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課題・解決手段
本発明は、CFRP、ガラス繊維強化プラスチック、或いはポリエステル糸で補強したプラスチックの機械加工用の加工工具に関連する。前記加工工具は、円筒状コア部分(9)のあたりに配置される各ランド(5,6,7,8)を、円周方向で互いに隔てる複数の縦溝(1,2,3,4)を備える。少なくとも1つのランド(6,8)が下加工ランド(6,8)として、少なくとも1つの別のランド(5,7)が後加工ランド(5,7)として設計され、それぞれが、加工工具の軸に沿って伸びる、或いは加工工具の軸に対して捩れて螺旋状の弧の形状の辺縁作業領域を備える。それぞれの前記下加工ランド(6,8)の前記作業領域は、複数の歯(10)を有する辺縁やすりとして設計され、各当該歯(10)は、前記作業領域の円筒状表面、弧の形状の外側表面に組み込まれ、前記工具の軸に平行に伸びるか、或いは前記工具の軸に対して捩れて螺旋状の弧の形状である複数の鋭い刃先(11,12,13,15)が、それぞれの前記後加工ランド(5,7)の前記作業領域に設けられる。本発明は、少なくとも1つの前記後加工ランド(5,7)上の前記複数の鋭い刃先(11,12,13,15)が、辺縁外郭溝に設けられた複数の刃先(11,12)を備え、各前記外郭溝が、互いに平行に、少なくとも1つの前記後加工ランド(5,7)に先行する各前記縦溝(1,3)に呼応する傾斜で、前記作業領域の円筒状表面、弧の形状の外側表面に組み込まれることを特徴とする。
概要
背景
CFRP、GFRP、或いはポリエステル糸で補強したプラスチック等の繊維強化材料のフライス加工および穿孔加工時に、従来の機械加工用工具を用いて、そのような材料の仕掛品を機械加工すると、しばしば、個々の繊維が断裂する、或いはポリエステル糸が接合する、という問題が発生する。したがって、個々の繊維が加工領域の端から剥離し、別の繊維は工具の加工領域の端の通過時に押しつぶされる。そのため、それらは加工領域の端から突き出ている端部のみが切断され、ひいては、加工後にへりに突き出る。それゆえに通常は、粗機械加工或いは粗加工の後で、後加工、すなわち、仕上げ加工或いはリーマー加工が行われる。
例えば、ドイツ特許DE 3742942 C1公報、ドイツ実用新案DE 8609688 U1公報、或いは米国特許US 4,285,618 B公報に開示され、それぞれの粗刃先が後追いする仕上げ刃先に一体化されている、仕上げ‐粗削り‐フライスとして周知の金属加工を出発点にして、繊維強化材料およびそのような材料を用いたサンドイッチ材料の機械加工においてもまた、より少ない処理時間で良好な表面品質に到達するために、粗機械加工、すなわち、粗加工段階と、同様に、後機械加工、すなわち、単純な工具を用いた後リーマー加工或いは仕上げ加工段階と、の両方を成し遂げ得るという目的で、工夫されている。
例えば、ドイツ実用新案DE 202 09 768 U公報はステップの主刃先は互いにずらされ、一方の主刃先が下加工で切削を行い、他方が後加工で穴を広げる、サンドイッチ材の機械加工用のステップドリルを開示している。ドイツ実用新案DE 202 11 589 U1公報はサンドイッチ材の仕掛品の機械加工用の別のドリルを開示し、2つの下加工ランドがブローチ工具として多少鈍く設計され、各後加工ランドはリーマーとして鋭くて小さい刃先を有し、円周方向で後追いする。同様のドリルが、ドイツ実用新案DE 202 11 592 U公報、およびDE 203 04 580 U1公報に開示され、幅広の円状研削面取り(circular grinding chamfer)が穿孔の補強のために使用され、丸みを帯びた刃先の角部が糸の断裂を防ぐために使用される。
先行する各下加工ランドによって行われる切削作業と、後追いする各後加工ランドのみによって行われる後切削処理との分離のアイディアも実施されている、繊維強化プラスチックの機械加工用のエンドミルカッターが、ドイツ特許DE 11 2009 000 013 B4公報に示されている。そこでは、各前記先行する下加工ランドは左捩れで、各前記後追いする後加工ランドは右捩れである。そこでは、そのことがバリを防ぐはずである。
