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技術 医療用シリンジに用いられる点鼻用噴霧ノズル

出願人 東興薬品工業株式会社
発明者 上下泰造宮崎隆星野真弥
出願日 2014年6月25日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-130150
公開日 2016年1月18日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 2016-007409
状態 特許登録済
技術分野 治療用噴霧、吸入、呼吸装置 医薬品製剤
主要キーワード 中空コーン テスト紙 垂直中心軸 プランジャ操作 噴霧密度 ノズル噴出孔 ホロコーン状 噴射密度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

本発明は、定量シリンジ噴出器に用いられる点鼻噴霧ノズルを用いて、所定の特性を有する製剤を噴霧したときの所望の噴霧特性を実現することを目的とする。

解決手段

本発明は、製剤を収容するシリンジバレル流体連通する先端開口部を有する医療用シリンジに用いられる点鼻用噴霧ノズルに関する。この点鼻用噴霧ノズルは、ノズル噴出孔が形成された先端部を有する中空ノズル本体部と、ノズル本体部内に配設される中実充填ロッドと、充填ロッドとノズル本体部との間に形成され、先端開口部とノズル噴出孔との間で流体連通するノズルチャンバとを備え、製剤は、カルボキシビニルポリマーおよび粘度調節剤を包含し、外部からせん断力を与えて粘度調整されたゲル基剤を含み、ノズル噴出孔が0.25mm〜0.30mmの径を有することを特徴とするものである。

概要

背景

これまでにも点鼻薬噴出器として定量シリンジ噴出器を採用することが提案されてきた。たとえば特許文献1では、シリンジと、シリンジ内に押し込み可能なプランジャと、プランジャの押し込みによって変形を生じる弾性変形部と、シリンジに対して係止されるとともにこの係止が弾性変形部の復元力によって解除されるストッパとを有し、1つのシリンジに充填された内容物をプランジャの押し込みとその解除を行うことにより多段階の押し込みを可能とする定量シリンジ型噴出器が提案されている。

一方、シリンジ型噴出器ではないが、粘性を有する製剤を鼻腔内に投与するエアレス式噴霧容器点鼻スプレー容器)もこれまでに提案されている。たとえば特許文献2には、外部からせん断力を与えて処理したカルボキシビニルポリマーを含有するゲル基剤を含む製剤を噴霧したときの噴射角度および噴射密度を所望の範囲に制御できる上方排圧エアレス式噴霧容器が開示されている。

概要

本発明は、定量シリンジ型噴出器に用いられる点鼻用噴霧ノズルを用いて、所定の特性を有する製剤を噴霧したときの所望の噴霧特性を実現することを目的とする。本発明は、製剤を収容するシリンジバレル流体連通する先端開口部を有する医療用シリンジに用いられる点鼻用噴霧ノズルに関する。この点鼻用噴霧ノズルは、ノズル噴出孔が形成された先端部を有する中空ノズル本体部と、ノズル本体部内に配設される中実充填ロッドと、充填ロッドとノズル本体部との間に形成され、先端開口部とノズル噴出孔との間で流体連通するノズルチャンバとを備え、製剤は、カルボキシビニルポリマーおよび粘度調節剤を包含し、外部からせん断力を与えて粘度調整されたゲル基剤を含み、ノズル噴出孔が0.25mm〜0.30mmの径を有することを特徴とするものである。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

製剤を収容するシリンジバレル流体連通する先端開口部を有する医療用シリンジに用いられる点鼻噴霧ノズルであって、ノズル噴出孔が形成された先端部を有する中空ノズル本体部と、ノズル本体部内に配設される中実充填ロッドと、充填ロッドとノズル本体部との間に形成され、先端開口部とノズル噴出孔との間で流体連通するノズルチャンバとを備え、製剤は、カルボキシビニルポリマーおよび粘度調節剤を包含し、外部からせん断力を与えて粘度調整されたゲル基剤を含み、ノズル噴出孔が0.25mm〜0.30mmの径を有することを特徴とする点鼻用噴霧ノズル。

