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課題・解決手段
本発明は、式(I)のスピロ環化合物、又はその薬学的若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体に関連する。式中、A及びBはスピロ環式環系を形成し、ここでA及びBを連結するスピロ原子は炭素原子であり、Aは、炭素環式又は複素環式の既知の単環式の3〜8員環であるか、炭素環式又は複素環式の既知の多環式の6〜18員環系であり;Bは、炭素環式又は複素環式の既知の単環式の4〜7員環であり;Cは、フェニル、又は5〜6員の既知の芳香族複素環であり;R1〜R7は本明細書に定義されているとおりである。本発明は、それらの調製のための方法と、この方法に使用される中間体;それらを含有する医薬若しくは獣医薬組成物と、医薬におけるそれらの使用、特に抗繊維素溶解剤及び抗出血剤としての使用にも関連する。
概要
背景
止血系は、循環流動度の維持、及び血管損傷に応答した出血の防止を担っている。生理学的止血は、凝結及び繊維素形成のメカニズムにより、及びフィブリンの分解(繊維素溶解)に有利に働くメカニズムにより制御される。
先天的又は後天的条件により引き起こされる線溶亢進状態は、重要な出血性合併症を起こし易くし、多くの場合、患者の転帰に悪影響を与える輸血及び再診断を必要とする。外傷から24時間以内に起こる死亡の約50%、及び手術中の外傷による死亡率の80%までが出血によるものである。欧米国では、外傷に起因する院内死亡の約3分の1は、大量の輸血を必要とする異常失血により引き起こされており、これは他の死亡原因、特に多臓器不全の重要な要因である。出血している外傷患者の適切な早期治療を開始することができなかったことが、防ぐことのできた外傷死の主な原因である。分娩後出血(PPH)は、発展途上国において妊婦の死亡の25%を占める別の主要な死因であり、先進国では1999年の1.5%から2009年の4.1%へと増加した。出血の危険は、抗凝固療法を受けている心血管疾患患者においても重要である。薬理学的アプローチは、出血及び輸血を減らすことによってそのような状態に関連付けられる特定の問題を改善することを目指す集学的治療法の重要な部分であり;なかでも、繊維素溶解阻害剤の役割が増大しつつある。
外科手術又は大きな外傷に関連して過大に出血し、輸血を必要としている対象者が、全く出血していない対象者より多くの合併症を生じることはよく知られている。しかしながら、ヒトの血液製剤の投与を要する中程度の出血は、ヒトウィルスを移す危険に関連付けられる合併症の原因となりうる。大量の輸血を要する大規模な出血は、肺又は腎臓機能を含む多臓器不全を生じる原因となりうる。したがって、外科手術、並びに大きな組織損傷における主な目標は、出血を回避する又は最小限に抑えることにより、繊維素溶解酵素により容易に溶解しない、安定且つ固形化した止血血栓を確実に形成することである。さらに、このような血栓又は血塊の迅速且つ効果的な形成を確実にすることが重要である。
抗繊維素溶解剤は、繊維素溶解を防ぎ、失血を減らすために大規模な外科手術において広く使用されている。現在、二つの合成リジン類似体、即ちイプシロンアミノカプロン酸(EACA)、及びトラネキサム酸(TXA)だけが、出血を制御するために市販されている抗繊維素溶解剤である。これらの薬剤は、競合的に、フィブリン塊、フィブリノゲン、及び他の血漿タンパク質を分解させる酵素であるプラスミンへの、プラスミノゲンの活性化を阻害する。
しかしながら、血栓性合併症の潜在的危険に起因して、これら現在入手可能な抗繊維素溶解剤に関していくつかの懸案事項がある。
外科手術、外傷、又は他の組織損傷の形態に起因する出血症状を有する対象者を含め、並びに過度の繊維素溶解を特徴とする臨床シナリオにおいて、出血症状を呈している対象者の治療を向上させる必要性が依然として存在する。
概要
本発明は、式(I)のスピロ環化合物、又はその薬学的若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体に関連する。式中、A及びBはスピロ環式環系を形成し、ここでA及びBを連結するスピロ原子は炭素原子であり、Aは、炭素環式又は複素環式の既知の単環式の3〜8員環であるか、炭素環式又は複素環式の既知の多環式の6〜18員環系であり;Bは、炭素環式又は複素環式の既知の単環式の4〜7員環であり;Cは、フェニル、又は5〜6員の既知の芳香族複素環であり;R1〜R7は本明細書に定義されているとおりである。本発明は、それらの調製のための方法と、この方法に使用される中間体;それらを含有する医薬若しくは獣医薬組成物と、医薬におけるそれらの使用、特に抗繊維素溶解剤及び抗出血剤としての使用にも関連する。
目的
したがって、外科手術、並びに大きな組織損傷における主な目標は、出血を回避する又は最小限に抑えることにより、繊維素溶解酵素により容易に溶解しない、安定且つ固形化した止血血栓を確実に形成することである
効果
実績
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請求項1
式(I)[上式中、A及びBは、AとBとを連結するスピロ原子が炭素原子であるスピロ環式環系を形成し、ここでAは、飽和した又は部分的に不飽和の、既知の炭素環式又は複素環式の単環式3〜8員環であるか;又は代替的にAは、飽和した、部分的に不飽和の、又は部分的に芳香族の、既知の炭素環式又は複素環式の多環式6〜18員環系であり;Bは、飽和した又は部分的に不飽和の、既知の炭素環式又は複素環式の単環式4〜7員環であり;Cは、フェニル、又は既知の5〜6員芳香族複素環であり;R1〜R3は、独立に、H、ハロゲン、−NO2、−CN、Ra、−ORa’、−OC(Y)Ra’、−OC(Y)ORa’、−OC(Y)NRbRa’、−OSO2ORa’、−NRbRa’、−NRbC(Y)Ra’、−NRbC(Y)ORa’、−NRbC(Y)NRbRa’、−NRbS(O)2Ra’、−NRbSO2NRbRa’、−SRa’、−S(O)Ra’、−S(O)ORa’、−SO2Ra’、−SO2(ORa’)、−SO2NRbRa’、−SC(Y)NRbRa’、−C(Y)Ra’、−C(Y)ORa’、−C(Y)NRbRa’、−C(Y)NRbORa’、及び−C(O)NRbSO2Ra’から選択され;R4〜R7は、独立に、ハロゲン、−NO2、−CN、Rc、−ORc、−NRdRc、−NRdC(Y)Rc、−NRdC(Y)ORc、−NRdC(Y)NRdRc、−NRdS(O)2Rc、−NRdSO2NRdRc、−SRc、−S(O)Rc、−S(O)ORc、−SO2Rc、−SO2R(ORc)、−SO2NRdRc、−SC(Y)NRdRc、−C(Y)Rc、−C(Y)ORc、−C(Y)NRdRc、−C(Y)NRdORc、及び−C(O)NRdSO2Rcから選択され;Raは、一又は複数の置換基Re及び/又は一のCy1で置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C12)アルキルであるか;又は代替的に、RaはCy2であり;ここで、Cy1及びCy2は、独立に:一のCy3、及び/又は、一又は複数の置換基Re、及び/又は、一又は複数の置換基Re及び/又は一のCy3で置換されていてもよい、一又は複数の飽和又は不飽和(C1−C6)アルキル基であり;且つ任意のCy3は、Re、及び、一又は複数の置換基Reで置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから独立に選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよく;各Ra’及びRbは、独立に、H又はRaであり;Rc及び各Rdは、独立に、H、Cy4、及び、一又は複数の置換基Rh及び/又は一のCy5で置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択され;ここで、Cy4は、Rh、及び、一又は複数の置換基Rhで置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから独立に選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよく;且つCy5は、Rh、及び、一又は複数の置換基Rhで置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから独立に選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよく;各Reは、独立に、ハロゲン、−NO2、−CN、−ORf、−OC(Y)Rf、−OC(Y)ORf、−OC(Y)NRgRf、−NRgRf、−NRgC(Y)Rf、−NRgC(Y)ORf、−NRgC(Y)NRgRf、−NRgS(O)2Rf、−NRgSO2NRgRf、−SRf、−S(O)Rf、−S(O)ORf、−SO2Rf、−SO2(ORf)、−SO2NRgRf、−SC(Y)NRgRf、−C(Y)Rf、−C(Y)ORf、−C(Y)NRgRf、−C(Y)NRgORf及び−C(O)NRgSO2Rfから選択され;Rf及び各Rgは、独立に、H、Cy6、及び、一又は複数の置換基Rh及び/又は一のCy7で置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択され;ここで、Cy6は:一のCy7、及び/又は、一又は複数の置換基Re、及び/又は、一又は複数の置換基Rh及び/又はCy7で置換されていてもよい一又は複数の飽和又は不飽和(C1−C6)アルキル基で置換されていてもよく;且つ任意のCy7は、Rh、及び、一又は複数の置換基Rhで置換されていてもよい(C1−C4)アルキルから独立に選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよく;各Rhは、独立に、ハロゲン、−NO2、−CN、−ORi、−OC(O)Ri、−OC(O)ORi、−OC(O)NRiRi、−NRiRi、−NRiC(O)Ri、−NRiC(O)ORi、−NRiC(O)NRiRi、−NRiS(O)2Ri、−NRiSO2NRiRi、−SRi、−S(O)Ri、−SO2Ri、−SO2(ORi)、−SO2NRiRi、−C(O)Ri、−C(O)ORi、−C(O)NRiRi、及び−C(O)NRiORiから選択され;各Riは、独立に、H、又は一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよい−(C1−C4)アルキルであり;Yは、O、S、又はNRgであり;Cy1、Cy2、Cy4及びCy6は、独立に、飽和した又は部分的に不飽和の、炭素環式又は複素環式の単環式3〜8員環;フェニル;5又は6員芳香族複素環;並びに飽和した、部分的に不飽和の、又は部分的に芳香族の、炭素環式又は複素環式の多環式6〜18員環系から選択される、C又はNに結合した既知の環系であり;Cy3、Cy5、及びCy7は、独立に、飽和した又は部分的に不飽和の、炭素環式又は複素環式の単環式3〜8員環;フェニル;及び5又は6員芳香族複素環から選択される、C又はNに結合した既知の環系であり;ここで、炭素環式環内ではすべての環員は炭素原子であり;複素環式及び芳香族複素環内では、一又は複数の環員はN、O、及びSから選択され;且つ飽和した又は部分的に不飽和のすべての環では、一又は二の環員は、任意選択的に、C(O)及び/又はC(NH)及び/又はC[N(C1−C4)アルキル]である]の化合物、又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体。
請求項2
Aは、既知の炭素環式又は複素環式の単環式3〜8員環であるか、又は既知の炭素環式又は複素環式の二重環式6〜10員環系である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
請求項3
Aは、炭素環式3〜6員環及び複素環式5〜6員環から選択される単環式環である、請求項2に記載の式(I)の化合物。
請求項4
Bは、炭素環式又は複素環式の単環式6〜7員環である、請求項1から3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
請求項5
A及びBは、次のもの からなる群より選択されるスピロ環式環系を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
請求項6
Cはフェニルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
請求項7
R1〜R3では、Rf及び各Rgは、独立に、H、及び、一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい、飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
請求項8
R1〜R3では、Cy1及びCy2は、独立に、Re、及び置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよく;Cy6は、Rh、及び置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから独立に選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよい、請求項1から7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
請求項9
R1〜R3は、独立に、H、ハロゲン、−NO2、−CN、Ra、−ORa’、−OC(O)Ra’、−OC(O)ORa’、−OC(O)NRbRa’、−NRbRa’、−NRbC(O)Ra’、−NRbC(O)ORa’、−NRbC(O)NRbRa’、−NRbS(O)2Ra’、−SRa’、−S(O)Ra’、−SO2Ra’、−SO2NRbRa’、−C(O)Ra’、−C(O)ORa’、−C(O)NRbRa’、及び−C(O)NRbORa’から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
請求項10
R4〜R7は、独立に、ハロゲン、−NO2、−CN、Rc、−ORc、−NRdRc、−NRdC(O)Rc、−NRdC(O)ORc、−NRdC(O)NRdRc、−NRdS(O)2Rc、−SRc、−S(O)Rc、−SO2Rc、−SO2NRdRc、−C(O)Rc、−C(O)ORc、及び−C(O)NRdRcから選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
請求項11
R2及びR3は、独立に、H、ハロゲン、Ra、−ORa’、及び−NRbRa’から選択され;R5〜R7は、独立に、H、ハロゲン、Rc、−ORc、及び−NRdRcから選択され、ここでRa、Ra’、Rb、Rc及びRdは、独立に、H、及び一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい−(C1−C4)アルキルから選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
請求項12
