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課題・解決手段

対象からのリンパ系DNA含有試料中の、T細胞受容体(TCR)および/または免疫グロブリン(IG)ポリペプチドをコードする再配列されたDNA(および/またはその後に転写されたRNA)配列を特定および定量することにより、対象の適応免疫系の免疫学的状態を決定するための方法が開示される。TCRおよび/またはIG配列多様性および配列分布は、免疫能力および免疫レパートリー評価を可能にし、試料中のT細胞またはB細胞クローン性およびクローン性増殖の程度を反映する。免疫治療に対する反応の可能性を含む免疫能力に基づいて患者集団階層化するための方法もまた記載される。

概要

背景

本開示は、概して、特定の再配列されたT細胞受容体(TCR)または免疫グロブリン(IGもしくはIgコード遺伝子配列を有する適応免疫細胞多様性および発生頻度(例えば、クローン性増殖)の極めて高感度ハイスループットDNA配列ベース定量による、患者の適応免疫系の免疫能力の評価に関する。患者または患者集団免疫学的状態に関する情報を使用して、例えば、個人特性決定する、または、免疫反応を組み込む能力もしくは免疫治療に反応する可能性もしくは前記治療に対する反応における免疫媒介副作用を発生する可能性に関して、患者集団を階層化する、または別様に、臨床的免疫治療管理の経過の情報を与える。
関連技術の説明

適応免疫系は、リンパ系造血細胞により発現され、また宿主における非自己分子から自己分子を区別することができる抗原特異的認識タンパク質である、適応免疫受容体を使用して、外来物質に起因し得る感染および他の病理学イベントから高等動物を保護する。これらのリンパ球は、宿主の循環および組織中に見出すことができ、リンパ節内皮細静脈からの、ならびに感染、炎症、組織損傷および他の臨床的傷害部位における溢出を含む、血液とリンパ管との間の再循環が説明されている。(例えば、Stein et al., 2005 Immunol. 116:1−12、DeNucci et al., 2009 Crit. Rev. Immunol. 29:87−109、Marelli−Berg et al., 2010 Immunol. 130:158、Ward et al., 2009 Biochem.J. 418:13、Gonzalez et al., 2011 Ann.Rev. Immunol. 29:215、Kehrl et al., 2009 Curr.Top.Microb.Immunol. 334:107、Steinmetz et al., 2009 Front.Biosci.(Schol.Ed.)1:13を参照されたい。)

したがって、宿主生物全体にわたるリンパ球による移動の動的性質は、宿主免疫状態の変化の関数としての、組織の間のリンパ球の質的な(例えば、クローン発現適応免疫受容体(免疫グロブリンまたはT細胞受容体)、T細胞対B細胞、Tヘルパー(Th)細胞対T調節(Treg)細胞、エフェクターT細胞対記憶T細胞の抗原特異性等)、および量的な分布の変化に反映される。

適応免疫系は、多くの潜在的病原体を認識するための十分な多様性を有するT細胞およびB細胞抗原受容体のレパートリーを生成するために、いくつかの戦略を使用する。Bリンパ球は、成熟して、重(H)鎖および軽(L)鎖ポリペプチドヘテロ二量体として生じる抗体(免疫グロブリン、Ig)を発現し、一方Tリンパ球は、ヘテロ二量体T細胞受容体(TCR)を発現する。様々ながんまたは感染性微生物に関連した多くの抗原を認識するT細胞の能力は、α(アルファ)鎖およびβ(ベータ)鎖、またはγ(ガンマ)およびδ(デルタ)鎖を含むヘテロ二量体である、そのT細胞抗原受容体(TCR)により付与される。これらの鎖を構成するタンパク質は、TCRの驚異的な多様性を生成するための独特機構を使用するDNAによりコードされる。このマルチサブユニット免疫認識受容体は、CD3複合体に関連し、抗原提示細胞APC)の表面上の主要組織適合性遺伝子複合体MHCクラスIおよびIIタンパク質により提示されるペプチドに結合する。APC上の抗原ペプチドへのTCRの結合は、T細胞とAPCとの間の接触点での免疫学的シナプスにおいて生じるT細胞活性化の中心的イベントである。

各TCRペプチドは、可変相補性決定領域(CDR)、ならびにフレームワーク領域(FR)および定常領域を含有する。αβT細胞の配列多様性は、概して、αおよびβ鎖可変ドメインの第3の相補性決定領域(CDR3)ループアミノ酸配列により決定され、この多様性は、それぞれ、β鎖遺伝子座における可変(Vβ)、多様性(Dβ)、および連結(Jβ)遺伝子断片の間、ならびにα鎖遺伝子座における類似VαおよびJα遺伝子断片の間の組み換えの結果である。TCRαおよびβ鎖遺伝子座における複数のそのような遺伝子断片の存在は、多数の異なるCDR3配列がコードされるのを可能にする。CDR3配列多様性はTCR遺伝子再配列のプロセス中の、Vβ−Dβ、Dβ−Jβ、およびVα−Jα連結点におけるヌクレオチド欠失およびテンプレート依存的付加により、さらに増加される。この点で、免疫能力は、TCRの多様性に反映される。

γδTCRは、自然免疫系と密接に相互作用する受容体をコードするという点で、αβTCRから区別される。TCRγδは、発達の早期に発現され、特殊な解剖学的分布を有し、独特の病原体および小分子特異性を有し、また広範な自然および適応細胞間相互作用を有する。TCRγδ細胞の制限されたサブセットは、出生前に口、皮膚、消化管、およびに存在するため、TCRγ VおよびJ断片発現の偏ったパターンは、個体発生の早期に確立される。したがって、成人組織における多様なTCRγレパートリーは、病原体および毒性分子に対する環境暴露による刺激後の、広範な周辺的増殖の結果である。

B細胞により発現されるIgは、H2L2構造を形成する2つの重鎖H鎖)および2つの軽鎖L鎖)の4つのポリペプチド鎖からなるタンパク質である。HおよびL鎖の各対は、VLおよびVH領域からなる超可変ドメイン、ならびに定常ドメインを含有する。IgのH鎖は、μ、δ、γ、α、およびβのいくつかの種類がある。個体内のIgの多様性は、主に、超可変ドメインにより決定される。TCRと同様に、H鎖のVドメインは、VH、DH、およびJH遺伝子断片の組み合わせ連結により形成される。超可変ドメイン配列多様性は、Ig遺伝子再配列のプロセス中の、VH−DH、DH−JH、およびVH−JH連結点におけるヌクレオチドの欠失およびテンプレート依存的付加により、さらに増加される。この点で、免疫能力は、Igの多様性に反映される。

そのような細胞における、適応免疫受容体の生産的発現を誘導する機能的再配列IgおよびTCRコード化遺伝子の存在に基づく、適応免疫細胞の定量的特性決定は、血液、リンパ液または他の生体液等の、適応免疫細胞が多数容易に単離され得る生体試料を使用して達成されている。これらの試料において、適応免疫細胞は、懸濁流体中の粒子として生じる。例えば、米国特許第2010/0330571号を参照されたく、また、例えば、Murphy, Janeways Immunobiology (8th Ed.),2011 Garlan’d Science, NY, Appendix I, pp. 717−762も参照されたい。

適応免疫系は、がん細胞の認識、および腫瘍を排除するための免疫反応の生成の確保において役割を担うことが示唆されている(例えば、Murphy, Janeway’s Immunobiology (8th Ed.),2011 Garland Science, NY, pp. 682−697、Pandolfi et al., 2011 Clin.Dev. Immunol. Article ID894704、Draghiciu et al., 2011 Clin.Dev. Immunol. Article ID439053を参照されたい)。異なるがん細胞により提示される抗原プロファイル間の変動性、および異なる個体の抗腫瘍免疫反応の確実性における変動性は、一般にがん免疫治療と呼ばれる多くの広く異なる臨床的アプローチをもたらし、これによって、この文脈において、抗腫瘍免疫を促進することにより、適応免疫反応を誘発、動員、向上または別様に強化するための取り組みがなされている。

そのような免疫治療アプローチは、非がん細胞特異的となり得、また放射線および化学治療等の強い細胞障害性投与計画を伴い得る従来のがん治療の好ましい代替法である。がん免疫治療は、時折、化学治療および/または放射線治療を受けている患者にも施されるが、化学治療および放射線は分裂細胞に対して特に細胞傷害性であり、一方免疫細胞増殖は多くの免疫反応の基本的特徴となり得るため、そのようなアプローチは、適応免疫系に非生産的に影響し得、したがって、効果的な治療計画に達する上で困難を伴い得る。

したがって、がんに関連して、および、例えば、微生物感染処置における、造血細胞移植または固形臓器移植の場合において、効果的な免疫治療計画を設計するために(例えば、移植片免疫拒絶を検出および適切に処置するために)、ならびに、ワクチンに対する反応を最適化するために、患者の免疫学的状態の詳細な理解を有することが望ましい。ここで説明される実施形態は、これらの必要性に対応し、他の関連した利点を提供する。

概要

対象からのリンパ系DNA含有試料中の、T細胞受容体(TCR)および/または免疫グロブリン(IG)ポリペプチドをコードする再配列されたDNA(および/またはその後に転写されたRNA)配列を特定および定量することにより、対象の適応免疫系の免疫学的状態を決定するための方法が開示される。TCRおよび/またはIG配列多様性および配列分布は、免疫能力および免疫レパートリー評価を可能にし、試料中のT細胞またはB細胞クローン性およびクローン性増殖の程度を反映する。免疫治療に対する反応の可能性を含む免疫能力に基づいて患者集団を階層化するための方法もまた記載される。 A

目的

ここで説明される実施形態は、これらの必要性に対応し、他の関連した利点を提供する

効果

実績

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請求項1

試験対象免疫学的状態を決定するための方法であって、前記試験対象のリンパ系細胞からの核酸を含む1つ以上の試料から生成された核酸配列情報を得ることであって、前記核酸配列情報は、複数の一意再配列された核酸配列に対する配列を含み、前記複数の一意の再配列された核酸配列のそれぞれは、AIRポリペプチドをコードし、前記1つ以上の試料は、1つ以上の時点で前記試験対象から得られる、核酸配列情報を得ることと、前記1つ以上の試料に対して、前記核酸配列情報を使用することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数を決定することと、前記試料中の一意の再配列されたDNA配列の総数を決定することと、一意の再配列されたDNA配列の前記総数に基づいて、前記1つ以上の試料のAIR配列多様性スコアを定量することと、各一意の再配列されたDNA配列の発生頻度を、前記1つ以上の試料中の観察される再配列された配列の前記総数のパーセンテージとして計算することにより、前記1つ以上の試料のAIR配列分布スコアを定量することと、前記試験対象の前記AIR配列多様性スコアおよび前記AIR配列分布スコアに基づいて、前記試験対象の前記免疫学的状態を決定するための試験対象格付けスコアを決定することとを含む方法。

請求項2

前記1つ以上の試料の前記試験対象格付けスコアを、対照対象からの試料から得られた第2の組の対照対象格付けスコアと比較することと、前記1つ以上の時点における前記試験対象の前記免疫学的状態を決定することとをさらに含み、前記試験対象格付けスコアと前記対照対象格付けスコアとの間の差が統計的に有意である場合、前記試験対象は、前記1つ以上の時点において前記対照対象の免疫学的状態と異なる免疫学的状態を有すると決定され、前記試験対象格付けスコアと前記対照対象格付けスコアとの間に統計的有意差がない場合、前記試験対象は、前記対照対象と同じ免疫学的状態を有すると決定される、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記核酸は、ゲノムDNAを含む、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記核酸は、cDNAを含む、請求項1または2に記載の方法。

請求項5

前記核酸は、メッセンジャーRNAを含む、請求項1または2に記載の方法。

請求項6

前記対象のAIR配列分布スコアを定量することが、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の50%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数を決定することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の50%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数が、所定の閾値以下である場合、AIR配列分布スコアを低スコアとして特性決定することとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

前記対象のAIR配列分布スコアを定量することが、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の40%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数を決定することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の40%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数が、所定の閾値以下である場合、AIR配列分布スコアを低スコアとして特性決定することとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

前記対象のAIR配列分布スコアを定量することが、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の30%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数を決定することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の30%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数が、所定の閾値以下である場合、AIR配列分布スコアを低スコアとして特性決定することとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

前記対象のAIR配列分布スコアを定量することが、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の20%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数を決定することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の20%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数が、所定の閾値以下である場合、AIR配列分布スコアを低スコアとして特性決定することとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

AIR配列分布スコアを定量することは、前記試料中の残りの一意の再配列された配列のそれぞれの発生頻度と比較して、各時点において最高発生頻度を有する少なくとも1つの一意の再配列された配列を選択することと、前記試験対象における、前記少なくとも1つの一意の再配列された配列のAIR配列分布の経時的なプロファイルを決定することとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

一意の再配列されたDNA配列の総数の平均発生頻度よりも統計的に有意に高い各時点における発生頻度を有する、複数の最も豊富な一意のAIR再配列された配列を選択することと、前記試験対象における、前記最も豊富な一意の再配列された配列のそれぞれのAIR配列分布の経時的なプロファイルを決定することとをさらに含む、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記AIR配列多様性スコアを定量することは、前記試料中の一意のクローンの総数を決定することを含む、請求項1に記載の方法。

請求項13

前記対照対象は、既知免疫状態を有する、請求項2に記載の方法。

請求項14

前記対照対象は、健康な対象であり、欠陥のない免疫学的状態を有する、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記対照対象は、欠陥のある免疫学的状態を有する、請求項13に記載の方法。

請求項16

前記対照対象は、免疫治療に対する反応の既知の転帰を有する、請求項2に記載の方法。

請求項17

前記反応は、免疫治療に対する肯定的な反応である、請求項16に記載の方法。

請求項18

前記反応は、免疫治療に対する不良な反応である、請求項16に記載の方法。

請求項19

前記試験対象は、前記対照対象と比較して、免疫治療に対する反応の同じ転帰を有すると予測される、請求項16に記載の方法。

請求項20

前記試験対象は、前記対照対象と比較して、免疫治療に対する反応の異なる転帰を有すると予測される、請求項16に記載の方法。

請求項21

前記対照対象は、幹細胞移植に対する反応の既知の転帰を有する、請求項2に記載の方法。

請求項22

前記反応は、前記幹細胞移植に対する肯定的な反応である、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記反応は、前記幹細胞移植に対する不良な反応である、請求項21に記載の方法。

請求項24

前記試験対象は、前記対照対象と比較して、前記幹細胞移植に対する反応の同じ転帰を有すると予測される、請求項21に記載の方法。

請求項25

前記試験対象は、前記対照対象と比較して、前記幹細胞移植に対する反応の異なる転帰を有すると予測される、請求項21に記載の方法。

請求項26

前記対照対象は、処置に対する反応の既知の転帰を有する、請求項2に記載の方法。

請求項27

前記処置は、免疫治療抗体、サイトカイン造血細胞移植免疫抑制剤、またはワクチンを含む、請求項26に記載の方法。

請求項28

前記1つ以上の試料は、前記試験対象から得られた固形組織試料を含む、請求項2に記載の方法。

請求項29

前記1つ以上の試料は、前記試験対象から得られた血液試料を含む、請求項2に記載の方法。

請求項30

低いAIR配列多様性スコアおよび低いAIR配列分布スコアは、低い試験対象格付けスコアとして特性決定され、前記試験対象における高いTCRクローン性を示す、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記低い試験対象格付けスコアは、前記試験対象における免疫治療に対する不良な反応を予測するものである、請求項29に記載の方法。

請求項32

高いAIR配列多様性スコアおよび高いAIR配列分布スコアは、高い試験対象格付けスコアとして特性決定され、低いTCRクローン性を示す、請求項29に記載の方法。

請求項33

前記高い試験対象格付けスコアは、前記試験対象における免疫治療に対する肯定的な反応を予測するものである、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記試験対象は、免疫治療で処置されている、請求項29に記載の方法。

請求項35

前記免疫治療は、免疫系の負の調節因子阻害剤投与を含む、請求項34に記載の方法。

請求項36

前記負の調節因子は、CTLA−4およびPD−1からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。

請求項37

前記負の調節因子は、CTLA−4である、請求項35に記載の方法。

請求項38

前記負の調節因子は、PD−1である、請求項35に記載の方法。

請求項39

前記阻害剤は、抗CTLA−4抗体である、請求項35に記載の方法。

請求項40

前記阻害剤は、抗PD−1抗体である、請求項35に記載の方法。

請求項41

前記1つ以上の試料は、試験対象から得られた固形腫瘍試料を含む、請求項2に記載の方法。

請求項42

高いAIR配列多様性スコアおよび高いAIR配列分布スコアは、低い試験対象格付けスコアとして特性決定され、前記試験対象における低いTCRクローン性を示す、請求項41に記載の方法。

請求項43

前記低い試験対象格付けスコアは、免疫治療に対する不良な反応を予測するものである、請求項42に記載の方法。

請求項44

低いAIR配列多様性スコアおよび低いAIR配列分布スコアは、高い試験対象格付けスコアとして特性決定され、高いTCRクローン性を示す、請求項41に記載の方法。

請求項45

前記高い試験対象格付けスコアは、前記対象における免疫治療に対する肯定的な反応を予測するものである、請求項44に記載の方法。

請求項46

前記試験対象は、免疫治療で処置されている、請求項41に記載の方法。

請求項47

前記免疫治療は、免疫系の負の調節因子の阻害剤の投与を含む、請求項46に記載の方法。

請求項48

前記負の調節因子は、CTLA−4およびPD−1からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。

請求項49

前記負の調節因子は、CTLA−4である、請求項47に記載の方法。

請求項50

前記負の調節因子は、PD−1である、請求項47に記載の方法。

請求項51

前記阻害剤は、抗CTLA−4抗体である、請求項47に記載の方法。

請求項52

前記阻害剤は、抗PD−1抗体である、請求項47に記載の方法。

請求項53

前記免疫治療処置後に得られた試料における残りのクローンの組の平均発生頻度と統計的に有意に異なる発生頻度を有する少なくとも1つのクローンのクローン性増殖により示される、前記試験対象の免疫治療処置の副作用を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項54

前記残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位50%以内にある発生頻度を有するクローンを含む、請求項53に記載の方法。

請求項55

前記残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位40%以内にある発生頻度を有するクローンを含む、請求項54に記載の方法。

