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技術 ミニプロモーターカセットを含むレトロウイルスベクター

出願人 トカジェンインコーポレーテッド
発明者 グリューバー,ハリーイー.ジョリー,ダグラスジェイ.リン,エイミーエイチ.ログ,クリストファーアール.カサハラ,ノリユキ
出願日 2013年10月24日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-539817
公開日 2015年11月26日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2015-533510
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 突然変異または遺伝子工学 酵素・酵素の調製 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 動物,微生物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 侵入領域 合成コア 内コア 設計技法 コアエレメント 処置プロセス デザインツール 学問的
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年11月26日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

本開示は、発現される遺伝子に連結した少なくとも一つのミニプロモーターを含む治療カセットを含む、遺伝子送達のためのレトロウイルス複製ベクターを提供する。

概要

背景

遺伝子及び異種核酸細胞及び被験者送達する有効な方法の開発は、疾患及び障害の可能性のある治療目標になっている。

複製レトロウイルスベクター(RRV、複製コンピテントレトロウイルスとしても公知である)は、動物モデルにおいて腫瘍に選択的に感染させるために使用されており(Wangら、Hum. Gene. Ther.、14:117-127、2003、Taiら、Mol Ther、12:842-851、2005)、その場合、腫瘍じゅうで複製が起こる。導入遺伝子発現させるための従来の戦略は、IRES成分を使用して内部リボソーム結合部位からの内部翻訳開始を促すことであった。サイズが限られたベクターでは、IRES成分が約600bpであり、コード配列のために残るのは約900bpである。ベクターに内部IRES配列から発現されるシトシンデアミナーゼ又はプリンヌクレオチドホスホリラーゼなどのプロドラッグ活性化遺伝子が備わっている場合、その後のプロドラッグ(例えば、in situでシトシンデアミナーゼによって抗がん薬である5-フルオロウラシルに変換される5-フルオロシトシン(Taiら、Mol Ther.、12:117-127、2005、Ostertagら、Neuro Oncol.、2012))を用いた治療により、腫瘍を排除すること又は腫瘍の成長/拡散阻害することができる。そのようなベクターは、現在、原発性がんに対する診療所での実験的な治療の段階にある(ワールドワイドウェブclinicaltrials.gov,NCT01156584を参照されたい)。しかし、そのようなRRVの遺伝学的安定性は、総挿入断片サイズが約1.5kbを超えると有意に低下し、したがって、いくつもの潜在的に有用な遺伝子又は遺伝子の組合せが、容易且つ信頼できる治療的使用のために十分に安定であることが保証されない。特定の例は、ガンシクロビルアシクロビルバラシクロビル(ValtrexTM)又は他の類似体などの一般的な抗ヘルペス薬をin situでリン酸化によって活性化し、細胞死を導くことができる、ヘルペスチミジンキナーゼ(HSVtk)(配列番号35)由来の一般に使用されるプロドラッグ活性化遺伝子である。HSVtk遺伝子は、わずか1.1kbほどのコード配列を有し、いくつかの発現構築物において使用されるIRESと組み合わせると、約1.6kbを超える挿入断片になる。このサイズは、臨床使用するためには十分に安定ではない。別の例は、シトシンアミン遺伝子(配列番号1又は3)とUPRT遺伝子(配列番号7)又はOPRT遺伝子の組合せであり(WO2010036986、Perezら、Mol. Ther.、2005)、これらの融合遺伝子は約1200bpである。IRESと組み合わせると、サイズは約1.8kbを超え、欠失が起こる前の発現は十分であったが、望ましくない不安定性が示された。

Loggら(PNAS、105(12):4733-4738、2008)は、RRVに組み入れ異種遺伝子のサイズを改善するために種々のより短い配列のIRES構築物を試したが、その成功は限られていた。詳細には、Loggらにより、発現は達成されたが、小さいIRESがスプライシングドナー/アクセプター役割を有するという性質のために安定性が低下することが実証された。

概要

本開示は、発現される遺伝子に連結した少なくとも一つのミニプロモーターを含む治療カセットを含む、遺伝子送達のためのレトロウイルス複製ベクターを提供する。A

目的

WO2010036986




Wangら、Hum. Gene. Ther.、14:117-127、2003、
Taiら、Mol Ther、12:842-851、2005
Ostertagら、Neuro Oncol.、2012
Perezら、Mol. Ther.、2005
Loggら、PNAS、105(12):4733-4738、2008






本開示は、複製ベクター中の総サイズが約0.9kbを超える1種の遺伝子又は複数の遺伝子のin vivoにおける安定発現を可能にする方法及び組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

組換え複製コンピテントガンマレトロウイルス(RRV)であって、レトロウイルスGAGタンパク質;レトロウイルスPOLタンパク質;レトロウイルスエンベロープ(ENV);レトロウイルスポリヌクレオチドであって、レトロウイルスポリヌクレオチド配列の3'末端に長末端反復(LTR)配列、レトロウイルスポリヌクレオチドの5'末端に哺乳動物細胞における発現に適しているプロモーター配列、gag核酸ドメイン、pol核酸ドメイン及びenv核酸ドメインを含む前記レトロウイルスポリヌクレオチド;異種ポリヌクレオチドに機能可能に連結したミニプロモーターを有する少なくとも一つのミニプロモーターカセットを含む治療カセットであって、該治療カセットは3'LTRに対して5'側且つレトロウイルスエンベロープをコードするenv核酸ドメインに対して3'側に位置し、一つのミニプロモーターカセットのみが存在する場合、該異種ポリヌクレオチドが1.2〜2.0kbの長さである、前記治療カセット;並びに標的細胞における逆転写パッケージング及び組み込みのために必要なシス作用性配列を含む、前記組換え複製コンピテントガンマレトロウイルス。

請求項2

組換え複製レトロウイルスベクターであって、レトロウイルスGAGタンパク質;レトロウイルスPOLタンパク質;レトロウイルスエンベロープ(ENV);レトロウイルスポリヌクレオチドであって、レトロウイルスポリヌクレオチド配列の3'末端に長末端反復(LTR)配列、レトロウイルスポリヌクレオチドの5'末端に哺乳動物の細胞における発現に適しているプロモーター配列、gag核酸ドメイン、pol核酸ドメイン及びenv核酸ドメインを含む前記レトロウイルスポリヌクレオチド;異種ポリヌクレオチドに機能可能に連結したミニプロモーターを含むミニプロモーターカセットを含む治療カセットであって、該ミニプロモーターカセットは3'LTRに対して5'側且つレトロウイルスエンベロープをコードするenv核酸ドメインに対して3'側に位置し、該ミニプロモーターがSCP1、Ad又はCMVコアプロモーター欠く、前記治療カセット;並びに標的細胞における逆転写、パッケージング及び組み込みのために必要なシス作用性配列を含む、前記組換え複製レトロウイルスベクター。

請求項3

レトロウイルスポリヌクレオチド配列が、マウス白血病ウイルス(MLV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ヒヒ内在性レトロウイルス(BEV)、ブタ内在性ウイルス(PERV)、ネコ由来レトロウイルスRD114、リスザルレトロウイルス、トリ細網内皮症ウイルス(REV)、及びテナガザル白血病ウイルス(GALV)からなる群から選択されるウイルスに由来する、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項4

レトロウイルスエンベロープが、広宿主性MLVエンベロープである、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項5

標的細胞が、細胞増殖性疾患を有する細胞である、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項6

標的細胞が、新生細胞である、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項7

細胞増殖性疾患が、肺がん結腸直腸がん乳がん前立腺がん尿路がん子宮がん、脳がん、頭頸部がん膵がん黒色腫胃がん及び卵巣がんリンパ腫白血病関節リウマチ及び他の自己免疫疾患からなる群から選択から選択される、請求項5に記載のレトロウイルス。

請求項8

プロモーター配列が、成長調節遺伝子に関連する、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項9

プロモーター配列が、組織特異的プロモーター配列を含む、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項10

組織特異的プロモーター配列が、少なくとも一つのアンドロゲン応答エレメント(ARE)を含む、請求項9に記載のレトロウイルス。

請求項11

組織特異的プロモーター配列が、少なくとも一つのグルココルチコイド応答エレメントを含む、請求項9に記載のレトロウイルス。

請求項12

プロモーターが、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドを含む、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項13

CMV-R-U5ドメインが、MLV R-U5領域に連結したヒトサイトメガロウイルス由来の最初期プロモーターを含む、請求項12に記載のレトロウイルス。

請求項14

gagポリヌクレオチドが、ガンマレトロウイルスに由来する、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項15

ポリヌクレオチドのpolドメインが、ガンマレトロウイルスに由来する、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項16

ミニプロモーターが、コアプロモーターである、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項17

ミニプロモーターが、最適化されたコアプロモーターである、請求項1、2又は16に記載のレトロウイルス。

請求項18

治療カセットが、(a)少なくとも二つのミニプロモーターカセット、(b)少なくとも一つのミニプロモーターカセット及びpol IIIプロモーターカセット、又は(c)少なくとも一つのミニプロモーターカセット及びIRESカセットを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のレトロウイルス。

請求項19

ミニプロモーターが、約70〜500bpの長さである、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項20

ミニプロモーターが、コアプロモーター及びさらにエンハンサーエレメントを含む、請求項1、2又は19に記載のレトロウイルス。

請求項21

ミニプロモーターが、TATAボックス、及び開始部位モチーフ10エレメント(MTE)、下流プロモーターエレメントDPE)、並びに(a)上流TFIIB認識エレメント(BREu);(b)下流TFIIB認識エレメント(BREd);(c)HBVXコアプロモーターエレメント1(XCPE1);(d)HBV Xコアプロモーターエレメント2(XCPE2);(d)下流コアエレメントサイトI(CDE SI);(e)下流コアエレメントサイトII(CDE SII);及び(f)下流コアエレメントサイトIII(CDE SIII)からなる群から選択される少なくとも一つのさらなるエレメントを含む、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項22

ミニプロモーターが、エンハンサーエレメントをさらに含む、請求項21に記載のレトロウイルス。

請求項23

異種核酸が、配列番号3、5、11、13、15又は17に記載の配列を有するポリヌクレオチドを含む、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項24

異種核酸が、配列番号4に記載の配列を含むポリペプチドをコードする、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項25

異種核酸がヒトコドン最適化されており、配列番号4に記載のポリペプチドをコードする、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項26

3'LTRが、ガンマレトロウイルスに由来する、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項27

3'LTRが、U3-R-U5ドメインを含む、請求項26に記載のレトロウイルス。

請求項28

異種核酸配列が、生物学的応答修飾物質、又は免疫賦活サイトカインをコードする、請求項1に記載のレトロウイルス。

請求項29

免疫賦活サイトカインが、インターロイキン1〜15、インターフェロン腫瘍壊死因子(TNF)、及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GM-CSF)からなる群から選択される、請求項28に記載のレトロウイルス。

請求項30

免疫賦活サイトカインが、インターフェロンガンマである、請求項28に記載のレトロウイルス。

請求項31

異種核酸が、非毒性のプロドラッグを毒性の薬剤に変換するポリペプチドをコードする、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項32

非毒性のプロドラッグを毒性の薬剤に変換するポリペプチドが、チミジンキナーゼプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、又はシトシンデアミナーゼである、請求項31に記載のレトロウイルス。

請求項33

異種核酸配列が、レセプタードメイン、抗体、又は抗体断片をコードする、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項34

異種核酸配列が、阻害性ポリヌクレオチドを含む、請求項1又は2に記載のレトロウイルス。

請求項35

阻害性ポリヌクレオチドが、miRNA、RNAi、又はsiRNA配列を含む、請求項34に記載のレトロウイルス。

請求項36

治療カセットが、異種核酸に機能可能に連結したミニプロモーター、及びmiRNA、RNAi、又はsiRNAコードドメインに機能可能に連結したpol IIIプロモーターを含む、請求項35に記載のレトロウイルス。

請求項37

請求項1又は2に記載のレトロウイルスを生産するための、組換えレトロウイルスポリヌクレオチドゲノム

請求項38

請求項1〜37のいずれか一項に記載のレトロウイルスを被験者に接触させることを含む、被験者への治療分子送達方法。

請求項39

シトシンデアミナーゼポリヌクレオチドが発現される条件で、請求項23に記載のレトロウイルスを被験者に接触させること、及び5−フルオロシトシンを被験者に接触させることを含む、細胞増殖性疾患の治療方法

請求項40

細胞増殖性疾患が、多形神経膠芽腫である、請求項39に記載の方法。

請求項41

細胞増殖性疾患が、肺がん、結腸直腸がん、乳がん、前立腺がん、尿路がん、子宮がん、脳がん、頭頸部がん、膵がん、黒色腫、胃がん及び卵巣がんからなる群から選択から選択される、請求項39に記載の方法。

請求項42

請求項1に記載のレトロウイルスを被験者に接触させることを含む、被験者における細胞増殖性疾患の治療方法であって、前記異種核酸配列が、新生細胞の細胞増殖阻害する治療タンパク質をコードする、前記方法。

請求項43

治療タンパク質が、非毒性の薬剤を毒性の薬剤に変換するポリペプチドを含む、請求項42に記載の方法。

請求項44

ポリペプチドが、シトシンデアミナーゼ活性を有する、請求項43に記載の方法。

請求項45

ポリペプチドが、配列番号4、12、14、16、又は18に記載の配列を含む、請求項44に記載の方法。

請求項46

非毒性の薬剤が、5−フルオロシトシンである、請求項43に記載の方法。

請求項47

レトロウイルスが疾患を有する細胞に感染する条件で、請求項1又は2記載のレトロウイルスを、細胞増殖性疾患を有する被験者に投与すること、及び抗癌剤又は化学療法剤を被験者に接触させることを含む、細胞増殖性疾患の治療方法。

請求項48

抗癌剤が、ベバシズマブ、ペガプタニブラニビズマブソラフェニブスニチニブAE-941、VEGF Trap、パゾパニブバンデタニブバタラニブ、セジラニブ、フェンレチニドスクアラミン、INGN-241、経口テトラチオモリブデート、テトラチオモリブデート、PanzemNCD、2-メトキシエストラジオール、AEE-788、AG-013958、ベバシラニブナトリウム、AMG-706、アクシチニブ、BIBF-1120、CDP-791、CP-547632、PI-88、SU-14813、SU-6668、XL-647、XL-999、IMC-1121B、ABT-869、BAY-57-9352、BAY-73-4506、BMS-582664、CEP-7055、CHIR-265、CT-322、CX-3542、E-7080、ENMD-1198、OSI-930、PTC-299、Sirna-027、TKI-258、ベグリン、XL-184及びZK-304709からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。

請求項49

レトロウイルスが、約103〜107TU/脳重量gで投与される、請求項47に記載の方法。

請求項50

レトロウイルスが、約104〜106TU/脳重量gで投与される、請求項49に記載の方法。

請求項51

組換えレトロウイルス複製ベクター(RRV)であって、レトロウイルスGAGタンパク質;レトロウイルスPOLタンパク質;レトロウイルスエンベロープ;レトロウイルスポリヌクレオチドであって、レトロウイルスポリヌクレオチド配列の3'末端に長末端反復(LTR)配列、レトロウイルスポリヌクレオチドの5'末端に哺乳動物の細胞における発現に適しているプロモーター配列、gag核酸ドメイン、pol核酸ドメイン及びenv核酸ドメインを含む前記レトロウイルスポリヌクレオチド;異種ポリヌクレオチドに機能可能に連結したミニプロモーターカセットを含む治療カセット、miRNA又はsiRNA配列の一次前駆体miRNA(pri-miRNA)に連結したPOL IIIプロモーターを含むmiRNAカセット;標的細胞における逆転写、パッケージング及び組み込みのために必要なシス作用性配列を含む、組換えレトロウイルス複製ベクター。

請求項52

miRNAが、miR-142-3p、miR-181、miR-223、miR 128-1及びmiR 128-2からなる群から選択される、請求項51に記載のRRV。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2012年10月25日出願の米国仮出願第61/718,610号の優先権を主張する。

0002

本開示は、細胞増殖性治療するためのレトロウイルス複製ベクター(RRV)に関する。本開示は、さらに、異種核酸送達発現させるための、そのようなレトロウイルス複製ベクターの使用に関する。

背景技術

0003

遺伝子及び異種核酸を細胞及び被験者に送達する有効な方法の開発は、疾患及び障害の可能性のある治療の目標になっている。

0004

複製レトロウイルスベクター(RRV、複製コンピテントレトロウイルスとしても公知である)は、動物モデルにおいて腫瘍に選択的に感染させるために使用されており(Wangら、Hum. Gene. Ther.、14:117-127、2003、Taiら、Mol Ther、12:842-851、2005)、その場合、腫瘍じゅうで複製が起こる。導入遺伝子を発現させるための従来の戦略は、IRES成分を使用して内部リボソーム結合部位からの内部翻訳開始を促すことであった。サイズが限られたベクターでは、IRES成分が約600bpであり、コード配列のために残るのは約900bpである。ベクターに内部IRES配列から発現されるシトシンデアミナーゼ又はプリンヌクレオチドホスホリラーゼなどのプロドラッグ活性化遺伝子が備わっている場合、その後のプロドラッグ(例えば、in situでシトシンデアミナーゼによって抗がん薬である5-フルオロウラシルに変換される5-フルオロシトシン(Taiら、Mol Ther.、12:117-127、2005、Ostertagら、Neuro Oncol.、2012))を用いた治療により、腫瘍を排除すること又は腫瘍の成長/拡散阻害することができる。そのようなベクターは、現在、原発性がんに対する診療所での実験的な治療の段階にある(ワールドワイドウェブclinicaltrials.gov,NCT01156584を参照されたい)。しかし、そのようなRRVの遺伝学的安定性は、総挿入断片サイズが約1.5kbを超えると有意に低下し、したがって、いくつもの潜在的に有用な遺伝子又は遺伝子の組合せが、容易且つ信頼できる治療的使用のために十分に安定であることが保証されない。特定の例は、ガンシクロビルアシクロビルバラシクロビル(ValtrexTM)又は他の類似体などの一般的な抗ヘルペス薬をin situでリン酸化によって活性化し、細胞死を導くことができる、ヘルペスチミジンキナーゼ(HSVtk)(配列番号35)由来の一般に使用されるプロドラッグ活性化遺伝子である。HSVtk遺伝子は、わずか1.1kbほどのコード配列を有し、いくつかの発現構築物において使用されるIRESと組み合わせると、約1.6kbを超える挿入断片になる。このサイズは、臨床使用するためには十分に安定ではない。別の例は、シトシンアミン遺伝子(配列番号1又は3)とUPRT遺伝子(配列番号7)又はOPRT遺伝子の組合せであり(WO2010036986、Perezら、Mol. Ther.、2005)、これらの融合遺伝子は約1200bpである。IRESと組み合わせると、サイズは約1.8kbを超え、欠失が起こる前の発現は十分であったが、望ましくない不安定性が示された。

