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技術 全方向移動車輪およびそれを備えた全方向移動車両

出願人 WHILL株式会社
発明者 坂東一夫平田泰大
出願日 2014年6月20日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2014-127463
公開日 2016年1月18日 (4年3ヶ月経過) 公開番号 2016-007860
状態 特許登録済
技術分野 車両ホイール
主要キーワード 各軸線回り 略半周分 軸受アーム 全身振動 樽型形状 ローラ溝 全方向移動車輪 テーパ形
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年1月18日)のものです。
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図面 (10)

課題

特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを抑制した全方向移動車輪を提供する。

解決手段

大径ローラ30,31および小径ローラ40,41を各軸線X1,X2回りに回転自在に取り付ける第1支持部20および第2支持部21を備え、各小径ローラ40,41の小径側の端面の一部を各大径ローラ30,31の凹所30c,31c内に部分的に挿入した状態で、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41を、それらの外形が単一の円周上に配されるように隙間を空けて配置し、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41のうちの1以上の外周面ローラ溝が形成され、ローラ溝と隙間とからなる複数の非接地領域が、円周C上に互いに異なる複数のピッチ間隔を空けて配置されている全方向移動車輪を提供する。

概要

背景

従来、車両の直進方向に対して直交する横方向へ回転する複数の回転ローラ車軸回りに配置した回転体付き車輪が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の回転体付き車輪では、隣り合う回転体の周面間に隙間を小さくするために、各回転体の先端部を、隣り合う回転体の基端部に形成された凹所に部分的に挿入した状態で配置されている。また、各回転体の両端部は、リム(ハブ)の周面に取り付けられた隣接する一対の軸受アームによって支持されている。

概要

特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを抑制した全方向移動車輪を提供する。大径ローラ30,31および小径ローラ40,41を各軸線X1,X2回りに回転自在に取り付ける第1支持部20および第2支持部21を備え、各小径ローラ40,41の小径側の端面の一部を各大径ローラ30,31の凹所30c,31c内に部分的に挿入した状態で、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41を、それらの外形が単一の円周上に配されるように隙間を空けて配置し、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41のうちの1以上の外周面ローラ溝が形成され、ローラ溝と隙間とからなる複数の非接地領域が、円周C上に互いに異なる複数のピッチ間隔を空けて配置されている全方向移動車輪を提供する。

目的

本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを抑制した全方向移動車輪およびそれを用いた全方向移動車両を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

車軸回りに回転可能に設けられた回転部材と、前記車軸に直交する平面内において、前記回転部材の径方向に直交する方向に延びる軸線を有する複数のローラと、各該ローラを前記回転部材に各前記軸線回りに回転自在に取り付ける支持部材とを備え、前記ローラは、その外形が前記車軸を中心とする円の曲率と一致する曲率を有し、端面の中央に凹所を有する第1ローラ部材と該第1ローラ部材より小径の第2ローラ部材とからなり、前記支持部材が、各前記第2ローラ部材の端面の一部を各前記第1ローラ部材の前記凹所内に部分的に挿入した状態で、前記第1ローラ部材および前記第2ローラ部材を、それらの外形が単一の円周上に配されるように該円周上に隙間を空けて配置し、1以上の前記ローラ部材の外周面に、該ローラ部材の周方向に延びるローラ溝が形成され、該ローラ溝と前記隙間とからなる複数の非接地領域が、前記円周上に互いに異なる複数のピッチ間隔を空けて配置されている全方向移動車輪

請求項2

前記第1ローラ部材および前記第2ローラ部材の双方の外周面に、前記ローラ溝が形成されている請求項1に記載の全方向移動車輪。

請求項3

以下の条件式を満たす請求項1または請求項2に記載の全方向移動車輪。X>48πD(1)ここで、X:前記全方向移動車輪の前記円周上に配置される前記非接地領域の数、D:前記全方向移動車輪の直径、である。

請求項4

前記ローラ溝のエッジの前記軸線方向の位置が、前記ローラ部材の周方向に沿って変化するように、前記ローラ溝が形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の全方向移動車輪。

請求項5

前記円周上の前記ローラ溝の位置、幅、および本数の少なくともいずれか1つが、前記ローラ部材の周方向に変化する請求項4に記載の全方向移動車輪。

請求項6

前記ローラが、前記軸線方向の一端から他端に向かって直径が単調に変化する略円錐台状に形成され、前記第1ローラ部材が、その小径側の端面の中央に前記凹所を有し、前記支持部材が、大径側の端面を対向させた一対の前記第1ローラ部材に挟まれる位置に配置されてこれらの前記第1ローラ部材を支持する第1支持部と、大径側の端面を対向させた一対の前記第2ローラ部材に挟まれる位置に配置されてこれらの前記第2ローラ部材を支持する第2支持部とを備え、前記第1支持部と前記第2支持部とが、前記回転部材の周方向に交互に配置され、各前記第2ローラ部材の小径側の端面の一部を各前記第1ローラ部材の前記凹所内に部分的に挿入した状態で、前記第1ローラ部材および前記第2ローラ部材を配置している請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の全方向移動車輪。

請求項7

前記第1支持部が、一対の前記第1ローラ部材のそれぞれを前記軸線回りに独立して回転自在となるように支持し、前記第2支持部が、一対の前記第2ローラ部材のそれぞれを前記軸線回りに独立して回転自在となるように支持する請求項6に記載の全方向移動車輪。

請求項8

前記複数のローラの各々が、前記支持部材に前記軸線回りに回転自在に取り付けられる金属製の芯部材と、該芯部材の外周面に取り付けられる弾性部材とを備え、前記ローラ溝が前記弾性部材に形成されている請求項6または請求項7に記載の全方向移動車輪。

請求項9

請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の全方向移動車輪を備えた全方向移動車両

技術分野

0001

本発明は、全方向移動車輪およびそれを備えた全方向移動車両に関するものである。

背景技術

0002

従来、車両の直進方向に対して直交する横方向へ回転する複数の回転ローラ車軸回りに配置した回転体付き車輪が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の回転体付き車輪では、隣り合う回転体の周面間に隙間を小さくするために、各回転体の先端部を、隣り合う回転体の基端部に形成された凹所に部分的に挿入した状態で配置されている。また、各回転体の両端部は、リム(ハブ)の周面に取り付けられた隣接する一対の軸受アームによって支持されている。

