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技術 黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性疾患を治療する方法

出願人 メディミューン,エルエルシー
発明者 セルマン,ブレットトカチク,クリスティーンハミルトン,メリッサホワ,レイ
出願日 2013年11月5日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2015-540852
公開日 2015年12月24日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2015-536951
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 機械ポンプ バレル形 C領域 溶解マトリックス 液状充填剤 心臓ペースメーカ 血液分析器 進入路
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題・解決手段

本発明は、抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体を用いて、免疫無防備状態患者における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性菌血症及び敗血症を予防及び/又は治療する方法、並びに黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防及び/又は治療する方法を提供する。また、哺乳動物対象血流又は心臓における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌負荷を低減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含む方法も提供される。さらに、哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌凝集及び/又は血栓塞栓性病変形成を低減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含む方法も提供される。さらにまた、免疫無防備状態の哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防する、又はその重症度を軽減する方法も提供される。

概要

背景

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus)は、軽度の皮膚及び軟組織感染症から、心内膜炎骨髄炎、及び壊死性肺炎などの重度浸潤性疾患までの多種多様な感染を引き起こす、世界的な死亡及び病的状態の主要な原因である(LowyFD,N Engl J Med,339(8):520−32(1998);Klevens et al,JAMA 298(15):1763−71(2007)。黄色ブドウ球菌(S.aureus)は、一般に、メチシリン耐性MRSA)又はメチシリン感受性MSSA)のいずれかとして分類される。複数の報告書から、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染は、耐性状態とは関係なく重度の結果を招くことが明らかにされている(Fowler et al,Arch Intern Med.163(17):2066−72(2003);de Kraker et al,PLoS Med.Oct;8(10):e1001104(2011)。

抗生物質は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患を治療するための標準医療手段である。黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対する新規の抗生物質の導入にもかかわらず、新しい耐性機構出現により、黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患を予防又は治療するための新規のアプローチが必要とされる。抗生物質時代以前は、細菌感染を治療するために、感染患者への免疫血清受動的投与臨床的に用いられていた(Keller及びStiehm,Clin Microbiol Rev 13(4):602−14(2000))。今日、いくつかの毒素媒介性細菌病(例えば、ボツリヌス中毒ジフテリア破傷風)を治療するのに同様の方法が用いられている(Keller及びStiehm,Clin Microbiol Rev 13(4):602−14(2000);Arnon et al,N.Engl.J.Med.354:462−471(2006)。同質遺伝子野生型親株と、AT発現欠失した黄色ブドウ球菌(S.aureus)を比較することにより、黄色ブドウ球菌(S.aureus)毒素(AT)は、複数の黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患モデル(例えば、皮膚壊死、肺炎、敗血症、心内膜炎、乳腺炎)において重要な病原性決定基(多数の他の細胞外因子の中で)であることが判明している(Bramley et al,Infect Immun.57(8):2489−94(1989);Bayer et al,Infect.Immun.65:4652−4660(1997);Kernodle et al,Infect.Immun.65:179−184(1997);Bubeck Wardenburg et al,Infect Immun.75(2):1040−4(2007);Bubeck Wardenburg et al,J Exp Med.205(2):287−94(2008);Kobayashi et al,J Infect Dis.204(6):937−41(2011))。

ATは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)株の90%により産生される細胞溶解性の33kDaの膜孔形成性毒素であるため、主要ビルレンス因子であると考えられる。これは、モノマーとして分泌され、標的細胞膜上の特定の受容体ADAM−10に結合する(Wilke及びBubeck Wardenburg,PNAS 107(30):13473−8(2010);Inoshima et al,Nat Med 17(10):1310−4(2011)。ATは、ヘプタマーの膜孔中間体(prepore)中にオリゴマー形成し、立体構造変化を受けることによって、貫膜βバレル形成、続いて細胞溶解が起こる(Bhakdi及びTranum−Jensen,1991;Song et al,1996)。血小板は、上皮細胞内皮細胞、及び免疫細胞(例えば、リンパ球及びマクロファージ)と共に、AT−溶解を被りやすく、これは、この毒素が、組織損傷及び免疫回避に直接影響をもたらすことを示唆している(Bhakdi及びTranum−Jensen,Microbiol Rev.55(4):733−51(1991);Ragle及びBubeck Wardenburg,Infect Immun.77(7):2712−8(2009);Tkaczyk et al,Clin Vaccine Immunol 19(3):377−85(2012))。非溶解濃度で、ATは、有意な細胞傷害作用を及ぼすことも立証されている(Grimminger et al,J Immunol.159(4):1909−16(1997);Wilke and Bubeck Wardenburg,PNAS 107(30):13473−8(2010);Inoshima et al,Nat Med 17(10):1310−4(2011))。ATがマクロファージ膜上に結合して、オリゴマー形成すると、NLRP3インフラマソーム活性化し、これが、他のブドウ球菌病原体関連分子パターン(PAMP)と一緒に、IL−1β分泌を誘導し、細胞死を促進する(Craven et al,PLoS One 4(10)(2009);Kebaier et al,J Infect Dis 205(5):807−17(2012))。炎症誘発性サイトカイン発現(例えば、IL−1β)の増大は、急性傷害の顕著な特徴である(Goodman et al,Cytokine Growth Factor Rev.14(6):523−35(2003))。

ATはまた、非溶解濃度で細胞間接着に存在するE−カドヘリンの、ADAM−10媒介性タンパク質分解も活性化するが、これは、上皮完全性破壊を招き、肺炎並びに皮膚及び軟組織感染に見られる上皮損傷に寄与する(Inoshima et al,Nat Med 17(10):1310−4(2011);Maretzky et al,PNAS 102(26):9182−7(2005);Inoshima et al,J Invest Dermatol.132(5):1513−6(2012)。ATは、直接及び間接的活性により細胞毒性作用を及ぼして、細菌増殖及び浸潤性疾患に資する環境を作り出す。従って、ATの標的化阻害により、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性疾患を予防又は制限することができる。この仮定は、ATに対して指令した能動又は受動免疫後のマウス感染モデルにおける黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患の重症度の軽減を立証する他の研究により支持される(Menzies及びKernodle,Infect Immun 64(5):1839−41(1996);Bubeck Wardenburg et al,J Exp Med.205(2):287−94(2008);Ragle及びBubeck Wardenburg,Infect Immun.77(7):2712−8(2009);Kennedy et al,J Infect Dis.202(7):1050−8(2010);Tkaczyk et al,Clin Vaccine Immunol 19(3):377−85(2012))。

Fc変異領域及びその親抗体LC10を有する抗AT抗体は、ヒト、高親和性、抗ATmAbである(以前、米国仮特許出願第61/440,581号明細書及び国際出願番号PCT/US2012/024201号明細書(国際公開第2012/109205号パンフレットとして公開)、各々の内容は、参照により本明細書に組み込む) 並びにTkaczyk et al.,Clinical and Vaccine Immunology,19(3):377(2012)に開示されている。

菌血症及び敗血症性ショックが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)浸潤性疾患の大部分を占める(Klevens,et al,JAMA,298(15):1763−71(2007)。ATは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)敗血症の際の重要なビルレンス因子であり、敗血症の際の上皮損傷の原因であると提示されている(Powers,et al,J.Infect Dis.206(3):352−6(2012)。ATと上皮細胞上のその受容体との相互作用により、前記毒素は、直接細胞溶解による血管損傷、又は上皮密着結合のADAM−10媒介性タンパク質溶解の活性化を媒介することが可能になる(同上)。両方の機構血管透過性を増大することになり、これが、細菌性敗血症の顕著な特徴である。

抗ATモノクローナル抗体による受動免疫は、米国仮特許出願第61/440,581号明細書及び国際出願番号PCT/US2012/024201号明細書に記載されているように、ブドウ球菌性肺炎のマウスモデルにおいて生存率の有意な増大をもたらすことが判明しているが、抗AT抗体が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性疾患を有する免疫無防備状態哺乳動物における生存率増加に有効であるかどうかはわかっていない。このことは、免疫無防備状態の個体、特に好中球減少症罹患している者は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染に対する危険性が高いため、理解すべき重要な要素である(Andrews及びSullivan,Clin Microbiol Rev.16(4):597−621(2003);Bouma et al.,Br J Haematol.151(4):312−26(2010))。

概要

本発明は、抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体を用いて、免疫無防備状態の患者における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性菌血症及び敗血症を予防及び/又は治療する方法、並びに黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防及び/又は治療する方法を提供する。また、哺乳動物対象血流又は心臓における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌負荷を低減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含む方法も提供される。さらに、哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌凝集及び/又は血栓塞栓性病変形成を低減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含む方法も提供される。さらにまた、免疫無防備状態の哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防する、又はその重症度を軽減する方法も提供される。

目的

本発明は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体を用いて、免疫無防備状態の患者における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性菌血症及び敗血症を予防及び/又は治療する方法、並びに黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防及び/又は治療する方法を提供する

効果

実績

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請求項1

哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を予防する、又はその重症度を軽減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を前記対象に投与することを含む方法。

請求項2

哺乳動物対象の血流又は心臓における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌負荷を低減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を前記対象に投与することを含む方法。

請求項3

哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)凝集及び/又は血栓塞栓性病変形成を低減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を前記対象に投与することを含む方法。

請求項4

前記対象の血流又は心臓における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌負荷が低減される、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌凝集及び/又は血栓塞栓性病変形成が低減される、請求項1に記載の方法。

請求項6

免疫無防備状態の哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防する、又はその重症度を軽減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を前記対象に投与することを含む方法。

請求項7

前記哺乳動物対象が、ヒトである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

前記単離抗AT抗体又はその抗原結合断片が、Fv、Fab、Fab’、及びF(ab’)2からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

前記抗体が、全長抗体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

前記抗体が、Fc変異領域を含む、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記単離抗体又はその抗原結合断片が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus)α毒素ポリペプチド免疫特異的に結合し、且つ(a)配列番号7、10、13又は69のアミノ酸配列を含むVHCDR1;(b)配列番号8、11、14、17、70又は75のアミノ酸配列を含むVHCDR2;(c)配列番号9、12、15、18、16、65、66、67、71、72、76又は78のアミノ酸配列を含むVHCDR3;(d)配列番号1又は4のアミノ酸配列を含むVLCDR1;(e)配列番号2、5、73又は77のアミノ酸配列を含むVLCDR2;及び(f)配列番号3、6、64、68又は74のアミノ酸配列を含むVLCDR3を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

前記VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3が、配列番号7、8、9、1、2及び3;配列番号10、11、12、1、2及び3;配列番号13、14、15、4、5及び6;配列番号7、17、18、1、2及び3;配列番号7、8、16、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び64;配列番号7、8、66、1、2及び64;配列番号7、8、67、1、2及び68;配列番号7、8、67、1、2及び64;配列番号7、8、78、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び68;配列番号69、70、71、1、2及び68;配列番号7、8、72、1、73及び74;配列番号69、75、71、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、77及び74;配列番号69、70、71、1、77及び74のアミノ酸配列に対応する、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記単離抗体又はその抗原結合断片が、(i)配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含み、及び(ii)配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項11又は12に記載の方法。

請求項14

前記単離抗体又はその抗原結合断片が、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62の重鎖可変ドメインと、配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63の軽鎖可変ドメインとを含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

前記VH及びVLが、配列番号20及び19;配列番号22及び21;配列番号24及び23;配列番号26及び25;配列番号28及び27;配列番号41及び42;配列番号43及び44;配列番号45及び46;配列番号47及び48;配列番号47及び48;配列番号49及び50;配列番号51及び52;配列番号51及び52;配列番号53及び54;配列番号55及び56;配列番号57及び58;配列番号59及び60;配列番号61及び58;配列番号62及び58;配列番号62及び63;配列番号79及び63のアミノ酸配列に対応する、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。

