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技術 計量装置及び計量方法

出願人 JFEアドバンテック株式会社
発明者 原田俊二乾口博史三河広幸
出願日 2014年6月27日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2014-132994
公開日 2016年1月21日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 2016-011869
状態 特許登録済
技術分野 重量測定装置
主要キーワード 曲線近似式 適合化処理 減衰自由振動 試行計算 振動影響 移動平均結果 移動平均計算 偏差平方和
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

高精度の計量及び計量時間の短縮を実現する。

解決手段

被計量物3の重量に応じた電気信号を出力する計量部2と、前記電気信号を計量データとして取り込むデータ保持部10と、前記計量データを移動平均により平滑化し、前記移動平均の変動を最小化する移動平均個数である適合化移動平均個数を算出し、前記平滑化に使用する適合化処理部11と、前記移動平均により平滑化した値を計量値として表示出力する表示器9とを備える、計量装置

概要

背景

製造業流通の分野において、ロードセルを用いた計量装置が従来から広く用いられている。ロードセルは弾性体歪ゲージ接着されていて、荷重を加えた時に生ずる弾性体の歪み量に応じた電圧出力を得るように構成されている。この出力値増幅した後にデジタル変換し、デジタル変換された出力値に基づいて計量値が算出される。このような計量装置は、被計量物計量部積載台に載せるとロードセルに荷重が加えられ、これによって被計量物の計量値が表示されるように構成されている。被計量物を積載台に載せた直後は減衰自由振動が生じ、表示値は徐々に安定化する。また、この時の振動は、ばね−質量系固有振動に近い周期で振動し、周期は積載台上の被計量物の重量によって変化する。一方、振動する計量値を急速に安定化させるために、振動周期の1周期、又はその整数倍時間幅で平均化することが有効であることが知られていて、これを利用した技術がいくつか提案されている。

特許文献1では、計算で求めた時間幅(τ)及びその整数倍の時間幅を設定し、これを積分時間幅とする積分器を備えた計量装置が開示されている。しかし、計量装置が商業用の卓上デジタル計量器のような比較的小型機器の場合、ロードセルとこれと接続する計量装置内の機械要素ばね定数製造メーカ設計開発段階で把握でき、固有振動周期を計算で求めることは可能としても、比較的大型の産業用計量装置の場合、振動周期は設置場所の支持部の影響を大きく受け、また、支持部のばね定数は不明で、計算で振動周期を求めることは困難な場合が多い。

特許文献2では、支持部が吊り下げ構造のロードセル秤で振動周期をフーリエ変換器で直接求め、求められた周期と移動平均による平均化時間を一致させる方法が開示されている。しかし、フーリエ変換は周期函数を振動函数に分解し、周波数毎のスペクトル成分を求めることができるが、被計量物を積載台に載せた直後の振動は減衰振動であり周期函数ではないため、FFT(Fast Fourier Transform)の出力結果には求める固有振動周期の他に、低周波のスペクトル成分が含まれ、有効な周期の抽出が難しい。また、構成機器としてはFFT専用のDSP(Digital Signal Processing)や高性能のCPU(Central Processing Unit)が必要となり高価となる問題がある。

特許文献3では、振動周期を求める別の方法として、振動波形ピーク値及びピーク時間間隔(山−山又は谷−谷)等を検出し、この間の平均値を算出し、計量値として出力表示する方法が提案されている。しかし、高周波や低周波のノイズ成分があると、ピークを検出することが難しくなり、安定した時間間隔及びこの間の平均値が求まらず安定した計量値が得られないことがある。

概要

高精度の計量及び計量時間の短縮を実現する。被計量物3の重量に応じた電気信号を出力する計量部2と、前記電気信号を計量データとして取り込むデータ保持部10と、前記計量データを移動平均により平滑化し、前記移動平均の変動を最小化する移動平均個数である適合化移動平均個数を算出し、前記平滑化に使用する適合化処理部11と、前記移動平均により平滑化した値を計量値として表示出力する表示器9とを備える、計量装置。

目的

本発明は、高精度の計量及び計量時間の短縮を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被計量物の重量に応じた電気信号を出力する計量部と、前記電気信号を計量データとして取り込むデータ保持部と、前記計量データを移動平均により平滑化し、前記移動平均の変動を最小化する移動平均個数である適合化移動平均個数を算出し、前記平滑化に使用する適合化処理部と、前記移動平均により平滑化した値を計量値として表示出力する表示器とを備える、計量装置

