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技術 圧電アクチュエータの駆動方法および駆動回路

出願人 株式会社東京ウエルズ有限会社メカノトランスフォーマ
発明者 青島弘明矢野健徐世傑
出願日 2014年6月27日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2014-133093
公開日 2016年1月21日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2016-012978
状態 特許登録済
技術分野 超音波モータ、圧電モータ、静電モータ
主要キーワード 高電位源 シフト波形 電流出力ノード ディジタル入力値 電圧印加モード 現在電圧 低電位源 流入時間
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

解決手段

一次固有振動周波数fを有する圧電アクチュエータを、圧電素子印加する電圧を1/f以下の期間で初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動方法は、圧電素子に印加する電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間は、電圧印加期間を含んでおり、電圧印加期間は時間tに比例して変化する電圧Vであり、電圧印加期間は、容量性負荷としての圧電素子に一定の電流を流入させて、電流の流入時間に比例して圧電素子への印加電圧を上昇させ、あるいは圧電素子から一定の電流を流出させて、電流の流出時間に比例して圧電素子への印加電圧を下降させるものであり、一定の電流をI、圧電素子の静電容量をC、一定の電流の流入あるいは流出時間をtとしたときに、最終目標電圧までの電圧変化の終了とともに変位が振動なく静止するように、V=tI/Cで表される電圧を前記圧電素子に印加する。

概要

背景

圧電効果によって電気エネルギーから機械エネルギーへのエネルギー変換を行う圧電素子は、変換効率が高く、小型で、微小変位の制御にすぐれていることから、圧電アクチュエータとして位置決め等に広く用いられている。ただし、圧電素子自体変位量は小さいので、必要な変位を得るために変位拡大機構を組み合わせて使用されることが多い。

図1は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータを示す図である。圧電素子1に接合される機械構造物である変位拡大機構100は、圧電素子1が長さ方向の一端部に当接するU字形の第1の当接部材52と他端部に当接する第2の当接部材53との間に取付けられており、端子51、51間に電圧印加されることにより、圧電素子1に軸方向の変位が生じ、その発生変位ヒンジ54、55を介して左右のアーム56、56に伝達され、さらにアーム56の先端に取付けられた弾性材57を介し、対象物に当接する結合部材58に拡大した変位を与える構成になっている。この拡大した変位の大きさは1mm未満であるため、当該変位を高速で実現するとともに、短時間で静止させることが必要である。

圧電素子1の端子51、51間に電圧を印加するために接続される電気回路を、以下の説明では駆動回路と呼ぶ。

従来の圧電素子1の駆動回路の例を図49(a)(b)(c)に示す。以下、この駆動回路をスイッチ駆動回路と呼ぶ。図49(a)はスイッチ駆動回路の全体図である。圧電素子1は2個の端子を有し、一方の端子はグランドに接続されており、他方の端子はインダクタL101および抵抗R101を介して電圧出力Voutに設定されている。電圧出力Voutは圧電素子1への印加電圧を決める電圧であり、この電圧は、定電圧源2の出力ノード2aから出力される定電圧VHと定電圧源3の出力ノード3aから出力される定電圧VLを、スイッチS101およびスイッチS102の作用により選択した電圧である。なお、定電圧源2のグランドノード2bおよび定電圧源3のグランドノード3bは、いずれも接地されている。そして、定電圧VHと定電圧VLの間にはVH>VLの関係がある。すなわち、定電圧源2は高電位源であり、定電圧源3は低電位源であり、定電圧源2は定電圧源3よりも高い電位を出力する。

ここで、上記のスイッチS101およびスイッチS102の作用について説明する。スイッチS101およびスイッチS102は、それぞれ開閉制御信号SC101および開閉制御信号SC102によって開閉を制御される。具体的には、開閉制御信号SC101の論理レベルロウ(L)の時にスイッチS101が閉じ、開閉制御信号SC102の論理レベルがロウ(L)の時にスイッチS102が閉じる。ここに、開閉制御信号SC101は制御入力Sinの論理レベルを論理反転回路G101によって逆論理にしたものである。また、開閉制御信号SC102は制御入力Sinの論理レベルを論理非反転回路G102によって同一論理にしたものである。これらの関係を図49(b)に表として示す。すなわち、制御入力Sinの論理レベルがハイ(H)の時にスイッチS101が閉じ、電圧出力Voutは定電圧VHになる。また、制御入力Sinの論理レベルがロウ(L)の時にスイッチS102が閉じ、電圧出力Voutは定電圧VLになる。このように、電圧出力Voutは2種類の定電圧VHおよび定電圧VLをスイッチS101およびスイッチS102の作用によって切り替えて出力する。定電圧VHおよび定電圧VLは直流電圧であり、かつ上述のようにVH>VLの関係がある。一方、圧電素子1は容量性部品である。このため、スイッチS101およびスイッチS102の作用により電圧出力Voutが切り替えられると、容量性の部品である圧電素子1の印加電圧が急激に変動して、過大な過渡電流を生じる。この過渡電流は定電圧源2および定電圧源3、スイッチS101、S102に損傷を与えるおそれがあるため、上述のように圧電素子1の他方の端子と電圧出力Voutの間には、過渡電流抑圧回路としてのインダクタL101および抵抗R101が直列に接続されている。

図49(b)に対応するタイムチャートを図50および図51に示す。図50は制御入力Sinの論理レベルの時間に対する変化を示したタイムチャートである。時刻ta以前はSinの論理レベルはロウ(L)であり、時刻taにおいて論理レベルはハイ(H)に変化し、時刻tbにおいて論理レベルはロウ(L)に変化する。図51は電圧出力Voutの時間に対する変化を示したタイムチャートである。時間を表わす横軸における時刻taおよびtbは、図50の時刻taおよびtbに対応している。時刻ta以前において電圧出力VoutはVLであり、時刻taにおいて電圧出力VoutはVHに上昇し、時刻ta以後において電圧出力VoutはVHを保持する(VH>VL)。そして時刻tbにおいて電圧出力VoutはVLに下降し、時刻tb以後において電圧出力VoutはVLを保持する。ここに、印加電圧VHとVLの差分が大きいほど圧電素子1の変位は大きくなる。このため、大きな変位を得るためにはVHを正電圧とし、VLを負電圧とすることが有効である。ただし、圧電素子1の特性上、VLの絶対値はVHの絶対値よりもかなり小さい。一例として、VH=100Vに対してVL=−15Vに設定する駆動回路がある。一方、それほど大きな変位を必要としない場合、あるいは図49(a)において定電圧源2および定電圧源3を使用すると、定電圧源が2個必要になってコストアップにつながると判断された場合等には、定電圧源3を使用しない回路とすることもある。具体的には、図49(a)において、一点鎖線領域E内の回路を図49(c)の回路に置換し、定電圧源3を省略するとともに、スイッチS102により選択される電圧を負電圧のVLからグランド、すなわち0Vとする。この場合には、図49(b)および図51におけるVoutの電圧VLは0Vになる。そして、定電圧源2は高電位源であり、グランドは低電位源であり、定電圧源2はグランドよりも高い電位を出力する。この関係は、定電圧源2と定電圧源3を使用した場合の関係と同一である。

圧電素子1への印加電圧は矩形波に限定されるので、印加電圧の立ち上がりおよび立ち下がりは極めて急峻になる。このため、圧電素子1の変位も極めて急峻になり、変位の際に変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数等による大きな振動が発生する。これによって、圧電素子1が変位後に静止するまでに時間を要する。この問題を解決するための対策を施した圧電素子1の駆動回路の例を図52に示す。以下、この駆動回路を任意波形駆動回路と呼ぶ。図52において任意波形発生部101は、10μsから1ms程度の微小時間Δtの間に、任意の大きさの矩形波電圧Vo1を波形出力101aに送出する機能を有する。微小時間Δtおよび矩形波電圧Vo1の値は、手動およびソフトウェアにより設定する。任意波形発生部101により送出される矩形波電圧Vo1は、負荷を接続した状態で電流をほとんど供給することができない。そこで、波形出力101aを電力増幅器103の入力103iに接続して、負荷に十分な電流を供給できる定電圧源出力としての負荷駆動電圧Vo2を増幅出力103oに送出する。そして、圧電素子1は、図49(a)と同様に一方の端子がグランドに接続され、他方の端子が上記増幅出力103oに接続されている。これにより、圧電素子1に負荷駆動電圧Vo2が供給される。

上述のように、任意波形駆動回路において、負荷駆動電圧Vo2はその値を微小時間Δtの間に任意の大きさとすることができる。負荷駆動電圧Vo2の時間に対する変化の例を図53に示す。図53において、負荷駆動電圧Vo2の定電圧VHは正電圧で、定電圧VLは0Vである。もちろん、スイッチ駆動回路と同様に定電圧VLを負電圧としてもよい。そして、負荷駆動電圧Vo2は定電圧VHおよび定電圧VLの間を微小時間Δt単位に緩やかに上昇あるいは下降している。具体的には、時刻tc以前において負荷駆動電圧Vo2はVLからVHに向けて微小時間Δtごとに緩やかに上昇し、時刻tcから時刻tdまでは負荷駆動電圧Vo2はVHを保持し、時刻tdから時刻teまでは負荷駆動電圧Vo2はVHからVLに向けて微小時間Δtごとに緩やかに下降し、時刻te以後において負荷駆動電圧Vo2はVLを保持する。

ここで、任意波形駆動回路を用いて定電圧VHと定電圧VLの間の電圧の変化を緩やかにすることにより、圧電素子1が変位する際に変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数による振動を防止して、速やかに制動させることができる。以下、この制動を傾斜電圧制動と呼ぶ。傾斜電圧制動は、圧電素子1への印加電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間を有し、駆動期間は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる時間である。また、駆動期間は1つの電圧印加期間であり、それは初期電圧において最終目標電圧を目標電圧として、一定の変化率で印加電圧の変化を開始し、上記1/fの時間において終了する期間である。なお、上記の変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数とは、圧電素子1に接合される機械構造物の質量のみで決まるものではない。それは、図1に示す変位拡大機構付き圧電アクチュエータ100の動作時において、圧電素子1が受ける外力与圧摩擦、および結合部材58に当接する対象物の質量等、すべての力および質量によって決まる一次固有振動周波数である。

傾斜電圧制動の原理を、図54乃至図58を用いて説明する。図54は、図53の負荷駆動電圧(印加電圧)Vo2の時間に対する変化を模式化した傾斜電圧制動のグラフである。図54において、縦軸は印加電圧を示すが、簡単のために電圧と表記している。また、時間を表す横軸における時刻の表記で、図53における時刻tcは、図54において時刻1/fとなっている。ここに、fは変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数である。また、時刻0から時刻1/fまでの間を6等分して、1/6fから5/6fと表記している。同様に、図53における時刻tdは、図54において時刻Trsとなっている。また、時刻Trsから電圧がVLになるまでの時刻との間を6等分して、Trs+1/6fからTrs+1/fと表記している。なお、以下の説明では、圧電素子1への印加電圧を低い電圧から高い電圧へ変化させる電圧印加期間を印加電圧上昇期間と呼び、圧電素子1への印加電圧を高い電圧から低い電圧へ変化させる電圧印加期間を印加電圧下降期間と呼ぶ。また、印加電圧を低い初期電圧から高い最終目標電圧へ変化させて、圧電素子1が伸びる方向(図1における矢印A方向)に変位させる駆動期間を上昇の駆動期間と呼び、印加電圧を高い初期電圧から低い最終目標電圧へ変化させて、圧電素子1が縮む方向(図1における矢印B方向)に変位させる駆動期間を下降の駆動期間と呼ぶ。ここに、上昇の駆動期間および下降の駆動期間の各名称における上昇ならびに下降は、図1に示す変位拡大機構を有する圧電アクチュエータにおける各駆動期間において、結合部材58に当接する対象物が移動する方向とは無関係である。

図54において、時刻0から時刻1/fまでの間に電圧がVLからVHまで上昇する区間を区間[1]、時刻1/fから時刻Trsまでの間に電圧がVHを保持する区間を区間[2]、時刻Trsから時刻Trs+1/fまでの間に電圧がVHからVLまで下降する区間を区間[3]、時刻Trs+1/f以後に電圧がVLを保持する区間を区間[4]としている。図54には、時刻0から始まる駆動期間と、時刻Trsから始まる駆動期間の2つの駆動期間が示されている。ここに、時刻0から始まる駆動期間は、初期電圧が低い電圧VLであり、最終目標電圧が高い電圧VHであり、区間[1]が電圧印加期間である。よって、区間[1]は印加電圧上昇期間であり、この駆動期間は上昇の駆動期間である。また、時刻Trsから始まる駆動期間は、初期電圧が高い電圧VHであり、最終目標電圧が低い電圧VLであり、区間[3]が電圧印加期間である。よって、区間[3]は印加電圧下降期間であり、この駆動期間は下降の駆動期間である。区間[1]および区間[3]の開始から完了までの時間はいずれも1/fである。また、任意波形駆動回路で駆動する場合には、区間[1]および区間[3]における実際の電圧の変化は、図53に示すように微小時間Δtごとに上昇あるいは下降しているのであるが、図54においては簡単のため、当該区間において一様に上昇あるいは下降するように表記している。

今、電圧VH=100V、電圧VL=0V、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数f=1kHzの場合の傾斜電圧制動の動作原理について、図55乃至図58を用いて説明する。図55は、圧電素子1の印加電圧を時刻0において上昇に転じた時の、圧電素子1の印加電圧と変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位(図1における結合部材58の変位)を示したグラフである。ここに、時刻0以前の電圧は0Vである。電圧は時刻1.00ms(=1/f)において100Vに到達するように一様に上昇させている。実線が電圧で、破線が変位である。説明の都合上、両者を重ね書きしてある。

図55において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、印加電圧を0Vから100Vに上昇させることにより、初期位置である0μmから目標位置である300μmまでの変位が得られる。図示されない変位の縦軸は、電圧0Vに0μmが対応し、電圧100Vに300μmが対応する。この変位のグラフは、傾きが大きいほど速度が大きいことを示し、水平な部分は速度が0、すなわち静止していることを示す。また、電圧のグラフと変位のグラフが離間している場合には、その離間距離が大きいほど、加速度が大きいことを示す。一方、電圧のグラフと変位のグラフが重なっている場合には、当該変位は当該電圧によって生ずることが期待される変位に一致しており、加速度が0であることを示す。

いま、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、電圧を時刻1/fすなわち1.00msにおいて最終目標電圧に到達するように一定の傾きで上昇させる。時刻0において電圧が上昇に転じると、図55に示すように、圧電素子1に接合された機械構造物は加速度を得て変位を開始する。この変位開始時において、機械構造物は急峻な電圧の変化に追随できない。すなわち、電圧のグラフが右上がりの直線であるのに対して、変位のグラフは電圧のグラフから離間して、略水平方向に変化を開始してから徐々に傾きが大きくなる曲線を描き、前記一次固有振動周波数fで振動するように変位する。この時、前記一次固有振動周波数f=1kHzなので、時刻0から時刻1/fすなわち1.00msまでが変位の周期に一致する。また、時刻0における速度は0であり、そこから印加電圧により加速度を得て変位を開始するので、上記変位の周期が経過した時刻1.00msにおける速度もまた0である。図55において、時刻1.00ms以後の電圧を100Vに保持した時の電圧および変位を、図56に示す。これは、図54の区間[1]および区間[2]に相当する。当該区間を図56にも記載している。図55においては、時間の経過とともに電圧が一定の割合で上昇するので、変位は1.00msを周期として繰り返す。この時、時刻1.00msの位置において変位と電圧が重なっているので、時刻1.00msには機械構造物に加速度が生じない。かつ、上述のように時刻1.00msにおける変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位のグラフは水平であり、その速度は0であるから、時刻1.00msにおいて機械構造物が停止する。そこで図56のように、時刻1.00ms以後(区間[2])の電圧を100Vに保持すると、時刻1.00ms以降も加速度を有さず、かつ速度を有さない状態、すなわち停止状態が継続する。このように、時刻1.00ms以降において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動は発生しないので、速やかな制動が可能となる。

図57は、圧電素子1の印加電圧を時刻Trsにおいて下降に転じた時の、圧電素子1の印加電圧と変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位を示したグラフである。ここに、時刻Trs以前の電圧は100Vである。電圧は時刻Trs+1.00ms(=Trs+1/f)において0Vに到達するように一様に下降させている。実線が電圧で、破線が変位である。説明の都合上、両者を重ね書きしてある。

図57において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、印加電圧を100Vから0Vに下降させることにより、初期位置である300μmから目標位置である0μmまでの変位を得られる。図示されない変位の縦軸は、電圧100Vに300μmが対応し、電圧0Vに0μmが対応する。図57における変位のグラフの傾きと速度の関係、および電圧のグラフと変位のグラフの相互位置と加速度の関係は、図55と同じである。

時刻Trsにおいて電圧が下降に転じると、図57に示すように、圧電素子1に接合された機械構造物は加速度を得て変位を開始する。この変位開始時において、機械構造物は急峻な電圧の変化に追随できない。すなわち、電圧のグラフが右下がりの直線であるのに対して、変位のグラフは電圧のグラフから離間して、略水平方向に変化を開始してから徐々に傾きが大きくなる曲線を描き、前記一次固有振動周波数fで振動するように変位する。この時、前記一次固有振動周波数f=1kHzなので、時刻Trsから時刻Trs+1/fすなわちTrs+1.00msまでが変位の周期に一致する。また、時刻Trsにおける速度は0であり、そこから印加電圧により加速度を得て変位を開始するので、上記変位の周期が経過した時刻Trs+1.00msにおける速度もまた0である。図57において、時刻Trs+1.00ms以後の電圧を0Vに保持した時の電圧および変位を、図58に示す。これは、図54の区間[2]乃至区間[4]に相当する。当該区間を図58にも記載している。図57においては、時間の経過とともに電圧が一定の割合で下降するので、変位は1.00msを周期として繰り返す。これに対して図58においては、時刻Trs+1.00ms以後(区間[4])の電圧は0Vに保持される。この時、時刻Trs+1.00msの位置において変位と電圧が重なっているので、時刻Trs+1.00msには機械構造物に加速度が生じない。かつ、上述のように時刻Trs+1.00msにおける変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位のグラフは水平であり、その速度は0であるから、時刻Trs+1.00msにおいて機械構造物が停止する。時刻Trs+1.00ms以降も電圧は0Vに保持され、加速度を有さず、かつ速度を有さない状態、すなわち停止状態が継続する。このように、時刻Trs+1.00ms以降において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動は発生しないので、速やかな制動が可能となる。

以上のように、傾斜電圧制動は一次固有振動周波数を利用する制動であり、一次固有振動周波数による振動を打ち消して、速やかに制動させるものである。そして、任意波形駆動回路を用いた傾斜電圧制動を採用することにより、圧電素子1が変位する際に変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数による振動を防止して、速やかに制動させることができる。

上述のように、傾斜電圧制動における電圧印加期間は、初期電圧において最終目標電圧を目標電圧として、一定の変化率で印加電圧の変化を開始し、終了するまでの時間は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる。

概要

簡易な駆動回路で圧電アクチュエータの一次固有振動周波数による振動を防止する。一次固有振動周波数fを有する圧電アクチュエータを、圧電素子に印加する電圧を1/f以下の期間で初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動方法は、圧電素子に印加する電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間は、電圧印加期間を含んでおり、電圧印加期間は時間tに比例して変化する電圧Vであり、電圧印加期間は、容量性負荷としての圧電素子に一定の電流を流入させて、電流の流入時間に比例して圧電素子への印加電圧を上昇させ、あるいは圧電素子から一定の電流を流出させて、電流の流出時間に比例して圧電素子への印加電圧を下降させるものであり、一定の電流をI、圧電素子の静電容量をC、一定の電流の流入あるいは流出時間をtとしたときに、最終目標電圧までの電圧変化の終了とともに変位が振動なく静止するように、V=tI/Cで表される電圧を前記圧電素子に印加する。

