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技術 近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタおよびその製造方法、ならびに、カメラモジュールおよびその製造方法

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 川島敬史人見誠一佐々木晃逸
出願日 2014年10月28日 (6年2ヶ月経過) 出願番号 2014-219262
公開日 2016年1月14日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 2016-006476
状態 特許登録済
技術分野 他類に属さない組成物 光学フィルタ
主要キーワード ノイズカットフィルタ 赤外光反射膜 省エネルギー用 吸光能力 保護めがね 吸水率評価 リン酸二水素アニオン 最小吸光度
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この項目の情報は公開日時点(2016年1月14日)のものです。
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図面 (4)

課題

硬化膜としたときに可視光領域での透過性および近赤外線領域での遮蔽性が高く、十分な耐湿性を有する近赤外線吸収性組成物近赤外線カットフィルタおよび、カメラモジュールを提供する。

解決手段

25℃、相対湿度95%の条件に5時間放置する前を基準とする質量の増加率が25%以内である銅錯体を含む、近赤外線吸収性組成物。

概要

背景

ビデオカメラデジタルスチルカメラカメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像固体撮像素子であるCCDやCMOSが用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルタを用いることが多い。
このような近赤外線カットフィルタを形成するための材料として、例えば、リン酸エステル銅錯体を用いた近赤外線吸収性組成物が知られている(特許文献1〜3)。

概要

硬化膜としたときに可視光領域での透過性および近赤外線領域での遮蔽性が高く、十分な耐湿性を有する近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタおよび、カメラモジュールを提供する。25℃、相対湿度95%の条件に5時間放置する前を基準とする質量の増加率が25%以内である銅錯体を含む、近赤外線吸収性組成物。 なし

目的

本発明は、かかる問題点を解決することを目的としたものであって、硬化膜としたときに可視光領域での透過性および近赤外線領域での遮蔽性が高く、十分な耐湿性を有する近赤外線吸収性組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

25℃、相対湿度95%の条件に5時間放置する前を基準とする質量の増加率が25%以内である銅錯体を含む、近赤外線吸収性組成物

請求項2

前記銅錯体が、アニオン配位する配位部位非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物(A)、および、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物(B)から選ばれる1種以上の化合物を配位子とする銅錯体である、請求項1に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項3

前記銅錯体が、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物(A)を配位子とする銅錯体である、請求項1に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項4

前記銅錯体は、銅と前記配位子をなす化合物とで5員環および/または6員環が形成されている、請求項2に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項5

前記アニオンが、酸素アニオン窒素アニオンまたは硫黄アニオンであり、前記非共有電子対で配位する配位原子が、酸素原子窒素原子硫黄原子またはリン原子である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項6

前記化合物(A)は、アニオンと、非共有電子対で配位する配位原子を連結する原子数が1〜3である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項7

前記配位子をなす化合物の分子量が50〜1000である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項8

前記配位子をなす化合物が5員環または6員環を含む化合物であり、前記非共有電子対で配位する配位原子が5員環または6員環を構成する原子である、請求項2〜7のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項9

前記非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子である、請求項2〜8のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項10

前記窒素原子に隣接する原子が炭素原子であり、前記炭素原子が置換基を有する、請求項9に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項11

前記化合物(A)が、式(I)で表される、請求項2〜7のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物;式(I)中、X1は、前記アニオンで配位する配位部位を含む基を表す;Y1は、窒素原子またはリン原子を表し、隣接する炭素原子とともに4〜7員環を構成する;RX1は、置換基を表し、n1は、0〜6の整数を表す。

請求項12

前記式(I)中、Y1が隣接する炭素原子とともに形成する環が芳香族環である、請求項11に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項13

前記アニオンで配位する配位部位が、以下の群(AN)から選択される少なくとも1種であり、群(AN)前記非共有電子対で配位する配位原子が、環に含まれる、または、以下の群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれ、群(UE)波線は、化合物(A)を構成する原子団との結合位置であり、Xは、NまたはCRを表し、RおよびR1は、それぞれ独立して水素原子アルキル基アルケニル基アルキニル基アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基アリールオキシ基ヘテロアリールオキシ基アルキルチオ基アリールチオ基ヘテロアリールチオ基アミノ基またはアシル基を表す、請求項2〜7のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項14

前記化合物(A)が下記一般式(IV)で表される、請求項2〜7のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物;X1−L1−Y1一般式(IV)一般式(IV)中、X1は、以下の群(AN)から選択される少なくとも1種のアニオンで配位する配位部位を表し、群(AN)Y1は、前記非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、以下の群(UE)から選択される少なくとも1種の非共有電子対で配位する配位原子を含む部分構造を表し、群(UE)波線は、化合物(A)を構成する原子団との結合位置であり、Xは、NまたはCRを表し、RおよびR1は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表す。

請求項15

硬化性化合物および溶剤をさらに含有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項16

請求項1〜15のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物を硬化してなる近赤外線カットフィルタ

請求項17

固体撮像素子と、前記固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールであって、前記近赤外線カットフィルタが請求項1〜15のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物を硬化してなる近赤外線カットフィルタである、カメラモジュール。

技術分野

0001

本発明は、近赤外線吸収性組成物近赤外線カットフィルタおよびその製造方法、ならびに、カメラモジュールおよびその製造方法に関する。

背景技術

0002

ビデオカメラデジタルスチルカメラカメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像固体撮像素子であるCCDやCMOSが用いられている。これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルタを用いることが多い。
このような近赤外線カットフィルタを形成するための材料として、例えば、リン酸エステル銅錯体を用いた近赤外線吸収性組成物が知られている(特許文献1〜3)。

先行技術

0003

特開2002−69305号公報
特開平11−52127号公報
特開2011−63814号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ここで、特許文献1および特許文献2に記載の銅錯体を用いたIRカットフィルタでは、硬化膜としたときに可視光透過性近赤外線領域での遮蔽性および耐湿性が不十分であることが分かった。本発明は、かかる問題点を解決することを目的としたものであって、硬化膜としたときに可視光領域での透過性および近赤外線領域での遮蔽性が高く、十分な耐湿性を有する近赤外線吸収性組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、特定の銅錯体により、上記課題を解決しうることを見出した。本発明は、以下を提供する。
<1>25℃、相対湿度95%の条件に5時間放置する前を基準とする質量の増加率が25%以内である銅錯体を含む、近赤外線吸収性組成物。
<2>銅錯体が、アニオン配位する配位部位非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物(A)、および、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物(B)から選ばれる1種以上の化合物を配位子とする銅錯体である、<1>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<3>銅錯体が、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物(A)を配位子とする銅錯体である、<1>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<4>銅錯体は、銅と配位子をなす化合物とで5員環および/または6員環が形成されている、<2>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<5>アニオンが、酸素アニオン窒素アニオンまたは硫黄アニオンであり、非共有電子対で配位する配位原子が、酸素原子窒素原子硫黄原子またはリン原子である、<2>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<6>化合物(A)は、アニオンと、非共有電子対で配位する配位原子を連結する原子数が1〜3である、<2>〜<5>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<7>配位子をなす化合物の分子量が50〜1000である、<2>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<8>配位子をなす化合物が5員環または6員環を含む化合物であり、非共有電子対で配位する配位原子が5員環または6員環を構成する原子である、<2>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<9>非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子である、<2>〜<8>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<10>窒素原子に隣接する原子が炭素原子であり、炭素原子が置換基を有する、<9>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<11>化合物(A)が、式(I)で表される、<2>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物;



式(I)中、X1は、アニオンで配位する配位部位を含む基を表す;Y1は、窒素原子またはリン原子を表し、隣接する炭素原子とともに4〜7員環を構成する;RX1は、置換基を表し、n1は、0〜6の整数を表す。
<12>式(I)中、Y1が隣接する炭素原子とともに形成する環が芳香族環である、<11>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<13>アニオンで配位する配位部位が、以下の群(AN)から選択される少なくとも1種であり、
群(AN)



非共有電子対で配位する配位原子が、環に含まれる、または、以下の群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれ、
群(UE)



波線は、化合物(A)を構成する原子団との結合位置であり、
Xは、NまたはCRを表し、RおよびR1は、それぞれ独立して水素原子アルキル基アルケニル基アルキニル基アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基アリールオキシ基ヘテロアリールオキシ基アルキルチオ基アリールチオ基ヘテロアリールチオ基アミノ基またはアシル基を表す、<2>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<13−1>アニオンで配位する配位部位が、以下の群(AN−11)から選択される少なくとも1種である、<13>に記載の近赤外線吸収性組成物;XおよびRは、群(AN)のXおよびRと同義である。
群(AN−11)



<14>化合物(A)が下記一般式(IV)で表される、<2>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物;
X1−L1−Y1 一般式(IV)
一般式(IV)中、X1は、以下の群(AN)から選択される少なくとも1種のアニオンで配位する配位部位を表し、
群(AN)



Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、以下の群(UE)から選択される少なくとも1種の非共有電子対で配位する配位原子を含む部分構造を表し、
群(UE)



波線は、化合物(A)を構成する原子団との結合位置であり、
Xは、NまたはCRを表し、RおよびR1は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表す。
<14−1>X1が、以下の群(AN−11)から選択される少なくとも1種である、<14>に記載の近赤外線吸収性組成物;XおよびRは、群(AN)のXおよびRと同義である。
群(AN−11)



<15>硬化性化合物および溶剤をさらに含有する、<1>〜<14>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<16><1>〜<15>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物を硬化してなる近赤外線カットフィルタ。
<17>固体撮像素子と、固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールであって、近赤外線カットフィルタが<1>〜<15>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物を硬化してなる近赤外線カットフィルタである、カメラモジュール。

発明の効果

0006

本発明によれば、硬化膜としたときに可視光領域での透過性および近赤外線領域での遮蔽性が高い近赤外線吸収性組成物を提供することが可能となった。

図面の簡単な説明

0007

本発明の実施形態に係る、近赤外線カットフィルタを有するカメラモジュールの構成を示す概略断面図である
カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。
カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。
カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。

0008

以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本願明細書中において、“(メタアクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
また、本願明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
本願明細書中において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応関与する基をいう。
本発明で用いられる化合物の重量平均分子量および数平均分子量の測定方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定でき、GPCの測定によるポリスチレン換算値として定義される。例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM—H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを、溶離液として10mmol/LリチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
近赤外線とは、極大吸収波長領域が700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。本発明における固形分は、25℃における固形分である。

0009

<近赤外線吸収性組成物>
本発明の近赤外線吸収性組成物(以下、本発明の組成物ともいう)は、25℃、相対湿度95%の条件に5時間放置する前を基準とする質量の増加率が25%以内である銅錯体を含む。以下、25℃、相対湿度95%の条件に放置する試験を単に吸水率試験ということがある。かかる銅錯体としては、25℃、相対湿度95%の条件に5時間放置する前を基準とする質量の増加率が25%以内であることが好ましく、15%以内であることがより好ましく、10%以内であることがさらに好ましく、5%以内であることがよりさらに好ましく、3%以内であることが特に好ましい。また、吸水率試験の時間は長く設定してもよく、10時間、20時間と設定してもよい。この場合でも、銅錯体の質量の増加率が25%以内であることが好ましく、15%以内であることがより好ましく、10%以内であることがさらに好ましく、5%以内であることがよりさらに好ましく、3%以内であることが特に好ましい。長時間に設定した場合の質量増加率が小さいほど、耐湿性の高い近赤外線カットフィルタが得られる。また、銅錯体の質量の増加率の下限は0%であり、吸水率試験後も、銅錯体の質量が増加しないことが好ましい。
上記銅錯体としては、具体的には、銅成分に対して、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物(A)、および、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物(B)から選ばれる1種以上の化合物を反応させてなる銅錯体、または、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物(A)、および、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物(B)から選ばれる1種以上の化合物を配位子とする銅錯体が挙げられる。

0010

本発明の組成物によれば、可視領域では高い透過率であり、高い近赤外線遮蔽性を実現でき、また十分な耐水性を有する近赤外線カットフィルタが得られる。また本発明によれば、近赤外線カットフィルタの膜厚を薄くでき、カメラモジュールの低背化に寄与できる。
このような本願発明の効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推定される。銅成分とアニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子をそれぞれ少なくとも1つずつ有する化合物(A)、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物(B)は、銅成分に対しキレート配位子として働く。
すなわち、化合物(A)が有するアニオンで配位する配位部位および非共有電子対で配位する配位原子、化合物(B)が有する非共有電子対で配位する配位原子は、それぞれ銅成分中の銅とキレート配位することにより、銅錯体の構造が歪んで、可視光領域の高い透過性が得られ、近赤外線の吸光能力を向上でき、色価も向上すると考えられる。
さらに、銅錯体は一般的に空気中の水分を吸収する傾向があるが、本発明では特定の配位子を選択することで、上記のように吸水性の低い銅錯体を設計することができた。これにより、近赤外線カットフィルタを長期間使用しても、その特性が損なわれず、またカメラモジュールを安定的に製造することも可能となる。