請求項16

前記単離抗体がさらにFc変異ドメインを含み、ここで、前記抗体は、配列番号80に対応するVH−IgG1−YTE及び/又は配列番号81に対応するVL−κを含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体を用いて、免疫無防備状態患者における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性菌血症及び敗血症を予防及び/又は治療する方法、並びに黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防及び/又は治療する方法を提供する。

背景技術

0002

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(S.aureus)は、軽度の皮膚及び軟組織感染症から、心内膜炎骨髄炎、及び壊死性肺炎などの重度浸潤性疾患までの多種多様な感染を引き起こす、世界的な死亡及び病的状態の主要な原因である(LowyFD,N Engl J Med,339(8):520−32(1998);Klevens et al,JAMA 298(15):1763−71(2007)。黄色ブドウ球菌(S.aureus)は、一般に、メチシリン耐性MRSA)又はメチシリン感受性MSSA)のいずれかとして分類される。複数の報告書から、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染は、耐性状態とは関係なく重度の結果を招くことが明らかにされている(Fowler et al,Arch Intern Med.163(17):2066−72(2003);de Kraker et al,PLoS Med.Oct;8(10):e1001104(2011)。

0003

抗生物質は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患を治療するための標準医療手段である。黄色ブドウ球菌(S.aureus)に対する新規の抗生物質の導入にもかかわらず、新しい耐性機構出現により、黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患を予防又は治療するための新規のアプローチが必要とされる。抗生物質時代以前は、細菌感染を治療するために、感染患者への免疫血清受動的投与臨床的に用いられていた(Keller及びStiehm,Clin Microbiol Rev 13(4):602−14(2000))。今日、いくつかの毒素媒介性細菌病(例えば、ボツリヌス中毒ジフテリア破傷風)を治療するのに同様の方法が用いられている(Keller及びStiehm,Clin Microbiol Rev 13(4):602−14(2000);Arnon et al,N.Engl.J.Med.354:462−471(2006)。同質遺伝子野生型親株と、AT発現欠失した黄色ブドウ球菌(S.aureus)を比較することにより、黄色ブドウ球菌(S.aureus)毒素(AT)は、複数の黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患モデル(例えば、皮膚壊死、肺炎、敗血症、心内膜炎、乳腺炎)において重要な病原性決定基(多数の他の細胞外因子の中で)であることが判明している(Bramley et al,Infect Immun.57(8):2489−94(1989);Bayer et al,Infect.Immun.65:4652−4660(1997);Kernodle et al,Infect.Immun.65:179−184(1997);Bubeck Wardenburg et al,Infect Immun.75(2):1040−4(2007);Bubeck Wardenburg et al,J Exp Med.205(2):287−94(2008);Kobayashi et al,J Infect Dis.204(6):937−41(2011))。

0004

ATは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)株の90%により産生される細胞溶解性の33kDaの膜孔形成性毒素であるため、主要ビルレンス因子であると考えられる。これは、モノマーとして分泌され、標的細胞膜上の特定の受容体ADAM−10に結合する(Wilke及びBubeck Wardenburg,PNAS 107(30):13473−8(2010);Inoshima et al,Nat Med 17(10):1310−4(2011)。ATは、ヘプタマーの膜孔中間体(prepore)中にオリゴマー形成し、立体構造変化を受けることによって、貫膜βバレル形成、続いて細胞溶解が起こる(Bhakdi及びTranum−Jensen,1991;Song et al,1996)。血小板は、上皮細胞内皮細胞、及び免疫細胞(例えば、リンパ球及びマクロファージ)と共に、AT−溶解を被りやすく、これは、この毒素が、組織損傷及び免疫回避に直接影響をもたらすことを示唆している(Bhakdi及びTranum−Jensen,Microbiol Rev.55(4):733−51(1991);Ragle及びBubeck Wardenburg,Infect Immun.77(7):2712−8(2009);Tkaczyk et al,Clin Vaccine Immunol 19(3):377−85(2012))。非溶解濃度で、ATは、有意な細胞傷害作用を及ぼすことも立証されている(Grimminger et al,J Immunol.159(4):1909−16(1997);Wilke and Bubeck Wardenburg,PNAS 107(30):13473−8(2010);Inoshima et al,Nat Med 17(10):1310−4(2011))。ATがマクロファージ膜上に結合して、オリゴマー形成すると、NLRP3インフラマソーム活性化し、これが、他のブドウ球菌病原体関連分子パターン(PAMP)と一緒に、IL−1β分泌を誘導し、細胞死を促進する(Craven et al,PLoS One 4(10)(2009);Kebaier et al,J Infect Dis 205(5):807−17(2012))。炎症誘発性サイトカイン発現(例えば、IL−1β)の増大は、急性傷害の顕著な特徴である(Goodman et al,Cytokine Growth Factor Rev.14(6):523−35(2003))。

0005

ATはまた、非溶解濃度で細胞間接着に存在するE−カドヘリンの、ADAM−10媒介性タンパク質分解も活性化するが、これは、上皮完全性破壊を招き、肺炎並びに皮膚及び軟組織感染に見られる上皮損傷に寄与する(Inoshima et al,Nat Med 17(10):1310−4(2011);Maretzky et al,PNAS 102(26):9182−7(2005);Inoshima et al,J Invest Dermatol.132(5):1513−6(2012)。ATは、直接及び間接的活性により細胞毒性作用を及ぼして、細菌増殖及び浸潤性疾患に資する環境を作り出す。従って、ATの標的化阻害により、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性疾患を予防又は制限することができる。この仮定は、ATに対して指令した能動又は受動免疫後のマウス感染モデルにおける黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患の重症度の軽減を立証する他の研究により支持される(Menzies及びKernodle,Infect Immun 64(5):1839−41(1996);Bubeck Wardenburg et al,J Exp Med.205(2):287−94(2008);Ragle及びBubeck Wardenburg,Infect Immun.77(7):2712−8(2009);Kennedy et al,J Infect Dis.202(7):1050−8(2010);Tkaczyk et al,Clin Vaccine Immunol 19(3):377−85(2012))。

0006

Fc変異領域及びその親抗体LC10を有する抗AT抗体は、ヒト、高親和性、抗ATmAbである(以前、米国仮特許出願第61/440,581号明細書及び国際出願番号PCT/US2012/024201号明細書(国際公開第2012/109205号パンフレットとして公開)、各々の内容は、参照により本明細書に組み込む) 並びにTkaczyk et al.,Clinical and Vaccine Immunology,19(3):377(2012)に開示されている。

0007

菌血症及び敗血症性ショックが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)浸潤性疾患の大部分を占める(Klevens,et al,JAMA,298(15):1763−71(2007)。ATは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)敗血症の際の重要なビルレンス因子であり、敗血症の際の上皮損傷の原因であると提示されている(Powers,et al,J.Infect Dis.206(3):352−6(2012)。ATと上皮細胞上のその受容体との相互作用により、前記毒素は、直接細胞溶解による血管損傷、又は上皮密着結合のADAM−10媒介性タンパク質溶解の活性化を媒介することが可能になる(同上)。両方の機構血管透過性を増大することになり、これが、細菌性敗血症の顕著な特徴である。

0008

抗ATモノクローナル抗体による受動免疫は、米国仮特許出願第61/440,581号明細書及び国際出願番号PCT/US2012/024201号明細書に記載されているように、ブドウ球菌性肺炎のマウスモデルにおいて生存率の有意な増大をもたらすことが判明しているが、抗AT抗体が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性疾患を有する免疫無防備状態の哺乳動物における生存率増加に有効であるかどうかはわかっていない。このことは、免疫無防備状態の個体、特に好中球減少症罹患している者は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染に対する危険性が高いため、理解すべき重要な要素である(Andrews及びSullivan,Clin Microbiol Rev.16(4):597−621(2003);Bouma et al.,Br J Haematol.151(4):312−26(2010))。

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、抗AT抗体が、敗血症及び免疫無防備状態の肺炎の予防に有効であるという証明を初めて提供する。

課題を解決するための手段

0010

本明細書には、哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を予防する、又はその重症度を軽減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含む方法が提供される。また、哺乳動物対象の血流又は心臓における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌負荷を低減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含む方法も提供される。さらに、哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)凝集及び/又は血栓塞栓性病変形成を低減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含む方法も提供される。さらにまた、免疫無防備状態の哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防する、又はその重症度を軽減する方法であって、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含む方法も提供される。

0011

本明細書に記載する様々な方法では、対象の血流又は心臓における黄色ブドウ球菌(S.aureus)負荷が好適に低減され、また別の実施形態では、対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)凝集及び/又は血栓塞栓性病変形成が低減される。

0012

好適には、本明細書に記載する様々な方法における哺乳動物対象は、ヒトである。

0013

様々な方法において、単離抗AT抗体又はその抗原結合断片は、Fv、Fab、Fab’、及びF(ab’)2からなる群から選択される。他の実施形態において、抗体は、全長抗体である。さらに別の実施形態において、抗体は、Fc変異領域を含む。

0014

本明細書に記載する様々な方法の実施形態において、単離抗抗体又はその抗原結合断片は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチド免疫特異的に結合し、且つ
(a)配列番号7、10、13又は69のアミノ酸配列を含むVHCDR1;
(b)配列番号8、11、14、17、70又は75のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)配列番号9、12、15、18、16、65、66、67、71、72、76又は78のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)配列番号1又は4のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)配列番号2、5、73又は77のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び
(f)配列番号3、6、64、68又は74のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。

0015

実施形態において、本明細書に記載する様々な方法で用いるVHCDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3は、配列番号7、8、9、1、2及び3;配列番号10、11、12、1、2及び3;配列番号13、14、15、4、5及び6;配列番号7、17、18、1、2及び3;配列番号7、8、16、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び64;配列番号7、8、66、1、2及び64;配列番号7、8、67、1、2及び68;配列番号7、8、67、1、2及び64;配列番号7、8、78、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び68;配列番号69、70、71、1、2及び68;配列番号7、8、72、1、73及び74;配列番号69、75、71、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、77及び74;配列番号69、70、71、1、77及び74のアミノ酸配列に対応する。

0016

別の実施形態において、単離抗体又はその抗原結合断片は、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含み、及び(iii)配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。好適には、単離抗体又はその抗原結合断片は、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62の重鎖可変ドメインと、配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63の軽鎖可変ドメインとを含む。

0017

本明細書に記載する様々な方法の別の実施形態において、VH及びVLは、配列番号20及び19;配列番号22及び21;配列番号24及び23;配列番号26及び25;配列番号28及び27;配列番号41及び42;配列番号43及び44;配列番号45及び46;配列番号47及び48;配列番号47及び48;配列番号49及び50;配列番号51及び52;配列番号51及び52;配列番号53及び54;配列番号55及び56;配列番号57及び58;配列番号59及び60;配列番号61及び58;配列番号62及び58;配列番号62及び63;配列番号79及び63のアミノ酸配列に対応する。

0018

様々な方法のさらに別の実施形態において、単離抗体又はその抗原結合断片は、Fc変異ドメインを有する抗AT抗体を含み、ここで、前記抗体は、配列番号80に対応するVH−IgG1−YTE及び/又は配列番号81に対応するVL−κを含む。