請求項2

前記適合化処理部での演算に必要な情報を外部から入力設定可能な操作設定部をさらに備え、前記適合化処理部は、予め設定するか又は前記操作設定部で入力された前記移動平均個数を、前記移動平均個数を間に含む3個以上の連続整数に変更して前記計量データの前記移動平均をそれぞれ試行計算し、各前記移動平均個数において移動平均の変動を表す変動評価値をそれぞれ算出し、各前記変動評価値に基づいて適合化移動平均個数を決定する、請求項1に記載の計量装置。

請求項3

前記移動平均は、1重移動平均又は2重移動平均であり、前記変動評価値は、前記移動平均の時系列データに対して時間経過方向に隣接するデータ間の差分を取り、前記差分の平方和を計算したものである、請求項1又は請求項2に記載の計量装置。

請求項4

前記移動平均は、2重移動平均であり、前記変動評価値は、隣接して異なる移動平均個数の前記移動平均の時系列データに対して同一サンプリング時刻のデータの差分を取り、前記差分の平方和を計算したものである、請求項1又は請求項2に記載の計量装置。

請求項5

前記適合化移動平均個数を算出後、前記適合化移動平均個数及び対応する前記計量値の関係データを記憶保管し、計量を繰り返す毎に前記関係データを蓄積する記憶部をさらに備え、前記適合化処理部は、前記関係データに基づいて前記適合化移動平均個数と前記計量値の関係式導出し、新たに計量する際、前記操作設定部で設定されるモードに応じて前記関係式を使用して前記適合化移動平均個数を決定し、移動平均個数を更新する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の計量装置。

請求項6

計量データの振幅が予め定めた値以上であり、前記計量データの変化率が別の予め定めた値以下である場合、前記計量データを移動平均により平滑化し、前記移動平均の移動平均個数を、前記移動平均個数を間に含む少なくとも3個以上の連続整数に変更して各前記移動平均個数の前記移動平均をそれぞれ試行計算し、各前記移動平均の変動を表す変動評価値をそれぞれ算出し、各前記変動評価値に基づいて前記移動平均の変動を最小化する前記移動平均個数である適合化移動平均個数を決定し、前記計量データを前記適合化移動平均個数の前記移動平均により平滑化した値を計量値とする、計量方法

技術分野

0001

本発明は、計量装置及び計量方法に関する。

背景技術

0002

製造業流通の分野において、ロードセルを用いた計量装置が従来から広く用いられている。ロードセルは弾性体歪ゲージ接着されていて、荷重を加えた時に生ずる弾性体の歪み量に応じた電圧出力を得るように構成されている。この出力値増幅した後にデジタル変換し、デジタル変換された出力値に基づいて計量値が算出される。このような計量装置は、被計量物計量部積載台に載せるとロードセルに荷重が加えられ、これによって被計量物の計量値が表示されるように構成されている。被計量物を積載台に載せた直後は減衰自由振動が生じ、表示値は徐々に安定化する。また、この時の振動は、ばね−質量系固有振動に近い周期で振動し、周期は積載台上の被計量物の重量によって変化する。一方、振動する計量値を急速に安定化させるために、振動周期の1周期、又はその整数倍時間幅で平均化することが有効であることが知られていて、これを利用した技術がいくつか提案されている。

0003

特許文献1では、計算で求めた時間幅(τ)及びその整数倍の時間幅を設定し、これを積分時間幅とする積分器を備えた計量装置が開示されている。しかし、計量装置が商業用の卓上デジタル計量器のような比較的小型機器の場合、ロードセルとこれと接続する計量装置内の機械要素ばね定数製造メーカ設計開発段階で把握でき、固有振動周期を計算で求めることは可能としても、比較的大型の産業用計量装置の場合、振動周期は設置場所の支持部の影響を大きく受け、また、支持部のばね定数は不明で、計算で振動周期を求めることは困難な場合が多い。