0011

本発明に用いられる銅錯体は、化合物(A)が有する非共有電子対で配位する配位原子と、アニオンで配位する配位部位がキレート配位した銅錯体(銅化合物)の形態、および、化合物(B)が有する2つの非共有電子対で配位する配位原子がキレート配位した銅錯体(銅化合物)の形態から選ばれる一種以上の形態が好ましい。
本発明に用いられる銅錯体における銅は、通常2価の銅であり、例えば銅成分(銅または銅を含む化合物)に対して、化合物(A)を混合・反応等させて得ることができる。
また、本発明に用いられる銅錯体は、4配位、5配位および6配位が例示され、4配位および5配位がより好ましい。
ここで、本発明の組成物中から、銅と、化合物(A)および/または化合物(B)の構造を検出できれば、本発明の組成物中において、化合物(A)および/または化合物(B)を配位子とした銅錯体が形成されているといえる。本発明の組成物中から銅、化合物(A)、化合物(B)を検出する方法としては、例えばICP発光分析が挙げられる。

0012

本発明に用いられる銅錯体は、近赤外線波長領域700〜2500nmに極大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、720〜890nmに極大吸収波長を有することがより好ましく、730〜880nmに極大吸収波長を有することがさらに好ましい。極大吸収波長は、例えば、Cary 5000 UV−Vis−NIR(分光光度計アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて測定することができる。

0013

<<アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子をそれぞれ少なくとも1つずつ有する化合物(A)>>
化合物(A)は、1分子内に、アニオンで配位する配位部位を少なくとも1つ有し、2つ有していてもよい。化合物(A)は、1分子内中のアニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子の合計が2つ以上であればよく、3つであってもよいし、4つであってもよい。
アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子の合計が3つである形態としては、2つのアニオンで配位する配位部位と1つの非共有電子対で配位する配位原子を有する場合、1つのアニオンで配位する配位部位と2つの非共有電子対で配位する配位原子を有する場合が挙げられる。
アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子の合計が4つである形態としては、2つのアニオンで配位する配位部位と2つの非共有電子対で配位する配位原子を有する場合、1つのアニオンで配位する配位部位と3つの非共有電子対で配位する配位原子を有する場合が挙げられる。
化合物(A)の極大吸収波長(λmax)は、420nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、350nm以下がさらに好ましい。また、化合物(A)の極大吸収波長は、10nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。また、化合物(A)の極大吸収波長は、430nm以上に存在しないことが好ましい。
化合物(A)は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0014

化合物(A)において、アニオンと、非共有電子対で配位する配位原子を連結する原子数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。
アニオンと、非共有電子対で配位する配位原子を連結する原子は、1種または2種以上であってもよい。アニオンと、非共有電子対で配位する配位原子を連結する原子は、炭素原子が好ましい。
以下の例示化合物において、カルボン酸プロトン解離してカルボキシレートアニオンとなった状態で配位子として銅イオンに配位する場合、アニオンが酸素アニオンであり、非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子であり、アニオンと、非共有電子対で配位する配位原子を連結する原子は炭素原子である。また、アニオンと、非共有電子対で配位する配位原子を連結する原子数は2である。この例示化合物のプロトンが解離せず、非イオン性の状態で銅イオンに配位する場合、カルボン酸上の酸素原子と窒素原子の2つの非共有電子対で配位すると解釈されるが、この例示化合物においてこのような配位形式をとることは稀である。



化合物(A)の分子量は、50〜1000が好ましく、50〜600がより好ましい。

0015

化合物(A)において、アニオンは、銅成分中の銅原子に配位可能なものであればよく、酸素アニオン、窒素アニオンまたは硫黄アニオンが好ましい。
アニオンで配位する配位部位は、以下の群(AN)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、以下の構造式における波線は、化合物(A)を構成する原子団との結合位置である。
群(AN)

0016

アニオンで配位する配位部位は、以下の群(AN−11)であることも好ましい。
群(AN−11)

0017

上記アニオンで配位する配位部位において、Xは、NまたはCRを表し、Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表すことが好ましい。
アルキル基は、直鎖状分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキル基の例としては、メチル基が挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子カルボキシル基ヘテロ環基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましく1または2が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。アルキル基が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよい。
アルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
アルキニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
アリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。

0018

化合物(A)において、非共有電子対で配位する配位原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子が好ましく、酸素原子、窒素原子または硫黄原子がより好ましく、窒素原子がさらに好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子である場合、窒素原子に隣接する原子が炭素原子であり、上記炭素原子が置換基を有することが好ましい。

0019

非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれる、または、以下の群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれることが好ましい。なお、以下の構造式における波線は、化合物(A)を構成する原子団との結合位置である。
群(UE)

0020

群(UE)中、R1は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表す。

0021

非共有電子対で配位する配位原子が環に含まれる場合、非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、5〜12員環が好ましく、5〜7員環がより好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、置換基を有していてもよく、置換基としては、炭化水素基(例えば炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜10)の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜12)のアリール基)、ハロゲン原子、ケイ素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、カルボキシル基等が挙げられる。置換基が炭化水素基である場合、炭化水素基は−O−との組み合わせからなる基も好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよく、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造からなる基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアシル基、ヒドロキシ基が挙げられる。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環が置換基を有する場合、非共有電子対で配位する配位原子に結合した原子に置換基が結合していることが好ましい。

0022

非共有電子対で配位する配位原子が群(UE)で表される部分構造に含まれる場合、R1は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表すことが好ましい。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アルコキシ基の炭素数は、1〜12が好ましく、3〜9がより好ましい。
アリールオキシ基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリールオキシ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールオキシ基を構成するヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アルキルチオ基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましい。
アリールチオ基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリールチオ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールチオ基を構成するヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アシル基の炭素数は、2〜12が好ましく、2〜9がより好ましい。

0023

化合物(A)は、下記一般式(IV)で表されることも好ましい。
X1−L1−Y1 一般式(IV)
一般式(IV)中、X1は群(AN)または上述した群(AN−11)で表される配位部位を表す。Y1は、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造を表す。L1は、単結合または2価の連結基を表す。
一般式(IV)中、X1は、上述したアニオンで配位する配位部位と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IV)中、Y1は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した非共有電子対で配位する配位原子が含まれる部分構造と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(IV)中、L1が2価の連結基を表す場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−O−、−SO2−または、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基または−SO2−が好ましい。

0024

化合物(A)のより詳細な例として、下記一般式(IV−1)〜(IV−8)で表される化合物も挙げられる。
X2−L2−Y2−L3−X3 (IV−1)
Y3−L4−Y4−L5−X4 (IV−2)
Y5−L6−X5−L7−X6 (IV−3)
Y6−L7−X7−L8−Y7 (IV−4)
X8−L9−Y8−L10−Y9−L11−X9 (IV−5)
X9−L12−Y10−L13−Y11−L14−Y12 (IV−6)
Y13−L15−X10−L16−X11−L17−Y14 (IV−7)
Y15−L18−X12−L19−Y16−L20−Y17 (IV−8)
一般式(IV−1)〜(IV−8)中、X2〜X4、X8、X9はそれぞれ独立して、上述した群(AN)または上述した群(AN−11)から選択される少なくとも1種を表す。また、X5、X7、X10〜X12はそれぞれ独立して、以下の群(AN−1)または群(AN−12)から選択される少なくとも1種である。群(AN−1)、群(AN−12)中のXは、NまたはCRを表し、Rは、上述した群(AN)中のCRで説明したRと同義である。波線は、化合物(A)を構成する原子団との結合位置である。
群(AN−1)



群(AN−12)



一般式(IV−1)〜(IV−8)中、Y3、Y5〜Y7、Y12〜Y15はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造を表す。また、Y2、Y4、Y8〜Y11、Y16はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、以下の群(UE−1)から選択される少なくとも1種である。群(UE−1)中のRは、非共有電子対で配位する配位原子が上述した群(UE)で表される部分構造に含まれる場合のR1と同義である。波線は、化合物(A)を構成する原子団との結合位置である。
群(UE−1)

0025

一般式(IV−1)〜(IV−8)中、L2〜L20はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基は、一般式(IV)中のL1が2価の連結基を表す場合と同義であり、好ましい範囲も同様である。

0026

化合物(A)は、下記一般式(IV−11)〜(IV−20)で表される化合物であることも好ましい。

0027

一般式(IV−11)〜(IV−20)中、Z1〜Z34、Z101〜Z108、Z201〜Z203は、それぞれ独立して、配位部位を表し、L11〜L25はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、L26〜L32はそれぞれ独立して3価の連結基を表し、L33〜L34はそれぞれ独立して4価の連結基を表す。
Z1〜Z34はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(AN−11)または群(UE)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
Z101〜Z108はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(AN−12)、または、群(UE−1)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
Z201〜Z203はそれぞれ独立して、下記群(UE−2)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
L11〜L25はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−O−、−SO2−または、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、−SO2−またはこれらの組み合わせからなる基がより好ましい。
L26〜L32はそれぞれ独立して3価の連結基を表す。3価の連結基としては、上述した2価の連結基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
L33〜L34はそれぞれ独立して4価の連結基を表す。4価の連結基としては、上述した2価の連結基から水素原子を2つ除いた基が挙げられる。
群(UE−2)

0028

なお、化合物(A)は、可視光透過性を向上させるために、芳香族などのπ共役系が連続して複数結合していないことが好ましい。

0029

化合物(A)は、5員環または6員環を含む化合物であることも好ましく、非共有電子対で配位する配位原子が5員環または6員環を構成することも好ましい。
化合物(A)が有する非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子であることも好ましい。また、化合物(A)が有する非共有電子対で配位する配位原子としての窒素原子に隣接する原子が炭素原子であり、上記炭素原子が置換基を有することも好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。置換基は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義であり、炭素数1〜30の炭化水素基(例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基)、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、ハロゲン原子が好ましい。特に、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、ハロゲン原子が好ましい。

0030

化合物(A)は、式(II)または式(III)で表されることも好ましい。



式(II)中、X2は、アニオンで配位する配位部位を含む基を表す。Y2は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。A1およびA5は、それぞれ独立して炭素原子、窒素原子またはリン原子を表す。A2〜A4は、それぞれ独立して炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。R1は、置換基を表す。RX2は、置換基を表す。n2は0〜3の整数を表す。
式(III)中、X3は、上記アニオンで配位する配位部位を含む基を表す。Y3は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。A6およびA9は、それぞれ独立して炭素原子、窒素原子またはリン原子を表す。A7およびA8は、それぞれ独立して炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。R2は、置換基を表す。RX3は、置換基を表す。n3は0〜2の整数を表す。

0031

式(II)中、X2は、例えば、上記アニオンで配位する配位部位を含む基のみからなっていてもよいし、上記アニオンで配位する配位部位を含む基が置換基を有していてもよい。アニオンで配位する配位部位を含む基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、ヘテロ環基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましく1または2が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。
式(II)中、Y2は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、酸素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましく、酸素原子または窒素原子がより好ましく、窒素原子がさらに好ましい。
式(II)中、A1およびA5は、それぞれ独立して炭素原子、窒素原子またはリン原子を表し、炭素原子が好ましい。
式(II)中、A2〜A4は、それぞれ独立して炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。A2およびA3は、炭素原子を表すことが好ましい。A4は、炭素原子または窒素原子を表すことが好ましい。
式(II)中、R1は、置換基を表し、上述した化合物(A)が有する非共有電子対で配位する配位原子としての窒素原子に隣接する原子が炭素原子である場合に、上記炭素原子が有する置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。なお、R1としては、吸水性の観点から、疎水的な置換基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基がさらに好ましく、炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましい。R1がアルキル基を表す場合、1級または2級のアルキル基が好ましく、1級のアルキル基がより好ましい。
式(II)中、RX2は、置換基を表し、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。RX2は、式(II)中のA2〜A4のいずれかの置換基であることが好ましく、また、Y2には置換しないことが好ましい。
式(II)中、n2は0〜3の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
化合物(A)が式(II)で表される場合、式(II)中のY2を含むヘテロ環は、単環構造であってもよいし、多環構造であってもよい。Y2を含むヘテロ環が単環構造である場合の具体例としては、ピリジン環ピリダジン環、ピリミジン環ピラジン環トリアジン環ピラン環等が挙げられる。Y2を含むヘテロ環が多環構造である場合の具体例としては、キノリン環イソキノリン環キノキサリン環、アクリジン環等が挙げられる。
化合物(A)がピリジン環を含む化合物であってピリジン環の6位に1級または2級のアルキル基を有する場合、可視光領域での透過性をより良好にすることができる。本願明細書において、化合物(A)がピリジン環を含む化合物である場合のピリジン環の6位とは、上記式(II)中のY2が窒素原子を表し、A1〜A5が炭素原子を表す場合のR1の置換位置をいう。化合物(A)がピリジン環の6位に1級または2級のアルキル基を有する場合のアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。化合物(A)がピリジン環の6位に1級または2級のアルキル基を有する場合のアルキル基は、−O−との組み合わせからなる基も好ましい。化合物(A)がピリジン環の6位に有するアルキル基は、1級のアルキル基が好ましい。

