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技術 酸化チタン固溶体有機溶剤分散液、その製造方法、及びコーティング剤

出願人 信越化学工業株式会社
発明者 増田幸平樋口浩一古舘学井上友博
出願日 2015年4月3日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-076660
公開日 2016年1月28日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2016-014132
状態 特許登録済
技術分野 塗料、除去剤 顔料、カーボンブラック、木材ステイン 重金属無機化合物(I)
主要キーワード マイクロ波周波数帯域 系列遷移 エージング試験後 シリコーンレジン成分 定性ろ紙 酸化ケイ素成分 溶分散 酸化チタン系化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年1月28日)のものです。
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図面 (3)

解決手段

スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤中に分散したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液であって、レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した上記コアシェル型固溶体の体積基準の50%累計分布径(D50)が50nm以下であり、前記スズ成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)で10〜1,000、前記マンガン成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Mn)で10〜1,000であることを特徴とするコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液。

効果

本発明によって得られた酸化チタン微粒子有機溶剤分散液は耐候性に優れている。特に、酸化チタンを樹脂固形分に対して高配合した場合においても撥きや白化等の膜異常を起こすことなく耐候性に優れた被膜を形成することができる。

概要

背景

酸化チタン固溶体有機溶剤分散液は、コーティング剤紫外線吸収剤屈折率付与剤として用いることができる。このようなコーティング剤は高耐候性塗料、屈折率調整塗料等の多様な用途が見込まれ、より安価でより高性能なものが簡便に得られることが望まれている。

特許文献1(特開2014−19611号公報)では、酸化チタン分散液を用いたコーティング剤が開示されている。ここでは、特定の元素を酸化チタンに固溶させ、更に特殊な表面処理方法によってシリカ殻を形成せしめた酸化チタン水分散液が提案されており、同提案の水分散液珪酸エステル類と共加水分解することによって耐候性に優れた塗料ができることが示されている。

特許文献2(特開2012−77267号公報)には、金属チタン直流アークプラズマ法によって気化無機反応性ガスとした後、冷却して無機酸化物微粒子を製造する際に、コバルト又はスズによる異元素ドープを施した微粒子ハードコート剤に添加する方法が開示されている。本手法では、紫外線遮蔽性無機微粒子を製造するのに高温高真空といった極限的な反応環境を要するため、製造工程に多大のエネルギーを費やし産業上不利であった。また、微粒子の均一分散のために分散剤を要する点においても、コーティング組成物硬度密着性の低下の一因となり得るものであった。

概要

スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体を有機溶剤中に分散したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液であって、レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した上記コアシェル型固溶体の体積基準の50%累計分布径(D50)が50nm以下であり、前記スズ成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)で10〜1,000、前記マンガン成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Mn)で10〜1,000であることを特徴とするコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液。本発明によって得られた酸化チタン微粒子有機溶剤分散液は耐候性に優れている。特に、酸化チタンを樹脂固形分に対して高配合した場合においても撥きや白化等の膜異常を起こすことなく耐候性に優れた被膜を形成することができる。なし

目的

このようなコーティング剤は高耐候性塗料、屈折率調整塗料等の多様な用途が見込まれ、より安価でより高性能なものが簡便に得られることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤中に分散したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液であって、レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した上記コアシェル型固溶体の体積基準の50%累計分布径(D50)が50nm以下であり、前記スズ成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)で10〜1,000、前記マンガン成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Mn)で10〜1,000であることを特徴とするコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液。

請求項2

コアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体全体に対する殻の酸化ケイ素の割合が5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液。

請求項3

一般式(1)で表されるケイ素化合物又はその(部分)加水分解縮合物を含有しているコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液であって、コアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体100質量部に対するケイ素化合物又はその(部分)加水分解縮合物の割合が0.1質量部以上50質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液。R1pR2qR3rSi(OR4)4-p-q-r(1)(式中、R1は、水素原子置換又は非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基、又はケイ素数50以下のジオルガノシロキシ基を示し、R2、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示し、pは1〜3の整数、qは0、1又は2、rは0、1又は2で、p+q+rは1〜3の整数である。)

請求項4

(A)スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体の水分散液を準備する工程、(B)前記水分散液に下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加、反応させ、反応混合物を得る工程、R1pR2qR3rSi(OR4)4-p-q-r(1)(式中、R1は、水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基、又はケイ素数50以下のジオルガノシロキシ基を示し、R2、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示し、pは1〜3の整数、qは0、1又は2、rは0、1又は2で、p+q+rは1〜3の整数である。)(C)必要に応じ前記反応液を有機溶剤で希釈する工程、(D)(B)工程後又は(C)工程後の反応液を濃縮して濃厚分散液を得る工程、(E)有機溶剤により溶媒置換する工程を含むことを特徴とするコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液の製造方法。

請求項5

請求項1乃至3のいずれか1項記載のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を含有するコーティング剤

請求項6

シリコーン塗料に上記コアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を含有させた請求項5記載のコーティング剤。

技術分野

0001

本発明は、酸化チタン固溶体有機溶剤分散液に関する。更に詳しくは、スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし酸化ケイ素を殻とするコアシェル正方晶系酸化チタン固溶体の有機溶剤分散液であって、塗料高濃度で配合した場合においても優れた分散性を維持し、塗膜の撥きや白化が見られないことを特徴とする酸化チタン固溶体有機溶剤分散液、その製造方法及びコーティング剤に関する。

背景技術

0002

酸化チタン固溶体有機溶剤分散液は、コーティング剤の紫外線吸収剤屈折率付与剤として用いることができる。このようなコーティング剤は高耐候性塗料、屈折率調整塗料等の多様な用途が見込まれ、より安価でより高性能なものが簡便に得られることが望まれている。

0003

特許文献1(特開2014−19611号公報)では、酸化チタン分散液を用いたコーティング剤が開示されている。ここでは、特定の元素を酸化チタンに固溶させ、更に特殊な表面処理方法によってシリカ殻を形成せしめた酸化チタン水分散液が提案されており、同提案の水分散液珪酸エステル類と共加水分解することによって耐候性に優れた塗料ができることが示されている。

0004

特許文献2(特開2012−77267号公報)には、金属チタン直流アークプラズマ法によって気化無機反応性ガスとした後、冷却して無機酸化物微粒子を製造する際に、コバルト又はスズによる異元素ドープを施した微粒子ハードコート剤に添加する方法が開示されている。本手法では、紫外線遮蔽性無機微粒子を製造するのに高温高真空といった極限的な反応環境を要するため、製造工程に多大のエネルギーを費やし産業上不利であった。また、微粒子の均一分散のために分散剤を要する点においても、コーティング組成物硬度密着性の低下の一因となり得るものであった。

先行技術

0005

特開2014−19611号公報
特開2012−77267号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1(特開2014−19611号公報)で提案されている塗料は耐候性に優れているものの、酸化チタンの水分散液から出発して製造しているため酸化チタンを高濃度に配合するためには煩雑な操作を要した。特に塗料中水分濃度が高くなると、塗膜の撥きや白化等の問題が起こることがある。このような膜物性の低下を避けつつ酸化チタンを高濃度に配合するためには、塗料の樹脂組成に応じた個別論的な対応(シンナー組成の変更、樹脂分子量の変更、硬化触媒の変更、脱水剤の添加、脱水操作等)が必要となり、最適な組成を見出すために過度試行錯誤を要することがあった。特許文献2(特開2012−77267号公報)の酸化チタン微粒子は有機溶剤に分散されているため、酸化チタンを高濃度に配合しても水分濃度が上昇することはない。しかしながら、特許文献2の分散液には分散剤が含まれており、これに由来する膜物性の低下が見られることが問題であった。

0007

従って、本発明が解決すべき課題は、塗料に配合した際に、膜物性(耐擦傷性・撥きが無いこと・透明性・密着性)を悪化させることなく、優れた耐候性を発現させ、更に過度の試行錯誤を要することなく組成物化可能な酸化チタン固溶体有機溶剤分散液、その製造方法及びコーティング剤を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、これら課題を解決するために、鋭意検討した結果、良好な特性を有する酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を知見し、本発明をなすに至った。

0009

即ち、本発明は、下記酸化チタン固溶体有機溶剤分散液、及び該分散液を含有するシリコーンコーティング剤を提供する。
〔1〕
スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体を有機溶剤中に分散したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液であって、レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した上記コアシェル型固溶体の体積基準の50%累計分布径(D50)が50nm以下であり、前記スズ成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)で10〜1,000、前記マンガン成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Mn)で10〜1,000であることを特徴とするコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液。
〔2〕
コアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体全体に対する殻の酸化ケイ素の割合が5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする〔1〕記載のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液。
〔3〕
一般式(1)で表されるケイ素化合物又はその(部分)加水分解縮合物を含有しているコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液であって、コアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体100質量部に対するケイ素化合物又はその(部分)加水分解縮合物の割合が0.1質量部以上50質量部以下であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液。
R1pR2qR3rSi(OR4)4-p-q-r (1)
(式中、R1は、水素原子置換又は非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基、又はケイ素数50以下のジオルガノシロキシ基を示し、R2、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示し、pは1〜3の整数、qは0、1又は2、rは0、1又は2で、p+q+rは1〜3の整数である。)
〔4〕
(A)スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体の水分散液を準備する工程、
(B)前記水分散液に下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加、反応させ、反応混合物を得る工程、
R1pR2qR3rSi(OR4)4-p-q-r (1)
(式中、R1は、水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基、又はケイ素数50以下のジオルガノシロキシ基を示し、R2、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示し、pは1〜3の整数、qは0、1又は2、rは0、1又は2で、p+q+rは1〜3の整数である。)
(C)必要に応じ前記反応液を有機溶剤で希釈する工程、
(D)(B)工程後又は(C)工程後の反応液を濃縮して濃厚分散液を得る工程、
(E)有機溶剤により溶媒置換する工程
を含むことを特徴とするコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液の製造方法。
〔5〕
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を含有するコーティング剤。
〔6〕
シリコーン塗料に上記コアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を含有させた〔5〕記載のコーティング剤。

発明の効果

0010

本発明によれば、塗料に配合した際に、膜物性(耐擦傷性・撥きがないこと・透明性)を悪化させることなく、優れた耐候性を発現させ、更に過度の試行錯誤を要することなく組成物化可能な酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を提供することができる。また、特定の状況においては、水分散液から製造した塗料よりも優れた耐候性を示す塗膜を与えることもできる。

図面の簡単な説明

0011

実施例1において、酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を製造する場合の工程(D),(E)の概要を示す説明図である。
実施例1で得られた酸化チタン固溶体の体積平均50%累計分布径を測定した場合の粒径頻度の関係を示すグラフである。
実施例1で得られた酸化チタン固溶体の核磁気共鳴スペクトルである。

0012

以下に本発明の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を詳細に説明する。

0013

酸化チタン微粒子
本発明で用いる酸化チタン微粒子は、スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタンである。固溶質としてのスズ成分は、スズ塩から誘導されるものであればよく、酸化スズ硫化スズ等のスズカルコゲナイドが挙げられ、酸化スズであることが好ましい。スズ塩としては、フッ化スズ塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ等のスズハロゲン化物シアン化スズ、イソチオシアン化スズ等のスズ擬ハロゲン化物、又は硝酸スズ、硫酸スズ燐酸スズ等のスズ鉱酸塩等や酸化スズを用いることができるが、安定性入手の容易さから塩化スズを用いることが好ましい。また、スズ塩におけるスズは2価から4価の原子価のものから選択できるが、4価のスズを用いることが特に好ましい。固溶質としてのマンガン成分は、マンガン塩から誘導されるものであればよく、酸化マンガン硫化マンガン等のマンガンカルコゲナイドが挙げられ、酸化マンガンであることが好ましい。マンガン塩としては、フッ化マンガン、塩化マンガン臭化マンガンヨウ化マンガン等のマンガンハロゲン化物、シアン化マンガン、イソチオシアン化マンガン等のマンガン擬ハロゲン化物、硝酸マンガン硫酸マンガン、燐酸マンガン等のマンガン鉱酸塩等や酸化マンガンを用いることができるが、安定性と安全性の面から酸化マンガンを用いることが好ましい。また、マンガン塩におけるマンガンは2価から7価の原子価のものから選択できるが、2価のマンガンを用いることが特に好ましい。

0014

スズ及びマンガンを正方晶系酸化チタンに固溶させる場合、スズ成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)で10〜1,000、より好ましくは20〜200であり、マンガン成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Mn)で10〜1,000、より好ましくは20〜200である。スズ成分、マンガン成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)、(Ti/Mn)で10よりも少ないとき、スズ及びマンガンに由来する可視領域の光吸収が顕著となり、一方、1,000を超えると、光触媒活性が充分に失活しないことがあるため好ましくない。

0015

スズ成分及びマンガン成分の固溶様式は、置換型であっても侵入型であってもよい。ここでいう、置換型とは、酸化チタンのチタン(IV)イオンのサイトにスズ及びマンガンが置換されて形成される固溶様式のことであり、侵入型とは、酸化チタンの結晶格子間にスズ及びマンガンが存在することにより形成される固溶様式のことである。侵入型では、着色の原因となるF中心が形成されやすく、また金属イオン周囲の対称性が悪いため金属イオンにおける振電遷移フランクコンド因子も増大し、可視光を吸収し易くなる。そのため、置換型であることが好ましい。