図面の簡単な説明

0019

LC10予防は、IV致死攻撃モデルにおける生存を改善する。マウス(群当たり10匹)は、LC10(45及び15mg/kg)、又はアイソタイプ対照(R347、45mg/kg)で受動免疫し、24時間後にSF8300(3×108cfu)によるIV攻撃を実施した。14日にわたり生存をモニターした。データは、4つの独立した実験の代表的なものである。統計的有意性ログランク(Martel−Cox)検定により評価した:*p値=0.0005、**p値=0.0043)。
LC10予防は、心臓の細菌負荷を改善する。マウスは、LC10(45及び15mg/kg)又はアイソタイプ対照(R347、45mg/kg)で受動免疫し、24時間後にIV攻撃SF8300(2.98e8cfu)を実施した。感染から14時間後、マウスから心臓を採取し、CFU計数のために処理した。独立両側スチューデントt検定を用いて統計分析を実施した:*p値=0.0028;**p値=0.0082)。
LC10予防は、ブドウ球菌性菌血症を軽減する。マウスは、LC10(45及び15mg/kg)又はアイソタイプ対照(R347、45mg/kg)で受動免疫し、24時間後にIV攻撃SF8300(3×108cfu)を実施した。感染後の様々な時点で、心臓穿孔により血液を採取し、CFU計数のためにプレートに塗布した。スチューデントt検定を用いて統計分析を実施した。データは、*p値<0.05であれば、R347に対して統計的に相違するとみなした。
白血球数及び白血球百分率。C57BL6/Jマウスに6つの異なる用量(mg/kg)のCPMを第0及び3日に投与した。第0、1、4及び6日に、群毎に各時点で5匹のマウスの血液試料を採取した。Sysmex自動化血液分析器を用いて、全白血球数及び白血球百分率(好中球、リンパ球)を分析した。
細菌用量滴定。5匹の免疫無防備状態のマウスを、2回目のCPMの投与から24時間後に、50μLの対数期細菌懸濁液(用量1×107〜2×108CFU)で攻撃した(第4日)。7日間にわたり、マウスの生存を観察した。
LC10は、免疫無防備状態の肺炎マウスにおける生存を増加する。CPMを注射したマウスに、50μLの細菌懸濁液SF8300(5×107CFU)によるIN攻撃の24時間前に、LC10(45若しくは15mg/kg)又はR347(45mg/kg)を投与し、5日間にわたりマウスの生存を観察した。ログランク検定を用いて、統計的有意性を決定したが、ここで、*は、R347で処理したマウスに対する統計的差異を示す(p<0.0001)。
全白血球数及び白血球百分率。C57BL/6マウスに2つの用量(150mg/kg及び100mg/kg)のCPMを第−4及び−1日にそれぞれ投与した。第−4、−3、−1、0、2、及び3日に、5匹のマウスから血液試料を採取した。Sysmex自動化血液分析器を用いて、全白血球数及び白血球百分率(好中球、リンパ球)を決定した。

0020

「ポリペプチド」、「ペプチド」、「タンパク質」及び「タンパク質断片」という用語は本明細書において置換え可能に用いられ、アミノ酸残基ポリマーを指す。この用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸人工化学模倣物である、アミノ酸ポリマー、並びに天然のアミノ酸ポリマー及び非天然のアミノ酸ポリマーを指す。

0021

「アミノ酸」という用語は、天然及び合成アミノ酸、並びに天然のアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣物を指す。

0022

本明細書で使用するとき、「組換え体」は、自然の状態では、タンパク質を発現することができるDNAの内在性コピーがない細胞を用いて産生されるタンパク質に関するものを含む。細胞は、適切な単離核酸配列の導入により遺伝子的に改変されているため、組換えタンパク質を産生する。

0023

本明細書で使用するとき、「抗体」及び「免疫グロブリン」は、最も広義には置き換え可能に用いられ、本明細書に記載するように、モノクローナル抗体(例えば、全長又はインタクトなモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体多価抗体多重特異性抗体(例えば、要望される生体活性を発揮する限りにおいて、二重特異性抗体)及び抗原結合断片を含む。自然抗体及び免疫グロブリンは、通常、約150,000ダルトンヘテロ四量体糖タンパク質であり、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖とから構成される。各軽鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に連結しているが、ジスルフィド結合の数は、それぞれの免疫グロブリンアイソタイプの重鎖で異なる。また、重鎖及び軽鎖の各々は、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)を有し、これにいくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメインを有する。「定常」及び「可変」という用語は、機能に関して用いられる。

0024

軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1定常ドメインとアラインメントし、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインとアラインメントする。特定のアミノ酸残基は、軽鎖及び重鎖可変ドメインの間に界面を形成すると考えられる(Clothia,et al.,J.Mol.Biol.186,651−66(1985);Novotny及びHaber,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,4592−4596(1985))。5つのヒト免疫グロブリンクラスが、その重鎖組成に基づいて区別され、IgG、IgMIgAIgE、及びIgDと称される。IgGクラス及びIgAクラスの抗体は、サブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、並びにIgA1及びIgA2にさらに区分される。IgG、IgA、及びIgD抗体の重鎖は、CH1、CH2、及びCH3と称する3つの定常領域ドメインを有し、また、IgM及びIgE抗体の重鎖は、4つの定常領域ドメインCH1、CH2、CH3及びCH4を有する。従って、重鎖は、1つの可変領域と、3つ又は4つの定常領域を有する。免疫グロブリン構造及び機能については、例えば、Harlow et al.,Eds.,Antibodies:A Laboratory Manual,Chapter 14,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor(1988)を参照されたい。

0025

「VH」又は「VH」と言うとき、Fv、scFv、dsFv又はFabなどの免疫グロブリンの可変領域を指す。

0026

「VL」又は「VL」と言うとき、Fv、scFv、dsFv又はFabなどの免疫グロブリンの可変領域を指す。

0027

「抗原結合断片」という用語は、インタクトな抗体の一部を指し、インタクトな抗体の抗原決定可変領域を指す。抗原決定断片の例として、限定するものではないが、抗原結合断片から形成される、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv及び単鎖Fv断片、線状抗体、一本鎖抗体、及び多重特異性抗体が挙げられる。

0028

「単鎖Fv」又は「scFv」という用語は、伝統的な二本鎖抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメインが連結して、1本の鎖を形成する抗体を指す。これらの用語には、1つの軽鎖可変ドメイン(VL)又はその部分と、1つの重鎖可変ドメイン(VH)又はその部分からなる結合分子が含まれ、ここで、各可変ドメイン(又はその部分)は、同じか、又は異なる抗体に由来する。scFv分子は、典型的に、VHドメインとVLドメインとの間に位置するscFvリンカーを含む。scFv分子は当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,892,019号明細書、Ho,et al.,Gene 77:51−59(1989);Bird,et al.,Science 242:423−426(1988);Pantoliano,et al.,Biochemistry 30:10117−10125(1991);Milenic,et al.,Cancer Research 51:6363−6371(1991);Takkinen,et al.,Protein Engineering 4:837−841(1991)に記載されている。尚、これら文献の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0029

抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素抗体及び抗原結合断片
抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)AT又は抗ATとも呼ばれる)抗体又はその抗原結合断片は、本明細書で用いられる場合、α毒素タンパク質、ペプチド、サブユニット、断片、部分、オリゴマー又はそれらの任意の組み合わせに特異的な1つ又は複数のエピトープに免疫特異的に結合し、概して他のポリペプチドには特異的に結合しない。用語「オリゴマー」又は「α毒素オリゴマー」は、機能的な膜孔(例えば、7個のα毒素モノマー)を形成するα毒素モノマーの会合体(例えば、2個のモノマー、3個のモノマー、4個のモノマー、5個のモノマー、6個のモノマー又は7個のモノマー)を指す。エピトープは、α毒素タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含み得る。用語「エピトープ」は、本明細書で使用されるとき、抗体との結合能を有するタンパク質決定基を指す。エピトープは、概してアミノ酸及び/又は糖側鎖などの分子化学的に活性な表面基を含み、概して特定の三次元構造特徴、並びに特定の化学的特徴(例えば、電荷極性塩基性酸性疎水性など)を有する。立体構造エピトープと非立体構造エピトープとは、変性溶媒の存在下で前者との結合が失われるのに対し、後者との結合は失われない点で区別される。一部の実施形態では、認識されたエピトープが活性なヘプタマーの形成を妨げる(例えば、α毒素モノマーのオリゴマー形成による活性なヘプタマーへの複合体化を阻害する)。

0030

特定の実施形態では、エピトープはα毒素タンパク質の少なくとも一部分を含み、この一部分はα毒素ヘプタマー複合体の形成に関与する。特定のエピトープは、α毒素タンパク質の連続するアミノ酸の特定の部分全体に対して少なくとも3個のアミノ酸残基の少なくとも1つのアミノ酸配列の任意の組み合わせを含むことができる。一部の実施形態では、エピトープは、α毒素タンパク質の連続するアミノ酸の特定の部分全体に対する少なくとも4個のアミノ酸残基、少なくとも5個のアミノ酸残基、少なくとも6個のアミノ酸残基、少なくとも7個のアミノ酸残基、少なくとも8個のアミノ酸残基、少なくとも9個のアミノ酸残基、少なくとも10個のアミノ酸残基、少なくとも11個のアミノ酸残基、少なくとも12個のアミノ酸残基、少なくとも13個のアミノ酸残基、少なくとも14個のアミノ酸残基、又は少なくとも15個のアミノ酸残基である。特定の他の実施形態において、エピトープは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個の連続又は非連続アミノ酸残基を含む。さらなる実施形態では、エピトープ内に含まれるアミノ酸残基は、α毒素ヘプタマー複合体形成に関わる。

0031

従って、具体的な実施形態において、単離/精製抗α毒素抗体及び抗原結合断片は、配列番号39に係るアミノ酸配列を含む分子、及び/又は配列番号40に係るアミノ酸配列を含む分子に免疫特異的に結合する。特定の実施形態では、抗α毒素抗体及び抗原結合断片はまた、異なる種由来のα毒素ホモログ若しくはオルソログ、又は配列番号39のアミノ酸配列の変異体であって、35位のヒスチジンロイシン置換され、又は当業者に公知のH35突然変異に対応する他のアミノ酸に置換されている変異体にも結合する。

0032

可変領域
特定の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は親抗体から調製される。一部の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は親抗体の範囲内に包含される。本明細書で使用されるとき、用語「親抗体」は、本明細書において定義される変異体又は誘導体の調製に用いられるアミノ酸配列によりコードされる抗体を指す。親ポリペプチドは、自然抗体配列(すなわち、天然に存在する対立遺伝子変異体を含め、天然に存在するもの)又は天然に存在する配列の既存のアミノ酸配列修飾(他の挿入、欠失及び/又は置換など)を有する抗体配列を含み得る。親抗体はヒト化抗体又はヒト抗体であってもよい。具体的な実施形態において、抗α毒素抗体及び抗原結合断片は親抗体の変異体である。本明細書で使用されるとき、用語「変異体」は、親抗体配列における1つ以上のアミノ酸残基の付加、欠失及び/又は置換によって「親」抗α毒素抗体又は抗原結合断片アミノ酸配列とアミノ酸配列が異なる抗α毒素抗体又は抗原結合断片を指す。

0033

抗体の抗原結合部分は、抗原(例えばα毒素)に特異的に結合する能力を保持する1つ以上の抗体断片を含む。抗体の抗原結合機能は全長抗体の断片(例えば抗原結合断片)により果たされ得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」の範囲内に包含される「抗原結合断片」の例としては、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)単一の抗体アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片;及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。Fv断片の2つのドメインVL及びVHは、多くの場合に別個の遺伝子によりコードされるが、これらのVL及びVHは組換え方法を用いて、それらを単一のタンパク質鎖として作製することを可能にする合成リンカーによりつなぎ合わせることができ、このタンパク質鎖では、VL領域とVH領域とが対になって一価の分子(単鎖Fv(scFv)として知られる)を形成する。かかる一本鎖抗体もまた、用語「抗体」及び抗体の「抗原結合断片」の範囲内に包含される。これらの抗原結合断片は公知の技術を用いて得ることができ、断片は、インタクトな抗体と同様にして結合活性スクリーニングすることができる。抗原結合断片は、組換えDNA技法によるか、又はインタクトな免疫グロブリンの酵素的若しくは化学的切断により産生することができる。

0034

本抗α毒素抗体及び抗原結合断片は、少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む。一部の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62のアミノ酸配列を含むVHを含む。特定の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は、配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63のアミノ酸配列を含むVLを含む。さらに別の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63のアミノ酸配列を含むVLとを含む。本明細書に提供されるとおりのVH配列及びVL配列の代表例については、表7を参照されたく、これらの代表例は任意の組み合わせで存在して抗α毒素抗体又は抗原結合断片を形成することができ、又は組み合わせで存在して本発明のmAbを形成することができる。一部の実施形態では、VHは、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62から選択される。様々な実施形態において、VLは、配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63から選択される。特定のVH及びVLヌクレオチド配列を表8に提供する。