請求項1から11のいずれか一項に規定される式(I)の化合物の有効量、又はその薬学的に若しくは獣医薬的に受容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に受容可能な塩の任意の立体異性体と、一又は複数の薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な賦形剤若しくは担体とを含む医薬組成物又は獣医薬組成物。
請求項13
薬物としての使用のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体。
請求項14
抗繊維素溶解剤及び抗出血剤としての使用のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、又はその薬学的若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体。
請求項15
式(III)[上式中、A、B、C、R1〜R7は、請求項1から11のいずれか一項に規定された通りであり、R’は、H、又は、(C1−C6)アルキル、ベンジル、p−メトキシフェニル、トリメチルシリル、及び[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル(SEM)からなる群より選択されるカルボキシ保護基であり、但し、化合物(III)は、7−メトキシカルボニル−7−フェニルスルホニル−2−オキサスピロ[2.4]ヘプタン及び(2S*,4R*)−2−フェニルスルホニル−4−ヨードメチル−6,11−ジオキサスピロ[4.6]ウンデカン−2−カルボン酸メチルエステルではない]の化合物;又は式(II)[上式中、A、B、C、R1〜R7は、請求項1から11のいずれか一項に規定された通りであり、Rは、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ(THP)、ベンジル、1−ナフチルメチル及びジメチルオキシベンジル(DMB)からなる群より選択されるヒドロキサム酸保護基である]の化合物。
技術分野
0001
本発明は、式(I)のスピロ環化合物、その調製方法、並びにこの方法に使用される中間体に関するものである。本発明はまた、それらを含有する医薬組成物又は獣医薬組成物と、医薬における、特に抗繊維素溶解剤及び抗出血剤としてのそれらの使用に関する。
背景技術
0002
止血系は、循環流動度の維持、及び血管損傷に応答した出血の防止を担っている。生理学的止血は、凝結及び繊維素形成のメカニズムにより、及びフィブリンの分解(繊維素溶解)に有利に働くメカニズムにより制御される。
0003
先天的又は後天的条件により引き起こされる線溶亢進状態は、重要な出血性合併症を起こし易くし、多くの場合、患者の転帰に悪影響を与える輸血及び再診断を必要とする。外傷から24時間以内に起こる死亡の約50%、及び手術中の外傷による死亡率の80%までが出血によるものである。欧米国では、外傷に起因する院内死亡の約3分の1は、大量の輸血を必要とする異常失血により引き起こされており、これは他の死亡原因、特に多臓器不全の重要な要因である。出血している外傷患者の適切な早期治療を開始することができなかったことが、防ぐことのできた外傷死の主な原因である。分娩後出血(PPH)は、発展途上国において妊婦の死亡の25%を占める別の主要な死因であり、先進国では1999年の1.5%から2009年の4.1%へと増加した。出血の危険は、抗凝固療法を受けている心血管疾患患者においても重要である。薬理学的アプローチは、出血及び輸血を減らすことによってそのような状態に関連付けられる特定の問題を改善することを目指す集学的治療法の重要な部分であり;なかでも、繊維素溶解阻害剤の役割が増大しつつある。
0004
外科手術又は大きな外傷に関連して過大に出血し、輸血を必要としている対象者が、全く出血していない対象者より多くの合併症を生じることはよく知られている。しかしながら、ヒトの血液製剤の投与を要する中程度の出血は、ヒトウィルスを移す危険に関連付けられる合併症の原因となりうる。大量の輸血を要する大規模な出血は、肺又は腎臓機能を含む多臓器不全を生じる原因となりうる。したがって、外科手術、並びに大きな組織損傷における主な目標は、出血を回避する又は最小限に抑えることにより、繊維素溶解酵素により容易に溶解しない、安定且つ固形化した止血血栓を確実に形成することである。さらに、このような血栓又は血塊の迅速且つ効果的な形成を確実にすることが重要である。
0005
抗繊維素溶解剤は、繊維素溶解を防ぎ、失血を減らすために大規模な外科手術において広く使用されている。現在、二つの合成リジン類似体、即ちイプシロンアミノカプロン酸(EACA)、及びトラネキサム酸(TXA)だけが、出血を制御するために市販されている抗繊維素溶解剤である。これらの薬剤は、競合的に、フィブリン塊、フィブリノゲン、及び他の血漿タンパク質を分解させる酵素であるプラスミンへの、プラスミノゲンの活性化を阻害する。
しかしながら、血栓性合併症の潜在的危険に起因して、これら現在入手可能な抗繊維素溶解剤に関していくつかの懸案事項がある。
0006
外科手術、外傷、又は他の組織損傷の形態に起因する出血症状を有する対象者を含め、並びに過度の繊維素溶解を特徴とする臨床シナリオにおいて、出血症状を呈している対象者の治療を向上させる必要性が依然として存在する。
0007
本発明者は、良好な抗繊維素溶解特性及び抗出血特性を示す新規のスピロ環化合物系列を着想、生成、及び発見した。特に、ヒドロキサム酸に結合した炭素原子(スピロ原子)とスフホニル基とを含有するスピロ環式環系を含むスピロ環化合物は、血栓弾性率測定法(thromboelastometry)アッセイにおいて、溶解時間に有意な遅延を示す。加えて、本発明のスピロ環化合物は、インビボ動物モデルにおいて出血時間の重要な短縮も示した。これについては後述の実施例において詳細に示す。本発明の化合物のこのような特徴は、出血を迅速に止め;血栓又は血塊の効果的な形成に有利に働き;持続作用(血栓の存続及び出血の防止)を有し;血栓性合併症の危険を有する他の抗繊維素溶解/抗出血治療に関連する副作用を最小に抑えることを助ける。
0008
したがって、本発明の第1の態様は、式(I)の化合物(以降、本発明の化合物ともいう)、又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体に関連する。
上式中、
A及びBは、AとBとを連結するスピロ原子が炭素原子であるスピロ環式環系を形成し、ここで
Aは、飽和した若しくは部分的に不飽和の、既知の炭素環式又は複素環式の単環式3〜8員環であるか;又は代替的に
Aは、飽和した、部分的に不飽和の、又は部分的に芳香族の、既知の炭素環式又は複素環式の多環式6〜18員環系であり;
Bは、飽和した又は部分的に不飽和の、既知の炭素環式又は複素環式の単環式4〜7員環であり;
Cは、フェニル又は既知の5〜6員芳香族複素環であり;
R1〜R3は、独立に、H、ハロゲン、−NO2、−CN、Ra、−ORa’、−OC(Y)Ra’、−OC(Y)ORa’、−OC(Y)NRbRa’、−OSO2ORa’、−NRbRa’、−NRbC(Y)Ra’、−NRbC(Y)ORa’、−NRbC(Y)NRbRa’、−NRbS(O)2Ra’、−NRbSO2NRbRa’、−SRa’、−S(O)Ra’、−S(O)ORa’、−SO2Ra’、−SO2(ORa’)、−SO2NRbRa’、−SC(Y)NRbRa’、−C(Y)Ra’、−C(Y)ORa’、−C(Y)NRbRa’、−C(Y)NRbORa’、及び−C(O)NRbSO2Ra’から選択され;
R4〜R7は、独立に、ハロゲン、−NO2、−CN、Rc、−ORc、−NRdRc、−NRdC(Y)Rc、−NRdC(Y)ORc、−NRdC(Y)NRdRc、−NRdS(O)2Rc、−NRdSO2NRdRc、−SRc、−S(O)Rc、−S(O)ORc、−SO2Rc、−SO2R(ORc)、−SO2NRdRc、−SC(Y)NRdRc、−C(Y)Rc、−C(Y)ORc、−C(Y)NRdRc、−C(Y)NRdORc、及び−C(O)NRdSO2Rcから選択され;
Raは、一又は複数の置換基Re及び/又は一のCy1で置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C12)アルキルであるか;又は代替的に、RaはCy2であり;
ここで、Cy1及びCy2は、独立に:一のCy3、及び/又は、一又は複数の置換基Re、及び/又は、一又は複数の置換基Re及び/又は一のCy3で置換されていてもよい、一又は複数の飽和又は不飽和(C1−C6)アルキル基であり;且つ
任意のCy3は、Re、及び、一又は複数の置換基Reで置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから独立に選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよく;
各Ra’及びRbは、独立に、H又はRaであり;
Rc及び各Rdは、独立に、H、Cy4、及び、一又は複数の置換基Rh及び/又は一のCy5で置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択され;
ここで、Cy4は、Rh、及び、一又は複数の置換基Rhで置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから独立に選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよく;且つ
Cy5は、Rh、及び、一又は複数の置換基Rhで置換されていてもよい飽和又は不飽和の(C1−C6)アルキルから独立に選択される、一又は複数の置換基で置換されていてもよく;
各Reは、独立に、ハロゲン、−NO2、−CN、−ORf、−OC(Y)Rf、−OC(Y)ORf、−OC(Y)NRgRf、−NRgRf、−NRgC(Y)Rf、−NRgC(Y)ORf、−NRgC(Y)NRgRf、−NRgS(O)2Rf、−NRgSO2NRgRf、−SRf、−S(O)Rf、−S(O)ORf、−SO2Rf、−SO2(ORf)、−SO2NRgRf、−SC(Y)NRgRf、−C(Y)Rf、−C(Y)ORf、−C(Y)NRgRf、−C(Y)NRgORf、及び−C(O)NRgSO2Rfから選択され;
Rf及び各Rgは、独立に、H、Cy6、及び、一又は複数の置換基Rh及び/又は一のCy7で置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択され;
ここで、Cy6は:一のCy7、及び/又は、一又は複数の置換基Re、及び/又は、一又は複数の置換基Rh及び/又はCy7で置換されていてもよい一又は複数の飽和又は不飽和(C1−C6)アルキル基で置換されていてもよく;且つ
任意のCy7は、Rh、及び、一又は複数の置換基Rhで置換されていてもよい(C1−C4)アルキルから独立に選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく;
各Rhは、独立に、ハロゲン、−NO2、−CN、−ORi、−OC(O)Ri、−OC(O)ORi、−OC(O)NRiRi、−NRiRi、−NRiC(O)Ri、−NRiC(O)ORi、−NRiC(O)NRiRi、−NRiS(O)2Ri、−NRiSO2NRiRi、−SRi、−S(O)Ri、−SO2Ri、−SO2(ORi)、−SO2NRiRi、−C(O)Ri、−C(O)ORi、−C(O)NRiRi、及び−C(O)NRiORiから選択され;
各Riは、独立に、H、又は一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよい−(C1−C4)アルキルであり;
Yは、O、S、又はNRiであり;
Cy1、Cy2、Cy4及びCy6は、独立に、飽和した又は部分的に不飽和の、炭素環式又は複素環式の単環式3〜8員環;5又は6員芳香族複素環;及び、飽和した、部分的に不飽和の、芳香族の、又は部分的に芳香族の、炭素環式又は複素環式の多環式6〜18員環系から選択される、C又はNに結合した既知の環系であり;
Cy3、Cy5、及びCy7は、独立に、飽和した又は部分的に不飽和の、炭素環式又は複素環式の単環式3〜8員環;フェニル;及び5又は6員芳香族複素環から選択される、C又はNに結合した既知の環系であり;
ここで、炭素環式環内ではすべての環員は炭素原子であり;複素環式環及び芳香族複素環内では、一又は複数の環員は、N、O、及びSから選択され、すべての飽和した又は部分的に不飽和の環内では、環の1又は2員は、任意選択的に、C(O)、及び/又はC(NH)、及び/又はC[N(C1−C4)アルキル]である。
0009
本発明の別の態様は、上記に定義された式(I)の化合物の有効量、又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体を、一又は複数の薬学的に若しくは獣医薬的に言許容可能な賦形剤若しくは担体と共に含む、医薬又は獣医薬組成物に関する。
0010
前述のように、本発明の化合物は、抗繊維素溶解剤及び抗出血剤として有用である。したがって、本発明の別の態様は、薬物としての使用のための、上記に定義された式(I)の化合物、又は、その薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は、式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体に関する。
0011
本発明の別の態様は、抗繊維素溶解剤及び抗出血剤としての使用のための、上記に定義された式(I)の化合物、又は、その薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は、式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体に関する。したがって、この態様は、抗繊維素溶解剤及び抗出血剤としての使用のための薬物の製造のための、上記に定義された式(I)の化合物の使用に関し;さらには繊溶亢進及び/又は出血の治療及び/又は予防のための方法として定式化することができ、この方法は、上記に定義される化合物(I)の有効量、又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体と、一又は複数の薬学的若しくは獣医薬的に許容可能な賦形剤若しくは担体とを、ヒトを含むそれを必要とする対象に投与することを含む。
0012
式(I)の化合物の調製方法、並びにこのような方法に使用される中間体も、本発明の一部である。したがって、本発明の別の態様は、式(III)の化合物に関する。
上式中、A、B、C、R1〜R7は、上記に定義されたとおりであり、R’は、H、又はカルボキシ保護基、具体的には、(C1−C6)アルキル、ベンジル、p−メトキシフェニル、トリメチルシリル、及び[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル(SEM)からなる群より選択されるカルボキシ保護基であり、但し、化合物(III)は、7−メトキシカルボニル−7−フェニルスルホニル−2−オキサスピロ[2.4]−ヘプタン、及び(2S*,4R*)−2−フェニルスルホニル−4−ヨードメチル−6,11−ジオキサスピロ[4.6]−ウンデカン−2−カルボン酸メチルエステルではない。
0013
本発明の別の態様は、式(II)の化合物に関する。