0005

Loggら(PNAS、105(12):4733-4738、2008)は、RRVに組み入れ異種遺伝子のサイズを改善するために種々のより短い配列のIRES構築物を試したが、その成功は限られていた。詳細には、Loggらにより、発現は達成されたが、小さいIRESがスプライシングドナー/アクセプター役割を有するという性質のために安定性が低下することが実証された。

0006

WO2010036986

先行技術

0007

Wangら、Hum. Gene. Ther.、14:117-127、2003、
Taiら、Mol Ther、12:842-851、2005
Ostertagら、Neuro Oncol.、2012
Perezら、Mol. Ther.、2005
Loggら、PNAS、105(12):4733-4738、2008

課題を解決するための手段

0008

本開示は、複製ベクター中の総サイズが約0.9kbを超える1種の遺伝子又は複数の遺伝子のin vivoにおける安定発現を可能にする方法及び組成物を提供する。本開示は、1.2kb、1.3kb、1.4kb、1.5kb、1.6kb、1.7kb、1.8kb、又は1.9kbを超え得る異種遺伝子を発現させることができる少なくとも1つのミニプロモーターカセットを含むベクターを提供する。治療カセットを、複数のミニプロモーターカセット又は単一のミニプロモーターカセット、及び第2の治療分子に機能可能に連結したpolIIIプロモーター若しくはIRESを含む第2のカセットであるとみなす場合、治療カセット全体が、約1.2〜2.0kbを含み得る。例えば、治療カセット内に2つのミニプロモーターカセットが存在する場合、第1のミニカセットにより第1の遺伝子又は治療分子を発現させることができ、第2のカセットにより第2の遺伝子又は治療カセット分子を発現させることができる。

0009

約1.2kbである遺伝子の発現を駆動するための、組換え複製コンピテントレトロウイルス(RRV)中の新規のミニプロモーター構築物も開示される。前述の一般的な概念を考慮して、本開示は、レトロウイルスGAGタンパク質;レトロウイルスPOLタンパク質;レトロウイルスエンベロープ(ENV);レトロウイルスポリヌクレオチドであって、レトロウイルスポリヌクレオチド配列の3'末端に長末端反復(LTR)配列、レトロウイルスポリヌクレオチドの5'末端にプロモーター配列(ここで前記プロモーター配列は哺乳動物の細胞における発現に適している)、gag核酸ドメイン、pol核酸ドメイン及びenv核酸ドメインを含む上記レトロウイルスポリヌクレオチド;異種ポリヌクレオチドに機能可能に連結した少なくとも1つのミニプロモーターを含む治療カセットであって、3'LTRに対して5'側且つレトロウイルスエンベロープをコードするenv核酸ドメインに対して3'側に位置する上記治療カセット;並びに標的細胞における逆転写パッケージング及び組み込みのために必要なシス作用性配列を含む組換え複製コンピテントレトロウイルス(RRV)を提供する。一実施形態では、治療カセットは、異種ポリヌクレオチドに機能可能に連結した少なくとも1つのコアプロモーター又はミニプロモーター及びエンハンサーを含む。一実施形態では、レトロウイルスポリヌクレオチド配列は、マウス白血病ウイルス(MLV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ヒヒ内在性レトロウイルス(BEV)、ブタ内在性ウイルス(PERV)、ネコ由来レトロウイルスRD114、リスザルレトロウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)、トリ細網内皮症ウイルス(REV)、又はテナガザル白血病ウイルス(GALV)などのガンマレトロウイルスに由来する。別の実施形態では、MLVは、広宿主性又はGALVエンベロープ遺伝子を有する広宿主性MLV又は狭宿主性MLVである。さらに別の実施形態では、レトロウイルスは、オンコレトロウイルス又はガンマレトロウイルスである。さらに別の実施形態では、ベクターは、標的哺乳動物細胞に感染することが可能なミニプロモーターカセットを含む。別の実施形態では、標的細胞は、細胞増殖性障害に関連するものなどの、異常な細胞増殖能を有する細胞である。細胞増殖性障害は、新形成及び自己免疫疾患からなる群から選択することができるが、これだけに限定されない。一実施形態では、RRVゲノム転写するためのプロモーターは、CMVプロモーターを含む。さらなる実施形態では、プロモーターは、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、CMV-R-U5ドメインは、MLV R-U5領域に連結したヒトサイトメガロウイルス由来の最初期プロモーター(immediately early promoter)を含む。別の実施形態では、ポリヌクレオチドのgag及びpolは、オンコレトロウイルス又はガンマレトロウイルスに由来する。一実施形態では、envドメインは、広宿主性ENVタンパク質をコードする。前述のいずれかのさらに別の実施形態では、治療カセットは、少なくとも1つのミニプロモーターカセットを含み、エンハンサーも含んでよく、また、発現の際に治療タンパク質又は治療核酸(例えば、siRNA、shRNA、又はマイクロRNAなど)をコードする治療(異種)ポリヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、ミニプロモーターカセットは、RNAポリメラーゼIIに対するプロモーターである。別の実施形態では、ミニプロモーターカセットは、RNAポリメラーゼIIIに対するプロモーター(例えば、U6プロモーター)である。一実施形態では、治療カセットは、1つ以上の治療分子のコード配列に機能可能に連結したミニプロモーター及びエンハンサーを含む単一のミニプロモーターカセットを含む。別の実施形態では、治療カセットは、少なくとも1つのミニプロモーターカセット及び第2のカセットを含む。第2のカセットは、第2のミニプロモーターカセット、IRESカセット又はpolIIIプロモーターカセットであってよい。ミニプロモーターにより、機能可能に連結した遺伝子又はコード核酸配列の転写が促進される。

0010

ミニプロモーターは、その名称により示される通り、機能可能に連結したコード配列の有効な転写及び/又は翻訳に必要な最低限の量のエレメントを含み、コアプロモーターよりも良好な発現を有する。ミニプロモーターは、コアプロモーターを含み得るが、転写を促進する追加的な調節ドメインも含む。ミニプロモーターの長さは約100〜600bpであるが、コアプロモーターは、典型的に約100bp未満(例えば、約70〜80bp)である。治療カセットがコアプロモーターを含む場合、第2のカセット(例えば、第2のミニプロモーターカセット、polIIIプロモーターカセット又はIRESカセット)が存在するか又はコアプロモーターにエンハンサーが付随する。さらに、コアプロモーターが存在する場合、カセットは、典型的に、コアプロモーター配列の上流又は下流のいずれかに、機能可能に連結したコード配列のコアプロモーター単独による発現レベルを上回る発現を促進するエンハンサーエレメント又は別のエレメントを含む。

0011

したがって、本開示は、一般に、標的細胞において有意なレベルで遍在的に発現させることを可能にし、またベクターに安定に組み入れるために有用な「コアプロモーター」エレメント(<100bp、<200bp、<400bp又は<600bp)に関して定義されるような細胞エレメントのいずれかに由来する小さい調節性プロモータードメイン(例えば、改変コアプロモーター)、及び、特に導入遺伝子の効率的な発現を可能にするための複製レトロウイルスベクターを提供する。それでもなお200bp、400bp又は600bpを下回る、より良好な遺伝子発現を可能にするための、コアプロモーターと最低限のエンハンサー配列も提供される。そのような増強されたプロモーターは、改変コアプロモーターと、天然に存在する組織特異的プロモーターと、ラウス肉腫ウイルス由来プロモーターなどの小さいウイルスプロモーターとを含む。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのミニプロモーターカセットを含む治療カセットの発現レベルは、同じ遺伝子を有するIRESカセットの発現レベルを超えるかそれと同等であり、又はその1分の1〜2分の1である。

0012

ベクターは、コアプロモーター又はミニプロモーターに機能可能に連結した任意の数の異なる異種ポリヌクレオチドを含んでよい。例えば、異種ポリヌクレオチドは、サイトカイン遺伝子、siRNA、マイクロRNA又はRNAi分子ターゲティング配列結合性ドメイン細胞傷害性遺伝子、単鎖抗体又はそれらの任意の組合せを含んでよい。異種ポリヌクレオチドがsiRNA、マイクロRNA又はRNAiなどの非翻訳RNAである場合には、ミニプロモーターは必要でない場合があるが、転写された遺伝子との組合せに含めることができる。さらに別の実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、配列番号3(CDopt-3pt)、配列番号5(CDopt)、配列番号11(CDopt-UPRT)、配列番号13(CDopt-リンカー-UPRT)、配列番号15(CDopt3-OPRT)、配列番号17(CDopt3-リンカー-OPRT)、又は配列番号75(HSVtkopt)に記載の配列を有するポリヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、異種性の配列は、配列番号4又は配列番号76に記載の配列を含むポリペプチドをコードする。一実施形態では、異種核酸はヒトコドン最適化されており、配列番号4又は配列番号76に記載のポリペプチドをコードする。

0013

本開示は、5'から3'にかけて、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期プロモーターとMLV R-U5領域のCMV-R-U5融合物逆転写酵素プライマー結合部位PBS;5'スプライス部位;Ψパッケージングシグナル;MLV群特異的抗原のgagコード配列;MLVポリメラーゼポリタンパク質のpolコード配列;3'スプライス部位;MLV 4070A株のエンベロープタンパク質の4070A envコード配列;治療遺伝子に機能可能に連結した少なくとも1つのミニプロモーターカセット;ポリプリントラクト;及びU3-R-U5 MLV長末端反復、を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。一実施形態では、3'LTRは、オンコレトロウイルス又はガンマ-レトロウイルスに由来する。さらなる実施形態では、3'LTRは、U3-R-U5ドメインを含む。

0014

本開示は、被験者における細胞増殖性障害を治療する方法であって、対象又は細胞に本開示のレトロウイルスを接触させることを含み、異種核酸配列が、新生細胞の増殖を阻害する治療タンパク質をコードする方法を提供する。一実施形態では、レトロウイルスは、配列番号4、12、14、16、18又は76に記載の配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、ここで該ポリヌクレオチドはミニプロモーターに機能可能に連結している。

0015

本開示は、細胞傷害性遺伝子に機能可能に連結したプロモーターカセットを有する特定のRRVの配列を提供する。例えば、配列番号19はpAC3-C1.yCD2ベクターを示し、該ベクターは、gag配列、pol配列及びenv配列を含み、env配列の直後にプロモーターCMVコアプロモーター及び3つの熱安定化変異を含むヒト化シトシンデアミナーゼがあり、次いでその後ろに3'LTRがある。配列番号20は同様の構造を示すが、カセットは、S1プロモーターと、その後にヒトGMCSF導入遺伝子を含む。配列番号21は、RRVベクター「pACE-CD」の配列を示す。配列番号22は、プロモーターカセットがマウスGMCSFに機能可能に連結したS1プロモーターを含む以外は配列番号19及び20と同様である配列を示す。配列番号39は、S1-yCD2カセットを有するRRVの配列を示す。配列番号40は、C1-GFPカセットを有するRRVの配列を示す。配列番号41は、S1-GFPカセットを有するRRVの配列を示す。異種核酸に連結したミニプロモーターを含む本開示の他のベクターは、配列番号77〜85及び配列番号86に記載されている。

0016

本開示は、組換え複製コンピテントレトロウイルス(RRV)を含み、ミニプロモーターカセットを有するベクターであって、ベクターを標的細胞に多数回感染させることにより、標的細胞当たり平均で3つ以上のレトロウイルスゲノムコピーが生じる上記ベクターを提供する。多数のコピーにより、in vivo及びin vitroにおける遺伝子送達及びタンパク質産生に有用な「重複」感染がもたらされる。一実施形態では、RRVは、レトロウイルスGAGタンパク質;レトロウイルスPOLタンパク質;レトロウイルスエンベロープ;レトロウイルスポリヌクレオチドであって、レトロウイルスポリヌクレオチド配列の3'末端に長末端反復(LTR)配列、レトロウイルスポリヌクレオチドの5'末端にプロモーター配列(ここで前記プロモーター配列は哺乳動物の細胞におけるレトロウイルスポリヌクレオチドの発現に適している)、gag核酸ドメイン、pol核酸ドメイン及びenv核酸ドメインを含む上記レトロウイルスポリヌクレオチド;異種ポリヌクレオチドに機能可能に連結した少なくとも1つのミニプロモーター又はコアプロモーター及びエンハンサーを含むカセットであって、3'LTRに対して5'側且つレトロウイルスエンベロープをコードするenv核酸ドメインに対して3'側に位置する上記カセット;並びに標的細胞における逆転写、パッケージング及び組み込みのために必要なシス作用性配列とを含み、ここで前記RRVは、6継代後に、pACEベクター(配列番号21、すなわち、Loggら、Hum Gene Ther. 2001年5月20日;12(8):921-32のベクター)と比較して高い複製能を維持する。一実施形態では、レトロウイルスポリヌクレオチド配列は、マウス白血病ウイルス(MLV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ヒヒ内在性レトロウイルス(BEV)、ブタ内在性ウイルス(PERV)、ネコ由来レトロウイルスRD114、リスザルレトロウイルス、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMRV)、トリ細網内皮症ウイルス(REV)、又はテナガザル白血病ウイルス(GALV)に由来する。別の実施形態では、MLVは、広宿主性MLVである。さらに別の実施形態では、レトロウイルスは、オンコレトロウイルス又はガンマレトロウイルスである。さらに別の実施形態では、標的細胞は、細胞増殖性障害に関連するものなどの異常な細胞増殖能力を有する細胞(例えば、がん細胞)である。細胞増殖性障害は、限定されるものではないが、肺がん結腸直腸がん乳がん前立腺がん尿路がん、子宮がん、脳がん、頭頸部がん膵がん黒色腫胃がん及び卵巣がんリンパ腫白血病関節リウマチ及び他の自己免疫疾患からなる群から選択することができる。一実施形態では、ベクターは、gag、pol及びenvの転写を駆動するためのプロモーター、例えば、配列番号19、20又は22に記載の配列のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582を有するCMVプロモーターなどを含んでよく、1つ以上の核酸塩基に対する改変を含んでよく、また、転写を導き、開始させることができる。さらに別の実施形態では、プロモーターは、配列番号19、20又は22に記載の配列のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582を含む。さらなる実施形態では、プロモーターは、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、CMV-R-U5ドメインは、MLV R-U5領域に連結したヒトサイトメガロウイルス由来の最初期プロモーターを含む。さらに別の実施形態では、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドは、配列番号19、20若しくは22に記載の配列の約ヌクレオチド1から約ヌクレオチド1202、又は配列番号19、20若しくは22に記載の配列と少なくとも95%同一な配列を含み、該ポリヌクレオチドにより、それに機能可能に連結した核酸分子の転写が促進される。別の実施形態では、ポリヌクレオチドのgag及びpolは、オンコレトロウイルス又はガンマレトロウイルスに由来する。gag核酸ドメインは、配列番号19若しくは22の約ヌクレオチド番号1203から約ヌクレオチド2819の配列又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%又は99.8%の同一性を有する配列を含んでよい。polドメインは、配列番号19若しくは22の約ヌクレオチド番号2820から約ヌクレオチド6358の配列又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%又は99.9%の同一性を有する配列を含んでよい。一実施形態では、envドメインは、広宿主性ENVタンパク質をコードする。envドメインは、配列番号19若しくは22の約ヌクレオチド番号6359から約ヌクレオチド8323の配列又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%又は99.8%の同一性を有する配列を含んでよい。ベクターのミニプロモーターは、600bp(例えば、約600bp、550bp、500bp、450bp、400bp、350bp、300bp、250bp、200bp、150bp、100bp、約90bp、約80bp、約76bp、約74bp又はそれ以下)よりも小さい任意の調節ドメインであってよく、これにより、機能可能に連結したコード配列又は非コード配列の転写が可能になる。一実施形態では、ミニプロモーターは、配列番号19若しくは22の約ヌクレオチド番号8330から約ヌクレオチド8406の配列又はそれに対して少なくとも95%、98%、又は99%の同一性を有する配列を含む。別の実施形態では、ミニプロモーターは、配列番号56、57、59、65、67、68、69、71、72、73、及び74からなる群から選択される配列を含む。