先行技術

0003

特許第3682248号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、特許文献1の回転体付き車輪は、車輪周方向に沿った一定のピッチ間隔で、隣接する一対の回転体の間に形成される隙間を備えている。車輪の回転に伴ってこれら隙間に隣接する回転体のエッジ外周面の端部)が路面を叩き、その打撃音によって騒音が発生する。
特許文献1の回転体付き車輪では、前述した隙間のピッチ間隔が一定であるため、車輪が路面上で回転する際に、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生する。特に、この特定周波数が車輪が取り付けられる車体の共振周波数と一致すると、騒音がより顕著となってしまう。

0005

本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを抑制した全方向移動車輪およびそれを用いた全方向移動車両を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0006

上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様に係る全方向移動車輪は、車軸回りに回転可能に設けられた回転部材と、前記車軸に直交する平面内において、前記回転部材の径方向に直交する方向に延びる軸線を有する複数のローラと、各該ローラを前記回転部材に各前記軸線回りに回転自在に取り付ける支持部材とを備え、前記ローラは、その外形が前記車軸を中心とする円の曲率と一致する曲率を有し、端面の中央に凹所を有する第1ローラ部材と該第1ローラ部材より小径の第2ローラ部材とからなり、前記支持部材が、各前記第2ローラ部材の端面の一部を各前記第1ローラ部材の前記凹所内に部分的に挿入した状態で、前記第1ローラ部材および前記第2ローラ部材を、それらの外形が単一の円周上に配されるように該円周上に隙間を空けて配置し、1以上の前記ローラ部材の外周面に、該ローラ部材の周方向に延びるローラ溝が形成され、該ローラ溝と前記隙間とからなる複数の非接地領域が、前記円周上に互いに異なる複数のピッチ間隔を空けて配置されている。

0007

本発明の一態様に係る全方向移動車輪によれば、第1のローラの凹所内に部分的に第2ローラ部材の端面の一部を挿入した状態で、第1ローラ部材および第2ローラ部材が、それらの外形が単一の円周上に配されるように円周上に隙間を空けて配置される。1以上のローラ部材の外周面に形成されたローラ溝と、第1ローラ部材および第2ローラ部材の間の隙間とからなる複数の非接地領域は、円周上に互いに異なる複数のピッチ間隔を空けて配置される。

0008

このようにすることで、複数の非接地領域のピッチ間隔が一定とはならず、各非接地領域に隣接するローラ部材のエッジ(外周面の端部またはローラ溝の端部)が路面を叩いて発生する打撃音は、特定周波数に集中せずに複数の周波数に分散された音となる。これにより、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することが抑制される。

0009

本態様の全方向移動車輪においては、前記第1ローラ部材および前記第2ローラ部材の双方の外周面に、前記ローラ溝が形成される構成であってもよい。
このようにすることで、第1ローラ部材および第2ローラ部材の外形が配される円周上に配置される非接地領域の数が、ローラ溝を形成しない場合に比べて少なくとも2倍以上となる。これにより、非接地領域の存在により発生する打撃音の周波数が、ローラ溝を形成しない場合に比べて少なくとも2倍以上となる。

0010

ここで、打撃音の周波数は、車輪の円周上に配置される非接地領域の数と、車輪の回転速度にそれぞれ比例した数値となる。そのため、本構成によれば、ローラ溝を形成しない場合に比べて、車体の共振周波数と一致する周波数の打撃音が発生する際の車輪の回転速度が低くなる。よって、車体と車輪との共振現象が発生する際にローラ部材のエッジが路面を叩いて発生する打撃音を小さくし、騒音を抑制することができる。

0011

本態様の全方向移動車輪においては、以下の条件式を満たす構成にしてもよい。
X>48πD (1)
ここで、X:前記全方向移動車輪の前記円周上に配置される前記非接地領域の数、D:前記全方向移動車輪の直径、である。

0012

(1)に示す条件式は、本態様の全方向移動車輪を備えた全方向移動車両が6km/hで走行する場合に、1秒間の間にローラ部材のエッジが路面を叩く回数を80回より多くする条件を示す。ローラ部材のエッジが一定間隔で配置される場合、(1)を満たすようにすることで、全方向移動車両が6km/hで走行する際にローラ部材のエッジが路面を叩くことにより発生する騒音の周波数が80Hzより大きくなる。

0013

ISO2631−1による全身振動評価基準によれば、0.5Hz〜80Hzまでの周波数の振動が、人体に特に悪影響を与えると規定されている。また、本態様の全方向移動車輪を備える全方向移動車両は、人が着座するための座席を備えていてもよい。人が座席に着座して移動する全方向移動車両は、法定の制限速度等の規制によって、6km/hで走行する頻度が高い。
したがって、ローラ部材のエッジが一定間隔で配置される場合、前述の(1)を満たすことにより、全方向移動車両に着座した人に伝達される振動の周波数を80Hzより大きくし、人体への悪影響を抑制することができる。

0014

本構成においては、複数の非接地領域のピッチ間隔が一定とはならないが、路面の形状や材質、走行速度の変化等の各種の条件によっては、ローラ部材のエッジが路面を叩くことにより発生する騒音の周波数が特定の周波数に高い音圧を有する可能性がある。
この場合であっても、前述の(1)を満たすことにより、発生する騒音の周波数を80Hzより大きくして人体への悪影響を抑制することができる。

0015

本態様の全方向移動車輪においては、前記ローラ溝のエッジの前記軸線方向の位置が、前記ローラ部材の周方向に沿って変化するように、前記ローラ溝が形成されている構成であってもよい。
本構成によれば、支持部材によって軸線回りに回転自在に取り付けられているローラ部材は、車両が車幅方向に移動するのに伴い、軸線回りに任意の位相分だけ回転する。この回転に伴ってローラ溝のエッジの軸線方向の位置が変化し、ローラ溝に対応する非接地領域と、この非接地領域に隣接する他の非接地領域とのピッチ間隔が変化する。

0016

このようにすることで、車両の車幅方向の移動に伴って複数の非接地領域のピッチ間隔が逐次に変化し、前述した打撃音が複数の周波数に分散した音となるとともにその周波数成分が逐次に変化する。よって、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを更に抑制することができる。