0032

式(III)中、X3は、アニオンで配位する配位部位を含む基を表し、式(II)中のX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(III)中、Y3は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表し、酸素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましく、酸素原子または窒素原子がより好ましい。
式(III)中、A6およびA9は、それぞれ独立して炭素原子、窒素原子またはリン原子を表す。A6は、炭素原子または窒素原子が好ましい。A9は、炭素原子が好ましい。
式(III)中、A7およびA8は、それぞれ独立して炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。A7は、炭素原子が好ましい。A8は、炭素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましい。
式(III)中、R2は、置換基を表し、式(II)中のR1と同義である。なお、R2としては、吸水性の観点から、疎水的な置換基であることが好ましく、炭素数1〜30の炭化水素基がより好ましく、炭素数3〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基がさらに好ましく、炭素数3〜15のアルキル基が特に好ましい。R2がアルキル基を表す場合、2級または3級のアルキル基が好ましい。
式(III)中、RX3は、置換基を表し、式(II)中のRX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(III)中、n3は0〜2の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
なお、Rx1およびRX2は、可視光透過性を向上させるために、π共役系が連続して複数結合している置換基でないことが好ましい。
化合物(A)が式(III)で表される場合、式(III)中のY3を含むヘテロ環は、単環構造であってもよいし、多環構造であってもよい。Y3を含むヘテロ環が単環構造である場合の具体例としては、ピラゾール環、イミダゾール環トリアゾール環オキサゾール環、チアゾール環イソチアゾール環等が挙げられる。Y3を含むヘテロ環が多環構造である場合の具体例としては、インドール環イソインドール環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環等が挙げられる。
化合物(A)がピラゾール環を含む化合物であってピラゾール環の5位に2級または3級のアルキル基を有する場合、可視光領域での透過性をより良好にすることができる。本願明細書において、化合物(A)がピラゾール環を含む化合物である場合のピラゾール環の5位とは、上記式(III)中のY3およびA6が窒素原子を表し、A7〜A9が炭素原子を表す場合のR2の置換位置をいう。化合物(A)がピラゾール環の5位に2級または3級のアルキル基を有する場合のアルキル基の炭素数は、3〜15が好ましく、3〜12がより好ましい。

0033

化合物(A)は、下記式(I)で表されることも好ましい。このような構成とすることにより、耐熱性をより向上させることができる。



式(I)中、X1は、アニオンで配位する配位部位を含む基を表す。Y1は、窒素原子またはリン原子を表し、隣接する炭素原子とともに4〜7員環を構成する。RX1は、置換基を表し、n1は、0〜6の整数を表す。
式(I)中、X1は、アニオンで配位する配位部位を含む基を表し、式(II)中のX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(I)中、Y1は、窒素原子またはリン原子を表し、隣接する炭素原子とともに4〜7員環を構成する。特に、式(I)中のY1は、窒素原子を表し、隣接する炭素原子とともに5または6員環を構成することが好ましい。式(I)中、RX1は、置換基を表し、上述した非共有電子対で配位する配位原子が環に含まれる場合に有していてもよい置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
なお、Rx1は、可視光透過性を向上させるために、π共役系が連続して複数結合している置換基でないことが好ましい。
式(I)中、n1は、0〜6の整数を表し、0〜2が好ましく、0または1がより好ましい。

0034

また、化合物(A)は、式(1)で表されることも好ましい。



式(1)中、R1は、炭化水素基を表す。R2およびR3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を表す。R1と、R2またはR3とは、互いに結合して環を形成していてもよい。

0035

本発明の組成物を用いることにより、硬化膜としたときに可視光領域での透過性を低くすることができ、また、近赤外線遮蔽性も高くすることができる。

0036

式(1)中、R1は、炭化水素基を表し、アルキル基またはアリール基を表すことが好ましい。
式(1)中のR1がアルキル基を表す場合、アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。具体的に、アルキル基は、メチル基、エチル基またはプロピル基が好ましい。式(1)中のR1がアルキル基を表す場合、置換基をさらに有していてもよい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、アルキルオキシ基アルキルカルボニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子)、ヘテロ環基(例えば、オキソラン環オキサン環、ジオキソラン環フラン環ジオキサン環、ピラン環)、重合性基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基)等が挙げられる。置換基を有するアルキル基は、さらに置換基を有していてもよい。
式(1)中のR1がアリール基を表す場合、アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。アリール基は、フェニル基が好ましい。式(1)中のR1がアリール基を表す場合、置換基をさらに有していてもよい。アルキル基が有していてもよい置換基は、式(1)中のR1がアルキル基を場合と同義である。

0037

式(1)中、R2およびR3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を表す。
本発明の実施形態の第一の態様は、式(1)中、R2およびR3の両方が水素原子である態様であり、本発明の実施形態の第二の態様は、式(1)中、R2およびR3の少なくとも一方がハロゲン原子または1価の有機基を表す態様であり、いずれも好ましい。
式(1)中のR2およびR3がハロゲン原子を表す場合、フッ素原子が好ましい。
式(1)中のR2およびR3が1価の有機基を表す場合、アルキル基またはアリール基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分岐状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。特に、アルキル基は、メチル基、エチル基またはプロピル基が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。アリール基は、フェニル基が好ましい。

0038

式(1)中、R1とR2とが互いに結合して酸素原子を含む5員環または6員環を形成し、かつ、R3が水素原子であることも好ましい。
酸素原子を含む5員環または6員環は、芳香環でも非芳香環であってもよいが、可視光領域での透過性および近赤外線領域での遮蔽性の観点からは、非芳香環が好ましい。酸素原子を含む5員環または6員環は、吸水率試験の結果を良好にする観点からは、芳香環が好ましい。酸素原子を含む5員環または6員環を構成する原子は、酸素原子および炭素原子が好ましい。酸素原子を含む5員環または6員環中の酸素原子の数は、1〜3が好ましく、1または2がより好ましく、1がさらに好ましい。酸素原子を含む5員環または6員環中の炭素原子の数は、1〜5が好ましく、4または5がより好ましい。酸素原子を含む5員環または6員環の具体的としては、オキソラン環、オキサン環、ジオキソラン環、フラン環、ジオキサン環、ピラン環等が挙げられる。

0039

式(1)で表される化合物は、式(2)で表されることも好ましい。
式(2)



式(2)中、R12およびR13は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を表す。Lは、n価の炭化水素基、または、炭化水素基と−O−との組み合わせからなるn価の基を表す。nは2〜6の整数を表す。

0040

式(2)中、R12およびR13は、式(1)中のR2およびR3と同義であり、ともに水素原子を表すことが好ましい。
式(2)中、Lは、n価の炭化水素基、または、炭化水素基と−O−との組み合わせからなるn価の基を表す。炭化水素基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。炭化水素基が直鎖状である場合の炭素数は、2〜12が好ましく、2〜5がより好ましい。炭化水素基が分岐状である場合の炭素数は、3〜12が好ましく、6〜10がより好ましい。炭化水素基が環状である場合の炭素数は、3〜12が好ましく、6〜12がより好ましく、6がより好ましい。炭化水素基が環状である場合、芳香環であっても非芳香環であってもよいが、非芳香環が好ましい。炭化水素基は、吸水率試験の結果を良好にする観点からは、分岐状または環状が好ましい。
式(2)中、nは、2〜6の整数を表し、2〜4の整数が好ましく、2または3がより好ましく、2がさらに好ましい。

0041

式(1)で表される化合物のカルボキシル基当量は、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。

0042

<<非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物(B)>>
化合物(B)は、1分子内に、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有していればよく、3つ以上有していてもよく、2〜5つ有していることが好ましく、4つ有していることがより好ましい。
化合物(B)の極大吸収波長(λmax)は、420nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、350nm以下がさらに好ましい。また、化合物(B)の極大吸収波長は、10nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。また、化合物(B)の極大吸収波長は、430nm以上に存在しないことが好ましい。
化合物(B)は、分子内に、上述したアニオンで配位する配位部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。化合物(B)は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
化合物(B)において、非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、2〜3が更に好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。
非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子は、1種または2種以上であってもよい。非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子は、炭素原子が好ましい。
化合物(B)が有していてもよい不飽和結合の数は、9以下が好ましく、1〜9が好ましい。
化合物(B)の分子量は、50〜1000が好ましく、50〜600がより好ましい。

0043

化合物(B)において、非共有電子対で配位する配位原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子が好ましく、酸素原子、窒素原子または硫黄原子がより好ましく、窒素原子がさらに好ましい。
また、非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれる、または、上述した(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれることが好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子の詳細については、化合物(A)で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。

0044

化合物(B)は、下記一般式(IVa)で表されることも好ましい。
Y1a−L1a−Y2a 一般式(IVa)
一般式(IVa)中、Y1aおよびY2aはそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造を表す。非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造は、化合物(A)で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
L1aは、単結合または2価の連結基を表す。L1aが2価の連結基を表す場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−O−、または、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基または−SO2−が好ましい。

0045

化合物(B)のより詳細な例として、下記一般式(IV−1a)または(IV−2a)で表される化合物も挙げられる。
Y3a−L2a−Y4a−L3a−Y5a (IV−1a)
Y6a−L6a−Y7a−L7a−Y8a−L8a−Y9a (IV−2a)
Y3a、Y5a、Y6aおよびY9aはそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE)で表される部分構造を表す。
Y4a、Y7a、Y8aはそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE−1)から選択される少なくとも1種である。
L2a〜L8aはそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基は、一般式(IVa)中のL1aが2価の連結基を表す場合と同義であり、好ましい範囲も同様である。

0046

化合物(B)は、下記一般式(IV−11a)〜(IV−20a)で表される化合物であることも好ましい。なかでも、下記一般式(IV−18a)で表される化合物がより好ましい。

0047

一般式(IV−11a)〜(IV−20a)中、Z1a〜Z34a、Z101a〜Z108a、Z201a〜Z203aは、それぞれ独立して、配位部位を表し、L11a〜L25aはそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、L26a〜L32aはそれぞれ独立して3価の連結基を表し、L33a〜L34aはそれぞれ独立して4価の連結基を表す。
Z1a〜Z34aはそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(UE)から選択される少なくとも1種を表す。
Z101a〜Z108aはそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基または、上述した群(UE−1)から選択される少なくとも1種を表す。
Z201a〜Z203aはそれぞれ独立して、上述した群(UE−2)から選択される少なくとも1種を表す。
L11a〜L25aはそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、一般式(IVa)中のL1aが2価の連結基を表す場合と同義であり、好ましい範囲も同様である。
L26a〜L32aはそれぞれ独立して3価の連結基を表す。3価の連結基としては、上述した2価の連結基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
L33a〜L34aはそれぞれ独立して4価の連結基を表す。4価の連結基としては、上述した2価の連結基から水素原子を2つ除いた基が挙げられる。

0048

化合物(B)は、5員環または6員環を含む化合物であることも好ましく、非共有電子対で配位する配位原子が5員環または6員環を構成することも好ましい。
化合物(B)が有する非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子であることも好ましい。また、化合物(B)が有する非共有電子対で配位する配位原子としての窒素原子に隣接する原子が炭素原子であり、上記炭素原子が置換基を有することも好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。置換基は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義であり、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、ハロゲン原子が好ましい。

0049

化合物(A)、化合物(B)の具体例としては、以下の化合物および以下の化合物の塩(例えばナトリウム等の金属塩アルカリ金属塩))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下の化合物を用いることで、吸水性の低い銅錯体を設計することができる。

0050

<<他の化合物>>
本発明に用いられる銅錯体は、アニオンで配位する配位部位を2つ有し、かつ、非共有電子対で配位する配位原子を有さない化合物を配位子として有していてもよい。このような化合物としては、以下が挙げられる。

0051

<<単座配位子>>
本発明に用いられる銅錯体は、アニオンまたは非共有電子対で配位する単座配位子を有してもよい。アニオンで配位する配位子としては、ハライドアニオンヒドロキシドアニオン、アルコキシドアニオン、フェノキシドアニオン、アミドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、イミドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたイミドを含む)、アニリドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアニリドを含む)、チオラートアニオン炭酸水素アニオンカルボン酸アニオンチオカルボン酸アニオン、ジチオカルボン酸アニオン、硫酸水素アニオン、スルホン酸アニオンリン酸二水素アニオンリン酸ジエステルアニオン、ホスホン酸モノエステルアニオン、ホスホン酸水素アニオンホスフィン酸アニオン含窒素テロ環アニオン、硝酸アニオン、次亜塩素酸アニオンシアニドアニオン、シアナートアニオン、イソシアナートアニオン、チオシアナートアニオンイソチオシアナートアニオン、アジドアニオンなどが挙げられる。非共有電子対で配位する単座配位子としては、水、アルコールフェノールエーテルアミンアニリン、アミド、イミド、イミンニトリルイソニトリルチオールチオエーテルカルボニル化合物チオカルボニル化合物スルホキシド、へテロ環、あるいは、炭酸、カルボン酸、硫酸スルホン酸リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、硝酸、または、そのエステルが挙げられる。単座配位子の種類および数は、銅錯体に配位する化合物(A)に応じて適宜選択することができる。単座配位子の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0052