0016

本発明で用いるスズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタンには、必要に応じて更に別種の元素を添加してもよい。添加できる元素は、13族元素、14族元素(炭素を除く)、第1系列遷移元素、第2系列遷移元素、第3系列遷移元素、ランタノイド等の群から選ばれる元素何れか1種以上である。特に、Al、B、In、Si、Ge、Zn、Fe、Y、Ga、Zr、Hf、Ta、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ybの何れか1種以上であることが好ましい。添加される元素は、酸化チタン微粒子と複合化されることが好ましい。ここで述べる複合とは、広義の意味であり、単純混合及び化学結合を介して複合化されたものであればよい。化学結合を介した複合とは、下記一般式(2)で表されるような形態をいう。
(M1Ox)m(M2Oy)n (2)

0017

ここで、M1は、Al、B、In、Si、Ge、Sn、Ti、Mn、Zn、Y、Ga、Zr、Hf、Ta、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Yb、Feの元素記号で表されるいずれか1種である。M2は、Al、B、In、Si、Ge、Sn、Ti、Mn、Zn、YGa、Zr、Hf、Ta、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Yb、Feの元素記号で表されるいずれか1種であり、M1で選択されたものと同一ではない元素である。x、yは、M1の価数をaとすればx=a/2、M2の価数をbとすればy=b/2で表すことができる。m、nは、m+n=1を満たす実数であって、かつ0<m<1及び0<n<1を満たす。即ち、構造中において、M1とM2が酸素を介して結合した単位を有している。M1とM2は、構造中において散在していてもよく、また偏在していてもよい。M1とM2が構造中において散在しているものは、複数種金属アルコキシド共加水分解物において見られる構造である。M1とM2が構造中において偏在しているものは、コアシェル粒子金属酸化物微粒子を核とし、この核の外側に他の金属酸化物の殻を有する粒子)において見られる構造であり、例えば、複数種の金属アルコキシドを種類に応じて段階的に加水分解することで形成される。

0018

本発明の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液は、先に述べたスズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタンを核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を形成したコアシェル型酸化チタン固溶体微粒子を有機溶剤中に分散してなるものであることが好ましい。酸化ケイ素の殻が形成されない場合、光触媒能の顕著な発現や分散性の低下が発生することがある。このようなスズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体全体に対する殻の酸化ケイ素の割合は、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%である。5質量%よりも少ないとき、殻の形成が不十分であり、一方、50質量%を超えると、該粒子の凝集を促進し分散液が不透明である場合がある。

0019

酸化ケイ素の殻は4官能性ケイ素化合物のゾルゲル反応によって形成することが好ましい。このような目的に用いることのできる4官能性ケイ素化合物としては、テトラメトキシシランテトラエトキシシランテトラ(n−プロポキシシラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン等のテトラアルコキシシラン類;及び
これらの(部分)加水分解縮合物であるシリケート及び水ガラス;等を例示することができる。ゾル−ゲル反応では、これらケイ素化合物の加水分解縮合のために適宜触媒を用いて実施することができる。ゾル−ゲル反応の詳細な方法は、以下の製造方法の項目において詳述する。

0020

酸化ケイ素の殻の割合は、4官能性ケイ素化合物の用いる量による量論制御、あるいは反応条件及び触媒の種類による速度論的制御の何れで達成してもよい。完全加水分解縮合させた場合は量論制御となる。殻を構成する酸化ケイ素成分は、反応前後の質量変化、あるいは29Si核磁気共鳴分光法等の常法の分析手段で調べることができる。

0021

また、このコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体のレーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累積分布径(D50)は50nm以下、好ましくは5〜50nm、より好ましくは5〜45nm、更に好ましくは10〜40nmである。

0022

酸化チタン固溶体有機溶剤分散液
本発明の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液は、上記のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体を1〜40質量%、特に5〜30質量%の割合で有機溶剤に分散したものである。本発明における有機溶剤としては、ペンタンヘキサンヘプタンオクタンノナンデカンウンデカンドデカントリデカンテトラデカンペンタデカンヘキサデカンヘプタデカンオクタデカン、ノナデカンイコサンドコサントリイコサン、テトライコサン、ペンタイコサン、ヘキサイコサン、ヘプタイコサン、オクタイコサン、ノナイコサン、トリアコンタンベンゼントルエンo−キシレンm−キシレンp−キシレン、及びこれらを含む混合物である石油エーテルケロシンリグロインヌジョール等の炭素数5以上30以下の炭化水素化合物メタノールエタノール1−プロパノール2−プロパノールシクロペンタノールダイアセトンアルコールエチレングリコールプロピレングリコール、β−チアジグリコールブチレングリコールグリセリン等の単価及び多価アルコール類ジエチルエーテルジプロピルエーテルシクロペンチルメチルエーテルエチレングリコールジメチルエーテルジエチレングリコールジメチルエーテルトリエチレングリコールジメチルエーテルエチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノプロピルエーテルエチレングリコールモノブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピレングリコールモノエチルエーテルプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノプロピルエーテル、ブチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類蟻酸メチル蟻酸エチル蟻酸プロピル蟻酸ブチル酢酸メチル酢酸エチル酢酸プロピル酢酸ブチルプロピオン酸メチルプロピオン酸エチルプロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル酪酸メチル酪酸エチル酪酸プロピル、酪酸ブチル安息香酸メチル安息香酸エチル安息香酸プロピル、安息香酸ブチル蓚酸ジメチル蓚酸ジエチル、蓚酸ジプロピル、蓚酸ジブチルマロン酸ジメチルマロン酸ジエチルマロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、エチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールジアセテートエチレングリコールジプロピオネートエチレングリコールジブチレートプロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールジブレート、エチレングリコールメチルエーテルアセテートプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類アセトン、ダイアセトンアルコール、ジエチルケトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンメチルノルマルブチルケトンジブチルケトン、シクロペンタノンシクロヘキサノンシクロヘプタノン、シクロオクタノン等のケトン類ジメチルホルムアミドジメチルアセトアミド、テトラアセチルエチレンジアミド、テトラアセチルヘキサメチレンテトラミド、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミンジアセテート等のアミド類;をそれぞれ挙げることができる。特に、メタノール、エタノール、1−プロパノール(IPA)、ブタノール、ダイアセトンアルコール(DAA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートPGMAc)からなる群から選ばれる有機溶剤の何れか1種以上を含有することが好ましい。

0023

本発明の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液には、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物及び該化合物の(部分)加水分解縮合物を含有していることが好ましい。有機ケイ素化合物及び該化合物の(部分)加水分解縮合物は、コアシェル型酸化チタン固溶体微粒子100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.2〜40質量部、更に好ましくは0.5〜30質量部の割合で添加乃至反応による複合化で含有せしめる。有機ケイ素成分は、反応前後の質量変化、あるいは29Si核磁気共鳴分光法等の常法の分析手段で調べることができる。特に、液体29Si核磁気共鳴分光法は、先に述べた殻を形成する酸化ケイ素成分も同時に定性定量ができるため好ましい。
R1pR2qR3rSi(OR4)4-p-q-r (1)
(式中、R1は、水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基で、複数の置換基同士が相互に結合していてもよく、又はケイ素数50以下のジオルガノシロキシ基であり、特に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基;炭素数2〜20のアルケニル基;炭素数6〜20のアリール基;(メタアクリル基、(メタ)アクリロキシ基エポキシ基ハロゲン原子メルカプト基アミノ基、アミノアルキルアミノ基又はイソシアネート基で置換された炭素数1〜20のアルキル基;複数のイソシアネート基置換炭化水素基のイソシアネート基同士が結合したイソシアヌレート基;又はケイ素数50以下の(ポリジメチルシロキシ基であり、R2、R3、R4はそれぞれ独立に炭素数6以下のアルキル基である。pは1以上3以下の整数、qは0以上2以下の整数、rは0以上2以下の整数、p+q+rは1以上3以下の整数である。)

0024

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=r=0の場合では、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシランメチルトリメトキシシランメチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシランエチルトリメトキシシランエチルトリエトキシシランエチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシランプロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシランビニルトリメトキシシランアリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート基同士が結合したトリス(3−トリメトキシシリルプロピルイソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物商品名「KC−89S」、「X−40−9220」信越化学工業(株)製)、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「X−41−1056」信越化学工業(株)製)などを挙げることができる。

0025

一般式(1)で示されるシラン化合物として、p=1、q=r=0の場合で、R1がポリジメチルシロキサンである具体例として、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。一般式(3)中において好ましくはn=0以上50以下の整数であり、より好ましくはn=5以上40以下の整数であり、更に好ましくはn=10以上30以下の整数である。nが50より大きくなると、シリコーンオイルとしての性質が強くなり、表面処理されたオルガノゾルの各種樹脂への溶解性が限定されることがある。一般式(3)中において、平均構造がn=30の化合物は、商品名「X−24−9822」(信越化学工業(株)製)として入手することができる。なお、式中Meはメチル基である。

0026

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=1、r=0の場合では、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランメチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。

0027

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=1、r=1の場合では、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラントリエチルメトキシシラン、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシシラン、iso−プロピルジメチルメトキシシラン、iso−プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシランn−ブチルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルエトキシシラン、n−ペンチルジメチルメトキシシラン、n−ペンチルジメチルエトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシランなどを挙げることができる。

0028

本発明の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液は、29Si核磁気共鳴において、−40〜−70ppm及び−80〜−130ppmの双方の領域に検出されることがより好ましい。核磁気共鳴分光法は、固体及び液体のいずれにおいて実施してもよいが、固体核磁気共鳴分光法では測定試料の前処理として乾固する必要があり、必ずしも試料中でのケイ素結合状態を反映したものであるとは限らない。従って、液体状態の核磁気共鳴分光法によって確認することが好ましい。液体29Si核磁気共鳴分光法では、試料管及びプローブにケイ素を含有しない素材を用いて測定することが好ましい。ケイ素を含有しない核磁気共鳴分光法に使用可能な素材としてポリテトラフルオロエチレンテフロン登録商標))を例示することができる。液体29Si核磁気共鳴分光法では、測定時間の短縮のために適切な緩和剤を用いることができる。緩和剤としては公知の試薬等(例えば、Organometallics誌、2008年、27巻、4号、500−502頁及びreferences therein)が利用できる。特に、トリス(アセチルアセトナトクロム(III)錯体は水及び有機溶媒への溶解性にも優れており、酸化チタンの凝集を起こさしめることもないので優れている。例えば、トリス(アセチルアセトナト)クロム(III)をヘキサデューテリオアセトン(アセトン−d6)に1mol・dm-3程度の濃度で溶解した溶液を緩和剤として数滴使用することによって、緩和効果重水素ロック効果の双方が得られるため好ましい。また、酸化チタンの表面の状態は組成物化後に同様の核磁気共鳴スペクトルを測定することによって調べることもできる。

0029

29Si核磁気共鳴分光法での測定では、ケイ素化合物の官能数の縮合状態の変化を調べることができる。官能数は、3官能のT単位及び4官能のQ単位を区別することができる。即ち、T単位は一般式(1)で表される有機ケイ素化合物に由来する成分のひとつであり、Q単位はコアシェル型酸化チタン微粒子のシェルを形成する酸化ケイ素成分に由来して検出される。縮合状態の変化は、下記に示す(T0)〜(T3)及び(Q0)〜(Q4)の割合を調べることによって達成することができる。縮合度はそれぞれ独立にT3>T2>T1>T0及びQ4>Q3>Q2>Q1>Q0の順であり、検出磁場はQ4>Q3>Q2>Q1>Q0>T3>T2>T1>T0の順で高磁場側となることが多い。官能数及び縮合状態の割合はシグナル強度から見積もることができる。この際に、29Si核は、負の磁気回転比(γB)を有しているために、核オーバーハウザー効果が逆となり、共鳴核の周囲に存在する核磁気緩和を抑制する。従って、負の核オーバーハウザー効果が顕著とならないような測定条件であることが好ましい。パルスフーリエ変換核磁気共鳴の場合では、適切なパルスシークエンスを用いることによってこの問題を解決できる。例えば、オフレゾナンス型のパルスシークエンスを用いることが好ましい。

0030

(式中、R1は上記の通り、Xは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)

0031

(式中、Xは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)

0032

共鳴磁場表記テトラメチルシランの29Si核の共鳴を基準とした際の共鳴磁場との差異百万分率(ppm)で表したものとして表現することができる。この表記に従った場合、T0は−40〜−46ppm、好ましくは−42〜−45ppm、T1は−46〜−54ppm、好ましくは−48〜−52ppm、T2は−54〜−60ppm、好ましくは−56〜−58ppm、T3は−60〜−70ppm、好ましくは−62〜−68ppmの範囲に検出できることが多い。Q0は−80〜−90ppm、好ましくは−85〜−90ppm、Q1は−90〜−110ppm、好ましくは−95〜−105ppm、Q2は−100〜−115ppm、Q3は−100〜−115ppm、好ましくは−105〜−115ppm、Q4は−110〜−130ppm、好ましくは−110〜−120ppm、TとQ及び縮合状態の区別は、1H核と29Si核のスピン結合の状態を調べることによって達成することが好ましい。表記上の負の値は、共鳴磁場が基準線よりも高磁場側に差異があることを示している。共鳴線の幅は測定に用いる核磁気共鳴装置の磁場の強さに依存しており、上記の好ましい共鳴線の範囲は一例として11.75T(テスラ)の磁場を印加した場合の値である。核磁気共鳴装置に用いることのできる磁場は5T以上20T以下、好ましくは8T以上15T以下、更に好ましくは10T以上13T以下である。磁場が5T未満である場合は、S/N比が小さくなることによって測定が難しくなる場合があり、磁場が20Tを超える場合は共鳴装置が大掛かりなものとなって測定が難しくなる場合がある。磁場の強さと共鳴線の幅及びシグナル強度は、当業者であれば当然にここに記した情報から類推することができる。

