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技術 ポリオレフィン樹脂水性分散体

出願人 ユニチカ株式会社
発明者 大藤晴樹奥村暢康矢野拓磨志波賢人
出願日 2015年8月25日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2015-165322
公開日 2016年1月7日 (6年1ヶ月経過) 公開番号 2016-000825
状態 特許登録済
技術分野 塗料、除去剤 接着剤、接着方法 インキ、鉛筆の芯、クレヨン 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード エージング処理温度 クリアボックス 植毛用接着剤 基材どうし ポリオレフィン樹脂微粒子 ラミネート状 低減効率 B型粘度計
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

水性媒体中特定組成ポリオレフィン樹脂微粒子微細かつ安定的に含有する水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂に対するバインダー成分として、密着性や、耐水性耐薬品性耐湿熱性に優れた塗膜を形成することができる水性分散体を提供する。

解決手段

ポリオレフィン樹脂と水性媒体とを含有するポリオレフィン樹脂水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂が、オレフィン成分不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有し、オレフィン成分が、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)とを含有し、質量比(A/B)が60/40〜95/5であり、(A)と(B)との合計100質量部に対し、共重合成分としての不飽和カルボン酸成分の含有量が、1質量部以上であり、かつ、水性分散体の乾燥残渣における、不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。

概要

背景

ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂は、電気特性力学特性化学特性賦形性、衛生性、リサイクル性等に優れており、自動車電器包装材料日用雑貨等を中心に使用されている。しかし、一般にポリオレフィン樹脂は、分子鎖中に極性基を持たないため、塗料等を塗布することや接着剤によって接着することが困難であるという問題がある。
このため、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂に塗料等を塗布する際や接着剤によって接着する際には、塗料や接着剤のバインダー成分として塩素化ポリオレフィン樹脂を使用することが提案されている。しかし、塩素化ポリオレフィン樹脂は、焼却によって廃棄する際に、酸性ガス等の有害物質を発生するため、近年、環境への関心が高まるにつれ、非塩素系バインダー樹脂への移行が強く望まれている。

包装材料においては、ポリオレフィン樹脂は、例えばシーラント樹脂として使用され、基材上にポリオレフィン樹脂のシーラント樹脂が積層された積層体が用いられている。
このような構成を有する積層体を製造する方法として、基材上に接着層を設けた後、予めフィルム化したシーラント樹脂フィルムを、加熱ロール加圧しながら接着層上に貼りあわせてシーラント層を形成するドライラミネート法や、基材上に接着層を設けた後、押出機から溶融したシーラント樹脂を接着層上に押出してシーラント層を形成する押出ラミネート法等が採用されている。

押出ラミネート法は、シーラント樹脂を予めフィルムに成形する必要がないという利点や、接着層が薄い場合でも十分な接着力を得られる等の利点があることから、積層体を低コスト大量生産することに適している。シーラント樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた押出ラミネート法は、広く用いられている。

しかしながら、基材とポリプロピレン樹脂との接着において、押出ラミネート法では実用的な接着力を有する接着剤がなかったため、ポリプロピレン樹脂をシーラント層として積層体を製造する場合、もっぱら工程数が多く、コスト高であるドライラミネート法が採用されている。

上記のように基材上に接着層を設ける方法としては、樹脂液状化して塗布する方法がある。樹脂の液状化には、例えば、(a)樹脂を溶融して用いる方法、(b)樹脂を有機溶剤に溶解または分散して用いる方法、(c)樹脂を水性媒体に分散して用いる方法などが利用されている。しかし、(a)の方法には、用途が限定されるという問題や、樹脂の溶融粘度との兼ね合いで樹脂の薄肉化が困難であるという問題がある。このため、(b)、(c)の方法が好ましいとされているが、昨今では、環境保護、省資源消防法等による危険物規制職場環境改善の観点から、有機溶剤の使用が制限される傾向にあり、(c)の方法、すなわち樹脂を水性媒体に分散して用いる方法が最も好ましいとされている。
樹脂を水性化する場合、一般的に、樹脂の分散を促進するために界面活性剤が用いられる。しかしながら、界面活性剤は、一般に不揮発性であり、水性化された樹脂から得られた塗膜を乾燥しても、塗膜中に残存するため、その使用量が多い場合は、塗膜の耐水性耐薬品性を著しく低下させる問題があり、また塗膜からブリードアウトする傾向が強まるため、環境的、衛生的にも好ましくなく、さらに、塗膜の性能が、経時的に変化する恐れもあった。

上記のような背景から、非塩素系のバインダー樹脂として、ポリオレフィン樹脂を酸などで変性した変性ポリオレフィン樹脂の開発が行われ、また界面活性剤を実質的に用いずに変性ポリオレフィン樹脂を水性化する検討が行われている。例えば、特許文献1には、界面活性剤を実質的に使用することなく、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を得る技術が開示されている。

概要

水性媒体中特定組成ポリオレフィン樹脂微粒子微細かつ安定的に含有する水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂に対するバインダー成分として、密着性や、耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に優れた塗膜を形成することができる水性分散体を提供する。ポリオレフィン樹脂と水性媒体とを含有するポリオレフィン樹脂水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂が、オレフィン成分不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有し、オレフィン成分が、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)とを含有し、質量比(A/B)が60/40〜95/5であり、(A)と(B)との合計100質量部に対し、共重合成分としての不飽和カルボン酸成分の含有量が、1質量部以上であり、かつ、水性分散体の乾燥残渣における、不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。なし

目的

本発明は、上記の従来技術の欠点を解消するものであり、界面活性剤等の不揮発性水性化助剤を使用しなくても、水性媒体中に特定組成のポリオレフィン樹脂微粒子を微細かつ安定的に含有する水性分散体であって、自動車、電器、包装材料、日用雑貨等を中心に使用されているポリオレフィン樹脂に対するコーティング剤プライマー、塗料、インキ、接着剤等のバインダー成分として、必要な性能であるポリオレフィン樹脂との密着性や、耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に優れた塗膜を形成することができる水性分散体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ポリオレフィン樹脂水性媒体とを含有するポリオレフィン樹脂水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂が、オレフィン成分不飽和カルボン酸成分とを共重合体成分として含有し、オレフィン成分が、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)とを含有し、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との質量比(A/B)が、60/40〜95/5であり、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との合計100質量部に対し、共重合体成分としての不飽和カルボン酸成分の含有量が、1質量部以上であり、かつ、水性分散体乾燥残渣における、不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。

請求項2

プロピレン以外のオレフィン(B)が、ブテンであることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。

請求項3

さらに、架橋剤および/またはポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有することを特徴とする、コーティング剤プライマー塗料インキおよび接着剤から選ばれる水性分散体含有物

請求項5

請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体から得られる塗膜

技術分野

0001

本発明は、コーティング剤プライマー塗料インキ、接着剤等のバインダー成分として好適なポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体に関するものである。

背景技術

0002

ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂は、電気特性力学特性化学特性賦形性、衛生性、リサイクル性等に優れており、自動車電器包装材料日用雑貨等を中心に使用されている。しかし、一般にポリオレフィン樹脂は、分子鎖中に極性基を持たないため、塗料等を塗布することや接着剤によって接着することが困難であるという問題がある。
このため、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂に塗料等を塗布する際や接着剤によって接着する際には、塗料や接着剤のバインダー成分として塩素化ポリオレフィン樹脂を使用することが提案されている。しかし、塩素化ポリオレフィン樹脂は、焼却によって廃棄する際に、酸性ガス等の有害物質を発生するため、近年、環境への関心が高まるにつれ、非塩素系バインダー樹脂への移行が強く望まれている。

0003

包装材料においては、ポリオレフィン樹脂は、例えばシーラント樹脂として使用され、基材上にポリオレフィン樹脂のシーラント樹脂が積層された積層体が用いられている。
このような構成を有する積層体を製造する方法として、基材上に接着層を設けた後、予めフィルム化したシーラント樹脂フィルムを、加熱ロール加圧しながら接着層上に貼りあわせてシーラント層を形成するドライラミネート法や、基材上に接着層を設けた後、押出機から溶融したシーラント樹脂を接着層上に押出してシーラント層を形成する押出ラミネート法等が採用されている。

0004

押出ラミネート法は、シーラント樹脂を予めフィルムに成形する必要がないという利点や、接着層が薄い場合でも十分な接着力を得られる等の利点があることから、積層体を低コスト大量生産することに適している。シーラント樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた押出ラミネート法は、広く用いられている。

0005

しかしながら、基材とポリプロピレン樹脂との接着において、押出ラミネート法では実用的な接着力を有する接着剤がなかったため、ポリプロピレン樹脂をシーラント層として積層体を製造する場合、もっぱら工程数が多く、コスト高であるドライラミネート法が採用されている。