0053

本発明に用いられる銅錯体は、アニオンで配位する配位部位の数に応じて、電荷を持たない中性錯体のほか、カチオン錯体、アニオン錯体になることもある。この場合、銅錯体の電荷を中和するよう、必要に応じて対イオンが存在する。
対イオンが負の対イオンの場合、例えば、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。具体例としては、水酸化物イオンハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン塩化物イオン臭化物イオンヨウ化物イオン等)、置換または無置換のアルキルカルボン酸イオン酢酸イオントリフルオロ酢酸等)、置換または無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオンチオシアン酸イオン硝酸イオン過塩素酸イオンテトラフルオロホウ酸イオンテトラアリールホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、アミドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、メチドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたメチドを含む)が挙げられ、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラアリールホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、アミドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、メチドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたメチドを含む)が好ましい。
対イオンが正の対イオンの場合、例えば、無機もしくは有機アンモニウムイオン(例えば、テトラブチルアンモニウムイオンなどのテトラアルキルアンモニウムイオントリエチルベンジルアンモニウムイオンピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオンなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン、トリエチルフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオンまたはプロトンが挙げられる。
また、対イオンは金属錯体イオンであってもよく、特に対イオンが銅錯体、すなわち、カチオン性銅錯体とアニオン性銅錯体の塩であっても良い。

0054

<<銅成分>>
本発明に用いられる銅成分としては、銅または銅を含む化合物を用いることができる。銅を含む化合物としては、例えば、酸化銅銅塩を用いることができる。銅塩は、1価または2価の銅が好ましく、2価の銅がより好ましい。銅塩としては、酢酸銅塩化銅ギ酸銅水酸化銅ステアリン酸銅安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅ナフテン酸銅クエン酸銅硝酸銅硫酸銅炭酸銅塩素酸銅、(メタ)アクリル酸銅過塩素酸銅がより好ましく、酢酸銅、塩化銅、硫酸銅、水酸化銅、安息香酸銅、(メタ)アクリル酸銅がさらに好ましい。
化合物(A)と反応させる銅成分の量は、モル比率(化合物(A):銅成分)で1:0.5〜1:8とすることが好ましく、1:0.5〜1:4とすることがより好ましい。
また、銅成分と化合物(A)とを反応させる際の反応条件は、例えば、20〜50℃で、0.5時間以上とすることが好ましい。
銅錯体の具体例として、下記表に示した例が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表中の化合物(A)、(B)は、上述した化合物および下記に示す化合物を表す。また、表中の単座配位子は、上述した化合物、単座配位子を表す。また、以下の表中、Phはフェニル基を表す。
なお、本発明で用いる銅錯体は、本発明の組成物の銅錯体以外の成分(溶剤、各種添加剤など)が、さらに配位してもよく、また、銅錯体の配位子の一部が銅錯体以外の成分と置き換わった状態で存在しても良い。これは置換活性なd9電子配置を有する銅(II)錯体に一般的な性質である。

0055

0056

本発明の組成物における銅錯体の含有量(化合物(A)および化合物(B)から選ばれる1種以上の化合物と、銅成分を反応させてなる銅錯体も同様)は、本発明の組成物(溶剤も含む)に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、本発明の組成物における銅錯体の含有量は、本発明の組成物(溶剤も含む)に対して、1〜60質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
本発明の組成物における銅錯体の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。本発明の組成物における銅錯体の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、15〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましく、25〜45質量%がさらに好ましい。
本発明の組成物における上記銅錯体以外の他の銅錯体(近赤外線吸収性物質)の含有量は、本発明の組成物に対して、0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましく、0〜5質量%がさらに好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物の全固形分は、組成物に対して1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、本発明の近赤外線吸収性組成物の全固形分は、組成物に対して1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物に含まれる近赤外線吸収性物質のうち、化合物(A)および化合物(B)から選ばれる1種以上の化合物と、銅成分を反応させてなる化合物の割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
本発明の組成物における銅の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
本発明の組成物は、上述した本発明で用いられる銅錯体を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上述した本発明で用いられる銅錯体を2種以上用いる場合、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。

0057

本発明の近赤外線吸収性組成物は、上述した銅錯体を含有していれば良いが、必要に応じて、他の近赤外線吸収性化合物、溶剤、硬化性化合物、バインダーポリマー界面活性剤重合開始剤、その他の成分を配合してもよい。

0058

<<他の近赤外線吸収性化合物>>
本発明で用いることができる他の近赤外線吸収性化合物としては、低分子(例えば、分子量1000以下)の配位部位を含む化合物と銅成分との反応で得られる銅化合物や、配位部位を含む重合体と銅成分との反応で得られる銅化合物を用いることができる。配位部位としては、酸基や酸基の塩などのアニオンで配位する配位部位や、非共有電子対で配位する配位原子が挙げられる。
本発明の組成物が、他の近赤外線吸収性化合物を含有する場合、他の近赤外線吸収性化合物の含有量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.01質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。上限値は、60質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。なお、本発明は、他の近赤外線吸収性化合物を含有しない組成とすることもできる。

0059

(低分子タイプ
本発明で用いることができる、配位部位を含有する化合物と銅成分との反応で得られる化合物としては、下式(i)で表される銅錯体を用いることができる。
Cu(L)n1・(X)n2 式(i)
上記式(i)中、Lは、銅に配位する配位子を表し、Xは、存在しないか、ハロゲン原子、H2O、NO3、ClO4、SO4、CN、SCN、BF4、PF6、BPh4(Phはフェニル基を表す)またはアルコールを表す。n1、n2は、各々独立に1〜4の整数を表す。
配位子Lは、銅に配位可能な原子としてC、N、O、Sを含む置換基を有するものであり、さらに好ましくはNやO、Sなどの孤立電子対を持つ基を有するものである。配位可能な基は分子内に1種類に限定されず、2種以上を含んでも良く、解離しても非解離でも良い。非解離の場合、Xは存在しない。
上記銅錯体は、中心金属の銅に配位子が配位した銅化合物であり、銅は、通常2価の銅である。例えば銅成分に対して、配位子となる化合物またはその塩を混合・反応等させて得ることができる。
上記配位子となる化合物またはその塩としては、特に限定されないが、例えば、上述した群(AN)から選択される少なくとも1種を含む化合物が挙げられ、有機酸化合物(例えば、スルホン酸化合物カルボン酸化合物リン酸化合物)またはその塩などが好適に挙げられる。

0060

上記配位子となる化合物またはその塩は、下記一般式(i)で表されるものが挙げられる。
一般式(ii)



(一般式(ii)中、R1はn価の有機基を表し、X1は酸基を表し、n3は1〜6の整数を表す。)
一般式(ii)中、n価の有機基は、炭化水素基またはオキシアルキレン基が好ましく、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基がより好ましい。炭化水素基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、(メタ)アクリロイル基、不飽和二重結合を有する基が挙げられる。また、置換基としては、アルキル基、重合性基(例えば、ビニル基、エポキシ基オキセタン基など)、スルホン酸基カルボン酸基、リン原子を含有する酸基、カルボン酸エステル基(例えば−CO2CH3)、水酸基、アルコキシ基(例えばメトキシ基)、アミノ基、カルバモイル基カルバモイルオキシ基ハロゲン化アルキル基(例えばフルオロアルキル基クロロアルキル基)等も挙げられる。炭化水素基が置換基を有する場合、さらに置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基、上記重合性基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記炭化水素基が1価の場合、アルキル基またはアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。また、上記炭化水素基が1価の場合、アルケニル基であってもよい。2価の場合、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基が好ましく、アリーレン基がより好ましい。また3価以上の場合には、上記1価の炭化水素基または2価の炭化水素基に対応するものが好ましい。
上記アルキル基およびアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。アルキル基及びアルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。分岐状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜12がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。環状のアルキル基及びアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アルケニル基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。
上記アリール基およびアリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜12がさらに好ましく、6〜10が特に好ましい。
一般式(ii)中、X1は、例えば、リン原子を含有する酸基(リン酸ジエステル基、ホスホン酸モノエステル基、ホスフィン酸基等)、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等が挙げられる。X1は、1種単独でも2種以上であってもよいが、2種以上であることが好ましく、スルホ基及びカルボキシ基を有するものが好ましい。
一般式(ii)中、n3は、1〜3が好ましく、2または3がより好ましく、3がさらに好ましい。
上記配位子となる化合物またはその塩(酸基またはその塩を含有する化合物)の分子量は、1000以下が好ましく、80〜750が好ましく、80〜600がより好ましい。

0061

低分子の酸基またはその塩を含む化合物と銅成分との反応で得られる銅化合物の一例として、銅成分に対して、2箇所のモノアニオン性配位部位を有する化合物またはその塩を有する化合物を反応させてなるものを用いることもできる。ここで、モノアニオン性配位部位とは、銅原子との配位に際し、1つの負電荷を有する官能基を介して銅原子と配位する部位を表す。そのようなモノアニオン性配位部位を有する構造としては、例えば、上記一般式(i)中のX1で説明したものが挙げられる。

0062

モノアニオン性配位部位を有する構造は、例えば上述した群(AN)から選択される少なくとも1種を含んでいるものが挙げられる。例えば、モノアニオン性配位部位を有する構造は、以下に示すように銅原子と配位することによって、銅錯体を形成する。例えば、カルボキシル基−銅錯体、リン酸ジエステル基−銅錯体、ホスホン酸モノエステル基−銅錯体、ホスフィン酸基−銅錯体、スルホ基−銅錯体、ヒドロキシル基−銅錯体を形成する。

0063

2箇所のモノアニオン性配位部位を有する化合物としては、下記一般式(10)で表されるものが挙げられる。
X1−L1−X2 一般式(10)
(一般式(10)中、X1およびX2は、各々独立に、上記モノアニオン性配位部位を表し、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN1−、−CO−、−CS−、−SO2−、またはこれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。ここで、RN1は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。)
上記一般式(10)中、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN1−、−CO−、−CS−、−SO2−、またはこれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。ここで、NRN1は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。
アルキレン基としては、置換または無置換の炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキレン基、置換または無置換の炭素数3〜20の環状のアルキレン基などが挙げられる。
アルケニレン基としては、置換または無置換の炭素数2〜10のアルケニレン基が好ましく、置換または無置換の炭素数2〜8のアルケニレン基がより好ましい。
アリーレン基としては、置換または無置換の炭素数6〜18のアリーレン基が好ましく、置換または無置換の炭素数6〜14のアリーレン基がより好ましい。また、アリーレン基は、単環または縮合環であり、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。具体的には、フェニレン基、ナフチレン基などが例示される。
ヘテロ環基は、脂環基の中にヘテロ原子があるものまたは芳香族ヘテロ環基が挙げられる。ヘテロ環基としては、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロ環基は、単環または縮合環であり、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。具体的には、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、または多環芳香族環から誘導されるヘテロアリーレン基等が挙げられる。ヘテロ環の例としては、例えば、オキソラン環、オキサン環、チオラン環、オキゾール環、チオフェン環チアスレン環、フラン環、ピラン環、イソベンゾフラン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサジン環、ピロール環、ピラゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、イソインドリジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環キノリジン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、シノリン環、プテリジン環カルバゾール環カルボリン環、フェナンスリン環、アクリジン環、ペリジン環、フェナンスロリン環、フタラジン環、フェナルザジン環、フェノキサジン環、フラザン環等が挙げられる。

0064

−NRN1−において、RN1は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。
RN1におけるアルキル基としては、鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。直鎖状または分岐状のアルキル基としては、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、置換または無置換の炭素数1〜12のアルキル基がより好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基としては、置換または無置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、置換または無置換の炭素数4〜14のシクロアルキル基がより好ましい。
RN1におけるアリール基としては、置換または無置換の炭素数6〜18のアリール基が好ましく、置換または無置換の炭素数6〜14のアリール基がより好ましく、無置換の炭素数6〜14のアリール基がさらに好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが例示される。
RN1におけるアラルキル基としては、置換または無置換の炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、無置換の炭素数7〜15のアラルキル基がより好ましい。

0065

上述した基が有していてもよい置換基としては、重合性基(好ましくは、炭素炭素二重結合を含む重合性基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子臭素原子ヨウ素原子)、アルキル基、カルボン酸エステル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基アクリロイルオキシ基エーテル基、スルホニル基、スルフィド基アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アラルキル基、−Si−(ORN22)3などが例示される。
また、上述した基が有していてもよい置換基としては、上記置換基の少なくともいずれか1種と、−O−、−CO−、−COO−および−COOR’の少なくとも1つとの組み合わせからなるものであってもよい。ここで、R’は、炭素数が1〜10の直鎖、炭素数が3〜10の分岐または、炭素数3〜10の環状のアルキル基であることが好ましい。
重合性基としては、例えば、炭素−炭素二重結合を含む重合性基(好ましくは、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基)、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アジリジニル基などが挙げられる。
アルキル基としては、鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。直鎖状または分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4アルキル基がより好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、炭素数4〜10のシクロアルキル基がより好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。特に、フッ素原子を2つ以上有する炭素数が1〜10のアルキル基が好ましく、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分岐鎖状のものが好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基における炭素数は、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3がより好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基は、末端の構造が(−CF3)であることが好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基は、フッ素原子の置換率が、50〜100%であることが好ましく、80〜100%であることがさらに好ましい。ここで、フッ素原子の置換率とは、フッ素原子で置換されたアルキル基において、水素原子がフッ素原子に置換されている比率(%)のことをいう。
特に、ハロゲン化アルキル基としては、ペルフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基がさらに好ましい。
−Si−(ORN22)3において、RN22は炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、nは1〜3の整数である。
具体的に、上記一般式(10)中、L1が、アリーレン基と−O−との組み合わせからなる基である場合、アリーレン基が有していてもよい置換基としては、アルキル基が好ましい。

