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技術 車内音の時間変化率を小さくする音響加振装置を備える鉄道車両およびその音響加振方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 河田宏史坂田聡木下慎二高野靖
出願日 2014年6月23日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2014-127837
公開日 2016年1月18日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 2016-007868
状態 未査定
技術分野 鉄道車両の細部 防音、遮音、音の減衰
主要キーワード 定常走行速度 音響加 低減割合 切り通し 速度検知器 軌道構造物 距離標 空気伝播音
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

高速走行する鉄道車両トンネルを通過する際の車内音圧レベルの急激な変化を緩和して、乗客快適性阻害されにくい鉄道車両を提供することである。

解決手段

鉄道車両がトンネルを通過する際の車内音の時間変化率を小さくする音響加振装置を備え、この音響加振装置は、鉄道車両の位置情報および速度情報を得る位置速度検知器と、トンネルの入口および出口の位置情報と、トンネル長さ情報と、鉄道車両が任意の速度でトンネルを通過する時の車内音レベル情報と、を収納したデータベースと、位置速度検知器とデータベースとに基づいて外部出力機器へ出力する信号を演算する演算器と、演算器で演算された信号を出力する出力器と、信号を入力して鉄道車両の車内を音響加振する外部出力機器と、から構成されている。

概要

背景

新幹線登録商標)に代表される高速鉄道車両(以下、鉄道車両)では、高速化或いは動力高出力化に伴い、客室内騒音(以下、車内音圧レベルと記す)が増加しやすいので、車内音圧レベルの増加を抑制する対策が講じられている。一般的に鉄道車両の車内音の音圧レベルは、航空機の機内音のそれに比べて小さい。

鉄道車両は、明かり区間トンネル区間以外の区間)およびトンネル区間を高速で走行するので、トンネル区間では車輪レール上を転がることで発生する転動音がトンネル内で大きく反響する。さらに、トンネル内の空気が圧縮されて鉄道車両の周囲を流れる空気の流速が大きくなるので、鉄道車両の表面に沿う空気の流れがはく離したり、大きく渦巻いたりするなどの要因によって、鉄道車両の周囲の車外音(トンネル内の騒音)が大きくなり、車内音圧レベルも増加しやすい。

鉄道車両がトンネル区間を退出する際は、車外音の減少に伴い車内音圧レベルも低下する(トンネルへ進入する以前の明かり区間を走行中と同等の車内音圧レベルに戻る)。このような短時間の車内音圧レベルの変化は、乗客聴覚に不快をもたらす場合がある。航空機にはトンネルのような外部環境の変化がないため、機内音圧レベルは急激に変化せず、上記のような問題は起こりにくい。

特許文献1に、自動車室内空間において、外環境の変化に対応して車内音圧レベルの急激な変化を抑制する装置が開示されている。この装置は、車輪(タイヤ)から伝わる入力振動と車内の応答音を検出し,制御装置で車内音を打ち消す信号を算出し,その信号で車内の内装部品加振することにより車内音を低減するものである。

概要

高速で走行する鉄道車両がトンネルを通過する際の車内音圧レベルの急激な変化を緩和して、乗客の快適性阻害されにくい鉄道車両を提供することである。 鉄道車両がトンネルを通過する際の車内音の時間変化率を小さくする音響加振装置を備え、この音響加振装置は、鉄道車両の位置情報および速度情報を得る位置速度検知器と、トンネルの入口および出口の位置情報と、トンネル長さ情報と、鉄道車両が任意の速度でトンネルを通過する時の車内音レベル情報と、を収納したデータベースと、位置速度検知器とデータベースとに基づいて外部出力機器へ出力する信号を演算する演算器と、演算器で演算された信号を出力する出力器と、信号を入力して鉄道車両の車内を音響加振する外部出力機器と、から構成されている。

目的

本発明の課題は、高速で走行する鉄道車両がトンネルを通過する際の車内音圧レベルの急激な変化を緩和して、乗客の快適性が阻害されにくい鉄道車両を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