0033

本発明におけるコアシェル型酸化チタン固溶体微粒子有機溶剤分散液の固形分濃度は、先に述べた一般式(1)で表される有機ケイ素化合物由来の成分も含めて、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上25質量%以下、更に好ましくは3質量%以上20質量%以下である。固形分濃度が0.1質量%未満であると塗料添加時に有効成分に達するまでに多量の分散液を要することがあり好ましくない、また30質量%より多いとゲル化して流動性を失う場合がある。固形分濃度が1質量%前後の希薄な分散液は塗料樹脂希釈剤(シンナー)として利用することができる。固形分濃度が20質量%程度の濃厚な分散液(仮に、A剤とする)は、既存の塗料(仮に、B剤とする)に対して必要量添加することによって、A剤/B剤混合型の2液型塗料として利用することができる。シンナーとしての利用、あるいは2液型塗料としての利用、の何れで利用するかは状況に応じて適宜選択すればよい。例えば、酸化チタン微粒子成分が塗料のシェルフライフに悪影響を与えるような場合は、2液型で用いることが好ましい。従来の水分散液から調製した塗料では、このような2液型としての利用は困難であった。このように本発明の有機溶剤分散液は塗料の利用方法選択肢を広げる意味も有する。

0034

酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を含有するコーティング剤
本発明におけるコアシェル型酸化チタン固溶体微粒子有機溶剤分散液(A剤とする)は塗料添加剤として用いることができる。塗料(B剤とする)としては、シリコーン塗料、アクリルシリコーン塗料、アクリル塗料メラミン塗料、ウレタン塗料アクリルウレタン塗料エポキシ塗料パラフィン塗料、アルキッド塗料等を例示することができる。シリコーン系塗料への適用は相溶分散性に優れているため特に好ましい。A剤のB剤への添加の割合は、それぞれの固形分比(A剤の固形分質量/B剤の固形分質量)で、好ましくは1質量%以上70質量%以下、より好ましくは4質量%以上60質量%以下、更に好ましくは6質量%以上50質量%以下である。添加量の割合が1質量%未満であると、添加の効果が十分でない場合がある。添加量の割合が70質量%を超えると他の膜物性に影響を与える場合がある。添加量の割合が1〜20質量%程度の場合は耐候性塗料として、20〜70質量%程度の場合は高屈折率塗料(メガネレンズ用等)としての用途が考えられる。添加量は目的に応じて適宜調整することができる。本発明における固形分とは、溶剤等の揮発成分を除去した後に残る成分のことをいう。固形分は、試料(A剤又はB剤)を強制乾固した際の質量変化から求めることができる。以下に、本発明に用いることができるB剤の一例として、シリコーン塗料の詳述を行う。

0035

シリコーン塗料
シリコーンコーティング塗料は、(I)特定のアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種を(共)加水分解・縮合することにより得られるシリコーンレジン、(II)硬化触媒、(III)溶剤、及び(IV)コロイダルシリカを含有するものである。

0036

・(I)成分
(I)成分は、下記一般式(4):
(R01)m(R02)nSi(OR03)4-m-n (4)
(式中、R01及びR02は、各々独立に、水素原子、又は置換若しくは非置換の一価炭化水素基であり、置換基同士が相互に結合していてもよく、R03は、炭素数1〜3のアルキル基であり、m,nは、各々独立に、0又は1であり、且つm+nは、0,1又は2である。)
又は下記一般式(5):
Y[Si(R04)m(R05)n(OR06)3-m-n]2 (5)
(式中、Yは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基、炭素数1〜10のジ(エチレン)パーフルオロアルキレン基、フェニレン基、又はビフェニレン基からなる群から選ばれる2価の有機基であり、R04及びR05は、各々独立に、水素原子、又は置換若しくは非置換の一価炭化水素基であり、置換基同士が相互に結合していてもよく、R06は、炭素数1〜3のアルキル基であり、m,nは、各々独立に、0又は1であり、且つm+nは、0,1又は2である。)
で表されるアルコキシシラン及びその1種又は2種以上の部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種を(共)加水分解・縮合することにより得られるシリコーンレジンである。

0037

上記式(4)中、R01及びR02は、水素原子又は置換若しくは非置換の好ましくは炭素数1〜12、特に1〜8の一価炭化水素基であり、例えば、水素原子;メチル基、エチル基プロピル基、ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基ビニル基アリル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3’,3’’−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−イソシアネートプロピル基等の(メタ)アクリロキシ、エポキシメルカプト、アミノ、アミノアルキルアミノ、イソシアネート基置換炭化水素基などを例示することができる。また、複数のイソシアネート基置換炭化水素基のイソシアネート基同士が結合したイソシアヌレート基も例示することができる。これらの中でも、特に耐擦傷性や耐候性が要求される用途に使用する場合にはアルキル基が好ましく、靭性染色性が要求される場合にはエポキシ、(メタ)アクリロキシ、イソシアヌレート置換炭化水素基が好ましい。

0038

また、R03は、炭素数1〜3のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を例示することができる。これらの中でも、加水分解縮合の反応性が高いこと、及び生成するアルコールR03OHの蒸気圧が高く、留去のし易さなどを考慮すると、メチル基、エチル基が好ましい。

0039

上記式(4)の例として、m=0、n=0の場合、一般式:Si(OR03)4で表されるテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物(a−1)である。
このようなテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「Mシリケート51」多摩化学工業(株)製、商品名「MSI51」コルコート(株)製、商品名「MS51」/「MS56」三菱化学(株)製)、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「シリケート35」、「シリケート45」多摩化学工業(株)製、商品名「ESI40」/「ESI48」コルコート(株)製)、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランとの共部分加水分解縮合物(商品名「FR−3」多摩化学工業(株)製、商品名「EMSi48」コルコート(株)製)などを挙げることができる。

0040

上記式(4)の例として、m=1、n=0又はm=0、n=1の場合、一般式:R01Si(OR03)3又はR02Si(OR03)3で表されるトリアルコキシシラン若しくはその部分加水分解縮合物(a−2)である。
このようなトリアルコキシシラン若しくはその部分加水分解縮合物の具体例としては、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート基同士が結合したトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「KC−89S」、「X−40−9220」信越化学工業(株)製)、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「X−41−1056」信越化学工業(株)製)などを挙げることができる。

0041

上記式(4)の例として、m=1、n=1の場合、一般式:(R01)(R02)Si(OR03)2で表されるジアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物(a−3)である。
このようなジアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。

0042

上記式(5)中、R04及びR05は、水素原子又は置換若しくは非置換の好ましくは炭素数1〜12、特に1〜8の一価炭化水素基であり、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3’,3’’−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−イソシアネートプロピル基等の(メタ)アクリロキシ、エポキシ、メルカプト、アミノ、イソシアネート基置換炭化水素基などを例示することができる。また、複数のイソシアネート基置換炭化水素基のイソシアネート基同士が結合したイソシアヌレート基も例示することができる。これらの中でも、特に耐擦傷性や耐候性が要求される用途に使用する場合にはアルキル基が好ましく、靭性や染色性が要求される場合にはエポキシ、(メタ)アクリロキシ、イソシアヌレート置換炭化水素基が好ましい。

0043

また、R06は、炭素数1〜3のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を例示することができる。これらの中でも、加水分解縮合の反応性が高いこと、及び生成するアルコールR06OHの蒸気圧が高く、留去のし易さなどを考慮すると、メチル基、エチル基が好ましい。

0044

上記式(5)の例として、m=0、n=0の場合、一般式:Y[Si(OR06)3]2で表されるω−ビストリアルコキシシリルアルカン、ω−ビス(トリアルコキシシリル)パーフルオロアルカン、ω−ビス(トリアルコキシシリル)パーシャルフルオロアルカン、o−、m−、又はp−ビス(トリアルコキシシリル)ベンゼン、ビス(トリアルコキシシリル)ビフェニルもしくはそれらの部分加水分解縮合物(a−4)である。

0045

また、Yは、好ましくは部分的にフッ素で置換されたアルキレン基であり、合成上の観点からはω−ジエチレン(パーフルオロアルキレン)が入手容易である。このようなものの具体例としては、Yがω−ビスエチレン[テトラキスジフルオロメチレン)]でR06がメチル基であるものが挙げられる。

0046

(I)成分のシリコーンレジンは、前記(a−1)、(a−2)、(a−3)及び(a−4)の1種単独又は2種以上を任意の割合で使用して調製すればよいが、保存安定性、耐擦傷性、耐クラック性を向上させるには、(a−1)、(a−2)、(a−3)、(a−4)の合計100Siモル%に対して、(a−1)を0〜50Siモル%、(a−2)を50〜100Siモル%、(a−3)を0〜10Siモル%の割合で使用することが好ましく、更には(a−1)を0〜30Siモル%、(a−2)を70〜100Siモル%、(a−3)を0〜10Siモル%、(a−4)を0〜5Siモル%の割合で使用することが好ましい。この際、主成分となる(a−2)が50Siモル%未満では、樹脂の架橋密度が小さくなるために硬化性が低く、また硬化膜の硬度が低くなる傾向がある。一方、(a−1)が50Siモル%より過剰に用いられると、樹脂の架橋密度が高くなりすぎ、靭性が低下してクラックを回避しにくくなる場合がある。また、(a−4)を5Siモル%以下の少量用いることで、水接触角の制御、耐擦傷性の付与、鉛筆硬度の向上など表面特性を変化させることもできる。

0047

なお、Siモル%は全Siモル中の割合であり、Siモルとは、モノマーであればその分子量が1モルであり、2量体であればその平均分子量を2で割った数が1モルである。

0048

(I)成分のシリコーンレジンを製造するに際しては、(a−1)、(a−2)、(a−3)、(a−4)の1種単独又は2種以上を公知の方法で(共)加水分解・縮合させればよい。例えば、(a−1)、(a−2)、(a−3)、(a−4)のアルコキシシラン若しくはその部分加水分解縮合物の単独又は混合物を、pHが1〜7.5、好ましくは2〜7の水で(共)加水分解させる。この際、水中にシリカゾル等の金属酸化物微粒子が分散されたものを使用してもよい。このpH領域に調整するため及び加水分解を促進するために、フッ化水素塩酸、硝酸、ギ酸酢酸、プロピオン酸、シュウ酸クエン酸マレイン酸、安息香酸、マロン酸グルタール酸グリコール酸メタンスルホン酸トルエンスルホン酸等の有機酸及び無機酸、若しくは表面にカルボン酸基スルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂等の固体酸触媒、あるいは酸性水分散シリカゾル等の水分散金属酸化物微粒子を触媒に用いてもよい。また、加水分解時にシリカゾル等の金属酸化物微粒子を水若しくは有機溶剤中に分散させたものを共存させてもよい。

0049

この加水分解において、水の使用量は(a−1)、(a−2)、(a−3)及び(a−4)のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物の合計100質量部に対して水20〜3,000質量部の範囲であればよいが、過剰の水の使用は、装置効率の低下ばかりでなく、最終的な組成物とした場合、残存する水の影響による塗工性、乾燥性の低下をも引き起こすおそれがある。更に保存安定性、耐擦傷性、耐クラック性を向上させるためには、50質量部以上150質量部以下とすることが好ましい。水が少ないと、得られるシリコーンレジンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量が後述する最適領域にまで大きくならないことがあり、多すぎると、得られるシリコーンレジンに含まれる原料(a−2)に由来する単位式:R’SiO(3-p)/2(OX)p[但し、R’はR01又はR02であり、Xは水素原子又はR03であり、R01、R02、R03は前記と同じであり、pは0〜3の整数である。]で表される単位中のR’SiO3/2[但し、R’は前記と同じ]で表される単位が、塗膜の耐クラック性を維持するための最適範囲にまで達しないことがある。

0050

加水分解は、アルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物中に、水を滴下又は投入したり、逆に水中にアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物を、滴下又は投入したりしてもよい。この場合、有機溶剤を含有してもよいが、有機溶剤を含有しない方が好ましい。これは有機溶剤を含有するほど、得られるシリコーンレジンのGPC分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量が小さくなる傾向があるためである。

0051

(I)成分のシリコーンレジンを得るには、前記の加水分解に続いて、縮合させることが必要である。縮合は、加水分解に続いて連続的に行えばよく、通常、液温常温又は100℃以下の加熱下で行われる。100℃より高い温度ではゲル化する場合がある。更に80℃以上、常圧又は減圧下にて、加水分解で生成したアルコールを留去することにより、縮合を促進させることができる。更に、縮合を促進させる目的で、塩基性化合物酸性化合物金属キレート化合物等の縮合触媒を添加してもよい。縮合工程の前又は最中に、縮合の進行度及び濃度を調整する目的で有機溶剤を添加してもよく、またシリカゾル等の金属酸化物微粒子を水もしくは有機溶剤中に分散させたものや、本発明のA剤成分(酸化チタン固溶体有機溶剤分散液)を添加してもよい。一般的にシリコーンレジンは縮合が進行すると共に、高分子量化し、水や生成アルコールへの溶解性が低下していくため、添加する有機溶剤としては、シリコーンレジンをよく溶解し、沸点が80℃以上の比較的極性の高い有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤の具体例としてはイソプロピルアルコールn−ブタノールイソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルアニソールジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができる。この場合、有機溶剤の配合量は、シリコーンレジンを溶解するのに十分な量であれば良いが、シリコーンレジンの固形分に対して100質量%から1,000質量%の範囲となることが多い。この際に、有機溶剤の配合量が100質量%未満であると、低温保存時に相分離する可能性があるので品質上好ましくなく、また1,000質量%を超えると、塗料組成物中における有効成分であるレジン濃度が薄くなり、良好な被膜が形成しにくくなるため好ましくない。