0017

本開示の1つ以上実施形態の詳細は、添付の図及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

0018

存在し得るコアプロモーター及び種々のエレメントの一般的な構造モチーフを示す図である(Juven-Gershon & Kadonaga、Developmental Biology 339: 225-229 2010)。典型的には、コアプロモーターは、翻訳開始コドンに対して転写開始部位の約-40bp上流から開始部位の約40bp下流までに及ぶ。略語は以下の意味を有する。上流TFIIB認識エレメント(BREu)、TATA「TATAボックス」、下流TFIIB認識エレメント(BREd)、Inr-転写開始部位、MTE-モチーフ10エレメント、DPE-下流のプロモーターエレメントDCE-下流のコアエレメント、XCPE1-Xコアプロモーターエレメント1。
導入遺伝子であるGFPの発現を駆動するC1コアプロモーター及びS1コアプロモーターを含有するpAC骨格におけるRRVのベクター安定性を示す図である。各レーンの上の数字は感染サイクルの数を示す。矢印は予測される断片サイズを示す。
導入遺伝子であるCDの発現を駆動するC1コアプロモーター及びS1コアプロモーターを含有するpAC骨格におけるRRVのベクター安定性を示す図である。各レーンの上の数字は感染サイクルの数を示す。矢印は予測される断片サイズを示す。
導入遺伝子(ヒトGM-CSF及びマウスGM-CSF)の発現を駆動するIRESエレメント又はS1コアプロモーターを含有するpAC骨格におけるRRVのベクター安定性を示す図である。各レーンの上の数字は感染サイクルの数を示す。矢印は予測される断片サイズを示す。
完全に感染させたヒト腫瘍細胞株U87、1306-MG及びT98sにおけるpAC3-GFPベクター、pAC3.C1-GFPベクター及びpAC3.S1-GFPベクターの蛍光活性細胞選別(FACS)によって測定されたGFPタンパク質の発現を示すグラフである。MFI-平均蛍光強度
一過性トランスフェクトした293T細胞におけるpAC3-yCD2ベクター、pAC3.C1-yCD2ベクター及びpAC3.S1-yCD2ベクターによるタンパク質の発現(ウエスタンブロット)を示す図である。
完全に感染させたU87細胞におけるpAC3-yCD2ベクター、pAC3.C1-yCD2ベクター及びpAC3.S1-yCD2ベクターによるタンパク質の発現(ウエスタンブロット)を示す図である。
一過性にトランスフェクトした293Tにおける、pAC3-hGMCSF及びpAC3.S1-hGMCSFによるGM-CSFタンパク質の発現を示すグラフである。
完全に感染させたU87における、pAC3-hGMCSF及びpAC3.S1-hGMCSFによるGM-CSFタンパク質の発現を示すグラフである。
完全に感染させたPC3細胞における、pAC3-hGMCSF及びpAC3.S1-hGMCSFによるGM-CSFタンパク質の発現を示すグラフである。
一過性にトランスフェクトした293Tにおける、pAC3-mGMCSF及びpAC3.S1-mGMCSFによるGM-CSFタンパク質の発現を示すグラフである。
完全に感染させたEMT6細胞における、pAC3-mGMCSF及びpAC3.S1-mGMCSFによるGM-CSFタンパク質の発現を示すグラフである。
U87細胞におけるpAC3-emdベクター、pAC3-hGMCSFベクター及びpAC3S1-hGMCSFベクターのウイルス複製速度論を示すグラフである。
EMT6細胞におけるpAC3-emdベクター、pAC3-mGMCSFベクター及びpAC3.S1-mGMCSFベクターのウイルス複製速度論を示すグラフである。
結果がほぼ同一である、2つの異なる供給源に由来するPALAを用いて処理したU87細胞における細胞死滅曲線を示すグラフである。
IRES-カセット、S1カセット及びSV40カセットからのGFP発現を示すグラフである。
本開示において使用する構築物を示す図である。
本開示において使用する構築物を示す図である。
一過性にトランスフェクトした細胞(左側が293Tであり、右側がHeLa細胞である)におけるミニプロモーター及び合成プロモーターによって媒介される遺伝子発現を示すグラフである。

0019

本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形は、文脈により明確に別段の規定がなされない限り、複数の指示対象包含する。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を包含し、「ベクター」への言及は、1つ以上のベクターへの言及を包含する、などである。

0020

また、「又は」、又は「若しくは」の使用は、別段の指定のない限り、「及び/又は」を意味する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」は、互換的であり、限定されるものではない。

0021

種々の実施形態の説明に「含む」という用語が使用されている場合、いくつかの特定の例では、ある実施形態は、その代わりに、「から本質的になる」又は「からなる」という言葉を使用して記載できることが当業者には理解されることがさらに理解されるべきである。

0022

別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本開示の方法及び組成物の実施において本明細書に記載のものと同様又は同等である方法及び材料を使用できるが、本明細書では典型的な方法、デバイス及び材料を記載する。

0023

ベクター、プロモーター及び多くの他の関連するトピックの使用を含めた本発明で有用な分子生物学技法が記載されている一般的なテキスト及び連続した巻としては、Methodsin Molecular Biology、John M. Walker総監修、Humana Press、ISSN: 1064-3745; Methods in Enzymology、Elsevier Press;市販の試薬ファクトシート及び方法支援に関する刊行物; 科学系のネットワーキングイト、例えばResearchgate(world wide web at researchgate.net)及びlabtests online(例えば、[http://] labtestonline.org/understanding/features/methods/)及び[http://www]cshl.eduなどの個々の研究室のサイトが挙げられる。

0024

本文全体を通して考察されている刊行物は、単にそれらの開示が本出願の出願日より前であるために示されているに過ぎない。本明細書における全てが、本発明者らが、先の開示によりそのような開示に先行する権利がないことを容認するものと解釈されるべきではない。

0025

本開示は、細胞又は被験者への遺伝子又はタンパク質の送達に有用な方法及び組成物を提供する。そのような方法及び組成物を使用して、被験者における、がん及び他の細胞増殖性疾患及び障害を含めた種々の疾患及び障害を治療することができる。本開示は、発現される異種ポリヌクレオチドに機能可能に連結したコアプロモーター及び/又はミニプロモーターカセットを利用して遺伝子を送達するためのレトロウイルス複製ベクターを提供する。

0026

RRVベクターにおける約1.5kbを超えるサイズの導入遺伝子の安定性は変動し得る。のMLVへのIRESカセットの成功したクローニング後の導入遺伝子を発現させるための従来の戦略(Loggら、上記)では、IRES成分を使用して内部リボソーム結合部位からの内部翻訳開始を可能にしてきた。IRES成分は約600bpであり、コード配列のために残るのは約900bpである。したがって、IRESカセットに連結させるポリヌクレオチドのサイズは安定性によって限定される。発現させる又は送達するポリヌクレオチドのサイズを増加させるための1つの代替法は、転写を促進するより小さい調節配列、例えば、プロモーター、プロモーター/エンハンサー、又は他の調節ドメインなどを使用することである。

0027

大多数のプロモーターは相当に大きく、典型的には、完全な機能性のためには600bpを超え、フルサイズのプロモーターは数キロベースになり得る。複製レトロウイルスベクター(RRV)などのベクターによる哺乳動物の細胞における導入遺伝子の信頼できる発現を可能にする小さいプロモーターを生成することができる。例えば、1つの可能性のある解決法は、Kadanaga及び共同研究者(Juven-Gershonら、Nature Methods、11:917-922、2006)に記載されている「コア」プロモーターを使用することである。これらのコアプロモーターは、アデノウイルス主要後期(AdML)遺伝子及びサイトメガロウイルス(CMV)主要最初期遺伝子、並びに合成「スーパーコアプロモーター」SCP1に基づく。他の細胞コアプロモーターとしては、限定されるものではないが、ヒトヘムオキシゲナーゼ近位プロモーター(121bp; Tyrrellら、Carcinogenesis、14: 761-765、1993)、CTP:ホスホコリンシチジリルトランスフェラーゼ(CCT)プロモーター(240bp; Zhouら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol.、30: 61-68、2004);ヒトASK(HsDbf4遺伝子としても公知のS期キナーゼ(S phase Kinase)の活性化因子に対するもの、63bp; Yamadaら J.Biol.Chem.、277: 27668-27681、2002)、及びHSVTK遺伝子内コア(Al-Shawiら、Mol. Cell. Biol.、11: 4207、1991; Salamonら、Mol. Cell. Biol.、15:5322、1995)が挙げられる。さらに、これらの「コア」プロモーターをプロモーターの活性を改善するためのさらなる改変の開始点として使用することができる。例えば、そのような改変は、機能性を改善するために「コア」プロモーターに他のドメイン及び配列を追加することを含む(例えば、エンハンサー、コザック配列など)。一実施形態では、そのようなさらなる改変は、エンハンサーの付加を含んでよい。

0028

これらのコアプロモーターの長さはそれぞれ約70〜80bpであり、したがって、約1.4kbの容量が導入遺伝子配列のために残る。そのようなプロモーターの使用により、長さが1.1kbを超えるHSVtk遺伝子などの有用な遺伝子の発現をもたらすことができる。しかし、そのようなプロモーターは必ずしも、IRESにより駆動される発現ベクターによる発現のレベルと同等又はそれよりも良好な発現のレベルを得るのに、必ずしも信頼できるものではない。さらに、細胞ごとに発現レベルは変動し、いくつかの場合には、導入遺伝子の発現レベルは検出不可能である。CMV由来コアプロモーター及びアデノウイルス由来コアプロモーターの2つは合成SCP1プロモーターよりもさらに信頼度が低い。

0029

本明細書に記載の通り、コアプロモーターの使用(Juven-Gershonら、Nat. Methods、2006; Juven-Gershon及びKadonaga Dev. Biol. 339:225-229、2010)は、IRESほど有効ではないが、より長い遺伝子を発現させることが可能であり、これには治療的利益がある。さらに、合理的な設計技法を使用すると、種々のプロモーター成分を使用して、RRVの発現及び安定性を最適化することができる。そのような最適化されたコアプロモーターにより、ウイルスポリヌクレオチドのより有効な発現及び安定性がもたらされる。例えば、「デザイナー」プロモーターは、安定性及び発現に適した1つ以上の追加的なエレメントを含むようにさらに改変されたコアプロモーターを含んでよい。

0030

本明細書に記載の通り、そのようなコアプロモーターの単独での使用又は発現のための追加的なエレメントを含めた使用のいずれかを、複製コンピテントレトロウイルスベクターを含めた種々のベクターにおいて用いることができる。本開示は、envコード配列に対して3'側、且つ3'LTRに対して5'側に治療カセットを含むRRVを提供する。「治療カセット」とは、少なくとも1つのミニプロモーターカセット又はコアプロモーターカセット及び1種の追加的なカセット(例えば、IRES、polIII若しくはミニプロモーターカセット)を含むRRV内のドメインであって、治療ポリヌクレオチド配列が発現される際に治療タンパク質(例えば、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼなど)又は治療核酸(例えば、siRNA、shRNA、又はマイクロRNAなど)をコードするドメインを意味する。したがって、「治療カセット」は、治療分子のコード配列に機能可能に連結したミニプロモーターを含む単一のミニプロモーターカセットを含んでもよく、少なくとも1つのミニプロモーターカセットと第2のカセットとを含んでもよい。第2のカセットは、第2のミニプロモーターカセット、コアプロモーターカセット、IRESカセット又はpolIIIプロモーターカセットであってよい。

0031

本明細書で使用される場合、「コアプロモーター」とは、約50〜100bpを含み、エンハンサーエレメントを欠く最小のプロモーターを指す。そのようなコアプロモーターとしては、限定されるものではないが、SCP1、AdML及びCMVコアプロモーターが挙げられる。より詳細には、コアプロモーターカセットが存在する場合、第2のカセット(例えば、第2のミニプロモーターカセット、polIIIプロモーターカセット又はIRESカセット)が存在する。一部の実施形態では、コアプロモーターを有するカセットを含むベクターでは、SCP1、AdML及びCMVコアプロモーターの使用を特異的に排除し、代わりに、本明細書に、及び以下にさらに記載されているデザイナーコアプロモーターを利用する。

0032

コアプロモーターとしては、特定のウイルスプロモーターが挙げられる。ウイルスプロモーターとは、本明細書で使用される場合、コア配列を有し、通常はいくつかの別の補助的なエレメントも有するプロモーターである。例えば、SV40の初期プロモーターは、3種類のエレメント:TATAボックス、開始部位及びGC反復を含有する(Barrera-Saldanaら、EMBO J、4:3839-3849、1985; Yaniv、Virology、384:369-374、2009)。TATAボックスは、転写開始部位の約20塩基対上流に位置する。GC反復領域は、6つのGCボックスを含有する21塩基対の反復であり、転写の方向を決定する部位である。このコアプロモーター配列は約100bpである。追加的な72塩基対の反復を付加し、したがって「ミニプロモーター」にすることは、プロモーターの機能性を約10倍に増大させる転写エンハンサーとして有用である。SP1タンパク質が21bpの反復と相互作用する際、SP1タンパク質は最初の3つのGCボックス又は最後の3つのGCボックスのいずれかに結合する。最初の3つに結合すると初期発現が開始され、最後の3つに結合すると後期発現が開始される。72bpの反復の機能は、安定なRNAの量を増強すること、及び合成の速度を上昇させることである。これは、AP1(活性化因子タンパク質1)と結合(二量体形成)して、3'ポリアデニル化され、5'キャップ形成された一次転写物を生じることによって行われる。ラウス肉腫ウイルス(RSV)、HBVX遺伝子プロモーター、及びヘルペスチミジンキナーゼコアプロモーターなどの他のウイルスプロモーターも、所望の機能を選択するための基礎として使用することができる。

0033

コアプロモーターは、典型的に、RNAポリメラーゼII機構によって転写が開始される位置を規定する+1転写開始部位に対して-40〜+40を包含する(Juven-Gershon及びKadonaga、Dev. Biol. 339:225-229、2010)。典型的に、RNAポリメラーゼIIは、プロモーター内のDNAモチーフに結合するいくつもの転写因子と相互作用する。これらの因子は、一般に、「一般的な」又は「基本の」転写因子として公知であり、それらとしては、限定されるものではないが、TFIIA(RNAポリメラーゼIIAに対する転写因子)、TFIIB、TFIID、TFIIE、TFIIF、及びTFIIHが挙げられる。これらの因子は、全てのコアプロモーターと共に「一般的な」様式で作用し、したがって、多くの場合、「基本の」転写因子と称される。

0034

Juven-Gershonら、2006(上記)には、コアプロモーターのエレメントが記載されている。例えば、pRC/CMVコアプロモーターは、TATAボックスからなり、81bpの長さである。CMVコアプロモーターは、TATAボックス及び開始部位からなる。一方、SCP合成コアプロモーター(SCP1及びSCP2)はTATAボックス、Inr(開始因子)、MTE部位(モチーフ10エレメント)、及びDPE部位(下流プロモーターエレメント)からなり、長さが約81bpである。SCP合成プロモーターは、単純なpRC/CMVコアプロモーターと比較して発現を改善する。

0035

本明細書で使用される場合、「ミニプロモーター」又は「小さいプロモーター」とは、機能可能に連結した遺伝子又はコードする核酸配列の転写を促進する調節ドメインを指す。ミニプロモーターは、名称により示される通り、機能可能に連結したコード配列の有効な転写及び/又は翻訳に必要な最低限の量のエレメントを含む。ミニプロモーターは、「コアプロモーター」と追加的な調節エレメントの組合せを含んでもよく、「改変コアプロモーター」を含んでもよい。典型的に、ミニプロモーター又は改変コアプロモーターは約100〜600bpの長さになり、コアプロモーターは、典型的に、約100bp(例えば、約70〜80bp)未満である。他の実施形態では、コアプロモーターが存在する場合、カセットは、典型的に、コアプロモーター配列の上流又は下流のいずれかに、機能可能に連結したコード配列のコアプロモーター単独による発現レベルを上回る発現を促進するエンハンサーエレメント又は別のエレメントを含む。

0036

したがって、本開示は、一般に、標的細胞において有意なレベルで遍在的に発現させることを可能にし、またベクターに安定に組み入れるために有用な「コアプロモーター」エレメント(<100bp、<200bp、<400bp又は<600bp)に関して定義されるような細胞エレメントに由来するミニプロモーター(例えば、改変コアプロモーター)、及び、特に導入遺伝子の効率的な発現を可能にするための複製レトロウイルスベクターを提供する。コアプロモーターに加えて、エンハンサー配列及び/又はコザック配列を欠くコアプロモーターと比較してより良好な遺伝子発現を可能にするための、最低限のエンハンサー配列及び/又はコザック配列とを含み、それでもなお200bp、400bp又は600bpを下回るミニプロモーターも提供される。そのようなミニプロモーターとしては、改変コアプロモーター及び天然に存在する組織特異的プロモーター、例えば、エラスチンプロモーター(膵腺房細胞に特異的である)(204bp; Hammerら、Mol Cell Biol.、7:2956-2967、1987)並びにマウス及びヒト由来細胞周期依存性ASK遺伝子由来のプロモーター(63〜380bp; Yamadaら、J. Biol. Chem.、277: 27668-27681、2002)などが挙げられる。遍在的に発現される小さいプロモーターとして、ウイルスプロモーター、例えば、SV40初期プロモーター及び後期プロモーター(約340bp)、RSVLTRプロモーター(約270bp)、並びに標準的な「TATTAAボックス」を有さず、13bpのコア配列5'-CCCCGTTGCCCGG-3'(配列番号42)を有するHBVX遺伝子プロモーター(約180bp)(例えば、R Anishら、PLoS one、4: 5103、2009)などが挙げられる。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのミニプロモーターカセットを含む治療カセットは、RRV内に存在するIRESカセットの発現レベルを超えるか、それとほぼ同等であるか、又はその約1倍〜2.5倍低い、発現レベルを有するだろう。

0037

コアプロモーター又はミニプロモーターからの転写は、種々のエレメントの相互作用によって起こる。集中型の転写では、例えば、いくつかのヌクレオチドの狭い領域内に単一の主要な転写開始部位又はいくつかの開始部位のいずれかがが存在する。集中型の転写はより単純な生物体において優勢な転写様式である。分散型の転写では、約50〜100ヌクレオチドの広範な領域にわたっていくつかの弱い転写開始部位が存在する。分散型の転写は脊椎動物において最も一般的な転写様式である。例えば、分散型の転写は、ヒト遺伝子の約3分の2で観察される。脊椎動物では、集中型の転写は調節されたプロモーターに付随する傾向があるが、分散型の転写は一般には構成的プロモーターにおいてCpGアイランドで観察される。

0038

表1に、集中型のプロモーターエレメントと分散型のプロモーターエレメントの両方のコアプロモーター配列内で入れ替えることができるいくつかのコアプロモーターエレメントについての一覧及び記載を示す。上記の通り、本開示の組成物に使用するミニプロモーターは、さらに改変されたコアプロモーターを含んでよい。そのような改変は、表1に記載の1つ以上の追加的なエレメントを組み入れることを含んでよい。

0039

0040

表2は、エンハンサーエレメントを構築し、コアプロモーター領域にクローニングするために使用することができるオリゴヌクレオチドを示す。上記の通り、本開示の改変/最適化されたコアプロモーターは、表1のエレメントの付加を含むコア配列を含んでよく、表2に記載のクローニングされたエンハンサーをさらに含んでよい。そうすることで、コアプロモーターのサイズが大きくなり、「ミニプロモーター」と称することができる。しかし、最終的なミニプロモーターは600bpを超えるべきではなく、一般には、約100bp、200bp、300bp、400bp、500bp及びその間の任意の整数になるだろう。