0006

上記のように基材上に接着層を設ける方法としては、樹脂液状化して塗布する方法がある。樹脂の液状化には、例えば、(a)樹脂を溶融して用いる方法、(b)樹脂を有機溶剤に溶解または分散して用いる方法、(c)樹脂を水性媒体に分散して用いる方法などが利用されている。しかし、(a)の方法には、用途が限定されるという問題や、樹脂の溶融粘度との兼ね合いで樹脂の薄肉化が困難であるという問題がある。このため、(b)、(c)の方法が好ましいとされているが、昨今では、環境保護、省資源消防法等による危険物規制職場環境改善の観点から、有機溶剤の使用が制限される傾向にあり、(c)の方法、すなわち樹脂を水性媒体に分散して用いる方法が最も好ましいとされている。
樹脂を水性化する場合、一般的に、樹脂の分散を促進するために界面活性剤が用いられる。しかしながら、界面活性剤は、一般に不揮発性であり、水性化された樹脂から得られた塗膜を乾燥しても、塗膜中に残存するため、その使用量が多い場合は、塗膜の耐水性耐薬品性を著しく低下させる問題があり、また塗膜からブリードアウトする傾向が強まるため、環境的、衛生的にも好ましくなく、さらに、塗膜の性能が、経時的に変化する恐れもあった。

0007

上記のような背景から、非塩素系のバインダー樹脂として、ポリオレフィン樹脂を酸などで変性した変性ポリオレフィン樹脂の開発が行われ、また界面活性剤を実質的に用いずに変性ポリオレフィン樹脂を水性化する検討が行われている。例えば、特許文献1には、界面活性剤を実質的に使用することなく、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を得る技術が開示されている。

先行技術

0008

国際公開第2004/104090号

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、特許文献1に開示された酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体は、界面活性剤が使用されていないため、水性分散体における樹脂粒子重量平均粒子径が比較的大きくなることがあり、低温での造膜性が低下したり、また、得られた塗膜は、耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に劣ることがあり、改善の余地があるものであった。

0010

本発明は、上記の従来技術の欠点を解消するものであり、界面活性剤等の不揮発性水性化助剤を使用しなくても、水性媒体中特定組成ポリオレフィン樹脂微粒子微細かつ安定的に含有する水性分散体であって、自動車、電器、包装材料、日用雑貨等を中心に使用されているポリオレフィン樹脂に対するコーティング剤、プライマー、塗料、インキ、接着剤等のバインダー成分として、必要な性能であるポリオレフィン樹脂との密着性や、耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に優れた塗膜を形成することができる水性分散体を提供することを課題とするものである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、酸変性ポリオレフィン樹脂として、特定の構成を有するものを用い、また水性分散体における、酸変性成分モノマー量特定量以下とすることで上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。

0012

すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ポリオレフィン樹脂と水性媒体とを含有するポリオレフィン樹脂水性分散体であって、
ポリオレフィン樹脂が、オレフィン成分不飽和カルボン酸成分とを共重合体成分として含有し、
オレフィン成分が、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)とを含有し、
プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との質量比(A/B)が、60/40〜95/5であり、
プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との合計100質量部に対し、共重合体成分としての不飽和カルボン酸成分の含有量が、1質量部以上であり、かつ、
水性分散体の乾燥残渣における、不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることを特徴とするポリオレフィン樹脂水性分散体。
(2)プロピレン以外のオレフィン(B)が、ブテンであることを特徴とする(1)記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(3)さらに、架橋剤および/またはポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のポリオレフィン樹脂水性分散体。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有することを特徴とする、コーティング剤、プライマー、塗料、インキおよび接着剤から選ばれる水性分散体含有物
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂水性分散体から得られる塗膜。

発明の効果

0013

本発明の水性分散体が含有するポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分として、プロピレンと、プロピレン以外のオレフィンとを含有し、酸変性成分として、不飽和カルボン酸成分を特定量以上含有し、かつ、水性分散体の乾燥残渣における、不飽和カルボン酸モノマー量が特定量以下であることにより、ポリオレフィン樹脂は、水性媒体中において非常に微細化された分散状態を呈することができる。そして水性分散体は、低温造膜性に優れ、製膜時に従来と比べ、より低温、短時間で乾燥しても、ポリオレフィン基材との密着性に優れる塗膜が得られ、得られた塗膜は、不揮発性水性化助剤を含有していないので、ポリオレフィン樹脂本来の特性が損なわれることがなく、基材との密着性、耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に優れたものとなる。さらに、ポリオレフィン樹脂に加えて、架橋剤および/またはポリウレタン樹脂を含有する水性分散体から得られる塗膜は、耐薬品性および耐湿熱性が顕著に優れたものとなる。また、本発明の水性分散体はポリプロピレン樹脂押出ラミネート用の優れた接着剤として利用することができる。
本発明の水性分散体は、無機粒子などの様々な材料との混合安定性に優れており、各種コーティング剤、プライマー、塗料、インキ、接着剤等のバインダー用途として好適である。特に、ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径が0.05μm以下である水性分散体は、添加剤を添加した際の効果や透明性が顕著に高く、上記用途として特に好適である。
さらに、ポリオレフィン樹脂として、上記構成のものを使用することにより、このような水性分散体を低コストで安定的に製造することが可能となる。

0014

以下本発明を詳細に説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、ポリオレフィン樹脂と水性媒体とを含有するものである。

0015

<ポリオレフィン樹脂>
まず、ポリオレフィン樹脂について説明する。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有するものであり、オレフィン成分は、プロピレン(A)とプロピレン以外のオレフィン(B)とを含有する。
本発明において、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との質量比(A/B)は、ポリオレフィン樹脂の分散粒子径を小さくする観点、および塗膜のポリプロピレン製基材(以下、PP製基材と称することがある)への接着性を向上させる観点から、60/40〜95/5であることが必要であり、60/40〜80/20であることが好ましい。プロピレン(A)の割合が60質量%未満であると、PP製基材への接着性が低下し、一方、95質量%を超えると、ポリオレフィン樹脂の分散粒子径が大きくなり、樹脂の水性分散化が困難となることがある。

0016

プロピレン以外のオレフィン(B)としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン1−オクテンノルボルネン類等のアルケン類や、ブタジエンイソプレン等のジエン類が挙げられる。中でも、ポリオレフィン樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さ、各種材料に対する接着性、特にPP製基材に対する接着性、ブロッキング性等の点から、ブテン(1−ブテン、イソブテンなど)であることが好ましい。

0017

なお、プロピレン以外のオレフィン(B)としてのエチレンは、(A)と(B)とを含有したオレフィン成分中における含有量が、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、プロピレン以外のオレフィンとしてエチレンを含まないことがさらに好ましい。一般的に、ポリオレフィン樹脂がエチレンを含むと、後述するような方法で不飽和カルボン酸成分を共重合させる際に、競争的に架橋反応が起こることが知られている。架橋反応が進行すると、酸変性により得られるポリオレフィン樹脂の高分子量化が起こり、酸変性の操業性が低下することがある。また水性分散体中のポリオレフィン樹脂の粒子径が増大することがあり、さらには、エチレンの含有量によっては、ポリオレフィン樹脂の水性分散化が困難になることがある。そのため、本発明の水性分散体においては、オレフィン樹脂のオレフィン成分は、エチレン以外で構成されることが好ましい。

0018

ポリオレフィン樹脂において、各成分の共重合形態は限定されず、ランダム共重合ブロック共重合グラフト共重合等が挙げられるが、重合のし易さの点から、ランダム共重合されていることが好ましい。また、必要に応じて、複数種のポリオレフィン樹脂を混合使用してもよい。

0019

本発明におけるポリオレフィン樹脂は、上記オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有する樹脂である。共重合成分としての不飽和カルボン酸成分の含有量は、水性媒体への分散性の観点から、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との合計100質量部(A+B)に対し、1質量部以上であることが必要であり、1〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましく、1.5〜7質量部であることが最も好ましい。不飽和カルボン酸成分の含有量が1質量部未満であると、ポリオレフィン樹脂を水性化することが困難となり、また、通常は、含有量が15質量部を超えると、樹脂の水性化は容易になるが、PP製基材への接着性が低下することがある。

0020

本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、後述するように、水性分散体の乾燥残渣における、不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることが必要である。通常、後述する方法により不飽和カルボン酸成分を未変性ポリオレフィン樹脂に導入した場合、未反応の不飽和カルボン酸モノマーが、ポリオレフィン樹脂に残存する。また、ポリオレフィン樹脂における、共重合成分としての不飽和カルボン酸成分の含有量が多ければ、未反応の不飽和カルボン酸モノマーが多く残存する傾向にある。
不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppmを超えるポリオレフィン樹脂を使用して水性分散体を連続生産すると、生産回数を重ねるにつれ、水性分散体中の樹脂の重量平均粒子径が増大したり、また水性分散体の粘度が上昇することがある。また不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppmを超えるポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体から得られた塗膜は、耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に劣ることがある。