0017

本構成においては、前記ローラ溝の位置、幅、および本数の少なくともいずれか1つが、前記ローラ部材の周方向に変化してもよい。
このようなローラ溝を1以上のローラ部材の外周面に形成することにより、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを抑制することができる。

0018

本態様の全方向移動車輪においては、前記ローラ部材が、前記軸線方向の一端から他端に向かって直径が単調に変化する略円錐台状に形成され、前記第1ローラ部材が、その小径側の端面の中央に前記凹所を有し、前記支持部材が、大径側の端面を対向させた一対の前記第1ローラ部材に挟まれる位置に配置されてこれらの前記第1ローラ部材を支持する第1支持部と、大径側の端面を対向させた一対の前記第2ローラ部材に挟まれる位置に配置されてこれらの前記第2ローラ部材を支持する第2支持部とを備え、前記第1支持部と前記第2支持部とが、前記回転部材の周方向に交互に配置され、各前記第2ローラ部材の小径側の端面の一部を各前記第1ローラ部材の前記凹所内に部分的に挿入した状態で、前記第1ローラ部材および前記第2ローラ部材を配置している構成であってもよい。

0019

本構成の全方向移動車輪によれば、車軸回りに回転可能に設けられた回転部材の周方向に交互に配置される第1支持部と第2支持部とで、それぞれ大径側の端面を対向させた一対の大径の第1ローラ部材と一対の小径の第2ローラ部材が支持される。これら支持部は、それぞれ端面を対向させた一対のローラ部材に挟まれる位置に配置されるので、大径の第1ローラ部材の小径側の端面の凹所の形状に合うように湾曲させた特殊な形状とする必要がない。したがって、外形が単一の円周上に配されるように配置された複数のローラを支持する支持部材を簡易な構造とすることができる。

0020

また、上記構成の全方向移動車輪によれば、支持部がそれぞれ端面を対向させた一対のローラ部材に挟まれる位置に配置され、第1ローラ部材の小径側の端面と第2ローラ部材の小径側の端面が対向する位置には配置されない。したがって、第1ローラ部材と第2ローラ部材をより近接させ、第1ローラ部材および第2ローラ部材の外形が配される円周上の隙間を狭くすることができる。あるいは、第1ローラ部材より小径の第2ローラ部材の直径を第1ローラ部材の径に近づけた大きさとし、第1ローラ部材と第2ローラ部材の径の違いによって生じる車輪の外形の段差をより少なくすることができる。

0021

本構成の全方向移動車輪においては、前記第1支持部が、一対の前記第1ローラ部材のそれぞれを前記軸線回りに独立して回転自在となるように支持し、前記第2支持部が、一対の前記第2ローラ部材のそれぞれを前記軸線回りに独立して回転自在となるように支持するようにしてもよい。

0022

この場合、一対の第1ローラ部材のそれぞれの回転が独立して行われる。一方の第1ローラ部材のみが接地している際は、接地していない他方の第1ローラ部材は回転しない。同様に、この構成では、一対の第2ローラ部材のそれぞれの回転が独立して行われる。一方の第2ローラ部材のみが接地している際は、接地していない他方の第2ローラ部材は回転しない。
このようにすることで、接地している一方のローラ部材とともに接地していない他方のローラ部材を回転させる場合に比べ、横方向への移動に必要な力が少なくて済み、より容易に横方向への移動を行うことができる。

0023

本構成の全方向移動車輪においては、前記複数のローラ部材の各々が、前記支持部材に前記軸線回りに回転自在に取り付けられる金属製の芯部材と、該芯部材の外周面に取り付けられる弾性部材とを備えるようにしてもよい。
このようにすることで、接地面からの反力に対して変形しにくい金属製の芯部材により反力に対向しつつ、弾性部材によって反力による衝撃を車輪の回転位相によらずに安定的に吸収することができる。

0024

本発明の一態様の全方向移動車両は、上記いずれかに記載の全方向移動車輪を備える。
このようにすることで、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することが抑制することが可能な全方向移動車両を提供することができる。

発明の効果

0025

本発明によれば、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを抑制した全方向移動車輪およびそれを用いた全方向移動車両を提供することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0026

第1実施形態の全方向移動車輪を示す正面図である。
図1に示す全方向移動車輪の縦断面図である。
図1に示す全方向移動車輪の分解斜視図である。
図2に示す全方向移動車輪の部分拡大図である。
図4に示す大径ローラの外周面の形状を示す模式図である。
図4に示す小径ローラの外周面の形状を示す模式図である。
第2実施形態のローラ溝の形状を示す図であり、(a)が正面図であり、(b)が背面図である。
第3実施形態のローラ溝の形状を示す図であり、(a)が正面図であり、(b)が背面図である。
第4実施形態のローラ溝の形状を示す図であり、(a)が正面図であり、(b)が背面図である。

実施例

0027

〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態の全方向移動車輪100について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る全方向移動車輪100は、他の車輪とともに車両に取り付けられるものであり、図3に示す車軸A回りに回転可能に取り付けられている。
全方向移動車輪100は、例えば、後輪が一対の駆動輪であり、前輪が1輪または2輪の従動輪である車両における前輪として車両に取り付けられる。或いは、4輪の車両において、後輪の一対の駆動輪からベルト等により駆動力が伝達される一対の前輪として車両に取り付けられる。

0028

図3に示すように、全方向移動車輪100は、車軸A回りに回転可能に設けられた板状部材10,11を備え、車軸Aに直交する平面内において板状部材10,11の径方向に直交する軸線を有する複数のローラを備える。全方向移動車輪100は、車軸A方向の力を受けた場合に、複数のローラが各軸線回りに回転することにより、車軸A方向に沿った移動が可能となっている。

0029

このように、全方向移動車輪100は、車軸A回りに回転するとともに、車軸A方向に沿った車幅方向の移動も可能となっている。車軸A回りの回転と車軸A方向に沿った車幅方向の移動を組み合わせることにより、全方向移動車輪100を備えた車両(全方向移動車両)は、車両の接地面に対して全方向に移動可能となっている。

0030

全方向移動車両は、例えば、操縦者(人)が着座するための座席を備えている。操縦者は、操作部(図示略)から全方向移動車両を走行させるための操作を行うことにより、着座しながら移動することができる。