上式中、A、B、C、R1〜R7は、上記に定義された通りであり、Rは、ヒドロキサム酸保護基、具体的には、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ(THP)、ベンジル、1−ナフチルメチル、及びジメチルオキシベンジル(DMB)からなる群より選択されるヒドロキサム酸保護基である。
0014
本明細書において使用されるすべての用語は、特に指定のない限り、当技術分野において知られている一般的な意味で理解されたい。本明細書において使用される特定の用語の、他のさらに詳細な定義は、後述において規定され、特に明確に規定される定義によってさらに広い定義が提供されない限り、本明細書全体にわたって一様に適用される。
0015
本発明の目的のために、環系A及び環系Bにより形成されるスピロ環式の環系では、AとBとを連結するスピロ原子は炭素原子である。
0016
用語「炭素環式」の環系は、すべての環員が炭素原子である既知の環系を指す。用語「複素環式」の環系は、環員の一又は複数、好ましくは1、2、3、又は4の環員が、化学的に可能であれば、N、O、及びSから選択される、既知の環系を指す。特に指定のない限り、「複素環式」の環系は、C又はN原子により残りの分子に結合してもよい。炭素環式及び複素環式の環は共に、飽和していても、又は部分的に不飽和でもよく、置換されなくても、置換基が任意の可能な位置に位置して、本明細書に記載のように置換されていてもよい。
0017
本発明によれば、用語「多環式」の環は、縮合、架橋縮合スピロ縮合することができるか、又は異なる種類の縮合を含むことができる、二、三、又は四の環により形成される環系を指す。本発明の目的のために、「縮合」環では、縮合は、二の隣接する環に共通の一の結合により生じ;「架橋縮合」環では、縮合は、二の環に共通の一連の原子(橋頭)により生じ;「スピロ縮合」環では、縮合は、二の隣接する環(架橋環を含む)に共通の一の原子(スピロ原子)、好ましくは炭素原子のみにより生じる。
0018
多環式の環系は、飽和していても、部分的に不飽和でも、芳香族(環系Aの場合を除く)でも、又は部分的に芳香族でもよく;置換されなくても、置換基が任意の可能な位置に位置して、本明細書に記載のように置換されていてもよい。
0019
用語「芳香族複素」環は、一又は複数の環員、好ましくは1、2、3、又は4の環員が、化学的に可能であればN、O、及びSから選択される、既知の芳香族環系を指す。芳香族複素環及びフェニルは、置換されなくても、置換基が任意の可能な位置に位置して、本明細書に記載のように置換されていてもよい。
0020
本明細書において使用される用語「既知の」環系は、化学的に可能で、当技術分野において知られている環系を指し、したがって化学的に可能でない環系を除くことを意図している。
0021
本発明の目的のために、すべての飽和した又は部分的に不飽和の環では、一又は二の環員は、任意選択的に、C(O)及び/又はC(NH)、及び/又はC[N(C1−C4)アルキル]である。
0022
用語飽和又は不飽和(C1−Cn)アルキルは、1〜nの炭素原子を含む飽和した分枝又は線状の炭化水素鎖を指す。(C1−Cn)アルキルが飽和しているとき、それは単結合のみを含有する。(C1−Cn)アルキルが不飽和であるとき、それは、一又は二の二重結合、及び/又は一又は二の三重結合を含有する。飽和又は不飽和(C1−Cn)アルキルは、本明細書に記載のように、置換されても未置換でもよい。
0025
「一又は複数の〜で置換」されるという表現は、一の基が、置換されうる十分な位置を有していることを条件に、一又は複数、好ましくは1、2、3、又は4の置換基で置換されうることを意味する。
0026
本発明の目的のために、室温は20〜25℃である。
0027
上述のように、本発明の第1の態様は、式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体に関連する。治療目的で使用されるとき、薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能である限り、使用可能な塩の種類に制限はない。用語「薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩」は、アルカリ金属塩を形成するため、及び遊離酸又は遊離塩基の付加塩を形成するために共通に使用される塩を含む。
0028
式(I)の化合物の薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の調製は、当技術分野において既知の方法により実行することができる。例えば、それらは、従来の化学的方法により、塩基性又は酸性の成分を含む親化合物から調製することができる。一般に、このような塩は、例えば、これら化合物の遊離酸又は塩基形態を、水又は有機溶媒又はこれらの混合物の中で、適切な薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩基又は酸の化学量論的量と反応させることにより調製される。式(I)の化合物及びそれらの塩は、いくつかの物理的特性を異にすることがあるが、本発明の目的のためには等価である。
0029
本発明の化合物は、遊離溶媒化化合物又は溶媒和物(例えば、水和物)としての結晶形態とすることができ、両形態を本発明の範囲に含むことが意図されている。溶媒化の方法は、本技術分野において広く知られている。一般に、水、エタノールなどの、薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な溶媒による溶媒化形態は、本発明の目的のために、非溶媒化形態と等価である。
0030
式(I)のいくつかの化合物は、種々の立体異性体を生じさせうるキラル中心を有することができる。本発明は、これら立体異性体の各々と、その混合物とに関連する。さらに、本発明の化合物のいくつかは、シス/トランス異性体を示しうる。本発明は、幾何異性体の各々と、その混合物とに関する。
0031
ジアステレオ異性体は、クロマトグラフィー又は分別結晶といった従来の技術により分離可能である。光学異性体は、光学的に純粋な異性体を生じさせるための光学的分解の従来技術により分割することができる。このような分割は、任意のキラル合成中間体又は一般式(I)の生成物に対して実行することができる。光学的に純粋な異性体は、エナンチオ選択的合成を用いて個別に得ることもできる。
0032
一実施態様では、本発明は、上述に定義された式(I)の化合物であって、Aが、既知の炭素環式又は複素環式の単環式3〜8員環であるか、又は既知の炭素環式又は複素環式の二環式6〜10員環系である式(I)の化合物に言及する。
0033
別の実施態様では、本発明は、Aが、炭素環式3〜6員環、及び複素環式5〜6員環から選択される単環式の環である、式(I)の化合物に言及する。
0034
別の実施態様では、本発明は、Aが、炭素環式の単環;又は環がヒドロキサム酸に結合するスピロ原子を含有し、スルホニル基が炭素環式の環である、多環式の環系、好ましくは二環式の環系である、式(I)の化合物に言及する。
0035
別の実施態様では、本発明は、Aが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ピロリジン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,3−ジヒドロ−1H−インデン、ヘキサヒドロピロリジン−3−オン、及び4−アザスピロ[4.4]ノナンから選択される、式(I)の化合物に言及する。
0036
別の実施態様では、本発明は、Aが未置換である、即ちR7がHである、式(I)の化合物に関する。
0037
別の実施態様では、本発明は、Bが、炭素環式又は複素環式の単環式6〜7員環である、式(I)の化合物に言及する。
0038
別の実施態様では、本発明は、Bが、炭素環式又は複素環式の、飽和した単環式の環であり、複素環式環の環員の少なくとも一がNR4である、式(I)の化合物に言及する。
0040
別の実施態様では、Bは、ピペリジン、モルホリン、アゼパン、ピロリジン、及びアゼチジンであり、ここでR4はこれらの環のN原子上に位置し、R5〜R6はHである。別の実施態様では、Bはピペラジンであり、ここでR4及びR5はN原子上に位置し、R6はHである。
0041
別の実施態様では、本発明は、A及びBが、以下のものからなる群より選択されるスピロ環式環を形成する、式(I)の化合物に言及する:
0042
別の実施態様では、本発明は、Cがフェニルである式(I)の化合物に言及する。別の実施態様では、Cは、オルト、メタ、又はパラ位置においてR1で置換されるフェニルであり、R2及びR3は、独立に、H、ハロゲン、Ra、−ORa’、及び−NRbRa’から選択され;Ra、Ra’、及びRbは、独立に、H、及び一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよい−(C1−C4)アルキルである。別の実施態様では、Cは、パラ位置においてR1で置換されるフェニルであり、R2及びR3はHである。別の実施態様では、Cは、オルト位置においてR1で置換されるフェニルであり、R2及びR3はHである。別の実施態様では、Cは、メタ位置においてR1で置換されるフェニルであり、R2及びR3はHである。別の実施態様では、Cは、メタ位置においてR1で、パラ位置においてR2で置換されるフェニルであって、R3がHであるか;又は代替的に、Cは、パラ位置においてR1で、メタ位置においてR2で置換されるフェニルであって、R3がHであり;ここで、R2は、H、ハロゲンRa、−ORa’、及び−NRbRa’から選択され;且つRa、Ra’、及びRbは、独立に、H、及び一又は複数のハロゲン原子で置換されていてもよい−(C1−C4)アルキルから選択される。
0043
別の実施態様では、本発明は、Rb(R1〜R3に関連して)においてCy1及びCy2が、独立に、Re、及び、一又は複数の置換基Reで置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく;Cy6が、Rh、及び、上記に規定されるように、具体的には一又は複数の置換基Rhで置換されていてもよい、飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから独立に選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよい、式(I)の化合物に言及する。
0044
さらに詳細な実施態様では、本発明は、Rb(R1〜R3に関連して)において、RbはHであって、一又は複数の置換基Reで置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C12)アルキルであり、さらに詳細には、Reにおいて、Rf及び各Rgは、独立に、H、及び一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択される、式(I)の化合物に言及する。
0045
別の実施態様では、本発明は、R1〜R3において、Reが、ハロゲン、−NO2、−CN、−ORf、−OC(O)Rf、−OC(O)ORf、−OC(O)NRgRf、−NRgRf、−NRgC(O)Rf、−NRgC(O)ORf、−NRgC(O)NRgRf、−NRgS(O)2Rf、−SRf、−S(O)Rf、−SO2Rf、−SO2NRgRf、−C(O)Rf、−C(O)ORf、−C(O)NRgRf、及び−C(O)NRgORfから選択される、式(I)の化合物に言及する。
0046
別の実施態様では、本発明は、R1〜R3において、Rf及び各Rgが、独立に、H、及び一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択される、式(I)の化合物に言及する。
0047
別の実施態様では、本発明は、R1〜R3において、Cy1及びCy2が、Re、及び、上記に規定されるように置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから選択される一又は複数の置換基で独立に置換されていてもよく;Cy6が、Rh、及び上記に規定されるように置換されていてもよい飽和又は不飽和(C1−C6)アルキルから独立に選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよい、式(I)の化合物に言及する。
0048
別の実施態様では、本発明は、R1〜R3が、独立に、H、ハロゲン、−NO2、−CN、Ra、−ORa’、−OC(O)Ra’、−OC(O)ORa’、−OC(O)NRbRa’、 −NRbRa’、−NRbC(O)Ra’、−NRbC(O)ORa’、−NRbC(O)NRbRa’、−NRbS(O)2Ra’、−SRa’、−S(O)Ra’、−SO2Ra’、−SO2NRbRa’、−C(O)Ra’、−C(O)ORa’、−C(O)NRbRa’、及び−C(O)NRbORa’から選択される、式(I)の化合物に言及する。
0049
別の実施態様では、本発明は、R4〜R7において、Rhが、ハロゲン、−NO2、−CN、−ORi、−OC(O)Ri、−OC(O)ORi、−OC(O)NRiRi、−NRiRi、−NRiC(O)Ri、−NRiC(O)ORi、−NRiC(O)NRiRi、−NRiS(O)2Ri、−SRi、−S(O)Ri、−SO2Ri、−SO2NRiRi、−C(O)Ri、−C(O)ORi、及び−C(O)NRiRiから選択される、式(I)の化合物に言及する。
0050
別の実施態様では、本発明は、R4〜R7が、独立に、ハロゲン、−NO2、−CN、Rc、−ORc、−NRdRc、−NRdC(O)Rc、−NRdC(O)ORc、−NRdC(O)NRdRc、−NRdS(O)2Rc、−SRc、−S(O)Rc、−SO2Rc、−SO2NRdRc、−C(O)Rc、−C(O)ORc、及び−C(O)NRdRcから選択される、式(I)の化合物に言及する。
0051
別の実施態様では、本発明は、R2及びR3が、独立に、H、ハロゲン、Ra、−ORa’、及び−NRbRa’から選択され;R5〜R7が、独立に、H、ハロゲン、Rc、−ORc、及び−NRdRcから選択され、Ra、Ra’、Rb、Rc、及びRdが、独立に、H、及び一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい−(C1−C4)アルキルから選択される、式(I)の化合物に言及する。
0052
別の実施態様では、本発明は、R1が、H、ハロゲン、−NO2、−CN、Ra、−ORa’、−ORa’、−OC(O)Ra’、−OC(O)ORa’、−OC(O)NRbRa’、−NRbRa’、−NRbC(O)Ra’、−NRbC(O)ORa’、−NRbC(O)NRbRa’、−NRbS(O)2Ra’、−SRa’、−S(O)Ra’、−SO2Ra’、−SO2NRbRa’、−C(O)Ra’、−C(O)ORa’、−C(O)NRbRa’、及び−C(O)NRbORa’から選択され;R4が、ハロゲン、−NO2、−CN、Rc、−ORc、−NRdRc、−NRdC(O)Rc、−NRdC(O)ORc、−NRdC(O)NRdRc、−NRdS(O)2Rc、−SRc、−S(O)Rc、−SO2Rc、−SO2NRdRc、−C(O)Rc、−C(O)ORc、及び−C(O)NRdRcから選択され;R2、R3、及びR5〜R7が、独立に、H、ハロゲン、−(C1−C4)アルキル、−OH、−O[(C1−C4)アルキル]、−NH2、−NH[(C1−C4)アルキル]、−N[(C1−C4)アルキル]2から選択され、ここで各(C1−C4)アルキルは、独立に、一又は複数のフッ素原子で置換されていてもよい、式(I)の化合物に言及する。