0035

一部の実施形態では、単離抗体又はその抗原結合断片はVHとVLとを含み、ここでVH及びVLは、配列番号20及び19;配列番号22及び21;配列番号24及び23;配列番号26及び25;配列番号28及び27;配列番号41及び42;配列番号43及び44;配列番号45及び46;配列番号47及び48;配列番号47及び48;配列番号49及び50;配列番号51及び52;配列番号51及び52;配列番号53及び54;配列番号55及び56;配列番号57及び58;配列番号59及び60;配列番号61及び58;配列番号62及び58;配列番号62及び63;配列番号79及び63により表されるアミノ酸配列を有する。

0036

表1〜7は、本明細書に提示される抗体及び抗原結合断片の特定の実施形態の重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、及び相補性決定領域(CDRs)を提供する。特定の実施形態では、抗α毒素抗体及び抗原結合断片は、表7に開示されるVH配列及び/又はVL配列の少なくとも1つに対して所与パーセント同一性(percent identify)を有するVH及び/又はVLを含む。本明細書で使用されるとき、用語「パーセント(%)配列同一性」は、同様に「相同性」を含め、候補配列において、配列のアラインメント及び必要であれば最大のパーセント配列同一性を達成するためのギャップの導入後に、且つ任意の保存的置換は配列同一性の一環としては考慮することなく、親抗体配列などの参照配列のアミノ酸残基又はヌクレオチドと同一であるアミノ酸残基又はヌクレオチドの百分率として定義される。比較のための配列の最適アラインメントは、手作業で行う他、当該技術分野において公知の局所的相同性アルゴリズムを用いるか、又はそのようなアルゴリズムを使用するコンピュータプログラムウィスコシン・ジェネティクスソフトウェアパッケージ(Wisconsin Genetics Software Package),Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,WisconsinにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、BLASTP、BLAST N及びTFASTA)を用いることにより生成され得る。

0037

具体的な実施形態において、抗体又は抗原結合断片はα毒素と免疫特異的に結合し、且つ配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を含む重鎖可変ドメインを含み、且つ配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を含む軽鎖可変ドメインを含み、ここで抗体は、1つ以上のα毒素モノマーが互いに結合するのを阻害する活性を有する(例えば、オリゴマー形成を阻害する)。

0038

相補性決定領域
可変ドメイン(VH及びVL)は抗原結合領域を含むが、その変異性は抗体の可変ドメインにわたり均等に分布するわけではない。変異性は、軽鎖(VL又はVK)及び重鎖(VH)のいずれの可変ドメインにもある相補性決定領域(CDR)と呼ばれるセグメントに集中している。可変ドメインのなかでより高度に保存されている部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々4つのFRを含み、FRは概してβシート構造をとり、3つのCDRにより接続される。CDRはループを形成し、これらのループがβシート構造を接続し、及びある場合にはβシート構造の一部を形成する。各鎖のCDRはFRによって近接して一体に保持され、他方の鎖のCDRと共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,前掲を参照のこと)。重鎖の3つのCDRはVH−CDR1、VH CDR2、及びVH−CDR−3と命名され、軽鎖の3つのCDRはVL−CDR1、VL−CDR2、及びVl−CDR3と命名される。本明細書ではカバット付番方式を使用している。従って、VH−CDR1はおよそアミノ酸31から始まり(すなわち、最初のシステイン残基後の約9残基)、約5〜7アミノ酸を含み、及び次のセリン残基で終わる。VH−CDR2はCDR−H1の終わりから15番目の残基から始まり、約16〜19アミノ酸を含み、及び次のグリシン残基で終わる。VH−CDR3はVH−CDR2の終わりから約30番目のアミノ酸残基から始まり;約13〜15アミノ酸を含み;及び配列M−D−Vで終わる。VL−CDR1はおよそ残基24から始まり(すなわち、システイン残基に続く);約10〜15残基を含み;及び配列Y−V−Sで終わる。VL−CDR2はVL−CDR1の終わりから約16番目の残基から始まり、及び約7残基を含む。VL−CDR3はVH−CDR2の終わりから約33番目の残基から始まり;約7〜11残基を含み、及び配列T−I−Lで終わる。CDRは抗体毎に著しく異なる(及び定義上、カバットコンセンサス配列との相同性は示さない)ことに留意されたい。

0039

本抗α毒素抗体及び抗原結合断片は、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR1、CDR2又はCDR3)を含む少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む。一部の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのVH CDR(例えば、CDR−H1、CDR−H2又はCDR−H3)を含むVHを含む。特定の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのVL CDR(例えば、CDR−L1、CDR−L2又はCDR−L3)を含むVLを含む。

0040

一部の実施形態では、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドに免疫特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号7、10、13又は69と同一の、又はそれと比べて1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVHCDR1;(b)配列番号8、11、14、17、70又は75と同一の、又はそれと比べて1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(c)配列番号9、12、15、18、16、65、66、67、71、72、76又は78と同一の、又はそれと比べて1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。

0041

詳細な実施形態では、単離抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7、8及び9;配列番号10、11及び12;配列番号13、14及び15;配列番号7、17及び18;配列番号7、8及び16;配列番号7、8及び65;配列番号7、8及び66;配列番号7、8、及び67;配列番号7、8及び78;配列番号69、70及び71;配列番号7、8及び72;配列番号69、75及び71;配列番号69、75及び76;又は配列番号69、70及び71と同一の、又はそれと比べて各CDRに1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3を含む。

0042

一部の実施形態では、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドに免疫特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1又は4と同一の、又はそれと比べて1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVLCDR1;(b)配列番号2、5、73又は77と同一の、又はそれと比べて1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(c)配列番号3、6、64、68又は74と同一の、又はそれと比べて1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。

0043

詳細な実施形態では、単離抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1、2及び3;配列番号4、5及び6;配列番号1、2及び64;配列番号1、2及び68;配列番号1、73及び74;又は配列番号1、77及び74と同一の、又はそれと比べて各CDRに1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む。

0044

一部の実施形態では、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドに免疫特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号7、10、13又は69のアミノ酸配列を含むVHCDR1;(b)配列番号8、11、14、17、70又は75のアミノ酸配列を含むVH CDR2;(c)配列番号9、12、15、18、16、65、66、67、71、72、76又は78のアミノ酸配列を含むVH CDR3;(d)配列番号1又は4のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(e)配列番号2、5、73、又は77のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(f)配列番号3、6、64、68又は74のアミノ酸配列を含むVL CDR3と同一の、又はそれと比べて各CDRに1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む。

0045

詳細な実施形態では、単離抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7、8、9、1、2及び3;配列番号10、11、12、1、2及び3;配列番号13、14、15、4、5及び6;配列番号7、17、18、1、2及び3;配列番号7、8、16、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び64;配列番号7、8、66、1、2及び64;配列番号7、8、67、1、2及び68;配列番号7、8、67、1、2及び64;配列番号7、8、78、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び68;配列番号69、70、71、1、2及び68;配列番号7、8、72、1、73及び74;配列番号69、75、71、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、77及び74;配列番号69、70、71、1、77及び74と同一の、又はそれと比べて各CDRに1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。

0046

一部の実施形態では、(i)3つのCDRを含むVH鎖ドメインと3つのCDRを含むVL鎖ドメインとを含み;及び(ii)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドに免疫特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合断片を含む組成物が提供され、ここでVH鎖ドメインの3つのCDRは、(a)配列番号7、10、13又は69のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(b)配列番号8、11、14、17、70又は75のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(c)配列番号9、12、15、18、16、65、66、67、71、72、76又は78のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。詳細な実施形態では、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3は、配列番号7、8及び9;配列番号10、11及び12;配列番号13、14及び15;配列番号7、17及び18;配列番号7、8及び16;配列番号7、8及び65;配列番号7、8及び66;配列番号7、8、及び67;配列番号7、8及び78;配列番号69、70及び71;配列番号7、8及び72;配列番号69、75及び71;配列番号69、75及び76;又は配列番号69、70及び71に対応する。

0047

また、特定の実施形態では、(i)3つのCDRを含むVH鎖ドメインと3つのCDRを含むVL鎖ドメインとを含み;及び(ii)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドに免疫特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合断片を含む組成物も提供され、ここでVL鎖ドメインの3つのCDRは、(a)配列番号1又は4のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(b)配列番号2、5、73、又は77のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(c)配列番号3、6、64、68又は74のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。詳細な実施形態では、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3は、配列番号1、2及び3;配列番号4、5及び6;配列番号1、2及び64;配列番号1、2及び68;配列番号1、73及び74;又は配列番号1、77及び74に対応する。

0048

一部の実施形態では、黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素ポリペプチドと免疫特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号7、10、13又は69のアミノ酸配列を含むVHCDR1;(b)配列番号8、11、14、17、70又は75のアミノ酸配列を含むVH CDR2;(c)配列番号9、12、15、18、16、65、66、67、71、72、76又は78のアミノ酸配列を含むVH CDR3;(d)配列番号1又は4のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(e)配列番号2、5、73、又は77のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(f)配列番号3、6、64、68又は74のアミノ酸配列を含むVL CDR3と同一の、又はそれと比べて各CDRに1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む。

0049

詳細な実施形態では、単離抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7、8、9、1、2及び3;配列番号10、11、12、1、2及び3;配列番号13、14、15、4、5及び6;配列番号7、17、18、1、2及び3;配列番号7、8、16、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び64;配列番号7、8、66、1、2及び64;配列番号7、8、67、1、2及び68;配列番号7、8、67、1、2及び64;配列番号7、8、78、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び68;配列番号69、70、71、1、2及び68;配列番号7、8、72、1、73及び74;配列番号69、75、71、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、77及び74;配列番号69、70、71、1、77及び74と同一の、又はそれと比べて各CDRに1、2、又は3個のアミノ酸残基置換を含むアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む。

0050

一部の実施形態では、(i)3つのCDRを含むVH鎖ドメインと3つのCDRを含むVL鎖ドメインとを含み;及び(ii)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドと免疫特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合断片を含む組成物が提供され、ここでVH鎖ドメインの3つのCDRは、(a)配列番号7、10、13又は69のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(b)配列番号8、11、14、17、70又は75のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(c)配列番号9、12、15、18、16、65、66、67、71、72、76又は78のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。詳細な実施形態では、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3は、配列番号7、8及び9;配列番号10、11及び12;配列番号13、14及び15;配列番号7、17及び18;配列番号7、8及び16;配列番号7、8及び65;配列番号7、8及び66;配列番号7、8、及び67;配列番号7、8及び78;配列番号69、70及び71;配列番号7、8及び72;配列番号69、75及び71;配列番号69、75及び76;又は配列番号69、70及び71に対応する。

0051

さらに、(i)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドに免疫特異的に結合し、(ii)配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含み、(iii)配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、単離抗体又はその抗原結合断片を含む組成物も提供される。

0052

一部の実施形態では、単離抗体又はその抗原結合断片は、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62の重鎖可変ドメインと、配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63の軽鎖可変ドメインを含む。

0053

詳細な実施形態では、単離抗体又はその抗原結合断片は、VH及びVLを含み、ここでVH及びVLは、それぞれ配列番号20及び19;配列番号22及び21;配列番号24及び23;配列番号26及び25;配列番号28及び27;配列番号41及び42;配列番号43及び44;配列番号45及び46;配列番号47及び48;配列番号47及び48;配列番号49及び50;配列番号51及び52;配列番号51及び52;配列番号53及び54、配列番号55及び56;配列番号57及び58;配列番号59及び60;配列番号61及び58;配列番号62及び58;配列番号62及び63;配列番号79及び63のVH及びVLアミノ酸配列と同一であるか、又はそれぞれ、これらのVH及びVLアミノ酸配列と少なくとも90%、95%又は98%の同一性を有する。

