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技術 遺伝子標的化および形質スタッキングのための特別設計の導入遺伝子組み込みプラットフォーム(ETIP)

出願人 ダウアグロサイエンシィズエルエルシー
発明者 コーガン,ノエルフォースター,ジョンヘイデン,マシューソーブリッヂ,ティムスパンゲンバーグ,ジャーマンウェブ,スティーヴンアール.グプタ,マンジュエインリー,ダブリュ.マイクヘンリー,マシュージェィ.メーソン,ジョンクマール,サンディープノヴァク,ステファン
出願日 2013年9月6日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2015-531252
公開日 2015年11月5日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2015-531598
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 植物の育種及び培養による繁殖 突然変異または遺伝子工学 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード バーコード群 保持キャップ 付加能力 破断部位 渦運動 プレ再生 スペーサー内 組み込み位置
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

特別設計の導入遺伝子組み込みプラットフォーム(ETIP)であって、植物ゲノム内にランダムにまたは植物ゲノム内の標的位置に挿入して、ETIPゲノム位置に完全に(5’末端も3’末端も)標的化されるGOIの迅速な選択および検出を助長することができるものであるETIPを記載する。本開示における1つの要素は、ETIP内への特異的二本鎖破断の導入である。いくつかの実施形態では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ結合部位を使用するが他の標的化技術、例えばメガヌクレアーゼ、CRISPR、TALまたはロイシンジッパーを利用してもよい、ETIPを記載する。ドナーまたはペイロードDNAが、植物細胞においてETIPに安定的に組み込まれている外在核酸配列(例えば、タンパク質またはRNA)の1つまたはそれ以上の産物を発現する、トランスジェニック植物組成、および前記トランスジェニック植物の生産方法も記載する。複数の実施形態において、前記ETIPは、発想から開発段階まで遺伝子候補および植物発現ベクター試験を助長する。

概要

背景

高まりつづける世界の食物生産需要という難題に対処するための、農業生産性の改善(例えば、収量向上または遺伝子組換えによる病虫害抵抗性(engineered pest resistance))への典型的な取り組みは、突然変異育種、または形質転換による作物種のゲノムへの新規遺伝子の導入に依存している。これらのプロセスは、本質的に非特異的であり、比較的効率が悪い。例えば、従来の植物形転換法は、外在性DNAを送達し、その外在性DNAがゲノムのランダムな位置に組み込まれる。したがって、望ましい特質を有するトランスジェニック植物系統を同定し、単離するために、構築物ごとに何百もの特有のランダム組み込み事象を生じさせ、その後、所望の個体についてスクリーニングする必要がある。結果として、従来の植物形質操作は、骨が折れる、時間のかかる、予測不能な仕事である。さらに、これらの組み込みのランダム性は、意図しないゲノム破壊に起因して多面的効果が起こったかどうかを予測することを困難にする。

現行の形質転換プロセスのランダム性は、導入遺伝子事象候補の同定および選択のために何百もの事象の発生を必要とする(形質転換および事象スクリーニングは、機能性ゲノム研究から同定される遺伝子候補に比べて律速的である)。加えて、ゲノム内の組み込み位置によっては、ゲノム位置効果の結果として遺伝子発現カセットが異なるレベル発現されることがある。このゲノム位置効果は、従来の形質転換プロセスを用いるゲノムへのランダム挿入による様々な調節要素および導入遺伝子設計の影響の比較を非常に可変的なものにする。結果として、操作された遺伝子または形質を有する植物系統の産生、単離および特性評価は、成功確率の低い、極めて大きな労働力および費用を要するプロセスになっている。

正確な遺伝子修飾は、植物系における従来の実施の論理的課題を克服するので、植物研究者および農業生物工学者の長年の目標であった。しかし、イネにおける陽性陰性薬剤選択による「遺伝子標的化」、または事前に操作された制限部位の使用を除き、すべての植物種モデルおよび作物両方における標的ゲノム修飾は、最近まで、理解し難いものとされていた。非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3。

最近、ゲノムDNAの標的切断のための方法および組成物が記載された。かかる標的切断事象を用いて、例えば、細胞DNA配列標的突然変異誘発もしくは標的欠失誘導することができ、または所定の染色体遺伝子座での標的組換えを助長することができる。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5、ならびに特許文献6。

特許文献7には、植物ゲノムの標的修飾のための非カノニカルジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)の使用が開示されている。特許文献8には、植物EPSPS遺伝子座へのZFN媒介標的組み込みが記載されている。しかし、植物ゲノム内の正確な位置への安定した標的組み込みの同定、選択および迅速な進行のため組成物および方法を見つける必要が依然としてある。

概要

特別設計の導入遺伝子組み込みプラットフォーム(ETIP)であって、植物ゲノム内にランダムにまたは植物ゲノム内の標的位置に挿入して、ETIPゲノム位置に完全に(5’末端も3’末端も)標的化されるGOIの迅速な選択および検出を助長することができるものであるETIPを記載する。本開示における1つの要素は、ETIP内への特異的二本鎖破断の導入である。いくつかの実施形態では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ結合部位を使用するが他の標的化技術、例えばメガヌクレアーゼ、CRISPR、TALまたはロイシンジッパーを利用してもよい、ETIPを記載する。ドナーまたはペイロードDNAが、植物細胞においてETIPに安定的に組み込まれている外在性核酸配列(例えば、タンパク質またはRNA)の1つまたはそれ以上の産物を発現する、トランスジェニック植物組成、および前記トランスジェニック植物の生産方法も記載する。複数の実施形態において、前記ETIPは、発想から開発段階まで遺伝子候補および植物発現ベクター試験を助長する。

目的

さらなる実施形態では、標的化可能な核酸分子を含むゲノムDNAを有する植物細胞を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

トランスジェニック植物細胞生産するための方法であって、標的化可能な核酸分子を含むゲノムDNAを有する植物細胞を準備する工程(前記標的化可能な核酸分子は、少なくとも1つの部位特異的ヌクレアーゼ認識部位と、第一のマーカー遺伝子の第一の断片と、第二のマーカー遺伝子の第二の断片とを含む);ドナー核酸分子および部位特異的ヌクレアーゼ核酸分子で前記植物細胞を形質転換させる工程;前記少なくとも1つの部位特異的ヌクレアーゼ認識部位を切断する工程;前記ドナー核酸分子を前記標的化可能な核酸分子に組み込む工程(ここで、前記標的化可能な核酸分子内への組み込みは、少なくとも1つの機能性マーカー遺伝子を含む);および前記標的化可能な核酸分子と、少なくとも1つの機能性マーカー遺伝子を含む組み込まれたドナー核酸分子とを含む、トランスジェニック植物細胞を生産する工程を含む方法。

請求項2

前記ドナー核酸分子が、第一および第二の相同アーム核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

記相同アーム核酸配列が、イントロンである、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記第一および第二の相同アーム核酸配列が、50%未満の配列同一性共有する、請求項2に記載の方法。

請求項5

前記第一および第二相同アーム核酸配列が、50bpから3kbpの長さである、請求項2に記載の方法。

請求項6

前記ドナー核酸分子が、非相同性依存型方法により前記標的化可能な核酸分子に組み込まれる、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記ドナー核酸分子が、相同性依存型方法により前記標的化可能な核酸分子に組み込まれる、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記ドナー核酸分子の両末端が、ヌクレオチド配列再編成を有する前記標的化可能な核酸分子に組み込まれ、前記ヌクレオチド配列再編成が、挿入、欠失逆位(inversion)およびリピートを含む、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記ドナー核酸分子の両末端が、ヌクレオチド配列再編成のない前記標的化可能な核酸分子に組み込まれ、前記ヌクレオチド配列再編成が、挿入、欠失、逆位およびリピートを含む、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記ドナー核酸分子の第一の末端が、ヌクレオチド配列再編成のない前記標的化可能な核酸分子に組み込まれ、および前記ドナー核酸分子の第二末端が、ヌクレオチド配列再編成を有する前記標的化可能な核酸分子に組み込まれ、前記ヌクレオチド配列再編成が、挿入、欠失、逆位およびリピートを含む、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記トランスジェニック植物細胞が、トランスジェニック植物組織へと産生されるか、またはトランスジェニック植物全体へと再生される、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記標的化可能な核酸が、ゲノム遺伝子座に挿入される、請求項1に記載の方法。

請求項13

前記ゲノム遺伝子座内への標的化可能な核酸分子の挿入が、前記植物細胞の耕種的特性または品質特性に対して悪影響を及ぼさない、請求項12に記載の方法。

請求項14

前記ゲノム遺伝子座が、FAD2ゲノム遺伝子座、FAD3ゲノム遺伝子座、およびIPK1ゲノム遺伝子座から成る群より選択される、請求項12に記載の方法。

請求項15

前記FAD2ゲノム遺伝子座が、FAD2A、FAD2A’、FAD2CおよびFAD2C’から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記FAD3ゲノム遺伝子座が、FAD3A、FAD3A’、FAD3A”、FAD3C、FAD3C’およびFAD3C”から成る群より選択される、請求項14に記載の方法。

請求項17

前記ドナー核酸分子が、少なくとも1つの遺伝子発現カセットを含む、請求項1に記載の方法。

請求項18

前記遺伝子発現カセットが、導入遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項19

前記導入遺伝子が、殺虫剤耐性導入遺伝子、除草剤抵抗性導入遺伝子、窒素利用効率導入遺伝子、水利用効率導入遺伝子、栄養価導入遺伝子、DNA結合導入遺伝子および選択可能マーカー導入遺伝子から成る群より選択される、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記少なくとも1つの部位特異的ヌクレアーゼ認識部位が、部位特異的ヌクレアーゼで切断される、請求項1に記載の方法。

請求項21

前記部位特異的ヌクレアーゼが、DNA結合ドメイン切断ドメインまたは切断ハーフドメインとを含む融合タンパク質である、請求項20に記載の方法。

請求項22

前記DNA結合ドメインが、メガヌクレアーゼDNA結合ドメイン、RNA誘導性RISPR−Cas9DNA結合ドメイン、ロイシンジッパーDNA結合ドメイン、転写活性化因子様(TAL)DNA結合ドメイン、リコンビナーゼジンクフィンガータンパク質DNA結合ドメイン、およびそれらのキメラ的組み合わせから成る群より選択される、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記融合タンパク質が、ジンクフィンガーヌクレアーゼである、請求項21に記載の方法。

請求項24

前記切断ドメインまたは切断ハーフドメインが、IIS型制限部位特異的ヌクレアーゼからの剪断ハーフドメイン、FokI部位特異的ヌクレアーゼからの切断ハーフドメイン、StsI部位特異的ヌクレアーゼからの切断ハーフドメイン、およびホーミング部位特異的ヌクレアーゼから成る群より選択される、請求項21に記載の方法。

請求項25

前記第一のマーカー遺伝子の第二の断片が、前記ドナー核酸分子の5’末端に位置し、および前記第二のマーカー遺伝子の第一の断片が、前記ドナー核酸分子の3’末端に位置する、請求項1に記載の方法。

請求項26

前記ドナー核酸分子を標的化可能な核酸分子に組み込む工程が、第一のマーカー遺伝子を含む機能性第一マーカー遺伝子をもたらす、請求項25に記載の方法。

請求項27

前記ドナー核酸分子を標的化可能な核酸分子に組み込む工程が、第二のマーカー遺伝子を含む機能性第二マーカー遺伝子をもたらす、請求項25に記載の方法。

請求項28

前記第一のマーカータンパク質が、蛍光活性細胞選別FACS)を利用してスクリーニングされる、請求項26に記載の方法。

請求項29

前記第二のマーカータンパク質が、蛍光活性化細胞選別(FACS)を利用してスクリーニングされる、請求項27に記載の方法。

請求項30

前記第一および第二のマーカー遺伝子が、異なる作用機序を有するマーカータンパク質を発現する、請求項26および請求項27に記載の方法。

請求項31

前記第一のマーカー遺伝子の第二の断片が、前記ドナー核酸分子の5’末端に位置し、前記ドナー核酸分子の5’末端が、イントロンに作動可能に連結されたプロモーターを含み、および前記第二のマーカー遺伝子の第一の断片が、前記ドナー核酸分子の3’末端に位置し、前記ドナー核酸分子の3’末端が、イントロンに作動可能に連結されたコード配列を含む、請求項1に記載の方法。

請求項32

前記第一または第二のマーカー遺伝子(単数または複数)が、PMI、YFP、Xyl(A)、RFP、DSR、GFP、GUS、NPTII、AAD−1、AAD−12、AHAS、PAT、DSM−2、DGT−28、HPH、BAR、および蛍光タンパク質から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。

請求項33

前記トランスジェニック植物細胞が、フローサイトメトリーを利用して単離される、請求項1に記載の方法。

請求項34

請求項11に記載の方法によって生産されたトランスジェニック植物組織またはトランスジェニック植物全体。

請求項35

列番号431のヌクレオチド1−579から配列番号432のヌクレオチド166−732、配列番号433のヌクレオチド1−550から配列番号434のヌクレオチド190−653、配列番号435のヌクレオチド1−298から配列番号436の51−644、配列番号437のヌクレオチド1−536から配列番号438のヌクレオチド146−545、ヌクレオチド、配列番号439のヌクレオチド1−431から配列番号440のヌクレオチド167−685、配列番号441のヌクレオチド1−599から配列番号442のヌクレオチド116−521、配列番号443のヌクレオチド1−298から配列番号444のヌクレオチド193−775、および配列番号445のヌクレオチド1−651から配列番号446のヌクレオチド120−578から成る群より選択される、セイヨウアブラナ(Brassica napus)染色体標的部位

請求項36

少なくとも1つの部位特異的ヌクレアーゼ認識部位と、第一のマーカー遺伝子の第一の断片と、第二のマーカー遺伝子の第二の断片とを含む標的化可能な核酸分子を含む、請求項34に記載のセイヨウアブラナ(Brassica napus)染色体標的部位。

請求項37

pDAS000036またはpDAS000037を含む、請求項34に記載のセイヨウアブラナ(Brassica napus)染色体標的部位。

請求項38

外在ポリヌクレオチド配列を含む、請求項34に記載のセイヨウアブラナ(Brassica napus)染色体標的部位。

請求項39

トランスジェニック植物細胞を生産するための方法であって、標的化可能な核酸分子を含むゲノムDNAを有する植物細胞を準備する工程(前記標的化可能な核酸分子は、少なくとも1つの部位特異的ヌクレアーゼ認識部位と、第一のマーカー遺伝子の第一の断片と、非コードポリヌクレオチド配列の第二の断片とを含む);ドナー核酸分子および部位特異的ヌクレアーゼ核酸分子で前記植物細胞を形質転換させる工程;前記少なくとも1つの部位特異的ヌクレアーゼ認識部位を切断する工程;前記ドナー核酸分子を前記標的化可能な核酸分子に組み込む工程(ここで、前記標的化可能な核酸分子内への組み込みは、少なくとも1つの機能性マーカー遺伝子を含む);および前記標的化可能な核酸分子と、少なくとも1つの機能性マーカー遺伝子を含む組み込まれたドナー核酸分子とを含む、トランスジェニック植物細胞を生産する工程を含む方法。

請求項40

前記ドナー核酸分子が、第一および第二の相同アーム核酸配列を含む、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記第一の相同アーム核酸配列が、イントロンである、請求項39に記載の方法。

請求項42

前記第二の相同アーム核酸配列が、非コードポリヌクレオチド配列である、請求項39に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、2012年9月7日出願の米国特許仮出願第61/697,882号の恩典の優先権を主張するものである。

0002

本開示は、植物の正確な形質転換遺伝子標的化、植物における標的ゲノム組み込みおよびタンパク質発現の分野に関する。好ましい実施形態において、本開示は、植物ゲノム内にランダムにまたは植物ゲノム内の標的位置に挿入することができる、特別設計の導入遺伝子組み込みプラットフォーム(Engineered Transgene Integration Platform)(ETIP)を記載する。

背景技術

0003

高まりつづける世界の食物生産需要という難題に対処するための、農業生産性の改善(例えば、収量向上または遺伝子組換えによる病虫害抵抗性(engineered pest resistance))への典型的な取り組みは、突然変異育種、または形質転換による作物種のゲノムへの新規遺伝子の導入に依存している。これらのプロセスは、本質的に非特異的であり、比較的効率が悪い。例えば、従来の植物形転換法は、外在性DNAを送達し、その外在性DNAがゲノムのランダムな位置に組み込まれる。したがって、望ましい特質を有するトランスジェニック植物系統を同定し、単離するために、構築物ごとに何百もの特有のランダム組み込み事象を生じさせ、その後、所望の個体についてスクリーニングする必要がある。結果として、従来の植物形質操作は、骨が折れる、時間のかかる、予測不能な仕事である。さらに、これらの組み込みのランダム性は、意図しないゲノム破壊に起因して多面的効果が起こったかどうかを予測することを困難にする。