0004

特許文献2では、支持部が吊り下げ構造のロードセル秤で振動周期をフーリエ変換器で直接求め、求められた周期と移動平均による平均化時間を一致させる方法が開示されている。しかし、フーリエ変換は周期函数を振動函数に分解し、周波数毎のスペクトル成分を求めることができるが、被計量物を積載台に載せた直後の振動は減衰振動であり周期函数ではないため、FFT(Fast Fourier Transform)の出力結果には求める固有振動周期の他に、低周波のスペクトル成分が含まれ、有効な周期の抽出が難しい。また、構成機器としてはFFT専用のDSP(Digital Signal Processing)や高性能のCPU(Central Processing Unit)が必要となり高価となる問題がある。

0005

特許文献3では、振動周期を求める別の方法として、振動波形ピーク値及びピーク時間間隔(山−山又は谷−谷)等を検出し、この間の平均値を算出し、計量値として出力表示する方法が提案されている。しかし、高周波や低周波のノイズ成分があると、ピークを検出することが難しくなり、安定した時間間隔及びこの間の平均値が求まらず安定した計量値が得られないことがある。

先行技術

0006

特開昭62−261021号公報
特開平11−311566号公報
特開昭59−54931号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、高精度の計量及び計量時間の短縮を課題とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の第1の態様は、被計量物の重量に応じた電気信号を出力する計量部と、前記電気信号を計量データとして取り込むデータ保持部と、前記計量データを移動平均により平滑化し、前記移動平均の変動を最小化する移動平均個数である適合化移動平均個数を算出し、前記平滑化に使用する適合化処理部と、前記移動平均により平滑化した値を計量値として表示出力する表示器とを備える、計量装置を提供する。

0009

この計量装置によれば、適合化移動平均個数を使用した移動平均による平滑化を行うため、高精度の計量及び計量時間の短縮が可能である。ここで、移動平均個数とは、各時刻において移動平均値を算出する際に使用するデータの数を表している。一般に計量データの振動は、固有振動周期又はその整数倍の平均時間幅で移動平均をとる場合、その振幅殆どゼロになる。即ち、この場合の移動平均値が振動収束後の計量値となる。従って、この場合、計量データの振動の収束を待つことなく、収束後の計量値を正確に求めることができる。この計量装置では、移動平均個数を変更し、固有振動周期又はその整数倍の平均時間幅に対応する移動平均個数を適合化移動平均個数として算出することで、移動平均の変動を最小化している。従って、高精度の計量及び計量時間の短縮が可能である。

0010

前記適合化処理部での演算に必要な情報を外部から入力設定可能な操作設定部をさらに備え、前記適合化処理部は、予め設定するか又は前記操作設定部で入力された前記移動平均個数を、前記移動平均個数を間に含む3個以上の連続整数に変更して前記計量データの前記移動平均をそれぞれ試行計算し、各前記移動平均個数において移動平均の変動を表す変動評価値をそれぞれ算出し、各前記変動評価値に基づいて適合化移動平均個数を決定することが好ましい。

0011

この計量装置によれば、複数の連続する移動平均個数で移動平均を計算し、各移動平均に関する変動評価値を求め、これらの大小を比較することで、確実に移動平均の変動を最小化する移動平均個数(適合化移動平均個数)を求めることができる。

0012

前記移動平均は、1重移動平均又は2重移動平均であり、前記変動評価値は、前記移動平均の時系列データに対して時間経過方向に隣接するデータ間の差分を取り、前記差分の平方和を計算したものであることが好ましい。

0013

この計量装置によれば、変動評価値を上記のように設定することで、簡単に及び確実に移動平均の変動(振幅)を数値化して評価できる。変動評価値には、統計処理で使用される偏差平方和を使用しても良い。しかし、時系列データに単調増加又は低周波が含まれる場合、これらの影響を受ける。上記変動評価値は、偏差平方和のように平均値からの差分という概念を使用していないため、単調増加又は低周波の影響を受け難い点で偏差平方和よりも有利である。

0014

前記移動平均は、2重移動平均であり、前記変動評価値は、隣接して異なる移動平均個数の前記2重移動平均の時系列データに対して同一サンプリング時刻のデータの差分を取り、前記差分の平方和を計算したものであってもよい。