目的

本発明の目的は、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータにおいて、簡単な駆動回路により、該アクチュエータ具備する圧電素子に接合された機械構造物の一次固有振動周波数による振動を防止して、圧電素子の駆動期間を短縮させたいという要請および駆動期間を容易に変化させたいという要請に対応することが可能な駆動方法を提供する

効果

実績

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請求項1

圧電素子と前記圧電素子の変位を拡大する変位拡大機構とを有し、一次固有振動周波数fを有する圧電アクチュエータを、前記圧電素子に印加する電圧を1/f以下の期間で初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動方法において、前記圧電素子に印加する電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間は、電圧印加期間を含んでおり、電圧印加期間は時間tに比例して変化する電圧Vであり、前記電圧印加期間は、容量性負荷としての前記圧電素子に一定の電流を流入させて、電流の流入時間に比例して前記圧電素子への印加電圧を上昇させ、あるいは前記圧電素子から一定の電流を流出させて、電流の流出時間に比例して前記圧電素子への印加電圧を下降させるものであり、一定の電流をI、前記圧電素子の静電容量をC、一定の電流の流入あるいは流出時間をtとしたときに、前記最終目標電圧までの電圧変化の終了とともに変位が振動なく静止するように、V=tI/Cで表される電圧を前記圧電素子に印加する圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項2

前記電圧印加期間において目標電圧が設定されており、前記目標電圧が初期電圧から最終目標電圧までの間の中間目標電圧の場合は、当該目標電圧に到達すると当該電圧印加期間を終了させる請求項1に記載の圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項3

前記駆動期間は、N(Nは2以上の整数)個の電圧印加期間からなり、電圧印加期間後、次の電圧印加期間開始までの間に時間がある場合、当該時間は目標電圧を保持する電圧保持期間であり、前記電圧保持期間の電圧が前記中間目標電圧である場合、前記N個の電圧印加期間のそれぞれにおいて前記圧電素子に印加する電圧が対応する前記中間目標電圧に到達すると、当該電圧印加期間を終了させて、次の電圧印加期間が開始されるまで電流の流入流出を遮断し、前記圧電素子の静電容量にて前記圧電素子に印加される電圧を保持する請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項4

前記中間目標電圧に到達する電圧印加期間は、前記圧電素子の静電容量をC、前記圧電素子への印加電圧をV、前記電圧印加期間内に前記圧電素子に流れる電流をIとすると、t=CV/Iで表される時間に終了する請求項2に記載の圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項5

前記駆動期間は、前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/fであり、前記駆動期間は、一つの電圧印加期間で構成され、前記圧電素子の静電容量をCとすると、前記電圧印加期間における前記圧電素子に流入または前記圧電素子から流出する電流I1が、I1=(V1−V0)×C×fで表される一定電流になるように、前記圧電アクチュエータを駆動する請求項1に記載の圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項6

前記駆動期間は、少なくとも1個の電圧保持期間、または連続した3個以上の電圧印加期間を含んでおり、前記駆動期間は、前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/f以下であり、各電圧印加期間における各目標電圧は、当該電圧印加期間の開始時の電圧よりも最終目標電圧に近い電圧である、請求項2乃至4のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項7

前記駆動期間は、電圧保持期間と、その両側の2つの電圧印加期間とを有し、前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/f以下の時間で振動なく静止する駆動状態にある圧電アクチュエータは、各電圧印加期間における電流を同じとした状態で、電流を変化させて、振動なく静止する駆動状態を保ったまま、前記駆動期間を変更する請求項6に記載の圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項8

前記駆動期間は、前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/f以下であり、初期電圧が最終目標電圧よりも高い場合に、前記駆動期間の前半に前記圧電素子に印加される電圧のピーク値が存在し、かつ前記駆動期間の後半に前記圧電素子に印加される電圧のボトム値が存在し、この場合の前記ピーク値は、前記初期電圧と前記最終目標電圧との中間電圧より高く、かつ前記最終目標電圧以下のいずれかの前記目標電圧であり、かつ前記ボトム値は、前記中間電圧未満で前記初期電圧以上のいずれかの前記目標電圧であり、初期電圧が最終目標電圧よりも低い場合に、前記駆動期間の前半に前記圧電素子に印加される電圧のボトム値が存在し、かつ前記駆動期間の後半に前記圧電素子に印加される電圧のピーク値が存在し、この場合のボトム値は、前記中間電圧以下で前記最終目標電圧以上のいずれかの前記目標電圧であり、かつ前記ピーク値は前記中間電圧以上で前記初期電圧以下のいずれかの前記目標電圧である請求項2乃至4のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項9

前記駆動期間は、3個の電圧印加期間と、この電圧印加期間の合間の2個の電圧保持期間とで構成され、第1の目標電圧は最終目標電圧であり、第2の目標電圧は初期電圧であり、前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/f以下で振動無く静止する駆動状態にある圧電アクチュエータは、各電圧印加期間における電流の絶対値を同一にした状態で、電流の絶対値を変化させて、振動なく静止する駆動状態を保ったまま前記駆動期間を変更する請求項8に記載の圧電アクチュエータの駆動方法。

請求項10

請求項1乃至9のいずれかの駆動方法により前記圧電アクチュエータを駆動する駆動部を備える圧電アクチュエータの駆動回路

請求項11

前記駆動部は、第1基準電圧を前記圧電素子の一端に印加するか否かを切り替える第1切替回路と、前記第1基準電圧よりも電圧レベルの低い第2基準電圧を前記圧電素子の一端に印加するか否かを切り替える第2切替回路と、前記第1切替回路が前記第1基準電圧を前記圧電素子の一端に印加するように切り替えているときに、前記圧電素子に流入する電流が一定になるように電流制限を行う第1電流制限回路と、前記第2切替回路が前記第2基準電圧を前記圧電素子の一端に印加するように切り替えているときに、前記圧電素子から流出する電流が一定になるように電流制限を行う第2電流制限回路と、を有する請求項10に記載の駆動回路。

技術分野

0001

本発明は、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータ目標位置まで高速に移動し、かつ短時間で静止させる駆動方法および駆動回路に関するものである。

背景技術

0002

圧電効果によって電気エネルギーから機械エネルギーへのエネルギー変換を行う圧電素子は、変換効率が高く、小型で、微小変位の制御にすぐれていることから、圧電アクチュエータとして位置決め等に広く用いられている。ただし、圧電素子自体変位量は小さいので、必要な変位を得るために変位拡大機構を組み合わせて使用されることが多い。

0003

図1は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータを示す図である。圧電素子1に接合される機械構造物である変位拡大機構100は、圧電素子1が長さ方向の一端部に当接するU字形の第1の当接部材52と他端部に当接する第2の当接部材53との間に取付けられており、端子51、51間に電圧印加されることにより、圧電素子1に軸方向の変位が生じ、その発生変位ヒンジ54、55を介して左右のアーム56、56に伝達され、さらにアーム56の先端に取付けられた弾性材57を介し、対象物に当接する結合部材58に拡大した変位を与える構成になっている。この拡大した変位の大きさは1mm未満であるため、当該変位を高速で実現するとともに、短時間で静止させることが必要である。

0004

圧電素子1の端子51、51間に電圧を印加するために接続される電気回路を、以下の説明では駆動回路と呼ぶ。

0005

従来の圧電素子1の駆動回路の例を図49(a)(b)(c)に示す。以下、この駆動回路をスイッチ駆動回路と呼ぶ。図49(a)はスイッチ駆動回路の全体図である。圧電素子1は2個の端子を有し、一方の端子はグランドに接続されており、他方の端子はインダクタL101および抵抗R101を介して電圧出力Voutに設定されている。電圧出力Voutは圧電素子1への印加電圧を決める電圧であり、この電圧は、定電圧源2の出力ノード2aから出力される定電圧VHと定電圧源3の出力ノード3aから出力される定電圧VLを、スイッチS101およびスイッチS102の作用により選択した電圧である。なお、定電圧源2のグランドノード2bおよび定電圧源3のグランドノード3bは、いずれも接地されている。そして、定電圧VHと定電圧VLの間にはVH>VLの関係がある。すなわち、定電圧源2は高電位源であり、定電圧源3は低電位源であり、定電圧源2は定電圧源3よりも高い電位を出力する。

0006

ここで、上記のスイッチS101およびスイッチS102の作用について説明する。スイッチS101およびスイッチS102は、それぞれ開閉制御信号SC101および開閉制御信号SC102によって開閉を制御される。具体的には、開閉制御信号SC101の論理レベルロウ(L)の時にスイッチS101が閉じ、開閉制御信号SC102の論理レベルがロウ(L)の時にスイッチS102が閉じる。ここに、開閉制御信号SC101は制御入力Sinの論理レベルを論理反転回路G101によって逆論理にしたものである。また、開閉制御信号SC102は制御入力Sinの論理レベルを論理非反転回路G102によって同一論理にしたものである。これらの関係を図49(b)に表として示す。すなわち、制御入力Sinの論理レベルがハイ(H)の時にスイッチS101が閉じ、電圧出力Voutは定電圧VHになる。また、制御入力Sinの論理レベルがロウ(L)の時にスイッチS102が閉じ、電圧出力Voutは定電圧VLになる。このように、電圧出力Voutは2種類の定電圧VHおよび定電圧VLをスイッチS101およびスイッチS102の作用によって切り替えて出力する。定電圧VHおよび定電圧VLは直流電圧であり、かつ上述のようにVH>VLの関係がある。一方、圧電素子1は容量性部品である。このため、スイッチS101およびスイッチS102の作用により電圧出力Voutが切り替えられると、容量性の部品である圧電素子1の印加電圧が急激に変動して、過大な過渡電流を生じる。この過渡電流は定電圧源2および定電圧源3、スイッチS101、S102に損傷を与えるおそれがあるため、上述のように圧電素子1の他方の端子と電圧出力Voutの間には、過渡電流抑圧回路としてのインダクタL101および抵抗R101が直列に接続されている。

0007

図49(b)に対応するタイムチャート図50および図51に示す。図50は制御入力Sinの論理レベルの時間に対する変化を示したタイムチャートである。時刻ta以前はSinの論理レベルはロウ(L)であり、時刻taにおいて論理レベルはハイ(H)に変化し、時刻tbにおいて論理レベルはロウ(L)に変化する。図51は電圧出力Voutの時間に対する変化を示したタイムチャートである。時間を表わす横軸における時刻taおよびtbは、図50の時刻taおよびtbに対応している。時刻ta以前において電圧出力VoutはVLであり、時刻taにおいて電圧出力VoutはVHに上昇し、時刻ta以後において電圧出力VoutはVHを保持する(VH>VL)。そして時刻tbにおいて電圧出力VoutはVLに下降し、時刻tb以後において電圧出力VoutはVLを保持する。ここに、印加電圧VHとVLの差分が大きいほど圧電素子1の変位は大きくなる。このため、大きな変位を得るためにはVHを正電圧とし、VLを負電圧とすることが有効である。ただし、圧電素子1の特性上、VLの絶対値はVHの絶対値よりもかなり小さい。一例として、VH=100Vに対してVL=−15Vに設定する駆動回路がある。一方、それほど大きな変位を必要としない場合、あるいは図49(a)において定電圧源2および定電圧源3を使用すると、定電圧源が2個必要になってコストアップにつながると判断された場合等には、定電圧源3を使用しない回路とすることもある。具体的には、図49(a)において、一点鎖線領域E内の回路を図49(c)の回路に置換し、定電圧源3を省略するとともに、スイッチS102により選択される電圧を負電圧のVLからグランド、すなわち0Vとする。この場合には、図49(b)および図51におけるVoutの電圧VLは0Vになる。そして、定電圧源2は高電位源であり、グランドは低電位源であり、定電圧源2はグランドよりも高い電位を出力する。この関係は、定電圧源2と定電圧源3を使用した場合の関係と同一である。

0008

圧電素子1への印加電圧は矩形波に限定されるので、印加電圧の立ち上がりおよび立ち下がりは極めて急峻になる。このため、圧電素子1の変位も極めて急峻になり、変位の際に変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数等による大きな振動が発生する。これによって、圧電素子1が変位後に静止するまでに時間を要する。この問題を解決するための対策を施した圧電素子1の駆動回路の例を図52に示す。以下、この駆動回路を任意波形駆動回路と呼ぶ。図52において任意波形発生部101は、10μsから1ms程度の微小時間Δtの間に、任意の大きさの矩形波電圧Vo1を波形出力101aに送出する機能を有する。微小時間Δtおよび矩形波電圧Vo1の値は、手動およびソフトウェアにより設定する。任意波形発生部101により送出される矩形波電圧Vo1は、負荷を接続した状態で電流をほとんど供給することができない。そこで、波形出力101aを電力増幅器103の入力103iに接続して、負荷に十分な電流を供給できる定電圧源出力としての負荷駆動電圧Vo2を増幅出力103oに送出する。そして、圧電素子1は、図49(a)と同様に一方の端子がグランドに接続され、他方の端子が上記増幅出力103oに接続されている。これにより、圧電素子1に負荷駆動電圧Vo2が供給される。

0009

上述のように、任意波形駆動回路において、負荷駆動電圧Vo2はその値を微小時間Δtの間に任意の大きさとすることができる。負荷駆動電圧Vo2の時間に対する変化の例を図53に示す。図53において、負荷駆動電圧Vo2の定電圧VHは正電圧で、定電圧VLは0Vである。もちろん、スイッチ駆動回路と同様に定電圧VLを負電圧としてもよい。そして、負荷駆動電圧Vo2は定電圧VHおよび定電圧VLの間を微小時間Δt単位に緩やかに上昇あるいは下降している。具体的には、時刻tc以前において負荷駆動電圧Vo2はVLからVHに向けて微小時間Δtごとに緩やかに上昇し、時刻tcから時刻tdまでは負荷駆動電圧Vo2はVHを保持し、時刻tdから時刻teまでは負荷駆動電圧Vo2はVHからVLに向けて微小時間Δtごとに緩やかに下降し、時刻te以後において負荷駆動電圧Vo2はVLを保持する。

0010

ここで、任意波形駆動回路を用いて定電圧VHと定電圧VLの間の電圧の変化を緩やかにすることにより、圧電素子1が変位する際に変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数による振動を防止して、速やかに制動させることができる。以下、この制動を傾斜電圧制動と呼ぶ。傾斜電圧制動は、圧電素子1への印加電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間を有し、駆動期間は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる時間である。また、駆動期間は1つの電圧印加期間であり、それは初期電圧において最終目標電圧を目標電圧として、一定の変化率で印加電圧の変化を開始し、上記1/fの時間において終了する期間である。なお、上記の変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数とは、圧電素子1に接合される機械構造物の質量のみで決まるものではない。それは、図1に示す変位拡大機構付き圧電アクチュエータ100の動作時において、圧電素子1が受ける外力与圧摩擦、および結合部材58に当接する対象物の質量等、すべての力および質量によって決まる一次固有振動周波数である。

0011

傾斜電圧制動の原理を、図54乃至図58を用いて説明する。図54は、図53の負荷駆動電圧(印加電圧)Vo2の時間に対する変化を模式化した傾斜電圧制動のグラフである。図54において、縦軸は印加電圧を示すが、簡単のために電圧と表記している。また、時間を表す横軸における時刻の表記で、図53における時刻tcは、図54において時刻1/fとなっている。ここに、fは変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数である。また、時刻0から時刻1/fまでの間を6等分して、1/6fから5/6fと表記している。同様に、図53における時刻tdは、図54において時刻Trsとなっている。また、時刻Trsから電圧がVLになるまでの時刻との間を6等分して、Trs+1/6fからTrs+1/fと表記している。なお、以下の説明では、圧電素子1への印加電圧を低い電圧から高い電圧へ変化させる電圧印加期間を印加電圧上昇期間と呼び、圧電素子1への印加電圧を高い電圧から低い電圧へ変化させる電圧印加期間を印加電圧下降期間と呼ぶ。また、印加電圧を低い初期電圧から高い最終目標電圧へ変化させて、圧電素子1が伸びる方向(図1における矢印A方向)に変位させる駆動期間を上昇の駆動期間と呼び、印加電圧を高い初期電圧から低い最終目標電圧へ変化させて、圧電素子1が縮む方向(図1における矢印B方向)に変位させる駆動期間を下降の駆動期間と呼ぶ。ここに、上昇の駆動期間および下降の駆動期間の各名称における上昇ならびに下降は、図1に示す変位拡大機構を有する圧電アクチュエータにおける各駆動期間において、結合部材58に当接する対象物が移動する方向とは無関係である。

0012

図54において、時刻0から時刻1/fまでの間に電圧がVLからVHまで上昇する区間を区間[1]、時刻1/fから時刻Trsまでの間に電圧がVHを保持する区間を区間[2]、時刻Trsから時刻Trs+1/fまでの間に電圧がVHからVLまで下降する区間を区間[3]、時刻Trs+1/f以後に電圧がVLを保持する区間を区間[4]としている。図54には、時刻0から始まる駆動期間と、時刻Trsから始まる駆動期間の2つの駆動期間が示されている。ここに、時刻0から始まる駆動期間は、初期電圧が低い電圧VLであり、最終目標電圧が高い電圧VHであり、区間[1]が電圧印加期間である。よって、区間[1]は印加電圧上昇期間であり、この駆動期間は上昇の駆動期間である。また、時刻Trsから始まる駆動期間は、初期電圧が高い電圧VHであり、最終目標電圧が低い電圧VLであり、区間[3]が電圧印加期間である。よって、区間[3]は印加電圧下降期間であり、この駆動期間は下降の駆動期間である。区間[1]および区間[3]の開始から完了までの時間はいずれも1/fである。また、任意波形駆動回路で駆動する場合には、区間[1]および区間[3]における実際の電圧の変化は、図53に示すように微小時間Δtごとに上昇あるいは下降しているのであるが、図54においては簡単のため、当該区間において一様に上昇あるいは下降するように表記している。

0013

今、電圧VH=100V、電圧VL=0V、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数f=1kHzの場合の傾斜電圧制動の動作原理について、図55乃至図58を用いて説明する。図55は、圧電素子1の印加電圧を時刻0において上昇に転じた時の、圧電素子1の印加電圧と変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位(図1における結合部材58の変位)を示したグラフである。ここに、時刻0以前の電圧は0Vである。電圧は時刻1.00ms(=1/f)において100Vに到達するように一様に上昇させている。実線が電圧で、破線が変位である。説明の都合上、両者を重ね書きしてある。

0014

図55において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、印加電圧を0Vから100Vに上昇させることにより、初期位置である0μmから目標位置である300μmまでの変位が得られる。図示されない変位の縦軸は、電圧0Vに0μmが対応し、電圧100Vに300μmが対応する。この変位のグラフは、傾きが大きいほど速度が大きいことを示し、水平な部分は速度が0、すなわち静止していることを示す。また、電圧のグラフと変位のグラフが離間している場合には、その離間距離が大きいほど、加速度が大きいことを示す。一方、電圧のグラフと変位のグラフが重なっている場合には、当該変位は当該電圧によって生ずることが期待される変位に一致しており、加速度が0であることを示す。

0015

いま、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、電圧を時刻1/fすなわち1.00msにおいて最終目標電圧に到達するように一定の傾きで上昇させる。時刻0において電圧が上昇に転じると、図55に示すように、圧電素子1に接合された機械構造物は加速度を得て変位を開始する。この変位開始時において、機械構造物は急峻な電圧の変化に追随できない。すなわち、電圧のグラフが右上がりの直線であるのに対して、変位のグラフは電圧のグラフから離間して、略水平方向に変化を開始してから徐々に傾きが大きくなる曲線を描き、前記一次固有振動周波数fで振動するように変位する。この時、前記一次固有振動周波数f=1kHzなので、時刻0から時刻1/fすなわち1.00msまでが変位の周期に一致する。また、時刻0における速度は0であり、そこから印加電圧により加速度を得て変位を開始するので、上記変位の周期が経過した時刻1.00msにおける速度もまた0である。図55において、時刻1.00ms以後の電圧を100Vに保持した時の電圧および変位を、図56に示す。これは、図54の区間[1]および区間[2]に相当する。当該区間を図56にも記載している。図55においては、時間の経過とともに電圧が一定の割合で上昇するので、変位は1.00msを周期として繰り返す。この時、時刻1.00msの位置において変位と電圧が重なっているので、時刻1.00msには機械構造物に加速度が生じない。かつ、上述のように時刻1.00msにおける変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位のグラフは水平であり、その速度は0であるから、時刻1.00msにおいて機械構造物が停止する。そこで図56のように、時刻1.00ms以後(区間[2])の電圧を100Vに保持すると、時刻1.00ms以降も加速度を有さず、かつ速度を有さない状態、すなわち停止状態が継続する。このように、時刻1.00ms以降において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動は発生しないので、速やかな制動が可能となる。

