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技術 炭素繊維不織布、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極および固体高分子形燃料電池

出願人 東レ株式会社
発明者 下山悟梶原健太郎堀口智之
出願日 2015年5月20日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2015-102699
公開日 2016年1月7日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2016-000885
状態 特許登録済
技術分野 無消耗性電極 燃料電池(本体) 不織物
主要キーワード モノフィラメント織物 有機繊維シート 空孔層 連続空間 加熱硬化型樹脂 最大内接円 一重組織 圧縮弾性
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

内部に空隙を設けることで気体を通す際の抵抗が小さいとともに、厚さ方向への圧縮回復率に優れる炭素繊維不織布で、特に、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極基材に適した炭素繊維不織布を提供する。

解決手段

炭素繊維同士が交絡し、かつ厚さ方向に配向した炭素繊維を含むとともに、表面と略並行に形成された断面積350μm2〜200000μm2の空洞部を有する炭素繊維不織布。

概要

背景

炭素繊維からなる織編物・不織布は、化学的に安定で適度な圧縮応力を有することから電極基材に適しており、特に固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極への適用が検討されている。

こうした用途に用いる場合、炭素繊維からなる織編物や不織布等の基材は、高い気体透過性が求められている。そこで、基材に空隙を形成させて気体透過性を向上させる試みがなされている。例えば、フェノール樹脂含浸した有機繊維シートを炭素繊維抄造不織布で挟んで結着させ、焼成により内部に空孔を形成し、ガス拡散性と水の排出性を高めた電極基材が提案されている(特許文献1)。また、炭素繊維と炭素繊維前駆体繊維からなる抄造不織布と有機繊維シートをウォータージェットなどで交絡した後に焼成し、内部に形成された空孔層に炭素繊維を配置した電極基材が提案されている(特許文献2)。

一方で、レドックスフロー型電池用電極材料として、空隙により気体ではなく液体透過性を向上させる基材が検討されている。例えば、焼成後の残炭率の低い有機繊維天然繊維からなる組紐や織編物などを炭素繊維前駆体繊維からなるウエブの中間層に用いて炭素繊維前駆体繊維と絡合させ、焼成後、中間層部分が消失することにより、シート内部に断面積が0.3mm2以上の空孔を有する炭素繊維不織布が提案されている(特許文献3)。

概要

内部に空隙を設けることで気体を通す際の抵抗が小さいとともに、厚さ方向への圧縮回復率に優れる炭素繊維不織布で、特に、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極基材に適した炭素繊維不織布を提供する。 炭素繊維同士が交絡し、かつ厚さ方向に配向した炭素繊維を含むとともに、表面と略並行に形成された断面積350μm2〜200000μm2の空洞部を有する炭素繊維不織布。

目的

本発明は、気体の透過抵抗が小さく、耐圧縮性に優れた炭素繊維不織布であって、特に、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極基材に適した炭素繊維不織布の提供を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

炭素繊維同士が交絡し、かつ厚さ方向に配向した炭素繊維を含むとともに、表面と略並行に形成された断面積350μm2〜200000μm2の空洞部を有する炭素繊維不織布。

請求項2

前記空洞部を複数含むとともに、前記空洞部が相互に連結して網目状に配置されている、請求項1に記載の炭素繊維不織布。

請求項3

前記厚さ方向に配向した炭素繊維は、面方向に対し20〜80°の角度を向いている、請求項1または請求項2に記載の炭素繊維不織布。

請求項4

0.20〜1.00g/cm3の見かけ密度を有する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の炭素繊維不織布。

請求項5

繊維長が30〜100mmの炭素繊維から形成されてなる、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の炭素繊維不織布。

請求項6

請求項1〜請求項5のいずれかに記載の炭素繊維不織布を基材に用いてなる固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極

請求項7

請求項6に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極とガス流路が形成されていないセパレータとを有する固体高分子形燃料電池

技術分野

0001

本発明は、固体高分子形燃料電池などの電極基材に適した炭素繊維不織布に関する。

背景技術

0002

炭素繊維からなる織編物・不織布は、化学的に安定で適度な圧縮応力を有することから電極基材に適しており、特に固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極への適用が検討されている。

0003

こうした用途に用いる場合、炭素繊維からなる織編物や不織布等の基材は、高い気体透過性が求められている。そこで、基材に空隙を形成させて気体透過性を向上させる試みがなされている。例えば、フェノール樹脂含浸した有機繊維シートを炭素繊維抄造不織布で挟んで結着させ、焼成により内部に空孔を形成し、ガス拡散性と水の排出性を高めた電極基材が提案されている(特許文献1)。また、炭素繊維と炭素繊維前駆体繊維からなる抄造不織布と有機繊維シートをウォータージェットなどで交絡した後に焼成し、内部に形成された空孔層に炭素繊維を配置した電極基材が提案されている(特許文献2)。

0004

一方で、レドックスフロー型電池用電極材料として、空隙により気体ではなく液体透過性を向上させる基材が検討されている。例えば、焼成後の残炭率の低い有機繊維天然繊維からなる組紐や織編物などを炭素繊維前駆体繊維からなるウエブの中間層に用いて炭素繊維前駆体繊維と絡合させ、焼成後、中間層部分が消失することにより、シート内部に断面積が0.3mm2以上の空孔を有する炭素繊維不織布が提案されている(特許文献3)。

先行技術

0005

特開2007−269624号公報
特開2013−206704号公報
特開2013−144857号公報

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1で開示された電極基材炭素繊維シートは、気体透過性は十分であるが、空孔層が炭化した樹脂で形成されているため圧縮に弱く、固体高分子形燃料電池に組み込まれる際の締結圧により破壊されやすいという問題があった。