0015

この計量装置によれば、変動評価値を上記のように設定することで、同様に、簡単に及び確実に移動平均の変動(振幅)を数値化して評価できる。2重移動平均は、1重移動平均と比較して、振幅がゼロになる移動平均個数の近傍で、その振幅が小さいという特徴がある。従って、2重移動平均を使用した場合、1重移動平均に比べて変動量が少ないため、安定した計量が可能である。2重移動平均の場合、固有振動周期をτとすると、2τ,4τ,…の平均時間幅と一致する移動平均個数で、振幅はゼロになる。さらに、2τ,4τ,…の近傍では、下に凸の曲線となる。従って隣接する移動平均個数に対応する振幅の差分は2τ,4τ,…から離れるほど増大する。この特性を利用し、隣接する移動平均個数に対応する振幅の差分を評価することで、移動平均の変動を評価できる。

0016

前記適合化移動平均個数を算出後、前記適合化移動平均個数及び対応する前記計量値の関係データを記憶保管し、計量を繰り返す毎に前記関係データを蓄積する記憶部をさらに備え、前記適合化処理部は、前記関係データに基づいて前記適合化移動平均個数と前記計量値の関係式導出し、新たに計量する際、前記操作設定部で設定されるモードに応じて前記関係式を使用して前記適合化移動平均個数を決定し、移動平均個数を更新することが好ましい。

0017

この計量装置によれば、計量値に応じた適合化移動平均個数が直ちに得られるので、通常の移動平均の適合化処理を行う場合と比較して適合化処理時間による応答遅れを防止できる。

0018

本発明の第2の態様は、計量データの振幅が予め定めた値以上であり、前記計量データの変化率が別の予め定めた値以下である場合、前記計量データを移動平均により平滑化し、前記移動平均の移動平均個数を、前記移動平均個数を間に含む少なくとも3個以上の連続整数に変更して各前記移動平均個数の前記移動平均をそれぞれ試行計算し、各前記移動平均の変動を表す変動評価値をそれぞれ算出し、各前記変動評価値に基づいて前記移動平均の変動を最小化する前記移動平均個数である適合化移動平均個数を決定し、前記計量データを前記適合化移動平均個数の前記移動平均により平滑化した値を計量値とする、計量方法を提供する。

0019

この計量方法によれば、適合化移動平均個数を使用した移動平均による平滑化を行うため、高精度の計量及び計量時間の短縮が可能である。複数の連続する移動平均個数で移動平均を計算し、各移動平均に関する変動評価値の大小を比較することで、移動平均の変動を最小化する移動平均個数(適合化移動平均個数)を求めることができる。計量データに対し、適合化移動平均個数の移動平均による平滑化を行うことで、計量データの振動の収束を待つことなく、収束後の計量値を正確に求めることができる。

発明の効果

0020

本発明によれば、適合化移動平均個数を使用した移動平均による平滑化を行うため、高精度の計量及び計量時間の短縮が可能である。

図面の簡単な説明

0021

本発明の計量装置を示す概念図。
計量データ、平滑化出力、及び計量データの振動1周期あたりの変化率の時間変化を示す図。
1重移動平均及び2重移動平均を示す概念図。
1重移動平均処理データの時間変化を示す説明図。
1重移動平均及び2重移動平均による平滑特性の説明図。
1重移動平均処理データの差分の時間変化を示す説明図。
図6の各移動平均個数における変動評価値を示す図。
計量処理プログラムを示すフローチャート
図8Aの一部である移動平均個数適合化処理の2つのサブフローチャート。
本発明の第2実施形態の計量装置を示す概念図。
本発明の第2実施形態の計算処理プログラムの一部を示すフローチャート
適合化移動平均個数と計量値の関係式を示す説明図。
本発明の適用例であるトラックスケールを示す図。
本発明の適用例であるクレーンスケールを示す図。
本発明の適用例である車載計量を示す図。

実施例

0022

次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。

0023

(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の計量装置1を示している。計量装置1は、計量部2に載置された被計量物3の重量を計量する。

0024

計量装置1は、計量部2、支持部4、増幅器5、A/D変換器6、制御演算部7、操作設定部8、及び表示器9を備える。

0025

計量部2は、被計量物3を載置する部分である。計量部2は、ロードセル2aを有する。ロードセル2aは、計量部2に荷重を加えた際に生ずる歪み量に応じて電圧を出力する。支持部4は、計量部2を支持している。本実施形態においては、計量部2の上に被計量物3を載置する方式をとっているが、吊り下げる方式など他の方式であってもよく、計量部2の態様は特に限定されない。