0004

現行の形質転換プロセスのランダム性は、導入遺伝子事象候補の同定および選択のために何百もの事象の発生を必要とする(形質転換および事象スクリーニングは、機能性ゲノム研究から同定される遺伝子候補に比べて律速的である)。加えて、ゲノム内の組み込み位置によっては、ゲノム位置効果の結果として遺伝子発現カセットが異なるレベル発現されることがある。このゲノム位置効果は、従来の形質転換プロセスを用いるゲノムへのランダム挿入による様々な調節要素および導入遺伝子設計の影響の比較を非常に可変的なものにする。結果として、操作された遺伝子または形質を有する植物系統の産生、単離および特性評価は、成功確率の低い、極めて大きな労働力および費用を要するプロセスになっている。

0005

正確な遺伝子修飾は、植物系における従来の実施の論理的課題を克服するので、植物研究者および農業生物工学者の長年の目標であった。しかし、イネにおける陽性陰性薬剤選択による「遺伝子標的化」、または事前に操作された制限部位の使用を除き、すべての植物種モデルおよび作物両方における標的ゲノム修飾は、最近まで、理解し難いものとされていた。非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3。

0006

最近、ゲノムDNAの標的切断のための方法および組成物が記載された。かかる標的切断事象を用いて、例えば、細胞DNA配列標的突然変異誘発もしくは標的欠失誘導することができ、または所定の染色体遺伝子座での標的組換えを助長することができる。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5、ならびに特許文献6。

0007

特許文献7には、植物ゲノムの標的修飾のための非カノニカルジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)の使用が開示されている。特許文献8には、植物EPSPS遺伝子座へのZFN媒介標的組み込みが記載されている。しかし、植物ゲノム内の正確な位置への安定した標的組み込みの同定、選択および迅速な進行のため組成物および方法を見つける必要が依然としてある。

0008

米国特許出願公開2003/0232410号明細書
米国特許出願公開2005/0208489号明細書
米国特許出願公開2005/0026157号明細書
米国特許出願公開2005/0064474号明細書
米国特許出願公開2006/0188987号明細書
国際公開第2007/014275号パンフレット
米国特許出願公開2008/0182332号明細書
米国出願第12/284,888号明細書

先行技術

0009

Terada et al. (2002) Nat Biotechnol 20(10): 1030
Terada et al. (2007) Plant Physiol 144(2):846
D'Halluin et al. (2008) Plant Biotechnology J. 6(1):93

0010

本開示のある実施形態は、トランスジェニック植物細胞を生産するための方法に関する。さらなる実施形態では、標的化可能な核酸分子を含むゲノムDNAを有する植物細胞を提供する。さらなる実施形態は、少なくとも1つの特異的ヌクレアーゼ認識部位と、第一のマーカー遺伝子の第一の断片と、第二のマーカー遺伝子の第二の断片とを含む、標的化可能な核酸分子を含む。別の実施形態では、植物細胞をドナー核酸分子および部位特異的ヌクレアーゼ核酸分子で形質転換させる。二次的実施形態では、植物細胞のゲノムDNAを少なくとも1つの部位特異的ヌクレアーゼ認識部位で切断する。追加の実施形態は、トランスジェニック植物細胞を生産するための標的可能核酸分子へのドナー核酸分子の組み込みを含み、前記標的可能核酸分子内への組み込みは、少なくとも1つの機能性マーカー遺伝子を含み、前記トランスジェニック植物細胞は、前記標的化可能な核酸分子と、少なくとも1つの機能性マーカー遺伝子を含む組み込まれたドナー核酸分子とを含む。

0011

さらに別の実施形態において、本開示は、配列番号(SEQID NO:)431のヌクレオチド1−579から配列番号432のヌクレオチド166−732、配列番号433のヌクレオチド1−550から配列番号434のヌクレオチド190−653、配列番号435のヌクレオチド1−298から配列番号436の51−644、配列番号437のヌクレオチド1−536から配列番号438のヌクレオチド146−545、ヌクレオチド、配列番号439のヌクレオチド1−431から配列番号440のヌクレオチド167−685、配列番号441のヌクレオチド1−599から配列番号442のヌクレオチド116−521、配列番号443のヌクレオチド1−298から配列番号444のヌクレオチド193−775、および配列番号445のヌクレオチド1−651から配列番号446のヌクレオチド120−578から成る群より選択される、セイヨウアブラナ(Brassica napus)染色体標的部位に関する。

0012

二次的実施形態において、本開示は、トランスジェニック植物細胞を生産するための方法に関する。さらなる実施形態は、少なくとも1つの特異的ヌクレアーゼ認識部位と、第一のマーカー遺伝子の第一の断片と、第二の非コードポリヌクレオチド配列の第二の断片とを含む、標的化可能な核酸分子を含む。別の実施形態では、植物細胞をドナー核酸分子および部位特異的ヌクレアーゼ核酸分子で形質転換させる。二次的実施形態では、植物細胞のゲノムDNAを少なくとも1つの部位特異的ヌクレアーゼ認識部位で切断する。追加の実施形態は、トランスジェニック植物細胞を生産するための標的可能核酸分子へのドナー核酸分子の組み込みを含み、前記標的可能核酸分子内への組み込みは、少なくとも1つの機能性マーカー遺伝子を含み、前記トランスジェニック植物細胞は、標的化可能な核酸分子と、少なくとも1つの機能性マーカー遺伝子を含む組み込まれたドナー核酸分子とを含む。

0013

上述の特徴および他の特徴は、添付の図面を参照しながら進める、いくつかの実施形態についての下記の詳細な説明からさらに明らかになる。

図面の簡単な説明

0014

図1Aは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD遺伝子配列配列アラインメントを示す。
図1Bは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD2遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図1Cは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD2遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図1Dは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD2遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図1Eは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD2遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図2は、近隣結合距離に基づいてJALVIEW(商標)v2.3を使用して生成したFAD2遺伝子配列の系統樹を示す。
図3Aは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Bは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Cは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Dは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Eは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Fは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Gは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Hは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Iは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Jは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Kは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Lは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Mは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Nは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Oは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Pは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Qは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Rは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Sは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Tは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Uは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Vは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Wは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Xは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Yは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3Zは、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3A’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3B’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3C’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3D’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3E’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3F’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3G’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3H’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3I’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3J’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3K’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3L’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図3M’は、ALIGNX(登録商標)を使用して生成した、FAD3遺伝子配列の配列アラインメントを示す。
図4は、近隣結合距離に基づいてJALVIEW(商標)v2.3を使用して生成したFAD3遺伝子配列の系統樹を示す。名づけられた配列は、次のように対応する:本出願を通してFAD3A’/A’’をFAD3A’と記載する;本出願を通してハプロタイプ2をFAD3C’と記載する;本出願を通してハプロタイプ1をFAD3C’’と記載する;および本出願を通してハプロタイプ3をFAD3A’’と記載する。
図5は、pDAB104010のプラスミドマップを示し、代表的ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)発現カセット提示する。この構築物のレイアウトは、他のZFN発現カセットに類似しており、この場合、ジンクフィンガードメイン、24828および24829を下に記載されている代替ジンクフィンガードメインと交換した。
図6は、10,000配列リードあたりの標的ZFN部位に欠失がある配列リードの数を示す複数ライン折れ線グラフの例である。グラフ上のX軸は、欠失された塩基の数を示し、Y軸は、配列リードの数を示し、およびZ軸は、グラフの右に記載されているとおりのカラーコード化されたサンプルの正体を示す。示されている具体的なサンプルは、3つの標的ZFN部位、A、BおよびCと、4つの遺伝子ファミリーメンバー、ならびに対照サンプルAおよびBとして評定した2つの対照トランスフェクションを含有する、FAD2遺伝子ファミリーの遺伝子座1についてのものである。最上部から最下部へと(凡例の最上部のA−対照_FADA’から凡例の最下部のC_サンプル_FAD2Cへと)列挙されたラインが、グラフ上に、ラベル付きX軸の最も近く(A_対照_FADA’)から、ラベル付きX軸から最も遠く(C_サンプル_FAD2C)へと示されている。
図7Aは、FAD2遺伝子ファミリーの遺伝子座4を標的にするZFNからのデータを表示するものである。前記遺伝子座は、2つのZFN部位および2つの必要対照トランスフェクションを含有する。
図7Bは、FAD2AおよびC遺伝子座のシークエンシングにより単一塩基欠失の観察増加につながる、C、TおよびGの三塩基リピートを含有するFAD2AおよびCを同定する、ZFN標的部位を包囲する特異的配列構成(配列番号471−480)。
図8は、pDAS000130のプラスミドマップを示す。
図9は、pDAS000271のプラスミドマップを示す。
図10は、pDAS000272のプラスミドマップを示す。
図11は、pDAS000273のプラスミドマップを示す。
図12は、pDAS000274のプラスミドマップを示す。
図13は、pDAS000275のプラスミドマップを示す。
図14は、pDAS000031のプラスミドマップを示す。
図15は、pDAS000036のプラスミドマップを示す。
図16は、pDAS000037のプラスミドマップを示す。
図17は、ETIPおよびペイロード核酸配置、ならびに植物細胞ゲノムにおけるETIP部位での標的ペイロードの産物を図示する。
図18は、プロトプラスト細胞の形質転換、続いて、3’および5’両末端での短縮型スコアリング可能かつ選択可能マーカー再構築を用いる宿主系統におけるETIPでの標的ペイロードDNAのFACS選択を図示する。
図19Aは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(pDAS000074またはpDAS000075)によるゲノム遺伝子座二本鎖DNA切断およびカノーラ染色体のETIP遺伝子座へのDs−redドナー(pDAS000068、pDAS000070、またはpDAS000072)のその後の組み込みの結果として生ずる、ETIPカノーラ事象の相同性指向修復(homology directed repair)を図示する。前記ドナーの前記ゲノム遺伝子座への組み込みは、十分に機能する高発現性のDs−red導入遺伝子をもたらす。
図19Bは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(pDAS000074またはpDAS000075)によるゲノム遺伝子座の二本鎖DNA切断およびカノーラ染色体のETIP遺伝子座へのDs−redドナー(pDAS000068、pDAS000070、またはpDAS000072)のその後の組み込みの結果として生ずる、ETIPカノーラ事象の相同性指向型修復を図示する。前記ドナーの前記ゲノム遺伝子座への組み込みは、十分に機能する高発現性のDs−red導入遺伝子をもたらす。
図20は、カノーラプロトプラストのFACS選別と、pDAS000031(「pDAS31」)でトランスフェクトされたカノーラプロトプラストの算出トランスフェクション効率とを示す。加えて、形質転換されていないカノーラプロトプラストのFACS選別結果を陰性対照として提供する。
図21は、カノーラプロトプラストのFACS選別と、pDAS000064/pDAS000074(上のグラフ)およびpDAS000064/pDAS000075(下のグラフ)でトランスフェクトされたカノーラETIPプロトプラスト事象の算出トランスフェクション効率とを示す。
図22は、カノーラプロトプラストのFACS選別と、pDAS000068/pDAS000074(上のグラフ)およびpDAS000068/pDAS000075(下のグラフ)で形質転換されたカノーラETIPプロトプラスト事象の算出トランスフェクション効率とを示す。
図23は、カノーラプロトプラストのFACS選別と、pDAS000070/pDAS000074(上のグラフ)およびpDAS000070/pDAS000075(下のグラフ)で形質転換されたカノーラETIPプロトプラスト事象の算出トランスフェクション効率とを示す。
図24は、カノーラプロトプラストのFACS選別と、pDAS000072/pDAS000074(上のグラフ)およびpDAS000072/pDAS000075(下のグラフ)で形質転換されたカノーラETIPプロトプラスト事象の算出トランスフェクション効率とを示す。
図25は、pDAS000074のプラスミドマップを示す。
図26は、pDAS000075のプラスミドマップを示す。
図27は、pDAS000064のプラスミドマップを示す。
図28は、pDAS000068のプラスミドマップを示す。
図29は、pDAS000070のプラスミドマップを示す。
図30は、pDAS000072のプラスミドマップを示す。
図31は、導入遺伝子コピー数推定アッセイのための導入遺伝子標的プライマーおよびプローブ結合部位を示す概略図である。
図32は、FAD2A ZFN DNA認識ドメイン(bc12075_Fad2a−r272a2およびbc12075_Fad2a−278a2)、ならびにZFN特異的プライマーの結合部位(FAD2A.UnE.F1およびFAD2A.UnE.R1)および内在性プライマーの結合部位(FAD2A/2C.RB.UnE.F1およびFAD2A/2C.RB.UnE.R1)を示す、SEQUENCHEファイルを示す。
図33は、完全HDRによるFAD2Aへの導入遺伝子組み込みの検出に使用した内在性および導入遺伝子標的プライマーの結合部位を示す概略図である。
図34は、Kpn1制限エンドヌクレアーゼ部位が、完全編集FAD2A遺伝子座内のどこに発生するのか、およびFAD2a 5’、hphおよびFAD2A 3’サザンプローブがどこに結合するのかを示す略図である。
図35は、コピー数推定qPCRからの代表データ出力を示す。左側のカラムは、単一ランダム導入遺伝子インサートを有する公知T0トランスジェニック植物から得たデータを表し、すべての他のサンプルが「正規化される」キャリブレーターサンプルとして使用される。右側のカラムは、5導入遺伝子組み込みを有する公知T0トランスジェニック植物である。両方の植物についてのインサートコピー数を、サザン解析を用いて決定した。残りのカラムは、推定上のトランスジェニック植物についてのコピー数推定値を提供する。これらのカラムには、図の左から右へ(from left to rightffigur)、次のようにラベルが付いている:1コピー対照、310420、311819、311821、311822、311823、311824、311827、312524、312525、312526、312527、312529、312530、312532、313810、313811、313905、313941、313942、313944、そして5コピー対照。カラムは、各トランスジェニック植物についての推定コピー数を決定するために使用することができる。コピー数を推定するためにソフトウェアを使用するとき、野生型植物非形質転換対照植物、およびプラスミドのみの対照は、hphおよびHMG I/Y標的両方のためのCqを保有しないので、コピー数が得られない。
図36は、T−DNAボーダー間に、RB7MAR配列/eZFN4結合部位v1、OsUbi3プロモーター/Phi YFP/ZmPer5 3’UTR v2/eZFN1結合部位/ELP1 HR2 v2、ZmUbi1プロモーターv8/Cry34Ab1 v2/StPinII 3’UTR v2、TaPerプロモーターv3/Cry35Ab1 v5/StPinII 3’UTR v2、SCBVv2/AAD−1v3/ZmLip 3’UTR v1を含む、標的DNA配列を含有するpDAB105855のプラスミドマップを示す。
図37は、イントロン1を伴うトウモロコシユビキチン1プロモーター(ZmUbi1プロモーターv2)の発現下のZFN1コード配列とZmPer5 3’UTR v2とを含むpDAB105941のプラスミドマップを示す。
図38は、イネユビキチン3(OsUbi3)プロモーターのプロモーターを持たないイントロン(rubi3イントロン)、続いて除草剤抵抗性遺伝子(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)、そしてZmLip 3’UTRを含有する、pDAB112366のプラスミドマップを示す。
図39は、発現カセットを含むドナーポリヌクレオチドの標的化のためのゲノム内に組み込まれたETIP部位の使用についての概略図を提供する。このスキームに示されているように、ドナーは、ETIP遺伝子座内への組み込みが起こると導入遺伝子を発現することができる。ドナーのランダム組み込みは、発現を駆動することができるプロモーター要素が典型的にないので、導入遺伝子の発現をもたらさない。

0015

植物細胞のゲノムに安定的に組み込まれかつドナー核酸分子の形質転換および組み込みのための宿主生殖質として役立つ、標的化可能な核酸分子を含む、特別設計の導入遺伝子組み込みプラットフォーム(ETIP)の生産のための方法および組成物を、本明細書に開示する。本開示は、植物の正確な形質転換、植物における遺伝子標的化、標的ゲノム組み込みおよびタンパク質発現に関する。好ましい実施形態では、ETIPを植物ゲノムにランダムにまたは植物ゲノム内の標的位置に挿入して、そのETIPゲノム位置に(3’末端と5’末端両方とも)標的化された1つまたはそれ以上の目的の遺伝子(GOI)の迅速な選択および検出を助長することができる。いくつかの実施形態では、特異的2本鎖破断をETIP内に導入することがある。他の実施形態では、標的化され、単離された細胞またはプロトプラストの選択および濃縮、続いてのフローサイトメトリーおよびFACSを用いる稔性植物の再生のための方法を説明する。

0016

特定の方法は、トランスジェニック植物細胞であって、該植物およびその後代において安定した遺伝性遺伝子修飾を有するものであるトランスジェニック植物細胞の生産はもちろん、前記トランスジェニック植物の組成物の生産も含む。ある一定の実施形態では、組み込み核酸を含むETIPが宿主生殖質に安定的に組み込まれる、正確な植物形質転換システムでの使用について、ETIPを説明する。他の実施形態は、植物細胞ゲノムDNAが少なくとも1つの安定的に組み込まれた機能性マーカー遺伝子を含むようなトランスジェニック植物細胞の生産方法に関する。いくつかの実施形態において、前記方法は、1つまたはそれ以上の標的化部位特異的ヌクレアーゼ認識部位と、第一のマーカー遺伝子の第一の断片と、第二のマーカー遺伝子の第二の断片とを含有する、標的化可能な核酸分子の使用を含む。別の実施形態において、ドナー核酸分子は、目的のヌクレオチド配列と、目的の核酸配列に隣接している2つの核酸配列とを含む。別の実施形態において、前記目的の核酸配列に隣接している2つの核酸配列は、第一および第二の相同アーム核酸配列である。他の実施形態では、前記ドナー核酸分子を使用して植物細胞を形質転換させる。前記相同アーム核酸配列は、前記ETIPまたは前記標的化可能な核酸分子配列の領域に相同であってもよく、前記標的化可能な核酸分子の第一および第二のマーカー遺伝子の第一および第二の断片に相同であってもよい。