0052

この縮合により得られたシリコーンレジンのGPC分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量は、1,500以上であることが好ましく、1,500〜50,000であることがより好ましく、2,000〜20,000であることが更に好ましい。分子量がこの範囲より低いと、塗膜の靱性が低く、クラックが発生しやすくなる傾向があり、一方、分子量が高すぎると、硬度が低くなる傾向があり、また塗膜中の樹脂が相分離するために塗膜白化を引き起こす場合がある。
尚、上記アルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を(共)加水分解縮合して(I)成分のシリコーンレジンを得る際に、上記A剤成分の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液をアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物に加えて(共)加水分解縮合してもよく、また、後述する(IV)成分のコロイダルシリカを用いる場合、このコロイダルシリカを(共)加水分解縮合系に添加してもよい。

0053

縮合後、必要により濃縮したり、溶媒置換することができる。この場合、濃縮は蒸留逆浸透凍結乾燥真空乾燥など既存のどのような技術を用いてもよい。

0054

溶媒置換は、他の溶媒を添加後に共沸留去、逆浸透、限外ろ過などを行って達成すればよく、他の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ステアリルアルコールオレイルアルコールラウリルアルコール等のアルコール類、トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類n−ヘキサン等の飽和炭化水素類など、及びそれらの混合物を例示することができる。

0055

更に、上記シリコーンレジンのpHを3〜7に調整することができる。pH調整剤は、既存のどのような酸・塩基性化合物を用いてもよく、例えば、フッ化水素、塩酸、硝酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、安息香酸、マロン酸、グルタール酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸及び無機酸を用いることができる。

0056

・(II)成分
(II)成分は、(I)成分のシリコーンレジン中に含まれる、シラノール基アルコキシ基等の縮合可能な基が縮合する反応を促進する硬化触媒であり、例えば、水酸化リチウム水酸化ナトリウム水酸化カリウムナトリウムメチラートプロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム酢酸ナトリウム酢酸カリウムギ酸ナトリウムギ酸カリウム、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイドテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムアセテート、n−ヘキシルアミントリブチルアミンジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジシアンジアミド等の塩基性化合物類テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンアセチルアセトナートアルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート鉄アセチルアセトナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズオクチレート、ジブチルスズラウレート等の含金属化合物類;p−トルエンスルホン酸トリクロル酢酸等の酸性化合物類などが挙げられる。この中で特にプロピオン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。

0057

更に、硬化性、耐クラック性に加え、コーティング組成物の保存安定性を維持するために、より適した硬化触媒として、以下のものが使用可能である。
下記一般式(6):
〔(R07)(R08)(R09)(R10)M〕+・X- (6)
(式中、R07,R08,R09,R10は、各々独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基であって、R07,R08,R09,R10における各々のTaft−Duboisの置換基立体効果定数Esの合計が−0.5以下であり、Mは、アンモニウムカチオン又はホスホニウムカチオンであり、X-は、ハロゲンアニオンヒドロキシドアニオン、又は炭素数1〜4のカルボキシレートアニオンである。)
で表される分子中に芳香族基を含まない化合物である。

0058

ここで、Taft−Duboisの置換基立体効果定数Esとは、置換カルボン酸の酸性下エステル化反応速度におけるメチル基CH3を基準にした相対速度であり、下記式で表される(J.Org.Chem.45,1164(1980)、J.Org.Chem.64,7707(1999)参照)。
Es=log(k/k0)
(式中、kは、特定条件下での置換カルボン酸の酸性下エステル化反応速度であり、k0は、同一条件下でのメチル基置換カルボン酸の酸性下エステル化反応速度である。)

0059

このTaft−Duboisの置換基立体効果定数Esは、置換基の立体的嵩高さを表す一般的な指標であり、例えば、メチル基:0.00、エチル基:−0.08、n−プロピル基:−0.31、n−ブチル基:−0.31となっており、Esが小さいほど立体的に嵩高いことを示している。

0060

本発明においては、式(6)中のR07,R08,R09,R10におけるEsの合計が−0.5以下であることが好ましい。Esの合計が−0.5より大きいと、コーティング組成物としての保存安定性が低下したり、塗膜化した際や耐水試験後にクラックや白化が発生したり、密着性、特に耐水密着性煮沸密着性が低下するおそれがある。これはEsの合計が−0.5より大きい場合(例えばR07,R08,R09,R10がメチル基)、相当する式(6)で表される硬化触媒は触媒活性が強くなるものの、コーティング組成物の保存安定性は低下する傾向があり、またその塗膜は非常に吸湿し易くなり、耐水試験後の塗膜異常を引き起こす場合がある。尚、R07,R08,R09,R10におけるEsの合計は、通常、−3.2以上、特に−2.8以上であることが好ましい。

0061

上記式(6)中、R07,R08,R09,R10のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基などが挙げられる。

0062

また、Mはアンモニウムカチオン又はホスホニウムカチオンであり、X-はハロゲンアニオン、ヒドロキシドアニオン又は炭素数1〜4のカルボキシレートアニオンであり、ヒドロキシドアニオン又はアセテートアニオンであることが好ましい。

0063

このような硬化触媒の具体例としては、例えば、テトラn−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラキス(トリフロロメチル)アンモニウムヒドロキシド、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(トリフロロメチル)アンモニウムヒドロキシド、トリメチルt−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−プロピルホスホニウムヒドロキシド、テトラn−ブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラn−ペンチルホスホニウムヒドロキシド、テトラn−ヘキシルホスホニウムヒドロキシド、テトラシクロヘキシルホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(トリフロロメチル)ホスホニウムヒドロキシド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムヒドロキシド、トリメチル(トリフロロメチル)ホスホニウムヒドロキシド、トリメチルt−ブチルホスホニウムヒドロキシド等のヒドロキシド類、これらヒドロキシド類とハロゲン酸との塩、及び炭素数1〜4のカルボン酸との塩を挙げることができる。これらの中でも、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドテトラブチルアンモニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセテートが好ましい。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよく、更には前述の公知の硬化触媒と併用してもよい。

0064

(II)成分の配合量は、(I)成分のシリコーンレジンを硬化させるのに有効な量であればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、シリコーンレジンの固形分に対し、0.0001〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%である。0.0001質量%未満であると硬化が不十分となり、硬度が低下する場合があり、30質量%より多いと塗膜にクラックが発生しやすくなる場合や、耐水性が低下する場合がある。

0065

・(III)成分
(III)成分は、溶剤であり、上記(I)〜(II)成分を溶解する又は分散するものであれば特に限定されるものではないが、極性の高い有機溶剤が主溶剤であることが好ましい。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種若しくは2種以上の混合物を使用することができる。

0066

(III)成分の添加量としては、本発明のシリコーンコーティング組成物の固形分濃度を1〜30質量%、特に5〜25質量%とする量を用いることが好ましい。この範囲外では該組成物を塗布、硬化した塗膜に不具合が生じることがある。例えば、上記範囲未満の濃度では、塗膜にタレヨリ、マダラが発生し易くなり、所望の硬度、耐擦傷性が得られない場合があり、一方、上記範囲を超える濃度では、塗膜のブラッシング、白化、クラックが生じ易くなるおそれがある。

0067

・(IV)成分
(IV)成分は、コロイダルシリカであり、塗膜の硬度、耐擦傷性を特に高めたい場合、適量添加することができる。粒子径5〜50nm程度のナノサイズのシリカが水や有機溶剤の媒体コロイド分散している形態であり、市販されている水分散、有機分散タイプが使用可能である。具体的には、日産化学工業(株)製スノーテックス−O、OS、OL、メタノールシリカゾルなどが挙げられる。コロイダルシリカの添加量は、(I)成分のシリコーンレジン固形分100質量部に対し、0〜100質量部、好ましくは5〜100質量部、特に5〜50質量部がよい。

0068

本発明のシリコーン塗料は、上記各成分(I)〜(IV)及び必要により他の成分を常法に準じて混合することにより得ることができる。

0069

本発明のシリコーン塗料の更なる保存安定性を得るために、液のpHを、好ましくは2〜7、より好ましくは3〜6にするとよい。pHがこの範囲外であると、貯蔵性が低下することがあるため、pH調整剤を添加し、上記範囲に調整することもできる。シリコーンコーティング組成物のpHが上記範囲外にあるときは、この範囲より酸性側であれば、アンモニアエチレンジアミン等の塩基性物質を添加してpHを調整すればよく、塩基性側であれば、塩酸、硝酸、酢酸、クエン酸等の酸性物質を用いてpHを調整すればよい。しかし、その調整方法は特に限定されるものではない。

0070

・その他の成分
本発明の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液を含有するコーティング剤には、必要に応じて、pH調整剤、レベリング剤増粘剤顔料染料、金属酸化物微粒子、金属粉酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤熱線反射・吸収性付与剤可撓性付与剤帯電防止剤防汚性付与剤、撥水性付与剤などを本発明の目的や効果に悪影響を与えない範囲内で添加することができる。

0071

酸化チタン固溶体有機溶剤分散液の製造方法
本発明の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液はその製造方法に限定のあるものではない。公知の手法を組み合わせて製造することができるが、例えば、以下の(A)〜(E)を含む工程を経て製造することができる。

0072

酸化チタン固溶体有機溶剤分散液の製造方法は、
スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体の水分散液を準備する工程(A)、
前記水分散液をケイ素化合物と反応し反応混合液を得る工程(B)、
前記反応で生じた反応混合液を必要に応じて有機溶剤で希釈し希釈分散液を得る工程(C)、
必要に応じて前記希釈分散液又は前記反応混合液の何れか1種を濃縮し濃厚分散液を得る工程(D)、
前記濃厚分散液又は前記希釈分散液又は前記反応混合液の何れか1種を有機溶剤で溶媒置換する工程(E)
のそれぞれの工程を含むことが好ましい。

0073

工程(A)
本発明における、工程(A)において準備する上記酸化チタン固溶体の水分散液は、好ましくは5〜50nmの平均累計粒子径を有する無機酸化物粒子が水等の液体分散媒中に凝集せずに分散しているものである。

0074

本発明における、工程(A)において準備する上記酸化チタン固溶体の水分散液は、種々の方法で測定できる。本発明での粒径の範囲は、レーザー光を用いた動的光散乱法で測定したものの体積基準の50%累積分布径(D50)として議論するが、傍証として電子顕微鏡法を用いて観測することも可能である。これらの測定法によって求められる値は、測定装置に依存したものではないが、例えば、動的光散乱法としては、ナノトラックUPA−EX150(日機装(株)製)等の装置を用いることができる。また、電子顕微鏡法としては透過型電子顕微鏡H−9500(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を装置として例示することができる。例えば、コロイド溶液コーティング塗料に添加する場合は、可視領域における透明性が重要であるため、分散質の平均累計粒子径は、5〜50nmが好ましく、5〜45nmであることがより好ましく、10〜40nmであることが更に好ましく、12〜30nmであることが特に好ましい。分散質の平均累計粒子径が50nmを超えると、可視領域の光波長より大きくなり、散乱が顕著となる場合がある。また、5nm未満になると、分散質の系中での総表面積が極めて大きくなることにより、コロイド溶液としての取扱いが困難になる場合がある。

0075

コロイド溶液のゼータ電位ζ)は、電気二重層を有する固−液界面に電場を印加した際に、分散質粒子泳動現象が見られるが、この泳動現象の電気泳動移動度に比例する値として認識される。ゼータ電位は種々の方法で測定できるが、このような値を測定する装置として、例えば、ELS−3000(大塚電子(株)製)を挙げることができる。本発明のようなコロイド分散媒が有機溶剤であるものについては、有機溶剤の誘電率に多様な範囲がある。ゼータ電位は、誘電率にも依存する関数であるため、このような場合は誘電率の測定を行えばよい。誘電率の測定装置としては、Model−871(日本ルフト(株)製)を例示することができる。ゼータ電位は、mVの単位で、−200<ζ<200の範囲に収まることが多い。ゼータ電位は、その絶対値が大きいほどコロイド溶液の分散系が安定していることを示している。従って、ゼータ電位の絶対値(|ζ|)は、3mV以上であることが好ましく、10mV以上であることがより好ましく、20mV以上であることが更に好ましい。ゼータ電位の絶対値(|ζ|)が3mV未満であると、コロイド溶液の分散質の分散安定性が十分ではない場合がある。ゼータ電位の絶対値(|ζ|)の上限は特に定めないが、通常は物理限界を有している(200mV程度)。

0076

本発明の工程(A)で準備するコロイド溶液は、水を分散媒とすることを特徴とする。水としては、水道水工業用水井戸水天然水、雨水、蒸留水イオン交換水等の淡水を用いることができるが、特にイオン交換水であることが好ましい。イオン交換水は、純水製造器(例えば、オルガノ株式会社製、製品名「FW−10」、メルクミリポア株式会社製、製品名「Direct−QUV3」等)を用いて製造することができる。また、分散媒には、以下に述べるように水分散コロイド溶液を製造する工程で水と任意に混和可能な1価のアルコールを含んでいてもよい。