0031

次に、全方向移動車輪100が備える各構成について説明する。
図3に示すように、全方向移動車輪100は、一対の大径ローラ30,31(第1ローラ部材)と、一対の小径ローラ40,41(第2ローラ部材)と、第1支持部20(支持部材)と、第2支持部21(支持部材)と、板状部材10,11(回転部材)と、ハブ50と、ゴムチューブ51,52とを備える。

0032

大径ローラ30,31および小径ローラ40,41は、図1から図4に示すように、その外形が車軸Aを中心とする円の曲率と一致する曲率を有した形状となっている。また、図4に示すように、大径ローラ30,31のそれぞれは、軸線X1方向の一端から他端に向かって直径が単調に変化する略円錐台状に形成されている。同様に、小径ローラ40,41のそれぞれは、軸線X2方向の一端から他端に向かって直径が単調に変化する略円錐台状に形成されている。

0033

第1支持部20は、一対の大径ローラ30,31を板状部材10,11に軸線X1回りに回転自在に取り付ける部材である。また、第2支持部21は、一対の小径ローラ40,41を板状部材10,11に軸線X2回りに回転自在に取り付ける部材である。
図4に示す軸線X1,X2は、車軸Aに直交する平面内において、板状部材10,11の径方向に直交する方向に延びている。

0034

図1から図4に示すように、第1支持部20は、大径側の端面を対向させた一対の大径ローラ30,31に挟まれる位置に配置され、大径ローラ30,31を支持している。同様に、第2支持部21は、大径側の端面を対向させた一対の小径ローラ40,41に挟まれる位置に配置され、小径ローラ40,41を支持している。なお、図4では、大径ローラ30,31と、小径ローラ40,41の一部を省略して図示している。
図1から図3に示すように、第1支持部20と第2支持部21とは、板状部材10,11の周方向に交互に配置されている。第1支持部20と第2支持部21の配置間隔は、軸線A回りに30°ずつの間隔となっている。

0035

ここで、第1支持部20および第2支持部21が、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41を支持する構造について説明する。
図4に示すように、大径ローラ30,31は、小径側の端面の中央(軸線X1の近傍)に、それぞれ凹所30c,31cを有している。第1支持部20および第2支持部21は、小径ローラ40の小径側の端面の一部を大径ローラ31の凹所31c内に挿入した状態で、大径ローラ31および小径ローラ40を配置している。また、第1支持部20および第2支持部21は、大径ローラ31および小径ローラ40の外径が単一の円周C上に配されるように、大径ローラ31および小径ローラ40を配置している。

0036

図4では、大径ローラ31の凹所31c内に小径ローラ40の小径側の端面の一部を挿入した状態が示されているが、図2に示すように他の箇所についても同様の状態となる。したがって、大径ローラ30の凹所30c内には、小径ローラ41の小径側の端面の一部が挿入された状態となる。このような大径ローラ30,31の凹所30c,31c内への小径ローラ40,41の小径側の端面の一部の挿入が、全方向移動車輪100の車軸A回りの全周に渡って行われた状態となっている。

0037

第1支持部20の先端には、貫通穴が設けられており円筒形状の軸部材20cが挿入されている。軸部材20cに大径ローラ30,31が挿入された状態で、外周面に雄ねじが形成された締結ねじ32,33が軸部材20cの締結穴締結される。

0038

大径ローラ30,31は、金属製の芯部材30b,31bと芯部材30b,31bの外周面に取り付けられる略一定厚のゴム製のタイヤ部材30a,31a(弾性部材)を備えている。締結ねじ32,33が軸部材20cに締結された状態で、軸部材20cの外周面と大径ローラ30,31の芯部材30b,31bの内周面の一部との間には微小な隙間が設けられた状態となっている。また、軸部材20cの外周面には、摩擦係数を低くする加工が予め施されている。さらに、締結ねじ32,33が軸部材20cに締結された状態で、芯部材30b,31bの第1支持部20と対向する面と第1支持部20の芯部材30b,31bと対向する面の間には、軸線X1に沿った方向に微小な間隔が設けられた状態となっている。

0039

このように、大径ローラ30,31は、それぞれ軸部材20cの外周面の一部との間に微小な隙間が設けられた状態で配置されている。大径ローラ30,31の芯部材30b,31bの内周面と軸部材20cの外周面とは、すべり軸受として機能する。したがって、第1支持部20は、一対の大径ローラ30,31のそれぞれを軸線X1回りに独立して回転自在となるように支持している。

0040

小径ローラ40,41は、金属製の芯部材40b,41bと芯部材40b,41bの外周面に取り付けられる略一定厚のゴム製のタイヤ部材40a,41a(弾性部材)を備えている。締結ねじ42,43が軸部材21cに締結された状態で、軸部材21cの外周面と小径ローラ40,41の芯部材40b,41bの内周面の一部との間には微小な隙間が設けられた状態となっている。また、軸部材21cの外周面には、摩擦係数を低くする加工が予め施されている。さらに、締結ねじ42,43が軸部材21cに締結された状態で、芯部材40b,41bの第2支持部21と対向する面と第2支持部21の芯部材40b,41bと対向する面の間には、軸線X2に沿った方向に微小な間隔が設けられた状態となっている。

0041

このように、小径ローラ40,41は、それぞれ軸部材21cの外周面の一部との間に微小な隙間が設けられた状態で配置されている。小径ローラ40,41の芯部材40b,41bの内周面と軸部材21cの外周面とは、すべり軸受として機能する。したがって、第2支持部21は、一対の小径ローラ40,41のそれぞれを軸線X2回りに独立して回転自在となるように支持している。

0042

次に、全方向移動車輪100が備える他の構成について更に説明する。
板状部材10,11は、図1および図3に示すように、車軸Aに直交する平面おいて、車軸A回りに回転可能に設けられた板状の部材である。図1および図3に示すように、板状部材10には、複数の貫通穴12,13,14,15が設けられている。
また、図3に示すように、板状部材11には、複数の貫通穴16,17,18,19が設けられている。なお、図3では、全方向移動車輪100の構造を理解しやすくするために、複数対の大径ローラ30,31と、複数対の小径ローラ40,41が、上下に切り離された状態となっている。

