図面 (/)

技術 表面にナノ構造を有するフィルムの製造方法

出願人 住友化学株式会社ユニバーシティオブマサチューセッツ
発明者 竹厚流ラッセル,トーマスピー.
出願日 2013年10月4日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2015-518112
公開日 2015年11月2日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2015-531410
状態 特許登録済
技術分野 多孔性物品の製造および廃物の回収・処理 高分子成形体の製造
主要キーワード ソリッド構造 ナノサイズ構造 付着防止フィルム ナノ繊維構造 ハニカム状構造 疎水性ホモポリマー 膜表面温度 凝結水
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年11月2日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (10)

課題・解決手段

本発明はナノオーダー微細表面構造多孔質構造繊維状構造など)を有する膜(フィルム)を簡便に製造できる方法を提供する。 本発明は、(1)2以上のホモポリマーセグメントから構成されるコポリマーと、沸点が82℃以上かつ誘電率が30以下の有機溶媒とを含む液を支持体上にキャストして膜を形成する塗布工程、(2)相対湿度が50%以上の水蒸気含有気体を前記膜に供給するエージング工程、及び(3)乾燥工程を含む表面にナノ構造を有するフィルムの製造方法を含む。

概要

背景

キャスティング法を利用した高分子フィルムの製造は古くから行われており、近年でも、この方法を応用して種々のフィルムが製造されている。ナノ構造を有するフィルムは、例えば、太陽電池膜分離反射防止フィルム等としての応用が期待されており、この様なナノ構造を有するフィルムを製造する場合にもキャスティング法が適宜モディファイされ利用されている。

例えば、特許文献1には、有機化合物疎水性有機溶媒の液を基材上に塗布し、有機溶媒蒸発させることで塗布膜の温度を下げ、この塗布膜の温度より露点を高く調製した水蒸気含有気体を塗布膜に供給して水蒸気凝結させる多孔質膜形成方法が開示されている(以下Breath Figure法ともいう)。同様の方法は特許文献2にも開示されている。ところでブロックポリマーの非対称性質を利用して、ユニークな構造を有する膜を製造する技術も知られている。例えば、特許文献3には、ブロックポリマーと溶媒の混合物を基材上に塗布して、貧溶媒(例えば、水)に浸してブロックポリマーを沈殿させ、非対称膜を製造する方法が開示されている。また非特許文献1には、両親媒性ブロックポリマーを含むDMF溶液ガラス面に塗布し、水蒸気下で乾燥すると、ブロックポリマーが自己組織化することが開示されている。

概要

本発明はナノオーダー微細表面構造多孔質構造繊維状構造など)を有する膜(フィルム)を簡便に製造できる方法を提供する。 本発明は、(1)2以上のホモポリマーセグメントから構成されるコポリマーと、沸点が82℃以上かつ誘電率が30以下の有機溶媒とを含む液を支持体上にキャストして膜を形成する塗布工程、(2)相対湿度が50%以上の水蒸気含有気体を前記膜に供給するエージング工程、及び(3)乾燥工程を含む表面にナノ構造を有するフィルムの製造方法を含む。

目的

本発明の課題は、ナノオーダーの微細な表面構造(多孔質構造、繊維状構造など)を有する膜(フィルム)を簡便に製造できる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

(1)2以上のホモポリマーセグメントから構成されるコポリマーと、沸点が82℃以上かつ誘電率が30以下の有機溶媒とを含む液を支持体上にキャストして膜を形成する塗布工程、(2)相対湿度が50%以上の水蒸気含有気体を前記膜に供給するエージング工程、及び(3)乾燥工程を含む表面にナノ構造を有するフィルムの製造方法。

請求項2

前記コポリマーが親水性ホモポリマーセグメントと疎水性ホモポリマーセグメントとを有する両親媒性ポリマーである請求項1に記載の製造方法。

請求項3

前記ホモポリマーセグメントが、炭素原子を主鎖に含む有機ポリマーセグメント又は炭素原子を主鎖に含まない無機ポリマーセグメントのいずれかである請求項1又は2に記載の製造方法。

請求項4

前記疎水性ホモポリマーセグメントが、無機ポリマーセグメント、又は水の溶解度10質量%以下の疎水性モノマーから得られる有機ポリマーセグメントであり、前記親水性ホモポリマーセグメントが、水の溶解度10質量%超の親水性モノマーから得られる有機ポリマーセグメントである請求項2又は3に記載の製造方法。

請求項5

前記疎水性モノマーが、炭素原子と、水素原子と、必要によりハロゲン原子とから構成されており、前記親水性モノマーが、炭素原子と、水素原子と、ハロゲン原子以外の官能基とから構成されている請求項4に記載の製造方法。

請求項6

前記親水性ホモポリマーセグメントの体積が、親水性ホモポリマーセグメントと疎水性ホモポリマーセグメントとの合計体積に対して、10%以上である請求項2〜5のいずれかに記載の製造方法。

請求項7

前記工程(2)での膜の表面温度が15℃以上である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。

請求項8

前記有機溶媒が、ハロゲン系溶媒以外の溶媒から選ばれる請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。

請求項9

前記有機溶媒が、疎水性溶媒である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。

請求項10

前記有機溶媒が、親水性溶媒である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。

請求項11

前記有機溶媒が、2以上の溶媒の溶媒混合物である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。

請求項12

前記有機溶媒が、疎水性溶媒と親水性溶媒との溶媒混合物である請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。

請求項13

前記親水性ホモポリマーセグメントに対して親和性を示す添加剤をさらに含む請求項12に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、表面にナノ構造を有するフィルムの製造方法、特に、水蒸気含有気体下でポリマー溶媒を使用して得られる、表面にナノ構造を有するフィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

キャスティング法を利用した高分子フィルムの製造は古くから行われており、近年でも、この方法を応用して種々のフィルムが製造されている。ナノ構造を有するフィルムは、例えば、太陽電池膜分離反射防止フィルム等としての応用が期待されており、この様なナノ構造を有するフィルムを製造する場合にもキャスティング法が適宜モディファイされ利用されている。