0007

一方、特許文献2で開示された電極基材炭素繊維シートは、空孔層に炭素繊維が存在するため、炭化した樹脂で空孔層が形成された場合より耐圧縮性が改善されるものの、炭素繊維が3次元網目状炭素接合されたものであるため耐圧縮性は未だ不十分であった。また、剛直な炭素繊維が厚さ方向に配向しているため、固体高分子形燃料電池に組み込まれた際の締結圧などで厚さが変動した際に炭素繊維が電解質膜突き破りガス電流がリークするという問題があった。

0008

また、特許文献3で開示された炭素繊維不織布は、断面積が0.3mm2以上と大きな空孔を有するため液体の透過は容易であるが、空孔が大きい分、耐圧縮性は低下し、また、見掛け密度も低下して導電性も低下する問題がある。そもそも気体を透過させる用途を想定していないため、空孔サイズが大き過ぎて気体を貫通方向に透過させるには高い圧力が必要となる。そのため、例えば固体高分子形燃料電池用のガス拡散電極基材等の気体を透過させる用途に用いる場合には不都合であった。

0009

本発明は、気体の透過抵抗が小さく、耐圧縮性に優れた炭素繊維不織布であって、特に、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極基材に適した炭素繊維不織布の提供を課題とする。

課題を解決するための手段

0010

前記課題を達成するための本発明の炭素繊維不織布は、炭素繊維同士が交絡し、かつ厚さ方向に配向した炭素繊維を含むとともに、表面と略並行に形成された断面積350μm2〜200000μm2の空洞部を有する炭素繊維不織布である。

発明の効果

0011

本発明により、炭素繊維同士が交絡し、かつ厚さ方向に配向した炭素繊維を含むことによって厚さ方向への圧縮回復率に優れるとともに、空洞部を有することで気体の透過抵抗を小さく抑えた、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極基材に適した炭素繊維不織布を提供することができる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の炭素繊維不織布の断面の走査型電子顕微鏡写真の一例である(倍率:200倍)。
ガス流路非形成セパレータに本発明の炭素繊維不織布をガス拡散電極としてセットしたシングルセルを表す模式図である。

0013

本発明の炭素繊維不織布を構成する炭素繊維の種類は特に限定されるものではなく、ポリアクリロニトリル系繊維ピッチ系繊維、ポリビニルアルコール系繊維セルロース系繊維リグニン系繊維、ポリアセチレン系繊維、ポリエチレン系繊維ポリベンゾオキサゾール系繊維などの耐炎化繊維を焼成したもの用いることができる。これらの中でも、引張強力、圧縮強力などの機械的強度が比較的高いポリアクリロニトリル系炭素繊維を用いることが好ましい。

0014

炭素繊維の繊維長は30〜100mmであることが好ましい。繊維長がこの範囲にあると繊維が絡みやすく、ニードルパンチウォータージェットパンチで繊維を交絡させた際に炭素繊維を厚さ方向に配向させることができる。炭素繊維の繊維長が30mm未満であると、繊維の絡みが弱くなる傾向にあり、圧縮回復率や電気抵抗が低下する傾向にある。また、厚さ方向に向いた繊維の末端が増加するため、固体高分子形燃料電池用のガス拡散電極基材に用いる場合には、炭素繊維が電解質膜を貫通し、リーク電流が発生しやすくなる。繊維長が100mmを超えると、カード通過性が悪くなり不織布の形成が困難になる傾向にある。

0015

本発明において、炭素繊維の繊維径は特に限定されないが、繊維が細いと周囲のものとの接触が容易になり、高い導電性が得やすいものの、気体や液体の高い透過性を得ることが困難である。適当な繊維径の例は3〜30μmであり、5〜20μmであることがより好ましい。

0016

本発明の炭素繊維不織布は、不織布表面と略並行に形成された断面積350μm2〜200000μm2(直径21〜500μmの円相当)の空洞部を有する。本発明でいう空洞部とは、炭素繊維不織布の内部にトンネル状に形成された炭素繊維の存在しない空間であって、奥行き方向に10mm以上の長さを有するものを意味する。以降、単に空洞部の長さという場合には、当該奥行き方向の長さを意味するものとする。また、空洞部の断面積とは、前述した空洞部の奥行き方向に対して垂直な断面の面積を意味するものとする。なお、本発明においては、空洞部の断面が表れるように炭素繊維不織布をカットし、任意に面方向5mmの範囲の断面を観察し、その範囲内に存在する空洞部断面のうち最大内接円の直径が最も大きくなる空洞部断面において、最大内接円の面積が350μm2〜200000μm2であれば、断面積350μm2〜200000μm2の空洞部を有すると判断するものとする。

0017

また、空洞部の長さが10mm未満であると、ガスの拡散性や水の排出性が不十分となり、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極としての性能が低下する。空洞部の長さは30mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましい。空洞部の長さは、例えばイオンビームカミソリでカットすることにより空洞部の奥行き方向に連続した試験片を作成し、その断面を走査型電子顕微鏡で観察することや、X線CTを用いた断層画像などにより、10mm以上にわたって空洞部が連続していることを確認することで判断することができる。

0018

固体高分子形燃料電池のガス拡散電極基材に用いた場合、空洞部の断面積が小さすぎると気体や液体の高い透過性を得ることが難しいことから、空洞部の断面積は1000μm2以上であることがより好ましく、8000μm2以上であることがさらに好ましい。空洞部が大きすぎると導電性を得ることが難しくなり易いため、空洞部の断面積は180000μm2以下であることがより好ましく、160000μm2以下であることがさらに好ましい。

0019

本発明の炭素繊維不織布は、複数の空洞部を含むことが好ましい。この場合、空洞部は断続的に(すなわち、独立して)形成されていても良いが、例えば固体高分子形燃料電池用のガス拡散電極等の気体を透過させる用途に用いる場合には、ガスの拡散性や水の排出を効果的に行うため、空洞部が相互に連結して網目状に配置されていることが好ましい。複数の空洞部が縦横に形成され、格子状に配置されている、すなわち、全体として炭素繊維不織布内部に格子状の連続空間を構成していることは、特に好ましい態様である。複数の空洞部が網目状または格子状に配置されていることは、X線CTを用いた断層画像により判断することができる。