0016

図57は、圧電素子1の印加電圧を時刻Trsにおいて下降に転じた時の、圧電素子1の印加電圧と変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位を示したグラフである。ここに、時刻Trs以前の電圧は100Vである。電圧は時刻Trs+1.00ms(=Trs+1/f)において0Vに到達するように一様に下降させている。実線が電圧で、破線が変位である。説明の都合上、両者を重ね書きしてある。

0017

図57において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、印加電圧を100Vから0Vに下降させることにより、初期位置である300μmから目標位置である0μmまでの変位を得られる。図示されない変位の縦軸は、電圧100Vに300μmが対応し、電圧0Vに0μmが対応する。図57における変位のグラフの傾きと速度の関係、および電圧のグラフと変位のグラフの相互位置と加速度の関係は、図55と同じである。

0018

時刻Trsにおいて電圧が下降に転じると、図57に示すように、圧電素子1に接合された機械構造物は加速度を得て変位を開始する。この変位開始時において、機械構造物は急峻な電圧の変化に追随できない。すなわち、電圧のグラフが右下がりの直線であるのに対して、変位のグラフは電圧のグラフから離間して、略水平方向に変化を開始してから徐々に傾きが大きくなる曲線を描き、前記一次固有振動周波数fで振動するように変位する。この時、前記一次固有振動周波数f=1kHzなので、時刻Trsから時刻Trs+1/fすなわちTrs+1.00msまでが変位の周期に一致する。また、時刻Trsにおける速度は0であり、そこから印加電圧により加速度を得て変位を開始するので、上記変位の周期が経過した時刻Trs+1.00msにおける速度もまた0である。図57において、時刻Trs+1.00ms以後の電圧を0Vに保持した時の電圧および変位を、図58に示す。これは、図54の区間[2]乃至区間[4]に相当する。当該区間を図58にも記載している。図57においては、時間の経過とともに電圧が一定の割合で下降するので、変位は1.00msを周期として繰り返す。これに対して図58においては、時刻Trs+1.00ms以後(区間[4])の電圧は0Vに保持される。この時、時刻Trs+1.00msの位置において変位と電圧が重なっているので、時刻Trs+1.00msには機械構造物に加速度が生じない。かつ、上述のように時刻Trs+1.00msにおける変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位のグラフは水平であり、その速度は0であるから、時刻Trs+1.00msにおいて機械構造物が停止する。時刻Trs+1.00ms以降も電圧は0Vに保持され、加速度を有さず、かつ速度を有さない状態、すなわち停止状態が継続する。このように、時刻Trs+1.00ms以降において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動は発生しないので、速やかな制動が可能となる。

0019

以上のように、傾斜電圧制動は一次固有振動周波数を利用する制動であり、一次固有振動周波数による振動を打ち消して、速やかに制動させるものである。そして、任意波形駆動回路を用いた傾斜電圧制動を採用することにより、圧電素子1が変位する際に変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数による振動を防止して、速やかに制動させることができる。

0020

上述のように、傾斜電圧制動における電圧印加期間は、初期電圧において最終目標電圧を目標電圧として、一定の変化率で印加電圧の変化を開始し、終了するまでの時間は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる。

先行技術

0021

特開2009−38877号公報

発明が解決しようとする課題

0022

以上の傾斜電圧制動の動作原理の説明においては、簡単のため、理想的な圧電素子1に接合される理想的な機械構造物を想定した。しかし、実際には、圧電素子1の変位は印加電圧に正確に比例せず、また印加電圧の上昇時と下降時で異なる軌跡となる非線形的な曲線、すなわちヒステリシス曲線を描く。印加電圧の変化に対して変位がヒステリシス曲線を描く例を、図59に示す。

0023

図59において、印加電圧を0Vから100Vに上昇させた時の変位のグラフはw1のようになり、印加電圧を100Vから0Vに下降させた時の変位のグラフはw2のようになる。ここに、説明の理解を助けるために、印加電圧の変化の方向を示す矢印をw1とw2の各グラフに重ね書きしてある。このように、w1とw2のグラフが示す印加電圧対変位の特性は、明らかに異なっている。このため、例えば一点鎖線で示す同一の印加電圧50Vに対応する変位は、印加電圧を0Vから100Vに上昇させた場合(w1のグラフ上)は約4μmであるが、印加電圧を100Vから0Vに下降させた場合(w2のグラフ上)は約5.2μmとなる。すなわち、両者の値は異なっている。このようになる原因は、圧電素子1が抵抗成分を有するために印加電圧に損失が発生すること、ならびに圧電素子1に接合された機械構造物が圧電素子1への印加電圧により変位する際に圧電素子1が機械構造物に与えるエネルギーの一部が消費されること、および機械構造物が変位する際の摩擦や変形に伴うエネルギーの損失が発生すること等である。このため、実際の傾斜電圧制動においては、機械構造物の速度が0、かつ加速度が0という状態で停止する時刻は、図56に示す時刻1.00ms(1/f)および図58に示す時刻Trs+1.00ms(Trs+1/f)ではなく、これらの時刻から少しずれた時刻となる。そこで、以下の調整を行うことで、速度が0、かつ加速度が0で停止する時刻を見つけて、その時刻において停止させるようにする。まず変位拡大機構を有する圧電アクチュエータを構成する圧電素子1に対して、図52に示す任意波形駆動回路を用いて図53の電圧を印加する。そして、圧電素子1に接合した機械構造物に変位計(変位を例えば図56のように波形として表示する市販の測定器)を取付けて、機械構造物の変位の波形を表示させる。次に、機械構造物の停止時における当該波形の振動が最小になるように、波形を確認しながら任意波形駆動回路の出力を変化させる。この振動が最小となる時刻が、上記の機械構造物の速度が0、かつ加速度が0という状態で停止する時刻である。

0024

しかし、任意波形駆動回路および傾斜電圧制動には、以下の問題点がある。まず、任意波形駆動回路の問題点は、例えば図53のような時間変化を有する電圧波形を決定するために必要なパラメータが多くなり、それに伴って演算のための回路規模が大きくなり、制御が複雑になることである。また、上述のように、機械構造物の変位を確認しながら、停止時の振動が最小になるように任意波形駆動回路の出力を変化させる調整が必要になる。しかし、任意駆動回路の出力を変化させるためには、多くのパラメータを変更する必要が生じることが多く、出力決定までに時間を要する。このため、調整に多大な時間を要する。

0025

また、駆動期間を変更する際には、上述の調整のように、停止時の振動が最小になる状態を保持したままで駆動時間を変更しなくてはならない。ところが、傾斜電圧制動においては、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの移動時間、すなわち駆動期間が、圧電素子1に接合される機械構造物の一次固有振動周波数fにより決定される時間1/fに限定されてしまう。これが傾斜電圧制動の問題点である。変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの移動時間を1/fより高速化したいという要請は大きい。また、図54における区間[1]の終了時点において、図1に示す結合部材58が対象物に当接する際の衝撃を抑えるために、区間[1]の移動時間を変化させることによって調整したいという要請も大きい。さらに、前記の調整とともに、図54における区間[3]の移動時間を高速化することにより、全体の動作時間を高速化したいという要請も大きい。しかし、上述のように、傾斜電圧制動においては、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの移動時間が1/fに限定されてしまうので、これらの要請に対応することはできない。

0026

さらに、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、上述の一次固有振動周波数f以外にも、高次の固有振動周波数を有する場合がある。そして、高次の固有振動周波数が多数存在し、圧電素子1に接合した機械構造物に非常に複雑な振動を発生させる場合がある。この振動は共振現象であるため、共振点外れれば振動は急速に減衰する。すなわち、駆動期間を変化させることができれば、共振点を回避して、振動を最小にすることが可能である。しかしながら、上述のように、傾斜電圧制動においては、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの移動時間、すなわち駆動期間が1/fに限定されてしまうので、高次の固有振動周波数に基づく振動を最小にすることはできない。

0027

本発明の目的は、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータにおいて、簡単な駆動回路により、該アクチュエータ具備する圧電素子に接合された機械構造物の一次固有振動周波数による振動を防止して、圧電素子の駆動期間を短縮させたいという要請および駆動期間を容易に変化させたいという要請に対応することが可能な駆動方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0028

上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、圧電素子と前記圧電素子の変位を拡大する変位拡大機構とを有し、一次固有振動周波数fを有する圧電アクチュエータを、前記圧電素子に印加する電圧を1/f以下の期間で初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動方法において、
前記圧電素子に印加する電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間は、電圧印加期間を含んでおり、
電圧印加期間は時間tに比例して変化する電圧Vであり、
前記電圧印加期間は、容量性負荷としての前記圧電素子に一定の電流を流入させて、電流の流入時間に比例して前記圧電素子への印加電圧を上昇させ、あるいは前記圧電素子から一定の電流を流出させて、電流の流出時間に比例して前記圧電素子への印加電圧を下降させるものであり、
一定の電流をI、前記圧電素子の静電容量をC、一定の電流の流入あるいは流出時間をtとしたときに、前記最終目標電圧までの電圧変化の終了とともに変位が振動なく静止するように、V=tI/Cで表される電圧を前記圧電素子に印加する圧電アクチュエータの駆動方法が提供される。

0029

前記電圧印加期間において目標電圧が設定されていてもよく、
前記目標電圧が初期電圧から最終目標電圧までの中間目標電圧の場合は、当該目標電圧に到達すると当該電圧印加期間を終了させてもよい。

0030

前記駆動期間は、N(Nは2以上の整数)個の電圧印加期間からなり、電圧印加期間後、次の電圧印加期間開始までの間に時間がある場合、当該時間は目標電圧を保持する電圧保持期間であり、
前記電圧保持期間の電圧が前記中間目標電圧である場合、前記N個の電圧印加期間のそれぞれにおいて前記圧電素子に印加する電圧が対応する前記中間目標電圧に到達すると、当該電圧印加期間を終了させて、次の電圧印加期間が開始されるまで電流の流入流出を遮断し、前記圧電素子の静電容量にて前記圧電素子に印加される電圧を保持してもよい。

0031

前記中間目標電圧に到達する電圧印加期間は、
前記圧電素子の静電容量をC、前記圧電素子への印加電圧をV、前記電圧印加期間内に前記圧電素子に流れる電流をIとすると、t=CV/Iで表される時間に終了してもよい。

0032

前記駆動期間は、前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/fであってもよく、
前記駆動期間は、一つの電圧印加期間で構成されてもよく、
前記圧電素子の静電容量をCとすると、前記電圧印加期間における前記圧電素子に流入または前記圧電素子から流出する電流I1が、I1=(V1−V0)×C×fで表される一定電流になるように、前記圧電アクチュエータを駆動してもよい。

0033

前記駆動期間は、少なくとも1個の電圧保持期間、または連続した3個以上の電圧印加期間を含んでいてもよく、
前記駆動期間は、前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/f以下であってもよく、
各電圧印加期間における各目標電圧は、当該電圧印加期間の開始時の電圧よりも最終目標電圧に近い電圧であってもよい。

0034

前記駆動期間は、電圧保持期間と、その両側の2つの電圧印加期間とを有していてもよく、
前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/f以下の時間で振動なく静止する駆動状態にある圧電アクチュエータは、各電圧印加期間における電流を同じとした状態で、振動なく静止する駆動状態を保ったまま、前記駆動期間を変更してもよい。

0035

前記駆動期間は、前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/f以下であってもよく、
初期電圧が最終目標電圧よりも高い場合に、前記駆動期間の前半に前記圧電素子に印加される電圧のピーク値が存在し、かつ前記駆動期間の後半に前記圧電素子に印加される電圧のボトム値が存在し、この場合の前記ピーク値は、前記初期電圧と前記最終目標電圧との中間電圧より高く、かつ前記最終目標電圧以下のいずれかの前記目標電圧であり、かつ前記ボトム値は、前記中間電圧未満で前記初期電圧以上のいずれかの前記目標電圧であってもよく、
初期電圧が最終目標電圧よりも低い場合に、前記駆動期間の前半に前記圧電素子に印加される電圧のボトム値が存在し、かつ前記駆動期間の後半に前記圧電素子に印加される電圧のピーク値が存在し、この場合のボトム値は、前記中間電圧以下で前記最終目標電圧以上のいずれかの前記目標電圧であり、かつ前記ピーク値は前記中間電圧以上で前記初期電圧以下のいずれかの前記目標電圧であってもよい。

0036

前記駆動期間は、3個の電圧印加期間と、この電圧印加期間の合間の2個の電圧保持期間とで構成されてもよく、
第1の目標電圧は最終目標電圧であり、第2の目標電圧は初期電圧であってもよく、
前記圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、1/f以下で振動無く静止する駆動状態にある圧電アクチュエータは、各電圧印加期間における電流の絶対値を同一にした状態で、電流の絶対値を変化させて、振動なく静止する駆動状態を保ったまま前記駆動期間を変更してもよい。

0037

上述したいずれかの駆動方法により前記圧電アクチュエータを駆動する駆動部を備えていてもよい。

0038

前記駆動部は、
第1基準電圧を前記圧電素子の一端に印加するか否かを切り替える第1切替回路と、
前記第1基準電圧よりも電圧レベルの低い第2基準電圧を前記圧電素子の一端に印加するか否かを切り替える第2切替回路と、
前記第1切替回路が前記第1基準電圧を前記圧電素子の一端に印加するように切り替えているときに、前記圧電素子に流入する電流が一定になるように電流制限を行う第1電流制限回路と、
前記第2切替回路が前記第2基準電圧を前記圧電素子の一端に印加するように切り替えているときに、前記圧電素子から流出する電流が一定になるように電流制限を行う第2電流制限回路と、を有していてもよい。

発明の効果

0039

本発明によれば、簡単な駆動回路により、圧電素子に接合された変位拡大機構の一次固有振動周波数による振動を防止できる。これにより、圧電素子への駆動期間を短縮でき、圧電アクチュエータを高速に動作させることができる。

図面の簡単な説明

0040

変位拡大機構を有する圧電アクチュエータを示す図。
(a) 本発明の第1の実施形態における圧電素子の駆動回路の全体図、(b)図2(a)の回路の動作の論理を示す図、(c)図2(a)の回路における一点鎖線領域C内の置換例を示す図。
最大電流制限回路の具体例を示す図。
定電流による電圧レベル遷移時間変更方法を説明する図。
二段電圧制動における圧電素子の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフ。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動における圧電素子の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフ。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動における圧電素子の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフ。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
二段電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動における圧電素子の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフ。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動における圧電素子の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフ。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動における圧電素子の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフ。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス電圧制動の動作原理の説明図。
多段電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス中間電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス中間電圧制動の動作原理の説明図。
プレパルス中間電圧制動の動作原理の説明図。
多段電圧制動の変形例の動作原理の説明図。
多段電圧制動の変形例の動作原理の説明図。
プレパルス中間電圧制動の変形例の動作原理の説明図。
プレパルス中間電圧制動の変形例の動作原理の説明図。
プレパルス中間電圧制動の変形例の動作原理の説明図。
多段電圧制動の変形例の動作原理の説明図。
プレパルス中間電圧制動の変形例の動作原理の説明図。
(a) 本発明における定電圧源と最大電流制限回路を組み合わせた駆動回路の全体図、(b)図48(a)の回路の動作の論理を示す図、(c)図48(a)における一点鎖線領域D内の置換例を示す図。
(a) 従来技術における圧電素子の駆動回路の例としてのスイッチ駆動回路の全体図、(b)図49(a)の回路の動作の論理を示す図。
図49(b)に対応するタイムチャート。
図49(b)に対応するタイムチャート。
従来技術における圧電素子の駆動回路の例としての任意波形駆動回路の図。
任意波形駆動回路における負荷駆動電圧の時間に対する変化の例を示す図。
傾斜電圧制動における圧電素子の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフ。
傾斜電圧制動の動作原理の説明図。
傾斜電圧制動の動作原理の説明図。
傾斜電圧制動の動作原理の説明図。
傾斜電圧制動の動作原理の説明図。
傾斜電圧制動の動作原理の説明図。

実施例

0041

以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。

0042

(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態における圧電素子1の駆動回路(電気回路)を、図2(a)(b)(c)に示す。図2(a)は駆動回路の全体図である。この駆動回路は後述のように、上昇の駆動期間における初期電圧VLおよび最終目標電圧VHと、下降の駆動期間における初期電圧VHおよび最終目標電圧VLを、高電位源としての定電圧源2と低電位源としての定電圧源3とにより得るものである。本実施形態による駆動回路は、定電圧源2からの電圧(第1基準電圧)を圧電素子1の一端に印加するか否かを切り替える第1の切替部(第1切替回路)4Sと、第1基準電圧よりも電圧レベルの低い定電圧源3からの電圧(第2基準電圧)を圧電素子1の一端に印加するか否かを切り替える第2の切替部(第2切替回路)5Sと、第1の切替部4Sが第1基準電圧を圧電素子1の一端に印加するように切り替えているときに、圧電素子1に流入する電流が一定になるように電流制限を行う最大電流制限回路(第1電流制限回路)4と、第2の切替部5Sが第2基準電圧を圧電素子1の一端に印加するように切り替えているときに、圧電素子1から流出する電流が一定になるように電流制限を行う最大電流制限回路(第2電流制限回路)5と、を有する。圧電素子1は2個の端子を有し、一方の端子はグランドに接続されており、他方の端子は電流入出力ノードNioに接続されている。電流入出力ノードNioに流れる電流Iioは、最大電流制限回路4の電流出力ノード4yから圧電素子1に向けて流入する流入電流Iciと、最大電流制限回路5の電流入力ノード5xに向けて圧電素子1から流出する流出電流Icoとのいずれか一方を、最大電流制限回路4内のスイッチS1および最大電流制限回路5内のスイッチS2の作用により選択した電流である。最大電流制限回路4の電流入力ノード4xは高電位源としての定電圧源2の出力ノード2aに接続され、そこには定電圧VHが印加されている。すなわち、最大電流制限回路4は、定電圧源2の出力ノード2aから出力される定電圧VHの最大電流を一定の制限値にするとともに、スイッチS1の作用によって圧電素子1と定電圧源2とを接続して、定電圧源2から圧電素子1に一定の制限値となった電流を流入させ、あるいは圧電素子1と定電圧源2との接続を解除して、前記電流の流入を停止させる第1の切替部4Sを構成する。一方、最大電流制限回路5の電流出力ノード5yは低電位源としての定電圧源3の出力端子3aに接続され、そこには定電圧VLが印加されている。すなわち、最大電流制限回路5は、定電圧源3の出力ノード3aから出力される定電圧VLの最大電流を一定の制限値にするとともに、スイッチS2の作用によって圧電素子1と定電圧源3とを接続して、圧電素子1から定電圧源3に一定の制限値となった電流を流出させ、あるいは圧電素子1と定電圧源3との接続を解除して、前記電流の流出を停止させる第2の切替部5Sを構成する。ここに、定電圧源2の出力である電位VHと定電圧源3の出力である電位VLの間にはVH>VLの関係があり、上記のように、定電圧源2は高電位源として、また定電圧源3は低電位源として動作する。なお、定電圧源2のグランドノード2bおよび定電圧源3のグランドノード3bは、いずれも接地されている。定電圧源2,3と最大電流制限回路4,5とで駆動部が構成されている。