0021

本発明者らによると、ポリオレフィン樹脂のみを固形成分とする水性分散体の乾燥残渣における不飽和カルボン酸モノマー量は、水性化前の該ポリオレフィン樹脂原料にて測定した不飽和カルボン酸モノマー量と一致することが確認されている。
したがって、ポリオレフィン樹脂水性分散体を構成するポリオレフィン樹脂として、不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であるものを使用することが好ましい。水性分散体連続生産時のポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径増大や水性分散体の粘度上昇の抑制、また、水性分散体から得られる塗膜の耐水性、耐薬品性、耐湿熱性などの物性を更に求める場合、ポリオレフィン樹脂における、不飽和カルボン酸モノマー量は5,000ppm以下であることがより好ましく、1,000ppm以下であることがさらに好ましく、500ppm以下であることが特に好ましく、100ppm以下であることが最も好ましい。

0022

ポリオレフィン樹脂中の、不飽和カルボン酸モノマー量を低減する方法は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂から減圧留去する方法、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させて再沈殿することにより分離する方法、粉末ペレット状にしたポリオレフィン樹脂を水や有機溶媒中で洗浄する方法、ソックスレー抽出法により低減する方法などが挙げられる。中でも、操作性や低減効率の観点から、ポリオレフィン樹脂から減圧留去する方法、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させて再沈殿することにより分離する方法、粉末やペレット状にしたポリオレフィン樹脂を水や有機溶媒中で洗浄する方法が好ましい。

0023

ポリオレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸モノマーを定量する方法としては、公知の方法を用いることができる。一例としては、水、アセトン、MEK、メタノールエタノールなどの抽出溶媒にて樹脂から不飽和カルボン酸モノマーを抽出し、液体クロマトグラフィーガスクロマトグラフィーなどを用いて定量することができる。また、不飽和カルボン酸モノマーの酸無水物を定量する際は、加水分解することにより対応する不飽和カルボン酸モノマーとして定量してもよい。

0024

不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸メタクリル酸マレイン酸無水マレイン酸イタコン酸無水イタコン酸アコニット酸無水アコニット酸、フマル酸クロトン酸シトラコン酸メサコン酸アリルコハク酸等のほか、不飽和ジカルボン酸ハーフエステルハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物も用いることができる。中でも、プロピレン(A)とプロピレン以外のオレフィン(B)とを含有するポリオレフィン樹脂(以下、未変性ポリオレフィン樹脂と称する)への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
したがって、本発明では、上述のようにプロピレン以外のオレフィン(B)としてブテンが好適であることから、ポリオレフィン樹脂として、プロピレン/ブテン/無水マレイン酸三元共重合体を使用することが好ましい。

0025

不飽和カルボン酸成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではない。例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
なお、ポリオレフィン樹脂に導入された酸無水物成分は、乾燥状態では酸無水物構造を取りやすく、後述する塩基性化合物を含有する水性媒体中ではその一部または全部が開環し、カルボン酸またはその塩となる傾向がある。

0026

不飽和カルボン酸成分を、未変性ポリオレフィン樹脂へ導入する方法は特に限定されず、例えば、ラジカル発生剤存在下、未変性ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸成分とを未変性ポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、未変性ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸成分を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法等により、未変性ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸成分をグラフト共重合する方法が挙げられる。
グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエートエチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類が挙げられる。これらは反応温度によって、適宜選択して使用すればよい。

0027

本発明におけるポリオレフィン樹脂には、必要に応じて上記以外の他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、(メタアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類マレイン酸ジメチルマレイン酸ジエチルマレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類メチルビニルエーテルエチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル酢酸ビニルプロピオン酸ビニルピバリン酸ビニルバーサチック酸ビニル等のビニルエステル類並びにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレートグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルスチレン置換スチレンハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素二酸化硫黄等が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。
これら他の成分の含有量は、一般に、ポリオレフィン樹脂の10質量%以下であることが好ましい。

0028

本発明におけるポリオレフィン樹脂は、重量平均分子量が、5,000〜200,000であることが好ましく、10,000〜150,000であることがより好ましく、20,000〜120,000であることがさらに好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましく、35,000〜80,000であることが最も好ましい。ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が5,000未満であると、基材との接着性が低下したり、得られる塗膜が硬くてもろくなる傾向があり、一方、重量平均分子量が200,000を超えると、樹脂の水性化が困難になる傾向がある。なお、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂標準として求めることができる。

0029

一般にポリオレフィン樹脂は、溶剤に対して難溶であり、このため分子量測定が困難となる場合がある。そのような場合には、溶融樹脂流動性を示すメルトフローレート値を分子量の目安とするのがよい。

0030

<水性媒体>
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、上記のポリオレフィン樹脂と水性媒体とを含有するものであり、ポリオレフィン樹脂は、水性媒体中に分散もしくは溶解されている。本発明において、水性媒体とは、水を主成分とする液体であり、後述する有機溶剤や塩基性化合物を含有していてもよい。

0031

塩基性化合物としては、アンモニアトリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンイソプロピルアミンアミノエタノールジメチルアミノエタノールジエチルアミノエタノールエチルアミンジエチルアミンイソブチルアミンジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミンモルホリンN−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロールピリジン等が挙げられる。塩基性化合物の配合量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜10倍当量であることが好ましく、0.8〜5倍当量がより好ましく、0.9〜3.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、10倍当量を超えると塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体の安定性が低下したりすることがある。

0032

本発明においては、ポリオレフィン樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性化の際に親水性有機溶剤を配合することが好ましい。親水性有機溶剤の含有量としては、水性媒体全体に対し50質量%以下が好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%がさらに好ましく、3〜35質量%が特に好ましい。親水性有機溶剤の含有量が50質量%を超える場合には、実質的に水性媒体と見なせなくなり、本発明の目的のひとつ(環境保護)を逸脱するだけでなく、使用する親水性有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下することがある。
親水性有機溶剤としては、分散安定性良好な水性分散体を得るという点から、20℃の水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく、20g/L以上のものがより好ましく、50g/L以上のものがさらに好ましい。
親水性有機溶剤としては、製膜の過程で効率よく塗膜から除去させる観点から、沸点が150℃以下のものが好ましい。沸点が150℃を超える親水性有機溶剤は、塗膜から乾燥により飛散させることが困難となる傾向にあり、特に低温乾燥時の塗膜の耐水性や基材との接着性等が低下することがある。

0033

好ましい親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノールイソプロパノールn−ブタノールイソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコールイソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール2−メチル−1−ブタノールn−ヘキサノールシクロヘキサノール等のアルコール類メチルエチルケトンメチルイソブチルケトンエチルブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン類テトラヒドロフランジオキサン等のエーテル類酢酸エチル酢酸−n−プロピル酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチルプロピオン酸エチル炭酸ジエチル炭酸ジメチル等のエステル類エチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノプロピルエーテルエチレングリコールモノブチルエーテルエチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールメトキシブタノールアセトニトリルジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドジアセトンアルコールアセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。
中でも、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、ポリオレフィン樹脂の水性化促進により効果的であり、好ましい。
本発明では、これらの親水性有機溶剤を複数混合して使用してもよい。

0034

ポリオレフィン樹脂の水性化をより促進させるために、疎水性有機溶剤をさらに添加してもよい。疎水性有機溶剤としては、20℃の水に対する溶解性が10g/L未満であり、上記と同じ理由で、沸点が150℃以下である有機溶剤が好ましい。このような疎水性有機溶剤としては、例えば、n−ペンタンn−ヘキサン、n−ヘプタンシクロヘプタンシクロヘキサン石油エーテル等のオレフィン系溶剤ベンゼントルエンキシレン等の芳香族系溶剤四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレントリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタンクロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。これらの疎水性有機溶剤の添加量は、水性分散体に対して15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。疎水性有機溶剤の添加量が15質量%を超えると、ゲル化等を引き起こすことがある。

0035

<ポリオレフィン樹脂水性分散体>
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体において、水性分散体中に分散しているポリオレフィン樹脂粒子の粒子径は、特に限定されないが、低温造膜性、塗膜の緻密性や透明性、他材料との混合安定性の観点から、重量平均粒子径が0.15μm以下であることが好ましく、0.10μm以下であることがより好ましく、0.001〜0.10μmであることがさらに好ましく、0.001〜0.05μmであることが特に好ましい。

0036

また、本発明では、水性分散体におけるポリオレフィン樹脂の粒子径分布にかかる分散度(重量平均粒子径/数平均粒子径)は、2.6以下であることが好ましく、特に塗膜の平滑性の観点から、2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることがさらに好ましい。分散度が2.6を超えると、塗膜の平滑性、密着性が低下する傾向にある。