0020

本発明の炭素繊維不織布は、炭素繊維同士が交絡している。ここで、炭素繊維不織布において炭素繊維が交絡していることは、不織布表面において湾曲した炭素繊維同士が交差しつつ絡み合っている様子が観察されることで確認することができる。

0021

また、本発明の炭素繊維不織布は、厚さ方向に配向した炭素繊維を含んでいる。ここで、厚さ方向に配向した炭素繊維とは、空洞部の断面が表れるように炭素繊維不織布をカットし、当該断面において、空洞部と空洞部の間の炭素繊維が存在する部分を走査型電子顕微鏡で倍率200倍にて観察した際、面方向に対し10〜90°の角度を向いた炭素繊維をいう。このような構造にすることで、圧縮時には、厚さ方向に配向した炭素繊維が柱となり、圧縮による破壊が少なく、圧縮から開放した際の厚さの回復性(圧縮回復率)が高い炭素繊維不織布を得ることができる。固体高分子形燃料電池用のガス拡散電極基材に用いる場合には、圧縮に対する耐久性と圧縮時の炭素繊維による電解質膜の貫通抑制に高い効果が得られる点で、厚さ方向に配向した繊維の面方向に対する角度は20〜80°であることが好ましく、30〜70°であることがより好ましい。

0022

本発明の炭素繊維不織布の目付は、特に限定されないが、40〜500g/m2が好ましく、60〜400g/m2がより好ましい。目付が低いと製造時の工程張力に耐えられないとともに、取扱い性が悪く、目付が高いと電極基材として用いた場合の気体や液体の透過が困難になるためである。ここで、目付とは、炭素繊維不織布の重量を面積で除したものである。

0023

本発明の炭素繊維不織布の厚さは特に限定されるものではないが、80〜1000μmが好ましく、100〜800μmがより好ましく、150〜700μmがさらに好ましい。厚さが薄すぎると製造時の工程張力に耐えられず、厚すぎると気体や液体の透過が困難になるとともに導電性が低下する傾向にある。ここで、炭素繊維不織布の厚さとは、JISL 1913 6.1(厚さ(A法))に準じて、5cm×5cmの試験片を10枚採取し、全自動圧縮弾性厚さ測定器((株)大栄科学精機製作所製、型式:CEH−400)を用いて、圧力0.5kPaの加圧下で10秒後における各試験片の厚さを測り、その平均をとった値である。

0024

本発明の炭素繊維不織布の見かけ密度は特に限定されるものではないが、0.20〜1.00g/cm3が好ましく、0.25〜0.90g/cm3がより好ましく、0.30〜0.80g/cm3がさらに好ましい。固体高分子形燃料電池のガス拡散電極基材として用いた場合、見かけ密度が0.20g/cm3未満では十分な導電性を得ることが困難であるとともに、付与される圧力によっても構造が破壊し易く、また、1.00g/cm3を越えると十分な気体や液体の透過性を得ることが困難となる傾向にある。炭素繊維不織布の見かけ密度は、目付を厚さで除したものである。

0025

本発明の炭素繊維不織布をガス拡散電極基材として用いる場合は、撥水処理することが好ましい。ガス拡散電極基材の表面が撥水性を有すると、燃料電池を構成したとき、発電反応生成水による目詰まりを抑制することができるようになり、反応に必要な物質を十分に供給することができるようになって発電効率が向上する。

0026

また、本発明の炭素繊維不織布をガス拡散電極基材とし、電解質膜の両側に配置することで、膜電極接合体MEA)を構成することができる。そして、MEAは、さらにその両側にセパレータを配置して、固体高分子形燃料電池とすることができる。

0027

セパレータとしては、サーペンタイン型流路ストレート型流路など、表面にガスの流路となる溝が形成されたものが一般的に用いられている。しかし、本発明の炭素繊維不織布をガス拡散電極基材として用いたMEAは、ガス拡散電極内部の空洞部がセパレータのガス流路の機能を代替することができるため、ガス流路が形成されていないセパレータと組み合わせた燃料電池とした場合でも発電が可能である。本発明の炭素繊維不織布からなる固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極と、ガス流路が形成されていないセパレータとを有する固体高分子形燃料電池は、燃料電池の製造コストの低減に寄与する可能性がある。

0028

次に、本発明の炭素繊維不織布を得るための好ましい製造方法について、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を使用した例を記載する。

0029

PAN系炭素繊維の前駆体としては、アクリロニトリル90重量%、好ましくは95重量%以上からなるアクリル系共重合体を使用することができる。アクリロニトリルと共重合するコモノマーとしては、アクリル酸イタコン酸等の有機酸、若しくはそれらの有機酸のメチルエステルエチルエステルプロピルエステルブチルエステルアルカリ金属塩アンモニウム塩、またはアリスルホン酸メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸等の有機酸、若しくはそれら有機酸の金属塩等が挙げられる。

0030

アクリル共重合体は、乳化重合塊状重合あるいは溶液重合等の公知の方法によって重合することができ、紡糸原液は、ジメチルアセトアミドジメチルスルホキシドジメチルホルムアミド硝酸あるいはロダンソーダ水溶液等により調製することができる。なお、紡糸原液中のアクリロニトリル共重合体の濃度は、好ましくは13〜25重量%、より好ましくは15〜20重量%である。アクリロニトリル共重合体の濃度が13重量%未満の場合は、乾湿式紡糸法により得られる繊維の表面に、フィブリルに起因する凹凸の発生が顕在化し、得られる炭素繊維の強度特性が低下することがある。