0043

次に、上記のスイッチS1およびスイッチS2の作用について説明する。スイッチS1およびスイッチS2は、それぞれ開閉制御信号SC1および開閉制御信号SC2によって開閉を制御される。具体的には、開閉制御信号SC1の論理レベルがロウ(L)の時にスイッチS1が閉じ、開閉制御信号SC2の論理レベルがロウ(L)の時にスイッチS2が閉じる。ここに、開閉制御信号SC1は制御入力Sin1の論理レベルを論理反転回路G11によって逆論理にしたものである。また、開閉制御信号SC2は制御入力Sin2の論理レベルを論理反転回路G12によって逆論理にしたものである。これらの関係を図2(b)に示す。

0044

電圧印加期間が、圧電素子1への印加電圧を初期電圧から目標電圧に向けて上昇させる印加電圧上昇期間の場合には、第1の切替部4Sは圧電素子1と定電圧源2とを接続し、第2の切替部5Sは圧電素子1と定電圧源3との接続を解除する。すなわち、図2(b)に示すように、制御入力Sin1の論理レベルがハイ(H)であり、かつ制御入力Sin2の論理レベルがロウ(L)の時にスイッチS1が閉じ、最大電流制限回路4の電流出力ノード4yから電流入出力ノードNioを通って圧電素子1に向けて流入電流Iciが流入し、印加電圧上昇期間が開始する。そして、図2(a)に示す圧電素子1への印加電圧Vpが定電圧VHに到達して定電圧源2の出力と同電位(図2(b)において、Vpの最終値がVH)になると、流入電流Iciが停止して印加電圧上昇期間は終了する。

0045

また、電圧印加期間が、圧電素子1への印加電圧を初期電圧から目標電圧に向けて下降させる印加電圧下降期間の場合には、第1の切替部4Sは圧電素子1と定電圧源2との接続を解除し、第2の切替部5Sは圧電素子1と定電圧源3とを接続する。すなわち、図2(b)に示すように、制御入力Sin1の論理レベルがロウ(L)であり、かつ制御入力Sin2の論理レベルがハイ(H)の時にスイッチS2が閉じ、圧電素子1から電流入出力ノードNioを通って最大電流制限回路5の電流入力ノード5xに向けて流出電流Icoが流出し、印加電圧下降期間が開始する。そして、図2(a)に示す圧電素子1への印加電圧Vpが定電圧VLに到達して定電圧源3の出力と同電位(図2(b)において、Vpの最終値がVL)になると、流出電流Icoが停止して印加電圧下降期間は終了する。

0046

なお、制御入力Sin1の論理レベルがロウ(L)であり、かつ制御入力Sin2の論理レベルがロウ(L)の場合については後述する。ここに、制御入力Sin1の論理レベルがハイ(H)であり、かつ制御入力Sin2の論理レベルがハイ(H)となる設定は、スイッチ1およびスイッチ2が同時に閉じるため、設定不可となっている。実際の回路においては、必要に応じて、そのような設定ができないように、図示されない設定禁止回路を設けても良い。

0047

ところで、印加電圧VHとVLの差分が大きいほど圧電素子1の変位は大きくなる。このため、大きな変位を得るためにはVHを正電圧とし、VLを負電圧とすることが有効である。ただし、圧電素子1の特性上、VLの絶対値はVHの絶対値よりもかなり小さい。一例として、VH=100Vに対してVL=−15Vの回路がある。一方、それほど大きな変位を必要としない場合、あるいは図2(a)において定電圧源2および定電圧源3を使用すると、定電圧源が2個必要になってコストアップにつながると判断された場合等には、定電圧源3を使用しない回路とすることもある。具体的には、図2(a)において、一点鎖線領域K内の回路を図2(c)の回路に置換し、定電圧源3をなくすとともに、最大電流制限回路5の電流出力5yに接続される電圧を負電圧のVLからグランド、すなわち0Vとする。この場合は、低電位源としてグランドを使用しており、VL=0Vとなる。そして、図2(b)におけるVpの最終値の電圧VLは0Vになる。以下、本発明の第1の実施形態に関する説明においては、VL=0Vとして記載する。

0048

最大電流制限回路4の具体例を図3に示す。この最大電流制限回路4において、電流入力ノード4xと電流出力ノード4yの間に電界効果トランジスタ(以下FETと記載)Q1と抵抗R1を直列に接続している。FETQ1と抵抗R1は、電流入力ノード4xから電流出力ノード4yに向けて流れる電流が一定値になるように制御する機能の一部を構成する。また、FETQ1は、電流入力ノード4xと電流出力ノード4yとを接続して、前記一定値となった電流を電流入力ノード4xから電流出力ノード4yに向けて流すことと、その接続を解除して、前記一定値となった電流を電流入力ノード4xと電流出力ノード4yとの間で遮断することを選択するスイッチ機能図2(a)におけるスイッチS1に相当)も併せて有する。すなわち、図3に示す最大電流制限回路4は、第1の切替部4Sとしての機能を有する。

0049

なお、この最大電流制限回路4は一例であり、電流が一定値になるように制御する機能と、その一定値となった電流を流すか遮断するかを選択するスイッチ機能の2つの機能を有する回路であれば、その構成は図3の最大電流制限回路4に限定されるものではない。

0050

以下に、図3を用いて最大電流制限回路4について説明する。電流入力ノード4xはFET(電界効果トランジスタ)Q1のドレインに接続されている。FETQ1のソースは抵抗R1の一端およびオペアンプU1の+(プラス)入力に接続されている。抵抗R1の他端は電流出力ノード4yおよびオペアンプU1の−(マイナス)入力に接続されている。オペアンプU1の出力は、オペアンプU2の−(マイナス)入力に接続されている。ここに、オペアンプU1には図示されない周辺回路が接続され、予め決められたn倍の増幅率を得るようになっている。オペアンプU2の+(プラス)入力は、基準電圧発生部Nから供給される直流電圧である基準電圧Vrefに接続されている。オペアンプU2の出力は、抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は、FETQ1のゲートおよびスイッチS1aの一端に接続されている。スイッチS1aの他端は、FETQ1のゲートに印加してドレインとソースの導通を遮断することができる遮断電圧Voffに接続されている。スイッチS1aの開閉は、開閉制御信号SC1により行われる。すなわち、開閉制御信号SC1の論理レベルがハイ(H)の時にスイッチS1aが閉じる。ここに、開閉制御信号SC1は制御入力Sin1の論理レベルを論理反転回路G11によって逆論理にしたものである。すなわち、制御入力Sin1がロウ(L)の時にスイッチS1aが閉じ、制御入力Sin1がハイ(H)の時にスイッチS1aが開く。

0051

以上の構成を有する最大電流制限回路4の動作について、以下に説明する。制御入力Sin1がロウ(L)の時はスイッチS1aが閉じており、これにより遮断電圧VoffがFETQ1のゲートに印加される。この時、ドレインとソースの導通が遮断され、電流入力ノード4xと電流出力ノード4yとの間の接続が解除される。また、制御入力Sin1がハイ(H)の時はスイッチS1aが開いており、これにより遮断電圧VoffがFETQ1のゲートに印加されない。この時、ドレインとソースとの間が導通して、電流入力ノード4xと電流出力ノード4yとの間が接続される。

0052

そして、電流入力ノード4xからFETQ1のドレイン、ソースを経由して、電流出力ノード4yまで電流Icが流れる。

0053

初期状態において、制御入力Sin1はロウ(L)である。これをハイ(H)にすると、FETQ1のドレインとソースの間は導通して、電流入力ノード4xからFETQ1のドレインおよびソースを経由して、電流出力ノード4yまで電流Icが流れる。この電流が抵抗R1を通過すると、抵抗R1の両端に電圧V1=Ic×R1を生じる。この電圧はオペアンプU1の+(プラス)入力と−(マイナス)入力に接続され、オペアンプU1の増幅作用によりn倍されてnV1として出力される。この電圧nV1はオペアンプU2の−(マイナス)入力に接続され、+(プラス)入力に接続された基準電圧Vrefと比較される。nV1>Vrefの時にはオペアンプU2の出力が低下して、FETQ1のゲート電圧が低下する。これにより、電流Icが小さくなり、抵抗R1の両端の電圧V1も小さくなる。そして、nV1も小さくなり、nV1=Vrefとなるまでこれが繰り返される。逆にnV1<Vrefの時にはオペアンプU2の出力が上昇して、FETQ1のゲート電圧が上昇する。これにより、電流Icが大きくなり、抵抗R1の両端の電圧V1も大きくなる。そして、nV1も大きくなり、nV1=Vrefとなるまでこれが繰り返される。

0054

以上のように、最大電流制限回路4は電流IcがnV1=Vrefを満足する一定の電流値となるように動作する。また、nV1=VrefおよびV1=Ic×R1という2つの式から、上記一定の電流値は抵抗R1あるいは基準電圧Vrefを変更することにより、比較する値を設定することができることがわかる。

0055

最大電流制限回路4において、上記比較する値を制限値と呼び、最大電流制限回路4を流れる電流Icは、制限値により設定された電流に一致する一定の電流となる。なお、この一定の電流が最大電流制限回路4を流れるのは、電流出力ノード4yが電流入力ノード4xと同じ電圧に到達するまでの間である。その理由は、以下のとおりである。電流出力ノード4yが電流入力ノード4xと同じ電圧に到達すると、抵抗R1の両端の電位差がなくなる。すると、FETQ1のゲート電圧が上昇しても、FETQ1においてドレインとソースの間が完全に導通する状態まで到達してしまえば、それ以上FETQ1のドレインとソースの間のインピーダンス下げて電流を増加させることはできなくなる。

0056

その結果、上記のnV1=Vrefの関係を維持することができなくなり、制限値により設定された一定値の電流を流すことができなくなるためである。

0057

なお、上記のように、第1の切替部4Sおよび第2の切替部5Sにおいて、最大電流制限回路4および最大電流制限回路5に流れる一定の電流は制限値以下に設定されている。この設定機能は、スイッチ機能を有する素子であるFETQ1の過大電流保護機能としても作用し、FETQ1の破損防止が可能である。従って、電圧印加期間に電流の制限を設けない駆動方法の場合には、スイッチ機能を有する素子の最大許容電流値を制限値とすることができる。

0058

また、図3においては、専用のスイッチS1aの開閉によってFETQ1のドレインとソースの導通および遮断を実現している。しかし、遮断とは電流Icが流れないことであるから、専用のスイッチS1aを設ける代わりに、例えばVrefの値を0に設定することにより、電流Icを0としてもよい。

0059

以上の説明は最大電流制限回路4に関するものであるが、最大電流制限回路5の構成と動作も最大電流制限回路4と同一であるため、その説明は省略する。

0060

なお、電流印加期間における目標電圧が高電位源あるいは低電位源の出力電圧である場合に、印加電圧期間を開始してからその目標電圧に到達した時点、すなわち図2(a)において最大電流制限回路4の電流出力ノード4yが電流入力ノード4xと同じ電圧に到達した時点で、図3における抵抗R1あるいは基準電圧Vrefを変更することにより設定される制限値により設定された定電流が流れる状態は終了し、電圧印加期間が終了する。最大電流制限回路5についても、電流出力ノード5yが電流入力ノード5xと同じ電圧に到達した時点で、同様に電圧印加期間が終了する。

0061

ここで、定電圧源と最大電流制限回路を組み合わせて圧電素子1を駆動すると、圧電素子1の印加電圧について、任意の立ち上がり時間および立ち下がり時間を得ることが可能である。その原理を以下に説明する。この原理は、圧電素子1が容量性の部品であることを利用している。まず、次の2つの定義がある。

0062

定義1:1ファラドは、1クーロン電気量を充電したときに1ボルトの直流電圧を生じる2導体間の静電容量である。

0063

定義2:1クーロンは、1秒間に1アンペアの電流によって運ばれる電荷(電気量)である。

0064

定義1により、電気量をQ、電圧をV、静電容量をCとすると、
C=Q/V 式(1)
である。また、定義2により、電荷(電気量)をQ、時間をt、電流をIとすると、
Q=tI 式(2)
である。式(1)より
Q=CV式(3)
となるので、式(3)を式(2)に代入して
CV=tI 式(4)
となる。式(4)を変形して、
V=tI/C 式(5)
I=CV/t 式(5a)
となる。

0065

式(5)より、電流Iと静電容量Cが一定の場合に、電圧Vは時間tに比例して変化する。その際の比例定数はI/Cである。この時、I>0であれば、電圧Vは時間tに比例して上昇し、I<0であれば、電圧Vは時間tに比例して下降する。また、電流Iが変化すると、上記比例定数が変化する。また、式(5a)を変形すると、
t=CV/I 式(5b)
となる。式(5b)は、ある決まった電圧Vに到達する時間tが、電流Iによって変化することを示す。

0066

ここで、Cを圧電素子1の容量(一定値)、Iを最大電流制限回路において設定した制限値に基づく定電流とすると、制限値の設定によって、時間tに比例して変化し、その比例定数が定電流Iによって決まる電圧Vを得ることができる。図2(a)において、電圧印加期間が、圧電素子1への印加電圧を初期電圧VLから目標電圧VHに向けて上昇させる印加電圧上昇期間の場合には、最大電流制限回路4において制限値を設定して、流入電流Iciを定電流とすることにより、時間tに対して前記定電流の値によって決まる比例定数に比例して上昇する電圧が得られる。そして、電圧Vが初期電圧VLから目標電圧VHまで上昇する時間tは、式(5b)において、Cを圧電素子1の容量、V=VH−VL、Iを前記定電流の値(>0)とすることによって求められる。また、電圧印加期間が、圧電素子1への印加電圧を初期電圧VHから目標電圧VLに向けて下降させる印加電圧下降期間の場合には、最大電流制限回路5において制限値を設定して、流出電流Icoを定電流とすることにより、時間tに対して前記定電流の値によって決まる比例定数に比例して下降する電圧が得られる。そして、電圧Vが初期電圧VHから目標電圧VLまで下降する時間tは、式(5b)において、Cを圧電素子1の容量、V=VL−VH、Iを前記定電流の値(<0)とすることによって求められる。以下の説明においては、この方法を、定電流による電圧レベル遷移時間変更方法と呼ぶ。図4は定電流による電圧レベル遷移時間変更方法を説明する図であり、図4の上側のグラフは各期間ごとに圧電素子1に流れる定電流Iの値を変えた図、下側のグラフはこの状態での圧電素子1への印加電圧を示す図である。この方法は、圧電素子1が一定の静電容量Cを有する容量性負荷であることを利用したものである。図4に示すように、ある期間に圧電素子1に定電流Iを流せば、この期間における圧電素子1への印加電圧Vは、時間に応じて線形に変化するようになる。よって、定電流Iの値がわかれば、式(5)により、一定の傾きを有する圧電素子1への印加電圧Vを決めることができる。この方法によれば、定電流Iの値を変更することにより、電圧の傾きが様々に変化する印加電圧Vを、容易に発生させることができる。このように、圧電素子1の静電容量Cに着目して、圧電素子1に一定電流を流した状態で、式(5)を満たすように圧電素子1への印加電圧Vを決めることは、従来まったくなされていなかった制御手法である。

0067

ここで、図3に示す最大電流制限回路4において制限値を設定する方法について説明する。上述のように、図3において最大電流制限回路4内を流れる電流Icを一定値の定電流とするためには、nV1=VrefおよびV1=Ic×R1という2つの式から、抵抗R1あるいは基準電圧Vrefを変更することにより、比較する値すなわち制限値を設定して、電流Icが制限値となるようにすればよい。抵抗R1の値の調整は、例えば抵抗R1として可変抵抗を使用し、最大電流制限回路4内を流れる電流Icの値を図示されない電流計により計測しながら、抵抗値を設定して電流Icが制限値Iとなった抵抗値で固定すればよい。また、基準電圧発生部Nの出力である基準電圧Vrefの調整方法は、例えば基準電圧発生部Nとしてディジタルアナログ変換器を使用し、ディジタル入力値を手動あるいはソフトウェアにより設定して電流Icが制限値Iとなったディジタル入力値で固定すればよい。図3の例においては、制限値Iを一度決定した後に変更する必要がない場合には抵抗R1の設定が適しており、必要に応じて制限値Iを変更する必要がある場合には基準電圧Vrefの調整が適している。必要に応じて制限値Iを変更する例として、ある印加電圧上昇期間と次の印加電圧上昇期間の電流値が異なる場合、あるいはある印加電圧下降期間と次の印加電圧下降期間の電流値が異なる場合がある。その場合には、図2(a)の回路において、次の電圧印加期間の開始前にVrefをソフトウェアにより調整して対応する。

0068

本発明の第1の実施形態について、以下に説明する。図54に示す傾斜電圧制動は、上述のように、圧電素子1への印加電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間を有し、駆動期間は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる時間である。また、図54の傾斜電圧制動では、駆動期間は1つの電圧印加期間であり、それは初期電圧において最終目標電圧を目標電圧として、一定の変化率で印加電圧の変化を開始し、上記1/fの時間において終了する期間である。本発明の第1の実施形態は、この傾斜電圧制動を、図2(a)に示す駆動回路によって実現するものである。以下に、その実現方法を説明する。具体的には式(5a)において、初期電圧をV0、目標電圧をV1、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、t=1/f、V=V1−V0とすれば、図54のような傾斜電圧制動の印加電圧波形を生成することができる。すなわち、図2(a)の回路を用いて、印加電圧上昇期間において圧電素子1に流入する電流(図2(a)におけるIci)あるいは印加電圧下降期間において圧電素子1から流出する電流(図2(a)におけるIco)の制限値Iを、
I=(V1−V0)×C×f 式(6)
のように決めて、電流の流入あるいは流出開始から圧電素子1への印加電圧が目標電圧に到達するまでの間はこの制限値Iを保持すればよい。

0069

具体的には、式(6)においてV1−V0>0は印加電圧上昇期間(図54の区間[1])に対応し、この時図2(a)において電流入出力Iioは流入電流Iciとなり、圧電素子1に向けて電流が流入する。そして、上述のように所定の時間(ここでは1/f)が経過すると、図2(a)に示す圧電素子1への印加電圧Vpは定電圧VHに到達する。また、V1−V0<0は印加電圧下降期間(図54の区間[3])に対応し、この時図2(a)において電流入出力Iioは流出電流Icoとなり、圧電素子1から電流が流出する。そして、上述のように所定の時間(ここでは1/f)が経過すると、図2(a)に示す圧電素子1への印加電圧Vpは定電圧VLに到達する。

0070

ここに、以上の説明は、図2(a)に示す圧電素子1が理想的な圧電素子1であり、かつ図1において圧電素子1に接合される機械構造物である変位拡大機構100が理想的な機械構造物であることを想定したものである。しかし、上述のように、実際には圧電素子1が抵抗成分を有するために印加電圧に損失が発生すること、ならびに圧電素子1に接合された機械構造物が圧電素子1への印加電圧により変位する際に圧電素子1が機械構造物に与えるエネルギーの一部が消費されること、および機械構造物が変位する際の摩擦や変形に伴うエネルギーの損失が発生すること等がある。このため、制限値Iを式(6)のように決定した時に、図2(a)に示す圧電素子1への印加電圧が目標電圧に到達する時刻は、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる時刻、すなわち速度が0、かつ加速度が0で停止する時刻から少しずれた時刻となる。そこで、以下の調整を行うことで、速度が0、かつ加速度が0で停止する時刻を見つけて、その時刻において停止させるようにする。まず変位拡大機構を有する圧電アクチュエータを構成する圧電素子1に対して、図2(a)に示す最大電流制限回路4および最大電流制限回路5を用いて、式(6)で決定される制限値Iを設定する。そして、圧電素子1に接合した機械構造物に変位計を取付けて、機械構造物の変位の波形を表示させる。次に、機械構造物の停止時における当該波形の振動が最小になるように、波形を確認しながら制限値Iを変化させる。この振動が最小となる時刻が、上記の機械構造物の速度が0、かつ加速度が0という状態で停止する時刻である。

0071

以上のように、本発明の第1の実施形態においては、圧電素子1に流入する電流および圧電素子1から流出する電流を、圧電素子1の静電容量から決定される一定値の定電流とすることによって、傾斜電圧制動における圧電素子1の印加電圧を容易に設定することができる。その設定のための調整は電流の調整のみであり、容易でしかも時間がかからない。また、これを実現する駆動回路は、従来技術における任意波形駆動回路に比べて、回路規模がはるかに小さい。