鉄道車両の車内に音響加振音を放射して、前記鉄道車両がトンネルを通過する際の車内音時間変化率を小さくする音響加振装置を備える鉄道車両であって、前記音響加振装置は、前記鉄道車両の位置情報および速度情報を得る位置速度検知器と、前記トンネルの入口および出口の位置情報と、前記トンネルの長さ情報と、前記鉄道車両が任意の速度で前記トンネルを通過する時の車内音圧レベル情報と、を収納したデータベースと、前記位置速度検知器と前記データベースとに基づいて外部出力機器へ出力する信号を演算する演算器と、前記演算器で演算された前記信号を出力する出力器と、前記信号を入力して前記音響加振音を放射する前記外部出力機器と、から構成されていることを特徴とする鉄道車両。

請求項2

請求項1に記載の鉄道車両において、前記演算器は、前記音響加振音の放射を開始する第1時刻と、前記鉄道車両が前記トンネルに進入する第2時刻と、前記第2時刻から前記音響加振音の低減を終了する第3時刻と、を演算し、前記第2時刻に、前記車内音圧レベルと同等の大きさの前記音響加振音を車内へ放射することを特徴とする鉄道車両。

請求項3

請求項2に記載の鉄道車両において、前記演算器は、前記データベースと、前記位置速度検知器の出力と、から、前方の短い複数の前記トンネルを一本の前記トンネルとみなし、前記第1時刻と、前記第2時刻と、前記第3時刻と、を演算することを特徴とする鉄道車両。

請求項4

請求項1から請求項3のいずれかの1項に記載の鉄道車両において、前記外部出力機器は車内放送に供されるスピーカであることを特徴とする鉄道車両。

請求項5

請求項1から請求項3のいずれかの1項に記載の鉄道車両において、前記外部出力機器は前記鉄道車両の内装材に備えられる加振器であることを特徴とする鉄道車両。

請求項6

請求項1から請求項5のいずれかの1項に記載の前記鉄道車両の前記音響加振音の制御方法において前記トンネルを検知して、前記トンネルに前記鉄道車両が進入する前から前記音響加振装置で車内への前記音響加振音の放射を開始して、前記鉄道車両が前記トンネルに進入すると前記音響加振音のレベルを低減することを特徴とする音響加振音の制御方法。

技術分野

0001

本発明は、鉄道車両の車体に備えられる音響加振装置に関し、特に、高速走行する鉄道車両がトンネルを通過する時に、車内音圧レベルの急激な変化を緩和して、乗客快適性阻害されにくい鉄道車両に関する。

背景技術

0002

新幹線登録商標)に代表される高速鉄道車両(以下、鉄道車両)では、高速化或いは動力高出力化に伴い、客室内騒音(以下、車内音圧レベルと記す)が増加しやすいので、車内音圧レベルの増加を抑制する対策が講じられている。一般的に鉄道車両の車内音の音圧レベルは、航空機の機内音のそれに比べて小さい。

0003

鉄道車両は、明かり区間トンネル区間以外の区間)およびトンネル区間を高速で走行するので、トンネル区間では車輪レール上を転がることで発生する転動音がトンネル内で大きく反響する。さらに、トンネル内の空気が圧縮されて鉄道車両の周囲を流れる空気の流速が大きくなるので、鉄道車両の表面に沿う空気の流れがはく離したり、大きく渦巻いたりするなどの要因によって、鉄道車両の周囲の車外音(トンネル内の騒音)が大きくなり、車内音圧レベルも増加しやすい。

0004

鉄道車両がトンネル区間を退出する際は、車外音の減少に伴い車内音圧レベルも低下する(トンネルへ進入する以前の明かり区間を走行中と同等の車内音圧レベルに戻る)。このような短時間の車内音圧レベルの変化は、乗客の聴覚に不快をもたらす場合がある。航空機にはトンネルのような外部環境の変化がないため、機内音圧レベルは急激に変化せず、上記のような問題は起こりにくい。