0017

ドナー核酸が、植物細胞内のETIPまたは標的化可能な核酸分子に安定的に組み込まれている外在性核酸配列(例えば、タンパク質またはRNA分子)の1つまたはそれ以上の産物を発現する、トランスジェニック植物の組成物および生産方法も記載する。いくつかの実施形態において、ETIPまたは標的化可能な核酸分子は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ結合部位を利用するか、またはジンクフィンガーヌクレアーゼ活性を発現するタンパク質を含む部位特異的ヌクレアーゼを利用する。代替実施形態において、部位特異的ヌクレアーゼは、他の追加の標的化技術、例えば、メガヌクレアーゼ、TAL、RNA誘発性RISPR−Cas9、またはロイシンジッパーで構成される。特定の実施形態において、ETIPは、トランスジェニック植物発育過程初期発育段階の遺伝子候補および植物発現ベクター設計の試験を助長する標的化可能な核酸分子である。いくつかの実施形態において、トランスジェニック植物細胞は、1つまたはそれ以上の標的化部位特異的ヌクレアーゼ認識部位と第一および第二のマーカー遺伝子の第一および第二の断片とを含有するポリヌクレオチド配列を有する組み込み核酸分子を含む。前記マーカー遺伝子断片が機能性マーカー遺伝子発現産物をコードしないこともあることは理解される。さらに、前記マーカー遺伝子は、ある実施形態の場合、イントロン核酸配列を含むことがある。他の実施形態において、前記マーカー遺伝子は、相同アーム核酸配列を含むことがある。

0018

いくつかの実施形態において、前記ドナー核酸分子の1つまたは2つまたはそれ以上の領域には、植物ゲノムDNA(外在性)との配列相同性がない。追加の実施形態において、前記ドナー核酸分子は、相同アーム核酸配列を含むことがある。前記ドナー核酸分子の相同アーム核酸配列を、前記標的化可能な核酸分子の部位特異的ヌクレアーゼ制限部位に隣接する領域に組み込んでもよい。ある一定の実施形態において、前記相同アーム配列は、50bpから3kbの長さであってよい。

0019

特定の実施形態において、前記ドナー核酸分子は、ETIP標的化可能核酸分子への標的化を可能にし、正確に標的化された事象についての5’および3’末端での選択を可能にする、外在性核酸配列を含むことがある。外在性核酸配列の産物は、例えば、1つもしくはそれ以上の遺伝子もしくはcDNA分子、または任意のタイプのコードもしくは非コードヌクレオチド配列、ならびに1つまたはそれ以上の調節遺伝子要素(例えば、プロモーター)を含むことができる。前記ドナー核酸分子の設計は、ドナーDNAのETIPへの選択組み込み後、選択可能マーカーをはじめとする(しかしこれに限定されない)コードおよび非コードDNAの切除を可能にする。

0020

特定の実施形態において、前記ETIP標的化可能核酸分子は、第一のマーカー遺伝子の第一の断片、および第二のマーカー遺伝子の第二の断片、および前記第一のマーカー遺伝子の対応する第二の断片と前記第二のマーカー遺伝子の第一の断片とを含有するドナー核酸分子を含むことがある。前記標的化可能な核酸分子の3’末端に位置する前記第二のマーカー遺伝子の第二の断片に伴って、前記第一のマーカー遺伝子の第一の断片が前記標的化可能な核酸分子の5’末端に位置してもよいので、前記第一のマーカー遺伝子の第二の断片と前記第二のマーカー遺伝子の第一の断片とを含むドナー核酸分子のその植物細胞ゲノムへの安定的組み込みは、機能性の第一のマーカー遺伝子および第二のマーカー遺伝子を生じさせる。いくつかの実施形態では、これらのマーカー遺伝子を使用して、ETIPの安定的組み込みについて選択してもよい。いくつかの実施形態において、安定したマーカー遺伝子としては、PMI、Xyl(A)、YFP、DSR、GFP、GUS、NPTII、AAD−1、AAD−12、DGT−28、AHAS、PAT、DSM−2、HYG、BAR、および蛍光タンパク質が挙げられるだろう。他の実施形態において、前記マーカー遺伝子は、視覚的にスクリーニング可能なマーカー遺伝子であり、その存在を、細胞を色の変化についてモニターすることによって判定することができる。他の実施形態において、前記マーカー遺伝子は、(例えば、除草剤または抗生物質耐性遺伝子をコードする)選択可能マーカー遺伝子であり、その存在は、細胞成長を低下させる除草剤または抗生物質の使用について選択される。さらなる実施形態において、前記マーカー遺伝子は、陽性選択可能マーカー遺伝子である。

0021

レポーター遺伝子としても記載する様々な選択可能マーカーを、形質転換植物(「形質転換体」)の同定を可能にするような選ばれた発現ベクターであって、形質転換植物(「形質転換体」)の選択可能な前記発現ベクターに組み込むこともできる。形質転換植物における選択可能マーカーの発現を確認するために多くの方法を利用することができ、それらの方法としては、例えば、DNAシークエンシングおよびPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、サザンブロット法、RNAブロット法ベクターから発現されたタンパク質、例えばホスフィノトリシン耐性を媒介する沈殿タンパク質の検出のための免疫学的方法、または他のタンパク質、例えばレポーター遺伝子コードβ−グルクロニダーゼ(GUS)、ルシフェラーゼ緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、DsRed、β−ガラクトシダーゼクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼCAT)、アルカリホスファターゼおよびこれらに類するものの目視観察が挙げられる(Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Press, N.Y., 2001を参照されたい)。

0022

選択可能マーカー遺伝子を形質転換細胞または組織の選択に利用する。選択可能マーカー遺伝子としては、抗生物質耐性をコードする遺伝子、例えば、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NEO)およびヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)をコードするもの、ならびに除草剤化合物に対する耐性を付与する遺伝子が挙げられる。除草剤耐性遺伝子は、一般に、除草剤に対して非感受性の修飾された標的タンパク質をコードしているか、または植物中の除草剤をそれが作用し得る前に分解もしくは解毒する酵素をコードしている。例えば、グリホサートに対する耐性は、突然変異型標的酵素、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼEPSPS)をコードする遺伝子を使用することによって得られた。EPSPSについての遺伝子および突然変異体は周知であり、下でさらに説明する。グルホシネートアンモニウムブロモキシニル、および2,4−ジクロロフェノキシアセテート(2,4−D)に対する耐性は、それぞれの除草剤を解毒する、patもしくはDSM−2をコードする細菌遺伝子、ニトリラーゼ、aad−1またはaad−12遺伝子を使用することによって得られた。

0023

ある実施形態において、イミダゾリノンまたはスルホニル尿素をはじめとする除草剤は、生長点または分裂組織阻害することができ、これらの除草剤に対するアセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)およびアセト乳酸シンターゼALS)の耐性/抵抗性のための遺伝子は周知である。グリホサート耐性遺伝子としては、突然変異型5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPs)およびdgt−28遺伝子(組換え型核酸の導入および/もしくは天然EPSPs遺伝子の様々な形態のインビボ突然変異誘発による)、aroA遺伝子ならびにグルホサートアセチルトランスフェラーゼ(GAT)遺伝子がそれぞれ挙げられる)。他のホスホノ化合物に対する耐性遺伝子としては、ストレプトマイセス・ヒグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)およびストレプトマイセス・ビリクロモゲネス(Streptomyces viridichromogenes)をはじめとするストレプトマイセス属(Streptomyces)種からのbar遺伝子、ならびにピリジノキシ(pyridinoxy)またはフェノキシプロピオン酸(proprionic acid)およびシクロヘキソン(AACアーゼ阻害剤コード遺伝子)が挙げられる。シクロヘキサンジオンおよび/またはアリールオキシフェノキシプロパン酸ハロキシホップジクロホップ、フェノキシプロプ、フルアジホップ、キザロホップを含む)に対する耐性を付与する例示的遺伝子としては、アセチル補酵素AカルボキシラーゼACCアーゼ)の遺伝子−−Acc1−S1、Acc1−S2およびAcc1−S3が挙げられる。ある実施形態において、トリアジン(psbAおよび1s+遺伝子)またはベントニトリルニトリラーゼ遺伝子)を含む除草剤は、光合成を阻害することができる。

0024

ある実施形態において、選択可能マーカーとしては、次のものをコードする遺伝子が挙げられるが、それらに限定されない:ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII;シアナミドヒドラターゼアスパラギン酸キナーゼジヒドロジピコリン酸シンターゼ;トリプトファンデカルボキシラーゼ;ジヒドロジピコリン酸シンターゼおよび脱感作型アスパラギン酸キナーゼ;bar遺伝子;トリプトファンデカルボキシラーゼ;ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NEO);ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPTまたはHYG);ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR);ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ;2,2−ジクロロプロピオン酸デハロゲナーゼ;アセトヒドロキシ酸シンターゼ;5−エノールピルビルシキミ酸−リン酸シンターゼ(aroA);ハロアリールニトリラーゼ;アセチル補酵素Aカルボキシラーゼ;ジヒドロプテロイン酸シンターゼ(sul I);および32kD光化学系IIポリペプチド(psbA)。

0025

ある実施形態は、次のものに対する耐性をコードする遺伝子も含む:クロラムフェニコールメトトレキサート;ヒグロマイシン;スペクチノマイシン;ブロモキシニル;グリホサート;およびホスフィノトリシン。

0026

選択可能マーカー遺伝子の上記リストは、限定を意図したものではない。任意のレポーターまたは選択可能マーカー遺伝子が本発明によって包含される。

0027

ある実施形態では、ETIP標的化可能ポリヌクレオチド分子をゲノム遺伝子座に組み込む。一例では、FAD2、FAD3およびIPK1ゲノム遺伝子座が、ETIP組み込みおよびその後のドナーポリヌクレオチドドナー分子組み込みのための標的として選択され得る。FAD2およびFAD3内在性遺伝子破壊は、植物細胞の耕種的特性または品質特性に対して悪影響を及ぼさないことが証明されている。したがって、植物または植物製品性能(カノーラ、大豆、トウモロコシなど)に関連した耕種学的ペナルティーまたは品質ペナルティーがないこと、および特定の油品質特性に関連した形質のバンドリングは、遺伝子移入を促進し、FAD2およびFAD3部位が破壊されると新たな生殖質発生が観察される。特定の実施形態では、ドナーヌクレオチド配列分子を、調節要素、例えば、プロモーター、イントロン、5’UTRまたは3’UTRに連結させてもよい。

0028

ドナー核酸分子のETIPへの組み込みを、部位特異的ヌクレアーゼの標的2本鎖切断によって助長してもよい。前記部位特異的ヌクレアーゼは、ETIP標的化可能核酸分子内に位置してもよい。さらに、部位特異的ヌクレアーゼは、特別設計のランディングパッド(Engineered Landing Pad)(ELP)を含むETIP標的化可能核酸分子内に位置してもよい。米国特許出願公開第20110191899号明細書を参照されたい。さらに、前記部位特異的ヌクレアーゼは、選択されたETIP内のELP中に位置してもよいし、または前記ELPに近接して位置してもよい。選択されたETIP内の操作された配列を結合するように設計されている、DNA結合ドメイン、例えば、メガヌクレアーゼDNA結合ドメイン、RNA誘導性CRISPR−Cas9 DNA結合ドメイン、ロイシンジッパーDNA結合ドメイン、TAL DNA結合ドメイン、ジンクフィンガータンパク質(ZFP)、ジンクフィンガーヌクレアーゼまたは前述のもののキメラ的組み合わせを含む融合タンパク質の使用により、切断をETIPに標的化してもよい。かかる切断は、ETIP内の切断部位へのまたはその付近へのペイロードまたはドナー核酸外在性ポリヌクレオチド配列の組み込みを刺激する。本開示方法を用いるドナー核酸分子の組み込みは、相同性依存型メカニズムと相同性非依存型メカニズムの両方によって進行することができ、標的化事象の選択は、ETIPの3’領域と5’領域両方に対する標的化事象の際に機能性である新規選択可能およびまたはスコアリング可能マーカーのスクリーニングによって達成される。本開示は、ETIPでの選択2本鎖破断を達成するための、新規の操作されたジンクフィンガー結合部位およびZFNの使用を実証する。

0029

代替実施形態において、新規の操作されたDNA結合部位(例えば、ZFP、メガヌクレアーゼ、ロイシンジッパー、TAL、RNA誘導性CRISPR−Cas9)は、ネイティブ植物細胞ゲノム内に存在しないETIP中の1つまたはそれ以上の標的部位に結合する。前記DNA結合ドメイン(単数または複数)は、例えば、認識ヘリックスを含む任意の操作されたジンクフィンガーDNA結合ドメイン、例えば、米国特許出願第12/931,096号明細書に記載されているものを含むことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載するDNA結合ドメインはいずれも、機能性ドメイン、例えば、切断ドメインまたは切断ハーフドメインをさらに含んでよい。他の実施形態において、前記切断ハーフドメインは、IIS型制限エンドヌクレアーゼ、例えば、FoklまたはStslからのものであることができる。切断ドメインのさらなる実施形態は、ホーミングエンドヌクレアーゼ、例えば、修飾されたDNA結合ドメインを有するホーミングエンドヌクレアーゼなどを含むことができる。

0030

本開示の実施形態は、ジンクフィンガーDNA結合タンパク質の使用を含む。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質、「ZFP」、(または結合ドメイン)は、亜鉛イオン配位によって構造が安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1つまたはそれ以上のジンクフィンガーによって配列特異的様式でDNAを結合するタンパク質、またはより大きいタンパク質内のドメインである。用語ジンクフィンガーDNA結合タンパク質は、多くの場合、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと略記される。ジンクフィンガー結合ドメインは、所定のヌクレオチド配列に結合するように「操作される」こともある。ジンクフィンガータンパク質の操作方法の非限定的な例は、設計および選択である。設計されるジンクフィンガータンパク質は、自然界に存在しないタンパク質であって、その設計/組成が主として合理的基準から得られるものである。設計のための合理的基準は、既存のZFP設計および結合データの情報を記憶しているデータベース内の情報を処理するための代入規則およびコンピュータ化アルゴリズムの適用を含む。例えば、米国特許第6,140,081号、同第6,453,242号、同第6,534,261号および同第6,785,613を参照されたい;国際公開第98153058号、同第98153059号、同第98153060号、同第021016536号および同第031016496パンフレット、ならびに米国特許第6,746,838号、同第6,866,997号および同第7,030,215号明細書も参照されたい。

0031

本開示の特定の実施形態では、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を利用することがある。ZFNは、本開示に従って植物細胞に送達することができるいずれのジンクフィンガーヌクレアーゼであってもよい。例えば、ZFNは、切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)とジンクフィンガー結合ドメインとを含む融合タンパク質、これらのタンパク質をコードするポリヌクレオチド、およびポリペプチドとポリペプチドコードポリヌクレオチドの組み合わせを含んでもよい。ジンクフィンガー結合ドメインは、1つまたはそれ以上のジンクフィンガー(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上のジンクフィンガー)を含んでよく、および目的の任意の領域に結合するようにジンクフィンガー結合ドメインを操作してもよい。したがって、切断または組換えが望まれる目的の標的領域を同定することにより、切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)と前記目的の領域内の標的配列を認識するように操作されたジンクフィンガードメインとを含む1つまたはそれ以上の融合タンパク質を、本明細書に開示する方法に従って構築してもよい。細胞内のかかる融合タンパク質(単数または複数)の存在は、前記目的の領域内または付近での融合タンパク質(単数または複数)のその(それらの)結合部位(単数または複数)への結合および切断をもたらすことになる。さらに、目的の領域に相同の外在性ポリヌクレオチドもかかる細胞内に存在する場合、2本鎖破断ヌクレオチド配列と外在性ポリヌクレオチド間の相同組換えが高い率で起こる。本開示のために、「相同組換え」は、例えば、相同性指向型修復メカニズムにより細胞内の2本鎖破断の修復中に発生するような交換の特殊な形を指す。このプロセスは、ヌクレオチド配列相同性を必要とし、「ドナー」分子を用いて「標的」分子(すなわち、2本鎖破断を経たもの)をテンプレート修復し、および「非交差型遺伝子変換」または「ショートトラクト遺伝子変換」として様々に公知である。なぜなら、それがドナーから標的への遺伝情報の伝達をもたらすからである。いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、かかる伝達は、破断した標的とドナーとの間で形成されるヘテロ2本鎖DNAのミスマッチ補正、および/またはドナーを使用して標的の一部になる遺伝情報を再合成する「合成依存性アニーリング」、および/または関連プロセスを必要とし得る。かかる特殊相同組換えは、ドナーポリヌクレオチドの配列の一部またはすべてが標的ポリヌクレオチドに組み込まれるような、標的分子の配列の改変をもたらすことが多い。