0054

変異Fc領域
本発明はまた、修飾IgG定常ドメインを有する本発明の結合メンバー、特に本発明の抗体も含む。長い血清中半減期及び様々なエフェクター機能を媒介する能力などの機能的特性を有するヒトIgGクラスの抗体が、本発明の特定の実施形態で使用される(Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,Wiley−Liss,Inc.,Chapter 1(1995))。ヒトIgGクラス抗体は、さらに以下の4つのサブクラスに分類される:IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4。IgGクラス抗体のエフェクター機能としてのADCC及びCDCについて、これまで数多くの研究が行われており、ヒトIgGクラスの抗体のなかでもIgG1サブクラスは、ヒトにおいて最大のADCC活性及びCDC活性を有することが報告されている(Chemical Immunology,65,88(1997))。

0055

抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」及び「ADCC」は、非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応を指す。一実施形態において、かかる細胞はヒト細胞である。いかなる特定の作用機序にも限定されることは望まないが、ADCCを媒介するこのような細胞傷害性細胞は、概してFc受容体(FcR)を発現する。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞はFcγRIIIを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRII、FcγRIII及び/又はFcγRIVを発現する。造血細胞上でのFcR発現については、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.,9:457−92(1991)に要約されている。分子のADCC活性の評価には、米国特許第5,500,362号明細書又は同第5,821,337号明細書に記載されるようなインビトロADCCアッセイが実施されてもよい。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。或いは、又は加えて、目的の分子のADCC活性をインビボで、例えば、Clynes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),95:652−656(1998)に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価してもよい。

0056

補体依存性細胞傷害性」又は「CDC」は、分子が補体活性化惹起して補体の存在下で標的を溶解する能力を指す。補体活性化経路は、補体系の第1の成分(C1q)が、同種抗原と複合体を形成する分子(例えば抗体)に結合することにより惹起される。補体活性化の評価には、例えばGazzano−Santaro et al.,J.Immunol.Methods,202:163(1996)に記載されるとおりの、CDCアッセイが実施されてもよい。

0057

ヒトIgG1サブクラス抗体のADCC活性及びCDC活性の発現には、概して、抗体のFc領域が、キラー細胞ナチュラルキラー細胞又は活性化マクロファージなどのエフェクター細胞の表面上に存在する抗体に対する受容体(以下、「FcγR」と称する)に結合することが関わる。様々な補体成分が結合し得る。結合に関して、抗体のヒンジ領域のいくつかのアミノ酸残基及びC領域の第2ドメイン(以下、「Cγ2ドメイン」と称する)が重要であること(Eur.J.Immunol.,23,1098(1993),Immunology,86,319(1995)、Chemical Immunology,65,88(1997))、及びCγ2ドメインにおける糖鎖(Chemical Immunology,65,88(1997))もまた重要であることが示唆されている。

0058

「エフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、且つエフェクター機能を果たす白血球である。この細胞は、少なくともFcγRI、FCγRII、FcγRIII及び/又はFcγRIVを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞及び好中球が挙げられる。

0059

用語「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために用いられる。一実施形態において、FcRは天然配列ヒトFcRである。さらに、特定の実施形態では、FcRはIgG抗体と結合するもの(γ受容体)であり、対立遺伝子変異体及び選択的スプライシングを受けた形態のこうした受容体を含め、FcγRI、FcγRII、FcγRIII、及びFcγRIVサブクラスの受容体が含まれる。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは同様のアミノ酸配列を有し、主な違いはその細胞質ドメインである。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含む(Daeron,Annu.Rev.Immunol.,15:203−234(1997)を参照のこと)。FcRについては、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.,9:457−92(1991);Capelet al.,Immunomethods,4:25−34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.,126:330−41(1995)でレビューされている。今後同定されるものを含め、他のFcRが、本明細書における用語「FcR」に包含される。この用語にはまた新生児受容体FcRnも含まれ、これは、母性IgGの胎児への移行に関与する(Guyer et al.,Immunol.,117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.,24:249(1994))。

0060

特定の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は、抗体の機能的及び/又は薬物動態学的特性を変化させるためFc領域に1つ以上の改変が加えられている改変Fc領域(本明細書では「変異Fc領域」とも称される)を含む。かかる改変により、IgGに対するClq結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC)の、又はFcγR結合の低下又は増加がもたらされ得る。本技術は、変化を加えて所望の効果を提供するようエフェクター機能が改変されている変異Fc領域を有する本明細書に記載される抗体を包含する。従って、一部の実施形態では、抗α毒素抗体又は抗原結合断片は、変異Fc領域(すなわち、以下で考察するとおり改変されているFc領域)を含む。変異Fc領域を含む本明細書の抗α毒素抗体及び抗原結合断片はまた、ここでは「Fc変異抗体」とも称される。本明細書で使用されるとき、天然とは非修飾親配列を指し、天然のFc領域を含む抗体は、本明細書では「天然Fc抗体」と称される。一部の実施形態では、変異Fc領域は、天然のFc領域と比較して同程度のエフェクター機能の誘導を示す。特定の実施形態では、変異Fc領域は、天然Fcと比較してより高いエフェクター機能の誘導を示す。特定の実施形態では、変異Fc領域は、天然Fcと比較してより低いエフェクター機能の誘導を示す。変異Fc領域のいくつかの具体的な実施形態を本明細書に詳述する。エフェクター機能の計測方法は、当該技術分野において公知である。

0061

抗体のエフェクター機能は、限定はされないが、アミノ酸置換、アミノ酸付加、アミノ酸欠失及びFcアミノ酸に対する翻訳後修飾(例えばグリコシル化)の変化を含め、Fc領域を変化させることによって修飾することができる。以下に記載される方法を用いて、本明細書に記載されるとおりの単離抗体又は抗原結合断片のエフェクター機能を改変し、特定の黄色ブドウ球菌(Staphylococcal aureus)関連疾患又は病態の予防又は治療に有利な特定の特性を有する抗体又は抗原結合断片を生じさせてもよい。

0062

一部の実施形態では、Fcリガンド(例えば、Fc受容体、C1q)に対し、天然Fc抗体と比べて改変された結合特性を有するFc変異抗体が調製される。結合特性の例としては、限定はされないが、結合特異性、平衡解離定数(Kd)、解離速度及び会合速度(それぞれkoff及びkon)、結合親和性及び/又はアビディティが挙げられる。当該技術分野においては、平衡解離定数(Kd)はkoff/konとして定義されることが公知である。特定の態様では、高いKdを有する抗体に対して低いKdのFc変異領域を含む抗体がより望ましいこともある。しかしながら、ある場合にはkon又はkoffの値のほうが、Kdの値より関連性が高いこともある。所与の抗体適用についてどの動態学パラメータがより重要であるかは、決定することができる。

0063

一部の実施形態では、Fc変異抗体は、限定はされないが、FcRn、アイソフォームFcγRIA、FcγRIB、及びFcγRICを含むFcγRI(CD64);FcγRII(CD32、アイソフォームFcγRIIA、FcγRIIB、及びFcγRIICを含む);及びFcγRIII(CD16、アイソフォームFcγRIIIA及びFcγRIIIBを含む)を含む1つ以上のFc受容体に対し、天然Fc抗体と比較したとき改変された結合親和性を示す。

0064

特定の実施形態では、Fc変異抗体は、1つ以上のFcリガンドとの結合性が天然Fc抗体と比べて向上している。特定の実施形態では、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べて少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも7倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも30倍、又は少なくとも40倍、又は少なくとも50倍、又は少なくとも60倍、又は少なくとも70倍、又は少なくとも80倍、又は少なくとも90倍、又は少なくとも100倍、又は少なくとも200倍、又は2倍〜10倍、又は5倍〜50倍、又は25倍〜100倍、又は75倍〜200倍、又は100〜200倍高い又は低いFcリガンドに対する親和性の増加又は低下を示す。様々な実施形態において、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べて少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも10%、又は少なくとも5%高い又は低いFcリガンドに対する親和性を示す。特定の実施形態では、Fc変異抗体は、Fcリガンドに対する親和性が増加している。Fc変異抗体は、ときに、Fcリガンドに対する親和性が低下していてもよい。

0065

一部の実施形態では、Fc変異抗体は、Fc受容体FcγRIIIAとの結合が増強されている。一部の実施形態では、Fc変異抗体は、Fc受容体FcγRIIBとの結合が増強されている。特定の実施形態では、Fc変異抗体は、Fc受容体FcγRIIIA及びFcγRIIBの双方との結合が増強されている。特定の実施形態では、FcγRIIIAとの結合が増強されたFc変異抗体は、天然Fc抗体と比較したとき、FcγRIIB受容体との結合が同時には増加しない。特定の実施形態では、Fc変異抗体は、Fc受容体FcγRIIIAとの結合が低減されている。Fc変異抗体は、ときに、Fc受容体FcγRIIBとの結合が低減されていてもよい。様々な実施形態において、FcγRIIIA及び/又はFcγRIIBに対して改変された親和性を示すFc変異抗体は、Fc受容体FcRnとの結合が増強されている。一部の実施形態では、FcγRIIIA及び/又はFcγRIIBに対して改変された親和性を示すFc変異抗体は、天然Fc抗体と比べてC1qとの結合が改変されている。

0066

特定の実施形態では、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べて少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも7倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも30倍、又は少なくとも40倍、又は少なくとも50倍、又は少なくとも60倍、又は少なくとも70倍、又は少なくとも80倍、又は少なくとも90倍、又は少なくとも100倍、又は少なくとも200倍、又は2倍〜10倍、又は5倍〜50倍、又は25倍〜100倍、又は75倍〜200倍、又は100〜200倍高い又は低いFcγRIIIA受容体に対する親和性を示す。様々な実施形態において、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べて少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも10%、又は少なくとも5%高い又は低いFcγRIIIAに対する親和性を示す。

0067

特定の実施形態では、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べて少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも7倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも30倍、又は少なくとも40倍、又は少なくとも50倍、又は少なくとも60倍、又は少なくとも70倍、又は少なくとも80倍、又は少なくとも90倍、又は少なくとも100倍、又は少なくとも200倍、又は2倍〜10倍、又は5倍〜50倍、又は25倍〜100倍、又は75倍〜200倍、又は100〜200倍高い又は低いFcγRIIB受容体に対する親和性を示す。特定の実施形態では、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べて少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも10%、又は少なくとも5%高い又は低いFcγRIIBに対する親和性を示す。

0068

一部の実施形態では、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べてC1qに対する親和性の増加又は低下を示す。一部の実施形態では、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べて少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも7倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも30倍、又は少なくとも40倍、又は少なくとも50倍、又は少なくとも60倍、又は少なくとも70倍、又は少なくとも80倍、又は少なくとも90倍、又は少なくとも100倍、又は少なくとも200倍、又は2倍〜10倍、又は5倍〜50倍、又は25倍〜100倍、又は75倍〜200倍、又は100〜200倍高い又は低いC1q受容体に対する親和性を示す。特定の実施形態では、Fc変異抗体は、天然Fc抗体と比べて少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも10%、又は少なくとも5%高い又は低いC1qに対する親和性を示す。様々な実施形態において、Ciqに対して改変された親和性を示すFc変異抗体は、Fc受容体FcRnとの結合が増強されている。さらに別の具体的な実施形態において、C1qに対して改変された親和性を示すFc変異抗体は、天然Fc抗体と比べてFcγRIIIA及び/又はFcγRIIBとの結合が改変されている。

0069

Fc変異抗体は、1つ以上のFcγR媒介性エフェクター細胞機能を決定するインビトロ機能アッセイによって特徴付けられることが企図される。特定の実施形態では、Fc変異抗体は、インビボモデル(本明細書に記載及び開示されるものなど)において、インビトロベースのアッセイにおけるものと同様の結合特性及びエフェクター細胞機能を有する。本技術では、インビトロベースのアッセイで所望の表現型を示さないがインビボでは所望の表現型を確かに示すFc変異抗体を除外しない。