0005

特許文献1に、自動車室内空間において、外環境の変化に対応して車内音圧レベルの急激な変化を抑制する装置が開示されている。この装置は、車輪(タイヤ)から伝わる入力振動と車内の応答音を検出し,制御装置で車内音を打ち消す信号を算出し,その信号で車内の内装部品加振することにより車内音を低減するものである。

先行技術

0006

特開平07−281676号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1に開示される装置が効果的に車内の音を打ち消すことができる条件は、音の波長λ、室内の代表長さWとした時に、W≪λ/2の条件が成り立つ場合である。鉄道車両の長手方向の長さ(代表長さW)は自動車のそれに比べて非常に大きいので、代表長さWの大きさに比例して波長λも大きくなる。波長λと周波数の積は音速(一定)なので、波長λが大きくなると周波数fは小さくなり、周波数が小さい領域においてのみ消音効果が期待できることとなる。

0008

鉄道車両は自動車と異なり、長手方向に沿って複数の座席が設けられるので乗客が着席する場所は面状に分布する。このため、車内騒音評価点となる着座した乗客のの位置も面状に分布して複数存在するので、自動車の運転者のみを対象とする上記装置を鉄道車両に適用する場合には、その消音効果に関して解決すべき課題がある。

0009

本発明の課題は、高速で走行する鉄道車両がトンネルを通過する際の車内音圧レベルの急激な変化を緩和して、乗客の快適性が阻害されにくい鉄道車両を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

上記の課題は、鉄道車両の車内に音響加振音を放射して、鉄道車両がトンネルを通過する際の車内音の時間変化率を小さくする音響加振装置を備える鉄道車両であって、音響加振装置は、鉄道車両の位置情報および速度情報を得る位置速度検知器と、トンネルの入口および出口の位置情報と、前記トンネルの長さ情報と、鉄道車両が任意の速度で前記トンネルを通過する時の車内音レベル情報と、を収納したデータベースと、位置速度検知器と前記データベースとに基づいて外部出力機器へ出力する信号を演算する演算器と、演算器で演算された信号を出力する出力器と、信号を入力して鉄道車両の車内を音響加振する外部出力機器と、から構成されていることを特徴とする鉄道車両によって解決できる。

発明の効果

0011

本発明によれば、高速で走行する鉄道車両がトンネルを通過する際の車内音圧レベルの急激な変化を緩和して、乗客の快適性が阻害されにくい鉄道車両を提供することができる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、鉄道車両の長手方向に交差する面の断面図であり、明かり区間とトンネル区間において車外音が車内へ伝播する経路を示す模式図である。
図2は、鉄道車両がトンネルを通過する時の走行速度と車内音圧レベルの推移を示す模式図である。
図3は、本発明による音響加振装置の構成図と、この装置を備える鉄道車両の模式図である。
図4は、本発明の音響加振装置の動作ステップを示す制御フローチャートである。
図5は、トンネルを通過する車両の車内音圧レベルと、音響加振装置によって付加される車内音圧レベルと、車両の走行速度および走行位置との関係を示す模式図である。
図6は、複数の短いトンネルを通過する時の車両の車内音圧レベルと、音響加振装置によって付加される車内音圧レベルと、車両の走行速度および走行位置との関係を示す模式図である。
図7は、発車した直後にトンネルを通過する時の車両の車内音圧レベルと、音響加振装置によって付加される車内音圧レベルと、車両の走行速度および走行位置との関係を示す模式図である。

実施例

0013

図1は、鉄道車両の長手方向に交差する面の断面図であり、明かり区間とトンネル区間において車外音が車内へ伝播する経路を示す模式図である。図1の左側に、鉄道車両10が明かり区間(トンネル区間以外の区間)を走行する時の車内音伝播経路を示し、図1の右側に、鉄道車両10がトンネル区間を走行しているときの車内音伝播経路を示す。