0043

板状部材10の貫通穴12,13は、第1支持部20の締結穴20a,20bにそれぞれ対応している。貫通穴12,13にはそれぞれ外周面に雄ねじが形成された締結ねじ(図示略)が挿入され、締結穴20a,20bに締結される。これにより、第1支持部20が板状部材10に固定される。第1支持部20の締結穴20a,20bは、図3に示す軸線A方向に貫通しており、板状部材11の貫通穴16,17にそれぞれ対向している。貫通穴16,17にはそれぞれ外周面に雄ねじが形成された締結ねじ(図示略)が挿入され、締結穴20a,20bに締結される。これにより、第1支持部20が板状部材11に固定される。

0044

板状部材10の貫通穴14,15は、第2支持部21の締結穴21a,21bにそれぞれ対応している。貫通穴14,15にはそれぞれ外周面に雄ねじが形成された締結ねじ(図示略)が挿入され、締結穴21a,21bに締結される。これにより、第2支持部21が板状部材10に固定される。第2支持部21の締結穴21a,21bは、図3に示す軸線A方向に貫通しており、板状部材11の貫通穴18,19にそれぞれ対向している。貫通穴18,19にはそれぞれ外周面に雄ねじが形成された締結ねじ(図示略)が挿入され、締結穴21a,21bに締結される。これにより、第2支持部21が板状部材11に固定される。

0045

このように、複数の第1支持部20と、複数の第2支持部21とは、板状部材10と板状部材11との間に挟まれた状態で固定される。また、板状部材10と板状部材11との間には、ハブ50およびハブ50の車軸A方向の両側に配置されたゴムチューブ51,52が挟まれた状態で固定される。

0046

ハブ50は、全方向移動車輪100が車軸A回りに回転するように、全方向移動車輪100を車体(図示略)に連結する部材である。
ゴムチューブ51,52は円環状の中空の部材であり、内部が所定圧力封入された空気によって満たされている。ゴムチューブ51,52の内周面はハブ50の外周面に接触した状態で配置される。また、ゴムチューブ51,52の外周面は第1支持部20および第2支持部21の内周面に接触した状態で配置される。

0047

このように、ハブ50はゴムチューブ51,52の内周面に接触した状態で配置され、第1支持部20および第2支持部21はゴムチューブ51,52の外周面に接触した状態で配置される。したがって、第1支持部20および第2支持部21と、ハブ50とは、ゴムチューブ51,52を介して連結された状態となっている。
これにより、全方向移動車輪100は、車体に連結されるとともに、車軸A回りに回転可能となっている。

0048

次に、一対の大径ローラ30,31と一対の小径ローラ40,41の外周面に形成されるローラ溝について図1図4図5図6を用いて説明する。なお、図3ではローラ溝の記載を省略している。
図5は、図4に示す大径ローラ30,31の外周面を示す模式図である。図5に示す模式図は、円周Cが配置される平面における大径ローラ30,31の断面を、円周Cを直線に変換した状態で示す図である。

0049

同様に、図6は、図4に示す小径ローラ40,41の外周面を示す模式図である。図6に示す模式図は、円周Cが配置される平面における小径ローラ40,41の断面を、円周Cを直線に変換した状態で示す図である。
図5および図6において、図中下方の矢印は、円周Cに沿った全方向移動車輪100の回転方向を示している。

0050

図1および図4に示すように、大径ローラ30には、円周Cの周方向と直交する方向に延びる無端状のローラ溝30d,30e,30fが形成されている。大径ローラ31には、円周Cの周方向と直交する方向に延びる無端状のローラ溝31d,31eが形成されている。
また、小径ローラ40には、円周Cの周方向と直交する方向に延びる無端状のローラ溝40d,40e,40fが形成されている。小径ローラ41には、円周Cの周方向と直交する方向に延びる無端状のローラ溝41d,41eが形成されている。

0051

図5および図6に示すように、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41それぞれの隙間は、円周方向に沿った幅Sで一定となっている。
また、ローラ溝30d,30e,30f,31d,31e,40d,40e,40f,41d,41eの円周C方向の幅は、それぞれ幅Wで一定となっている。図5および図6に示すように、各ローラ溝は、路面と接地するタイヤ部材の部から底部に向けて溝深さが一定勾配で深くなるテーパ形状を有している。

0052

図5に示すように、小径ローラ41と大径ローラ30との隙間と、ローラ溝30dとのピッチ間隔がP1となっている。また、ローラ溝30dとローラ溝30eとのピッチ間隔と、ローラ溝30eとローラ溝30fとのピッチ間隔とが、それぞれP1となっている。さらに、ローラ溝30fと、大径ローラ30と大径ローラ31との隙間とのピッチ間隔がP1となっている。

0053

ここでピッチ間隔とは、タイヤ部材30a,31aの回転方向先頭側の端部(エッジ)と、ローラ溝30d,31dの回転方向後尾側の端部(エッジ)との距離をいう。また、ローラ溝30f,31eの回転方向後尾側の端部(エッジ)と、隣接する他のタイヤ部材31a,40aの回転方向先頭側の端部(エッジ)との距離をいう。あるいは、ローラ溝の回転方向後尾側の端部(エッジ)と、隣接する他のローラ溝の回転方向後尾側の端部(エッジ)との距離をいう。

0054

図5に示すように、大径ローラ30と大径ローラ31との隙間と、ローラ溝31dとのピッチ間隔がP2となっている。また、ローラ溝31dとローラ溝31eとのピッチ間隔がP2となっている。さらに、ローラ溝31eと、大径ローラ31と小径ローラ40との隙間とのピッチ間隔がP2となっている。

0055

図6に示すように、大径ローラ31と小径ローラ40との隙間と、ローラ溝40dとのピッチ間隔がP3となっている。また、ローラ溝40dとローラ溝40eとのピッチ間隔と、ローラ溝40eとローラ溝40fとのピッチ間隔とが、それぞれP2となっている。さらに、ローラ溝40fと、小径ローラ40と小径ローラ41との隙間とのピッチ間隔がP2となっている。

0056

ここでピッチ間隔とは、タイヤ部材40a,41aの回転方向先頭側の端部(エッジ)と、ローラ溝40d,41dの回転方向後尾側の端部(エッジ)との距離をいう。また、ローラ溝40f,41eの回転方向後尾側の端部(エッジ)と、隣接する他のタイヤ部材41a,30aの回転方向先頭側の端部(エッジ)との距離をいう。あるいは、ローラ溝の回転方向後尾側の端部(エッジ)と、隣接する他のローラ溝の回転方向後尾側の端部(エッジ)との距離をいう。