0077

本発明の工程(A)で準備するコロイド溶液の濃度は、好ましくは1質量%以上35質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは10質量%以上25質量%以下である。コロイド溶液の濃度が1質量%より低いと、製造効率が良くないことがあり、好ましくない。コロイド溶液の濃度が35質量%より高いと、pHや温度等の条件によっては、ゲル化しやすくなることがあるため好ましくない。ここでいう濃度とは、コロイド溶液全体(分散質及び分散媒の質量の総和)中に含まれる分散質の質量の割合を100分率で表わしたものと理解すべきである。濃度は、コロイド溶液の一定量を量して、分散媒を強制乾固した際の質量変化から求めることができる。

0078

本発明で用いるコロイド溶液としては、酸化チタンにスズ及びマンガンを複合したものを核とし、この核の外側に上述した酸化ケイ素の殻を有するコアシェル微粒子を含有するコロイド溶液を用いるのが好ましい。

0079

スズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子の核の外側に形成される酸化ケイ素を含む殻は、酸化ケイ素を主成分とし、スズやアルミニウムなどその他の成分を含有していてもよく、どのような手法で形成させたものであってもよい。例えば、該酸化ケイ素の殻は、テトラアルコキシシランの加水分解縮合によって形成することができる。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン等の通常入手可能なものを用いればよいが、反応性と安全性の観点からテトラエトキシシランを用いることが好ましい。このようなものとして、例えば、市販の「KBE−04」(信越化学工業(株)製)を用いることができる。また、テトラアルコキシシランの加水分解縮合は、水中で行えばよく、アンモニア、アルミニウム塩有機アルミニウム、スズ塩、有機スズ等の縮合触媒を適宜用いればよいが、アンモニアは該核微粒子の分散剤としての作用も兼ね備えているため、特に好ましい。

0080

このようなスズ及びマンガンを固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体全体に対する殻の酸化ケイ素の割合は、5〜50質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜45質量%である。5質量%よりも少ないとき、殻の形成が不十分であり、一方、50質量%を超えると、該粒子の凝集を促進し分散液が不透明であるため好ましくない。

0081

このようなコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体水分散液における塩基性物質(分散剤)としては、例えば、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムリン酸二水素リチウムリン酸二水素一ナトリウム、リン酸二水素一カリウム、リン酸二水素一セシウムリン酸水素二リチウム、リン酸水素二ナトリウムリン酸水素二カリウム、リン酸水素二セシウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウムリン酸三カリウム、リン酸三セシウム、炭酸水素リチウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム炭酸水素セシウム、炭酸リチウム炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸セシウム等を挙げることができ、特に、アンモニア及び水酸化ナトリウムが好ましい。なお、分散剤としての塩基性物質の配合量は、1質量%以下であることが好ましい。

0082

このような構成のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体コロイド溶液は高い透明性を有し、例えば、1質量%濃度のコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体コロイド溶液が満たされた光路長1mmの石英セルを通過する550nmの波長の光の透過率が通常80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。なお、このような透過率は、紫外可視透過スペクトルを測定することによって、容易に求めることができる。

0083

特に、以下に述べるスズ及びマンガン(以下、これらを単に異元素と称する)を固溶したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体コロイド溶液の製造方法によるものは、該固溶体を得るに際し、製造工程中で粉砕分級等の機械的単位操作を経ていないにもかかわらず、上記の特定の累積粒度分布径にすることができるので、生産効率が非常に高いだけでなく、上記の高い透明性を確保でき、更に続く工程の(B)〜(E)の何れにおいても凝集を起こさないため好ましい。

0084

上述した構成を有する異元素を固溶したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体水分散液の製造方法は、次の工程(α)、(β)からなる。
・工程(α)
この工程では、先ず、異元素成分が正方晶系酸化チタンに固溶している正方晶系酸化チタン固溶体微粒子の水分散体を用意する。この水分散体を得る方法は、特に限定されないが、原料となるチタン化合物、異元素化合物、塩基性物質及び過酸化水素水性分散媒中で反応させて、一旦、異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液を得た後、これを水熱処理して異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液を得る方法が好ましい。

0085

前段の異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液を得るまでの反応は、水性分散媒中の原料チタン化合物に塩基性物質を添加して水酸化チタンとし、含有する不純物イオンを除去し、過酸化水素を添加してペルオキソチタン酸とした後に異元素化合物を添加して、異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液とする方法でも、水性分散媒中の原料チタン化合物に異元素化合物を添加した後に塩基性物質を添加して異元素を含有した水酸化チタンとし、含有する不純物イオンを除去し、過酸化水素を添加して異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液とする方法でもよい。

0086

ここで、原料のチタン化合物としては、例えば、チタンの塩酸塩硝酸塩硫酸塩等の無機酸塩蟻酸、クエン酸、蓚酸、乳酸、グリコール酸等の有機酸塩、これらの水溶液アルカリを添加して加水分解することにより析出させた水酸化チタン等が挙げられ、これらの1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。

0087

異元素化合物としては、前述のスズ及びマンガン元素塩、特にスズ及びマンガン元素塩化物が、それぞれ前述の固溶量となるように使用される。また、水性分散媒、塩基性物質も、それぞれ前述のものが、前述の配合となるように使用される。

0088

過酸化水素は、上記原料チタン化合物又は水酸化チタンをペルオキソチタン、つまりTi−O−O−Ti結合を含む酸化チタン系化合物に変換させるためのものであり、通常、過酸化水素水の形態で使用される。過酸化水素の添加量は、チタン及び異元素の合計モル数の1.5〜10倍モルとすることが好ましい。また、この過酸化水素を添加して原料チタン化合物又は水酸化チタンをペルオキソチタン酸にする反応における反応温度は、5〜60℃とすることが好ましく、反応時間は、30分〜24時間とすることが好ましい。

0089

こうして得られる異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液は、pH調整等のため、塩基性物質又は酸性物質を含んでいてもよい。ここでいう塩基性物質としては、例えば、アンモニア等が挙げられ、酸性物質としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸、リン酸、過酸化水素等の無機酸及び蟻酸、クエン酸、蓚酸、乳酸、グリコール酸等の有機酸が挙げられる。この場合、得られた異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液のpHは1〜7、特に4〜7であることが取り扱いの安全性の点で好ましい。

0090

次いで、後段の異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子コロイド溶液を得るまでの反応は、上記異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液を、圧力0.01〜4.5MPa、好ましくは0.15〜4.5MPa、温度80〜250℃、好ましくは120〜250℃、反応時間1分〜24時間の条件下での水熱反応に供される。その結果、異元素を含有したペルオキソチタン酸は、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子に変換されていく。

0091

本発明においては、こうして得られる異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液に、一価アルコール、アンモニア、及びテトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを配合する。

0092

一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、及びこれらの任意の混合物が使用され、特に好ましくはエタノールが使用される。このような一価アルコールの配合量は、上記酸化チタン微粒子分散液100質量部に対して、100質量部以下、好ましくは30質量部以下で使用される。この場合、その下限量としては、5質量部以上、特に10質量部以上とすることが好ましい。特に、一価アルコールの配合量を変えることによって、次工程において、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子からなる核の外側に形成する酸化ケイ素の殻の厚さを制御することが可能になる。一般に、一価アルコールの配合量を増やせば、テトラアルコキシシラン等のケイ素反応剤の反応系への溶解度が増大する一方で酸化チタンの分散状態には悪影響を与えないので、該殻の厚さは厚くなる。即ち、次工程において得られる異元素を固溶したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体水分散液は、製造工程中で粉砕や分級等の機械的単位操作を経ていないにもかかわらず、上記特定の累積粒度分布径の範囲にすることができ、可視部における透明性を付与し得る。一価アルコールの配合量は、30質量部以下であることが好ましいが、これ以上のアルコールを含有する場合であっても、濃縮の工程でアルコールを選択的に取り除くことも可能であるため、適宜必要な操作を追加することができる。

0093

アンモニアは、アンモニア水であり、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液中にアンモニアガスを吹き込むことによってアンモニア水の添加に代えても良く、更に該分散液中でアンモニアを発生し得る反応剤を加えることによってアンモニア水の添加に代えても良い。アンモニア水の濃度は、特に限定されるものではなく、市販のどのようなアンモニア水を用いてもよい。本発明の工程においては、例えば、5質量%のアンモニア水を用いて、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液のpHを7〜12、より好ましくは8〜10となる量までアンモニア水を添加することが好ましい。

0094

テトラアルコキシシランとしては、上述したものを用いることができるが、テトラエトキシシランが好ましい。テトラエトキシシランには、それ自体の他、テトラエトキシシランの(部分)加水分解物も用いることができる。このようなテトラエトキシシラン又はテトラエトキシシランの(部分)加水分解物としては、市販のどのようなものでも良く、例えば、商品名「KBE−04」(テトラエトキシシラン:信越化学工業(株)製)、商品名「シリケート35」,「シリケート45」(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物:多摩化学工業(株)製)、商品名「ESI40」,「ESI48」(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物:コルコート(株)製)等を使用してもよい。これらのテトラエトキシシラン等は、1種を用いても、複数種を用いてもよい。

0095

テトラアルコキシシランの配合量は、加水分解後の酸化ケイ素を含有する酸化チタンに対して5〜50質量%、好ましくは10〜45質量%、より好ましくは20〜40質量%となるように用いる。5質量%よりも少ないとき、殻の形成が不十分となり、50質量%よりも多いとき、該粒子の凝集を促進し、分散液が不透明となることがあるため好ましくない。

0096

異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液に、一価アルコール、アンモニア、及びテトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを加えて混合する方法は、どのような方法で実施してもよく、例えば、磁気撹拌機械撹拌、震盪撹拌等を用いることができる。

0097

・工程(β)
ここでは、上記(α)の工程で得られた混合物を急速加熱することにより、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体の微粒子を形成させる。

0098

工程(α)で得られた混合物を急速加熱する方法は、既存のどのようなものであってもよく、マイクロ波による加熱、高い熱交換効率を達成できるマイクロリアクター、及び大きな熱容量を持った外部熱源との熱交換等を用いることができる。特に、マイクロ波を用いた加熱方法は、均一且つ急速に加熱することができるため好ましい。なお、マイクロ波を照射して加熱する工程は、回分工程であっても連続工程であってもよい。

0099

急速加熱法は、室温から分散媒の沸点(通常、10〜80℃程度)に達するまでの時間が10分以内であることが好ましい。これは、10分を超える加熱方法のとき、該粒子が凝集することとなり、好ましくないからである。

0100

このような急速加熱法にマイクロ波加熱を用いるときは、例えば、その周波数が300MHz〜3THzの電磁波の中から適宜選択することができる。日本国内においては、電波法によって、通常使用可能なマイクロ波周波数帯域が、2.45GHz、5.8GHz、24GHz等に決められているが、なかでも2.45GHzは、民生用にも多く使用されており、この周波数の発振用マグネトロン設備価格上有利である。しかしながら、この基準は特定の国や地域の法律経済状況に依存したものであり、技術的には周波数を限定するものではない。マイクロ波の出力は100W〜24kW、好ましくは100W〜20kWの定格を有する限り、市販のどのような装置を用いてもよい。例えば、μReactorEx(四国計測工業(株)製)、Advancer(バイオタージ(株)製)等を用いることができる。

0101

マイクロ波加熱のとき、加熱に要する時間を10分以内とするためには、マイクロ波の出力を調節するか、回分反応の場合は反応液量を、連続反応の場合は反応流量を適宜調節して行うことができる。

0102

このようにして得られた異元素を固溶したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体コロイド溶液は、本発明に用いることができる。

0103

工程(B)
工程(B)は、前記水分散液をケイ素化合物と反応し反応混合液を得る工程である。下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加することが好ましい。
R1pR2qR3rSi(OR4)4-p-q-r (1)
(式中において、R1、R2、R3、R4、p、q、rは上述した通りである。)

0104

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=r=0の場合では、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート基同士が結合したトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「KC−89S」、「X−40−9220」信越化学工業(株)製)、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「X−41−1056」信越化学工業(株)製)などを挙げることができる。

0105

一般式(1)で示されるシラン化合物として、p=1、q=r=0の場合で、R1がポリジメチルシロキサンである具体例として、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。一般式(3)中において好ましくはn=0以上50以下の整数であり、より好ましくはn=5以上40以下の整数であり、更に好ましくはn=10以上30以下の整数である。nが50より大きくなると、シリコーンオイルとしての性質が強くなり、表面処理されたオルガノゾルの各種樹脂への溶解性が限定されることがあるため好ましくない。一般式(3)中において、平均構造がn=30の化合物は、商品名「X−24−9822」(信越化学工業(株)製)として入手することができる。

0106

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=1、r=0の場合では、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。

0107

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=1、r=1の場合では、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシシラン、iso−プロピルジメチルメトキシシラン、iso−プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルエトキシシラン、n−ペンチルジメチルメトキシシラン、n−ペンチルジメチルエトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシランなどを挙げることができる。

0108

工程(B)において添加するケイ素化合物の添加量は、工程(A)における無機酸化物コロイド水分散液の固形分に対して、好ましくは30質量%以上200質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上150質量%以下であり、更に好ましくは60質量%以上120質量%以下である。添加量が200質量%よりも多いとゲル化することがある。添加量が30質量%よりも少ないと凝集することがある。