0037

本発明では、ゼータ電位は、−20mV以下であることが好ましく、−30mV以下であることがより好ましい。ポリオレフィン樹脂水性分散体は、ゼータ電位が−20mV以下であると、分散安定性に優れ、さらに種々の添加剤と混合した際の混合安定性にも優れる。

0038

本発明において、水性分散体におけるポリオレフィン樹脂の含有量は、製膜条件や塗膜の厚さ、性能等に応じて適宜選択でき、特に限定されるものでないが、水性分散体の粘性を適度に保ち、かつ良好な塗膜形成能発現させる点で、1〜60質量%であることが好ましく、3〜55質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましく、10〜45質量%であることが特に好ましい。

0039

本発明の水性分散体は、不揮発性の水性化助剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明は、不揮発性水性化助剤の使用を排除するものではないが、水性化助剤を用いずとも、本発明の製造方法を用いることで、ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に微細かつ安定的に分散することができる。このため、低温乾燥における塗膜特性、特に耐水性、基材との接着性、ヒートシール性が優れており、これらの性能は長期的にもほとんど変化しない。

0040

ここで、「水性化助剤」とは、水性分散体の製造において、水性化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。

0041

「不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない」とは、こうした助剤を製造時(樹脂の水性化時)に用いず、得られる分散体が結果的にこの助剤を含有しないことを意味する。したがって、こうした水性化助剤は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリオレフィン樹脂成分に対して5質量%以下、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%未満程度含まれていても差し支えない。

0042

本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、例えば、後述する乳化剤保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価酸変性化合物水溶性高分子などが挙げられる。

0044

保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールカルボキシル基変性ポリビニルアルコールカルボキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロース変性デンプンポリビニルピロリドンポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体ゼラチンアラビアゴムカゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物等が挙げられる。

0045

本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を構成するポリオレフィン樹脂は、上記のように、オレフィン成分と不飽和カルボン酸成分とを共重合成分として含有するものであり、共重合成分としての不飽和カルボン酸成分の含有量は、水性媒体への分散性の観点から、プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との合計100質量部(A+B)に対し、1質量部以上であることが必要である。
また、上記ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体においては、水性分散体の乾燥残渣における不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppm以下であることが必要である。また、水性分散体連続生産時のポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径増大や水性分散体の粘度上昇の抑制、また、水性分散体から得られる塗膜の耐水性、耐薬品性、耐湿熱性等の物性を更に求める場合、不飽和カルボン酸モノマー量は5,000ppm以下であることがより好ましく、1,000ppm以下であることがさらに好ましく、500ppm以下であることが特に好ましく、100ppm以下であることが最も好ましい。後述する添加物を含む場合、乾燥残渣とは、添加物添加後の水性分散体の乾燥残渣を指す。
上述のように、ポリオレフィン樹脂には未反応の不飽和カルボン酸モノマーが残存する。水性分散体の乾燥残渣に含まれる不飽和カルボン酸モノマー量が10,000ppmを超えると、得られる塗膜の耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に劣ることがある。
水性分散体の乾燥残渣における不飽和カルボン酸モノマーは、水性分散体から液状媒体を除去した乾燥残渣を用意し、上述のポリオレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸モノマーを定量する方法と同様の方法で定量することができる。

0046

<ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法>
次に、ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法について、一例を説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を得るための方法は特に限定されないが、既述の各成分、すなわち、ポリオレフィン樹脂、水性媒体、必要に応じて有機溶剤、塩基性化合物等を、密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法が採用でき、この方法が最も好ましい。

0047

容器としては、固/液撹拌装置乳化機として使用されている装置を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の撹拌でよい。したがって、高速撹拌(例えば1000rpm以上)は必須ではなく、簡便な装置でも水性分散体の製造が可能である。

0048

例えば、上記装置に、ポリオレフィン樹脂、水性媒体等の原料投入し、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の温度を80〜240℃、好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは110〜200℃、特に好ましくは110〜190℃の温度に保ちつつ、好ましくは粗大粒子が無くなるまで攪拌を続ける(例えば、5〜300分間)。

0049

その後、さらに系内に塩基性化合物、有機溶剤および水から選ばれる少なくとも1種を加え、密閉容器中で、再度、80〜240℃の温度下で加熱、攪拌する。このように、水性媒体を構成するものを追加し、再度加熱、攪拌することで、ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径を0.15μm以下にすることができる。また、このように2段階の工程によって樹脂を水性化することは、粒子径分布にかかる分散度を好ましい範囲に調整するうえでも好ましい。
なお、塩基性化合物、有機溶剤、水を追加配合する方法は特に限定されないが、ギヤポンプなどを用いて加圧下で配合する方法や、一旦系内温度下げ常圧になってから配合する方法などがある。
追加配合する塩基性化合物と、有機溶剤と、水との割合は、所望する固形分濃度、粒子径、分散度等に応じて適宜決めればよい。また、塩基性化合物、有機溶剤、水の合計は、配合した後の固形分濃度が1〜50質量%となるよう調整することが好ましく、2〜45質量%となる量がより好ましく、3〜40質量%となる量が特に好ましい。

0050

上記工程において、槽内の温度が80℃未満であると、ポリオレフィン樹脂の水性化が進行し難くなり、一方、槽内の温度が240℃を超えると、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下することがある。

0051

水性分散体の製造時に上記の有機溶剤を用いた場合には、樹脂の水性化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤の含有量を低減させてもよい。ストリッピングにより、水性分散体中の有機溶剤含有量は、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすればより好ましく、1質量%以下とすることが、環境上より好ましい。ストリッピングの工程では、水性化に使用した有機溶剤を実質的に全て留去することもできるが、装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くしたりする必要があるため、こうした生産性を考慮した場合、有機溶剤含有量の下限は0.01質量%程度が好ましい。
ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法が挙げられる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるので、例えば、粘度が上昇して作業性が低下するような場合には、予め水性分散体に水を添加しておいてもよい。

0052

水性分散体の固形分濃度は、例えば、水性媒体を留去する方法や、水で希釈する方法により調整することができる。

0053

本発明の製造方法を採用することで、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に効率よく分散または溶解された、均一な液状の水性分散体を調製することが可能となる。ここで、均一な液状であるとは、外観上、水性分散体中に沈殿相分離あるいは皮張りといった、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態にあることをいう。

0054

<添加物>
本発明の水性分散体には、目的に応じて性能をさらに向上させるために、他の重合体粘着付与剤、無機粒子、架橋剤、顔料染料等を添加することができる。

0055

本発明の水性分散体に添加する他の重合体、粘着付与剤は、特に限定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ポリ塩化ビニルポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂塩素化ポリエチレン樹脂塩素化ポリプロピレン樹脂ポリエステル樹脂変性ナイロン樹脂ロジンなどの粘着付与樹脂フェノール樹脂シリコーン樹脂エポキシ樹脂等が挙げられ、必要に応じて複数のものを混合使用してもよい。なお、これらの重合体は、固形状のままで使用に供してもよいが、水性分散体の安定性維持の点では、水性分散体に加工したものを用いることが好ましい。中でも、基材との密着性、耐薬品性、耐熱性の観点から、ポリウレタン樹脂を添加することが好ましい。

0056

ポリウレタン樹脂としては、主鎖中にウレタン結合を含有する高分子を使用することができ、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られる高分子を使用することができる。
ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されず、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコールトリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオールネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類などの高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール類ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基転化したダイマージオール等が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分としては、芳香族脂肪族または脂環族に属する公知のジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネートヘキサメチレンジイソシアネートキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートイソホロンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、およびこれらのアダクト体ビウレット体イソシアヌレート体などが挙げられる。また、ジイソシアネート類には、トリフェニルメタントリイソシアネートポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
本発明において、水性分散体に添加するのに適した水系のポリウレタン樹脂として、市販のものを使用することができる。市販の水系のポリウレタン樹脂としては、三井化学社製のタケラックシリーズ(W−615、W−6010、W−511など)、アデカ社製アデカボンタイターシリーズ(HUX−232、HUX−320、HUX−380、HUX−401など)、第一工業製薬社製のスーパーフレックスシリーズ(500、550、610、650など)、大日本インキ化学工業社製ハイドランシリーズ(HW−311、HW−350、HW−150など)等が挙げられる。

0057

添加物としてポリウレタン樹脂を用いる場合、その含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜300質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましく、3〜100質量部であることがさらに好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量が1質量部未満では、塗膜性能の向上が十分でないことがあり、一方、300質量部を超えると、基材に対する接着性が低下することがある。