0072

以上のように、本発明の第1の実施形態においては、図54に示す傾斜電圧制動に対して定電流による電圧レベル遷移時間変更方法を適用して、圧電素子1の印加電圧を初期電圧から目標電圧まで変化させる時間を、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる時間に容易に設定している。

0073

(第2の実施形態)
ところで、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータを構成する圧電素子1の印加電圧の変化の形態すなわち制動方法は、上記の傾斜電圧制動に限定されるものではない。他にもいくつかの制動方法が存在する。本発明の第2の実施形態においては後述のように、これらの傾斜電圧制動以外の制動方法についても、定電流による電圧レベル遷移時間変更方法を適用する。

0074

本発明の第2の実施形態において、定電流による電圧レベル遷移時間変更方法を適用する二段電圧制動について説明する。二段電圧制動は、圧電素子1への印加電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間を有し、駆動期間は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる時間以下である。すなわち、駆動期間は傾斜電圧制動以下の期間となる。また、駆動期間は第1の電圧印加期間と最終電圧印加期間の2つの電圧印加期間である。第1の電圧印加期間は、初期電圧において第1の目標電圧までの印加電圧の変化を開始して、次の電圧印加期間が開始するまでに、すなわち予備駆動期間以内に完了する期間である。このとき、電圧印加期間完了から次の電圧印加期間開始までに時間がある場合は、当該時間は電圧保持期間となり、圧電素子1への印加電圧は保持される。また、最終電圧印加期間は、上記予備駆動期間経過時に最終目標電圧までの印加電圧の変化を開始して完了する期間である。すなわち、二段電圧制動は2個の電圧印加期間と1個の電圧保持期間よりなる。ここに、第1の目標電圧は初期電圧と最終目標電圧の中央値から最終目標電圧までの間の電圧である。すなわち、二段電圧制動は、最終目標電圧に到達する最終電圧印加期間の前に、予備駆動期間内に第1の目標電圧に到達する第1の電圧印加期間を有している。言い換えれば、二段電圧制動から第1の電圧印加期間を削除した制動方法が傾斜電圧制動である。

0075

なお、上述の「第1の目標電圧は初期電圧と最終目標電圧の中央値から最終目標電圧までの間の電圧である」の意味するところは、該中央値および最終目標電圧は第1の目標電圧の範囲に含まれないというものである。以下、本発明の各実施形態においては、X、A、Bをいずれも電圧としたとき、「XはAからBまでの間の電圧である」あるいは「AからBまでの間の電圧X」と表記した場合には、A<BのときA<X<Bを、またA>BのときA>X>Bを意味するものとする。

0076

二段電圧制動の動作原理について、図5乃至図17を用いて説明する。図5は、二段電圧制動における圧電素子1の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフである。縦軸は印加電圧を示すが、簡単のために電圧と表記している。図5には、時刻0において開始される駆動期間(区間[1]乃至区間[3])と、時刻Trsにおいて開始される駆動期間(区間[5]乃至区間[7])の2つの駆動期間が示されている。時刻0において開始される駆動期間は、初期電圧をVL、第1の目標電圧をVM、最終目標電圧である第2の目標電圧をVHとし、第1の電圧印加期間である区間[1]、最終電圧印加期間であり第2の電圧印加期間である区間[3]を有する。そして、第1の電圧印加期間を含む予備駆動期間T1を有する。第1の電圧印加期間は、印加電圧を低い初期電圧から高い第1の目標電圧へ変化させるので、印加電圧上昇期間である。また、第2の電圧印加期間は、印加電圧を低い第1の目標電圧から高い第2の目標電圧へ変化させるので、印加電圧上昇期間である。そして、駆動期間は、印加電圧を低い初期電圧から高い最終目標電圧へ変化させるので、上昇の駆動期間である。

0077

図5において、時刻0において電圧は定電圧VLから定電圧VH(VH>VL)に向けて上昇を開始する(区間[1])。そして、時刻t31において定電圧VLと定電圧VHの中間となる中間電圧VMに到達する。次に電圧は時刻T1までの間は中間電圧VMを保持する(区間[2])。ここで、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、T1=3/6f(=1/2f)に設定してある。次に、時刻T1において電圧は中間電圧VMから定電圧VHに向けて上昇を開始する(区間[3])。そして、時刻T1+t31において定電圧VHに到達する。次に電圧は時刻Trsまでの間は定電圧VHを保持する(区間[4])。

0078

また、時刻Trsにおいて開始される駆動期間は、初期電圧をVH、第1の目標電圧をVM、最終目標電圧である第2の目標電圧をVLとし、第1の電圧印加期間である区間[5]、最終電圧印加期間であり第2の電圧印加期間である区間[7]を有する。そして、第1の電圧印加期間を含む予備駆動期間T1を有する。第1の電圧印加期間は、印加電圧を高い初期電圧から低い第1の目標電圧へ変化させるので、印加電圧下降期間である。また、第2の電圧印加期間は、印加電圧を高い第1の目標電圧から低い第2の目標電圧へ変化させるので、印加電圧下降期間である。そして、駆動期間は、印加電圧を高い初期電圧から低い最終目標電圧へ変化させるので、下降の駆動期間である。図5において、時刻Trsにおいて電圧は定電圧VHから定電圧VLに向けて下降を開始する(区間[5])。そして、時刻Trs+t41において定電圧VHと定電圧VLの中間となる中間電圧VMに到達する。次に電圧は時刻Trs+T1までの間は中間電圧VMを保持する(区間[6])。ここで、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfとすると、T1=3/6f(=1/2f)に設定してある。また、区間[2]における中間電圧VMと区間[6]における中間電圧VMは、いずれもVHとVLの中央値である。次に、時刻Trs+T1において電圧は中間電圧VMから定電圧VLに向けて下降を開始する(区間[7])。そして、時刻Trs+T1+t41において定電圧VLに到達する。時刻Trs+T1+t41以後は電圧は定電圧VLを保持する(区間[8])。

0079

以上のように、二段電圧制動においては、電圧を低い初期電圧であるVLから高い目標電圧であるVHまで変化させる印加電圧上昇期間と、高い初期電圧であるVHから低い目標電圧であるVLまで変化させる印加電圧下降期間がある。印加電圧上昇期間における目標電圧は、第1の目標電圧である中間電圧VMと第2の目標電圧であるVHからなる。そして、電圧を初期電圧から中間電圧VMまで変化させる第1の印加電圧上昇期間を予備駆動期間としてのT1以内に完了し、電圧を中間電圧VMから第2の目標電圧であるVHまで変化させる第2の印加電圧上昇期間をT1から開始する。また、印加電圧下降期間における目標電圧は、第1の目標電圧である中間電圧VMと第2の目標電圧であるVLからなる。そして、電圧を初期電圧から中間電圧VMまで変化させる第1の印加電圧下降期間を予備駆動期間としてのT1以内に完了し、電圧を中間電圧VMから第2の目標電圧であるVLまで変化させる第2の印加電圧下降期間をT1から開始する。ここで、T1は、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fに基づいて、T1=3/6f(=1/2f)に設定する。この設定により、時刻T1+t31において電圧がVHに到達してその値を保持した時、および時刻Trs+T1+t41において電圧がVLに到達してその値を保持した時に、上記一次固有振動周波数fによる振動を防止して、速やかに制動させることができる。

0080

今、電圧VH=100V、電圧VL=0V、VM=50V、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数f=1kHzの場合の二段電圧制動の動作原理について、図6乃至図11を用いて説明する。図6は、圧電素子1の印加電圧を時刻0においてステップ状に上昇させた時の、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位を示したグラフである。ここに、時刻0以前の電圧は0Vである。電圧は時刻0において100Vの1/2である50Vに到達するようにステップ状に上昇させている。実線が電圧で、破線が変位である。説明の都合上、両者を重ね書きしてある。図6において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、印加電圧を0Vから100Vに上昇させることにより、初期位置である0μmから目標位置である300μmまでの変位を得られる。図示されない変位の縦軸は、電圧0Vに0μmが対応し、電圧100Vに300μmが対応する。この変位のグラフは、傾きが大きいほど速度が大きいことを示し、水平な部分は速度が0、すなわち静止していることを示す。また、電圧のグラフと変位のグラフが離間している場合には、その離間距離が大きいほど、加速度が大きいことを示す。一方、電圧のグラフと変位のグラフが重なっている場合には、当該変位は当該電圧によって生ずることが期待される変位に一致しており、加速度が0であることを示す。

0081

時刻0において電圧が50Vに上昇すると、図6に示すように、圧電素子1に接合された機械構造物は加速度を得て変位を開始する。この変位開始時において、機械構造物は急峻な電圧の変化に追随できない。すなわち、電圧のグラフがステップ状に変化するのに対して、変位のグラフは電圧のグラフから離間して、略水平方向に変化を開始してから徐々に傾きが大きくなる曲線を描き、前記一次固有振動周波数fで振動するように変位する。なお、この振動の振幅は、上述の傾斜電圧制動における一次固有振動周波数fの振動の振幅よりもはるかに大きく、機械構造物は傾斜電圧制動よりも大きな加速度を得る。これが傾斜電圧制動よりも二段電圧制動の方が移動時間の早い制動となる理由である。この時、機械構造物の一次固有振動周波数f=1kHzなので、時刻0から時刻1/fすなわち1.00msまでが変位の周期に一致する。また、時刻0における速度は0であり、そこから印加電圧により加速度を得て変位を開始するので、上記変位の周期が経過した時刻1.00msにおける速度もまた0である。なお、仮にこの電圧を保持し続けると、振動は振幅の1/2に相当する位置において静定する。以後、この位置を静定位置と呼ぶ。すなわち、50Vを静定位置とすると、変位の最大値は0Vから50Vまでの変位の2倍となる100Vの位置に相当する変位となる。そして、図6において電圧のグラフと変位のグラフが交差する時刻0.25ms以降において、機械構造物は時刻0.25ms以前とは逆方向の加速度を得て、減速を開始する。図6で電圧が50Vまで上昇して保持された後の時刻0.50ms(=1/2f)において、電圧をステップ状に上昇させて100Vにして保持した時の電圧および変位を図7に示す。これは、図5の区間[1]乃至区間[4]に相当する。図6においては、時間が経過しても電圧が50Vに保持されたままなので、変位は1.00msを周期として繰り返す。これに対して図7においては、時刻0.50ms以後(図5における区間[4])の電圧は100Vに保持される。この時、時刻0.50msの位置において変位と電圧が重なっているので、時刻0.50ms以後には機械構造物に加速度が生じない。かつ、上述のように時刻0.50msにおける機械構造物の速度は0であるから、時刻0.50msにおいて機械構造物が停止する。以上のように、停止の際には、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動は発生しないので、速やかな制動が可能となる。

0082

以上の図6および図7を用いた二段電圧制動の原理に関する説明においては、時刻0において電圧が瞬時に0Vから50Vまで上昇し、かつ、時刻0.50msにおいて電圧が瞬時に50Vから100Vまで上昇している。しかし、実際の動作は図5に示すように、電圧がVL(0V)からVM(50V)まで上昇する際には立ち上がり時間t31を要し、電圧がVM(50V)からVH(100V)まで上昇する際には立ち上がり時間t31を要する。図7図5の電圧波形に合わせて、区間[1]乃至区間[4]を記したものを図8に示す。図7における変位の静定位置の時刻が0.50msであるのに対して、図8における変位の静定位置の時刻は0.50ms+t31であり、やや遅くなる。

0083

図9は、圧電素子1の印加電圧を時刻Trsにおいてステップ状に下降させた時の、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位を示したグラフである。ここに、時刻Trs以前の電圧は100Vである。電圧は時刻Trsにおいて100Vの1/2である50Vに到達するようにステップ状に下降させている。実線が電圧で、破線が変位である。説明の都合上、両者を重ね書きしてある。図9において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、印加電圧を100Vから0Vに下降させることにより、初期位置である300μmから目標位置である0μmまでの変位を得られる。図示されない変位の縦軸は、電圧100Vに300μmが対応し、電圧0Vに0μmが対応する。図9における変位のグラフの傾きと速度の関係、および電圧のグラフと変位のグラフの相互位置と加速度の関係は、図6と同じである。時刻Trsにおいて電圧が50Vに下降すると、図9に示すように、圧電素子1に接合された機械構造物は加速度を得て変位を開始する。この変位開始時において、機械構造物は急峻な電圧の変化に追随できない。すなわち、電圧のグラフがステップ状に変化するのに対して、変位のグラフは電圧のグラフから離間して、略水平方向に変化を開始してから徐々に傾きが大きくなる曲線を描き、前記一次固有振動周波数fで振動するように変位する。なお、この振動の振幅は、上述の傾斜電圧制動における一次固有振動周波数fの振動の振幅よりもはるかに大きく、機械構造物は傾斜電圧制動よりも大きな加速度を得る。これが傾斜電圧制動よりも二段電圧制動の方が移動時間の早い制動となる理由である。この時、機械構造物の一次固有振動周波数f=1kHzなので、時刻Trsから時刻Trs+1/fすなわち1.00msまでが変位の周期に一致する。また、時刻Trsにおける速度は0であり、そこから印加電圧により加速度を得て変位を開始するので、上記変位の周期が経過した時刻Trs+1.00msにおける速度もまた0である。なお、仮にこの電圧を保持し続けると、振動は振幅の1/2に相当する位置において静定する。以後、この位置を静定位置と呼ぶ。すなわち、50Vを静定位置とすると、変位の最大値は100Vから50Vまでの変位の2倍となる0Vの位置に相当する変位となる。そして、図9において電圧のグラフと変位のグラフが交差する時刻Trs+0.25ms以降において、機械構造物は時刻Trs+0.25ms以前とは逆方向の加速度を得て、減速を開始する。図9で電圧が50Vまで下降して保持された後の時刻Trs+0.50ms(=Trs+1/2f)において、電圧をステップ状に下降させて0Vにした時の電圧および変位を図10に示す。これは、図5の区間[4]乃至区間[8]に相当する。図9においては、時間が経過しても電圧が50Vに保持されたままなので、変位は1.00msを周期として繰り返す。これに対して図10においては、時刻Trs+0.50ms以後(図10における区間[8])の電圧は0Vに保持されるので、時刻Trs+0.50ms以後には機械構造物に加速度が生じない。かつ、上述のように時刻Trs+0.50msにおける機械構造物の速度は0であるから、時刻Trs+0.50msにおいて機械構造物が停止する。以上のように、停止の際には、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動は発生しないので、速やかな制動が可能となる。

0084

以上の図9および図10を用いた二段電圧制動の原理に関する説明においては、時刻Trsにおいて電圧が瞬時に100Vから50Vまで下降し、かつ、時刻Trs+0.50msにおいて電圧が瞬時に50Vから0Vまで下降している。しかし、実際の動作は図5に示すように、電圧がVH(100V)からVM(50V)まで下降する際には立ち下がり時間t41を要し、電圧がVM(50V)からVL(0V)まで下降する際には立ち下がり時間t41を要する。図10図5の電圧波形に合わせて、区間[4]乃至区間[8]を記したものを図11に示す。図10における変位の静定位置の時刻がTrs+0.50msであるのに対して、図11における変位の静定位置の時刻はTrs+0.50ms+t41であり、やや遅くなる。

0085

以上に説明したように、二段電圧制動においては、圧電素子1への印加電圧をステップ状に変化させるため、圧電素子1に接合された機械構造物が印加電圧の急激な変化に追随することができない。このため、印加電圧をステップ状に変化させた直後において、同一の時刻における機械構造物の変位に対応する印加電圧と実際の印加電圧が大きく離間している。これにより、機械構造物は傾斜電圧制動よりも大きな加速度を得ることができる。すなわち、機械構造物を速度0から加速させて最高速度に到達させるまでの時間と、最高速度から減速させて速度0に到達させるまでの時間の両方が、傾斜電圧制動よりも短くなる。これは、二段電圧制動における駆動期間が、傾斜電圧制動における駆動期間よりも短くなることに他ならない。

0086

ところで、上述のように、二段電圧制動においては、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fに基づいて、予備駆動期間T1を3/6f(=1/2f)に設定することにより、印加電圧が最終目標電圧に到達してその値を保持した時に、上記一次固有振動周波数fによる振動を防止して、速やかに制動させることができる。この予備駆動期間T1の値は3/6fに限定されており、このため、駆動期間も図8におけるT1+t31および図11におけるT1+t41に限定されてしまう。上記一次固有振動周波数fによる振動を防止して、速やかに制動させることができる状態を保持したままで、駆動期間を変化させるためには、t31およびt41を変化させることができなくてはならない。

0087

ここで、本発明の第2の実施形態として、図2(a)に示す駆動回路を用いて、上述の定電流による電圧レベル遷移時間変更方法を二段電圧制動に適用して、駆動期間を変化させることについて説明する。上述のように、二段電圧制動における印加電圧の立ち上がり時間は、図5に示す電圧VL(図8および図11における0V)と電圧VM(図8および図11における50V)との間において時間t31であり、電圧VM(図8および図11における50V)と電圧VH(図8および図11における100V)との間において時間t31である。また、印加電圧の立ち下がり時間は、図5に示す電圧VH(図8および図11における100V)と電圧VM(図8および図11における50V)との間において時間t41であり、電圧VM(図8および図11における50V)と電圧VL(図8および図11における0V)との間において時間t41である。これらの立ち上がり時間t31および立ち下がり時間t41を変化させることで、電圧の上昇および下降の速度を変化させ、その結果、一次固有振動周波数による振動を防止して、速やかに制動させることができる状態を保ったままで、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位における駆動期間を変化させることができる。この図5における立ち上がり時間および立ち下がり時間としてのt31およびt41をそれぞれ変化させて長くしたときの電圧波形を、図12乃至図14に示す。図12図5と比較すると、共通点および差異は、以下のとおりである。まず共通点は、区間[1]の開始時刻(0)から区間[2]の完了時刻(3/6f)までの予備駆動期間T1と、区間[5]の開始時刻(Trs)から区間[6]の完了時刻(Trs+3/6f)までの予備駆動期間T1である。図12において、これらの予備駆動期間T1は、図5と同一の値である3/6fに設定されている。一方、差異は、図12において、区間[1]、区間[3]における立ち上がり時間t32および区間[5]、区間[7]における立ち下がり時間t42が、それぞれ図5における立ち上がり時間t31および立ち下がり時間t41よりも長いことである。ここに、区間[1]の開始から区間[3]の完了までの時間、すなわち第1の印加電圧上昇期間の開始から第2の印加電圧上昇期間の完了までの時間を見ると、図12はT1+t32であり、図5はT1+t31である。そして、上述のように、図12における立ち上がり時間t32は図5における立ち上がり時間t31よりも長い。よって、第1の印加電圧上昇期間の開始から第2の印加電圧上昇期間の完了までの時間は、図12の方が図5よりも長い。同様に、区間[5]の開始から区間[7]の完了までの時間、すなわち第1の印加電圧下降期間の開始から第2の印加電圧下降期間の完了までの時間を見ると、図12はT1+t42であり、図5はT1+t41である。そして、上述のように、図12における立ち下がり時間t42は図5における立ち下がり時間t41よりも長い。よって、第1の印加電圧下降期間の開始から第2の印加電圧下降期間の完了までの時間もまた、図12の方が図5よりも長い。これらの時間の差異を生じる原因は、図12の方が図5よりも電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間が長いためである。図12における時間0から1/fまでの範囲および時間TrsからTrs+1/fまでの範囲について、電圧VHを100V、電圧VLを0V、電圧VMを50Vとした場合の電圧と変位を、図8および図11と同様に記したものを、図13および図14に示す。図13および図14図12の対応は、図8および図11図5の対応と同様なので、説明は省略する。