0032

本開示の方法において、本明細書に記載の1つまたはそれ以上の標的部位特異的ヌクレアーゼは、標的配列(例えば、細胞の染色質)内の所定の部位で2本鎖破断を生じさせ、およびその破断の領域内のヌクレオチド配列との相同性を有する「ドナー」ポリヌクレオチドを細胞に導入することができる。2本鎖破断の存在は、ドナー配列の組み込みを助長することが証明されている。ドナー配列を物理的に組み込んでもよいし、または代替的に、ドナーポリヌクレオチドを相同組換えによる破断の修復のためのテンプレートとして使用し、その結果、そのドナー内に見られるようなヌクレオチド配列のすべてまたは一部を細胞の染色質に導入する。かくして、細胞の染色質中の第一の配列を改変することができ、ある一定の実施形態では、ドナーポリヌクレオチド中に存在する配列に変換することができる。したがって、用語「置換する」または「置換」の使用は、1つのヌクレオチド配列の別のものによる置換(すなわち、情報の意味での配列の置換)を表すと解することができ、1つのポリヌクレオチドの別のものによる物理的または化学的置換を必ずしも必要としない。

0033

いくつかの実施形態では、特定のヌクレオチド配列、例えば宿主生物のゲノム内の特定のヌクレオチド配列を認識し、それに結合することができる因子を利用することによって、部位特異的組み込みを果たしてもよい。例えば、多くのタンパク質は、部位特異的様式でDNAを認識し、それに結合することができるポリペプチドドメインを含む。DNA結合ポリペプチドにより認識されるDNA配列を「標的」配列と呼ぶことがある。部位特異的様式でDNAを認識し、それに結合することができるポリペプチドドメインは、そのドメインが当初単離されたタンパク質以外のポリペプチドにおいて発現されたときでさえ、一般に、正しく折り畳まり、独立して機能して、部位特異的様式でDNAに結合する。同様に、DNA結合ポリペプチドによる認識および結合のための標的配列は、大きいDNA構造(例えば、染色体)中に存在するときでさえ、特に、その標的配列が位置する部位が可溶性細胞タンパク質に接近できることが公知のもの(例えば、遺伝子)であるときでさえ、一般に、かかるポリペプチドにより認識および結合され得る。

0034

自然界に存在するタンパク質から同定されたDNA結合ポリペプチドは、典型的に、別個のヌクレオチド配列またはモチーフ(例えば、コンセンサス認識配列)に結合するが、多くのかかるDNA結合ポリペプチドを異なるヌクレオチド配列またはモチーフを認識するように修飾するための方法が存在し、当分野において公知である。DNA結合ポリペプチドとしては、例えば、限定ではないが、次のものが挙げられる:ジンクフィンガーDNA結合ドメイン;ロイシンジッパー;UPA DNA結合ドメイン;GAL4;TAL:LexA;RNA誘導性CRISPR−Cas9;Tetリプレッサー;LacR;およびステロイドホルモン受容体

0035

いくつかの例では、DNA結合ポリペプチドは、ジンクフィンガーである。個々のジンクフィンガーモチーフを、広範なDNA部位のいずれかに特異的に標的化および結合するように設計することができる。カノニカルCys2His2(および非カノニカルCys3His)ジンクフィンガーポリペプチドは、標的DNA二重ヘリックスの主溝α−ヘリックスを挿入することによってDNAを結合する。ジンクフィンガーによるDNAの認識は、モジュール式であり;各フィンガーは、主として、標的内の3連続塩基に接触し、そのポリペプチド中の少数の重要な残基が認識を媒介する。標的化エンドヌクレアーゼ内に複数のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含めることにより、その標的化エンドヌクレアーゼのDNA結合特異性は、さらに増加され得る(およびしたがって、それによって付与される任意の遺伝子調節効果の特異性も増加され得る)。例えば、Urnov et al. (2005) Nature 435:646-51を参照されたい。かくして、1つまたはそれ以上のジンクフィンガーDNA結合ポリペプチドを、宿主細胞に導入された標的化エンドヌクレアーゼがその宿主細胞のゲノム内に特有であるDNA配列と相互作用するように操作および利用してよい。

0036

好ましくは、ジンクフィンガータンパク質は、最適な標的部位に結合するように操作されている点で天然起源ではない。例えば、Beerli et al. (2002) Nature Biotechnol. 20:135-141; Pabo et al. (2001) Ann. Rev. Biochem. 70:313-340; Isalan et al. (2001) Nature Biotechnol. 19:656-660;Segal et al. (2001) Curr. Opin. Biotechnol. 12:632-637; Choo et al. (2000) Curr. Opin. Struct. Biol. 10: 411-416;米国特許第6,453,242号、同第6,534,261号、同第6,599,692号、同第6,503,717号、同第6,689,558号、同第7,030,215号、同第6,794,136号、同第7,067,317号、同第7,262,054号、同第7,070,934号、同第7,361,635号、同第7,253,273号;および米国特許出願公開第2005/0064474号、同第2007/0218528号、同第2005/0267061号明細書を参照されたい。

0037

操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然起源のジンクフィンガータンパク質と比較して、新規結合特異性を有することができる。操作方法は、合理的設計および様々なタイプの選択を含むが、これらに限定されない。合理的設計は、例えば、トリプレット(またはクアドプレット)ヌクレオチド配列および個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースの使用であって、各トリプレットまたはクアドルプレットヌクレオチド配列が、特定のトリプレットまたはクアドルプレット配列を結合するジンクフィンガーの1つまたはそれ以上温アミノ酸配列と関連付けられるものであるデータベースの使用を含む。例えば、共同所有の米国特許第6,453,242号および同第6,534,261号明細書を参照されたい。

0038

ファージディスプレイおよび2−ハイブリッドシステムをはじめとする例示的選択方法は、米国特許第5,789,538号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,410,248号、同第6,140,466号、同第6,200,759号および同第6,242,568号明細書、ならびに国際公開第98/37186号、同第98/53057号、同第00/27878号、同第01/88197号パンフレットおよび英国特許2,338,237号明細書に開示されている。加えて、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の強化は、例えば、共同所有の国際公開02/077227号パンフレットに記載されている。

0039

加えて、これらおよび他の参考文献に開示されているように、ジンクフィンガードメイン、および/または複数のフィンガーを持つジンクフィンガータンパク質を、例えば5アミノ酸またはそれ以上の長さのリンカーをはじめとする、任意の適するリンカー配列を使用して、互いに連結させてもよい。6アミノ酸またはそれ以上の長さの例示的リンカー配列については、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号および同第7,153,949号明細書も参照されたい。本明細書に記載するタンパク質は、そのタンパク質の個々のジンクフィンガー間に適切なリンカーの任意の組み合わせを含んでよい。

0040

融合タンパク質(およびそれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構築のための、標的部位選択、ZFPおよび方法は、当業者には公知であり、米国特許第6,140,0815号、同第789,538号、同第6,453,242号、同第6,534,261号、同第5,925,523号、同第6,007,988号、同第6,013,453号、同第6,200,759号明細書;国際公開第95/19431号、同第96/06166号、同第98/53057号、同第98/54311号、同第00/27878号、同第01/60970号、同第01/88197号、同第02/099084号、同第98/53058号、同第98/53059号、同第98/53060号、同第02/016536号および同第03/016496号パンフレットに詳細に記載されている。

0041

加えて、これらおよび他の参考文献に開示されているように、ジンクフィンガードメイン、および/または複数のフィンガーを持つジンクフィンガータンパク質を、例えば5アミノ酸またはそれ以上の長さのリンカーをはじめとする、任意の適するリンカー配列を使用して、互いに連結させてもよい。6アミノ酸またはそれ以上の長さの例示的リンカー配列については、米国特許第6,479,626号、同第6,903,185号および同第7,153,949号明細書も参照されたい。本明細書に記載するタンパク質は、そのタンパク質の個々のジンクフィンガー間に適切なリンカーの任意の組み合わせを含んでよい。

0042

いくつかの例では、DNA結合ポリペプチドは、GAL4からのDNA結合ドメインである。GAL4は、サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)におけるモジュラートランス活性化因子(modular transactivator)であるが、多くの他の生物においてもトランス活性化因子として動作する。例えば、Sadowski et al. (1988) Nature 335:563-4を参照されたい。この調節システムにおいて、S.セレビシエ(S. cerevisiae)におけるガラクトース代謝経路の酵素をコードする遺伝子の発現は、利用可能な炭素源によって厳重に調節される。Johnston (1987) Microbiol. Rev. 51:458-76。これらの代謝酵素転写制御は、陽性調節性タンパク質、GAL4と、GAL4が特異的に結合する17bp対称DNA配列(UAS)との相互作用によって媒介される。

0043

天然GAL4は、99kDaの分子量を有する、881アミノ酸残基から成る。GAL4は、機能的に自主性を持つドメインを含み、その総合活性によりGAL4のインビボ活性が説明される。Ma and Ptashne (1987) Cell 48: 847-53): Brent and Ptashne (1985) Cell 43(3 Pt 2): 729-36。GAL4のN末端65アミノ酸がGAL4DNA結合ドメインを構成する。Keegan et al. (1986) Science 231:699-704; Johnston (1987) Nature 328:353-5。配列特異的結合は、そのDNA結合ドメインに存在する6つのCys残基により配位された二価カチオンの存在を必要とする。この配位カチオン含有ドメインは、DNAヘリックスの主溝との直接接触により17bpUASの各末端の保存CCGトリプレットと相互作用し、そのトリプレットを認識する。Marmorstein et al. (1992) Nature 356:408-14。このタンパク質のDNA結合機能C末端転写活性化ドメインをプロモーターの近くに位置させるので、その活性化ドメイン転写を指示することができる。

0044

ある一定の実施形態において利用することがある追加のDNA結合ポリペプチドとしては、例えば、限定ではないが、次のものが挙げられる:AVRBS誘導性遺伝子からの結合配列;AVRBS3誘導性遺伝子からのコンセンサス結合配列またはそこから操作された合成結合配列(例えば、UPADNA結合ドメイン);TAL;LexA(例えば、Brent & Ptashne (1985), 上掲を参照されたい);LacR(例えば、Labow et al. (1990) Mol. Cell. Biol. 10:3343-56; Baim et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88(12):5072-6 を参照されたい);ステロイドホルモン受容体(Ellliston et al. (1990) J. Biol. Chem. 265: 11517-121);Tetリプレッサー(米国特許第6,271,341号明細書)、およびテトラサイクリン(Tc)の存在下ではtetオペレーター配列に結合するが不在下ではしない突然変異Tetレプレッサー;NF−κBのDNA結合ドメイン;ならびにGAL4とホルモン受容体とVP16の融合体を利用する、Wang et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(17): 8180-4に記載されている調節システムの成分が挙げられる。

0045

ある一定の実施形態において、本明細書に記載する方法および組成物において使用されるヌクレアーゼの1つまたはそれ以上についてのDNA結合ドメインは、天然起源のまたは操作された(非天然起源の)TALエフェクターDNA結合ドメインを含む。例えば、米国特許出願公開第20110301073号明細書を参照されたい。キサントモナス属(Xanthomonas)の植物病原菌は、重要な作物植物において多くの病気の原因となることは公知である。キサントモナス属(Xanthomonas)の病原性は、植物細胞に25より多くのエフェクタータンパク質注入する、保存されたIII型分泌(T3S)システムに依存する。これらの注入タンパク質には、植物転写活性化因子模倣し、植物転写を操る、転写活性化因子様(TAL)エフェクターがある(Kay et al (2007) Science 318:648-651を参照されたい)。これらのタンパク質は、DNA結合ドメインおよび転写活性化ドメインを含有する。最もよく特性評価されているTAL−エフェクターの1つが、斑点細菌病菌(Xanthomonas campestgris pv. Vesicatoria)からのAvrBs3である(Bonas et al (1989) Mol Gen Genet 218: 127-136 および国際公開第2010079430号パンフレットを参照されたい)。TAL−エフェクターは、これらのタンパク質のDNA結合特性にとって重要である、おおよそ34のアミノ酸を各リピートが含有する、タンデムリピートの中央ドメインを含有する。加えて、それらは、核局在配列および酸性転写活性化ドメインを含有する(総説については、Schornack S, et al (2006) J Plant Physiol 163(3): 256-272を参照されたし)。加えて、植物病原菌・青枯病菌(Ralstonia solanacearum)における、brg11およびhpx17と呼ばれる2つの遺伝子は、青枯病菌(R. solanacearum)次亜種GMI1000株におけるおよび次亜種4 RS1000株におけるキサントモナス属(Xanthomonas)のAvrBs3ファミリーに相同であることが判明した(Heuer et al (2007) Appl and Envir Micro 73(13): 4379-4384を参照されたい)。これらの遺伝子は、ヌクレオチド配列の点では互いに98.9%同一であるが、hpx17のリピートドメインにおける1,575bpの欠失の点で異なる。しかし、両方の遺伝子産物は、キサントモナス属(Xanthomonas)のAvrBs3ファミリータンパク質と40%未満の配列同一性を有する。例えば、米国特許第8,420,782号および同第8,440,431号明細書ならびに米国特許出願公開第20110301073号明細書を参照されたい。

0046

他の実施形態において、前記ヌクレアーゼは、CRISPR/Casシステムを含む。このシステムのRNA成分をコードするCRISPR(クラスター化されており等間隔にスペーサーが入っている短い回文型のリピート(clustered regularly interspaced short palindromic repeats))遺伝子座、およびタンパク質をコードするcas(CRISPR関連)遺伝子座(Jansen et al., 2002. Mol. Microbiol. 43: 1565-1575;Makarova et al., 2002. Nucleic AcidsRes. 30: 482-496; Makarova et al., 2006. Biol. Direct 1:7; Haft et al., 2005.PLoS Comput. Biol. 1:e60)が、CRISPR/Casヌクレアーゼシステムの遺伝子配列を構成する。微生物宿主におけるCRISPR遺伝子座は、CRISPR関連(Cas)遺伝子はもちろん、CRISPR媒介核酸切断の特異性をプログラムすることができる非コードRNA要素も含有する。

0047

II型CRISPRは、最もよく特性評価されているシステムの1つであり、4つの逐次的工程で標的DNA2本鎖破断を行う。第一に、2つの非コードRNA、すなわちpre−crRNAアレイおよびtracrRNAがCRISPR遺伝子座から転写される。第二に、tracrRNAがpre−crRNAのリピート領域にハイブリダイズし、個別のスペーサー配列を含有する成熟crRNAへのpre−crRNAのプロセッシングを媒介する。第三に、その成熟crRNA:tracrRNA複合体が、crRNA上のスペーサーとプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の隣の標的DNA上のプロトスペーサーとのワトソンクリック塩基対合(標的認識の追加要件)により、Cas9を標的DNAに指向させる。最後に、Cas9が標的DNAの切断を媒介して、そのプロトスペーサー内で2本鎖破断を生じさせる。このCRISPR/Casシステムの活性は、3つの工程を含む:(i)「順応」と呼ばれるプロセスでの、将来の攻撃を防止するための外来DNA配列のCRISPRアレイへの挿入;(ii)該当するタンパク質の発現、ならびに前記アレイの発現およびプロセッシング;続いて、(iii)前記外来核酸へのRNA媒介干渉。このように、細菌細胞において、いくつかの所謂「Cas」タンパク質は、CRISPR/Casシステムの自然な機能に関与し、外来DNAの挿入などのような機能に複数の役割を果たす。

0048

ある一定の実施形態において、Casタンパク質は、天然起源のCasタンパク質の「機能的誘導体」であってよい。天然配列ポリペプチドの「機能的誘導体」は、天然配列ポリペプチドと同じような質的生物学的特性を有する化合物である。「機能的誘導体」は、天然配列の断片、ならびに天然配列ポリペプチドおよびその断片の誘導体を含む(しかしこれらに限定されない)が、但し、それらが対応する天然配列ポリペプチドと同じような生物学的活性を有することを条件とする。ここで企図される生物学的活性は、DNA基質を断片へと加水分解する機能的誘導体の能力である。用語「誘導体」は、ポリペプチドのアミノ酸配列変異体共有結合修飾体、およびそれらの融合体、両方を包含する。Casポリペプチドまたはその断片の適する誘導体としては、Casタンパク質またはその断片の突然変異体、融合体、共有結合修飾体が挙げられるが、これらに限定されない。Casタンパク質またはその断片はもちろんCasタンパク質またはその断片の誘導体も含む、Casタンパク質は、細胞から入手可能であり得、または化学的に合成してもよく、またはこれら2つの手順の組み合わせによるものであってもよい。前記細胞は、Casタンパク質を天然に生産する細胞であってもよいし、あるいはCasタンパク質を天然に生産する細胞であって、より高い発現レベルで内在性Casタンパク質を生産するように、または内在性Casと同じもしくは異なるCasをコードする外部より導入された核酸からCasタンパク質を生産するように遺伝子操作される細胞であってもよい。場合によっては、前記細胞は、Casタンパク質を天然に生産せず、Casタンパク質を生産するように遺伝子操作される。