請求項56

前記残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位30%以内にある発生頻度を有するクローンを含む、請求項55に記載の方法。

請求項57

前記残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位20%以内にある発生頻度を有するクローンを含む、請求項56に記載の方法。

請求項58

前記残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位10%以内にある発生頻度を有するクローンを含む、請求項57に記載の方法。

請求項59

前記少なくとも1つのクローンは、それぞれ前記試料における発生頻度の上位4分の1以内にある発生頻度を有するクローンと統計的に有意に異なる発生頻度を有する、請求項53に記載の方法。

請求項60

前記少なくとも1つのクローンの前記クローン性増殖は、前記免疫治療処置に対する前記試験対象の不良な反応を示す、請求項53に記載の方法。

請求項61

(1)複数のAIRV断片オリゴヌクレオチドプライマー、および(2)複数のAIRJ断片オリゴヌクレオチドプライマーまたは複数のAIRC断片オリゴヌクレオチドプライマーのいずれかを使用した、多重ポリメラーゼ連鎖反応PCRアッセイにおいて、試験対象のリンパ系細胞を含む前記試料の少なくとも1つから得られた核酸配列を増幅することをさらに含む、請求項1から60のいずれか一項に記載の方法。

請求項62

前記複数のAIRV断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIRV領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各AIRV断片オリゴヌクレオチドプライマーは、少なくとも1つの機能的AIRコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドヌクレオチド配列を含み、前記複数のAIRV断片オリゴヌクレオチドプライマーは、前記試料中に存在する実質的に全ての機能的AIRVコード遺伝子断片に特異的にハイブリダイズし、前記複数のJ断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIRJ領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各J断片プライマーは、少なくとも1つの機能的AIRJコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、前記複数のJ断片プライマーは、前記試料中に存在する実質的に全ての機能的AIRJコード遺伝子断片に特異的にハイブリダイズし、前記複数のC断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIRC領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各C断片プライマーは、少なくとも1つの機能的AIRCコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、前記複数のC断片プライマーは、前記試料中に存在する実質的に全ての機能的AIRCコードまたは遺伝子断片に特異的にハイブリダイズし、(1)前記複数のAIRV断片オリゴヌクレオチドプライマー、ならびに(2)前記複数のAIRJ断片オリゴヌクレオチドプライマーおよび前記複数のAIRC断片オリゴヌクレオチドプライマーのいずれかは、前記試料中の適応免疫細胞集団から複数の増幅された再配列DNA分子を生成するために、前記試料中の実質的に全ての再配列されたAIRCDR3コード領域の前記多重PCRにおける増幅を促進することができ、前記複数の増幅された再配列DNA分子は、前記少なくとも1つの試料における前記AIRCDR3コード領域の完全な多様性を定量するのに十分である、請求項61に記載の方法。

請求項63

各機能的AIRVコード遺伝子断片は、V遺伝子組み換えシグナル配列RSS)を含み、各機能的AIRJコード遺伝子断片は、J遺伝子RSSを含み、各増幅された再配列DNA分子は、(i)少なくとも10、20、30または40の連続ヌクレオチドの前記AIRVコード遺伝子断片のセンス鎖であって、前記少なくとも10、20、30または40の連続ヌクレオチドは、前記V遺伝子RSSに対して5’に位置する、センス鎖と、(ii)少なくとも10、20または30の連続ヌクレオチドの前記AIRJコード遺伝子断片のセンス鎖であって、前記少なくとも10、20または30の連続ヌクレオチドは、前記J遺伝子RSSに対して3’に位置する、センス鎖とを含む、請求項61に記載の方法。

請求項64

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、1500ヌクレオチド未満の長さである、請求項61に記載の方法。

請求項65

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、1000ヌクレオチド未満の長さである、請求項64に記載の方法。

請求項66

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、600ヌクレオチド未満の長さである、請求項65に記載の方法。

請求項67

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、500ヌクレオチド未満の長さである、請求項66に記載の方法。

請求項68

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、400ヌクレオチド未満の長さである、請求項67に記載の方法。

請求項69

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、300ヌクレオチド未満の長さである、請求項68に記載の方法。

請求項70

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、200ヌクレオチド未満の長さである、請求項69に記載の方法。

請求項71

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、100ヌクレオチド未満の長さである、請求項70に記載の方法。

請求項72

前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、50〜600ヌクレオチドの間の長さである、請求項71に記載の方法。

請求項73

前記試料中の他の一意の再配列された配列と比較して、統計的に有意により高い発生頻度を有する前記試料の1つにおける、一意の再配列された配列の組を選択することをさらに含む、請求項1から72のいずれか一項に記載の方法。

請求項74

前記高い発生頻度は、所定の閾値パーセンテージにより決定される、請求項73に記載の方法。

請求項75

前記組における一意の再配列された配列の前記選択された数は、所定の数により決定される、請求項73に記載の方法。

請求項76

前記高頻度の一意の再配列された配列の1つが、持続的または一時的であるかどうかを、前記組から決定することをさらに含み、持続的な一意の再配列された配列は、その後の期間にわたり前記試験対象から得られる2つ以上の試料にわたって存在し、一時的な一意の再配列された配列は、前記対象から1つの時点において得られる1つだけの試料中に存在する、請求項73に記載の方法。

請求項77

前記試験対象の前記2つ以上の試料中の1つ以上の持続的な一意の再配列された配列の存在に基づいて、前記対象に対する免疫治療の経過を決定することをさらに含み、持続的な一意の再配列された配列の前記存在は、前記対象が健康な免疫状態を有する増加した可能性を示す、請求項76に記載の方法。

請求項78

前記対象における前記1つ以上の持続的な一意の再配列された配列の前記存在は、前記対象による免疫治療処置に対する肯定的な反応を予測するものである、請求項77に記載の方法。

請求項79

前記試験対象の前記1つ以上の試料における1つ以上の一時的な一意の再配列された配列の存在に基づいて、前記対象に対する免疫治療の経過を決定することをさらに含み、前記1つ以上の一時的な一意の再配列された配列の前記存在は、前記対象が欠陥のある免疫状態を有する増加した可能性を示す、請求項76に記載の方法。

請求項80

前記対象における前記1つ以上の持続的な一意の再配列された配列の前記存在は、前記対象による免疫治療処置に対する不良な反応を予測するものである、請求項79に記載の方法。

請求項81

前記1つ以上の試料において低い試験対象格付けスコアを有する試験対象を、より高い格付けスコアを有する第2の対象と比較して、免疫治療に対する反応のより低い相対的可能性を有するものとして分類することと、免疫治療に対する反応の相対的可能性に従って、試験対象の患者集団階層化することとをさらに含む、請求項1から80のいずれか一項に記載の方法。

請求項82

前記試験対象格付けスコアを決定することは、数学モデルに基づいて、前記試料の1つからの前記核酸配列を配列決定することにより前記試験対象の全AIRレパートリー多様性を外挿することと、前記全AIRレパートリー多様性から試験対象格付けスコアを決定することとを含む、請求項1から81のいずれか一項に記載の方法。

請求項83

前記数学モデルは、未発見モデルである、請求項82に記載の方法。

請求項84

前記試験対象格付けスコアを決定することは、シャノンエントロピースコアおよびクローン性スコアを計算することと、前記シャノンエントロピースコアおよび前記クローン性スコアに基づいて、試験対象格付けスコアを決定することとを含む、請求項1から81のいずれか一項に記載の方法。

請求項85

前記クローン性スコアは、シャノンエントロピースコアの変換である、請求項84に記載の方法。

請求項86

前記適応免疫受容体(AIR)ポリペプチドは、哺乳動物AIRポリペプチドであり、T細胞受容体ガンマ(TCRG)ポリペプチド、T細胞受容体ベータ(TCRB)ポリペプチド、T細胞受容体アルファ(TCRA)ポリペプチド、T細胞受容体デルタ(TCRD)ポリペプチド、免疫グロブリン重鎖(IGH)ポリペプチド、および免疫グロブリン軽鎖(IGL)ポリペプチドから選択される、請求項1から81のいずれか一項に記載の方法。

請求項87

前記IGHポリペプチドは、IgMIgAポリペプチド、IgGポリペプチド、IgDポリペプチドおよびIgEポリペプチドから選択される、請求項86に記載の方法。

請求項88

前記IGLポリペプチドは、IGL−ラムダポリペプチドおよびIGL−カッパポリペプチドから選択される、請求項86に記載の方法。

請求項89

前記哺乳動物AIRポリペプチドは、ヒトAIRポリペプチドである、請求項86に記載の方法。

請求項90

前記哺乳動物AIRポリペプチドは、非ヒト霊長類AIRポリペプチド、げっ歯類AIRポリペプチド、イヌAIRポリペプチド、ネコAIRポリペプチドおよび有蹄動物AIRポリペプチドから選択される、請求項86に記載の方法。

請求項91

前記試験対象は、悪性状態を有する、または有する疑いのある対象、造血細胞移植を受けた対象、固形臓器移植を受けた対象、および微生物感染を有する対象から選択される、請求項1から90のいずれか一項に記載の方法。

請求項92

前記悪性状態は、血液悪性腫瘍黒色腫肉腫およびがん腫から選択される、請求項91に記載の方法。

請求項93

前記悪性状態は、悪性黒色腫小細胞肺がん非小細胞肺がん腎細胞がん膵臓がん乳がん卵巣がんおよび前立腺がんから選択される、請求項91に記載の方法。

請求項94

前記造血細胞移植は、臍帯血移植自家造血細胞移植、同種造血細胞移植、および骨髄移植から選択される、請求項91に記載の方法。

請求項95

前記造血細胞移植は、自家T細胞移植を含む、請求項91に記載の方法。

請求項96

前記複数の時点は、免疫治療中またはその後の時点を含む、請求項1から95のいずれか一項に記載の方法。

請求項97

前記複数の時点は、免疫治療の前の時点を含む、請求項1から95のいずれか一項に記載の方法。

請求項98

前記試験対象の前記免疫学的状態の決定に基づいて、免疫治療を受けている前記試験対象の処置を管理することをさらに含む、請求項1から95のいずれか一項に記載の方法。

請求項99

前記免疫治療は、免疫治療抗体、サイトカイン、造血細胞移植、免疫抑制剤、およびワクチンから選択される免疫治療薬剤による処置を含む、請求項98に記載の方法。

請求項100

前記免疫治療は、免疫反応の負の調節因子の阻害剤による処置を含む、請求項98に記載の方法。

請求項101

免疫反応の前記負の調節因子は、CTLA4/CD152、LAG3/CD223、およびPD−1/CD279から選択される、請求項100に記載の方法。

請求項102

免疫反応の前記負の調節因子は、CTLA−4/CD152であり、免疫反応の前記負の調節因子の前記阻害剤は、抗CTLA−4抗体である、請求項100に記載の方法。

請求項103

前記抗CTLA−4抗体は、イピリムマブおよびトレリムマブから選択される、請求項100に記載の方法。

請求項104

免疫反応の前記負の調節因子は、PD−1/CD279であり、免疫反応の前記負の調節因子の前記阻害剤は、抗PD−1抗体である、請求項103に記載の方法。

請求項105

前記免疫治療は、免疫反応の増強物質を標的化する薬剤による処置を含む、請求項98に記載の方法。

請求項106

免疫反応の前記増強物質は、41BB/CD137、OX40/CD134およびCD40から選択される、請求項105に記載の方法。

請求項107

前記免疫治療は、炎症経路の阻害剤による炎症状態または自己免疫疾患の処置を含む、請求項98に記載の方法。

請求項108

前記炎症状態または前記自己免疫疾患は、関節リウマチ乾癬性関節炎強直性脊椎炎クローン病、および若年性特発性関節炎から選択される、請求項107に記載の方法。

請求項109

前記炎症経路は、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)の少なくとも1つを含む、請求項107に記載の方法。

請求項110

前記炎症経路は、TNFαを含み、前記炎症経路の前記阻害剤は、TNFαに特異的に結合する薬剤である、請求項107に記載の方法。

請求項111

TNFαに特異的に結合する前記薬剤は、抗TNFα抗体および人工溶性TNFα受容体から選択される、請求項110に記載の方法。

請求項112

前記抗TNFα抗体は、アダリムマブおよびインフリキシマブから選択され、前記人工可溶性TNFα受容体は、エタネルセプトである、請求項111に記載の方法。

請求項113

試験対象の免疫学的状態を決定するためのコンピュータ実装方法であって、様々な時点において複数の試料から得られた対照対象のデータを保存することであって、前記データは、各試料に対して、前記試料中の複数の一意の再配列された核酸配列の核酸配列情報、前記試料のAIR配列多様性スコア、前記試料中の各一意の再配列された核酸配列の発生頻度、および前記対象の決定された免疫学的状態を含む、保存することと、プロセッサにより、前記対照対象の前記データに基づいて、試験対象の免疫学的状態を評価するための規則を決定することと、免疫治療前および免疫治療後の様々な時点において得られた複数の試料に関する試験対象のデータを入力することであって、前記データは、各試料に対して、前記試料中の複数の一意の再配列された核酸配列の核酸配列情報、前記試料のAIR配列多様性スコア、および前記試料中の各一意の再配列された核酸配列の発生頻度を含む、入力することと、前記試験対象の免疫学的状態の決定を受信することとを含む方法。

請求項114

前記試験対象の免疫治療に対する予測される反応を決定することをさらに含む、請求項[00186]に記載の方法。

請求項115

前記対照対象の前記データは、免疫治療処置前の時点において前記対照対象から得られた核酸配列情報を含む、請求項113に記載の方法。

請求項116

前記対照対象の前記データは、免疫治療処置後の時点において前記対照対象から得られた核酸配列情報を含む、請求項113に記載の方法。

技術分野

0001

本出願は、参照によりその全開示が全ての目的において本明細書に組み込まれる、2012年10月1日に出願された米国仮出願第61/708,534号の利益を主張する。
政府権益に関する記述

0002

本発明は、国立衛生研究所の国立心臓、血液および研究所(National Heart, Blood and Lung Institute)により与えられた助成金番号RHL106868Aのもと、政府の援助を受けて行われた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。

背景技術

0003

本開示は、概して、特定の再配列されたT細胞受容体(TCR)または免疫グロブリン(IGもしくはIgコード遺伝子配列を有する適応免疫細胞多様性および発生頻度(例えば、クローン性増殖)の極めて高感度ハイスループットDNA配列ベース定量による、患者の適応免疫系の免疫能力の評価に関する。患者または患者集団免疫学的状態に関する情報を使用して、例えば、個人特性決定する、または、免疫反応を組み込む能力もしくは免疫治療に反応する可能性もしくは前記治療に対する反応における免疫媒介副作用を発生する可能性に関して、患者集団を階層化する、または別様に、臨床的免疫治療管理の経過の情報を与える。
関連技術の説明

0004

適応免疫系は、リンパ系造血細胞により発現され、また宿主における非自己分子から自己分子を区別することができる抗原特異的認識タンパク質である、適応免疫受容体を使用して、外来物質に起因し得る感染および他の病理学イベントから高等動物を保護する。これらのリンパ球は、宿主の循環および組織中に見出すことができ、リンパ節内皮細静脈からの、ならびに感染、炎症、組織損傷および他の臨床的傷害部位における溢出を含む、血液とリンパ管との間の再循環が説明されている。(例えば、Stein et al., 2005 Immunol. 116:1−12、DeNucci et al., 2009 Crit. Rev. Immunol. 29:87−109、Marelli−Berg et al., 2010 Immunol. 130:158、Ward et al., 2009 Biochem.J. 418:13、Gonzalez et al., 2011 Ann.Rev. Immunol. 29:215、Kehrl et al., 2009 Curr.Top.Microb.Immunol. 334:107、Steinmetz et al., 2009 Front.Biosci.(Schol.Ed.)1:13を参照されたい。)

0005

したがって、宿主生物全体にわたるリンパ球による移動の動的性質は、宿主免疫状態の変化の関数としての、組織の間のリンパ球の質的な(例えば、クローン発現適応免疫受容体(免疫グロブリンまたはT細胞受容体)、T細胞対B細胞、Tヘルパー(Th)細胞対T調節(Treg)細胞、エフェクターT細胞対記憶T細胞の抗原特異性等)、および量的な分布の変化に反映される。

0006

適応免疫系は、多くの潜在的病原体を認識するための十分な多様性を有するT細胞およびB細胞抗原受容体のレパートリーを生成するために、いくつかの戦略を使用する。Bリンパ球は、成熟して、重(H)鎖および軽(L)鎖ポリペプチドヘテロ二量体として生じる抗体(免疫グロブリン、Ig)を発現し、一方Tリンパ球は、ヘテロ二量体T細胞受容体(TCR)を発現する。様々ながんまたは感染性微生物に関連した多くの抗原を認識するT細胞の能力は、α(アルファ)鎖およびβ(ベータ)鎖、またはγ(ガンマ)およびδ(デルタ)鎖を含むヘテロ二量体である、そのT細胞抗原受容体(TCR)により付与される。これらの鎖を構成するタンパク質は、TCRの驚異的な多様性を生成するための独特機構を使用するDNAによりコードされる。このマルチサブユニット免疫認識受容体は、CD3複合体に関連し、抗原提示細胞APC)の表面上の主要組織適合性遺伝子複合体MHCクラスIおよびIIタンパク質により提示されるペプチドに結合する。APC上の抗原ペプチドへのTCRの結合は、T細胞とAPCとの間の接触点での免疫学的シナプスにおいて生じるT細胞活性化の中心的イベントである。

0007

各TCRペプチドは、可変相補性決定領域(CDR)、ならびにフレームワーク領域(FR)および定常領域を含有する。αβT細胞の配列多様性は、概して、αおよびβ鎖可変ドメインの第3の相補性決定領域(CDR3)ループアミノ酸配列により決定され、この多様性は、それぞれ、β鎖遺伝子座における可変(Vβ)、多様性(Dβ)、および連結(Jβ)遺伝子断片の間、ならびにα鎖遺伝子座における類似VαおよびJα遺伝子断片の間の組み換えの結果である。TCRαおよびβ鎖遺伝子座における複数のそのような遺伝子断片の存在は、多数の異なるCDR3配列がコードされるのを可能にする。CDR3配列多様性はTCR遺伝子再配列のプロセス中の、Vβ−Dβ、Dβ−Jβ、およびVα−Jα連結点におけるヌクレオチド欠失およびテンプレート依存的付加により、さらに増加される。この点で、免疫能力は、TCRの多様性に反映される。