0070

Fc領域を含むタンパク質の血清中半減期は、FcRnに対するFc領域の結合親和性を増加させることにより増加させてもよい。用語「抗体半減期」は、本明細書で使用されるとき、抗体分子の投与後の平均生存時間尺度である抗体の薬物動態学的特性を意味する。抗体半減期は、例えば、血清中で計測するとき(すなわち循環半減期)、又は他の組織で計測するとき、既知量の免疫グロブリンの50パーセントを患者(又は他の哺乳動物)の体内又はその特定のコンパートメントから排除するのに必要な時間として表すことができる。半減期は、免疫グロブリン又は免疫グロブリンクラスによって異なり得る。一般に、抗体半減期が増加すると、投与された抗体の循環中平均滞留時間(MRT)が増加する。

0071

半減期が増加すると、患者に投与する薬物の量を減らすとともに、投与頻度を低下させることができる。半減期の増加はまた、例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcal aureus)関連疾患又は病態の予防に、また多くの場合に患者が一度退院した後に起こり得る感染の再発の予防にも、有益であり得る。抗体の血清中半減期を増加させるため、当該技術分野において公知のとおり、抗体(特に抗原結合断片)にサルベージ受容体結合エピトープを組み込み得る。本明細書で使用されるとき、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のインビボ血清中半減期の増加に関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)のFc領域のエピトープを指す。半減期が増加した抗体はまた、FcとFcRn受容体との間の相互作用に関与するものとして同定されるアミノ酸残基を修飾することによっても生成し得る。加えて、抗α毒素抗体又は抗原結合断片の半減期は、当該技術分野で広く利用されている技術によってPEG又はアルブミンコンジュゲートすることにより増加させてもよい。一部の実施形態では、抗α毒素抗体のFc変異領域を含む抗体は、天然のFc領域を含む抗体と比較して半減期が約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約125%、約150%以上増加している。一部の実施形態では、Fc変異領域を含む抗体は、天然のFc領域を含む抗体と比較して半減期が約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍以上、又は2倍〜10倍、又は5倍〜25倍、又は15倍〜50倍増加している。

0072

一部の実施形態では、本明細書に提示される技術はFc変異体を提供し、ここでFc領域は、カバットに定められるとおりのEUインデックスにより付番するとき234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、247、251、252、254、255、256、262、263、264、265、266、267、268、269、279、280、284、292、296、297、298、299、305、313、316、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、339、341、343、370、373、378、392、416、419、421、440及び443からなる群から選択される1つ以上の位置に修飾(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失)を含む。場合により、Fc領域は、当該技術分野において公知の追加的及び/又は代替的な位置に天然に存在しないアミノ酸残基を含み得る。

0073

特定の実施形態において、本明細書にはFc変異体が提供され、ここでFc領域は、カバットに定められるとおりのEUインデックスにより付番するとき234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、240M、241W、241L、241Y、241E、241R、243W、243L、243Y、243R、243Q、244H、245A、247L、247V、247G、251F、252Y、254T、255L、256E、256M、262I、262A、262T、262E、263I、263A、263T、263M、264L、264I、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、265I、265L、265H、265T、266I、266A、266T、266M、267Q、267L、268E、269H、269Y、269F、269R、270E、280A、284M、292P、292L、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、305I、313F、316D、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、328I、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、330I、330F、330R、330H、331G、331A、331L、331M、331F、331W、331K、331Q、331E、331S、331V、331I、331C、331Y、331H、331R、331N、331D、331T、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、332A、339T、370E、370N、378D、392T、396L、416G、419H、421K、440Y及び434Wからなる群から選択される少なくとも1つの置換を含む。場合により、Fc領域は、当該技術分野において公知の追加的及び/又は代替的な天然に存在しないアミノ酸残基を含み得る。

0074

様々な実施形態において、本明細書にはFc変異抗体が提供され、ここでFc領域は、234、235及び331からなる群から選択される1つ以上の位置に少なくとも1つの修飾(例えば、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失)を含む。一部の実施形態では、天然に存在しないアミノ酸は、234F、235F、235Y、及び331Sからなる群から選択される。本明細書にはFc変異体が提供され、ここでFc領域は、239、330及び332からなる群から選択される1つ以上の位置に少なくとも1つの天然に存在しないアミノ酸を含む。一部の実施形態で、天然に存在しないアミノ酸は、239D、330L及び332Eからなる群から選択される。

0075

一部の実施形態において、本明細書にはFc変異抗体が提供され、ここでFc領域は、252、254、及び256からなる群から選択される1つ以上の位置に少なくとも1つの天然に存在しないアミノ酸を含む。特定の実施形態では、天然に存在しないアミノ酸は、米国特許第7,083,784号明細書(この内容は全体として参照により本明細書に援用される)に記載される252Y、254T及び256Eからなる群から選択される。

0076

特定の実施形態では、IgG抗体により誘発されるエフェクター機能は、タンパク質のFc領域に連結している炭水化物部分に強く依存する。従って、Fc領域のグリコシル化を修飾すると、エフェクター機能を増加又は低下させることができる。従って、一部の実施形態では、本明細書に提供される抗α毒素抗体及び抗原結合断片のFc領域は、アミノ酸残基のグリコシル化の改変を含む。特定の実施形態では、アミノ酸残基のグリコシル化の改変はエフェクター機能の低下をもたらす。特定の実施形態では、アミノ酸残基のグリコシル化の改変はエフェクター機能の増加をもたらす。一部の実施形態では、Fc領域のフコシル化が低下している。特定の実施形態では、Fc領域は非フコシル化型である。

0077

一部の実施形態では、本明細書におけるFc変異体は、当該技術分野において公知のとおりの他の公知のFc変異体と組み合わされてもよい。Fcドメインの他の修飾及び/又は置換及び/又は付加及び/又は欠失を導入することができる。詳細な実施形態では、Fc変異ドメインを有する本発明の抗AT抗体は、配列番号80に対応するVH−IgG1−YTE及び/又は配列番号81に対応するVL−κを含む。

0078

抗黄色ブドウ球菌(S.AUREUS)AT抗体の代表的配列

0079

0080

0081

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0099

抗AT抗体及びその抗原結合断片を含む医薬製剤
また、本明細書に記載する抗α毒素抗体又はその抗原結合断片と担体を含む医薬製剤も提供される。かかる製剤は、全体を通して記載する様々な方法で、容易に投与することができる。一部の実施形態では、製剤は、薬学的に許容可能な担体を含む。

0100

本明細書で用いる場合、抗α毒素抗体又はその抗原結合断片を含む医薬製剤は、本技術の製剤と称される。用語「薬学的に許容可能な担体」は、活性成分生物学的活性の有効性を妨害しない1つ以上の無毒性の材料を意味する。かかる製剤は、塩、緩衝剤防腐剤適合担体、及び任意選択で他の治療剤ルーチンに含有し得る。かかる薬学的に許容可能な製剤はまた、ヒトへの投与に好適な、適合する固形又は液状充填剤希釈剤又は封入物質もルーチンに含有し得る。用語「担体」は、適用を促進するよう活性成分と組み合わされる有機又は無機成分(天然若しくは合成)を指す。本医薬組成物の構成成分はまた、所望の薬学的効力を実質的に損ない得る相互作用がないようにして本明細書に記載の抗体及び抗原結合断片と、及び互いに、混ぜ合わせることも可能である。

0101

本明細書に記載する医薬組成物は、特定の投薬量に製剤化されてもよい。投薬レジメンは、最適な所望の反応を提供するように調整され得る。例えば、単回ボーラスを投与してもよく、いくつかの分割用量が時間をかけて投与されてもよく、又は治療状況の急迫性の指標に応じて用量を比例的に減少又は増加させてもよい。特に、投与し易く、且つ投薬量が均一になるため、非経口組成物を投薬単位形態で製剤化することが有利である。投薬単位形態は、本明細書で使用されるとき、単位投薬量として治療対象に適した物理的に個別の単位を指す;各単位は、必要な医薬担体との関連において所望の治療効果を生じるように計算された所定の活性化合物(すなわち、抗体又は抗原結合断片)分量を含有する。投薬単位形態の詳細は、(a)抗α毒素抗体又は抗原結合断片の固有の特性及び実現しようとする特定の治療効果、及び(b)個体における感受性の治療のためにこうした抗α毒素抗体又は抗原結合断片を配合する技術に固有の制約によって左右され、且つそれに直接依存する。

0102

本技術の治療組成物は、特定の投与経路、例えば、経口、経鼻肺内、局所(頬側及び下を含む)、直腸腟内及び/又は非経口投与用に製剤化することができる。製剤は、好都合には単位剤形で提供されてもよく、及び薬学の技術分野において公知の任意の方法により調製されてもよい。単一の剤形を作製するため担体材料と組み合わせ得る活性成分(すなわち、抗体又は抗原結合断片)の量は、治療対象、及び特定の投与方式に応じて異なり得る。単一の剤形を作製するため担体材料と組み合わせ得る活性成分の量は、概して、治療効果を生み出す組成物の量であり得る。

0103

黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連疾患の治療
本発明はまた、黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体及びその抗原結合断片を用いて、菌血症及び敗血症などの黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性疾患及び病態を予防及び/又は治療する方法も提供する。また、黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体及びその抗原結合断片を用いて、免疫無防備患者における肺炎などの黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性疾患及び病態を予防及び/又は治療する方法も提供する。

0104

全体を通して記載する抗AT抗体又はその抗原結合断片、並びにかかる抗体の突然変異体、変異体及び誘導体のいずれかを本明細書に記載する様々な方法に使用してもよい。例示的抗AT抗体及びその抗原結合断片を、様々な方法及び提供する実施例で使用するために本明細書に記載するが、当技術分野において公知の任意の抗AT抗体又はその抗原結合断片、及び特に本明細書に記載され、公開国際特許出願第2012/109285号パンフレット(その開示内容は、全体が参照により、本明細書に組み込まれる)に開示されたものを様々な方法に使用してよいことは、理解すべきである。

0105

敗血症としても知られる菌血症は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)が、ヒトなどの哺乳動物の血流内に侵入すると起こる。持続性発熱は、菌血症の1つの徴候である。細菌は、身体内深部の位置まで移動することができ、これにより、脳、心臓、肺、骨及び筋肉などの内臓、又は人工関節若しくは心臓ペースメーカなどの手術により移植したデバイス被る感染を発生させる。黄色ブドウ球菌(S.aureus)敗血症の1つの顕著な特徴は、細菌凝集及び血栓塞栓性病変形成であり、これは、心臓における細菌コロニー形成単位(CFU)として測定される(McAdow et al,2011)。

0106

いくつかの実施形態において、哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を予防する、又は、哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症の重症度を軽減する方法が提供される。かかる方法は、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を上記対象に投与することを含み、上記の抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片、あるいは当技術分野において公知のものを含む。

0107

哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を予防する方法は、好適には、感染事象の前に有効量の単離抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む。本明細書で用いる場合、「感染事象」は、対象が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染に暴露されるか、又は暴露され得る事象を指す。例示的感染事象として、限定するものではないが、頭部、口、手、腕、脚、胴、内臓(例えば、心臓、脳、腸、腎臓、肺、肝臓脾臓膵臓など)、骨、皮膚などの身体のいずれかの部分に対する手術が挙げられる。手術によって、黄色ブドウ球菌(S.aureus)に容易に感染し得る開放手術創及び臓器などの状態が発生する。別の感染事象としては、身体のいずれかの部分への外傷があり、これにより、開放創、又は他の場合、血流への進入路がもたらされ、これを介して黄色ブドウ球菌(S.aureus)が身体に侵入し得る。それ以外の感染事象として、輸血医薬品又は非合法若しくは合法薬物の注射、刺し傷、タトゥーニードル静脈(IV)ラインの挿入及び維持、外科ドレーンの挿入及び維持、並びに例えば褥瘡褥瘡性潰瘍)などの皮膚の損傷の部位が挙げられる。