請求項2

製剤は、粘度調節剤として、塩化ナトリウム塩化カリウムリン酸水素ナトリウム水和物リン酸二水素ナトリウム、および塩化ナトリウムなどの電解質を包含し、外部からせん断力を与えて粘度調整されたゲル基剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項3

ノズル噴出孔が実質的に湾曲部を有さないことを特徴とする請求項1または2に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項4

先端部は、製剤の噴出方向における厚みが0.20mm〜0.30mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項5

ノズル本体部の内壁の少なくとも一部が円筒形状に形成され、充填ロッドの外壁の少なくとも一部が周方向に設けられた複数の溝部を含む円筒形状に形成され、ノズルチャンバは、ノズル本体部の内壁の少なくとも一部と充填ロッドの外壁の少なくとも一部の溝部との間に形成され、充填ロッドは、ノズル本体部の先端部に対向する渦流形成部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項6

渦流形成部は、製剤が充填ロッドの溝部から流入する方向が中心軸から位置ずれし、製剤の渦流を形成することを特徴とする請求項5に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項7

ノズル本体部の内壁の少なくとも一部は、噴出方向に実質的に垂直な平面における断面が噴出方向に向かって連続的または段階的に小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項5または6に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項8

ゲル基剤は、2500mPa・s以下の粘度を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項9

ゲル基剤は、約1000mPa・sの粘度を有することを特徴とする請求項8に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項10

ノズル噴出孔から噴出される製剤の噴射角度が45度〜60度の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項11

ノズル噴出孔から噴出される製剤粒子平均粒子径が50μm〜80μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載の点鼻用噴霧ノズル。

請求項12

ノズル噴出孔から噴出される製剤粒子のうち、粒子径が10μm〜100μmの範囲にある粒子個数が全体の70%以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載の点鼻用噴霧ノズル。

技術分野

0001

本発明は、粘性を有する製剤を鼻腔粘膜投与するための医療用シリンジに用いられる点鼻噴霧ノズルに関する。

背景技術

0002

これまでにも点鼻薬噴出器として定量シリンジ噴出器を採用することが提案されてきた。たとえば特許文献1では、シリンジと、シリンジ内に押し込み可能なプランジャと、プランジャの押し込みによって変形を生じる弾性変形部と、シリンジに対して係止されるとともにこの係止が弾性変形部の復元力によって解除されるストッパとを有し、1つのシリンジに充填された内容物をプランジャの押し込みとその解除を行うことにより多段階の押し込みを可能とする定量シリンジ型噴出器が提案されている。

0003

一方、シリンジ型噴出器ではないが、粘性を有する製剤を鼻腔内に投与するエアレス式噴霧容器(点鼻スプレー容器)もこれまでに提案されている。たとえば特許文献2には、外部からせん断力を与えて処理したカルボキシビニルポリマーを含有するゲル基剤を含む製剤を噴霧したときの噴射角度および噴射密度を所望の範囲に制御できる上方排圧エアレス式噴霧容器が開示されている。

先行技術

0004

国際特許出願公開第2013/145789号パンフレット
特許第5185109号

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、マルチドーズポンプ機能を有する噴霧容器は、複数回分の製剤投与量(用量)を収容し、保存することができる点において利点を有するが、特に製剤がインフルエンザ等の感染症の予防または治療のためのものである場合、複数の患者または接種者の鼻腔内にエアレス式噴霧容器の先端部を挿入して使用することは、ほとんどの患者等にとって心情的に忌避され、衛生的でなく、別の感染症(院内感染)を引き起こす虞さえある。

0006

本発明者は、前掲特許文献1に記載の定量シリンジ型噴出器を採用して、外部からせん断力を与えて処理したカルボキシビニルポリマーを含有するゲル基剤を含む製剤を噴霧することを検討したが、定量シリンジ型噴出器と前掲特許文献2に記載の上方排圧エアレス式噴霧容器(特に、その噴霧ノズル)とは基本的構造が異なるため、所望の薬効を得るために必要とされる製剤の噴霧適合性(製剤粒度分布範囲噴霧密度均一性、および噴射角度等)を実現することは困難であった。