0057

図6に示すように、小径ローラ40と小径ローラ41との隙間と、ローラ溝41dとのピッチ間隔がP4となっている。また、ローラ溝41dとローラ溝41eとのピッチ間隔がP4となっている。さらに、ローラ溝41eと、小径ローラ41と大径ローラ30との隙間とのピッチ間隔がP4となっている。

0058

ここで、大径ローラ30と大径ローラ31の円周C上の長さは、図5に示すL1で一致している。また、小径ローラ40と小径ローラ41の円周C上の長さは、図6に示すL2で一致している。L1とL2は、L1<L2という関係になっている。
そして、本実施形態では、P1,P2,P3,P4の間に、P1<P3<P2<P4という関係が成り立つようにローラ溝の幅Wと隙間の長さSが設定されている。

0059

以上のように、全方向移動車輪100の外形と一致する円周C上には、ローラ間に形成される隙間と、ローラ溝(ローラ溝30d,30e,30f,31d,31e,40d,40e,40f,41d,41e)からなる複数の非接地領域が配される。この非接地領域は、路面と直接的に接触しない領域である。
そして、これら複数の非接地領域によって定まるピッチ間隔は、それぞれ長さが異なるP1,P2,P3,P4のいずれかとなっている。

0060

次に、円周C上に配される非接地領域の数として好ましい値について説明する。
本実施形態の全方向移動車輪100においては、以下の条件式を満たすようにするのが好ましい。
X>48πD (1)
ここで、X:全方向移動車輪100の円周C上に配置される非接地領域の数、D:全方向移動車輪100の直径、である。

0061

(1)に示す条件式は、本態様の全方向移動車輪100を備えた全方向移動車両が6km/hで走行する場合に、1秒間の間に複数の非接地領域(ローラ部材のエッジ)が路面を叩く回数を80回より多くする条件を示す。
(1)に示す条件式は、以下の条件式から導かれる。
80[Hz]<X・(6・1000[m]/3600[s])/πD[m] (2)

0062

複数の非接地領域(ローラ部材のエッジ)が一定間隔で配置される場合、(1)を満たすようにすることで、全方向移動車両が6km/hで走行する際にエッジが路面を叩くことにより発生する騒音の周波数が80Hzより大きくなる。

0063

ISO2631−1による全身振動の評価基準によれば、0.5Hz〜80Hzまでの周波数の振動が、人体に特に悪影響を与えると規定されている。また、本実施形態の全方向移動車輪100を備える全方向移動車両は、人が着座するための座席を備えていてもよい。人が座席に着座して移動する全方向移動車両は、法定の制限速度等の規制によって、6km/hで走行する頻度が高い。
したがって、複数の非接地領域(ローラ部材のエッジ)が一定間隔で配置される場合、前述の(1)を満たすことにより、全方向移動車両に着座した人に伝達される振動の周波数を80Hzより大きくし、人体への悪影響を抑制することができる。

0064

本実施形態においては、複数の非接地領域のピッチ間隔が一定とはならないが、路面の形状や材質、走行速度の変化等の各種の条件によっては、複数の非接地領域(ローラ部材のエッジ)が路面を叩くことにより発生する騒音の周波数が特定の周波数に高い音圧を有する可能性がある。
この場合であっても、前述の(1)を満たすことにより、発生する騒音の周波数を80Hzより大きくして人体への悪影響を抑制することができる。

0065

以上説明した本実施形態の全方向移動車輪100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の全方向移動車輪100によれば、大径ローラ30,31の凹所30c,31c内に部分的に小径ローラ40,41の端面の一部を挿入した状態で、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41が、それらの外形が単一の円周C上に配されるように円周C上に隙間を空けて配置される。大径ローラ30,31および小径ローラ40,41の外周面に形成されたローラ溝と、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41の間の隙間からなる複数の非接地領域は、円周C上に互いに異なる複数のピッチ間隔P1,P2,P3,P4を空けて配置される。

0066

このようにすることで、複数の非接地領域のピッチ間隔が一定とはならず、各非接地領域に隣接するローラのエッジ(外周面の端部またはローラ溝の端部)が路面を叩いて発生する打撃音は、特定周波数に集中せずに複数の周波数に分散された音となる。これにより、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することが抑制される。

0067

また、本実施形態の全方向移動車輪100によれば、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41のそれぞれローラ溝が形成されている。そのため、これらのローラの外形が配される円周C上に配置される非接地領域の数が、ローラ溝を形成しない場合に比べて少なくとも2倍以上となる。これにより、非接地領域の存在により発生する打撃音の周波数が、ローラ溝を形成しない場合に比べて少なくとも2倍以上となる。

0068

ここで、打撃音の周波数は、車輪の円周C上に配置される非接地領域の数と、車輪の回転速度にそれぞれ比例した数値となる。そのため、ローラ溝を形成しない場合に比べて、車体の共振周波数と一致する周波数の打撃音が発生する際の車輪の回転速度が低くなる。よって、車体との共振が発生する際にローラの外周面が路面を叩いて発生する打撃音を小さくし、騒音を抑制することができる。

0069

本実施形態の全方向移動車輪100によれば、車軸A回りに回転可能に設けられた板状部材10,11の周方向に交互に配置される第1支持部20と第2支持部21とで、それぞれ大径側の端面を対向させた一対の大径ローラ30,31と一対の小径ローラ40,41が支持される。これら支持部は、それぞれ端面を対向させた一対のローラに挟まれる位置に配置されるので、大径ローラ30,31の小径側の端面の凹所30c,31cの形状に合うように湾曲させた特殊な形状とする必要がない。したがって、外形が単一の円周C上に配されるように配置された複数のローラを支持する支持部20,21を簡易な構造とすることができる。

0070

また、本実施形態の全方向移動車輪100によれば、第1支持部20,第2支持部21がそれぞれ端面を対向させた一対のローラに挟まれる位置に配置され、大径ローラ30,31の小径側の端面と小径ローラ40,41の小径側の端面が対向する位置には配置されない。したがって、大径ローラ30,31と小径ローラ40,41をより近接させ、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41の外形が配される円周C上の隙間を狭くすることができる。あるいは、小径ローラ40,41の直径を大径ローラ30,31の径に近づけた大きさとし、大径ローラ30,31と小径ローラ40,41の径の違いによって生じる車輪の外形の段差をより少なくすることができる。