0008

γδTCRは、自然免疫系と密接に相互作用する受容体をコードするという点で、αβTCRから区別される。TCRγδは、発達の早期に発現され、特殊な解剖学的分布を有し、独特の病原体および小分子特異性を有し、また広範な自然および適応細胞間相互作用を有する。TCRγδ細胞の制限されたサブセットは、出生前に口、皮膚、消化管、および肺に存在するため、TCRγ VおよびJ断片発現の偏ったパターンは、個体発生の早期に確立される。したがって、成人組織における多様なTCRγレパートリーは、病原体および毒性分子に対する環境暴露による刺激後の、広範な周辺的増殖の結果である。

0009

B細胞により発現されるIgは、H2L2構造を形成する2つの重鎖H鎖)および2つの軽鎖L鎖)の4つのポリペプチド鎖からなるタンパク質である。HおよびL鎖の各対は、VLおよびVH領域からなる超可変ドメイン、ならびに定常ドメインを含有する。IgのH鎖は、μ、δ、γ、α、およびβのいくつかの種類がある。個体内のIgの多様性は、主に、超可変ドメインにより決定される。TCRと同様に、H鎖のVドメインは、VH、DH、およびJH遺伝子断片の組み合わせ連結により形成される。超可変ドメイン配列多様性は、Ig遺伝子再配列のプロセス中の、VH−DH、DH−JH、およびVH−JH連結点におけるヌクレオチドの欠失およびテンプレート依存的付加により、さらに増加される。この点で、免疫能力は、Igの多様性に反映される。

0010

そのような細胞における、適応免疫受容体の生産的発現を誘導する機能的再配列IgおよびTCRコード化遺伝子の存在に基づく、適応免疫細胞の定量的特性決定は、血液、リンパ液または他の生体液等の、適応免疫細胞が多数容易に単離され得る生体試料を使用して達成されている。これらの試料において、適応免疫細胞は、懸濁流体中の粒子として生じる。例えば、米国特許第2010/0330571号を参照されたく、また、例えば、Murphy, Janeways Immunobiology (8th Ed.),2011 Garlan’d Science, NY, Appendix I, pp. 717−762も参照されたい。

0011

適応免疫系は、がん細胞の認識、および腫瘍を排除するための免疫反応の生成の確保において役割を担うことが示唆されている(例えば、Murphy, Janeway’s Immunobiology (8th Ed.),2011 Garland Science, NY, pp. 682−697、Pandolfi et al., 2011 Clin.Dev. Immunol. Article ID894704、Draghiciu et al., 2011 Clin.Dev. Immunol. Article ID439053を参照されたい)。異なるがん細胞により提示される抗原プロファイル間の変動性、および異なる個体の抗腫瘍免疫反応の確実性における変動性は、一般にがん免疫治療と呼ばれる多くの広く異なる臨床的アプローチをもたらし、これによって、この文脈において、抗腫瘍免疫を促進することにより、適応免疫反応を誘発、動員、向上または別様に強化するための取り組みがなされている。

0012

そのような免疫治療アプローチは、非がん細胞特異的となり得、また放射線および化学治療等の強い細胞障害性投与計画を伴い得る従来のがん治療の好ましい代替法である。がん免疫治療は、時折、化学治療および/または放射線治療を受けている患者にも施されるが、化学治療および放射線は分裂細胞に対して特に細胞傷害性であり、一方免疫細胞増殖は多くの免疫反応の基本的特徴となり得るため、そのようなアプローチは、適応免疫系に非生産的に影響し得、したがって、効果的な治療計画に達する上で困難を伴い得る。

0013

したがって、がんに関連して、および、例えば、微生物感染処置における、造血細胞移植または固形臓器移植の場合において、効果的な免疫治療計画を設計するために(例えば、移植片免疫拒絶を検出および適切に処置するために)、ならびに、ワクチンに対する反応を最適化するために、患者の免疫学的状態の詳細な理解を有することが望ましい。ここで説明される実施形態は、これらの必要性に対応し、他の関連した利点を提供する。

0014

本発明のある特定の実施形態によれば、試験対象の免疫学的状態を決定するための方法であって、前記試験対象のリンパ系細胞からの核酸を含む1つ以上の試料から生成された核酸配列情報を得ることであって、前記核酸配列情報は、複数の一意の再配列された核酸配列に対する配列を含み、前記複数の一意の再配列された核酸配列のそれぞれは、AIRポリペプチドをコードし、前記1つ以上の試料は、1つ以上の時点で前記試験対象から得られる、核酸配列情報を得ることと、前記1つ以上の試料に対して、前記核酸配列情報を使用することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数を決定することと、前記試料中の一意の再配列されたDNA配列の総数を決定することと、一意の再配列されたDNA配列の前記総数に基づいて、前記1つ以上の試料のAIR配列多様性スコアを定量することと、各一意の再配列されたDNA配列の発生頻度を、前記1つ以上の試料中の観察される再配列された配列の前記総数のパーセンテージとして計算することにより、前記1つ以上の試料のAIR配列分布スコアを定量することと、前記試験対象の前記AIR配列多様性スコアおよび前記AIR配列分布スコアに基づいて、前記試験対象の前記免疫学的状態を決定するための試験対象格付けスコアを決定することとを含む方法が提供される。

0015

いくつかの実施形態において、方法は、前記1つ以上の試料の前記試験対象格付けスコアを、対照対象からの試料から得られた第2の組の対照対象格付けスコアと比較することと、前記1つ以上の時点における前記試験対象の前記免疫学的状態を決定することとをさらに含み、前記試験対象格付けスコアと前記対照対象格付けスコアとの間の差が統計的に有意である場合、前記試験対象は、前記1つ以上の時点において前記対照対象の免疫学的状態と異なる免疫学的状態を有すると決定され、前記試験対象格付けスコアと前記対照対象格付けスコアとの間に統計的有意差がない場合、前記試験対象は、前記対照対象と同じ免疫学的状態を有すると決定される。

0016

ある特定の実施形態において、核酸は、ゲノムDNAを含む。他の実施形態において、核酸は、cDNAを含む。いくつかの実施形態において、核酸は、メッセンジャーRNAを含む。

0017

いくつかの実施形態において、本発明の方法はまた、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の50%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数を決定することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の50%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数が、所定の閾値以下である場合、AIR配列分布スコアを低スコアとして特性決定することとを含む、前記対象のAIR配列分布スコアを定量するためのステップを含む。

0018

一実施形態において、方法は、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の40%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数を決定することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の40%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数が、所定の閾値以下である場合、AIR配列分布スコアを低スコアとして特性決定することとを含む、前記対象のAIR配列分布スコアを定量することを含む。

0019

別の実施形態において、方法は、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の30%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数を決定することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の30%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数が、所定の閾値以下である場合、AIR配列分布スコアを低スコアとして特性決定することとを含む、前記対象のAIR配列分布スコアを定量することを含む。

0020

さらに別の実施形態において、方法は、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の20%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数を決定することと、前記試料中の観察される再配列された配列の総数の20%までの統合発生頻度を有する一意の再配列されたAIR配列の数が、所定の閾値以下である場合、AIR配列分布スコアを低スコアとして特性決定することとを含む、前記対象のAIR配列分布スコアを定量することを含む。

0021

他の実施形態において、方法は、前記試料中の残りの一意の再配列された配列のそれぞれの発生頻度と比較して、各時点において最高発生頻度を有する少なくとも1つの一意の再配列された配列を選択することと、前記試験対象における、前記少なくとも1つの一意の再配列された配列のAIR配列分布の経時的なプロファイルを決定することとを含む、AIR配列分布スコアを定量することを含む。

0022

別の実施形態において、方法は、一意の再配列されたDNA配列の総数の平均発生頻度よりも統計的に有意に高い各時点における発生頻度を有する、複数の最も豊富な一意のAIR再配列された配列を選択することと、前記試験対象における、前記最も豊富な一意の再配列された配列のそれぞれのAIR配列分布の経時的なプロファイルを決定することとを含む。

0023

さらに別の実施形態において、方法は、前記試料中の一意のクローンの総数を決定することを含む、前記AIR配列多様性スコアを定量することを含む。

0024

ある特定の実施形態において、対照対象は、既知の免疫学的状態を有する。一実施形態において、対照対象は、健康な対象であり、欠陥のない免疫学的状態を有する。別の実施形態において、対照対象は、欠陥のある免疫学的状態を有する。

0025

いくつかの実施形態において、対照対象は、免疫治療に対する反応の既知の転帰を有する。一実施形態において、反応は、免疫治療に対する肯定的な反応である。一実施形態において、反応は、免疫治療に対する不良な反応である。

0026

別の実施形態において、試験対象は、対照対象と比較して、免疫治療に対する反応の同じ転帰を有すると予測される。さらに別の実施形態において、試験対象は、対照対象と比較して、免疫治療に対する反応の異なる転帰を有すると予測される。

0027

ある特定の実施形態において、対照対象は、幹細胞移植に対する反応の既知の転帰を有する。一実施形態において、反応は、幹細胞移植に対する肯定的な反応であってもよい。別の実施形態において、反応は、幹細胞移植に対する不良な反応である。さらに別の実施形態において、試験対象は、対照対象と比較して、幹細胞移植に対する反応の同じ転帰を有すると予測される。他の実施形態において、試験対象は、対照対象と比較して、幹細胞移植に対する反応の異なる転帰を有すると予測される。

0028

ある特定の態様において、対照対象は、処置に対する反応の既知の転帰を有する。いくつかの態様において、処置は、免疫治療抗体、サイトカイン、造血細胞移植、免疫抑制剤、またはワクチンを含む。

0029

他の態様において、1つ以上の試料は、試験対象から得られた固形組織試料を含む。

0030

一態様において、1つ以上の試料は、試験対象から得られた血液試料を含む。ある特定の実施形態において、1つ以上の試料が血液試料を含む場合、低いAIR配列多様性スコアおよび低いAIR配列分布スコアは、低い試験対象格付けスコアとして特性決定され、前記試験対象における高いTCRクローン性を示す。他の実施形態において、低い試験対象格付けスコアは、前記試験対象における免疫治療に対する不良な反応を予測するものである。別の実施形態において、高いAIR配列多様性スコアおよび高いAIR配列分布スコアは、高い試験対象格付けスコアとして特性決定され、低いTCRクローン性を示す。他の実施形態において、高い試験対象格付けスコアは、前記試験対象における免疫治療に対する肯定的な反応を予測するものである。

0031

他の実施形態において、試験対象は、免疫治療で処置されている。いくつかの実施形態において、免疫治療は、免疫系の負の調節因子阻害剤投与を含む。一実施形態において、負の調節因子は、CTLA−4およびPD−1からなる群から選択される。別の実施形態において、負の調節因子は、CTLA−4である。さらに別の実施形態において、負の調節因子は、PD−1である。ある特定の態様において、阻害剤は、抗CTLA−4抗体である。別の態様において、阻害剤は、抗PD−1抗体である。

0032

さらに他の態様において、1つ以上の試料は、試験対象から得られた固形腫瘍試料を含む。いくつかの実施形態において、固形腫瘍試料中、高いAIR配列多様性スコアおよび高いAIR配列分布スコアは、低い試験対象格付けスコアとして特性決定され、前記試験対象における低いTCRクローン性を示す。

0033

一実施形態において、固形腫瘍試料中、低い試験対象格付けスコアは、免疫治療に対する不良な反応を予測するものである。別の実施形態において、低いAIR配列多様性スコアおよび低いAIR配列分布スコアは、高い試験対象格付けスコアとして特性決定され、高いTCRクローン性を示す。一実施形態において、高い試験対象格付けスコアは、前記対象における免疫治療に対する肯定的な反応を予測するものである。

0034

別の実施形態において、試験対象は、免疫治療で処置されている。一実施形態において、免疫治療は、免疫系の負の調節因子の阻害剤の投与を含む。いくつかの態様において、負の調節因子は、CTLA−4およびPD−1からなる群から選択される。一実施形態において、負の調節因子は、CTLA−4であってもよい。別の実施形態において、負の調節因子は、PD−1であってもよい。他の実施形態において、阻害剤は、抗CTLA−4抗体である。さらに他の実施形態において、阻害剤は、抗PD−1抗体である。

0035

方法はまた、前記免疫治療処置後に得られた試料における残りのクローンの組の平均発生頻度と統計的に有意に異なる発生頻度を有する少なくとも1つのクローンのクローン性増殖により示される、前記試験対象の免疫治療処置の副作用を決定することを含む。一実施形態において、残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位50%以内にある発生頻度を有するクローンを含む。別の実施形態において、残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位40%以内にある発生頻度を有するクローンを含む。さらに別の実施形態において、残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位30%以内にある発生頻度を有するクローンを含む。他の実施形態において、残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位20%以内にある発生頻度を有するクローンを含む。一実施形態において、残りのクローンの組は、それぞれ前記試料中の全クローンの上位10%以内にある発生頻度を有するクローンを含む。一態様において、少なくとも1つのクローンは、それぞれ前記試料における発生頻度の上位4分の1以内にある発生頻度を有するクローンと統計的に有意に異なる発生頻度を有する。他の態様において、前記少なくとも1つのクローンのクローン性増殖は、前記免疫治療処置に対する前記試験対象の不良な反応を示す。

0036

ある特定の態様において、方法はまた、(1)複数のAIR V断片オリゴヌクレオチドプライマー、および(2)複数のAIR J断片オリゴヌクレオチドプライマーまたは複数のAIR C断片オリゴヌクレオチドプライマーのいずれかを使用した、多重ポリメラーゼ連鎖反応PCRアッセイにおいて、試験対象のリンパ系細胞を含む前記試料の少なくとも1つから得られた核酸配列を増幅することを含む。

0037

いくつかの実施形態において、複数のAIR V断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIR V領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各AIR V断片オリゴヌクレオチドプライマーは、少なくとも1つの機能的AIRコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドヌクレオチド配列を含み、前記複数のAIR V断片オリゴヌクレオチドプライマーは、前記試料中に存在する実質的に全ての機能的AIR Vコード遺伝子断片に特異的にハイブリダイズする。一実施形態において、複数のJ断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIR J領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各J断片プライマーは、少なくとも1つの機能的AIR Jコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、前記複数のJ断片プライマーは、前記試料中に存在する実質的に全ての機能的AIR Jコード遺伝子断片に特異的にハイブリダイズする。別の実施形態において、複数のC断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIRC領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各C断片プライマーは、少なくとも1つの機能的AIR Cコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、前記複数のC断片プライマーは、前記試料中に存在する実質的に全ての機能的AIR Cコードまたは遺伝子断片に特異的にハイブリダイズする。

0038

ある特定の態様において、複数のAIR V断片オリゴヌクレオチドプライマー、ならびに(2)前記複数のAIR J断片オリゴヌクレオチドプライマーおよび前記複数のAIR C断片オリゴヌクレオチドプライマーのいずれかは、前記試料中の適応免疫細胞の集団から複数の増幅された再配列DNA分子を生成するために、前記試料中の実質的に全ての再配列されたAIRCDR3コード領域の前記多重PCRにおける増幅を促進することができ、前記複数の増幅された再配列DNA分子は、前記少なくとも1つの試料における前記AIR CDR3コード領域の完全な多様性を定量するのに十分である。

0039

いくつかの実施形態において、各機能的AIR Vコード遺伝子断片は、V遺伝子組み換えシグナル配列RSS)を含み、各機能的AIR Jコード遺伝子断片は、J遺伝子RSSを含み、各増幅された再配列DNA分子は、(i)少なくとも10、20、30または40の連続ヌクレオチドの前記AIR Vコード遺伝子断片のセンス鎖であって、前記少なくとも10、20、30または40の連続ヌクレオチドは、前記V遺伝子RSSに対して5’に位置する、センス鎖と、(ii)少なくとも10、20または30の連続ヌクレオチドの前記AIR Jコード遺伝子断片のセンス鎖であって、前記少なくとも10、20または30の連続ヌクレオチドは、前記J遺伝子RSSに対して3’に位置する、センス鎖とを含む。一実施形態において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、1500ヌクレオチド未満の長さである。別の実施形態において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、1000ヌクレオチド未満の長さである。さらに別の実施形態において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、600ヌクレオチド未満の長さである。他の実施形態において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、500ヌクレオチド未満の長さである。一態様において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、400ヌクレオチド未満の長さである。別の態様において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、300ヌクレオチド未満の長さである。さらに別の態様において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、200ヌクレオチド未満の長さである。いくつかの実施形態において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、100ヌクレオチド未満の長さである。好ましい実施形態において、前記複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子は、50〜600ヌクレオチドの間の長さである。

0040

いくつかの態様において、方法は、前記試料中の他の一意の再配列された配列と比較して、統計的に有意により高い発生頻度を有する前記試料の1つにおける、一意の再配列された配列の組を選択することを含む。ある特定の態様において、高い発生頻度は、所定の閾値パーセンテージにより決定される。一態様において、前記組における一意の再配列された配列の選択された数は、所定の数により決定される。他の実施形態において、方法は、前記高頻度の一意の再配列された配列の1つが、持続的または一時的であるかどうかを、前記組から決定することを含み、持続的な一意の再配列された配列は、その後の期間にわたり前記試験対象から得られる2つ以上の試料にわたって存在し、一時的な一意の再配列された配列は、前記対象から1つの時点において得られる1つだけの試料中に存在する。

0041

方法はまた、前記試験対象の前記2つ以上の試料中の1つ以上の持続的な一意の再配列された配列の存在に基づいて、前記対象に対する免疫治療の経過を決定することを含み、持続的な一意の再配列された配列の前記存在は、前記対象が健康な免疫状態を有する増加した可能性を示す。いくつかの実施形態において、前記対象における前記1つ以上の持続的な一意の再配列された配列の存在は、前記対象による免疫治療処置に対する肯定的な反応を予測するものである。本発明の方法は、前記試験対象の前記1つ以上の試料における1つ以上の一時的な一意の再配列された配列の存在に基づいて、前記対象に対する免疫治療の経過を決定することを含み、前記1つ以上の一時的な一意の再配列された配列の前記存在は、前記対象が欠陥のある免疫状態を有する増加した可能性を示す。別の実施形態において、前記対象における前記1つ以上の持続的な一意の再配列された配列の存在は、前記対象による免疫治療処置に対する不良な反応を予測するものである。