0031

次に、この紡糸原液を口金から一旦空気中に押し出し、溶媒と水から成る凝固浴中に紡出する乾湿式紡糸法により紡糸後水洗、浴延伸する。ここで構成単繊維間での接着を有効に抑止するために、例えば、アミノ変性シリコーンを必須成分としたシリコーン系油剤等を付与することが好ましい。その後、乾燥緻密化し必要に応じて加圧スチーム等の熱媒中で延伸することによりアクリル系共重合体繊維を得る。

0032

このようにして得られたアクリル系共重合体繊維を、200〜300℃の空気雰囲気中で、必要に応じて延伸しながら加熱することにより耐炎化繊維を得る。

0033

得られた耐炎化繊維は、30〜100mmの短繊維とし、カーディングした繊維をパラレルレイクロスレイ、エアレイ等して乾式ウエブを作製する。

0034

このようなウエブを、繊維布帛の片面または両面に積層し、ともにニードルパンチおよび/またはウォータージェットパンチを行う。繊維布帛は、後述する圧縮処理においてスペーサーの機能を果たすとともに、焼成により炭素化する際に体積が減少し、これにより繊維布帛を構成する繊維の跡に空洞部が形成される。

0035

繊維布帛の炭化収率が20%以下であると、耐炎化繊維を炭素化する工程で体積が大きく減少する。従って、焼成後の空洞部の形状をコントロールすることが容易になるとともに、気体の面方向、厚さ方向への高い透過性を得ることができるため好ましい。繊維布帛の炭化収率は、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。ここでいう炭化収率は、熱重量測定(TG)法で、窒素雰囲気下、10℃/分で昇温したときの重量変化を測定し、室温での重量と800℃での重量との差を、室温での重量で除したものをいう。

0036

繊維布帛を構成する繊維としては、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維ポリエチレンテレフタレート系繊維ポリ乳酸系繊維ポリアミド系繊維などを挙げることができる。

0037

繊維布帛を構成する繊維の繊維長、繊維径は、炭素化する際に体積を減らして断面積350μm2〜200000μm2の空洞部を形成するように適宜調節される。繊維長は、特に限定されるものではなく、30〜100mm程度の短繊維、長繊維のいずれも用いることができる。繊維布帛を構成する繊維の径が大きいほど空洞部の径は大きくなり、気体や液体の透過は容易になるが、高い導電性を得ることが難しくなる。

0038

繊維布帛の形態は特に限定されるものではなく、織物、編物、不織布、ネット状物等を例示することができる。例えば、厚さ方向の導電性を優先する場合は、布帛の目開きを大きくし、気体や液体の透過性を優先する場合は、布帛の目開きを小さくすることでその効果を発現できる。

0039

織物としては、例えば、平織朱子織斜文織といった一重組織通風織などの二重組織ビロードベルベットといったパイル組織、紗などの絡み組織、紋織、綴織のいずれでもよい。編物としては、例えば、平編ゴム編、両面編、レース編などのヨコ編、デンビー、アトラス、コードなどのタテ編を適宜選択できる。繊維布帛は不織布であってもよく、湿式不織布、乾式不織布のいずれでもよい。また、繊維布帛中において繊維の交点とそれ以外の場所で厚さに差がない方が均一な空洞部を形成しやすいことから、熱プレスなどの方法により、これらの布帛の交点を融着することも好ましい態様である。

0040

上記の耐炎化繊維のウエブと繊維布帛とを積層し、ニードルパンチおよび/またはウォータージェットパンチすることによって、繊維同士が相互に交絡するとともに繊維布帛の開口部を貫通して厚さ方向への繊維の配向が進む。開口率が低い繊維布帛を用いた場合は、繊維布帛を貫通して厚さ配向する繊維が少なくなるため、焼成後に得られる炭素繊維不織布の耐圧縮性や厚さ方向の導電性が劣る傾向にあり、開口率が高い繊維布帛を用いた場合は、気体や液体の透過性に劣る傾向にある。そのため、マイクロスコープ透過光で観察される繊維布帛の開口率は、20〜80%であることが好ましく、25〜70%であることがより好ましく、30〜65%であることがさらに好ましい。

0041

なお、繊維布帛に代えて、断面積350μm2〜200000μm2の空洞部を形成できる繊維直径を有するモノフィラメントマルチフィラメントを並べ、耐炎化繊維のウェブで挟み、ニードルパンチおよび/またはウォータージェットパンチを行っても良い。

0042

繊維の配向は、ニードルパンチであれば、針の形状や打ち込み本数によって調節でき、バーブの数、容積針密度が増えると厚さ方向へ移動する繊維の本数が増える。ウォータージェットパンチの場合は、ノズル径水圧が大きくなることで厚さ方向へ移動しやすくなる。ウエブの搬送速度は遅いほど厚さ方向へ移動させる効果が大きくなる。乾燥工程が不要で、高い生産性を期待できる点でニードルパンチのみを実施することが好ましい。

0043

ニードルパンチ工程で針のバーブに繊維布帛を構成する繊維が引っ掛かることを避けるため、繊維布帛を形成する繊維は、比較的繊維径の大きいモノフィラメントまたは、撚数が1000〜4000T/Mのマルチフィラメントであることが好ましい。撚数は、一般織物試験方法であるJIS L1096(2005)8.8.2で規定された方法により計測できる。

0044

耐炎化繊維からなるウエブの繊維布帛への積層は、両面でも片面でも、1枚でも複数枚でも構わない。表裏均一性の観点からは、両面に積層することが好ましく、プロセスが単純で取扱や低コスト化が容易だという点からは片面への積層が好ましい。