0007

そこで本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、所定の特性を有する粘稠性の製剤を噴霧するために定量シリンジ型噴出器に用いられる点鼻用噴霧ノズルの最適化された形態等を見出し、本発明に至ったものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明の1つの態様によれば、製剤を収容するシリンジバレル流体連通する先端開口部を有する医療用シリンジに用いられる点鼻用噴霧ノズルが提供され、この噴霧ノズルは、ノズル噴出孔が形成された先端部を有する中空ノズル本体部と、ノズル本体部内に配設される中実充填ロッドと、充填ロッドとノズル本体部との間に形成され、先端開口部とノズル噴出孔との間で流体連通するノズルチャンバとを備え、製剤は、カルボキシビニルポリマーおよび粘度調節剤を包含し、外部からせん断力を与えて粘度調整されたゲル基剤を含み、ノズル噴出孔が0.25mm〜0.30mmの径を有する。

0009

好適には、製剤は、カルボキシビニルポリマー、粘度調節剤(たとえば塩化ナトリウム塩化カリウム等)、pH緩衝剤(たとえば、リン酸水素ナトリウム水和物リン酸二水素ナトリウム等)、および中和剤(たとえば、L−アルギニン水酸化ナトリウム等)を包含し、外部からせん断力を与えて調整されたゲル基剤を含むものであってもよい。

0010

一方、噴霧ノズルのノズル噴出孔は実質的に湾曲部を有さないことが好ましい。また噴霧ノズルの先端部は、製剤の噴出方向における厚みが0.20mm〜0.30mmであることが好ましい。

0011

さらに、ノズル本体部の内壁の少なくとも一部が円筒形状に形成され、充填ロッドの外壁の少なくとも一部が周方向に設けられた複数の溝部を含む円筒形状に形成され、ノズルチャンバは、ノズル本体部の内壁の少なくとも一部と充填ロッドの外壁の少なくとも一部の溝部との間に形成され、充填ロッドは、ノズル本体部の先端部に対向する渦流形成部を有することが好ましい。渦流形成部は、製剤が充填ロッドの溝部から流入する方向が中心軸から位置ずれし、製剤の渦流を形成するものであってもよい。ノズル本体部の内壁の少なくとも一部は、噴出方向に実質的に垂直な平面における断面が噴出方向に向かって連続的または段階的に小さくなるように形成されることが好ましい。

0012

製剤を構成するゲル基剤は、好適には2500mPa・s以下の粘度を有し、最も好適には、約1000mPa・sの粘度を有する。ノズル噴出孔から噴出される製剤の噴射角度が45度〜60度の範囲にあり、ノズル噴出孔から噴出される製剤粒子平均粒子径が50μm〜80μmの範囲にあり、ノズル噴出孔から噴出される製剤粒子のうち、粒子径が10μm〜100μmの範囲にある粒子個数が全体の70%以上であることが好ましい。