0088

図12における立ち上がり時間t32および立ち下がり時間t42をそれぞれさらに長くして、区間[2]および区間[6]を極めて短くしたときの電圧波形を、図15乃至図17に示す。図15図12と比較すると、共通点および差異は、以下のとおりである。まず共通点は、区間[1]の開始時刻(0)から区間[2]の完了時刻(3/6f)までの予備駆動期間T1と、区間[5]の開始時刻(Trs)から区間[6]の完了時刻(Trs+3/6f)までの予備駆動期間T1である。図15において、これらの時間T1は、図12と同一の値である3/6fに設定されている。一方、差異は、図15において、区間[1]、区間[3]における立ち上がり時間t33および区間[5]、区間[7]における立ち下がり時間t43が、それぞれ図12における立ち上がり時間t32および立ち下がり時間t42よりも長いことである。ここに、区間[1]の開始から区間[3]の終了までの時間、すなわち第1の印加電圧上昇期間の開始から第2の印加電圧上昇期間の完了までの時間は、図15はT1+t33であり、図12はT1+t32である。そして、上述のように、図15における立ち上がり時間t33は図12における立ち上がり時間t32よりも長い。よって、第1の印加電圧上昇期間の開始から第2の印加電圧上昇期間の完了までの時間は、図15の方が図12よりも長い。同様に、区間[5]の開始から区間[7]の完了までの時間は、図15はT1+t43であり、図12はT1+t42である。そして、上述のように、図15における立ち下がり時間t43は図12における立ち下がり時間t42よりも長い。よって、上記区間[5]の開始から区間[7]の完了までの時間、すなわち第1の印加電圧下降期間の開始から第2の印加電圧下降期間の完了までの時間もまた、図15の方が図12よりも長い。これらの時間の差異を生じる原因は、図15の方が図12よりも電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間が長いためである。図15における時刻0から1/fまでの範囲および時刻TrsからTrs+1/fまでの範囲について、電圧VHを100V、電圧VLを0V、電圧VMを50Vとした場合の電圧と変位を、図13および図14と同様に記したものを、図16および図17に示す。図16および図17図15の対応は、図13および図14図12の対応と同様なので、説明は省略する。

0089

ここに、図5図12図15の順に、第1の印加電圧上昇期間の開始から第2の印加電圧上昇期間の完了までの期間および第1の印加電圧下降期間の開始から第2の印加電圧下降期間の完了までの期間が長くなっている。これらの期間は、いずれも駆動期間に他ならない。これらの期間すなわち駆動期間の最大値は図15よりもさらに立ち上がり時間t33および立ち下がり時間t43を大きくして、区間[2]および区間[6]の時間を極限まで0に近づけた場合、すなわち図54に示す傾斜電圧制動と同じ1/fである。また、最小値図5よりもさらに立ち上がり時間t31および立ち下がり時間t41を小さくして極限まで0に近づけた場合、すなわち3/6f(=1/2f)である。このように、従来技術の傾斜電圧制動が、図54において電圧を一様に上昇あるいは下降させる時間、すなわち駆動期間としての区間[1]および区間[3]の時間が1/fに限定され、変化させることができなかったのに対して、駆動期間を1/2fから1/fまでの範囲で変化させることができるという効果を有している。

0090

以上の二段電圧制動の動作原理に関する説明およびその駆動期間を変化させることに関する説明においては、簡単のため、理想的な圧電素子1に接合された理想的な機械構造物を想定している。しかし、実際には上述のように、圧電素子1が抵抗成分を有するために印加電圧に損失が発生し、また圧電素子1に接合された機械構造物が圧電素子1への印加電圧により変位する際に圧電素子1が機械構造物に与えるエネルギーの一部が消費され、さらに機械構造物が変位する際の摩擦や変形に伴うエネルギーの損失が発生する。このため、時間と電圧の関係を示すグラフは図5乃至図17から少しずれたものとなる。例えば図6乃至図11あるいは図13図14図16図17においては、初期電圧と最終目標電圧の中央値が第1の目標電圧である。しかし、実際の圧電素子1に接合された実際の機械構造物の場合には、印加電圧が最終目標電圧に到達した時点で一次固有振動周波数fによる振動が発生することなく機械構造物が停止するための第1の目標電圧は、初期電圧と最終目標電圧の中央値から最終目標電圧までの間の電圧である。また、図8図11図13図14図16図17においては、予備駆動期間T1は0.50msであり、これは一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる1.00msに対して1/2fの時間である。しかし、実際の圧電素子1に接合された実際の機械構造物の場合には、印加電圧が最終目標電圧に到達した時点で一次固有振動周波数fによる振動が発生することなく機械構造物が停止するための予備駆動期間T1は、1/2fから1/fまでの間の時間である。また、図5乃至図17においては、第1の目標電圧を初期電圧と最終目標電圧との中央値としているため、第1の電圧印加期間と第2の電圧印加期間は同一である。しかし、上述のように、実際の第1の目標電圧は、初期電圧と最終目標電圧の中央値から最終目標電圧までの間の電圧であるため、実際の第1の電圧印加期間と第2の電圧印加期間は同一にはならない。これらの理由により、図5図12図15において、印加電圧が最終目標電圧に到達した時点で一次固有振動周波数fによる振動が発生することなく機械構造物が停止するための第1の目標電圧VMと予備駆動期間T1については、上述の傾斜電圧制動における調整と同様に機械構造物に変位計を取付けて、その変位を確認しながら、一次固有振動周波数fによる振動が最小になるように調整を行う必要がある。この調整方法については、後述する。また、これらの調整を行って、第1の目標電圧と予備駆動期間を決定した段階において駆動期間が決定される。

0091

本発明の第2の実施形態においては、図2(a)に示す駆動回路を用いて、上述の定電流による電圧レベル遷移時間変更方法により、二段電圧制動における印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間を変化させて、電圧印加期間を変化させ、これによって駆動期間を変化させる。

0092

最初に、二段電圧制動における電圧印加期間の概要について説明する。二段電圧制動における印加電圧上昇期間においては、圧電素子1に電流を流入させて圧電素子1への印加電圧を低い初期電圧から高い目標電圧まで変化させ、印加電圧下降期間においては、圧電素子1から電流を流出させて圧電素子1への印加電圧を高い初期電圧から低い目標電圧まで変化させる。これは、上述の傾斜電圧制動と同様である。ただし、二段電圧制動の電圧印加期間において、目標電圧は初期電圧から最終目標電圧までの間にある。そして、予備駆動期間内に当該目標電圧に到達する場合に、当該目標電圧を目標中間電位とし、後述のように、圧電素子1への印加電圧が目標中間電位に到達したことにより、電圧印加期間を完了する。以後は予備駆動期間経過時まで、圧電素子1への電流の流入および圧電素子1からの電流の流出をいずれも遮断する。この遮断により、圧電素子1の印加電圧は圧電素子1自体が有する静電容量によって保持される。この保持された電圧が、初期電圧と最終目標電圧の間にある第1の目標電圧となる。すなわち、目標中間電位の設定を行うことにより、第1の目標電圧の設定を自在に行うことができる。以後、この方法を、中間電圧を得る方法1と呼ぶ。なお、印加電圧の立ち上がり開始時刻あるいは立ち下がり開始時刻から、印加電圧が目標中間電位に到達するまでの時間tは、式(5b)においてIを定電流、Vを目標中間電位、Cを圧電素子1の容量として、求めればよい。この方法は簡単にtを求めることができる。

0093

なお、中間電圧を得る方法1においては、上述のように、圧電素子1の印加電圧が目標中間電位に到達すると電圧印加期間を完了し、以後予備駆動時間経過時まで、圧電素子1への電流の流入および圧電素子1からの電流の流出をいずれも遮断する。ここに、上記の遮断は、図2(a)の駆動回路を用いて、第1の切替部4Sが第1の定電圧源2と圧電素子1との接続を解除するとともに、第2の切替部5Sが第2の定電圧源3と圧電素子1との接続を解除することにより行うことができる。具体的には、図2(b)おいて、制御入力Sin1の論理レベルがロウ(L)であり、かつ制御入力Sin2の論理レベルがロウ(L)である状態にすればよい。この時、図2(a)において、スイッチS1およびスイッチS2がいずれも開き、電流入出力ノードNioはどこにも接続されない。この状態になると、圧電素子1への電流の流入および圧電素子1からの電流の流出はいずれもなくなる。すなわち、圧電素子1の端子間の電圧Vpは現状を維持し、これを中間電圧VMすなわち目標中間電位とすることができる。

0094

ここまでの二段電圧制動についての説明においては、圧電素子1の印加電圧の目標中間電位到達時から予備駆動時間経過時まで、圧電素子1への電流の流入および圧電素子1からの電流の流出をいずれも遮断する際に、圧電素子1の印加電圧は圧電素子1自体が有する静電容量によって保持されると述べた。しかし、これは理論上の説明であり、実際の圧電素子1は静電容量以外に抵抗成分を有するため、漏れ電流が発生する。そのため、圧電素子1への電流の流入および圧電素子1からの電流の流出をいずれも遮断した場合には、この漏れ電流によって圧電素子1の印加電圧は徐々に変化する。しかしながら、電圧印加期間の完了から予備駆動時間経過時までの時間はごく短いので、動作に対する実質的な影響は少ない。

0095

以上のように、本発明の第2の実施形態においては、図2(a)に示す定電圧源2の出力VHおよび定電圧源3の出力VLのいずれとも異なる目標中間電位、すなわち第1の目標電圧VMを容易に得ることができる。しかも、この第1の目標電圧VMの値は変化させることが可能である。これを実現するための図2(a)に示す駆動回路は、図52に示す任意波形駆動回路に比べて、回路規模がはるかに小さい。

0096

ここで、二段電圧制動において、図5に示す第1の目標電圧VMと予備駆動期間T1の設定と調整、および上述の印加電圧の立ち上がり時間、立ち下がり時間の設定と調整について説明する。これらの設定と調整もまた、上述の傾斜電圧制動の場合と同様に、図2(a)の駆動回路を用いて行う。

0097

まず、図5における予備駆動期間T1を、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fを用いて3/6fに設定する。これが初期値となる。そして、上昇の駆動期間である区間[1]乃至区間[3]においては、上述のように、印加電圧上昇期間である区間[1]および区間[3]における制御入力Sin1の論理レベルをハイ(H)とし、同時に制御入力Sin2の論理レベルをロウ(L)とする。これにより、圧電素子1に電流Icが流入する。この時、電流Icの値は、スイッチ機能を有する素子であるFETQ1の最大許容電流値を超えない範囲で、印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間が十分に短くなるように、なるべく大きな値を初期値として設定しておく。また、区間[2]においては、上述のように第1の目標電圧VMを保持するために、制御入力Sin1の論理レベルをロウ(L)とし、同時に制御入力Sin2の論理レベルをロウ(L)とする。これにより、圧電素子1への電流Icの流入は遮断される。

0098

同様に、下降の駆動期間である区間[5]乃至区間[7]においては、上述のように、印加電圧下降期間である区間[5]および区間[7]における制御入力Sin1の論理レベルをロウ(L)とし、同時に制御入力Sin2の論理レベルをハイ(H)とする。これにより、圧電素子1から電流Icが流出する。この時、電流Icの値は、スイッチ機能を有する素子であるFETQ1の最大許容電流値を超えない範囲で、印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間が十分に短くなるように、なるべく大きな値を初期値として設定しておく。また、区間[6]においては、上述のように第1の目標電圧VMを保持するために、制御入力Sin1の論理レベルをロウ(L)とし、同時に制御入力Sin2の論理レベルをロウ(L)とする。これにより、圧電素子1からの電流Icの流出は遮断される。なお、区間[2]および区間[6]において制御入力Sin1および制御入力Sin2の論理レベルを設定するためには、印加電圧が当該区間の電圧すなわち第1の目標電圧VMに到達したことを知ることが必要になる。これを実現するためには、上述のように、印加電圧の立ち上がり開始時刻あるいは立ち下がり開始時刻から印加電圧が第1の目標電圧VMに到達する時刻までの時間を式(5b)により求めればよい。

0099

以上の設定を行ったら、次に調整を行う。まず上昇の駆動期間においては、図5における区間[3]が完了して区間[4]が開始する時刻において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位を、変位計を使用して確認する。そして、変位計を見ながら、発生する振動の最大変位が目標電圧100Vに対する期待値300μmになるように、上記の中間電圧VMの値を、初期電圧VLと第2の目標電圧VHの中央値と第2の目標電圧VHとの間の範囲で調整する。ここに、発生する振動の最大変位が目標電圧100Vに対する期待値300μmになるということは、印加電圧と変位との関係が図6のようになることである。次に下降の駆動期間においても、中間電圧VMについて同様の調整を行う。

0100

以上のように中間電圧VMの調整を行ってから、予備駆動期間T1の調整を行う。その方法を、以下に説明する。まず、上昇の駆動期間においては、図5における区間[3]が完了して区間[4]が開始する時刻において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータが停止する際の変位を、変位計を使用して確認する。そして、この停止の際の変位が静定するまでに発生する振動が最も小さくなるように、上記の予備駆動期間T1の値を調整する。具体的には、図2(a)における制御入力Sin1およびSin2の論理レベルをハイ(H)およびロウ(L)に設定する時間を調整することにより、上記時刻T1の値を調整する。次に、下降の駆動期間においても、予備駆動期間T1について同様の調整を行う。ここに、上述のように、実際の変位拡大機構を有する圧電アクチュエータにおいては、上昇の駆動期間と下降の駆動期間における中間電圧VMが異なるため、上昇の駆動期間と下降の駆動期間における予備駆動期間T1の値は異なる。

0101

以上説明した予備駆動期間T1の設定および調整によって、前記一次固有振動周波数成分の振動が発生しなくなる。次に、駆動期間を変化させる。ここでは、図2(a)における最大電流制限回路4および最大電流制限回路5における制限値の設定を変化させることにより、各電圧印加期間を変化させ、駆動期間を変化させる。具体的には、図5における区間[3]が完了して区間[4]が開始する時刻および区間[7]が完了して区間[8]が開始する時刻において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータが停止する際の変位を、変位計を使用して確認する。

0102

なお、この際に、予備駆動期間T1の調整を終了しているので、停止の際の変位が静定するまでに発生する振動は最も小さくなっているはずである。しかし、これはあくまで理論上の説明である。上述のように、実際の変位拡大機構を有する圧電アクチュエータにおいては、圧電素子1が抵抗成分を有するために印加電圧に損失が発生し、また圧電素子1に接合された機械構造物が圧電素子1への印加電圧により変位する際に圧電素子1が機械構造物に与えるエネルギーの一部が消費され、さらに機械構造物が変位する際の摩擦や変形に伴うエネルギーの損失が発生する。これらの要因のため、制限値を変化させると、再び変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数成分の振動が発生することがある。その場合には、再度予備駆動期間T1の調整を行ってから、制限値を変化させれば、振動は発生しなくなる。

0103

ここまでの説明においては、二段電圧制動における同じ駆動期間を構成する2つの電圧印加期間の制限値は同一であるとした。例えば、図5図12図15において時間に対する印加電圧の変化を比較すると、上昇の駆動期間を構成する2つの印加電圧上昇期間(区間[1]および区間[3])における印加電圧の立ち上がり時間は、図5図12図15の順に長くなっている。しかし、同一の図内において、2つの印加電圧上昇期間における印加電圧の立ち上がり時間、区間[1]と区間[3]の時間は同一である。これは2つの印加電圧上昇期間において、制限値が同一であることに他ならない。そして、図5図12図15における上昇の駆動期間において、予備駆動期間T1はすべて3/6fである。図5図12図15における下降の駆動期間に関しても同様である。このことは、予備駆動期間T1を一定値にして、定電流による電圧レベル遷移時間変更方法により、二段電圧制動における印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間を変化させて、電圧印加期間を変化させるという説明に一致する。なお、参考までに、二段電圧制動の原理を示す図7に対応して、印加電圧の立ち上がり時間を長くした場合の時間に対する印加電圧の変化と変位を、図18および図19に示す。図18における印加電圧の立ち上がり時間t34は0.17ms(=1/6f)であり、予備駆動期間T1は0.50ms(=3/6f)である。そして、駆動期間は0.67ms(=4/6f)である。これに対して、図19における印加電圧の立ち上がり時間t35は0.33ms(=2/6f)であり、予備駆動期間T1は0.50ms(=3/6f)である。そして、駆動期間は0.83ms(=5/6f)である。すなわち、図18および図19において、予備駆動期間T1は同一の0.50msであるが、印加電圧の立ち上がり時間は図18の0.17msに対して、図19は0.33msであるため、駆動期間は、予備駆動期間に印加電圧の立ち上がり時間を加算して、図18は0.50ms+0.17ms=0.67msであり、図19は0.50ms+0.33ms=0.83msである。また、第1の目標電圧VMは、図18図19のいずれも同一の50Vである。この値は、初期電圧0Vと最終目標電圧100Vの中央値である。その理由は、初期電圧から第1の目標電圧までの印加電圧の立ち上がり時間により決まる正の加速度が機械構造物を加速させ、第1の目標電圧から最終目標電圧までの立ち上がり時間により決まる負の加速度が機械構造物を減速させ、これらの両加速度が同一であるためである。このため、図18図19において、破線で示される変位のグラフは第1の目標電圧VMを横切る点に関して点対称になっている。

0104

なお、図18および図19は、印加電圧上昇期間における印加電圧の立ち上がり時間を比較したものであるが、印加電圧下降期間における印加電圧の立ち下がり時間に関する比較も同様であるので、ここでは説明を省略する。

0105

このように、二段電圧制動の同一の駆動期間を構成する各電圧印加期間において、印加電圧の立ち上がり時間あるいは立ち下がり時間を同一の値にすることにより、第1の目標電圧を同一の値に保持したままで、最終目標電圧に到達して停止する際の一次固有振動周波数による振動を抑制して、駆動期間を容易に変化させることができる。

0106

これに対して、同一の駆動期間を構成する2つの印加電圧上昇期間において、印加電圧の立ち上がり時間を異なる値に設定した場合について、図20および図21を用いて説明する。図20および図21は、いずれも駆動期間が0.67ms(=4/6f)の場合に、2つの印加電圧上昇期間の立ち上がり時間が異なる場合の印加電圧および変位のグラフである。図20においては、初期電圧から第1の目標電圧までの印加電圧の立ち上がり時間t35が、第1の目標電圧から最終目標電圧までの印加電圧の立ち上がり時間t36よりも長い場合である。この場合は、t35によって決まる正の加速度がt36によって決まる負の加速度よりも小さい。このため、最終目標電圧に到達して停止する際の一次固有振動周波数による振動を抑制するためには、中間目標電圧を初期電圧と最終目標電圧の中央値よりも最終目標電圧に近い値である55Vに設定して、機械構造物を小さい正の加速度によって長時間加速した後で、大きい負の加速度によって短時間減速する必要がある。すなわち、図20において、破線で示される変位のグラフは第1の目標電圧VMを横切る点に関して点対称になっていない。

0107

一方、図21は、図20における2つの立ち上がり時間t35とt36を入れ替えたものである。この場合は、t36によって決まる正の加速度がt35によって決まる負の加速度よりも大きい。このため、最終目標電圧に到達して停止する際の一次固有振動周波数による振動を抑制するためには、中間目標電圧を初期電圧と最終目標電圧の中央値よりも初期電圧に近い値である45Vに設定して、機械構造物を大きい正の加速度によって短時間加速した後で、小さい負の加速度によって長時間減速する必要がある。この場合も、図20と同様に、図21において破線で示される変位のグラフは第1の目標電圧VMを横切る点に関して点対称になっていない。さらに、図20図21を比較すると、駆動期間は同一の0.67ms(=4/6f)であるが、予備駆動期間は図20においてはT11(=0.58ms)であり、図21においてはT12(=0.33ms)である。すなわち、2つの印加電圧上昇期間における印加電圧の立ち上がり時間が異なる場合は、駆動期間が同一であっても、第1の目標電圧や予備駆動期間が異なる結果となる。このため、駆動期間を変化させる際に、印加電圧の立ち上がり時間すなわち制限値を変化させるだけではなく、第1の目標電圧や予備駆動期間までも変化させることになる。これは、上述の第1の目標電圧、予備駆動期間、制限値等の調整が煩雑になることを意味する。すなわち、同一の駆動期間を構成する2つの印加電圧上昇期間における印加電圧の立ち上がり時間は、同一にすることが好ましい。