0058

本発明の水性分散体に添加する無機粒子としては、酸化マグネシウム酸化亜鉛酸化すず等の金属酸化物炭酸カルシウムシリカ等の無機粒子や、バーミキュライトモンモリロナイトヘクトライトハイドロタルサイト合成雲母等の層状無機化合物等が挙げられる。これらの無機粒子の平均粒子径は、水性分散体の安定性の面から、0.005〜10μmであることが好ましく、0.005〜5μmであることがより好ましい。なお、無機粒子として複数のものを混合して使用してもよい。酸化亜鉛は紫外線遮蔽の目的に、酸化すずは帯電防止の目的にそれぞれ使用できるものである。

0059

本発明の水性分散体に添加する架橋剤として、自己架橋性を有する架橋剤、不飽和カルボン酸成分と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属等を用いることができる。
具体的には、オキサゾリン基含有化合物カルボジイミド基含有化合物イソシアネート基含有化合物エポキシ基含有化合物メラミン化合物尿素化合物ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が挙げられ、必要に応じて複数のものを混合使用してもよい。中でも、取り扱い易さの観点から、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基含有化合物を添加することが好ましい。

0060

オキサゾリン基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のオキサゾリン基を有しているものであれば特に限定されない。例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド等のオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマー等が挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いのし易さからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
オキサゾリン基含有ポリマーは、一般に2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。オキサゾリン基含有ポリマーには、必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を採用することができる。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製のエポクロスシリーズが挙げられ、例えば、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」;エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。

0061

カルボジイミド基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のカルボジイミド基を有しているものであれば特に限定されない。例えば、p−フェニレン−ビス(2,6−キシリルカルボジイミド)、テトラメチレン−ビス(t−ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチレン−t−ブチルカルボジイミド)等のカルボジイミド基を有する化合物や、カルボジイミド基を有する重合体であるポリカルボジイミドが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱い易さから、ポリカルボジイミドが好ましい。
ポリカルボジイミドの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造することができる。イソシアネート化合物も限定されるものではなく、脂肪族イソシアネート脂環族イソシアネート芳香族イソシアネートのいずれであっても構わない。イソシアネート化合物は、必要に応じて多官能液状ゴムポリアルキレンジオール等が共重合されていてもよい。ポリカルボジイミドの市販品としては、日清紡社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。具体的な商品としては、例えば、水溶性タイプの「SV−02」、「V−02」、「V−02−L2」、「V−04」;エマルションタイプの「E−01」、「E−02」;有機溶液タイプの「V−01」、「V−03」、「V−07」、「V−09」;無溶剤タイプの「V−05」等が挙げられる。

0062

イソシアネート基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のイソシアネート基を有しているものであれば特に限定されない。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4′−または4,4′−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−または2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−または1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3、3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン、4,4′−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンヘキサヒドロトルエン2,4−または2,6−ジイソシアネート、ぺルヒドロ−2,4′−または4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物、あるいはそれらの改変生成物が挙げられる。ここで、改変生成物とは、多官能イソシアネート化合物のうちのジイソシアネートを公知の方法で変性することによって得られるものであり、例えば、アロファネート基ビューレット基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基ウレトジオン基イソシアヌレート基等を有する多官能イソシアネート化合物、さらにはトリメチロールプロパン等の多官能アルコールで変性したアダクト型の多官能イソシアネート化合物を挙げることができる。なお、上記イソシアネート基含有化合物には、20質量%以下の範囲でモノイソシアネートが含有されていてもよい。また、これらの1種または2種以上を用いることができる。
イソシアネート基含有化合物は、通常、多官能イソシアネート化合物と一価または多価のノニオン性ポリアルキレンエーテルアルコールと反応させて得ることができる。そのような水性の多官能イソシアネート化合物の市販品としては、住友バイエルウレタン社製のバイヒジュール(Bayhydur)3100、バイヒジュールVPLS2150/1、SBUイソシアネートL801、デスモジュール(Desmodur)N3400、デスモジュールVPLS2102、デスモジュールVPLS2025/1、SBUイソシアネート0772、デスモジュールDN、武田薬品工業社製タケネートWD720、タケネートWD725、タケネートWD730、旭化成工業社製のデュラネートWB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWX−1741、BASF社製のバソナート(Basonat)HW−100、バソナートLR−9056等が挙げられる。

0063

エポキシ基含有化合物は、分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有しているものであれば特に限定されない。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAβ−ジメチルグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテルレゾルシノールジグリシジルエーテルブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クロル化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、エポキシウレタン樹脂等のグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸グリシジルエーテル・エステル等のグリシジルエーテル・エステル型フタル酸ジグリシジルエステルテトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、アクリル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル型;グリシジルアニリンテトラグリシジルジアミノジフェニルメタントリグリシジルイソシアヌレートトリグリシジルアミノフェノール等のグリシジルアミン型;エポキシ化ポリブタジエンエポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂;3,4−エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチル)アジペートビニルシクロヘキセンエポキサイドジシクロペンタジエンオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキサイド等の脂環族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの1種または2種以上を用いることができる。
市販のエポキシ化合物としては、本発明に適した水系のものとして、例えば、長ケムテック社製のデナコールシリーズ(EM−150、EM−101など)、旭電化工業社製のアデカレジンシリーズ等が挙げられ、UVインキ密着性耐スクラッチ性向上の点から多官能エポキシ樹脂エマルションである旭電化社製のアデカレジンEM−0517、EM−0526、EM−11−50B、EM−051Rなどが好ましい。

0064

架橋剤の添加量は、塗膜の耐水性や耐溶剤性等を向上させる観点から、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、0.01〜80質量部であることが好ましく、0.1〜50質量部であることがより好ましく、0.5〜30質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の添加量が0.01質量部未満であると、塗膜性能の向上が十分でないことがあり、80質量部を超えると、加工性等が低下することがある。

0065

本発明の水性分散体に添加する顔料、染料としては、酸化チタン亜鉛華カーボンブラック等が挙げられ、分散染料酸性染料カチオン染料反応染料等いずれのものも使用することが可能である。
本発明の水性分散体には、さらに必要に応じて、レベリング剤消泡剤ワキ防止剤顔料分散剤紫外線吸収剤増粘剤、耐候剤、難燃剤等の各種薬剤を添加することも可能である。

0066

<ポリオレフィン樹脂水性分散体の使用方法
次に、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体の使用方法について説明する。
本発明の水性分散体は、塗膜形成能に優れるものであり、具体的には、本発明の水性分散体を、各種基材表面に均一に塗布し、必要に応じて室温付近セッティングした後、乾燥または乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な塗膜を各種基材表面に接着させて形成することができる。

0067

製膜には、公知の方法、例えばグラビアロールコーティングリバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティングカーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティングはけ塗り法等が採用できる。
水性分散体の塗布量は、その用途によって適宜選択され、乾燥後の塗布量として0.01〜100g/m2であることが好ましく、0.1〜50g/m2であることがより好ましく、0.2〜30g/m2であることがさらに好ましい。乾燥後の塗布量が0.01〜100g/m2となるよう製膜すれば、均一性に優れる塗膜を得ることができる。
なお、塗布量を調節するためには、塗布に用いる装置やその使用条件を適宜選択することに加えて、目的とする塗膜の厚さに応じて濃度調整された水性分散体を使用することが好ましい。水性分散体の濃度は、調製時の仕込み組成により調整することが可能であり、また、一旦調製した水性分散体を、適宜希釈したり、あるいは濃縮して、調整してもよい。

0068

乾燥や焼き付けのための加熱装置として、通常の熱風循環型のオーブン赤外線ヒーター等を使用することができる。
加熱温度や加熱時間は、被塗布物である基材の特性や、水性分散体中に任意に配合しうる前述の各種材料の添加量により適宜選択される。加熱温度としては、20〜250℃であることが好ましく、60〜230℃であることがより好ましく、80〜210℃であることがさらに好ましい。一方、加熱時間は、1秒〜20分であることが好ましく、5秒〜15分であることがより好ましく、5秒〜10分であることがさらに好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。

0069

本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体から得られる塗膜は、ポリオレフィン樹脂基材との接着性に優れるため、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、コーティング剤、プライマー、塗料、インキ等として好適に使用できる。
さらに、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体から得られる塗膜は、ポリオレフィン樹脂以外の他の基材との接着性も良好であるため、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、基材どうしを接着して積層体とするための接着剤として好適に使用できる。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を含有するコーティング剤、プライマー、塗料、インキ、接着剤などの具体例としては、PP押出ラミアンカーコート剤二次電池セパレータ用コーティング剤、UV硬化コート剤用プライマー、靴用プライマー、自動車バンパー用プライマー、クリアボックス用プライマー、PP基材用塗料、包装材料用接着剤、紙容器用接着剤、蓋材用接着剤、インモールド転写箔用接着剤、PP鋼板用接着剤、太陽電池モジュール用接着剤植毛用接着剤二次電池電極用バインダー用接着剤、二次電池外装用接着剤、自動車用ベルトモール用接着剤、自動車部材用接着剤、異種基材用接着剤、繊維収束剤などが挙げられる。