0049

少なくとも2つの2本鎖破断点を作る特定の実施形態において、前記2本鎖破断点の修復は、前記2本鎖破断点間の物質を除去すること、および前記2本鎖破断点間の配列を切除するようにヌクレオチド配列の末端を再結合することを含み得る。複数の実施形態において、切除される配列は、限定ではないが、高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列のすべてまたは一部をコードする配列を含むことがある。さらなる実施形態において、切除される配列は、限定ではないが、高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質の発現をもたらす調節配列を含むことがある。かかる実施形態において、前記高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質の発現は、切断前の発現レベルに比べて減少される。

0050

少なくとも2つの2本鎖破断点を作る代替実施形態において、前記2本鎖破断点の修復は、前記2本鎖破断点間の物質を除去すること、それをドナー配列で置換して、2本鎖破断点間の配列をドナー配列で置き換えることを含む。他の実施形態において、除去される配列は、限定ではないが、高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質をコードするヌクレオチドのすべてまたは一部をコードする配列を含むことがある。さらなる実施形態において、除去される配列は、限定ではないが、高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質の発現をもたらす調節配列を含むことがある。かかる実施形態において、前記高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質の発現は、切断前の発現レベルに比べて減少される。

0051

1つの2本鎖破断点を作る実施形態において、前記2本鎖破断点の修復は、前記2本鎖破断点へのまたは前記2本鎖破断点を渡ってのドナー配列の挿入を含む。ある一定の実施形態では、ドナー配列を、高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質のコード配列に挿入することがある。複数の実施形態において、かかる配列の挿入は、高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質のコード配列の転写を、非限定的な例としてインフレーム停止コドンの存在により、中断させることがある。さらなる実施形態において、前記ドナーは、限定ではないが、高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質の発現をもたらす調節配列の機能を破壊することがある。複数の実施形態において、前記高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質の発現は、切断前の発現レベルに比べて減少される。

0052

さらに他の実施形態において、ドナー配列は、目的のタンパク質をコードすることがある。さらなる実施形態において、ドナー配列からの目的のタンパク質の発現を、前記ドナー配列中に存在する調節配列、および/または前記ドナー位配列が挿入された配列中に存在する調節配列によって制御してもよく、調節してもよく、または前記調節配列に作動的に関連付けてもよい。追加の実施形態において、目的のタンパク質をコードする核酸配列を、ドナー配列とは異なる細胞に供給してもよく、またはドナー配列と共に細胞に供給してもよい。いくつかの実施形態において、ドナー配列は、目的のタンパク質をコードする配列と同じ核酸配列に含有される。

0053

他の実施形態において、高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列高度に、より高度に、非常に高度に、または最も高度に発現されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、非限定的な例として、ゲノム、プラスミド、コスミド人工染色体エピソーム、または細胞内の他のヌクレオチド構造内に位置し得る。

0054

1つの態様では、2本鎖ドナーポリヌクレオチドを、少なくとも1つのヌクレアーゼを使用する前記ドナーのインビボ切断後の最適な内在性遺伝子座への組み込みについて本明細書に記載する。ドナーヌクレオチドは、内在性遺伝子座に組み込まれることになる外在性配列(導入遺伝子)を含み、かつヌクレアーゼのための少なくとも1つの標的部位を含有する。ドナーヌクレオチドは、導入遺伝子配列に隣接する相同領域(例えば、相同アーム)を含むことができる。ドナー配列に存在する染色体相同性は、ヌクレアーゼ結合部位にあることができる。ドナーを切断するためにヌクレアーゼを使用する、ある一定の実施形態において、前記ヌクレアーゼは、染色体を切断するために使用するヌクレアーゼと同じでなく、および染色体とドナー配列間に相同性がないこともあり得る。他の実施形態において、ドナー分子は、相同性非依存型メカニズム(例えば、NHEJ)によって内在性遺伝子座に組み込まれる。他の実施形態において、2本鎖ドナーは、少なくとも1kbの長さの導入遺伝子と、インビボ切断のための前記導入遺伝子のヌクレアーゼ標的部位(単数または複数)3’および/または5’とを含む。ドナー分子は、例えば、プラスミドであってもよい。ある一定の実施形態において、ドナーは、内在性遺伝子座のヌクレアーゼ媒介切断後に組み込まれる。ドナー分子のいずれのヌクレアーゼ媒介組み込みにおいても、ドナーを切断するために使用するヌクレアーゼの1つまたはそれ以上は、内在性遺伝子座を切断するために使用するヌクレアーゼの1つまたはそれ以上と同じであってよい。あるいは、ドナーを切断するために使用するヌクレアーゼの1つまたはそれ以上は、内在性遺伝子座を切断するために使用するヌクレアーゼの1つまたはそれ以上と異なってもよい。

0055

いくつかの実施形態において、ドナーは、プラスミド上に含有される。ドナーは、プラスミド内で少なくとも2つのヌクレアーゼ切断部位がそのドナーに隣接している場合、ヌクレアーゼ媒介切断後に組み込まれる。ある一定の実施形態において、ドナープラスミド内のヌクレアーゼ切断部位の配列は、標的化されることになるETIPを含有する染色体遺伝子座内のヌクレアーゼ切断部位の配列と同じである。他の実施形態において、ドナー含有プラスミド上のドナーに隣接するヌクレアーゼ切断部位は、染色体のETIP内の切断部位とは異なる。追加の実施形態において、ドナー含有プラスミド内のドナーに隣接するヌクレアーゼ切断部位は、染色体内のヌクレアーゼ切断部位と同じでなくてよく、異なってもよい。さらなる実施形態において、ドナーは、少なくとも2つのヌクレアーゼ切断部位が隣接しているプラスミド上に含有されることがあり、2つのヌクレアーゼの作用によって生ずる染色体のETIP内の欠失部に組み込まれることもある。かかる実施形態において、プラスミド上のドナーに隣接するヌクレアーゼ切断部位と、染色体内のETIPのヌクレアーゼ切断部位は、同じであってもよいし、または異なってもよい。他の実施形態において、ドナーは、単一ヌクレアーゼ切断部位しか含有しないプラスミドであり、染色体内のETIPのヌクレアーゼ切断部位は、同じであってもよいし、または異なってもよい。

0056

ドナー分子の目的の配列は、プロモーターとともにまたはなしで、機能性ポリペプチド(例えば、cDNA)をコードする1つまたはそれ以上の配列を含むことがある。ある一定の実施形態において、その核酸配列は、抗体、抗原、酵素、成長因子受容体(細胞表面または核)、ホルモンリンフォカインサイトカイン、レポーター、上記のもののいずれかの機能性断片および上記のものの組み合わせをコードする配列を含む。機能性ポリペプチドコード配列がプロモーターを持たない実施形態では、組み込まれた配列の発現を、目的の領域内の内在性プロモーターまたは他の制御要素により駆動される転写によって確実なものにする。他の実施形態では、タンデムカセット選択部位にこの要領で組み込む:上記のプロモーターを持たない配列を含む前記カセットの第一の成分、続いて転写終結配列、そして自律的発現カセットをコードする第二の配列。追加の配列(コードまたは非コード配列)をドナー分子内の相同アーム間に含めることができる。追加の実施形態において、ドナー核酸は、機能性RNA、例えば、miRNAまたはshRNAをコードする配列を含む。

0057

標的切断のための本開示方法および組成物を使用して、ゲノム配列の突然変異を誘導してもよい。標的切断を用いて、遺伝子ノックアウトまたは遺伝子ノックダウンを生じさせてもよく(例えば、ゲノム機能解析または標的検証)、およびゲノムへの配列の標的挿入(すなわち、配列ノックイン)を助長してもよい。挿入は、非限定的な例として相同組換えによる、染色体配列の置換によるものであってもよく、または新たな配列(すなわち、目的の領域内に存在しない配列)を所定の標的部位に挿入する標的組み込みによるものであってもよい。ある一定の例では、かかる新たな配列に、染色体内の目的の領域に相同の配列が隣接していてもよい。同じ方法を用いて、野生型配列突然変異型配列で置換してもよく、または1つの対立遺伝子を異なる対立遺伝子に変換してもよい。

0058

目的のタンパク質の標的組換え生産のための本開示方法を用いて、任意のゲノム配列を非同一配列と置換してもよい。例えば、突然変異型ゲノム配列をその野生型対応物で置換し、それによって、植物の病気の治療方法が得られること;植物病原体に対する耐性が得られること;作物の収量が増加することなどがある。同様に、遺伝子の一方の対立遺伝子を、本明細書に開示する標的組換え方法を用いて異なる対立遺伝子によって置換してもよい。

0059

これらの場合の多くにおいて、目的の領域は、突然変異を含み、ドナーポリヌクレオチドは、対応する野生型配列を含む。同様に、野生型ゲノム配列を突然変異配列により置換しても、そのようなことが望ましい場合には、よい。例えば、癌遺伝子の過発現を、その遺伝子を突然変異させることによって、またはより低い非病原性レベルの発現を支持する配列でその制御配列を置換することによって、逆転させることができる。実際、いかなる様式であっても特定のゲノム配列に依存する何らかの病状が、本明細書に開示する方法および組成物を使用して修正または緩和されることがある。

0060

標的切断、挿入、切除および/または組換えを用いて、非コード配列(例えば、調節配列、例えばプロモーター、エンハンサーイニシエーターターミネータースプライス部位)を改変して、遺伝子産物の発現レベルを改変してもよい。かかる方法を、例えば、治療目的、ゲノム機能解析および/または標的検証研究に用いてもよい。

0061

染色質構造の標的修飾を用いて、細胞染色質への融合タンパク質の結合を助長してもよい。追加の実施形態では、本明細書において開示するジンクフィンガー−切断ドメイン融合体に加えて、または前記融合体の代わりに、ジンクフィンガー結合ドメインとリコンビナーゼ(またはその機能性断片)間の1つまたはそれ以上の融合体を使用して、標的組換えを助長してもよい。例えば、共同所有の米国特許第6,534,261号明細書、およびAkopian et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100: 8688-8691を参照されたい。追加の実施形態では、本開示方法および組成物を使用して、転写活性化または抑制ドメインであって、それらの活性のためにダイマー化ホモダイマー化またはヘテロダイマー化のいずれか)を必要するドメインと、ZFP結合ドメインとの融合体をもたらす。これらの場合、融合ポリペプチドは、ジンクフィンガー結合ドメインと機能性ドメインモノマー(例えば、ダイマー転写活性または抑制ドメインからのモノマー)とを含む。正しい位置にある標的部位へのかかる二つの融合ポリペプチドの結合により、機能性転写活性化または抑制ドメインを再構成するようなダイマー化が可能になる。

0062

さらに、上で開示したように、本明細書に示す方法および組成物を、細胞のゲノム内の目的の領域への外在性配列の標的組み込みに使用してもよく、例えば、この場合、切断が、相同性依存型メカニズム(例えば、所定のゲノム配列(すなわち、標的部位)と同一であるか、または相同であるが同一でない1つまたはそれ以上の配列とともに外在性配列を含むドナー配列の挿入)による挿入を増進させる。

0063

ドナー配列は、ゲノム配列内の2本鎖破断の相同性指向型修復(HDR)を支持するために十分な相同性を外在性配列に隣接する領域に有することがあり、それによって、ゲノム標的部位に外在性配列が挿入されることがある。したがって、ドナー核酸は、相同性依存型修復メカニズム(例えば、相同組換え)による外在性配列の組み込みを支持するために十分な任意のサイズのものであってよい。いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、外在性配列に隣接する相同領域が、2本鎖破断部位での遺伝情報の再合成のためのテンプレートを破断された染色体にもたらすと考えられる。ある一定の実施形態において、2つの同一配列または2つの相同だが同一でない配列(または各々の一方)が、外在性配列に隣接して存在する。外在性配列(または外在性核酸または外在性ポリヌクレオチド)は、目的の領域内に通常は存在しないヌクレオチド配列を含有するものである。

0064

当然のことながら、誘導性プロモーターの制御下にあるZFN遺伝子とともにその対応する認識配列を有する構築物を、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)に安定的に組み込むことができ、および前記構築物は、認識部位での非相同末端結合の結果として標的突然変異を導入することが証明されている。例えば、国際特許公開番号国際公開第2008/021207号パンフレットには、ZFN媒介相同組換えによる導入遺伝子の正確な挿入方法が記載されている。逆に言えば、ZFNタンパク質を標的生物の外部で発現および精製することができ、そしてその後、標的植物細胞に送達することができる場合、非相同末端結合(NHEJ)によって外科的に特異的な突然変異/遺伝子ノックアウトを誘導してもよい。したがって、本開示は、非トランスジェニック遺伝子修飾植物を生産することができ、これはトランスジェニック作物に対する制限を回避することになり、およびトランスジェニックアプローチを必要としない標的遺伝子編集プロセスが可能になる。

0065

標的遺伝子付加は、典型的に、標的遺伝子座に相同な相当な量のDNAが隣接している選択可能マーカー遺伝子のトランスフェクションによって行われる。自発的2本鎖破断点(DSB)が、おそらく停止したDNA複製フォークから、標的遺伝子座に形成される。通常、姉妹染色体をテンプレートとする相同性指向型修復(HDR)によって誤りなく修復されるが、HDRは、その代わりに相同ドナーDNAを使用して破断を治すことができる。追加のDNA配列をドナープラスミド内の2つの相同領域間に挿入すると、細胞DNA修復機構は、はからずもこの遺伝情報を染色体にコピーする。この相同性ベースの標的化は、ドナー相同領域で内の極めて稀なDSBの捕捉に依存するので、有用な頻度での標的組み込みを達成するには標的遺伝子座への大きな相同性を必要とする。

0066

代替実施形態では、NHEJにより効率的な相同性ベースのDNA修復のない細胞タイプに同様の遺伝子付加能力をもたらすことができる。かかるアプローチは、NHEJDNA修復経路優先的に使用する初代、非分裂細胞において遺伝子付加に特に有用であると分かるだろう。NHEJによる遺伝子付加は、骨の折れる予備クローニングおよびシークエンシングを必要とするゲノムシークエンスを伴わないドナー構築として、シークエンシングされていないゲノムにも有用であり得る。非特異的DNAをNHEJ媒介DSB修復部位で捕捉することができることは理解される。特定の実施形態では、ZFN切断によって作られる1本鎖オーバーハングに存在する情報を、NHEJ DNA修復機構を用いて標的DNA組み込みを行うために使用することができる。

0067

他の実施形態では、遺伝子付加能力を、NHEJによる効率的な相同性ベースのDNA修復と相同性指向型修復による効率的な相同性ベースのDNA修復の両方によって得ることができる。かかる実施形態では、ドナー配列の一端をNHEJによって染色体標的内に組み込み、前記ドナー配列の他端を相同性指向型修復によって前記染色体標的内に組み込む。

0068

ある一定の実施形態は、植物細胞内のETIPに安定的に組み込まれた外在性核酸配列の1つまたはそれ以上の産物(すなわち、タンパク質またはRNA分子)を発現するドナーまたはペイロードDNAの生産方法を含む(図17)。

0069

本開示の代替実施形態は、マーカー遺伝子の組み込み、およびETIP標的化可能核酸分子に組み込まれたそのマーカータンパク質のその後の発現を含む。いくつかの実施形態において、ETIP遺伝子座への標的ドナーDNAの選択方法は、ETIPの5’および3’末端の一方または両方に組み込まれたマーカー遺伝子の発現についての細胞選別および選択を用いる(図18)。FAD2、FAD3もしくはIPK2遺伝子座へのETIPの組み込みまたは植物ゲノム内のランダムな位置内へのETIPの組み込みは、宿主植物の再生する能力、開花する能力、種子を生産する能力、ならびに何世代にもわたってETIPに標的化されるドナーポリヌクレオチド分子によって送達されるその後の外在性核酸配列産物の選択、再生および遺伝性伝達を可能にする能力を損なわせないようである。

0070

さらに、ETIP使用して、旧来の事象遺伝子移入実験において生じさせなければならないトランスジェニック事象の数を低減させることができる。なぜなら、候補遺伝子および植物発現ベクター設計が同じ内在性植物ゲノム位置内に組み込まれるからである。作物およびモデル種(トウモロコシ、大豆、イネ、カノーラ、コムギオオムギヒマワリトマト、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、綿、ジャガイモモロコシ属(sorghum)、飼料草、アブラナ属(Brassica)種(セイヨウアブラナ(B. napus)、B.ラパ(B. rapa)、B.オレラセア(B. oleracea)、クロガラシ(B. nigra)、セイヨウカラシナ(B. juncea)、アビニアカラシ(B. carrinata)を含むが、これらに限定されない)、サトウキビサトウダイコン、ヤマカジグサ属(Brachypodium)、およびアルファルファを含む)を含む、すべての植物種にわたって、ETIP技術を展開することができる。