さらに、プラスチックの機械加工において、やすりに類似し、各加工ランドの周面に各歯、特に比較的小さな工具径を基準とする深さの、交差する溝によって生成される歯を備える、フライス工具が知られている。そのような工具は既に、出願人のドイツ特許DE 736 449号公報およびドイツ特許DE 10232037 B4公報に示されている。
各外郭溝と各チップブレーカ溝を有する、繊維強化プラスチックの処理用の工具の使用が米国特許US 5,221,163号公報、および、国際出願 WO 2010/061933 A1公報に開示されている。
米国特許US 6,164,876号公報は、2つのランドを有する工具であって、前記ランドの一方が多数の歯を有し、他方が従来の刃先を有する工具を開示している。
概要
本発明は、CFRP、ガラス繊維強化プラスチック、或いはポリエステル糸で補強したプラスチックの機械加工用の加工工具に関連する。前記加工工具は、円筒状コア部分(9)のあたりに配置される各ランド(5,6,7,8)を、円周方向で互いに隔てる複数の縦溝(1,2,3,4)を備える。少なくとも1つのランド(6,8)が下加工ランド(6,8)として、少なくとも1つの別のランド(5,7)が後加工ランド(5,7)として設計され、それぞれが、加工工具の軸に沿って伸びる、或いは加工工具の軸に対して捩れて螺旋状の弧の形状の辺縁作業領域を備える。それぞれの前記下加工ランド(6,8)の前記作業領域は、複数の歯(10)を有する辺縁やすりとして設計され、各当該歯(10)は、前記作業領域の円筒状表面、弧の形状の外側表面に組み込まれ、前記工具の軸に平行に伸びるか、或いは前記工具の軸に対して捩れて螺旋状の弧の形状である複数の鋭い刃先(11,12,13,15)が、それぞれの前記後加工ランド(5,7)の前記作業領域に設けられる。本発明は、少なくとも1つの前記後加工ランド(5,7)上の前記複数の鋭い刃先(11,12,13,15)が、辺縁外郭溝に設けられた複数の刃先(11,12)を備え、各前記外郭溝が、互いに平行に、少なくとも1つの前記後加工ランド(5,7)に先行する各前記縦溝(1,3)に呼応する傾斜で、前記作業領域の円筒状表面、弧の形状の外側表面に組み込まれることを特徴とする。
目的
本発明の、或いはさらに有利な発展型の下加工および後加工ランドを有するドリル等の別の加工工具を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
円筒状コア部分(9)の周囲に配置される各ランド(5,6,7,8)を、円周方向で互いに隔てる複数の縦溝(1,2,3,4)を備え、少なくとも1つのランド(6,8)が下加工ランド(6,8)として、少なくとも1つの別のランド(5,7)が後加工ランド(5,7)として形成され、各当該ランド(5,6,7,8)はそれぞれに、加工工具の軸に沿って伸びる、或いは加工工具の軸に対して捩れて螺旋状の弧の形状の辺縁機械加工領域を備え、それぞれ前記下加工ランド(6,8)の前記機械加工領域は複数の歯(10)を有する辺縁やすりとして形成され、各当該歯(10)は前記機械加工領域の外郭表面に組み込まれ、当該外郭表面は円筒状表面の弧の形状であり、全ての前記後加工ランド(5,7)の前記機械加工領域において、複数の鋭い刃先(11,12,13,15)が設けられ、前記工具の軸に平行に伸びるか、或いは前記工具の軸に対して捩れて螺旋状の弧の形状である、CFRP、GFRP、或いはポリエステル糸で補強したプラスチック等の繊維強化材料の機械加工用の加工工具であって、少なくとも1つの前記後加工ランド(5,7)の前記複数の鋭い刃先(11,12,13,15)は、それぞれ辺縁外郭溝に位置する複数の刃先(11,12)を含み、各前記外郭溝が前記機械加工領域の外郭表面に組み込まれ、各当該外郭溝が互いに平行で、前記縦溝(1,3)に先行する少なくとも1つの前記後加工ランド(5,7)へ傾斜することを特徴とする加工工具。
請求項2