0041

0042

さらに、大多数の真核生物mRNAは、コザック配列(RCCATGG;(配列番号51))と称される短い認識配列を含有し、ATGは翻訳開始部位である。コザック配列が存在することにより、翻訳機構におけるmRNAとリボソームの結合が著しく促進され得る。遺伝子発現レベルを改善するために、コザック配列をコアプロモーターの下流に組み入れることが有利である。コアプロモーターにより有用な転写が実証されているが、遺伝子発現を付与するためには効率的なタンパク質翻訳も同等に重要である。したがって、一実施形態では、ミニプロモーターは転写物mRNAの翻訳を改善することができる調節エレメント(例えば、コザック配列)を含む。効率的な翻訳を促進することができる他の「コザック様」配列が当技術分野で公知である。例えば、タバコモザイクウイルスmRNAの5'-UTRに由来する配列、並びにロブスタートロポミオシン遺伝子に由来する配列は真核細胞におけるタンパク質翻訳を増強するように機能することができる(Galleiら、1989、Galleiら、1992及びGalleiら、2002; Sanoら、2002)。これらの配列の長さは7ヌクレオチドから68ヌクレオチドまで変動する(例えば、表3を参照されたい)。

0043

0044

特に、ATG開始コドンのすぐ上流にある5'UTRは、翻訳開始のレベルに影響を及ぼすことが示されている。したがって、一実施形態では、ミニプロモーターは、転写物mRNAの翻訳を改善することができる調節エレメント(例えば、コザック配列)を含む。さらに、発現及び翻訳される配列(すなわち、ミニプロモーターが機能可能に連結した配列)を解析することにより、よりよい発現のための有用な改変に関する見通しがもたらされ得る。例えば、熱安定化されたヒト化酵母シトシンデアミナーゼ(yCD2)コード配列(例えば、配列番号3を参照されたい)はコード領域の最初の15アミノ酸中に3つのインフレームATGを有する。yCD2 mRNAにおける5'UTR中の間隔及び開始コドンに隣接するコザック配列の欠失は、効率的なタンパク質翻訳開始に関して最適に満たない。したがって、コザック配列及び/又は他の翻訳エンハンサーエレメントを組み入れることにより、導入遺伝子の翻訳開始、したがってタンパク質産生を著しく改善することができる。

0045

上記の通り、ミニプロモーターは、機能可能に連結したコード配列の発現を促進する1つ以上の追加的なエレメントを含む最適化又は改変されたコアプロモーターを含んでよい。これらのエレメントの機能的な混合物を選択するための1つの手段は、種々のエレメント又はこれらのエレメントの変形を単に合成し、それらを一緒ライゲートし、所望の状況で発現させることができるミニプロモーターを機能的に選択することである。Juven-Gershonらにより、機能可能に連結した遺伝子の発現レベルを決定するために使用することができる(例えば、ルシフェラーゼレポート構築物などを使用する)アッセイが記載されている。これらの技法を、転写因子AP-1、核因子κB(NF-κB)、CArG結合性因子A(CBF-A)及び核因子Y(NF-Y)に結合するエレメント(表2参照)と組み合わせて使用して、細胞コアプロモーター(例えば、ヘムオキシゲナーゼコアに由来するもの)と組み合わせた機能的なエンハンサー(Ogawaら、Biotechniques、42:628-633、2007)を得て、全部で約165bpの全体的に活性なプロモーターをもたらすことができる。しかし、SCP1コア、本明細書に記載の最適化されたコア配列、TK遺伝子内コア(Al-shawiら、Mol. Cell. Biol.、11: 4207、1991; Salamonら、Mol. Cell. Biol.、15:5322 1995)、又はヒトASK遺伝子コア(Yamadaら)などの他のコアプロモーターを使用することができる。種々の他の遺伝子を陽性選択マーカーとして使用することができる。これらとしては、ジピリダモール(Warlickら、Biochemical Pharmacology、59: 141-151、2000)又はニトロベンジルメルカプトプリンリボシドホスフェート(Allayetら、Stem Cells、16(付録1):223-233、1998)などのヌクレオチド輸送阻害剤と併せてメトトレキセートを用いるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR; Simonsenら、Nuc Acid Res.、16:2235-2246、1988);N-(ホスホアセチル)-L-アスパラギン酸(PALA)を使用してウラシル及び同化作用的に下流にある塩基の新規の合成を遮断し、またこれらをピリミジンサルベージ経路によって供給するためにシトシンを使用するシトシンデアミナーゼ(Wahlら、J. Biol. Chem.、254:8679; Ungerら、Can. Gene Ther.、14:30-38)、並びに、当業者に公知の種々の他の選択マーカーが挙げられる。一般に、選択マーカーの発現が高レベルであるが、よりよい発現の指標である。

0046

さらに、改変又は最適化されたプロモーターを「定向進化」、エラープローンPCRなどによって得ることができる。例えば、発現及び選択を数回行うことにより、ミニプロモーター(例えば、コアプロモーター又は改変コアプロモーター)へのエラーの導入、並びに上記のDHFR及びCD選択スキームなどの選択可能な系を使用した陽性発現プロファイルの選択を達成できる。別の実施形態では、RRVの状況で発現を増加させるために、代謝的に選択可能な遺伝子をRRVに含め、RRVに数回の複製及び選択を受けさせることにより、ミニプロモーターを使用して十分に発現されない導入遺伝子を選択することができる。エラー率が比較的高いウイルス逆転写酵素により、変異を組み入れ、次いで有利な変異を選択し、優性の配列にすることが可能になる。次いで、そのような改善されたミニプロモーターを増幅し、クローニングし、より効率的なミニプロモーターとして使用することができる。有利には、RRVを抗がん剤として使用するために、結腸がん、脳がん、肺がん、乳がん又は前立腺がんなどなどの所望の細胞型腫瘍細胞株において選択を実施することができる。例えば、選択剤の存在下で推定上の最小のプロモーターによって駆動される選択マーカーをコードするRRVの連続的な継代により、最も良好に発現する最小のプロモーターの選択が導かれる。特定の組合せで組織特異性の問題がある場合、提案された標的型の腫瘍細胞株におけるRRVの継代を使用することができる。一実施形態では、ミニプロモーターは単一の物体として合成され、選択を行うことができる多様性を導入するためには、RRV逆転写酵素のエラーの蓄積率が頼りになる。別の実施形態では、RRVに選択マーカーのプロモーターとして組み入れた際に、選択するための可能な配列のランドスケープがより大きくなるように、配列内にプログラミングされたランダム不均一性を含む最初のプロモーターを合成する。別の実施形態では、最初のウイルスベクターを、プロモーター配列にランダム変異を入れて供給することができ、同じ種類の選択を使用して最適なミニプロモーター配列を同定することができる。別の実施形態では、コザック配列RCCATGG(配列番号51)をミニプロモーターの下流に組み入れて、mRNAとリボソームの小サブユニットの最初の結合を促進することにより、翻訳を改善することができる。

0047

十分な発現を伴う最適化されたミニプロモーターは、核酸サイズが限定される任意の状況(例えば、ウイルスベクター)で使用することができる。一実施形態では、最適化されたミニプロモーターを、RRVを複製して抗がん効果を有する1つ以上の遺伝子を発現させることに使用する。一実施形態では、ミニプロモーターを使用して、2つの遺伝子を、融合遺伝子がフューリン内在性プロテアーゼの標的などのプロテアーゼ切断部位で隔てられた、若しくは2Aファミリー(de Felipeら、TrendsBiotech、24:68-75、2006)のような自己プロセシング配列によって隔てられた融合物として、又は、2つのミニプロモーターを各遺伝子に1つずつ含めることによって発現させる。別の実施形態では、ミニプロモーターを使用して第1の遺伝子又はコード配列を発現させることができ、次いで、polIIIプロモーターを含む第2のカセットを使用して、siRNA、shRNA又はマイクロRNAを発現させることができる。ミニプロモーターカセットは小さいので、有効に組み合わせて他の治療コード配列を組み入れることができる。

0048

発現される遺伝子又はコード配列に機能可能に連結した本明細書に記載のミニプロモーターを使用して、ベクターにおける転写を駆動することができる。一実施形態では、本開示は、5'から3'にかけて、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期プロモーターとMLV R-U5領域のCMV-R-U5融合物;逆転写酵素のプライマー結合部位PBS;5'スプライス部位;Ψパッケージングシグナル;MLV群特異的抗原のgagコード配列;MLVポリメラーゼポリタンパク質のpolコード配列;3'スプライス部位;MLV 4070A株のエンベロープタンパク質の4070A envコード配列;(a)治療遺伝子に機能可能に連結した少なくとも1つのミニプロモーターカセット又は(b)コアプロモーター並びにpolIIIプロモーターカセット、第2のコアプロモーターカセット、ミニプロモーターカセット、及びIRESカセットからなる群から選択される少なくとも1つの他のカセットを含む治療カセット;ポリプリントラクト;並びに、U3-R-U5 MLV長末端反復を含むベクターを提供する。さらなる実施形態では、ベクターのこれらの種々の「部分」(例えば、gag、pol、envなど)のそれぞれは、種々のガンマレトロウイルスベクター(例えば、MLV、GALVなど)に由来する当技術分野において周知の配列を含んでよい。一部の実施形態では、ベクターは、MLVウイルス配列に由来する又はそれから工学的に作製されたものである。図8A及び8Bには、本明細書の他の箇所により詳細に記載されている本開示の種々のベクターが示されている。例えば、ベクターの5'末端にあるプロモーターは、配列番号19、20又は22に記載の配列のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582を有するCMVプロモーターを含んでよく、1つ以上の核酸塩基に対する改変を含んでよく、転写を導き、開始させることができる。さらに別の実施形態では、ベクタープロモーターは、配列番号19、20又は22に記載の配列のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582を含む。さらなる実施形態では、プロモーターは、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、CMV-R-U5ドメインは、MLV R-U5領域に連結したヒトサイトメガロウイルス由来の最初期プロモーターを含む。さらに別の実施形態では、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドは、配列番号19、20若しくは22に記載の配列の約ヌクレオチド1から約ヌクレオチド1202又は配列番号19、20若しくは22に記載の配列の約ヌクレオチド1から約ヌクレオチド1202と少なくとも95%同一な配列を含み、該ポリヌクレオチドにより、それに機能可能に連結した核酸分子の転写が促進される。別の実施形態では、ベクターのgag遺伝子及びpol遺伝子は、オンコレトロウイルス又はガンマレトロウイルスに由来する。gag核酸ドメインは、例えば、配列番号19若しくは22の約ヌクレオチド番号1203から約ヌクレオチド2819の配列又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%又は99.8%の同一性を有する配列を含んでよい。polドメインは、配列番号19若しくは22の約ヌクレオチド番号2820から約ヌクレオチド6358の配列又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%又は99.9%の同一性を有する配列を含んでよい。一実施形態では、envドメインは、広宿主性envタンパク質をコードする。envドメインは、配列番号19若しくは22の約ヌクレオチド番号6359から約ヌクレオチド8323の配列又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%又は99.8%の同一性を有する配列を含んでよい。

0049

治療カセットは、env終結コドンのすぐ下流に位置する。典型的に、治療カセットは、env終止コドンのすぐ後、又は約1塩基対、5塩基対、10塩基対、15塩基対、20塩基対、25塩基対、30塩基対、35塩基対、40塩基対、45塩基対、50塩基対、又は約100塩基対下流から始まる。治療カセットの始まりは、典型的に、カセット内の異種遺伝子のサイズが最適化されるようにenv終止コドンと最低限の距離を有するだろう。上記の通り、治療カセットは、それぞれが治療コード配列に機能可能に連結した1つ以上のミニプロモーター、又はそれぞれが治療コード配列に機能可能に連結したミニプロモーターとpolIIIプロモーター、又はそれぞれが治療コード配列に機能可能に連結したミニプロモーターとIRESを含んでよい。ベクターのミニプロモーターは、600bpよりも小さい(例えば、約599bp、550bp、500bp、450bp、400bp、350bp、300bp、250bp、200bp、150bp、100bp、約90bp、約80bp、約76bp、約74bp又はそれ以下の)任意の調節ドメインであってよく、機能可能に連結したコード配列又は非コード配列の転写を可能にする。一実施形態では、カセットは、配列番号19若しくは22の約ヌクレオチド番号8330から約ヌクレオチド8406まで又はそれに対して少なくとも95%、98%、又は99%の同一性を有する配列などのコアプロモーターを含む。別の実施形態では、配列番号19又は22の約8328から8404までに記載されているコアプロモーターを、配列番号56、57、59、65、66、67、68、69、71、72、73、及び74に記載の配列を有し、エンハンサー(例えば、配列番号58及び70)などの追加的な配列をさらに含んでよいプロモーターを含めた、任意の数の他のコアプロモーター又はミニプロモーターで置換することができる。

0050

本開示は、細胞傷害性遺伝子に機能可能に連結したプロモーターカセットを有する特定のRRVの配列を提供する。例えば、配列番号19は、pAC3-C1.yCD2ベクターを示し、該ベクターは、gag配列、pol配列及びenv配列を含み、env配列の直後にCMVコアプロモーター及び3つの熱安定化変異を含むヒト化シトシンデアミナーゼがあり、その後に3'LTRが続く。配列番号20は同様の構造を示すが、カセットは、S1プロモーター、その後に続くヒトGMCSF導入遺伝子を含む。配列番号21は、先行技術によるRRVベクター「pACE-CD」の配列を示す。配列番号22は、プロモーターカセットがマウスGMCSFに機能可能に連結したS1プロモーターを含む以外は配列番号19及び20と同様の配列を示す。配列番号39は、S1-yCD2カセットを有するRRVの配列を示す。配列番号40は、C1-GFPカセットを有するRRVの配列を示す。配列番号41は、S1-GFPカセットを有するRRVの配列を示す。

0051

用語「発現する」及び「発現」は、遺伝子若しくはDNA配列の情報の顕在化を可能にし、又は引き起こすことを意味し、例えば対応する遺伝子又はDNA配列の転写及び翻訳に関わる細胞機能の活性化によるタンパク質の生産を意味する。DNA配列は細胞内又は細胞により発現され、タンパク質のような「発現産物」を形成する。例えば結果として生じるタンパク質のような発現産物はそれ自身も、細胞によって「発現された」と表現できる。ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、例えば、異種の若しくは天然のプロモーターの制御下で異種の宿主細胞において、又は異種のプロモーターの制御下で天然の宿主細胞において発現若しくは生産される場合に、組換えによって発現される。

0052

本開示は、コア又はミニプロモーターを含むRRVの使用を記載するが、他の「ベクター」は、機能的に連結した遺伝子及び配列を発現するために、かかるコア又はミニプロモーター構築物を含み得る。用語「ベクター」、「ベクター構築物」及び「発現ベクター」は、DNA又はRNA配列(例えば外来遺伝子)を宿主細胞に導入し、それにより宿主を形質転換し導入配列の発現(例えば転写及び翻訳)を促進することができる媒体ベヒクル)を意味する。ベクターは典型的には伝達性媒介物作用物質)のDNAを含み、その中にはタンパク質をコードする異種のDNAが制限酵素技術によって挿入されている。ベクターの代表例は「プラスミド」であり、これは一般に、容易に追加の(異種の)DNAを受け入れることができる自己(内蔵)の二本鎖DNA分子であり、容易に適切な宿主細胞に導入することができる。様々な原核及び真核の宿主における複製及び/又は発現のためのプラスミドや真菌のベクターを始めとする多くのベクターが、既に記載されている。しかし、ほとんどのベクターは、そのベクターにクローニングされ得るものについて、特定のサイズ制限を有する(例えば、プラスミドでは12kb、ラムダバクテリオファージでは20kb、コスミドでは30〜35kb)。これは、レトロウイルスベクターを考慮する際、さらに制限的である。例えば、典型的な複製コンピテントマウスレトロウイルスのゲノムは約8.3kbであり、一方ウイルス遺伝子の通常の補足物に加えてディスポーザブルなsrc配列を含むアルファレトロウイルスRSVのゲノムは約9.3kbである。複製コンピテント脾臓壊死ウイルスベクターの最大サイズは、同様に約10kbである(Gelinas and Temin 1986)(Retroviruses., Coffin JM, Hughes SH, VarmusHE, editors., Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press; 1997)。おそらくレトロウイルスベクターゲノムのサイズ制限は、折り畳まれた二量体RNAのサイズに依存する。さらに、「破壊された」又は複製欠損レトロウイルスベクターは、その複製コンピテント対照物よりも大きい配列を取り込み得る。

0053

本開示は例えば、細胞若しくは被験者に送達可能な、シトシンデアミナーゼを有するポリペプチド又はその変異体;チミジンキナーゼ活性を有するポリペプチド又はその変異体;他のプロドラッグ活性化遺伝子;micro RNA、shRNA又はsiRNA;サイトカイン抗体結合ドメイン又はそれらの組み合わせをコードする異種のポリヌクレオチドを含むレトロウイルス複製ベクターを提供する。レトロウイルスベクターに加えて、本開示の組成物及び方法において使用され得、コア又はミニプロモーターカセットを含むように操作され得る他のウイルスベクターとして、アデノウイルスベクター麻疹ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、レトロウイルスベクター(レンチウイルスベクターを含む)、水泡口内炎ウイルスベクター等のラブドウイルスベクター、レオウイルスベクター、Seneca Valleyウイルスベクター、ポックスウイルスベクター動物ポックスイルス又はワクシニア由来のベクターを含む)、パルボウイルスベクター(AAVベクターを含む)、アルファウイルスベクター又は当業者に知られている他のウイルスベクターが挙げられる(例えば、Concepts in Genetic Medicine, ed. Boro Dropulic and Barrie Carter, Wiley, 2008, Hoboken, NJ.; The Development of Human Gene Therapy, ed. Theodore Friedmann, Cold Springs Harbor Laboratory Press, Cold springs Harbor, New York, 1999; Gene and Cell Therapy, ed. Nancy Smyth Templeton, Marcel Dekker Inc., New York, New York, 2000 and Gene Therapy: Therapeutic Mechanism and Strategies, ed. Nancy Smyth Templetone and Danilo D Lasic, Marcel Dekker, Inc., New York, New York, 2004; Gene and Cell Therapy: Therapeutic Mechanisms and Strategies, Third Edition, ed. Nancy Smyth Templeton,CRCPress, 2008もまた参照されたい;これらの開示内容を参照により本明細書に組み込む)。