0108

本方法が黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症の治療を提供する実施形態では、抗AT抗体又はその抗原結合断片は、感染事象の少なくとも1時間前に投与するのが好適である。例えば、手術(感染事象)の少なくとも1時間前。好適には、抗AT抗体又はその抗原結合断片は、感染事象の少なくとも6時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも24時間前、少なくとも30時間前、少なくとも36時間前、少なくとも42時間前、少なくとも48時間前、又は48時間以上前に投与する。実施形態では、抗AT抗体又はその抗原結合断片は、感染事象の約6時間〜約36時間前、約6時間〜約36時間前、約12時間〜約36時間前、約12時間〜約24時間前、約24時間〜約36時間前、約20時間〜約30時間前、約20時間〜約28時間前、約22時間〜約26時間前、又は約12時間前、約13時間前、約14時間前、約15時間前、約16時間前、約17時間前、約18時間前、約19時間前、約20時間前、約21時間前、約22時間前、約23時間前、約24時間前、約25時間前、約26時間前、約27時間前、約28時間前、約29時間前、約30時間前、又は約31時間前、又は約32時間前、又は約33時間前、又は約34時間前、又は約35時間前、又は約36時間前に投与するのが好適である。

0109

本明細書で使用されるとき、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症の「予防」は、感染事象の時点で黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を獲得する対象の危険性を低減することを指す。好適には、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を獲得する対象の危険性は、感染事象の前に抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較して、少なくとも30%低減する。より好適には、この危険性は、感染事象の前に抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%低減するか、又は前記危険性は完全に排除される。

0110

哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を軽減する方法において、かかる方法は、好適には、黄色ブドウ球菌(S.aureus)敗血症の症状を呈示する対象に、有効量の抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む。こうした症状として、例えば、寒気、混乱若しくは精神錯乱、発熱若しくは低体温低体温症)、低血圧による軽度の頭痛頻拍震え皮膚発疹及び皮膚のほてりを挙げることができる。

0111

本明細書で使用されるとき、「重症度を軽減する」は、これが敗血症に関して用いられる場合、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を獲得した対象が呈示する症状を軽減することを指す。好適には、これらの症状は、やはり黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を獲得しているが、抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象が呈示する症状と比較して、少なくとも30%軽減される。より好適には、上記の症状は、感染事象の前に抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%低減するか、又は前記症状は完全に排除される(すなわち、対象は、感染及び敗血症から治癒する)。

0112

本明細書で使用されるとき、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、治療的処置及び予防的(prophylatic)又は予防的(preventative)手段を指し得るが、その目的は、疾患の進行などの望ましくない身体的変化又は障害を予防する、又は遅らせる(軽減する)ことである。有益又は所望の臨床結果としては、限定するものではないが、症状の改善、疾患の程度の低減、病態の安定化(すなわち、悪化させない)、疾患の進行の遅延又は緩徐化、病態の改善又は好転が挙げられる。「治療」はまた、治療を受けない場合に予測される生存と比較した生存の延長を意味し得る。治療が必要な者には、病状若しくは障害を既に有する者、並びに病状若しくは障害に罹患しやすい者、又は病状若しくは障害を予防しようとする者が含まれる。

0113

好適には、本明細書に記載する様々な方法において、抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与することができる対象は、例えば、ヒト、イヌネコ霊長類家畜ヒツジウマブタなどの哺乳動物である。

0114

本明細書に記載する抗体又はその抗原結合断片は、好適な投薬量及び投薬レジメンで投与することができ、かかる投薬量及び投薬レジメンは、疾患又は病状に応じて変わり得る。「有効な投薬量」は、投薬量及び投薬レジメンが治療効果又は治療エンドポイント(例えば、予防)を生じるかどうかを決定することにより特定することができる。抗体又はその抗原結合断片の用量は、単一回の投与、又は所望の効果及び他の臨床上の考慮事項に応じて間隔をあけた複数回の投与で提供することができる。

0115

抗AT抗体又はその抗原結合断片を対象に投与する例示的方法としては、限定するものではないが、静脈内(IV)、腫瘍内(IT)、病変内(IL)、エーロゾル経皮内視鏡、局所、筋肉内(IM)、皮内(ID)、眼内(IO)、腹腔内(IP)、経皮(TD)、鼻腔内(IN)、脳内(IC)、臓器内(例えば、肝臓内)、徐放性インプラント、又は皮下投与、あるいは、浸透圧若しくは機械ポンプを用いた投与によるものが挙げられる。

0116

別の実施形態において、哺乳動物対象の血流又は心臓における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌負荷を低減する方法が提供される。かかる方法は、好適には、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を対象に投与することを含む。

0117

哺乳動物対象の血流又は心臓における細菌負荷は、好適には、血流又は心臓中の細菌、好適には黄色ブドウ球菌(S.aureus)コロニーの量を決定するための当技術分野で公知の方法により測定する。例えば、細菌負荷は、生物からの試料寒天プレート上に平板培養し、プレートをインキュベートした後、プレート上のコロニー形成単位(CFU)の数を定量することにより、好適に測定される。かかる方法は、当技術分野では公知である。細菌負荷を決定する別の好適な方法を使用することもできる。回収される試料は、好適には、生物から一般的に採取するか、又は具体的に特定の臓器から採取した血液試料由来のものである。

0118

好適には、黄色ブドウ球菌(S.aureus)に感染した対象の細菌負荷(すなわち、コロニー形成単位により測定される細菌の量)は、抗AT抗体又はその抗原結合断片で治療した対象において、やはり黄色ブドウ球菌(S.aureus)に感染しているが、抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較して、少なくとも30%低減する。より好適には、細菌の量は、抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%低減するか、又は細菌負荷は完全に排除される。

0119

好適には、黄色ブドウ球菌(S.aureus)による感染の診断後可能な限り早期に、例えば、数時間又は数日以内に、抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与する。投与すべき抗AT抗体又はその抗原結合断片の期間又は量は、当業者によって容易に決定される。

0120

また、哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌凝集及び/又は血栓塞栓性病変形成を低減する方法も提供される。かかる方法は、好適には、前記対象に、有効量の抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片(本明細書に記載する、あるいは、当技術分野で公知の抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片など)を投与することを含む。

0121

本明細書に記載する場合、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌凝集を低減する方法は、血液との接触時及び/又は臓器中で、黄色ブドウ球菌(S.aureus)同士が凝集する量を低減することを指す。細菌凝集を測定する例示的方法は、当技術分野において公知であり、例えば、McAdow et al.,PLos Pathogens 7:e1002307(2011)(その開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどがある。好適には、対象の血流及び/又は臓器における血栓塞栓性病変形成を低減する方法も提供される。血栓塞栓性病変形成を測定する方法は、当技術分野において公知であり、例えば、磁気共鳴画像化(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)若しくはコンピュータ体軸断層撮影法CATスキャン、又はその他の好適な画像方法が挙げられる。

0122

哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)の細菌凝集及び/又は血栓塞栓性形成を低減する方法により、抗AT抗体又はその抗原結合断片で治療した対象において、やはり黄色ブドウ球菌(S.aureus)に感染しているが、抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較し、細菌凝集及び/又は血栓塞栓性形成が少なくとも30%低減する。より好適には、細菌凝集及び/若しくは血栓塞栓性形成は、抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%低減するか、又は細菌凝集及び/若しくは血栓塞栓性形成は完全に排除される。

0123

好適には、哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を予防する方法、又は哺乳動物対象において黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症の重症度を軽減する方法は、対象の血流又は心臓における細菌負荷の低減ももたらす。他の実施形態では、哺乳動物対象において黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症を予防する方法、又は哺乳動物対象において黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性敗血症の重症度を軽減する方法は、対象における細菌凝集及び/又は血栓塞栓性形成の低減ももたらす。

0124

別の実施形態では、免疫無防備状態の哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防する方法又はその重症度を軽減する方法が提供される。かかる方法は、好適には、前記対象に、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む。

0125

本明細書に記載するように、驚くことに、免疫無防備状態の哺乳動物対象に抗AT)抗体又はその抗原結合断片を投与することにより、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を予防するか、又は黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎の重症度を軽減できることが判明した。

0126

本明細書に記載するとき、「免疫無防備状態の」は、正常な免疫応答を形成することができない哺乳動物対象を指し、一般に、こうした対象は、好中球減少症に罹患しており、これは、好中球数が異常に低いことを意味する。好中球減少症の重症度は、血液マイクロリットル当たりの細胞において測定される好中球絶対数(ANC)により決定する。軽度好中球減少症(1000≦ANC<1500);中等度好中球減少症(500≦ANC<1000);及び重度好中球減少症(ANC<500)が、当業者により決定される一般的レベルである。

0127

本明細書に記載するとき、免疫無防備状態の哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎の「予防」は、感染事象の時点で、免疫無防備状態の対象が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を獲得する危険性を低減することを指す。好適には、免疫無防備状態の対象が、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を獲得する危険性は、感染事象の前に抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較して、少なくとも30%低減する。より好適には、上記危険性は、感染事象の前に抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象と比較して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%低減するか、又は危険性は完全に排除される。

0128

哺乳動物対象における黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎の重症度を軽減する方法において、かかる方法は、好適には、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎の症状を呈する対象に、有効量の単離抗黄色ブドウ球菌(S.aureus)α毒素(抗AT)抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む。こうした症状として、例えば、の痛み、発熱、及び呼吸困難が挙げられる。

0129

本明細書で使用するとき、「重症度を軽減する」は、肺炎に関して用いられる場合、黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を獲得した対象(好適には、免疫無防備状態の対象)が呈示する症状を軽減することを指す。好適には、上記症状は、やはり黄色ブドウ球菌(S.aureus)関連性肺炎を獲得しているが、抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない対象が呈示する症状と比較して、少なくとも30%軽減される。より好適には、上記症状は、感染事象の前に抗AT抗体又はその抗原結合断片を投与されていない免疫無防備状態の対象と比較して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%低減するか、又は症状は完全に排除される(すなわち、対象は、感染、従って肺炎から治癒する)。

0130

本明細書に記載するように、好適には、あらゆる年齢成人及び小児を含むヒトである哺乳動物対象に対して、様々な哺乳動物が実施される。

0131

好適には、本明細書に記載する方法では、投与される抗体又はその抗原結合断片は、Fv、Fab、Fab’、及びF(ab’)2抗原結合断片である。別の実施形態では、抗体は、本明細書に記載するように、全長抗体である。好適には、抗体は、全体を通して詳細に説明するようなFc変異領域を含む。

0132

全体を通して説明する本方法は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)α毒素ポリペプチドに免疫特異的に結合する単離抗体又はその抗原結合断片を好適に使用する。かかる抗体又はその抗原結合断片は、好適には、以下:
(a)配列番号7、10、13又は69のアミノ酸配列を含むVHCDR1;
(b)配列番号8、11、14、17、70又は75のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)配列番号9、12、15、18、16、65、66、67、71、72、76又は78のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)配列番号1又は4のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)配列番号2、5、73、又は77のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び
(f)配列番号3、6、64、68又は74のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。さらに、こうした抗体又はその抗原結合断片の突然変異体及び誘導体、並びに前述したアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を示す抗体又はその抗原結合断片も使用することができる。

0133

別の実施形態において、本明細書に記載する様々な方法は、例えば、以下:配列番号7、8、9、1、2及び3;配列番号10、11、12、1、2及び3;配列番号13、14、15、4、5及び6;配列番号7、17、18、1、2及び3;配列番号7、8、16、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び64;配列番号7、8、66、1、2及び64;配列番号7、8、67、1、2及び68;配列番号7、8、67、1、2及び64;配列番号7、8、78、1、2及び64;配列番号7、8、65、1、2及び68;配列番号69、70、71、1、2及び68;配列番号7、8、72、1、73及び74;配列番号69、75、71、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、2及び68;配列番号69、75、76、1、77及び74;配列番号69、70、71、1、77及び74のアミノ酸配列に対応するVHCDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3などのCDRを含む抗体又はその抗原結合断片を使用する。

0134

実施形態において、本明細書に記載する様々な方法で使用される単離抗AT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメインを含むと共に、配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む。