発明の効果

0013

カルボキシビニルポリマーおよび粘度調節剤を包含し、外部からせん断力を与えて粘度調整されたゲル基剤を含む製剤を、所定の薬効を得るために必要とされる製剤の噴霧適合性(製剤粒度分布範囲、噴霧密度均一性、および噴射角度等)を実現することができる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の一実施形態に係る点鼻用噴霧ノズルを備えた医療用シリンジ全体の概略的構成を示す部分破断側面図である。
(a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る点鼻用噴霧ノズルの概略的構成を示す分解斜視図であって、充填ロッドがノズル本体部に挿入される前後の状態を示すものである。
(a)は、図2(b)に示す点鼻用噴霧ノズルを垂直面で見たときの垂直断面図であり、(b)〜(d)は、図3(a)のB−B線、C−C線、およびD−D線から見たときの水平断面図である。
(a)および(b)は、ノズル本体部の先端部の拡大断面図であり、(a)は湾曲部を設けた先端部を示し、図4(b)は湾曲部を設けない先端部を示す。
ノズル噴出孔から噴射された実施例1製剤の噴霧パターンを示す一例である。
ノズル噴出孔から噴射された実施例1製剤の噴射角度を示す一例である。
ノズル噴出孔から噴射された実施例1製剤の製剤粒度分布を示す一例である。
基剤Aが充填された定量シリンジ型噴出器に、さまざまな点鼻用噴霧ノズルを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示すとともに、その基剤と点鼻用噴霧ノズルの組み合わせに係る適否を示す。
基剤B1が充填された定量シリンジ型噴出器に、さまざまな点鼻用噴霧ノズルを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示す。
基剤C1が充填された定量シリンジ型噴出器に、さまざまな点鼻用噴霧ノズルを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示す。
基剤C2が充填された定量シリンジ型噴出器に、さまざまな点鼻用噴霧ノズルを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示す。
基剤Dが充填された定量シリンジ型噴出器に、さまざまな点鼻用噴霧ノズルを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示す。
基剤E1が充填された定量シリンジ型噴出器に、さまざまな点鼻用噴霧ノズルを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示す。
基剤E2が充填された定量シリンジ型噴出器に、さまざまな点鼻用噴霧ノズルを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示す。
基剤E4が充填された定量シリンジ型噴出器に、さまざまな点鼻用噴霧ノズルを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示す。

0015

以下、添付図面を参照して本発明に係る医療用シリンジに用いられる点鼻用噴霧ノズルの実施形態を説明する。以下の実施形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(たとえば「前方」、「後方」、「近位」、および「遠位」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものでない。また、各添付図面において、同様の構成部品は同様の参照符号を用いて図示されている。

0016

[医療用シリンジ]
図1は、本発明の一実施形態に係る点鼻用噴霧ノズル10を備えた医療用シリンジ1全体の概略的構成を示す部分破断側面図である。医療用シリンジ1は、図1に示すように、概略、製剤2を充填可能なシリンジバレル3を有する合成樹脂またはガラスからなるシリンジ本体4と、シリンジ本体4のシリンジバレル3内に挿通されるプランジャロッド5と、プランジャロッド5の遠位端に設けた固定部5aを介して取り付けられ、シリンジバレル3内に摺動してシリンジバレル3内の製剤をシリンジ本体4の遠位側の先端開口部6から送出するためのピストン7と、シリンジ本体4の近位端の周りに配設された指掛け部8と、医者等の施術者の指から加わった力をプランジャロッド5に伝えるプランジャ操作部9とを有する。図1に示す医療用シリンジ1は、前掲特許文献1に記載の定量シリンジ型噴出器と同様のものである。

0017

なお、本発明に係る点鼻用噴霧ノズル10は、シリンジバレル3内に収容された製剤をプランジャロッド5(およびピストン7)により押出される任意の形態を有する医療用シリンジ1に適用可能であり、本発明に係る特許請求の範囲を限定するものではない。したがって、本願明細書においては、医療用シリンジ(点鼻用定量シリンジ型噴出器)1の詳細な構成に関する説明を省略し、これに用いられる点鼻用噴霧ノズル10の構成・作用についてより詳細に説明する。なお前掲特許文献1は、その記載内容の全体が参考としてここに一体にものとして統合される。

0018

[点鼻用噴霧ノズル]
また医療用シリンジ1は、図1に示すように、シリンジ本体4の先端開口部6に対向して配置される点鼻用噴霧ノズル10と、その殺菌処理された先端部22を汚染物質および機械的衝撃から保護するための保護キャップ50とをさらに有する。図2(a)および(b)は、本発明の一実施形態に係る点鼻用噴霧ノズル10の概略的構成を示す部分破断分解斜視図である。図示のように、点鼻用噴霧ノズル10は、概略、ノズル噴出孔21が形成された先端部22を有する中空のノズル本体部20と、ノズル本体部20内に配設される中実の充填ロッド(充填棒)30とを有する。図2(a)および(b)は、充填ロッド30がノズル本体部20に配設または挿入される前後の状態を示すものである。ノズル本体部20の先端部22は実質的な円形形状を有し、ノズル噴出孔21は先端部22の中心に形成されている。