0054

本明細書で記載の通り、本開示は、改変レトロウイルスベクターを提供する。改変レトロウイルスベクターはレトロウイルス科に由来し得る。レトロウイルスは様々な方法で分類されるがこの数10年で命名法標準化された(ICTVdB - The Universal Virus Database, 2012 release on the World Wide Web (www) at ncbi.nlm.nih.gov/ICTVdb/ICTVdB/ 及び教科書“Retroviruses” EdsCoffin, Hughs及びVarmus, Cold Spring Harbor Press 1997を参照されたい;その開示内容を参照により本明細書に組み込む)。一実施形態では、レトロウイルス複製ベクターはオルソレトロウイルス又はより典型的にガンマレトロウイルスベクターを含み得る。

0055

レトロウイルス複製ベクターを治療的に用いる多くの場面では、レトロウイルス複製ベクターによってコードされる導入遺伝子の高レベルの発現を有することが有利である。例えば、シトシンデアミナーゼ(CD)遺伝子等のプロドラッグを活性化する遺伝子を用いて、より高いレベルのCDタンパクを細胞内で発現させプロドラッグである5-FCを5-FUにより効率的に変換できるようにすることが有利である。同様に、siRNA又はshRNAの高レベルの発現は、標的遺伝子の発現のより効率的な抑制をもたらす。また、サイトカイン又は単鎖抗体(scAb)又は抗体の結合部分についても、高レベルのサイトカイン又はscAbを発現することが通常有利である。さらに、ベクター又は導入遺伝子の活性を不活性化し又は損なわせる変異がベクターのいくつかのコピー中に存在する場合には、インタクトな導入遺伝子の効率的な発現の確率を高めるため、標的細胞中に複数のコピーを有することが有利である。本開示は標的細胞又は標的細胞集団に複数回感染し、二倍体のゲノムに対して平均して3以上のコピー数をもたらすことができる組換え複製コンピテントレトロウイルスを提供する。本開示はまた、この特徴を試験する方法を提供する。標的細胞又は標的細胞集団に複数回感染し、二倍体のゲノムに対して平均して5以上のコピーをもたらすことができるレトロウイルス複製ベクターを用いて細胞増殖性疾患を治療する方法もまた提供される。

0056

一実施形態では、本開示は、非分裂細胞分裂細胞、又は細胞増殖性疾患を有する細胞に感染可能な組換えレトロウイルスを提供する。本開示の組換え複製コンピテントレトロウイルスは、ビリオン内に封入されたウイルスGAG、ウイルスPOL、ウイルスENVをコードするポリヌクレオチド配列、コア又はミニプロモーターに続く少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを含む治療カセットを含む。

0057

用語「非分裂」細胞は有糸分裂をしない細胞を意味する。非分裂細胞は細胞が活発分裂していない限り、細胞周期の任意の点で阻止されうる(例えば、G0/G1、G1/S、G2/M)。分裂細胞には、オルト又はガンマレトロウイルスベクターが用いられ得る。

0058

「分裂」細胞は活発な有糸分裂又は減数分裂を行っている細胞を意味する。そのような分裂細胞として、幹細胞皮膚細胞(例えば、線維芽細胞及び角化細胞)、生殖細胞及び本分野で知られている他の分裂細胞が挙げられる。分裂細胞という用語に含まれ、かつとりわけ興味深いのは新生細胞等の細胞増殖性疾患を有する細胞である。用語「細胞増殖性疾患」は、異常な数の細胞で特徴付けられる状態を意味する。この状態は、肥大的な(組織中での細胞集団異常増殖をもたらす、細胞の連続的な増殖)及び発育不全的な(組織中での細胞の欠失又は欠乏)細胞の増殖または体内の領域への細胞の過剰な流入又は転移を含み得る。該細胞集団は必ずしもがん化腫瘍化または悪性化細胞ではなく、通常の細胞もまた同様に含み得る。細胞増殖性疾患として、強皮症関節炎、及び肝硬変を含む様々な線維症等の結合組織の異常増殖に関連する疾患が挙げられる。細胞増殖性疾患として、頭頸部細胞腫扁平上皮がん悪性黒色腫鼻腔未分化がん(sinonasal undifferentiated carcinoma (SNUC))、脳(神経膠芽腫を含む)、血液新生物局所リンパ節の細胞腫、肺がん、結腸直腸がん、乳がん、前立腺がん、尿路がん、子宮がんリンパ腫、口腔がん、膵臓がん、白血病、黒色腫、胃がん、皮膚がん、及び卵巣がんが挙げられる(例えば、「DeVita, Hellman, and Rosenberg's Cancer: Principles and Practice of Oncology 9th edition 2011 Wolters Kluwer/Lippincott Williams & Williams for descriptions of these various neoplasia and their current treatments」を参照されたい)。細胞増殖性疾患はまた、間接リウマチO’Dell NEJM 350:2591 2004)及びしばしば免疫系の細胞の不適切細胞増殖によって特徴づけられる他の自己免疫疾患(Mackayら、NEJM 345:340 2001)を含む。

0059

本明細書に記載の通り、本開示のベクター(例えば、RRVベクター)は、異種核酸配列に機能的に連結したコア及び/又はミニプロモーターカセットを含む。上記の通り、本開示のベクター中には、一より多いミニプロモーターカセットが存在し得る。本明細書で用いられる用語「異種」核酸配列又は導入遺伝子は、(i)野生型のレトロウイルスでは通常存在しない配列、(ii)異なる種に由来する配列、又は(iii)同じ種に由来するものである場合、元の形態から実質的に改変され得るものを意味する。また細胞において通常発現していない未変化の核酸配列も異種の核酸配列である。

0060

本開示のベクターの使用目的によって、任意の数の異種のポリヌクレオチド又は核酸配列がレトロウイルスベクターに挿入され得る。任意の所望のポリペプチド配列をコードする追加のポリヌクレオチド配列もまた、本開示のベクターに挿入され得る。異種核酸配列のin vivo送達を目的とする場合には、治療及び非治療配列の両方が用いられ得る。例えば、異種の配列は阻害核酸分子(micro RNA、shRNA、siRNA)を含む治療分子、又は細胞増殖性疾患又は他の遺伝子関連病若しくは疾患に関連する特定の遺伝子に関するリボザイムをコードし得;異種の配列は自殺遺伝子(例えば、HSV-tk又はPNP又はシトシンデアミナーゼ;改変の有無を問わない)、成長因子又は治療タンパク質(例えばFactor IX、IL2、及びGMCSF等)、及びそれらの任意の組合せであり得る。本開示に利用できる他の治療タンパク質又はコード配列は、本分野において容易に特定される。

0061

一実施形態では、ベクター中の異種のポリヌクレオチドはヒト細胞での発現に最適化されたシトシンデアミナーゼ(例えば、配列番号3及び5を参照されたい)を含む。さらなる実施形態では、シトシンデアミナーゼはヒトコドンに最適化された配列を含み、また野生型のシトシンデアミナーゼと比較して、シトシンデアミナーゼの安定性を増加する(例えば、低減された分解又は増加した熱安定性)変異を含む(例えば、配列番号3を参照されたい)。また別の実施形態では、異種のポリヌクレオチドは、UPRT又はOPRT活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと機能的に連結したシトシンデアミナーゼ(ヒトコドン最適化又は非最適化のいずれか、変異型又は非変異型のいずれか)を含む融合構築物をコードする。他の実施形態では、異種のポリヌクレオチドは本開示のCDポリヌクレオチドを含む(例えば、配列番号3、5、11、13、15又は17)。また別の実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、チミジンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヒトコドン最適化配列である(例えば、配列番号75を参照されたい)。

0062

他の実施形態では、本開示のベクター(例えば、RRV)は、シトシンデアミナーゼ活性を含むポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含み得、ウイルスプロモーターからの一次転写物の一部として、又は細胞タイプ若しくは組織特異的であり得るプロモーターに連結した、micro RNA若しくはsiRNA分子を含むポリヌクレオチドをさらに含み得る。

0063

他の実施形態では、本開示は、env遺伝子の下流に、ヒトmiR-128-2一次前駆体(配列番号32)の異種ポリヌクレオチド配列を含む組換えレトロウイルス複製ベクターを提供する。がんにおいて下方調節されるmiRNAは、治療遺伝子の送達のために、ベクターに組込まれ得る。例えば、let-7、miR-26、miR-124、miR181、Mir181d及びmiR-137 (Esquela-Kerscherら、2008 Cell Cycle 7, 759-764; Kumarら、2008 Proc Natl Acad Sci USA 105, 3903-3908; Kotaら、2009 Cell 137, 1005-1017; Silberら、2008BMCMedicine 6:14 1-17)。

0064

本開示の複製レトロウイルスベクターは、腫瘍細胞をはじめとする患部細胞の細胞増殖又は生存を支配する鍵となる遺伝子の発現のスイッチを切り又は低減させる操作されたsiRNA、shRNA又はmiRNA(Dennis, Nature, 418: 122 2002)を発現することによって、病気を治療するために用いられ得る。かかる標的として、それがなければ細胞の増殖が劇的に制限される、DNA修復における中心酵素であるRad51の様な遺伝子が挙げられる。他の標的として、APOBEC3G又はテザリン(tetherin)等の、細胞増殖を支配するか(Marquez & McCaffrey Hum Gene Ther. 19:27 2008)、又はウイルスの複製を阻害する(WE Johnson Current Topics in Microbiology and Immunology 371: 123-151, 2013)多くのシグナル経路分子が挙げられる。siRNA又はmiRNAは、本開示の同じ又は異なるレトロウイルスベクター由来の細胞傷害遺伝子の発現と組み合わされ得る。好適な細胞傷害遺伝子の例として、本開示のシトシンデアミナーゼ又は改変シトシンデアミナーゼが挙げられる。シトシンデアミナーゼと共に発現され得る同じ又は異なるベクターに由来するsiRNA又はmiRNAの例は、シトシンデアミナーゼによる活性化で5-FCから腫瘍又は組織において局所的に生産される5-FUの作用を高め、又は補い得る、チミジル酸シンターゼジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ、又は他の核酸同化又は合成酵素を標的とするsiRNA又はmiRNAである。かかる場合、RRVはCD活性を有するポリペプチドをコードする配列と機能的に連結したコア又はミニプロモーターを有する治療カセットを含み、さらにmiRNAをコードする配列と機能的に連結したpol IIIプロモーターカセットを含むだろう。

0065

使用において、レトロウイルスベクターは、腫瘍又は他の標的組織において複製するだろうし、増殖の阻害が起こる前に、ウイルスは最初、宿主のゲノム中に組込まれ、細胞の増殖が阻害された後もウイルスを作り続ける。機能的なmiRNA又はsiRNAを選択するための方法は、本分野において公知である。本開示のレトロウイルスベクターは、対応するタンパク質が有意に標的とされない他の種由来の細胞を用いて、調製され得る。かかる細胞として、イヌ細胞株又はトリの細胞株が挙げられる。あるいは、ウイルスは、ヒト293由来細胞又は効率的な一過性のトランスフェクションを可能とする他の細胞株への一過性のトランスフェクションによって調製される。この使用のため、siRNA又はmiRNA配列は、ウイルスゲノム都合の良い部位に単純に挿入され得る。この部位は、エンベロープの下流、及び複製レトロウイルスの3'LTRの上流領域を含む。あるいは、pol III転写単位が、適切なsiRNA又はmiRNAと共に、典型的には3'エンベロープ遺伝子の下流で、ウイルスゲノムに挿入され得る。一実施形態では、転写方向は、レトロウイルス複製ベクターのものと同じであろう。いくつかの異なるsiRNA又はmiRNA配列が、効率的な標的遺伝子の下方調節又は一より多い遺伝子の下方調節を確実にするために、挿入され得る。好適な配列及び標的は、当業者に知られる市販の及び学問的な供給源から得られ得る(例えば、MIT/ICBP siRNA Database http:(//)web.mit.edu/sirna/; http:(//)katahdin.cshl.org:9331/ RNAi_web/ scripts/main2.pl、siRNA and shRNAデザインツールを含むRNAi resources (Hannon Lab, Cold Spring Harbor Laboratory); http:(//)www.rnaiweb.com/ General resource; http:(//)genomics.jp/ sidirect/; http:(//)[www].rnainterference.org/; http:(//)bioinfo. wistar.upenn.edu/siRNA /siRNA.htm; http:(//)www(.)ambion.com/ techlib/misc/ siRNA_finder.html (Ambion))。

0066

miRNA標的は、治療カセットにおいて、導入遺伝子の3'であるが3'LTRの前又はミニプロモーターの上流、且つエンベロープの3'末端の後に挿入され得る。一般に、標的はタンパク質コード配列中に挿入されないだろう。

0067

またさらなる実施形態では、異種のポリヌクレオチドは、インターロイキン、又はインターフェロンγ等のサイトカインを含み得る。本開示のレトロウイルスベクターから発現され得るサイトカインとして、限定するものではないが、IL-1α、IL-1β、IL-2(配列番号38)、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、およびIL-21、抗CD40、CD40L、IFN-γ(配列番号36、37、38)およびTNF-α、可溶型TNF-α、リンホトキシン-α(LT-α、TNF-βとしても知られる)、LT-β(LT-α2-βの複合ヘテロ三量体として見出される)、OPGL、FasL、CD27L、CD30L、CD40L、4-1BBL、DcR3、OX40L、TNF-γ(国際公開第WO 96/14328号)、AIM-I(国際公開第WO 97/33899号)、エンドカインα(国際公開第WO 98/07880号)、OPG、及びニュートロカインα(国際公開第WO 98/18921号)、OX40、及び神経成長因子(NGF)、可溶型Fas、CD30、CD27、CD40及び4-IBB、TR2(国際公開第WO 96/34095号)、DR3(国際公開第WO 97/33904号)、DR4(国際公開第. WO 98/32856号)、TR5(国際公開第WO 98/30693号)、TRANK、TR9(国際公開第WO 98/56892号)、TR10(国際公開第WO 98/54202号)、312C2(国際公開第WO 98/06842号)、及びTR12、及び可溶型CD154、CD70、及びCD153が挙げられる。いくつかの実施形態では、血管新生タンパク質が、特に細胞株からのタンパク生産には有用であり得る。かかる血管新生因子として、限定されるものではないが、神経膠腫由来成長因子(GDGF)、血小板由来成長因子-A(PDGF-A)、血小板由来成長因子-B(PDGF-B)、胎盤成長因子(PIGF)、胎盤成長因子2(PIGF-2)、血管内皮増殖因子VEGF)、血管内皮増殖因子A(VEGF-A)、血管内皮増殖因子2(VEGF-2)、血管内皮増殖因子B(VEGF-3)、血管内皮増殖因子B-186(VEGF-B186)、血管内皮増殖因子D(VEGF-D)、及び血管内皮増殖因子E(VEGF-E)が挙げられる。線維芽細胞増殖因子は本開示のベクターを用いて送達され得、限定されるものではないが、FGF-1、FGF-2、FGF-3、FGF-4、FGF-5、FGF-6、FGF-7、FGF-8、FGF-9、FGF-10、FGF-11、FGF-12、FGF-13、FGF-14及びFGF-15が挙げられる。造血性の成長因子は本発明のベクターを用いて送達され得、かかる成長因子には、限定されるものではないが、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)(サルグラモスチム(sargramostim))、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)(フィルグラスチム(filgrastim))、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF、CSF-1)、エリスロポエチンエポエチンα)、幹細胞因子(SCF、c-kitリガンド、造血性幹細胞因子)、巨核球コロニー刺激因子、及びPIXY321(a GMCSF/IL-3)融合タンパク質等が挙げられる。

0068

本開示の方法及び組成物は、アバスタチン、ハーセプチン、又は様々なHDAC阻害剤等の他の認可された薬剤又は生物製剤を用いる療法を含む組み合わせ両方において有用である。

0069

本開示は、本開示のRRVベクターの投与及びそれに続く化学療法剤又は抗がん剤による治療を含む、がん及び新生物等の細胞増殖性疾患を治療するための方法を提供する。一態様において、RRVベクターは、化学療法又は抗がん剤の投与前に、RRVの感染及び複製を可能とする一定の期間、被験者に投与される。被験者はその後、細胞増殖を抑制し、又はがん細胞を殺す投与量及び期間、化学療法剤又は抗がん剤で治療される。一態様では、化学療法または抗がん剤による治療が、がん/腫瘍を縮小させるが、殺すことはできない(例えば部分的な寛解や一時的な寛解)場合、被験者はその後、RCR由来の細胞毒性遺伝子(例えばシトシンデアミナーゼ)を発現する細胞で毒性の治療剤に変換される、非毒性の治療剤(例えば5-FC)で処置され得る。

0070

かかる方法を用いて、本開示のRRVは、腫瘍細胞の複製過程の間に広がり、その後、かかる細胞は、抗がん剤又は化学療法剤による処置によって殺傷され得、さらなる殺傷が、本明細書に記載のRRV処置プロセスを用いて生じ得る。

0071

本開示のさらに別の実施形態では、異種遺伝子は、標的抗原(例えば、がん抗原)のコード配列を含み得る。この実施形態では、細胞増殖性疾患を含む細胞に、標的抗原の発現(例えば、がん抗原の過剰発現)をもたらすために、標的抗原をコードする異種ポリヌクレオチドを含むRRVを感染させる。その後、標的抗原と特異的に相互作用する標的同族部分を含む抗がん剤が被験者に投与される。標的同族部分は、細胞傷害剤に機能的に連結され得るか、又はそれ自身が抗がん剤であり得る。したがって、標的抗原コード配列を含むRRVが感染したがん細胞は、がん細胞上の標的の発現を増加させ、細胞傷害標的の増加した効率/有効性をもたらす。