0026

ロードセル2aの出力電圧は電気信号として増幅器5に伝送される。増幅器5では、この電気信号を増幅する。増幅された電気信号は、A/D変換器6に伝送される。A/D変換器6は、この電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。A/D変換器6により変換されたデジタル信号は、制御演算部7に伝送される。

0027

制御演算部7は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)のような記憶装置を含むハードウェアと、それに実装されたソフトウェアにより構築されている。制御演算部7は、データ保持部10及び適合化処理部11を備える。適合化処理部11は、平滑処理部12を備える。

0028

データ保持部10は、A/D変換器6から伝送された信号を所定のサンプリング間隔で計量データとして取り込む。

0029

操作設定部8では、移動平均個数Nの初期値運転モードを入力設定する。例えば、運転モードには運転モード0〜3の4つのモードがあり、操作設定部8で選択可能となっている。運転モード0は、適合化処理を実行せず、移動平均個数は操作設定部8の入力値を使用する。運転モード1は、適合化処理を実行し、移動平均個数更新は適合化処理完了後に実施され、次回計量開始時、適合化処理部11の予め設定する移動平均個数となる。運転モード2は、適合化処理を実行し、移動平均個数更新は次回計量開始後実施され、適合化処理部11の予め設定する移動平均個数となる。運転モード3は、適合化処理を実行し、移動平均個数更新は計量開始後、蓄積したデータから計量値に応じた適合化移動平均個数が直ちに適用され、適合化処理部11の予め設定する移動平均個数となる。なお、適合化処理を実行する場合、適合化処理は計量毎に1回のみ実施される。

0030

適合化処理部11は、データ保持部10から計量データを取得する。この計量データは、平滑処理部12で移動平均により平滑化される。また、適合化処理部11では、移動平均個数Nの適合化処理を実行し、適合化移動平均個数Naを決定する。運転モード及び運転状況によっては適合化処理部11が、移動平均個数Nの適合化処理を実行しない場合もある。

0031

表示器9は、適合化処理後の移動平均により平滑化された計量データ、又は、適合化処理を実行していない計量データを計量値として表示する。ユーザは、表示器9の表示を確認することで、計量部2に載置した被計量物3の重量を認識する。

0032

次に、計量装置1で実行される計量方法の原理を説明する。

0033

被計量物3が計量部2に載置されると計量部2又は支持部4の撓みにより、計量値は安定せず、減衰自由振動が生じる。図2は、減衰振動する計量データ、これを平滑化した平滑化出力、及びその1周期あたりの変化率を示している。ここでの変化率は、振動の1周期あたりの変化率である。従って振動が定常状態の場合、この変化率は殆どゼロとなる。計量装置1は、この振動の収束を待つことなく正確な計量値を取得することができる。

0034

計量値の振動周期は、被計量物3の重量によって変化する。説明のため、計量値の振動周期をτとする。A/D変換器6でデジタル化された後の計量データのサンプリング周期をΔtとする。N(移動平均個数)×Δt=τとなる移動平均個数で、計量データを移動平均平滑化すると、振動による影響が原理上、最も低減されることが知られている。本発明は、この移動平均の平滑化特性を利用している。複数の連続する移動平均個数Nで試行計算し、偏差平方和に相当する変動評価値を比較することにより振動影響の小さい移動平均個数を求める。このように、被計量物3の重量によって変化する振動周期に追随して移動平均個数を適合化し、計量時間の短縮及び高精度の計量を可能としている。

0035

本実施形態で使用する移動平均は、単純移動平均(1重移動平均)と単純移動平均を2回適用した2重移動平均である。時系列計量データを{Xi}、移動平均個数をNとすると、時刻iにおける1重移動平均S[N,i]及び2重移動平均D[N,i]は、それぞれ式(1)及び式(2)のように表される。

0036

N:移動平均個数
X:計量データ

0037

N:移動平均個数
S:1重移動平均

0038

図3は、1重移動平均及び2重移動平均に関して移動平均個数N=5の場合の概念図である。1重移動平均は各時刻において過去5つの計量データの平均化を繰り返している。2重移動平均は、1重移動平均結果に対して同様に各時刻において過去5つの計量データの平均化を繰り返している。

0039

振動周期と移動平均による平滑化特性を示すため、振動が正弦波(振幅A0=10kg、周期τ=400ms)、サンプリング周期Δt=40msで移動平均個数Nを変更した場合の応答計算結果例を使用して説明する。