少なくとも1つの第1後加工ランド(5)が設けられ、当該第1後加工ランド(5)は、正に傾斜し、それぞれ外郭溝に設けられる複数の第1刃先(11)を有し、少なくとも1つの第2後加工ランド(5)が設けられ、当該第2後加工ランド(5)は、負に傾斜し、それぞれ外郭溝に設けられる複数の第2刃先(12)を有し、それぞれの前記複数の第1刃先(11)と前記複数の第2刃先(12)は螺旋角(Y)が絶対値で少なくとも30度で、前記少なくとも1つの第1後加工ランド(5)上の前記外郭溝と前記少なくとも1つの第2後加工ランド(5)上の前記外郭溝が同じ大きさであることを特徴とする請求項1に記載の加工工具。
請求項3
偶数の、或いは4つの縦溝(1,2,3,4)と、対応する偶数の、或いは4つのランド(5,6,7,8)が設けられ、円周方向で互い違いに、前記後加工ランド(5,7)が前記下加工ランド(6,8)を後追いし、逆も成立し、同数の第1および第2後加工ランド(5)が、或いは単一の第1後加工ランド(5)と単一の第2後加工ランド(5)が、互い違いに連続して、前記下加工ランド(6,8)を挟んで設けられることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の加工工具。
請求項4
前記複数の鋭い刃先(11,12,13,15)が、少なくとも1つの、或いはそれぞれの前記後加工ランド(5,7)に刃先(13,15)を含み、当該刃先(13,15)は、前記後加工ランド(5,7)に先行する前記縦溝(1,3)と、前記後加工ランド(5,7)の辺縁と、の間の鋭い切削くさびに沿って伸び、そこに設けられた複数の前記外郭溝によって分割されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の加工工具。
請求項5
少なくとも1つの、或いはそれぞれの前記下加工ランド(6,8)に沿って、鋭い切削くさびが前記下加工ランド(6,8)に先行する前記縦溝(2,4)と、前記下加工ランド(6,8)の辺縁と、の間に伸びることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の加工工具。
請求項6
各前記縦溝(1,2,3,4)と、対応する各前記ランド(5,6,7,8)が、最大でも10度の捩れで、或いは前記工具の軸に平行にまっすぐに伸びることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の加工工具。
請求項7
各前記ランド(5,6,7,8)が前記工具の円周に亘って等間隔に分布することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の加工工具。
請求項8
各前記歯(10)が、それぞれに多角形形状、或いはひし形のベース面を有し、或いはそれぞれにピラミッド形状を有し、前記外郭表面上の正と負に傾斜した各交差線に沿って配列され、それぞれの前記下加工ランド(6,8)の各前記歯(10)の高さが、それぞれの前記後加工ランド(5,7)の各前記外郭溝の深さの程度に対応する、或いは各前記外郭溝の深さの0.5から1.5倍である、或いは各前記外郭溝の深さと等しいことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の加工工具。
請求項9
それぞれの前記下加工ランド(6,8)の前記機械加工領域が、それぞれの先行する前記縦溝(2,4)とそれぞれの後追いする前記縦溝(1,3)の間の円周部分全体に亘って伸び、或いはさらに、それぞれの前記後加工ランド(5,7)の前記機械加工領域もまた、それぞれの先行する前記縦溝(1,3)とそれぞれの後追いする前記縦溝(4,2)の間の円周部分全体に亘って伸びることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の加工工具。
請求項10
技術分野
背景技術
0002
CFRP、GFRP、或いはポリエステル糸で補強したプラスチック等の繊維強化材料のフライス加工および穿孔加工時に、従来の機械加工用工具を用いて、そのような材料の仕掛品を機械加工すると、しばしば、個々の繊維が断裂する、或いはポリエステル糸が接合する、という問題が発生する。したがって、個々の繊維が加工領域の端から剥離し、別の繊維は工具の加工領域の端の通過時に押しつぶされる。そのため、それらは加工領域の端から突き出ている端部のみが切断され、ひいては、加工後にへりに突き出る。それゆえに通常は、粗機械加工或いは粗加工の後で、後加工、すなわち、仕上げ加工或いはリーマー加工が行われる。