0072

免疫系の細胞間の相互作用の阻害は、活性化又は抑制のいずれかの有意な免疫学的効果を有することが示されている(Waldmann Annu Rev Med. 57:65 2006; Callahan & Wolchok J Leukoc Biol. 2013 Jul;94(1):41-53. doi: 10.1189/jlb.1212631)。これらの種類の分子の全身性投与は、最小限では有害な副作用を、又はCD28アゴニストの場合には死亡すらももたらし得る、望ましくない全体的な効果を有し得る(Suntharalingamら、NEJM 355 1018 2006)。ファイザー(Pfizer)は、抗がん試薬として一つのかかる抗CTLA-4阻害抗体(CP-675,206)を開発していたが、最近、重大な副作用のため開発を停止した。ブリストルマイヤーズ・スクイブは、CTLA-4阻害モノクローナル抗体である後期の黒色腫に対して認可された製品であるエルボイ(Yervoy)を有するが、これはかなりの毒性を引き起こすことが認められている。細胞外空間に放出されるかかる分子をコードする複製コンピテントベクターによる感染の後に、腫瘍から局所環境に放出される阻害分子の局所送達は、局所的に免疫修飾をもたらし、これらの深刻な副作用を妨げ得る。阻害分子は抗体、単鎖抗体、天然リガンド可溶化バージョン、又はかかる受容体に結合する他のペプチドである。阻害標的は、CTLA-4以外の補助的な免疫相互作用に関与する分子を含む様々な表面分子であるが、当業者には知られている。より小さな単一遺伝子とRRVを用いるかかる戦略の使用におけるさらなる情報は、国際公開第WO2010/036986号、国際公開第WO2010/045002号、国際公開第WO2011/126864号、及び国際公開第WO2012/058673号(これらは、参照により本明細書に組込む)において利用可能であり、本開示のベクターについても同様である。

0073

したがって、本開示は、細胞増殖性疾患を治療するために有用な様々な医薬組成物を含む。本開示に係る医薬組成物は、本開示に係る細胞増殖性疾患を治療し又は修飾するのに有用な異種のポリヌクレオチド配列を含むレトロウイルスベクターを、担体賦形剤及び添加剤又は補助剤を用いて被験者への投与に適した形にすることによって、調製される。より小さな単一遺伝子とRRVを用いるかかる戦略の使用におけるさらなる情報は、国際公開第WO2010/036986号、国際公開第WO2010/045002号、国際公開第WO2011/126864号、及び国際公開第WO2012/058673号において利用可能であり、本開示のベクターについても同様である。

0074

例えば、限定されるものではないが、細胞増殖性疾患の治療に有用なレトロウイルスベクターは広宿主性のENVタンパク質、GAG、及びPOLタンパク質、レトロウイルスゲノムのU3領域におけるプロモーター配列、そして複製、パッケージング及びレトロウイルスゲノムの標的細胞への組み込みに必要な全てのシス作用性配列を含む。

0075

上記及び本明細書の他の箇所で記載されている様に、本開示のベクターは、コア及び/又はミニプロモーターカセットを含み得、さらにIRESカセットを含み得る。内部リボソーム侵入領域(「IRES」Pelletierら、1988, Mol. Cell. Biol., 8, 1103-1112; Jangら、J. Virol., 1988, 62, 2636-2643)は、通常IRESの3'側にあるコード配列の翻訳中にリボソームの侵入又は保持を促進する核酸の領域を意味する。いくつかの実施形態ではIRESはスプライシング受容部位/供与部位を含み得るが、好適なIRESはスプライシングの受容部位/供与部位を欠く。本開示では、治療カセットがプロモーターの3'側にさらにIRESが続くミニプロモーターを含み得ることが熟慮される。

0076

さらに、本開示のRRVは、レトロウイルスポリヌクレオチド配列の5'末端にプロモーター領域を含む。用語「プロモーター領域」は、本明細書において通常の意味で、DNA調節配列を含むヌクレオチド領域を意味し、ここで該調節配列は、RNAポリメラーゼと結合し下流(3'方向)のコード配列の転写を開始することができる遺伝子に由来する。調節配列は所望の遺伝子配列にとって同種のものでも異種のものであってもよい。例えば、上述したウイルス又は哺乳類のプロモーターを含む様々なプロモーターが利用されている。より小さな単一遺伝子を有するRRVを用いるかかる戦略の使用に関するさらなる情報は、国際公開第WO2010/036986号、国際公開第WO2010/045002号、国際公開第WO2011/126864号及び国際公開第WO2012/058673号において利用可能であり、本開示のベクターについても同様である。

0077

一実施形態では、本開示のレトロウイルゲノムは、異種のポリヌクレオチドの発現を実現するために、機能可能なフレームに、所望/異種のポリヌクレオチドの挿入のための、ミニプロモーター下流のクローニング部位を含むミニプロモーターを含む。一実施形態では、少なくとも一つのミニプロモーターがレトロウイルスベクターのenv遺伝子の3'側に位置するが、所望の異種のポリヌクレオチドの5'側に位置する。したがって、所望のポリペプチドをコードする異種のポリヌクレオチドは機能可能にミニプロモーターと連結され得る。

0078

一実施形態では、本開示の組換えレトロウイルスは、ウイルスが特定の細胞タイプ(例えば、平滑筋細胞肝細胞腎臓細胞、線維芽細胞、角化細胞、間葉系幹細胞骨髄細胞軟骨細胞上皮細胞腸細胞乳腺細胞、新生細胞、神経膠腫細胞神経細胞及び当業者に知られる他の細胞)を標的とするよう遺伝的に改変されており、それにより、レトロウイルスベクターの組換えゲノムは、標的非分裂細胞、標的分裂細胞、又は細胞増殖性疾患を有する標的細胞に送達される。

0079

さらなる関連実施形態では、ベクターのターゲティングは、標的ポリペプチドと機能可能に連結したレトロウイルスのENVタンパク質を含むキメラenvタンパク質を用いて達成される。標的ポリペプチドは、細胞特異的な受容体分子、細胞特異的な受容体のリガンド、細胞特異的な抗原エピトープに対する抗体又は抗体断片又は本分野において容易に特定できる標的細胞と結合又は相互作用し得る他の任意のリガンドであってもよい。標的ポリペプチド又は標的分子の例としてビオチンストレプトアビジンをリンカーとして用いた2価抗体(Etienne-Julanら、J. Of General Virol., 73, 3251-3255, 1992; Rouxら、Proc. Natl. Acad. Sci USA 86, 9079-9083, 1989)、ハプテンに対する単鎖抗体の可変領域をコードしている配列をエンベロープ中に含む組換えウイルス(Russellら、Nucleic AcidsResearch, 21, 1081-1085 (1993))、レトロウイルスのエンベロープ中にペプチドホルモンリガンドをクローニングしたもの(Kasaharaら、Science, 266, 1373-1376, 1994、Krueger & Albritton, J. Virol., 87:5916-5925, 2013)、キメラEPO/env構築物(Kasaharaら、1994)、LDL受容体を発現するHeLa細胞への特異的な感染をもたらす、狭宿主性のMLVのエンベロープ中の低密度リポタンパク質(LDL)受容体に対する単鎖抗体(Somia ら、Proc. Natl. Acad. Sci USA, 92, 7570-7574 (1995))が挙げられ、同様にALVの宿主範囲は、インテグリンリガンドの導入によって変更され得、ウイルスは、種を超えてラット神経膠芽腫細胞に特異的に感染できるようにすることができ(Valsesia-Wittmann ら、J. Virol. 68, 4609-4619 (1994))、Dornberg及び共同研究者(Chu and Dornburg, J. Virol 69, 2659-2663 (1995); M. Engelstadterら、Gene Therapy 8,1202-1206 (2001))は、腫瘍マーカーに対する単鎖抗体を含むエンベロープを用いた脾臓壊死ウイルス(SNV)、トリレトロウイルスの組織特異的なターゲティングを報告している。

0080

さらなる関連実施形態では、本開示は調節配列を用いて標的化されるレトロウイルスベクターを提供する。細胞又は組織特異的な調節配列(例えばプロモーター)を特定の細胞集団での遺伝子配列の発現を標的とするために用いることができる。本開示に好適な哺乳類及びウイルスのプロモーターは本明細書の別の箇所で述べる。したがって、一実施形態では、本開示はレトロウイルスゲノムの5'末端に組織特異的なプロモーターエレメントを有するレトロウイルスを提供する。典型的に、例えば、新生細胞にとっての細胞又は組織特異的なプロモーター及びエンハンサー(例えば腫瘍細胞特異的なエンハンサー及びプロモーター)並びに誘導性のプロモーター(例えばテトラサイクリン)をはじめとする組織特異的な調節エレメント/配列は、レトロウイルスゲノムのLTRのU3領域に存在する。

0081

本開示の転写調節配列は、スーパー抗原、サイトカイン又はケモカインをコードしている遺伝子に天然において関連している天然の転写調節領域もまた含み得る。

0082

さらに、所望の発現のレベルに応じて活性の強さが異なる様々なウイルスプロモーターが用いられ得る。哺乳類の細胞においては、CMV最初期プロモーターが強い転写活性を提供するためにしばしば用いられる。抑制された導入遺伝子の発現レベルが望ましい場合には、CMVプロモーターをあまり強くないものに改変したものもまた用いられている。造血性の細胞での導入遺伝子の発現が望ましい場合には、MLV又はMMTVのLTR等のレトロウイルスのプロモーターが用いられ得る。用いることが可能な他のウイルスプロモーターとしては、SV40、RSVLTR、HIV-1及びHIV-2 LTR、アデノウイルスプロモーター(例えばE1A、E2A、又はMLP領域由来)、AAV LTR、カリフラワーモザイクウイルス、HSV-TK、及びトリ肉腫ウイルスが挙げられる。

0083

同様に、標的ではない組織への潜在的な毒性又は望ましくない効果を抑制するために、組織特異的又は選択的なプロモーターが、特定の組織または細胞での転写をもたらすために用いられ得る。例えば、PSA、プロバシン前立腺酸性フォスファターゼ又は前立腺特異的腺性カリクレイン(hK2)等のプロモーターが前立腺での遺伝子発現を標的とするために用いられ得る。乳組織での発現のために乳清アクセサリータンパク質(Whey accessory protein(WAP))が用いられ得る(Andresら、PNAS 84:1299-1303, 1987)。

0084

「組織特異的調節エレメント」は、他の組織タイプではほぼ「沈黙」を保つ一方で、一つの組織で遺伝子の転写を駆動することができる調節エレメント(例えばプロモーター)である。しかし、組織特異的なプロモーターが、それらが沈黙している組織において、検出可能な量の「背景」又は「基礎」の活性を有し得る点は理解されるだろう。プロモーターが標的組織において選択的に活性化される程度は選択比(標的組織での活性/対照組織での活性)として表すことができる。この点において、本開示の実施に有用な組織特異的プロモーターは、典型的に約5より大きい選択比を有する。好適には、選択比は約15より大きい。

0085

幾つかの症状においては、本開示のレトロウイルス組換え複製ベクター(RRV)の投与の特定の時間後に転写が活性化されることが望ましいことがあり得る。これはホルモン又はサイトカインにより調節可能なプロモーターによりなされ得る。例えば、特定のステロイドが生産されまたは送られてくる性腺組織が指標となる治療の適用においては、アンドロゲン又はエストロゲンに調節されるプロモーターの使用が有利であり得る。ホルモンにより調節可能なかかるプロモーターとしては、MMTV、MT-1、エクジソン及びルビスコが挙げられる。胸腺下垂体及び副腎ホルモン反応性のあるものなどの、他のホルモン調節性プロモーターが用いられてもよい。より小さな単一遺伝子を有するRRVを用いる、調節される、又は組織特異的なプロモーターの戦略の使用に関するさらなる情報は、国際公開第WO2010/036986号、国際公開第WO2010/045002号、国際公開第WO2011/126864号及び国際公開第WO2012/058673号において利用可能であり、本開示のベクターについても同様である。

0086

さらに、このプロモーターのリストは、網羅的又は限定的であると解釈されるべきではなく、当業者は本明細書で開示したプロモーター及び方法と併せて用いることができる他のプロモーターを知っているだろう。

0087

さらに、幾つかのプロモーターが、一つの組織タイプに活性が制限されない一方で、にもかかわらず一つの組織グループでは活性であり得、他の組織グループではあまり活性でないか沈黙しているという選択性を示すことは理解されるだろう。そのようなプロモーターもまた、「組織特異的」という用語が用いられ、本開示の使用のために熟慮される。例えば、様々な中枢神経系(CNS)のニューロンにおいて活性なプロモーターは、脳の多くの異なった領域のいずれかに影響を及ぼし得る脳卒中によるダメージを保護するのに治療的に有用であり得る。したがって、本開示で用いられる組織特異的な調節エレメントは、本レトロウイルスベクターの標的ポリヌクレオチド配列として適用性があるだけでなく、異種のタンパク質の調節にも適用性がある。

0088

本開示のレトロウイルスベクター及び方法は、増殖しビリオンを生産するためにヘルパーウイルス又は追加の核酸配列若しくはタンパク質を必要としない複製コンピテントレトロウイルスを提供する。例えば、上述したように、本開示のレトロウイルスの核酸配列は、グループ特異的な抗原及び逆転写酵素(並びに成熟及び逆転写に必要なインテグラーゼ及びプロテアーゼ酵素)を、それぞれコードしている。ウイルスgag及びpolは、レンチウイルス、例えばHIV又はがんウイルス又はガンマレトロウイルス、例えばMoMLVに由来し得る。さらに、本開示のレトロウイルスの核酸ゲノムはウイルスエンベロープ(ENV)タンパク質をコードする配列を含む。env遺伝子は任意のレトロウイルス又は他のウイルスに由来し得る。envはヒト及び他の種の細胞への形質導入を可能とする広宿主性のエンベロープタンパク質であってもよいし、マウス及びラット細胞にしか形質導入することができない狭宿主性のエンベロープタンパク質であってもよい。一実施形態では、env遺伝子は非レトロウイルス(例えばCMV又はVSV)に由来する。レトロウイルス由来のenv遺伝子の例として、限定されるものではないが:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳がんウイルス(MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びラウス肉腫ウイルス(RSV)が含まれる。水泡性口内炎ウイルスV(VSV)(Protein G)、サイトメガロウイルスエンベロープ(CMV)、又はインフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)等の他のenv遺伝子もまた用いられ得る。

0089

一実施形態では、レトロウイルスゲノムは、オンコレトロウイルス、より具体的には哺乳類のオンコレトロウイルスに由来する。さらなる実施形態では、レトロウイルスゲノムはガンマレトロウイルス、より具体的には哺乳類のガンマレトロウイルスに由来する。「由来する」は、親ポリヌクレオチド配列が、挿入又は天然の配列の除去(例えばミニプロモーターの挿入、目的のポリペプチド又は抑制性核酸をコードする異種のポリヌクレオチドの挿入、野生型のプロモーターの、異なるレトロウイルス又はウイルス由来のより効率的なプロモーターへの交換など)により改変されている野生型がんウイルスであることを意味する。

0090

不完全であり、感染性ウイルス粒子を生産するために補助を必要とする、本分野における通常の方法によって生産される組換えレトロウイルスとは異なり、本開示は、複製コンピテントであるレトロウイルスを提供する。

0091

さらに別の実施形態では、本開示は組換えレトロウイルスに由来する構築物を含むプラスミドを提供する。プラスミドは、NIH3T3又は他の組織の培養細胞等の標的細胞又は培養細胞に直接導入することができる。得られる細胞は、培養培地中にレトロウイルスベクターを放出する。

0092

他の実施形態では、本開示のレトロウイルス複製ベクターによりトランスフェクトされた宿主細胞が提供される、宿主細胞として、酵母細胞昆虫細胞、又は動物細胞等の真核細胞が挙げられる。宿主細胞として、細菌細胞などの原核細胞もまた含まれる。

0093

本明細書で提供されるベクター(例えば、レトロウイルス複製ベクター)により形質導入(形質転換又はトランスフェクト)された、操作された宿主細胞もまた提供される。操作された宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択、又はコードポリヌクレオチドの増幅に適切なように改変された従来の栄養培地において培養され得る。温度及びpH等の培養条件は、発現について選択される宿主細胞により以前に用いられたものであり、当業者には明らかであり、例えば、Freshney (1994) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 3rd ed. (Wiley-Liss, New York) 、及びstem cells of various kinds(world wide web at stembook.org)をはじめとする、本明細書で引用した文献、並びにそれらにおいて引用された文献において、明らかである。かかる宿主細胞は、感染した細胞を動物又は被験者(例えば、患者)に投与することによって、RRVの送達にも用いられ得る。

0094

適切な発現宿主の例として、大腸菌(E.coli)、枯草菌(B. subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、及びネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)等の細菌細胞;サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキアパストリス(Pichia pastoris)、及びアカパンカビ(Neurospora crassa)等の真菌細胞ショウジョウバエ及びヨトウガ等の昆虫細胞;CHO、COS、BHK、HEK 293又はBowes黒色腫等の哺乳動物細胞;又は植物細胞又は移植片等が挙げられる。典型的に、ヒト細胞又は細胞株が用いられるだろう;しかし、本開示のベクター及びポリヌクレオチドを、配列決定、増幅及びクローニングの目的のために、非ヒト宿主細胞へクローニングすることが望ましいものであり得る。

0095

本開示は5'から3'にかけて:転写を開始するために有用なプロモーター又は調節領域;psiパッケージングシグナル;gagをコードする核酸配列、polをコードする核酸配列;envをコードする核酸配列;(a)それぞれが治療ポリヌクレオチド配列に機能可能に連結した、コアプロモーター及び少なくとも一つの追加のプロモーター、又は(b)マーカー、治療又は診断ポリペプチドをコードする異種のポリヌクレオチドに機能可能に連結した少なくとも一つのミニプロモーターを含む治療カセット;並びにLTR核酸配列を含むポリヌクレオチド構築物を提供する。本明細書の別の箇所で記載する様に、本開示のポリヌクレオチド構築物の様々な部分(例えば、組換え複製コンピテントレトロウイルスのポリヌクレオチド)は、所望の宿主細胞、発現のタイミング又は量、及び異種のポリヌクレオチドに部分的に依存して設計される。本開示の複製コンピテントレトロウイルス構築物は、幾つかのドメインに分割することができ、それらは当業者によって各々改変されうる。