0040

図4は、1重移動平均S[N,i]の時間変化を示している。移動平均開始直後から概略τ(sec)の間、過渡応答を示すが、その後は定常状態となる。特に、N×Δt=τとなるN=10では変動振幅はゼロになる。

0041

図5は、移動平均による平滑特性を示す図である。図5には、定常状態に移行した後の振幅と移動平均個数の関係を1重移動平均と2重移動平均とを並べて示している。1重移動平均では、τ、2τ、3τ、4τ…で振幅はゼロとなる。2重移動平均では、2τ、4τ…の平均時間幅と一致する移動平均個数で振幅はゼロとなる。また、これらの近傍の移動平均個数では振幅は小さくなり、離れると大きくなる。

0042

1重移動平均と2重移動平均の比較では、例えば、いずれも振幅がゼロとなる2τの近傍の移動平均個数では2重移動平均の振幅の方がより小さい。従って、より安定した計量値が期待できる。移動平均を複数の連続する移動平均個数で計算し、変動をばらつきと考えれば統計処理で使用される偏差平方和を計算し、この値の大小を比較することにより変動の小さい移動平均個数を求めることが出来る。これと同等の方法を以下で説明する。

0043

通常、偏差平方和はサンプルデータの平均値(又は予測値)から各データに対する偏差を計算し、その平方和を取る。ここでは平均値を使用せず、時間経過方向に隣接するデータ間の差分の平方和を計算し、これを変動評価値P[N]とする。即ち、1重移動平均の場合には以下の式(3)のように表される。

0044

N:移動平均個数
S:1重移動平均

0045

同様に、2重移動平均の場合、以下の式(4)のように表される。

0046

N:移動平均個数
D:2重移動平均

0047

通常の偏差平方和を変動評価値としても良いが、これは平均値からの偏差を計算するため、時系列計量データに単調増加や低周波が含まれる場合、この影響を受ける。これと比べて式(3)及び式(4)の場合、影響を受け難い利点がある。

0048

各P[N]値の大小を比較することにより、より小さい値を取る移動平均個数Nを適合化移動平均個数Naとして求めることができる。図4の計算例の1重移動平均の差分の値を図6に示している。N=10のとき、1重移動平均の差分はゼロであり、計量値が変動していない。N=10から離れるほど、差分は大きくなり、計量値が変動している。また、図7に式(3)によってこの差分の平方和を計算した変動評価値P[N]を示している。P[N]の値を比較し、この場合N=10で最小となるのでN=10を適合化移動平均個数Naと判定する。

0049

変動評価値は、式(3)及び式(4)以外のものであってもよい。図5の移動平均による平滑特性のグラフを参照すると、2重移動平均の場合の平滑特性を示す曲線は2τ、4τ…の平均時間幅と一致する移動平均個数でゼロとなる。また、2τ、4τ…の近傍では下に凸の曲線となる。従って、隣接する移動平均個数に対応する振幅の差分は2τ、4τ…から離れるほど増大する。この特性を考慮して式(3)及び式(4)と同様な式(5)を定義する。この場合の移動平均は2重移動平均である。変動評価値は、隣接して異なる移動平均個数の2重移動平均の時系列データに対して同一サンプリング時刻のデータの差分を取り、この平方和を算出する。

0050

N:移動平均個数
D:2重移動平均

0051

式(5)は2τ、4τ・・の平均時間幅に近い移動平均個数で小さくなり、離れるほど大きくなる。各P[N]値の大小を比較することで、より小さい値を取る移動平均個数Nを適合化移動平均個数Naとして求めることができる。また、各P[N]値に適当な重み付けをした後に、大小を比較しても良い。例えばa1,a2…を重み係数とすると、a1×P[N−2]、a2×P[N−1]、a3×P[N]、a4×P[N+1]、a5×P[N+2]の値の大小を比較できる。このようにすることで、各P[N]の大小の判別がつきにくい場合、移動平均個数が小さい方を選択して応答性重視するか、又は、移動平均個数が大きい方を選択して変動の安定性を重視するかによって、重み付けを変更して使用できる。