0066

上記一般式(10)中のL1で表される構造の具体例の中でも、下記構造が好ましい。

0067

上記一般式(10)中、X1およびX2は、上記モノアニオン性配位部位を表し、より具体的には、カルボキシル基、リン酸ジエステル基、ホスホン酸モノエステル基、ホスフィン酸基、スルホ基およびヒドロキシル基等が挙げられる。
上記一般式(10)中、X1およびX2は、互いに同一モノアニオン性配位部位を有していてもよいし、互いに異なるモノアニオン性配位部位を有していてもよい。

0068

上記一般式(10)中、X1およびX2は、下記一般式(12)、(13)または(13A)で表される構造が好ましい。



(一般式(12)中、R1はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基を表す。A1およびA2は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子または単結合を表す。一般式(12)、(13)および(13A)中、*は上記L1への連結部を表す。)

0069

一般式(12)中、R1はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基を表す。
アルキル基としては、鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。直鎖状または分岐状のアルキル基としては、置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、置換または無置換の炭素数1〜15のアルキル基がより好ましく、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基としては、置換または無置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、置換または無置換の炭素数4〜10のシクロアルキル基がより好ましく、無置換の炭素数4〜8のシクロアルキル基が特に好ましい。
アルケニル基としては、置換または無置換の炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、置換または無置換の炭素数2〜8のアルケニル基がより好ましい。
アリール基としては、置換または無置換の炭素数6〜18のアリール基が好ましく、置換または無置換の炭素数6〜14のアリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが例示される。
アラルキル基としては、置換または無置換の炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、置換または無置換の炭素数7〜16のアラルキル基がより好ましい。
上記一般式(12)中のR1が有していてもよい置換基としては、上記一般式(10)中のL1が有していてもよい置換基と同義であり、アルキル基、アリール基、エーテル基、−Si−(ORN22)3などが好ましい。
上記一般式(12)中、A1およびA2は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子または単結合を表す。特に、A1およびA2は、本発明の組成物の耐熱性をより向上させる観点から、単結合であることが好ましい。

0070

上記一般式(12)中のR1で表される構造の具体例の中でも、下記構造が好ましい。

0071

高分子タイプ
配位部位を含む重合体と銅成分との反応で得られる銅化合物は、例えば、酸基や酸基の塩などのアニオンで配位する配位部位、および、非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する重合体と、銅イオンを含むポリマータイプの銅化合物が挙げられる。好ましくは、酸基または酸基の塩である酸基イオン部位を含む重合体および銅イオンを含むポリマータイプの銅化合物であり、より好ましい態様は、重合体中の酸基イオン部位を配位子とするポリマータイプの銅化合物である。このポリマータイプの銅化合物は、通常、重合体の側鎖に酸基イオン部位等の配位部位を有し、酸基イオン部位等の配位部位が銅に結合(例えば、配位結合)し、銅を起点として、側鎖間架橋構造を形成している。ポリマータイプの銅錯体としては、主鎖に炭素−炭素結合を有する重合体の銅錯体、主鎖に炭素−炭素結合を有する重合体の銅錯体であって、フッ素原子を含む銅錯体、主鎖に芳香族炭化水素基および/または芳香族ヘテロ環基を有する重合体(以下、芳香族基含有重合体という。)の銅錯体等が挙げられる。
銅成分としては、2価の銅を含む化合物が好ましい。銅成分中の銅含有量は、好ましくは2〜40質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。銅成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。銅を含む化合物としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩は、2価の銅がより好ましい。銅塩としては、水酸化銅、酢酸銅および硫酸銅が特に好ましい。
酸基としては、上述した銅成分と反応可能なものであれば特に限定されないが、銅成分と配位結合するものが好ましい。具体的には、酸解離定数(pKa)が12以下の酸基が挙げられ、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基ホスホン酸基、ホスフィン酸基、イミド酸基等が好ましい。重合体が有する酸基は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
本発明で用いられる酸基の塩を構成する原子または原子団としては、ナトリウム等の金属原子(特にアルカリ金属原子)、テトラブチルアンモニウム等のような原子団が挙げられる。尚、酸基またはその塩を含む重合体において、酸基またはその塩は、その主鎖および側鎖の少なくとも一方に含まれていればよく、少なくとも側鎖に含まれていることが好ましい。
酸基またはその塩を含む重合体は、カルボン酸基またはその塩、および/または、スルホン酸基またはその塩を含む重合体が好ましく、スルホン酸基またはその塩を含む重合体がより好ましい。
アニオンで配位する配位部位としては、上述した化合物(A)で説明したものが挙げられる。

0072

<<<第1の酸基またはその塩を含む重合体>>>
酸基またはその塩を含む重合体の好ましい一例は、主鎖が炭素−炭素結合を有する構造であり、下記式(A1−1)で表される構成単位を含むことが好ましい。



(式(A1−1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、M1は水素原子、または、スルホン酸基と塩を構成する原子もしくは原子団を表す。)
上記式(A1−1)中、R1は水素原子であることが好ましい。
上記式(A1−1)中、L1が2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、特に限定されないが、例えば、2価の炭化水素基、ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NX−(Xは水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基や、アリーレン基が挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
直鎖状のアルキレン基の炭素数としては、1〜30が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。また、分岐状のアルキレン基の炭素数としては、3〜30が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アリーレン基の炭素数としては、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
ヘテロアリーレン基としては、特に限定されないが、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロアリーレン基は、単環でも縮合環であってもよく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。
上記式(A1−1)中、M1で表されるスルホン酸基と塩を構成する原子または原子団は、上述した酸基の塩を構成する原子または原子団と同義であり、水素原子またはアルカリ金属原子であることが好ましい。

0073

式(A1−1)で表される構成単位以外の他の構成単位としては、特開2010−106268号公報の段落番号0068〜0075(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の[0112]〜[0118])に開示の共重合成分の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
好ましい他の構成単位としては、下記式(A1−2)で表される構成単位が挙げられる。



式(A1−2)中、R3は水素原子またはメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
Y2は単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては、上述した上記式(A1)の2価の連結基と同義である。特に、Y2としては、−COO−、−CO−、−NH−、直鎖状または分岐状のアルキレン基、またはこれらの組み合わせからなる基か、単結合であることが好ましい。
式(A1−2)中、X2は、−PO3H、−PO3H2、−OHまたはCOOHを表し、−COOHであることが好ましい。
上記式(A1−1)で表わされる構成単位を含む重合体が、他の構成単位(好ましくは上記式(A1−2)で表される構成単位)を含む場合、上記式(A1−1)で表される構成単位と上記式(A1−2)で表される構成単位のモル比は、95:5〜20:80であることが好ましく、90:10〜40:60であることがより好ましい。

0074

<<<第2の酸基またはその塩を含む重合体>>>
本発明で用いることができる銅化合物としては、酸基またはその塩を有し、かつ、主鎖に芳香族炭化水素基および/または芳香族ヘテロ環基を有する重合体(以下、芳香族基含有重合体という。)と、銅成分との反応で得られるポリマータイプの銅化合物を用いてもよい。芳香族基含有重合体は、主鎖に、芳香族炭化水素基および芳香族ヘテロ環基のうち少なくとも1種を有していればよく、2種以上有していてもよい。酸基またはその塩および銅成分については、上述した酸基またはその塩を含む重合体と銅成分との反応で得られる銅化合物と同義であり、好ましい範囲も同様である。
芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基が好ましい。アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。特に、フェニル基、ナフチル基またはビフェニル基が好ましい。芳香族炭化水素基は単環または多環であってもよいが、単環が好ましい。
芳香族ヘテロ環基としては、例えば、炭素数2〜30の芳香族ヘテロ環基を用いることができる。芳香族ヘテロ環基は、5員環または6員環が好ましい。また、芳香族ヘテロ環基は、単環または縮合環であり、単環または縮合数が2〜8の縮合環が例示される。ヘテロ環に含まれるヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄原子が例示され、窒素または酸素が好ましい。
芳香族炭化水素基および/または芳香族ヘテロ環基が置換基Tを有していている場合、置換基Tとしては、例えば、アルキル基、重合性基(好ましくは、炭素−炭素二重結合を含む重合性基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボン酸エステル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、スルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アラルキル基などが例示され、アルキル基(特に炭素数1〜3のアルキル基)が好ましい。
特に、芳香族基含有重合体は、ポリエーテルスルホン系重合体ポリスルホン系重合体ポリエーテルケトン系重合体、ポリフェニレンエーテル系重合体ポリイミド系重合体ポリベンズイミダゾール系重合体、ポリフェニレン系重合体フェノール樹脂系重合体、ポリカーボネート系重合体ポリアミド系重合体およびポリエステル系重合体から選択される少なくとも1種の重合体であることが好ましい。以下に各重合体の例を示す。
ポリエーテルスルホン系重合体:(−O−Ph−SO2−Ph−)で表される主鎖構造(Phはフェニレン基を示す、以下同じ)を有する重合体
ポリスルホン系重合体:(−O−Ph−Ph−O−Ph−SO2−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエーテルケトン系重合体:(−O−Ph−O−Ph−C(=O)−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリフェニレンエーテル系重合体:(−Ph−O−、−Ph−S−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリフェニレン系重合体:(−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
フェノール樹脂系重合体:(−Ph(OH)−CH2−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリカーボネート系重合体:(−Ph−O−C(=O)−O−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリアミド系重合体としては、例えば、(−Ph−C(=O)−NH−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエステル系重合体としては、例えば、(−Ph−C(=O)O−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスルホン系重合体およびポリエーテルケトン系重合体としては、例えば、特開2006−310068号公報の段落0022および特開2008−27890号公報の段落0028に記載の主鎖構造を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
ポリイミド系重合体としては、特開2002−367627号公報の段落0047〜0058の記載および特開2004−35891号公報の段落0018〜0019に記載の主鎖構造を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。

0075

芳香族基含有重合体の好ましい一例は、下記式(A1−3)で表される構成単位を含むことが好ましい。



(式(A1−3)中、Ar1は芳香族炭化水素基および/または芳香族ヘテロ環基を表し、Y1は単結合または2価の連結基を表し、X1は酸基またはその塩を表す。)

0076

式(A1−3)中、Ar1が芳香族炭化水素基を表す場合、上述した芳香族炭化水素基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Ar1が芳香族ヘテロ環基を表す場合、上述した芳香族ヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Ar1は、上記式(A1−3)中の−Y1−X1の他に置換基を有していてもよい。Ar1が置換基を有する場合、置換基としては上述した置換基Tと同義であり、好ましい範囲も同様である。

0077

式(A1−3)中、Y1は、単結合であることが好ましい。Y1が2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、例えば、炭化水素基、芳香族ヘテロ環基、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−SO2−、−NX−(Xは水素原子またはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、−C(RY1)(RY2)−、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。ここで、RY1およびRY2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子またはアルキル基を表す。
炭化水素基としては、例えば、直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基や、アリーレン基が挙げられる。直鎖状のアルキレン基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。分岐状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。これら直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基は、アルキレン基中の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。
アリーレン基は、上述した式(A1−1)の2価の連結基がアリーレン基である場合と同義である。
芳香族ヘテロ環基としては、特に限定されないが、5員環または6員環が好ましい。また、芳香族ヘテロ環基は、単環でも縮合環であってもよく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。
式(A1−3)中、X1で表される酸基またはその塩としては、上述した酸基またはその塩と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A1−1)、式(A1−2)または式(A1−3)で表される構成単位を含む重合体の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、1000〜1000万がより好ましく、3000〜100万がさらに好ましく、4000〜40万が特に好ましい。

0078

上記式(A1−1)、式(A1−2)または式(A1−3)で表される構成単位を含む重合体の具体例としては、下記に記載の化合物および下記化合物の塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0079

0080

無機微粒子
本発明の組成物は、目的の近赤外線遮蔽性を得るために、無機微粒子を含んでいてもよい。無機微粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
無機微粒子は、主に、赤外線遮光(吸収)する役割を果たす粒子である。無機微粒子としては、赤外線遮光性がより優れる点で、金属酸化物粒子および金属粒子からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
無機微粒子としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、アルミニウムによりドープされていてもよい酸化亜鉛(AlによりドープされてもよいZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO2)粒子、またはニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO2)粒子などの金属酸化物粒子や、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、またはニッケル(Ni)粒子などの金属粒子が挙げられる。なお、赤外線遮光性とフォトリソ性とを両立するためには、露光波長(365−405nm)の透過率が高い方が望ましく、酸化インジウムスズ(ITO)粒子または酸化アンチモンスズ(ATO)粒子が好ましい。
無機微粒子の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状チューブ状であってもよい。
また無機微粒子としては酸化タングステン系化合物が使用でき、具体的には、下記一般式(組成式)(I)で表される酸化タングステン系化合物であることがより好ましい。
MxWyOz・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
Mの金属としては、アルカリ金属アルカリ土類金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Biが挙げられるが、アルカリ金属であることが好ましく、RbまたはCsであることが好ましく、Csであることがより好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でも良い。
x/yが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができ、1.1以下であることにより、酸化タングステン系化合物中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
金属酸化物は、セシウム酸化タングステンであることが好ましい。
上記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができ、Cs0.33WO3またはRb0.33WO3であることが好ましく、Cs0.33WO3であることが更に好ましい。
金属酸化物は微粒子であることが好ましい。金属酸化物の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることによって、金属酸化物が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、金属酸化物の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02、YMF−02A、YMS−01A−2、YMF−10A−1などのタングステン微粒子分散物として入手可能である。
金属酸化物の含有量は、金属酸化物を含有する組成物の全固形分質量に対して、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましい。