0003

例えば、特許文献1には、有機化合物疎水性有機溶媒の液を基材上に塗布し、有機溶媒蒸発させることで塗布膜の温度を下げ、この塗布膜の温度より露点を高く調製した水蒸気含有気体を塗布膜に供給して水蒸気凝結させる多孔質膜形成方法が開示されている(以下Breath Figure法ともいう)。同様の方法は特許文献2にも開示されている。ところでブロックポリマーの非対称性質を利用して、ユニークな構造を有する膜を製造する技術も知られている。例えば、特許文献3には、ブロックポリマーと溶媒の混合物を基材上に塗布して、貧溶媒(例えば、水)に浸してブロックポリマーを沈殿させ、非対称膜を製造する方法が開示されている。また非特許文献1には、両親媒性ブロックポリマーを含むDMF溶液ガラス面に塗布し、水蒸気下で乾燥すると、ブロックポリマーが自己組織化することが開示されている。

0004

特開2011−105780号公報
特開2006−70254号公報
特表2010−504189号公報

先行技術

0005

Polym.Adv.Technol., 2011, vol.22, pp2145-2150

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1、2に開示されているBreath Figure法では、有機溶媒が蒸発する際の潜熱を利用して膜を冷却し、この冷えた塗布膜に水蒸気を凝結させる必要がある。そのため、急激に水蒸気が冷却される事が多く、膜上で凹部または略球状凹部を形成する水滴が大きくなり易い。その結果、得られる多孔膜は、孔のサイズがミクロンスケールとなる場合が多かった。また、溶剤蒸発潜熱を利用して塗布膜温度を低下させるため、膜厚が薄い条件下では塗布膜の温度が低下する前に膜が乾燥して多孔質を形成することができない場合があった。加えて、蒸発潜熱を有効利用する為に低沸点の有機溶媒を用いると、作業環境が悪化するという不具合もあった。

0007

一方、特許文献3に開示されている沈殿技術では、貧溶媒を貯えた浸漬プールが必要となる。また浸漬プールでは貧溶媒の抵抗が大きく、基材の送り速度を速くすると塗布面が乱れやすくなる為、また、浸漬プールの組成は順次変化して組成を一定に維持できない為、生産性を高めることができない。またDMF(誘電率38)中のブロックポリマーを自己組織化させる非特許文献1では、得られる組織粒状組織であり、また湿度が高くなるほど組織が粗大化するという不具合がある。

0008

本発明の課題は、ナノオーダー微細表面構造多孔質構造繊維状構造など)を有する膜(フィルム)を簡便に製造できる方法を提供することにある。この様な方法によれば、例えば、ロール−to−ロールで膜(フィルム)を製造することも容易になる。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ブロックポリマー、グラフトポリマーなどの2以上のホモポリマーセグメントを有するコポリマーを特定の有機溶媒に溶解させつつ高湿度雰囲気曝すと、他に特殊な手順を必要としない簡便なプロセスであるにも拘わらず、気体面に対してコポリマーがナノオーダーで組織化して微細な表面構造を形成することを見出し、かつ好ましくは多孔質構造又は繊維構造などの優れた表面構造の形成も可能となることを見出し、本発明を完成した。

0010

すなわち、本発明に係る表面にナノ構造を有するフィルムの製造方法は、以下の態様を含む。
[1] (1)2以上のホモポリマーセグメントから構成されるコポリマーと、沸点が82℃以上かつ誘電率が30以下の有機溶媒とを含む液を支持体上にキャストして膜を形成する塗布工程、(2)相対湿度が50%以上の水蒸気含有気体を前記膜に供給するエージング工程、及び(3)乾燥工程を含む表面にナノ構造を有するフィルムの製造方法。
[2] 前記コポリマーが親水性ホモポリマーセグメントと疎水性ホモポリマーセグメントとを有する両親媒性ポリマーである[1]に記載の製造方法。
[3] 前記ホモポリマーセグメントが、炭素原子を主鎖に含む有機ポリマーセグメント又は炭素原子を主鎖に含まない無機ポリマーセグメントのいずれかである[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記疎水性ホモポリマーセグメントが、無機ポリマーセグメント、又は水の溶解度10質量%以下の疎水性モノマーから得られる有機ポリマーセグメントであり、前記親水性ホモポリマーセグメントが、水の溶解度10質量%超の親水性モノマーから得られる有機ポリマーセグメントである[2]又は[3]に記載の製造方法。
[5] 前記疎水性モノマーが、炭素原子と、水素原子と、必要によりハロゲン原子とから構成されており、前記親水性モノマーが、炭素原子と、水素原子と、ハロゲン原子以外の官能基とから構成されている[4]に記載の製造方法。
[6] 前記親水性ホモポリマーセグメントの体積が、親水性ホモポリマーセグメントと疎水性ホモポリマーセグメントとの合計体積に対して、10%以上である[2]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 前記工程(2)での膜の表面温度が15℃以上である[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 前記有機溶媒が、ハロゲン系溶媒以外の溶媒から選ばれる[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9] 前記有機溶媒が、疎水性溶媒である[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10] 前記有機溶媒が、親水性溶媒である[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[11] 前記有機溶媒が、2以上の溶媒の溶媒混合物である[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 前記有機溶媒が、疎水性溶媒と親水性溶媒との溶媒混合物である[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 前記親水性ホモポリマーセグメントに対して親和性を示す添加剤をさらに含む[12]に記載の製造方法。

発明の効果

0011

本発明によれば、親水性ホモポリマーセグメントを含むコポリマーと沸点82℃以上かつ誘電率30以下の有機溶媒とを含む液が使用されるため、相対湿度の条件を設定するだけで、適切なナノ構造を有するフィルムを製造することができる。また、コポリマー中の親水性ホモポリマーセグメントが、膜表面で気体に含まれる水蒸気と相互作用することにより、膜中でコポリマーが適切に配向され、その結果、表面にナノ構造を有するフィルムを製造することができる。さらに、特定のコポリマーと有機溶媒との組み合わせ及び相対湿度以外の条件を設定しなくとも、ロール−to−ロールで簡便に表面にナノ構造を有するフィルムを製造することができる。