0071

特定の実施形態は、本明細書に記載する方法を用いて産生されたトランスジェニック植物またはトランスジェニック植物細胞を含む。具体的には、1つの実施形態において、トランスジェニック植物細胞は、少なくとも1つの標的化可能な核酸分子を含有するヌクレオチド配列(ゲノムのものであってもよい)を有する核酸分子を含み、前記標的化可能な核酸分子は、部位特異的ヌクレアーゼ切断部位と、少なくとも1つのマーカー遺伝子の断片とを含み、前記断片は、機能性マーカー遺伝子発現産物をコードしない。前記標的化可能な核酸分子の特定の実施形態は、第一のマーカー遺伝子の第一の断片と、第二のマーカー遺伝子の第二の断片とを含むことがある。前記標的化可能な核酸分子の他の実施形態は、1つまたはそれ以上の遺伝子発現カセットを含むことがある。さらなる実施形態において、前記第一および第二の断片は、前記部位特異的ヌクレアーゼ切断部位に隣接していることがある。

0072

いくつかの実施形態において、ドナーヌクレオチド配列は、調節要素、例えば、プロモーター、5’UTR、3’UTR、イントロン、またはMARに作動可能に連結されることがある。他の実施形態において、前記ヌクレオチド配列は、2つのマーカー遺伝子を含むことがある。

0073

ETIPシステムは、植物ゲノムへのドナー配列の標的組み込みの迅速な選択を可能にするプラットフォーム技術を代表する。ある一定の実施形態では、ETIP技術を、植物細胞培養物はもちろん、藻類コケ真菌系、および哺乳動物細胞培養物、例えばNK−1、CHOなどにおいても用いてよい。ETIPシステムは、様々な作物種において形質発現過程を通してハイスループット遺伝子および構築物試験を可能にする正確な植物形質転換システムの開発のための基礎を成す。

0074

本明細書において引用する、出版物、特許および特許出願を含む、すべての参考文献は、本開示の明確な詳細と矛盾しない程度に、参照により本明細書に援用されており、ならびに各参考文献が、個々にかつ具体的に参照により援用されていると示されているのと同程度に、および各参考文献がそっくりそのまま述べられているのと同程度に、そのように援用されている。本明細書において論ずる参考文献は、本出願の出願日より前のそれらの開示について単に提供するものである。先行発明のためかかる開示に先行する権利が本発明者らにはないと解釈すべきものは、本明細書にはない。

0075

以下の実施例を、ある特定の特徴および/または態様を例証するために提供する。これらの実施例を、記載する特定の特徴または態様に本開示を限定するものと解釈すべきではない。

0076

実施例1:細菌人工染色体ライブラリーからのパラロガスFAD2およびFAD3標的配列の同定

0077

BAC構築
細菌人工染色体(BAC)ライブラリーは、商業ベンダー(Amplicon Express、ワシントン州プルマン)からのものであった。前記BACライブラリーは、セイヨウアブラナ変種(Brassica napus L. var.)DH10275から単離された高分子量ゲノムDNA(gDNA)断片を含有する110,592のBACクローンから成った。gDNAをBamHIまたはHinDIII制限酵素いずれかで消化した。約135Kbpの単離されたgDNAをpCC1BACベクター(Epicentre、ウィスコンシン州マディソン)にライゲートし、大腸菌株(Escherichia coli str.)DH10B(Invitrogen)に形質転換させた。前記BACライブラリーは、2つの異なる制限酵素を使用して構築された偶数のBACクローンから成った。したがって、Hind III構築BACライブラリーは、144の個別の384ウェルプレートから成った。同様に、BamHI構築BACライブラリーは、144の別々の384ウェルプレートから成った。合計110,592のBACクローンを単離し、288の個別の384ウェルプレートに配列した。288の個別の384ウェルプレートの各々を、迅速なPCRベースのスクリーニングのために単一DNA抽出物として前記ベンダーから得た。結果として生じたBACライブラリーは、おおよそ15GbpのgDNAをカバーし、これは、セイヨウアブラナ変種(Brassica napus L.var.)DH10275ゲノムの12倍ゲノムカバー率に相当する(前記セイヨウアブラナ(Brassica napus L.)ゲノムの推定値は、Johnston et al. (2005) Annals of Botany 95: 229-235に記載されているように約1.132Gbpである)。

0078

BACライブラリーから単離されたFAD2コード配列の配列解析
構築されたBACライブラリーを使用して、FAD2遺伝子コード配列を単離した。シークエンシング実験を行って、セイヨウアブラナ変種(Brassica napus L.var.)DH10275から4つのFAD2遺伝子パラログの特異的遺伝子配列を同定した。

0079

FAD2遺伝子配列は、最初、モデル種シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において同定された。その遺伝子配列は、Genbankにローカスタグ:At3g12120として収載されている。モデル植物種シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)と、4倍体セイヨウアブラナ(Brassica napus)の祖先の1つである2倍体ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)との間の比較ゲノム関係は、以前に記載されている。(Schranz et al. (2006) Trendsin Plant Science 11(11): 535-542)。FAD2遺伝子に特に関して、比較解析は、その遺伝子の3〜4コピーが前記2倍体アブラナ属(Brassica)ゲノム中に出現することがあることを予測した。さらなる遺伝子マッピング研究がScheffler et al. (1997) Theoretical and Applied Genetics 94; 583-591によって完了された。これらの遺伝子マッピング研究の結果は、FAD2遺伝子の4つのコピーがセイヨウアブラナ(Brassica napus)中に存在することを示した。

0080

セイヨウアブラナ変種(B. napus L.var.)DH12075から構築されたBACライブラリーのシークエンシング解析により、結果として、4つのBAC配列(配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号4)を単離し、それらからFAD2A(配列番号5)、FAD2−1(配列番号6)、FAD2−2(配列番号7)およびFAD2−3(配列番号8)遺伝子についてのコード配列を決定した。FAD2A、FAD2−1、FAD2−2およびFAD2−3遺伝子配列を同定し、遺伝子マップを作成した。配列アラインメントプラグラムを用いて、および同一率を用いる近隣結合樹を用いて、それら4つのFAD2遺伝子の配列解析を行った。配列アラインメントをVectorNTI Advance 11.0コンピュータプログラム(Life Technologies、カリフォルニアカールバッド)からのALIGNX(登録商標)プログラムによって行い、図1に示す。ALIGNX(登録商標)は、修正Clustal Wアルゴリズムを使用して、類似性比較のためのおよび注釈付けのためのタンパク質または核酸いずれかの複数の配列アラインメントを生じさせる。近隣結合樹をJALVIEW v2.3(登録商標)ソフトウェアで作成し、図2に示す。(Waterhouse et al. (2009) Bioinformatics 25 (9) 1189-1191)。図2に示すように、単離された配列の解析は、FAD2AおよびFAD2−3配列が高レベルの配列類似性を共有すること、および同様に、FAD2−1およびFAD2−2が高レベルの配列類似性を共有することを示した。前記4配列を2つのクレードカテゴリー分けすることができ、FAD2AおよびFAD2−3は第一クレードを構成し、FAD2−1およびFAD2−2は第二クレードを構成する。

0081

次に、セイヨウアブラナ(Brassica napus)からの新たに単離されたFAD2配列を、ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)ゲノムBACライブラリーから単離されたBLASTゲノムライブラリーおよびブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)ショットガンゲノム配列リードに使用した。ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)およびブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)は両方とも、複2倍体種(ACゲノム、n=19)である、セイヨウアブラナ(Brassica napus)の2倍体祖先である。セイヨウアブラナ(Brassica napus)は、さらにブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)(Aサブゲノム、n=10)とブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)(Cサブゲノム、n=9)間の最近の交配事象から得られたものであった。BLASTn解析を用いて、2倍体祖先配列を、セイヨウアブラナ(Brassica napus)から単離された4つの異なるFAD2コード配列と比較した。この配列解析により、新たに発見されたセイヨウアブラナ(Brassica napus)FAD2配列と最高の配列類似性を共有する、ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)およびブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)からの特異的、注釈付き遺伝子配列を同定した。表1は、新たに同定されたFAD2コード配列および対応する祖先参照配列アクセッション番号および由来生物を収載するものである。

0082

FAD2遺伝子は、セイヨウアブラナ(Brassica napus)ゲノム中に、サブゲノム1つにつき各遺伝子の2つのコピーとして存在する。各遺伝子の1つのコピーはAサブゲノム上に位置し、同様に各ゲノムの1つのコピーはCサブゲノム上に存在する。各遺伝子が位置するのがどちらのサブゲノムであるのかを示すための新たな命名規則を記載する。セイヨウアブラナ(Brassica napus)BACゲノムDNAライブラリーから単離された4つの異なるFAD2コード配列と祖先配列データとの高レベルの配列類似性は、FAD2−3が、CサブゲノムからのFAD2配列の複製であり、FAD2Cと改称される可能性があること;FAD2−1が、AサブゲノムからのFAD2配列の複製であり、したがってFAD2A’と名づけられる可能性があること;および最後に、FAD2−2が、CサブゲノムのFAD2配列から複製された二次コピーであり、FAD2C’と名づけられる可能性があることを示唆する。

0083

BACライブラリーから単離されたFAD3コード配列の配列解析
構築されたBACライブラリーを使用して、FAD3遺伝子コード配列を単離した。シークエンシング実験を行って、セイヨウアブラナ変種(Brassica napus L.var.)DH10275から5つのFAD3遺伝子パラログの特異的遺伝子配列を同定した。

0084

FAD3遺伝子配列は、最初、モデル種シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において同定された。その遺伝子配列は、Genbankにローカスタグ:At2g29980として収載されている。モデル植物種シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)と、4倍体セイヨウアブラナ(Brassica napus)の祖先の1つである2倍体ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)との間の比較ゲノム関係は、以前に記載されている。(Schranz et al. (2006) Trendsin Plant Science 11(11): 535-542)。そのFAD遺伝子に特に関して、比較解析は、その遺伝子の3〜4コピーが2倍体アブラナ属(Brassica)ゲノム中に出現することがあることを予測した。さらなる遺伝子マッピング研究がScheffler et al. (1997) Theoretical and Applied Genetics 94; 583-591によって完了された。これらの遺伝子マッピング研究の結果は、FAD3遺伝子の6つのコピーがセイヨウアブラナ(Brassica napus)中に存在することを示した。

0085

セイヨウアブラナ(Brassica napus)からのFAD3遺伝子に焦点を合わせた以前のシークエンシング努力により、Aゲノム特異的コピーとCゲノム特異的コピーの両方が同定され、遺伝子マップが作成された(Hu et al., (2006) Theoretical and Applied Genetics, 113(3): 497-507)。種子特異的cDNAライブラリーからのEST配列のコレクションは、以前に、サスチュワン州、サスカトゥーン、107サイエンスプレイスカナダ農務・農産食品省(Agriculture and Agri-food Canada)のアンドリュー・シャープ(Andrew Sharpe) によって植物系統DH12075から構築され、シークエンシングされていた。二重半数体カノーラ植物DH12075完全長遺伝子配列からのESTのコレクションを入手できなかったので、さらに、正しくコールされるヌクレオチドの配列量および信頼性の表示も入手できなかった。したがって、異なるFAD遺伝子配列リード間配列変異が、FAD3遺伝子ファミリーの様々なパラログの異なる遺伝子コピーに起因すると無条件に考えることはできず、ゲノム配列を入手することもできなかった。しかし、ESTならびにHu et al., (2006)に記載されている2つのFAD3AおよびFAD3C完全長遺伝子配列を用いて統合配列解析を行ったときに、両方の遺伝子にマッチしたESTを追加の3つのハプロタイプとともに同定した。結果として、FAD3の合計6つの特有のハプロタイプを同定した。それらの様々なFAD3ハプロタイプについてのすべての入手可能なデータの組み立て後エクソン1において高レベルのエクソン配列多様性を同定した。エクソン1におけるFAD3配列のその多様性を、遺伝子/対立遺伝子特異的PCRプライマーの設計に利用できる機会として認定した。加えて、ハプロタイプ間に最小の差が認められたエクソン(例えば、エクソン5、6、7および8はFAD3AとFAD3C間で異なる1〜3bpを有した)または配列変異が全くないエクソン(例えば、エクソン2および3)を同定した。

0086

セイヨウアブラナ変種(B.napus L.var.)DH12075から構築されたBACライブラリーのシークエンシング解析により、結果として6つのBAC配列(配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14)を単離し、それらからFAD3A(配列番号15)、FAD3A’(配列番号16)、FAD3A”(配列番号17)、FAD3C(配列番号18)、FAD3C”(配列番号19)およびFAD3C’(配列番号20)遺伝子についてのコード配列を決定した。FAD3A、FAD3A’、FAD3A”、FAD3C、FAD3C”およびFAD3C’遺伝子配列を同定し、遺伝子マップを作成した。

0087

配列アラインメントプラグラムを用いて、および同一率を用いる近隣結合樹を用いて、それら6つのFAD3遺伝子の配列解析を行った。配列アラインメントをVectorNTI Advance 11.0コンピュータプログラム(Life Technologies、カリフォルニア州カールズバッド)からのALIGNX(登録商標)プログラムによって行い、図3に示す。ALIGNX(登録商標)は、修正Clustal Wアルゴリズムを使用して、類似性比較のためのおよび注釈付けのためのタンパク質または核酸いずれかの複数の配列アラインメントを生じさせる。近隣結合樹をJALVIEW v2.3(登録商標)ソフトウェアで作成し、図4に示す。(Waterhouse et al. (2009) Bioinformatics 25 (9) 1189-1191)。FAD3遺伝子を含有すると同定されたコンティグを、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)遺伝子のデータベースに対するBLASTnクエリーとして使用した。FAD3遺伝子を含有する6つのコンティグの各々についての領域をシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)FAD3遺伝子(Genbankアクセッション番号At2g29980)への比較により同定した。その後、FAD3コンティグを、すべてのFAD3遺伝子が5’から3’への配向になるように配向させた。可能な場合には、上流(5’)2つおよび下流(3’)1つほどのシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)遺伝子を含有するようにFAD3コンティグをトリミングした。配向させたら、FAD3遺伝子の完全コード領域を各コンティグから抽出し、異なるFAD3遺伝子ファミリーメンバー間の関係を表示するための近隣結合樹を生成するために使用した。6つのFAD3ファミリーメンバーを、3対のFAD3遺伝子にアラインした(図4)。

0088

PCRベースのスクリーニング
PCRプライマーのコホートを、上述のBACライブラリーをスクリーニングするために設計した。前記プライマーを、遺伝子ファミリーのすべてのメンバーを増幅することになる万能プライマーとして、または標的対立遺伝子増幅のための遺伝子特異的プライマーとして設計した。前記PCRプライマーを20bp長(+/−1bp)であるように設計した。そして前記プライマーは、50%(+/−8%)のG/C含量を有する。表2および表3は、設計し、合成したプライマーを収載するものである。BACライブラリーのクローンプールし、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってスクリーニングした。

0089

2つの異なる条件セットをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に用いた。第一の一連PCR反応は、1X PCR緩衝液(dNTPを含有);1.5mM MgCl2;200μMの0.25UIMMOLASE(登録商標)DNAポリメラーゼ(Bioline、英国ロンドン);250nMの各プライマー;および約5〜10ngテンプレートDNAを含有した。第二の一連のPCR反応は、ゲノムDNAの増幅のために開発したものであり、5〜10ngのゲノムDNA、1X PCR緩衝液、2mM dNTP、0.4μMフォワードおよびリバースプライマー、ならびに0.25U IMMOLASE(登録商標)DNAポリメラーゼ(Bioline、英国ロンドン)を含有した。増幅物をプールして13μLの最終体積にし、MJPTC200(登録商標)サーモサイクラー(BioRad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)またはABI9700 GENEAMPSYSTEM(登録商標)(Life Technologies、カリフォルニア州カールズバッド)を使用して増幅した。ブライアンら(Scottish Crops Research Institute annual report: 2001-2002)によって記載されたスクリーニングシステムに基づく4次元スクリーニングと上記PCR条件を用いて、特定のプレートのPCRベースのスクリーニングを行った。プールされたBACライブラリーのPCRベースのスクリーニング後、直接サンガーシークエンシング法を用いて、増幅PCR産物をシークエンシングした。BIGDYE(登録商標)v3.1プロトコル(Applied Biosystems)に従ってエタノール酢酸ナトリウムおよびEDTA増幅産物を精製し、電気泳動をABI3730xl(登録商標)自動キャピラリー電気泳動プラットフォームで行った。

0090

PCRベースのスクリーニングおよび高次構造サンガーシークエンシング(conformational Sanger sequencing)後、様々な異なるFAD2およびFAD3遺伝子ファミリーメンバーを含有するプレートのコレクションを同定した。合計4つの特有のFAD2およびFAD3パラロガス遺伝子配列を同定した(表4および表5)。各FAD2およびFAD3パラロガス遺伝子配列につき合計2枚のプレートを選択してプレートスクリーニングに付して、FAD2およびFAD3遺伝子を含有するプレート内の特定のウェルおよびクローンを同定した(表4および表5)。両方のプレートについての特定のウェルを同定し、FAD2およびFAD3遺伝子ファミリーメンバーの各々について個々のクローンを選択した。