0081

本発明の組成物は、他の近赤外線吸収性化合物として、特開2013−195480号公報の段落0013〜0029に記載のフタロシアニン化合物を用いることもでき、この内容は本願明細書に組み込まれる。

0082

<溶剤>
本発明の組成物は、溶剤を含んでいてもよい。
本発明で用いられる溶剤は、特に制限はなく、本発明の組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶剤を用いることができる。本発明の組成物は、上述した化合物(A)を用いているため、溶剤として有機溶剤を用いた場合であっても、分光特性への影響を少なくすることができる。
溶剤としては、例えば、アルコール類ケトン類エステル類芳香族炭化水素類ハロゲン化炭化水素類、およびジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドジメチルスルホオキサイドスルホラン等が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート乳酸エチルジエチレングリコールジメチルエーテル酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノンシクロヘキサノンエチルカルビトールアセテートブチルカルビトールアセテートエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、特開2012−194534号公報段落0136等に記載のものが挙げられ、この内容は本願明細書に組み込まれる。また、エステル類、ケトン類、エーテル類の具体例としては、特開2012−208494号公報段落0497(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0609])に記載のものが挙げられ、さらに、酢酸n−アミルプロピオン酸エチルフタル酸ジメチル安息香酸エチル硫酸メチルアセトンメチルイソブチルケトンジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
溶剤の含有量は、本発明の組成物に対し10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上がよりさらに好ましい。また溶剤の含有量は、本発明の組成物に対し10〜90質量%の割合で含まれることが好ましく、20〜80質量%含まれることがより好ましく、30〜70質量%含まれることが特に好ましい。溶剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となる。

0083

<硬化性化合物>
本発明の組成物は、硬化性化合物を含んでいてもよい。硬化性化合物は、重合性化合物であってもよいし、バインダー等の非重合性化合物であってもよい。また、硬化性化合物としては、熱硬化性化合物であってもよいし、光硬化性化合物であってもよいが、熱硬化性組成物の方が反応率が高いため好ましい。

0084

<重合性基を有する化合物>
硬化性組成物としては、重合性基を有する化合物(以下、「重合性化合物」ということがある)を含むことが好ましい。このような化合物群はこの産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーなどの化学的形態のいずれであってもよい。
重合性化合物は、単官能であっても多官能であってもよいが、好ましくは、多官能である。多官能化合物を含むことにより、近赤外線遮蔽性および耐熱性をより向上させることができる。官能基の数は特に定めるものではないが、2〜8官能が好ましく、3〜6官能がさらに好ましい。

0085

本発明の組成物に上記銅錯体とともに硬化性化合物が含有される場合、硬化性化合物の好ましい形態としては下記のものが挙げられる。本発明は、以下の形態に限定されるものではない。硬化性化合物としては、単官能の(メタ)アクリレート、多官能の(メタ)アクリレート(好ましくは3〜6官能の(メタ)アクリレート)、多塩基酸変性アクリルオリゴマーエポキシ樹脂、または多官能のエポキシ樹脂が挙げられる。

0086

<<重合性モノマーおよび重合性オリゴマー>>
本発明の組成物の第一の好ましい実施態様は、重合性化合物として、重合性基を有するモノマー(重合性モノマー)または重合性基を有するオリゴマー(重合性オリゴマー)(以下、重合性モノマーと重合性オリゴマーを合わせて「重合性モノマー等」ということがある。)を含む。

0087

重合性モノマー等の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸メタクリル酸イタコン酸クロトン酸イソクロトン酸マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、および不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体ビニルエーテルアリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。

0088

また、上記重合性モノマー等は、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましく、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート(例えば、3〜6官能の(メタ)アクリレート)が好ましい。
その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレートグリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールエチレンオキサイドプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、
特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシポリマーと(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートおよびこれらの混合物を挙げることができる。

0089

中でも、重合性化合物としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはNKエステルATM−35E;新中化学社製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARADD−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARADDPHA;日本化薬株式会社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールプロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。
重合性化合物としては、多官能カルボン酸グリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性モノマー等として、特開2010−160418、特開2010−129825、特許4364216等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルドポリマーも使用することが可能である。
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)および(2)としてその具体例と共に記載の、上記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性モノマーとして用いることができる。

0090

本発明で用いる重合性モノマーは、さらに、下記一般式(MO−1)〜(MO−6)で表される重合性モノマーであることが好ましい。



(式中、nは、それぞれ、0〜14であり、mは、それぞれ、1〜8である。一分子内に複数存在するR、TおよびZは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。Rのうち少なくとも1つは、重合性基である。)

0091

nは0〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
mは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
Rは、以下の4つの構造が好ましい。



Rは、上記4つの構造のうち以下の2つの構造が好ましい。



上記一般式(MO−1)〜(MO−6)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。

0092

中でも、重合性モノマー等としては、特開2012−208494号公報段落0477(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0585])に記載の重合性モノマー等が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としては M−460;東亜合成製)が好ましい。ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製、A−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬社製、KAYARADHDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
例えば、RP−1040(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。

0093

重合性モノマー等としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。従って、エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入しても良い。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸無水マレイン酸が挙げられる。

0094

本発明において、酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM−305、M−510、M−520などが挙げられる。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸価が上記範囲に入るように調製することが好ましい。

0095

また、重合性モノマー等として、カプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体を含有することが好ましい。
カプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン変性構造を有する限り特に限定されるものではない。例えば、カプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体としては、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(20)で表されるカプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体が好ましい。

0096

式(20)



(式中、6個のRは全てが下記式(21)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記式(21)で表される基であり、残余が下記式(22)で表される基である。)

0097

式(21)



(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。)

0098

式(22)



(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)

0099

このようなカプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARADDPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(20)〜(22)においてm=1、式(21)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(21)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(21)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(21)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン変性構造を有する多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
重合性モノマー等の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。

0100

<<エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物>>
本発明の第三の好ましい態様は、重合性化合物として、エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物を含む態様である。エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物としては、具体的には側鎖にエポキシ基を有するポリマー、および分子内に2個以上のエポキシ基を有する重合性モノマーまたはオリゴマーがあり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂クレゾールノボラック型エポキシ樹脂脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。また単官能または多官能グリシジルエーテル化合物も挙げられ、多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物が好ましい。
これらの化合物は、市販品を用いてもよいし、ポリマーの側鎖へエポキシ基を導入することによっても得られる。

0101

市販品としては、例えば、特開2012−155288号公報段落0191等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、市販品としては、デナコールEX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等の多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物が挙げられる。これらは、低塩素品であるが、低塩素品ではない、EX−212、EX−214、EX−216、EX−321、EX−850なども同様に使用できる。
その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、JER1031S等も挙げられる。
さらに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品として、JER−157S65、JER−152、JER−154、JER−157S70、(以上、三菱化学(株)製)等が挙げられる。

0102

側鎖にオキセタニル基を有するポリマー、および上述の分子内に2個以上のオキセタニル基を有する重合性モノマーまたはオリゴマーの具体例としては、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
分子量は重量平均で500〜5000000、更には1000〜500000の範囲が好ましい。
エポキシ不飽和化合物としてはグリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基としてグリシジル基を有するものも使用可能であるが、好ましいものは脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物である。このようなものとしては例えば特開2009−265518号公報段落0045等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。

0103

本発明の組成物は、不飽和二重結合、エポキシ基またはオキセタニル基などの架橋基を有する重合体を含んでいてもよい。具体的には、下記の繰り返し単位を有する重合体(共重合体)が挙げられる。下記繰り返し単位を有する重合体としては、エポキシ基を有する重合体が好ましい。

0104

<<式(30)で示される部分構造を有する化合物>>
本発明で用いる硬化性化合物は、下記式(30)で示される部分構造を有していてもよい。この硬化性化合物が不飽和二重結合、エポキシ基またはオキセタニル基などの架橋基を有していてもよい。



(式(30)中、R1は水素原子または有機基を表す。)

0105

式(30)中、R1は水素原子または有機基を表す。有機基としては、炭化水素基、具体的には、アルキル基またはアリール基が挙げられ、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が6〜20のアリール基、またはこれらの基と二価の連結基との組み合わせからなるものが好ましい。
このような有機基の具体例としては、−OR’、−SR’、またはこれらの基と−(CH2)m−(mは1〜10の整数)、炭素数5〜10の環状のアルキレン基、−O−、−CO−、−COO−および−NH−の少なくとも1つとの組み合わせからなるものが好ましい。ここで、R’は、水素原子、炭素数が1〜10の直鎖、炭素数が3〜10の分岐または環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜7の直鎖、炭素数3〜7の分岐または環状のアルキル基)、炭素数が6〜10のアリール基、または、炭素数が6〜10のアリール基と炭素数が1〜10のアルキレン基との組み合わせからなる基が好ましい。
また、上記式(30)中、R1とCとが結合して環構造(ヘテロ環構造)を形成していてもよい。ヘテロ環構造中におけるヘテロ原子は、上記式(30)中の窒素原子である。ヘテロ環構造は、5または6員環構造が好ましく、5員環構造がより好ましい。ヘテロ環構造は、縮合環であってもよいが、単環が好ましい。
特に好ましいR1の具体例としては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、−OR’(R’は炭素数が1〜5の直鎖のアルキル基)と−(CH2)m−(mは1〜10の整数、好ましくはmは1〜5の整数)との組み合わせからなる基、上記式(30)中のR1とCとが結合してヘテロ環構造(好ましくは5員環構造)を形成した基が挙げられる。

0106

上記式(30)で示される部分構造を有する化合物は、(重合体の主鎖構造−上記(30)の部分構造−R1)で表されるか、(A−上記(30)の部分構造−B)で表されることが好ましい。ここで、Aは、炭素数が1〜10の直鎖、炭素数が3〜10の分岐、または、炭素数3〜10の環状のアルキル基である。また、Bは、−(CH2)m−(mは1〜10の整数、好ましくはmは1〜5の整数)と、上記(30)の部分構造と、重合性基との組み合わせからなる基である。

0107

また、上記式(30)で示される部分構造を有する化合物は、下記式(1−1)〜(1−5)のいずれかで表される構造が挙げられる。



(式(1−1)中、R4は水素原子またはメチル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。式(1−2)中、R7は水素原子またはメチル基を表す。式(1−3)中、L1は二価の連結基を表し、R8は水素原子または有機基を表す。式(1−4)中、L2およびL3はそれぞれ独立して二価の連結基を表し、R9およびR10はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。式(1−5)中、L4は二価の連結基を表し、R11〜R14はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。)

0108

上記式(1−1)中、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。有機基としては、上記式(30)中のR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記式(1−3)〜(1−5)中、L1〜L4は二価の連結基を表す。二価の連結基としては、−(CH2)m−(mは1〜10の整数)、炭素数5〜10の環状のアルキレン基、−O−、−CO−、−COO−および−NH−の少なくとも1つとの組み合わせからなるものが好ましく、−(CH2)m−(mは1〜8の整数)であることがより好ましい。
上記式(1−3)〜(1−5)中、R8〜R14はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。有機基としては、炭化水素基、具体的にはアルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。
アルキル基は、置換されていてもよい。また、アルキル基は、鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または環状のものが好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
アルケニル基は、置換されていてもよい。アルケニル基としては、炭素数1〜10のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルケニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
置換基としては、例えば、重合性基、ハロゲン原子、アルキル基、カルボン酸エステル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、スルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基などが例示される。これらの置換基の中でも、重合性基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基)、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、アジリジニル基など)が好ましく、ビニル基がより好ましい。)

0109

また、上記式(30)で示される部分構造を有する化合物は、モノマーであってもポリマーであってもよいが、ポリマーであることが好ましい。すなわち、上記式(30)で示される部分構造を有する化合物は、上記式(1−1)または上記式(1−2)で表される化合物であることが好ましい。
また、上記式(30)で示される部分構造を有する化合物がポリマーである場合、ポリマーの側鎖に上記部分構造を含有することが好ましい。

0110

上記式(30)で示される部分構造を有する化合物の分子量は、好ましくは50〜1000000であり、より好ましくは500〜500000である。このような分子量とすることにより、本発明の効果をより効果的に達成できる。
上記(30)で示される部分構造を有する化合物の含有量は、本発明の組成物中5〜80質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。