0096

例えば、ウイルスプロモーターは、配列番号19、20又は22に記載の配列のヌクレオチド1からヌクレオチド約582を有するCMVプロモーターを含み得、改変されたプロモーターが転写を誘導し開始させることができる限りにおいて、一以上の改変(例えば、2〜5、5〜10、10〜20、20〜30、30〜50、50〜100又はそれ以上の核酸塩基)を含み得る。一実施形態では、プロモーター又は調節領域はCMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドを含む。CMV-R-U5ドメインは、MLVのR-U5領域にヒトサイトメガロウイルス由来の最初期のプロモーターを含む。一実施形態では、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドは、配列番号19、20若しくは22に記載の配列のヌクレオチド約1からヌクレオチド約1202、又は配列番号19、20若しくは22の配列と少なくとも95%同一である配列を含み、ここで該ポリヌクレオチドは、それに対して機能可能に連結した核酸分子の転写を促す。ポリヌクレオチドのgagドメインは、任意の数のレトロウイルスに由来し得るが、典型的には、オンコレトロウイルス、及びより具体的には哺乳動物のオンコレトロウイルスに由来する。一実施形態では、gagドメインはヌクレオチド番号約1203からヌクレオチド約2819までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%又は99.8%(最も近い10分の1の値まで四捨五入した)の同一性を有する配列を含む。ポリヌクレオチドのpolドメインは任意の数のレトロウイルスに由来し得るが、典型的には、オンコレトロウイルス、及びより具体的には哺乳動物のオンコレトロウイルスに由来する。一実施形態ではpolドメインはヌクレオチド番号約2820から約6358までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%若しくは99.9%(最も近い10分の1の値まで四捨五入した)の同一性を有する配列を含む。ポリヌクレオチドのenvドメインは任意の数のレトロウイルスに由来し得るが、一般的には、オンコトロウイルスまたはガンマレトロウイルス、及びより具体的には哺乳動物のオンコレトロウイルスまたはガンマレトロウイルスに由来する。幾つかの実施形態ではenvをコードするドメインは広宿主性のenvドメインを含む。一実施形態では、envドメインはヌクレオチド番号約6359からヌクレオチド約8323までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%又は99.8%(最も近い10分の1の値まで四捨五入した)の同一性を有する配列を含む。env終止コドンの3'は、少なくとも一つのコアプロモーターカセット及び/又はミニプロモーターカセットを含む治療カセットであり、それぞれが異種ドメインに機能可能に連結した、pol IIIプロモータ—カセット及び/又はIRESカセット(例えば、シトシンデアミナーゼ又はチミジンキナーゼ活性を有するポリペプチド等の治療分子をコードする配列)をさらに含み得る。異種ドメインは、本開示のシトシンデアミナーゼ又はチミジンキナーゼを含み得る。一実施形態では、CDポリヌクレオチドは、ヒトコドンに最適化された配列を含む。また別の実施形態では、CDポリヌクレオチドはシトシンデアミナーゼを有する変異体ポリペプチドをコードしており、ここで該変異は、融点(Tm)を10℃上げる熱安定性の向上に寄与し、それにより広い温度域での動力学的活性の維持及び蓄積されるタンパク質のレベルの増加が可能となる。別の実施形態では、異種ドメインは、配列番号75を含み、チミジンキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヒトコドン最適化配列である。

0097

本開示は、5'から3'にかけて、CMV-R-U5、MLVのR-U5領域への、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期プロモーターの融合物;PBS、逆転写酵素のためのプライマー結合部位;5'スプライス部位;ψパッケージングシグナル;gag、MLVグループ特異的な抗原のためのORF;pol、MLVポリメラーゼポリタンパク質のためのORF;3'スプライス部位;4070A env、MLV4070A株のエンベロープタンパク質のためのORF;治療分子(例えば、(熱安定化及びコドン最適化)改変シトシンデアミナーゼ)をコードする異種ポリヌクレオチドと機能可能に連結した少なくとも一つのミニプロモーターを含む治療カセット;PPT、ポリプリントラクト;並びにU3-R-U5、MLV長末端反復配列を含む組換えレトロウイルスベクターもまた提供する。

0098

さらに、本明細書で記載される治療法(例えば、遺伝子療法又は遺伝子送達方法)は、in vivo又はex vivoで実施され得る。遺伝子療法に先立って、例えば外科的に又は放射線によって腫瘍の大部分が除去されていることが好適であり得る。幾つかの態様において、レトロウイルス療法は外科的療法、化学療法または放射線療法に先立って又はその後になされ得る。幾つかの実施形態では、ステロイドがベクターと共に(前に、間に、又は直後に)共投与される。

0099

以下の実施例は本開示を詳細に説明するためのものであって、本開示を限定するものではない。かかる実施形態は、本発明で使用され得る典型的なものであって、当業者に知られる他の方法が代わりに用いられ得る。

0100

実施例1:emd.GFP遺伝子及びtk遺伝子のベクター安定性
ヒト神経膠腫細胞株U87-MGの初期継代物を完全培養培地で培養した。ナイーブ細胞を、感染させる前日に6ウェルプレートウェル当たり細胞2×105個で播種した。異なるプラスミド由来のベクターを、293T細胞に対する一過性トランスフェクションによって調製し、上清採取する。力価を記載通り測定し(WO2010036986、Perezら、Mol. Ther.、2012)、典型的に約106TU/mlである。pAZに基づくベクターは、pAC3に基づくベクターと同様であるが、出発プラスミドが、ハイブリッドCMVLTRプロモーターではなくウイルスRNA転写物全体を駆動するLTRプロモーターを有する(図8)。その後、どちらの種類のプラスミド由来のウイルス粒子も、ゲノムの5'末端と3'末端の両方に完全なMLV LTRを有する。感染の第1のサイクルを、4μg/mLのポリブレンの存在下、算出された力価(TU/mL)に従ってMOI0.1で実施する。その後の感染では、感染細胞によって産生されるウイルス上清の10分の1をナイーブ細胞に感染させるために使用する。各感染サイクルにおいて、感染後4日目に感染細胞を6ウェルプレートに継代する。感染後7日目に、その後の感染のために感染細胞由来のウイルス上清を採取し、IRES-PCRによってベクター安定性を評価するためのゲノム抽出用に細胞を回収する。PCRのために使用するプライマーは、IRES-F: 5'-CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3'(配列番号54)及びIRES-R: 5'-CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3'(配列番号54)である。pAZ.A1.emd及びpAZ.S1.emdに由来する、emd(GFP)を発現するベクター内のA1プロモーター及びS1プロモーターはpAZ.C1.emdに由来するベクターよりもわずかに安定であると思われるが、経験により、この試験において6回の継代まで安定なベクターが有用であり、安定であると思われ、適切な遺伝子を持たせた場合、マウス腫瘍モデルにおいて治療的であることが示された(CR. Loggら、Hum Gene Ther 12:921-932、2001; Logg & Kasahara in Methodsin Molecular Biology、246巻: Gene Delivery to Mammalian Cells: 2巻: Viral Gene Transfer Techniques pp499-525.、W. C. Heiser(著作権) Humana Press Inc.、Totowa、NJ編)。ヒトに使用するためには、さらに安定であることが好ましい(8〜12回の継代を越えて)。pAZ.S1.sr39tk由来のベクター及びpAZ.S1.tko由来のベクターの安定性は増大している(したがって有用である)。sr39tk遺伝子(M. Blackら Cancer Res 2001;61:3022-3026)は、ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子の、変異させた機能的に最適化したバージョンであり、tko遺伝子はsr39遺伝子のヒトコドン最適化したバージョンである。

0101

実施例2:GFP発現を駆動するC1コアプロモーター及びS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターの構築及び配置
レトロウイルス複製ベクターpAC3-C1.GFP及びpAC3-S1.GFPをpAC3-yCD2の骨格から得た。pAC3-yCD2プラスミドDNAをMlu I及びNot Iでエンドヌクレアーゼ消化することによってpAC3骨格を単離した。pAZ-C1.GFPプラスミドDNA及びpAZ.S1.GFPプラスミドDNAをMlu I及びNot Iでエンドヌクレアーゼ消化することによってそれぞれC1.GFPのDNA配列及びS1.GFPのDNA配列を単離し、その後、単離されたDNA断片をpAC3骨格内の対応する制限酵素部位に挿入した。

0102

実施例3:CD発現を駆動するC1、S1及びS2コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターの構築及び配置
レトロウイルス複製ベクターpAC3-C1.yCD2及びpAC3-S1.yCD2をpAC3-yCD2の骨格から得た。pAC3-yCD2プラスミドDNAをMlu I及びNot Iでエンドヌクレアーゼ消化することによってpAC3骨格を単離した。C1.yCD2、S1.yCD2及びS2.yCD2のDNA配列を、その後のpAC3骨格内の対応する部位へのクローニングのために、DNA断片の各末端にMlu I制限酵素部位及びNot I制限酵素部位が存在するように合成した。

0103

実施例4:hGMCSF及びmGMCSF発現を駆動するEMCV IRES及びC1又はS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターの構築及び配置
レトロウイルス複製ベクターpAC3-hGMCSF及びpAC3.S1-hGMCSF、pAC3-mGMCSF及びpAC3.S1-mGMCSF(例えば、図8を参照されたい)をpAC3-yCD2ベクターの骨格から得た(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20110217267A1号を参照されたい)。pAC3-hGMCSFベクター及びpAC3-mGMCSFベクターについては、ベクターのpAC3骨格を、pAC3-yCD2プラスミドDNAをPsi I及びNot Iでエンドヌクレアーゼ消化することによって単離した。ヒトGMCSF遺伝子及びマウスGMCSF遺伝子のcDNA配列を、それぞれ、DNA断片の各末端にPsi I制限酵素部位及びNot I制限酵素部位を入れて合成し、その後、pAC3骨格内の対応する部位にクローニングした。pAC3.S1-hGMCSFベクター及びpAC3.S1-mGMCSFベクターについては、pAC3-yCD2プラスミドDNAをMlu I及びNot Iでエンドヌクレアーゼ消化することによってベクターのpAC3骨格を単離した。S1-hGMCSF及びS1-mGMCSFのDNA配列を、それぞれ、DNA断片の各末端にMlu I制限酵素部位及びNot I制限酵素部位を入れて合成し、その後、pAC3骨格内の対応する部位にクローニングした。

0104

実施例5:GFP発現を駆動するC1及びS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターのベクター安定性及び導入遺伝子の発現
エメラルドGFPの発現を駆動するコアプロモーターを有するpAC3に基づくベクター(pAC3-C1.emd及びpAC3-S1.emd(emd、別名GFP)を記載の通り構築し、emd.GFP遺伝子の発現を駆動するために内部IRESを使用した同等のベクターであるpAC3.emd(aka pAC3-GFP、Perezら、Mol. Ther. 2012)と比較した。感染性ベクターを先の通り一過性トランスフェクションによって調製した。ヒト神経膠腫細胞株U87-MGの初期継代物を完全培養培地で培養した。ナイーブ細胞を、感染の前日に6ウェルプレートにウェル当たり細胞2×105個で播種した。感染の第1のサイクルを、4μg/mLのポリブレンの存在下、算出された力価(TU/mL)に従ってMOI0.1で実施した。その後の感染では、感染細胞によって産生されるウイルス上清の10分の1をナイーブ細胞に感染させるために使用した。各感染サイクルにおいて、感染後4日目に感染細胞を6ウェルプレートに継代した。感染後7日目に感染細胞由来のウイルス上清をその後の感染のために採取し、IRES-PCRによってベクター安定性を評価するためのゲノム抽出用に細胞を回収した。PCRのために使用したプライマーは、IRES-F: 5'-CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3'(配列番号54)及びIRES-R: 5'-CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3'(配列番号55)であった。

0105

図2Aにおいて見られるように、C1コアプロモーターを含むベクターのバージョン(pAC3-C1.emd)は、IRESにより駆動されるemd.GFP発現ベクター(pAC3-emd)と同等の安定性を有するが、S1(SCP1)コアプロモーターを有するバージョン(pAC3-S1.yCD2)はさらに安定である。

0106

異なるベクターを感染させた3種のヒト神経膠芽腫細胞株(U87-MG、1306-MG及びT98G)におけるGFP発現のレベルを、GFP陽性細胞の適切なゲーティングを使用したフローサイトメトリーによって平均蛍光強度を測定することにより調査した。ナイーブ細胞を、感染の前日に6ウェルプレートにウェル当たり細胞2×105個で播種した。ウイルス感染を、4μg/mLのポリブレンの存在下、算出された力価(TU/mL)に従ってMOI0.1で実施した。感染後7日目に、GFP陽性細胞の百分率及び平均蛍光強度(MFI)を測定するためのフローサイトメトリー分析のために細胞を回収した。図4Aに結果が示され、これらのベクターの全てからの発現が実証されている。IRES依存性発現系では、本実施例で調査した3種の異なる神経膠芽腫細胞株の全てについて、感染細胞においてS1プロモーター構築物の約5倍高いレベルのGFP発現が示されたが、絶対的な発現のレベルも3種の細胞株にわたって約5倍変動した。

0107

実施例6:CD発現を駆動するC1及びS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターのベクター安定性及びpACE-yCD2との比較
CDの発現を駆動するコアプロモーターを有するpAC3に基づくベクター(pAC3-C1.CD及びpAC3-S1.CD)を記載の通り構築し、対応する感染性ベクター調製物をpAC3.yCD2由来のベクター(O.D. Perezら、Mol. Ther.、2012)と比較した。ヒト神経膠腫細胞株U87-MGの初期継代物を完全培養培地で培養した。ナイーブ細胞を、感染の前日に6ウェルプレートにウェル当たり細胞2×105個で播種した。感染の第1のサイクルを、4μg/mLのポリブレンの存在下、算出された力価(TU/mL)に従ってMOI0.1で実施した。その後の感染では、感染細胞によって産生されるウイルス上清の10分の1をナイーブ細胞に感染させるために使用した。各感染サイクルにおいて、感染後4日目に感染細胞を6ウェルプレートに継代した。感染後7日目に感染細胞由来のウイルス上清をその後の感染のために採取し、IRES-PCRによってベクター安定性を評価するためのゲノム抽出用に細胞を回収した。PCRのために使用したプライマーは、IRES-F: 5'-CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3'(配列番号54)及びIRES-R: 5'-CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3'(配列番号55)であった。相対的な安定性が図2Bに示されており、それにより、C1.yCD2ベクターは他の2つのベクターよりも安定性が低く、その2つのベクターの安定性はほぼ同等であり、S1.yCD2ベクターの安定性の方がIRESベクター(pAC3-yCD2)よりもわずかに高いと思われることが示される。

0108

実施例7:293T細胞にトランスフェクトした後の、CD発現を駆動するC1及びS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターの導入遺伝子の発現及びpAC3-yCD2との比較
293T細胞にトランスフェクトした後のベクターからのCD発現のレベルを、CDに対する抗体を使用した免疫ブロッティングによって検出した(図4B)。トランスフェクトする前日に、ナイーブ細胞を10cmのプレート当たり細胞2×106個で播種した。各ベクターのウイルスゲノムをコードするプラスミドDNAを使用して、リン酸カルシウム法による一過性トランスフェクションを実施した。トランスフェクションの40時間後に細胞を回収し、溶解させて細胞溶解物を得た。細胞溶解物のタンパク質濃度を、GAPDHによって示されるタンパク質負荷量と同等になるように決定した。図4Bには、これらのベクターの全てからの発現を実証する結果が示されており、IRES系ではS1プロモーター構築物よりも約15倍高いレベルの発現がもたらされた。図4Cには、pAC3-C1.yCD2とpAC3-S1.yCD2の両方における、pAC3-yCD2由来ベクターを用いて完全に形質導入したU87細胞由来細胞抽出物のウエスタンブロットが示されている。pAC3-yCD2についてはCDタンパク質バンドが容易に検出可能であるが、pAC3-C1.yCD2及びpAC3-S1.yCD2を感染させた細胞由来のCDタンパク質はこのアッセイで検出されるには不十分であった。

0109

実施例8:ヒト及びマウスGM-CSF発現を駆動するIRES又はS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターの複製速度論、ベクター安定性及び導入遺伝子の発現
pAC3-IRES.hGMCSF、pAC3-S1.hGMCSF及びpAC3-emdの複製速度論をU87-MGにおいてqRT-PCRにおいて評価した。pAC3-IRES.mGMCSF、pAC3-S1.mGMCSF及びpAC3-emdの複製速度論をEMT6(マウス乳がん細胞株)において評価した。ナイーブ細胞を、感染の前日に細胞1×105個(U87-MG)又は細胞5×104個(EMT6)で6ウェルプレートに播種した。ウイルス感染を、4μg/mLのポリブレンの存在下、算出された力価(TU/mL)に従ってMOI0.1(U87-MG)又はMOI 1(EMT6)で実施した。感染の全過程中、各継代時に(U87-MGについては2日毎、及びEMT6細胞については3〜4日毎)同等数の感染細胞を播種し、感染細胞から産生されるウイルス上清を様々な時点で採取し、-80oCの冷凍装置内で保管した。採取したウイルス上清の試料を処理して、ウイルスRNAを得(Maxwell 16LEV simplyRNA Cells Kit、Promega)、その後、qRT-PCRを行った。各時点における1ml当たりのウイルスRNAコピー数をqRT-PCRに含めた標準曲線から決定する。

0110

図5A及び図5Bにベクターの増殖速度論の結果が示されており、ヒト細胞及びマウス細胞において、ベクターの全てが標的細胞において典型的なpAC3-emdベクターと同様の速度論で増殖することが実証されている。

0111

ヒト神経膠腫細胞株U87-MGの初期継代物を完全培養培地で培養した。ナイーブ細胞を、感染の前日に6ウェルプレートにウェル当たり細胞2×105個で播種した。pAC3-hGMCSF、pAC3-S1.hGMCSF及びpAC3-emd由来の感染性ウイルスベクターを用いた感染の第1のサイクルを、4μg/mLのポリブレンの存在下、算出された力価(TU/mL)に従ってMOI0.1で実施した。その後の感染では、感染細胞によって産生されるウイルス上清の10分の1をナイーブ細胞に感染させるために使用した。各感染サイクルにおいて、感染後4日目に感染細胞を6ウェルプレートに継代した。感染後7日目に感染細胞由来のウイルス上清をその後の感染のために採取し、IRES-PCRによってベクター安定性を評価するためのゲノム抽出用に細胞を回収した。PCRのために使用するプライマーは、IRES-F: 5'-CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3'(配列番号54)及びIRES-R: 5'-CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3'(配列番号55)である。段階的な継代に対する安定性プロファイルが図3に示されており、S1プロモーターを含むベクターはIRES-hGMCSFベクターと少なくとも同様に安定であるが、マウスGMCSF S1ベクターに関してはIRESバージョンよりも安定であることが実証されている。