0071

本実施形態の全方向移動車輪100においては、第1支持部20が、大径ローラ30,31のそれぞれを軸線X1回りに独立して回転自在となるように支持する。また、第2支持部21が、小径ローラ40,41のそれぞれを軸線X2回りに独立して回転自在となるように支持する。

0072

この場合、大径ローラ30,31のそれぞれの回転が独立して行われる。大径ローラ30のみが接地している際は、接地していない大径ローラ31は回転しない。同様に、この構成では、小径ローラ40,41のそれぞれの回転が独立して行われる。小径ローラ40のみが接地している際は、接地していない小径ローラ41は回転しない。
このようにすることで、接地している一方のローラとともに接地していない他方のローラを回転させる場合に比べ、横方向への移動に必要な力が少なくて済み、より容易に横方向への移動を行うことができる。

0073

本実施形態の全方向移動車輪100においては、複数のローラの各々が、第1支持部20,第2支持部21に軸線X1,X2回りに回転自在に取り付けられる金属製の芯部材と、該芯部材の外周面に取り付けられるタイヤ部材とを備えるようにしてもよい。
このようにすることで、接地面からの反力に対して変形しにくい金属製の芯部材により反力に対向しつつ、弾性のあるタイヤ部材によって反力による衝撃を車輪の回転位相によらずに安定的に吸収することができる。

0074

〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
第1実施形態においては、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41のそれぞれに、円周Cの周方向と直交する方向に延びる無端状のローラ溝を形成するものとした。それに対して本実施形態は、大径ローラおよび小径ローラのそれぞれに、ローラの回転に伴って円周C上の位置が変化するローラ溝を形成するものである。

0075

図7は、第1実施形態の小径ローラ41の変形例である小径ローラ141の正面図(図7(a))および背面図(図7(b))を示している。図7に示すように、小径ローラ141の外周面を構成するタイヤ部材には、一定幅の無端状のローラ溝141d,141eが形成されている。ローラ溝141d,141eは、円周Cの周方向と交差する方向に延びるように形成されている。

0076

第1実施形態の小径ローラ41と同様に、本実施形態の小径ローラ141は、軸線X2回りに回転自在となっている。そのため、小径ローラ141が軸線X2回りに回転することにより、円周C上でのローラ溝141d,141eの位置が変化し、ローラ溝141d,141eの回転方向の後尾側の端部(エッジ)の位置が変化する。これにともなって、小径ローラ141の大径側端面に隣接する他の小径ローラ(図示略)との隙間と、ローラ溝141dとの間のピッチ間隔が変化する。同様に、ローラ溝141dとローラ溝141eとの間のピッチ間隔が変化する。同様に、小径ローラ141の小径側端面に隣接する大径ローラ(図示略)との隙間と、ローラ溝141eとの間のピッチ間隔が変化する。

0077

なお、以上の説明においては、小径ローラ141に形成されるローラ溝141d,141eについて説明したが、他の小径ローラや一対の大径ローラにも、ローラの回転に伴って円周C上での車軸方向のエッジの位置が変化するローラ溝が形成されるものとする。

0078

以上説明した本実施形態の全方向移動車輪によれば、支持部20,21によって軸線X1,X2回りに回転自在に取り付けられているローラは、車両が車幅方向に移動するのに伴い、軸線X1,X2回りに任意の位相分だけ回転する。この回転に伴って、ローラ溝のエッジの軸線X1,X2方向の位置が変化し、ローラ溝に対応する非接地領域と、この非接地領域に隣接する他の非接地領域とのピッチ間隔が変化する。

0079

このようにすることで、車両の車幅方向の移動に伴って複数の非接地領域のピッチ間隔が逐次に変化し、ローラが路面に接触する際の打撃音が複数の周波数に分散した音となるとともにその周波数成分が逐次に変化する。よって、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを更に抑制することができる。

0080

〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
第3実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
第1実施形態においては、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41のそれぞれに、円周Cの周方向と直交する方向に延びる無端状のローラ溝を形成するものとした。それに対して本実施形態は、大径ローラおよび小径ローラのそれぞれに、ローラの回転に伴って円周C上の幅が変化するローラ溝を形成するものである。

0081

図8は、第1実施形態の小径ローラ41の変形例である小径ローラ241の正面図(図8(a))および背面図(図8(b))を示している。図8に示すように、小径ローラ241の外周面を構成するタイヤ部材には、無端状のローラ溝241dが形成されている。ローラ溝241dは、円周Cの周方向と直交する方向に延びるように形成されている。ローラ溝241dは、該溝が延びる方向に沿って軸線X2方向の幅が漸次に変化する形状となっている。

0082

第1実施形態の小径ローラ41と同様に、本実施形態の小径ローラ241は、軸線X2回りに回転自在となっている。そのため、小径ローラ241が軸線X2回りに回転することにより、円周C上でのローラ溝241dの幅が変化し、ローラ溝241dの回転方向の後尾側の端部(エッジ)の位置が変化する。これにともなって、小径ローラ241の大径側端面に隣接する他の小径ローラ(図示略)との隙間と、ローラ溝241dとの間のピッチ間隔が変化する。同様に、小径ローラ241の小径側端面に隣接する大径ローラ(図示略)との隙間と、ローラ溝241dとの間のピッチ間隔が変化する。

0083

なお、以上の説明においては、小径ローラ241に形成されるローラ溝241dについて説明したが、他の小径ローラや一対の大径ローラにも、ローラの回転に伴って円周C上での幅が変化するローラ溝が形成されるものとする。

0084

以上説明した本実施形態の全方向移動車輪によれば、支持部20,21によって軸線X1,X2回りに回転自在に取り付けられているローラは、車両が車幅方向に移動するのに伴い、軸線X1,X2回りに任意の位相分だけ回転する。この回転に伴って、ローラに形成されているローラ溝に対応する非接地領域と、この非接地領域に隣接する他の非接地領域とのピッチ間隔が変化する。
このようにすることで、車両の移動に伴って複数の非接地領域のピッチ間隔が逐次に変化し、ローラが路面に接触する際の打撃音が複数の周波数に分散した音となるとともにその周波数成分が逐次に変化する。よって、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを更に抑制することができる。