0108

なお、ここまでの説明は、印加電圧上昇期間における印加電圧の立ち上がり時間を比較したものであるが、印加電圧下降期間における印加電圧の立ち下がり時間に関する比較も同様であるので、ここでは説明を省略する。すなわち、同一の駆動期間を構成する2つの印加電圧下降期間における印加電圧の立ち下がり時間もまた、立ち上がり時間と同様の理由により、同一にすることが好ましい。

0109

また、二段電圧制動は図5図12図15の順に、駆動期間が長くなり、かつ第1の目標電圧VMを保持する時間すなわち区間[2]の時間が短くなっていく。その極限の状態すなわち駆動期間が最大となり、かつ区間[2]の時間が0になったものが、図54に示す傾斜電圧制動である。図54において、印加電圧上昇期間(区間[1])および印加電圧下降期間(区間[3])における印加電圧の立ち上がり時間および立下り時間は、期間開始から期間終了まで同一である。そして、図54における区間[1]は図5図12図15における区間[1]乃至区間[3]に対応し、図54における区間[3]は図5図12図15における区間[5]乃至区間[7]に対応する。これらの事実により、図5図12図15において、区間[1]と区間[3]の立ち上がり時間は同一であるべきであり、同様に、区間[5]と区間[7]の立ち下がり時間は同一であるべきである。すなわち、二段電圧制動と傾斜電圧制動の関係からも、二段電圧制動において、最終目標電圧に到達して停止する際の一次固有振動周波数による振動を抑制するためには、同一の駆動期間を構成する2つの電圧印加期間における印加電圧の立ち上がり時間あるいは立ち下がり時間を同一にすることが好ましいことが明白である。

0110

以上のように、二段電圧制動における駆動期間を変化させるには、図2(a)の駆動回路を用いて制限値を変化させて、印加電圧の立ち上がり時間あるいは立ち下がり時間を変化させればよい。また、図2(a)の駆動回路は、上述のように、従来技術における任意波形駆動回路に比べて、回路規模がはるかに小さい。

0111

(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態において、定電流による電圧レベル遷移時間変更方法を適用するプレパルス電圧制動について説明する。プレパルス電圧制動は、圧電素子1への印加電圧を初期電圧から最終目標電圧まで変化させる駆動期間を有し、駆動期間は変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる時間以下である。すなわち、駆動期間は傾斜電圧制動以下の期間となる。また、駆動期間は第1の電圧印加期間、第2の電圧印加期間、最終電圧印加期間の3つの電圧印加期間である。第1の電圧印加期間および第2の電圧印加期間は、それぞれ対応する第1の予備駆動期間および第2の予備駆動期間を有する。第1の電圧印加期間は、初期電圧において第1の目標電圧までの印加電圧の変化を開始して、第1の予備駆動期間以内に完了する期間である。第2の電圧印加期間は、第1の予備駆動期間経過時に第2の目標電圧までの印加電圧の変化を開始して、第2の予備駆動期間以内に完了する期間である。また、最終電圧印加期間は、第2の予備駆動期間経過時に最終目標電圧までの印加電圧の変化を開始して完了する期間である。ここに、第1の目標電圧は最終目標電圧であり、第2の目標電圧は初期電圧である。すなわち、プレパルス電圧制動は、初期電圧から最終目標電圧に到達するまでに、一度最終目標電圧に到達してから初期電圧に戻り、再度最終目標電圧に到達するものである。

0112

このように、プレパルス電圧制動は初期電圧と最終目標電圧の2種類の電圧を用いた制動方法である。従って、図2(a)に示す高電位源としての定電圧源2と、低電位源としての定電圧源3の2種類の電位源により実現可能であり、使用する電気回路の規模が小さい。また後述のように、各予備駆動期間の範囲が比較的狭いので、調整も容易である。

0113

以下、プレパルス電圧制動について、図22乃至図36を用いて説明する。図22は、プレパルス電圧制動における圧電素子1の印加電圧の時間に対する変化を示すグラフである。縦軸は印加電圧を示すが、簡単のために電圧と表記している。図22には、時刻0から始まる駆動期間(区間[1]乃至区間[5])と時刻Trsから始まる駆動期間(区間[7]乃至区間[11])の2つが示されている。時刻0から始まる駆動期間は、初期電圧をVLとし、第1の目標電圧をVH、第2の目標電圧をVLとし、最終目標電圧である第3の目標電圧をVHとしている。そして、第1の電圧印加期間である区間[1]、第2の電圧印加期間である区間[3]、最終電圧印加期間であり第3の電圧印加期間である区間[5]からなり、第1の電圧印加期間を含む第1の予備駆動期間T1、第2の電圧印加期間を含む第2の予備駆動期間T2を有する。ここに、第1の電圧印加期間は、印加電圧を低い初期電圧から高い第1の目標電圧へ変化させるので、印加電圧上昇期間である。また、第2の電圧印加期間は、印加電圧を高い第1の目標電圧から低い第2の目標電圧へ変化させるので、印加電圧下降期間である。また、第3の電圧印加期間は、印加電圧を低い第2の目標電圧から高い最終目標電圧へ変化させるので、印加電圧上昇期間である。そして、この駆動期間は、印加電圧を低い初期電圧から高い最終目標電圧へ変化させるので、上昇の駆動期間である。

0114

時刻0において電圧は定電圧VLから定電圧VH(VH>VL)に向けて上昇を開始する(区間[1])。電圧が定電圧VHに到達する時刻はt11である。次に電圧は時刻T1までの間は定電圧VHを保持する(区間[2])。時刻T1において電圧は定電圧VHから定電圧VLに向けて下降を開始する(区間[3])。電圧が定電圧VLに到達する時刻はT1+t21である。次に電圧は時刻T1+T2までの間は定電圧VLを保持する(区間[4])。そして、時刻T1+T2において電圧は定電圧VLから定電圧VHに向けて上昇を開始する(区間[5])。電圧が定電圧VHに到達する時刻はT1+T2+t11である。ここで、圧電素子1に接合される機械構造物の一次固有振動周波数をfとすると、T1=T2=1/6fに設定してある。時刻T1+T2+t11以後は、時刻Trsまで電圧は定電圧VHを保持する(区間[6])。

0115

次に時刻Trsから始まる駆動期間は、初期電圧をVHとし、第1の目標電圧をVL、第2の目標電圧をVHとし、最終目標電圧である第3の目標電圧をVLとしている。そして、第1の電圧印加期間である区間[7]、第2の電圧印加期間である区間[9]、最終電圧印加期間であり第3の電圧印加期間である区間[11]からなり、第1の電圧印加期間を含む第1の予備駆動期間T1、第2の電圧印加期間を含む第2の予備駆動期間T2を有する。ここに、第1の電圧印加期間は、印加電圧を高い初期電圧から低い第1の目標電圧へ変化させるので、印加電圧下降期間である。また、第2の電圧印加期間は、印加電圧を低い第1の目標電圧から高い第2の目標電圧へ変化させるので、印加電圧上昇期間である。また、第3の電圧印加期間は、印加電圧を高い第2の目標電圧から低い最終目標電圧へ変化させるので、印加電圧下降期間である。そして、この駆動期間は、印加電圧を高い初期電圧から低い最終目標電圧へ変化させるので、下降の駆動期間である。

0116

時刻Trsにおいて電圧は定電圧VHから定電圧VLに向けて下降を開始する(区間[7])。電圧が定電圧VLに到達する時刻はTrs+t21である。次に電圧は時刻Trs+T1までの間は定電圧VLを保持する(区間[8])。時刻Trs+T1において電圧は定電圧VLから定電圧VHに向けて上昇を開始する(区間[9])。電圧が定電圧VHに到達する時刻はTrs+T1+t11である。次に電圧は時刻Trs+T1+T2までの間は定電圧VHを保持する(区間[10])。そして、時刻Trs+T1+T2において電圧は定電圧VHから定電圧VLに向けて下降を開始する(区間[11])。電圧が定電圧VLに到達する時刻はTrs+T1+T2+t21である。時刻Trs+T1+T2+t21以後において電圧は定電圧VLを保持する(区間[12])。

0117

以上のように、プレパルス電圧制動においては、電圧がVLからVHまで上昇する時間(立ち上がり時間)はt11、電圧がVHからVLまで下降する時間(立ち下がり時間)はt21である。また、圧電素子1に電圧を印加して駆動する駆動期間は、区間[1]乃至区間[5]および区間[7]乃至区間[11]である。それぞれの駆動期間は、印加電圧を現在電圧から目標電圧まで変化させる複数の電圧印加期間からなる。すなわち、区間[1]乃至区間[5]については、初期電圧であるVLにおいて第1の目標電圧であるVHまでの印加電圧の変化を開始して、第1の駆動期間としてのT1以内に完了する第1の電圧印加期間が区間[1]である。そして、T1到達時において第2の目標電圧であるVLまでの印加電圧の変化を開始して、第2の駆動期間としてのT2以内に完了する第2の電圧印加期間が区間[3]である。そして、T2到達時において第3の目標電圧であるVHまでの印加電圧の変化を開始する第3の電圧印加期間が区間[5]である。ここに、第2の目標電圧は初期電圧と同じVLであり、第1の目標電圧は第3の目標電圧と同じVHである。同様に、区間[7]乃至区間[11]については、初期電圧であるVHにおいて第1の目標電圧であるVLまでの印加電圧の変化を開始して、第1の駆動期間としてのT1以内に完了する第1の電圧印加期間が区間[7]である。そして、T1到達時において第2の目標電圧であるVHまでの印加電圧の変化を開始して、第2の駆動期間としてのT2以内に完了する第2の電圧印加期間が区間[9]である。そして、T2到達時において第3の目標電圧であるVLまでの印加電圧の変化を開始する第3の電圧印加期間が区間[11]である。ここに、第2の目標電圧は初期電圧と同じVHであり、第1の目標電圧は第3の目標電圧と同じVLである。ここで、プレパルス電圧制動における時間T1およびT2は、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fに基づいて、T1=T2=1/6fに設定する。この設定により、駆動期間が完了して印加電圧がVHに保持された時(区間[5]の完了時)あるいはVLに保持された時(区間[11]の完了時)に、上記一次固有振動周波数fによる振動を防止して、速やかに制動させることができる。今、電圧VH=100V、電圧VL=0V、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数f=1kHzの場合のプレパルス電圧制動の動作原理について、図23乃至図30を用いて説明する。図23は、プレパルス電圧制動において圧電素子1の印加電圧を時刻0においてステップ状に上昇させた時の、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位を示したグラフである。ここに、時刻0以前の電圧は0Vである。電圧は時刻0において100Vに到達するようにステップ状に上昇させている。実線が電圧で、破線が変位である。説明の都合上、両者を重ね書きしてある。図23において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、印加電圧を0Vから100Vに上昇させることにより、初期位置である0μmから目標位置である300μmまでの変位を得られる。図示されない変位の縦軸は、電圧0Vに0μmが対応し、電圧100Vに300μmが対応する。この変位のグラフは、傾きが大きいほど速度が大きいことを示し、水平な部分は速度が0、すなわち静止していることを示す。また、電圧のグラフと変位のグラフが離間している場合には、その離間距離が大きいほど、加速度が大きいことを示す。一方、電圧のグラフと変位のグラフが重なっている場合には、当該変位は当該電圧によって生ずることが期待される変位に一致しており、加速度が0であることを示す。

0118

時刻0において電圧が100Vに上昇すると、図23に示すように、圧電素子1に接合された機械構造物は加速度を得て変位を開始する。この変位開始時において、上述の二段電圧制動における図6と同様に、機械構造物は急峻な電圧の変化に追随できない。すなわち、電圧のグラフがステップ状に上昇するのに対して、変位のグラフは電圧のグラフから離間して、略水平方向に変化を開始してから徐々に傾きが大きくなる曲線を描く。この時、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数f=1kHzなので、時刻0から時刻1/fすなわち1.00msまでが変位の周期に一致する。また、時刻0における速度は0であり、そこから印加電圧により加速度を得て変位を開始するので、上記変位の周期が経過した時刻1.00msにおける速度もまた0である。仮にこの状態が継続したとすると、この周期1.00msの変位は時間の経過とともに徐々に振幅が小さくなり、最後には振幅の1/2に相当する位置において静定する。以後、この位置を静定位置と呼ぶ。すなわち、変位の最大値は0Vから100Vまでの変位の2倍となる200Vの位置となる。

0119

図23で電圧が100Vまで上昇して保持された後の時刻0.17ms(=1/6f)において、電圧をステップ状に下降させて0Vにした時の電圧および変位を図24に示す。ここで、図24において、時刻0.17msにおける変位は電圧が50Vに上昇した位置に対応している。この時刻0.17msの直前の電圧は100Vであり、当該位置に対応する電圧よりも50V大きい。すなわち、時刻0.17msの直前における機械構造物には、圧電素子1の印加電圧50Vに相当する正の加速度が与えられる。そして、時刻0.17msの直後の電圧は0Vであり、当該位置に対応する電圧よりも50V小さい。すなわち、時刻0.17msの直後における機械構造物には、圧電素子1の印加電圧50Vに相当する負の加速度が与えられる。このように、時刻0.17msの前後において、機械構造物に与えられる加速度は絶対値が同じで方向が逆転する。すなわち、図24における変位の波形は、図23における変位波形(原波形)の時刻0.17ms以後の変位量と、図23の変位波形全体を上下逆転させて、その起点(逆転前の時刻0の位置)を上記の時刻0.17msの位置に移動した波形(シフト波形)の変位量とを合成したものになる。ここに、変位量の定義は、以下のとおりである。ある時刻における変位波形の変位量をD、当該時刻の変位波形の位置を縦軸の電圧の数値で読んだ値をα、変位波形の起点における位置を縦軸の電圧の数値で読んだ値をβとすると、
D=α−β 式(7)
である。式(7)を上記の原波形とシフト波形について算出すると、原波形は変位量D>0であり、シフト波形は変位量D<0である。このため、時刻0.17ms以後において両者の変位量を合成した変位の波形は、図24に示すように原波形よりも縦軸に関して負側(下側)に移動した形状になる。図24から明らかなように、時刻0.33ms(=2/6f)において変位が最大となり、その位置は上述の静定位置である。

0120

また、時刻0.33msにおける速度は0である。その理由は、時刻0.17ms以降の加速度は、上述のように、時刻0から時刻0.17ms(=1/6f)までの加速度と絶対値が同じで方向が逆転するためである。この絶対値が同じで方向が逆転する加速度の作用により、時刻0.17ms(=1/6f)からさらに0.17ms(=1/6f)経過後の時刻0.33ms(=2/6f)において、時刻0と同じ速度すなわち速度0となる。また、時刻0.17ms(=1/6f)以降の前記加速度の作用により、時刻0.17ms(=1/6f)から時刻0.33ms(=2/6f)までの変位は、時刻0から時刻0.17ms(=1/6f)までの変位に対して、時刻0.17msに関して点対称となる。すなわち、時刻0における変位は電圧0Vの位置に対応し、時刻0.33ms(=2/6f)における変位は電圧100Vの位置に対応する。よって、図25のように時刻0.33msにおいて電圧を再度0Vから100Vにステップ状に上昇させて保持すると、この時刻以後には機械構造物に加速度が生じない。すなわち、時刻0.33msにおいて機械構造物が停止する。以上のように、この停止の際には、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動は発生しないので、速やかな制動が可能となる。

0121

以上の図23乃至図25を用いたプレパルス電圧制動の原理に関する説明においては、時刻0、0.17ms、0.33msにおいて電圧が瞬時に0Vから100Vまで上昇し、あるいは瞬時に100Vから0Vまで下降している。しかし、実際の動作は図22に示すように、電圧がVL(0V)からVH(100V)まで上昇する際には立ち上がり時間t11を要し、電圧がVH(100V)からVL(0V)まで下降する際には立ち下がり時間t21を要する。図25図22の電圧波形に合わせて、区間[1]乃至区間[6]を記したものを図26に示す。図25における変位の静定位置の時刻が0.33msであるのに対して、図26における変位の静定位置の時刻は0.33ms+t11であり、やや遅くなる。

0122

図27は、プレパルス電圧制動において圧電素子1の印加電圧を時刻Trsにおいてステップ状に下降させた時の、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの変位を示したグラフである。ここに、時刻Trs以前の電圧は100Vである。電圧は時刻Trsにおいて0Vに到達するようにステップ状に下降させている。実線が電圧で、破線が変位である。説明の都合上、両者を重ね書きしてある。図27において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータは、印加電圧を100Vから0Vに下降させることにより、初期位置である300μmから目標位置である0μmまでの変位を得られる。図示されない変位の縦軸は、電圧100Vに300μmが対応し、電圧0Vに0μmが対応する。図27における変位のグラフの傾きと速度の関係、および電圧のグラフと変位のグラフの相互位置と加速度の関係は、図23と同じである。

0123

時刻Trsにおいて電圧が0Vに下降すると、図27に示すように、圧電素子1に接合された機械構造物は加速度を得て変位を開始する。この変位開始時において、上述の二段電圧制動における図9と同様に、機械構造物は急峻な電圧の変化に追随できない。すなわち、電圧のグラフがステップ状に下降するのに対して、変位のグラフは電圧のグラフから離間して、略水平方向に変化を開始してから徐々に傾きが大きくなる曲線を描く。この時、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数f=1kHzなので、時刻Trsから時刻Trs+1/fすなわちTrs+1.00msまでが変位の周期に一致する。また、時刻Trsにおける速度は0であり、そこから印加電圧により加速度を得て変位を開始するので、上記変位の周期が経過した時刻Trs+1.00msにおける速度もまた0である。仮にこの状態が継続したとすると、この周期1.00msの変位は時間の経過とともに徐々に振幅が小さくなり、最後には振幅の1/2に相当する位置において静定する。以後、この位置を静定位置と呼ぶ。すなわち、変位の最大値は100Vから0Vまでの変位の2倍となる−100Vの位置となる。

0124

図27で電圧が0Vまで下降して保持された後の時刻Trs+0.17ms(=Trs+1/6f)において、電圧をステップ状に上昇させて100Vにした時の電圧および変位を図28に示す。こで、図28において、時刻Trs+0.17msにおける変位は電圧が50Vに下降した位置に対応している。この時刻Trs+0.17msの直前の電圧は0Vであり、対応位置との差は電圧に置き換えると50Vに相当する。すなわち、時刻Trs+0.17msの直前における機械構造物には、圧電素子1の印加電圧50Vに相当する正の加速度が与えられる。そして、時刻Trs+0.17msの直後の電圧は100Vであり、当該位置に対応する電圧よりも50V大きい。すなわち、時刻Trs+0.17msの直後における機械構造物には、圧電素子1の印加電圧50Vに相当する負の加速度が与えられる。このように、時刻Trs+0.17msの前後において、機械構造物に与えられる加速度は絶対値が同じで方向が逆転する。すなわち、図28における変位の波形は、図27における変位波形(原波形)の時刻Trs+0.17ms以後の変位量と、図27の変位波形全体を上下逆転させて、その起点(逆転前の時刻Trsの位置)を上記の時刻Trs+0.17msの位置に移動した波形(シフト波形)の変位量とを合成したものになる。ここに、変位量の定義は、上述のとおり、式(7)である。式(7)を上記の原波形とシフト波形について算出すると、原波形は変位量D<0であり、シフト波形は変位量D>0である。このため、時刻Trs+0.17ms以後において両者の変位量を合成した変位の波形は、図28に示すように原波形よりも縦軸に関して正側(上側)に移動した形状になる。図28から明らかなように、時刻Trs+0.33ms(=Trs+2/6f)において変位が最大となり、その位置は上述の静定位置である。また、時刻Trs+0.33msにおける速度は0である。その理由は、時刻Trs+0.17ms以降の加速度は、上述のように、時刻Trsから時刻Trs+0.17ms(=Trs+1/6f)までの加速度と絶対値が同じで方向が逆転するためである。この絶対値が同じで方向が逆転する加速度の作用により、時刻Trs+0.17ms(=Trs+1/6f)からさらにTrs+0.17ms(=Trs+1/6f)経過後の時刻Trs+0.33ms(=Trs+2/6f)において、時刻Trsと同じ速度すなわち速度0となる。また、時刻Trs+0.17ms(=Trs+1/6f)以降の前記加速度の作用により、時刻Trs+0.17ms(=Trs+1/6f)からさらに0.17ms(=1/6f)経過後の時刻Trs+0.33ms(=Trs+2/6f)において、時刻Trsと同じ速度すなわち速度0となる。また、時刻Trs+0.17ms(=Trs+1/6f)以降の前記加速度の作用により、時刻Trs+0.17ms(=Trs+1/6f)から時刻Trs+0.33ms(=Trs+2/6f)までの変位は、時刻Trsから時刻Trs+0.17ms(=Trs+1/6f)までの変位に対して、時刻Trs+0.17msに関して点対称となる。すなわち、時刻Trsにおける変位は電圧100Vの位置に対応し、時刻Trs+0.33ms(=Trs+2/6f)における変位は電圧0Vの位置に対応する。よって、図29のように時刻Trs+0.33msにおいて電圧を再度100Vから0Vにステップ状に下降させて保持すると、この時刻以後には機械構造物に加速度が生じない。すなわち、時刻Trs+0.33msにおいて機械構造物が停止する。以上のように、この停止の際には、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動は発生しないので、速やかな制動が可能となる。

