けられている。ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9には、水滴除去機構10が設けられている。

0051

水滴除去機構10は、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9の前面に環状の空間として形成されたスリット部9Aと、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9に、周方向に所定の幅を持ち、軸方向視で輪状に形勢される軸方向の窪み10Aと、窪み10Aの底部に設けた排水孔10Bと、排水孔10Bとシール入側の蒸気圧より圧力の低い低圧室(例えば図1に示す排気室15)とを接続する排水路10Cと、窪み10Aの全体に充填され、表面13に付着した水滴12の水分を内部に吸収する性質を持つ浸透材11とを備えている。なお、本実施の形態においては、浸透材11を窪み10Aの全体に充填し、浸透材11の表面13の軸方向位置を、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9と同じに形成している。

0052

本実施の形態においては、図6に示すように、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9に水滴除去機構10を設けたので、反射した後の運動量の減少した水滴12aを、ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面9の軸方向の窪み10Aに充填された浸透材11の表面13に付着させ、水滴12の水分を浸透材11の内部へ浸透させて吸収することができる。この結果、水滴12aによるシールフィン6への浸食とアブレダブル材8への浸食を抑制できるので、漏れ損失を最小にでき、高い蒸気タービン効率を得ることができる。

0053

上述した本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。

0054

以下、本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第5の実施の形態を図面を用いて説明する。図7は本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第5の実施の形態と周辺部を拡大して示す概略構成図である。図7において、図1乃至図6に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。

0055

図7に示す本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第5の実施の形態は、大略第4の実施の形態と同様の機器で構成されるが、以下の構成が異なる。本実施の形態においては、第1シールフィン6Aの先端部が対向するシール基板7の部位のみに快削性材8を設け、第2シールフィン6Bの先端部が対向するカバー3A1の外周面の部位には快削性材8を設けていない点が異なっている。本実施の形態においても、上述した第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。

0056

上述した本発明の蒸気タービンのシール装置及び蒸気タービン装置の第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。

0057

なお、本実施の形態においては、固定部側であるシール基板7に快削性材8を設け、回転部側であるカバー3A1の外周面の部位に第1シールフィン6Aを設けたが、逆に、固定部側に第1シールフィン6Aのみを設け、回転部側に快削性材8のみを設けても良い。

実施例

0058

なお、本発明は上述した第1乃至第5の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。

0059

1蒸気タービン(蒸気タービン装置)
2ケーシング
3ロータ
3A動翼
3A1カバー
4Aダイヤフラム外輪
4Bダイヤフラム内輪
5ラビリンスシール装置
6シールフィン
6A 第1シールフィン
6B 第2シールフィン
7シール基板
7Aパッキン部材
71ハイ部
72 ロー部
8快削性材
9 ダイヤフラム外輪4Aの蒸気入側面
9Aスリット部
10水滴除去機構
10A 窪み
10B排水孔
10C排水路
11浸透材
12水滴
13 浸透材の表面
14 水滴ガード
15排気室
St 蒸気

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