0054
本発明の別の実施態様では、式(I)の化合物は、以下のものからなる群より選択される:
*これら化合物に関し、絶対配置を同定しようという試みは行われなかった。しかしながら、実施例では、二つの異性体を物理的及び/又は分光学的特性を明確に識別することにより、それらのうちのどちらが相対的に考慮されているかが明瞭に示される。
0055
一般に、上記に規定された式(I)の化合物は、式(III)の化合物
を、式RO−NH2(IV)のヒドロキシルアミンと反応させて(ここでA、B、C、R1〜R7は、上記に規定した通りであり;R’はHであり;Rはヒドロキサム酸保護基、具体的には、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ(THP)、ベンジル、1−ナフチルメチル、及びジメチルオキシベンジル(DMB)からなる群より選択されるヒドロキサム酸保護基である)、式(II)の化合物
を生じさせ、続いて、式(I)の化合物を生じさせるために、ヒドロキサム酸の保護基を除去することにより取得される。
0056
第1の変換は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)といった活性化剤の存在下において、好ましくは、N−メチルモルホリン(NMM)といった塩基の存在下において、ジクロロメタン、クロロホルム、又はジメチルホルムアミドといった適切な溶媒中において、室温から溶媒の沸点までを含む温度で、好ましくは室温で、実行することができる。
0057
ヒドロキサム酸の保護基の除去は、例えば、T. W. Green and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Chemistry (Wiley, 3rd ed. 1999, Chapter 2, pp. 17-200)に記載のような当技術分野において周知の標準的な方法により実行される。代表的なヒドロキシ保護基には、ヒドロキシ基が、アシル化されているか、又はベンジルのようにアルキル化されているもの、トリチルエーテル、並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル、及びアリルエーテルが含まれる。例えば、ヒドロキサム酸保護基は、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ(THP)、ベンジル、1−ナフチルメチル、又はジメチルオキシベンジル(DMB)である。ヒドロキサム酸保護基がTHPであるとき、脱保護は、ジオキサンのような適切な溶媒中において、例えばHClを含む、酸性媒質中で実行される。
0058
A、B、C、R1〜R7、及びRが上記に規定された通りである式(II)の中間化合物も、本発明の一部を形成する。
0059
R’がHである式(III)の化合物は、R’がカルボキシ保護基である式(III)の化合物の保護基を、例えばT. W. Green and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Chemistry (Wiley, 3rd ed. 1999, Chapter 5, pp. 369-451)に記載されているような当技術分野において周知の標準的な方法により除去することで得ることができる。代表的なカルボキシ保護基には、アルキル、アリール又はベンジルエステル、シリルエステル、アミド、又はヒドラジドが含まれる。例えば、カルボキシ保護基は、(C1−C6)アルキル、ベンジル、p−メトキシフェニル、トリメチルシリル、又は[2−(トリメチルシリル)−エトキシ]メチル(SEM)である。カルボキシ保護基が(C1−C6)アルキルであるとき、脱保護は、テトラヒドロフラン−メタノールのような適切な溶媒中において例えばLiOHを含む塩基性媒体中で実行される。
0060
A、B、C、R1〜R7が上記に規定されるとおりのものであり、R’が、H、又はカルボキシ保護基、具体的には
(C1−C6)アルキル、ベンジル、p−メトキシフェニル、トリメチルシリル、及び[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル(SEM)からなる群より選択されるカルボキシ保護基である式(III)の中間化合物も本発明の一部を形成し、但し、化合物(III)は、7−メトキシカルボニル−7−フェニルスルホニル−2−オキサスピロ[2.4]ヘプタン、及び(2S*,4R*)−2−フェニルスルホニル−4−ヨードメチル−6,11−ジオキサスピロ[4.6]ウンデカン−2−カルボン酸メチルエステルではない。これら化合物は、D. Bouyssi et al., "Rearrangement of oxaspiroheptanes to cyclohexanones mediated by lithium iodide", Synlett 2000, vol. 5, pp. 749-751 and Osamu Kitagawa et al., "Stereoselective Iodine Atom Transfer [3 + 2] Cycloaddition Reaction with Alkenes Using Unsymmetrical Allylated Active Methine RadicaIs", The Journal of Organic Chemistry 2004, vol. 69, pp. 2607-2610にそれぞれ挙げられているが、これら文献には合成方法が記載されているのみで、治療的適用については何も記載されていない。
式(II)及び式(III)の中間化合物の化学構造が、式(I)の最終化合物の化学構造と概ね一致するとすれば、変数A、B、C、及びR1〜R7に関して式(I)の化合物について上記に規定された特定の実施態様は、式(II)及び式(III)の中間化合物の特定の実施態様でもある。
0061
式(III)の化合物は、一般に、式(V)の化合物を式(VI)の化合物と結合させることにより得ることができる:
上式中、A、B、C、R1〜R7は上記に規定された通りであり、R’はカルボキシ保護基である。このような変換は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)のような塩基の存在下において、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中で、且つ適切な温度、好ましくは−78℃で実行される。
0062
加えて、R1がQ−Cy2であり、ここでQがO、S、SO、又はSO2であり、且つCy2が上記に規定された通り(即ち、式(Ia)の化合物)である式(I)の化合物は、一般に以下のスキームに示されるようにして得られる:
0063
A、B、R4〜R7が上記に規定されたとおりであり、R’がカルボキシ保護基である式(V)の化合物を、上記のように、C、R2、及び3が上記に規定された通りである式(V1a)の化合物と反応させて式(IIIa)の化合物を生じさせ、式(III)の化合物を、脱保護して式(IIIb)のカルボン酸を生じさせ、続いて先述のように式(IV)の化合物と反応させて化合物(IIa)を生じさせる。
0064
式(IIa)の化合物を、Q’がO又はSであり、且つCy2が上記に規定された通りである式(VII)の化合物と反応させて式(IIb)の化合物を生じさせる。この反応は、炭酸セシウムのような塩基の存在下で、任意選択的に適切な溶媒中で又は溶媒なしで、好ましくは加熱しながら実行される。
0065
さらに、QがSである式(IIb)の化合物を、メタクロロ過安息好酸のような酸化剤の存在下で、ジクロロメタンのような適切な溶媒中において、且つ好ましくは室温で、QがSO又はSO2である式(IIb)の化合物へと酸化させることができる。
0066
式(IIb)の化合物の脱保護は、上記のように式(Ia)に規定されるような化合物を産む。
0067
加えて、R1がQ−alkであり、QがO又はSであり、且つ、alkが、置換されていてもよい飽和又は不飽和−(C1−C12)アルキルである式(I)の化合物(即ち、式(Ib)の化合物)は、以下のスキームに示されるようにして得られる:
0068
すなわち、式(IIa)の化合物を、NaHのような塩基の存在下において、任意選択的に適切な溶媒中で又は溶媒なしで、好ましくは加熱しながら、式H−Q−alk(VIII)の化合物と反応させることができる。結果として得られる式(IIc)の化合物の保護基の除去後、式(Ib)の化合物が得られる。
0069
R1が−NRbRa’であり、Rbが、置換されていてもよい飽和又は不飽和の−(C1−C12)アルキルであり、且つRa’が、H、又は、置換されていてもよい飽和又は不飽和の−(C1−C12)アルキルである式(I)の化合物(即ち、式(Ic)の化合物)は、一般に、以下のスキームに示されるようにして得られる:
0070
すなわち、式(IIa)の化合物を、任意選択的に適切な溶媒中で又は溶媒なしで、好ましくは加熱しながら、式H−NRbRa’(IX)の化合物と反応させることができる。結果として得られる式(IId)の化合物の保護基の除去後、式(Ic)の化合物が得られる。
0071
R1が−NCy2Ra’であり、Cy2が置換されていてもよい芳香環、芳香族複素環、又は脂肪族環である式(I)の化合物(即ち、式(Id)の化合物)は、一般に、以下のスキームに示されるようにして得られる:
0072
すなわち、式(IIa)の化合物を、任意選択的に適切な溶媒中で又は溶媒なしで、好ましくは加熱しながら、式H−NCy2Ra’(X)の化合物と反応させることができる。結果として得られる式(IIe)の化合物の保護基の除去後、式(Id)の化合物が得られる。
0073
R1が−NRbC(Y)Ra’、−NRbC(Y)ORa’、−NRbC(Y)NRbRa、−NRbS(O)2Ra’、−NRbSO2NRbRa’である式(I)の化合物(即ち、式(Ie)の化合物)は、式(IIg)の化合物から得られ、式(IIg)の化合物は、以下のスキームに示されるようにして調製することができる:
0074
第1の工程では、式(IIa)の化合物を、好ましくは加熱しながらベンジルアミンと反応させて式(IIf)の化合物を生じさせ、式(IIf)の化合物をPd/Cの存在下で水素化することにより式(IIg)の化合物を生じさせることができる。この化合物を、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中で、室温から溶媒の還流温度にわたる温度で、例えばハロゲン化アシルと反応させてアミドを生じさせる;又はイソシアネートと反応させて尿素を生じさせることができる。
0075
R1が−OC(Y)Ra’である式(I)の化合物(即ち、式(If)の化合物)は、式(IIi)の化合物から得られ、式(IIi)の化合物は、以下のスキームに示されるようにして調製することができる:
0076
第1の工程では、式(IIa)の化合物を、NaHのような塩基の存在下で、テトラヒドロフランのような適切な溶媒中で、ベンジルアルコールと反応させて式(IIh)の化合物を生じさせ、式(IIh)の化合物をPd/Cの存在下で水素化することにより式(IIi)の化合物を生じさせることができる。この化合物を、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、適切な溶媒中で、好ましくは室温で、例えばハロゲン化アシルと反応させることにより、エステルを生じさせることができる。
0077
R1がRaである式(I)の化合物(即ち、式(Ig)の化合物)は式(IIk)の化合物から得られ、式(IIk)の化合物は、以下のスキームに示されるようにして調製することができる:
0078
第1の工程では、式(IIg)の化合物を、アセトニトリルのような適切な溶媒中において、ヨウ化カリウム及びNaNO2と反応させ、次いで濃縮HClのような酸を添加して、式(IIj)の化合物を招じさせる。この化合物を、パラジウム触媒の存在下において、例えばボロン酸誘導体と反応させることにより(鈴木カップリング)、式(IIk)の化合物を生じさせることができる。
0079
R1について上記に示した同種の反応をR2〜R7に適用することができる。
0080
別法では、上記の反応は、異なる順序で実行することができる。即ち、式(II)の化合物に対して(即ち、保護されたヒドロキサム酸に対して)実行される反応は、式(III)の化合物(即ち、カルボン酸エステル)に対して実行することができ、脱保護することにより対応するカルボン酸を招じさせることができ、カルボン酸は上記のようにして式(I)の化合物に変換することができる。
0081
式(V)〜(XI)の化合物は、市販されているか、又は従来の合成方法により得ることができる。
0082
本発明はまた、上記に規定された式(I)の化合物の有効量、又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩、又は式(I)の化合物又はその薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な塩の任意の立体異性体を、薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な賦形剤若しくは担体と共に含む薬学的若しくは獣医薬的組成物に関連する。
0083
本明細書で用いられる「有効量」という表現は、投与されると、標的疾患の症状のうちの一又は複数の発生を予防するか、又は標的疾患の症状のうちの一又は複数をある程度軽減するために十分な化合物の量を指す。治療的有用性を得るための本発明の化合物の特定の用量は、なかでも患者のサイズ、体重、年齢、及び性別、疾患の性質及び段階、疾患の悪性度、及び投与経路を含む、個々の患者の特定の状況に応じて決まる。例えば、約0.01〜約300mg/kgの用量が使用される。
0084
「薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な賦形剤若しくは担体」という表現は、薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能な物質、組成物、又は媒体を指す。各構成成分は、薬学的若しくは獣医薬的組成物の他の成分と適合性であるという意味で、薬学的に若しくは獣医薬的に許容可能でなければならない。また、各構成成分は、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応、免疫原性、若しくは他の問題なしで、又は妥当な有用性/リスク比を打ち消すような合併症なしで、ヒト及び動物の組織又は器官に接触させて使用するために適していなければならない。
0086
例えば、医薬組成物又は獣医薬組成物は、経口投与のために製剤化されてよく、一又は複数の生理的に適合性の担体又は賦形剤を、固体又は液体形態で含むことができる。これらの調整物は、結合剤、注入剤、潤滑剤、及び許容可能な湿潤剤といった従来の成分を含むことができる。
0087
医薬組成物若しくは獣医薬組成物は、水又は適切なアルコールといった従来の注入可能な液体担体と組み合わせた非経口投与のために製剤化することができる。注入のための従来の医薬又は獣医薬賦形剤、例えば安定化剤、可溶化剤、及びバッファーは、このような組成物に含まれうる。これらの医薬又は獣医薬組成物は、筋肉内、腹腔内、又は静脈内に注入することができる。