図面の簡単な説明

0012

図1は実施例1で得られた表面にナノ構造を有するフィルムのSEM写真である。
図2は実施例2で得られた表面にナノ構造を有するフィルムのSEM写真である。
図3は実施例3で得られた表面にナノ構造を有するフィルムのSEM写真である。
図4は実施例4で得られた表面にナノ構造を有するフィルムの上部部分のSEM写真である。
図5は実施例4で得られた表面にナノ構造を有するフィルムの断面部分のSEM写真である。
図6は実施例5で得られた表面にナノ構造を有するフィルムのSEM写真である。
図7は比較例1で得られたフィルムのSEM写真である。
図8は比較例2で得られたフィルムのSEM写真である。
図9は比較例3で得られたフィルムのSEM写真である。

0013

本発明は、2以上のホモポリマーセグメント(以下、単にセグメントと称する場合がある)から構成されるコポリマーと、沸点が82℃以上かつ誘電率が30以下の有機溶媒とを含む液を支持体上にキャストして膜を形成する塗布工程(以下工程(1)ともいう)、相対湿度が50%以上の水蒸気含有気体を前記膜に供給するエージング工程(以下工程(2)ともいう)、及び乾燥工程(以下工程(3)ともいう)を含むことを特徴とする。この方法によれば、表面にナノ構造を有するフィルムを製造できる。しかも相対湿度50%以上の水蒸気含有気体の存在下で、上記コポリマーと上記有機溶媒との液を支持体上にキャストするという簡便な操作だけで、コポリマーの組織化をナノオーダーで調節することができる。そのため、ロール−to−ロールで簡便に表面にナノ構造を有するフィルムを製造することも可能となる。以下、工程順に従って本発明を詳細に説明する。

0014

1.工程(1):塗布工程(1)
塗布工程では、上記特定のコポリマーと上記特定の有機溶媒とを用いることが重要である。特定のコポリマーと特定の有機溶媒とを用いると、次のエージング工程でコポリマーを組織化できる。

0015

1.1コポリマー
前記コポリマーは、上述した様に、2以上のセグメントから構成される。複数のセグメントを有することで各コポリマーは分子内非対称の物性を有することになり、この非対称性が組織化に有利に作用する為である。この様な非対称コポリマーとしては、例えば、ブロックポリマー、グラフトポリマーが挙げられる。なお前記ホモポリマーセグメントは、ブロックポリマーの場合、通常、ブロックと称され、グラフトポリマーの場合、通常、幹ポリマー枝ポリマーなどと称される。ホモポリマーセグメントをA、B、Cなどのアルファベットで示す場合、ブロックポリマーとしては、A−B、A−B−A、B−A−B等の二元系ブロックポリマー、A−B−C、A−C−B、B−A−C、A−B−C−A、A−B−C−B等の三元系以上のブロックポリマーが例示できる。グラフトポリマーとしても、幹ポリマーAに複数の枝ポリマーBが結合した二元系グラフトポリマー、幹ポリマーAに異なる枝ポリマーB、Cが結合した三元系以上のグラフトポリマーなどが例示できる。好ましいコポリマーは、ブロックポリマー、特に二元系ブロックポリマーである。これら好ましいコポリマーは、特に組織化し易い。前記コポリマーは、単独であっても複数を組み合わせて使用してもよい。

0016

前記コポリマーを構成する2つ以上のホモポリマーセグメントは、これらが互いに異なっている限り組織化に貢献するため、その組合せは特に限定されないが、該2以上のセグメントのうち少なくとも1つが親水性ホモポリマーセグメント(以下、単に親水性セグメントと称する場合がある)であり、かつ少なくとも1つが疎水性ホモポリマーセグメント(以下、単に疎水性セグメントと称する場合がある)となることが好ましい。親水性セグメントと疎水性セグメントとの両方でコポリマーを構成すると、セグメント間の性質の違いが明瞭となり、組織化が進みやすくなる。なお親水性セグメントと疎水性セグメントとを有するコポリマーを本明細書では両親媒性ポリマーと称する。

0017

ところで前記ホモポリマーセグメントは、炭素原子を主鎖に含む有機ポリマーセグメントと、炭素原子を主鎖に含まない無機ポリマーセグメントに分類される。そして各セグメントが前記疎水性セグメント及び親水性セグメントのどちらに分類されるかは、該セグメントが有機セグメントであるか無機セグメントであるかに応じて判断される。有機セグメントの場合、疎水性セグメントとしては、疎水性モノマーの重合体が使用できる。疎水性モノマーとは、常温(25℃)で水の溶解度が10質量%以下であるモノマーのことを言う。前記疎水性モノマーは、例えば、炭素原子と水素原子と任意にハロゲン原子(例えば塩素原子フッ素原子臭素原子)とから構成されており、最も好ましくは炭化水素系モノマー又はハロゲン化炭化水素系モノマーの重合体である。なおこれらは疎水性モノマーとなり易いモノマーを例示しているに過ぎず、もし水の溶解度が10質量%超となる場合は、上記例示に該当しても、そのモノマーは後述する親水性モノマーに分類される。

0018

前記炭化水素系モノマーの重合体としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン(PB)、ポリイソプレンなどの脂肪族炭化水素系ポリマー、ポリスチレン(PS)などの芳香族環を有する炭化水素系ポリマーが挙げられる。ハロゲン化炭化水素系モノマーの重合体としては、ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデンポリフッ化ビニルなどが挙げられる。

0019

また有機セグメントの場合、前記親水性セグメントとしては、親水性モノマーの重合体が使用できる。親水性モノマーとは、常温(25℃)で水の溶解度が10質量%超であるモノマーのことを言う。この親水性モノマーは、例えば、上記疎水性セグメントで使用される原子(炭素原子、水素原子、ハロゲン原子)以外の原子を含む基(官能基)を炭素原子及び水素原子と共に有し、必要により他の原子(例えば、ハロゲン原子など)も有するセグメントである。該官能基によって親水性が高められる。官能基としては、カルボキシル基エステル基カルボン酸基を含む)、エーテル基ヒドロキシル基などの酸素原子含有基、アミノ基、ピリジニル基などの窒素原子含有基アミド基などの酸素・窒素原子含有基、オニウム基スルホニウム基などが例示でき、好ましくは酸素原子含有基、特に好ましくはエーテル基である。前記官能基は、セグメントポリマーの主鎖に導入されていてもよく、側鎖に導入されていてもよい。なおこれらは親水性モノマーとなり易いモノマーを例示しているに過ぎず、もし水の溶解度が10質量%以下となる場合は、上記例示に該当しても、そのモノマーは前述の疎水性モノマーに分類される。