0014

鉄道車両10の車内で観察される車内音は固体伝播音30と空気伝播音31に分けられる。鉄道車両10の車体20は、中心ピン22(台車旋回中心となる部位)や、牽引装置(台車の駆動力およびブレーキ力を車体へ伝える部位)や、ヨーダンパの車体側の取り付け部(台車の水平面内での環状な振動を抑制する部位)を介して、台車21と接続している。固体伝播音30は、台車21の振動が中心ピン22や牽引装置等などに伝達し、振動が伝達されたこれらの部位が車体20を構成する台枠を加振する結果、台枠の表面等から車内に音として放射される音である。

0015

一方、空気伝播音31は、車輪23がレールの上を転がることで発生する転動音32や、車体周り空力音33などが車体各部を透過して室内へ伝わる音である。空気伝播音31の内、転動音32は明かり区間を走行する時には、車体20周りの空間に放射され、軌道に沿って備えられる防音壁等に吸収される。しかしながら、鉄道車両10がトンネル区間を走行する時には、トンネル40の内壁反射して、車体20を透過して室内に伝播する。

0016

さらに、トンネル区間を走行する時には、鉄道車両10の周囲を流れる空気の流速が増加するため、車体20の表面および床下機器の周囲を流れる空気のはく離や渦に起因する空力音33も増加する。これらの影響から、鉄道車両10がトンネル区間を走行する場合には、明かり区間を走行する場合に比較して、空気伝播音31が増加するため車内音も増加しやすい。

0017

図2は、鉄道車両が高速でトンネルを通過する時の走行速度と車内音圧レベルの推移を示す模式図である。縦軸に車内音の大きさを示す車内音圧レベル(dB)と、鉄道車両の走行速度(km/h)を記し、横軸に時間を記す。鉄道車両10が駅に停車している時(時刻a)、空調装置に組み込まれる室内送風機等の運転が継続されるため、車内音圧レベル70はA(dB)を維持する。鉄道車両10が駅を出発して明かり区間を所定の加速度加速して定常走行速度(Dkm/h)に達すると(時刻b)、固体伝播音30や空気伝播音31が走行速度の増大に伴って大きくなるので、車内音圧レベル70はB(dB)まで緩やかに増大する。

0018

高速(Dkm/h)で走行する鉄道車両10がトンネル区間に進入する(時刻d)と、転動音32や空力音33等が上述した理由によって急増するため、車内音圧レベル70はB(dB)からC(dB)まで短時間に増大し、トンネルを通過する間、車内音圧レベルC(dB)が維持される。

0019

鉄道車両10がトンネル区間を退出して明かり区間に進行する(時刻g)と、車内音圧レベル70は鉄道車両10がトンネル区間に進入する以前のB(dB)の音圧レベルに減少する。鉄道車両10がトンネル区間に進入する時刻dにおける車内音圧レベル70の短時間の上昇と、車両10がトンネル区間から退出する時刻gにおける車内音圧レベル70の減少は、乗客の快適性を阻害する場合がある。特に、短時間に車内音圧レベル70が上昇する場合は乗客の快適性を阻害しやすい。

0020

図3は、本発明による音響加振装置の構成図と、この装置を備える鉄道車両の模式図である。音響加振装置60は、鉄道車両10の位置情報(距離標情報、キロポスト情報)および速度情報を検知する位置速度検知器62と、鉄道車両10が任意の速度でトンネル区間を通過した時に車内で観察される車内音圧レベル70(周波数特性を含む)と、走行路線トンネル情報(トンネルの入口および出口の位置情報、トンネル長さ情報、トンネルとトンネルとの間の明かり区間の長さ情報)と、列車種別停車駅および通過駅情報)などを収納したデータベース64と、位置速度検知器62で得た位置情報および速度情報と、データベース64に基づいてスピーカ80(アクチュエータ82)などの外部出力機器への信号出力出力タイミング等を演算する演算器66と、演算器66の指令に基づいて外部出力機器へ信号を出力する出力器68から構成される。

0021

鉄道車両10の位置情報および速度情報を把握する位置速度検知器62は、軌道に沿って設置される地上子の位置情報と、この地上子から鉄道車両10が進行した距離に基づいて起点からの鉄道車両10の現在位置を算出してもよいし、D−ATC等から位置情報をリアルタイムで得てもよい。