0042

いくつかの実施形態において、本発明の方法は、前記1つ以上の試料において低い試験対象格付けスコアを有する試験対象を、より高い格付けスコアを有する第2の対象と比較して、免疫治療に対する反応のより低い相対的可能性を有するものとして分類するステップと、免疫治療に対する反応の相対的可能性に従って、試験対象の患者集団を階層化するステップとを提供する。方法は、数学モデルに基づいて、前記試料の1つからの前記核酸配列を配列決定することにより前記試験対象の全AIRレパートリー多様性を外挿することと、前記全AIRレパートリー多様性から試験対象格付けスコアを決定することとを含む、前記試験対象格付けスコアを決定することを含む。一実施形態において、数学モデルは、未発見モデルである。

0043

別の実施形態において、前記試験対象格付けスコアを決定することは、シャノンエントロピースコアおよびクローン性スコアを計算することと、前記シャノンエントロピースコアおよび前記クローン性スコアに基づいて、試験対象格付けスコアを決定することとを含む。一実施形態において、クローン性スコアは、シャノンエントロピースコアの変換である。

0044

本発明の他の態様において、適応免疫受容体(AIR)ポリペプチドは、哺乳動物AIRポリペプチドであり、T細胞受容体ガンマ(TCRG)ポリペプチド、T細胞受容体ベータ(TCRB)ポリペプチド、T細胞受容体アルファ(TCRA)ポリペプチド、T細胞受容体デルタ(TCRD)ポリペプチド、免疫グロブリン重鎖(IGH)ポリペプチド、および免疫グロブリン軽鎖(IGL)ポリペプチドから選択される。いくつかの実施形態において、IGHポリペプチドは、IgMIgAポリペプチド、IgGポリペプチド、IgDポリペプチドおよびIgEポリペプチドから選択される。IGLポリペプチドは、IGL−ラムダポリペプチドおよびIGL−カッパポリペプチドから選択され得る。一実施形態において、哺乳動物AIRポリペプチドは、ヒトAIRポリペプチドである。別の実施形態において、哺乳動物AIRポリペプチドは、非ヒト霊長類AIRポリペプチド、げっ歯類AIRポリペプチド、イヌAIRポリペプチド、ネコAIRポリペプチドおよび有蹄動物AIRポリペプチドから選択される。

0045

ある特定の実施形態において、試験対象は、悪性状態を有する、または有する疑いのある対象、造血細胞移植を受けた対象、固形臓器移植を受けた対象、および微生物感染を有する対象から選択される。いくつかの実施形態において、悪性状態は、血液悪性腫瘍黒色腫肉腫およびがん腫から選択される。悪性状態は、悪性黒色腫小細胞肺がん非小細胞肺がん腎細胞がん膵臓がん乳がん卵巣がんおよび前立腺がんから選択される。

0046

他の実施形態において、造血細胞移植は、臍帯血移植自家造血細胞移植、同種造血細胞移植、および骨髄移植から選択される。一実施形態において、造血細胞移植は、自家T細胞移植を含む。

0047

他の態様において、複数の時点は、免疫治療中またはその後の時点を含む。別の態様において、複数の時点は、免疫治療の前の時点を含む。

0048

他の実施形態において、方法は、前記試験対象の前記免疫学的状態の決定に基づいて、免疫治療を受けている前記試験対象の処置を管理するステップを含む。一実施形態において、免疫治療は、免疫治療抗体、サイトカイン、造血細胞移植、免疫抑制剤、およびワクチンから選択される免疫治療薬剤による処置を含む。

0049

別の実施形態において、免疫治療は、免疫反応の負の調節因子の阻害剤による処置を含む。いくつかの態様において、免疫反応の負の調節因子は、CTLA4/CD152、LAG3/CD223、およびPD−1/CD279から選択される。一実施形態において、負の調節因子は、CTLA−4/CD152であってもよく、免疫反応の前記負の調節因子の前記阻害剤は、抗CTLA−4抗体であってもよい。別の実施形態において、抗CTLA−4抗体は、イピリムマブおよびトレリムマブから選択される。いくつかの実施形態において、免疫反応の負の調節因子は、PD−1/CD279であり、免疫反応の負の調節因子の前記阻害剤は、抗PD−1抗体である。別の実施形態において、免疫治療は、免疫反応の増強物質を標的化する薬剤による処置を含む。さらに別の実施形態において、免疫反応の増強物質は、41BB/CD137、OX40/CD134およびCD40から選択される。

0050

他の実施形態において、免疫治療は、炎症経路の阻害剤による炎症状態または自己免疫疾患の処置を含む。ある特定の実施形態において、炎症状態または前記自己免疫疾患は、関節リウマチ乾癬性関節炎強直性脊椎炎クローン病、および若年性特発性関節炎から選択される。一実施形態において、炎症経路は、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)の少なくとも1つを含む。他の実施形態において、炎症経路は、TNFαを含み、炎症経路の前記阻害剤は、TNFαに特異的に結合する薬剤である。別の実施形態において、TNFαに特異的に結合する薬剤は、抗TNFα抗体および人工溶性TNFα受容体から選択される。一実施形態において、抗TNFα抗体は、アダリムマブおよびインフリキシマブから選択され、前記人工可溶性TNFα受容体は、エタネルセプトである。

0051

他の実施形態において、試験対象の免疫学的状態を決定するためのコンピュータ実装方法であって、様々な時点において複数の試料から得られた対照対象のデータを保存することであって、前記データは、各試料に対して、前記試料中の複数の一意の再配列された核酸配列の核酸配列情報、前記試料のAIR配列多様性スコア、前記試料中の各一意の再配列された核酸配列の発生頻度、および前記対象の決定された免疫学的状態を含む、保存することと、プロセッサにより、前記対照対象の前記データに基づいて、試験対象の免疫学的状態を評価するための規則を決定することと、免疫治療前および免疫治療後の様々な時点において得られた複数の試料に関する試験対象のデータを入力することであって、前記データは、各試料に対して、前記試料中の複数の一意の再配列された核酸配列の核酸配列情報、前記試料のAIR配列多様性スコア、および前記試料中の各一意の再配列された核酸配列の発生頻度を含む、入力することと、前記試験対象の免疫学的状態の決定を受信することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、前記試験対象の免疫治療に対する予測される反応を決定することを含む。一実施形態において、前記対照対象のデータは、免疫治療処置前の時点において前記対照対象から得られた核酸配列情報を含む。別の実施形態において、前記対照対象のデータは、免疫治療処置後の時点において前記対照対象から得られた核酸配列情報を含む。

0052

本明細書に記載の本発明の実施形態のこれらの態様および他の態様は、以下の発明を実施するための形態および添付の図面を参照すれば明らかとなる。本明細書において参照される、および/または出願データシートにおいて列挙される、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献は全て、参照することにより、それぞれが個々に組み込まれるのと同等に、それらの全体が本明細書に組み込まれる。本発明の態様および実施形態は、様々な特許、出願および出版物概念を使用してさらなる実施形態を提供するために、必要に応じて修正され得る。

図面の簡単な説明

0053

骨髄破壊的処置後の経時的に残ったTCRクローンを示すグラフである。幹細胞移植後に残留したクローンにより示される各患者のレパートリーの割合に対する値の範囲が示されている。下位4分の1は、ゼロまでの範囲であった。残留クローンの割合は、移植前に(任意のレベルで)観察されたクローンに対応する全TCR配列決定リードの割合として計算された。値は、これらの患者のTCRレパートリーにおける移植前クローンのある程度の持続を示した。
健康な対照と比較した、移植から28、56、100および180日後の初期免疫再構成中に患者において観察される一時的TCRクローンの数を示すグラフである。各試料において、頻度による上位10のTCRクローンのそれぞれは、持続的(後の時点で同じ患者において再び観察される)または一時的(同じ患者からはその後の試料においていかなるレベルでも再び観察されない)のいずれかとして分類された。一時的クローンの数は、患者の間で極めて変動性であり、0から9の範囲であったが、一時的クローンの中央の数値は時間と共に減少した。4つの健康な対照もまた分析したが、一時的TCRクローンの数は、0から2の範囲であり、中央値は0であった。
造血幹細胞移植後の全ての患者にわたりTCRレパートリーサイズで示された、幹細胞移植後のTCRレパートリー再構成を示すグラフである。試料は、移植前、および移植後の5つの時点(28、56、100、180および365日目)で採取された。各患者に対するTCRレパートリーサイズは、TCR再配列のハイスループット配列決定を使用して推定され、推定TCRレパートリーサイズの幾何平均が示されている。移植後、患者は、緩やかな回復を始める前に、移植後56日でその最小値に達する大いに低減されたTCRレパートリーを有していた。
最終的な非再発死亡率(NRM)を有する、および有さない、全ての患者に対するTCRβ再配列のハイスループット配列決定に基づく推定TCRレパートリーサイズの比較を示すグラフである。TCRレパートリーサイズ値は、両方の集団に対して四分位数として示されている。有意性は、片側マンホイットニーU検定を使用して評価された。続いて非再発死亡率に見舞われた患者は、移植から56および100日後に有意に低い推定レパートリーサイズを有していた。
CD3+カウントおよび推定TCRレパートリーサイズの比較を示すグラフである。CD3+カウント(細胞の数/mL)を、両方のメトリクス利用可能である28、56および100日目からの全ての生存患者からの試料に対して、推定TCRレパートリーサイズと比較した。CD3+カウントとレパートリーサイズとの間に弱い相関があり(r=0.06)、配列決定により得られたTCRβ多様性の下限に対する推定により、循環T細胞の全密度とは独立した情報が明らかとなったことを示している。
血液試料におけるTCRレパートリークローン性を示すグラフである。血液試料において、低いTCRレパートリークローン性は、免疫治療(イピリムマブ(抗CTLA−4 mAb)による処置)反応者状態の予測因子であり、高いTCRレパートリークローン性は、免疫治療非反応者状態の予測因子であった。
腫瘍組織試料からのTCRコードDNAの定量的配列決定からの結果を示すグラフである。結果は、免疫治療(AT)前に得られた腫瘍試料において検出されたTCRクローン性のレベルと比較した、免疫治療(イピリムマブ(抗CTLA−4 mAb)による処置)(DT)を施した後に得られた固形腫瘍組織試料中に存在するリンパ球におけるTCRクローン性の増加を示している。
免疫治療(イピリムマブ(抗CTLA−4 mAb)による処置)前および免疫治療後に得られた血液試料中および固形腫瘍試料中の、個々のTCRクローン集団の経時的な相対的提示における動力学を示すグラフである。時点A、B、およびCは、血液試料から採取された時点である。時点Aは、免疫治療前であり、時点BおよびCは、免疫治療計画開始後の2つの時点である。時点AT、BT、CTは、対化腫瘍試料である(ATは免疫治療前であり、時点BTおよびCTは、免疫治療計画開始後の2つの時点である)。矢印は、治療後に優位性が増加した単一クローンを示し、時点CTにおいてレパートリーの10%を占めた。時点AおよびBにおいて血液中でそれぞれTCR配列の7〜9%を占めた2つのクローン(X1およびX2)は、その後、相対的存在度において有意に低下し、一方、血液中で始めは非常に低い頻度を有していたいくつかのT細胞受容体配列は、時点Cまでに有意に増加した。時点Aにおける腫瘍試料中の3つの最も多数のクローンは、後の時点において決定されるように、その後の相対的提示において有意に減少した。
免疫治療(イピリムマブ(抗CTLA−4 mAb)による処置)の開始前(時点A)ならびに開始後(時点BおよびC)に得られた末梢血液試料において決定されたTCR配列多様性および分布エントロピーを示し、治療前(時点A)ならびに治療後(時点BおよびC)における、経時的な個々のTCRクローン提示の動力学を示すグラフである。矢印は、治療後に優位性が増加した単一クローンを示し、時点Cにおいてレパートリーの10%超を占めた。
抗PD−1抗体による免疫治療前、治療中および治療後の、末期転移黒色腫患者から得られた黒色腫損傷からの組織試料からのTCRレパートリークローン性の測定値を示すグラフである。TCRレパートリークローン性の平均および標準偏差(各試料中に存在する一意のTCR配列の数を考慮することにより範囲(0〜1)に正規化されたTCR配列分布エントロピーに基づく修正されたメトリクス)が、免疫治療に対する反応に従い示されている。試験した12名の患者のうち、8名が処置に反応し(疾患の安定化または部分的反応)、一方4名は反応しなかった(疾患の進行)。TCRレパートリークローン性は、反応しなかった4名の患者と比較して、反応した8名の患者においてより高かった(両側の対応のないt検定によりp=0.015)。
12名の末期転移黒色腫患者のコホートから得られた黒色腫損傷の組織試料から得られた、免疫治療に対する反応に従うT細胞浸潤の平均および標準偏差(2倍体ゲノム当たりのT細胞受容体再配列として測定)を示すグラフである。両側の対応のないt検定により測定すると、Tリンパ球浸潤のレベルは、反応しなかった4名の患者と比較して、反応した8名の患者においてより高かった(両側の対応のないt検定によりp=0.056)。免疫治療は、抗PD−1抗体による処置であった。
TCRレパートリークローン性、ならびにコホート1(12名の患者)、コホート2(13名の患者)、および組み合わされたコホート(黒色腫損傷の組織試料から得られた)における免疫治療に対する反応の測定値を示すグラフである。免疫治療は、抗PD−1抗体による処置であった。TCRレパートリークローン性の平均および標準偏差(各試料中に存在する一意のTCR配列の数を考慮することにより範囲(0〜1)に正規化されたTCR配列分布エントロピーに基づく修正されたメトリクス)が、コホート1(無地四角)、コホート2(斜線縞模様の四角)および組み合わされたデータ(水平線縞模様の四角)における免疫治療に対する反応に従い示されている。TCR配列分布クローン性は、反応しなかった患者と比較して、反応した患者においてより高かった(両側の対応のないt検定により、組み合わされたデータにおいてp=0.00065)。
コホート1(無地の四角)、コホート2(斜線縞模様の四角)および組み合わされたデータ(水平線縞模様の四角)における免疫治療に対する反応に従うT細胞浸潤の平均および標準偏差(2倍体ゲノム当たりのT細胞受容体再配列として測定)を示すグラフである。T細胞は、黒色腫損傷の組織試料から得られた。免疫治療は、抗PD−1抗体による処置であった。Tリンパ球浸潤のレベルは、反応しなかった患者と比較して、反応した患者においてより高かった(両側の対応のないt検定により、組み合わされたデータにおいてp=0.0015)。
T細胞浸潤およびTCRレパートリークローン性のレベルに関する、各患者のランク(全25名の患者のうちのランクの降順で)の比較を示すグラフである。T細胞は、黒色腫損傷の組織試料から得られた。免疫治療は、抗PD−1抗体による処置であった。反応者(菱形)と比較して、非反応者(丸)は、低いTCRレパートリークローン性および低レベルの浸潤Tリンパ球への傾向を同時に示す。
本発明の一実施形態によるコンピュータの例を示すハイレベルブロック図である。

実施例

0054

1.概要
本発明は、ある特定の実施形態において、および本明細書に記載のように、例えば個人の適応免疫系の免疫能力を評価することができる適応免疫細胞(例えば、T細胞またはB細胞)クローン性を定性的に(例えば、T細胞受容体または免疫グロブリン配列多様性により)、および定量的に(例えば、TCRまたはIG配列分布により)特性決定することにより、対象または複数の対象の免疫学的状態を決定するための予想外にも有利な方法を提供する。したがって、本実施形態は、個人の免疫能力を評価するため、および免疫系状態に従い集団を階層化するための新規な方法を提供し、個人におけるリンパ系細胞により発現されたTCRおよび/またはIGの配列多様性、ならびに個人におけるT細胞および/またはB細胞クローン性の相対的程度の両方の決定は、様々な臨床状況において、免疫関連副作用の発生の可能性を含む予後診断診断、および転帰に関連する。

0055

本実施形態は、初めて、(i)TCRおよびIGレパートリー多様性、ならびに(ii)TCRおよびIGレパートリー分布のDNA配列レベルでの特性決定により、免疫能力の高分解能の大規模ハイスループット評価を可能とする。本発明は、リンパ系細胞DNAを含有する試料中に存在し得る、実質的に全ての可能なTCRおよびIG遺伝子再配列の配列の定量的決定のための組成物および方法を含む。

0056

ある特定の実施形態において、対象からのリンパ系細胞DNA(ゲノムDNA、cDNA、または代替としてメッセンジャーRNA)を含有する試料が、特定のTCRまたはIG鎖をコードする実質的に全ての可能なDNA再配列を増幅することができるように特別設計されたプライマーセットを使用した多重PCR増幅のためのテンプレートとして使用される。多重PCR増幅産物は、迅速なハイスループット高品質定量DNA配列決定に適している。試料中の構造的TCRまたはIGレパートリー多様性は、DNA配列情報から複数の一意の再配列されたDNA配列を特定し、またそれから試料中の一意の配列の総数を決定することにより決定される。

0057

所望により、既知の推定または外挿法を使用して、配列情報から、患者の全適応免疫系におけるレパートリー多様性を決定することができる。各一意の配列の相対的分布を定量するために、本明細書に記載され、当業者により実践される定量的配列決定方法はまた、一意の配列の総数のうちのそれぞれの特定の一意に再配列されたDNA配列の発生頻度の決定を可能とする。ある特定の実施形態において、リンパ系細胞DNAおよび/またはRNAが抽出されてPCRテンプレートを提供し得るリンパ形細胞の源として、血液試料を得ることができる。

0058

これらの、および関連した方法は、本明細書に記載のような様々な用途が見出される。例えば、本明細書に記載の方法は、それぞれの個々の対象の適応免疫系内の適応免疫受容体(AIR)レパートリーの多様性および分布を定量するために使用される。本明細書に記載の方法はまた、患者の免疫能力状態、または免疫治療に対して反応する、もしくは免疫関連副作用を発生する個人の相対的可能性に従って、患者集団を階層化するために使用される。AIR配列多様性(例えば、試料中の特定のAIRポリペプチドをコードする全ての再配列されたDNAに対して特徴的なヌクレオチド配列情報を得ることにより特定される、異なる一意のAIRコード配列の数)およびAIR配列分布(例えば、各一意の再配列されたAIRコードDNA配列の発生頻度)の定量は、有利にも、臨床的に有用な情報により、前例のない正確性をもって定義されるTまたはB細胞クローン性の関連付けを可能とする。