0020

親水性セグメント(ポリマー)には、例えば、好ましくは酸素原子含有基、窒素原子含有基、酸素・窒素原子含有基が含まれ、より好ましくはポリラクチドポリアルキルメタアクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドポリカプロラクトンポリビニルアルコールポリビニルピリジンポリアクリルアミドおよびポリビニルピロリドンからなる群より選択される。なかでも、ポリアルキレンオキシドがさらに好ましく、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシドが特に好ましく、ポリエチレンオキシドが最も好ましい。なお前記ポリラクチド、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートなどは、組成により疎水性セグメント(ポリマー)に該当することもある。

0021

一方、無機セグメントは、疎水性セグメントに分類される。該無機セグメントを構成する主鎖(繰り返し単位)は、例えば、珪素原子酸素原子とからなる繰り返し単位(シロキサン単位)である。この主鎖には、適当な基が結合していてもよく、例えば、アルキル基アリール基アラルキル基などの炭化水素基が結合していてもよい。好ましい無機セグメントは、アルキルポリシロキサンポリジメチルシロキサン)、無置換ポリシロキサンなどである。

0022

前記疎水性セグメントと親水性セグメントの組合せは、疎水性セグメントが炭素原子と水素原子とから構成され、親水性セグメントが炭素原子と水素原子と官能基とから構成されている限り、いずれの組合せであっても両親媒性ポリマーの組織化が可能である為、特に制限されない。好ましい組合せでは、疎水性セグメントが芳香族環を有する炭化水素系ポリマー、特にポリスチレンであり、親水性セグメントが主鎖に酸素原子含有基を有するポリマー、特にポリアルキレンオキシドである。最も好ましい両親媒性ポリマーは、前記好ましい組合せを有する二元系ブロックポリマーであり、具体的にはポリスチレン−b−ポリアルキレンオキシド(特にポリエチレンオキシド)である。

0023

前記親水性セグメントと疎水性セグメントの割合を制御すると、組織化の程度も制御できる。これらの割合は、体積比としてコントロールできる。親水性セグメントの体積は、親水性ホモポリマーセグメントと疎水性ホモポリマーセグメントの合計体積に対して、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上、さらにより好ましくは25%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下、さらにより好ましくは75%以下である。前記体積比(疎水性セグメント体積/親水性セグメント体積)は、疎水性セグメントの数平均分子量を疎水性セグメントの密度で割った値(X)と、親水性セグメントの数平均分子量を親水性セグメントの密度で割った値(Y)の比((X)/(Y))と同じであってもよい。

0024

疎水性セグメントの数平均分子量は、例えば、2000〜300000、好ましくは10000〜100000、より好ましくは9000〜60000、さらに好ましくは10000〜50000である。親水性セグメントの数平均分子量は、例えば、1000〜150000、好ましくは2000〜80000、より好ましくは3000〜50000、さらに好ましくは5000〜45000である。疎水性セグメント及び親水性セグメントのいずれも、上記範囲内で数平均分子量が小さくなると、得られるフィルム表面の平均円相当径の大きさを小さくすることができる。

0025

コポリマーの調製は、例えば、ポリマーAの成長末端からモノマーBを重合させる方法、ポリマーAの末端とポリマーBの末端を反応させ、結合させる方法、ポリマーAの鎖の途中からモノマーBを重合させる方法、ポリマーAの鎖の途中とポリマーBの末端とを反応させて結合させる方法等により行うことができるが、これらの方法に限定されず、従来公知の方法を使用することによりコポリマーを製造してもよい。

0026

前記コポリマーは、他のポリマーと組み合わせることなく用いてもよいが、本発明の効果を阻害しない範囲で他のポリマーと併用してもよい。他のポリマーには、上記疎水性セグメント及び親水性セグメントを形成するモノマーの単独重合体又はランダム共重合体などが含まれる。

0027

1.2有機溶媒
有機溶媒は、上述した様に、誘電率が低く、沸点が高い有機溶媒を使用する。本発明では次工程のエージング工程で水蒸気含有気体を塗布膜に供給する。有機溶媒の誘電率を低くすると、コポリマーの組織化をナノサイズで制御することができ、またその構造を多孔質構造或いは繊維構造にすることができる。さらに有機溶媒の沸点を高くすることで、有機溶媒が蒸発してしまうまでに一定の時間(エージング時間)を確保することができ、その間にコポリマーを組織化できる。また沸点の高い溶媒を用いると、塗布膜の冷却が生じにくく、水蒸気含有気体を供給しても塗布膜に水蒸気が凝結するのも防止できる。そのため該凝結水でコポリマーの組織化が乱されるのも防止できる。なお前記有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。

0028

有機溶媒の誘電率は、好ましくは25以下、より好ましくは20以下である。誘電率の下限は特に限定されず、例えば、1以上、特に2以上であっても問題ない。

0029

有機溶媒の沸点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。沸点の上限値は特に限定されず、例えば、180℃以下程度、特に160℃以下程度であっても問題ない。

0030

本発明では、有機溶媒は、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。複数を組み合わせて用いる場合、少なくとも一の有機溶媒(主溶媒)が、前記誘電率及び沸点の条件を満足する限り、残りの有機溶媒(副溶媒)は、誘電率及び沸点の両方の条件を満足していてもよく、誘電率及び沸点のいずれかの条件が外れていてもよい。副溶媒の誘電率及び沸点のいずれかの条件が外れている場合、主溶媒の割合は、主溶媒と副溶媒の合計100体積%に対して、例えば、好ましくは30体積%以上、より好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上である。