0022

スピーカ80は、停車駅や到着時刻等を乗客に伝えるため鉄道車両に備えられるスピーカを利用してもよいし、音響加振装置60を構成するために備えられたスピーカであってもよい。

0023

図4は、本発明の音響加振装置の動作ステップを示す制御フローチャートである。図5は、トンネルを通過する鉄道車両の車内音圧レベルと、音響加振装置によって付加される車内音圧レベルと、鉄道車両の走行速度および走行位置との関係を示す模式図であり、図6は、複数の短いトンネルを通過する時の鉄道車両の車内音圧レベルと、音響加振装置によって付加される車内音圧レベルと、鉄道車両の走行速度および走行位置との関係を示す模式図である。そして、図7は、駅を発車した直後にトンネルを通過する時の鉄道車両の車内音圧レベルと、音響加振装置によって付加される車内音圧レベルと、鉄道車両の走行速度および走行位置との関係を示す模式図である。

0024

図4に示す制御フローチャートが示す各動作を、図5から図7を参照しながら説明する。乗務員が鉄道車両10を営業に供する際に、鉄道車両10を起動する動作に合せて本制御フローが開始(S10)する。上述したように、鉄道車両10の車内音圧レベル70が短時間に急上昇して乗客の快適性が阻害されやすいのは、鉄道車両10が所定の速度Ekm/h(例えば180km/h、図5参照)より大きい速度で走行する際にトンネルを通過する時である。

0025

このため、悪天候等でダイヤ乱れて鉄道車両10が低速で走行する際には、車内音圧レベル70の変化が小さく乗客の快適性が阻害されにくいので、本制御が必要か否かを、現状の車速と所定の速度(乗客が不快を感じる恐れのある予め決められた速度)とを比較(S20)して判断する。

0026

鉄道車両10の速度が所定の速度(Ekm/h)より大きい速度であると判断された時、位置速度検知器62で得た位置情報および速度情報と、データベース64のトンネル位置情報(マップ情報)と、を参照して、鉄道車両10が明かり区間を走行しているのか、あるいは、トンネル区間を走行しているのかを判断(S30)する。

0027

鉄道車両10が明かり区間を走行していると判断された場合(S30)、この先に位置するトンネルが一本の比較的長いトンネルであるのか、あるいは、複数の短いトンネルが連続してあるのかを、データベース64等を参照して(S40)を判断する。S40でこの先に位置するトンネルは複数の短いトンネルが連続しておらず、一本の比較的長いトンネルであると判断した場合、鉄道車両10がトンネルへ進入する際の処理B(S60)へ進んで以下を実施する(図5参照)。

0028

B1…位置速度検知器62の位置情報および速度情報と、データベース64と、から現状速度でトンネル区間1を通過する際に観察される車内音圧レベル(図5、時刻d、C(dB))を得ることができる音響加振音73のレベル(大きさ)を求める。

0029

B2…位置速度検知器62の位置情報および速度情報から、B1で推定した音響加振音73のレベルで音響加振を開始する時刻(図5、時刻c)と、この時刻から音響加振を開始してB1で算定した音響加振音73のレベルに至るまでの時間(図5の時刻cから時刻dに至る時間)を算出する。

0030

B3…位置速度検知器62の位置情報および速度情報を基に、時刻dにおける車内音圧レベルC(dB)に相当する音響加振音73のレベルを時刻dから時刻eにかけて10数(dB)低減する。

0031

処理B(S60)が完了すると、続いて鉄道車両10がトンネル区間1から明かり区間2へ進行する時の以下の処理C(S70)へ進んで以下を実施する(図5参照)。

0032

C1…位置速度検知器62の位置情報および速度情報と、データベース64と、から、鉄道車両10がトンネル区間1の終端(出口)の手前の位置に至る時刻(図5、時刻f)およびこの時刻の車内騒音レベルC(dB)を得ることができる音響加振音73のレベルを算出する。