0052

次に計量装置1の動作方法を説明する。

0053

図8Aは、本発明の第1実施形態の計量装置1の動作を示すフローチャートである。データ保持部10は、計量部2のロードセル2aから増幅器5及びA/D変換器6を介して計量データ{Xi}を取得する(ステップS1)。操作設定部8で予め入力設定した運転モード及び運転状況により移動平均個数更新要否が判断される(ステップS2)。例えば、運転モード0で操作設定部8の入力値が変更されれば、即、移動平均個数の更新が行われる。また、操作設定部8で入力した移動平均個数以外に予め設定する移動平均個数を使用してもよい。ここで使用される予め設定する移動平均個数には、プログラムの初期値として設定された値の他、直前の適合化処理で決定した適合化移動平均個数も含む。ステップS2で移動平均個数更新が必要と判断された場合、ステップS3で更新される。ステップS2で移動平均個数更新が不要と判断された場合、ステップS4へ移行する。初回は、操作設定部8で入力設定した移動平均の初期値に設定される(ステップS3)。時系列計量データ{Xi}として、設定された移動平均個数を使用して、式(1)に基づいて1重移動平均を計算する(ステップS4)。その後、式(2)に基づいて2重移動平均を計算する(ステップS5)。次に計量データの所定時間あたりの変化率を計算する(ステップS6)。この所定時間には、サンプリング時間Δtの整数倍を取ることができるが、振動周期τに近い値を取ることが好ましく、N(移動平均個数)×Δtとしてもよい。続いて操作設定部8の運転モード及び運転状況に応じて移動平均個数適合化要否を判断する(ステップS7)。例えば、運転モード1で、適合化処理が1回も実施されていないなら、適合化処理に移る。

0054

ステップS7で移動平均個数適合化を不要と判断した場合、ステップS4及びステップS5で平滑化された計量データをさらに平滑化する必要があるかを、操作設定部8のデジタルフィルタ定数設定に基づいて判断する(ステップS8)。例えば、指数平滑化フィルタ係数として、0〜99%が使用される。この値が大きいほど、平滑化効果が大きく、0%設定時は平滑化効果がなく、分岐はNとなる。このフィルタ係数の設定は計量値の安定状況を見て操作者調整設定する。
ステップS8で平滑化が必要と判断された場合、平滑処理部12において、指数平滑化フィルタのようなデジタルフィルタで平滑化する(ステップS9)。ステップS8で平滑化が不要と判断された場合、ステップS10へ移行する。そして、表示器9において、計量値として表示出力する(ステップS10)。

0055

ステップS7で移動平均個数適合化を必要と判断した場合、移動平均個数適合化処理の前準備として一定期間の計量データの収集を開始する。図8Bは、移動平均個数適合化処理を示す図8Aの2つのサブフローチャートである。まず、計量データ{Xi}が所定の振幅閾値以上、及び、ステップS6で求めた計量データの変化率が別の所定の閾値以下であるかを判断する(ステップS11,ステップS12)。これにより、被計量物3が計量部2に載置され、計量値が増加中であるのか、積載後の減衰振動であるのか判別を行う(図2参照)。この条件(ステップS11,ステップS12)を満たすとき、データ保持部10は、一定期間の計量データ{Xi}を取得する(ステップS14,ステップS15)。この条件(ステップS11,ステップS12)を満たさない場合、ステップS8へ移行する。所定の時間を経過しても一定期間の計量データ{Xi}の取得が完了しない場合は、この処理を中断し、ステップS8へ移行するようにタイマーがセットされている(ステップS13)。ステップS15において、計量データ{Xi}の取得が完了した場合、適合化処理部11において、移動平均個数適合化処理が開始される(ステップS21へ移行する)。ステップS15において、計量データ{Xi}の取得が完了しなかった場合、ステップS11へ移行する。

0056

計量データ{Xi}に対して、現在使用中の移動平均個数Nを、この移動平均個数Nを間に含む連続数(例えばN−2,N−1、N、N+1,N+2)に変更し、平滑処理部12において、各移動平均個数について式(1)に基づいた1重移動平均計算と式(2)に基づいた2重移動平均計算の試行計算を行う(ステップS21〜24)。そして、試行計算が終了するまでステップS22へ移行し、これらを繰り返す(ステップS25)。複数の連続する移動平均個数での移動平均の試行計算が全て終了した場合(ステップS25)、得られた平滑化データを使用して、適合化処理部11において、異なる移動平均個数Nに対する変動評価値P[N]を式(3)〜(5)のいずれかを使って計算する(ステップS26)。得られた複数のP[N]に対して大小比較を行い(ステップS27)、最小となるP[N]の移動平均個数Nを求める。この移動平均個数Nを適合化移動平均個数Naと決定する(ステップS28)。例えばP[N−1]が最小であればNa=N−1と決定する。現在使用中の移動平均個数に対して適合化移動平均個数Naにいずれのタイミングで更新するかは操作設定部8で設定される運転モードによって異なり、ステップS2で判断される。移動平均個数適合化処理終了後直ちに変更することもできるし、又は次回の計量開始から変更することもできる。なお、図8A及び図8Bのフローチャートは2重移動平均を使う場合の説明図となっているが、本発明は1重移動平均のみでも可能であり、この場合には2重移動平均計算は省略できる。