0070

本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、シーラント樹脂としてのポリプロピレン樹脂を基材に積層する際の接着剤として用いることができる。
積層体の製造方法としては、どのような方法を採用してもよいが、例えばドライラミネート法や押出ラミネート法が挙げられる。本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、より工程が簡便でコスト的に有利である、押出ラミネート法による積層体の製造に適用することができる。

0071

積層体の具体的な製造条件として、ポリプロピレン樹脂を含有するシーラント樹脂をTダイから溶融押出してシーラント層を形成する際の、Tダイから押出された直後の樹脂温度は、230〜300℃であることが好ましい。Tダイから押出された直後の樹脂温度は、接着性を向上させるためには、より高い温度であることが好ましいが、ポリプロピレン樹脂の熱分解を抑制する観点から、230〜270℃であることがより好ましく、240〜260℃であることがさらに好ましい。

0072

シーラント樹脂を接着層表面に積層して得られた積層体は、接着性の向上を目的として、エージング処理を施してもよい。エージング処理温度は、常温〜100℃程度であることが好ましく、積層体への熱によるダメージ経済性の観点から、30〜60℃であることがより好ましく、40〜50℃であることがさらに好ましい。

0073

積層体のラミネート強度剥離強度)は、引張り試験機を用いて、20℃、65%RHの雰囲気中、引張り強度200mm/分の条件でT型剥離試験を行うことで、評価することができる。なお、剥離強度が非常に高い場合は、測定時にシーラント層に伸び切れが発生し、剥離が不可能となるため、正確な剥離強度を測定することができないことがある。このような現象は、ラミネート状態として最も好ましい状態といえ、優れた接着性の裏づけとなる。
一般に積層体からなる包装材料は、剥離強度が1.0N/15mm以上であることが求められており、実用上問題のないレベルとしては1.5N/15mm以上であることが好ましく、2.0N/15mm以上であることがより好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を使用して積層された積層体を包装材料として使用する場合、内容物の保存後や、レトルト処理およびボイル処理などを行った後においても、剥離強度は1.5N/15mm以上保持していることが好ましく、2.0N/15mm以上保持していることがより好ましく、剥離強度が低下していないことが最も好ましい。

0074

以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、各種の特性は、以下の方法により測定または評価した。

0075

1.ポリオレフィン樹脂
(1)不飽和カルボン酸成分の含有量
プロピレン(A)とプロピレン以外のオレフィン(B)との合計に対する不飽和カルボン酸成分の含有量は、赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer System−2000フーリエ変換赤外分光光度計分解能4cm−1)により求めた。

0076

(2)不飽和カルボン酸成分以外の樹脂の構成
プロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との質量比は、オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H−NMR、13C−NMR分析バリアン社製、300MHz)を行い求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法に基づき測定した。

0077

(3)重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1mL/min、40℃の条件で測定した。約10mgの樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合はオルトジクロロベンゼンで溶解した。

0078

(4)不飽和カルボン酸モノマー量
凍結粉砕して微粉化したポリオレフィン樹脂ペレット約0.05gを精し、20mLのメタノールを抽出溶媒とし、連続転倒混和により室温で21時間抽出を行った。この抽出液ディスクフィルター孔径0.45μm)で濾過した濾液について、高速液体クロマトグラフィー(Hewlett Packard社製 HP1100、カラムはWaters社製 Puresil 5μm C18 120Å φ4.6mm×250mm(40℃))にて定量した。
不飽和カルボン酸モノマー量が1,000ppm未満の場合、ポリオレフィン樹脂ペレット量を0.5gに変更して同様に定量した。
検量線は、濃度既知の不飽和カルボン酸モノマー標準サンプルを用いて作成した。

0079

2.水性分散体
(1)ポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径、重量平均粒子径、および分散度
日機装社製、Nanotrac Wave−UZ152粒度分布測定装置を用いて、数平均粒子径(mn)、重量平均粒子径(mw)を測定した。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
分散度は、下記式に基づき算出した。
分散度=重量平均粒子径(mw)/数平均粒子径(mn)

0080

(2)ゼータ電位
上記(1)記載の装置を用いて測定した。

0081

(3)粘度
300メッシュ濾過後の水性分散体を、B型粘度計(トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計)を用い、温度20℃における回転粘度(mPa・s)を測定した。

0082

(4)不飽和カルボン酸モノマー量
水性分散体を乾燥することにより得た乾燥残渣を凍結粉砕して得られた微粉末を約0.05g精秤し、20mLのメタノールを抽出溶媒とし、連続転倒混和により室温で21時間抽出を行った。この抽出液をディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過した濾液について、高速液体クロマトグラフィー(Hewlett Packard社製 HP1100、カラムはWaters社製 Puresil 5μm C18 120Å φ4.6mm×250mm(40℃))にて定量した。
不飽和カルボン酸モノマー量が1,000ppm未満の場合、該乾燥残渣量を0.5gに変更して同様に定量した。
検量線は、濃度既知の不飽和カルボン酸モノマー標準サンプルを用いて作成した。

0083

(5)混合安定性
ポリオレフィン樹脂水性分散体と、顔料としてカーボンブラックを含有する水性分散体(ライオン社製、ライオンペーストW−376R)とを、ポリオレフィン樹脂の固形分100質量部に対しカーボンブラックが固形分換算で80質量部となるように配合し、プロペラ攪拌して水性塗料を作製した。得られた塗料を40℃下で30日放置して塗料の状態を目視で観察し、下記3段階で評価した。
○:凝集物や相分離なし。
△:相分離はないが、少量の凝集物がある。
×:多量の凝集物があるか、または相分離がある。

0084

3.塗膜
(1)密着性
水性分散体を、PP成形片(PP:日本ポリプロピレン社製、ノバテックPP MA3)上に、乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーを用いて塗布し、130℃で10分間乾燥して、塗膜を得た。
得られたPP成形片上の塗膜について、JIS K5400記載のクロスカット法によるテープ剥離碁盤目試験)をおこなった。すなわち、クロスカットにより、塗膜を100区間カットし、テープ剥離後、残留した塗膜の区間数で、以下の基準により密着性を碁盤目試験により評価した。碁盤目試験は評価が◎であることが好ましい。
◎:100区間残留。
○:95〜99区間残留。
△:90〜94区間残留。
×:残留が89区間以下。

0085

(2)耐水性
水性分散体を、延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、OP U−1、厚み20μm)の未処理面上に、乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーを用いて塗布し、60℃で30秒、乾燥させた。このようにして作製したコートフィルムを40℃の温水中に24時間浸漬した。
浸漬後の延伸ポリプロピレンフィルム上の塗膜について、前記(1)と同様の方法で碁盤目試験をおこない、耐水性を評価した。碁盤目試験は評価が△以上であることが好ましく、○以上であることが特に好ましい。
また、塗膜表面を目視で観察し、以下の指標で外観を評価した。
○:塗膜に変化なし。
△:塗膜は剥がれていないが、白化ブリスターが確認される。
×:塗膜が剥がれる。

0086

(3)耐薬品性
水性分散体を、PP成形片(PP:日本ポリプロピレン社製、ノバテックPP MA3)上に、乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーを用いて塗布し、130℃で10分間乾燥した。このようにして得た積層体を20℃の模擬ガソリン(トルエンとイソオクタン(いずれも和光純薬工業社製)の等体積混合物)中に24時間浸漬した後、乾燥した。
乾燥後のPP成形片上の塗膜について、前記(1)と同様の方法で、基盤試験の評価をおこない、耐薬品性を評価した。碁盤目試験は評価が△以上であることが好ましく、○以上であることが特に好ましい。
また、塗膜表面を目視で観察し、以下の指標で外観を評価した。
○:塗膜に変化なし。
△:塗膜は剥がれていないが、白化やブリスターが確認される。
×:塗膜が剥がれる。

0087

(4)低温造膜性
水性分散体を、PP成形片(PP:日本ポリプロピレン社製、ノバテックPP MA3)上に、乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーを用いて塗布し、25℃で30分間乾燥した。
得られたPP成形片上の塗膜について、前記(1)と同様の方法で評価した。碁盤目試験は評価が△以上であることが好ましく、○以上であることが特に好ましい。

0088

(5)接着性(PP樹脂
二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムユニチカ社製エンブレット、厚み12μm)のコロナ面に、グラビアコート機を用いて、二液硬化型ポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製)を乾燥後の塗布量が5g/m2になるように塗布、乾燥した後、アルミニウム箔(厚み7μm)を貼り合わせて、基材を調製した。
上記基材のアルミニウム面に、水性分散体を、乾燥後の塗布量が約0.5g/m2になるようにメイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥させ接着層を形成した。
次に、押出ラミネート装置を用いて、接着層表面にシーラント樹脂としてポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製 ノバテックPPFL02A)を溶融押出して、厚み30μmのポリプロピレン層からなるシーラント層が形成された積層体を得た。このとき、Tダイから押出されたポリプロピレン樹脂の温度は240℃であった。
積層体から幅15mmの試験片採取し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、T型剥離により剥離強度を測定した。測定は20℃、65%RHの雰囲気中、引張速度50mm/分で行った。剥離強度としては1.0N/15mm以上が好ましく、1.5N/15mm以上がより好ましく、2.0N/15mm以上がさらに好ましい。