0033

C2…鉄道車両10の位置速度検知器62の情報から、B1で決めた音響加振音73のレベルで音響加振を開始する時刻(図5、時刻f)と、この時刻から音響加振を開始してC1で推定した音響加振音73のレベルに至るまでの時間(図5の時刻fから時刻gに至る時間)を算出する。

0034

C3…鉄道車両10の位置速度検知器62の情報を基に、時刻gにおける車内音圧レベルC(dB)に相当する音響加振音73のレベルを時刻gから時刻hにかけて低減する。

0035

以上の処理B(S60)と処理C(S70)が鉄道車両10において実施される様子を、図5を参照して説明する。鉄道車両10は時刻aに、駅を発車して明かり区間を所定の加速度で加速して時刻bに速度Dkm/hに到達する。鉄道車両10は速度Dkm/hで、時刻bから時刻dに掛けて明かり区間1を、時刻dから時刻gに掛けてトンネル区間1を、時刻gから時刻jに掛けて明かり区間2を走行する。

0036

時刻aにおいて観察される車内音圧レベルA(dB)は、鉄道車両10の速度上昇に伴い時刻bにB(dB)まで緩やかに上昇して、その後、時刻bから時刻dまで車内音圧レベルB(dB)が維持される。

0037

時刻cに、音響加振装置60を構成するスピーカ80から車内へ音響加振音73の放射が開始されて、鉄道車両が速度Dkm/hトンネル区間1に進入する時刻dにこの音響加振音73はC(dB)相当の音圧レベルで鉄道車両の車内に放射される。鉄道車両10が速度Dkm/hでトンネル区間1に進入する時刻dから音響加振音73は減少して、時刻eにC(dB)より10数(dB)低いレベルに低減され、時刻fに至るまでこの低いレベルが維持される。この低いレベルは、音響加振装置60を駆動しない時に、鉄道車両10が時速Dkm/hでトンネル区間1を進行する時に観察されるC(dB)に隠れる程度(暗騒音)のレベルである。

0038

時刻fに、音響加振装置60を構成するスピーカ80から車内へ音響加振音73の放射が再開されて時刻gに、この音響加振音73はC(dB)相当の音圧レベルに達した後、時刻gから時刻hに掛けて音響加振音73は0(dB)になるまで低減される。

0039

鉄道車両10がトンネル区間1に進入する前の時刻cから時刻dに掛けて、音響加振装置60から車内に一定の増加割合で音響加振音73が車内に放射されるので、時刻dにおいて鉄道車両が高速でトンネル区間に進入することに起因する車内音圧レベル70の時間変化率(図2、時刻d)を小さくすることができるので、乗客の快適性が阻害されることを抑制することができる。

0040

鉄道車両10がトンネル区間1を退出する前の時刻fからgに掛けて、音響加振装置60から車内に一定の増加割合で音響加振音73が車内に放射された後、時刻gから時刻hに掛けて、音響加振装置60による音響加振音73が一定の割合で低減されるので、時刻g以降に鉄道車両10の車内で観察される車内音圧レベル70の時間変化率(図2、時刻g)を小さくできるので、乗客の快適性阻害を抑制できる。

0041

また、時刻cから時刻d(トンネル区間1に進入する直前)と、時刻dから時刻e(トンネル区間1の入口に進入した直後)と、時刻fから時刻g(トンネル区間1の出口の直前)と、時刻gから時刻h(トンネル区間1を出た直後)において、音響加振音73のレベルを一定の増加あるいは低減割合(時間変化率)で増大したり低減したりするので、鉄道車両とトンネル区間1の入口および出口の位置検知(推定)に多少の誤差があった場合でも、急激な車内音圧レベル70の変化を抑制することができるので、乗客の快適性阻害を抑制できる。

0042

なお、時刻cから時刻hに掛けて、鉄道車両の内部に放射される音響加振音73の周波数特性は、高速で走行する鉄道車両がトンネルをする時に観察される車内騒音の周波数特性と同様の傾向を備えたものである。