0088
医薬又は獣医薬組成物は、局所投与のために製剤化されてもよい。製剤には、化合物が適切な賦形剤中に分散又は溶解されるクリーム、ローション、ジェル、粉末、溶液、及びパッチが含まれる。本発明の局所組成物は、固体支持体とすることができる担体物質を用いて投与されてもよい。したがって、固体支持体とすることができる担体材料を含む局所組成物も、本発明の一部を形成する。固体支持体の説明的で非限定的な例には、インテリジェントテキスタイル、ドレッシング材、コーティング、スポンジ、バンドエイド、生理用ナプキン、圧定布、ギプスなどが含まれる。このような組成物の製造物は、従来の方法、例えば、本発明の組合せと材料担体とを混合することにより得ることができる。
0089
医薬又は獣医薬組成物は、なかでも、短時間で又は遅延させて放出するための、使用前の、水若しくは他の適切な液体媒体との再構成に適した、錠剤、ペレット、カプセル、水性又は油性溶液、懸濁液、乳濁液、又は乾燥粉末形態を含む任意の形態にすることができる。
0090
適切な賦形剤及び/又は担体と、それらの量は、当業者であれば、調製される製剤の種類に応じて容易に決定することができる。
0091
本発明の化合物は、抗出血剤及び抗繊維素溶解剤として有用であり、広い範囲の治療用途に使用することができる。外科手術において、抗繊維素溶解剤は、術後出血を低減することに加え、例えば心臓、肝臓、及び整形外科手術において、さらには繊維素溶解活性化因子に富む器官(前立腺、子宮)における腫瘍外科手術の環境において、輸血及び他のヘモデリバティブ(hemoderivative)の代替物になりえる。外傷患者において、抗繊維素溶解剤は、全死因死亡率及び出血に起因する死亡を低減することができる。さらに、本発明の抗繊維素溶解剤は、血栓溶解療法における、例えば、急性心発作及び虚血発作、並びに大出血又は頭蓋内出血の場合の出血を制御するために使用することもできる。さらには、本発明の抗繊維素溶解剤は、特に血友病のような先天的凝血障害を有する患者、又は糖尿病患者における、例えば抜歯後の、局所出血の処置;先天性又は後天性凝血障害に関連付けられる女性の月経過多、及び分娩後出血の治療、並びに前立腺切除を含む非尿器官及び胃腸器官の出血の処置に有用である。
0092
明細書及び特許請求の範囲を通じ、「含む」及びその変形形態は、他の技術的特徴、付加物、構成成分、又は工程を除外することを意図しない。さらに、「含む」という言葉は、「〜から構成される」という場合も包含する。本発明の他の目的、利点、及び特徴は、当業者には、記載を吟味すれば明らかであるか、又は本発明の実施により学ぶことができるものである。以下の実施例は、説明を目的として提供されるのであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。さらには、本発明は、本明細書に記載される特定の及び好ましい実施態様のすべての可能な組み合わせを網羅する。
0093
分取HPLC精製方法の一般的手順:
HPLC測定が、Gilson281〜233ポンプ(二値)、オートサンプラー、及びUV検出器を用いて実行された。分画はLC−MSによって検出された。MS検出器はエレクトロスプレーイオン化源を含むように構成された。イオン化源の温度は300〜350℃に維持された。
0094
方法1
Luna C18(100×30mm;4um)で逆相HPLCが実行された。溶媒A:0.075%のトリフルオロ酢酸を含む水;溶媒B:0.075%のトリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル。勾配:室温において、25mL/分で6分以内に20%のBを40%のBへ;次いで25mL/分で2分間、40%のB、UV検出器。
0095
実施例では、以下の略語が使用されている:
Boc:tert−ブトキシカルボニル
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
Et3N:トリエチルアミン
TLC:薄層クロマトグラフィー
PE:石油エーテル
AE/EtOAc:酢酸エチル
ACN:アセトニトリル
r.t.:室温
Rt:保持時間
THF:テトラヒドロフラン
LDAリチウムジイソプロピルアミド
EDC.HCl:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
HOBt:ヒドロキシベンゾトリアゾール
THP−O−NH2:N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミン
MeOH:メタノール
NMM:N−メチルモルホリン
m−CPBA:メタクロロ過安息好酸
DCM:ジクロロメタン
DMSO:ジメチルスルホキシド
0096
合成経路1a
条件:a.DMF中、K2CO3(2当量)、CH3I(1.5当量)、r.t.;b.THF中LDA(1.25M)、−78℃で1時間;次いで、R−02(2当量)、−78℃で1時間;c.THF/MeOH/H2O(3/3/2)中LiOH.H2O(10当量)、r.t.;d.DMF中、EDC.HCl(2当量)、HOBt(2当量)、THP−O−NH2(1.5当量)、NMM(3当量)、r.t.;e.R−04(1.5〜3当量)、Cs2CO3(2〜3当量)、90℃で12時間;e’.DCM中m−CPBA(4当量)、r.t.(Q=S〜Q’=SO2);f.−HCl/ジオキサン、r.t.で1時間。
0097
上記スキーム中、QはO又はSであり、Q’はQ又はSO2であり、Cyは、フェニル又は5〜6員ヘテロアリールであり、置換されていてもよい。
0098
中間体I−01aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
DMF(200mL)中、Wuxi Apptec社から市販されている8−tert−ブトキシカルボニル−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸(20g、0.071mol)の溶液に対し、K2CO3(18.59g、2当量)を加え、次いで化合物CH3I(14.34g、1.5当量)を液滴で加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。発物質が消費されたことがTLC(PE/AE5:1)により示された後、混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより、薄黄色のオイルとして粗化合物8−tert−ブトキシカルボニル−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル(20.38g、97.09%)を生じさせ、これをそれ以上精製することなく次の工程のために使用した。ESI−MS(M+1):C16H27NO4の計算値298。
0099
試薬R−02aの調製:4−フルオロベンゼンスルホニルフルオリド
ACN(500mL)中、化合物4−フルオロベンゼンスルホニルクロリドの溶液(50g、0.256mol)に対し、KF(74.36g、5当量)及び18−クラウン−6(2g)を室温で加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を、LC−MSにより検出し、次いで飽和NaHCO3水溶液を加え、EtOAcを用いて混合物を抽出し、有機層を、飽和NaHCO3水溶液、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより、薄黄色のオイルとして粗化合物4−フルオロベンゼンスルホニルフルオリド(46.70g)を生じさせ、これをそれ以上精製することなく次の工程のために使用した。ESI−MS(M+1):C6H4F2O2Sの計算値179。
0100
中間体I−02aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
THF(200mL)中化合物I−01a(18.38g、0.062mol)の溶液に対し、−78℃でLDA(102mL、1.25M)を加えた。−78℃で1時間撹拌した後、化合物4−Fluフルオロベンゼンスルホニルフルオリド(22.23g、2当量)を溶液に加え、反応物を−78℃で1時間撹拌し、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE5:1)により示された後、混合物を、NH4Cl水溶液でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これをカラムクロマトグラフィー(EA/PE=100:1〜10:1を用いた溶出)により精製し、薄黄色のオイルとして純粋な化合物I−02a(18.94g、67.03%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C22H30FNO6Sの計算値456。
0101
中間体I−03aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸
THF/MeOH/H2O(3/3/2、80mL)中、化合物I−02a(10g、0.022mol)の溶液に対し、LiOH.H2O(9.23g、10当量)を加えた。結果として得られた混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、出発物質が完全に消費されたことがTLC(PE/AE5:1)により示された後、混合物を水で希釈し、1NのHClを用いてpHを2〜3に調整し、混合物を、EtOAcを用いて抽出し、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより、薄黄色のオイルとして粗生成物I−03a(9.60g、98.97%)を生じさせ、これを次の段階で使用した。ESI−MS(M+1):C21H28FNO6Sの計算値442。
0102
中間体I−04aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DMF(100mL)中、化合物I−03a(9.60g、0.022mol)の溶液に対し、EDC.HCl(8.40g、2当量)、HOBt(5.85g、2当量)、THP−O−NH2(3.86g、1.5当量)、NMM(6.67g、3当量)を室温で加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗組成物を生じさせ、これをカラムクロマトグラフィー(EA/PE = 50:1〜2:1で溶出)により精製し、薄黄色固体として純粋な化合物I−04a(9.0g、75.76%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C26H37FN2O7Sの計算値541。
0103
中間体I−05aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−[4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DMF(5mL)中、化合物I−04a(200mg、0.37mmol)の溶液に対し、p−メトキシフェノール(69mg、1.5当量)及びCs2CO3(241mg、2当量)を加え、次いで反応混合物を90℃で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE2:1)により示された後、混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗化合物を生じさせ、これを分取TLC(PE/AE 2:1)により精製し、薄黄色のオイルとして純粋な化合物I−05a(150mg、63.03%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C33H44N2O9Sの計算値645。
0104
化合物1−03の調製:N−ヒドロキシ−3−[4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル]−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(4M/L、5mL)中、中間体I−05a(150mg、0.233mmol)の溶液を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取HPLC(一般的手順、方法1)により精製して赤色固体として純粋な化合物1−03(50mg、46.73%)を得た。Rt:2.63、ESI−MS(M+1):C23H28N2O6Sの計算値461。
0105
化合物1−59の調製:3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−N−ヒドロキシ−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
中間体I−04aから出発して化合物1−03について記載されたものと同じ工程を経た後、化合物1−59が得られた。Rt:2.11、ESI−MS(M+1):C16H21FN2O4Sの計算値356。
0106
下記の表において別途指示がない限り、化合物1−03の場合と同じ合成経路1aに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0107
合成経路2a
条件:c.R−04(1.5〜3当量)、Cs2CO3(2〜3当量)、90℃で12時間;d.ジオキサン(4M)中HCl、室温;e.K2CO3(2当量)、ACN中R−08(1.5当量)、室温;f.THF/MeOH/H2O(3/3/2)中LiOH.H2O(10当量)、室温;g.DMF中、EDC.HCl(2当量)、HOBt(2当量)、THP−O−NH2(1.5当量)、NMM(3当量)、室温;h.−HCl/ジオキサン、室温で1時間。
0108
上記スキーム中、QはO又はSであり;Xはハロゲンであり;R’は置換されていてもよい炭化水素鎖であり;Cyは、フェニル又は5〜6員のヘテロアリールであり、置換されていてもよい。
0109
中間体I−06aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−[4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル]−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
DMF(120mL)中、化合物I−02a(900mg、1.97mmol)の溶液に対し、Cs2CO3(1.92g、5.9mol)及び4−メトキシフェノール(490mg、3.95mmol)を加え、反応混合物を60℃で2時間撹拌した。混合物を、EtOAcで希釈し、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これをカラムクロマトグラフィー(EA:PE=1:30〜1:5)により精製し、薄黄色のオイルとして化合物I−06a(600mg、54.0%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C29H37NO8Sの計算値560.