0109

工程(B)におけるケイ素化合物の添加方法は、液中滴下、液外滴下、ポーション添加などを実施することができ、液中滴下であることが好ましい。

0110

工程(B)におけるケイ素化合物添加時の液温は、好ましくは0℃以上45℃以下であり、より好ましくは5℃以上40℃以下であり、更に好ましくは10℃以上35℃以下である。液温が0℃より低くなると、無機酸化物コロイド水分散液が凍結による状態変化を経て変質する可能性があるため好ましくない。液温が45℃より大きくなると、添加したシランが予期せぬ加水分解縮合反応を起こすことがあるため好ましくない。工程(B)では加水分解縮合による結果反応液の温度が70℃を超えない程度に達することがある。この工程(B)では適切な反応触媒を用いて実施することもできる。

0111

工程(C)
工程(C)は必要に応じて有機溶剤で前記反応液を希釈する工程である。有機溶剤は、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリム、ジグリム等のエーテル類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ヘキサンジオールジアクリレートトリメチロールプロパントリアクリレートペンタエリスリトールテトラアクリレートジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の反応性エステル類;を用いることができ、特に、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。希釈は次工程(D)及び次々工程(E)のソルベントショックを避けるために実施することが好ましいが、必須であるとは限らない。希釈倍率は好ましくは2〜20倍、より好ましくは3〜15倍、更に好ましくは5〜10倍である。2よりも小さいと意図したソルベントショック緩和の効果が十分でない場合がある。20よりも大きいと工程(D)及び(E)で多くの処理時間を要する場合がある。

0112

工程(D)
工程(D)は濃縮によって濃厚分散液を得る工程である。濃縮は加熱濃縮、限外ろ過等の単位操作によって達成することができる。加熱濃縮の場合は、減圧下で実施することが好ましい。圧力は、好ましくは1〜760mmHg、より好ましくは5〜300mmHgである。1mmHgよりも低いと分散媒が突沸することがあり好ましくない。760mmHgより高いと蒸発の効率が低いことがあり好ましくない。加熱は伝導伝熱、誘導伝熱輻射伝熱から選択することができる。マイクロ波等の輻射伝熱によって実施することが好ましい。限外ろ過の場合は、適切な細孔径を有する膜を用いて実施することができる。本目的に使用可能な限外ろ過膜(装置)としては、市販のものを例示することができ、アミコンウルトラ(メルクミリポア(株)製)、マイクローザ(旭化成ケミカルズ(株)製)、ウルトラフィルターQ0100(アドバンテック東洋(株)製)、ウルトラフィルターP0200(アドバンテック東洋(株)製)、ウルトラフィルターQ0500(アドバンテック東洋(株)製)、ウルトラフィルターQ2000(アドバンテック東洋(株)製)、Krauss−Maffei DCF crossflow filter(ANDRITZ KMPT GmbH製)、MEMBRALOX((株)ノリタケカンパニーリミテッド製)等を挙げることができる。限外ろ過における分画分子量は、好ましくは10〜300kDa、より好ましくは50〜200kDa、更に好ましくは70〜150kDaである。限外ろ過膜の平均細孔径は、好ましくは5〜30nm、より好ましくは5〜20nm、更に好ましくは6〜15nmである。限外ろ過を行う場合は加圧下で行うことが好ましい。加圧はゲージ圧として好ましくは0.01〜1.0MPa、より好ましくは0.03〜0.5MPa、更に好ましくは0.05〜0.3MPaである。ゲージ圧が0.01Pa未満であると効率的ではない場合がある。1.0MPa以上であっても耐圧構造であれば選択することを妨げない。加圧はまた、遠心力によって与えることもできる。アミコンウルトラ(メルクミリポア(株)製)のようなろ過装置は遠心加圧に適しているため好ましい。遠心力は、約0.2mの回転半径を有する遠心分離機の場合、好ましくは100〜5,000rpm、より好ましくは200〜3,000rpm、更に好ましくは500〜2,000rpmで回転することによって与えることが好ましい。

0113

工程(D)では分散液の分散媒を除去せしめることによって、必要に応じて濃縮を行うことができる。分散媒には、工程(A)で製造した水分散液に含まれる水、工程(B)で添加したケイ素化合物及び/又はケイ素化合物の加水分解縮合物及び/又は加水分解縮合で生成した珪酸エステルに由来するアルコール類、工程(C)で添加した有機溶剤類を含むことができる。このような複合系の分散液を滲出することによって、分散液の固形分濃度を、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%まで濃縮する。

0114

工程(E)
工程(E)は有機溶剤による溶媒置換をする工程である。このような有機溶剤の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ドコサン、トリイコサン、テトライコサン、ペンタイコサン、ヘキサイコサン、ヘプタイコサン、オクタイコサン、ノナイコサン、トリアコンタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、及びこれらを含む混合物である石油エーテル、ケロシン、リグロイン、ヌジョール等の炭素数5以上30以下の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、シクロペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、β−チアジグリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の単価及び多価アルコール類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノプロピルエーテル、ブチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジプロピル、蓚酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、エチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールジブチレート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールジブチレート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、ダイアセトンアルコール、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノルマルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラアセチルエチレンジアミド、テトラアセチルヘキサメチレンテトラミド、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミンジアセテート等のアミド類;をそれぞれ挙げることができる。

0115

工程(E)ではまた、有機溶剤として反応性有機低分子を用いることもできる。このような目的に利用可能な有機分子として、(メタ)アクリル酸と(多価)アルコールから形成された(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、具体例としては、メタクリル酸メチル略称MMA)、アクリル酸メチル(略称MA)、メタクリル酸エチルアクリル酸エチルアクリル酸ヒドロキシエチル(略称HEA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(略称HEMA)、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシルブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ラウリルアクリル酸ステアリルアクリル酸イソステアリル、アクリル酸イソノルボルニル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸(メトキシエチル)、アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、アクリル酸(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)、アクリル酸[{シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4イル)}メチル]、アクリル酸{(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル}等のモノエステル類;エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘプタンジオールジアクリレート、オクタンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、グリセリン−1,2−ジアクリレート、グリセリン−1,3−ジアクリレート、ペンタエリスリトスジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレートトリシクロデカンジメタノールジアクリレートジプロピレングリコールジアクリレートトリプロピレングリコールジアクリレート等のジエステル類;グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリエート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリスペンタエリスリトールオクタアクリレート、オクタ(3−アクリロキシプロピルシルセスキオキサン)、3−アクリロキシプロピルシルセスキオキサンオリゴマー、及びポリジメチルシロキサン鎖及び/又はパーフルオロ(オキシアルキル鎖で置換可能なアクリロキシプロピルシルセスキオキサンオリゴマー等の多価エステル類;をそれぞれ挙げることができる。

0116

工程(E)は好ましくは、加熱濃縮、限外ろ過等の単位操作によって達成することができる。加熱濃縮の場合は、減圧下で実施することが好ましい。圧力は、好ましくは1〜760mmHg、より好ましくは5〜300mmHgである。1mmHgよりも低いと分散媒が突沸することがあり好ましくない。760mmHgより高いと蒸発の効率が低いことがあり好ましくない。加熱は伝導伝熱、誘導伝熱、輻射伝熱から選択することができる。マイクロ波等の輻射伝熱によって実施することが好ましい。限外ろ過の場合は、適切な細孔径を有する膜を用いて実施することができる。本目的に使用可能な限外ろ過膜(装置)としては、市販のものを例示することができ、アミコンウルトラ(メルクミリポア(株)製)、マイクローザ(旭化成ケミカルズ(株)製)、ウルトラフィルターQ0100(アドバンテック東洋(株)製)、ウルトラフィルターP0200(アドバンテック東洋(株)製)、ウルトラフィルターQ0500(アドバンテック東洋(株)製)、ウルトラフィルターQ2000(アドバンテック東洋(株)製)、Krauss−Maffei DCF crossflow filter(ANDRITZ KMPT GmbH製)、MEMBRALOX((株)ノリタケカンパニーリミテッド製)等を挙げることができる。限外ろ過における分画分子量は、好ましくは10〜300kDa、より好ましくは50〜200kDa、更に好ましくは70〜150kDaである。限外ろ過膜の平均細孔径は、好ましくは5〜30nm、より好ましくは5〜20nm、更に好ましくは6〜15nmである。限外ろ過を行う場合は加圧下で行うことが好ましい。加圧はゲージ圧として好ましくは0.01〜1.0MPa、より好ましくは0.03〜0.5MPa、更に好ましくは0.05〜0.3MPaである。ゲージ圧が0.01Pa未満であると効率的ではない場合がある。1.0MPa以上であっても耐圧構造であれば選択することを妨げない。加圧はまた、遠心力によって与えることもできる。アミコンウルトラ(メルクミリポア(株)製)のようなろ過装置は遠心加圧に適しているため好ましい。遠心力は、約0.2mの回転半径を有する遠心分離機の場合、好ましくは100〜5,000rpm、より好ましくは200〜3,000rpm、更に好ましくは500〜2,000rpmで回転することによって与えることが好ましい。

0117

工程(E)で利用する有機溶剤の量はろ過室容量の好ましくは1〜20体積倍、より好ましくは2〜10体積倍、更に好ましくは3〜8体積倍である。1体積倍より少ないと溶媒置換が十分でない場合がある。20体積倍より多いと産業効率上好ましくない場合がある。

0118

本発明の酸化チタン固溶体有機溶剤分散液に含まれる水分量は、20質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下である。水分量が20質量%を超えると該分散液を含有する塗料の膜が白化する場合がある。ここで、水分量はカールフィッシャー法により測定できる。

0119

本発明の製造方法では、必要に応じて更に脱水工程(F)及び表面処理工程(G)を設けてもよい。脱水工程(F)では、水分濃度が好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、更に好ましくは100ppm以下、最も好ましくは10ppm以下である。

0120

工程(F)の実施には、好ましくは3Å以上10Å以下の細孔直径を有するゼオライトを用いた物理吸着及び/又はオルト有機酸エステル又は、下記一般式(7)で示されるgem−ジアルコキシアルカンを用いた化学反応を伴う方法で実施することができる。
(R5O)(R6O)CR7R8 (7)
(式(7)中において、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜10までの炭化水素であって、互いに結合して環形成可能な置換基であり、またR7及びR8はそれぞれ独立に炭素数1〜10までの炭化水素であって、互いに結合して環形成可能な置換基である。)

0121

ゼオライトとして用いることができる物質の例としては、K4Na4[Al8Si8O32]、Na[AlSi2O6]、Na2[Al2Si7O18]、(K,Ba,Sr)2Sr2Ca2(Ca,Na)4[Al18Si18O72]、Li[AlSi2O6]O、Ca8Na3[Al19Si77O192]、(Sr,Ba)2[Al4Si12O32]、(Sr,Ba)2[Al4Si12O32]、(Ca0.5,Na,K)4[Al4Si8O24]、CaMn[Be2Si5O13(OH)2]、(Na,K,Ca0.5,Sr0.5,Ba0.5,Mg0.5)6[Al6Si30O72]、Ca[Al2Si3O10]、(Ca0.5,Na,K)4-5[Al4-5Si20-19O48]、Ba[Al2Si3O10]、(Ca,Na2)[Al2Si4O12]、K2(Na,Ca0.5)8[Al10Si26O72]、(Na,Ca0.5,Mg0.5,K)z[AlzSi12-zO24]、(K,Na,Mg0.5,Ca0.5)6[Al6Si30O72]、NaCa2.5[Al6Si10O32]、Na4[Zn2Si7O18]、Ca[Al2Si2O8]、(Na2,Ca,K2)4[Al8Si16O48]、Na5[Al5Si11O32]、(Na,Ca)6-8[(Al,Si)20O40]、Ca[Al2Si6O16]、Na3Mg3Ca5[Al19Si117O272]、(Ba0.5,Ca0.5,K,Na)5[Al5Si11O32]、(Ca0.5,Sr0.5,Ba0.5,Mg0.5,Na,K)9[Al9Si27O72]、Li2Ca3[Be3Si3O12]F2、K6[Al4Si6O20]B(OH)4Cl、Ca4[Al8Si16O48]、K4Na12[Be8Si28O72]、(Pb7Ca2)[Al12Si36(O,OH)100]、(Mg2.5K2Ca1.5)[Al10Si26O72]、K5Ca2[Al9Si23O64]、Na16Ca16[Al48Si72O240]、K9[Al9Si23O64]、(Na2,Ca,K2)4[Al8Si40O96]、Na3Ca4[Al11Si85O192]、Na2[Al2Si3O10]、CaKMg[Al5Si13O36]、(Ca5.5Li3.6K1.2Na0.2)Li8[Be24P24O96]、Ca2[Al4Si4O15(OH)2]、(K,Ca0.5,Na,Ba0.5)10[Al10Si32O84]、K9Na(Ca,Sr)[Al12Si24O72]、(K,Na,Ca0.5,Ba0.5)z[AlzSi16-zO32]、(Cs,Na)[AlSi2O6]、Ca2[Be(OH)2Al2Si4O13]、Ca[Al2Si3O10]、Ca[Al2Si7O18]、(Ca0.5,Na,K)9[Al9Si27O72]、NaCa[Al3Si17O40]、Ca2Na[Al5Si5O20]、Ca[Al2Si6O16]、Ca4(K2,Ca,Sr,Ba)3Cu3(OH)8[Al12Si12O48]、Ca[Al2Si4O12]、Ca[Be3(PO4)2(OH)2]、KzCa(1.5-0.5z)[Al3Si3O12]、Ca[Al2Si6O16](zは0以上1以下の実数)等の化学組成を有するものを挙げることができ、これらの化学組成を有するものであって、好ましくは3Å以上10Å以下の細孔直径を有するものを使用することができる。細孔直径の範囲としては、好ましくは3Å以上10Å以下、より好ましくは4Å以上8Å以下、更に好ましくは4Å以上6Å以下である。細孔直径が3Åより小さいと水を十分に吸着できないことがあり、細孔直径が10Åより大きいと水の吸着に時間を要することがある。