0045

次に、カレンダーローラーによる連続式プレス機平板によるプレス機を用いて熱プレスを行う。通常、ニードルパンチおよび/またはウォータージェットパンチで得られた複合シートの見かけ密度は0.02〜0.20g/cm3程度であり、そのまま炭素化すると電極基材として必要な導電性を得ることが困難なためである。このとき、複合シートの見かけ密度が0.3〜1.3g/cm3になるように圧縮処理を行うことが好ましい。この場合、原料組成紡糸条件によって、適切な圧縮処理条件が異なるが、処理状況を確認しながら、温度や圧力、圧縮速度を制御することができる。概ね、圧縮の効果を得るためには100℃以上で行うことが好ましく、130℃以上がより好ましい。また、温度が高すぎると繊維の溶融劣化を生じ易いことから、400℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。特に、焼成後の空洞部の形状のコントロールを容易にする観点から、炭化収率が20%以下の繊維布帛が溶融しない温度で圧縮処理することが好ましい。

0046

続いて、このように作成した複合シートを焼成し、炭素繊維化する焼成工程を行う。焼成方法は、一般的に用いられている方法であれば特に限定されないが、窒素アルゴンなどの不活性雰囲気下にて、800℃以上の加熱処理を行うことが好ましく、ガス拡散電極基材として用いる場合は、2000℃以上の温度の黒鉛化処理を行うことがより好ましい。

0047

なお、炭素繊維化後に見かけ密度0.2〜1.0g/cm3の炭素繊維不織布となるように複合シート化する熱プレス処理条件や焼成の条件を適宜調整することが好ましい。

0048

また、本発明の炭素繊維不織布の他の製造方法を以下に例示する。

0049

まず、繊維長30〜100mmの耐炎化繊維をカーディングし、パラレルレイまたはクロスレイ、エアレイなどにより乾式ウエブを作製する。このようなウエブを、ニードルパンチおよび/またはウォータージェットパンチを行い、耐炎化繊維不織布とする。

0050

この耐炎化繊維不織布をエンボスロールによる熱プレスや、凹凸パターンがついた金属板、繊維布帛などを耐炎化繊維不織布の片面に押し当てて熱プレスすることで、耐炎化繊維不織布の片面のみに凹凸パターンを形成する。次に、凹凸パターンを形成した耐炎化繊維不織布の凹凸パターン面同士を合わせて張り合わせて焼成または、先に耐炎化繊維不織布を焼成して炭素繊維化不織布とした後、凹凸パターン面同士を合わせて張り合わせることで、空洞部を有する炭素繊維不織布を得ることができる。

0051

凹凸パターンを形成するために用いることができるエンボスロールや金属板の凹凸のパターンは、ドット状、格子状、ストライプ状、千鳥状、亀甲状など特に限定されるものではないが、凹部を基材の両端まで途切れずに形成しやすい格子状やストライプ状のエンボスロールを用いることが好ましい。

0052

凹凸面を張り合わせる方法は特に限定されるものではないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂アクリル樹脂等の加熱硬化型樹脂凹凸形成面のみにスプレーコーティングによる塗布または、基材に含浸した後に凹凸面同士を合わせて熱プレスすることで張り合わせる方法等を挙げることができる。

0053

凹凸面を張り合わせた後の焼成工程は、前記同様の方法を用いることができる。

0054

本発明の炭素繊維不織布には、形態保持性ハンドリング性等を向上させるために、バインダーが付着していることが好ましい。バインダーは前駆体として付与することが好ましく、焼成によって炭素化するものであれば、特に限定されないが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。また、導電性を向上するためにカーボンブラック等を分散したバインダー前駆体溶液の状態で浸漬やスプレーにより付与できる。炭素化の際に収縮して形態が変化し、表面の平滑性を損ない易いため、複合シートを炭素化し、それ以上収縮しない炭素繊維不織布としてからバインダー前駆体を付与して再度炭素化することが、形態の安定性表面平滑性の観点から好ましい。

0055

本発明で付与するバインダー前駆体は、生産性の点で炭化収率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。

0056

また、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極基材として用いる場合は、発電効率向上のため、撥水性物質付与による撥水処理を行うことが好ましい。

0057

撥水性物質としては、フッ素樹脂を用いることが好ましい。撥水処理は、炭素繊維不織布に対して撥水性物質を30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で付着させることによって行うことができる。ここで、フッ素樹脂とは、テトラフルオロエチレン樹脂PTFE)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、フッ化エチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)など、その構造中にフッ素原子を含む撥水性を有する樹脂のことをいう。

0058

また、炭素繊維不織布表面に微多孔質層を設けることも好ましい態様である。撥水処理を行った炭素繊維不織布には、フッ素樹脂とカーボンブラックに界面活性剤と水などを加えたペーストを、バーコートやダイコート方式により表面に塗布し、乾燥し、焼結することで、撥水性の微多孔質層を設けることが好ましい。このような微多孔質層に含まれるフッ素樹脂は、カーボンブラックに対して1〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、20〜60がさらに好ましい。微多孔質層に含まれるフッ素樹脂が1重量%以上であると、カーボンブラックを繋げているフッ素樹脂のバインダー効果が大きくなるためカーボン層の強度が上がり、80重量%以下であると、高い導電性を有するカーボンブラックの割合が多くなるため導電性が向上するという効果を有する。

0059

撥水処理のみ行った場合に比べ、このような微多孔質層を炭素繊維不織布に設けることで、固体高分子形燃料電池の発電時に発生する水をガス拡散電極基材内から効果的に排出することができる。

0060

本発明の炭素繊維不織布を燃料電池用ガス拡散電極基材として用いた場合には、炭素繊維が厚さ方向に配向しているため、空洞部を有するにもかかわらず圧縮回復率に優れる。さらに、空洞部を気体や液体の流路として活用することで、セパレータにガス流路を形成する必要がないコスト的に有利な燃料電池とすることができる。

0061

実施例中の物性値は以下の方法で測定した。

0062

1.空洞部の断面積と厚さ方向への配向
炭素繊維不織布、空洞部の断面が表れるようにイオンビームによりカットして試験片を作成した。調整した試験片を幅5mmに渡って走査型電子顕微鏡にて200倍で断面観察し、観察範囲内の空洞部断面のうち最大内接円の直径が最も大きくなる空洞部断面の最大内接円の面積を空洞部の断面積とした。また、当該範囲の観察により厚さ方向に対し10〜90°の角度を向いた繊維が少なくとも1本以上存在していれば、厚さ方向に配向していると判断した。