0019

図3(a)は、図2(b)に示す点鼻用噴霧ノズル10を、ノズル噴出孔21を通る垂直面で見たときの垂直断面図である。図3(b)〜(d)はそれぞれ、図3(a)のB−B線、C−C線、およびD−D線から見たときの水平断面図である。中空のノズル本体部20は、その内壁23が略円筒形状の内部空間24を形成し、内部空間24は、図3(c)および図3(d)に示すように、中空のノズル本体部20のノズル噴出孔21により近いノズル小径部25と、充填ロッド30のロッド大径部36が挿入されるノズル大径部26と、内部空間24の径がノズル大径部26からノズル小径部25に向かって連続的または段階的に小さくなるように形成されたノズル肩部27とを有する。

0020

一方、ノズル本体部20に挿入される中実の充填ロッド30は、その外壁33がノズル本体部20の内壁23(内部空間24)とほぼ相補的外形形状を有し、図2(a)、図3(c)および(d)に示すように、ロッド大径部36およびロッド小径部35の径がロッド大径部36からロッド小径部35に向かって連続的または段階的に小さくなるように形成されたロッド肩部37とを有する。

0021

なお、図3(a)に示すように、ノズル本体部20の内壁23には突起部23aを設け、充填ロッド30の外壁33には突起部23aを受容する凹部33aを設け、充填ロッド30をノズル本体部20の内部空間24に挿入したとき、突起部23aと凹部33aとが嵌合して、確実に固定できるように構成することが好ましい。

0022

また、図2(a),(b)および図3(a)〜(d)から明らかなように、充填ロッド30は、ロッド小径部35およびロッド大径部36において周方向に間隔を設けて配置された複数の溝部38,39を有する。また充填ロッド30は、ノズル肩部27とロッド肩部37との間に隙間40(図3(a))が形成されるようにノズル本体部20に挿入される。したがって、図2(b)のようにアセンブリされた点鼻用噴霧ノズル10は、溝部38,39および隙間40により流体連通可能なノズルチャンバ42が形成され、シリンジ本体4の先端開口部6から送出された製剤2を、ノズルチャンバ42を介して点鼻用噴霧ノズル10の先端部22まで案内することができる。

0023

さらに充填ロッド30は、図3(b)に示すように、点鼻用噴霧ノズル10の先端部22に対向する渦流形成部44を有する。渦流形成部44は、ロッド小径部35の各溝部38から流入した製剤2がノズル本体部20のノズル噴出孔21から噴射される前に渦流を形成するように構成されている。具体的には、渦流形成部44を構成するロッド小径部35の端部部分がノズル噴出孔21の垂直中心軸から位置ずれした方向に延びるように形成されている。このように製剤2がノズル噴出孔21から噴射される前に渦流を形成することにより、製剤の噴射角度を拡大させ、製剤をより均一に噴霧することができる。

0024

なお、図3(c)および図3(d)から明らかなように、ロッド小径部35の溝部38をロッド大径部36の溝部39より小さく設計して、ノズル噴出孔21から噴射される前の渦流形成部44内の製剤の圧力を増大させることが好ましい。またロッド大径部36およびロッド小径部35の径がロッド大径部36からロッド小径部35に向かって連続的または段階的に小さくなるように設計したことから、患者等の鼻腔内に深く挿入しやすくして、患者等の下鼻甲介付近およびその深部に対する製剤の噴霧を容易にすることができる。すなわちロッド小径部35の径は、患者等に恐怖感を与えることなく、患者等の鼻孔より十分に小さいものであることが好ましい。

0025

[製剤の鼻腔内への最適噴霧]
一般に、上記実施形態に係る点鼻用噴霧ノズル10を備えた医療用シリンジ1を用いて、PBSリン酸緩衝生理食塩水)等の実質的な粘度を有さない流体を患者等の下鼻甲介付近に噴霧したとしても、噴霧製剤の滞留性がほとんどなく、噴霧後直ちに患者等の鼻孔から流出または下鼻道にたれ咽頭部へ流出してしまう。すなわち噴霧後、噴霧製剤を患者等の下鼻甲介付近に滞留させるためには、所定の粘度が必要である。また粘度を有する製剤は、一般に、噴霧直後ノズル内を通過することにより粘度が低下する傾向があり、所望の噴霧滞留性を担保するためには、噴霧前の粘度だけでなく、噴霧直後においても所定の粘度を確保する必要がある。