0031

また前記有機溶媒は、疎水性溶媒であっても親水性溶媒であってもよい。溶媒の疎水性と親水性の分類は、溶媒と水との溶解度を基準に決定され、具体的な溶媒が親水性及び疎水性のいずれに分類されるかは水への溶解性を基準にして分類することができ、例えば疎水性溶媒は温度25℃で溶解させ得る水の量が10質量%以下であり、親水性溶媒は温度25℃で10質量%より多くの水を溶かすものとして定義することができる。疎水性溶媒を用いると、塗布膜表面にハニカム状の多孔質構造が形成されやすい。親水性溶媒を用いると、表面に繊維状の構造が形成されやすい。

0032

本発明では、疎水性溶媒及び親水性溶媒のいずれかを単独で用いてもよく、疎水性溶媒と親水性溶媒とを組み合わせて用いてもよい。疎水性溶媒と親水性溶媒とを組み合わせて用いる場合、いずれが上記副溶媒に該当してもよく、該副溶媒は沸点及び誘電率の一方(特に沸点)が上記範囲外であってもよい。疎水性溶媒と親水性溶媒とからなる溶媒混合物は、後述する様に、水を添加するときに用いることが多いが、水を添加しない場合であっても、表面構造の変化を期待して溶媒混合物を使用できる。疎水性溶媒と親水性溶媒の割合(前者/後者)は、例えば、1/99〜99/1、或いは10/90〜90/10、若しくは30/70〜70/30であってもよい。

0033

本発明で使用できる有機溶媒を以下に例示する。なお本発明では、主溶媒として上記所定の誘電率及び沸点を有する溶媒を使用すれば、副溶媒として誘電率及び沸点のいずれか一方の条件が外れる溶媒を使用する事も可能である。この様な副溶媒として使用できる溶媒も含めて以下では例示した。具体例としては、例えば、ヘキサン(疎水性、沸点69℃、誘電率1.9)、ベンゼン(疎水性、沸点80℃、誘電率2.3)、トルエン(疎水性、沸点111℃、誘電率2.2)、オルトキシレン(疎水性、沸点144℃、誘電率2.3)、メタキシレン(疎水性、沸点139℃、誘電率2.4)、パラキシレン(疎水性、沸点138℃、誘電率2.3)、各キシレンの2種以上の混合物などの芳香族系炭化水素類;塩化メチレン(疎水性、沸点40℃、誘電率9.1)、クロロホルム(疎水性、沸点61℃、誘電率4.9)、四塩化炭素(疎水性、沸点77℃、誘電率2.2)などのハロゲン化炭化水素類;蟻酸(親水性、沸点101℃、誘電率58.5)、酢酸(親水性、沸点118℃、誘電率6.2)、酢酸エチル(親水性、沸点77℃、誘電率6.0)、酢酸ブチル(疎水性、沸点126℃、誘電率5.0)、酢酸メチル(親水性、沸点58℃、誘電率6.7)などのカルボン酸類二硫化炭素(疎水性、沸点46℃、誘電率2.6)、ジメチルスルホキシド(親水性、沸点189℃、誘電率48.9)など硫黄含有炭化水素類;シクロヘキサン(疎水性、沸点81℃、誘電率2.1)、ヘキサン(疎水性、沸点69℃、誘電率1.9)などの環状または鎖状炭化水素類;アセトニトリル(親水性、沸点82℃、誘電率37.5)などのニトリル類ジメチルアセトアミド(親水性、沸点165℃、誘電率37.8)、N,N−ジメチルホルムアミド(親水性、沸点153℃、誘電率38)などのアミド類;1−ブタノール(親水性、沸点118℃、誘電率17.1)、2−プロパノール(親水性、沸点82℃、誘電率18.3)、1−プロパノール(親水性、沸点97℃、誘電率22.2)、エタノール(親水性、沸点78℃、誘電率23.8)、メタノール(親水性、沸点65℃、誘電率33.1)などのアルコール類アセトン(親水性、沸点56℃、誘電率21)、メチルイソブチルケトン(疎水性、沸点116℃、誘電率13)、メチルエチルケトン(親水性、沸点80℃、誘電率18.5)、N−メチルピロリドン(親水性、沸点202℃、誘電率32)、シクロヘキサノン(疎水性、沸点155℃、誘電率18.3)などのケトン類;及びテトラヒドロフラン(親水性、沸点66℃、誘電率7.6)、ジエチルエーテル(親水性、沸点35℃、誘電率4.2)、1,4−ジオキサン(親水性、沸点101℃、誘電率2.2)などのエーテル類;からなる群より選択される1種以上である。

0034

前記有機溶媒は、人体等への影響を考慮すると、非ハロゲン系溶媒が好ましい。非ハロゲン系溶媒のうち好ましい疎水性溶媒(主溶媒)には、ケトン類、エーテル類が含まれ、好ましくはメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。

0035

非ハロゲン系溶媒のうち好ましい親水性溶媒(主溶媒)には、ケトン類、エーテル類が含まれ、より好ましくは1,4−ジオキサンである。

0036

親水性有機溶媒または疎水性有機溶媒は、エーテル基、ケトン基、アミノ基、アミド基、エステル基、及びヒドロキシル基からなる群より選択される1種以上を有することが好ましく、なかでもエーテル基またはケトン基を有することが特に好ましい。

0037

有機溶媒中のコポリマーの濃度(コポリマー/有機溶媒)は、好ましくは1〜300g/L、より好ましくは5〜250g/L、さらに好ましくは10〜200g/L、さらにより好ましくは15〜170g/L、特に好ましくは20〜150g/Lである。