0063

2.空洞部の形成
形成した空洞部の奥行き方向を長辺方向として、炭素繊維不織布を10mm×6mmにカミソリでカットし、空洞部を含む試験片を作成した。この試験片の長辺方向を2mmずつにカットし、5枚の連続した2mm×6mmの観察用試験片を作製した。当該観察用試験片の両面を走査型電子顕微鏡にて200倍で観察し、5枚全ての観察用試験片の両面において同位置に空隙が観察されれば、空洞部が形成されていると判断した。

0064

3.見かけ密度
JIS L1913 6.1(厚さ(A法))に準じて、5cm×5cmの試験片を10枚採取し、全自動圧縮弾性・厚さ測定器((株)大栄科学精機製作所製、型式:CEH−400)を用いて、圧力0.5kPaの加圧下で10秒後における各試験片の厚さを測定した。そして、測定値平均値を厚さとして求めた後、この厚さと寸法(5cm×5cm)、重量から、少数第3位を四捨五入して見かけ密度を求めた。

0065

4.気体透過抵抗
撥水処理を行った炭素繊維不織布を円形にカットした試験片(直径50mm)を内径12mm、外径100mmの円盤で挟み、1MPaに加圧した。片側の円盤の中空部に、空気を流量1.0L/分で供給し、もう一方の円盤の中空部は大気開放とした。このときの供給側圧力(開放側との圧力差)を気体透過抵抗とした。

0066

5.圧縮回復率
撥水処理を行った炭素繊維不織布の試験片(20mm×20mm)を100mm×100mmの板で挟み、試験片が受ける荷重が0.3MPaになるように加圧し、加圧時の試験片の厚さT1を1μm単位で測定した。次に、荷重を2MPaまで昇圧した後、0.3MPaまで降圧し厚さT2を測定した。同様に、異なる箇所から採取した試験片10枚について厚さの測定を行った。厚さ回復率次式から求め、試験片10枚の平均値を圧縮回復率とした。

0067

厚さ回復率(%)=T2/T1×100
6.発電性能
(1)サーペンタイン流路セパレータでの発電
フッ素系電解質膜“Nafion”212(デュポン社製)の両面に、白金担持炭素と“Nafion”からなる触媒層白金量0.2mg/cm2)をホットプレスによって接合し、触媒層被覆電解質膜(CCM)を作成した。

0068

このCCMの両面に2枚のガス拡散電極基材を配して再びホットプレスを行い、膜電極接合体(MEA)とした。この時、ガス拡散電極基材は、マイクロポーラス層を有する面が触媒側と接するように配置した。

0069

ガス拡散電極の周囲にガスケット(ガスケットの厚さはMEA厚さの80%)を配したMEAをエレクトロケム社製のシングルセル(5cm2、サーペンタイン流路)にセットした。

0070

セル温度を60℃、水素と空気の露点を60℃とし、流量はそれぞれ100cc/分と250cc/分、ガス出口は開放(無加圧)で発電し、0.2Vの電圧になった時の電流密度を測定した。

0071

(2)ガス流路非形成セパレータでの発電
上記と同様の方法で作製したMEAのガス拡散電極の周囲にガスケット(ガスケットの厚さはMEA厚さの80%)を配し、MEAにガスを拡散させるための流路がなく、ガス導入孔排出孔のみを有する、東海カーボン株式会社製の樹脂含浸黒鉛材で作製した図2の形状のセパレータを用いたシングルセル(5cm2、流路非形成)にセットした。

0072

セル温度を60℃、水素と空気の露点を60℃とし、流量はそれぞれ100cc/分と250cc/分、ガス出口は開放(無加圧)で発電し、0.2Vの電圧になった時の電流密度を測定した。

0073

<製造例1(乾式ウエブ)>
アクリロニトリル99.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法により1デシテックス、12,000フィラメントのポリアクリロニトリル(PAN)系繊維束を得た。得られたPAN系繊維束を240〜280℃の温度の空気中で、延伸比1.05で加熱し、PAN系耐炎糸密度1.38g/cm3)とした。

0074

次に、PAN系耐炎糸を押し込み式クリンパーにより捲縮糸とした。得られたジグザグ形状の捲縮糸の捲縮数は7.1/25mm、捲縮率は12.7%であった。この耐炎糸数平均繊維長76mmに切断した後、カード、クロスラッパーを用いて、60g/m2の乾式ウエブとした。

0075

<製造例2(乾式ウエブ)>
製造例1の耐炎糸の数平均繊維長を38mmに変更した以外は同様に行い、60g/m2の乾式ウエブとした。

0076

<製造例3(織物)>
極限粘度が0.66のPET(ポリエチレンテレフタレート)成分を紡糸および延伸し、40デシテックス48フィラメントの繊維を得た。これをS撚りで2400T/mで撚りをかけ、75℃でスチームセットを行った。同様に、Z撚りで2400T/mで撚りをかけ、75℃でスチームセットを行った糸を作製した。タテ糸に、S撚りの糸とZ撚りの糸を交互に配し、ヨコ糸にS撚りの糸を用い、織組織を平織とし、93×64本/2.54cmの織密度で織物を作製し、目付43g/m2の織物を製造した。

0077

<製造例4(織物)>
極限粘度が0.66のPET(ポリエチレンテレフタレート)成分を紡糸および延伸し、56デシテックス48フィラメントの繊維を得た。これをS撚りで2400T/mで撚りをかけ、75℃でスチームセットを行った。同様に、Z撚りで2400T/mで撚りをかけ、75℃でスチームセットを行った糸を作製した。タテ糸に、S撚りの糸とZ撚りの糸を交互に配し、ヨコ糸にS撚りの糸を用い、織組織を平織とし、93×64本/2.54cmの織密度で織物を作製し、目付60g/m2の織物を製造した。