0059

限定されない理論によれば、この配列分布は、患者からの各試料中のT細胞またはB細胞クローン性の程度(例えば、提示の量的程度、または相対的存在度)を表し得るこの分布パラメータを処理するためのいくつかの既知のコンピュータツールのいずれかを使用して、分布値(例えば、各一意の配列の発生頻度)および多様性値(例えば、異なる一意の配列の総数)を生成することができる。分布および多様性値を格付けステップにおいて使用して、個々の試料を格付けし、それらを対照試料および/または互いと比較することができる。

0060

本明細書に記載のように、血液悪性腫瘍を処置するために臍帯血移植を受けている患者において、臍帯血移植後の患者における比較的低い程度のTCRレパートリー多様性は、感染に対する感受性、および感染を除去する免疫機能不全の相対的可能性の予測因子であることが示された(例えば、不良な反応)。一方、血液悪性腫瘍を処置するための臍帯血移植後のヒト患者における比較的高い程度のTCRレパートリー多様性は、感染への抵抗性および免疫能力、すなわち、感染を除去する免疫学的能力の相対的可能性の予測因子であることが示された。

0061

免疫反応の負の調節因子の阻害剤(例えば、抗CTLA4抗体)による免疫治療前および治療後の患者から得られた血液試料において、患者の血液における高いTCR配列多様性および低いクローン性は、肯定的な臨床転帰と相関していた。一方、低いTCR配列多様性(高いクローン性)およびTCR配列分布のより低いエントロピーを特徴とするTCRレパートリーは、欠陥のある適応免疫能力に起因するより不良な臨床転帰と関連していた。

0062

免疫反応の負の調節因子の阻害剤(例えば、抗PD−1抗体)による免疫治療前および治療後の患者から得られた固形腫瘍試料において、高レベルの浸潤T細胞の存在および高いクローン性(すなわち、腫瘍へのT細胞移動および腫瘍内のクローン性増殖の証拠)は、免疫治療に対する肯定的な反応と関連していた。対照的に、固形腫瘍における最小限の浸潤T細胞レパートリーおよび低いクローン性(すなわち、腫瘍内の制限された非特異的なT細胞反応の証拠)は、処置に対する反応の不良と関連していた。

0063

ここで開示される実施形態は、所与の時点における患者の免疫能力をプロファイリングすることにより、例えば予後診断もしくは診断としての、または治療戦略の情報を与えるための、および他の目的のための広範な用途が見出される。

0064

2.定義
特許請求の範囲および明細書において使用される用語は、別段に指定されない限り、以下に記載のように定義される。

0065

本明細書において使用される場合、適応免疫受容体(AIR)は、哺乳動物細胞において見出される、T細胞受容体(TCR)または免疫グロブリン(Ig)受容体等の免疫細胞受容体を指す。

0066

本明細書において使用される場合、「プライマー」という用語は、好適な条件下でDNA合成の起点として機能することができるオリゴヌクレオチドを指す。そのような条件は、核酸と相補的なプライマー伸長産物の合成が、適切な緩衝液中および適切な温度における4つの異なるヌクレオシド三リン酸および伸長のための薬剤(例えば、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)の存在下で誘導されるものを含む。

0067

2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、パーセント同一性」という用語は、後述の配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTNもしくは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)を使用して、または目視検査により測定されるように、最大対応について比較および整列されるときに、同一である特定のパーセンテージのヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する、2つ以上の配列または部分配列を指す。用途に依存して、パーセント「同一性」は、比較されている配列の領域、例えば、機能ドメインにわたり存在してもよく、または、代替として、比較される2つの配列の全長にわたり存在してもよい。

0068

列比較のために、典型的には、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列(複数可)のパーセント配列同一性を計算する。

0069

比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv.Appl.Math.2:482 (1981)の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Nat’l.Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似法の検索により、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)により、または目視検査(Ausubel et al.、下記参照)により行うことができる。

0070

パーセント配列同一性および配列類似性の決定に好適なアルゴリズムの一例は、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403−410 (1990)に記載のBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationウェブサイト(www.ncbi.nlm.nih.gov)を通して公的に入手可能である。

0071

「十分な量」という用語は、所望の効果を生成するために十分な量、例えば、細胞における免疫反応を調整するために十分な量を意味する。

0072

「治療上効果的な量」という用語は、疾患の症状を改善するのに効果的な量である。治療上効果的な量は、予防が治療であるとみなされ得る場合、「予防的に効果的な量」となり得る。

0073

具体的な定義がなされない限り、本明細書に記載の分子生物学分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品および薬化学に関連して使用される命名法、ならびにその実験室手順および技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用される。組み換え技術、分子生物学的、微生物学的化学的合成化学分析薬学的調製、製剤化、および送達、ならびに患者の処置に、標準的技術を使用することができる。

0074

文脈上別の意味が必要とされない限り、本明細書および特許請求の範囲全体にわたり、「含む(comprise)」という用語およびその変化形、例えば「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、限定されない包含的意味で、すなわち、「〜を含むがこれらに限定されない」として解釈されるべきである。「〜からなる」とは、「〜からなる」という語句の後に来るものを含み、典型的にはそれに限定されることを意味する。「本質的に〜からなる」とは、その語句の後に列挙された任意の要素を含み、その列挙された要素に関して本開示において指定された活動または作用に干渉または寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「本質的に〜からなる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であるが、他の要素は必要ではなく、それらが、列挙された要素の活動または作用に影響するか否かに依存して存在し得る、または存在し得ないことを示す。

0075

本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上別の意味が明確に示されない限り、複数形の指示対象を含む。本明細書において使用される場合、具体的実施形態において、「約」または「近似的に」という用語は、数値の前に置かれた場合、その値プラスまたはマイナス5%、6%、7%、8%または9%等の範囲を示す。他の実施形態において、「約」または「近似的に」という用語は、数値の前に置かれた場合、その値プラスまたはマイナス10%、11%、12%、13%または14%等の範囲を示す。さらに他の実施形態において、「約」または「近似的に」という用語は、数値の前に置かれた場合、その値プラスまたはマイナス15%、16%、17%、18%、19%または20%等の範囲を示す。

0076

本明細書全体にわたる「一実施形態」または「実施形態」または「態様」の言及は、実施形態に関連して記載される特定の機能、構造または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所での「一実施形態における」または「実施形態における」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を言及しているわけではない。さらに、特定の機能、構造、または特徴が、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされてもよい。

0077

3.定量法
対象の免疫能力を定量および評価するために、様々な方法を使用することができる。いくつかの実施形態において、免疫能力は、対象の適応免疫受容体(AIR)配列多様性およびAIR配列分布を測定することにより評価される。
A.適応免疫受容体(AIR)配列多様性

0078

試料中のリンパ系細胞における一意の再配列されたTCRまたはIGコードDNA配列の多様性は、対象からの試料中の異なるTまたはB細胞クローンの数を反映する。配列多様性は、例えば試料中での直接計数または加重計数により、特定サイズの試料中のクローンの数として決定され得る。試料は、例えば、血液試料または組織試料(固形腫瘍試料)であってもよい。代替として、対象における異なるクローンの数は、副次標本中のクローンの数に基づいて推定されてもよい。別の実施形態において、多様性のために全てのT細胞または全てのB細胞の0.01%超を占めるクローンのみを計数する等、任意カットオフ値割り当てて異なる「効果的」クローンの数を推定することができる。加重または外挿多様性決定のための他のモデル、例えばエントロピーモデル、「未発見種モデル」(例えば、Efron et al., 1976 Biometrika 63:435、Fisher et al., 1943 J. Anim.Ecol.12:42を参照されたい)、または当該技術分野に精通した者に知られるような他の好適なモデルが、ある特定の関連した実施形態における使用に企図される。

0079

いくつかの実施形態において、AIR多様性は、特定の試料中の全AIR観察配列の定量的配列決定により測定され得る。再配列された適応免疫受容体遺伝子配列の定量的配列決定および適応免疫受容体クローン型決定のための組成物および方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Robins et al., 2009 Blood 114, 4099、Robins et al., 2010 Sci. Translat.Med. 2:47ra64、Robins et al., 2011 J. Immunol. Meth. doi:10.1016/j.jim.2011.09.001、Sherwood et al. 2011 Sci. Translat.Med. 3:90ra61、U.S.A.N. 13/217,126、U.S.A.N. 12/794,507、国際公開第WO/2010/151416号、国際公開第WO/2011/106738号(PCT/US2011/026373)、国際公開第WO2012/027503号(PCT/US2011/049012)、U.S.A.N. 61/550,311、およびU.S.A.N. 61/569,118に記載されている。それらの文献中、PCR増幅オリゴヌクレオチドプライマーおよび配列決定プライマーの配列、PCR増幅産物の配列決定、配列決定データの処理、ならびに適応免疫受容体多様性の測定値の使用に関する詳細もまた見出すことができ、それらの全ては、本明細書に記載の方法に従う使用に採用され得る。

0080

いくつかの実施形態において、Raw HiSeq(商標)等の配列決定プログラムを使用して配列データを前処理し、各リードの一次配列におけるエラーを除去し、配列データを圧縮することができる。最近傍アルゴリズムを使用して、密接に関連した配列をマージすることによりデータを一意の配列に折り畳み、PCRおよび配列決定のエラーの両方を除去することができる。

0081

本明細書に記載のようなTCRまたはIGの定量的配列決定により、試料に多様性スコアまたは格付けを割り当てることができる。いくつかの実施形態において、試料中の観察される再配列されたAIR配列の総数と比較してレパートリー中の一意の再配列されたAIR配列の数が少数である場合、多様性スコアまたは格付けは低いものとして決定され得る。試料中の観察される再配列されたAIR配列の総数と比較してレパートリー中の一意の再配列されたAIR配列の数が多数である場合、多様性スコアまたは格付けはより高いものとして決定され得る。低い、または高い多様性スコアまたは格付けの決定は、当業者により決定され得るような所定の閾値または統計的有意性の計算に基づいてもよい。例えば、多様性スコアまたは格付けを「低」として分類するための所定の閾値は、いくつかの実施形態において、対象集団の血液試料から得られたものより高くない(統計的有意性をもって)スコアであってもよく、集団は、免疫治療的介入に対する反応において不良な転帰を経験すると決定される集団であってもよい。他の実施形態において、所定の閾値は、試料からの再配列されたAIR配列から決定される多様性または格付けスコアの上位または最高50%、25%、10%または5%の計算に基づいて決定される。

0082

相対的なスケールとして、格付けシステムは、試料サイズ、多様性定量の方法(例えば、直接的配列決定、または外挿、「隠された種」によるか否か等)、試料が得られる患者集団の臨床兆候および症状等を含むがこれらに限定されない、いくつかの因子を考慮して変更または調節されてもよい。例えば、ある特定の限定されない例において、患者集団のメンバーは、相対的多様性および/または分布格付けに基づいて分類されてもよく、ある特定の実施形態において、集団の任意のセグメンテーションが実践されてもよい。ある特定の実施形態において、患者集団は、(i)四分位数、五分位数十分位数等による配列多様性もしくは分布の程度に従って、または(ii)クローン性の相関因子として、配列の総数の50、40、30、20または10パーセントにおける相対的AIR配列多様性および分布エントロピーを格付けすることにより、または(iii)一連の時点のそれぞれにおける、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の最も豊富な一意のAIR配列を選択することにより、階層化され得る。分類は、免疫能力を評価することができるパラメータの組を提供する。

0083

また上述のように、これらの配列多様性計算を使用して、造血幹細胞移植を受けた患者から得られた血液試料中において、より高いAIR配列多様性スコアが、感染を除去する能力等の好ましい臨床転帰のより高い可能性と相関することが決定された。抗PD−1抗体による免疫治療を受けている患者から得られた固形腫瘍試料においては、高レベルのT細胞浸潤および低い浸潤T細胞レパートリー多様性が、免疫治療に対する肯定的な反応と関連していた。

0084

当業者に知られているように、AIR配列多様性を計算するための他の既知の方法が使用されてもよい。例えば、参照によりその全体が組み込まれる以下の研究は、種存在度データから多様性指数を推定する現在の理論および実践を要約するとともに、多様性指数測定のいくつかの一般的な実施形態の詳細な例を示している。Anne E.Magurran and Brian J. McGill.2011.Biological Diversity: Frontiers in Measurement and Assessment.New York: Oxford University Pressを参照されたい。多様性スコア格付けを計算するために適用可能な遺伝的多様性推定のための方法の他の例は、James F.Crow and Motoo Kimura.2009.An Introduction to Population Genetics Theory.Blackburn Pressに見出すことができる。
B.適応免疫受容体(AIR)配列分布

0085

いくつかの実施形態において、AIR配列分布を使用して、対象の免疫学的状態(例えば、免疫能力)を決定および評価することができる。TCRまたはIG配列分布等のAIR配列分布は、試料中の異なるT細胞またはB細胞クローンの数、例えば、同一のTCRまたはIGを発現する細胞の数の間の変動を指す。例えば、AIR配列分布は、各一意の再配列されたAIRコードDNA配列の発生頻度を、観察される再配列されたAIRコードDNA配列の総数のパーセンテージとして定量することにより決定され得る。AIR配列の定量された分布を、任意選択でAIR配列多様性と共に使用して、免疫学的状態を決定するためのここで企図されるある特定の実施形態に従って、対象の免疫能力を格付けまたはランク付けすることができる。

0086

いくつかの実施形態において、AIR配列分布は、これらに限定されないが、以下の方法により決定され得る:(i)ある時間間隔にわたり、対象における少なくとも1〜20の最も豊富な一意の再配列された(クローン)AIR配列を特定および定量すること、または(ii)対象からの試料中の観察される再配列された配列の総数の所与のパーセンテージ(例えば、10、20、30、40もしくは50%まで)を占めるために必要な一意の再配列された(クローン)AIR配列を特定およびその数を定量すること。他の計算を追加的または代替的に使用して、対象からの試料のAIR配列分布を決定し、既知の免疫学的状態を有する対照または別の試料と比較して試料を格付けするために、配列分布値を特定の試料に割り当てることができる。これらには、例えば、エントロピー(すなわち、試料セット内の要素の数の対数で除すことにより[0〜1]の範囲に正規化され得る、典型的に情報理論において定義されるようなシャノンエントロピー)の決定、または、分布の1つ以上のモード(例えば、平均、歪み、度等)を決定するための他の既知の方法の使用が含まれ得る。本発明の方法は、以前は不可能であった精度での配列分布およびクローン性の決定を可能にし、様々な予後診断、診断、処方、および他の能力を可能にする。
C. 免疫学的状態の決定

0087

ある特定の実施形態によれば、試験対象の免疫学的状態を決定するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、試験対象の免疫学的状態を特定、定量、格付け、比較、および分類するためのステップを含む。

0088

いくつかの実施形態において、1つまたは複数の時点のそれぞれにおいて試験対象から得られたリンパ系細胞DNAを含有する1つ以上の試料中の適応免疫受容体(AIR)ポリペプチドをコードする複数の一意の再配列されたDNA配列のそれぞれに対してDNA配列情報を特定すること、および、1つまたは複数の時点のそれぞれにおいて試験対象内のDNA配列をコードする一意の再配列されたAIRポリペプチドの総数を決定して、対象におけるAIR配列多様性を定量することは、上述のように、ならびに参照により本明細書に組み込まれる、Robins et al., 2009 Blood 114, 4099、Robins et al., 2010 Sci. Translat.Med. 2:47ra64、Robins et al., 2011 J. Immunol. Meth. doi:10.1016/j.jim.2011.09.001、Sherwood et al. 2011 Sci. Translat.Med. 3:90ra61、U.S.A.N. 13/217,126、U.S.A.N. 12/794,507、国際公開第WO/2010/151416号、国際公開第WO/2011/106738号(PCT/US2011/026373)、国際公開第WO2012/027503号(PCT/US2011/049012)、U.S.A.N. 61/550,311、およびU.S.A.N. 61/569,118に記載のように行うことができる。これらの参考文献は、PCR増幅オリゴヌクレオチドプライマーおよび配列決定プライマーの配列、PCR増幅産物の配列決定、配列決定データの処理、ならびに適応免疫受容体多様性の測定値の使用に関する説明を提供する。

0089

前記1つまたは複数の時点のそれぞれにおいて、試験対象における一意の再配列されたAIRポリペプチドコードDNA配列の総数を決定した後、各一意の再配列されたDNA配列の発生頻度が、観察される再配列されたAIRポリペプチドコードDNA配列の総数のパーセンテージとして定量され得る。例えば、実際の配列データのカウントからAIR配列多様性値が決定される場合、その値を使用してAIR配列分布を決定することができる。別の例において、例えば対象の完全適応免疫系への副次標本の外挿により、または「未発見種モデル」を使用して、または任意の他の推定法により、AIR配列多様性データが推定される場合、分布の特性を捕らえるための広く知られている方法のいずれも使用することができる。
1.対象からの試料の免疫学的状態の格付け

0090

各試料のAIR配列多様性およびAIR配列分布値を使用して、試料の免疫学的状態を格付けすることができる。多種多様な単純な加重および/または精密化格付けシステムのいずれをも使用することができるが、使用される多様性および分布推定法に依存し得る。好ましくは、およびある特定の限定されない実施形態において、所定の閾値に対して少数の一意の再配列された配列が、観察される再配列された配列の総数の50%以下の統合発生頻度を有する試験対象の試料に、低い格付けが割り当てられる。より高い試験対象格付けは、所定の閾値に対してより多数の一意の再配列された配列が、観察される再配列された配列の総数の50%以下の発生頻度を有する試料に割り当てられる。換言すれば、格付けは、1つまたはいくつかの優勢なクローンまたはオリゴクローン性が存在する場合のように、より少数の異なるクローンが、観察される再配列された配列の総数の50パーセントを占める場合により低い。同様であるが関連した実施形態において、より低い試験対象格付けは、より少数の一意の再配列された配列が、観察される再配列された配列の総数の40、30、20または10パーセント以下の統合発生頻度を有する試料に割り当てられ、より高い試験対象格付けは、より多数の一意の再配列された配列が、それぞれ、試料中の観察される再配列された配列の総数の40、30、20または10パーセント以下の統合発生頻度を有する試料に割り当てられる。