0038

本発明では、前記塗布液に必要に応じて添加剤を加えてもよい。添加剤としては、前記疎水性セグメントに対して親和性を示す添加剤や前記親水性セグメントに対して親和性を示す添加剤のいずれも使用できる。
疎水性モノマーに対する溶解度が親水性モノマーに対する溶解度よりも高い添加剤が、「疎水性セグメントに対して親和性を示す添加剤」に該当する。添加剤が疎水性モノマーや親水性モノマーに溶解しない時は、疎水性モノマーに対する分散性が親水性モノマーに対する分散性よりも高い添加剤が、「疎水性セグメントに対して親和性を示す添加剤」に該当する。
逆に、親水性モノマーに対する溶解度が疎水性モノマーに対する溶解度よりも高い添加剤が、「親水性セグメントに対して親和性を示す添加剤」に該当する。添加剤が疎水性モノマーや親水性モノマーに溶解しない時は、親水性モノマーに対する分散性が疎水性モノマーに対する分散性よりも高い添加剤が、「親水性セグメントに対して親和性を示す添加剤」に該当する。
添加剤は、例えば、孔調整剤、機能付与剤に分類されてもよい。孔調整剤を加えることで、塗布膜の内部構造を変化させることができる。この様な孔調整剤としては、前記親水性セグメントに対して親和性を示す添加剤が使用できる。
親水性セグメントに親和性を示す添加剤には、水、アルコール類、エーテル類、イオン液体、親水性ホモポリマーなどが挙げられる。例えば水を使用すると、後述のエージング工程中に塗布膜表面でコポリマーが組織化される一方で、水は塗布膜深部集合する事になる。その後、塗布膜を乾燥すると、該深部で水を鋳型とする大きな孔が形成される一方、表面はコポリマーの組織化によるナノ構造が形成され、非対称膜を製造することができる。

0039

また、前記疎水性セグメントに対して親和性を示す添加剤(機能付与剤)としては、ポリマー等が挙げられる。ポリマーとしては、非揮発性オイル、例えばジメチルシリコーンオイルメチルフェニルシリコーンオイルメチルハイドロジェンシリコーンオイル等のシリコーンオイル等が例示される。この他機付与剤には、例えばSiO2、Al2O3、TiO2等の金属酸化物、Au、Ag、CdSe等のナノ粒子等が含まれてもよい。

0040

添加剤の濃度(添加剤g/有機溶媒L)は、好ましくは1〜100g/L、より好ましくは2〜80g/L、さらに好ましくは5〜60g/L、さらにより好ましくは10〜40g/L、特に好ましくは15〜30g/Lである。

0041

なお添加剤を用いる場合、前記有機溶媒としては少なくとも親水性溶媒が使用され、具体的には、親水性溶媒単独、又は親水性溶媒と疎水性溶媒との溶媒混合物が使用される。一方、上述した様に、表面にハニカム状構造を形成するには疎水性溶媒が使用される。従って表面ハニカム状構造を形成する場合に膜内部構造を変化させて非対称膜を形成する時には、疎水性溶媒に、親水性溶媒と添加剤とを加える事になる。

0042

表面ハニカム状構造の非対称膜を形成する場合、添加剤の量は、上記有機溶媒中の濃度と同様の範囲から設定できる。親水性溶媒の量は、疎水性溶媒100質量部に対して、例えば、好ましくは10〜500質量部、より好ましくは30〜300質量部、さらに好ましくは50〜150質量部である。
一方、添加剤を用いない場合、通常、表面にはナノ構造が形成される一方で、内部はソリッドとなる非対称膜が得られる。

0043

1.3 操作
塗布工程では、上記コポリマーと有機溶媒を含み、必要に応じて添加剤が添加されていてもよい液を支持体上にキャストする。この操作により、塗布膜が形成される。
前記支持体は、特に限定されず、シリコンウエハー、ガラス等のケイ素系支持体、レーヨン木綿ポリエステルナイロン等の不織布、ポリエチレン、ポリププレン、ポリエーテルケトンポリフッ化エチレン等の耐熱性樹脂ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレート等のオレフィン系樹脂トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、銅、アルミニウムニッケル等の金属等からなるものが挙げられる。好ましい支持体は、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース系フィルムである。

0044

キャスト法としては、従来公知の方法を使用することができ、スライド法エクストルージョン法、バー法(例えば、ブレードコーティング法)、ダイコーティング法、グラビア法、滴下法等が挙げられる。好ましい方法は、簡便な滴下法、ダイコーティング法、グラビア法である。本発明の方法は、上述した様に、ロール−to−ロール法に適用が可能である。これら好ましいキャスト法はロール−to−ロール法と組み合わせた時に、その生産性を落とさない。

0045

2.工程(2):エージング工程(2)
上記の様にして形成された塗布膜は、エージング工程で処理する。このエージング工程では、上述した様に、相対湿度が50%以上の水蒸気含有気体を前記膜に供給する必要がある。湿度の高い気体を塗布膜面に作用させると、膜表面のコポリマー中のセグメントが湿気の作用を受け、親水性の強さに応じて配向するためか、該コポリマーが膜表面で組織化され、微細なナノサイズの構造が形成される。

0046

水蒸気のキャリア媒体となる前記気体は、水蒸気や塗布膜と化学反応しない限り特に限定されず、窒素などの不活性ガスであってもよく、酸素であってもよく、空気であってもよい。好ましいキャリア媒体(気体)は、空気である。
加湿方法は特に限定されず、公知の適当な水蒸気発生装置を用いてキャリア媒体を加湿すればよい。

0047

相対湿度は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上、最も好ましくは80%以上である。相対湿度の上限は特に限定されないが、塗布膜面で結露が生じない程度、例えば、100%未満とするのが好ましい。相対湿度が100%であると、結露を避けるためには塗布膜面を気温より高くする必要があり、煩雑である。

0048

前記エージング工程での膜の表面温度は、露点以上であることが好ましい。露点以上の温度にする事で、膜表面への水蒸気の凝結を防止することができ、コポリマーの組織化をより高度にできる。膜表面温度は、例えば、露点よりも好ましくは1℃以上、より好ましくは2℃以上、さらに好ましくは3℃以上にすることができる。具体的な温度は、露点に応じて適宜設定できるが、例えば、好ましくは15℃以上、より好ましくは16℃以上、さらに好ましくは17℃以上である。表面温度の上限は、コポリマーの組織化前に膜が乾燥してしまう程の高温を避ければ足り、有機溶媒の沸点に応じて適宜設定できるが、例えば、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下、さらにより好ましくは25℃以下である。膜の表面温度は、気温(周囲温度)と同等であるのが好ましい。