0125

以上の図27乃至図29を用いたプレパルス電圧制動の原理に関する説明においては、時刻Trs、Trs+0.17ms、Trs+0.33msにおいて電圧が瞬時に100Vから0Vまで下降し、あるいは0Vから100Vまで上昇している。しかし、実際の動作は図22に示すように、電圧がVH(100V)からVL(0V)まで下降する際には立ち下がり時間t21を要し、電圧がVL(0V)からVH(100V)まで上昇する際には立ち上がり時間t11を要する。図29図22の電圧波形に合わせて、区間[6]乃至区間[12]を記したものを図30に示す。図29における変位の静定位置の時刻がTrs+0.33msであるのに対して、図30における変位の静定位置の時刻はTrs+0.33ms+t21であり、やや遅くなる。

0126

以上のように、プレパルス電圧制動は3個の電圧印加期間と2個の電圧保持期間よりなる。すなわち、圧電素子1の印加電圧を初期電圧から最終目標電圧に一致する第1の目標電圧までステップ状に変化させてから電圧を保持し、さらに第1の目標電圧から初期電圧に一致する第2の目標電圧までステップ状に変化させてから電圧を保持し、その後第2の目標電圧から最終目標電圧までステップ状に変化させている。このため、圧電素子1に接合された機械構造物が電圧の急激な変化に追随することができず、印加電圧をステップ状に変化させた直後において、同一の時刻における機械構造物の変位に対応する印加電圧と実際の印加電圧が大きく離間している。そして、この離間値を決定するのは、前記ステップ状に変化を開始する電圧と終了する電圧との差分である。この差分は、上述の二段電圧制動における当該の差分よりも大きい。このため、プレパルス電圧制動においては、変位に対応する電圧と実際の印加電圧との差分が二段電圧制動における当該の差分よりも大きくなり、その差分である電圧に相当する大きな加速度を上記機械構造物に与えることができる。すなわち、機械構造物は速度0の時点で大きな正の加速度を得て速やかに加速し、速度が最大となった時点で前記正の加速度と絶対値が同じで方向が逆転する大きな負の加速度を得て速度0となり停止する。このため、上述の二段電圧制動よりも短い駆動期間を確保することができる。

0127

ところで、上述のように、プレパルス電圧制動においては、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fに基づいて、第1の予備駆動期間T1を1/6fに設定するとともに、第2の予備駆動期間T2を1/6fに設定することにより、印加電圧が最終目標電圧に到達してその値を保持した時に、上記一次固有振動周波数fによる振動を防止して、速やかに制動させることができる。この第1の予備駆動期間T1の値および第2の予備駆動期間T2の値は、それぞれ1/6fおよび1/6fに限定されており、このため、駆動期間も図26におけるT1+T2+t11および図30におけるT1+T2+t21に限定されてしまう。上記一次固有振動周波数fによる振動を防止して、速やかに制動させることができる状態を保持したままで、駆動期間を変化させるためには、第1の予備駆動期間および第2の予備駆動期間を変化させることができなくてはならない。

0128

ここで、本発明の第3の実施形態として、図2(a)に示す駆動回路を用いて、上述の定電流による電圧レベル遷移時間変更方法をプレパルス電圧制動に適用して、駆動期間を変化させることについて説明する。上述のように、プレパルス電圧制御における印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間は、図22に示す電圧VH(図26および図30における100V)と電圧VL(図26および図30における0V)との間において、それぞれ時間t11および時間t21である。この立ち上がり時間t11および立ち下がり時間t21を変化させることにより、電圧の上昇および下降の速度が変化し、その結果、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数fによる振動を防止して、速やかに制動させることができる状態を保持したままで、駆動期間を変化させることができる。

0129

ところで、上述のように、プレパルス電圧制動における駆動期間は、一つの駆動期間内に印加電圧上昇期間と印加電圧下降期間を含んでいる。従って、印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間を変化させるための制限値の種類は、以下のようになる。すなわち、まず上昇の駆動期間における印加電圧上昇期間(図22の区間[1]および区間[5])の制限値および印加電圧下降期間(図22の区間[3])の制限値であり、計2種類となる。次に、下降の駆動期間における印加電圧下降期間(図22の区間[7]および区間[11])の制限値および印加電圧上昇期間(図22の区間[9])の制限値であり、計2種類となる。これらを合計して、制限値は全部で4種類となる。これら4種類の制限値を、図2(a)の駆動回路を用いて設定する際には、印加電圧上昇期間における制限値は最大電流制限回路4を用いて設定し、印加電圧下降期間における制限値は最大電流制限回路5を用いて設定する。この場合、異なる電圧印加期間における制限値を同一の最大電流制限回路を用いて設定することになる。例えば上昇の駆動期間における印加電圧上昇期間(図22の区間[1]および区間[5])と下降の駆動期間における印加電圧上昇期間(図22の区間[9])の各制限値を同一の最大電流制限回路4を用いて設定することになる。これに対応するため、異なる制限値を設定する各印加電圧上昇期間開始前に、最大電流制限回路4の基準電圧Vrefを変更して制限値を変更する。印加電圧下降期間と最大電流制限回路5の関係についても同様である。

0130

図22における立ち上がり時間t11および立ち下がり時間t21をそれぞれ変化させて長くしたときの電圧波形を、図31乃至図33に示す。図31図22と比較すると、共通点および差異は、以下のとおりである。まず共通点は、区間[1]の開始時刻(0)から区間[2]の完了時刻(1/6f)までの時間T1と、区間[3]の開始時刻(1/6f)から区間[4]の完了時刻(2/6f)までの時間T2と、区間[7]の開始時刻(Trs)から区間[8]の完了時刻(Trs+1/6f)までの時間T1と、区間[9]の開始時刻(Trs+1/6f)から区間[10]の完了時刻(Trs+2/6f)までの時間T2である。図31において、これらの時間T1およびT2は、図22と同一の値である1/6fに設定されている。一方、差異は、図31において、区間[1]、区間[5]、区間[9]における立ち上がり時間t12および区間[3]、区間[7]、区間[11]における立ち下がり時間t22が、それぞれ図22における立ち上がり時間t11および立ち下がり時間t21よりも長いことである。ここに、区間[1]乃至区間[5]の全時間からなる駆動期間の完了時間を見ると、図31はT1+T2+t12であり、図22はT1+T2+t11である。そして、上述のように、図31における立ち上がり時間t12は図22における立ち上がり時間t11よりも長い。よって、この駆動期間の完了時間は、図31の方が図22よりも長い。同様に、区間[7]乃至区間[11]の全時間からなる駆動期間の完了時間を見ると、図31はT1+T2+t22であり、図22はT1+T2+t21である。そして、上述のように、図31における立ち下がり時間t22は図22における立ち下がり時間t21よりも長い。よって、この駆動期間の完了時間もまた、図31の方が図22よりも長い。これらの完了時間の差異を生じる原因は、図31の方が図22よりも電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間が長いためである。図31における時間0から1/fまでの範囲および時間TrsからTrs+1/fまでの範囲について、電圧VHを100V、電圧VLを0Vとした場合の電圧と変位を、図26および図30と同様に記したものを、図32および図33に示す。図32および図33図31の対応は、図26および図30図22の対応と同様なので、説明は省略する。

0131

図31における立ち上がり時間t12および立ち下がり時間t22をそれぞれさらに長くして、区間[2]、区間[4]、区間[8]、区間[10]をなくしたときの電圧波形を、図34乃至図36に示す。図34において、電圧がVLからVHまで上昇する区間[1]、区間[5]の時間および電圧がVHからVLまで下降する区間[7]、区間[11]の時間はいずれもT1である。また、電圧がVHからVLまで下降する区間[3]の時間および電圧がVLからVHまで上昇する区間[9]の時間はいずれもT2である。そして、区間[1]、区間[3]、区間[5]の全時間からなる駆動期間の完了時間はT1+T2+T1であり、同様に、区間[7]、区間[9]、区間[11]の全時間からなる駆動期間の完了時間はT1+T2+T1である。図34における時間0から1/fまでの範囲および時間TrsからTrs+1/fまでの範囲について、電圧VHを100V、電圧VLを0Vとした場合の電圧と変位を、図26および図30と同様に記したものを、図35および図36に示す。図35および図36図34の対応は、図26および図30図22の対応と同様なので、説明は省略する。

0132

以上のように、図22図31図34の順に、区間[1]乃至区間[5]の全時間からなる駆動期間の完了時間および区間[7]乃至区間[11]の全時間からなる駆動期間の完了時間が長くなっている。これらの駆動期間の完了時間の最大値は図34の3/6fであり、最小値は図22よりもさらに立ち上がり時間t11および立ち下がり時間t21を短くして極限まで0に近づけた場合、すなわち2/6fである。また、図22図31図34の順に、第1の電圧印加期間である区間[1]および区間[7]の立ち上がり時間t11および立ち下がり時間t21が長くなっている。そして、第1の電圧印加期間はいずれも時間T1以内に完了しており、完了時間の最大値は、図34におけるT1である。同様に、第2の電圧印加期間である区間[3]および区間[9]の立ち上がり時間t11および立ち下がり時間t21もまた、図22図31図34の順に長くなっている。そして、第2の電圧印加期間はいずれも時間T2以内に完了しており、完了時間の最大値は、図34におけるT2である。

0133

以上のプレパルス電圧制動の動作原理に関する説明およびその駆動期間を変化させることに関する説明においては、簡単のため、理想的な圧電素子1に接合された理想的な機械構造物を想定している。しかし、実際には上述のように、圧電素子1が抵抗成分を有するために印加電圧に損失が発生し、また圧電素子1に接合された機械構造物が圧電素子1への印加電圧により変位する際に圧電素子1が機械構造物に与えるエネルギーの一部が消費され、さらに機械構造物が変位する際の摩擦や変形に伴うエネルギーの損失が発生する。このため、時間と電圧の関係を示すグラフは図22乃至図36から少しずれたものとなる。例えば、図26図30図32図33図35図36において、第1の予備駆動期間T1と第2の予備駆動期間T2の合計時間は0.33msであり、これは一次固有振動周波数fにより1/fで表わされる1.00msに対して2/6fの時間である。しかし、実際の圧電素子1に接合された実際の機械構造物の場合には、印加電圧が最終目標電圧に到達した時点で一次固有振動周波数fによる振動が発生することなく機械構造物が停止するための第1の予備駆動期間T1と第2の予備駆動期間T2の合計時間は、2/6fより大きくなる。また、第1の予備駆動期間T1と第2の予備駆動期間T2は同一であるが、実際には同一にならない。これらの理由により、印加電圧が最終目標電圧に到達した時点で一次固有振動周波数fによる振動が発生することなく機械構造物が停止するための第1の予備駆動期間T1と第2の予備駆動期間T2については、上述の傾斜電圧制動における調整と同様に機械構造物に変位計を取付けて、その変位を確認しながら、一次固有振動周波数fによる振動が最小になるように調整を行う必要がある。この調整方法については、後述する。また、これらの調整を行って、第1の予備駆動期間T1と第2の予備駆動期間T2を決定した段階において駆動期間が決定される。

0134

ここで、プレパルス電圧制動において、第1の予備駆動期間T1、第2の予備駆動期間T2の設定と調整、および上述の印加電圧の立ち上がり時間、立ち下がり時間の設定と調整について説明する。これらの設定もまた、上述の傾斜電圧制動および二段電圧制動の場合と同様に、図2(a)の駆動回路を用いて行う。

0135

まず、図22における第1の予備駆動期間T1および第2の予備駆動期間T2を、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数をfを用いて、それぞれ1/6fに設定する。これが初期値となる。そして、上昇の駆動期間については、まず図22における時間0から時間T1までは、図2(a)における制御入力Sin1の論理レベルをハイ(H)とし、かつ制御入力Sin2の論理レベルをロウ(L)とする。次に図22における時間T1から時間T1+T2までは、図2(a)における制御入力Sin1の論理レベルをロウ(L)とし、かつ制御入力Sin2の論理レベルをハイ(H)とする。次に図22における時間T1+T2から時間Trsまでは、図2(a)における制御入力Sin1の論理レベルをハイ(H)とし、かつ制御入力Sin2の論理レベルをロウ(L)とする。次に下降の駆動期間については、まず図22における時間Trsから時間Trs+T1までは、図2(a)における制御入力Sin1の論理レベルをロウ(L)とし、かつ制御入力Sin2の論理レベルをハイ(H)とする。次に図22における時間Trs+T1から時間Trs+T1+T2までは、図2(a)における制御入力Sin1の論理レベルをハイ(H)とし、かつ制御入力Sin2の論理レベルをロウ(L)とする。そして、図22における時間Trs+T1+T2以後は、図2(a)における制御入力Sin1の論理レベルをロウ(L)とし、かつ制御入力Sin2の論理レベルをハイ(H)とする。これらの設定と図2(b)の表を対照すれば、図22の電圧波形を実現することができる。この時、電流Icの値は、スイッチ機能を有する素子であるFETQ1の最大許容電流値を超えない範囲で、印加電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間が十分に短くなるように、なるべく大きな値を初期値として設定しておく。

0136

以上の設定を行ったら、調整を行う。まず上昇の駆動期間においては、図22における区間[5]が完了して区間[6]が開始する時刻において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータが停止する際の変位を、変位計を使用して確認する。そして、この停止の際の変位が静定するまでに発生する振動が最も小さくなるように、上記の期間T1およびT2の値を調整する。具体的には、図2(a)における制御入力Sin1およびSin2の論理レベルをハイ(H)およびロウ(L)に設定する期間を調整することにより、上記期間T1およびT2の値を調整する。次に下降の駆動期間においては、図22における区間[11]が完了して区間[12]が開始する時刻において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータが停止する際の変位を、変位計を使用して確認する。そして、この停止の際の変位が静定するまでに発生する振動が最も小さくなるように、上記の期間T1およびT2の値を調整する。なお、ここでは記述を簡単にするために、第1の予備駆動期間T1および第2の予備駆動期間T2については、上昇の駆動期間と下降の駆動期間で同一の表記としている。しかし、上述のように、各予備駆動期間は上昇の駆動期間と下降の駆動期間で異なる値となる。具体的な調整方法は、上記の区間[5]が完了して区間[6]が開始する時刻におけるものと同様である。

0137

以上説明した第1の予備駆動期間T1および第2の予備駆動期間T2の設定および調整によって、前記一次固有振動周波数成分の振動が発生しなくなる。

0138

次に、駆動期間を変化させる。ここでは図2(a)に示す最大電流制限回路4および最大電流制限回路5において制限値を変化させることによって、上記の各電圧印加期間を変化させ、駆動期間を変化させる。具体的には、図22における区間[5]が完了して区間[6]が開始する時刻および区間[11]が完了して区間[12]が開始する時刻において、変位拡大機構を有する圧電アクチュエータが停止する際の変位を、変位計を使用して確認する。そして、この停止の際の変位が静定するまでに発生する振動が最も小さくなるように、制限値を調整する。

0139

なお、この際に、第1の予備駆動期間T1および第2の予備駆動期間T2の調整を終了しているので、停止の際の変位が静定するまでに発生する振動は最も小さくなっているはずである。しかし、これはあくまで理論上の説明である。上述のように、実際の変位拡大機構を有する圧電アクチュエータにおいては、圧電素子1が抵抗成分を有するために印加電圧に損失が発生し、また圧電素子1に接合された機械構造物が圧電素子1への印加電圧により変位する際に圧電素子1が機械構造物に与えるエネルギーの一部が消費され、さらに機械構造物が変位する際の摩擦や変形に伴うエネルギーの損失が発生する。これらの要因のため、制限値を変化させると、再び変位拡大機構を有する圧電アクチュエータの一次固有振動周波数成分の振動が発生することがある。その場合には、再度第1の予備駆動期間T1および第2の予備駆動期間T2の調整を行ってから、制限値を変化させれば、振動は発生しなくなる。

0140

以上のように、プレパルス電圧制動における駆動期間を変化させるには、図2(a)の駆動回路を用いて制限値を変化させて、印加電圧の立ち上がり時間あるいは立ち下がり時間を変化させればよい。その制限値の調整は、上述のように容易である。また、図2(a)の駆動回路は、上述のように、従来技術における任意波形駆動回路に比べて、回路規模がはるかに小さい。

0141

次に、本発明の第2の実施形態の変形例として、多段電圧制動について説明する。多段電圧制動の印加電圧および変位を図37に示す。図37における電圧すなわち印加電圧と変位との関係は、図8と同様に、印加電圧が最終目標電圧に到達した時点で前記一次固有振動周波数fによる振動が発生することなく機械構造物が停止する状態を示す。

0142

多段電圧制動は、二段電圧制動において初期電圧から最終目標電圧までの電圧印加期間を3以上設けたものである。そして、各電圧印加期間は、対応する目標電圧までの印加電圧の変化を対応する予備駆動期間以内に完了するものである。図37は上昇の駆動期間である。すなわち、時刻0において初期電圧0Vから第1の目標電圧VM1までの印加電圧の変化を開始し、第1の予備駆動期間T10以内の時刻t101aにおいて完了する(区間[101])。これが第1の電圧印加期間である。そして、時刻t101aから第1の予備駆動期間T10経過時まで、第1の目標電圧VM1を保持する(区間[201])。次に第1の予備駆動期間T10経過時において、第2の目標電圧VM2までの印加電圧の変化を開始し、第2の予備駆動期間T20以内の時刻T10+t201aにおいて完了する(区間[102])。これが第2の電圧印加期間である。そして、時刻T10+t201aから第2の予備駆動期間T20経過時まで、第2の目標電圧VM2を保持する(区間[202])。次に第2の予備駆動期間T20経過時において、最終目標電圧100Vまでの印加電圧の変化を開始し、時刻T20+t101bにおいて完了する(区間[3])。これが最終電圧印加期間である。そして、時刻T20+t101b以降は最終目標電圧100Vを保持する(区間[4])。なお、図37においては、電圧印加期間の数は3であり、このうち最終電圧印加期間を除く電圧印加期間の数は2であるが、これは一例であり、一般には多段電圧制動における最終電圧印加期間を除く電圧印加期間の数Nは、Nを2以上の自然数としてNである。多段電圧制動は、上昇の駆動期間の場合は図37に示すように、各電圧印加期間における各目標電圧VM1およびV2Mが、当該電圧印加期間の開始時の電圧0Vに対して最終目標電圧100V側にある。下降の駆動期間の場合は、上述のように電圧の変化する方向が逆転するだけであるので、上記の各電圧印加期間における目標電圧、初期電圧および最終目標電圧の関係は同一となる。そして、この関係は、多段電圧制動における電圧印加期間の数Nによらず同一である。また、図37は上昇の駆動期間を示しているが、下降の駆動期間の場合は電圧の変化する方向が逆転するだけであるので、説明は省略する。

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