0026

また噴霧滞留性の他、点鼻用噴霧ノズル10を備えた医療用シリンジ1として適当な噴霧均一性、噴射角度、および製剤粒度分布範囲(平均粒子径)が求められる。より具体的には、製剤の噴霧均一性は、噴霧される製剤がほぼ均一な濃度で分散して噴霧される性状をいい、噴射方向に垂直に配置した被噴射面にノズル噴出孔21から噴射された製剤の噴霧パターンで評価されるものである。すなわち本願明細書においては、噴霧パターンが図5に示すような略円形(フルコーン)であって、楕円形またはホロコーンでないとき、その製剤に対する噴霧均一性は本発明に係る点鼻用噴霧ノズル10として適合するもの(適合)と評価する。

0027

また製剤の噴射角度は、図6に示すように、噴射される製剤飛沫(以下、「製剤粒子」ともいう。)の分散する最大角をいい、本願明細書においては、40度〜60度の範囲にあるとき、その製剤に対する噴射角度は本発明に係る点鼻用噴霧ノズル10としては適合するものと評価する。

0028

さらに製剤粒子の径は、一般に、大き過ぎると、噴射された製剤が患者等の下鼻甲介付近に送達されず、小さ過ぎると患者等の呼吸とともに気管支またはに到達する傾向があり、いずれにしても期待される効能が得られない。したがって、本願明細書においては、製剤粒子の平均粒子径が50〜80μmの範囲にあるとき、および製剤粒子の径が10〜100μmであるものの個数が製剤粒子の全体の個数の70%以上であるとき、その製剤に対する平均粒子径は本発明に係る点鼻用噴霧ノズルとしては適合するものと評価する。

0029

以下説明するように、異なる寸法/形状を有する数多くの点鼻用噴霧ノズル10を備えた医療用シリンジ1を用いて、さまざまなゲル基剤を含む製剤を噴霧したときの製剤の粘度/粘度保持率(噴霧滞留性)、製剤粒子の噴霧均質性(噴霧パターン)、噴射角度、および平均粒子径を測定し、本発明に係る点鼻用噴霧ノズル10としての適合性について評価した。

0030

[点鼻用噴霧ノズルの作製]
上記説明した実施形態に係る医療用シリンジ1に取り付けられる点鼻用噴霧ノズル10に関し、ノズル噴出孔21の径(φ)、製剤の噴出方向における先端部22の厚み(d)、およびノズル噴出孔21における先端部22の湾曲部の有無(有/無)を変えて、以下に示すさまざまな点鼻用噴霧ノズル10a〜10kを作製した。

0031

0032

図4(a)および(b)は、ノズル本体部20の先端部22の拡大断面図であり、図4(a)は湾曲部46を設けた先端部22を示し、図4(b)は湾曲部46を設けない先端部22を示す。点鼻用噴霧ノズル10a〜10kは、ノズル噴出孔21が0.25mm〜0.55mmの範囲の孔径φを有し、先端部22が製剤の噴出方向に0.13mm〜0.30mmの範囲の厚みdを有する。点鼻用噴霧ノズル10c,10g,10iは、図4(a)に示すようにノズル噴出孔21に湾曲部46を有する。

0033

[異なる基剤を含む製剤の作製]
次に、上記点鼻用噴霧ノズル10を備えた医療用シリンジ1を用いて噴霧させる製剤を以下の処方により作製した。
基剤A:リン酸緩衝生理食塩水(参考例)
基剤B:所定の粘度となるように、カルボキシビニルポリマーの分量を調整したもの
基剤C:所定の粘度となるように、粘度調節剤(塩化ナトリウム)を加えて調整したもの
基剤D:所定の粘度となるように、外部からせん断力を与えて調整したもの
基剤E:所定の粘度となるように、粘度調節剤(塩化ナトリウム)を加え、外部からせん断力を与えて調整したもの

