図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
従来より、タイヤ用ゴム材料の混練りには、混練室内で異なる方向に回転する左右一対の混練ロータにより原料ゴムに強い剪断作用を加えて、可塑化溶融するバンバリーミキサーが用いられている。このバンバリーミキサーを用いて、原料ゴムに各種の充填剤や添加剤を効率よく練り込んで混合分散することで種々の品質のタイヤ用ゴム材料が作製される(例えば特許文献1)。
図2はバンバリーミキサーの概略構成図である。バンバリーミキサー1は、混練室12と、混練室12内に回転自在に挿通された左右一対の混練ロータ16a、16bと、混練室12の上方に立設した材料供給筒20と、この材料供給筒20内に上下動自在に挿通されたフローティングウェイト(ラム)22とを備えている。なお、混練室12は、図示しないチャンバー内部に収容されている。
このバンバリーミキサー1を用いて混練りを行う場合、フローティングウェイト22を下降させることにより、材料供給筒20内に供給された各種の材料を混練室12に押し込む。そして、混練ロータ16a、16bを回転させることにより、混練室12内の各種材料の混練りを行う。
概要
シリカが凝集することを抑制して、タイヤ用ゴム材料中にシリカを均一に分散させることにより、目標とするゴム物性を十分に発揮できるタイヤ用ゴム材料を作製することができ、歩留まりの低下を防止することができるタイヤ用ゴム材料の混練り方法および前記混練り方法を用いたタイヤ製造方法を提供する。タイヤ用ゴム材料にシリカを投入し、バンバリーミキサーを用いて混練りを行うタイヤ用ゴム材料の混練り方法であって、シリカのバンバリーミキサーへの投入を少量ずつ分割して行うタイヤ用ゴム材料の混練り方法。バンバリーミキサーにシリカを5〜15kg/5secの投入速度で投入するタイヤ用ゴム材料の混練り方法。バンバリーミキサーにシリカを投入する投入管に開閉弁を設け、開閉弁の開閉によってシリカのバンバリーミキサーへの投入を少量ずつ分割して行うタイヤ用ゴム材料の混練り方法。
目的
本発明は、シリカが凝集することを抑制して、タイヤ用ゴム材料中にシリカを均一に分散させることにより、目標とするゴム物性を十分に発揮できるタイヤ用ゴム材料を作製することができ、歩留まりの低下を防止することができるタイヤ用ゴム材料の混練り方法および前記混練り方法を用いたタイヤ製造方法を提供する
効果
実績
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請求項1
タイヤ用ゴム材料にシリカを投入し、バンバリーミキサーを用いて混練りを行うタイヤ用ゴム材料の混練り方法であって、前記シリカの前記バンバリーミキサーへの投入を少量ずつ分割して行うことを特徴とするタイヤ用ゴム材料の混練り方法。
請求項2
前記バンバリーミキサーに前記シリカを5〜15kg/5secの投入速度で投入することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム材料の混練り方法。
請求項3
前記バンバリーミキサーに前記シリカを投入する投入管に開閉弁を設け、前記開閉弁の開閉によって前記シリカの前記バンバリーミキサーへの投入を少量ずつ分割して行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ用ゴム材料の混練り方法。
請求項4
技術分野
0001
本発明は、シリカが配合されたタイヤ用ゴム材料の混練り方法、および、前記タイヤ用ゴム材料の混練り方法を用いて混練りされたタイヤ用ゴム材料から作製されたタイヤ構成部材を用いてタイヤを製造するタイヤ製造方法に関する。
背景技術
0002
従来より、タイヤ用ゴム材料の混練りには、混練室内で異なる方向に回転する左右一対の混練ロータにより原料ゴムに強い剪断作用を加えて、可塑化溶融するバンバリーミキサーが用いられている。このバンバリーミキサーを用いて、原料ゴムに各種の充填剤や添加剤を効率よく練り込んで混合分散することで種々の品質のタイヤ用ゴム材料が作製される(例えば特許文献1)。
0003
図2はバンバリーミキサーの概略構成図である。バンバリーミキサー1は、混練室12と、混練室12内に回転自在に挿通された左右一対の混練ロータ16a、16bと、混練室12の上方に立設した材料供給筒20と、この材料供給筒20内に上下動自在に挿通されたフローティングウェイト(ラム)22とを備えている。なお、混練室12は、図示しないチャンバー内部に収容されている。