0122

このような脱水用ゼオライトとしては、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ6A、モレキュラーシーブ7A、モレキュラーシーブ8A、モレキュラーシーブ9A、モレキュラーシーブ10A、モレキュラーシーブ3X、モレキュラーシーブ4X、モレキュラーシーブ5X、モレキュラーシーブ6X、モレキュラーシーブ7X、モレキュラーシーブ8X、モレキュラーシーブ9X、モレキュラーシーブ10X等という名称で市販されているものの中から適宜組み合わせて用いることができ、例えば、細孔直径が約4ÅであるLTA型ゼオライトとして、関東化学(株)製「製品番号25958−08」を用いることができる。

0123

ゼオライトは、工程(E)で得られた分散液に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは2質量%以上15質量%以下、更に好ましくは5質量%以上10質量%以下用いる。使用量が1質量%より少ないと、脱水効果が十分に得られないことがあり、使用量が20質量%より多くとも、脱水の程度が向上するわけではないことが多いため、これ以上使用することは実際上必要とされない。

0124

工程(F)では、オルト有機酸エステル又は、下記一般式(7)で示されるgem−ジアルコキシアルカンを用いた化学反応を伴う方法でも実施することができる。
(R5O)(R6O)CR7R8 (7)
(式中において、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜10までの炭化水素であって、互いに結合して環形成可能な置換基であり、またR7及びR8はそれぞれ独立に炭素数1〜10までの炭化水素であって、互いに結合して環形成可能な置換基である。)

0125

オルト有機酸エステル及びgem−ジアルコキシアルカンは、いずれもアセタール骨格を分子中に有している。オルト有機酸エステルは有機酸エステルのアセタールであり、gem−ジアルコキシアルカンはケトンのアセタールである。アセタールは、水と反応してアルコールとカルボニル化合物に分解する性質があるため、脱水の目的で用いることができる。反応によって、水が消費されて有機溶媒を添加したことと同じ効果が得られる。

0126

オルト有機酸エステルの具体例としては、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト蟻酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチル、オルトプロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチル、オルトプロピオン酸プロピル、オルトプロピオン酸ブチル、オルト酪酸メチル、オルト酪酸エチル、オルト酪酸プロピル、オルト酪酸ブチル等を挙げることができる。

0127

gem−ジアルコキシアルカンの具体例としては、アセトンジメチルアセタール、アセトンジエチルアセタール、アセトンジプロピルアセタール、アセトンジブチルアセタール、アセトンエチレングリコールアセタール、アセトンプロピレングリコールアセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、メチルエチルケトンジエチルアセタール、メチルエチルケトンジプロピルアセタール、メチルエチルケトンジブチルアセタール、メチルエチルケトンエチレングリコールアセタール、メチルエチルケトンプロピレングリコールアセタール、メチルイソブチルケトンジメチルアセタール、メチルイソブチルケトンジエチルアセタール、メチルイソブチルケトンジプロピルアセタール、メチルイソブチルケトンジブチルアセタール、メチルイソブチルケトンエチレングリコールアセタール、メチルイソブチルケトンプロピレングリコールアセタール、シクロペンタノンジメチルアセタール、シクロペンタノンジエチルアセタール、シクロペンタノンジプロピルアセタール、シクロペンタノンジブチルアセタール、シクロペンタノンエチレングリコールアセタール、シクロペンタノンプロピレングリコールアセタール、シクロヘキサノンジメチルアセタール、シクロヘキサノンジエチルアセタール、シクロヘキサノンジプロピルアセタール、シクロヘキサノンジブチルアセタール、シクロヘキサノンエチレングリコールアセタール、シクロヘキサノンプロピレングリコールアセタール等を挙げることができる。

0128

これらのアセタール骨格を有する化合物の選択は、水と反応した際に生成する分子の種類で好ましいものがある場合には、それを見越して使用することができる。例えば、オルガノゾル中から水を除いて、シクロヘキサノンとブタノールで置換する場合には、シクロヘキサノンジブチルアセタールを用いることによって目的を達成することができる。

0129

アセタール骨格を有する化合物は、工程(E)で得られた分散液に対して、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下、より好ましくは2質量%以上15質量%以下、更に好ましくは5質量%以上10質量%以下用いる。使用量が0.5質量%より少ないと、脱水効果が十分に得られないことがあり、使用量が20質量%より多くとも、脱水の程度が向上するわけではないことが多く、分散液として樹脂等と混合した際に、エッチング等の予期せぬ効果をもたらすことがあるため、これ以上使用することは実際上必要とされない。

0130

表面処理工程(G)では、下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加することが好ましい。
R1pR2qR3rSi(OR4)4-p-q-r (1)
(式中において、R1、R2、R3、R4、p、q、rは上記の通り。)

0131

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=r=0の場合では、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート基同士が結合したトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「KC−89S」、「X−40−9220」信越化学工業(株)製)、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「X−41−1056」信越化学工業(株)製)などを挙げることができる。

0132

一般式(1)で示されるシラン化合物として、p=1、q=r=0の場合で、R1がポリジメチルシロキサンである具体例として、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。一般式(3)中において好ましくはn=0以上50以下の整数であり、より好ましくはn=5以上40以下の整数であり、更に好ましくはn=10以上30以下の整数である。nが50より大きくなると、シリコーンオイルとしての性質が強くなり、表面処理されたオルガノゾルの各種樹脂への溶解性が限定されることがあるため好ましくない。一般式(3)中において、平均構造がn=30の化合物は、商品名「X−24−9822」(信越化学工業(株)製)として入手することができる。

0133

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=1、r=0の場合では、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。

0134

一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=1、r=1の場合では、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシシラン、iso−プロピルジメチルメトキシシラン、iso−プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルエトキシシラン、n−ペンチルジメチルメトキシシラン、n−ペンチルジメチルエトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシランなどを挙げることができる。

0135

以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。

0136

[実施例1]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5モル%、マンガン1モル%)エタノール分散液を以下の工程(A)〜工程(E)によって製造した。
工程(A)
・工程(α)
無機酸化物コロイド水分散液として、酸化チタン−スズ−マンガン複合酸化物を核とし酸化ケイ素を殻とするコアシェル微粒子を分散質とし、水を分散媒とするものを調製した。まず、核となる酸化チタン微粒子を含有する分散液を製造し、次いで、テトラエトキシシランを加水分解縮合することで、コアシェル微粒子を含有するコロイド溶液とした。
36質量%の塩化チタン(IV)水溶液(石原産業(株)製、製品名「TC−36」)66.0gに塩化スズ(IV)五水和物和光純薬工業(株)製)2.2g)、酸化マンガン(II)((株)高純度化学研究所)0.09gを添加し、よく混合した後、これをイオン交換水1,000gで希釈した。この金属塩水溶液混合物に5質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株)製)250gを徐々に添加して中和、加水分解することによりスズとマンガンを含有する水酸化チタンの沈殿物を得た。このときの水酸化チタンスラリーのpHは8であった。得られた水酸化チタンの沈殿物を、イオン交換水の添加とデカンテーションを繰り返して脱イオン処理した。この脱イオン処理後のスズ及びマンガンを含有する水酸化チタン沈殿物に30質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株)製)100gを徐々に添加し、その後60℃で3時間撹拌して十分に反応させた。次いで、純水を添加して濃度調整を行うことにより、半透明のスズ、マンガン含有ペルオキソチタン酸溶液(固形分濃度1質量%)を得た。容積500mLのオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、製品名「TEM−D500」)に、上記のように合成したペルオキソチタン酸溶液350mLを仕込み、これを200℃、1.5MPaの条件下、120分間水熱処理した。その後、オートクレーブ内の反応混合物を、サンプリング管を経由して、25℃の水浴中に保持した容器に排出し、急速に冷却することで反応を停止させ、酸化チタン分散液を得た。
・工程(β)
磁気回転子温度計を備えたセパラブルフラスコに、得られた酸化チタン分散液1,000質量部、エタノール100質量部、アンモニア2.0質量部を室温(25℃)で加えて磁気撹拌した。このセパラブルフラスコを氷浴に浸漬し、内容物温度が5℃になるまで冷却した。ここに、テトラエトキシシラン18質量部(信越化学工業(株)製、製品名「KBE−04」)を加えた後に、セパラブルフラスコをμReactorEx(四国計測工業(株)製)内に設置して、周波数2.45GHz・出力1,000Wのマイクロ波を1分間にわたって照射しながら磁気撹拌した。その間、温度計を観測して内容物温度が85℃に達するのを確認した。得られた混合物を定性ろ紙(Advantec 2B)でろ過して希薄コロイド溶液を得た。この希薄コロイド溶液を減圧加熱濃縮(50℃/10mmHg)によって10質量%まで濃縮し、金属酸化物微粒子水分散液(A−1)を得た。動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、16nmであった。

0137

工程(B)
ジムロート冷却管窒素導入管、温度計、機械撹拌羽を備えた4つ口2Lセパラブルフラスコに、金属酸化物微粒子水分散液(A−1、400g、固形分10質量%)を入れた。ここにメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−13」、300g)を入れて激しく撹拌(200rpm)した。撹拌によって分散液とアルコキシシランが反応し、均一になる様子が観測された。その際、分散液の温度が25℃から52℃まで上昇する様子が観測された。

0138

工程(C)
工程(B)を経た分散液にエタノール(1,500g)を撹拌(100rpm)しながら添加して希釈し反応混合物(X)を得た。

0139

工程(D)
反応混合物(X)の一部(10mL)を限外ろ過膜を有する遠心管(メルクミリポア株式会社製、商品名「アミコンウルトラ−15」、100,000NMWLメンブレン装用)の上部バケットに入れた。この遠心管を2,000rpmで15分間、遠心分離した。下部バケットには澄明な液体(ろ液−0)が(9mL)滲出しており、上部バケットには濃縮液が(1mL)残っていた(図1の工程(D))。

0140

工程(E)
工程(D)で得られた濃縮液(1mL)に対して上部バケットからエタノール(9mL)を添加してリスラリー(再分散化)した。リスラリーした分散液(合計10mL)の入った遠心管を2,000rpmで15分間、遠心分離した。下部バケットには澄明な液体(ろ液−1)が(9mL)滲出しており、上部バケットには濃縮液が(1mL)残っていた。この濃縮液(1mL)に対して上部バケットからエタノール(9mL)を添加してリスラリー(再分散化)した。リスラリーした分散液(合計10mL)の入った遠心管を2,000rpmで15分間、遠心分離した。下部バケットには澄明な液体(ろ液−2)が(9mL)滲出しており、上部バケットには濃縮液が(1mL)残っていた。同様の操作を繰り返してろ液−3及びろ液−4を得た(図1の工程(E))。ろ液−0〜ろ液−4の固形分濃度及び水分量(カールフィッシャー法)を分析した。結果は表1にまとめて示した。
最終的に上部バケットに残った液体(1mL)がシリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5モル%、マンガン1モル%)エタノール分散液(A剤−1)である。分散液(A剤−1)について、動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、16nmであった(図2)。分散液(A剤−1)(1mL)に対して、トリスアセチルアセトナトクロム(III)(関東化学(株)製)のヘキサデューテリオアセトン(Cambridge Isotope Laboratories Inc.製)1M溶液を数滴(ca.0.2mL)及び内部標準物質としてオクタメチルシクロテトラシロキサン(7mg)を加えた後、PTFE製MRチューブ(φ5mm)に移し、29Si核磁気共鳴スペクトルの測定を行った。測定条件は、ゲートデカップリング、45度パルスパルス間隔6秒のパルスシークエンスを用い、磁場強度11.75Tにおいて7,200回の積算を行った。得られた核磁気共鳴スペクトルを図3に示した。分散液(A剤−1)の固形分分析を行ったところ、11質量%であった。分散液(A剤−1)の水分分析(カールフィッシャー法)を行ったところ、0.6質量%であった。

0141

0142

[実施例2]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5.0モル%、マンガン0.5モル%)エタノール分散液を製造した。
実施例1の工程(A)における、酸化マンガン(II)((株)高純度化学研究所製)0.09gを0.045gに変えた他は同様の操作を行い、エタノール分散液(A剤−2)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は17nmであった。分散液(A剤−2)の固形分は10質量%であり、分散液(A剤−2)のカールフィッシャー法による水分量は0.6質量%であった。

0143

[実施例3]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5.0モル%、マンガン2.0モル%)エタノール分散液を製造した。
実施例1の工程(A)における、酸化マンガン(II)((株)高純度化学研究所製)0.09gを0.18gに変えた他は同様の操作を行い、エタノール分散液(A剤−3)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は16nmであった。分散液(A剤−3)の固形分は11質量%であり、分散液(A剤−3)のカールフィッシャー法による水分量は0.8質量%であった。

0144

[実施例4]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5.0モル%、マンガン1.0モル%)イソプロピルアルコール分散液を製造した。
実施例1の工程(E)におけるエタノールをイソプロピルアルコールに変えた他は同様の操作を行い、イソプロピルアルコール分散液(A剤−4)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は15nmであった。分散液(A剤−4)の固形分は10質量%であり、分散液(A剤−4)のカールフィッシャー法による水分量は0.6質量%であった。