0091

いくつかの実施形態において、割り当てられた格付けは、次いで、既知の免疫学的状態を有する第2の対象から得られた対照リンパ系細胞DNA試料から生成された対照対象格付けと比較され得る。ある特定の実施形態において、第2の対象は、当業者により定義されるような欠陥を有する既知の免疫学的状態を有する。他の実施形態において、第2の対象は、当該技術分野において確立された基準(例えば、Rich et al., Clinical Immunology: Principles and Practice, 3rd Ed., Mosby, St. Louis)に従う、欠陥を有さない既知の免疫学的状態を有する健康な対照個体であってもよい。いくつかの実施形態において、試験対象は、試験対象格付けが対照対象格付けよりも統計的に有意に低い前記時点のそれぞれにおいて、欠陥のある免疫学的状態を有するものとして分類され得、したがってそれにより試験対象の免疫学的状態が決定される。本明細書において言及される場合、「対照対象」は、それぞれ関連する臨床表現型共有する対照対象の集団を指し得る。

0092

例えば、ある特定の好ましい実施形態において、試験対象からの試料のTCRまたはIG配列多様性スコアが、統計的有意性をもって、対照対象からの試料のものよりも2標準偏差分低い場合(前記対照対象は、欠陥のない免疫学的状態または健康な免疫状態を有することが既知である)、試験対象は、欠陥のある免疫学的状態および/または不健康な免疫状態を有すると分類される。同様に、ある特定の好ましい実施形態において、試験対象からの試料のTCRまたはIG配列分布(エントロピー)スコアが、統計的有意性をもって、対照対象からの試料のものよりも2標準偏差分低い場合(前記対照対象は、欠陥のない免疫学的状態または健康な免疫状態を有することが既知である)、試験対象は、欠陥のある免疫学的状態および/または不健康な免疫状態を有するとみなすことができる。次いで、状態の分類化は、診断、予後診断および/または処置戦略の情報を与えることができる。

0093

例えば、限定されない例として、ワクチンに対して免疫学的に反応し得るかどうかを予測することを目的として高齢患者が免疫学的にプロファイルされ得るように、加齢に関連した適応免疫系機能の低下が、本明細書に記載の方法により検出され得る。別の限定されない例として、予防的抗感染(例えば、抗生物質抗ウイルス剤等)および/または免疫抑制治療(例えば、移植片対宿主病(GVHD)を処置するため)が、不変の治療計画に基づく代わりに、各患者の適応免疫系状態に基づいて調節され得るように、造血細胞移植受容者は、移植された細胞により適応免疫性が再構成されたかどうか、またはいつ再構成されたかを決定するために、移植後に定期的に試験され得る。別の限定されない例として、固形臓器移植受容者(例えば、移植肝臓、肺、腎臓膵臓、腸、心臓、または皮膚の全てまたは一部の受容者)の免疫レパートリーおよび免疫能力は、宿主適応免疫系が移植片拒絶関与し得るかどうか、およびどの程度関与し得るかを決定するために、定期的に試験され得る。そのような試験結果から、臨床医学者は、必要に応じて免疫抑制治療を調節して、例えば、拒絶を軽減する、または過剰な免疫抑制治療の潜在的に有害な副作用を低減もしくは回避することができる。

0094

さらに別の限定されない例において、免疫能力は、どの患者が免疫治療に肯定的に反応し得る可能性があるか、およびどの患者がその可能性がないかを予測するために、がん患者等の候補免疫治療受容者において本明細書に記載のように評価され得る。

0095

また、本明細書のいずれかの箇所に記載のように、本開示の方法を使用して、TCR(TCRB)レパートリーが比較的高いTCR配列多様性およびTCR配列分布の高いクローン性(すなわち、腫瘍へのT細胞移動および腫瘍内でのクローン性増殖の証拠)を示した患者から得られた腫瘍組織試料が、適応免疫機構の負の調節因子を阻害するように設計された免疫治療(例えば、抗PD−1抗体)から利益を得る可能性がより高いことが示された。そのような患者は、免疫治療に対し有益に反応し、本発明の方法により検出されるような腫瘍組織内の確実な免疫反応に起因し得るより良好な臨床転帰を有していた(図10、図11)。したがって、PD−1試験において、反応者は非反応者よりもはるかに多くの浸潤T細胞を有する(すなわち、より多くの全浸潤T細胞が存在する)が、それらのT細胞は、極めて不均一に分布する(すなわち、高いクローン性)ことが確定された。

0096

異なる試験において、非反応者対象のサブセット内で、免疫治療(抗CTLA−4抗体による)が最初に施された後まもなくして、TCRB配列多様性および配列分布エントロピーの両方に低下が見られることがさらに観察されたが、これは、本発明の方法により測定され得る免疫治療に対する反応の差を示している(図8図9)。
2.増幅およびプライマー

0097

本明細書に記載の方法のこれらの、および関連した実施形態によれば、方法は、(1)複数のAIR V断片オリゴヌクレオチドプライマー、および(2)複数のAIR J断片オリゴヌクレオチドプライマーまたは複数のAIR C断片オリゴヌクレオチドプライマーのいずれかを使用した多重PCRにおいて、試料から抽出または生成されたDNAを増幅することを含む。これらのプライマーもまた、Robins et al., 2009 Blood 114, 4099; Robins et al., 2010 Sci. Translat.Med. 2:47ra64、Robins et al., 2011 J. Immunol. Meth. doi:10.1016/j.jim.2011.09.001、Sherwood et al. 2011 Sci. Translat.Med. 3:90ra61、U.S.A.N. 13/217,126、U.S.A.N. 12/794,507、国際公開第WO/2010/151416号、国際公開第WO/2011/106738号(PCT/US2011/026373)、国際公開第WO2012/027503号(PCT/US2011/049012)、U.S.A.N. 61/550,311、およびU.S.A.N. 61/569,118に記載されている。複数のV断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIR V領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各V断片プライマーは、少なくとも1つの機能的AIRコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、複数のV断片プライマーは、試料中に存在する実質的に全ての機能的AIR Vコード遺伝子断片に特異的にハイブリダイズする。複数のJ断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIR J領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各J断片プライマーは、少なくとも1つの機能的AIR Jコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、複数のJ断片プライマーは、試料中に存在する実質的に全ての機能的AIR Jコードまたは遺伝子断片に特異的にハイブリダイズする。さらに、複数のC断片オリゴヌクレオチドプライマーは、それぞれ独立して、哺乳動物AIRC領域ポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズすることができ、各C断片プライマーは、少なくとも1つの機能的AIR Cコード遺伝子断片に相補的である、少なくとも15の連続ヌクレオチドのヌクレオチド配列を含み、複数のC断片プライマーは、試料中に存在する実質的に全ての機能的AIR Cコードまたは遺伝子断片に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、V断片およびJまたはC断片プライマーは、試料中の適応免疫細胞の集団から前記複数の増幅された再配列DNA分子を生成するために、試料中の実質的に全ての再配列されたAIRCDR3コード領域の前記多重ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における増幅を促進することができ、前記複数の増幅された再配列DNA分子は、T細胞の集団におけるAIR CDR3コード領域の多様性を定量するのに十分である。代替として、方法は、単純に、試料中に存在する異なるクローンの絶対的および/または相対的数に関して試料を特性決定するのに十分な、上述の増幅されたDNA配列データの配列分析を含んでもよい。本明細書において使用される場合、機能的AIRコード遺伝子断片は、リンパ系細胞のDNAにおける再配列を受け、また、例えば、好ましい実施形態において偽遺伝子を含む再配列が含まれないように、およびフレーム外または時期尚早に停止されたAIRポリペプチドをもたらす再配列ではないように、生産的に発現するTCRまたはIGコード遺伝子断片を指す。

0098

増幅の方法、配列決定およびプライマーは、本明細書においてさらに詳細に議論される。
3.患者集団の階層化

0099

本明細書において開示されるある特定の関連した実施形態によれば、免疫治療に対する反応の相対的可能性に従い患者集団を階層化するための方法であって、

0100

(a)候補免疫治療受容者である複数の患者のそれぞれからのリンパ系細胞核酸を含有する少なくとも1つの試料(例えば、固形腫瘍試料)において、適応免疫受容体(AIR)ポリペプチドをコードする複数の一意の再配列された核酸配列のそれぞれの核酸配列情報を特定し、それから、各患者における一意の再配列されたAIRポリペプチドコード核酸配列の総数を決定して、対象におけるAIR配列多様性を定量するステップと、

0101

(b)複数の患者のそれぞれにおいて、(a)において特定された各一意の再配列された核酸配列の発生頻度を、観察される再配列されたAIRポリペプチドコード核酸配列の総数のパーセンテージとして定量し、対象におけるAIR配列分布を決定するステップと、

0102

(c)(a)からの患者における一意の再配列された配列の総数に従い、および(b)からの患者における各一意の再配列された配列の発生頻度に従い、複数の患者のそれぞれを格付けし、シャノンエントロピー(各一意の再配列されたAIRの頻度の分布から計算され、一意の再配列されたAIRの数の対数で除すことにより[0〜1]の範囲に正規化される)が高い(すなわち、特異的クローン性増殖をほとんど有さないAIRレパートリーを示す)患者には、より低いクローン性格付けを与え、シャノンエントロピー(各一意の再配列されたAIRの頻度の分布から計算され、一意の再配列されたAIRの数の対数で除すことにより[0〜1]の範囲に正規化される)が低い(すなわち、広範な特異的クローン性増殖を有するAIRレパートリーを示す)患者には、より高いクローン性格付けを与えるステップと、

0103

(d)より低いクローン性格付け(固形腫瘍試料から測定されるように)を有する患者を、より高いクローン性格付けを有する患者よりも低い免疫治療に対する反応の相対的可能性を有するものとして分類し、それにより、免疫治療に対する反応の相対的可能性に従い患者集団を階層化するステップとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの試料は、固形腫瘍試料である。

0104

これらの方法ステップの実践においては、本明細書のいずれかの箇所に記載のものと同様の組成物および方法が使用される。
4.処置を管理するための免疫学的状態の決定

0105

ある特定の他の関連した実施形態によれば、免疫治療を受けている試験対象の処置を管理するために免疫学的状態を決定するための方法であって、

0106

(a)免疫治療前の1つまたは複数の時点のそれぞれにおいて、および免疫治療中またはその後の1つまたは複数の時点のそれぞれにおいて試験対象から得られたリンパ系細胞DNAを含有する1つ以上の試料において、適応免疫受容体(AIR)ポリペプチドをコードする複数の一意の再配列された核酸配列のそれぞれの核酸配列情報を特定し、それから、前記1つまたは複数の時点のそれぞれでの試験対象における一意の再配列されたAIRポリペプチドコード核酸配列の総数を決定して、対象におけるAIR配列多様性を定量するステップと、

0107

(b)1つ以上の試料のそれぞれにおいて、(a)において特定された各一意の再配列された核酸配列の発生頻度を、前記1つまたは複数の時点のそれぞれでの試験対象における一意の再配列されたAIRポリペプチドコード核酸配列の総数のパーセンテージとして定量し、前記1つまたは複数の時点のそれぞれでの対象におけるAIR配列分布を決定するステップと、

0108

(c)(a)において決定された一意の再配列された配列の総数に従い、および(b)において定量された各一意の再配列された配列の発生頻度に従い、1つ以上の試料のそれぞれを格付けし、AIR頻度分布を使用して前記1つまたは複数の時点のそれぞれでの対象における一意のAIR配列の総数を外挿し、試験対象における経時的なAIR配列多様性のプロファイルを得るステップと、(d)外挿された全AIR配列多様性に基づいて、対象に変更された免疫治療工程を割り当てるステップであって、高い外挿された全AIR配列多様性は、対象が健康な免疫状態を有し、感染の除去に成功し得るであろう可能性の増加を示し、低い外挿された全AIR配列多様性は、対象が不健康な免疫状態を有し、感染の除去に成功し得ないであろう可能性の増加を示すステップとを含む方法が提供される。

0109

これらの方法ステップの実践においては、本明細書のいずれかの箇所に記載のものと同様の組成物および方法が使用される。
4.免疫治療および免疫能力

0110

免疫能力は、有益にも、効果的な免疫反応、例えば特定の腫瘍または病原体(例えば、感染性細菌、ウイルス真菌または他の微生物もしくは疾患を引き起こす物質)が根絶または中和されるような、腫瘍または病原体に対する免疫反応を備える個人の適応免疫系の能力または可能性を含むものとして理解され得る。本開示のある特定の実施形態によれば、免疫能力を評価するための方法が記載され、この方法は、個人が免疫治療に対して臨床的に有益な様式で反応する可能性を予測し得る。

0111

したがって、本明細書のいずれかの箇所でも説明されるように、免疫応答性適応免疫系、例えば臨床基準により疾患または免疫障害の存在のいかなるリスクも有さないことが既知である臨床的に健康な正常個人、または個人の集団の免疫応答性適応免疫系は、対象の血液から得られた試料における比較的高程度のAIR配列多様性およびAIR配列分布の高いエントロピーを特徴とする。逆に、非免疫応答性適応免疫系(例えば、免疫反応を備える適応免疫系の比較的低い能力)は、本明細書において、対象の血液から得られた試料における比較的低いAIR配列多様性およびAIR配列分布の低いエントロピーを特徴とすることが示される。AIR配列多様性およびAIR配列分布のエントロピーは、本明細書において、経時的に動的であることが示され、年齢の増加、疾患への感受性の増加、ワクチンもしくは他の免疫治療に対して確実に反応する可能性の低下、および/または他の臨床的に関連する基準と相関して経時的に低下する傾向を有し得る。

0112

いくつかの実施形態において、免疫反応の負の調節因子の阻害剤による免疫治療前または治療後の患者から得られた固形腫瘍試料において、高レベルの浸潤T細胞および高いクローン性は、免疫治療に対する肯定的反応に関連していた。対照的に、固形腫瘍における低レベルの浸潤T細胞および低いクローン性は、処置に対する反応の不全に関連していた。

0113

免疫治療は、適応免疫系の1つ以上の細胞の活性レベル改変される(例えば、統計的に有意な様式で上方調節または下方調節される)様々な介入のいずれをも含み得る。例えば、介入は、好ましい実施形態において抗原特異的免疫反応である適応免疫反応を誘発、動員、向上または別様に強化することを含み得る。ある特定の実施形態において、免疫治療は、適応免疫系細胞を認識してそのような細胞の免疫活性を改変する、1種以上の特異的抗体の投与を含み得る。他の免疫治療アプローチは、直接的または間接的に同様に免疫細胞活性を改変するサイトカイン;腫瘍関連抗原に対して抗原特異的反応等の適応免疫反応を惹起するワクチン;骨髄移植、臍帯血移植、および自家T細胞移植を含む自家造血細胞移植を含む、造血細胞移植(例えば、Blume and Thomas, 2000 Biol. Blood Marrow Transpl.6(1):1−12);適応免疫反応の負の調節因子の阻害剤、例えばCTLA4/CD152の阻害剤(例えば、イピリムマブ,トレメリムマブ;Callahan et al., 2010 Sem.Oncol.37:473)、LAG3/CD223の阻害剤(Huard et al., 1996 Eur.J. Immunol. 26:1180、Baixeras et al., 192 J. Exp. Med. 176:327、Hannier et al., 1998 J. Immunol. 161:4058、Huard et al., 1994 Eur.J. Immunol. 24:3216);ならびに、いくつかの場合において免疫抑制剤を含む他の免疫治療薬剤(例えば、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, (12th Ed., Brunton et al., Eds., McGraw Hill, NY, 2011, pages 909−1099; 1891−1990、Murphy, Janeway’s Immunobiology (8th Ed.),2011 Garland Science, NY, pp. 669−716)の使用を含む。

0114

したがって、ある特定の実施形態において、免疫治療は、免疫治療薬剤、例えば免疫治療抗体、サイトカイン、造血細胞移植、免疫抑制剤、またはワクチンによる処置を含み得る。ある特定の実施形態において、免疫治療は、免疫反応の負の調節因子の阻害剤による処置を含む。免疫反応の負の調節因子は、CTLA4/CD152、LAG3/CD223、およびPD−1/CD279の1つ以上であってもよい。例えば、免疫反応の負の調節因子は、CTLA−4/CD152であってもよく、免疫反応の負の調節因子の阻害剤は、抗CTLA−4抗体、例えばイピリムマブ(例えば、Lyseng−Williamson et al., 2012 Am .J. Clin.Dermatol.13:349、Jeter et al., 2012 Clin.Med. Insights Oncol.6:275、Waitz et al., 2012 Canc. Res.72:430)またはトレメリムマブ(例えば、Callahan et al., 2010 Sem.Oncol.37:473、Ascieto et al. 2011 J. Transl.Med. 9:196、Calabro et al., 2010 Sem.Oncol.37:460、Ribas, 2010 Sem.Oncol.37:450)である。ある特定の実施形態において、免疫反応の負の調節因子は、PD−1/CD279であってもよく、免疫反応の負の調節因子の阻害剤は、抗PD−1抗体である。ある特定の実施形態において、免疫治療は、免疫反応の増強物質を標的化する薬剤による処置を含み得る。免疫反応の増強物質は、41BB/CD137(Kwon et al., 1989 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86:1963)、OX40/CD134(GenBankAcc.No. AJ277151)またはCD40 (Banchereau et al., 1994 Ann.Rev. Immunol. 12:881)であってもよい。

0115

ある特定の他の実施形態において、免疫治療は、炎症経路の阻害剤による炎症状態または自己免疫疾患の処置を含み得る。企図される炎症状態または前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、および若年性特発性関節炎を含む。炎症機構は、広範囲に特性決定されており(例えば、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, (12th Ed., Brunton et al., Eds., McGraw Hill, NY, 2011, pages 909−1099; 1891−1990、Murphy, Janeway’s Immunobiology (8th Ed.),2011 Garland Science, NY)、これらの、および関連した実施形態において、炎症経路は、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)の少なくとも1つを含む。例えば、TNFαを含む炎症経路の場合、TNFαに特異的に結合する炎症経路の阻害剤、例えば抗TNFα抗体(例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ)および人工可溶性TNFα受容体(例えば、エタネルセプト)が知られている。
A. 免疫治療のための例示的標的

0116

免疫調整薬による処置または処置計画の前に患者の適応免疫系の免疫能力(血液における多様性、または固形腫瘍の場合には腫瘍組織におけるクローン性として定義される)を定量する能力は、処置に対する反応を予測し、全生存率に関連する。