0004
このバンバリーミキサー1を用いて混練りを行う場合、フローティングウェイト22を下降させることにより、材料供給筒20内に供給された各種の材料を混練室12に押し込む。そして、混練ロータ16a、16bを回転させることにより、混練室12内の各種材料の混練りを行う。
先行技術
0005
特開2002−11336号公報
発明が解決しようとする課題
0007
シリカが一旦凝集塊を形成すると、その後の混練りで十分に分散させることが困難であり、シリカの分散効率低下により、作製後のタイヤ用ゴム材料が目標とするゴム物性を発揮できず、廃棄処分となることにより、歩留まりの低下が生じる恐れがある。
0008
そこで、本発明は、シリカが凝集することを抑制して、タイヤ用ゴム材料中にシリカを均一に分散させることにより、目標とするゴム物性を十分に発揮できるタイヤ用ゴム材料を作製することができ、歩留まりの低下を防止することができるタイヤ用ゴム材料の混練り方法および前記混練り方法を用いたタイヤ製造方法を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0009
請求項1に記載の発明は、
タイヤ用ゴム材料にシリカを投入し、バンバリーミキサーを用いて混練りを行うタイヤ用ゴム材料の混練り方法であって、
前記シリカの前記バンバリーミキサーへの投入を少量ずつ分割して行うことを特徴とするタイヤ用ゴム材料の混練り方法である。
0010
請求項2に記載の発明は、
前記バンバリーミキサーに前記シリカを5〜15kg/5secの投入速度で投入することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム材料の混練り方法である。
0011
請求項3に記載の発明は、
前記バンバリーミキサーに前記シリカを投入する投入管に開閉弁を設け、前記開閉弁の開閉によって前記シリカの前記バンバリーミキサーへの投入を少量ずつ分割して行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ用ゴム材料の混練り方法である。
0012
請求項4に記載の発明は、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム材料の混練り方法を用いて、タイヤ用ゴム材料を混練りする混練り工程と、
前記混練り工程によって得られたタイヤ用ゴム材料を用いてタイヤ構成材料を作製し、作製した前記タイヤ構成材料を用いて生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、
前記生タイヤを加硫する加硫工程と
を備えていることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法である。
発明の効果
0013
本発明によれば、シリカが凝集することを抑制して、タイヤ用ゴム材料中にシリカを均一に分散させることにより、目標とするゴム物性を十分に発揮できるタイヤ用ゴム材料を作製することができ、歩留まりの低下を防止することができるタイヤ用ゴム材料の混練り方法および前記混練り方法を用いたタイヤ製造方法を提供することができる。
図面の簡単な説明
0014
本発明の一実施の形態に係るタイヤ用ゴム材料の混練り方法に用いられるバンバリーミキサーのシリカ投入に関連する部分の構成を示す概略構成図である。
タイヤ用ゴム材料の混練り方法に用いられるバンバリーミキサーの概略構成図である。
0015
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を参照して説明する。
0016
本発明者は、混練り中にシリカの凝集塊が形成される現象について検討した結果、この現象はシリカを一度に大量に投入することにより発生しやすくなることが分かった。
0017
具体的には、従来のタイヤ用ゴム材料の混練り方法では、計量器によりシリカとカーボンを計量して、原料ゴムと一緒にバンバリーミキサーの混練室に一回あたり大量に投入していた。このように、シリカを一回あたりに大量に投入すると、シリカ同士が接触して凝集塊が形成されやすくなることが分かった。
0018