0110
中間体I−07aの調製:3−[4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル]−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
HCl/ジオキサン(4M、6mL)中、化合物I−06a(500mg、0.89mmol)の溶液を室温で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮することにより化合物I−07a(500mg、粗製)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C24H29NO6Sの計算値461。
0111
中間体I−08aの調製:3−[4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル]−8−メチル−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
CH3CN(10mL)中、中間体I−07a(181mg、0.39mmol)の溶液に対し、K2CO3(107mg、0.78mmol)、MeI(28mg、0.19mmol)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。出発物質の多くが消費されたことがTLCにより示された後、混合物を、EtOAcで希釈し、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより薄黄色のオイルとして粗化合物I−08a(110mg、59.7%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C26H33NO6Sの計算値588。
0112
中間体I−09aの調製:3−[4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル]−8−メチル−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸
THF/MeOH/H2O(3/3/2、8mL)中、中間体I−08(110mg、0.23mmol)の溶液に対し、LiOH.H2O(195mg、4.6mmol)を加えた。結果として得られた混合物を一晩還流させた。出発物質の大部分が完全に消費されたことがTLCにより示された後、混合物を、水で希釈し、pHを2〜3に調整した。混合物を、EtOAcを用いて抽出し、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより、薄黄色固体として粗生成物I−09a(100mg、94.0%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C24H29NO6Sの計算値460。
0113
中間体I−10aの調製:3−[4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル]−8−メチル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DMF(10mL)中、中間体I−09a(100mg、0.22mmol)の溶液に対し、EDCl(84mg、0.44mmol)、HOBt(59mg、0.44mmol)、THP−O−NH2(51.5mg、0.44mmol)、NMM(66mg、0.66mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を、EtOAcで希釈し、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これをカラムクロマトグラフィー(EA:PE=1:50〜1:4)により精製し、薄黄色固体として化合物I−10a(78mg、64.0%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C29H38N2O7Sの計算値559。
0114
化合物1−04の調製:N−ヒドロキシ−3−[4−(4−メトキシフェノキシ)−フェニルスルホニル]−8−メチル−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(4M/L、10mL)中、中間体I−10a(78mg、0.14mmol)の溶液を室温で3時間撹拌し、反応混合物を濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取HPLC(一般的手順、方法1)により精製して薄黄色固体として純粋な化合物1−04(14.7mg、22.0%)を得た。Rt:2.66、ESI−MS(M+1):C24H30N2O6Sの計算値475。
0115
下記の表において別途指示がない限り、化合物1−04の場合と同じ合成経路2aに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0116
合成経路1b
条件:e.R−05(4当量)、NaH(0〜4当量)、30分後室温で、90℃で12時間;f.−HCl/ジオキサン、室温で1時間
0117
上記スキーム中、Rは、置換されていてもよい炭化水素鎖である。
0118
中間体I−11aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−[2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DMF(5mL)中、2−(ピペリジン−1−イル)エタノール(191mg、4当量)の溶液に対してNaH(36mg、4当量)を加え、次いで混合物を室温で0.5時間にわたり撹拌し、中間体I−04a(200mg、0.37mmol)を加え、次いで反応混合物を90℃で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE2:1)により示された後、混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗化合物を生じさせ、これを分取TLC(PE/AE = 2:1)により精製し、薄黄色のオイルとして純粋な中間体I−11a(184mg、76.67%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C33H51N3O8Sの計算値650。
0119
化合物1−11の調製:N−ヒドロキシ−3−(4−[2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(5mL)中、中間体I−11a(180mg、0.277mmol)の溶液を、室温で1時間撹拌し、次いで濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取HPLC(一般的手順、方法1)により精製し、薄黄色固体として純粋な化合物1−11(58.40mg、45.27%)を得た。Rt:2.14。ESI−MS(M+1):C23H35N3O5Sの計算値466。
0120
下記の表において別途指示がない限り、化合物1−11の場合と同じ合成経路1bに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0121
合成経路1c
条件:e.R−07(10当量)、100℃で12時間、f.−HCl/ジオキサン、室温で1時間
0122
上記スキーム中、R’はR又はHであり、Rは置換されていてもよい炭化水素鎖である。
0123
中間体I−12aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−[4−(4−メトキシピペリジン−1−イル)フェニルスルホニル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
中間体I−04a(100mg、0.185mmol)、及び4−メトキシピペリジン(213mg、10当量)の溶液を、100℃で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE2:1)により示された後、混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗化合物を生じさせ、これを分取TLC(PE/AE 1:1)により精製し、薄黄色のオイルとして純粋な中間体I−12a(50mg、42.74%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C32H49N3O8Sの計算値636。
0124
化合物1−16の調製:N−ヒドロキシ−3−[4−(4−メトキシピペリジン−1−イル)フェニルスルホニル]−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(3mL)中、中間体I−12a(50mg、0.079mmol)の溶液を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取HPLC(一般的手順、方法1)により精製し、薄黄色固体として純粋な化合物1−16(25.0mg、69.44%)を得た。ESI−MS(M+1):C22H33N3O5Sの計算値452。
0125
下記の表において別途指示がない限り、化合物1−16の場合と同じ合成経路1cに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0126
合成経路1d
条件:e.ベンジルアルコール(4当量)、NaH(4当量)、室温で30分後、90℃で12時間;f.−Pd/C(0.5g)、水素雰囲気、室温で1時間;g.DCM中、−R−09(1.2当量)、Et3N(3当量)、室温で一晩;h.−HCl/ジオキサン、室温で1時間
0127
上記スキーム中、Rは、置換されていてもよい炭化水素鎖、置換されていてもよい炭素環式又はヘテロ脂肪族の環、置換されていてもよいフェニル又は5〜6員ヘテロアリールである。
0128
中間体I−13aの調製:3−[4−(ベンジルオキシ)フェニルスルホニル]−8−tert−ブトキシカルボニル−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
THF(5mL)中、フェニルメタノール(500mg、5当量)の溶液に対しNaH(110mg、5当量)を加え、次いで混合物を室温で0.5時間撹拌し、中間体I−04a(500mg、0.926mmol)を加え、次いで反応混合物を80℃で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE2:1)により示された後、混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗化合物を生じさせ、これを分取TLC(PE/AE 2:1)により精製し、薄黄色のオイルとして純粋な中間体I−13a(380mg、65.29%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C33H44N2O8Sの計算値629。
0129
中間体I−14aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−[4−ヒドロキシフェニルスルホニル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
MeOH(20mL)中、中間体I−13a(380mg、0.605mmol)の溶液に対し、Pd/C(0.5g)を室温及び水素雰囲気で加え、次いで、出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE2:1)により示されるまで、混合物を、室温で1時間撹拌し、次いで濾過し、濾液を濃縮することにより粗組成物I−14a(180mg、55.38%)を生じさせ、これをそれ以上精製することなく次の工程のために使用した。ESI−MS(M+1):C26H38N2O8Sの計算値539。
0130
中間体I−15aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−[4−(4−メトキシベンゾイルオキシ)フェニルスルホニル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DCM(5mL)中、中間体I−14a(60mg、0.151mmol)及びEt3N(46mg、3当量)の溶液に対し、4−メトキシベンゾイルクロリド(31mg、1.2当量)を室温で加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE2:1)により示された後、混合物をDCMを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗化合物を生じさせ、これを分取TLC(PE/AE 2:1)で生成することにより、薄黄色のオイルとして純粋な化合物I−15a(38mg、37.62%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C34H44N2O10Sの計算値673。
0131
化合物1−26の調製:N−ヒドロキシ−3−[4−(4−メトキシベンゾイルオキシ)フェニルスルホニル]−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(5mL)中、中間体I−15a(38mg、0.057mmol)の溶液を、室温で1時間撹拌し、次いで濃縮して分取HPLC(一般的手順、方法1)により粗生成物を生じさせて、薄黄色固体として純粋な化合物I−26(22mg、78.57%)を得た。Rt:2.71、ESI−MS(M+1):C24H28N2O7Sの計算値489。
0132
化合物1−60の調製:N−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
中間体I−14aから出発して化合物1−26について記載されたものと同じ工程を経た後、化合物1−60が得られた。Rt:2.11、ESI−MS(M+1):C16H22N2O5Sの計算値354。
0133
下記の表において別途指示がない限り、化合物1−26の場合と同じ合成経路1dに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0134
合成経路1e
条件:a.THF中LDA(2.0M)、−78℃で1時間;次いでR−10(1.2当量)、−78℃で1時間;b.ジオキサン/H2O中、Pd(dppf)Cl2(0.1当量)及びNa2CO3(2当量)、室温で一晩;c.THF/MeOH/H2O(3/3/2)中、LiOH.H2O(10当量)、室温.;d.DMF中、EDC.HCl(2当量)、HOBt(2当量)、THP−O−NH2(1.5当量)、NMM(3当量)、室温;e.−HCl/ジオキサン、室温で1時間。
0135
上記スキーム中、Bは、ボロン酸、ボロン酸エステル、又はトリフルオロホウ酸塩であり、Rは、フェニル又は5〜6員ヘテロアリール又は3〜7の複素環式又炭素環式脂肪族環又は炭化水素鎖であり、置換されていてもよい。
0136
試薬R−10aの調製:4−ブロモベンゼンスルホニルフルオリド
CH3CN(45mL)中、4−ブロモベンゼンスルホニルクロリド(2.29g、9mmol)の溶液に対し、KF(2.1g、36mmol)及び18−クラウン−6(0.5g)を加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これをカラムにより精製して薄黄色固体として試薬R−10a(1.6g、74.4%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C6H4BrFO2Sの計算値239.2。
0137
中間体I−16aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−ブロモフェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
THF(20mL)中、化合物I−01a(230mg、0.77mmol)の溶液に対し、LDA(0.6mL、2.0M、1.2mmol)を−78℃で加えた。−78℃で1時間撹拌した後、試薬R−10a(214mg、0.9mmol)を溶液に加え、反応物を−78℃で1時間撹拌し、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE5:1)により示された後、混合物を、NH4Cl水溶液でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせて、これをカラムクロマトグラフィー(EA/PE=100:1〜10:1で溶出)により精製し、薄黄色のオイルとして純粋な化合物I−16a(150mg、38%)を生じさせた。ESI−MS(M−55):C22H30BrNO6Sの計算値459.9。
0138
中間体I−17aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−(4−メトキシフェニル)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
ジオキサン(10mL)/H2O(2mL)中、化合物I−16a(50mg、0.1mmol)、及び市販の4−メトキシフェニルボロン酸(20mg、0.13mmol、R−11)の懸濁液に対し、Pd(dppf)Cl2(10mg)、及びNa2CO3(22mg、0.2mmol)を加えた。混合物をN2下において還流で一晩撹拌した。結果として得られた混合物を室温まで冷却し、水を加えた。有機層を分離し、EtOAcを用いて水層を3回抽出した。組み合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、分取TLCにより精製することにより、所望の生成物I−17a(52mg、95%)を得た。ESI−MS(M−55):C29H37NO7Sの計算値488.0。
0139
中間体I−18aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−(4−メトキシフェニル)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸
THF/MeOH/H2O(3/3/2、8mL)中、化合物I−17a(52mg、0.096mmol)の溶液に対し、LiOH.H2O(42mg、10当量)を加えた。結果として得られた混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、出発物質が完全に消費されたことがTLC(PE/AE5:1)により示された後、混合物を、水で希釈し、1NのHClを用いてpHを3〜4に調整し、混合物を、EtOAcを用いて抽出し、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより、薄黄色のオイルとして粗生成物I−18a(50mg、〜100%)を生じさせ、これを直接次の工程で使用した。ESI−MS(M−55):C28H35NO7Sの計算値;473.9