0111

上記式(30)で示される部分構造を有する化合物の具体例としては、下記構造を有する化合物または下記例示化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明では、特に、上記式(30)で示される部分構造を有する化合物がポリアクリルアミドであることが好ましい。

0112

また、上記式(30)で示される部分構造を有する化合物の具体例としては、水溶性ポリマーが挙げられ、好ましい主鎖構造としては、ポリビニルピロリドンポリ(メタ)アクリルアミドポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリウレタンポリウレアが挙げられる。水溶性ポリマーは共重合体であってもよく、共重合体はランダム共重合体であってもよい。
ポリビニルピロリドンとしては、商品名K−30、K−85、K−90、K−30W、K−85W、K−90W(日本触媒社製)が使用できる。

0113

ポリ(メタ)アクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミドの重合体、共重合体が挙げられる。アクリルアミドの具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。またこれらに対応するメタクリルアミドも同様に使用できる。

0114

水溶性ポリアミド樹脂は、特に、ポリアミド樹脂親水性化合物とが共重合した化合物が挙げられる。水溶性ポリアミド樹脂の誘導体とは、例えば、水溶性ポリアミド樹脂を原料として、アミド結合(−CONH−)の水素(−原子をメトキシメチル基(−CH2OCH3)で置換した化合物のように、水溶性ポリアミド樹脂分子中の原子が置換されるまたは付加反応することにより、アミド結合の構造が変化した化合物をいう。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ωアミノ酸の重合で合成される所謂「n−ナイロン」やジアミンジカルボン酸の共重合で合成される所謂「n,m−ナイロン」が挙げられる。中でも、親水性付与の観点から、ジアミンとジカルボン酸の共重合体が好ましく、ε−カプロラクタムとジカルボン酸との反応生成物がより好ましい。
親水性化合物としては、親水性含窒素環状化合物ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
ここで、親水性含窒素環状化合物とは、側鎖または主鎖に第3級アミン成分を有する化合物であって、例えばアミノエチルピペラジンビスアミノプロピルピペラジン、α-ジメチルアミノεカプロラクタム等が挙げられる。
一方、ポリアミド樹脂と親水性化合物とが共重合した化合物には、ポリアミド樹脂の主鎖に、例えば、親水性含窒素環状化合物およびポリアルキレングリコールからなる群より選択される少なくとも一つが共重合されているため、ポリアミド樹脂のアミド結合部の水素結合能力は、N−メトキシメチル化ナイロンに対して大きい。
ポリアミド樹脂と親水性化合物とが共重合した化合物の中でも、1)ε−カプロラクタムと親水性含窒素環状化合物とジカルボン酸との反応生成物、および、2)ε−カプロラクタムとポリアルキレングリコールとジカルボン酸との反応生成物が好ましい。
これらは、例えば東レフインテック(株)より「AQナイロン」という商標で市販されている。ε−カプロラクタムと親水性含窒素環状化合物とジカルボン酸との反応生成物は、東レファインテック(株)製AQナイロンA−90として入手可能であり、ε−カプロラクタムとポリアルキレングリコールとジカルボン酸との反応生成物は、東レファインテック(株)製AQナイロンP−70として入手可能である。 AQナイロンA−90 P−70 P−95 T−70(東レ社製)が使用できる。

0115

上述した式(30)で示される部分構造を有する繰り返し単位とエポキシ基を有する繰り返し単位を含む重合体のモル比は、10/90〜90/10であることが好ましく、30/70〜70/30であることがより好ましい。上記共重合体の重量平均分子量は、3,000〜1,000,000であることが好ましく、5,000〜200,000であることがより好ましい。
本発明の組成物中における重合性化合物の含有量は、溶剤を除いた全固形分に対して1〜90質量%が好ましく、15〜80質量%がより好ましく、40〜75質量%がさらに好ましい。
また、重合性化合物として、架橋基を有する繰り返し単位を含む重合体を用いる場合、溶剤を除いた本発明の組成物の全固形分に対して10〜75質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。
重合性化合物は、1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となる。

0116

<バインダーポリマー>
本発明の組成物は、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、上記重合性化合物に加えて、さらにバインダーポリマーを含むことができる。バインダーポリマーとしては、アルカリ可溶性樹脂が好ましく用いられる。アルカリ可溶性樹脂を含有することにより、耐熱性などの向上や、塗布適正の微調整に効果がある。
アルカリ可溶性樹脂としては、特開2012−208494号公報段落0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0685]〜[0700])以降の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の組成物がバインダーポリマーを含有する場合、バインダーポリマーの含有量は、組成物の全固形分に対して、1〜80質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、7〜30質量%であることがさらに好ましい。

0117

<界面活性剤>
本発明の組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤の添加量は、本発明の組成物の固形分に対して、好ましくは0.0001〜2質量%であり、より好ましくは0.005〜1.0質量%であり、さらに好ましくは、0.01〜0.1質量%である。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤ノニオン系界面活性剤カチオン系界面活性剤アニオン系界面活性剤シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。

0118

特に、本発明の組成物は、フッ素系界面活性剤、およびシリコーン系界面活性剤の少なくともいずれかを含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上する。これによって、塗布厚均一性や省液性がより改善する。
即ち、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくともいずれかを含有する組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。

0119

フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3〜40質量%が好適であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは7〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色感光性組成物中における溶解性も良好である。

0120

フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0552(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0678])等に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレンアルキルアミングリセリン脂肪酸エステルオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーアセチレングリコール系界面活性剤アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を用いることができる。
具体的な商品名としては、サーフィノール61,82,104,104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420,440,465,485,504、CT−111,CT−121,CT−131,CT−136,CT−141,CT−151,CT−171,CT−324,DF−37,DF−58,DF−75,DF−110D,DF−210,GA,OP−340,PSA−204,PSA−216,PSA−336,SE,SE−F,TG、GA、ダイノール604(以上、日信化学(株)およびAirProducts&Chemicals社)、オルフィンA,B,AK−02,CT−151W,E1004,E1010,P,SPC,STG,Y,32W、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、SK−14、AE−3(以上、日信化学(株))アセチレノールE00、E13T、E40、E60、E81、E100、E200(以上全て商品名、川研ファインケミカル(株)社製)等を挙げることができる。なかでも、オルフィンE1010が好適である。
その他、ノニオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0553(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0679])等に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0554(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0680])に記載のカチオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。

0121

シリコーン系界面活性剤としては、例えば、特開2012−208494号公報段落0556(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0682])等に記載のシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンSF8410」、「同SF8427」、「同SH8400」、「ST80PA」、「ST83PA」、「ST86PA」、モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズ社製「TSF−400」、「TSF−401」、「TSF−410」、「TSF−4446」信越シリコーン株式会社製「KP321」、「KP323」、「KP324」、「KP340」等も例示される。

0122

<重合開始剤>
本発明の組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、光、熱のいずれか或いはその双方により重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光重合性化合物であることが好ましい。光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
また、熱で重合を開始させる場合には、150〜250℃で分解する重合開始剤が好ましい。

0123

本発明に用いうる重合開始剤としては、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、例えば、アシルホスフィン化合物アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物ベンゾフェノン系化合物ベンゾインエーテル系化合物ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物オキシム化合物ヘキサアリールビイミダゾール化合物トリハロメチル化合物アゾ化合物有機過酸化物ジアゾニウム化合物ヨードニウム化合物スルホニウム化合物アジニウム化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物チオール化合物などが挙げられる。
アセトフェノン系化合物、トリハロメチル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシム化合物としては、具体的には、特開2012−208494号公報段落0506〜0510(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0622〜0628])等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。

0124

また、特開2007−231000公報(対応する米国特許出願公開第2011/0123929号明細書)、および、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。
他にも、特開2007−269779公報(対応する米国特許出願公開第2010/0104976号明細書)に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報(対応する米国特許出願公開第2009/023085号明細書)に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
特開2012−208494号公報段落0513(対応する米国特許出願公開第2012/235099号明細書の[0632])以降の式(OX−1)、(OX−2)または(OX−3)で表される化合物の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、好適に用いられるオキシム化合物の具体例としては、特開2009−191061公報の段落0090〜0106(対応する米国特許出願公開第2009/023085号明細書の段落0393)、特開2012−032556号公報段落0054、特開2012−122045号公報段落0054等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。

0125

光重合開始剤としては、オキシム化合物、アセトフェノン系化合物、または、アシルホスフィン化合物が好ましい。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤、および、既述のオキシム系開始剤、更にオキシム系開始剤として、特開2001−233842号公報に記載の化合物も用いることができる。
オキシム化合物としては、市販品であるIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)を用いることができる。アセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、および、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。またアシホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。
重合開始剤の含有量は、本発明の組成物の固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜15質量%が特に好ましい。重合開始剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となる。

0126

<その他の成分>
本発明の組成物で併用可能なその他の成分としては、例えば、分散剤増感剤架橋剤、硬化促進剤フィラー熱硬化促進剤熱重合禁止剤可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子充填剤消泡剤難燃剤レベリング剤剥離促進剤酸化防止剤香料表面張力調整剤連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする近赤外線吸収フィルタの安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報(対応する米国特許出願公開第2013/0034812)の段落番号0183〜、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104および段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。

0127

<近赤外線吸収性組成物の調製、用途>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、上記各成分を混合して調製できる。
組成物の調製に際しては、組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を有機溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序作業条件は特に制約を受けない。
本発明においては、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂ポリエチレンポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μmが好ましく、0.2〜2.5μmがより好ましく、0.2〜1.5μmが更に好ましく、0.3〜0.7μmが一層好ましい。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、組成物に含まれる不純物凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカー公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μmが好ましく、0.2〜7.0μmがより好ましく、0.3〜6.0μmが更に好ましい。この範囲とすることにより、組成物に含有されている成分粒子を残存させたまま、異物を除去することができる。

0128

本発明の近赤外線吸収性組成物の用途は、特に限定されないが、固体撮像素子の受光側における近赤外線カットフィルタ(例えば、ウエハーレベルレンズに対する近赤外線カットフィルタ)、固体撮像素子の裏面側(受光側とは反対側)における近赤外線カットフィルタなどを挙げることができ、固体撮像素子の受光側における近赤外線カットフィルタであることが好ましい。また、本発明の近赤外線吸収性組成物を、固体撮像素子上に直接塗布塗膜形成することが好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物の粘度は、塗布により赤外線カット層を形成する場合、1mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、10mPa・s以上2000mPa・s以下の範囲であり、さらに好ましくは、100mPa・s以上1500mPa・s以下の範囲である。

0129

本発明の組成物は、塗布可能な状態で供給できることから、固体撮像素子の所望の部材や位置に近赤外線カットフィルタを容易に形成できる。
本発明の組成物を用いて得られる近赤外線カットフィルタは、光透過率が以下の(1)〜(9)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、以下の(1)〜(8)のすべての条件を満たすことがより好ましく、(1)〜(9)のすべての条件を満たすことがさらに好ましい。
(1)波長400nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(2)波長450nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長500nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(4)波長550nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(5)波長700nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(6)波長750nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(7)波長800nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(8)波長850nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(9)波長900nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
また、近赤外線カットフィルタの光透過率は、波長450〜500nmの全ての範囲での光透過率が95%以上であることが好ましい。
近赤外線カットフィルタは、目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚300μm以下とすることが好ましく、250μm以下とすることがより好ましく、200μm以下とすることがさらに好ましく、100μm以下とすることが特に好ましい。膜厚の下限は、例えば、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、20μm以上がより好ましい。本発明の組成物によれば、高い近赤外線遮蔽性を有することから、近赤外線カットフィルタの膜厚を薄くすることができる。
近赤外線カットフィルタは、膜厚300μm以下で、波長400〜550nmの全ての範囲での光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、波長700〜800nmの範囲の少なくとも1点での光透過率が20%以下であることが好ましく、波長700〜800nmの全ての範囲での光透過率が20%以下であることがさらに好ましい。本発明によれば、高透過率の可視光領域を広く確保でき、高い近赤外線遮蔽性を有する近赤外線カットフィルタを提供できる。
近赤外線カットフィルタは、近赤外線を吸収・カットする機能を有するレンズ(デジタルカメラ携帯電話車載カメラ等のカメラ用レンズ、f−θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ)および半導体受光素子用の光学フィルター省エネルギー用熱線を遮断する近赤外線吸収フィルム近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用コーティング剤、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体電子機器用写真用近赤外線フィルター保護めがねサングラス熱線遮断フィルム光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体レーザー溶着、などに用いられる。またCCDカメラノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサフィルターとしても有用である。

0130

本発明は、固体撮像素子の受光側において、本発明の近赤外線吸収性組成物を適用(好ましくは滴下法、塗布や印刷)することにより膜を形成する工程、乾燥する工程を有する、近赤外線カットフィルタの製造方法にも関する。膜厚、積層構造などについては、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の組成物を適用する支持体は、ガラスなどからなる透明基板であっても、固体撮像素子であっても、固体撮像素子の受光側に設けられた別の基板であっても、固体撮像素子の受光側に設けられた平坦化層等の層であっても良い。
近赤外線カットフィルタを形成する方法は、例えば、滴下法(ドロップキャスト)、スピンコータースリットスピンコーター、スリットコータースクリーン印刷アプリケータ塗布等を用いることにより実施できる。滴下法(ドロップキャスト)の場合、所定の膜厚で、均一な膜が得られるように、ガラス基板上にフォトレジスト隔壁とする近赤外線吸収性組成物の滴下領域を形成することが好ましい。なお、膜厚は、組成物の滴下量および固形分濃度、滴下領域の面積を調整できる。
また、塗膜乾燥条件としては、各成分、溶剤の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜150℃の温度で30秒間〜15分間程度である。