0145

[実施例5]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5.0モル%、マンガン1.0モル%)エタノール分散液を製造した。
実施例1の工程(B)におけるメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−13」)をγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−403」)に変えた他は同様の操作を行い、エタノール分散液(A剤−5)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は16nmであった。分散液(A剤−5)の固形分は11質量%であり、分散液(A剤−5)のカールフィッシャー法による水分量は0.7質量%であった。

0146

[実施例6]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5.0モル%、マンガン1.0モル%)プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を製造した。
実施例1の工程(B)におけるメチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−13」)をγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−5103」)に変えた他は同様の操作を行いエタノール分散液を得た。このエタノール分散液を同量のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)と混合し、350mmHgの圧力下において、エタノールを揮発させPGM分散液(A剤−6)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は14nmであった。分散液(A剤−6)の固形分は10質量%であり、分散液(A剤−6)のカールフィッシャー法による水分量は0.6質量%であった。

0147

[比較例1]
シリカ殻を有する酸化チタン(スズ及びマンガンを固溶していないもの)エタノール分散液を製造した。
実施例1の工程(A)における、塩化スズ(IV)及び酸化マンガン(II)を用いなかった他は同様の操作を行い、分散液(A剤−R1)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は22nmであった。分散液(A剤−R1)の固形分は10質量%であり、分散液(A剤−R1)のカールフィッシャー法による水分量は0.6質量%であった。

0148

[比較例2]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5.0モル%)エタノール分散液を製造した。
実施例1の工程(A)における、酸化マンガン(II)を用いなかった他は同様の操作を行い、分散液(A剤−R2)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は14nmであった。分散液(A剤−R2)の固形分は11質量%であり、分散液(A剤−R2)のカールフィッシャー法による水分量は0.7質量%であった。

0149

[比較例3]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(マンガン1.0モル%)エタノール分散液を製造した。
実施例1の工程(A)における、塩化スズ(IV)を用いなかった他は同様の操作を行い、分散液(A剤−R3)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は15nmであった。分散液(A剤−R3)の固形分は10質量%であり、分散液(A剤−R3)のカールフィッシャー法による水分量は0.7質量%であった。

0150

[比較例4]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5.0モル%、バナジウム0.5モル%)エタノール分散液を製造した。
実施例1の工程(A)における、酸化マンガン(II)(0.09g)に変えて、酸化硫酸バナジウム(IV)・n水和物(0.13g)を用いた他は同様の操作を行い、分散液(A剤−R4)を得た。動的光散乱法による体積平均の50%累計分布径は18nmであった。分散液(A剤−R4)の固形分は10質量%であり、分散液(A剤−R4)のカールフィッシャー法による水分量は0.7質量%であった。

0151

[合成例1]
シリコーン塗料(B剤−1)の製造
撹拌機コンデンサー及び温度計を備えた1リットルフラスコにメチルトリエトキシシラン336g、イソブタノール94gを仕込み、氷冷下に撹拌しながら5℃以下に維持し、ここに5℃以下とした水分散コロイダルシリカ(スノーテックスO(平均粒子径15〜20nm)、日産化学工業(株)製、SiO220%含有品)283gを添加して氷冷下で3時間、更に20〜25℃で12時間撹拌したのち、ジアセトンアルコールを27g、プロピレングリコールモノメチルエーテルを50g添加した。次いで硬化触媒として10%プロピオン酸ナトリウム水溶液を3g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーンKP−341(信越化学工業(株)製)0.2gを加え、更に酢酸にてpHを6〜7に調整した。そして、不揮発分(JIS K6833)が20%となるようにイソブタノールで調整し、常温で5日間熟成して得られたコロイダルシリカ含有オルガノポリシロキサン組成物の粘度は4.2mm2/s、GPC分析による重量平均分子量は1,100であった。このものを塗料(B剤−1)とした。

0152

[実施例7]
シリコーン塗料(B剤−1)(100g、樹脂固形分量20g)に対して、酸化チタン固溶体有機溶剤分散液(A剤−1、固形分11質量%)(36g、固形分量4.0g、固形分比20質量%)を混合し塗料(A1B1)を得た。A剤とB剤の固形分比を20質量%に固定し、各種酸化チタン分散液(A剤−2、A剤−3、A剤−4、A剤−5、A剤−6)を同様に混合して塗料(A2B1、A3B1、A4B1、A5B1、A6B1)をそれぞれ得た。

0153

[比較例5]
シリコーン塗料(B剤−1)(100g、樹脂固形分量20g)に対して、酸化チタン固溶体有機溶剤分散液(A剤−R1、固形分11質量%)(36g、固形分量4.0g、固形分比20質量%)を混合し塗料(AR1B1)を得た。A剤とB剤の固形分比を20質量%に固定し、各種酸化チタン分散液(A剤−R2、A剤−R3、A剤−R4)を同様に混合して塗料(AR2B1、AR3B1、AR4B1)をそれぞれ得た。

0154

[比較例6]
特許文献1(特開2014−19611号公報)の手法で1液型シリコーン塗料(C剤−1)を製造した。この際に、実施例7の塗料(A1B1)と酸化チタン成分の固形分比が同様になるように、酸化チタン水分散液(本発明における実施例1の工程(A)における生産物(A−1)と同等品)を増量した。即ち、500mLのフラスコに、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−13」)50gを仕込み、スノーテックスO(日産化学工業(株)製:水分散シリカゾル、平均15〜20nm、SiO220%含有品)30g、実施例1の工程(A)で製造した分散液(A−1、固形分10質量%)60g、酢酸0.3gの混合液を加えた。混合液を加えると加水分解に伴う自己発熱が見られ内部温度が50℃に上昇した。添加終了後、60℃にて3時間撹拌し、加水分解を完結させた。
その後、シクロヘキサノン56gを投入し、加水分解で生成したメタノールを、常圧にて液温が92℃になるまで加熱留去すると共に、縮合させた後、希釈剤としてイソプロパノール75g、レベリング剤としてKP−341(信越化学工業(株)製)0.1g、酢酸0.3g、及び10%プロピオン酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業(株)工業株式会社)0.8gを加え、撹拌した後、濾紙濾過を行い、不揮発分濃度20%の1液型シリコーン塗料(C剤−1)を230g得た。C剤−1の粘度は3.2mm2/s、GPC分析による重量平均分子量は1,200であった。

0155

[比較例7]
特許文献1(特開2014−19611号公報)の手法で1液型シリコーン塗料(C剤−2)を製造した。この際に、実施例7の塗料(A1B1)と酸化チタン成分の固形分比が同様になるように、酸化チタン水分散液(本発明における実施例1の工程(A)における生産物(A−1)と同等品)を増量し、更に途中の留去工程の量を増加させた。即ち、500mLのフラスコに、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、製品名「KBM−13」)50gを仕込み、スノーテックスO(日産化学工業(株)製:水分散シリカゾル、平均15〜20nm、SiO220%含有品)30g、実施例1の工程(A)で製造した分散液(A−1、固形分10質量%)60g、酢酸0.3gの混合液を加えた。混合液を加えると加水分解に伴う自己発熱が見られ内部温度が50℃に上昇した。添加終了後、60℃にて3時間撹拌し、加水分解を完結させた。
その後、シクロヘキサノン100gを投入し、加水分解で生成したメタノールを、常圧にて液温が98℃になるまで加熱留去すると共に、縮合させた後、希釈剤としてイソプロパノール75g、レベリング剤としてKP−341(信越化学工業(株)製)0.1g、酢酸0.3g、及び10%プロピオン酸ナトリウム水溶液(和光純薬工業(株)工業株式会社、特級)0.8gを加え、撹拌した後、濾紙濾過を行い、不揮発分濃度20%の1液型シリコーン塗料(C剤−2)を200g得た。C剤−1の粘度は5.6mm2/s、GPC分析による重量平均分子量は2,300であった。

0156

[合成例2]
アクリルプライマーの製造
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに溶剤としてジアセトンアルコール152gを仕込み、窒素気流下にて80℃に加熱した。ここに予め調製しておいた単量体混合溶液(2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93、大塚化学(株)製)67.5g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを90g、メチルメタクリレート270g、グリシジルメタクリレート22.5g、ジアセトンアルコール350g)を混合したもののうち240g及び予め調製しておいた重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2.3gをジアセトンアルコール177.7gに溶解した溶液のうち54gを順次投入した。80℃で30分反応させた後、残りの単量体混合溶液と残りの重合開始剤溶液を同時に80〜90℃で1.5時間かけて滴下した。更に80〜90℃で5時間撹拌した。
得られたトリメトキシシリル基及び有機系紫外線吸収性基が側鎖に結合したビニル系重合体の粘度は5,050mPa・s、またその共重合体中の紫外線吸収性単量体含有量は15%、トリメトキシシリル基がSi−C結合を介して側鎖に結合したビニル系単量体量は20%であった。また、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析による重量平均分子量は60,800であった。ここに、高分子固形分に対してシリカが30質量%になるように溶剤分散コロイダルシリカ(PMA−ST、日産化学工業(株)製)を添加し、全体の固形分濃度が20質量%になるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルを添加してアクリルプライマー(P−1)とした。

0157

積層体の作成>
ポリカーボネート樹脂(タキロン(株)製、製品名「PCSP−660T」)の片面にアクリルプライマー(P−1)をフローコートした。室温で15分間立て掛け静置した後に、120℃/1時間で硬化した。このようにしてプライマー層を設けた面の上に、実施例で製造した塗料(A1B1、A2B1、A3B1、A4B1、A5B1、及びA6B1)及び比較例で製造した塗料(AR1B1、AR2B1、AR3B1、AR4B1、C剤−1、及びC剤−2)をフローコートした。室温で15分間立て掛けて静置した後に、各トップ塗料層を120℃/1時間で硬化した。

0158

初期膜異常の評価>
トップ塗料からなる膜表面の異常を確認した。比較例6で製造した(C剤−1)では、膜の撥きによる異常が見られた。これは、水分散液を増量したことによって、溶剤成分が変化し、塗工に適さなくなったためと考えられる。留去量を増やした比較例7(C剤−2)では、撥きは見られなかった。その他の塗料(A1B1、A2B1、A3B1、A4B1、A5B1、A6B1、AR1B1、AR2B1、AR3B1、及びAR4B1)では、撥きが見られず良好な膜の状態であった。

0159

初期塗料硬化膜のΔHz評価>
硬化膜の耐擦傷性をΔHzで評価した。ΔHzは、ASTMD1044に準じ、テーバー摩耗試験にて摩耗輪CS−10Fを装着し、荷重500gの下での500回転後のヘイズを測定し、試験前後に算出されるヘイズ差(ΔHz)として求めた。塗料(A1B1、A2B1、A3B1、A4B1、A5B1、A6B1、AR1B1、AR2B1、AR3B1、AR4B1、及びC剤−2)の何れを積層したものについても、ΔHzは10以下であった。なお、C剤−1は撥きが見られたため、ΔHz評価は行わなかった。

0160

<塗料安定性の評価>
塗料(A1B1、A2B1、A3B1、A4B1、A5B1、A6B1、AR1B1、AR2B1、AR3B1、AR4B1、及びC剤−2)について、40℃(エスペックパーフェクトオーブン使用)で1週間エージング試験を行った。A1B1、A2B1、A3B1、A4B1、A5B1、A6B1、AR1B1、AR2B1、AR3B1、及びAR4B1のシリコーンレジン成分初期分子量(GPCによる重量平均分子量)は1,100であり、エージング試験後の分子量は1,200〜1,600の範囲であった。C剤−2のシリコーンレジン成分の初期分子量(GPCによる重量平均分子量)は2,300であり、エージング試験後の分子量は3,800であった。

0161

<エージング試験後のΔHz評価>
先のエージング試験を経た塗料を用いて、<積層体の作成>と同様の手法で積層体を作成し、ASTM1044に準じ、テーバー摩耗試験にて摩耗輪SC−10Fを装着し、荷重500gの下での500回転後のヘイズを測定した。C剤−2の塗料を積層したもののΔHzは16であった。C剤−2は、酸化チタン含有量を増量するために水分散液を多量に用い、更に溶剤留去量を増やしたものである。C剤−2は、塗工に適する溶剤組成ではあるものの、塗料としての安定性が低下したことが明らかとなった。これに対し、A1B1、A2B1、A3B1、A4B1、A5B1、A6B1、AR1B1、AR2B1、AR3B1、及びAR4B1の塗料を積層したもののΔHzは10以下であった。塗料の安定性は特許文献1(特開2014−19611号公報)の提案の際には言及されていなかった。本発明の有機溶剤分散液の使用が塗料の長寿命化に有効であることが明らかとなった。

0162

<耐候性の評価>
5.0mmの厚みを有するポリカーボネート基材(タキロン株式会社製、PCSP−660T)の片面に公知のアクリルプライマー(P−1)を塗付した。この基材のプライマーを塗付硬化した面に対して、エージング前の塗料(A1B1、A2B1、A3B1、A4B1、A5B1、A6B1、AR1B1、AR2B1、AR3B1、AR4B1、C剤−2)をフローコートした。硬化膜の膜厚高速フーリエ変換薄膜干渉計(Filmetrics株式会社製、F−20)を用いて測定したところ、何れの場合もプライマー層の厚みは1×10-5m、ハードコート層の厚みは5×10-6mであった。

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