0003
例えば、ドイツ特許DE 3742942 C1公報、ドイツ実用新案DE 8609688 U1公報、或いは米国特許US 4,285,618 B公報に開示され、それぞれの粗刃先が後追いする仕上げ刃先に一体化されている、仕上げ‐粗削り‐フライスとして周知の金属加工を出発点にして、繊維強化材料およびそのような材料を用いたサンドイッチ材料の機械加工においてもまた、より少ない処理時間で良好な表面品質に到達するために、粗機械加工、すなわち、粗加工段階と、同様に、後機械加工、すなわち、単純な工具を用いた後リーマー加工或いは仕上げ加工段階と、の両方を成し遂げ得るという目的で、工夫されている。
0004
例えば、ドイツ実用新案DE 202 09 768 U公報はステップの主刃先は互いにずらされ、一方の主刃先が下加工で切削を行い、他方が後加工で穴を広げる、サンドイッチ材の機械加工用のステップドリルを開示している。ドイツ実用新案DE 202 11 589 U1公報はサンドイッチ材の仕掛品の機械加工用の別のドリルを開示し、2つの下加工ランドがブローチ工具として多少鈍く設計され、各後加工ランドはリーマーとして鋭くて小さい刃先を有し、円周方向で後追いする。同様のドリルが、ドイツ実用新案DE 202 11 592 U公報、およびDE 203 04 580 U1公報に開示され、幅広の円状研削面取り(circular grinding chamfer)が穿孔の補強のために使用され、丸みを帯びた刃先の角部が糸の断裂を防ぐために使用される。
0005
先行する各下加工ランドによって行われる切削作業と、後追いする各後加工ランドのみによって行われる後切削処理との分離のアイディアも実施されている、繊維強化プラスチックの機械加工用のエンドミルカッターが、ドイツ特許DE 11 2009 000 013 B4公報に示されている。そこでは、各前記先行する下加工ランドは左捩れで、各前記後追いする後加工ランドは右捩れである。そこでは、そのことがバリを防ぐはずである。
0006
さらに、プラスチックの機械加工において、やすりに類似し、各加工ランドの周面に各歯、特に比較的小さな工具径を基準とする深さの、交差する溝によって生成される歯を備える、フライス工具が知られている。そのような工具は既に、出願人のドイツ特許DE 736 449号公報およびドイツ特許DE 10232037 B4公報に示されている。
0007
各外郭溝と各チップブレーカ溝を有する、繊維強化プラスチックの処理用の工具の使用が米国特許US 5,221,163号公報、および、国際出願 WO 2010/061933 A1公報に開示されている。
0008
米国特許US 6,164,876号公報は、2つのランドを有する工具であって、前記ランドの一方が多数の歯を有し、他方が従来の刃先を有する工具を開示している。
先行技術
0009
ドイツ特許明細書DE3742942号
ドイツ実用新案公報DE8609688号
米国特許公報第4,285,618号
ドイツ実用新案公報DE202 09 768号
ドイツ実用新案公報DE202 11 589号
ドイツ実用新案公報DE202 11 592号
ドイツ実用新案公報DE203 04 580号
ドイツ特許明細書DE11 2009 000 013号
ドイツ特許明細書DE736 449号
ドイツ特許明細書DE 10232037号
米国特許公報第5,221,163号
国際出願公報WO2010/061933号
米国特許公報第6,164,876号
発明が解決しようとする課題
0010
これを出発点として、本発明は、より少ない処理時間で、改善された表面品質に到達できるように、繊維強化材料の機械加工用のエンドミルカッターをさらに発展させるという目的に基づく。
0011
この目的は、請求項1に記載された特徴によって解決される。
課題を解決するための手段
0012