0043

また、上記では時刻aから時刻jに基づく時間基準で音響加振音73のレベルを決めるとともに、その放射および低減の開始および終了のタイミングについて説明したが、時刻を距離標(km)に置き換えて、鉄道車両が高速でトンネルを通過する際に、鉄道車両の車内で放射あるいは低減される音響加振音73の制御に必要な音響加振音73のレベル(大きさ)とその開始および終了のタイミングを、各距離標(km、距離基準)で規定して、上記音響加振音73を制御してもよい。以下に記す説明においても、同様に時刻を距離標に読み替えて音響加振音73を制御してもよい。

0044

次に、図4のS40で、この先に位置するトンネルが複数の短いトンネルが連続してある(一本の比較的長いトンネルでない)と判断される場合について説明する。

0045

図6において、鉄道車両は時刻aに駅を出発して所定の加速度で加速し、時刻bから時刻lに掛けて、速度Dkm/hで走行し、時刻lから時刻mに掛けて減速して次の駅に停車する。時刻dから時刻f、時刻gから時刻h、時刻iから時刻kに掛けて、トンネル区間2からトンネル区間4を順番に通過する。これらの各トンネル区間の長さは、比較的短い長さであり、トンネル区間とトンネル区間との間には短い距離の明かり区間がある。

0046

本発明による音響加振音73を車内に放射しない場合、図6に示すように、鉄道車両10が、トンネル区間と明かり区間とを交互に速度Dkm/hで通過する過程において、車内音圧レベル70は、トンネル区間のC(dB)と明かり区間のB(dB)との間を短時間に大きく変動し、乗客の快適性が阻害される虞がある。

0047

図5を参照して説明した処理B(S60)および処理C(S70)を長さの短い各トンネルに対して実施しようとすると(図5参照)、各トンネルの入り口(時刻d)の前後の時刻cおよび時刻eと、各トンネルの出口(時刻g)の前後の時刻fおよび時刻hを推定する必要がある。しかしながら、各トンネルの長さが短すぎて一つの短いトンネルに関する時刻eが時刻fの後に推定される等の不具合が生じて、乗客の快適性が阻害されないように、車内に音響加振音73を放射できない可能性がある。そこで本発明では、これらの不具合を解消するために、処理A(S50)を設けて、以下の制御を実施する(図6参照)。

0048

A1…データベース64と、位置速度検知器62の位置情報および速度情報と、を照合して、この先に位置する比較的短いトンネル区間2からトンネル区間4を特定する。

0049

A2…トンネル区間2の入口からトンネル区間4の出口までを、演算器66が一本のみなしトンネル区間と設定する。

0050

処理A(S50)が完了すると、処理Aによって定義された一本のみなしトンネル区間に対して、処理B(S60)と処理C(S70)を順番に実施する。処理A(S50)によって、上述した各短いトンネルの出入り口前後の時刻を推定する際の不具合を回避できる。さらに、処理Aに引き続き処理Bと処理Cを実施することにより、高速で走行する鉄道車両が、トンネル区間2と、トンネル区間2とトンネル区間3との間に位置する明かり区間(図6参照、時刻fからg、時刻hからi)と、を高速で鉄道車両が通過する際の車内騒音レベルの変化に起因する乗客の快適性阻害を抑制できる。

0051

次に、図4のS30で、列車の位置が明かり区間でないと判断された場合の処理を説明する。S20で列車が所定の速度より早い速度で走行中であると判断された後に、S30で列車の位置が明かり区間でない、つまり、列車がトンネル区間を走行していると判断される場合である。

0052

この場合は、図7に示すように、鉄道車両10がトンネル区間1に近接する駅を時刻aに発車した後、加速して時刻bにおいて、所定の速度(S20で判断される速度)より低い速度でトンネル区間1に進入するケースある。鉄道車両10は時刻bから時刻cにかけて、トンネル区間1内を加速して所定の速度Ekm/hを超えて速度Dkm/hで、定速走行移行する。トンネル内では車内音圧レベル70に寄与する空力騒音の割合が大きいので、時刻aから時刻b(明かり区間1)の車内音圧レベル70の時間増加率より、時刻bから時刻c(トンネル区間1)の車内音圧レベル70の時間増加率の方が大きい。いずれにしても、時刻aから時刻cにおける車内音圧レベル70の増加は、短時間に生じないので、この時間帯における音響加振音73を付加する制御は実施しない。