本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、シリカが配合されたタイヤ用ゴム材料をバンバリーミキサーで混練りする際に、一回あたりに大量のシリカを投入せず、少量ずつ分割して投入するタイヤ用ゴム材料の混練り方法である。これにより、シリカを適切に分散させながら混練りすることができるため、シリカの凝集塊の形成を抑制して、目標とするゴム物性を十分に発揮できるタイヤ用ゴム材料を作製することができる。
0019
以下、本実施の形態に係るタイヤ用ゴム材料の混練り方法を具体的に説明する。
0020
1.バンバリーミキサー
図1は本実施の形態に係るタイヤ用ゴム材料の混練り方法に用いられるバンバリーミキサーのシリカ投入に関連する部分の構成を示す概略構成図である。
0021
このバンバリーミキサー1は、従来のバンバリーミキサーと同様に、混練室12と、混練室12内に回転自在に挿通された左右一対の混練ロータ16a、16bと、混練室12の上方に立設した材料供給筒20と、この材料供給筒20内に上下動自在に挿通されたフローティングウェイト22とを備えている。
0022
材料供給筒20には、シリカやカーボンなどの材料を計量する計量器2が投入管4を介して取り付けられている。投入管4には、計量器2にて計量を行うための計量ダンパー6と、負圧防止のための逆風ダンパー8とが設置されている。
0024
本実施の形態のバンバリーミキサー1は、図1に示すように、計量器2から材料供給筒20にシリカやカーボンを供給する投入管4に開閉弁10が設けられている点で従来のバンバリーミキサーと異なる。
0025
開閉弁10は、投入管4における計量ダンパー6および逆風ダンパー8の下流側に設けられており、バンバリーミキサー1の動作を制御する制御部(図示省略)に接続されている。そして、制御部からの信号に基づいて、開閉弁10の開閉を制御することにより、計量器2で計量されたシリカを少量ずつ分割して材料供給筒20に投入することができる。
0026
また、本実施の形態においては、フローティングウェイト22も制御部に接続されており、シリカ投入時の開閉弁10を開ける信号と連動して、フローティングウェイト22が上昇するように構成されている。
0027
2.タイヤ用ゴム材料の混練り方法
以上の構成のバンバリーミキサー1を使用したタイヤ用ゴム材料の混練り方法を説明する。ここでの配合割合は、原料ゴムの投入量に対して、その他の材料の投入量が100〜400PHR(Per Hundred Rubber)の範囲になるように設定する。
0028
先ず、計量した原料ゴムGと配合薬品Cを材料投入コンベア5により搬送して、ホッパー7から材料供給筒20内に投入すると共に、オイル計量器3で計量したオイルを混練室12に直接投入する(図2参照)。このとき、原料ゴムGとしては、一般に、ポリマータイプの天然ゴムと合成ゴムが用いられる。
0029
そして、計量器2においてカーボンの投入量を計量して、カーボンを材料供給筒20に投入した後に、フローティングウェイト22を下降させる。これにより、材料供給筒20内の原料ゴム、配合薬品、カーボンを混練室12内に押し込み、混練ロータ16a、16bを回転させることにより混練りを開始する。
0030
一方、計量器2において、シリカの投入量を計量する。このときのシリカの投入量は、10〜150PHRの範囲内に設定することが好ましい。例えば、200kgの原料ゴムの混練りを行う場合、シリカの投入量は20〜80kgに設定される。
0031
そして、原料ゴムの混練りを継続しながら、投入管4に設けられた開閉弁10の開閉を制御して、投入速度を調整しながら、計量器2内のシリカを少量ずつ分割して材料供給筒20に投入する。
0032
このとき、開閉弁10が開くタイミングに連動して、フローティングウェイト22が上昇することにより、シリカが材料供給筒20に適切に投入される。そして、開閉弁10が閉まってシリカの投入が停止すると、フローティングウェイト22が下降して材料供給筒20内のシリカを混練室12内に押し込む。
0033
混練室12内に投入された原料ゴム、シリカ、カーボンなどの材料は、混練ロータ16a、16bの回転によって混練りされる。そして、混練りを継続しながら、シリカの投入を少量ずつ分割して繰り返して、計量器2内のシリカを混練室12内に全て投入する。
0034