0140
中間体I−19aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−(4−メトキシフェニル)フェニルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DMF(15mL)中、化合物I−18a(50mg、0.095mmol)の溶液に対し、EDC.HCl(40mg、0.2mmol)、HOBt(27mg、0.2mmol)、THPONH2(24mg、0.2mmol)、NMM(40mg、0.4mmol)を加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取TLCにより精製することにより薄黄色固体として化合物I−19a(45mg、72%)を生じさせた。ESI MS(M−139):C33H44N2O8Sの計算値;488.9
0141
化合物1−41の調製:N−ヒドロキシ−3−(4−(4−メトキシフェニル)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(10mL、2N)中、中間体I−19a(45mg、0.072mmol)の溶液を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取HPLCにより二回(一般的手順、方法1)精製し、黄色固体として純粋な化合物1−41(6.6mg、16.8%)を得た。ESI−MS(M+1):C23H28N2O5Sの計算値445.2。Rtは2.01である。
0142
下記の表において別途指示がない限り、化合物1〜41の場合と同じ合成経路1eに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0143
合成経路1f
条件:a.DCM中、R−09(1.2当量)、Et3N(2当量)、室温で一晩;b.HCl/ジオキサン、室温で1時間
0144
上記スキーム中、R及びR’は水素であり、Xはハロゲンであり、R’’は、フェニル又は5〜6員ヘテロアリール又は3〜7の複素環式又は炭素環式脂肪族環又は炭化水素鎖であり、置換されていてもよい。
0145
中間体I−20aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−(シクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DCM(3mL)中、化合物I−12c(80mg、0.149mmol)、1−61を合成するために(合成経路1cに従って)得た中間体の溶液に対しシクロヘキサンカルボニルクロリド(26.2mg、1.2当量)及びEt3N(30.1mg、0.298mmol)を加え、次いで反応混合物を室温で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE5:1)により示された後、混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗化合物を生じさせ、これを分取TLC(PE/AE 5:1)によって精製することにより、白色固体として純粋な中間体I−20a(65mg、67.50%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C33H49N3O8Sの計算値648.3。
0146
化合物1−81の調製:N−ヒドロキシ−3−(4−(シクロヘキサンカルボニルアミノ)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(3mL)中、化合物I−20a(65mg、0.1mmol)の溶液を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取HPLC(一般的手順、方法1)により精製し、黄色固体として純粋な化合物1−81(22.0mg、45.74%)を得た。ESI−MS(M+1):C23H33N3O5Sの計算値464.2。Rtは1.89である。
0147
合成経路3a
条件:a.THF中、LDA(1.20M)、−78℃で1時間、次いで、R−12(1.2当量)、−78℃で1時間;b.THF中、R−13(3〜10当量)、NaH(0〜3当量)、室温−一晩還流;c.DMF中、CuI(2当量)、MeOH/MeONa(25%、20当量)、110℃で20分;d.THF/MeOH/H2O(3/3/2)中、LiOH.H2O(10当量)、室温;e.DMF中、EDC.HCl(2当量)、HOBt(2当量)、THP−O−NH2(1.5当量)、NMM(3当量)、室温.;f.HCl/ジオキサン、室温で1時間。
0148
上記スキーム中、QはO又はNHであり、Rは、3〜7の複素環式又は炭素環式の脂肪族環又は炭化水素鎖であって置換されていてもよく、R’はハロゲン又はアルコキシである。
0149
試薬R−12aの調製:3−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルフルオリド
CH3CN(40mL)中、市販の3−クロロ−4−フルオロベンゼンスルホニルフルオリド(7g、30mmol)の溶液に対し、KF(7g、120mmol)及び18−クラウン−6(0.5g)を加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これをカラムにより精製し、薄黄色固体として試薬R−12a(4.2g、95.5%)を生じさせた。ESI−MS(M+1):C6H3N2O2Sの計算値213.2。
0150
中間体I−21aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(3−クロロ−4−フルオロフェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
THF(20mL)中、化合物I−01a(743mg、2.5mmol)の溶液に対し、LDA(4.2mL、1.2M、5mmol)を−78℃で加えた。−78℃で1時間撹拌した後、試薬R−12a(640g、3.0mmol)を溶液に加え、反応物を−78℃で1時間撹拌し、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。出発物質が消費されたことがTLC(PE/AE5:1)により示された後、混合物を、NH4Cl水溶液でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これをカラムクロマトグラフィー(EA/PE=100:1〜10:1で溶出)により精製し、薄黄色のオイルとして純粋な中間体I−21a(349mg、29%)を生じさせた。ESI−MS(M−55):C22H29ClFNO6Sの計算値434.1。
0151
中間体I−22aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(3−クロロ−4−(シクロヘキシルアミノ)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
中間体I−21a(240mg、0.51mmol)を、シクロヘキシルアミン(505mg、5.1mmol)、R13a中で溶解させた。溶液を85℃で一晩撹拌した。混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取TLCにより精製し、薄黄色固体として化合物I−22a(110mg、38%)を生じさせた。ESI−MS(M−55):C28H41ClN2O6Sの計算値;513。
0152
中間体I−24aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(3−メトキシ−4−(シクロヘキシルアミノ)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸
化合物I−22a(179mg、0.326mmol)、CuI(124.5mg、0.652mmol)、及びMeOH/MeONa(25%、1.41g、6.52mmol)を、DMF(10mL)中に溶解させた。溶液を110℃で20分間撹拌した。混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取りTLCにより精製することで、薄黄色固体として化合物I−24a(160mg、88%)を生じさせた。メチルエステルの、対応するカルボン酸への加水分解が、メトキシル化と同時に起こった;すなわち、化合物I−23aは単離されず、中間体I−24aは直接I−22aから得られた。ESI−MS(M−55):C28H42N2O7Sの計算値;495.2
0153
中間体I−25aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(3−メトキシ−4−(シクロヘキシルアミノ)フェニルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DMF(15mL)中、化合物I−24a(160mg、0.29mmol)の溶液に対し、EDC.HCl(112mg、0.58mmol)、HOBt(79mg、0.58mmol)、THPONH2(68mg、0.58mmol)、及びNMM(88mg、0.87mmol)を室温で加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取TLCにより精製し、薄黄色固体として中間体I−25a(100mg、53%)を生じさせた。ESI−MS(M−139):C33H51N3O8Sの計算値;510.1
0154
化合物1−90の調製:N−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−4−(シクロヘキシルアミノ)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(10mL)中、化合物I−25a(100mg、0.15mmol)の溶液を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取HPLC(一般的手順、方法1)により精製し、白色固体として純粋な化合物1−90(39.7mg、58%)を得た。ESI−MS(M+1):C23H35N3O5Sの計算値466.1。Rtは2.48である。
0155
化合物1−116の調製:N−ヒドロキシ−3−(3−クロロ−4−フルオロフェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
化合物1−90について記載したものと同じ方法に従い、但し上記合成経路(3a)から第2及び第3の工程(b及びc)を省略して、化合物1−116を得た。Rtは2.96であり、ESI−MS(M+1):C16H20ClFN2O4Sの計算値391.2。
0156
下記の表において別途指示がない限り、化合物1−90の場合と同じ合成経路3aに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0157
合成経路3b
条件:a.R−04(1.5〜3当量)、Cs2CO3(2〜3当量)、90℃で12時間;b.THF/MeOH/H2O(3/3/2)中、LiOH.H2O(10当量)、室温.;c.DMF中、EDC.HCl(2当量)、HOBt(2当量)、THP−O−NH2(1.5当量)、NMM(3当量)、室温.;d.HCl/ジオキサン、室温で1時間。
0158
上記スキーム中、QはO又はSであり、Cyは、フェニル又は5〜6員ヘテロアリールであり、置換されていてもよい。
0159
中間体I−26aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(3−クロロ−4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルエステル
DMF(5mL)中、化合物I−21a(420mg、0.86mmol)、及びp−メトキシフェノール(214mg、1.72mmol)の懸濁液に対し、Cs2CO3(700mg、2.2mmol)を加えた。混合物をN2下において還流で一晩撹拌した。結果として得られた混合物を室温まで冷却し、水を加えた。有機層を分離し、EtOAcを用いて水層を3回抽出した。組み合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、分取TLCで精製することにより、所望の生成物I−26a(380mg、75%)を得た。ESI−MS(M−55):C29H36ClNO8Sの計算値538.2。
0160
中間体I−27aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(3−クロロ−4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸
THF/MeOH/H2O(3/3/2、16mL)中、化合物I−26a(310mg、0.52mmol)の溶液に対し、LiOH.H2O(225mg、10当量)を加えた。結果として得られた混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、出発物質が完全に消費されたことがTLC(PE/AE5:1)により示された後、混合物を、水で希釈し、1NのHClを用いてpHを3〜4に調整し、EtOAcを用いて洗浄し、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取TLCにより精製することで、所望の生成物I−27a(120mg、40%)を得た。ESI−MS(M−55):C28H34ClNO8Sの計算値:524.2。
0161
中間体I−28aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(3−クロロ−4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DMF(10mL)中、中間体−27a(120mg、0.21mmol)の溶液に対し、EDC.HCl(81mg、0.42mmol)、HOBt(57mg、0.42mmol)、THPONH2(50mg、0.42mmol)、NMM(64mg、0.63mmol)を加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を、水でクエンチし、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより、薄黄色のオイルとして粗生成物I−28a(160mg、〜100%)を生じさせ、これを直接次の工程で使用した。ESI−MS(M−139):C33H43ClN2O9Sの計算値;539.2。
0162
化合物1−56の調製:N−ヒドロキシ−3−(3−クロロ−4−(4−メトキシフェノキシ)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(10mL、1N)中、中間体I−28a(160mg、〜0.21mmol)の溶液を、室温で2時間撹拌し、次いで濃縮して粗生成物を生じさせ、これを分取HPLC(一般的手順、方法1)により精製することで、黄色固体として純粋な化合物1−56(30.8mg、29.7%)を得た。ESI−MS(M+1):C23H27ClN2O6Sの計算値495.2。Rtは2.66である。
0163
下記の表において別途指示がない限り、化合物1−56の場合と同じ合成経路3bに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0164
合成経路3c
条件:a.DCM中、R−09(1.2当量)、Et3N(4当量)、室温で一晩;b.HCl/ジオキサン、室温で1時間
0165
上記スキーム中、QはO又はNHであり、Rは水素であり、Xはハロゲンであり、R’は、フェニル、又は5〜6員ヘテロアリール、又は3〜7の複素環式又は炭素環式脂肪族環、又は炭化水素鎖であり、置換されていてもよい。
0166
中間体I−29aの調製:8−tert−ブトキシカルボニル−3−(3−クロロ−4−(4−(トリフルオロメトキシ)ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
DCM(10mL)中、化合物I−25e(115mg、0.2mmol)、1−121を合成するために(合成経路3aに従って)得られた中間体、及びEt3N(61mg、0.6mmol)の溶液に対し、DCM(5mL)中、市販の4−(トリフルオロメトキシ)ベンゾイルクロリド、R−09(0.3mmol)を、N2下において0℃で撹拌しながら液滴で加えた。混合物溶液を室温で一晩撹拌した。混合物溶液に水を加え、EtOAcを用いて抽出し、有機層を、食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮することにより粗生成物を生じさせ、これを分取TLCにより精製することで黄色固体として中間体I−29a(40mg、26%)を生じさせた。ESI−MS(M−139):C34H40ClF3N2O10Sの計算値;621.1。
0167
化合物1−128の調製:N−ヒドロキシ−3−(3−クロロ−4−(4−(トリフルオロメトキシ)ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニル)−8−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボキサミド
HCl/ジオキサン(15mL、1N)中、中間体I−29a(40mg、0.053mmol)の溶液を、室温で4時間撹拌し、次いで濃縮して粗生成物を生じさせ、これを分取HPLC(一般的手順、方法1)により精製することで、黄色固体として純粋な化合物1−128(11.2mg、37%)を得た。ESI−MS(M+1):C24H24ClF3N2O7Sの計算値577.2。Rtは2.96である。
0168
下記の表において別途指示がない限り、化合物1−128の場合と同じ合成経路3cに従い、且つ同じ試薬を使用して、以下の化合物を得た:
0169
合成された化合物はラセミ混合物として得られる。対応する異性体を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により精製することで、各ラセミ化合物から二つの鏡像異性体が得られる。
0170
超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)の手順:
調製に利用したSFC分離法に関する詳細は以下のとおりである:
0171
方法1:
−機器:TharSFCPre−80
−カラム:ChiralPak AD−H、250×30mmI.D.