0053

次に、鉄道車両10がトンネル区間1から退出する時の車内音圧レベル70の急激な減少を抑制するために、処理D(ステップ80)を実施する。

0054

D1…位置速度検知器62の位置情報および速度情報と、データベース64と、から現状速度でトンネル区間1の出口で観察される車内音圧レベル(図7、時刻e、C(dB))を得ることができる音響加振音73のレベルを求める。

0055

D2…位置速度検知器62の位置情報および速度情報から、D1で推定した音響加振音73のレベルで音響加振音73の付加を開始する時刻(図7、時刻d)と、この時刻から音響加振を開始してD1で算定した音響加振音73のレベルに至るまでの時間(図7の時刻dから時刻eに至る時間)を算出する。

0056

D3…位置速度検知器62の位置情報および速度情報を基に、時刻eにおける車内音圧レベルC(dB)に相当する音響加振音73のレベルを時刻eから時刻fにかけて低減する。

0057

鉄道車両10がトンネル区間1を退出する時刻eに、音響加振装置60によって車内に通常のトンネル通過時とほぼ同じ車内音圧レベルC(dB)の音響加振音73が放射される。その後、時刻eから時刻fに掛けて一定の割合(時間変化率)で音響加振音73のレベルが低減され、時刻fにほぼ音響加振音73のレベルは0となる。この制御によって、トンネル区間1を退出する鉄道車両10の車内では、短時間に車内音圧レベル70がC(dB)からB(dB)に低下することを抑制できるので、乗客の快適性阻害を抑制できる。

0058

さらに、時刻eから時刻fに掛けて一定の割合(時間変化率)で音響加振音73のレベルが低減されるので、鉄道車両10とトンネル出口との間に時間(距離)的な誤差がある場合でも、車内騒音レベルが短時間に変化することを抑制できるので、乗客の快適性阻害を抑制できる。

0059

なお、処理Aから処理Dにおいて、音響加振装置60の出力器68の出力が入力されて音響加振音73を車内に放射するスピーカ80は、装置コストを低減するために通常の車内放送等に供されるスピーカ(図示なし)と共用してもよいし、このスピーカとは別のスピーカを備えてもよい。

0060

さらに、スピーカ80に代えて、内装材である天井パネル側パネル化粧板)などに加振器82を備え、この加振器82に出力器68から信号を入力して、加振器82が備えられる天井パネル等を加振して、加振される天井パネル等からの放射音を前述した音響加振音73としてもよい。

0061

さらに、鉄道車両10は複数の車両が組成されて編成をなしているので、処理Aから処理Dを実施する際の基準車両先頭車両とするとともに、先頭車両に後続する各車両から最後尾車両車両毎に各号車全長を考慮して、処理Aから処理Dに記した各種処理の時刻あるいは距離標を補正した後、各号車単位で音響加振音73を取り扱う制御を実施してもよい。

0062

さらに、本制御は、鉄道車両10が、車内音圧レベル70が急変する可能性がある軌道構造物、例えば、切り通しや、橋梁などを通過する時に適用してもよい。

0063

さらに、乗客の聴覚は、短時間に車内音圧レベル70が増加した方が、短時間にそれが減少した時に比較して聴覚の不快をより感じやすいので、上述した各ケース(図5から図7)において、処理C(ステップ70)および処理D(ステップ80)を省略してもよい。

0064

10…鉄道車両20…車体
21…台車22…中心ピン
30…固体伝播音31…空気伝播音
32…転動音 33…空力音
40…トンネル60…音響加振装置
62…位置速度検知器64…データベース
66…演算器68…出力器
70…通常の車内音圧レベル73…音響加振音
80…スピーカ82…アクチュエータ
S10〜S100…制御ステップ

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