0131

本発明の近赤外線吸収性組成物を用いて近赤外線カットフィルタを形成する方法は、その他の工程を含んでいても良い。その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面処理工程、前加熱工程(プリベーク工程)、硬化処理工程、後加熱工程(ポストベーク工程)などが挙げられる。
<前加熱工程・後加熱工程>
前加熱工程および後加熱工程における加熱温度は、通常、80℃〜200℃であり、90℃〜150℃であることが好ましい。前加熱工程および後加熱工程における加熱時間は、通常、30秒〜240秒であり、60秒〜180秒であることが好ましい。
<硬化処理工程>
硬化処理工程は、必要に応じ、形成された上記膜に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、近赤外線カットフィルタの機械的強度が向上する。
上記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。
露光方式としては。ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5〜3000mJ/cm2が好ましく10〜2000mJ/cm2がより好ましく、50〜1000mJ/cm2が特に好ましい。
全面露光処理の方法としては、例えば、形成された上記膜の全面を露光する方法が挙げられる。近赤外線吸収性組成物が重合性化合物を含有する場合、全面露光により、上記組成物より形成される膜中の重合成分の硬化が促進され、上記膜の硬化が更に進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
上記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
また、全面加熱処理の方法としては、形成された上記膜の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、パターンの膜強度が高められる。
全面加熱における加熱温度は、120℃〜250℃が好ましく、160℃〜220℃がより好ましい。加熱温度が120℃以上であれば、加熱処理によって膜強度が向上し、250℃以下であれば、上記膜中の成分の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることを防止できる。
全面加熱における加熱時間は、3分〜180分が好ましく、5分〜120分がより好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブンホットプレートIRヒーターなどが挙げられる。

0132

本発明のカメラモジュールは、固体撮像素子と、固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールであって、近赤外線カットフィルタが上述した近赤外線カットフィルタである。
また、本発明のカメラモジュールの製造方法は、固体撮像素子と、固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールの製造方法であって、固体撮像素子の受光側において、上述した本発明の近赤外線吸収性組成物を塗布することにより膜を形成する工程を有する。

0133

図1は、本発明の実施形態に係る近赤外線カットフィルタを有するカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
カメラモジュール10は、例えば、固体撮像素子11と、固体撮像素子11上に設けられた平坦化層12と、近赤外線カットフィルタ13と、近赤外線カットフィルタの上方に配置され内部空間に撮像レンズ14を有するレンズホルダー15と、を備える。
カメラモジュール10では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ14、近赤外線カットフィルタ13、平坦化層12を順次透過した後、固体撮像素子11の撮像素子部16に到達するようになっている。
固体撮像素子11は、例えば、基体であるシリコン基板の主面に、撮像素子部16、層間絶縁膜(図示せず)、ベース層(図示せず)、カラーフィルタ17、オーバーコート(図示せず)、マイクロレンズ18をこの順に備えている。カラーフィルタ17(赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、青色のカラーフィルタ)やマイクロレンズ18は、撮像素子部16に対応するように、それぞれ配置されている。
また、平坦化層12の表面に近赤外線カットフィルタ13が設けられる代わりに、マイクロレンズ18の表面、ベース層とカラーフィルタ17との間、または、カラーフィルタ17とオーバーコートとの間に、近赤外線カットフィルタ13が設けられる形態であってもよい。例えば、近赤外線カットフィルタ13は、マイクロレンズ表面から2mm以内(より好ましくは1mm以内)の位置に設けられていてもよい。この位置に設けると、近赤外線カットフィルタを形成する工程が簡略化でき、マイクロレンズへの不要な近赤外線を十分にカットすることができるので、近赤外線遮蔽性をより高めることができる。
本発明の近赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に供することができる。半田リフロー工程によりカメラモジュールを製造することによって、半田付けを行うことが必要な電子部品実装基板等の自動実装化が可能となり、半田リフロー工程を用いない場合と比較して、生産性を格段に向上することができる。更に、自動で行うことができるため、低コスト化を図ることもできる。半田リフロー工程に供される場合、250〜270℃程度の温度にさらされることとなるため、赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に耐え得る耐熱性(以下、「耐半田リフロー性」ともいう。)を有することが好ましい。
本願明細書中で、「耐半田リフロー性を有する」とは、200℃で10分間の加熱を行う前後で赤外線カットフィルタとしての特性を保持することをいう。より好ましくは、230℃で10分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。更に好ましくは、250℃で3分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。耐半田リフロー性を有しない場合には、上記条件で保持した場合に、赤外線カットフィルタの赤外線吸収能が低下したり、膜としての機能が不十分となる場合がある。
また本発明は、リフロー処理する工程を含む、カメラモジュールの製造方法にも関する。本発明の近赤外線カットフィルタは、リフロー工程があっても、近赤外線吸収能が維持されるので、小型軽量・高性能化されたカメラモジュールの特性を損なうことがない。

0134

図2〜4は、カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。
図2に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、平坦化層12と、紫外赤外光反射膜19と、透明基材20と、近赤外線吸収層21と、反射防止層22とをこの順に有していてもよい。
紫外・赤外光反射膜19は、近赤外線カットフィルタの機能を付与または高める効果を有し、例えば、特開2013−68688号公報の段落0033〜0039を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
透明基材20は、可視領域の波長の光を透過するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0026〜0032を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収層21は、上述した本発明の近赤外線吸収性組成物を塗布することにより形成することができる。
反射防止層22は、近赤外線カットフィルタに入射する光の反射を防止することにより透過率を向上させ、効率よく入射光を利用する機能を有するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0040を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
図3に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、近赤外線吸収層21と、反射防止層22と、平坦化層12と、反射防止層22と、透明基材20と、紫外・赤外光反射膜19とをこの順に有していてもよい。
図4に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、近赤外線吸収層21と、紫外・赤外光反射膜19と、平坦化層12と、反射防止層22と、透明基材20と、反射防止層22とをこの順に有していてもよい。
また、固体撮像素子としては、国際公開WO14/061188号パンフレットの0049欄以降に記載された第1〜第14の実施形態にかかる撮像素子の構成とすることもできる。

0135

以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。

0136

<合成例>
化合物A1−1〜A1−3、A1−6、A1−7、A1−9、A1−15、A1−26、および、化合物A2−1、A2−33、A2−35、A2−37は試薬として東京化成和光純薬、または、アルドリッチから市販されており、更なる精製を行わず、そのまま用いた。

0137

化合物A1−4の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、2,6−ジブロモピリジン14.24g、ヨウ化銅(I)0.61g、テトラヒドロフラン(市販脱水溶媒)180mLを導入し、0℃に冷却した。ここに、tert−ブチルマグネシウムクロリドの1.0Mテトラヒドロフラン溶液を70mL滴下し、室温で1時間撹拌した。飽和塩アンモニウム水溶液100mL、酢酸エチル100mLを加え、抽出・分液により得られた有機層濃縮して得られた粗生成物シリカゲルカラムクロマトグラフィー溶媒ヘキサン)で精製することにより、2−ブロモ−6−tert−ブチルピリジンを10g得た。
続いて、三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、上で合成した2−ブロモ−6−tert−ブチルピリジン3.65g、テトラヒドロフラン(市販脱水溶媒)50mLを導入し、−78℃に冷却した。ここに、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液を10.0mL滴下し、−78℃で30分間撹拌した。ここに、砕いたドライアイスを大過剰量ゆっくりと加え、室温で2時間撹拌した。水100mL、酢酸エチル50mLを加え、抽出・分液により水層(pH〜11)を回収した。この水層に対して、濃塩酸を少しずつ加えてpH〜2とし、酢酸エチル50mLで3回抽出して得られた有機層を濃縮することにより、化合物A1−4を2g得た。

0138

化合物A1−5の合成例
tert−ブチルマグネシウムクロリドの代わりに2−エチルヘキシルマグネシウムブロミドを用いて、化合物A1−4と同様の方法で合成した。

0139

化合物A1−8の合成例



フラスコに、2−シアノピリミジン0.10g、12質量%水酸化ナトリウム水溶液13mLを加え、70℃で30分間撹拌した。1N希塩酸を少しずつ加えてpH〜3とし、酢酸エチル10mLで3回抽出して得られた有機層を濃縮することにより、化合物A1−8を0.10g得た。

0140

化合物A1−10の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、チアゾール8.5g、テトラヒドロフラン(市販脱水溶媒)150mLを導入し、−78℃に冷却した。ここに、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液を60mL滴下し、−78℃で30分間撹拌した。ここに、砕いたドライアイスを大過剰量ゆっくりと加え、室温で2時間撹拌した。水100mL、酢酸エチル50mLを加え、抽出・分液により水層(pH〜11)を回収した。この水層に対して、濃塩酸を少しずつ加えてpH〜2とし、酢酸エチル50mLで3回抽出して得られた有機層を濃縮することにより、化合物A1−10を12g得た。

0141

化合物A1−11の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ピラゾール−3−カルボン酸エチル3.0g、ヨウ化カリウム3.55g、炭酸カリウム4.44g、1−ブロモブタン4.40g、アセトン48mLを加え、10時間加熱還流した。室温に冷却後、濾過により不溶物を除去し、濾液を濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、1−ブチルピラゾール−3−カルボン酸エチルを2.8g得た。
フラスコに上記生成物を0.39g、エタノール3mLを加え、室温で撹拌しながら水0.05g、tert−ブトキシカリウム0.22gを加えた後、70℃で30分間撹拌した。これを減圧濃縮して得られた固体は対応するカルボン酸カリウムであり、これをそのまま銅錯体化に用いた。

0142

化合物A1−12の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ピラゾール−3−カルボン酸エチル3.0g、2−ブロモ−2−メチルプロパン4.40g、ジメチルホルムアミド48mLを加え、72時間加熱還流した。室温に冷却後、濾過により不溶物を除去し、濾液を濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、1−tert−ブチル−ピラゾール−3−カルボン酸エチルを0.8g得た。
化合物A1−11と同様の方法によりエステルを加水分解し、化合物A1−12を得た。

0143

化合物A1−13の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ピラゾール−3−カルボン酸5.5g、1−アダマンタノール7.5g、リン酸100mL、酢酸25mLを加え、60℃で7時間半撹拌した。室温に冷却後、水200mLを加えて析出した白色固体を濾過により回収した。この白色固体に、水300mL、酢酸エチル100mLを加えて、室温で撹拌しながら、50質量%水酸化ナトリウム水溶液をpH〜12になるまで加えた。抽出・分液により水層を回収し、酢酸エチル100mLで4回洗浄した。この水層に対して、濃塩酸を少しずつ加えてpH〜2とすると白色固体が析出し、この白色固体を濾過し、水で洗浄することにより、1−(1−アダマンチル)ピラゾール−3−カルボン酸を3.9g得た。

0144

化合物A1−14の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ピルビン酸4.4g、シクロペンチルメチルエーテル10mLを加え、室温で撹拌した。ここにアニリン4.7gを滴下し、10分間撹拌した後、0℃に冷却して析出した固体を濾過により回収することで化合物A1−14を3.6g得た。

0145

化合物A1−16の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、2,6−ジアセチルピリジン16.3g、テトラヒドロフラン(市販脱水溶媒)160mLを導入し、0℃に冷却した。ここに、メチルマグネシウムブロミドn−ブチルリチウムの3Mジエチルエーテル溶液を33mL滴下し、室温で3時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液100mL、酢酸エチル100mLを加え、抽出・分液により得られた有機層を濃縮することにより、化合物A1−16を19.5g得た。

0146

化合物A1−17の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ピコリン酸2.46g、トリフルオロメタンスルホンアミド3.0g、N,N−ジメチルアミノピリジンDMAP)3.66g、ジメチルホルムアミド150mLを加えて、室温で撹拌した。ここに、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)5.73gを加え、室温で4時間撹拌した。水100mL、酢酸エチル100mLを加え、抽出・分液により水層を回収し、ここに濃塩酸を少しずつ加えてpH〜2とした。酢酸エチル100mLを加え、抽出・分液により得られた有機層を濃縮することにより、化合物A1−17を1.56g得た。

0147

化合物A1−18の合成例



三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、tert−ブトキシカリウム11.20g、トルエン100mLを加え、0℃に冷却した。ここに酢酸エチル5.30gを滴下した後、ジピコリン酸ジメチル9.75gを導入し、室温で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液200mLを加え、抽出・分液して得られた有機層を濃縮し、2N希塩酸50mLを加え、80℃で2時間撹拌した。酢酸エチル50mLを加え、抽出・分液して得られた有機層を濃縮して得られた粗生成物を熱水で2回再結晶することにより、化合物A1−18を10g得た。

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