0117

免疫カスケードにおいて、がんおよび他の治療領域に対する処置の可能性があるものとして標的化され得る多くの標的が存在する。いくつかは、T細胞の表面上に発現し、免疫反応の負の調節因子であり、いくつかは、抗原提示細胞の表面上に発現し、免疫カスケードを上方調節すると考えられる。以下は、臨床において(抗CTLA、イピリムマブ)、または進行中の臨床試験において使用される、または使用されている免疫治療における例示的標的であり、現在、患者における成功した早期データを報告した後に、複数の製薬業者により使用されている。これらの標的、およびその阻害剤または調節因子は、本明細書に記載の発明の方法に従い、免疫治療または処置対策において使用され得る。

0118

抗CTLA. T細胞の表面上の2つのタンパク質、すなわちCD28および細胞傷害性T−リンパ球抗原4(CTLA−4)は、免疫活性化および耐容性の調節において重要な役割を果たす。CD28は、免疫反応の早期段階において肯定的な調整シグナルを提供し、一方CTLA−4シグナル伝達は、特に強いT細胞反応中に、T細胞活性化を阻害する。抗CTLA−4モノクローナル抗体治療を使用したCTLA−4遮断は、阻害シグナルの抑制が抗腫瘍T細胞反応の生成をもたらすため、非常に魅力的である。臨床および臨床前データの両方が、CTLA−4遮断がCD4+およびCD8+エフェクター細胞の直接的活性化をもたらすことを示しており、抗CTLA−4モノクローナル抗体治療は、多くのがん、特に黒色腫における有望性を示している。Oncologist.2008;13 Suppl 4:2−9. doi: 10.1634/theoncologist.13−S4−2。(i)Yervoy、またはイピリムマブ(Bristol Myers Squibb (BMS))および(ii)トレメリムマブ(Medimmune)の2つの抗CTLA4化合物がある。

0119

PD−1.細胞死1(PD−1)およびそのリガンド、PD−L1およびPD−L2は、T細胞活性化、耐容性、および免疫病理学の間のバランスを調節する阻害シグナルを伝達する。外来および自己抗原に対する免疫反応は、病原体および腫瘍を除去しながらも自己抗原に対する耐容性を維持するために、特定のバランスの取れた反応を必要とする。T細胞耐容性の誘発および維持にはPD−1が必要であり、非造血細胞上のそのリガンドPD−L1は、エフェクターT細胞反応を制限し、免疫媒介組織損傷から組織を保護することができる。PD−1:PD−L経路はまた、微生物および腫瘍により侵害されており、微生物または腫瘍免疫性が減衰され、慢性的感染および腫瘍生存が促進される。PD−L1に対する追加的結合パートナーとしてのB7−1の特定は、PD−L1とB7−1との間の阻害的双方向性相互作用の発見と共に、B7:CD28ファミリーがT細胞活性化および耐容性を調節する新たな様式を明らかにしている。Annu Rev Immunol. 2008;26:677−704. doi: 10.1146/annurev.immunol.26.021607.090331。Merck(MK−3475)、またはラムブロリズマブ;BMS(MBS−936558)、またはニボルマブ;Medimmune(MEDI4736);Glaxo(AMP−224);Genentech(MPDL3280A)の、開発中の少なくとも5つのPD−1化合物が知られている。

0120

4−1BB. TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである4−1BB(CD137)は、活性化誘発性T細胞共刺激分子である。4−1BBを介したシグナル伝達は、生存遺伝子を上方調節し、細胞分裂を促進し、サイトカイン産生を誘発し、T細胞における活性誘発性細胞死を防止する。4−1BB経路の重要性は、がんを含む多くの疾患において強調されている。ますます多くの証拠が、抗4−1BBモノクローナル抗体が強い抗腫瘍特性を有することを示しており、これは一方で、その強力なCD8+T細胞活性化、IFN−γ産生、および細胞溶解マーカー誘発能力の結果である。さらに、抗4−1BBと他の抗がん剤、例えば放射線との併用療法は、非免疫原性または低免疫原性腫瘍に対する確実な腫瘍退行能力を有する。Mol Cancer Ther; 11(5); 1062−70, 2012 AACR。4−1BB化合物の2つの例が、Pfizer(PF−05082566)およびBMS(BMS−663513)により開発されている。

0121

CD40. CD40(CD154)は、抗原提示細胞上に見られる共刺激タンパク質であり、その活性化に必要である。TH細胞上のCD154(CD40L)のCD40への結合は、抗原提示細胞を活性化し、様々な下流効果を誘発する。この遺伝子によりコードされるタンパク質受容体は、TNF−受容体スーパーファミリーのメンバーである。この受容体は、T細胞依存的免疫グロブリンクラス切り替え、記憶B細胞発生、および胚中心形成を含む、多種多様な免疫および炎症反応を媒介する上で不可欠であることが判明している。Entrez Gene:CD40分子、TNF受容体スーパーファミリーメンバー5;En.wikipedia.org/wiki/CD40_(protein)。例示的なCD40化合物は、Seattle Genetics/Genentech(ダセツズマブ)およびNovartis(ルカツムマブ)により開発されたものを含むが、これらに限定されない。

0122

LAG−3. LAG−3(CD223)は、活性化T細胞(Huard et al. Immunogenetics 39:213−217, 1994)、NK細胞(Triebel et al. J Exp Med 171:1393−1405, 1990)、B細胞(Kisielow et al. Eur J Immunol 35:2081−2088, 2005)、および形質細胞様樹状細胞(Workman et al. J Immunol 182:1885−1891, 2009)上に発現し、これらのリンパ球サブセットの機能において重要であるが完全には理解されていない役割を果たす、細胞表面分子である。さらに、LAG−3とその主要なリガンド、クラスIIMHCとの間の相互作用は、樹状細胞機能の調整において役割を果たすと考えられている(Andreae et al. J Immunol 168:3874−3880, 2002)。最近の臨床前試験では、CD8 T細胞枯渇におけるLAG−3の役割が実証されており(Blackburn et al. Nat Immunol 10:29−37, 2009)、LAG−3Ig融合タンパク質を使用したLAG−3/クラスII相互作用の遮断が、がん患者における多くの臨床試験において評価されている。Curr Top Microbiol Immunol. 2011;344:269−78. doi: 10.1007/82_2010_114。LAG−3は、BMS等の企業により、標的として開発されている。

0123

免疫カスケードに沿った標的の幅。免疫調整はまた、(特異的標的に対する)化合物ファミリーにより、免疫グロブリンファミリーまたはTNFファミリーのメンバーに分類され得る。Nature Reviews Drug Discovery 12, 130−146(February 2013)(doi:10.1038/nrd3877)を参照されたい。この分類は、これらの標的が該当し得る、および免疫能力の尺度が等しく関連し得るがん以外の治療カテゴリーの幅を強調するのに有用である。
免疫治療の標的の例示的リスト

0124

Nature Reviews Drug Discovery 12, 130−146(February 2013)(doi:10.1038/nrd3877)。

0125

試料および対象。試験生体試料を得ることができる対象または生物学的源は、ヒトもしくは非ヒト動物、または、トランスジェニックもしくはクローン化もしくは組織工学的に作製された(幹細胞の使用によるものを含む)生物であってもよい。本発明のある特定の好ましい実施形態において、対象または生物学的源は、がんもしくは別の悪性状態、または自己免疫疾患、または炎症状態、または細菌、ウイルス、真菌もしくは他の微生物感染を有することが既知であってもよく、またはそれらを有する、もしくは有するリスクがある疑いがあってもよく、あるいは、対象または生物学的源は、固形臓器移植受容者(例えば、移植肝臓、肺、腎臓、膵臓、腸、心臓、または皮膚の全てまたは一部の受容者)であってもよい。いくつかの実施形態において、対象または生物学的源は、造血細胞移植受容者(例えば、骨髄移植、臍帯血移植、自家T細胞移植等の受容者)であってもよい。本発明のある特定の実施形態において、対象または生物学的源は、そのような疾患のリスクまたは存在を有さないことが既知であってもよい。試験生体試料は、1つまたは複数の時点で、例えば、対象または生物学的源に処置または治療(例えば、免疫治療)を施す前の1つまたは複数の時点で、および対照または生物学的源に処置または治療(例えば、免疫治療)を施している間またはその後の1つまたは複数の時点で、対象または生物学的源から得られてもよい。

0126

ある特定の好ましい実施形態は、ヒト対象である対象または生物学的源、例えば、当該技術分野において認められている臨床診断基準、例えば米国国立がん研究所(Bethesda、MD、USA)の基準、またはDeVita, Hellman, and Rosenberg’s Cancer: Principles and Practice of Oncology (2008, Lippincott, Williams and Wilkins, Philadelphia/ Ovid, New York)、Pizzo and Poplack, Principles and Practice of Pediatric Oncology (Fourth edition, 2001, Lippincott, Williams and Wilkins, Philadelphia/ Ovid, New York)、Vogelstein and Kinzler, The Genetic Basis of Human Cancer (Second edition, 2002, McGraw Hill Professional, New York)、Dancey et al. (2009 Semin.Oncol.36 Suppl.3:S46)に記載のような基準に従い、がんを有する、またはがんを発症もしくは獲得するリスクがあると診断された患者を企図する。ある特定の実施形態は、そのような基準により、がんを有する、発症する、または獲得するリスクを有さないことが既知であるヒト対象を企図する。ある特定の本発明の実施形態に従い企図される悪性状態の例は、黒色腫、肉腫、およびがん腫等の固形腫瘍を含み得る。その他の悪性状態の例は、悪性黒色腫、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、腎細胞がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がんおよび前立腺がんを含み得る。

0127

ある特定の他の実施形態は、非ヒト対象または生物学的源、例えば非ヒト霊長類、例えばマカクチンパンジーゴリラ、ミドリザルオランウータンヒヒ、または他の非ヒト霊長類を企図し、当該技術分野において固形腫瘍および/または他のがんの前臨床モデルを含む前臨床モデルとして知られていてもよいそのような非ヒト対象を含む。ある特定の他の実施形態は、哺乳動物である非ヒト対象、例えばマウスラットウサギブタヒツジウマウシヤギスナネズミハムスターモルモットまたは他の哺乳動物を企図し、多くのそのような哺乳動物は、当該技術分野においてリンパ系造血器悪性腫瘍および/または他のがんを含むある特定の疾患または障害の前臨床モデルとして知られている対象であってもよい(例えば、Li et al., 2011 Dis. Model.Mech.4:311、von Euler et al., 2011 Vet.Comp.Oncol.9:1、Goldstein et al., 2010 Expert Rev. Hematol.3:301、Diamond et al., 2009 J. Bone Min.Res.24:1150、Macor et al., 2008 Curr. Pharm.Des.14:2023、Talmadge et al., 2007 Am. J. Pathol. 170:793、Kerbel, 2003 Canc. Biol. Therap.2(4 Suppl 1):S134、Man et al., 2007 Canc. Met.Rev.26:737、Cespedes et al., 2006 Clin.Transl.Oncol.8:318)。実施形態の範囲は限定されることを意図しないが、対象または生物学的源が、非哺乳動物脊椎動物、例えば、別の高等脊椎動物、もしくは鳥類両生類もしくは爬虫類種、または別の対象もしくは生物学的源であってもよい他の実施形態もまた企図される。

0128

本明細書の別の箇所にも記載されるように、これらの、および他のがんの種類に対して、当該技術分野において認められている臨床診断基準、例えば米国国立がん研究所(Bethesda、MD、USA)により公表されている基準、またはDeVita, Hellman, and Rosenberg’s Cancer: Principles and Practice of Oncology (2008, Lippincott, Williams and Wilkins, Philadelphia/ Ovid, New York)、Pizzo and Poplack, Principles and Practice of Pediatric Oncology (Fourth edition, 2001, Lippincott, Williams and Wilkins, Philadelphia/ Ovid, New York)、およびVogelstein and Kinzler, The Genetic Basis of Human Cancer (Second edition, 2002, McGraw Hill Professional, New York)に記載のような基準が確立されている。特定のがんの分類および特性決定の他の限定されない例は、例えば、Ignatiadis et al. (2008 Pathobiol.75:104); Kunz (2008 Curr.Drug Discov.Technol. 5:9)、およびAuman et al. (2008 Drug Metab.Rev.40:303)に記載されている。

0129

生体試料は、対象または生物学的源から、血液試料、生検標本、固形腫瘍標本等の切除腫瘍標本、組織外植片器官培養物、生体液または任意の他の組織もしくは細胞調製物を得ることにより提供され得る。したがって、B細胞およびT細胞は、生体試料から、例えば、骨髄胸腺リンパ腺、リンパ節、末梢組織および血液を含む様々な組織および生体液試料から、ならびに腫瘍組織(例えば、腫瘍浸潤リンパ球)からも得ることができるが、末梢血が最も容易に利用可能である。任意の末梢組織がBおよびT細胞の存在について採取され得、したがって、本明細書に記載の方法における使用に企図される。適応免疫細胞を得ることができる組織および生体液は、皮膚、上皮組織結腸脾臓粘膜分泌物、口腔粘膜腸粘膜膣粘膜もしくは膣分泌物頸部組織、神経節唾液脳脊髄液CSF)、骨髄、臍帯血血清漿液血漿、リンパ液、尿、腹水胸膜液心膜液、腹膜液、腹腔液、培養培地、調整培養培地、または洗浄液を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、適応免疫細胞(例えば、T細胞およびB細胞等のリンパ系の造血細胞)は、アフェレーシス試料から単離され得る。末梢血試料は、瀉血により対象から得ることができる。末梢血単核球(PBMC)は、当業者に知られている技術により、例えば、Ficoll−Hypaque(登録商標)密度勾配分離により単離される。ある特定の実施形態において、全PBMCが分析に使用される。

0130

ある特定の関連した実施形態において、主にリンパ球(例えば、TおよびB細胞)を含む、または主にT細胞または主にB細胞を含む調製物が、確立された当該技術分野において認められた方法に従って、本明細書において提供されるような生体試料としての使用のために調製されてもよい。他の関連した実施形態において、TまたはB細胞の特定の亜集団が、本明細書に記載の方法を使用した分析前に単離されてもよい。TおよびB細胞の異なる亜集団を単離するための様々な方法および市販のキットは、当該技術分野において知られており、サブセット選択免疫磁性ビーズ分離または様々な既知のTおよびB細胞表面マーカーのいずれかの1つ以上に特異的な抗体を使用したフロー免疫サイトメトリ細胞分類を含むが、これらに限定されない。例示的なマーカーは、CD2、CD3、CD4、CD8、CD14、CD19、CD20、CD25、CD28、CD45RO、CD45RA、CD54、CD62、CD62L、CDw137(41BB)、CD154、GITR、FoxP3、CD54、およびCD28の1つまたは組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えば、当業者に知られているように、CD2、CD3、CD4、CD8、CD14、CD19、CD20、CD45RA、およびCD45RO等の細胞表面マーカーを使用して、T、B、および単球系ならびに亜集団をフローサイトメトリーにおいて決定することができる。同様に、前方光散乱側方散乱、および/または細胞表面マーカー、例えばCD25、CD62L、CD54、CD137、CD154を使用して、細胞の活性状態および機能的特性を決定することができる。

0131

本明細書に記載の方法のいくつかにおいて有用な例示的組み合わせは、CD8+CD45RO+(記憶細胞傷害性T細胞)、CD4+CD45RO+(記憶Tヘルパー)、CD8+CD45RO−(CD8+CD62L+CD45RA+(ナイーブ様細胞毒性T細胞);CD4+CD25+CD62LhiGITR+FoxP3+(調節性T細胞)を含み得る。免疫磁性細胞分離またはフロー免疫サイトメトリー細胞分類における使用のための例示的な抗体は、蛍光標識抗ヒト抗体、例えば、CD4FITC(クローンM−T466、Miltenyi Biotec)、CD8 PE(クローンRPA−T8、BD Biosciences)、CD45RO ECD(クローンUCHL−1、Beckman Coulter)、およびCD45ROAPC(クローンUCHL−1、BD Biosciences)を含む。抗体の適切な組み合わせを用いて全PBMCの染色を行い、続いて細胞を洗浄してから分析を行うことができる。リンパ球サブセットは、蛍光活性化細胞分類FACS)により、例えば、BD FACSARIAIII(登録商標)細胞分類システム(BD Biosciences)により、およびFlowJo(登録商標)ソフトウェア(Treestar Inc.)による結果の分析により、またさらに、表面またはビーズに固定された特異的抗体を含む概念的に同様の方法により単離され得る。

0132

核酸抽出のために、当該技術分野において知られた方法および/または市販のキットを使用して、例えば、QIAamp(登録商標)DNA blood Mini Kit (QIAGEN(登録商標))を使用することにより、全ゲノムDNAを細胞から抽出することができる。単一1倍体ゲノムの近似的質量は、3pgである。好ましくは、少なくとも25,000から250,000の細胞、例えば少なくとも50,000から125,000の細胞、または少なくとも75,000から150,000の細胞、または少なくとも100,000から200,000の細胞、すなわち、2倍体TまたはB細胞からの約0.15から1.5μg、または例えば0.6から1.2μgのDNAが、分析に使用される。急性T細胞リンパ芽球性白血病(T−ALL)等のリンパ系血液悪性腫瘍を有する患者から試料が得られた場合、試料中に存在するTまたはB細胞の数は、顕著に変動し得る。源として正常な健康ヒト成人から得られた末梢血単核細胞(PBMC)を使用すると、T細胞の数は変動し得、全細胞の約30%であると推定され得、B細胞の数は変動し得、PBMC調製物中の全細胞の約5〜15%であると推定され得る。
5.適応免疫受容体(AIR)

0133

天然TCRは、シグナル伝達を媒介するCD3複合体の不変タンパク質と関連する免疫グロブリンスーパーファミリーのヘテロ二量体細胞表面タンパク質である。TCRは、αβおよびγδ形態で存在し、これらは構造的に類似しているが、極めて異なる解剖学的位置およびおそらくは機能を有する。TCRに結合するMHCクラスIおよびクラスIIリガンドはまた、免疫グロブリンスーパーファミリータンパク質であるが、抗原提示特化しており、それらがAPC細胞表面に短鎖ペプチド断片の多様なアレイを提示することを可能とする極めて多形ペプチド結合部位を有する。