上記のとおり、原料ゴムとその他の材料の混練りを行いながら、シリカを少量ずつ分割して投入することにより、シリカが凝集することを抑制して、原料ゴム中に均一に分散させることができる。この結果、所望のゴム物性を有するタイヤ用ゴム材料の混練りを安定して行うことができるため、タイヤ製造工程における材料の廃棄処分を少なくして、歩留まりの低下を防止することができる。
0035
また、従来のように一度に大量のシリカを投入した場合、凝集塊が形成されるだけではなく、バンバリーミキサーの投入口からシリカがでてくるシリカ噴きという現象が発生することがある。本実施の形態に係るタイヤ用ゴム材料の混練り方法は、シリカを少量ずつ投入することにより、上記のシリカ噴きの発生を適切に防止して、バンバリーミキサー周辺の環境を改善することができる。
0036
なお、シリカの時間あたりの投入量である投入速度が、5kg/5secよりも遅い場合、生産効率が低下するという問題が生じ、15kg/5secを超えた場合、シリカの凝集塊が形成される恐れがある。このため、シリカの投入速度は、5〜15kg/5secに設定することが好ましい。
0037
また、本実施の形態によって作製されたタイヤ用ゴム材料は、上記の通り、安定したゴム物性を有しているため、このタイヤ用ゴム材料を用いて成形した生タイヤを加硫することにより、品質に優れた空気入りタイヤを製造することができる。
0039
排出されたタイヤ用ゴム材料は、押出機66から押し出された後、圧延ローラ68によってシート状のタイヤ構成材料に圧延成形される。その後、タイヤ構成材料は、防着剤を表面に塗布された後、冷却・乾燥ローラ群70にて冷却・乾燥され、保管テーブル72上に折り畳まれる。
0040
そして、保管テーブル72上のタイヤ構成材料は、次の工程に搬送されて、生タイヤの成形に用いられ、成形された生タイヤを加硫することにより、空気入りタイヤが製造される。
0041
1.実施例および比較例
容量:270L、混練ロータ:4WNのバンバリーミキサーを用いて、タイヤ用ゴム材料の混練りを行った。シリカの総投入量は90PHRであり、シリカの計量および投入を、X練り、Y練り、Z練りの3ステージに分けて行った。X練りの投入量は60PHR、Y練りの投入量は20PHR、Z練りの投入量は10PHRである。
0042
(1)実施例
それぞれのステージにおいて、計量されたシリカの投入速度を15kg/5secに設定して少量ずつ分割して投入した。
0043
(2)比較例1
それぞれのステージにおいて計量されたシリカを、原料ゴムやカーボンなどと同時に、一度に全量に投入した。
0044
(3)比較例2
60PHRのシリカを投入するX練りにおいてのみ、シリカの投入量を45PHRと15PHRに分割し、残りのY練りおよびZ練りは原料ゴムやカーボンなどと同時に、一度に全量に投入した。
0045
2.評価方法
シリカの凝集を確認するための指標として、混練り後のタイヤ用ゴム材料のゲル分を測定した。このゲル分は、トルエンにゴムを溶かしてその重量と初期の重量から割合を出すことにより測定した。結果を表1に示す。
0046
また、ゴムのバラツキを確認するための指標として、MLバラツキ(%)とMHバラツキ(%)を測定した。MLバラツキとMHバラツキは、キュラストメーターで測定した値の標準偏差を平均値で割ることにより算出した。結果を表1に示す。
0047
また、「シリカ噴出し」および「分散」の状態について、比較例1を基準にして、改善された場合を「○」、悪化した場合を「×」、同程度の場合を「△」として評価した。結果を表1に示す。
0048
0049
表1より、シリカを少量ずつ分割して投入した実施例では、ゲル分、MLバラツキ、MHバラツキの全てが低く押さえられており、シリカを適切に分散させることができると共に、シリカの噴出しを適切に防止できることが確認された。
実施例
0050
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
0051
1バンバリーミキサー
2計量器
3オイル計量器
4投入管
5材料投入コンベア
6 計量ダンパー
7ホッパー
8逆風ダンパー
10開閉弁
12混練室
16a、16b混練ロータ
17ドロップドア
20材料供給筒
22フローティングウェイト
66押出機
68圧延ローラ
70 冷却・乾燥ローラ群
72保管テーブル
C配合薬品
G 原料ゴム