0057

以上のように、計量装置1は、適合化移動平均個数を使用した移動平均による平滑化を行うため、固有振動周期が被計量物3の重量によって変化する使用環境においても、高精度の計量及び計量時間の短縮が可能である。また、周辺外乱振動の影響を受け難く、安定した計量が可能である。

0058

(第2実施形態)
図9は、第2実施形態の計量装置1を示している。本実施形態に係る計量装置1は、記憶部13に関係する部分以外の構成は図1の第1実施形態と同様である。従って、図1に示した構成と同様の部分については同様の符号を付して説明を省略する。

0059

本実施形態では、制御演算部7は、記憶部13を備える。記憶部13は、これまでの計量の際に計算した適合化移動平均個数Naとそのときの計量値Wとの関係データを記憶保管している。即ち、計量を繰り返すごとにこの関係データを蓄積している。

0060

本実施形態では、図10の移動平均個数適合化処理のサブフローチャートの最終ステップ(ステップS29)において、適合化移動平均個数NaとステップS21〜S24で得られている平滑化データに基づく計量値Wの関係データを記憶部13に保管する。計量を繰り返すごとにこの関係データを蓄積し、蓄積したデータから図11に示すような計量値Wと移動平均個数Nの関係式(近似式)を導出する。この関係式(近似式)を使用して、計量値Wに対する移動平均個数を決定する。そして、ステップS3で移動平均個数を変更する機能が追加されている。蓄積したデータ(Wi、Ni)の集合から最小二乗法を使用して直線近似式曲線近似式が導出される。本実施形態では計量部2の積載面に被計量物3が載置されると、計量値に応じた適合化移動平均個数が直ちに適用されるので、移動平均個数適合化処理時間による応答遅れがないという利点がある。

0061

1重移動平均と2重移動平均の比較では1重移動平均の方が応答遅れは小さいのに対して、2重移動平均は変動がより安定する特質がある。これらを考慮して計量の用途に応じて使い分けることができる。この使い分けは、操作設定部8の運転モードに応じて行われる。例えば、計量の用途による上記の運転モードの使い分けには、計量対象がトラックスケール、クレーンスケール、及び塵芥車の場合がある。図12aで示すトラックスケールの場合、トラックが積載台上に進入して停車して計量が開始するまでの数秒間に移動平均個数適合化処理は完了するため、運転モード1が適用できる。図12bのクレーンスケールで計量時間の短縮を目的とする場合、運転モード3が採用される。図12cに示す車載計量で例えば塵芥車では地域を巡回しながら収集場所毎に計量を行う。このような場合、運転モード2を適用し、移動平均個数適合化処理完了後、移動平均個数の更新は、次の収集場所で計量開始前に行うようにすれば移動平均個数適合化処理時間による応答遅れは回避できる。操作設定部8では、このように計量対象に応じた運転モードを設定し、適合化処理部11で適切な処理を行う。

0062

ここで記載した実施形態では、計量の対象を図12a〜12cのように、トラックスケール、クレーンスケール、及び塵芥車としたが、本発明の計量装置1は、これらに限定されない。被計量物3の重量が大きい場合、計量値の振動の収束に時間がかかるため、本発明はより有効である。しかし、重量が小さい場合、例えば卓上で使用する計量装置1の場合でも使用可能である。従って、本発明は、特に計量の対象を限定することなく使用することができる。

0063

1計量装置
2計量部
2aロードセル
3被計量物
4 支持部
5増幅器
6 A/D変換器
7制御演算部
8操作設定部
9表示器
10データ保持部
11適合化処理部
12平滑処理部
13 記憶部

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