0112

ヒト及びマウスGM-CSFの発現を駆動するコアプロモーターを有するpAC3に基づくベクター(pAC3-S1.hGMCSF及びpAC3-S1.mGMCSF)を構築し、それぞれpAC3-IRES.hGMCSF及びpAC3-IRES.mGMCSFと比較した。構築物から、記載されている通り一過性トランスフェクションによってベクター調製物を作製した。ベクターをトランスフェクトした293T細胞をhGMCSF及びmGMCSFの産生についてアッセイし、図4D及び図4Gは、これらのタンパク質の発現がトランスフェクトした細胞において観察されること、及びトランスフェクトした細胞により、IRES発現系を使用したベクターとS1コアプロモーター系を使用したベクターのどちらからも、それぞれほぼ同じレベルのヒトGMCSF又はマウスGMCSFが生じることを示している。しかし、図4E及び図4Fには、完全に感染させたU87細胞及びPC3細胞において、それぞれ、S1プロモーターによって駆動されるhGMCSF発現がIRES配置の3倍低いことが示されている。同様に、図4Hには、マウスEMT6細胞において、感染後のmGMCSF発現に関してS1プロモーターがIRESベクターよりも効率が悪いことが示されている。

0113

実施例9:yCD2を駆動するC1びS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターのpAC3-yCD2と比較して不十分な導入遺伝子の発現
293T細胞におけるCD発現のレベルを、CDに対する抗体を使用した免疫ブロッティングによって検出した(図4B)。ナイーブ細胞を、トランスフェクション前日に10cmのプレート当たり細胞2×106個で播種する。各ベクターのウイルスゲノムをコードするプラスミドDNAを使用して、リン酸カルシウム法による一過性トランスフェクションを実施した。トランスフェクションの40時間後に、細胞を回収し、溶解させて細胞溶解物を得る。細胞溶解物のタンパク質濃度を、GAPDHによって示されるタンパク質負荷量と同等になるように決定する。図4Bには、これらのベクターの全てからの発現を実証する結果が示されており、IRES系では、S1プロモーター構築物よりも約15倍高いレベルの発現がもたらされた。さらに、図4Cには、完全に感染させたU87-MG細胞における免疫ブロットにおいて、pAC3-yCD2由来のベクター(IRESベクター)を感染させた細胞ではCDタンパク質が発現されたが、C1.yCD2ベクターとS1.yCD2ベクターのどちらにおいてもyCD2の発現は検出不可能であることが示されている。

0114

実施例10:yCD2発現を増加させるための、ヒト細胞におけるpAC3-S1.yCD2ベクターを使用したin vitroにおける正の選択
完全に感染させたpAC3.S1.yCD2ベクターの正の選択を、感染していない細胞又は低レベルのyCD2を発現する細胞のピリミジン枯渇媒介性細胞死を導く、ピリミジンの新規合成の阻害剤であるN-(ホスホンアセチル)-L-アスパラギン酸(PALA)を同時に与えることによって実施する。培養物にシトシンを添加すると、それにより、高レベルのyCD2遺伝子を発現する細胞がピリミジンサルベージ経路によってレスキューされる。下記の方法は、実験室で使用されるU87神経膠芽腫由来細胞株に適用されるが、異なる腫瘍型に由来する多数の異なる細胞株に同じ手順を用いることができる。これらの場合、実際の試薬の濃度及びステップのタイミングは、細胞の成長の速度及び細胞株の最初の感染率によって決定される。そのような調整は、当業者が必要に応じて行うことができ、また、方法を実施する過程で決定される。さらに、この最適化手順は、複製ベクター内の、選択可能な遺伝子を駆動する任意のプロモーターに用いることができる。また、実際の試薬濃度及び選択のタイミングの他の変形が可能であり得る。

0115

ナイーブU87細胞を死滅させるために必要なPALA濃度をまず決定し、pAC3-yCD2ベクターを感染させたU87細胞及びpAC3.S1-yCD2ベクターを有するU87細胞について決定した。前日に、細胞を96ウェルプレートに細胞3×103個で播種した。細胞を播種した24時間後に、0.00975μM、0.039μM、0.156μM、0.625μM、2.5μM、10μM、40μM及び160μMのPALAを連続して5日間にわたって培養物に添加し、その後、細胞の生存能力を決定するためにMTSアッセイを行った。図6には、PALAのIC50が8〜30μMにわたることが示されている。様々な培養物中シトシン濃度(0.2mM、1mM、5mM、10mM)も上記と同じ実験を実施することによって決定した。これにより、試験した全ての濃度のシトシンが細胞により許容されることが示される。

0116

in vitroにおける正の選択のために、前日にナイーブU87細胞を6ウェルプレートに細胞1×105個で播種する。次の日に、細胞に、pAC3-yCD2ベクター(陽性対照)、及びそれとは別にpAC3.S1-yCD2ベクターを、それぞれ0.1のMOIで感染させる。感染の48時間後に(約20%の感染性)、1μMのPALA及び10mMのシトシンを、ナイーブU87細胞を含有する培養物(陰性対照)、pAC3-yCD2ベクターを感染させたU87細胞を含有する培養物(陽性対照)及びpAC3.S1-yCD2を有するU87細胞を含有する培養物に連続して5日間にわたって添加し、その時点で、ナイーブU87細胞を用いた新しい感染のラウンドのために培養上清を採取する。PALA及びシトシンの存在下での感染サイクルを、PALAの濃度を以下の通り上昇させながら12回繰り返す(サイクル1〜2:1μM、サイクル3〜4:3.3μM、サイクル5〜6:10μM、サイクル7〜8:20μM、及びサイクル9〜12で:0μM)。選択の最後に、細胞を単離し、30μMのPALA及び10mMのシトシンの存在下で増殖させる。正の選択の結果として細胞の生存能力が増大したことを実証するためにMTSアッセイを実施する。選択前にpAC3.S1.yCD2ベクターを感染させた細胞は、CD発現が低いことに起因してサルベージ経路を効率的に利用することができない。対照的に、pAC3.S1-yCD2ベクターを感染させた細胞では、選択後、pAC3-yCD2ベクターを感染させた細胞に匹敵する高い細胞の生存能力が示される。

0117

高い細胞の生存能力がCD発現の上方制御に起因することを確認するために、ウエスタンブロットを実施してCD発現を調査する。細胞を回収し、溶解させて細胞溶解物を得る。細胞溶解物のタンパク質濃度を、免疫ブロットにおいてGAPDHによって示されるタンパク質負荷量と同等になるように決定する。データにより、pAC3.S1-yC2ベクターを感染させたU87細胞由来の細胞抽出物からのCD発現は、pAC3-yCD2によるものに匹敵することが示されている。次いで、pAC3.S1-yCD2ベクターを感染させたU87細胞からゲノムDNAを単離し、以下のプライマーセットを使用してPCRによってS1-yCD2領域を増幅する。IRES-F: 5'-CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3'(配列番号54)及びIRES-R: 5'-CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3'(配列番号55)。生じたPCR産物を、配列決定分析のためのPCRクローニング用に単離する。配列決定の結果により、S1コアプロモーターにおいて多数の変異が生じることが示されている。その後、変異が同定されたS1プロモーターを、上記の通りpAC3骨格にサブクローニングするためにDNA断片の各末端にMlu I部位及びNot I部位を入れて合成する。それにより生じた、最適化されたS1プロモーターを含むベクターをpAC3.mtS1-yCD2と称する。

0118

感染性pAC3.mtS1-yCD2ベクターを、先の通り293T細胞における一過性トランスフェクションによって調製する。ナイーブU87細胞にpAC3.mtS1-yCD2ベクターを0.1のMOIで感染させる。感染後7日目に、細胞を回収し、溶解させて細胞溶解物を得る。細胞溶解物のタンパク質濃度を、免疫ブロットにおいてGAPDHによって示されるタンパク質負荷量と同等になるように決定する。データにより、pAC3.mtS1-yCD2ベクターを感染させたU87細胞由来の細胞抽出物のCD発現は、IRESによって駆動されるpAC3-yCD2ベクターによるものに匹敵することが示されている。

0119

CD発現と5-FC感受性相互関係を示すために、ベクターを有さないU87細胞、pAC3-yCD2ベクターを有するU87細胞、及びpAC3.mtS1-yCD2ベクターを有するU87細胞を、それぞれ、96ウェルプレートにウェル当たり細胞1×103個で播種する。これらを、様々な濃度の5-FCを用いて処理した後、8日間にわたってモニターし、ここで5-FCは、まずプレーティングした1日後に添加し、その後、2日毎に5-FCと培地全体を補充する。細胞の生存能力を2日毎にMTSアッセイによって評価する。データにより、pAC3.mtS1-yCD2ベクターを感染させたU87細胞についてのIC50値は、pAC3-yCD2ベクターを感染させたU87細胞についてのIC50値(0.5μg/mL; Perezら、2012)に匹敵することが示されている。これらの技法を使用して、他のプロモーター配置を遺伝子発現について最適化することができる。

0120

実施例11:コアプロモーターの下流にコザック配列を組み入れることにより、ベクター安定性を変更させることなくyCD2遺伝子発現が増加する
大多数の真核生物mRNAは、タンパク質翻訳の開始を促進するコザック配列を含有する。コアプロモーターの下流にコザック配列を組み入れることにより、一過性にトランスフェクトした細胞と完全に感染させた細胞のどちらにおいてもyCD2発現が増加する。最適化された酵母CD遺伝子、yCD2は、コード領域内の最初の15アミノ酸の中に3つのインフレームATGを有する。yCD2 mRNAにおける5'UTR内中の間隔と開始コドンに隣接するコザック配列の欠失は、効率的なタンパク質翻訳開始に関して最適に満たないと考えられた。コザック配列及び/又は他の翻訳エンハンサーエレメントを組み入れることにより、導入遺伝子の翻訳開始、したがってタンパク質産生を著しく改善し得る。

0121

pAC3.S1-yCD2ベクターは、コザック配列を含まないコアプロモーターを含有する。コアプロモーターにより有用な転写が実証されているが、遺伝子発現を付与するためには効率的なタンパク質翻訳も同等に重要である。この改善は、改善されたコアプロモーター又は他の改善されたミニプロモーターに関する本明細書における他のものと組み合わせることができる。

0122

pAC3-kozakS1.yCD2、(AKA pAC3.S1K-yCD2)及びpAC3.kozakS2-yCD2(AKA pAC3.S2K-yCD2)をpAC3-yCD2の骨格から得る。pAC3-yCD2プラスミドDNAをMlu I及びNot Iでエンドヌクレアーゼ消化することによってpAC3骨格を単離する。kozakS1yCD2のDNA配列及びkozakS2yCd2のDNA配列を、その後のpAC3骨格内の対応する部位へのクローニングのためにDNA断片の各末端にMlu I制限酵素部位及びNot I制限酵素部位が存在するように合成する。

0123

感染性ベクターを、先の通り、293T細胞における一過性トランスフェクションによって調製する。ナイーブU87細胞にベクターを0.1のMOIで感染させる。感染後7日目に、細胞を回収し、溶解させて細胞溶解物を得る。細胞溶解物のタンパク質濃度を、免疫ブロットにおいてGAPDHによって示されるタンパク質負荷量と同等になるように決定する。図4Bには、pAC3.S1K-yCD2ベクターを一過性にトランスフェクトした293T由来の細胞抽出物のCD発現はpAC3.S1-yCD2ベクターによるものよりも約2〜5倍高いことが示されている。同様に、一過性にトランスフェクトした293T細胞においてpAC3.S2K-yCD2によるCD発現はpAC3-S2-yCD2ベクターによるものよりも約2〜5倍高い。さらに、一過性にトランスフェクトした293T細胞においてpAC3-S1K-yCD2とpAC3-S2K-yCD2の間のCD発現は同等である。対照的に、図4Cには、4種のベクターのうちのいずれか1つを用いて最大限に感染させたU87細胞でもCD発現が検出不可能であることが示されている。

0124

データにより、pAC3-kozakS1.yC2ベクターを感染させたU87細胞由来の細胞抽出物のCD発現はpAC3-S1.yCD2ベクターによるものよりも約2〜5倍高いことが示されている。

0125

CD発現と5-FC感受性の相互関係を示すために、ベクターを有さないU87細胞、pAC3-yCD2ベクターを有するU87細胞、及びpAC3-kozakS1.yCD2ベクターを有するU87細胞をそれぞれ、96ウェルプレートにウェル当たり細胞1×103個で播種する。これらを、様々な濃度の5-FCを用いて処理した後、8日間にわたってモニターし、ここで5-FCは、まずプレーティングした1日後に添加し、その後、2日毎に5-FCと培地全体を補充する。細胞の生存能力を2日毎にMTSアッセイによって評価する。データにより、pAC3-kozakS1.yCD2ベクターを感染させたU87細胞についてのIC50値は、pAC3-S1.yCD2ベクターを感染させたU87細胞についてのIC50値よりも約5倍より高く、pAC3-yCD2ベクターを感染させたU87細胞についてのIC50値(0.5μg/mL; Perezら、2012)の10倍以内であることが示されている。

0126

ベクター安定性に関して、ナイーブU87細胞を、感染の前日に6ウェルプレートにウェル当たり細胞2×105個で播種する。感染の第1のサイクルを4μg/mLのポリブレンの存在下、算出された力価(TU/mL)に従ってMOI0.1で実施する。その後の感染では、感染細胞によって産生されるウイルス上清の10分の1をナイーブ細胞に感染させるために使用する。各感染サイクルにおいて、感染後4日目に感染細胞を6ウェルプレートに継代した。感染後7日目に感染細胞由来のウイルス上清をその後の感染のために採取し、IRES-PCRによってベクター安定性を評価するためのゲノム抽出用に細胞を回収した。PCRのために使用したプライマーは、IRES-F: 5'-CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3'(配列番号54)及びIRES-R: 5'-CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3'(配列番号55)であった。データにより、pAC3.kozakS1-yCD2ベクターの安定性は、pAC3-yCD2ベクターの安定性及びpAC3.S1-yCD2ベクターの安定性に匹敵することが示されている。

0127

実施例12:yCD2-UPRTを駆動する最適化されたS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターの構築及び配置
yCD2-UPRTは〜1.2kbである。mtS1プロモーター=最適化されたS1プロモーター(実施例11を参照されたい)。pAC3-mtS1.yCD2-UPRTベクターをpAC3-yCD2の骨格から得る。pAC3-yCD2プラスミドDNAをMlu I及びNot Iでエンドヌクレアーゼ消化することによってpAC3骨格を単離する。mtS1.yCD2-UPRTのDNA配列を、その後のpAC3骨格内の対応する部位へのクローニングのためにDNA断片の各末端にMlu I制限酵素部位及びNot I制限酵素部位が存在するように合成する。

0128

実施例13:yCD2-UPRT発現を駆動する最適化されたS1コアプロモーターを含有するpAC3に基づくベクターのベクター安定性及び導入遺伝子の発現
yCD2-UPRTの発現を駆動する最適化されたコアプロモーターを含むpAC3に基づくベクターを、上記と同様の技法を使用して構築し、yCD2-UPRT融合遺伝子の発現を駆動するために内部IRESを使用した同等のベクターであるpAC3-yCD2-U(aka T50003、Perezら、Mol.Ther.、2012、WO2010045002)と比較する。

0129

感染性pAC3-mtS1.yCD2-UPRTベクターを、293T細胞における一過性トランスフェクションによって調製する。ナイーブU87細胞に、pAC3kozakS1.yCD2ベクターを0.1のMOIで感染させる。感染後7日目に、細胞を回収し、溶解させて細胞溶解物を得る。細胞溶解物のタンパク質濃度を、免疫ブロットにおいてGAPDHによって示されるタンパク質負荷量と同等になるように決定する。データにより、pAC3-mtS1.yCD2-UPRTベクターを感染させたU87細胞の細胞抽出物からのCD-UPRT発現(約44KDa)は、pAC3-yCD2-Uベクターによるもの及びpAC3-yCD2ベクターによるものに匹敵することが示されている。

0130

CD発現と5-FC感受性の相互関係を示すために、ベクターを有さないU87細胞、pAC3-yCD2ベクターを有するU87細胞、pAC3-yCD2-Uベクターを有するU87細胞、及びpAC3-mtS1.yCD2-UPRTベクターを有するU87細胞を、それぞれ、96ウェルプレートにウェル当たり細胞1×103個で播種する。これらを、様々な濃度の5-FCを用いて処理した後、8日間にわたってモニターし、ここで5-FCは、まずプレーティングした1日後に添加し、その後、2日毎に培地全体と、それに加えて5-FCを補充する。細胞の生存能力を2日毎にMTSアッセイによって評価する。データにより、pAC3-mtS1.yCD2-UPRTベクターを感染させたU87細胞についてのIC50値は、pAC3-yCD2及びpAC3-yCD2-Uベクターを感染させたものと少なくとも同等であることが示されている。

0131

ベクター安定性に関して、ナイーブU87細胞を、感染の前日に6ウェルプレートにウェル当たり細胞2×105個で播種する。感染の第1のサイクルを4μg/mLのポリブレンの存在下、算出された力価(TU/mL)に従ってMOI0.1で実施する。その後の感染では、感染細胞によって産生されるウイルス上清の10分の1をナイーブ細胞に感染させるために使用する。各感染サイクルにおいて、感染後4日目に感染細胞を6ウェルプレートに継代した。感染後7日目に感染細胞由来のウイルス上清をその後の感染のために採取し、IRES-PCRによってベクター安定性を評価するためのゲノム抽出用に細胞を回収した。PCRのために使用したプライマーは、IRES-F: 5'-CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3'(配列番号56)及びIRES-R: 5'-CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3'(配列番号57)であった。データにより、pAC3-S1.yCD2-UPRTベクターの安定性がIRESにより駆動されるpAC3-yCD2-Uベクターよりも有意に良好であることが示されている。

0132

実施例14:yCD2発現を駆動する最適化されたS1コアプロモーター及びTGFb2に対するshRNAを駆動するヒトU6(Pol III)プロモーターを含有するpAC3に基づくベクターの構築及び配置
pAC3-S1.yCD2-polIIIプロモーター-shRNATGFb2ベクターをpAC3-yCD2の骨格から得る。pAC3-yCD2プラスミドDNAをMlu I及びNot Iでエンドヌクレアーゼ消化することによってpAC3骨格を単離する。mtS1.yCD2及びpolIIIプロモーター-shRNATGFb2のDNA配列を、その後のpAC3骨格内の対応する部位へのクローニングのためにDNA断片の各末端にMlu I制限酵素部位及びNot I制限酵素部位が存在するように合成する。

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