0034

なお、基剤Dおよび基剤Eは、任意の手法を用いて外部からせん断力を与えてもよく、これに限定するものではないが、たとえば基剤を構成する各成分を調製し、混合し、均質になるまで撹拌した後、断続ジェット流生型高速回転型乳化装置により高速回転させることにより、せん断力を与えてもよい。また、こうして調製された基剤をさらに加熱処理または高圧蒸気滅菌等の滅菌処理をしてもよい。

0035

0036

0037

0038

0039

0040

実施例1
ゲル基剤およびインフルエンザウイルス原液を混合してインフルエンザワクチン組成物を以下のように調製した。(基剤E4にインフルエンザウイルス不活化粒子抗原が含まれた製剤)

0041

0042

評価方法
a)粘度/粘度保持率
本願の実施例で示す基剤A〜Eの粘度測定は、C形粘度計を用いて20℃で測定した。なお、本発明で規定する粘度保持率とは、噴霧前の基剤A〜Eの粘度に対する、噴霧直後の噴霧された基剤A〜Eの粘度の残存率をいう。

0043

b)噴霧均質性(噴霧パターン)
上記点鼻用噴霧ノズル10a〜10kが装着された医療用シリンジ(定量シリンジ型噴出器)1に基剤A〜Eを充填し、ノズル噴出孔21から所定の距離を隔てた位置に鉛直方向に配置された噴霧パターンテスト紙に向かって噴霧した。たとえば図5は、基剤の噴霧パターンがともに円形であり(楕円形ではなく)、フルコーン状に(ホロコーン状または中空コーン状ではなく)均一に噴霧されており、その基剤とその点鼻用噴霧ノズル10の組み合わせが、噴霧パターンの観点において適合したものであることを示すものである。

0044

c)噴射角度
上記点鼻用噴霧ノズル10a〜10kが装着された医療用シリンジ(定量シリンジ型噴出器)1に基剤A〜Eを充填して、噴霧した。このとき株式会社キーエンスから市販されているハイスピードマイクロスコープ品番:VW-9000)を用いて、点鼻用噴霧ノズル10a〜10kのノズル噴出孔21から噴射される製剤粒子の噴射角度を測定した。たとえば図6は、製剤粒子の噴射角度が50.51度であって、本願で所望される40度〜60度の範囲にあるので、その基剤とその点鼻用噴霧ノズル10の組み合わせが、噴射角度の観点において適合したものであることを示すものである。

0045

d)平均粒子径および製剤粒度分布
同様に、上記点鼻用噴霧ノズル10a〜10kが装着された医療用シリンジ(定量シリンジ型噴出器)1に基剤A〜Eを充填し、プランジャロッド5を所定の押し出しスピード(たとえば80mm/s)で押し出して噴霧した。このときレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、点鼻用噴霧ノズル10a〜10kのノズル噴出孔21から噴射される製剤の粒子径を測定し、平均粒子径、および製剤粒子の径が10〜100μmであるものの個数が製剤粒子の全体の個数の割合を求めた。たとえば図7は、噴射された製剤の平均粒子径が56.60μmで、製剤粒子の径が10〜100μmであるものの個数が製剤粒子の全体の個数の割合が86.90%であるので、その基剤とその点鼻用噴霧ノズル10の組み合わせが、製剤粒度分布の観点において適合したものであることを示すものである。

0046

上記点鼻用噴霧ノズル10a〜10kが装着された医療用シリンジ(定量シリンジ型噴出器)1に基剤A,B1,B2,C1〜C3,D,E1〜E4(11種類)を充填し、上記説明したa)粘度/粘度保持率、b)噴霧均質性(噴霧パターン)、c)噴射角度、ならびにd)平均粒子径および製剤粒度分布について、以下の[表7]〜[表9]に示す結果を得た。