0135

本明細書に記載する方法の別の実施形態において、使用される単離抗AT抗体又はその抗原結合断片は、配列番号20、22、24、26、28、41、43、45、47、49、51、53、55、57、79、59、61、又は62の重鎖可変ドメインと、配列番号19、21、23、25、27、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60又は63の軽鎖可変ドメインとを含む。

0136

別の実施形態において、本明細書に記載する方法は、以下:配列番号20及び19;配列番号22及び21;配列番号24及び23;配列番号26及び25;配列番号28及び27;配列番号41及び42;配列番号43及び44;配列番号45及び46;配列番号47及び48;配列番号47及び48;配列番号49及び50;配列番号51及び52;配列番号51及び52;配列番号53及び54;配列番号55及び56;配列番号57及び58;配列番号59及び60;配列番号61及び58;配列番号62及び58;配列番号62及び63;配列番号79及び63のアミノ酸配列に対応するVH及びVLを有する。

0137

好適な実施形態において、単離抗AT抗体は、Fc変異ドメインを有する抗AT抗体を含み、ここで、前記抗体は、配列番号80に対応するVH−IgG1−YTE及び/又は配列番号81に対応するVL−κを含む。

0138

実施例1:敗血症の作製
細菌攻撃用量の調製
黄色ブドウ球菌(S.aureus)SF8300(USA300)は、Binh Diep(カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University California San Francisco)により提供された。50mLのトリチックイブロス(TSB)において細菌を250rpmで振盪しながら、37℃で一晩培養した。一晩の培養物から10mLを1Lの新鮮なTSBに添加し、600nmでの光学密度OD600)0.8まで、細菌を37℃で振盪しながら増殖させた。4℃で15分間の8000rpmの遠心分離により細菌を回収し、リン酸緩衝生理食塩水PBS)で洗浄した。遠心分離により細菌を回収し、最終細菌株2x1010cfu/mLまで、10%グリセロールを含むPBS中に再懸濁させた。

0139

マウス攻撃及び生存
8〜9週齢の雌BALB/cマウス10匹のマウス群に、指定濃度のLC10又は500μLPBS中のR347(45mg/kg)mAbを腹腔内注射した。それから24時間後に、200μLの細菌懸濁液(凍結株から、pH7.2のPBSで希釈した5x107cfu)で、マウスを尾静脈において静脈内(IV)攻撃した。攻撃後14日にわたり生存についてマウスをモニターした。ログランク検定:R347(対照)対LC10(抗AT抗体)免疫マウスを用いて、統計的分析を評価した。

0140

心臓中の細菌負荷
感染したマウスを、感染から14時間後にCO2で安楽死させた。心臓を摘出し、溶解マトリックスA(lysing matrix A)チューブにおいて、1mLの低温PBS中で均質化し、細菌計数のためにTSAプレートに塗布した。独立両側スチューデントt検定を用いて、心臓組織中の細胞負荷をR347とLC10mAbとの対比較で分析した。p<0.05であれば、データは有意であるとみなした。

0141

液中の細菌負荷
感染から8、24、48、72、及び144時間後にCO2でマウスを安楽死させた。心臓穿孔により血液を回収し、その直後に100μLをcfu計数のためにTSBプレートに塗布した。独立スチューデントt検定を用いて、データを分析した。p<0.05であれば、LC10とR347との間で、値が統計的に相違するとみなした。

0142

実施例2:敗血症における抗AT抗体の予防効果
抗AT抗体媒介によるATの阻害が敗血症の進行に作用するかどうかを決定するために、マウス10匹のマウス群を、LC10(45及び15mg/kg)又はアイソタイプ対照(R347、45mg/kg)で受動免疫し、24時間後に黄色ブドウ球菌(S.aureus)SF8300(USA300)によるIV攻撃を実施し、14日にわたり生存をモニターした。LC10予防は、生存を有意に増加させたが、これは、ATが、全身性黄色ブドウ球菌(S.aureus)疾患に重要な役割を果たしており、LC10によるその阻害が、マウスを死亡から防御することを示している(図1)。

0143

黄色ブドウ球菌(S.aureus)敗血症の1つの顕著な特徴は、細菌凝集及び血栓塞栓性病変形成であり、これは、心臓中の細菌CFUとして測定される(McAdow et al,2011)。LC10予防が心臓中の細菌負荷を低減するかどうかを決定するために、マウスをLC10(15及び45mg/kg)又はR347(45mg/kg)で受動免疫し、24時間後にSF8300でIV感染させた。感染から14時間後にマウスを安楽死させ、その心臓をCFU計数のために処理した。LC10で受動免疫したマウスは、R347対照を受けたマウスと比較して、心臓CFUの有意な減少を示した(図2)。

0144

IV感染から24〜72時間後に、血液中の細菌数に対するLC10予防の作用も評価した。感染マウスの血流中の細菌数は、72時間後、R347処置マウスでは約103cfuのままであった。しかし、LC10予防は、試験した全ての時点で細菌負荷を減少させ、最大の減少は、72時間の時点で2桁分の減少であった(図3)。これらの結果は、ATが、敗血症の進行に重要であり、LC10によるATの阻害は、血流及び心臓における細菌cfuを低減し、致死量の黄色ブドウ球菌(S.aureus)によるIV攻撃後の生存を促進することを示している。

0145

実施例3.免疫無防備状態の肺炎モデルの作製
免疫無防備状態の個体、特に好中球減少症に罹患している個体は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染の危険性が増大する(Andrews及びSullivan,2003;Bouma et.al.,2010)。免疫無防備状態の個体における黄色ブドウ球菌(S.aureus)肺炎の予防に使用する抗AT抗体の有効性を調べるために、免疫無防備状態のマウス肺炎モデルを作製し、使用した。免疫無防備状態の個体の集団において感染を模倣するために、マウスの白血球(好中球、リンパ球及び血小板を含む)を枯渇させることがわかっているアルキル化剤であるシクロホスファミドの投与により、マウスを好中球減少症にした(Zuluaga,et.al.,2006)。

0146

C57BL/6マウスにおける循環免疫細胞を>90%減少させるのに必要な最適シクロホスファミド(CPM)を決定するために、実験を実施した。CPM粉末最終濃度20mg/mLまで滅菌注射用蒸留水に溶解させた。20匹のマウス群を、様々なCPM用量レジメンで腹腔内注射により第0及び3日に処置した。5匹のマウス群を第0、1、4及び6日に死なせ、心臓穿孔により血液をVacutainerEDTA採血管に採取した。次に、Sysmex自動化血液分析器を用いて、白血球百分率(WBC)(好中球、リンパ球)を取得した。

0147

マウス肺炎モデル
細菌攻撃用量の調製
黄色ブドウ球菌(S.aureus)SF8300を、50mLのトリプチックソイブロス(TSB)中で、250rpmにて振盪しながら、37℃で一晩培養した。10mLの一晩の培養物を1Lの新鮮なTSBに添加し、37℃で振盪しながら、600nmでの光学密度(OD600)0.8まで細菌を増殖させた。4℃で15分間8000rpmの遠心分離により細菌を回収し、リン酸緩衝食塩水(PBS)中で洗浄した。遠心分離により細菌を再度回収し、最終細菌株約2×1010cfu/mLまで、10%グリセロールを含むPBS中に再懸濁させた。

0148

免疫無防備状態のマウス肺炎モデル
初めに、免疫無防備状態のマウスにおける最小致死黄色ブドウ球菌(S.aureus)用量を攻撃用量滴定実験で特定した。2回目のCPM投与から24時間後に、免疫無防備状態のマウスをイソフルオラン麻酔した後、左右の鼻孔に50μLの黄色ブドウ球菌(S.aureus)(1×107〜2×108CFU)を接種した。回復のためにマウスを仰臥位で檻に配置し、7日間にわたり致死性について観察した。

0149

実施例4.好中球減少性肺炎における抗ブドウ球菌(Staph)AT抗体の予防効果
免疫無防備状態の肺炎モデルにおける抗ATmAbの効能
この実験で用いるマウスは30匹で、これらをランダムに3つの群に分けた。感染の4日及び1日前に、マウスにCPMを投与した。各群にLC10(45若しくは15mg/kg)又はR347(45mg/kg)のいずれかを投与し(第−1日)、24時間後に黄色ブドウ球菌(S.aureus)SF8300(5×107)による鼻腔内(IN)攻撃を実施し、生存を最大7日間観察した。ログランク検定を用いて、統計的有意性を決定した。

0150

免疫不全の確認
好中球などの全WBC数を90%減少する最適CPM用量レジメンを決定するために実験を実施した。20匹のマウス群を、6つの異なるCPM用量レジメンで第0及び3日に処置した。第0、1、4、及び6日に、用量群毎に5匹からの血液試料を採取し、Sysmex自動化血液分析器を用いて、全WBC数及び百分率を実施した。第4及び6日に、群6のマウス(1回目CPM用量150mg/kg;2回目CPM用量100mg/kg[CPM150/100]は、非処置のマウスと比較して、全WBCの90%減少を示した。この群では、第4及び6日に、好中球及びリンパ球の90%減少が見られた(図4)。第7日に白血球が回復し始めた。これらの結果は、以前報告されたもの(Zuluaga et.al.,2006)と一致する。従って、免疫無防備状態のマウスにおけるLC10予防を評価するために、CPM150/100用量を選択した。

0151

免疫無防備状態の肺炎モデルにおける細菌攻撃用量の決定
免疫無防備状態のマウスにおける最小致死攻撃用量を決定するために、黄色ブドウ球菌(S.aureus)SF8300を、5匹のマウス群に対するIN攻撃により滴定した(1×107〜2×108CFU)。7日間にわたり致死性を観察した。最も低い致死用量は、5×107CFUであったため、これを、LC10予防を評価するための用量として選択した。

0152

LC10は、免疫無防備状態の肺炎マウスにおける生存を増加する
免疫無防備状態のマウスにおけるLC10予防の効果を理解するために、CPMを注射したマウスに、LC10(45又は15mg/kg)又は45mg/kgのR347を投与し、24時間後に50μLの細菌懸濁液(5×107CFUのSF8300)によるIN攻撃を実施し、前述のように致死性を観察した。

0153

45又は15mg/kgのLC10による受動免疫は、R347対照と比較して生存率の有意な増加をもたらした(P<0.0001)(図6)。この試験で、マウスが免疫無防備状態であることを確認するために、第−4、−3、1、0、2、及び3日に、5匹の非感染マウス群から、血液試料を採取した。全WBC数及びWBC百分率を取得したが、これらのマウスについて、第−4〜−2日の間に全WBC、並びに好中球及びリンパ球の90%減少が認められた。マウスは、第0〜2日に重度の好中球減少(≦10好中球/μL血液)を示した(図7)。ゆえに、LC10による予防は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)好中球減少マウス肺炎モデルにおける重症度を軽減することができる。

0154

結論
好中球及びリンパ球を含む循環白血球の>90%減少を引き起こすシクロホスファミドを用いて、黄色ブドウ球菌(S.aureus)による免疫無防備状態マウス肺炎モデルを作製した。マウスは、重度の好中球減少(≦10好中球/μL血液)を示した。LC10による予防は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)好中球減少マウス肺炎モデルにおける生存率を有意に改善した。これらの結果は、シクロホスファミドの投与により好中球減少症にしたマウスの黄色ブドウ球菌(S.aureus)の24時間前に、LC10による受動免疫が、生存を有意に改善することを示している。従って、以上のことから、抗AT抗体は、免疫無防備状態の患者において疾患を予防することができることが明らかである。

0155

本出願に引用した全ての文献、特許、雑誌論文及びその他の試料は、参照により本明細書に組み込むものとする。

実施例

0156

添付の図面を参照にしながら、いくつかの実施例と一緒に本発明を十分に説明してきたが、様々な変更及び改変が当業者には明らかとなり得ることは理解すべきである。かかる変更及び改変は、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲に、そこから逸脱しない限り、含まれるものとする。

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