0078

<製造例5(モノフィラメント織物)>
繊維直径480μm、2040デシテックスのポリアミド6のモノフィラメントを用い、織組織を平織りとし、20×15本/2.54cmの織密度で織物を作製し、目付65g/m2の織物を製造した。

0079

<製造例6(樹脂付与湿式ウエブ)>
アクリロニトリル99.4モル%とメタクリル酸0.6モル%からなる共重合体を用いて、乾湿式紡糸方法により1デシテックス、12,000フィラメントのポリアクリロニトリル(PAN)系繊維束を得た。得られたPAN系繊維束を240〜280℃の温度の空気中で、延伸比1.05で加熱し、PAN系耐炎糸(密度1.38g/cm3)とした後、窒素雰囲気中1500℃で焼成(1度目の炭素化)してPAN系炭素繊維(密度1.77g/cm3)とした。

0080

次に、5mmにカットしたPAN系炭素繊維70重量部と、バインダーとして繊維長5mmのPVA繊維30重量部を均一に混ぜ合わせた後、抄紙して36g/m2の湿式ウエブとしたものに、フェノール樹脂と黒鉛をそれぞれ、40g/m2、12g/m2付与した後、200℃に加熱したプレス機で挟み、フェノール樹脂を硬化させ、樹脂付与湿式ウエブとした。

0081

[実施例1]
製造例1の乾式ウエブの上に製造例3の織物を積層して、その上にさらに製造例1の乾式ウエブを重ね、乾式ウエブの両面を交互にニードルパンチすることで、乾式ウエブを構成していた繊維を織物のもう一方の表面まで貫通させ、見かけ密度0.13g/cm3の複合不織布を得た。

0082

得られた複合不織布は、240℃に加熱したプレス機で圧縮し、見かけ密度0.55g/cm3とした。

0083

次いで電気炉にてアルゴン雰囲気下で2400℃の温度で焼成することで炭素繊維不織布を得た。

0084

この炭素繊維不織布に、フェノール樹脂と黒鉛をそれぞれ、40g/m2、12g/m2付与した後、200℃に加熱したプレス機で挟み、フェノール樹脂を硬化させた。

0085

これを2400℃の電気炉において、アルゴン雰囲気下で再度焼成し、フェノール樹脂の炭化物補強した炭素繊維不織布を得た。

0086

得られた炭素繊維不織布を、イオンビームでカットして走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察したところ、焼成により織物が存在した箇所に断面積3848μm2の空洞部が形成されており、厚さ方向に対し45°の角度を向いた繊維が存在していることが確認できた。

0087

また、長さ10mmに渡って空隙が連続しており、空洞部が形成されていることが確認できた。

0088

この炭素繊維不織布にPTFE樹脂水分散液(“ポリフロン”(登録商標)PTFEディスパージョンD−1E(ダイキン工業(株)製)を用いて、炭素繊維不織布に対し、PTFEを5重量%付与し、撥水処理を行った。

0089

次に、炭素繊維不織布の片面に、アセチレンブラックデンカブラック”(登録商標)(電気化学工業(株)製)7.7重量%とPTFE樹脂(PTFE樹脂を60質量部含む水分散液である“ポリフロン”(登録商標)PTFEディスパージョンD−1E(ダイキン工業(株)製)を使用)2.5重量%、界面活性剤“TRITON”(登録商標)X−100(ナカライテスク(株)製)14.0重量%、純水75.8重量%からなる混合物を、スリットダイコーターを用いて塗布した。カーボン塗液を塗工後、120℃で10分、380℃で10分加熱し、炭素繊維不織布上に目付20g/m2のマイクロポーラス層を形成した。このようにして、得られたガス拡散電極を用いてMEAを作製し、サーペンタイン流路セパレータを用いて発電性能を評価した。評価結果は表1のとおりであり、気体透過抵抗が低く、圧縮回復率、発電時の電流密度が高いものだった。

0090

[実施例2]
製造例4の織物を用いた以外、実施例1と同様にして、フェノール樹脂の炭化物で補強した炭素繊維不織布を得た。

0091

得られた炭素繊維不織布を、イオンビームでカットして走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察したところ、焼成により織物が存在した箇所に断面積3920μm2の空洞部が形成されており、厚さ方向に対し48°の角度を向いた繊維が存在していることが確認できた。また、長さ10mmに渡って空隙が連続しており、空洞部が形成されていることが確認できた。この炭素繊維不織布を用いて、実施例1と同様に発電性能の評価を行った。
評価結果は表1のとおりであり、気体透過抵抗が低く、圧縮回復率、発電時の電流密度が高いものだった。

0092

[実施例3]
製造例2の乾式ウエブの上に、繊維直径480μmのポリアミド6モノフィラメントを1cm間隔に並べ、その上に製造例1の乾式ウエブ1枚を重ねてニードルパンチを行い、見かけ密度0.02g/cm3の複合不織布を得た。

0093

得られた複合シートは、240℃に加熱したプレス機で圧縮し、見かけ密度を0.21g/cm3とした。

0094

次いで電気炉にてアルゴン雰囲気下で2400℃の温度で焼成することでPAN系炭素繊維不織布を得た。

0095

得られた炭素繊維不織布を、イオンビームでカットして走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察したところ、焼成により織物が存在した箇所に断面積170191μm2の空洞部が形成されており、厚さ方向に対し48°の角度を向いた繊維が存在していることが確認できた。この炭素繊維不織布を用いて、実施例1と同様に発電性能の評価を行った。
評価結果は表1のとおりであり、気体透過抵抗が低く、圧縮回復率、発電時の電流密度が高いものだった。