0047

同様に、図8図15は、基剤A,B1,C1,C2,D,E1,E2,E4(8種類)が充填された医療用シリンジ(定量シリンジ型噴出器)1に、上記点鼻用噴霧ノズル10a〜10kを装着したときに得られた概略的な噴霧パターンを示すとともに、これらの基剤と点鼻用噴霧ノズル10の組み合わせに係る適否を示すものである。

0048

0049

[評価]
上記説明したa)粘度/粘度保持率、b)噴霧均質性(噴霧パターン)、c)噴射角度、ならびにd)平均粒子径および製剤粒度分布のうち、1項目でも所望される範囲から逸脱する基剤と点鼻用噴霧ノズル10の組み合わせを「不適」と評価し、すべての項目が所望される範囲に含まれる場合には、「適合」と評価した。

0050

基剤Aは[表2]のとおり粘度がきわめて低く、基剤B1,B2は[表3]のとおり粘度保持率が低いため、いずれも鼻腔内での製剤滞留性が小さく、そもそも点鼻用噴霧式の製剤の基剤として適当ではない。

0051

基剤Cは[表4]のとおり所定の粘度(たとえば2400mPa・sまたは1000mPa・s)となるように、粘度調節剤(塩化ナトリウム)を加えて調整したものであり、粘度保持率も高いので、鼻腔内での製剤滞留性が大きい。同様に、基剤Dは[表5]のとおり所定の粘度(たとえば2500mPa・s)となるように外部からせん断力を与えて粘度調整されたものであり、粘度保持率も高いので、鼻腔内での製剤滞留性が大きい。しかしながら、基剤Cおよび基剤Dが充填された医療用シリンジに上記点鼻用噴霧ノズル10a〜10kを装着したときに得られた噴霧パターンは、基剤C2に対する点鼻用噴霧ノズル10d,10e以外すべて不適であった。すなわち、点鼻用噴霧ノズル10は、ノズル噴出孔21の孔径が0.30mmで、先端部22の厚みdが0.13〜0.20mmで、基剤C2を用いる場合にのみ所望の噴霧特性が得られた。

実施例

0052

基剤Eは[表6]のとおり所定の粘度(たとえば2400mPa・sまたは1000mPa・s)となるように、粘度調節剤(塩化ナトリウム)を加え、外部からせん断力を与えて調整したものであり、粘度保持率も高いので、鼻腔内での製剤滞留性が大きい。しかしながら、先端部22のノズル噴出孔21に湾曲部46を設けた点鼻用噴霧ノズル10b,10gを用いた場合、所望の噴霧特性が得られず、不適となる基剤Eが数多く確認された。また基剤E3,E4については、ノズル噴出孔21の孔径が0.30mmで、先端部22の厚みdが0.13〜0.20mmであるすべての点鼻用噴霧ノズル10において所望の噴霧特性が得られた。

0053

以上のように、本発明に係る定量シリンジ型噴出器に用いられる点鼻用噴霧ノズルは、カルボキシビニルポリマーおよび粘度調節剤を包含し、外部からせん断力を与えて粘度調整されたゲル基剤を含む製剤を噴霧するときの噴霧均質性(噴霧パターン)、噴射角度、ならびに平均粒子径および製剤粒度分布を実質的に改善することにより、たとえば経鼻インフルエンザワクチン等の製剤の滞留性を改善し、より高い薬効が得られる点鼻用噴霧式の医療用デバイスを実現することができる。

0054

1…医療用シリンジ、2…製剤、3…シリンジバレル、4…シリンジ本体、5…プランジャロッド、5a…固定部、6…先端開口部、7…ピストン、8…指掛け部、9…プランジャ操作部、10…点鼻用噴霧ノズル、20…ノズル本体部、21…ノズル噴出孔、22…先端部、23…ノズル本体部の内壁、23a…突起部、24…内部空間、25…ノズル小径部、26…ノズル大径部、27…ノズル肩部、30…充填ロッド(充填棒)、33…充填ロッドの外壁、33a…凹部、35…ロッド小径部、36…ロッド大径部、37…ロッド肩部、38,39…溝部、40…隙間、42…ノズルチャンバ、44…渦流形成部、46…湾曲部、50…保護キャップ。

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