一般的な加工工具と同様に、本発明においては、第1の機械加工機能と第2の機械加工機能への機能の分離が実行され、異なる各機械加工機能が異なるように設計された各ランドを用いて行われる。この目的のために、円筒状コア部分の周りに配置され、複数の縦溝によって周方向に隔てられる各ランドの少なくとも一つが第1のタイプであり、以降下加工ランドと呼ばれ、別のランドが第2のタイプであり、以降後加工ランドと呼ばれる。
しかしながら、回転工具の切削作業中にどの加工が先に或いは後から行われるかを言うことは難しい。そのため、これらの呼称は限定を目指すものではない。
0013
一般的な、加工ランドに、隣接する円状研削面取りを有する周辺の刃先を備える加工工具と同様に、本発明の加工工具の各ランドもまた、それぞれが周辺の加工領域を有し、各当該ランドは、しかしながら、前記加工工具の軸に対して、螺旋状或いは渦巻状の弧の形状で捩れて伸び得るだけでなく、別の実施例では、前記縦溝が回されていない場合には、前記工具の軸に沿って、すなわち前記工具の軸に平行に伸び得る。
0014
一方で複数の歯を、他方で仕上げ或いはリーマー用の刃としての機能を果たす複数の溝を用いるプラスチック処理において周知の、周辺の作業或いは加工領域の組合せによって、特に良好な結果が、機械加工される繊維強化材料の仕掛品の表面品質において達成され得ることを、発明者は発見している。
0015
本発明によれば、それぞれの下加工ランドの加工領域は、それゆえに、それ自体で既に知られているように、複数の刃を有する周辺のやすりとして形成されている。すなわち、各前記歯が前記加工領域の、円筒表面形状の外郭或いはジャケット表面に組み込まれるか或いは加工される。しかしながら、既知のプラスチック切削工具と異なり、前記後加工ランドは以下の異なる機能とデザインを有する。全ての後加工ランドの前記加工領域において、いくつかの鋭い刃先、すなわち正の、例えば5度から15度、特に8度のすくい角を有する鋭い切削くさび上の各刃先が備えられ、各当該刃先は螺旋状或いは渦巻状の弧の形状で前記工具の軸に平行に、或いは捩れて伸びる。ここで、少なくとも1つの後加工ランド上のいくつかの鋭い刃先の数には、それぞれ周辺の外郭溝或いはジャケット溝に設けられる刃先が含まれ、各前記外郭溝は互いに平行に伸び、円筒表面の弧の形状で、前記少なくとも1つの後加工ランドに先行する溝に対して傾斜して、前記加工領域の外郭表面に組み込まれる。したがって、前記後加工ランドの周辺の前記加工領域は、螺旋状の弧の形状の各外郭溝に点在し、ネジ山のように並んで平行に伸びている。
0016
既知の仕上げ‐粗削り‐カッター或いはドリルビットのように原則として、各前記下加工ランドで粗加工或いは粗削りが行われるように、前記工具のこの形状がふるまい、その間に個々の歯が本質的な材料の除去を行い、その一方で、各前記下加工ランドでは、仕上げ、リーマー、或いは研磨が行われることが想定される。粗削り用の単一の各歯の使用によって、前記材料の粉砕、単一の糸或いは単繊維からの断裂に至るように思われる。しかしながら、大部分は防止可能であるように思われる。つまり、正確な材料の除去によってのみ、前記下加工或いは粗削りランドの各前記歯の衝突時に、個々の繊維の前記繊維強化材料からの断裂が大部分回避され得る。仕上げ時に、材料残余、特に下処理或いは下加工された壁から突き出ている繊維端が分離される。
0017
前記後加工ランド、或いは好適には各前記後加工ランドの各前記外郭溝と組み合わせで、この工具形状は、実施例において特に良好な表面品質を、特にポリエステル糸で強化された材料において示す。当該ポリエステル糸で強化された材料はほつれがち、或いは接合しがちであり、それは実施例においては効果的に防止された。ここで、各前記外郭溝、ひいては仕上げ刃先は比較的平坦に、すなわち比較的小さな、例えば30度より大きな螺旋角で伸びることができ、それゆえに、糸端に正面から大きな力でぶつかるのではなく、時間を長くかけること、或いは刃渡りの長さによって低減した力で、側面からナイフで切るようにぶつかる。
0018
仕上げ刃先には、各前記外郭溝の1つにそれぞれ設けられる大部分に加えて、複数の鋭い刃先が含まれてもよく、そこで、1つ以上の別の後加工ランド上の各仕上げ刃先は、縦溝に先行する後加工ランドと後加工ランドの周辺部の間の鋭い切削くさびに沿った従来の刃先を備えていてもよく、別の実施例の場合には、円形研削面取り(circular grinding chamfer)、或いは類似の剛性化に適した辺縁機械加工領域が隣接することもあり得る。各前記外郭溝を1つ以上の前記後加工ランドに設けること、そして1つ以上の別の前記後加工ランドに従来の仕上げ刃先を設けることもまた考えられる。