0091

同定されたFAD遺伝子ファミリーメンバー各々について単一のBACクローンをシークエンシングによってさらに解析した。BACクローンのDNAを単離し、LARGE CONSTRUCTKIT(登録商標)(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)を製造業者説明書に従って使用してシークエンシングのために調製した。抽出されたBAC DNAを、GS−FLX Titanium Technology(登録商標)(Roche、インディアナ州インディアナポリス)を製造業者の説明書に従って使用してシークエンシングのために調製した。シークエンシング反応は、物理的にセクター分けされたGS−FLX TI Pico−titer plate(登録商標)を、最適なデータ出力のために対でプールされたBACとともに使用して行った。BACを対で組み合わせ、この場合、FAD2遺伝子をFAD3遺伝子と対にした。すべての生成配列データをNEWBLERv2.0.01.14(登録商標)(454 Life Sciences、コネチカットブランフォード)によって組み立てた。組み立てられたコンティグを、SEQUENCHER v3.7(登録商標)(GeneCodes、ミシガン州アナーバー)を使用して対応するFAD遺伝子の存在について手作業で評定した。

0092

4つのFAD2および6つのFAD3遺伝子すべての完全ゲノム配列を同定し、十分に特性評価した後、ジンクフィンガーヌクレアーゼを、各々の特異的遺伝子ファミリーメンバーの配列に結合するように設計した。

0093

実施例2:FAD2遺伝子に特異的なジンクフィンガー結合ドメインの設計
FAD2遺伝子座の様々な機能的配列をコードするDNA配列に対して指向されたジンクフィンガータンパク質を以前に記載されたように設計した。例えば、Urnov et al. (2005) Nature 435: 646-651を参照されたし。例示的標的配列および認識ヘリックスを表6および表7(認識ヘリックス領域設計)ならびに表8および表9(標的部位)に示す。表8および表9では、ZFP認識ヘリックスが接触する標的部位のヌクレオチドを大文字で示し、非接触ヌクレオチドを小文字で示す。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)標的部位を、FAD2Aの5つの標的部位およびFAD3の7つの標的部位を結合するように設計した。FAD2およびFAD3ジンクフィンガー設計を、CCHC構造を伴う少なくとも1つのフィンガーを有するタンパク質をコードするジンクフィンガー発現ベクターに組み込んだ。米国特許出願公開第2008/0182332号明細書を参照されたし。詳細には、各タンパク質の最後のフィンガーは、認識ヘリックスのためのCCHC主鎖を有した。非カノニカルジンクフィンガーコード配列を、4アミノ酸ZCリンカーおよびトウモロコシ(Zea mays)に由来するopaque−2核移行シグナルによってIIS型制限酵素FokIのヌクレアーゼドメイン(Wah et al., (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 10564-10569の配列のアミノ酸384−579)に融合させて、FAD2Aジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を形成した。融合タンパク質の発現を、比較的強い構成的プロモーター、例えば、キャッサバ葉脈モザイクウイルス(CsVMV)プロモーターに由来するプロモーターであって、アグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF23 3’非翻訳領域(AtuORF23 3’UTR v1)が隣接するプロモーターによって駆動した。ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルスからのヌクレオチド配列をコードする自己加水分解性2A(Szymczak et al., 2004)を、その構築物にクローニングされた2つのジンクフィンガーヌクレアーゼ融合タンパク質の間に付加させた。例示的ベクターを下に記載する。

0094

活性ヌクレアーゼを識別することが以前に証明されている発酵母ベースの系を使用して、最適なジンクフィンガーを切断活性について検証した。例えば、米国特許出願公開第20090111119号明細書;Doyon et al. (2008) Nat Biotechnol. 26: 702-708; Geurts et al. (2009) Science 325: 433を参照されたし。様々な機能性ドメインのためのジンクフィンガーをインビボ用に選択した。設計し、生産し、試験して推定FADゲノムポリヌクレオチド標的部位に結合させた非常に多数のZFNのうち、ある一定のZFNを高レベルのインビボ活性を有すると同定し、さらなる実験のために選択した。これらのZFNは、特有のFAD2ゲノムポリヌクレオチド標的部位のインプランタでの効率的結合および切断が可能であることを特徴とした。

0095

実施例3:FAD2遺伝子のジンクフィンガーヌクレアーゼ切断の評価
構築物組み立て
実施例2において説明したような酵母アッセイを用いて同定した、例示的ジンクフィンガーヌクレアーゼのZFN発現構築物を含有するプラスミドベクターを、当分野において一般に公知の技術および技法を用いて設計し、完成させた。各ジンクフィンガーコード配列を、ジンクフィンガーヌクレアーゼの上流に位置する、opaque−2核移行シグナルをコードする配列(Maddaloni et al. (1989) Nuc. AcidsRes. 17(18): 7532)に融合させた。

0096

次に、opaque−2核移行シグナル::ジンクフィンガーヌクレアーゼ融合配列を、相補的opaque−2核移行シグナル::ジンクフィンガーヌクレアーゼ融合配列と対合させた。したがって、各構築物は、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(Mattion et al. (1996) J. Virol. 70: 8124-8127)からの2A配列によって隔てられた2つのopaque−2核移行シグナル::ジンクフィンガーヌクレアーゼ融合配列で構成されている単一のオープンリーディングフレームから成った。前記融合タンパク質の発現を、比較的強い構成的プロモーター、例えば、キャッサバ葉脈モザイクウイルス(CsVMV)プロモーターに由来するプロモーターであって、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF23 3’非翻訳領域(AtuORF23 3’UTR)が隣接するプロモーターによって駆動した。

0097

IN−FUSION(商標)Advantage Technology(Clontech、カリフォルニア州マウンテンビュー)を用いてベクターを組み立てた。制限エンドヌクレアーゼをNew England BioLabs(NEB;マサチューセッツ州イプスウィッチ)から得、T4DNAリガーゼ(Invitrogen)をDNAライゲーションに使用した。プラスミド調製は、NUCLEOSPIN(登録商標)Plasmid Kit(Macherey−Nagel Inc.、ペンシルバニア州ベツレヘム)またはPlasmid Midi Kit(Qiagen)を供給業者の説明書に従って使用して行った。アガロースTris−酢酸塩ゲル電気泳動後、QIAquick Gel Extraction Kit(商標)(Qiagen)を使用してDNA断片を単離した。すべての組み立てたプラスミドのコロニーを、最初にminiprep DNAの制限消化によってスクリーニングした。選択されたクローンのプラスミドDNAを、商業シークエンシングベンダー(Eurofins MWG Operon、アラバマ州ハンツヴィル)がシークエンシングした。SEQUENCHER(商標)ソフトウェア(Gene Codes Corp.、ミシガン州アナーバー)を使用して、配列データを組み立て、解析した。セイヨウアブラナ(B. napus)プロトプラストへの送達前に、Pure YieldPLASMID MAXIPREP System(登録商標)(Promega Corporation、ウィスコンシン州マディソン)またはPlasmid Maxi Kit(登録商標)(Qiagen、カリフォルニア州バレンシア)を供給業者の説明書に従って使用して、大腸菌(E. coli)の培養物からプラスミドDNAを調製した。

0098

得られた11のプラスミド構築物:pDAB104008(ZFN24845およびZFN24844構築物を含有)、pDAB104009(ZFN24820およびZFN24821構築物を含有)、pDAB104010(ZFN24828およびZFN24829構築物を含有)(図5)、pDAB104003(ZFN24810およびZFN24811構築物を含有)、pDAB104011(ZFN24832およびZFN24833構築物を含有)、pDAB104002(ZFN24794およびZFN24795構築物を含有)、pDAB104006(ZFN24796およびZFN24797構築物を含有)、pDAB104004(ZFN24814およびZFN24815構築物を含有)、pDAB104001(ZFN24800およびZFN24801構築物を含有)、pDAB104005(ZFN24818およびZFN24819構築物を含有)、およびpDAB104007(ZFN24836およびZFN24837構築物を含有)を、制限酵素消化によっておよびDNAシークエンシングによって確認した。表10は、切断および結合するように各ZFNを設計した、異なる構築物および特異的FAD配列を収載するものである。

0099

得られたプラスミド構築物;pDAB107824(ZFNs 28025−2A−28026)、pDAB107815(ZFNs 27961−2A−27962)、pDAB107816(ZFNs 27969−2A−27970)、pDAB107817(ZFNs 27973−2A−27974)、pDAB107825(ZFNs 28035−2A−28036)、pDAB107826(ZFNs 28039−2A−28040)、pDAB107818(ZFNs 27987−2A−27988)、pDAB107827(ZFNs 28051−2A−28052)、pDAB107821(ZFNs 28004−2A−28005)、pDAB107819(ZFNs 27989−2A−27990)、pDAB107828(ZFNs 28053−2A−28054)、pDAB107829(ZFNs 28055−2A−28056)、pDAB107820(ZFNs 27991−2A−27992)、pDAB107822(ZFNs 28021−2A−28022)およびpDAB107823(ZFNs 28023−2A−28024)を、制限酵素消化によっておよびDNAシークエンシングによって確認した。

0100

トランスフェクションのためのDNAの調製
上記ベクターのプラスミドDNAを、100%(v/v)エタノールでの沈殿および洗浄によって滅菌し、層流フード内で乾燥させた。そのDNAペレットを、下で説明するようなプロトプラスト細胞へのトランスフェクションのために、30μLの滅菌二重蒸留水に0.7μg/μlの最終濃度で浮遊させた。一過性トランスフェクションのためにスーパーコイルプラスミドDNAにおよび安定したトランスフェクションのために線形化プラスミドDNAに結果としてなるようにプラスミドDNAの調製を企てた。キャリアDNA(例えば、魚精子DNA)の形質転換用プラスミドへの付加は、プロトプラスト細胞の一過性トランスフェクションには必要でなかった。一過性研究のために、106プロトプラストにつき約30μgのプラスミドDNAを形質転換ごとに使用した。

0101

トランスフェクション
セイヨウアブラナ変種(Brassica napus L.var.)DH10275のトランスフェクションを、Spangenberg et al., (1986) Plant Physiology 66: 1-8に記載されているように完了した。培地配合は、Spangenberg G. and Protrykus I. (1995) Polyethylene Glycol-Mediated Direct Gene Transfer in Tobacco Protoplasts. In: Gene Transfer to Plants. (Protrykus I. and Spangenberg G. Eds.) Springer-Verlag, Berlinに記載されている。セイヨウアブラナ(Brassica napus)種子を70%エタノールで表面滅菌した。種子を12mLの70%エタノール溶液に浸漬し、10分間、そのカクテルを穏やかに揺動させることによって混合した。その溶液デカントすることによって70%エタノール溶液を除去し、1% w/v次亜塩素酸カルシウムおよび0.1% v/v Tween−20から成る種子滅菌溶液と交換した。種子を種子滅菌溶液に浸漬し、25分間、そのカクテルを穏やかに揺動させることによって混合した。その種子滅菌溶液をデカントし、滅菌された種子を50mLの滅菌水で3回すすいだ。最後に、種子を、ペトリ皿の中に置かれた滅菌80mm Whatman filter paper disc(登録商標)(Fisher−Scientific、ミズーリ州セントルイス)に移し、種子に滅菌水を軽く浸み込ませた。そのペトリ皿をPARAFILM(登録商標)(Fisher−Scientific、ミズーリ州セントルイス)で密封し、プレートを25℃で、完全暗所下で、1から2日間、恒温放置した。種子から実生出芽の形跡が観察された後、固体EM培地が入っているペトリ皿に実生を移して、さらなる種子発芽を助長した。実生をGEM培地上で、25℃で、4から5日間、恒温放置した。

0102

ある体積の液体PS培地(約10mL)を滅菌ペトリ皿にデカントした。滅菌ピンセットおよびメスを使用して、4葉成長および発育期の4から5日齢実生の地上部分を除去し、廃棄した。20〜40mmの長さの胚軸セグメントにより、小さい、原形質リッチなプロトプラストの最高集団を生産することにした。胚軸セグメントを無菌切除し、液体PS培地に移植した。切除した胚軸セグメントを集め、横方向に切断して5〜10mmセグメントにした。次に、それらの胚軸セグメントを新たなPS培地に移植し、室温で1時間、恒温放置した。原形質分離した胚軸を、酵素溶液が入っているペトリ皿に移した。胚軸セグメントのすべてをその溶液に浸漬するように気を付けた。ペトリ皿をPARAFILM(登録商標)で密封し、一晩、16から18時間、20〜22℃で、穏やかに揺動しながら恒温放置した。

0103

プロトプラスト細胞を胚軸セグメントから放出させた。一晩胚軸消化物を穏やかに撹拌して、プロトプラストを酵素溶液に放出させた。ペトリ皿をわずかに傾けて、酵素溶液および植物破片から成る消化浮遊液を移すのを補助した。10mLピペットを使用して、消化浮遊液を滅菌プロトプラスト濾過(100マイクロメートルメッシュフィルターユニットに移して、プロトプラストを植物破片からさらに分離した。濾過ユニットを穏やかにタッピングして、に捕らわれていた過剰な液体を放出させた。そのプロトプラスト浮遊液、約8から9mLを穏やかに混合し、14mL滅菌プラスチック丸底遠心チューブ分配した。各浮遊液の上に1.5mLのW5溶液をかぶせた。W5溶液を注意深く斜めにプロトプラスト浮遊液一面に分注し、最小限の撹拌で1滴ずつ分注した。プロトプラスト浮遊液へのW5溶液への添加により、結果としてプロトプラストリッチ界面が生成された。ピペットを使用してこの界面を回収した。次に、回収したプロトプラストを新たな14mL遠心チューブに移し、穏やかに混合した。血球計数計を使用して、収量および得られたプロトプラストを測定して、1ミリリットルあたりのプロトプラストの数を決定した。葉組織を消化して葉肉プロトプラストを生成する前記方法を繰り返した。

0104

次に、W5溶液を10mLの体積に添加し、それらのプロトプラストを70gのペレットにし、その後、W5溶液を除去した。残存するプロトプラスト浮遊液を穏やかな振盪により再浮遊させた。プロトプラストが入っている各チューブに5mLのW5溶液を満たし、室温で1から4時間、恒温放置した。それらのプロトプラスト浮遊液を70gのペレットにし、すべてのW5溶液を除去した。次に、300μLの形質転換緩衝液を、単離されたプロトプラストを含有するペレット化プロトプラスト浮遊液の各々に添加した。各々のチューブのプロトプラスト浮遊液に10μgのプラスミドDNAを添加した。プラスミドDNAは、上で説明したジンクフィンガーヌクレアーゼ構築物(例えば、pDAB104010)から成った。次に、300μLの予熱したPEG4000溶液をプロトプラスト浮遊液に添加し、それらのチューブを穏やかにタッピングした。プロトプラスト浮遊液および形質転換混合物を一切撹拌せずに15分間、室温で恒温放置しておいた。さらなる10mLのW5溶液を1mL、1mL、1mL、2mL、2mLおよび3mLの一連のアリコートで各チューブに添加し、W5溶液の各添加間にチューブを穏やかに反転させた。遠心分離機において70gで回転させることによってプロトプラストをペレットにした。すべてのW5溶液を除去して、純粋なプロトプラスト浮遊液を残した。

0105

次に、0.5mLのK3培地をペレット化プロトプラスト細胞に添加し、それらの細胞を再浮遊させた。それらの再浮遊させたプロトプラスト細胞を、1:1濃度の5mLのK3および0.6mLのSea Plaque(商標)アガロース(Cambrex、ニュージャージーイーストラザフォード)が入っているペトリ皿の中央に置いた。それらのペトリ皿を1回の穏やかな渦運動で振盪し、20〜30分間、室温で恒温放置しておいた。ペトリ皿をPARAFILM(登録商標)で密封し、プロトプラストを24時間、完全暗所で培養した。暗所での恒温放置後、それらのペトリ皿を6日間、薄明かり(5μMol m−2s−1のOsram L36 W/21 Lumiluxホワイトチューブ)で培養した。培養工程後、滅菌スパチュラを使用して、プロトプラストを含有するアガロースを四分円に分割した。分離した四分円を、20mLのA培地が入っている250mLプラスチック培養容器内に置き、回転振盪機を用いて80rpmおよび1.25cm偏心距離で、24℃で、継続的に薄明かりで14日間、恒温放置し、その後、各ジンクフィンガーヌクレアーゼ構築物の活性レベルを判定した。

0106

カノーラプロトプラストからのゲノムDNA単離
トランスフェクトされたプロトプラストを個別の1.5または2.0mL遠心チューブに供給した。それらの細胞を緩衝溶液中、チューブの底部でペレット化した。液体窒素で細胞を瞬間冷凍し、続いてそれらの細胞を48時間、LABCONCO FREEZONE 4.5(登録商標)(Labconco、ミズーリ州カンザスティー)において−40℃および約133x10−3 mBar圧で冷凍乾燥させることによって、DNA抽出を行った。組織破壊を必要としなかったことおよびプロトプラスト細胞を直接溶解緩衝液に添加したことを除き、DNEASY(登録商標)(QIAGEN、カリフォルニア州カールズバッド)植物キットを製造業者の説明書に従って使用して、それらの凍結乾燥細胞をDNA抽出に付した。