0089

(6)接着性(PE樹脂)
接着層表面にシーラント樹脂としてポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製 ノバテックLD LC600A)を溶融押出した以外は、前記(5)と同様に行い、厚み30μmのポリエチレン層からなるシーラント層が形成された積層体を得た。このとき、Tダイから押出されたポリエチレン樹脂の温度は290℃であった。
その後、前記(5)と同様にして剥離強度を測定した。

0090

(7)耐湿熱性
水性分散体を、二軸延伸ポリエステルフィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−50、厚み50μm)のコロナ処理面上に、乾燥後の塗布量が約5g/m2になるようにメイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分乾燥させた。
このようにして作製したコートフィルムのコート面と延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、OP U−1、厚み50μm)のコロナ処理面とを貼りあわせ、120℃で20秒間、2kg/cm2でプレスすることにより、積層体を得た。
得られた積層体を、85℃、85%RHにて1000時間保存を行い、保存の前後での剥離強度を測定し、以下の式で接着強度保持率を求めた。
接着強度保持率(%)=保存試験後の積層体の剥離強度/保存試験前の積層体の剥離強度
得られた接着強度保持率をもとにして、下記4段階で、耐湿熱性を評価した。
◎:接着強度保持率が90%以上。
○:接着強度保持率が70%以上90%未満。
△:接着強度保持率が50%以上70%未満。
×:接着強度保持率が50%未満。
なお、剥離強度は、前記(5)と同様にして測定した。剥離強度は1.0N/15mm以上が好ましく、1.5N/15mm以上がより好ましく、2.0N/15mm以上がさらに好ましい。

0091

(8)透明性(ヘイズ
水性分散体を、二軸延伸ポリエステルフィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−12、厚み12μm)のコロナ処理面上に、乾燥後の塗布量が約2g/m2になるようにメイヤーバーを用いて塗布し、100℃で1分乾燥させてコートフィルムを得た。
JIS K7361−1に基づいて、濁度計(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて、コートフィルムのヘイズ測定を行った。ただし、この評価値は、実施例で用いた、ヘイズが2.8%の二軸延伸ポリエステルフィルムにコートしたフィルム全体のヘイズの値である。

0092

製造例1:ポリオレフィン樹脂P−1
プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。
この析出させた樹脂を、トリエチルアミンのアセトン溶液(質量比:トリエチルアミン/アセトン=1/4)で1回洗浄し、その後アセトンで洗浄することで未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、ポリオレフィン樹脂P−1を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。

0093

製造例2:ポリオレフィン樹脂P−2
製造例1において、質量比がプロピレン/1−ブテン=65/35であるプロピレン−ブテン共重合体を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−2を得た。

0094

製造例3:ポリオレフィン樹脂P−3
製造例1において、プロピレン−ブテン共重合体に代えて、プロピレン−エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=92/8)を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−3を得た。

0095

製造例4:ポリオレフィン樹脂P−4
製造例1において、プロピレン−ブテン共重合体に代えて、プロピレン−ブテン−エチレン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン/エチレン=65/24/11)を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−4を得た。

0096

製造例5:ポリオレフィン樹脂P−5
製造例1において、アセトンの洗浄工程を省いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−5を得た。

0097

製造例6:ポリオレフィン樹脂P−6
製造例1において、トリエチルアミンのアセトン溶液をアセトンに変更し、その後のアセトン洗浄をメタノール洗浄に変更した以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−6を得た。

0098

製造例7:ポリオレフィン樹脂P−7
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を40.0gに代えて70.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を28.0gに代えて33.0gとし、洗浄工程をアセトンの2回洗浄に変更した以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−7を得た。

0099

製造例8:ポリオレフィン樹脂P−8
製造例7において、洗浄工程を省いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−8を得た。

0100

製造例9:ポリオレフィン樹脂P−9
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を40.0gに代えて24.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を28.0gに代えて18.5gとした以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−9を得た。

0101

製造例10:ポリオレフィン樹脂P−10
製造例3において、無水マレイン酸の添加量を40.0gに代えて56.0gとし、トリエチルアミンのアセトン溶液の洗浄工程およびアセトンの洗浄工程を省いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−10を得た。

0102

製造例11:ポリオレフィン樹脂P−11
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を40.0gに代えて70.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を28.0gに代えて20.0gとし、トリエチルアミンのアセトン溶液の洗浄工程およびアセトンの洗浄工程を省いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−11を得た。

0103

製造例12:ポリオレフィン樹脂P−12
製造例3において、無水マレイン酸の添加量を40.0gに代えて70.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を28.0gに代えて20.0gとし、トリエチルアミンのアセトン溶液の洗浄工程およびアセトンの洗浄工程を省いた以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−12を得た。

0104

製造例13:ポリオレフィン樹脂P−13
製造例1において、質量比がプロピレン/1−ブテン=97/3であるプロピレン−ブテン共重合体を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−13を得た。

0105

製造例14:ポリオレフィン樹脂P−14
製造例1において、質量比がプロピレン/1−ブテン=50/50であるプロピレン−ブテン共重合体を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−14を得た。

0106

製造例15:ポリオレフィン樹脂P−15
製造例1において、無水マレイン酸の添加量を40.0gに代えて2.0gとし、ジクミルパーオキサイドの添加量を28.0gに代えて1.4gとした以外は、同様の方法を行って、ポリオレフィン樹脂P−15を得た。

0107

製造例16:ポリオレフィン樹脂P−16
プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でクロロベンゼン470gに加熱溶解させた後、系内温度を130℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸9.5gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド10.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後10時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させ、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、ポリオレフィン樹脂P−16を得た。

0108

製造例17:ポリオレフィン樹脂P−17
英国特許2091745、米国特許4617366および米国特許4644044に記載された方法をもとに、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体を作製し、トリエチルアミンのアセトン溶液(質量比:トリエチルアミン/アセトン=1/4)で1回洗浄し、その後アセトンで洗浄することで未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、ポリオレフィン樹脂P−17を得た。

0109

製造例1〜17で得られたポリオレフィン樹脂の特性を表1に示す。

0110

0111

実施例1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂P−1、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、8.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)および137.0gの蒸留水を、ガラス容器内仕込み撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。
その後、空冷にて内温が40℃になるまで冷却し、開封して、40.0gのイソプロパノール、5.0gのトルエンおよび30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。
そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター線径0.035mm、平織)で加圧濾過空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−1を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。

0112

実施例2
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂P−1、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、8.0gのDMEAおよび137.0gの蒸留水を、ガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。
その後、空冷にて内温が80℃になるまで冷却し、開封して、45.0gのテトラヒドロフラン、5.0gのDMEAおよび30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。
そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−2を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。

0113

実施例3〜4、6〜11、18
実施例2において、ポリオレフィン樹脂P−1に代えて、実施例3ではP−2を、実施例4ではP−3を、実施例6ではP−5を、実施例7ではP−6を、実施例8ではP−7を、実施例9ではP−8を、実施例10ではP−9を、実施例11ではP−10を、実施例18ではP−16を用いた以外は同様の操作を行って、水性分散体E−3、E−4、E−6、E−7、E−8、E−9、E−10、E−11、E−18を得た。なお、実施例8、9、11においては、DMEAの量を12.0gとした。

0114

実施例5
実施例1において、ポリオレフィン樹脂P−1に代えて、P−4を用いて、DMEAの量を12.0gとした以外は、同様の操作を行って、水性分散体E−5を得た。

0115

実施例12
実施例2で得られた水性分散体E−2の250gと、蒸留水120gを0.5Lの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器とを設置し、フラスコオイルバスで加熱していき、水性媒体を留去した。約120gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−12を得た。

0116

実施例13
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂P−1、99.0gのテトラヒドロフラン、11.6gのDMEAおよび159.4gの蒸留水を、ガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに60分間撹拌した。
そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−13を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。

0117

実施例14〜16
実施例13において、ポリオレフィン樹脂P−1に代えて、実施例14ではP−2を、実施例15ではP−3を、実施例16ではP−4を用いた以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂水性分散体E−14〜16を得た。

0118

実施例17
実施例13で得られた水性分散体E−13の250gと、蒸留水120gを0.5Lの2口丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ型冷却器とを設置し、フラスコをオイルバスで加熱していき、水性媒体を留去した。約120gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−17を得た。