0019
しかしながら、少なくとも1つの第1後加工ランドが設けられ、正の傾斜を有する複数の第1刃先をそれぞれ外郭溝に有し、そして、少なくとも1つの第2後加工ランドが設けられ、負の傾斜を有する複数の第2刃先をそれぞれ外郭溝に有する場合が特に好都合であることが判っている。前記加工工具の回転速度、当該回転速度は数千或いは数万回転毎分であってもよい、によって、一種の“はさみによる切断”が再現され、壁から突き出ている繊維の切れ残りは、はさみを使用したのと同様に、切断されるか或いは除去される。
0020
機械加工される前記材料に応じた、或いはフライス加工又は穿孔加工される仕掛品において繊維強化のために使用される各繊維に応じた各前記外郭溝、ひいては各前記第1および第2後加工ランドの各前記刃先の逆向きによって、各前記外郭溝、したがって各前記刃先が前記工具の軸に傾斜しているが、互いに逆方向である前記螺旋角、或いは傾き角、或いは捩れ角を適切に選択することによって、既述のはさみによる切断の効果とその結果が最適化できる。しかしながら、両方の種類の各後加工ランドにおける、絶対値で少なくとも15度から20度の螺旋角が全ての既知の繊維強化材料にとって都合がよいことが判っている。前記螺旋角は、投影平面における前記刃先と前記工具の軸からなる角度である。
0021
例えば、第1或いは第2後加工ランド上の各前記外郭溝の各螺旋角はより急角度で、別の各後加工ランドにおける各螺旋角はより浅く、そして、螺旋角がはさみによる切断を再現するのに充分なほど異なっている場合には、前記第1および第2後加工ランドにおける螺旋角が、両方とも正或いは負であることさえ考えられる。有利には、それらはいずれの場合にも逆方向である。つまり、一方の(例えば第1の)加工ランドでは正で、他方の(例えば第2の)加工ランドでは負である。ポリエステルの単繊維或いは糸を含む材料の機械加工にとって、各前記溝が約45度をなして互いに逆向きである場合、言い換えれば、それらの投影線が前記仕掛品のある場所において45度で交差する場合は特に有利であると証明されている。しかしながら、それぞれ近似で、ケブラー製の繊維にとっては、60度の交差角が有益だと証明されており、アラミドにとっては120度の交差角がそうである。前記第1後加工ランドの各前記外郭溝と、前記第2後加工ランドの逆の角度の各外郭溝或いは各刃先の対応効果を最適化するためには、各前記外郭溝が全ての後加工ランドにおいて同じ大きさである場合が有利である。
0022
偶数の縦溝と、それに伴う偶数のランドが設けられ、それによって下加工および後加工ランドが円周方向で互い違いになることができる場合もまた有利である。特に好適なさらなる発展型は4つの縦溝とランド、周辺やすりを有する2つの下加工ランドと2つの後加工ランドを有し、当該後加工ランドの1つは第1の後加工ランドとして、当該後加工ランドの1つは第2の後加工ランドとして形成され、下加工ランドはそれぞれに挟まれる。しかしながら、6つ、8つ、或いはより多くのランドを有する本発明の実施例もまた考えられ、下加工および後加工ランドが円周方向で互い違いになることができるだろう。
0023
各前記後加工ランドが、先行する縦溝の縁に沿った鋭い各刃先と、同様に各前記外郭溝における鋭い各刃先の両方を備え、各前記外郭溝あるいは外郭における各溝が、各前記縦溝と捩れ角或いは螺旋角が異なり、前記縦溝に沿った前記刃先を突破する場合もまた有利である。このように、各前記外郭溝はさらに、前記縦溝に沿った前記刃先用のチップブレーカ溝として機能する。
0024
好適にはそれぞれの下加工ランドに沿っている、鋭い切削くさびが、前記下加工ランドに先行する前記縦溝と前記下加工ランドの縁の間に設けられ、そのため、前記下加工ランドは前記切削くさびと共に材料に食い込むことができ、そしてそれによって、各粗加工歯によって回転ごとに材料が厚く粉砕され得る、という少なくとも1つの点でさらに有利である。
0025