0134

天然ヘテロ二量体αβおよびγδ TCRの細胞外部分は、2つのポリペプチからなり、そのそれぞれは、膜近位定常ドメイン、および膜遠位可変ドメインを有する。定常および可変ドメインのそれぞれは、鎖内ジスルフィド結合を含む。可変ドメインは、抗体の相補性決定領域(CDR)に類似した極めて多形のループを含有する。αβ TCRのCDR3は、MHCにより提示されたペプチドと相互作用し、αβ TCRのCDR1および2は、ペプチドおよびMHCと相互作用する。TCR配列の多様性は、結合した可変(V)、多様性(D)、連結(J)、および定常遺伝子の体細胞再配列により生成される。

0135

IgおよびTCR遺伝子座は、多くの異なる可変(V)、多様性(D)、および連結(J)遺伝子断片を含有し、これらは、初期リンパ系分化中の再配列プロセスに供される。IgおよびTCR V、DおよびJ遺伝子断片配列は、当該技術分野において知られており、GENBANK等の公共データベースにおいて利用可能である。

0136

V−D−J再配列は、リコンビナーゼ酵素複合体により媒介され、RAG1およびRAG2タンパク質は、DNAを認識してそれをV遺伝子断片の下流側、D遺伝子断片の両側、およびJ遺伝子断片の上流側に位置する組み換えシグナル配列(RSS)で切断することにより、重要な役割を果たす。不適切なRSSは、再配列を低減またはさらに完全に防止する。組み換えシグナル配列(RSS)は、12+/−1bp(「12−シグナル」)または23+/−1bp(「23−シグナル」)のいずれかのスペーサにより隔てられた、2つの保存配列七量体、5’−CACAGTG−3’、および九量体、5’−ACAAAAACC−3’)からなる。いくつかのヌクレオチド位置が、七量体の1位および2位のCAジヌクレオチドを含む組み換えに重要であると特定されており、七量体の3位のCはまた、九量体の5位、6位、7位のAヌクレオチドと共に極めて好ましいことが示されている。(Ramsden et al. 1994 Nucl.Ac.Res.22:1785、Akamatsu et al. 1994 J. Immunol. 153:4520、Hesse et al. 1989 Genes Dev. 3:1053)。他のヌクレオチドの突然変異は、最小限または一貫性のない効果を有する。より変動性ではあるが、スペーサもまた組み換えに影響し、単一ヌクレオチド置換は、組み換え効率に大きく影響することが示されている(Fanning et al. 1996 Cell.Immunol. Immumnopath.79:1, Larijani et al.1999 Nucl.Ac.Res.27:2304、Nadel et al.1998 J. Immunol. 161:6068、Nadel et al., 1998 J. Exp. Med. 187:1495)。大きく異なる組み換え効率を有するRSSポリヌクレオチド配列を特定するための基準が説明されている(Ramsden et al. 1994 Nucl.Ac.Res.22:1785、Akamatsu et al. 1994 J. Immunol. 153:4520、Hesse et. al. 1989 Genes Dev. 3:1053、およびLee et al., 2003PLoS 1(1):E1)。

0137

再配列プロセスは、一般に、Ig重鎖(IgH)、TCRベータ(TCRB)、およびTCRデルタ(TCRD)遺伝子の場合、DからJの再配列から開始してVからD−Jの再配列が続き、またIgカッパ(IgK)、Igラムダ(IgL)、TCRアルファ(TCRA)、およびTCRガンマ(TCRG)遺伝子の場合、直接的なVからJの再配列が関連する。再配列遺伝子断片の間の配列は、一般に、TCR切断円(TREC)またはB細胞受容体切断円(BREC)とも呼ばれる円形切断産物の形態で削除される。

0138

V、D、およびJ遺伝子断片の多くの異なる組合せが、いわゆるコンビナトリアルレパートリーを表し、これは、Ig分子の場合約2×106、TCRαβの場合約3×106、およびTCRγδ分子の場合約5×103であると推定される。V、D、およびJ遺伝子断片の連結部位において、ヌクレオチドの削除およびランダム挿入が再配列プロセス中に生じ、極めて多様性の連結領域をもたらし、これは、>1012であると推定されるIgおよびTCR分子の全レパートリーに大きく寄与する。

0139

成熟Bリンパ球は、Ig分子の親和性成熟をもたらすプロセスである体細胞超変異を介して、濾胞中心において抗原認識後にそのIgレパートリーをさらに拡張する。体細胞超変異プロセスは、IgHおよびIg軽鎖遺伝子のV−(D−)Jエクソンに集中し、単一ヌクレオチド突然変異に、時にはまたヌクレオチドの挿入または削除に関連する。体細胞突然変異Ig遺伝子はまた、濾胞または濾胞後の源の成熟B細胞悪性腫瘍において見出される。
6.増幅プライマーおよび多重PCR

0140

本明細書に記載のある特定の好ましい実施形態において、V断片およびJ断片プライマーは、試験生体試料における再配列されたTCRまたはIgCDR3コードDNA領域を増幅するために、PCR反応において使用され得、各機能的TCRまたはIg Vコード遺伝子断片は、V遺伝子組み換えシグナル配列(RSS)を含み、各機能的TCRまたはIg Jコード遺伝子断片は、J遺伝子RSSを含む。これらの、および関連した実施形態において、各増幅された再配列DNA分子は、(i)少なくとも約10、20、30もしくは40の連続ヌクレオチドのTCRもしくはIg Vコード遺伝子断片のセンス鎖を含んでもよく、少なくとも約10、20、30もしくは40の連続ヌクレオチドは、V遺伝子RSSに対して5’に位置し、および/または、各増幅された再配列DNA分子は、(ii)少なくとも約10、20または30の連続ヌクレオチドのTCRもしくはIg Jコード遺伝子断片のセンス鎖を含んでもよく、少なくとも約10、20または30の連続ヌクレオチドは、J遺伝子RSSに対して3’に位置する。ある特定の好ましい実施形態において、各増幅されたTCRまたはIg CDR3コード領域は、600ヌクレオチド未満の長さの増幅された再配列DNA分子内に存在する。理論に束縛されることを望まないが、CDR3コードV−J連結領域を増幅するためのこれらの設計機能は、実質的に全ての機能的TCRまたはIg Vコード遺伝子断片に対するV断片プライマーハイブリダイゼーションを可能とし、また、実質的に全ての機能的TCRまたはIg Jコード断片へのJ断片プライマーハイブリダイゼーションを可能とし、また、本明細書に記載のハイスループット配列決定(HTS)プラットフォームによる配列決定に適したCDR3コード領域の増幅を可能とする一方で、全ての可能なV−D−JおよびV−Jの組み合わせを特定するための十分な配列情報を含む。
7.多重定量PCR

0141

本明細書に記載のように、およびRobins et al., 2009 Blood 114, 4099、Robins et al., 2010 Sci. Translat.Med. 2:47ra64、Robins et al., 2011 J. Immunol. Meth. doi:10.1016/j.jim.2011.09.001、Sherwood et al. 2011 Sci. Translat.Med. 3:90ra61、U.S.A.N. 13/217,126、U.S.A.N. 12/794,507、国際公開第WO/2010/151416号、国際公開第WO/2011/106738号(PCT/US2011/026373)、国際公開第WO2012/027503号(PCT/US2011/049012)、U.S.A.N. 61/550,311、およびU.S.A.N. 61/569,118を考慮して、ある特定の好ましい実施形態によれば、本発明は、V断片に特異的にハイブリダイズする順方向プライマーのセット、およびJ断片に特異的にハイブリダイズする逆方向プライマーのセットを使用した多重PCR法を含み、多重PCR反応は、TまたはB細胞の所与の集団内の全ての可能なVJ(およびVDJ)の組み合わせの増幅を可能とする。

0142

DNAまたはRNAは、当該技術分野における標準的方法または市販のキットを使用して、血液もしくはリンパ液の試料、またはリンパ系細胞を含有することが既知である対象からの他の試料等の試料中の細胞から抽出されてもよい。いくつかの実施形態において、ゲノムDNAが使用される。他の実施形態において、cDNAは、細胞から得られたmRNAから転写され、次いで多重PCRに使用される。

0143

多重PCRシステムは、ゲノムDNAから、好ましくはCDR3領域から再配列された適応免疫細胞受容体遺伝子座を増幅するために使用され得る。ある特定の実施形態において、CDR3領域は、TCRα、TCRβ、TCRγもしくはTCRδ CDR3領域から、または同様にIgHもしくはIgL(ラムダもしくはカッパ)遺伝子座から増幅される。試料中のT細胞(TCRの場合)またはB細胞(Igの場合)の集団から複数の増幅された再配列DNA分子を生成するために、そのような受容体の所与のクラス(例えば、TCRγ、TCRβ、IgH等)に関して、試料中の実質的に全ての生産的に再配列された適応免疫受容体CDR3コード領域の多重ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において増幅を促進することができる複数のV断片およびJ断片プライマーを含む組成物が提供される。好ましくは、ある特定の実施形態において、プライマーは、複数の増幅された再配列DNA分子における各増幅された再配列DNA分子が600ヌクレオチド未満の長さであり、それにより非再配列適応免疫受容体遺伝子座から増幅生成物を除外するように設計される。

0144

ヒトゲノムにおいて、現在、約70のTCR Vαおよび約61のJα遺伝子断片、約52のTCR Vβ、約2のDβおよび約13のJβ遺伝子断片、約9のTCR Vγおよび約5のJγ遺伝子断片、ならびに約46の免疫グロブリン重鎖(IGH)VH、約23のDHおよび約6のJH遺伝子断片があると考えられている。したがって、これらの遺伝子座のゲノム配列が、それらのそれぞれの特異的分子プローブが容易に生成され得るように知られている場合、限定されない理論に従い、本発明の組成物および方法は、これらの既知の容易に検出可能な適応免疫受容体V、DおよびJ領域コード遺伝子断片の実質的に全て(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)に関連すると考えられる。

0145

TCRおよびIg遺伝子は、体細胞突然変異を介して何百万もの異なるタンパク質を生成し得る。この多様性生成機構のために、これらの遺伝子の超可変相補性決定領域(CDR)は、数百万ものリガンドと相互作用し得る配列をコードすることができ、これらの領域は、タンパク質の同種リガンドの結合を示すシグナルを細胞に伝達し得る定常領域に結合する。適応免疫系は、多くの潜在的病原体を認識するための十分な多様性を有するT細胞およびB細胞抗原受容体のレパートリーを生成するために、いくつかの戦略を使用する。MHC分子により提示されるペプチド抗原を主に認識するαβおよびγδ T細胞において、この受容体多様性のほとんどは、T細胞受容体(TCR)αおよびβ鎖(またはγおよびδ鎖)の第3の相補性決定領域(CDR3)内に含有される。

0146

アッセイ技術は、高度多重PCR反応を提供するために、プライマーの2つのプールを使用する。まず、「順方向」プール(例えば、限定ではなく例示として、本明細書に記載のV断片オリゴヌクレオチドプライマーは、ある特定の好ましい実施形態において、一般的に使用されるPCR用語に従い、J断片オリゴヌクレオチドプライマーが「逆方向」プライマーとして使用される場合、「順方向」プライマーとして使用され得るが、当業者には、ある特定の他の実施形態において、J断片プライマーが、V断片「逆方向」プライマーと共に使用される場合、「順方向」プライマーとみなされ得ることが理解される)は、それぞれのTCRまたはIg遺伝子座における各V領域コード断片(「V断片」)に特異的である(例えば、その一意の配列領域に相補的なヌクレオチド配列を有する)オリゴヌクレオチドプライマーを含む。ある特定の実施形態において、多くのV断片を同時に捕捉し、それにより多重PCRにおいて必要とされるプライマーの数を低減するために、高度に保存された領域を標的化するプライマーが使用される。同様に、ある特定の実施形態において、「逆方向」プールプライマーは、連結(「J」)断片における保存配列にアニールする。

0147

各プライマーは、ヒトゲノムデータベースにおける既知のJ領域コード遺伝子断片の中での配列差に基づいて各J断片を一義的に特定するために、またさらにJ断片特異的プライマーが再配列決定のためにアニールし得る配列部分を含むために、十分な長さの配列部分を含むそれぞれの増幅されたDNA断片が得られるように設計され得る。VおよびJ断片特異的プライマーのこの設計は、個人における適応免疫受容体遺伝子レパートリーに存在する体細胞再配列の大部分の直接的観察を可能にする。この特徴は、一方で、(i)関心ある特定の疾患、障害、状態または他の兆候(例えば、がん、自己免疫疾患、炎症性障害または他の状態)を有する個人におけるTCRおよび/またはIgレパートリーの、(ii)そのような疾患、障害状態または兆候を有さない対照対象のTCRおよび/またはIgレパートリーとの迅速な比較を可能とする。

0148

いくつかの実施形態において、本明細書において使用される場合、「遺伝子」という用語は、TCRまたはIgポリペプチド(例えば、CDR3含有ポリペプチド)の全てまたは一部等のポリペプチド鎖の生成に関与するDNAの断片を指し、コード領域「リーダーおよびトレーラー」の前および後の領域、ならびに、個々のコード断片(エクソン)の間の介在配列イントロン)を含み、また調節要素(例えば、プロモーターエンハンサーリプレッサー結合部位等)を含んでもよく、また本明細書に記載のような組み換えシグナル配列(RSS)を含んでもよい。

0149

本明細書においてポリヌクレオチドとも呼ばれ、またオリゴヌクレオチドを含む本実施形態の核酸は、RNAの形態またはDNAの形態であってもよく、このDNAはcDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含む。DNAは、二本鎖または一本鎖であってもよく、一本鎖である場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であってもよい。本実施形態による使用のためのTCRまたは免疫グロブリンまたはその領域(例えば、V領域、D断片、J領域、C領域等)をコードするコード配列は、任意の所与のTCRまたは免疫グロブリン遺伝子領域またはポリペプチドドメイン(例えば、V領域ドメイン、CDR3ドメイン等)の当該技術分野において知られたコード配列と同一であってもよく、または、遺伝子コード冗長性または縮重の結果、同じTCRまたは免疫グロブリン領域またはポリペプチドをコードする、異なるコード配列であってもよい。

0150

一実施形態において、本開示は、複数のV断片プライマーおよび複数のJ断片プライマーを提供し、複数のV断片プライマーおよび複数のJ断片プライマーは、再配列された免疫受容体遺伝子座のVおよびJ断片の実質的に全ての組み合わせを増幅する。いくつかの実施形態において、方法は、リンパ系細胞における再配列されたAIR配列の実質的に全ての増幅を提供し、試料中の少なくとも106、105、104、または103の一意の再配列されたAIR配列のTCRまたはIGレパートリーの多様性を定量することができる。「実質的に全ての組み合わせ」は、再配列された免疫受容体遺伝子座のVおよびJ断片の全ての組み合わせの少なくとも95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上を指す。ある特定の実施形態において、複数のV断片プライマーおよび複数のJ断片プライマーは、再配列された免疫受容体遺伝子座のVおよびJ断片の組み合わせの全てを増幅する。

0151

一般に、多重PCRシステムは、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25の、またある特定の実施形態において、少なくとも26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、または39の、また他の実施形態において、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、65、70、75、80、85、またはそれ以上の順方向プライマーを使用することができ、各順方向プライマーは、1つ以上のV領域セグメントに対応する配列に特異的にハイブリダイズする、またはそれと相補的である。また、多重PCRシステムは、少なくとも3、4、5、6、または7の、またある特定の実施形態において、8、9、10、11、12または13の逆方向プライマーを使用し、各逆方向プライマーは、1つ以上のJ領域断片に対応する配列に特異的にハイブリダイズする、またはそれと相補的である。レパートリーにおけるTCRおよびIG配列の完全多様性を増幅するために、VおよびJ断片プライマーの様々な組み合わせを使用することができる。TCRおよびIG配列の増幅のためのプライマーオリゴヌクレオチド配列を含む、多重PCRシステムに関する詳細については、例えば、それぞれ参照によりその全体が組み込まれる、Robins et al., 2009 Blood 114, 4099、Robins et al., 2010 Sci. Translat.Med. 2:47ra64、Robins et al., 2011 J. Immunol. Meth. doi:10.1016/j.jim.2011.09.001、Sherwood et al. 2011 Sci. Translat.Med. 3:90ra61、U.S.A.N. 13/217,126、U.S.A.N. 12/794,507、国際公開第WO/2010/151416号、国際公開第WO/2011/106738号(PCT/US2011/026373)、国際公開第WO2012/027503号(PCT/US2011/049012)、U.S.A.N. 61/550,311、およびU.S.A.N. 61/569,118に記載されている。

0152

ヌクレオチド塩基相補性により標的核酸に特異的にハイブリダイズまたはアニールすることができるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、中程度から高いストリンジェンシー条件下でそれを行うことができる。例示を目的として、標的核酸配列の特異的PCR増幅のための好適な中程度から高いストリンジェンシー条件は、25から80PCRサイクルの間であり、各サイクルは、変性ステップ(例えば、約95℃超で約10〜30秒(s)、アニールステップ(例えば、約60〜68℃で約10〜30s)、および伸長ステップ(例えば、約60〜72℃で約10〜60s)からなり、任意選択で、ある特定の実施形態によれば、アニールおよび伸長ステップは、2ステップPCRを提供するために組み合わされる。当業者により認識されるように、プライマーのアニールおよび増幅の特異性を増加させるために、PCR反応において他のPCR試薬を添加する、または変更する、例えばマグネシウム濃度を改変する、任意選択でDMSOを添加する、および/または、ブロックされたプライマー、修飾されたヌクレオチド、ペプチド−核酸等を使用することができる。

0153

ある特定の実施形態において、核酸ハイブリダイゼーション技術を使用して、本明細書に記載のプライマーのハイブリダイゼーション特異性を評価することができる。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の技術分野において周知である。例示を目的として、本明細書に記載のようなポリヌクレオチドの他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するための好適な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mMEDTA(pH8.0)の溶液中での事前洗浄、5×SSCによる50℃〜60℃で一晩のハイブリダイゼーション、続いて、0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれによる65℃で20分間の2回の洗浄を含む。当業者には、例えばハイブリダイゼーション溶液の塩含量、および/またはハイブリダイゼーションが行われる温度を改変することにより、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが容易に操作され得ることが理解される。例えば、別の実施形態において、好適な高ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、上述のものを含むが、但し、ハイブリダイゼーションの温度は、例えば、60℃〜65℃、または65℃〜70℃に増加される。

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