0085

〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
第4実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
第1実施形態においては、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41のそれぞれに、円周Cの周方向と直交する方向に延びる無端状のローラ溝を形成するものとした。それに対して本実施形態は、大径ローラおよび小径ローラのそれぞれに、ローラの回転に伴って円周C上の本数が変化するローラ溝を形成するものである。

0086

図9は、第1実施形態の小径ローラ41の変形例である小径ローラ341の正面図(図9(a))および背面図(図9(b))を示している。図9に示すように、小径ローラ341の外周面を構成するタイヤ部材には、一定幅のローラ溝341d,341e,341fが形成されている。ローラ溝341d,341e,341fは、円周Cの周方向と交差する方向に延びるように形成されている。
ローラ溝341d,ローラ溝341fが無端状の溝であるのに対し、ローラ溝341eは略半周分の長さを有する有端状の溝となっている。

0087

第1実施形態の小径ローラ41と同様に、本実施形態の小径ローラ341は、軸線X2回りに回転自在となっている。そのため、小径ローラ341が軸線X2回りに回転することにより、円周C上でのローラ溝の本数が変化する。具体的には、円周C上にローラ溝341d,341e,341fの3本が存在する場合と、円周C上にローラ溝341d,341fの2本が存在する場合とに変化する。

0088

これにともなって、円周C上にローラ溝341d,341e,341fの3本が存在する場合にはローラ溝間のピッチ間隔が狭くなり、円周C上にローラ溝341d,341fの2本が存在する場合にはローラ溝間のピッチ間隔が広くなる。

0089

なお、以上の説明においては、小径ローラ341に形成されるローラ溝341d,341e,341fについて説明したが、他の小径ローラや一対の大径ローラにも、ローラの回転に伴って円周C上での本数が変化するローラ溝が形成されるものとする。

0090

以上説明した本実施形態の全方向移動車輪によれば、支持部20,21によって軸線X1,X2回りに回転自在に取り付けられているローラは、車両が車幅方向に移動するのに伴い、軸線X1,X2回りに任意の位相分だけ回転する。この回転に伴って、ローラに形成されているローラ溝に対応する非接地領域と、この非接地領域に隣接する他の非接地領域とのピッチ間隔が変化する。
このようにすることで、車両の移動に伴って複数の非接地領域のピッチ間隔が逐次に変化し、ローラが路面に接触する際の打撃音が複数の周波数に分散した音となるとともにその周波数成分が逐次に変化する。よって、特定周波数に高い音圧を有する騒音が発生することを更に抑制することができる。

0091

〔他の実施形態〕
以上の第1から第4実施形態においては、大径ローラ30,31と小径ローラ40,41のそれぞれの外周面に、ローラ溝を形成するものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、大径ローラ30,31と小径ローラ40,41の少なくともいずれかにローラ溝を形成するようにしてもよい。この場合、ローラ溝と隙間からなる複数の非接地領域によって定まる複数のピッチ間隔が、互いに長さの異なる複数種類のピッチ間隔を含むようにローラ溝を形成するものとする。

0092

大径ローラ30,31と小径ローラ40,41の少なくともいずれかにローラ溝を形成するにあたっては、大径ローラ30,31のそれぞれにローラ溝を形成し、小径ローラ40,41のいずれにもローラ溝を形成しないようにしてもよい。また、大径ローラ30,31にローラ溝を形成せずに、小径ローラ40,41のそれぞれにローラ溝を形成するようにしてもよい。あるいは、大径ローラ30,31と小径ローラ40,41のいずれか1つにのみローラ溝を形成するようにしてもよい。

0093

以上の第1から第4実施形態においては、一対の大径ローラ30,31を第1支持部20で板状部材10,11に支持し、一対の小径ローラ40,41を第2支持部21で板状部材10,11に支持するものとしたが、他の態様であってもよい。
例えば、一対の大径ローラ30,31に代えてこれらを一体化した略樽型形状の大径ローラとし、一対の小径ローラ40,41に代えてこれらを一体化した略樽型形状の小径ローラとした構成としてもよい。この場合、第1支持部20の代わりに略樽型形状の大径ローラの両端面を支持する他の支持部(図示略)を設けるものとする。また、この場合、第2支持部21の代わりに略樽型形状の小径ローラの両端面を支持する他の支持部(図示略)を設けるものとする。

0094

以上の第1から第4実施形態においては、大径ローラ30,31に形成するローラ溝の形状(本数)を異ならせ、小径ローラ40,41に形成するローラ溝の形状(本数)を異ならせるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、大径ローラ30,31に形成するローラ溝の形状を同形状とし、小径ローラ40,41に形成するローラ溝の形状を同形状としてもよい。
このようにすることで、大径ローラ30,31として1種のローラを製造し、小径ローラ40,41として1種のローラを製造し、合計2種のローラを製造するのみで、全方向移動車輪100を製造することができる。したがって、前述した説明のように4種類のローラを製造する場合に比べ、車輪全体製造コスト下げることができる。

0095

以上の第2から第4実施形態は、それぞれローラの回転に伴って円周C上での位置、幅、本数が変化するローラ溝を形成するものであったが、他の態様であってもよい。例えば、位置、幅、および本数を任意に組み合わせたローラ溝を形成し、ローラの回転に伴って円周C上での位置、幅、および本数の少なくともいずれか1つが変化するようにしてもよい。

0096

以上の第1から第4実施形態においては、大径ローラ30,31および小径ローラ40,41それぞれの隙間を、円周方向に沿った幅Sで一定としたが、これらの隙間を略一定となる範囲で任意に設定してもよい。例えば、大径ローラ30,31間の隙間および小径ローラ40,41間の隙間を狭くし、大径ローラ30と小径ローラ41の隙間および大径ローラ31と小径ローラ40の隙間を広くしてもよい。

0097

10,11板状部材(回転部材)
20 第1支持部(支持部材)
21 第2支持部(支持部材)
30,31大径ローラ(第1ローラ部材)
30a,31aタイヤ部材(弾性部材)
30d,30e,30f,31d,31eローラ溝
40,41,141,241,341小径ローラ(第2ローラ部材)
40a,41a タイヤ部材(弾性部材)
40d,40e,40f,41d,41e ローラ溝
100全方向移動車輪
A車軸
C 円周

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