0107

カノーラプロトプラストにおけるゲノムDNA配列切断についてのFAD2AおよびFAD3 ZFNの試験
複数のZFN対を標的部位とオーバーラップするように設計するために、FAD2AおよびFAD3遺伝子座についてのZFN標的部位の設計をクラスター化した。ZFN標的部位のクラスター化は、オーバーラップしているZFN標的部位のすべてをカプセル化するような100bpウインドウの中のすべてのFAD2AおよびFAD3遺伝子ファミリーメンバーから周囲ゲノム配列を増幅するPCRプライマーを設計することを可能にした。したがって、Illuminaショートリード配列技術を用いて、トランスフェクトされたプロトプラストの標的ZFN部位の完全性を評定することができた。加えて、設計したPCRプライマーは、配列リードをFAD2AおよびFAD3ファミリーの特定の遺伝子メンバー帰属させることになる特定のヌクレオチド塩基を含む必要があった。したがって、すべてのPCRプライマーには、いずれのZFN標的切断部位からも5〜10ヌクレオチド離れて結合することが求められることになる。非相同末端結合(NHEJ)活性が、プライミング部位を除去し得る、増幅を阻害し得る、およびしたがってNHEJ活性の評定を歪め得る小規模な欠失の原因となることは公知であるからである。

0108

FAD2AおよびFAD3遺伝子ファミリーのZFN標的遺伝子座のすべてに結合するようにプライマーを設計し(表11)、PCR増幅産物のサンガーベースのシークエンシングによってすべての遺伝子ファミリーメンバーの増幅について実験的に試験した。いくつかの場合、すべての遺伝子ファミリーメンバーを区別するプライマーを開発できなかった(表12および表13)が、すべての場合、FAD2AおよびFAD3の標的遺伝子配列を区別することができた。PCRプライマー設計後、カスタムDNAバーコード配列をPCRプライマーに組み込み、それらのプライマーを使用して、異なるZFN標的遺伝子座を区別し、トランスフェクションおよびZFNに対する特異的配列リードを同定した(表11、12および13)。

0109

ZFNでトランスフェクトされたカノーラプロトプラストのDNA抽出後、標的ZFN遺伝子座のPCR増幅を行って、Illuminaベースの合成によるシークエンシング技術のために正しい形式で必要遺伝子座特異的DNA分子を生成した。各アッセイを、25ng出発DNA(セイヨウアブラナ(Brassica napus)ゲノムの約12,500細胞相当量)で作業するために最適化した。適切なレベルでのNHEJ効率および特異性の評定に必要なカバー率を生じさせるためにサンプルごとに複数の反応、個々のプロトプラストから得たセイヨウアブラナ(Brassica napus)ゲノムの200,000コピーに相当する約16PCR反応を行った。3回ずつ行う同じアッセイおよび1反応で試験することになるすべてのサンプルのためにPCR増幅マスターミックスを調製し、標的組織に関して行うための最適なサイクル数を決定するために用いられる定量的PCR法を用いてアッセイして、PCR増幅が試薬制限されておらず、まだ指数増幅段階にあることを確実なものにした。必要な陰性対照反応での実験を、MX3000P THERMOCYCLER(登録商標)(Stratagene、カリフォルニア州ラホーヤ)を使用して96ウェル形式で行った。定量的PCRプラットフォームから収集した出力データから蛍光相対的増加サイクルごとにプロットし、そして過剰なサイクリングおよび共通転写産物または分子の増幅を低減させるために、十分な増幅をもたらすが反応に試薬制限を被らせないアッセイあたりのサイクル数を決定した。未使用のマスターミックスが、定量的PCR解析を終え、サイクル数を決定するまで上にあり、そしてその後、そのマスターミックスを所望の反応チューブ数(ZFNアッセイあたり約16)に等分し、PCR反応を行った。増幅後、単一ZFN遺伝子座についてのサンプルを一緒にプールし、MinElute PCR purification kit(登録商標)(Qiagen)を製造業者の説明書に従って使用してZFNあたり200μLのプールされた産物を清浄化した。Illuminaショートリード技術を用いてサンプルをシークエンシングできるようにするために、さらなる対の末端プライマーを生成された断片上に増幅によって結合させることが必要であった。これを、第一増幅ラウンドにおいて付加された配列に一部は相補的であるが必要とされる対の末端配列も含有するプライマーを使用して、PCR増幅によって果たした。共通断片を過増幅することなく対の末端配列をテンプレートに付加させる、実施するPCRサイクルの最適な数を、前に説明したような定量的PCRサイクル解析のサンプル通過を用いて再び決定した。PCR増幅後、MinElute column(登録商標)(Qiagen)を製造業者の説明書に従って使用して生成された産物を清浄化し、2.5%アガロースゲルで分割した。Syber(登録商標)Safe(Life Technologies、カリフォルニア州カールズバッド)を使用して正しいサイズのバンドとして可視化されたDNA断片をゲル抽出して、一切の残留PCR生成プライマー−ダイマーまたは他の断片を除去し、MinElute gel extraction kit(登録商標)(Qiagen)を製造業者の説明書に従って使用してそのゲルスライスからDNAを抽出した。ゲル抽出の完了後、AMPure magnetic beads(登録商標)(Beckman−Coulter、カリフォルニア州ブレア)を1:1.7のDNA対ビーズ比で使用してDNAのさらなる清浄化を行った。その後、Illuminaシークエンシング用の定量的PCRベースのライブラリー定量キット(KAPA)を使用して、1/40,000および1/80,000希釈で、および反応を3回ずつ行って、DNAを濃度について評定した。定量的PCR結果に基づき、DNAを2nMの標準濃度に希釈し、DNAシークエンシングのためにすべてのライブラリーを併せた。cBot cluster generation kit(登録商標)(Illumina、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してシークエンシングのためにサンプルを調製し、製造業者の説明書に従ってILLUMINA GA2x(登録商標)を100bpペアエンドシクエンシングリードで用いてシークエンシングした。

0110

標的ジンクフィンガー部位での非相同末端結合の検出のためのデータ解析
シークエンシング反応、およびベースコーリングのためにIlluminaバイオインフォマティックパイプラインを使用して行った一次データコーリングの完了後、各場合、完全解析を行って標的ZFN部位における欠失塩基を同定した。入力配列のリストに従ってコンピュータによりDNA配列からバーコードを抽出し、選別するようにカスタムPERLスクリプトを設計した。バーコードは、誤帰属配列リードを低減させるために、許容される30より大きいPhredスコア基準配列とマッチしなければならなかった。使用した異なるバーコード群に配列リードをビニングした後、すべての配列にわたってクオリティフィルターを通した。このクオリティフィルターは、第二のカスタム開発PERLスクリプトであった。「N」とコールされる塩基が3つより多かった場合、または中央値Phredスコアが20未満であった場合、または20未満のPhredスコアを有する3連続塩基があった場合、または配列リードが40bpの長さより短かった場合、配列リードを除外した。対の配列リードの両方が入手可能である場合、NEXTGENE(登録商標)(SoftGenetics、ペンシルバニア州ステートレッジパッケージを使用して残りの配列をマージした。その後、それらの残りのマージされた配列リードを、第三のカスタムPERLスクリプトと、その残りの配列識別子の最後に記録された、同定された重複配列の数のカウントを使用して、特有の配列リードのコレクションに縮小した。その後、NEXTGENE(登録商標)ソフトウェアを使用してそれらの特有の配列リードをFAD2およびFAD3参照配列にアラインし、ギャップ付きFASTAアラインメントファイルを作成した。

0111

そのギャップ付きFASTAファイルを使用し、4つのカスタムPERLスクリプトを使用してギャップ付き塩基位置番号入力基準への変換を行った。これは、異なる遺伝子ファミリーメンバー(異なる遺伝子ファミリーメンバー間の同祖またはパラロガス配列変異のいずれか)を区別する塩基を、組み立てたデータの中で同定することを可能にした。塩基ナンバリングの変換を実行し次第、各々の特有の配列リードについてハプロタイプレポートを生成することおよびリードを特定の遺伝子ファミリーメンバーに割り当てることが可能であった。リードを遺伝子によりグループ分けし次第、ZFN標的部位を包囲する10bpウインドウを同定し、評定した。欠失を有する配列の数を失われた塩基の数とともに遺伝子ごとに記録した。

0112

その後、データを、10,000配列リードあたり1から10塩基が標的ZFN部位において欠失されている配列の数とともに、複数ライン折れ線グラフとしてグラフ表示した(図6)。この解析を、すべてのZFNトランスフェクションとともに対照トランスフェクションについて行った。いくつかの場合、天然DNA配列中のリピートは、標的ZFN部位におけるシークエンシングエラー、例えば、単一塩基欠失の出現率の増加として一般に見られるエラーをもたらし、これは、すべてのサンプルにおいて、ZFNでトランスフェクトしたサンプルにおいても、対照においても、報告された(図7)。

0113

これらの結果から、NHEJのより大きな活性によって判定して、FAD2標的部位での最高レベルのZFN活性を遺伝子座Eにおいて同定した。プラスミドpDAB104010上にコードされたZFN(すなわち、ZFN24828および24829)を、有意なゲノムDNA切断活性および最小の非標的活性というその特徴を考えて、特別設計の導入遺伝子組み込みプラットフォーム(ETIP)のインプランタ標的化のために選択した。

0114

実施例4:特別設計の導入遺伝子組み込みプラットフォーム(ETIP)カノーラ植物系統のための遺伝子構築物
下で説明するプラスミドベクター構築物は、当業者に一般に公知の方法および技法を用いて造った。この段落の中で説明する特定の試薬および技法の応用は、当業者には容易に分かり、プラスミドベクター構築物を造るという所望の目的を達成するために他の試薬および技法と容易に交換することができよう。制限エンドヌクレアーゼは、New England BioLabs(NEB;マサチューセッツ州イプスウィッチ)から得た。ライゲーションは、T4 DNA Ligase(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)で完了した。1つのエントリーベクターシングルディスティネーションベクターに組み立てるためにGATEWAY(登録商標)LR CLONASE(登録商標)酵素ミックス(Invitrogen)を使用してGateway反応を行った。1つのエントリーベクターをシングルディスティネーションベクターに組み立てるためにIN−FUSION(商標)Advantage Technology(Clontech、カリフォルニア州マウンテンビュー)を使用してIN−FUSION(商標)反応を行った。プラスミド調製は、NUCLEOSPIN(登録商標)Plasmid Kit(Macherey−Nagel Inc.,ペンシルバニア州ベツレヘム)またはPlasmid Midi Kit(登録商標)(Qiagen)を供給業者の説明書に従って使用して行った。アガロースTris−酢酸塩ゲル電気泳動後、QIAquick Gel Extraction Kit(商標)(Qiagen)を使用してDNA断片を単離した。すべての組み立てたプラスミドのコロニーを、最初にminiprep DNAの制限消化によってスクリーニングした。選択されたクローンのプラスミドDNAを、商業シークエンシングベンダー(Eurofins MWG Operon、アラバマ州ハンツヴィル)がシークエンシングした。SEQUENCHER(商標)ソフトウェア(Gene Codes Corp.、ミシガン州アナーバー)を使用して、配列データを組み立て、解析した。

0115

カノーラのFAD2A遺伝子座内へのETIPの正確な組み込みのための直接−送達ベクター
セイヨウアブラナ(B. napus)のFAD2A遺伝子への特異的組み込みのためのETIP含有ベクターpDAS000130(図8、配列番号141のようなT鎖インサート)の構築に標準クローニング法を用いた。この構築物を、ジンクフィンガーヌクレアーゼ構築物pDAB1004010でカノーラプロトプラストに送達されるように設計した。ジンクフィンガーヌクレアーゼ構築物は、FAD2A遺伝子座を切断することとなり、そしてその後、pDAS000130構築物が相同性指向型修復メカニズムによってカノーラゲノム内に組み込まれることになり、その構築物を、NHEJ媒介組み込みのために相同隣接領域を除去することによって修飾することができる。このETIPは、追加のZFN認識配列によって隔てられた4つの発現カセット(2つは不完全)と、別のZFN認識配列を含有する特別設計のランディングパッド(ELP)とから成る。前記追加のZFN認識配列は特有のものであり、ETIPおよびELP導入遺伝子挿入物内へのポリヌクレオチド配列の導入のために標的化されるようにそれらを設計した。同様に、前記ZFN認識配列は、ポリヌクレオチド配列の切除に利用することができる。第一の遺伝子発現カセットは、不完全なdsRED発現カセットであり、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ポリユビキチン10(AtUbiプロモーター)遺伝子からのプロモーター、5’非翻訳領域およびイントロン(Callis, et al., (1990) J. Biol. Chem., 265: 12486-12493)、続いて双子葉植物における発現のためにコドン最適化された、造礁サンゴイソギンチャクドキ属の1種(Discosoma sp.)(Clontech、カリフォルニア州マウンテンビュー)からの210bpのdsRed遺伝子(ds RED(双子葉植物最適化)エクソン1)、続いてシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)チオレダクターゼ様遺伝子からのイントロン(Atチオレダクターゼからのイントロン1:アクセッション番号:NC_00374)、そしてトウモロコシ(Zea mays)Viviparous−1(Vp1)遺伝子の転写ターミネーターおよびポリアデニル化部位を含む3’非翻訳領域(Zmlipターミネーター:Paek et al., (1998) Molecules and Cells, 8(3): 336-342)を含有した。第二の発現カセットは、カリフラワーモザイクウイルスからの5’UTRを含む19Sプロモーター(CaMV 19S:Cook and Penon (1990) Plant Molecular Biology 14(3):391-405)、続いて双子葉植物における発現のためにコドン最適化された、大腸菌(E. coli)からのhph遺伝子(hph(HygR):Kaster et al., (1983) Nucleic Acids Research 11(19): 6895-6911)、そしてA.ツメファシエンス(A. tumefaciens)pTi15955のオープンリーディングフレーム1の転写ターミネーターおよびポリアデニル化部位を含む3’UTR(At−ORF1ターミネーター:Barker et al., (1983) Plant Molecular Biology 2(6): 335-50)を含有した。第三の発現カセットは、不完全PAT発現カセットであり、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)4−クマリルCoAシンターゼからの第一イントロン(イントロン#2 4−クマリルCoAシンターゼv:アクセッション番号:At3g21320/NC003074)、続いて、ホフィノトリシン(phophinothricin)、グルホシネートおよびビアラホスを含むグルタミンシンセターゼの阻害剤に対する耐性を付与するタンパク質をコードしている、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)から単離された、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子の合成、植物最適化バージョンの最後の256bp(PAT(v6)3’末端:Wohlleben et al., (1988) Gene 70(1): 25-37)を含有した。このカセットは、A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)pTi15955のオープンリーディングフレーム23の転写ターミネーターおよびポリアデニル化部位を含む3’UTR(AtuORF23ターミネーター:Barker et al., (1983) Plant Molecular Biology 2(6): 335-50)を末端に有した。第四の発現カセットは、ipt遺伝子カセットであり、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)DNA結合タンパク質MYB32遺伝子(U26933)からのプロモーターおよび5’UTRの588bp短縮バージョン(AtMYB32(T)プロモーター:Li et al., (1999) Plant Physiology 121: 313)、続いてA.ツメファシエンス(A. tumefaciens)からのイソペンチルトランスフェラーゼ(ipt)遺伝子、そしてカリフラワーモザイクウイルスからの転写ターミネーターおよびポリアデニル化部位を含む35sターミネーター(CaMV 35Sターミネーター:Chenault et al., (1993) Plant Physiology 101(4): 1395-1396)を含有した。FAD2Aへの送達のために、ETIP配列の各末端を、セイヨウアブラナ(B. napus)のFAD2A遺伝子へのpDAB104010にコードされているZFNの送達によって誘導される2本鎖破断の位置のいずれかの側からの1kbのFAD2Aゲノム配列に隣接させた。

0116

ETIP配列は、商業遺伝子合成ベンダー(GeneArt、Life Thechnologies)が合成した。Qiagen DNeasy plant mini kit(登録商標)(Qiagen、ヒルデン)を、製造業者により供給された説明書に従って使用して、セイヨウアブラナ(B. napus)DH12075の葉組織から精製したゲノムDNAからFAD2Aゲノム配列の1kbセグメントを増幅した。T4リガーゼ(NEB、マサチューセッツ州イプスウィッチ)を使用して、それらの1kb FAD2A配列をETIPベクターにライゲートした。すべての組み立てたプラスミドのコロニーを、最初にminiprep DNAの制限消化によってスクリーニングした。制限エンドヌクレアーゼは、New England BioLabs(NEB、マサチューセッツ州イプスウィッチ)およびPromega(Promega Corporation、ウィスコンシン州)から得た。プラスミド調製は、QIAprep Spin Miniprep Kit(登録商標)(Qiagen)またはPure Yield Plasmid Maxiprep System(登録商標)(Promega Corporation、ウィスコンシン州)を供給業者の説明書に従って使用して行った。ABISanger SequencingおよびBig Dye Terminator v3.1 cycle sequencing protocol(登録商標)(Applied Biosystems、Life Technologies)を使用して、選択されたクローンのプラスミドDNAをシークエンシングした。SEQUENCHER(商標)ソフトウェア(Gene Codes Corp.、ミシガン州アナーバー)を使用して、配列データを組み立て、解析した。

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