0096

[実施例4]
製造例1の乾式ウエブをニードルパンチして見かけ密度0.06g/cm3の不織布を得た。得られた不織布を深さ100μm、130μm角の窪みが180μmピッチで全面に形成された格子状の金属プレート上に乗せ、240℃に加熱したプレス機で圧縮し、見かけ密度0.31g/cm3の不織布とした。

0097

次いで電気炉にてアルゴン雰囲気下で2400℃の温度で焼成することで炭素繊維不織布を得た。この炭素繊維不織布は、金属プレートの格子形状転写された溝を有するものだった。

0098

この炭素繊維不織布に、フェノール樹脂と黒鉛をそれぞれ、40g/m2、12g/m2付与した後、2枚の炭素繊維不織布の溝形成面同士を合わせて200℃に加熱したプレス機で挟み、2枚の炭素繊維不織布を結着させた。

0099

2400℃の電気炉において、アルゴン雰囲気下で再度焼成を行い、フェノール樹脂の炭化物で補強した炭素繊維不織布を得た。

0100

得られた炭素繊維不織布を、イオンビームでカットして走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察したところ、焼成により織物が存在した箇所に断面積27300μm2の空洞部が形成されていることが確認できた。また、繊維同士が相互に交絡し、厚さ方向に対し32°の角度を向いた繊維が存在していることが確認できた。また、長さ10mmに渡って空隙が連続しており、空洞部が形成されていることが確認できた。この炭素繊維不織布を用いて、実施例1と同様に発電性能の評価を行った。
評価結果は表1のとおりであり、気体透過抵抗が低く、圧縮回復率、発電時の電流密度が高いものだった。

0101

[実施例5]
製造例1の乾式ウエブの上に、製造例5の織物を積層して、その上に製造例1の乾式ウエブ1枚を重ねてニードルパンチを行い、見かけ密度0.07g/cm3の複合不織布を得た。得られた複合シートは、220℃に加熱したプレス機で圧縮し、見かけ密度を0.48g/cm3とした。

0102

次いで電気炉にてアルゴン雰囲気下で2400℃の温度で焼成することでPAN系炭素繊維不織布を得た。

0103

得られた炭素繊維不織布を、イオンビームでカットして走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察したところ、焼成により織物が存在した箇所に断面積168500μm2の空洞部が形成されており、厚さ方向に対し50°の角度を向いた繊維が存在していることが確認できた。この炭素繊維不織布を用いて実施例1と同様にガス拡散電極およびMEAを作製し、ガス流路非形成セパレータを用いて、発電性能の評価を行った。
評価結果は表1のとおりであり、気体透過抵抗が低く、圧縮回復率が高く、ガス流路を形成していないセパレータであるにもかかわらず発電が可能だった。

0104

[比較例1]
製造例4の織物を積層せずにニードルパンチを実施したこと以外は実施例1と同様にして炭素繊維不織布を得た。得られた炭素繊維不織布の評価結果は表1のとおりであり、断面積350μm2〜200000μm2の空洞部を有する孔を形成していなかった。この炭素繊維不織布を用いて、実施例1と同様に発電性能の評価を行った。

0105

評価結果は表1のとおりであり、空洞部を形成した炭素繊維不織布に比べ、気体透過抵抗が高く、発電時の電流密度が劣るものだった。

0106

[比較例2]
30メッシュのポリアミド6モノフィラメントシート(メッシュシート)に対し30重量%のフェノール樹脂を付与したものの表裏に製造例6の樹脂付与湿式ウエブを配置し、200℃に加熱したプレス機で圧縮し、フェノール樹脂を硬化させた。

0107

次いで電気炉にてアルゴン雰囲気下で2400℃の温度で焼成することでPAN系湿式炭素繊維不織布を得た。

0108

得られた炭素繊維不織布を、イオンビームでカットして走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察したところ、焼成により織物が存在した箇所に断面積7800μm2の空洞部が形成されていることが確認できたが、直線状の炭素繊維同士が交差して接触しているだけで繊維同士の相互交絡はなく、厚さ方向に対し10°以上の角度を向いた繊維は確認できなかった。この炭素繊維不織布を用いて、実施例1と同様に発電性能の評価を行った。
評価結果は表1のとおりであり、空洞部間の壁がフェノール樹脂のみで形成されているため、圧縮に弱く圧縮回復率が低く、電気抵抗が大きいため発電時の電流密度が劣るものだった。

0109

[比較例3]
製造例1の乾式ウエブの上に、繊維直径710μmのポリアミド6モノフィラメントを1cm間隔に並べ、その上に製造例1の乾式ウエブを1枚重ねてニードルパンチを行い、見かけ密度0.03g/cm3の複合不織布を得た。

0110

得られた複合シートは、240℃に加熱したプレス機で圧縮し、見かけ密度を0.17g/cm3とした。

0111

次いで電気炉にてアルゴン雰囲気下で2400℃の温度で焼成することでPAN系炭素繊維不織布を得た。

0112

得られた炭素繊維不織布を、イオンビームでカットして走査型電子顕微鏡を用いて断面を観察したところ、焼成により織物が存在した箇所に断面積373194μm2の空洞部が形成されており、厚さ方向に対し56°の角度を向いた繊維が存在していることが確認できた。この炭素繊維不織布を用いて、実施例1と同様に発電性能の評価を行った。

0113

評価結果は表1のとおりであり、空洞部が大きく潰れやすいため圧縮回復率が低く、電気抵抗が大きいため、発電時の電流密度も劣るものだった。

0114

[比較例4]
比較例1のMEAを用いて、実施例5と同様に発電評価を行ったが、面内へのガスの拡散性が低いため、ガス流路を形成していないセパレータとの組み合わせでは発電することができなかった。

実施例

0115

0116

1炭素繊維不織布の厚さ方向に配向した炭素繊維の例
3ガス導入孔
4 ガス排出孔

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