0119

実施例19
水性分散体E−1と、オキサゾリン基含有化合物の水性溶液(日本触媒社製、WS−700、固形分濃度25質量%)とを、オレフィン樹脂固形分100質量部に対して、オキサゾリン基含有化合物固形分の量が10質量部になるように混合してポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0120

実施例20〜25
実施例19において、水性分散体E−1に代えて、実施例20ではE−2を、実施例21ではE−3を、実施例22ではE−4を、実施例23ではE−9を、実施例24ではE−10を、実施例25ではE−11を用いた以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。なお、実施例24においては、オキサゾリン基含有化合物固形分の量が5質量部となるようにした。

0121

実施例26
水性分散体E−2と、カルボジイミド基含有化合物の水性溶液(日清紡社製、カルボジライトV−02−L2、固形分濃度40質量%)とを、オレフィン樹脂固形分100質量部に対して、カルボジイミド基含有化合物固形分の量が30質量部になるように混合してポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0122

実施例27
実施例26において、水性分散体E−2に代えて、E−4を用いた以外は同様の操作を行ってポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0123

実施例28
水性分散体E−2と、イソシアネート基含有化合物(BASF社製、バソナートHW−100)の10質量%水溶液とを、オレフィン樹脂固形分100質量部に対して、イソシアネート基含有化合物固形分の量が25質量部になるように混合してポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0124

実施例29
実施例28において、水性分散体E−2に代えて、E−4を用いた以外は同様の操作を行ってポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0125

実施例30
水性分散体E−2と、エポキシ基含有化合物の水性溶液(アデカ社製、アデカレジンEM−0517、固形分濃度51質量%、エポキシ当量730)とを、オレフィン樹脂固形分100質量部に対して、カルボジイミド基含有化合物固形分の量が35質量部になるように混合してポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0126

実施例31
実施例30において、水性分散体E−2に代えて、E−4を用いた以外は同様の操作を行ってポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0127

実施例32
水性分散体E−1と、ポリウレタン樹脂水性分散液(三井化学社製、タケラックW−6010、固形分濃度30質量%)とを、オレフィン樹脂固形分100質量部に対して、ポリウレタン樹脂固形分の量が50質量部になるように混合してポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0128

実施例33〜35
実施例32において、水性分散体E−1に代えて、実施例33ではE−2を、実施例34ではE−3、実施例35ではE−4を用いた以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。なお、実施例34においては、ポリウレタン樹脂固形分の量が30質量部となるようにした。

0129

実施例36
水性分散体E−2と、オキサゾリン基含有化合物の水性溶液およびカルボジイミド基含有化合物の水性溶液とを、オレフィン樹脂固形分100質量部に対して、オキサゾリン基含有化合物固形分の量が5質量部になり、カルボジイミド基含有化合物固形分の量が20質量部になるように混合してポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0130

実施例37
水性分散体E−1と、オキサゾリン基含有化合物の水性溶液およびポリウレタン樹脂水性分散液とを、オレフィン樹脂固形分100質量部に対して、オキサゾリン基含有化合物固形分の量が10質量部になり、ポリウレタン樹脂固形分の量が50質量部になるように混合してポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0131

実施例38
実施例37において、水性分散体E−1に代えて、E−2を用いた以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0132

比較例1〜4
実施例2において、ポリオレフィン樹脂P−1に代えて、比較例1ではP−11を、比較例2ではP−12を、比較例3ではP−13を、比較例4ではP−14を用いた以外は、同様の操作を行って、水性分散体E−19、E−20、E−21、E−22を得た。なお、比較例1では、DMEAの量を12.0gとした。

0133

比較例5
実施例19において、水性分散体E−1に代えて、水性分散体E−19を用いた以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。

0134

比較例6
実施例2において、ポリオレフィン樹脂P−1に代えて、P−15を用いた以外は同様の操作を行ったところ、フィルター上に多量の樹脂を確認した。これにより、ポリオレフィン樹脂P−15は、実質的に分散が進行しなかったとみられる。

0135

参考例1
実施例1において、不揮発性の水性化助剤であるノイゲンEA−190D(第一工業製薬社製、ノニオン性界面活性剤)を、ポリオレフィン樹脂に対して3質量%となるように添加した以外は、実施例1に準じた方法で樹脂の水性化を行い、水性分散体E−23を得た。

0136

参考例2
撹拌機とヒーターを備えた2L容ガラス容器に、50gのポリオレフィン樹脂P−17、150gのn−プロパノール、3gのDMEAおよび297gの蒸留水を仕込んだ。撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに120分間撹拌し分散化させた。その後、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ約80℃まで冷却したところで、系内を徐々に減圧して、n−プロパノールと水を除去した。n−プロパノールと水を300g以上除去した後、系内温度が35℃になったところで、水を添加して水性分散体中のポリオレフィン樹脂の濃度が20質量%となるように調整し、180メッシュのステンレス製フィルターで加圧濾過して、水性分散体E−24を得た。

0137

実施例1〜18、比較例1〜4および参考例1、2において、水性分散体を調製した後の未洗浄の装置を用いて、さらに3回連続して水性分散体を調製した。得られた水性分散体の特性を表2に示す。

0138

0139

表2に示すように、不飽和カルボン酸モノマー量が本発明で規定する範囲にあるポリオレフィン樹脂を使用した実施例1〜18においては、ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径の増大が抑制され、また水性分散体の粘度上昇が抑制され、水性分散体を連続して製造することが可能となった。中でも、不飽和カルボン酸モノマー量を本発明で規定する範囲内で少なくするにつれて、ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径の増大および水性分散体の粘度上昇の抑制効果が顕著となり、5,000ppm以下とすることで特に顕著な効果が見られた。
一方、比較例1、2では、装置の洗浄をせずに水性分散体の連続生産を行うなかで、生産回数を重ねていくと、ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径の増大や、水性分散体の粘度上昇が起こり、安定した水性分散体の特性が得られず、連続的な工業生産が難しいものとなった。

0140

実施例1〜38、比較例1〜5、参考例1、2で得られた水性分散体、および水性分散体から得られた塗膜の評価結果を表3〜4に示す。

0141

0142

0143

表3〜4に示すように、実施例1〜38において得られた本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体は、カーボンブラック分散体との混合安定性や、低温での造膜性に優れ、また水性分散体から得られた塗膜は、PP製基材に対する密着性、塗膜の耐水性、耐薬品性に優れるものであった。
中でも、不飽和カルボン酸モノマー量を本発明で規定する範囲内で少なくするにつれて塗膜の耐水性、耐薬品性がより優れるようになり、5,000ppm以下とすることで特に顕著な効果が見られた。
また、本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体を用いて接着層を形成し、ポリプロピレン樹脂押出ラミネートにて作製した積層体は、優れた接着性を示し、特にポリオレフィン成分としてブテン成分を含有する場合に、顕著な接着性を示した。
本発明のポリオレフィン樹脂水性分散体に、架橋剤やポリウレタン樹脂を添加した場合(実施例19〜38)、耐薬品性、耐湿熱性により優れる塗膜が得られ、特に水性分散体の粒子径が0.05μm以下の場合は、低温造膜性、添加剤を添加した際の効果、透明性が顕著に高かった。

0144

一方、ポリオレフィン樹脂水性分散体の乾燥残渣における不飽和カルボン酸モノマー量が本発明で規定する範囲を超えると(比較例1、2)、水性分散体は、低温での造膜性が劣り、得られる塗膜は、耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に劣るものであった。また、添加剤を添加しても、耐薬品性、耐湿熱性が十分な塗膜は得られなかった(比較例5)。
ポリオレフィン樹脂を構成するプロピレン(A)と、プロピレン以外のオレフィン(B)との質量比(A/B)が、本発明で規定する範囲外にあると(比較例3、4)、カーボンブラック分散体との混合安定性、PP製基材への低温造膜性や密着性、耐水性、耐薬品性、耐湿熱性に劣るものであった。さらに、不飽和カルボン酸成分の含有量が本発明で規定する範囲外のポリオレフィン樹脂を用いた比較例6は、実質的に分散が進行せず水性分散体を得ることができなかった。

実施例

0145

参考例1では、樹脂組成や粒子径が実施例1の場合とほぼ同じであり、水性分散体として安定性には特に問題ないものの、不揮発性水性化助剤を用いたために、塗膜の耐水性やPP製基材との密着性などが低下した。
参考例2において、従来既知のポリオレフィン樹脂水性分散体を用いた場合、この水性分散体を用いて形成された接着層上に押出ラミネートすると、ポリエチレン樹脂を押出して作製した積層体は、接着性が優れているものの、ポリプロピレン樹脂を押出して作製した積層体においては、接着性を全く示さなかった。また、この水性分散体は、ポリプロピレン樹脂製基材への密着性が劣っていたため、得られた塗膜は、耐水性、耐薬品性評価でも劣っていた。

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