有利なことに、各前記歯は多角形、特にダイヤモンド形状ベース、好適にはピラミッド形状であり、それぞれの前記下加工ランドの機械加工領域の外郭表面上の交差する正と負に傾斜する各線に沿って配置される。そのようなピラミッド形状は比較的容易に製造でき、或いは前記交差する各線に沿った各溝の研削によって組み込まれ得る。
0026
各前記ランドが前記工具の円周に亘って等間隔に分布する場合、つまり、1つのランドの前記刃先から次の後追いするランドの前記刃先への各位相角が同一であるか少なくともおおよそ同じである場合には、固体材料への没入中に特に良好な剛性化が得られる。それぞれの下加工ランドの前記機械加工領域が、比較的小さな円形切断相の領域だけでなく、それぞれの先行する前記縦溝とそれぞれの後追いする前記縦溝の間の円周部分全体に亘って伸びる場合、つまり、前記下加工ランドが周辺のクリアランス表面を持たない場合には、良好な剛性および正と見なされる穿孔加工或いはフライス加工における結果的な精度と矛盾しないことは証明されている。同じことは前記後加工ランドにも当てはまる。
0027
本発明の、或いはさらに有利な発展型の加工工具は、フライス工具、そして特にミリングカッターとして設計され、そしてそれゆえに、好適には、固体材料に没入するのに適した先端形状である。本発明の、或いはさらに有利な発展型の下加工および後加工ランドを有するドリル等の別の加工工具を提供することも同様に考えられる。
0028
以下で、本発明の有利な実施例を添付図面を用いて説明する。
図面の簡単な説明
実施例
0030
図面に示されているエンドミルカッターは、等間隔に隔てられた4つの縦溝1,2,3,4を有し、当該各縦溝は各ランド5,6,7,8から互いに等間隔に隔てられ、当該各ランドは円筒状コア部分の周りに配置される。先行する各前記縦溝1,2,3,4に面する各前記ランド5,6,7,8の周辺の外縁において、刃先13,14,15,16はそれぞれ鋭い切削くさびに備えられ、図1に記載されている2つの前記ランド5,7のすくい角αと、2つの前記ランド6,8のすくい角βは大きさが等しく、図面ではいくぶん誇張されているが、実際にはおおよそ8度である。
0031
2つの反対側の前記ランド6,8上のピラミッド型の各歯10は、前記ランド6,8の円周表面の、円周表面上の各交差線に沿った削合によって、前記工具先端部から前記工具の軸に沿って伸びる周辺の機械加工領域に組み込まれる。したがって、前記2つの反対側のランド6,8は、仕掛品である衝突される繊維強化材料のフライス加工中に、それらの各歯10で粉砕する下加工、或いは粗加工ランドとしての機能を果たす。
0032
他方で他の二つの前記ランド5,7において、前記工具の軸へと傾斜している各外郭溝が、各前記ランド5,7の周辺の外郭表面に組み込まれるか、或いは刻み込まれ、当該外郭表面において、それぞれの外郭溝を後追いする円周の外縁、鋭い刃11,12が形成される。したがって、二つの前記ランド5,7は、各前記下加工ランド6,8を用いた粗加工中に、後加工、仕上げ加工、或いは仕上げランドとしての機能を果たし、前記仕掛品の機械加工される壁から前記材料を、特に前記仕掛品の壁から突き出ている繊維端をこすり落とす。
0033
ここで、前記縦溝1,2,3,4は捩れていない直線で伸びる。ところが、図2に見ることができるように、各前記外郭溝は、そしてそれゆえに各前記刃先11,12は、前記工具の軸の周りの螺旋状の弧の形状の傾斜に平行に回されている。前記後加工ランド5に前記刃先11を有する各前記外郭溝のねじれ角或いは捩れ角αは正であり、実施例では約75度である。他の後加工ランド7に前記刃先12を有する各前記外郭溝は、螺旋状の弧の形状でそれぞれ互いに並んで平行に形成されるが、反対の、すなわち負の、実施例では絶対値で同様に75度のねじれ角を有する。したがって、各前記後加工ランド5,7は、周辺に刻み込まれたそれらの外郭溝の傾斜が異なり、ひいては、それぞれの刃先11,12の傾斜が異なる。そのため、前記後加工ランド5は第1の後加工ランド5と、前記後加工ランド7は第2の後加工ランド7と呼ばれる。
0034
示された本実施例の変形例と改造例は、本発明の範囲から逸脱することなく実施可能である。