−移動相:CO2の場合A、及びエタノール(0.1%NH3・H2O)の場合B
−勾配:B 50%
−流量:60mL/分
−逆圧:100bar
−カラム温度:40℃
−波長:220nm
−サイクル時間:〜20分
−試料調製:化合物をエタノールに溶解させて〜12mg/mLとした。
−注入:注入一回当たり2.0mL
0172
方法2:
−機器:MgII調製用SFC
−カラム:ChiralPak AD−H、250×30mmI.D.
−移動相:CO2の場合A、及びメタノール(0.1%NH3・H2O)の場合B
−勾配:B 50%
−流量:40mL/分
−逆圧:100bar
−カラム温度:38℃
−波長:220nm
−サイクル時間:〜20分
−試料調製:化合物をメタノールに溶解させて〜13mg/mLとした。
−注入:注入一回当たり3.5mL
0173
方法3:
−機器:MgII調製用SFC
−カラム:ChiralPak AD−H、250×30mmI.D.
−移動相:CO2の場合A、及びIPA(0.1%NH3・H2O)の場合B
−勾配:B 35%
−流量:55ml/分
−逆圧:100bar
−カラム温度:38℃
−波長:254nm
−サイクル時間:〜8分
−試料調製:化合物をメタノールに溶解させて〜5mg/mLとした。
−注入:注入一回当たり1.0mL
0174
分離後、浴温40℃でロータリーエバポレーターを介して分画を乾燥させることにより所望の異性体を得た。次いで、濃縮後、両方の鏡像異性体の鏡像体過剰率(e.e.)を、後述する分析分離法の下で試験した:
0175
方法1:
−機器:SHIMADZU−20A UFLC
−カラム:ChiralPak AD−3、100×4.6mm
−移動相:ヘキサン(0.1%IPAm)の場合A、及びエタノール(0.05%IPAm)の場合B
−勾配:40%
−流量:1.0mL/分
−カラム温度:30℃
−波長:220nm
0176
方法2:
−機器:分析SFC
−カラム:ChiralPak AD−H、250×4.6mm
−移動相:CO2の場合A、及びメタノール(0.05%DEA)の場合B
−勾配:50%
−流量:2.0mL/分
−逆圧:100bar
−カラム温度:35℃
−波長:220nm
0177
方法3:
−機器:Thar分析SFC
−カラム:ChiralPak AD−H、250×4.6mm
−移動相:CO2の場合A、及びIPA(0.1%エタノールアミン)の場合B
−勾配:30%
−流量:2.4mL/分
−逆圧:100bar
−カラム温度:35℃
−波長:220nm
0179
キラル分離後、以下の異性体が得られた:
0180
全血血栓形成及び溶解に対する抗繊維素溶解効果
血栓弾性率測定法(Thromboelastometry)は、全血の止血試験のための粘弾性率測定法である。TEM(R)は、凝固とそれに続く溶解の間の凝固因子、阻害剤、及び細胞成分の相互作用を経時的に測定する。この方法のレオロジー条件は、血管内血液の緩慢な流れを模倣する。
0181
検出方法:
午前8〜9時の間に、健常なヒト及びマウスから、クエン酸塩溶液(0.129Mのクエン酸ナトリウム、Vacutainer BD)を含むチューブ内に血液試料を取得し、ROTEM(登録商標)分析器(Pentapharm GmbH、Munich、Germany)の技術的詳細に従ってROTEM試験を実施した。後述するin−tem試験の修正版を、試験対象化合物の抗繊維素溶解効果、及びクエン酸血中における血小板とのその相互作用の検査のために使用した。
キット:カルシウム再沈着試薬としてのSTART−TEMアッセイ(ref#503−01)、及び内因性の凝固経路の活性化のためのIN−TEMアッセイ(ref#503−02)。
0182
手順:
予め温めたキュベット及びホルダー内に、DMSO中、1μLの組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)(150000U/mL、Actylise)、20μLのstart−tem試薬(CaCl2)、20μLのin−tem試薬(凝固系の活性化因子)、3μLのDMSO(コントロール)、又は試験化合物(CM)と、予め温めた300μLのクエン酸血をピペットで取った。試料混合物を含有するカップホルダーを、適切なチャネル上に直に置いた。60分間血栓形成と溶解を起こさせて、測定値を記録した。
0183
表3は、ヒト血液中の結果を、溶解時間を50%だけ遅延させるために効果的な濃度(EC50LT)として示し;ここで、アッセイされるすべての濃度(1000〜0.2μM)において、EC50LT≧25μM(+)、10μM≦EC50LT<25μM(++)、1μM≦EC50LT<10μM(+++)、EC50LT<1μM(++++)である。
0184
表4は、マウス血液中の結果を、溶解時間を50%だけ遅延させるために効果的な濃度(EC50LT)として示し;ここで、アッセイされるすべての濃度(1000〜0.2μM)において、EC50LT≧10μM(+)、1μM≦EC50LT<10μM(++)、1nM≦EC50LT<1μM(+++)、及びEC50LT<1nM(++++)である。
0185
上記の表(表3及び4)において観察されるように、本発明の化合物は、溶解時間に有意な遅延を示し、それは多くの場合TXAより大きかった。
0186
in vivoでの抗繊維素溶解効果(テイルブリーディングアッセイ(tail bleeding assay))
月齢2の野生型C57Bl6(n=10)マウスにおいて、尾端を除去することにより出血時間を評価した。マウス(20−25g)を2.5%のイソフルレンで麻酔し、加温パッド上で37℃に維持した。止血剤の有用性を2つのモデル、すなわち、従来の出血モデル、及び超繊維素溶解出血モデルで評価した。
0187
従来の出血モデルは、2%のカルボキシメチルセルロース又は溶媒に溶解させた異なる化合物(4mg/マウス、160mg/Kg)の腹腔内注入から構成した。注入の30分後、手術用メスの刃を用いて尾端を5mm除去し、尾端を37℃の生理食塩水1mLに浸した。出血停止までの時間を最長で30分まで測定した。出血の時間は、最初の切断と出血の目視上の停止との間隔と定義した。結果を表5に示す。
0188
超繊維素溶解出血モデルは、過剰な繊維素溶解により出血時間を引き延ばすために、眼の網状組織中へ0.5mg/kgのtPAを注入することにより構成した。まず、薬剤投与のために、大腿静脈を露出させ、生理食塩水を充填したポリウレタンのカテーテル(Microcannula 72−9030、Harvard Apparatus)を用いてカニューレを挿入した。カテーテルを、試験薬剤200 μL(10%ボーラス、90%40分間還流)の注入用注射器ポンプ(AL−1000、WPI)に接続した。次いで、tPA(0.5mg/kg)を、目の網状組織に注入し、tPA投与の5分後、生理食塩水又は異なる化合物を、大腿カテーテルを通して注入し、すべての薬剤の全身への分布を確認した。基準化合物であるTXA及びアプロチニンを、それぞれ300及び10mg/Kgで投与した;しかしながら、本発明のすべての化合物は1mg/Kgで投与された。五分後、手術用のメスの刃を用いて尾端5mmを除去し、尾端を37℃の生理食塩水1mLに浸した。
0189
出血の時間は、最初の切除と出血の目視上の停止との間隔と定義し、出血の停止は最長で30分まで測定した。観察期間を超えて出血し続けた動物には、30分という値が割り当てられた。表6は、結果を、報告された出血時間(BT)として示しており;ここで、BT≧20分(+)、10分≦BT<20分(++)、5分≦BT<10分(+++)、及びBT<5分(++++)である。出血時間は野生型マウス(C57/BI6)において決定され、ここで、n≧10/アッセイ対象化合物;したがって、生理食塩水の場合、BTは平均値として報告され、BTは平均±ESMとして報告される。
0190
表6に示すように、本発明の試験化合物は、コントロール又はTXAと比較したとき、出血時間を極めて顕著に短縮した。いずれの場合も試験化合物の用量はTXA又はアプロチニンの用量より低かった。
実施例
0191
本出願の参照文献
Green and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Chemistry, Wiley, 3rd ed. 1999, Chapter 2, pp. 17-200 and Chapter 5, pp. 369-451.
D. Bouyssi et al., "Rearrangement of oxaspiroheptanes to cyclohexanones mediated by lithium iodide", Synlett 2000, vol. 5, pp. 749-751.
Osamu Kitagawa et al., "Stereoselective Iodine Atom Transfer [3 + 2] Cycloaddition Reaction with Alkenes Using Unsymmetrical Allylated Active Methine RadicaIs", The Journal of Organic Chemistry 2004, vol. 69, pp. 2607-2610.
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