0049

エージング時間は、湿度や膜温度に応じて適宜設定できるが、例えば、10分〜10時間が好ましく、20分〜5時間がより好ましく、30分〜3時間がさらに好ましい。

0050

3.工程(3):乾燥工程(3)
乾燥工程では、塗布膜中の有機溶媒を蒸発させて、エージング工程で形成された表面ナノ構造を固定する。乾燥工程の雰囲気は特に限定されず、不活性ガス雰囲気下であっても空気中であってもよく、エージング工程と同じ雰囲気であってもよい。エージング工程と雰囲気が同じ場合は、エージング工程と乾燥工程の区別が難しく、エージング工程が乾燥工程を兼ねると見なすことができる。
乾燥工程の温度は特に限定されず、例えば、室温であってもよい。非加熱条件下で乾燥させると、表面ナノ構造をエージング工程終了時に対してより忠実に固定できる。

0051

4.ナノ構造を有するフィルム
以上の様にして得られるフィルムは、その片側の表面にナノサイズの構造を有している。具体的には、連続ハニカム構造から形成される多孔質構造、繊維集合体みなすことができる繊維質構造であり、ハニカム繊維径がナノサイズに制御されている。ハニカム構造となる場合の各ハニカムの平均直径(平均円相当径)は、例えば、好ましくは1〜200nm、より好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは10〜70nm、特に好ましくは15〜50nmである。また繊維集合組織の場合の平均繊維径は、好ましくは1〜200nm、より好ましくは3〜100nm、さらに好ましくは5〜70nmである。なお平均繊維長は特に限定されないが、例えば、好ましくは500nm以上、より好ましくは800nm以上である。

0052

ナノ構造が形成されている表面層の厚さは、例えば、1〜3000nm、好ましくは3〜1000nm程度、より好ましくは5〜500nm程度、さらに好ましくは10〜200nm程度である。

0053

フィルムの厚さは、ナノ構造が形成されている表面層厚さと等しくてもよい。この場合は、フィルム全体に亘ってナノ構造が存在することになる。一方、フィルム厚さが表面層厚さよりも厚くてもよい。この場合は、ナノ表面構造と内部構造とを有する非対称フィルムとなる。なおフィルムの厚さは、例えば、5〜20000nm、好ましくは10〜5000nm程度、より好ましくは20〜3000nm程度、さらに好ましくは30〜2000nm程度の範囲で設定できる。

0054

フィルムの内部構造は適宜設計でき、例えば、ソリッド構造であってもよく、マクロ孔が形成されていてもよい。またナノサイズ構造を有する片側表面から反対側表面に向けて前記マクロ孔が均一構造又は次第に大きくなるような傾斜構造を上記フィルムが有していてもよい。マクロ孔の大きさが均一であっても傾斜していても、フィルム面に平行する面で層を区切った場合は、該層内でのマクロ孔の大きさはほぼ一定である。マクロ孔の大きさは、それが最も大きくなる層で測定した時、例えば、好ましくは0.5〜3μm程度、より好ましくは0.7〜2μm程度である。

0055

以上の様にして得られる膜(フィルム)は、必要に応じて支持体上から剥離して、単独フィルムとして使用してもよく、支持体から剥離する事なく或いは支持体から剥離してから他のフィルムと重ねて積層フィルムとして使用してもよい。

0056

5.フィルムの用途
前記フィルムは、表面のナノ構造の状態に応じて、種々の用途に使用でき、本発明で得られるフィルムは、例えば、膜分離、反射防止フィルム、細胞培養用足場剤、癒着防止フィルム指紋付着防止フィルム等に好適に使用することができる。このほか、連続ハニカム構造から形成される多孔質構造を表面に有するフィルムは、例えば、太陽電池、電池電解質、センサーフォトレジスト湿潤性外傷軟膏、血液試験用プレート等に好適に使用することができ、表面に繊維状構造を有するフィルムは、例えば、電池電極接着剤等に好適に使用することができる。

0057

前記フィルムが非対称膜(特に内部にマクロ孔を有する非対称膜)の場合、半透膜の特性を有すると共に、透水速度を大きくすることができるため、水などの濾過膜として用いるのが有利である。具体的には、表面の多孔質膜で、微細な粒子等を除去することができ、マクロ孔で濾過された物質濾液が抵抗を受けることなく、流路を形成すると共に膜の強度を保持することができる。

0058

本願は、2012年10月9日に出願された米国特許出願第13/647,727号に基づく優先権の利益を主張するものである。2012年10月9日に出願された米国特許出願第13/647,727号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。

0059

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。また分子量は、GPC(ポリスチレン換算)で求めた数平均分子量を意味する。

0060

実施例1
分子量40000のポリスチレン及び分子量35000のポリエチレンオキシドからなるブロックコポリマー(PS−b−PEO、40k−b−35k、体積比:56/44、分子量分布:1.08)と、シクロヘキサノンとを70g/Lの濃度となるように混合してポリマー溶液を調製した。次に30μlの前記ポリマー溶液をシリコンウエハー上に滴下し、膜表面温度20℃、相対湿度85%の条件で放置し、温度及び湿度一定の条件下で3時間かけてシクロヘキサノンを蒸発させた。その後、外気または部屋の湿度に2時間かけて戻した。得られたフィルムの表面をSEMにより観察した。結果を図1に示す。

0061

図1から分かるように、フィルム表面は連続ハニカム構造から形成される多孔質構造を有し、その孔の平均円相当径は約32nmであった。

0062

実施例2
分子量20000のポリスチレン及び分子量7000のポリエチレンオキシドからなるブロックコポリマー(PS−b−PEO、20k−b−7k、体積比:74/26、分子量分布:1.06)と、シクロヘキサノンとを140g/Lの濃度となるように混合して溶液を調製した。次に、温度20℃、相対湿度85%の条件下で30μlの溶液をシリコンウエハー上に滴下して、温度及び湿度一定の条件下で水分及びシクロヘキサノンを自然乾燥により3時間かけて蒸発させて、その後、外気または部屋の湿度に2時間かけて戻し、表面にナノ構造を有するフィルムを得た。また、得られたフィルムの表面をSEMにより観察し、その結果を図2に示す。

0063

図2の結果から分かるように、フィルム表面はハニカム構造を有し、その孔の平均円相当径は約14nmであった。

0064

実施例3
分子量40000のポリスチレン及び分子量35000のポリエチレンオキシドからなるブロックコポリマー(PS−b−PEO、40k−b−35k、体積比:56/44、分子量分布:1.08)と、1,4−ジオキサンとを100g/Lの濃度となるように混合して溶液を調製した。次に、温度20℃、相対湿度80%の条件下で30μlの溶液をシリコンウエハー上に滴下して、温度及び湿度一定の条件下で水分及び1,4−ジオキサンを自然乾燥により3時間かけて蒸発させて、その後、外気または部屋の湿度に2時間かけて戻し、表面にナノ構造を有するフィルムを得た。また、得られたフィルムの表面をSEMにより観察し、その結果を図3に示す。

0065

図3の結果から分かるように、フィルム表面はナノ繊維構造を有し、個々の繊維の大きさは約50×1000nmであった。

0066

実施例4
分子量40000のポリスチレン及び分子量35000のポリエチレンオキシドからなるブロックコポリマー(PS−b−PEO、40k−b−35k、体積比:56/44、分子量分布:1.08)と、シクロヘキサノンとテトラヒドロフランとを、70g/Lの濃度となるように混合し、さらに水を20g/L(水g/全有機溶媒L)の濃度となるように添加して溶液を調製した。次に、温度20℃、相対湿度85%の条件下で30μlの溶液をシリコンウエハー上に滴下して、温度及び湿度一定の条件下で水分、シクロヘキサノン及びテトラヒドロフランを自然乾燥により3時間かけて蒸発させて、その後、外気または部屋の湿度に2時間かけて戻し、表面にナノ構造を有するフィルムを得た。また、得られたフィルムの表面をSEMにより観察し、その結果を図4に示し、また断面もSEMにより観察し、その結果を図5に示す。

0067

図4及び5の結果から分かるように、フィルム表面はハニカム構造を有し、その孔の平均円相当径は約48nmであり、フィルム内部はマクロ孔を有しており、非対称膜が形成されていた。

0068

実施例5
分子量40000のポリスチレン及び分子量35000のポリエチレンオキシドからなるブロックコポリマー(PS−b−PEO、40k−b−35k、体積比:56/44、分子量分布:1.08)と、シクロヘキサノンとを30g/Lの濃度となるように混合して溶液を調製した。次に、温度20℃、相対湿度85%の条件下でギャップが1Mil(25.4μm)のブレードコーターを用いて、スライドガラス(178mm×127mm)上に溶液をコーティングし、温度及び湿度一定の条件下で水分及びシクロヘキサノンを2時間かけて蒸発させて、その後、外気または部屋の湿度に3時間かけて戻し、表面にナノ構造を有するフィルムを得た。また、得られたフィルムの表面をSEMにより観察し、その結果を図6に示す。

0069

図6の結果から分かるように、フィルム表面はハニカム構造を有し、その孔の平均円相当径は約28nmであった。

0070

比較例1
分子量40000のポリスチレン及び分子量35000のポリエチレンオキシドからなるブロックコポリマー(PS−b−PEO、40k−b−35k、体積比:56/44、分子量分布:1.08)と、ベンゼンとを70g/Lの濃度となるように混合して溶液を調製した。次に、温度20℃、相対湿度85%の条件下で30μlの溶液をシリコンウエハー上に滴下して、温度及び湿度一定の条件下で水分及びベンゼンを自然乾燥により2時間かけて蒸発させて、その後、外気または部屋の湿度に3時間かけて戻し、フィルムを得た。また、得られたフィルムの表面をSEMにより観察し、その結果を図7に示す。

0071

図7の結果から分かるように、フィルム表面はナノ構造を有さなかった。

0072

比較例2
分子量40000のポリスチレン及び分子量35000のポリエチレンオキシドからなるブロックコポリマー(PS−b−PEO、40k−b−35k、体積比:56/44、分子量分布:1.08)と、テトラヒドロフランとを、70g/Lの濃度となるように混合して溶液を調製した。次に、温度20℃、相対湿度85%の条件下で30μlの溶液をシリコンウエハー上に滴下して、温度及び湿度一定の条件下で水分及びテトラヒドロフランを自然乾燥により3時間かけて蒸発させて、その後、外気または部屋の湿度に2時間かけて戻し、フィルムを得た。また、得られたフィルムの表面をSEMにより観察し、その結果を図8に示す。

0073

図8の結果から分かるように、フィルム表面はナノ構造を有さなかった。

0074

比較例3
分子量40000のポリスチレン及び分子量35000のポリエチレンオキシドからなるブロックコポリマー(PS−b−PEO、40k−b−35k、体積比:56/44、分子量分布:1.08)と、シクロヘキサノンとを70g/Lの濃度となるように混合して溶液を調製した。次に、温度20℃、相対湿度20%の条件下で30μlの溶液をシリコンウエハー上に滴下して、温度及び湿度一定の条件下で水分及びシクロヘキサノンを自然乾燥により2時間かけて蒸発させて、その後、外気または部屋の湿度に3時間かけて戻し、フィルムを得た。また、得られたフィルムの表面をSEMにより観察し、その結果を図9に示す。

0075

図9の結果から分かるように、フィルム表面はナノ構造を有さなかった。

0076

上記実施例1〜5及び比較例1〜3で使用された条件及び得られたフィルムの形態を表1に示す。

0077

実施例

0078

本発明の表面にナノ構造を有するフィルムは、例えば、太陽電池、電池電解質、電池電極、センサー、フォトレジスト、膜分離、反射防止フィルム、接着剤、細胞培養足場材、癒着防止フィルム、湿潤性外傷用軟膏、指紋付着防止フィルム、血液試験用プレート等に好適に使用することができる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い法人

関連性が強い法人一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